JP2003341599A - 情報提示装置および情報提示システム - Google Patents

情報提示装置および情報提示システム

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JP2003341599A JP2002152377A JP2002152377A JP2003341599A JP 2003341599 A JP2003341599 A JP 2003341599A JP 2002152377 A JP2002152377 A JP 2002152377A JP 2002152377 A JP2002152377 A JP 2002152377A JP 2003341599 A JP2003341599 A JP 2003341599A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 効果的に情報の提示を行なうことができる情
報提示システムを提供する。 【解決手段】 ベースステーション91が被情報提示者
93を検出すると、ベースステーション91は羽ばたき
飛行ロボット90に所定の位置および姿勢に定位するよ
う指示する。ロボット90は、羽ばたき飛行を行なうこ
とで、指示された位置および姿勢に定位する。ロボット
90には、情報提示手段として矢印形の図形が配されて
いる。ロボット90の位置と姿勢とをベースステーショ
ン91が制御することにより、本システムは、矢印の方
向という情報を、被情報提示者93に対して提示する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は情報提示装置およ
び情報提示システムに関し、特に、効果的に情報の提示
を行なうことができる情報提示装置および情報提示シス
テムに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、ディスプレイ技術の発達により、
情報提示装置として広告等の情報提示用に様々なディス
プレイが用いられている。
【0003】図31は、従来の情報提示装置の具体例を
示す図である。従来の情報提示装置は、図31(a)に
示すように、支柱などの支持構造を有する。あるいは、
図31(b)に示す一般的な電光掲示板のように、ビル
ディングなどの構造物に付加される支持態様であった。
【0004】また、気球や飛行船、アドバルーン等のよ
うに、浮力により浮上する構造物そのもの、もしくはこ
れに付加された情報提示部分により、浮上することで障
害物の少ない位置もしくは視認頻度の高いことが期待さ
れる位置に移動して広告などの情報提示を行なう情報提
示装置も近年多く用いられている。例えば、特開200
2−6784号公報には、従来の飛行船と、プロジェク
タとを組合わせた情報提示装置である浮遊型ロボットが
示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上述の支持
を必要とする情報提示装置は、支柱や構造物等の支持構
造を必要とするため、情報提示部分の大きさが支持構造
のサイズや剛性によって制限されてしまうという問題が
あった。また、このような情報提示装置は、所定の面積
を占有するため、情報提示主の所有する不動産にしか配
することができない。そのため、位置がほとんど固定さ
れてしまい、より効果的な情報提示を行なうことができ
ないという問題があった。また、催事の会場への道案内
といった、一時的な用途に用いるには、情報提示装置を
配する土地の管理者に承諾を得る必要がある。そのた
め、非常に手間がかかるという問題があった。
【0006】一方、上述の浮上もしくは飛行するタイプ
の情報提示装置は、地上に占有面積を有しないためにこ
の問題が回避される。上述の特開2002−6784号
公報で開示される浮遊型ロボットを用いて情報を提示す
る場合は、この点においてはメリットがある。
【0007】しかし、特開2002−6784号公報で
開示される情報提示装置は、浮力が体積に比例するた
め、所定の大きさ以上の浮上部分を必要とする。そのた
め、人間の視線程度の高さや、ビルディングや一般的な
商店街といった状況で用いるのに適さず、効果的な情報
の提示ができないという問題があった。
【0008】例えば、一般的に用いられている無線操縦
の無人飛行船のうちで、最も小さいものでも3m程度の
長さがあった。このため、例えば人間の目に最も留まり
やすい地上高1〜2mでは、障害物が多いため、このよ
うな無人飛行船を情報提示に用いることは、ほとんど不
可能であるという問題があった。
【0009】本発明はこのような問題に鑑みてなされた
ものであり、面積を占有せず、効果的に情報の提示を行
なうことができる情報提示装置および情報提示システム
を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明のある局面に従うと、情報提示装置は、情報
を提示する情報提示手段を備える情報提示装置であっ
て、羽ばたき飛行を行なうことで浮上する浮上手段を備
えることを特徴とする。
【0011】また、情報提示装置は、当該情報提示装置
の位置を取得する位置取得手段をさらに備え、情報提示
手段は、取得した位置によって情報の提示を制御するこ
とが望ましい。
【0012】また、情報提示装置は、当該情報提示装置
の姿勢を取得する姿勢取得手段をさらに備え、情報提示
手段は、取得した姿勢によって情報の提示を制御するこ
とが望ましい。
【0013】また、情報提示装置は、情報提示手段で提
示する情報に応じて、当該情報提示装置の位置を制御す
る第1の制御手段をさらに備えることが望ましい。
【0014】また、情報提示装置は、情報提示手段で提
示する情報に応じて、当該情報提示装置の姿勢を制御す
る第2の制御手段をさらに備えることが望ましい。
【0015】また、情報提示装置は、上述の浮上手段と
情報提示手段とが、独立して制御されることが望まし
い。
【0016】また、上述の情報提示手段と、情報を提示
される被情報提示者とを結ぶ直線が、浮上手段の移動体
積密度の最も低い領域に位置することが望ましい。
【0017】また、上述の情報提示手段は、浮上手段を
用いて情報を提示することが望ましい。
【0018】また、上述の情報提示手段は、浮上手段の
視覚状態を制御することで情報を提示することが望まし
い。
【0019】また、上述の情報提示手段は、視覚状態と
して、反射率を制御することで情報を提示することが望
ましい。
【0020】また、上述の情報提示手段は、視覚状態と
して、発光を制御することで情報を提示することが望ま
しい。
【0021】また、情報提示装置は、浮上手段に、発光
した光を拡散する拡散手段をさらに備えることが望まし
い。
【0022】また、上述の浮上手段は、当該浮上手段の
部位ごとに異なる複数の視覚状態を備え、情報提示手段
は、当該情報提示装置の被情報提示者に対する姿勢を制
御することで情報を提示することが望ましい。
【0023】また、上述の浮上手段は、当該浮上手段の
表裏で異なる視覚状態を備え、情報提示手段は、被情報
提示者に向ける浮上手段の表裏を制御して情報を提示す
ることが望ましい。
【0024】また、上述の情報提示手段は、当該情報提
示装置を複数組合せることで、情報を提示することが望
ましい。
【0025】また、上述の情報提示手段は、人間の目の
位置に相当する高さにおいて情報を提示することが望ま
しい。
【0026】また、上述の情報提示手段は、浮上手段を
制御することで、羽ばたき飛行の様態を変化させて情報
を提示することが望ましい。
【0027】また、情報提示装置は、音を発生させる発
音手段をさらに備えることが望ましい。
【0028】また、上述の発音手段は、前記羽ばたき飛
行の様態の変化に応じて前記音を変化させることが望ま
しい。
【0029】また、情報提示装置は、物理量を取得する
取得手段をさらに備え、情報提示手段は、取得された物
理量に応じて情報を提示することが望ましい。
【0030】また、情報提示装置は、人体を検出する検
出手段をさらに備え、情報提示手段は、検出手段で人体
を検出した際に情報を提示することが望ましい。
【0031】本発明の他の局面に従うと、情報提示シス
テムは、上述の情報提示装置と、情報提示装置に駆動エ
ネルギーの補充を行なうエネルギー補充装置とからな
る。
【0032】また、本発明のさらに他の局面に従うと、
情報提示システムは、上述の情報提示装置であって、通
信手段をさらに備える情報提示装置と、情報提示装置と
通信を行ない、1以上の情報提示装置を制御する制御装
置とからなる。
【0033】また、情報提示システムは、物理量を取得
する取得手段をさらに備え、制御装置は、取得された物
理量に応じて情報提示装置を制御することが望ましい。
【0034】また、情報提示システムは、人体を検出す
る検出手段をさらに備え、制御装置は、検出手段で検出
された人体の情報に応じて情報提示装置を制御すること
が望ましい。
【0035】
【発明の実施の形態】以下に、図面を参照しつつ、第1
〜第3の発明の実施の形態について説明する。以下の説
明では、同一の部品および構成要素には同一の符号を付
してある。それらの名称および機能も同じである。した
がってそれらについての詳細な説明は繰返さない。
【0036】[第1の実施の形態]第1の実施の形態に
おける情報提示システム(以下、単にシステムと称す
る)は、所定の情報を提供する情報提示装置である羽ば
たき飛行ロボットと、これを制御するベースステーショ
ンとから構成される。以下には、本実施のシステムが、
方向案内を行なう情報提示システムであるものとして説
明を行なう。より具体的には、人間すなわち被情報提示
者の視線程度の高さにおいて、矢印型の図形を提示する
情報提示装置、およびこれを用いた情報提示システムで
あるものとして説明を行なう。
【0037】図1は、第1の実施の形態におけるシステ
ムの構成を示す図である。図1を参照して、本実施の形
態におけるシステムは、作業空間92内に配された、情
報提示手段を有する羽ばたき飛行ロボット(以下、単に
ロボットと称する)90と、このロボット90と情報を
交換するベースステーション91とから構成される。
【0038】次に、上述のシステムの動作について、具
体的に説明を行なう。ベースステーション91が被情報
提示者93を検出すると、ベースステーション91はロ
ボット90に所定の位置に定位するよう指示する。指示
を受けたロボット90は、指定された位置に定位する。
ロボット90には、情報提示手段として矢印形の図形が
配されている。ロボット90の位置と姿勢とをベースス
テーション91が制御することにより、本システムは、
矢印の方向という情報を、被情報提示者93に対して提
示する。
【0039】次に、図1に示されるロボット90につい
て説明する。図2は、図1に示されるロボット90の主
要な構成について示す図である。
【0040】図2を参照して、ロボット90は支持構造
1を主構造とし、これに各構成部品が配される。
【0041】より詳細には、支持構造1の上部には右ア
クチュエータ21と左アクチュエータ22とが固定され
る。右アクチュエータ21には右羽31が取付けられ、
左アクチュエータ22には左羽32が取付けられる。各
羽31および32の構成については、後に詳述する。
【0042】また、支持構造1の下部に電極61が配さ
れる。各アクチュエータ21および22は、各々取付け
られた羽31および32を、アクチュエータ21および
22の支点を略中心として、3自由度をもって回転させ
る。各アクチュエータ21および22の回転は、支持構
造1に搭載された制御装置4によって制御される。各ア
クチュエータ21および22の詳細な構造については後
述する。
【0043】なお、図2に示される状態におけるロボッ
ト90の重心Oは、左右アクチュエータ21および22
の回転中心の中点A0よりも鉛直下方にある。
【0044】また、支持構造1には、加速度センサ5
1、角加速度センサ52、および人体検出用の焦電型赤
外線センサ53が搭載される。
【0045】さらに、支持構造1には通信装置7が配さ
れる。通信装置7は、ベースステーション91と情報の
送受信を行なう。
【0046】上述の制御装置4は、上述の加速度センサ
51および角加速度センサ52から送られる情報によっ
て、ロボット90の浮上の状態を検知する。
【0047】また、上述の通信装置7は、制御装置4の
有する情報をベースステーション91に送信する。さら
に、通信装置7は、ベースステーション91から指示信
号を受信する。
【0048】制御装置4は、ベースステーション91か
ら受信した指示信号に応じて、各アクチュエータ21お
よび22の動作パラメータを算出し、駆動を決定する。
【0049】さらに、支持構造1には、情報提示手段と
して、矢印標識8が配される。矢印標識8は、視認性を
考慮して、羽31または32が被情報提示者93からの
視線を遮ることのない、支持構造1の上部に配される。
【0050】上述の左右アクチュエータ21および2
2、制御装置4、センサ51〜53、および通信装置7
を駆動する電源は、電源6により供給される。電源6
は、2次電池であり、電極61を経由して供給される電
力によって充電される。また、電極61は、位置決めピ
ンの役割も兼ねる。そのため、ロボット90は、ベース
ステーション91の位置決穴(図示せず)に、所定の姿
勢で定位することが可能である。
【0051】なお、図2においては、電極61は、正極
および負極の2本のピンからなる構成であることが示さ
れているが、充電状態検出用などを含む、3本以上のピ
ンからなる構成であっても構わない。
【0052】次に、上述の支持構造1についてより詳細
に説明する。支持構造1は、機械的強度を確保した上で
十分軽量であることが望ましい。本実施の形態における
ロボット90の支持構造1では、略球殻状に整形したポ
リエチレンテレフタレート(PET)が用いられるもの
とする。
【0053】なお、支持構造1の下部に、接地の際転倒
せぬよう、支持脚が配されてもよい。また、支持構造1
の材料や形状は、飛行の性能を損なわないものであれ
ば、上述の材料や、図2に示された形状に限られるもの
ではない。
【0054】上述の如く、支持構造1の材料は、特に、
軽量で剛性が高いことが望ましい。そのため、例えば、
蟹や海老等の生物に使われているキトサンなどの有機物
と、シリカゲルなどの無機物とを、分子レベルでハイブ
リッド化した複合材料を用いることも考えられる。前記
複合材料を用いることにより、蟹や海老等の外骨格が備
える、軽くて丈夫であり、かつ、形状加工が容易である
という、生物が本来持っている最適な組成値をそのまま
支持構造1に転用することができる。また、上述の複合
材料は、環境に対しても害が少ないため望ましい材料で
ある。さらに、貝殻の材料である炭酸カルシウムを、前
述のキトサンに替えて用いることでも、剛性の高い支持
構造1を構築することができる。
【0055】また、アクチュエータ21および22、羽
31および32の配置、形状についても、図2に示され
る態様に限るものではない。
【0056】なお、本実施の形態では、ロボット90の
浮上の安定性を特に重要視して、すなわち、浮上時に自
然に図2に示した姿勢となるように、重心Oの位置を羽
31および32の力学的作用中心点(回転中心の中点A
0)の位置よりも下に位置させている。しかし、重心O
と力学的作用点(回転中心の中点A0)の位置とを一致
させる方が、ロボット90姿勢制御に必要な左右の羽3
1および32の流体力の差を最も小さくすることができ
るため、ロボット90の姿勢を容易に変更することがで
きる。よって、ロボット90の形態は、上述の、重心O
の位置を羽31および32の力学的作用中心点の位置よ
りも下に位置する形態に限定されず、本システムにおけ
る情報提示の目的によっては、上述の、重心Oと力学的
作用点の位置とを一致させる形態、すなわち、姿勢制御
の容易さを優先した設計を行なうことも考えられる。
【0057】次に、上述のロボット90の、羽31およ
び32の構成とその動作について、以下に説明する。
【0058】ここで、説明の簡便のため、図2における
座標系を定義する。まず、支持構造1の略中央を原点と
する。また、重力加速度の方向を下方向、その逆を上方
向とする。原点から上方に向かってz軸を定義する。
【0059】次に、右アクチュエータ21の形状中心と
左アクチュエータ22の形状中心を結ぶ方向を左右方向
とし、原点から左羽32に向かってy軸を定義する。ま
た、原点から、y軸とz軸との右手系における外積方向
にx軸を定義し、以後これを前方、その反対方向を後方
と称する。
【0060】また、図2には、ロボット90が、右羽3
1の右アクチュエータ21に対する力学的作用点A1
と、左羽32の左アクチュエータ22に対する力学的作
用点A2との中点A0から、重力加速度方向に下ろした
線上に本装置の重心Oが位置する状態であることが示さ
れている。本実施の形態においては、左アクチュエータ
のロータ229(図示せず)は略球状であり、左羽32
の主軸321の延長線上にこのロータ229の球心が位
置するように左羽32が配置される。左アクチュエータ
22に対する力学的作用点A2および主軸321の回転
運動の支点は、このロータ229の球心に一致する。な
お、右アクチュエータ21についても同様である。
【0061】以後、前述したx軸、y軸、z軸は図2に
示される状態において、支持構造1に対して固定され
た、本実施の形態のロボット90に固有の座標系である
ものとして説明を行なう。
【0062】一方、上述のロボット90の固定された座
標系に対して、空間に固定された任意の点を原点とする
空間座標として、x’軸、y’軸およびz’軸を定義す
る。これにより、ロボット90が移動する作業空間92
の座標は、上述のx’軸、y’軸およびz’軸のそれぞ
れの座標を用いて表され、ロボット90における固有の
座標は、x軸、y軸およびz軸のそれぞれの座標を用い
て表される。
【0063】次に、羽31および32の構造について説
