JP2003326330A - ドライブピニオン用スペーサ及びその製造方法 - Google Patents

ドライブピニオン用スペーサ及びその製造方法

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JP2003326330A JP2002135681A JP2002135681A JP2003326330A JP 2003326330 A JP2003326330 A JP 2003326330A JP 2002135681 A JP2002135681 A JP 2002135681A JP 2002135681 A JP2002135681 A JP 2002135681A JP 2003326330 A JP2003326330 A JP 2003326330A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ハイドロフォーム成形によるドライブピニオ
ン用スペーサと、その製造方法を提供すること。 【解決手段】 材料パイプ1にハイドロフォーム成形を
行って、車両のデファレンシャルに用いるドライブピニ
オン用スペーサ10を製造する。硬さHv100〜125
の材料パイプ1を、70〜130MPaの成形圧力でハ
イドロフォーム成形して、中央部が大径部13で両端部が
小径部11となるように材料パイプ1を成形し、その後、
材料パイプ1の大径部13を分離して、2個のほぼ同形の
スペーサ10を製造する。この際、スペーサ10の両方の端
面に十分な硬さを確保して、端面に磨耗及びそれに伴う
不具合を発生しにくくすると共に、スペーサ10内側の変
形の発生をより確実に防止する。さらに、同一の金型か
ら、異なる荷重特性を備えるスペーサ10を成形する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、車両のデファレン
シャルに用いるドライブピニオン用スペーサ及びその製
造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】図13の(A)及び(B)は、車両のデ
ファレンシャル(終減速装置)100の平断面図と側断
面図をそれぞれ示している。図示した車両のデファレン
シャル100は減速小歯車(ドライブピニオン)41、
減速大歯車(ドライブベベルギア)42、デファレンシ
ャルケース43、差動小歯車(デファレンシャルピニオ
ン)44、左右の差動大歯車(デファレンシャルサイド
ギア)45を有し、変速機出力の回転数とトルクを変換
し、駆動車輪(図示せず)に動力を伝達している。同図
に示すように、デファレンシャル100は動力の伝達方
向を直角に変えて駆動車輪に伝達するため、減速小歯車
41の軸部40にはラジアル、スラスト双方に荷重が加
わる。このため、減速小歯車41の軸部40の軸受とし
て、一対のテーパーベアリング50a、50bが用いら
れている。
【0003】図13に示したデファレンシャル100に
おいて、歯車間の変位が大きいと歯車の歯が噛合うとき
に衝撃が発生し、デファレンシャルギヤノイズが発生す
る。このため、デファレンシャル100の歯車系に十分
な支持剛性と正常な歯当たりを確保する必要がある。従
来、デファレンシャル100の歯車間の変位を小さく保
つために、大歯車42は小歯車41を両持支持とし、大
歯車背面にスラストボルト47を設けて剛性強化を行っ
ている。また、小歯車支持の軸受50a、50bに与圧
を加えて軸受剛性を高めるとともに、デファレンシャル
100の歯車間の相対変位を小さく保っている。
【0004】従来、小歯車支持の軸受50a、50bに
与圧を加えるためには、軸受50a、50b内輪間にス
ペーサ10を挿入し、フランジ52を留めているナット
51を締め付けることにより、ナット51に適正な締付
トルクを与えている。無調整式のスペーサ10を利用す
る場合には、ナット51を締め付けることによってスペ
ーサ10を軸方向に変形させて、スペーサ10の両側に
あるテーパーベアリング50a、50bの各々に対して
与圧を定めている。この際、与圧をかけ過ぎるとデファ
レンシャル100に温度上昇、磨耗トルクの増大、寿命
の低下、さらには歯車騒音の増大等を招くことになる。
さらに、磨耗などの影響で緩みが発生するとスペーサ1
0の締め付け荷重は減少し、軸受50a、50bにガタ
が生じることになる。このため、スペーサ10は組み付
け時には、車種毎に適切な荷重で締め付けられており、
両端に当接された軸受50a、50bとの間に摺動を起
こさないように設定されている。しかしながら、適切に
設定された軸受50a、50bの与圧を維持するのは難
しく、運転時の振動などが原因でスペーサ10に僅かな
摺動が起こると、結果としてスペーサ10の端面で磨耗
が生じ、オイル(潤滑油)漏れなどの不具合が生じる場
合があった。このため、スペーサ10の端面の磨耗をで
きるだけ防止する必要がある。この対策として、従来、
端面の硬さを熱処理によって仕上げることが行われてい
るが、これはスペーサ10の加工工程と別工程になるた
め、製造時間とコストが上昇する要因となっていた。
【0005】また、ドライブピニオン用スペーサ10は
一度使用されて加圧圧縮されると、塑性変形分は元に戻
らないため再利用できないという性質を有する。このた
め、適切な荷重で締め付けられなくなったスペーサ10
は速やかに交換される必要がある。しかしながら、従
来、スペーサ10が内側に変形を生じさせて、メンテナ
ンス時にスペーサ10を速やかに減速小歯車41の軸部
40から取外す作業に支障を生じさせる場合があった。
図14の(A)は、内側に変形(張り出し)2を生じさ
せたスペーサ10を示す図である。スペーサ10内部に
わずかな張り出し2が生じた場合、この張り出し2は目
視による確認が困難なため、従来、このままの形状でデ
ファレンシャル100に組付けられる場合があった。こ
の張り出し2そのものは、軸受50(図13参照)に与
圧を加えるスペーサ10の本来の目的を損なうものでは
ないが、しかし、スペーサ10に張り出し2が形成され
たままの状態で、スペーサ10を加圧圧縮すると、図1
4の(B)に示すように、スペーサ10に内側への変形
3が引き続き発生していた。これは、スペーサ10を圧
縮する際に、符号12’に示すように膨出部が圧縮され
ることで、付近の余肉2に内側に押し込まれる力が作用
するためである。この場合、変形量3によってスペーサ
10は組付け時に図13に示した減速小歯車41の軸部
40(点線s−s参照)ときつく結合し、双方を引き離
すことが困難になる。係る状態では、メンテナンス時に
スペーサ10を取り替える時(スペーサ10以外の部品
を交換する場合においても、スペーサ10を取外す場合
がある)に、減速小歯車41そのものを取り替える必要
が生じていた。しかしながら、近年のデファレンシャル
100には一層の静粛性を要求されているため、デファ
レンシャルギヤは歯数を増やして噛合い率を高め、精度
を向上して騒音性能を有利にしており、ギヤは高価なも
のになっている。また、スペーサ10を取り付ける軸部
40は通常、強度を高め、加工を容易にするために小歯
車41と一体形成されている。従って、スペーサ10の
取替え用のために、スペーサ10と一体になった減速小
歯車41を取り替えることは、使用者にとって非経済的
な選択となり、好ましくなかった。
【0006】さらに、スペーサ10は車種毎に適切な荷
重で締め付けられることを必要とするため、通常、車種
毎に異なる荷重特性を備えるようにスペーサ10は製造
されている。これは、車種の変更に伴って、デファレン
シャルに加わる負荷も変わるため、小歯車支持の軸受5
0a、50bに加える与圧の大きさも変化するためであ
る。ただし、荷重特性とはスペーサ10に加わる圧縮荷
重と、スペーサ10の変位との関係を指す。従来、スペ
ーサ10の荷重特性を車種毎に変化させるために、一般
的にスペーサ10の形状を変更していた。しかしなが
ら、この場合、車種毎に異なるスペーサの金型を用意す
る必要がある。また、切断や端面加工等の後加工におい
ても専用の型と、切削工具の制御案内をするジグが必要
となる。さらに、車種毎に金型を変更する場合には、必
要な金型数が多くなるため金型交換の作業時間も必要と
されるため、作業工程に無駄が生じやすかった。
【0007】従って、従来、スペーサの両方の端面に十
分な硬さを確保して、端面に磨耗及びそれに伴う不具合
を発生しにくくし、スペーサの内側への変形の発生をよ
り確実に防止し、さらに、同一の金型から異なる荷重特
性を備えるように成形できるドライブピニオン用スペー
サと、その製造方法が求められている。
【0008】従来、ドライブピニオン用スペーサの製造
方法として、機械プレスによる機械加工と、液圧プレス
によるハイドロフォーム成形が主に利用されている。
【0009】例えば、機械プレスによるドライブピニオ
ン用スペーサの製造方法に関する先行技術として、特許
第2895748号公報に開示されたドライブピニオン
用スペーサの製造方法がある。また、液圧プレスによる
機械部品の製造方法に関する先行技術として、特公昭5
6−4332号公報に開示されたバルジ成形装置と、実
公平3−41860号公報及び特公平5−42564号
公報に開示されたターンバックルの製造装置と製造方法
を挙げることができる。
【0010】特許第2895748号公報に開示された
ドライブピニオン用スペーサの製造方法は、ドライブピ
ニオンの外周に設けたスペーサを軸受を介して軸方向に
押込む過程で、最大荷重が所定の範囲に達した後の荷重
の下降が緩かで、荷重が所定範囲内に長く維持されるス
ペーサを機械プレスにより製品のバラツキなく製造でき
る方法を提供することを目的としている。具体的には、
車両のドライブピニオンの軸部外周に装着されて前後の
軸受を位置決めするドライブピニオン用スペーサであっ
て、鋼管にスプリングバック作用をなす山形の膨出部が
周方向に形成されたドライブピニオン用スペーサを機械
プレスにて製造する方法において、鋼管に上記膨出部の
一方の傾斜部を予備加工する第1のバルジ工程と、予備
加工された傾斜部を所定の傾斜角度に加工すると同時に
該傾斜部の板厚を他の部分よりも薄く加工する第2のバ
ルジ工程と、膨出部の他方の傾斜部およびこれに続く筒
部を加工するネッキング工程と、上記筒部を仕上加工す
るリストライク工程とからなるドライブピニオン用スペ
ーサの製造方法を提供している。
【0011】特公昭56−4332号公報に開示された
バルジ成形装置は、一般に液体や成形ゴム等の成形媒体
を加圧型により圧縮し、成形媒体と成形型との間に介装
された被成形ワークを成形型に倣って変形させるバルジ
成形では、加圧型と成形型との間にずれが生じる場合が
あったのに鑑みて、加圧型と成形型のいずれか一方をフ
ロート型とし、加圧成形時でもフロート型が他方の型に
追従しやすくしている。
【0012】実公平3−41860号公報に開示された
ターンバックル胴部の製造装置は、下金型と上金型の重
合金型内に円形のパイプを装着し、このパイプ内に油等
の流体を充満した後にその圧力を徐々に高めてやるのみ
で、パイプ中間部に六角柱形の膨出部が形成されるター
ンバックル胴部を製造することで、工程数を減少させ
て、ターンバックル胴部を量産により安価に提供可能に
している。特公平5−42564号公報に開示されたタ
ーンバックルとその製造方法は、円形のパイプを素材と
し、このパイプの軸方向中間部を内圧によって径大方向
に膨出させることによって形成し、この際、円形パイプ
を塑性変形させてターンバックルに必要な強度を得てい
る。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】特許第2895748
号公報に開示されたドライブピニオン用スペーサの製造
方法は、機械プレスによりスペーサを製造する際に、片
方の端面を拡径するために加圧を受けた金属部材が余肉
を流動する際に加工硬化を生じさせて強度を高めている
が、しかしながら、他方の端面は材料パイプそのもので
あるため、別工程を必要としない限り、材料パイプの硬
さと大きく変わることはなかった。従って、このように
端面の硬さが片側のみ低い場合、硬さが低い側の端面の
み磨耗が進行しやすくなり、結果として端面の磨耗に伴
う不具合を生じやすくなり好ましくなかった。さらに、
特許第2895748号公報に開示された発明は、車種
毎にスペーサの荷重特性を変更する具体的な手段を備え
ていなかった。また、荷重特性として所定の荷重範囲で
平坦な荷重−圧縮特性を有するスペーサのみを考慮して
おり、車種の変更によって、これ以外の荷重特性がスペ
ーサに求められる場合に荷重特性を変える手段を備えて
いなかった。また、特公昭56−4332号公報、実公
平3−41860号公報及び特公平5−42564号公
報に開示された発明は、いずれも略円筒形状のワークの
内部に流動体を挿入し、この流圧によってワークを変形
させていた。しかしながら、これら発明はいずれもドラ
イブピニオン用スペーサに関するものではなく、故にス
ペーサの両方の端面に十分な硬さを確保して、端面に磨
耗及びそれに伴う不具合を発生しにくくし、スペーサの
内側への変形の発生をより確実に防止し、さらに、同一
の金型から異なる荷重特性を備えるように成形すること
を目的とするものではない。
【0014】本発明は、以上の点に鑑みてなされたもの
であり、スペーサの両方の端面に十分な硬さを確保し
て、端面に磨耗及びそれに伴う不具合を発生しにくく
し、スペーサの内側への変形の発生をより確実に防止
し、さらに、同一の金型から、異なる荷重特性を備える
ように成形するドライブピニオン用スペーサと、その製
造方法を提供することを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明は上記課題を解決
するための手段として、請求項1に記載した発明におい
ては、硬さHv100〜125の材料パイプを、70〜
130MPaの成形圧力でハイドロフォーム成形して、
中央部が大径部で両端部が小径部となるように前記材料
パイプを成形し、その後、前記材料パイプの前記大径部
を分離して、2個のほぼ同形のスペーサを製造すること
を特徴とする。このように構成することにより、加工後
のスペーサの硬さが必要硬さHv140以上となり、板
厚も安定するため、スペーサの端面と当接する軸受に磨
耗による寿命の低下が生じるのを防ぎ、また加工の容易
な形状とすることで、製造設備(金型、軸押しパンチ)
が簡単になり、生産性が向上する。
【0016】次に、請求項2に記載した発明において
は、請求項1に記載されたものにおいて、さらに、前記