明する。左羽32は、主軸321と、主軸321から枝
状に伸びた枝322とから構成される支持部材に、膜3
23を張ることで形成される。主軸321は、左羽32
において、前方よりの位置に配される。また、枝322
は、先に行くほど(主軸321から遠くなるほど)下方
を向く。さらに、左羽32は、上に凸状の断面形状を有
する。これによって、特に左羽32を打下ろす際に、左
羽32は、流体から受ける力に対して高い剛性を得る。
【0064】上述の主軸321と枝322とは、軽量化
のため、それぞれカーボングラファイトの中空構造であ
る。また、膜323は、その面内において収縮する方向
に自発的な張力を有し、左羽32全体の剛性を高める働
きを行なう。
【0065】なお、具体的に、本発明者らが実験に用い
た数値は、以下の数値である。左羽32の主軸321の
直径は、支持構造1に支持された根元の部分では100
μm、先端部では50μmであり、主軸321は根元か
ら先端部へ向かって細くなるテーパー形状である。ま
た、膜323の材質はポリイミドであり、膜323の大
きさは前後方向約1cm、左右方向約4cm、厚さは約
2μmである。
【0066】さらに、上述の具体的な左羽32の構成を
図示する。図3は、左羽32の構成の具体例を示す図で
ある。図3に示された左羽32は、説明のために主軸3
21はその太さが拡大されて示されている。図示されな
い右羽31は、xz平面を挟んで左羽32と鏡面対象に
なるように支持構造1に取付けられる。
【0067】なお、ここに示した羽31および32の形
状、材質等は具体例の1つであり、飛行の機能を実現す
る羽31および32の構成は、ここに示される形状、材
質等に限定されない。
【0068】次に、羽31および32の動作について、
左羽32を例に挙げて説明する。左アクチュエータ22
は、左羽32を回転3自由度で動かすことが可能であ
る。つまり、左羽32の駆動状態は、その姿勢で表わさ
れる。ここで、以後の説明の簡便のため、左羽32の姿
勢を、図2に示される状態に基づき、以下のように定義
する。図4および図5は、左羽32の姿勢を示すための
第1の図および第2の図である。
【0069】まず、図4に示すように、主軸321の回
転運動の支点(力学的作用点A2)と、x軸およびy軸
にそれぞれ平行な軸(//x、//y)とを含むxy平
面に平行な平面を基準として、点A2と左羽32の主軸
321の根元とを結ぶ線分がその平面となす角度を、羽
ばたきのストローク角θとする。また、主軸321の回
転運動の支点(力学的作用点A2)とy軸およびz軸に
それぞれ平行な軸(//y、//z)とを含むyz平面
に平行な平面を基準として、点A2と左羽32の主軸3
21の根元とを結ぶ線分がその平面となす角度を偏角α
とする。
【0070】このとき、ストローク角θはxy平面に平
行な平面より上方では正とし、下方では負とする。また
偏角αはyz平面に平行な平面よりも前方では正とし、
後方では負とする。
【0071】そして、図5に示すように、左羽32の主
軸321の根元における膜323の接平面p1が、点A
2を通りx軸と平行な軸(//x)と主軸321とを含
む平面p0となす角度を、ねじり角βとする。このと
き、ねじり角βは、主軸321の根元から先端に向かっ
て見たときに、時計回りを正とする。
【0072】次に、アクチュエータ21および22につ
いて説明を行なう。本実施の形態におけるアクチュエー
タ21および22については、トルクが大きいこと、往
復運動が簡単に実現できること、および構造が単純なこ
となどから、圧電素子(ピエゾ)を用いて発生した進行
波によって駆動する、一般的に超音波モータと呼ばれる
アクチュエータを用いる。
【0073】まず始めに、一般的な超音波モータについ
て検討を行なう。図6は、一般的な超音波モータ23を
示す図である。
【0074】図6を参照して、超音波モータ23は、図
6(a)に示される如く、下面に圧電素子230を貼付
けてあるアルミニウムの円盤231上に、突起232〜
237が円盤231の中心を重心とする正六角形をなす
ように6カ所配され、さらにこの圧電素子230の下面
には円周方向に12分割された電極238が配される構
造である。
【0075】さらに、超音波モータ23の構造の概略を
図6(b)に示す。12分割された電極238の各電極
は、1つおきに電気的に短絡されており、それぞれ、円
盤231を規準に電圧が印加される。すなわち圧電素子
230には、2相の異なる電圧が加えられる。この様子
を図6(c)に、ハッチングと黒塗りつぶしとに分けて
示す。このそれぞれに異なる時間的パターンで電圧を加
えることによって、円盤231上に進行波が発生し、突
起232〜237の先端が楕円運動を行なう。
【0076】なお、以上の、検討に用いた一般的な超音
波モータ23の、具体的な数値の例を挙げる。
【0077】超音波モータ23のトルクは、1.0gf
・cmで、無負荷回転速度は800rpmである。ま
た、その際の最大消費電流は20mAである。また、円
盤231の直径は8mm、突起232〜237の配され
ている間隔は2mmである。円盤231の厚さは0.4
mm、突起の高さは約0.4mmである。また、この場
合の圧電素子230の駆動周波数は341kHzであ
る。
【0078】上述の一般的な超音波モータ23を用い
て、ステータを構成することができる。このステータ
は、ステータ上に接触して配されたロータ239(図示
せず)を、上述の突起232〜237の先端の楕円運動
により搬送する。
【0079】本実施の形態におけるロボット90では、
上述のステータ部分を流用したアクチュエータ21およ
び22を用いる。
【0080】次に、図7は、右アクチュエータ21の構
成を示す図である。図7を参照して、右アクチュエータ
21は、図7(b)に示す如く、球殻状のロータ219
を、上述のステータと同様のステータ210とベアリン
グ211とで挟込んで保持する構造である。ただし、ス
テータ210のロータ219との接触部は、ロータ21
9表面と一致する形状に加工される。
【0081】なお、本実施の形態におけるロータ219
のサイズの具体例としては、外形3.1mm、内径2.
9mmの球殻で、表面に右羽主軸311が配される。ス
テータ210の突起のある面に向かって見て時計回り
(以後、これを正回転、この逆の回転を逆回転と呼ぶ)
にロータ219を搬送させる操作を行なうと、右羽主軸
311は図7(b)に示すθの方向に移動する。
【0082】さらに、上述のロータ219を3自由度で
駆動するために、上部補助ステータ212と下部補助ス
テータ213とをベアリング214、215と共にステ
ータ210、ベアリング211と同様に図7(a)に示
すように配する。本実施の形態においては、各補助ステ
ータ212,213の大きさの具体例としては、ステー
タ210の0.7倍である。
【0083】上述のステータの駆動方向は、必ずしも直
交していない。しかし、それぞれ独立した要素への回転
を与えるため、これらの運動の組合わせによって、ロー
タ219を3自由度で駆動することができる。
【0084】例えばロータ219に対して、上部補助ス
テータ212によって正回転を、下部補助ステータ21
3によって同じく正回転を与えれば、ロータ219はこ
の合成であるβ方向に回転する。また、上部補助ステー
タ212によって逆回転を、下部補助ステータ213に
よって正回転を与えれば、α方向に回転する。
【0085】なお、実際の駆動に際しては、回転中心の
異なる2つの回転を行なわせることは、摩擦によって効
率を低下させてしまう。そのため、例えば上部補助ステ
ータ212と下部補助ステータ213とをごく短時間周
期で交互に動作させ、その間、動作していないステータ
の突起はロータ219に接触しない、等の駆動方法を行
なうことが望ましい。これは、ステータの電極全てに、
圧電素子の収縮方向に電圧を印加することで、特別に構
成要素を付加することなく実現することができる。
【0086】また、実際の圧電素子の駆動周波数が30
0kHz以上と、せいぜい100Hz程度である羽ばた
き周波数に比べて十分高速であるので、交互にアクチュ
エータ21を動作させても、実質上なめらかな動きを右
羽主軸311に与えることができる。
【0087】以上により、上述の検討に用いた一般的な
超音波モータ23と同等の特性を有する、3自由度を備
えるアクチュエータ21および22が構成される。
【0088】なお、上述のステータの発生する進行波の
振幅がサブミクロンオーダであるため、上述のロータ2
19は、このオーダの真球度であることが要求される。
民生用の光学製品に用いられている放物面鏡の加工精度
は数10nmであり、また、光学干渉計に用いられる光
学部品の加工精度は数nm程度であることから、このよ
うなロータは現在の加工方法、技術で作成することが可
能である。
【0089】なお、これは本発明における3自由度の運
動を羽31および32に与えるアクチュエータ21およ
び22を超音波モータで構成した具体例の1つに過ぎ
ず、各構成要素の配置、サイズ、材質、および駆動方法
等は、羽ばたき飛行に要求される物理的機能、例えばト
ルク等が実現できるならこの限りではない。
【0090】また、言うまでもなく、羽31および32
の駆動機構や、羽31および32の駆動に用いるアクチ
ュエータ21および22の種類についても、特に上述に
限定されるものれはない。たとえば特開平5−1695
67号公報に開示されているような、外骨格構造とリニ
アアクチュエータとを組合わせて用いた羽ばたき機構等
であっても、上述のアクチュエータ21および22と等
価な羽31および32の動作を実現できる。
【0091】また、駆動エネルギーとして電力を用いた
が、内燃機関を用いることも可能である。さらに、昆虫
の筋肉に見られるような、生理的酸化還元反応により、
化学的エネルギーを運動エネルギーに変換するアクチュ
エータを用いることも可能である。例えば、昆虫から採
取した筋肉をリニアアクチュエータとして用いる方法
や、虫の筋肉のタンパク質のアミノ酸と無機物とを材料
として分子レベルでこれらを複合化させて作った複合材
料の人工筋肉をリニアアクチュエータとして用いる、等
の方法がある。
【0092】さらに、基本的な駆動力を上述の内燃機関
等のエネルギー効率の高いアクチュエータで得て、これ
らの制御もしくは補助として電力で駆動するアクチュエ
ータを用いる手法も可能であることは言うまでもない。
【0093】次に、ロボット90の浮上方法について説
明を行なう。なお、ここでは、羽31および32が流体
から受ける力を流体力と呼ぶこととする。また、説明の
簡便のため、空気の流れはがはばたきによってのみ起こ
る状態、すなわち無風状態であるものと仮定して説明す
る。さらに、説明の簡便のため、ロボット90に及ぼさ
れる外力は、羽31および32に流体から作用する力、
すなわち、流体力と重力とのみであるものとする。
【0094】ロボット90が恒常的に浮上するために
は、1回の羽ばたき動作の間で、平均して、 (羽にかかる上方向の流体力の総和)>(ロボット90
にかかる重力) であることが必要である。
【0095】ここでは、昆虫の羽ばたきを単純化した羽
ばたき方である、打下ろし時の流体力を打上げ時の流体
力よりも大きくする方法について説明する。説明の簡便
のため、流体の挙動もしくはそれが羽31および32に
及ぼす力については、その主要成分を挙げて説明する。
また、この羽ばたき方によりロボット90に作用する浮
上力と重力との大小については後述する。
【0096】羽31および32には、羽31および32
が運動する方向と逆方向の流体力が作用する。そのた
め、羽31および32の打下ろし時には羽31および3
2に上向きの流体力が作用し、打上げ時には羽31およ
び32に下向きの流体力が作用する。そこで、打下ろし
時に流体力を大きくし、打上げ時には流体力を小さくす
ることで、1回の羽ばたき動作(打下ろし動作と打上げ
動作とをまとめて羽ばたき動作と言う)の間で時間平均
すると上方向の流体力が得られることになる。
【0097】そのためには、まず、打下ろし時に、羽3
1および32が移動する空間の体積が最大になるように
打下ろせば、羽31および32にほぼ最大の流体力が作
用する。これは、羽31および32の接平面と略垂直に
羽31および32を打下ろすことに相当する。
【0098】一方、打上げ時に、羽31および32が移
動する空間の体積が最小になるように打上げれば、羽3
1および32に及ぼされる流体力はほぼ最小となる。こ
れは、羽31および32の断面の曲線にほぼ沿って羽3
1および32を打上げることに相当する。
【0099】このような羽31および32の動作につい
て、図8および図9を用いて、例として左羽32につい
て説明を行なう。図8および図9は、左羽32の、主軸
321に垂直な第1および第2の断面図である。図8は
左羽32の移動する空間の体積が最大になるように打下
ろした場合を示す図であり、図9は左羽32の移動する
空間の体積が最小になるように打上げた場合を示す図で
ある。
【0100】図8および図9では、移動前の左羽32の
位置は破線で示され、移動後の左羽32の位置は実線で
示されている。また、左羽32の移動方向が一点鎖線の
矢印によって示されている。図8および図9において太
線矢印に示される如く、流体力は左羽32の移動方向と
は逆向きに左羽32に作用する。
【0101】このように、打上げ時における左羽32が
移動する空間の体積が、打下ろし時における左羽32が
移動する空間の体積よりも大きくなるように、左羽32
の姿勢を左羽32の移動方向に対して変化させること
で、1回の羽ばたき動作の間の時間平均において、左羽
32に作用する上方向の流体力を、ロボット90に作用
する重力よりも大きくすることができる。
【0102】本実施の形態のロボット90では、羽31
および32のねじり角βが制御可能である。そのため、
ねじり角βを時間的に変化させることによって、上述の
羽31および32の運動が実現される。
【0103】具体的には、図10〜図13に示される左
羽32の羽ばたき動作に沿って、以下のステップS1〜
S4の説明を行なう。図10〜図13は、左羽32の羽
ばたき動作のステップS1〜ステップS4を示す図であ
る。
【0104】まず、図10を参照して、ステップS1で
は、左羽32の打下ろしが行なわれる。そのとき、左羽
32のストローク角θは、+θ0から−θ0に変化す
る。
【0105】次に、図11を参照して、ステップS2で
は、左羽32の第1の回転動作が行なわれる。このと
き、左羽32のねじり角βは、β0からβ1に変化す
る。
【0106】また、図12を参照して、ステップS3で
は、左羽32の打上げ(ストローク角θ=−θ0→ +
θ0、ねじり角β=β1→β2が行なわれる。このと
き、左羽32の曲面に沿った運動を行ない流体力を最小
限にとどめるために、左羽32のストローク角θは−θ
0→から+θ0に変化し、ねじり角βはβ1からβ2に
変化する。
【0107】さらに、図13を参照して、ステップS4
では、左羽32の第2の回転動作が行なわれる。このと
き、左羽32のねじり角βは、β2からβ0に変化す
る。
【0108】上述の、ステップS1およびステップS3
において左羽32に作用する流体力を時間平均すると、
上述のように左羽32の移動する空間の体積の違いか
ら、上向きの流体力となる。なお、この上向きの流体力
の鉛直成分と重力との大小関係については後述する。
【0109】なお、言うまでもなく、ステップS2およ
びS4においても、左羽32に作用する流体力の時間平
均は、上向きの流体力であることが望ましい。
【0110】ここで、ロボット90の羽31および32
では、図10〜図13に示す如く、羽31および32の
前縁近傍に、羽31および32の回転中心(主軸321
部分)が位置する。つまり、主軸321から羽32の後
縁までの長さの方が主軸321から羽32の前縁までの
長さよりも長い。このため、図11および図13に示す
ように、羽32の回転動作においては、羽32の回転方
向に沿って生じる流体の流れに加えて、主軸321から
羽32の後縁に向かう方向に沿って流体の流れが生じ
る。
【0111】そして、羽31および32には、このよう
な流体の流れの反作用として、それぞれの流れの向きと
は逆向きの力が作用して、図11に示すステップS2で
は実質的に上向きの流体力が左羽32に与えられ、図1
3に示すステップS4では主に下向きの流体力が左羽3
2に与えられる。
【0112】さらに、図12に示すステップS3では、
左羽32の断面の曲線に沿うように左羽32のねじり角
βをβ1からβ2に変化させながら打上げ動作が行なわ
れる。また、図11に示すステップS2における左羽3
2の回転角は、図13に示すステップS4における左羽
32の回転角よりも大きい。これにより、ステップS2
およびステップS4においても、左羽32に上向きに作
用する流体力が下向きに作用する流体力に打勝って、時
間平均すると上向きの流体力が左羽32に作用する。
【0113】なお、図10〜図13では、それぞれのス
テップS1〜S4における左羽32の移動前の姿勢が波
線で示され、移動後の姿勢が実線で示されている。ま
た、各ステップS1〜S4における左羽32の移動方向
が一点鎖線の矢印によって示されている。また、各ステ
ップS1〜S4において主に発生する流体の流れが実線
の矢印によって示されている。
【0114】次に、ストローク角θおよびねじり角βの
時間変化について図14に示す。図14は、ストローク
角θおよびねじり角βの値を時間の関数として表した図
である。ただし、図14では、ストローク角θ、および
ねじり角βのそれぞれの縦軸の比率は異なっている。
【0115】なお、具体的に、本発明者らが実験に用い
た数値は、以下の数値である。θ0は60°である。β
0は0°である。β1は−120°である。β2は−7
0°である。
【0116】さらに、上述の説明においては、説明の簡
便のためステップS1〜S4は独立した動作として記述