スペーサの端部を、0.4〜1.2mmの加工代で研削
加工することを特徴とする。このように構成することに
より、ハイドロフォーム成形によるスペーサの端面の硬
さ分布のうち硬さの最適位置に軸受との当接面を形成す
ることができるため、スペーサの端面により確実に必要
硬さを備えて、軸受との間の当接面の精度を向上でき、
また軸押しパンチの使用寿命を延長できるので、軸押し
パンチの修正頻度が減少する。
【0017】さらに、請求項3に記載した発明において
は、請求項1に記載されたものにおいて、前記材料パイ
プを、前記小径部と前記大径部との間に膨出部を有する
ようにハイドロフォーム成形し、前記膨出部を成形する
場合に、軸押しパンチを前記膨出部の前記小径部側の根
元部まで挿入することを特徴とする。このように構成す
ることにより、ハイドロフォーム成形時にスペーサに内
側への張り出しが生じるのを確実に防止するため、スペ
ーサを軸方向に圧縮する際に膨出部近傍に内側に向う変
形を生じさせず、よってドライブピニオンの軸部との着
脱が容易になる。
【0018】さらに、請求項4に記載した発明において
は、請求項1に記載されたものにおいて、前記ハイドロ
フォーム成形を行う際に、軸押しパンチによる軸押し量
を変更することで、スペーサの荷重特性を変更すること
を特徴とする。このように構成することにより、金型を
変更することなく、しかし主にハイドロフォーム成形時
の軸押しパンチによる軸押し量を変化させることで、異
なる荷重特性を有するスペーサを製造することを可能と
し、故に異なる車種に同一の金型を適用でき、従来、多
くの金型及びジグを必要としていた点を改善し、製造設
備と加工工程の一層の効率化に貢献する。
【0019】さらに、請求項5に記載した発明において
は、請求項4に記載されたものにおいて、前記軸押しパ
ンチによる軸押しのタイミングは、前記材料パイプの拡
管変形後であることを特徴とする。このように構成する
ことにより、軸押しパンチによる軸押しのタイミングを
図るという非常に簡単な手段により、スペーサの増肉効
果を小径側に効果的に生じさせて、小径側の強度を上昇
させる。
【0020】さらに、請求項6に記載した発明において
は、ドライブピニオンの2つの軸受の間に軸方向に圧縮
されて取り付けられるスペーサであって、該スペーサ
は、ハイドロフォーム成形により小径部と大径部との間
に膨出部を有し、以下の条件を備えることを特徴とす
る。 (1)7mm<R<15mm、 (2)1.4<t(max)/t(min)<1.65、か
つ、1.15<t(max)/元管側t(min)<1.4、 ここで、Rは前記膨出部の前記小径部外面の根元形状半
径、t(max)は前記膨出部の前記小径部側の最大厚
さ、t(min)は前記膨出部の前記大径部側の最小厚
さ、元管側t(min)は前記小径部の最小厚さである。
このように構成することにより、スペーサを軸方向に圧
縮する際に膨出部近傍に内側に向う変形が生じないの
で、ドライブピニオンの軸部に干渉しないで容易に取外
せる。
【0021】そして、請求項7に記載した発明において
は、請求項6に記載されたものにおいて、前記スペーサ
の端部の硬さは、Hv140以上であることを特徴とす
る。このように構成することにより、スペーサの端面に
より確実に必要硬さを備えて、軸受との間の当接面の精
度を向上するため、デファレンシャルに使用する際、ス
ペーサの端面に磨耗を生じさせず、軸受の与圧を適切に
維持し、オイル漏れ等の不都合が生じるのを防止する。
【0022】本発明に係るドライブピニオン用スペーサ
及び、その製造方法は基本的には以上のように構成され
るが、製品端面の磨耗及び該磨耗に伴う不具合をより発
生しにくくするために、材料パイプ特性、成形条件及び
後加工を適宜調整して、スペーサの端面の硬さをより一
層向上させることができる。また、部品設計、金型形状
及び成形条件を適宜調整して、スペーサの内側への変形
の発生をより一層確実に防止することができる。さら
に、本発明に係るドライブピニオン用スペーサの製造方
法は、小径端部と膨出部を含む小径側と、大径端部を含
む大径側の強度バランスによってスペーサの荷重特性を
決定するのが好ましい。この際、使用する材料パイプの
材質、肉厚、寸法により大径側の強度を定め、使用する
材料パイプの材質、肉厚、寸法と、そしてハイドロフォ
ーム成形時の軸押しパイプの軸押し量とこのパターンに
より小径側の強度を定め、さらに大径側の強度と小径側
の強度のバランスを選択することによって、同一の金型
から車種毎に異なるスペーサの荷重特性を設定してもよ
い。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態に係る
ドライブピニオン用スペーサ及びその製造方法を添付し
た図を用いて説明する。
【0024】まず、本発明の実施の形態に係るドライブ
ピニオン用スペーサ10について説明する。図1は本発
明の実施の形態に係るドライブピニオン用スペーサ10
を示す断面図である。図示されるように、スペーサ10
は本体中央付近に膨出部12を有し、その膨出部(凸状
部)12を挟んで径の異なる小径端部(小径部)11と
大径端部(大径部)13を有する。特に、径差の大きい
膨出部12と小径端部11の間には、ゆるやかに湾曲す
るコーナ(湾曲部)を形成する。ただし、R1はコーナ
の小径部側外面の根元形状半径を、R2はコーナの小径
部側内面の根元形状半径を表している。スペーサ10が
小径端部11と大径端部13を有するのは、図13に示
したように、スペーサ10の両端に軸受50a、50b
を当接する際に、小歯車41に近い方の軸受50aによ
り大きな荷重が加わるため、小歯車41側(大径端部1
3側)の軸受50aの内輪と外輪寸法をより大きく選択
しているためである。
【0025】図2は、変形前(A)と変形後(B)のス
ペーサ10を示す図である。図13に示したように、減
速小歯車41の軸部40上にスペーサ10を嵌合して、
ナット51によりスペーサ10を圧縮すると、図2の
(B)に示すように弾性変形と塑性変形を行ってスペー
サ10は軸方向に約2mm圧縮する。この際、符号1
2’に示すように、スペーサ10のうち軸方向に対する
強度がもっとも低い膨出部12は圧縮されて変形する。
この変形の際、塑性変形分は元に戻らないが、弾性変形
分は元に戻り、組み付けられた状態から荷重を除化して
いくと、0.2〜0.3mm程度スプリングバックする
ため、スペーサ10はこの両側に配置した軸受50a、
50b(図13参照)との間に与圧を定めることができ
る。
【0026】次に、本発明の実施の形態に係るドライブ
ピニオン用スペーサ10の製造方法について、図3及び
図4に基づいて説明する。図3は本発明の実施の形態に
係るドライブピニオン用スペーサ10の製造方法を
(A)〜(C)の3段階に分けて示す図である。まず、
図3の(A)に示すように、材料パイプ1からスペーサ
10を製造する場合、使用する材料パイプ1の径を加工
後のスペーサ10の小径端部11の径と一致させる。こ
れは、ハイドロフォームは基本的に材料パイプ1を拡径
する加工であるため、加工前の材料パイプ1の径を小径
11側の寸法に設定することで、スペーサ10の加工を
容易にするためである。次に、図3の(B)に示すよう
に、材料パイプ1に対して、この内側からハイドロフォ
ーム成形を行って、材料パイプ1の形状を変化させる。
そして、図3の(C)に示すように、ハイドロフォーム
成形後の材料パイプ1を中央から二つに切り離して、そ
の両端面に研削加工を施すことにより、1つの材料パイ
プ1から2つのスペーサ10を2個取りする。このよう
に、ハイドロフォーム成形を行うことによって、1つの
材料パイプ1から製品2個取りによりスペーサ10を形
成する。ただし、製品1個取りまたは製品3個取り以上
でもスペーサ10を形成することは可能である。しか
し、1個取りの場合は片方(大径部13側)で拡管を行
いながら軸押しを行わなければならない。また、3個以
上を1度に形成する場合、両端以外(内側)の製品に軸
押しの効果を与える必要が生じる。この場合、内側の製
品の板厚分布が一定になってしまうため、形成した製品
間で品質のバラツキが大きくなる。全ての製品において
板厚を一定にすれば、品質のそろった製品を形成するこ
とは可能であるが、それが製品の要求仕様を満足できる
可能性は低い。
【0027】ここで図4を参照して、図3の(B)に示
したスペーサ10のハイドロフォーム成形についてより
具体的に説明する。まず、図4の(A)に示すように、
スペーサ10の外面形状に倣った内面を有する金型20
を用意して、この金型20の内部に材料パイプ1を嵌合
する。金型20は内面に小径端部用凹部21、膨出部用
凹部22及び大径端部用凹部23を形成する。そして、
材料パイプ1の外面形状をこれら凹部21、22、23
に倣って変形させるために、材料パイプ1の両側と当接
するように軸押しパンチ30を金型20の内部に挿入す
る。材料パイプ1の外面と金型20の凹部22及び23
の間には空隙(隙間)24が形成され、この空隙24に
材料パイプ1の外面を逃すように、スペーサ10の内側
からハイドロフォーム成形を行う。具体的には、図4の
(B)に示すように、軸押しパンチ30を材料パイプ1
に完全に密着させた後、2つの軸押しパンチ30のうち
の一方に形成した管路39から充填液Wを材料パイプ1
内に充填する。ただし、充填液Wは水に防錆剤を加えた
ものが好ましい。そして、充填液Wの圧力によって材料
パイプ1を目的とする形状に変化させる際、過度の減肉
及びこれに伴う破裂が生じるのを防止するために、軸押
しパンチ30を金型20の内部に向けて押込む。従っ
て、充填液Wと軸押しパンチ30の圧力により材料パイ
プ1を加圧圧縮して、外表面を金型20の凹部21、2
2、23に倣って変形させて、材料パイプ1に小径端部
11、膨出部12及び大径端部13を一体に形成する。
【0028】従来の技術において説明したように、本発
明の実施の形態では、ハイドロフォーム成形を行うこと
によって、金型20を変えなくとも材料パイプ1の寸法
を変更することで、スペーサ10の全長を変えることを
可能とする。さらに、本発明に係る実施の形態は、部品
設計、金型形状、さらに成形条件を選択して、スペーサ
10に内側への張り出し2が生じるのを防止する。ま
た、材料パイプ特性、成形条件及び後加工を選択して、
スペーサ10の両方の端面に十分な硬さを確保する。そ
して、ハイドロフォーム成形時の軸押しパンチ30によ
る軸押し量を変更することで、一つの金型20から様々
な荷重特性を有するスペーサ10を製造するが、具体的
には後述する。
【0029】ここで、部品設計、金型形状、さらに成形
条件を選択して、スペーサ10に図14に示したような
内側への張り出し2を生じさせない、本発明の実施の形
態に係るスペーサの製造方法について説明する。まず、
部品設計について説明する。部品設計では、内側への変
形が発生する部位の形状を最適化する必要がある。具体
的には、スペーサ10のコーナR1(図1参照)付近
に、内側に向う変形2(図14参照)を生じさせないよ
うに、スペーサ10のコーナR1の形状を最適化する。
これは、スペーサ10の小径端部11と膨出部12との
間に形成されるコーナR1は、スペーサ10に軸方向に
圧力が加わり、膨出部12が圧縮されて変形する際、そ
のコーナR1の大きさが小さいほど内側への変形量が大
きくなるためである。このため、コーナR1に内側に向
う変形を生じさせないためには、コーナR1の大きさを
より大きな値とすることが望ましい。通常、根元形状半
径をR1>7mmとすれば内側への変形はほぼ問題ない
レベルになる。しかしながら、コーナR1の大きさは、
スペーサ10の荷重特性(部品圧縮時の荷重と変位の関
係)に大きな影響を与える部分であり、大き過ぎると荷
重特性に悪影響を与える惧れが生じる。故に、好適なコ
ーナの根元形状半径R1の範囲は、7mm<R1<15
mmが望ましい。尚、この使用範囲は、本来、部品の大
きさに合わせて調整させるのが理想であるが、通常、車
両のデファレンシャル100(図13参照)で使用され
る小歯車41(小径部側で軸部40の直径25〜35m
m程度)においては、全ての場合に上記範囲を適用して
も問題はない。ただし、軸部40の径が大きくなるほ
ど、コーナの根元形状半径R1の大きさを上記範囲の上
限に近づけていく方が望ましい。
【0030】次に、金型形状について説明する。コーナ
R1に内側に向う変形を生じさせるのを防止する金型形
状に関する条件として、金型形状と軸押しパンチ形状が
問題となる。ただし、金型20(図4参照)は部品形状
そのものであるため、本来、部品設計に問題がなけれ
ば、金型20にも問題はない。一方、ハイドロフォーム
成形時に適切な形状のスペーサ10を形成するために
は、軸押しパンチ30(図4参照)の形状がより一層重
要となる。即ち、図5の(B)に示すように、ハイドロ
フォーム成形時(図4参照)に軸押しパンチ30が膨出
部12の小径端部11側の根元までの長さがない場合
(軸押しパンチ30が短い場合)、軸押しパンチ30に
よって裏当てされないまま、膨出部12の小径端部11
側の根元付近に内側に向う張り出し2が生じる場合があ
る。しかしながら、図5の(A)に示すように、軸押し
パンチ30の先端部31からスペーサ10の小径端部1
1を支持する部位33までの長さを十分に取ると(符号
dに示した延長分参照)、ハイドロフォーム成形時に、
軸押しパンチ30を膨出部12の小径端部11側の根元
まで挿入することができ、スペーサ10が内側に張り出
すのを確実に防ぐことができる。尚、図5の(B)に示
すように、軸押しパンチ30が短い場合であっても、成
形条件によっては、内側に張り出し2を生じさせない、
適切なスペーサ10を製造することができる。しかしな
がら、この場合、張り出し2の発生を確実に防止するわ
けではないため、品質管理上、膨出部12の小径端部1
1側の根元まで押しパンチ30を挿入するのが望まし
い。
【0031】次に、成形条件について説明する。成形条
件では、軸押しパンチ30の軸押し量の制御が最も重要
となる。図4の(B)を参照して説明したように、ハイ
ドロフォーム成形時にはある程度の軸押しは必ず必要に
なるが、過度の軸押しは材料パイプ1の内側への変形の
原因となり、内側への張り出しや過度の増肉という現象
が部品に現れるため好ましくない。ここで図6を参照し
て、内側に向う張り出し2を生じさせない、軸押しパン
チ30の軸押し量の制御について具体的に説明する。図
6の(A)はハイドロフォーム成形時に、適切な量の軸
押しが行われたときのスペーサ10を示す図である。図
4に示したように、軸押しパンチ30を金型20内部に