したが、ステップS1において左羽32を打下ろしなが
ら左羽32のねじり角を大きくするような動作も可能で
ある。また、上述した例は、最も近似的な考察から説明
されるものであり、実際に浮上可能な羽ばたき方法は上
述の例に限られるものではない。
【0117】また、ここでは左羽32について説明した
が、右羽31についてもxz平面に関して鏡面対称に左
手系に基づいてストローク角θ、偏角α、およびねじり
角βを定義すれば同一の議論が成立つ。以下、羽31お
よび32に作用する上向きの流体力を浮上力とし、羽3
1および32に作用する前向きの流体力を推進力とす
る。
【0118】次に、本実施の形態におけるロボット90
に任意の運動を行なわせるための制御手法について説明
を行なう。ここでは、本実施の形態におけるロボットの
左羽32については右手系に基づくストローク角θ、偏
角αおよびねじり角βを用い、そして、右羽31につい
てはxz平面に対して鏡面対称の左手系に基づくストロ
ーク角θ、偏角αおよびねじり角βを用いて羽の姿勢を
示す。
【0119】上述の如く、羽ばたきによる浮上移動は、
羽にかかる流体力によって行われる。そのため、羽の運
動により、ロボット90に与えられる加速度と角加速度
とが直接制御される。
【0120】まず、Sを目標とする浮上状態と現在の浮
上状態との差異とする。T(S)を浮上状態から加速度
および角加速度への変換を表わす関数とする。sを加速
度および角加速度とする。Fα(s)を加速度センサ5
1および角加速度センサ52のセンサ応答を含めた制御
アルゴリズムを表わす関数とする。sαをアクチュエー
タ制御量とする。Gw(sα)をアクチュエータ21お
よび22と羽31および32との応答を表わす関数とす
る。Swを羽31および32の運動とする。Gfs(s
w)を羽31および32の運動によりロボット90に及
ぼされる加速度もしくは角加速度Seを表わす関数とす
る。Seがこの一連のプロセスにより行なわれる浮上状
態の変更とする。そのとき、入力Sより出力Seが得ら
れるプロセスは、図15に示す如くなる。図15は、羽
ばたき動作制御における応答を示す図である。
【0121】さらに、図15を参照して、実際には、羽
31および32と流体との慣性力により、現在までの羽
31および32の運動Rwと、流体の運動の時刻歴に依
存する影響Rfsとが、GwとGfsとに加わる。
【0122】なお、上述の方法以外にも、Fα以外の全
ての関数を正確に求め、これよりS=Seとなる制御ア
ルゴリズムFαを算出する手法もありうる。しかし、こ
の手法においては、ロボット90周囲の流体の流れと羽
31および32の運動の時刻歴とが必要であり、膨大な
データ量と演算速度とが必要となる。また、流体と構造
との連成した挙動は複雑で、多くの場合カオティックな
応答になってしまう。そのため、この手法は実用的でな
い。そこで、予め基本的な動作パターンを用意し、目標
とする浮上状態を分割して、これら基本動作パターンを
時系列に組合わせて実現する手法が簡便で望ましい。
【0123】物体の運動にはx方向、y方向、z方向3
自由度の並進自由度とθx方向、θy方向、θz方向3
自由度の回転自由度、つまり6自由度が存在する。すな
わち前後、左右、上下、そしてこれらの方向を軸とする
回転である。
【0124】このうち、左右への移動は、θz方向の回
転と前後方向への移動とを組合わせて行なうことができ
る。そこで、ここでは、上下方向すなわちz軸方向への
並進動作、前後方向すなわちx軸方向への並進移動、お
よびx軸y軸z軸周りの回転動作について、それぞれそ
の実現方法を説明する。
【0125】(1)上下方向(z軸方向)の動作 羽31および32が移動することで、羽31および32
が流体から受ける力は羽31および32の移動速度に依
存する。そのため、羽31および32に及ぼされる上向
きの流体力を大きく(小さく)するには、 A:ストローク角θの振幅を大きく(小さく)する B:羽ばたき周波数を大きく(小さく)する 等の方法がある。これらの方法によってロボット90は
上昇(下降)することができる。ただし、流体力には負
の値も含まれる。
【0126】なお、これらの手法によれば、羽31およ
び32が流体から受ける流体力そのものが大きくなる。
そのため、羽31および32が流体力を上下方向以外か
ら受けることによって、羽31および32の力学的支点
A1およびA2に羽31および32から上下方向以外の
力が及ぼされている際には、上昇と共に、その方向への
この支点A1およびA2にかかる力の増加も伴なう。例
えば、前方に略等速直線運動を行なっている際に羽ばた
き周波数を大きくすると、ロボット90は速度増加を伴
なって上昇する。このように、現時点での羽ばたき方に
よって、副次的にこのような他の運動を伴なうが、以
後、特に断らない限り、停空状態からの制御について説
明する。
【0127】また、羽31および32のねじり角βを変
えて、羽31および32が移動する空間の体積を変化さ
せることによっても浮上力は変化する。例えば、打上げ
時における羽31および32が移動する空間の体積がよ
り大きく、もしくは、打下ろし時における羽31および
32が移動する空間の体積がより小さくなるようなねじ
り角βとすることで、羽31および32に作用する上向
きの流体力の時間平均は小さくなる。実際には、羽31
および32は剛体でなく変形を伴なうため、同一のねじ
り角βによっても羽31および32が移動する空間の体
積は変化する。しかし、第一原理的には、羽31および
32の移動する方向に垂直なねじり角βが最も大きくな
る、羽31および32が移動する空間の体積を考える。
また、羽31および32が移動する方向に平行なねじり
角βが最も小さくなる、羽31および32が移動する空
間の体積を考える。
【0128】なお、この場合、副次的に、羽ばたきと垂
直方向にも流体力が作用する。そのため、この垂直方向
の流体力が制御上支障を生じるレベルである場合は、こ
れを打消す羽31おおよび32の動きを付加する必要が
ある。最も単純には、偏角αの変更により実現できる。
【0129】また、前記のステップS2もしくはステッ
プS4において、羽31および32の回転角速度を変化
させることによっても、z軸方向の動作を行なうことは
可能である。例えば、ステップS2において羽31およ
び32の回転角速度(−dβ/dt)を大きくすると、
この回転によって生じる流体の下方向への流速が大きく
なるため、この反作用によって羽31および32に作用
する上向きの流体力は大きくなる。
【0130】なお、上述の場合、ロボット90に及ぼさ
れる、羽31および32の主軸311および321を回
転軸とするトルクが、副次的に変化する。よって、この
変化が制御上支障のない範囲内で、この回転角速度変化
を行なうことが望ましい。
【0131】また、この場合、ロボット90に及ぼされ
る、前後方向への力も副次的に変化する。よって、この
変化が制御上支障を来たす場合は、(2)として後述す
る前後方向への力の制御も同時に行なうことが望まし
い。
【0132】(2)前後方向(x軸方向)への動作 前述した羽ばたき方法では、主にステップS2およびス
テップS4にて、x方向正の向きへの流体力が羽31お
よび32に作用する。したがって、この羽31および3
2の動かし方においては、前進を伴なって浮上する。
【0133】また、打下ろしの際に、偏角αを増加して
羽31および32を前方に移動させることで、羽31お
よび32には後向きの流体力が作用することになる。し
たがって、打下ろしの際、すなわちステップS1におけ
る偏角αを制御して、ステップS1における羽31およ
び32に作用する後向きの流体力を、他の(主にステッ
プS2とステップS4における)前向きの流体力よりも
大きくすれば後退し、小さくすれば前進することができ
る。また、この後向きの流体力と前向きの流体力とがほ
ぼ釣合えば、前後方向に静止することができる。
【0134】特に、ロボット90が前後方向に静止して
おり、左右の羽31および32が略対象な運動を行な
い、重力とロボット90における浮上力とが釣合ってい
るならば、ホバリング状態が実現できる。
【0135】なお、偏角αの変更に伴ない、副次的に、
羽31および32に及ぼされる流体力の鉛直方向成分が
変化する。そのため、この流体力の鉛直方向成分が制御
上支障を生じるレベルである場合には、これを打消す羽
31および32の動きを付加する必要がある。これは主
に前述(1)の上下方向の動作によって行なうのが簡便
である。
【0136】さらに、前述したステップS2およびステ
ップS4において、羽31および32の回転動作の角速
度を大きくすると前向きの流体力が増加し、小さくする
と減少する。これによっても前後方向への動作を変化さ
せることができる。
【0137】また、(1)に述べた羽31および32の
ねじり角βの変更に伴なう副次的な流体力のうち、x軸
方向成分を利用する手法を用いることもできる。つま
り、打下ろし時に、ねじり角β>0なら前方向への力が
働き、ねじり角β<0なら後ろ方向への力が働く。
【0138】なお、打上げ時のねじり角β、偏角α、お
よびストローク角θの関係は、ある程度拘束されている
が、以上の流体力の制御は、ステップS3においても可
能である。
【0139】(3)z軸を回転軸とする回転動作 (2)において述べた前後方向への制御を、左羽32と
右羽31について個別に行ない、これを異ならせること
で、ロボット90にトルクを与えることができる。
【0140】すなわち、右羽31の前向きの流体力を、
左羽32のそれに対して高くすれば、ロボット90はx
軸正の向きに向かって左方向を向き、低くすれば同じく
右方向を向く。これによって、z軸を回転軸とする回転
動作を行なうことができる。
【0141】(4)x軸を回転軸とする回転動作 (3)と同様に、右羽31の上向きの流体力を、左羽3
2のそれに対して大きくすれば右側が持上がり、小さく
すれば左側が持上がる。これによって、x軸を回転軸と
する回転動作を行なうことができる。
【0142】(5)y軸を回転軸とする回転動作 (2)に述べた、羽31および32のねじり角βの角速
度変更によって、ロボット90にかかるy軸周りのトル
クを変化させることができる。これにより、y軸を回転
軸とする回転動作を行なうことができる。例えば、ステ
ップS1におけるねじり角βの回転角速度を大きくする
と、ロボット90は機首を下げ、逆に小さくすると機首
を上げる。
【0143】(6)ホヴァリング(停空飛翔) ロボット90を停空させる際のストローク角θ、偏角
α、およびねじり角βと時間との関係を、図16に示
す。図16は、ロボット90を停空させる際のストロー
ク角θ、偏角α、およびねじり角βの値を、時間の関数
として表わした図である。ただし、図16においては、
それぞれの角度の縦軸の比率は異なっている。
【0144】なお、具体的に、本発明者らが実験に用い
た数値は、以下の数値である。θ0は60°である。β
0は−10°である。α1は30°である。β1は−1
00°である。β2は−60°である。
【0145】さらに、上述の(1)および(2)に示さ
れた動作においての、各ステップS1〜S4における左
羽32の運動と、それにより左羽32の力学的支点A2
に生じる加速度および角加速度とを図17に示す。図1
7は、羽31および32の制御とそれによりもたらされ
る動作とを対応付ける図である。図17においては、各
ステップS1からS4における左羽32の運動ごとに、
左羽32の力学的支点A2に生じる加速度および角加速
度とを丸印で示す。ただし、左右の羽31および32の
運動の非対称によって起こすことができるため、
(3)、(4)に示すx軸、z軸を回転軸とする回転動
作については省略する。
【0146】次に、本実施の形態におけるロボット90
に任意の運動を行なわせるための制御方法を決定する手
法について説明を行なう。
【0147】ロボット90の現在の浮上状態は、ロボッ
ト90に搭載された加速度センサ51や角加速度センサ
52が取得した値を適宜変換した値を用いて求められ
る。例えば、速度は、加速度を時間積分した値に速度の
初期値を加えることで求められる。また、位置は、速度
を時間積分した値に位置の初期値を与えることで求めら
れる。当然、浮上状態に、浮上状態の時刻歴を含む手法
を用いることもできる。
【0148】制御装置4は、現在のロボット90の浮上
状態と、目的とする浮上状態とから、ロボット90の動
作を決定する。この制御は、3次元で行なわれる点以外
は従来から行なわれている制御手法を適用することがで
きる。
【0149】ロボット90の動作は、制御装置4にて、
アクチュエータ21および22の駆動に変換される。
【0150】この変換には、テーブル参照、もしくはそ
の補完を用いる方法が高速である。例えば、図18は、
基本となる動作と、それを実現するアクチュエータ21
および22の駆動の組合わせとを定めるテーブルであ
る。図18に示されるテーブルを予め用意することで、
ロボット90の動作が、制御装置4にて、アクチュエー
タ21および22の駆動に変換される。なお、図18の
左端列は、目的とする動作である。また、羽ばたきにお
けるAおよびBは、Aは前進時の羽ばたき方、Bは停空
時の羽ばたき方である。より具体的には、それぞれ図1
4および図16に示される、偏角α、ねじり角β、およ
びストローク角θの時刻歴を、時間的に離散化したもの
である。制御装置4は、ロボット90の動作から、この
駆動もしくはその補完した駆動を、図18に示されるテ
ーブルより算出する。
【0151】なお、ここでは説明のため、まずロボット
90の動作を算出し、これをアクチュエータ21および
22の駆動に変換するという手法を用いたが、浮上状態
から直接アクチュエータ21および22の駆動を選択す
る手法を用いてもよい。
【0152】例えば、定位制御を行なう場合、現在位置
と目標位置との差によって、上述したアクチュエータ2
1および22の駆動のいずれか、もしくはそれを補完し
た駆動を直接算出する手法であってもよい。
【0153】また、言うまでもなく、ロボット90の浮
上状態を表わす物理量は、上述の位置、速度、加速度等
に限定されるものではない。また、言うまでもなく、ア
クチュエータ21および22の駆動を決定する手法は、
この態様に限らない。
【0154】次に、本実施の形態におけるロボット90
の構成で浮上が可能な条件について、以下に述べる。
【0155】本発明者らの実験環境では、アクチュエー
タ21および22として進行波アクチュエータを用い
た。この進行波アクチュエータによれば、ステータ21
0は超音波モータ23と同等であるので、θ方向の羽ば
たきに関してはトルク1.0gf・cmである。
【0156】そこで、本発明者らはシミュレーションに
よりこのトルクで羽ばたいた際の流体力を算出した。以
下にその際の値を、具体例として挙げる。
【0157】羽31および32は、アクチュエータ21
および22から離れる方向が長辺で、長辺4cm、短辺
1cmの矩形であるものとする。なお、羽31および3
2の変形は無視する。また、幅8mm、長さ33mmの
トンボの羽が約2mgであったので、これにならい、羽
31および32の質量は3mgとする。
【0158】さらに、超音波モータ23は、突起先端2
32〜237の微小な楕円運動の累積によってロータを
駆動するため、実際の駆動トルクの立上がりおよび立下
がりは、楕円運動の周期オーダ、すなわち10の5乗ヘ
ルツオーダーである。しかし、計算の安定性からの制約
上、±250gf・cm/secとする。すなわち、ト
ルクは0.004秒に1gf・cm上昇する。
【0159】この羽31および32を、一方の短辺を、
この辺を回転軸とする回転自由度のみ残して固定し、こ
の回転自由度にトルクを与える。図19は、回転軸にか
かる反力を、上述の具体的な数値を用いて算出した結果
を示す図である。ただし、偏角α=0(度)、ねじり角
β=0(度)である。
【0160】図19を参照して、時刻0秒において羽3
1および32は水平、すなわちストローク角θ=0
(度)である。ここから時刻0.004秒までの間にト
ルクを1gf・cmまで直線的に向上させ、0.004
秒から0.01秒まで1gf・cmを保つ。そして時刻
0.01秒から0.018秒までの間にトルクを1gf
・cmから−1gf・cmまで直線的に変化させ、同
0.018秒から0.03秒までは−1gf・cmを保
ち、同0.03秒から0.038秒までの間に再び1g
f・cmへと直線的に変化させる。
【0161】これにより得られた接点反力を、打下ろし
の間、すなわちトルクが負である時間である時刻0.0
14秒から時刻0.034秒までの間で平均すると約
0.29gfである。
【0162】以上のシミュレーションは、1自由度のは
ばたき動作の結果であるため、打上げ時における流体力
の作用は不明である。しかし、断面積に比して流体の抵
抗は減少するので、打上げ時に働く下向きの支点反力を
小さくし、かつ、打下ろし時と同じトルクで打上げるこ
とが可能なため、打上げに要する時間は打下ろしに要す
る時間より遙かに短い。すなわち、打上げの際の力が作
用する時間は短いこと、また打下ろし以外にも羽31お
よび32の回転などを用いて浮上力が更に得られること
から、トルク1gf・cmのアクチュエータ21および
22を用いて、0.29g程度の質量を浮上させること
は可能であると言える。すなわち、本実施の形態におけ
る装置(ロボット90)全体の質量が0.58g以下で
あれば、浮上させることが可能である。以下、上述の具
体的な数値を用いて、ロボット90の重量について検討
する。
【0163】まず、ステータ210の質量は、電極と圧
電素子とが薄いため、比重2.7、厚さ0.4mm、半
径4mmの円盤と同等であり、0.054gである。
【0164】また、補助ステータ212および213の
重量は、ステータ210の直径が0.7倍であることか
ら0.019gである。
【0165】3つのベアリング211,214,215
はいずれも外形4.2mm、内径3.8mm、厚さ0.