挿入して軸押しを増加させていくと、内圧が低く膨出部
12が形成される前は、材料パイプ1の中央部に向って
金属部材の余肉が流動される。ある程度内圧が上昇して
膨出部12が形成された後は、図6の(A)のt(ma
x)付近に示すように、軸押しパンチ30に近い側(小
径端部11側)の膨出部12の傾斜面に増肉が起こる。
さらに軸押しを増加させると、過度の軸押しが内側への
変形や張り出しと共に部分的な板厚増加として現れる。
さらに軸押しを継続すると、最終的には図6の(B)に
示すように、内側への張り出し2が発生する。内側への
張り出し2は既に座屈寸前と考えることができ、かなり
の軸押し量となっているが、これ以前においても変形の
兆候は現れている。即ち、この張り出し2は、膨出部1
2の斜面の増肉として現れるため、本発明の実施の形態
では、その板厚を適切な範囲内におくことで、係る変形
が発生するのを防止する。本発明の実施の形態では、板
厚の適切な範囲は、次の範囲が好適である。 1.4<t(max)/t(min)<1.65、かつ、 1.15<t(max)/元管側t(min)<1.4 ここで、t(max)は膨出部12の小径端部11側の最
大厚さ、t(min)は膨出部12の大径端部13側の最
小厚さ、元管側t(min)は小径端部11の最小厚さで
ある。t(min)及び元管側t(min)は、必ずしも一定
値である必要はないが、しかし成形条件の影響を受けに
くいため、軸押しの増加と共にt(max)/t(min)及
びt(max)/元管側t(min)は増加する。この際、い
ずれか一方でも範囲外となると、変形量は増加する。こ
のように、膨出部12付近の板厚を変化させることで、
スペーサ10を加圧圧縮した際に、膨出部12付近でス
プリングバックを行うことが可能になる。また、膨出部
12付近の板厚の差を適切な範囲内におくことで、内側
への張り出し2が生じるのを防ぐ。
【0032】また、成形条件としては、上述したよう
に、組付け前において、スペーサ10に内側への張り出
し2(図14参照)がないことが必要である。ただし、
張り出し2の変化量は僅かなために、生産過程において
合格品と不合格品との選別が困難な場合も起こり得る。
しかしながら、目視で分るほどの張り出し2は座屈寸前
であり、間違いなく変形の原因となるため好ましくな
い。
【0033】さらに、成形条件としては、小径端部11
と膨出部12との間のコーナの小径端部11側外面の根
元形状半径R1及び小径端部11側内面の根元形状半径
R2は、R1>7mmかつR2>7mmを満たすことが
必要である(図1参照)。設計段階で膨出部12の形状
に関してコーナの根元形状半径R1及びR2が7mm以
上という条件を満たしている場合が前提となるが、膨出
部12の形状は軸押しの増加によって、図2の(B)に
示すように、根元形状半径R1及びR2が小さくなる傾
向がある。小径側外面の根元形状半径R1と小径側内面
の根元形状半径R2のいずれか一方でも7mm以下にな
ると、変形量は増加する。
【0034】従って、内側への変形を防止する部品形状
の制約条件は次のようになる。 (A)1.4<t(max)/t(min)<1.65、か
つ、 1.15<t(max)/元管側t(min)<1.4、 (B)組付け前において、内側への張り出しがないこ
と、かつ、 (C)R1>7mmかつR2>7mm
【0035】ここで、図7を参照して、部品組付け時の
内側への変形量の測定結果の一例について説明する。
尚、測定を行ったスペーサの寸法は、小径部側外径24
mm、大径部側外径29mm、膨出部最大径33mmで
ある。材料パイプは外径24mm、板厚1.8mm(引
き抜き材)を使用した。また、変形量は、組付け時を想
定して、部品を2.5mm圧縮して前後の内径変化によ
り測定した。図7に示しているように、1〜5に示した
項目のうち、1は全ての条件を満足するが、他のもの
(2〜5)は条件を満足できない項目を含んでいる。こ
の結果から、(A)〜(C)に記載の全ての条件を満足
しなければ変形量が増加することと、適正な範囲に近づ
けていくことで変形量が減少することが理解できる。
【0036】次に、スペーサ10の両方の端面に十分な
硬さを確保する、本発明の実施の形態に係るスペーサの
製造方法について説明する。スペーサ10の外面形状は
上述したハイドロフォーム成形によって得られるが、製
品端面の磨耗及び該磨耗に伴う不具合の発生を防止する
スペーサ10を製造するためには、スペーサ10はHv
140以上の硬さを備える必要がある。これは、スペー
サ10の端面の硬さがこの値を下回ると、従来の技術で
説明したように、オイル漏れ等の不都合が生じることが
経験上知られているためである。このスペーサ10の端
面の硬さは、材料パイプ特性、成形条件及び後加工の3
つの条件によって決定される。以下、各条件について詳
細に説明する。
【0037】まず、材料パイプ特性について説明する。
本発明に係る実施の形態では、スペーサ10にHv14
0以上の硬さを備えるために、Hv100以上の硬さを
有する材料パイプ1を使用する。Hv100以下の硬さ
を有する材料パイプ1でも相対的に硬さを上昇させるこ
とは可能であるが、必要硬さ(Hv140以上)を達成
できる可能性が低下するため好ましくない。反対により
硬い材料を使用する場合、必要な端面硬さを確保するこ
とは容易になるが、硬い材料ほど加工性が悪くなるとい
う不都合が生じる。従って、本発明に係る実施の形態で
は、材料パイプ特性として、Hv100〜125程度の
硬さを有する材料パイプ1を利用する。
【0038】次に、成形条件について説明する。Hv1
00〜125程度の硬さを有する材料パイプ1にハイド
ロフォーム成形を行う際、大径部13側は拡管されるた
め、大径部側13では特別な手段を講じなくとも、必要
硬さ(Hv140以上)を確保することができる。これ
は、ハイドロフォーム成形に伴って、加圧を受けた金属
部材が余肉を流動させるために加工硬化を生じさせて、
強度を高めるためである。具体的には、大径部13側は
加工硬化によってHv140〜160程度の範囲内で硬
さは上昇する。しかしながら、スペーサ10の小径部1
1側は拡径されないため、小径部11側の硬さを上昇さ
せるためには、材料パイプ1の端面に負荷(圧縮荷重)
を加えるように成形条件を選定する必要が生じる。
【0039】本発明に係る好適な実施の形態では、成形
条件として、時間、圧力及び軸押しパンチ30の軸押し
量を適切に制御して、特に小径部11側に必要な硬さを
確保する。この際、成形時間は5〜15秒程度の範囲が
一般的であるが、短時間で加工するほど端面の硬さは上
昇するため、5秒あるいはこれ以下の時間とすることが
望ましい。ただし、ここで言う成形時間は、材料に内圧
が付加されている時間を指し、金型20の開閉や充填液
Wの充填に要する時間は含まない。また、成形圧力は7
0〜200MPaの範囲が一般的であるが、低圧で加工
するほど端面の硬さは上昇するため、70〜130MP
a程度の圧力が望ましい。そして、軸押しパンチ30の
軸押し量の具体的な範囲は製品毎に異なるが(製品毎
に、成形範囲として10mm程度の幅がある)、一般的
に軸押し量は大きい程、端面の硬さは上昇する。しかし
ながら、軸押し量を大きくすることは材料パイプ1の長
さを長くすることになり経済的でない。実際には、成形
範囲の中間程度が最もバランスが取れている。また、さ
らに軸押し量が大きい場合には、端面硬さが上昇する反
面、内部硬さが低下する傾向があり、この場合、後加工
で端面の研削加工を行うには最適ではない。ただし、後
述するように、本発明の実施の形態では、軸押しパンチ
30の軸押しタイミングを適宜変更することによってス
ペーサ10の荷重特性を変化させるため、軸押しパンチ
30の軸押し量は小径部11側に必要な硬さを確保する
とともに、この荷重特性を設定する際に重要となる。
【0040】ここで、図8〜図10を参照して、スペー
サ10の硬さ分布に対する成形時間、成形圧力及び軸押
し量の影響について測定結果を元に説明する。ただし、
図8〜図10は、いずれも内径20.35(±0.2
5)mm、板厚1.8(±0.18)mmのSTKM鋼
管(Hv115±5)から長さ47.9(±0.15)
mmのスペーサ10を様々な条件で加工した場合の小径
側硬さ分布について示している。図8は、成形時間の硬
さ分布への影響を示したもので、4秒と10秒の二つの
成形時間を比較した場合、成形時間は短い方がより端面
硬さを上昇させることを示している。ただし、いずれの
条件も、スペーサ10の端部からの位置が0.4mm〜
1.2mmの範囲で必要な端面硬さ(Hv140以上)
を確保する。図9は、成形圧力(液圧)の硬さ分布への
影響を示したもので、80MPaと100MPaの二つ
の圧力を比較した場合、いずれの条件も、スペーサ10
の端部からの位置が0.4mm〜1.2mmの範囲で必
要な端面硬さ(Hv140以上)を確保することを示し
ている。また、同図から、一般的には成形圧力は70〜
200MPaの範囲が好適だとされているが、しかしよ
り低圧な、70〜130MPa程度の圧力は、適切な範
囲内で端面の硬さを上昇できることを示している。図1
0は、軸押し量の硬さ分布への影響を示したもので、1
0mmと12mmの二つの軸押し量を比較した場合、い
ずれの条件も、スペーサ10の端部からの位置が0.4
mm〜1.2mmの範囲で必要な端面硬さ(Hv140
以上)を確保することを示している。尚、軸押し量が大
きい方がより端面硬さを上昇させることは可能である
が、しかし、軸押し量に関しては、軸押し量の増加と共
に端面及び端面から近い範囲の硬さの上昇は見られる
が、硬さの低下が早く起こるため、研削加工の際にはそ
の量を少な目にする必要がある。従って、上述したよう
に、軸押し量が多い成形条件は、後加工として研削加工
を実施しない場合に適切な条件である。また、図10の
軸押し量10mmのスペーサ10を後加工として1mm
の研削加工を行った際、端面の硬さはHv154であ
り、大径側の端面の硬さはHv151であった。このス
ペーサ10を使用して実走耐久試験を実施した結果、締
め付け力の低下(部品の緩み)及びオイル漏れ等の不具
合は発生しなかった。以上、図8〜図10に示すよう
に、全ての成形条件において、スペーサ10の端部から
の位置が0.4mm〜1.2mmの範囲で必要な端面硬
さ(Hv140以上)を確保することが認められた。
【0041】次に、後加工について説明する。本発明に
係る好適な実施の形態では、製品端面の表面粗さに関す
る品質を考慮し、スペーサ10の端面に後加工を施す。
尚、後加工は、端面の研削によりスペーサ10の一部を
除去することである。これは、金型20と軸押しパンチ
30は、加工を繰り返すことで磨耗や損傷により表面の
粗さが大きくなり、この状態の金型20と軸押しパンチ
30を使用し続けると粗い表面状態がスペーサ10に転
写されて製品品質を低下させる惧れがあるためである。
従って、必ずしも後加工は全ての部品に対して必要とさ
れるものではないが、常に一定品質のスペーサ10を提
供するためには、スペーサ10の端面に後加工を行うの
が望ましい。
【0042】後加工を実施する場合、硬さを確保する上
で研削加工する量が重要となる。成形条件によっては、
最表面においても十分な硬さを備えているが、成形条件
の幅をより広げるためにはスペーサ10の端部から0.
4〜1.2mmを研削加工することが最適である。通
常、硬さ分布は、図8〜図10に示すように、0〜0.
2mmの範囲でいったん下降し、0.2〜0.4mmで
上昇し、その後1.2mm程度まで一定値を保ち、その
後再び下降するという傾向を持つ。成形条件によって
は、1.8mm程度まで必要硬さを確保できる場合もあ
るが、より幅広い成形条件においても確実に必要な端面
硬さを確保できるように1.2mmを上限とするのが望
ましい。また、1.2mm以上とすることは材料の無駄
となるため適切ではない。
【0043】従って、本発明の実施の形態は、上述した
部品設計、金型形状及び成形条件の3つの条件を満足す
ることによって、組付け時に内側への変形を発生させな
いドライブピニオン用スペーサ及びその製造方法を提供
する。
【0044】さらに、本発明の実施の形態は、上記ハイ
ドロフォーム成形を行う際に、同一の金型から異なる荷
重特性を有するスペーサを製造することを可能にする。
以下、同一の金型20から異なる荷重特性を有するスペ
ーサ10を製造する具体的な手段について説明する。
【0045】図1及び図2を参照して説明したように、
スペーサ10は本体中央付近に膨出部12を有し、車両
のデファレンシャルの小歯車41の軸部40(図13参
照)に組付けられる際、膨出部12を中心に変形する。
これは、ハイドロフォーム成形時に材料パイプ1を拡径
する際に、板厚が小径部11、大径部13と比較して薄
くなるため、スペーサ10の軸方向に加圧される際、圧
縮強度が最も低い膨出部12を中心に圧縮変形が生じる
ためである。ここで、再度図1を参照して、スペーサ1
0をほぼ中央から二つの区間に分け、小径端部11と膨
出部12を有する側を小径側a、大径端部13を有する
側を大径側bとし、そして図11及び図12を参照し
て、スペーサ10を加圧圧縮する際の小径側aと大径側
bのそれぞれの変形挙動について説明する。
【0046】図11の(A)は、スペーサ10を加圧圧
縮する際の小径側aの変形挙動を加圧前と加圧後の二つ
に分けて示しており、図2を用いて説明したように、軸
方向に加圧されると、小径端部11の直線部と比べて、
軸方向の強度の低い膨出部12が符号12’に示すよう
に変形し、圧縮方向に潰れることを示している。これ
は、小径側aの強度は、軸方向の圧縮強度の最も低い膨
出部12の強度によって定められることを示している。
また、このときの小径側aの荷重特性は図12の符号A
に示すように、初期の弾性変形領域で荷重が急激に増加
し、塑性変形が開始すると荷重値が減少するように挙動
する。図11の(B)は、スペーサ10を加圧圧縮する
際の大径側bの変形挙動を加圧前と加圧後の二つに分け
て示しており、軸方向に加圧されると、符号13’に示
すように圧縮方向に対して垂直方向に張り出すように変
形することを示している。このときの大径側bの荷重特
性は、図12の符号Cに示すように、初期の弾性変形領
域で荷重が急激に増加し、その後もさらに荷重値が上昇
し続けるように挙動する。
【0047】一般的に、スペーサ10の荷重と変位に関
する荷重特性は、特許第2895748号公報の第2頁
の左欄の第28行〜第32行に記載されているように、
ナットを所定量締込むとき、予め決められた適正な荷重
範囲まで荷重が上昇して上限に達し、その後膨出部の若
干の屈曲で最大荷重に近い荷重が維持されるのが望まし