4mmのドーナツ状のボールベアリングである。材質
は、比重4.8のチタンで、約30%の空隙があるた
め、ベアリング211,214,215の質量は約0.
013gである。
【0166】また、ロータ219は、材質がアルミで壁
央半径3mm、厚さが0.2mmであるため、質量は約
0.061gである。
【0167】これらの総和から、アクチュエータ21の
質量は0.192gである。また、右羽31の質量は、
前述の通り0.003gである。
【0168】以上の構成が左右計2つあるので、質量の
和は0.390gである。また、本発明者らが採用し
た、図1に示す支持構造1は、直径1cm、比重0.
9、厚さ0.1mmの球体であるので、支持構造1の質
量は約0.028gである。
【0169】また、本発明者らが採用した制御装置4、
通信装置7、加速度センサ51、および角加速度センサ
52はそれぞれ、5mm×5mmの半導体ベアチップ
で、各質量は約0.01gである。すなわち、これらの
質量の総和は0.04gである。
【0170】また、本発明者らが採用した電源6の重量
は0.13gである。以上、ロボット90の全ての構成
要素の重量の合計は、0.579gとなる。そのため、
上述の如く、1対の羽31および32で浮上力0.58
gfを得るので、ロボット90は、この構成で浮上する
ことが可能である。
【0171】次に、通信装置7について説明する。通信
装置7は、送信機能を備え、各種センサの測定値を送信
する。これによりベースステーション91が、ロボット
90の情報を得ることができる。
【0172】より具体的には、ベースステーション91
は、加速度センサ51から得たロボット90の加速度情
報と、および角加速度センサ52から得たロボット90
の角加速度情報とを得ることができる。実際には、これ
らを積分して得られる速度情報および加速度情報を更に
積分して得られる位置情報および姿勢情報を得る方が、
通信のトラフィックが効率的である。そのため、本実施
の形態においては、上述の位置情報および姿勢情報を得
る手法を用いる。なお、上述の積分演算は、制御装置4
が行なう。
【0173】また、通信装置7は、受信機能を備え、ベ
ースステーション91より制御信号を受信する。これに
より、ベースステーション91は、ロボット90に対し
て制御を行なうことができる。
【0174】なお、本実施の形態においてはここに例示
した情報を送受信するものとして以後の説明を行なう
が、もちろん、送受信すべき情報は上述に限定されな
い。例えば、ベースステーション91より発せられた制
御信号を、ロボット90が正しく受信したか否か確認す
る応答信号等を送受信することも可能である。
【0175】次に、制御装置4について、図1および図
18を用いて説明する。図1に示すとおり、制御装置4
は、演算装置41とメモリ42とからなる。
【0176】上述の演算装置41は、通信装置7を経
て、ロボット90において各種センサによって得られた
情報を送信する機能を有する。
【0177】また、上述のメモリ42は、上述の、送受
信されたデータを保持する機能を有する。
【0178】本実施の形態においてはより具体的に、演
算装置41は加速度センサ51および角加速度センサ5
2からの情報によりロボット90の加速度および角加速
度を算出する。続いて、これを積分演算することによっ
てロボット90の速度および角速度を算出し、さらにこ
れらを積分演算することによりロボット90の位置と姿
勢とを算出する。そして、演算装置41は、適宜、通信
装置7を経由して、ベースステーション91に、上述の
ロボット90の位置と姿勢との情報を送信する。また、
ベースステーション91からは、現在ロボット90の到
達すべき位置と姿勢との情報が送信される。ロボット9
0は、これを通信装置7を経て受信する。そして、演算
装置41は、この受信された位置と姿勢とに定位すべ
く、それに適した加速度と角加速度とを算出し、この加
速度と角加速度とより各アクチュエータ21および22
の動作パラメータを決定する機能を有する。
【0179】さらにより具体的には、演算装置41は、
ロボット90に与えられるべき代表的な加速度と角加速
度との組合わせに対応した偏角α、ねじり角β、および
ストローク角θの時系列値をテーブルとして有し、これ
らの値、もしくはその補間値を各アクチュエータ21お
よび22の動作パラメータとする。なお、偏角α、ねじ
り角β、およびストローク角θの時系列値とは、例えば
加速度、角加速度共に0であるホバリングの場合は、図
19にグラフで示される値を離散化したものである。
【0180】なお、ここに挙げる偏角α、ねじり角β、
およびストローク角θは、制御パラメータの一例であ
り、説明の簡便のためこれらのパラメータを指定するこ
とでアクチュエータ21および22が駆動されることを
前提に記述している。しかし、例えば、より直接的にこ
れらを実現する各アクチュエータ21および22の駆動
電圧や制御電圧に変換したものを用いる手法の方がより
効率的である。これらは既存のアクチュエータ制御方式
と特に異なるものではないので、ここでは代表的なパラ
メータとして偏角α、ねじり角β、およびストローク角
θを挙げている。なお、同等の機能が実現できる手法で
あれば、本実施の形態に限るものではない。
【0181】さらに、制御装置4の機能は上述の機能に
限定されるものではなく、他の機能を付加することは、
到達すべき位置および姿勢への定位に支障を来さない限
り可能である。
【0182】またさらに、飛行制御は時間的に連携する
ものであるので、羽31および32の動作の時刻歴を、
制御装置4におけるメモリ42に記憶させておき、ベー
スステーション91からの制御信号を、この時刻歴情報
によって補正する手法を用いることも可能である。
【0183】また、ロボット90の浮上移動を優先する
場合、通信の帯域から送信不可能なデータが発生するこ
とも考えられる。また、通信が途絶する場合も考えられ
る。これらをはじめとして、重量の増加が浮上移動に障
害をもたらさない範囲内ならば、メモリ42を搭載する
ことは有効である。また逆に、演算装置41におけるレ
ジスタの類をのぞき、ロボット90の機能によっては、
メモリ42は明示的に必須ではない。
【0184】なお、以上の構成は、ベースステーション
91の指定した位置および姿勢へのロボット90の定位
という機能を実現するための構成の一例であるので、同
等の機能が実現されるなら、上述の構成に限るものでは
ない。
【0185】次にロボット90の駆動エネルギー源、す
なわち電源6について説明する。ロボット90の左右ア
クチュエータ21および22、制御装置4、およびセン
サ51〜53を駆動する電力は、電源6により供給され
る。
【0186】本実施の形態における電源6は、リチウム
イオンポリマーを電解質とする。そこで、リチウムイオ
ンポリマーを、支持構造1に封入しておけばよい。これ
により液漏れを防ぐための余分な構造が不要であり、実
質的なエネルギー密度を高めることができる。
【0187】なお、現在市販されているリチウムイオン
二次電池の一般的な質量エネルギー密度は150Wh/
kgである。本実施の形態におけるアクチュエータ21
および22での消費電流は最大40mAであるので、電
源6の電解質重量を約0.1gとすると、本実施の形態
のおいては約7.5分の飛行が可能である。
【0188】また、本実施の形態における左右のアクチ
ュエータ21および22の最大消費電流は合計40mA
である。また、電源電圧は3Vである。そのため、電源
6の電解質重量が0.1gであるので、0.12W/
0.1g、つまり1200W/kgの重量パワー密度を
持つ電源6の実現が求められる。ここで、市販品で実現
されているリチウムイオンポリマー二次電池の重量パワ
ー密度は約600W/kgであるが、これは携帯電話等
の情報機器に用いられている、10g以上の製品におけ
る電池の重量パワー密度の値である。一般に、電解質質
量に対する電極面積の比はサイズに反比例するので、本
実施の形態における電源6は、前出の情報機器などに用
いられている二次電池の10倍以上の電極面積比を持つ
ため、10倍程度の質量パワー密度が達成可能であり、
冒頭の質量パワー密度は十分達成可能である。
【0189】なお、これらの仕様を満たすエネルギーが
供給可能で、かつ、ロボット90が到達すべき位置およ
び姿勢への定位に支障を来さないならば、駆動エネルギ
ー供給は、上述の種類および手法に限定されない。例え
ば、他のエネルギー源の種類としては、太陽電池、燃料
電池、原子力などの使用も可能である。
【0190】また、アクチュエータの種類によっては、
駆動エネルギーは電気的エネルギーに限定されないこと
は言うまでもない。
【0191】さらに、アクチュエータ21および22の
駆動エネルギーを、外部から供給する方法を用いること
もできる。例えば、電力エネルギーを外部から供給する
媒体については、温度差および電磁波等が挙げられ、こ
れを駆動エネルギーに変換する機構としてはそれぞれ熱
電素子およびコイル等が挙げられる。
【0192】なお、異なる種類のエネルギー源を混載す
る手法を用いることもできる。電力以外のエネルギー源
を用いる場合、基本的には、制御は制御装置4からの電
気的信号を用いることになると考えられる。
【0193】次に、ロボット90に搭載される各センサ
51〜53について説明する。加速度センサ51は支持
構造1の3自由度並進加速度を、角加速度センサ52は
支持構造1の3自由度回転角加速度を検出する。
【0194】焦電型赤外線センサ53は、ロボット90
の前方にその検出領域が向くように配されており、ロボ
ット90の提示情報を受けられる範囲の、被情報提示者
93の存在を検出する。これらのセンサ51〜53の検
出結果は、制御装置4に送られる。
【0195】なお、本発明者が用いた加速度センサ51
の帯域の具体的な数値としては、帯域40Hzである。
当然、加速度センサ51や角加速度センサ52の帯域
は、高ければ高いほど時間的に緻密な制御が可能である
が、ロボット90の浮上状態の変更は、1回以上の羽ば
たきの結果起きるものであると考えられるので、現在市
販されている帯域が数十Hz程度のセンサでも実用が可
能である。
【0196】本実施の形態では、加速度センサ51およ
び角加速度センサ52によりロボット90の位置および
姿勢を検出するものとしたが、ロボット90の位置と姿
勢とが計測可能な手段であるならば上記センサに限らな
い。たとえば、互いに直交する3軸方向の加速度を測定
可能な加速度センサを少なくとも2つ、それぞれ支持構
造1の異なる位置に配置させ、その加速度センサから得
られる加速度情報に基づいてロボット90の姿勢を算出
することも可能である。また、作業空間92内に位置情
報を明示的に組込み、これをロボット90が検出して位
置および姿勢を算出する手法を用いることもできる。例
えば、作業空間92内に磁場分布を設け、磁気センサに
よりこの磁場分布を検知することで、ロボット90の位
置と姿勢とを算出する手法を用いることも可能である。
また、GPS(Global Positioning System;衛星位置
標定システム)センサ等を用いる手法も考えられる。な
お、後述するベースステーション91がロボット90の
位置と姿勢とを直接検出する機能を有する場合には、言
うまでもなくこれのセンサは必須ではない。
【0197】また、加速度センサ51および角加速度セ
ンサ52をはじめとするセンサ類は、制御装置4とは別
部品として表現したが、軽量化の観点から、マイクロマ
シニング技術によって制御装置4と一体で同一のシリコ
ン基板上に形成してもよい。
【0198】なお、本実施の形態におけるセンサ51〜
53は、本実施の形態の目的を達成する一例としての最
低限の構成要素であって、センサの種類、個数、構成に
ついては上述に限定されるものではない。
【0199】例えば、ロボット90における羽31およ
び32の駆動には、フィードバックのない制御を用いて
いるが、羽31および32の付け根に羽の角度センサを
設け、ここから得られた角度情報によりフィードバック
を行ない、より正確に羽31および32を駆動する方法
を用いることもできる。
【0200】また逆に、浮上する領域における気流が既
知であり、予め定められた羽ばたき方のみによって目的
位置に定位することが可能ならば、ロボット90の浮上
状態を検出することは不要となるので、加速度センサ5
1や角加速度センサ52は必須ではない。
【0201】以上で、ロボット90についての説明を終
了し、次に、ベースステーション91について説明を行
なう。
【0202】まず始めに、ベースステーション91の主
要な構成と機能とを説明する。図20は、ベースステー
ション91の主要な構成と機能とを示す図である。な
お、ベースステーション91の主要な目的はロボット9
0からの情報取得とこれに基づくロボット90の制御と
であるので、図20はこれらを具体化した一例にすぎ
ず、外観、形状、また付帯的な構成要素の有無について
は、上述の目的を阻害しない限りここに記す限りではな
い。
【0203】図20を参照して、ベースステーション9
1は、演算装置911とメモリ912と通信装置917
とを備える。また、ここには図示しない外部インタフェ
ース918を備える。
【0204】上述の通信装置917は、ロボット90よ
り送信された信号を受信する機能を有する。また、ロボ
ット90に信号を送信する機能を有する。
【0205】ベースステーション91は、メモリ912
に格納された作業空間92のマップデータ等と、ロボッ
ト90より通信装置917を介して受信したロボット9
0の位置情報をはじめとする各種情報とから、ロボット
90の行動を決定する機能を有する。また、この行動を
通信装置917を介してロボット90に送信する機能を
有する。
【0206】上述の受信機能と行動決定機能と送信機能
とによって、ベースステーション91は、ロボット90
自身もしくはその周囲環境情報に基づき、通信装置91
7を介してロボット90を制御する。
【0207】これらのロボット90の制御は、外部イン
タフェース918を介して入力された目的(例えば情報
提示を行なう作業空間92内の位置や、その提示すべき
情報の内容など)に応じて、演算装置911が決定す
る。
【0208】また、図20を参照して、ベースステーシ
ョン91は、その上面をロボット90の離発着台として
用いる。すなわち、ベースステーション91は、上面
に、充電器913を備える。そして、充電穴914にロ
ボット90の電極61が結合する。そのことで電気的に
電源6に充電器913が接続され、充電が可能な状態に
なる。本実施の形態においては、節電のため、充電器9
13は演算装置911により制御され、ロボット90が
ベースステーション91に結合している際にのみ動作
し、充電を行なうものとする。
【0209】また、上述の充電穴914は位置決穴の役
割も兼ねる。さらに、ベースステーション91は電磁石
915を備え、必要に応じてロボット90を吸着する。
すなわち離陸前のロボット90のベースステーション9
1に対する相対位置は、電磁石915を作動させること
により固定されている。また、相対速度は0である。
【0210】また、ベースステーション91は焦電型赤
外線センサ916を備え、人体を検出する。ベースステ
ーション91は、焦電型赤外線センサ916を用いて被
情報提示者93の存在を検出し、これにより、本システ
ムは情報提示動作を開始する。
【0211】次に、ベースステーション91からロボッ
ト90に対して行なわれる動作指示について説明を行な
う。
【0212】本実施の形態においては、ベースステーシ
ョン91は、ロボット90と通信を行ない、ロボット9
0から、主にロボット90の位置や姿勢などの浮上状態
に関する情報を得る。また、ベースステーション91
は、ロボット90に対して、到達すべき位置や姿勢の指
示といった制御情報を送信する。
【0213】より具体的には、ベースステーション91
は、演算装置911とメモリ912と通信装置917と
を備え、外部インタフェース918を介して演算装置9
11に入力された目的を実現すべく、ロボット90から
通信装置917を介して取得したロボット90の現在の
位置と姿勢とメモリ912に格納された作業空間92の
マップデータとより、次に到達すべきロボット90の位
置と姿勢とを算出する機能を有する。そして、通信装置
917を介して、これをロボット90に送信する機能を
有する。
【0214】また、ロボット90から受信した焦電型赤
外線センサ53の情報により、情報提示の終了を判断す
る機能を有する。
【0215】外部インタフェース918から入力される
情報は、主に、情報提示を行なう作業空間92内でのロ
ボット90の位置と、提示すべき情報の内容との情報で
ある。これらの情報は全て、最終的に、ロボット90の
浮上状態と、その浮上状態でのロボット90に備わる周
辺機器の動作制御とで構成される。そのため、上記情報
提示位置と提示すべき情報内容とをロボット90の行動
に変換する手法は、既存のロボット制御手法をそのまま
適用できる。
【0216】なお、上述のベースステーション91の構
成は、ロボット90が情報提示を行なうことのできる位
置および姿勢に到達する機能を実現するための一構成で
あり、実際にはアプリケーションによって最適なものを
デザインするものである。そのため、上述と同等の機能
が実現できるのであれば、構成は上述に限定されないこ
とは言うまでもない。
【0217】次に、ベースステーション91が行なう、
ロボット90の離着陸の際の補助の手法について説明を
行なう。
【0218】ロボット90の羽ばたきの開始もしくは終
了時、すなわちロボット90の離着陸の際は、羽ばたき
によって発生する気流が急激に増加もしくは減少し不安