いとされている。しかしながら、この荷重特性はスペー
サ10本体を小径側aと大径側bとに分けて考察した場
合、図11と図12を用いて説明したように、スペーサ
10の荷重特性は、小径側a及び大径側bの強度バラン
スによって決定されると説明することができる。
【0048】ここで図12を参照して、小径側aと大径
側bの強度バランスについて説明する。小径側aの強度
を大径側bの強度より低くした場合、スペーサ10の荷
重特性は小径側aによって特定され、図12の曲線Aに
示すように、荷重が上昇して上限に達した後、その最大
荷重を維持することなく下降する。また、小径側aの強
度を大径側bの強度より高くした場合、スペーサ10の
荷重特性は大径側bによって特定され、図12の曲線C
に示すように、荷重は上昇をしつづける。そして、小径
側aの強度と大径側bの強度とをほぼ等しくした場合、
スペーサ10の荷重特性は、図12の曲線Bに示すよう
に、荷重が上昇して上限に達した後、その最大荷重を維
持するようにふるまう。
【0049】従って、スペーサ10の荷重特性を車種毎
に設定変更する場合には、本体を小径側aと大径側bに
分けて、各々の側の強度のバランスを選択して、スペー
サ10全体の荷重特性を車種毎の適切な設定に合わせる
ようにするのが望ましい。以下、図3に示した2個取り
の場合の、スペーサ10の小径側aと大径側bの荷重特
性の設定方法について説明する。
【0050】大径側bの強度は、使用する材料パイプ1
の材質、肉厚、寸法によりほぼ定められる。実際は、ハ
イドロフォーム成形時の成形条件及び金型20の形状の
影響を受けるが、しかしながら本発明の実施の形態では
同一金型で異なる荷重特性を有するスペーサ10を製造
することを目的とするため、金型20の変更を前提とせ
ず、故に金型20の形状の影響は事実上受けない。ま
た、ハイドロフォームの成形条件は大径側bの強度に影
響を与えるが、この影響は材料の影響よりも小さいた
め、大径側bの強度は、選択する材料の材質、肉厚、寸
法により定められると言える。尚、成形前後の材料強度
は、加工硬化の影響を受けるため、初期の強度が低いも
のほど成形前後の強度差が大きくなる傾向がある。一
方、小径側aの強度を設定するためには、使用する材料
パイプ1の材質、肉厚、寸法のみならず、ハイドロフォ
ーム成形時の成形条件を考慮する必要がある。この際、
成形条件としては、軸押しパイプ30の軸押し量とこの
パターンの影響が大きい。軸押し量に関しては、この量
を増加させることで小径側aの強度の上昇を達成でき
る。これは、軸押し量が増加するほど小径側aの強度に
影響する膨出部12の肉厚が増加し、そして軸押しによ
る材料の流動が増加することで加工硬化の影響が増大す
ることによる。また、軸押しパターンに関しては、軸押
しパイプ30の押し込みタイミングを遅めにすると、早
めにする場合と比べて小径側aの強度は上昇する。これ
は、軸押しパイプ30の軸押しが早い場合、材料パイプ
1が内圧により拡管される前に軸押しによって材料が送
りこまれるため、図3及び図4に示した2個取りの場
合、材料パイプ1中央の大径側bの増肉が起こり、大径
側bの強度上昇効果が現れ、つまり、軸押しによる増肉
効果が大径側bに使われるため、膨出部12の増肉がこ
の分減少し、小径側aの強度上昇を効果的に行うことが
困難になるためである。一方、軸押しパイプ30の軸押
しが遅い場合には、軸押しが十分に行われないうちに拡
管が起こるため、金型20と材料パイプ1とが当接した
後の軸押しとなり、金型20と材料パイプ1の摩擦によ
って、中央の大径側bは増肉せずに拡管後に材料が到達
できる膨出部12の増肉が起こり、この結果、小径側a
の強度上昇をより効果的に行うことができる。
【0051】以下、同一の金型20から様々な荷重特性
を有するスペーサ10を製造するための具体的な方法の
例について示す。ただし、スペーサ10は一つの材料パ
イプ1から2個取りされ、また荷重特性は図12のA〜
Cに示した3パターンにわかれるものとする。 荷重特性 A.下降 B.維持 C.上昇 1 材料強度 低い 中間 高い 2 軸押し量 少ない 中間 多い 3 軸押しタイミング 早め 中間 遅め 尚、以上の説明は一つの材料パイプ1から1つのスペー
サ10を製造する1個取りの場合は、成形条件において
小径側aと大径側bの軸押し量を個別に設定することが
可能となり、より細かい強度バランス設定が可能とな
る。ただし、1個取りの場合は、上述したように、大径
部13側で拡管を行いながら軸押しを行う必要が生じ
る。
【0052】ここで本発明の出願人によって行われた、
内径27mm、板厚2.45mm、全長180mmの寸
法を有する、STKM鋼管11A、12A、13Aの3
種類の材料パイプ1に対して、同一の金型から異なる荷
重特性を有するスペーサ10を製造したときの測定結果
について説明する。ただし、ハイドロフォーム成形は2
個取りで行い、成形後に中央で切断後、端面加工を行
い、完成品とした。また、ハイドロフォーム成形後のス
ペーサ10は全長70mm、小径側a寸法が内径27m
m、板厚2.45mm、大径側b寸法が内径31mm、
板厚2.3mm、膨出部12最大径が40mm、膨出部
12中央部が大径端部から25mmの位置とする。そし
て、軸押し量はすべての材料で片側10mmとし、軸押
しタイミングは強度が低い材料ほど早めの設定とした。
成形後の荷重特性の測定結果は、STKM鋼管11Aを
材料パイプとして使用したスペーサが図12のパターン
Aに近い特性を示し、STKM鋼管12Aを材料パイプ
として使用したスペーサが図12のパターンBに近い特
性を示し、そしてSTKM鋼管13Aを材料パイプとし
て使用したスペーサが図12のパターンCに近い特性を
示した。従って、金型を変更することなく、使用する材
料の特性や成形条件を変更することで、異なる荷重特性
を有するスペーサを製造することが認められた。
【0053】尚、上記特許第2895748号公報の第
3頁の右欄の第6行〜第11行において、液圧プレスで
得られた製品は板厚が全部分ほぼ均一となるため、最大
荷重に達すると急激に弾性がなくなり、荷重の低下は急
激となり、従って鋼管のバラツキによってはスペーサの
締付け荷重は所定範囲外となり、あるいは弾性を失って
スペーサとし作用せず、取換えが必要となって無駄が多
いと説明している。これに対して、本発明の実施の形態
では、ハイドロフォーム成形を行う際に、軸押しパンチ
30による軸押し量、軸押しのタイミング、または材料
の変更を行うことで、同一の金型20からスペーサ10
の荷重特性を変更することを可能とし、特許第2895
748号公報に記載されているような、従来のハイドロ
フォーム成形によるスペーサの製造方法に見受けられて
いた問題点を克服する。従って、本発明の実施の形態
は、金型、ジグ等を最小にすることで製造設備の無駄を
なくし、また作業工程の無駄をなくすことで比較的簡単
な作業によって、スペーサの両方の端面に十分な硬さを
確保して、端面に磨耗及びそれに伴う不具合を発生しに
くくし、スペーサの内側への変形の発生をより確実に防
止し、さらに、同一の金型から、異なる荷重特性を備え
るドライブピニオン用スペーサを成形する。
【0054】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1に記載し