定である。そのため、ベースステーション91がロボッ
ト90の位置および姿勢を制御することは難しい。そこ
で、本実施の形態では、離陸の前の段階において、ベー
スステーション91に備えられた電磁石915がロボッ
ト90を吸着する。そのため、ロボット90の離陸の際
は羽ばたきによる気流が安定するまで電磁石915を作
動させ、気流が安定した時点で電磁石915による吸着
を停止する、等の手法を用いることで、ベースステーシ
ョン91はロボット90の安定した離陸を実現すること
が可能である。
【0219】ロボット90の着陸の概略について説明す
る。まず、ロボット90の電極61が充電穴914の上
部に位置するようロボット90を移動させる。そして、
この状態で電磁石915を作動させ、ロボット90をベ
ースステーション91に吸着する。さらに、その後にロ
ボット90の羽ばたきを停止させれば、気流が不安定と
なる状態でもロボット90の着陸時の位置と姿勢とを安
定させることができる。なお、定位を容易にするため、
電極61もしくは充電穴914の少なくとも一方はテー
パー形状をしていることが望ましい。
【0220】なお、重量が許すならロボット90が電磁
石915を有する構成であっても構わない。また、この
構成により、ロボット90はベースステーション91に
限らず、強磁性もしくは軟磁性材料で構成される物質全
てに対して安定した離着陸が可能になる。
【0221】さらに、ロボット90のより加速度の小さ
い離陸を実現するために、電磁石915に力覚センサを
配し、この力覚センサにかかる力によって電磁石915
の吸引力を制御する手法を用いることも可能である。
【0222】また、上述の補助の手法は、離着陸時の気
流不安定性に伴なうロボット90の不安定浮上を防ぐ手
法の一例にすぎないため、離着陸時にロボット90を一
時的に保持する機構であれば他の手段を用いても構わな
い。例えば、電磁石915に替えて空気を用いてロボッ
ト90を吸引する手法を用いることもできる。また、レ
ール等のガイド機構に沿ってロボット90の離着陸を行
なう等の手法を用いることもできる。
【0223】以上で、ベースステーション91について
の説明は終了し、次に、システムの動作について説明を
行なう。
【0224】本システムにおいて、ロボット90は、ベ
ースステーション91からの指示により作業空間92に
おいて、所定の位置と姿勢とに定位し、矢印標識8によ
る方向指示を行なう。図21は、第1の実施の形態のシ
ステムにおける各種情報の流れを示す図である。図21
を参照しながら、上述の動作について、より具体的に説
明する。なお、以下に述べる「浮上状態」とは、本シス
テムの空間における浮上態様を指すものであり、「浮上
情報」とは、これを表わす情報を指すものであって、上
昇もしくは浮遊していることを必須とするものではな
い。なお、停空飛行や下降も浮上状態の1形態に含まれ
る。
【0225】まず、システムの動作の始めとして、ロボ
ット90の待機状態について説明する。
【0226】ロボット90は、動作開始前において、ベ
ースステーション91の充電穴914に電極61が接続
され、固定される。また、必要に応じて、電源6に対し
て充電が行なわれる。
【0227】その際、ベースステーション91の演算装
置911およびメモリ912はすでに動作しているもの
とする。このとき、ベースステーション91の焦電型赤
外線センサ916は動作を開始しており、被情報提示者
93を検出することでこの待機状態を解除し、情報提示
動作を開始する。
【0228】情報提示動作が開始されると、ロボット9
0は、まず、ベースステーション91から離陸する。そ
こで、次に、ロボット90の離陸について説明する。
【0229】図22は、本システムのロボット90が離
陸動作を行なうための処理を示すフローチャートであ
る。図22のフローチャートに示される処理は、ベース
ステーション91の演算装置911がメモリ912に記
憶されているプログラムを実行し、また、ベースステー
ション91からの指示信号に基づいて、ロボット90の
制御装置4がプログラムを実行することによって実現さ
れる。
【0230】ロボット90の離陸動作は、ロボット90
が羽ばたき動作を開始し、ロボット90に働く浮力を得
ることで行なわれる。
【0231】本実施の形態では、ベースステーション9
1が、ロボット90の鉛直上方の位置を目標位置として
ロボット90に制御信号を送信する。そして、この位置
に到達するための羽ばたき動作をロボット90が開始す
ることで、上述の離陸動作が開始される。
【0232】羽ばたき動作開始以前には、ベースステー
ション91の電磁石915が動作し、ロボット90はベ
ースステーション91に吸着されている(S102)。
そして、遅くとも電磁石915が吸着を解除するまでに
は、ロボット90において加速度センサ51、角加速度
センサ52、制御装置4、および通信装置7は動作を開
始する(S121,S122)。また、ベースステーシ
ョン91においても、通信装置917が動作を開始し、
演算装置911が、ロボット90の浮上状態を検出でき
る状態に達している必要がある(S101)。また、通
信路のコネクションを確立している必要がある。
【0233】そして、上記のように、ベースステーショ
ン91は離陸開始指示として、ロボット90の鉛直上方
の位置を、ロボット90の到達目標位置としてロボット
90に指示する(S103)。また、待機時の姿勢を到
達目標姿勢としてロボット90に指示する。
【0234】上述の指示をベースステーション91から
受信して(S123)、ロボット90は到達目標に到達
するための羽31および32の駆動を算出する(S12
4)。そして、算出結果に従って、羽ばたき動作を開始
するための羽31および32の駆動を開始する(S12
5)。
【0235】また、この間、少なくともロボット90が
羽ばたき動作を開始するまでに、ロボット90の制御装
置4は、ロボット90の位置と姿勢とを求める演算を開
始する必要がある。
【0236】ここで、ベースステーション91は、ロボ
ット90の羽ばたきによる気流が安定するだけの間、待
機する(S104)。羽ばたきによる気流が安定した時
点で、ベースステーション91は、電磁石915はロボ
ット90の吸着を弱めていく(S105)。
【0237】ロボット90は実質上、常にその位置と姿
勢とを把握する演算を行なっている。そして、ベースス
テーション91からの要求に応じて(S106,S12
6)、この情報、すなわち浮上状態の情報(以後、単に
浮上情報と称す)をベースステーション91に送信する
(S127,S107)。
【0238】ベースステーション91はこの得られたロ
ボット90の浮上情報より、ロボット90の浮上を判定
する。
【0239】ベースステーション91が、電磁石915
の吸着力とロボット90の浮力とがバランスする点より
更に電磁石915の吸着力を弱めた時点で、ロボット9
0は浮上を開始する。つまり、ベースステーション91
は、ロボット90の浮上を検出するまでの間、電磁石9
15の吸着力低下(S105)と、浮上情報の要求と
(S106)、浮上情報の受信(S107)とを繰返す
ことで、ロボット90の浮上すなわち離陸を実現するこ
とができる(S108でYES,S128でYES)。
【0240】離陸完了後、ベースステーション91は、
電磁石915を停止させ(S109)、電磁石915の
吸着力を0とする。
【0241】以上の動作により、ロボット90の離陸が
完了する。上述の動作で離陸したロボット90は、目的
地へ到達し、目的地においてその目的である情報提示を
行なう。そこで、次に、本システムが行なう情報提示
(方向指示)について、説明を行なう。
【0242】図23は、本システムが情報提示を行なう
ための処理を示すフローチャートである。
【0243】図23を参照して、まず、ロボット90が
離陸すると、ベースステーション91は、メモリ912
に格納されたマップデータと、表示すべき情報等とか
ら、ロボット90の到達すべき位置と姿勢とを算出する
(S201)。障害物等によりロボット90が直線運動
で目的地に到達できない場合は、障害物を回避しうる経
由地を目標とし、経由地への定位を繰返すことで、目的
地へ到達することができる。ベースステーション91
は、こうして算出された到達目標を、ロボット90に通
信を介して指定する(S202)。
【0244】ロボット90は、ベースステーション91
から上述の目的地の情報を受信し(S221)、指定さ
れた位置と姿勢とに到達するべき制御の時刻歴を算出す
る(S222)。そして、算出結果に従って、羽31お
よび32の駆動を適宜変更する(S223)。これを繰
返すことによって、ベースステーション91より指定さ
れた位置および姿勢への定位を行なう。
【0245】この間、ベースステーション91は適宜ロ
ボット90に浮上情報を要求する(S203)。ロボッ
ト90はこれに応じて(S224)、ベースステーショ
ン91に浮上情報を送信する(S225)。ベースステ
ーション91は得られたロボット90の浮上情報より
(S204)、ロボット90の目標への到達を判断する
(S205)。
【0246】そして、ロボット90が、到達すべき位置
および姿勢への定位を完了した際には、ロボット90
は、定位動作を行なう。定位動作は、その位置と姿勢と
を維持する停空飛行であることが望ましい。
【0247】ベースステーション91が、ロボット90
の、情報を提示すべき目的地への到達を検出した場合
(S205でYES)、ベースステーション91は、ロ
ボット90が提示する情報を算出し(S206)、ロボ
ット90に、情報提示動作を行なうことを指示する(S
207)。ロボット90は、この指示に基づき(S22
6でYES)、情報提示動作を行なう(S227)。
【0248】本実施の形態においては、ロボット90が
所定の位置において所定の姿勢で定位することによっ
て、矢印標識8の位置と向きとが定まり、情報提示が行
なわれる。例えば、方向指示をする場合、矢印標識8の
示す方向を、指示したい方向と略一致させるよう、ベー
スステーション91はロボット90の姿勢を算出すれば
よい。なお、ここではロボット90の定位している位置
と姿勢とが提示情報と等価である。このため、方向指示
手法は、ロボット90の位置と姿勢との決定手法をその
まま用いることができる。
【0249】また、この際、羽ばたきによりロボット9
0が羽音を発生させることで、被情報提示者93がロボ
ット90を認識する確率を高めることができる。そこ
で、羽音は羽ばたきにより自然に発生するものではある
が、人間の可聴周波数帯域を考慮して、ロボット90は
30Hz以上20000Hz以下で羽ばたくことが望ま
しい。
【0250】なお、言うまでもなく、この時点までに、
ベースステーション91は、外部インタフェース918
を経て得られた提示情報より、ロボット90の情報提示
動作を算出しておく必要がある。
【0251】情報提示終了時には、ベースステーション
91は、ロボット90に情報提示動作の終了を指示す
る。ただし、本実施の形態においてはこれは着陸位置へ
の移動と等価である。
【0252】ロボット90は羽ばたき浮上を行なってい
るので、高い機動力で移動および定位を行なうことが可
能である。また、言うまでもなく、ロボット90は浮上
しているので、支柱などの支持構造物を必要とせず、自
由な位置にて情報提示を行なうことができる。
【0253】なお、本実施の形態に示した矢印標識8
は、情報提示手段の一例であって、提示する情報の内容
は、これに限るものではない。
【0254】上述の情報提示動作は、ロボット90の焦
電型赤外線センサ53によって人体が検出されている
間、継続して行なわれる(S228,S229でYE
S)。そして、ロボット90の焦電型赤外線センサ53
が人体を検出せず、ロボット90の情報提示範囲より被
情報提示者93が去ったと判断する場合(S229でN
O)、ロボット90は、情報提示を終了する指示を、ベ
ースステーション91に対して送信する(S230,S
208)。
【0255】以上で情報提示の処理について終了し、引
続いて、ロボット90は、着陸動作に移る。
【0256】次に、ロボット90の着陸動作について説
明を行なう。着陸動作は、次の順で行なわれる。すなわ
ち、ロボット90は、ロボット90の電極61がベース
ステーション91の充電穴914の略鉛直上方に位置す
る位置および姿勢に定位する。次に、ベースステーショ
ン91は、ロボット90(の電極61)を、電磁石91
5を作動させることによって吸着する。
【0257】図24は、本システムのロボット90が着
陸を行なうための処理を示すフローチャートである。
【0258】図24を参照して、離陸、情報提示の際と
同様に、ベースステーション91はロボット90の目標
とする位置および姿勢を算出する。すなわち、ロボット
90の電極61が、ベースステーション91の充電穴9
14の略鉛直上方に位置し、かつ、ベースステーション
91の電磁石915がロボット90を吸着可能である位
置および姿勢(以後これを着陸可能状態と称する)を算
出する。そして、ベースステーション91は、通信によ
り上述の位置および姿勢を、ロボット90に指示する
(S301)。
【0259】ロボット90は、これに従い、到達すべき
位置および姿勢への定位を開始する(S321)。すな
わち、上述の位置および姿勢へ到達するために必要な羽
31および32の駆動を算出し(S322)、算出結果
に従って、羽31および32の駆動を開始する(S32
3)。
【0260】ベースステーション91は、適宜、浮上情
報要求を通信によりロボット90に送信する(S30
2)。これに応じてロボット90は、浮上情報をベース
ステーション91に送信する(S324,S325)。
ベースステーション91は、この得られた浮上情報よ
り、ロボット90の上記の着陸可能状態への到達を判断
する(S303,S304)。
【0261】そして、ベースステーション91は、ロボ
ット90が着陸可能状態へ到達したと判断した時点で
(S304でYES)、電磁石915を作動させ、ロボ
ット90をベースステーション91に固定する(S30
5)。
【0262】ベースステーション91にロボット90が
固定されて以後、ロボット90の加速度センサ51、角
加速度センサ52は動作を停止する。
【0263】また、ベースステーション91にロボット
90が固定されて以後、ベースステーション91は、ロ
ボット90に羽ばたきの停止を指示する(S306)。
これ以後、通信装置7、制御装置4は停止させてよい
(S326でYES)。
【0264】以上の動作により、ロボット90の着陸が
完了する。なお、上述の本システムにおける一連の処理
は、本システムが、ある位置と姿勢とをもって矢印標識
8によって情報提示を行なう機能を実現するための方法
の一例にすぎない。そのため、これを実現するロボット
90の動作は、上述の動作に限定されるものではない。
【0265】なお、本実施の形態における、ロボット9
0の制御装置4と、ベースステーション91の情報処理
との機能分担について、以下に示す。
【0266】ロボット90とベースステーション91と
は、通信路を通じて情報交換が可能なので、各々の機能
分担は様々な形態が可能である。例えば、上述のベース
ステーション91の機能を全てロボット90に収め、ベ
ースステーション91を廃した、いわゆるスタンドアロ
ンタイプも可能である。しかし、上述の如く、ロボット
90に過剰な質量を搭載すると浮上が困難になる。ま
た、ロボット90が軽量である方が、ロボット90の機
敏な動きが可能になり、システムの動作効率が向上す
る。つまり一般に、情報処理の大部分はベースステーシ
ョン91にて行ない、ロボット90を軽量に設計するこ
とが望ましい。特に、提示情報を格納するにはある一定
以上の質量を持った一時記憶装置が必要となり、これは
提示すべき情報の量に応じて大きくなる。つまり、ロボ
ット90の浮上可能な質量によって、ロボット90の提
示できる情報量は制限されてしまう。よって、提示され
る情報は、ロボット90の搭載重量の増加につながらな
いメモリ912に用意されていることが望ましい。
【0267】上述の議論に加え、ロボット90の制御装
置4と、ベースステーション91の情報処理との機能分
担については、通信速度の向上が重量増加につながる点
を考慮する必要がある。
【0268】例えば、電波を用いた通信の場合、通信速
度が高速になると、キャリアとしてエネルギーの高い、
高周波数の電波を用いなくてはならないために消費電力
が増加する。このため、電源6の重量増加につながる。
また補償回路等を用いて信号品質を向上させなくてはな
らず、構成要素が増加し、通信装置の重量増加につなが
る。総合的にはこれらのトレードオフを考慮して、実際
の機能分担をデザインする必要がある。
【0269】例えば、羽ばたきの細部、すなわち羽31
および32の角度α、β、θをもベースステーション9
1が指示する場合を考える。一般に羽ばたき飛行の周波
数は数十Hz以上であるため、α、β、θの制御周波数
帯域はkHzオーダである。この場合、α、β、θのデ
ータがそれぞれ8ビットであるとして、各々1kHzで
制御するには、単一の通信路で、8(bit)×1(k
Hz)×3×2(アクチュエータの個数)=48(kb
ps)の通信速度が必要である。なお、これは、送信の
みの速度であり、実際には受信のための帯域も必要とな
る。これに、通信のオーバーヘッド等も加わるため、1
00kbps程度の通信速度を備える通信方法が必要と
なる。
【0270】ところで、ロボット90の、前進、後退、
および左右への旋回といった基本的な動作については、
各々の動作に対応した一定のパターンの羽ばたき方を用
意できる。したがって、これら基本動作と、各々の動作
に対応した羽ばたき方のパターンとをロボット90に内
包し、ベースステーション91が予定経路に相当する基
本動作を算出してロボット90に指示し、ロボット90
は指示された基本動作から、内包された羽ばたき方のパ
ターンを選択する等の方法を用いても、ロボット90に
所望の経路を飛行させることができる。このように、ロ
ボット90は、羽ばたき方そのものの制御に代表される
高い周波数帯域の制御を受持ち、ベースステーション9
1は経路制御に代表される低い周波数帯域での制御を受
持つ形態が、制御装置4の演算量の軽減、通信路のトラ
フィック軽減の観点から望ましい。なお、これら基本動
作と、各々の動作に対応した羽ばたきとのパターンは、
テーブルとして制御装置4に用意することが、処理速
度、および制御装置4における演算量の低減の観点から
望ましい。
【0271】さらに、特に制御装置4に代表される演算
装置の演算能力や通信速度は、今後大きく向上すること
が期待される。そのため、ここに記したロボット90と
ベースステーション91とにおける情報処理の態様は、
現状を元に基本となる考えを例示したものであり、具体
的な機能分担については、今後ここに記した限りではな
い。
【0272】なお、本システムにおける情報提示方法と
して、上述の情報提示方法以外を考える。
【0273】本実施の形態においては、提示される情報
が空間において略固定である場合、すなわち、その位置
を変化させない場合を想定したが、動作を伴なって情報
提示することもできる。例えば、ロボット90が、所定
の円周上を、常にその中心を矢印標識8が指示するよう
な姿勢を保ちながら運動することで、その中心付近領域
を指示する情報提示方法であってもよい。また、ロボッ
ト90が、矢印標識と略一致する方向に移動すること
で、方向指示を協調する情報提示方法であってもよい。
【0274】また、より効果的な情報提示を想定し、羽
音を用いたが、羽音そのもので情報を提示する情報提示
方法であってもよい。例えば、羽音の周波数をサイレン
のようにうねらせることで、警告という情報を提示する
情報提示方法が考えられる。
【0275】また、本実施の形態では、エネルギーの節
約を想定して、焦電型赤外線センサ916により被情報
提示者93が検出された場合のみ情報提示動作を行なっ
たが、より多くの時間情報提示が行なわれることを優先
させるならこの限りではない。その場合、本システムに
おいて、被情報提示者の有無に対応して情報提示を制御
する構成は必須ではない。また、本実施の形態では、情
報提示を開始するトリガとして、焦電型赤外線センサ9
16により直接人体を検出しているが、これに限るもの
ではない。例えば、重量センサや電場センサなどが挙げ
られる。またより具体的には、既存の自動ドアに用いら
れるような人体検出装置の利用が挙げられる。
【0276】また、こういった既存設備の人体検出信号
を利用できる外部信号インタフェースをベースステーシ
ョン91に設けておくことで、より利便性を高めること
ができる。
【0277】さらに、本システムにおけるエネルギー補
充機構について以下に述べる。言うまでもなく、上述の
説明における電源6の充電方法や形態は、軽量化と継続
使用とを両立させるために一般的に用いられるエネルギ
ー補充の一形態を例示したものである。すなわち、電源
としての機能を満たす充電方法や形態であれば、電源6
とその充電機構の態様とはここに示した限りではない。
【0278】例えば、羽31および32に、金属薄膜ス
パッタリングによってコイルを構成し、外部から与えた
電波を前述のコイルで電力に変換、整流して電源6を充
電するエネルギー補充方法であってもよい。
【0279】また例えば、ベースステーション91以外
に充電のみを目的とする充電ステーションが存在し、そ
こで充電を行なうエネルギー補充方法であってもよい。
【0280】また、電力以外のエネルギーを用いる場
合、これに適したエネルギー補充方法が必要となる。こ
の場合、もちろん、電極61と充電穴914との形状
は、本実施の形態に示したものに限らない。また、本実
施の形態に示したように位置決めの役割を兼用すること
は必須ではない。
【0281】また、本システムにおける通信方法につい
て以下に述べる。本実施の形態においては、ベースステ
ーション91は、常にロボット90の情報を得て、ロボ
ット90を制御するものとしたが、ロボット90に自律
的動作が可能である場合など、常にベースステーション
91がロボット90を制御することは必ずしも必要でな
い。
【0282】また、メモリ42に情報を一時的に保持す
ることで、ベースステーション91とロボット90との
通信の頻度を下げることができる。これは後述する、ロ
ボットやベースステーションが複数存在する場合等、通
信路のトラフィック低減が求められる場合等に有効であ
る。
【0283】なお、ロボット90とベースステーション
91とのコネクションは、途絶する可能性を前提として
設計することが望ましい。ここで、ロボット90に通信
路が途絶した場合の行動様式を予め組込むことで、コネ
クションが再開された際、通信途絶に起因する悪影響を
最小限に抑えられる。
【0284】例えば、ロボット90とベースステーショ
ン91との通信が行なわれていない状態であっても、ロ
ボット90は、最後にベースステーション91より指示
された位置と姿勢とに到達してホバリングを行なうこと
で浮上状態を一定に保つような機能を備えることで場合
であってもよい。この場合、常にベースステーション9
1がロボット90と通信する必要はなく、ベースステー
ション91の機能を他の目的に割当てる余地を作ること
ができる。
【0285】また、メモリ42に、先の動作までバッフ
ァリングすることで、通信路が途絶した場合でも、ロボ
ット90は飛行を続けることができる。逆に、メモリ4
2に、ロボット90の情報をバッファリングすること
で、通信路が回復した際にこれをベースステーション9
1が得ることで、通信路が途絶している間のロボット9
0の情報をベースステーション91が得ることができ
る。
【0286】また逆に、上述のバッファリングを用いる
ことで、障害物が多く電波が遮られやすい環境において
も、より微弱な電波でロボットシステムの機能を達成す
ることができる。そのため、省電力化が可能であり、電
源6の軽量化につながり、ロボット90の機動性を高め
ることができる。
【0287】なお、本実施の形態においては、説明の簡
便のため、作業空間92における環境は変化しないもの
としたが、実際の使用においては環境は変化する。主要
な環境変化として、気流の発生と障害物の変化とが挙げ
られる。当然、これら環境変化が存在する場合は、これ
ら環境変化に応じた、上述の制御の補正手段を用意する
必要がある。
【0288】なお、気流については、羽ばたき飛行であ
っても一般の航空機と同様の影響を受ける。そのため、
この補正は、一般的な航空機の経路計画に用いられる手
法がそのまま応用可能である。
【0289】さらに、本実施の形態においては、説明の
簡便のため、ベースステーション91は1台としたが、
複数のベースステーション91によってロボット90を
制御してもよい。例えば、ベースステーション91とロ
ボット90との通信可能範囲よりも作業空間92が広い
場合、作業空間92をカバーするように複数のベースス
テーション91を設け、ロボット90の制御を空間的に
分担することも考えられる。このような場合には、移動
通信体に用いられるローミング技術をそのまま用いるこ
とができる。
【0290】また本実施の形態においては、ベースステ
ーション91に、ロボット90の制御機能と離着陸補助
機能とエネルギー補充機能(すなわち充電機能)とを統
合したが、これらの機能がベースステーション91に統
合されることは必須ではない。例えば、通信可能範囲に
比べ、航続飛行距離(すなわち外部から駆動エネルギー
を補充することなく飛行を続けられる距離)が短い場
合、1台のベースステーション91がカバーする通信可
能範囲内に、他のエネルギー補充ステーションが存在す
る、といった形態が考えられる。
【0291】また、当然、ベースステーション91の機
能を全てロボット90に内包でき、かつ浮上が可能な重
量であるならば、スタンドアロンタイプとしてロボット
90単独で使用することもできる。逆に、ほとんどの情
報処理をベースステーション91が担い、ロボット90
の制御部はアクチュエータ21および22を駆動するの
みである形態も可である。
【0292】また、1台のベースステーション91が、
ロボット90を複数制御することもできる。例えば、順
路が複雑な会場の誘導に本システム用いる場合等、矢印
標識8を複数配する場合等に有効である。当然、複数台
のベースステーション91が複数台のロボット90を制
御してもよい。これらの制御においては、羽ばたき飛行
であることとは直接関与が無く、従来のロボット制御手
法がそのまま適用できる。
【0293】上述の如く、本実施の形態における情報提
示システムは、羽ばたき飛行を行なうロボット90を用
いて情報提示を行なうことを特徴とする。
【0294】このような羽ばたき飛行による浮上は、浮
上力が体積でなく表面積に依存するため、気球や飛行船
に比べて、理論的に小型化に適している。このため、地
上高1〜2mといった、人間の視線に対応した、最も情
報提示効果の高い高さにおいて、有効な情報提示を、地
上に占有面積を有することなく効果的に行なうことがで
きる。
【0295】例えば、催事会場への道案内を具体的に想
定して、全長10cm程度の気球を用いて前記道案内の
情報を提供することを想定する。全長10cmの立方体
ヘリウム気球の浮上可能質量は最大1.1g程度である
が、この気球の表面積は600平方センチメートル程度
である。仮に、1平方センチメートル辺りの質量が2m
gの、非常に軽い膜で気球を構成したとしても、気球自
体の質量が気球の浮力を上回ってしまい、浮上すること
ができない。気球により発生する浮力と気球自体の質量
との関係は、体積が長さの3乗に比例し表面積が長さの
二乗に比例することから、気球の大きさが小さくなるほ
ど、気球の浮力は気球自体の体積(質量)より小さくな
るという関係である。よって、上記の条件では、気球は
少なくとも10cmより大きくなくては浮上できないた
め、情報提示装置としての役割を果たすことができな
い。実際には、移動のためのモータ、制御装置等が必要
となるため、浮上部以外の質量は、上述の質量よりはる
かに大きくなる。
【0296】また、小型航空機のような、揚力により浮
上する固定翼浮上機構は、停空飛行ができないため、高
度1〜2mといった情報提示に最も効果的な高度では障
害物に遮られることが多く、情報提示が不可能である場
合が多い。
【0297】一方、羽ばたき飛行は停空飛翔が可能なた
め、一般の航空機のように、前進し続ける必要がない。
そのため、ある位置に留まって行なうことを一般的に求
められる情報提示を行なう場合に適している。
【0298】また、羽ばたき飛行による浮上機構は、ヘ
リコプターといった、回転翼を用いた浮上機構に比べ、
抗力を有効に用いることが可能なため、これら回転翼を
用いた浮上機構に比べても小型化に適している。また、
羽ばたき飛行による浮上機構は、抗力を利用するため、
相対的に浮力発生部位の運動速度を小さく設定すること
ができる。例えば、第一近似的に、ヘリコプターの翼を
角度θhで傾いた平板だとすると、翼の単位移動量あた
りにおける、直近の流体に与える浮上方向の速度は、羽
の速度のsinθh倍となる。羽ばたき飛行の場合、羽
の速度と同じ速度を流体に与えることが可能である。す
なわち、羽ばたき飛行においては、羽の速度を、ヘリコ
プターの場合に比べ、sinθh倍まで小さくすること
が可能である。このため、情報を提示する近辺に人間や
構造物などの障害物が存在する場合にも、羽がこれら障
害物に接触した際の被害を小さくすることができる。ま
た、騒音を小さくする効果もある。
【0299】これらのことより、羽ばたき飛行は室内の
ような障害物の多い環境においても停空飛翔が可能な浮
上手段であり、本システムがこの羽ばたき浮上装置を備
えることで、障害物の多い環境においても本システムを
用いて、地上に占有面積を有しない情報提示を行なうこ
とができる。
【0300】なお、高さ1〜2mといった、情報提示に
最も有効な高さでは、情報提示を行う位置により、被情
報提示者から認識できる情報が変化する可能性がある。
例えば、正方形であっても、斜めから見れば長方形に見
える。そこで、情報提示装置が取得する位置もしくは姿
勢に応じて、提示する情報を補正または変換すること
や、情報提示装置が所定の位置もしくは姿勢に到達した
際に情報提示を行なうことで、このような認識される情
報の変化を防ぐことができ、正確な情報提示を行なうこ
とができる。
【0301】また、本実施の形態における情報提示シス
テムは、例えば矢印標識といった提示情報を上記の機能
を有する羽ばたき浮上機構に搭載することで、簡便に情
報提示を行なうことができる。この際、提示情報と被情
報提示者とを結ぶ直線を、羽の移動体積密度が相対的に
低い領域に位置させることで、羽による情報提示への干
渉を低下させることができる。すなわち、提供される情
報が、羽の移動に遮られて被情報提示者に届かないとい
った事態の発生を低下させることができる。このため、
被情報提示者が提示情報を認識することが容易になる。
【0302】また、人間は歩行時やその他多くの場合、
概ね水平方向を向いている。そのため、目の高さ程度に
て情報提示を行なうのが最も情報提示の効果が高い。本
実施の形態の情報提示システムは、浮上により提示され
る情報を3次元の任意の方向に移動できるため、容易に
効果の高い位置にて情報提示を行なうことができる。
【0303】また、羽ばたきの態様の変化によっても、
より多くの情報を提示することができる。例えば、矢印
標識が空間のある1点を指すようにロボット90を運動
させることで、その1点を指示す情報提示を行なうこと
ができる。
【0304】さらに、本実施の形態の情報提示システム
は、羽音を発生させることで、情報提示が行なわれてい
るという情報自体を、被情報提示者に効果的に伝えるこ
とができる。また、羽音自体で情報を提示することもで
きるため、他の構成を機能的に付加せずに、提示される
情報量を増大させることができる。
【0305】また、本実施の形態の情報提示システムに
人体検出機構を備えることで、人体を検出した際に情報
提示を行なうといった、効率のよい情報提示を行なうこ
とができる。
【0306】さらに、本実施の形態におけるロボット9
0に二次電池等の再補充可能なエネルギー源を備え、前
記再補充可能なエネルギー源を充電する装置を本システ
ムにさらに備えることで、継続的に情報提示を行なうこ
とのできる、情報提示効果の高い情報提示システムを構
築することができる。
【0307】なお、上述の情報提示システムは、羽ばた
き飛行を行なう情報提示装置(ロボット90)を用いて
情報の提示を行なうことを特徴としている。そのため、
情報提示装置は、質量の制約を受け、その結果、提示す
る情報の量が制約される場合がある。しかし、情報の提
示を行なうユーザの利便性を向上させるために、情報提
示システムは、提示される情報量によらず情報提示を行
なうことが望ましい。そこで、以下に、より利便性の高
い情報提示システムについて説明を行なう。
【0308】[第2の実施の形態]第2の実施の形態に
おいては、人間の視線程度の高さにおいて、ロボットの
集合体にて表示可能な任意の情報を提示する情報提示シ
ステムについて説明する。
【0309】図25は、第2の実施の形態におけるシス
テムの構成を示す図である。図25を参照して、本実施
の形態におけるシステムは、複数の羽ばたき飛行ロボッ
ト(以下、単にロボットと称する)90a〜90f(ロ
ボット90a〜90fを代表させて、ロボット90とい
う)と、これらロボット90a〜90fと情報を交換で
きるベースステーション99とから構成される。
【0310】上述の本実施の形態におけるシステムで
は、具体的には次のような動作が行なわれる。
【0311】すなわち、ベースステーション99からの
指示により、ロボット90a〜90fが指定の位置に定
位する。ロボット90a〜90fの位置と姿勢とをベー
スステーション99が制御することにより、ロボット9
0a〜90fが矢印形状に配置され、本システムは、こ
の矢印による方向指示という情報を提示する。
【0312】本実施の形態におけるロボット90は、図
2に示される第1の実施の形態におけるロボット90と
同様のものであるため、ここでの説明は繰返さない。た
だし、矢印標識8は廃される。
【0313】また、ロボット90a〜90fは、通信の
個体区別のため、それぞれ異なるIDを有している。こ
のIDは、例えば、後述する通信におけるヘッダとして
送信されるなどして、後述するベースステーション99
に告知される。
【0314】次に、ベースステーション99について説
明を行なう。本実施の形態におけるベースステーション
99もまた、図20に示される第1の実施の形態におけ
るベースステーション91と同じ構成である。そのた
め、ここでの説明は繰返さない。ただし、6台のロボッ
ト90a〜90fと個別に通信できるように、6つの通
信路を有する。また、6台のロボットを離着陸させ、充
電を行なうための、6組の電磁石915a〜915f、
および充電穴914a〜914fを有する。
【0315】上述の如く、本実施の形態におけるベース
ステーション99は、第1の実施の形態のベースステー
ション91と同様の方法で、ロボット90a〜90fと
個別に通信する。その際、各ロボット90に与えられた
IDを参照することにより、それぞれのロボット90の