た発明によれば、加工後のスペーサの硬さが必要硬さH
v140以上となり、板厚も安定するため、スペーサの
端面と当接する軸受に磨耗による寿命の低下が生じるの
を防ぎ、また加工の容易な形状とすることで、製造設備
(金型、軸押しパンチ)が簡単になり、生産性が向上で
きる。
【0055】請求項2に記載した発明によれば、請求項
1に記載した発明の奏する効果に加え、ハイドロフォー
ム成形によるスペーサの端面の硬さ分布のうち硬さの最
適位置に軸受との当接面を形成することができるため、
スペーサの端面により確実に必要硬さを備えて、軸受と
の間の当接面の精度を向上でき、また軸押しパンチの使
用寿命を延長できるので、軸押しパンチの修正頻度が減
少できる。
【0056】そして、請求項3に記載した発明によれ
ば、請求項1に記載した発明の奏する効果に加え、ハイ
ドロフォーム成形時にスペーサに内側への張り出しが生
じるのを確実に防止するため、スペーサを軸方向に圧縮
する際に膨出部近傍に内側に向う変形を生じさせず、よ
ってドライブピニオンの軸部との着脱が容易にできる。
【0057】請求項4に記載した発明によれば、請求項
1に記載した発明の奏する効果に加え、金型を変更する
ことなく、しかし主にハイドロフォーム成形時の軸押し
パンチによる軸押し量を変化させることで、異なる荷重
特性を有するスペーサを製造することを可能とし、故に
異なる車種に同一の金型を適用でき、従来、多くの金型
及びジグを必要としていた点を改善し、製造設備と加工
工程の一層の効率化に貢献できる。
【0058】請求項5に記載した発明によれば、請求項
4に記載した発明の奏する効果に加え、軸押しパンチに
よる軸押しのタイミングを図るという非常に簡単な手段
により、スペーサの増肉効果を小径側に効果的に生じさ
せて、小径側の強度を上昇できる。
【0059】さらに、請求項6に記載した発明によれ
ば、スペーサを軸方向に圧縮する際に膨出部近傍に内側
に向う変形が生じないので、ドライブピニオンの軸部に
干渉しないで容易に取外しできる。
【0060】請求項7に記載した発明によれば、請求項
6に記載した発明の奏する効果に加え、スペーサの端面
により確実に必要硬さを備えて、軸受との間の当接面の
精度を向上するため、デファレンシャルに使用する際、
スペーサの端面に磨耗を生じさせず、軸受の与圧を適切
に維持し、オイル漏れ等の不都合が生じるのを防止でき
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係るドライブピニオン用
スペーサの側断面図を示す図である。
【図2】図1に示したスペーサを加圧圧縮したときの前
後の状態を(A)、(B)に分けて示す図である。
【図3】本発明の実施の形態に係るスペーサの製造方法
を(A)、(B)、(C)の3段階に分けて示す図であ
る。
【図4】図3の(B)段階で行うハイドロフォーム成形
をより具体的に示す図である。
【図5】スペーサの製造方法に関し、軸押しパンチの長
さによるスペーサの内側への張り出しの影響を、
(A)、(B)の2形態に分けて示す図である。
【図6】スペーサの製造方法に関し、軸押しパンチの軸
押し量によるスペーサの内側への張り出しの影響を、
(A)、(B)の2形態に分けて示す図である。
【図7】スペーサ組付け時の内側への変形量の測定結果
を表として示す図である。
【図8】スペーサの製造方法に関し、硬さ分布に対する
成形時間の影響をグラフとして示す図である。
【図9】スペーサの製造方法に関し、硬さ分布に対する
成形圧力の影響をグラフとして示す図である。
【図10】スペーサの製造方法に関し、硬さ分布に対す
る軸押し量の影響をグラフとして示す図である。
【図11】スペーサを加圧圧縮する際の、小径側と大径
側のそれぞれの変形挙動を(A)と(B)に分けて示す
図である。
【図12】スペーサの荷重と変位に関する荷重特性を
(A)下降、(B)維持、(C)上昇の3つに分けて示
す図である。
【図13】ドライブピニオン用スペーサを用いるデファ
レンシャルの平断面図と側断面図を(A)、(B)に分
けて示す図である。
【図14】内側に張り出しを有するスペーサを加圧圧縮
したときの前後の状態を(A)、(B)に分けて示す図
である。
【符号の説明】
1 材料パイプ 10 ドライブピニオン用スペーサ 11 小径端部(小径部) 12 膨出部(凸状部) 13 大径端部(大径部) 20 金型 30 軸押しパンチ 40 減速小歯車の軸部 41 減速小歯車(ドライブピニオン) 50a、50b 軸受(テーパーベアリング) 100 デファレンシャル

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 硬さHv100〜125の材料パイプ
    を、70〜130MPaの成形圧力でハイドロフォーム
    成形して、中央部が大径部で両端部が小径部となるよう
    に前記材料パイプを成形し、その後、前記材料パイプの
    前記大径部を分離して、2個のほぼ同形のスペーサを製
    造することを特徴とするドライブピニオン用スペーサの
    製造方法。
  2. 【請求項2】 さらに、前記スペーサの端部を、0.4
    〜1.2mmの加工代で研削加工することを特徴とする
    請求項1に記載のドライブピニオン用スペーサの製造方
    法。
  3. 【請求項3】 前記材料パイプを、前記小径部と前記大
    径部との間に膨出部を有するようにハイドロフォーム成
    形し、前記膨出部を成形する場合に、軸押しパンチを前
    記膨出部の前記小径部側の根元部まで挿入することを特
    徴とする請求項1に記載のドライブピニオン用スペーサ
    の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記ハイドロフォーム成形を行う際に、
    軸押しパンチによる軸押し量を変更することで、スペー
    サの荷重特性を変更することを特徴とする請求項1に記
    載のドライブピニオン用スペーサの製造方法。
  5. 【請求項5】 前記軸押しパンチによる軸押しのタイミ
    ングは、前記材料パイプの拡管変形後であることを特徴
    とする請求項4に記載のドライブピニオン用スペーサの
    製造方法。
  6. 【請求項6】 ドライブピニオンの2つの軸受の間に軸
    方向に圧縮されて取り付けられるスペーサであって、該
    スペーサは、ハイドロフォーム成形により小径部と大径
    部との間に膨出部を有し、以下の条件を備えることを特
    徴とするドライブピニオン用スペーサ。 (1)7mm<R<15mm、 (2)1.4<t(max)/t(min)<1.65、か
    つ、1.15<t(max)/元管側t(min)<1.4、 ここで、Rは前記膨出部の前記小径部外面の根元形状半
    径、t(max)は前記膨出部の前記小径部側の最大厚
    さ、t(min)は前記膨出部の前記大径部側の最小厚
    さ、元管側t(min)は前記小径部の最小厚さである。
  7. 【請求項7】 前記スペーサの端部の硬さは、Hv14
    0以上であることを特徴とする請求項6に記載のドライ
    ブピニオン用スペーサ。
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