情報を個別に得て、それぞれのロボット90に到達すべ
き位置および姿勢などの制御情報を個別に与える。
【0316】これらの制御形態は、従来の、複数のロボ
ットに対する制御手法がそのまま適用できる。
【0317】次に、システムの動作について説明を行な
う。本実施の形態におけるロボット90a〜90fは、
ベースステーション99からの指示により作業空間92
においてそれぞれ、所定の位置おとび姿勢に定位する。
本システムにおいては、この際の配置を矢印状にするこ
とによって方向指示を行なう。上述の動作について、よ
り具体的に説明する。なお、本実施の形態におけるシス
テムの動作のうち、情報提示動作を除いて、6台のロボ
ット90a〜90fの動作については、第1の実施の形
態におけるロボット90の動作とほぼ同等であるので、
以下、情報提示動作についてのみ説明する。
【0318】ロボット90a〜90fの位置および姿勢
は、ベースステーション99が任意に設定することがで
きる。そのため、図25に示す如く、ベースステーショ
ン99が、矢印形にこれらのロボット90a〜90fを
配することで、矢印の位置と向きが定まることによっ
て、本システムにおいて情報提示が行なわれる。
【0319】ただし、第1の実施の形態と同様に、ロボ
ット90a〜90fの定位している位置と姿勢とが提示
情報と等価であるため、ロボット90a〜fは、上述の
第1の実施の形態におけるロボット90と同様の動作を
行なうものである。
【0320】当然、この時点までにベースステーション
99は、外部インタフェース918を経て得られた提示
情報より、ロボット90a〜90fの配置を算出してお
く必要がある。本実施の形態においては、上記理由のた
め、ロボット90a〜90fの提示すべき情報は、ロボ
ット90a〜90fの到達目標そのものであるので、既
に算出されている。
【0321】ロボット90a〜90fは羽ばたき浮上を
行なっているので、高い機動力で移動および定位を行な
うことが可能である。また、言うまでもなく、ロボット
90は浮上しているので、支柱などの支持構造物を必要
とせず、自由な位置にて情報提示を行なうことができ
る。このため、人間が最も認識しやすい高度1〜2mに
おける情報提示を行なうことができる。
【0322】また、本実施の形態におけるシステムは、
複数の情報提示装置であるロボット90を組合わせて情
報提示することで、提示される情報量を増やすことがで
きる。例えば、本システムでn台のロボット90を用い
て情報の提供を行なう場合、1台のロボット90によっ
て示すことのできる情報量をaとすると、aのn乗の情
報量を情報を提供することができる。この場合も、浮上
させるロボット90単体の重量は変化しないため、ロボ
ット90の浮上性能に支障を来すことなく、提示される
情報量を増大させることができる。
【0323】また、本システムは、ロボット90の台数
の制約内で、矢印のみならず、図形など、任意の情報を
提示することができる。
【0324】なお、本実施の形態におけるシステムの情
報伝達は、ロボット90a〜90fに対応して通信路が
複数用意される以外は、図21に示す第1の実施の形態
におけるシステムの構成と同等である。
【0325】さらに、本実施の形態においては、提示さ
れる情報が空間92において略固定である、すなわち、
その位置を変化させない場合を想定して説明を行なって
いるが、動作を伴ないその位置を変化させて情報提示を
行なってもよい。例えば、ロボット90a〜90fが、
所定の円周上を、常にその中心を指示するような情報提
示状態を保ちながら運動することで、その中心付近領域
を指示する情報提示方法であってもよい。また、ロボッ
ト90a〜90fが、その提示している方向と略一致す
る方向に移動することで、方向指示を協調する情報提示
方法であってもよい。
【0326】なお、本実施の形態における通信方法で
は、ロボット90が複数であるため複数の通信路を必要
とする。この複数の通信路の形成は、一般に用いられて
いる手法がそのまま適用できる。例えば、時分割手法
や、波長変調、もしくはデータをIDを含めて複合して
エンコードし、ロボットの側でIDに応じてデコードす
る等の通信方法であってもよい。
【0327】また、通信の途絶における対処ついては、
第1の実施の形態における対処と同様の方法を行なうこ
とができる。
【0328】また、本実施の形態においては、説明の簡
便のためベースステーション99は1台としたが、複数
のベースステーション99によってロボット90a〜9
0fを制御することもできる。例えば、作業空間92
が、ベースステーション99とロボット90a〜90f
との通信可能範囲よりも広い場合、作業空間92をカバ
ーするように複数のベースステーション99を設け、ロ
ボット90a〜90fの制御を、複数のベースステーシ
ョン99で空間的に分担することもできる。この場合に
は、従来の移動体通信に用いられているローミング技術
をそのまま用いることができる。当然、ロボット90a
〜90fを、複数のベースステーション99が個体別に
分担して制御する手法を用いることもできる。例えば、
第1の実施の形態におけるベースステーション91は、
ロボット90を1台制御するようになっているので、第
1の実施の形態におけるベースステーション91を6台
用いることで、各々のベースステーション91にロボッ
ト90a〜90fを1台ずつ割当てることでも本実施の
形態の構成は実現される。
【0329】また、本実施の形態においては、ベースス
テーション99に、ロボット90a〜90fの制御機能
と離着陸補助機能とエネルギー補充機能(すなわち充電
機能)とを統合したが、必ずしもこれらの機能がベース
ステーション99に統合されていることは必須ではな
い。例えば、通信可能範囲に比べ、航続飛行距離(すな
わち外部から駆動エネルギーを補充することなく跳続け
ることのできる距離)が短い場合、1台のベースステー
ション99がカバーする通信可能範囲内に、他のエネル
ギー補充ステーションが存在する等の形態が考えられ
る。
【0330】また当然、ベースステーション99の機能
を全てロボット90a〜90fに内包でき、かつロボッ
ト90a〜90fの重量が浮上が可能な重量であるなら
ばスタンドアロンタイプとして、ロボット90a〜90
fのみを単独で用いることもできる。逆に、ほとんどの
情報処理をベースステーション99が担い、ロボット9
0a〜90fの制御部は、アクチュエータ21および2
2を駆動するのみである形態であってもよい。
【0331】また、本実施の形態では明示的に矢印と認
識できる形状を示すための最低限度の数としてロボット
90を6台用いたが、当然、ロボット90の台数はこれ
に限らない。すなわち、ロボット90の制御が可能な範
囲で、より多くのロボット90を用いることで、より複
雑な情報を提示することができる。
【0332】また、本実施の形態においては、複数台の
ロボット90を離着陸させるシステムとして、最も単純
に実現が可能な機構を例として挙げたが、複数台のロボ
ット90の離発着を可能とする機構であれば、上述の本
実施の形態に示す限りではない。
【0333】例えば、ロボット搬送システムを用いて、
ロボット90を充電穴914に搬送し、セットすること
ができれば、充電穴914、電磁石915等がベースス
テーション99にロボット90の台数分備えられている
ことは必須ではない。
【0334】[第3の実施の形態]第3の実施の形態に
おいては、人間の視線程度の高さにおいて、ドットマト
リクスにて表示可能な任意の情報を提示する情報提示シ
ステムについて説明する。
【0335】図26は、第3の実施の形態におけるシス
テムの構成を示す図である。図26を参照して、本実施
の形態におけるシステムは、発光素子を搭載した複数の
羽ばたき飛行ロボット群(以下、単にロボットと称す
る)と、これらロボット群に含まれるロボット90と情
報を交換できるベースステーション98とから構成され
る。
【0336】本実施の形態におけるシステムでは、これ
らロボット群をドットマトリクスとして用いて情報提示
を行なうことを特徴とする。具体的には、上述の本実施
の形態におけるシステムでは、次のような動作が行なわ
れる。
【0337】すなわち、ベースステーション98からの
指示により、n×m個のロボット群90(i,j)(1
≦i≦n、1≦j≦mであって、nおよびmは自然数)
(以後、単にロボット群90(i,j)と記す)を、n
行m列に並んで定位させる。その後に、ベースステーシ
ョン98が、ロボット群90(i,j)に含まれるロボ
ット90の各々の発光素子の明滅を制御することによ
り、n×mのドットマトリクスに文字や図形などの情報
を提示させる。
【0338】図27は、図25に示されるロボット90
の主要な構成について示す図である。図27に示される
ロボット90は、図2に示される第1の実施の形態にお
けるロボット90と同様のものであるため、ここでの説
明は繰返さない。ただし、矢印標識8は廃される。代わ
りに発光素子81と、拡散光学系82とが配される。
【0339】発光素子81は、発光面積を増大させるた
め、羽31および32の上に配された拡散光学系82を
介して、羽31および32の上より可視光を射出する。
羽31および32の往復運動に伴ない、見かけ上の発光
面積は、羽31および32の移動空間の断面積にまで拡
大される。ただし、ここでは、軽量化のため、拡散光学
系82は主軸311および321と枝312および32
2とを兼ねる。例えば、左羽32においては、半透明樹
脂で構成された主軸321と枝322とを拡散光学系8
2として用いる。拡散光学系82は半透明であるため、
発光素子81より照射された光を散乱する。そのため、
拡散光学系82全体より、光が放射される。
【0340】発光素子81は、制御装置4によって制御
される。また、制御装置4は、通信装置7を介して、ベ
ースステーション98より、発光素子81の制御情報を
受信し、これによって発光素子81を制御する。
【0341】また、ロボット90は、通信の個体区別の
ため、それぞれ異なるIDを備える。
【0342】次に、ベースステーション98について説
明を行なう。本実施の形態におけるベースステーション
98は、ロボット群90(i,j)と個別に通信が可能
な通信路を有する。また、複数のロボット90の離着
陸、および充電を行なうための、電磁石915(i,
j)および充電穴914(i,j)を有する。それ以外
の構成については、第1の実施の形態におけるベースス
テーション99と同じ構成であるため、ここでの詳細な
説明は繰返さない。
【0343】本実施の形態におけるベースステーション
98は、通信装置917を介して、ロボット群90
(i,j)に対して、含まれる各々のロボット90の発
光素子81の制御情報を、個別に送信することを特徴と
する。この機能と前記制御装置4の発光素子81の制御
機能とにより、ベースステーション98は、ロボット群
90(i,j)の発光素子81を、ロボット90ごとに
個別に制御できる。
【0344】このようなベースステーション98は、第
1の実施の形態のベースステーション99と同様に、ロ
ボット群90(i,j)と個別に通信し、含まれるそれ
ぞれのロボット90の情報を得る。また、それぞれのロ
ボット90に到達すべき位置および姿勢等の制御情報を
与える。
【0345】これらの制御方法は、従来のロボット制御
の手法がそのまま適用できる。続いて、システム全体の
動作について説明する。
【0346】ロボット群90(i,j)はベースステー
ション98からの指示により作業空間92においてある
位置および姿勢に定位し、情報提示を行なう。図28
は、第3の実施に形態のシステムにおける各種情報の流
れを示す図である。図28を参照しながら、上述の動作
について、より具体的に説明する。なお、図28には、
本実施の形態におけるシステムの、ロボット群90
(i,j)の単一要素ロボットについての概要が示され
る。
【0347】図28を参照して、本実施の形態における
システムの動作は、情報提示動作を除いて、各ロボット
90(i,j)に関して、第1の実施の形態で図22〜
24に示す、第1の実施の形態におけるロボット90の
動作とほぼ同等であるので、ここでの説明は繰返さな
い。以下、本実施の形態におけるシステムの情報提示動
作についてのみ説明する。
【0348】ベースステーション98は、ロボット群9
0(i,j)の到達すべき位置と姿勢とを、ロボット群
90(i,j)に通信を介して指定する。
【0349】一例として、ベースステーション98は、
ロボット群90(i,j)に含まれる各ロボット90の
位置指定を、図26に示すようにn行m列の格子状に設
定する。図26は、n=5,m=6の場合の、各ロボッ
ト90の位置を示す。各ロボット90は、それぞれ指定
された位置に定位することで、この配置を実現する。こ
れは、設定されたロボット群90(i,j)の各ロボッ
ト90の位置に対して、第1の実施の形態に示されるロ
ボット90の定位を、本実施の形態の各ロボット90が
行なうことで実現される。
【0350】このようにロボット群90(i,j)が配
列している状態で、各々のロボット90の発光を、ベー
スステーション98からの信号により制御すれば、一般
的なドットマトリクスディスプレイの制御と同様に、本
システムにおいて任意の情報を表示できる。本システム
が、上述の制御を行なうことで、任意の文字、図形等を
表示することができ、また、表示の変更もドットマトリ
クスディスプレイと同様に、容易に行なうことができ
る。
【0351】また、ロボット群90(i,j)は、羽ば
たき浮上を行なっているので、機高い機動力で移動およ
び定位を行なうことが可能である。また、言うまでもな
く、ロボット90は浮上しているので、支柱などの支持
構造物を必要とせず、自由な位置にて情報提示を行なう
ことができる。
【0352】さらに、本実施の形態におけるシステムで
は、ロボット90の台数の制約内で、図形や文字など、
任意の情報を提示することができる。
【0353】なお、本実施の形態においては、ロボット
90の配置を矩形格子状としたが、当然、この限りでな
く、目的によっては異なる配置の方がより効果的に情報
提示を行なうことができる。例えば、ロボット群90
(i,j)を球殻状に構成することもできる。
【0354】次に、本実施の形態のシステムにおける情
報提示方法について説明する。本実施の形態においては
提示される情報が、空間において略固定である、すなわ
ちその位置を変化させない場合を想定したが、動作を伴
なって情報提示することもできる。例えば、ロボット群
90(i,j)が、所定の円周上を、常にその中心を矢
印が指示するような姿勢を保ちながら運動することで、
その中心付近領域をより限定して指示する情報提示方法
であってもよい。また、ロボット群90(i,j)が矢
印と略一致する方向に移動することで、方向指示を協調
する情報提示方法であってもよい。
【0355】また、図29に具体例が示されるように、
移動に伴ない残像現象を用いて情報提示を方法であって
もよい。図29は、残像現象を用いた情報提示方法の第
1の具体例を示す図である。
【0356】図29を参照して、最も単純には、ロボッ
ト群90(i,j)について、j=1として縦にロボッ
ト群90(i,j)を配し、その配置と略垂直方向に掃
引しつつ、各ロボット90における発光素子81の明滅
を制御する。このことで、図29に示される如く、矢印
が、残像として表示される。このようにすることで、残
像現象を利用した情報提示が可能である。
【0357】また、図30は、残像現象を用いた情報提
示方法の第2の具体例を示す図である。図30を参照し
て、ロボット群90(i,j)が略円筒面のような閉曲
面を形成するよう移動すれば、当該円筒面上に、残像現
象を用いて、連続した情報提示を行なうことができる。
【0358】上述の、本実施の形態のシステムにおいて
は、ロボット90が複数であるため、複数の通信路を必
要とする。この複数の通信路の形成は、一般に用いられ
ている通信路の形成方法をそのまま適用することができ
る。例えば、時分割手法や、波長変調、もしくはデータ
をIDを含めて複合してエンコードし、ロボットの側で
IDに応じてデコードする等の手法が考えられる。
【0359】また、通信の途絶についても、第1の実施
に形態の説明と同様の内容が、本実施の形態のシステム
について当てはまるため、ここでの説明は繰返さない。
【0360】なお、発光素子81は、本実施の形態にお
いては単に明滅だけの特性を持った発光素子としたが、
到達すべき位置および姿勢への定位に支障を来さない範
囲で、これに限定されるものではない。例えば、青緑赤
等の3原色を用いて、カラー表示を行なうこともでき
る。
【0361】また、本実施の形態においては視認性を考
慮して発光素子81としたが、反射板などの受動的な可
視光放射手法を用いてもよい。これは、例えば日中な
ど、外光が強く、能動的な発光素子では効果的な情報提
示を行なうことができない場合に、特に有効である。こ
のように、本実施の形態における情報提示システムが物
理量取得機能を有し、これより得られた物理量によって
提示する情報を変化させることで、より効果的な情報提
示を行なうことができる。例えば、情報提示に関わる物
理量の変化である周囲の明るさに対応した、より効果的
な情報提示を行なうことができる。
【0362】また、上述の発光素子81に替えて、羽3
1および32の色分けを用いて情報提示することもでき
る。例えば、ロボット90(i,j)の羽31および3
2の、表面を黒色、裏面を白色とし、姿勢変更によって
視認される羽31および32の向きを変更することで
も、本実施の形態におけるシステムと同様に情報提示を
行なうことができる。
【0363】また、本実施の形態においては発光面積を
優先している。すなわち、羽31および32の表面に拡
散光学系82を設け、発光素子81はこれに向かい可視
光を照射したが、発光形態はこれに限るものではない。
例えば、羽31および32の表面に蛍光塗料を塗布等し
て配し、これに励起光を照射する発光形態であってもよ
い。
【0364】当然、情報提示に求められる要件を満たす
なら、可視光を直接、被情報提示者93に向かい照射す
る方法であってもよい。例えば、発光素子81から照射
された可視光が、羽31および32の軌跡によって遮ら
れずに被情報提示者93に到達する部位に、発光素子8
1を配する方法であってもよい。
【0365】これら上述の方法を兼用する方法であって
もよい。例えば、ロボット90が、発光素子81と、羽
31および32の表裏で異なる色に着色された拡散光学
系82とを備える方法が考えられる。このとき、周囲が
明るく、発光素子81による発光では情報提示ができな
い場合には、発光素子81に替えて、上記の羽31およ
び32の姿勢の変化で情報提示を行なうことができる。
【0366】このように、本システムがロボット90の
羽部まで用いて情報を提示することで、最大限の大きさ
の情報を提示することができる。このため、より大きな
情報を提示する際にも、情報の提示を行なう媒体(本シ
ステムにおけるロボット90)の質量の増加を防ぐこと
ができ、浮上機能の低下を防ぐことができる。
【0367】また、ロボット90の羽部を用いた情報提
示は、羽部の視覚状態の変更、特に反射率の変更や、羽
部の発光によって、最も効果的に実現される。さらに、
上述の如く、ロボット90の羽部に拡散光学系82を配
し、これを用いて羽31および32を発光させること
で、最大限、羽の大きさを活かした情報提示を行なうこ
とができる。
【0368】また、本実施の形態におけるシステムで
は、ロボット90の羽31および32の姿勢を変更する
こと等によっても情報提示を行なうことができる。この
情報の提供方法は、浮上機構に何ら付与する構成を必要
とせず実現できるため、最も単純で、安価に情報提示が
実現できる。
【0369】また、本実施の形態におけるシステムで
は、ロボット90の羽31および32の両面に異なる視
覚特性を付与し、被情報提示者93に向合う羽31およ
び32の面をロボット90の姿勢変更によって変更する
ことでも情報提示を行なうことができる。
【0370】また、本実施の形態においては、説明の簡
便のため、ベースステーション98は1台としたが、複
数のベースステーション98によってロボット群90
(i,j)を制御することもできる。例えば、作業空間
92が、ベースステーション98とロボット群90
(i,j)との通信可能範囲よりも広い場合、作業空間
92をカバーするように複数のベースステーション98
を設け、ロボット群90(i,j)の制御を、複数のベ
ースステーション98で空間的に分担することもでき
る。
【0371】また、本実施の形態においては、ベースス
テーション98に、ロボット群90(i,j)の制御機
能と離着陸補助機能とエネルギー補充機能(すなわち充
電機能)とを統合したが、必ずしもこれらの機能がベー
スステーション98に統合されていることは必須ではな
い。例えば、通信可能範囲に比べ、航続飛行距離(すな
わち外部から駆動エネルギーを補充することなく跳続け
ることのできる距離)が短い場合、1台のベースステー
ション98がカバーする通信可能範囲内に、他のエネル
ギー補充ステーションが存在する等の形態が考えられ
る。
【0372】また当然、ベースステーション98の機能
を全てロボット群90(i,j)に内包でき、かつロボ
ット90の重量が浮上が可能な重量であるならばスタン
ドアロンタイプとして、ロボット群90(i,j)単独
のみを単独で用いることもできる。逆に、ほとんどの情
報処理をベースステーション98が担い、ロボット群9
0(i,j)の制御部は、アクチュエータ21および2
2を駆動するのみである形態であってもよい。
【0373】また、本実施の形態では明示的に矢印と認
識できる形状を示すため、例えば図26においてロボッ
ト90を30台用いたが、当然、ロボットの台数はこれ
に限らない。
【0374】また、本実施の形態においては、ロボット
90の集合の各要素が、その視認状態を各々のロボット
90において変化させることで、様々な可変である情報
を提示することのできるシステムの一構成を示したもの
であって、ロボット90の配置は上述の配置に限らな
い。例えば、マトリクス状の配列を変更してもよいし、
同心円状に配列してもよい。
【0375】また、本実施の形態においては、複数台の
ロボット90を離着陸させるシステムとして、最も単純
に実現が可能な機構を例として挙げたが、複数台のロボ
ット90の離発着を可能とする機構であれば、上述の本
実施の形態に示す限りではない。
【0376】例えば、ロボット搬送システムを用いて、
ロボット90を充電穴914に搬送し、セットすること
ができれば、充電穴914、電磁石915等がベースス
テーション98にロボット90の台数分備えられている
ことは必須ではない。
【0377】また逆に、1台のベースステーション98
に全てのロボット90を離発着させる構成が含まれてい
なくてもよい。例えば、2台以上の複数のベースステー
ション98で、ロボット90の離発着を分担することも
できる。
【0378】さらに、上述の第1〜第3の実施の形態に
おいて説明したシステムは、各実施の形態における機能
を実現するための構成の1例であって、システムの構成
を限定するものではない。例えば、第1の実施の形態に
示されている矢印標識8を搭載した複数のロボットを、
第2の実施の形態に示されている情報提示方法を用い
て、矢印形状に並べることにより、より認識性の高い情
報提示を行なうシステムであってもよい。
【0379】また、本実施の形態におけるシステムは、
第1〜第3の実施に形態に示された、方向指示といった
具体的言語に可換である情報のみならず、抽象情報の提
示を行なうこともできる。例えば、本実施の形態におけ
るシステムにおいてイルミネーション等を用いて情報を
提供することで、娯楽、観賞、装飾、宣伝、およびアイ
キャッチ等に本実施に形態におけるシステムを用いるこ
とができる。この場合、情報提示システムにおいては、
情報の提示と、情報提示装置であるロボット90の位置
および姿勢の制御とは、独立して行なわれる。
【0380】さらに、上述の情報提示システムにおける
情報提示方法を、プログラムとして提供することもでき
る。このようなプログラムは、コンピュータに付属する
フレキシブルディスク、CD−ROM、ROM、RAM
およびメモリカードなどのコンピュータ読取り可能な記
録媒体にて記録させて、プログラム製品として提供する
こともできる。あるいは、コンピュータに内蔵するハー
ドディスクなどの記録媒体にて記録させて、プログラム
を提供することもできる。また、ネットワークを介した
ダウンロードによって、プログラムを提供することもで
きる。
【0381】提供されるプログラム製品は、ハードディ
スクなどのプログラム格納部にインストールされて実行
される。
【0382】なお、プログラム製品は、プログラム自体
と、プログラムが記録された記録媒体とを含む。
【0383】今回開示された実施の形態はすべての点で
例示であって制限的なものではないと考えられるべきで
ある。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求
の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味お
よび範囲内でのすべての変更が含まれることが意図され
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1の実施の形態におけるシステムの構成を
示す図である。
【図2】 図1に示されるロボット90の主要な構成に
ついて示す図である。
【図3】 左羽32の構成の具体例を示す図である。
【図4】 左羽32の姿勢を示すための第1の図であ
る。
【図5】 左羽32の姿勢を示すための第2の図であ
る。
【図6】 一般的な超音波モータ23を示す図である。
【図7】 右アクチュエータ21の構成を示す図であ
る。
【図8】 左羽32の、主軸321に垂直な第1の断面
図である。
【図9】 左羽32の、主軸321に垂直な第2の断面
図である。
【図10】 左羽32の羽ばたき動作のステップS1を
示す図である。
【図11】 左羽32の羽ばたき動作のステップS2を
示す図である。
【図12】 左羽32の羽ばたき動作のステップS3を
示す図である。
【図13】 左羽32の羽ばたき動作のステップS4を
示す図である。
【図14】 ストローク角θおよびねじり角βの値を時
間の関数として表した図である。
【図15】 羽ばたき動作制御における応答を示す図で
ある。
【図16】 ロボット90を停空させる際のストローク
角θ、偏角α、およびねじり角βの値を、時間の関数と
して表わした図である。
【図17】 羽31および32の制御とそれによりもた
らされる動作とを対応付ける図である。
【図18】 基本となる動作と、それを実現するアクチ
ュエータ21および22の駆動の組合わせとを定めるテ
ーブルである。
【図19】 回転軸にかかる反力を、具体的な数値を用
いて算出した結果を示す図である。
【図20】 ベースステーション91の主要な構成と機
能とを示す図である。
【図21】 第1の実施の形態のシステムにおける各種
情報の流れを示す図である。
【図22】 本システムのロボット90が離陸動作を行
なうための処理を示すフローチャートである。
【図23】 本システムが情報提示を行なうための処理
を示すフローチャートである。
【図24】 本システムのロボット90が着陸を行なう
ための処理を示すフローチャートである。
【図25】 第2の実施の形態におけるシステムの構成
を示す図である。
【図26】 第3の実施の形態におけるシステムの構成
を示す図である。
【図27】 図25に示されるロボット90の主要な構
成について示す図である。
【図28】 第3の実施に形態のシステムにおける各種
情報の流れを示す図である。
【図29】 残像現象を用いた情報提示方法の第1の具
体例を示す図である。
【図30】 残像現象を用いた情報提示方法の第2の具
体例を示す図である。
【図31】 従来の情報提示装置の具体例を示す図であ
る。
【符号の説明】
1 支持構造、4 制御装置、6 電源、7 通信装
置、8 矢印標識、21右アクチュエータ、22 左ア
クチュエータ、23 超音波モータ、31 右羽、32
左羽、41 演算装置、42 メモリ、51 加速度
センサ、52角加速度センサ、53,916 焦電型赤
外線センサ、61 電極、81 発光素子、82 拡散
光学系、90,90a〜90f,90(i,j) ロボ
ット、91,98,99 ベースステーション、92
作業空間、93 被情報提示者、210 ステータ、2
11,214,215 ベアリング、212 上部補助
ステータ、213 下部補助ステータ、219,229
ロータ、230 圧電素子、231 円盤、232〜
237 突起、238 電極、311,321主軸、3
12,322 枝、313,323 膜、911 演算
装置、912メモリ、913 充電器、914,914
a〜914f,914(i,j) 充電穴、915,9
15a〜915f,915(i,j) 電磁石、917
通信装置、918 外部インタフェース。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G09F 25/00 G09F 25/00 L 27/00 27/00 G (72)発明者 原 圭太 大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シ ャープ株式会社内 Fターム(参考) 5C096 AA01 AA22 BA01 BA04 BC02 BC13 CA03 CA06 CA12 CA22 CA28 CB04 CC36 CD04 CD22 CD36 CF02 DB01 DB09 DB19 DB33 DC02 DC12 DC15 DC30 DD04 FA02 FA08

Claims (25)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 情報を提示する情報提示手段を備える情
    報提示装置であって、 羽ばたき飛行を行なうことで浮上する浮上手段を備える
    ことを特徴とする、情報提示装置。
  2. 【請求項2】 当該情報提示装置の位置を取得する位置
    取得手段をさらに備え、 前記情報提示手段は、前記取得した位置によって情報の
    提示を制御する、請求項1に記載の情報提示装置。
  3. 【請求項3】 当該情報提示装置の姿勢を取得する姿勢
    取得手段をさらに備え、 前記情報提示手段は、前記取得した姿勢によって情報の
    提示を制御する、請求項1に記載の情報提示装置。
  4. 【請求項4】 前記情報提示手段で提示する情報に応じ
    て、当該情報提示装置の位置を制御する第1の制御手段
    をさらに備える、請求項1に記載の情報提示装置。
  5. 【請求項5】 前記情報提示手段で提示する情報に応じ
    て、当該情報提示装置の姿勢を制御する第2の制御手段
    をさらに備える、請求項1に記載の情報提示装置。
  6. 【請求項6】 前記浮上手段と前記情報提示手段とが、
    独立して制御されることを特徴とする、請求項1〜5の
    いずれかに記載の情報提示装置。
  7. 【請求項7】 前記情報提示手段と、前記情報を提示さ
    れる被情報提示者とを結ぶ直線が、前記浮上手段の移動
    体積密度の最も低い領域に位置することを特徴とする、
    請求項6に記載の情報提示装置。
  8. 【請求項8】 前記情報提示手段は、前記浮上手段を用
    いて情報を提示する、請求項1に記載の情報提示装置。
  9. 【請求項9】 前記情報提示手段は、前記浮上手段の視
    覚状態を制御することで情報を提示する、請求項8に記
    載の情報提示装置。
  10. 【請求項10】 前記情報提示手段は、前記視覚状態と
    して、反射率を制御することで情報を提示する、請求項
    9に記載の情報提示装置。
  11. 【請求項11】 前記情報提示手段は、前記視覚状態と
    して、発光を制御することで情報を提示する、請求項9
    に記載の情報提示装置。
  12. 【請求項12】 前記浮上手段に、前記発光した光を拡
    散する拡散手段をさらに備える、請求項11に記載の情
    報提示装置。
  13. 【請求項13】 前記浮上手段は、当該浮上手段の部位
    ごとに異なる複数の視覚状態を備え、 前記情報提示手段は、当該情報提示装置の前記被情報提
    示者に対する姿勢を制御することで情報を提示する、請
    求項9に記載の情報提示装置。
  14. 【請求項14】 前記浮上手段は、当該浮上手段の表裏
    で異なる視覚状態を備え、 前記情報提示手段は、前記被情報提示者に向ける前記浮
    上手段の表裏を制御して情報を提示する、請求項13に
    記載の情報提示装置。
  15. 【請求項15】 前記情報提示手段は、当該情報提示装
    置を複数組合せることで、情報を提示する、請求項1に
    記載の情報提示装置。
  16. 【請求項16】 前記情報提示手段は、人間の目の位置
    に相当する高さにおいて情報を提示する、請求項1に記
    載の情報提示装置。
  17. 【請求項17】 前記情報提示手段は、前記浮上手段を
    制御することで、前記羽ばたき飛行の様態を変化させて
    情報を提示する、請求項1に記載の情報提示装置。
  18. 【請求項18】 音を発生させる発音手段をさらに備え
    る、請求項1に記載の情報提示装置。
  19. 【請求項19】 前記発音手段は、前記羽ばたき飛行の
    様態の変化に応じて前記音を変化させることを特徴とす
    る、請求項18に記載の情報提示装置。
  20. 【請求項20】 物理量を取得する取得手段をさらに備
    え、 前記情報提示手段は、前記取得された物理量に応じて情
    報を提示する、請求項1に記載の情報提示装置。
  21. 【請求項21】 人体を検出する検出手段をさらに備
    え、 前記情報提示手段は、前記検出手段で人体を検出した際
    に情報を提示する、請求項1に記載の情報提示装置。
  22. 【請求項22】 請求項1〜21のいずれかに記載の情
    報提示装置と、 前記情報提示装置に駆動エネルギーの補充を行なうエネ
    ルギー補充装置とからなる、情報提示システム。
  23. 【請求項23】 請求項1〜21のいずれかに記載の情
    報提示装置であって、通信手段をさらに備える情報提示
    装置と、 前記情報提示装置と通信を行ない、1以上の前記情報提
    示装置を制御する制御装置とからなる、情報提示システ
    ム。
  24. 【請求項24】 物理量を取得する取得手段をさらに備
    え、 前記制御装置は、前記取得された物理量に応じて前記情
    報提示装置を制御する、請求項23に記載の情報提示シ
    ステム。
  25. 【請求項25】 人体を検出する検出手段をさらに備
    え、 前記制御装置は、前記検出手段で検出された人体の情報
    に応じて前記情報提示装置を制御する、請求項23また
    は24に記載の情報提示システム。
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