JP2003290331A - ゲル状芳香・消臭剤組成物 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 使用前から使用後期まで透明性を備え、末期
の残差量もきわめて少なく、組成成分も均一な流動性の
ないゲル組成物を提供する。 【解決手段】 （ａ）オクチル酸アルミニウムとＣ₁₂〜
Ｃ₂₄高級脂肪酸アルミニウムとの混合物、（ｂ）官能基
を有する液状ポリオレフィン、及び（ｃ）芳香及び／又
は消臭成分を含有することを特徴とする、ゲル状芳香・
消臭剤組成物を提供する。前記官能基を有する液状ポリ
オレフィンは、ブタジエン、イソプレン又はクロロプレ
ンの誘導体であるポリマーを使用できる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、官能基を有する液
状ポリオレフィンを架橋剤として含むことを特徴とする
ゲル状芳香・消臭剤組成物に関しており、これにより、
透明で美観に優れ、優れた芳香消臭効果を有するととも
に、高温下で長期間保存しても流動化しないゲル状形態
安定性にも優れたゲル状芳香・消臭剤組成物に関してい
る。

【０００２】

【従来の技術】特開２００１−４６４８２号公報記載の
ゲル組成物はベンジリデンソルビトール誘導体を使用し
ているが、この物質は溶解する溶剤が少なく、ジメチル
スルフォキシドなどに溶解させて香料に添加しても結晶
として析出するので、構成成分の不均一化やゲル表面の
ざらつきが生じる欠点がある。また、特表平９−５０４
２２１号公報に記載のゲル組成物は、使用末期に残る組
成物量が多く、商品寿命が不明確な点と、途中でゲル組
成物が引きちぎれる特性があり、使用中の美観が悪い欠
点がある。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、これらの欠
点を解決し、使用前から使用後期まで透明性を備え、末
期の残差量もきわめて少なく、組成物の成分も均一でゲ
ル表面のざらつきが生ぜず、高温下で長期間保存しても
流動化しないゲル状形態安定性にも優れたゲル組成物を
提供することを目的とする。

【０００４】

【課題を解決するための手段】本発明により、（ａ）オ
クチル酸アルミニウムとＣ₁₂〜Ｃ₂₄高級脂肪酸アルミニ
ウムとの混合物、（ｂ）官能基を有する液状ポリオレフ
ィン、及び（ｃ）芳香及び／又は消臭成分を含有するこ
とを特徴とする、ゲル状芳香・消臭剤組成物が提供され
る。

【０００５】

【発明の実施の形態】オクチル酸アルミニウムとして
は、例えば、ジ−２−エチルヘキサン酸アルミニウムが
好適であり、また、これと混合して用いられるＣ₁₂〜Ｃ
₂₄高級脂肪酸アルミニウムとしては、例えば、ラウリン
酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレ
イン酸、リノール酸、リノレイン酸、ベヘン酸、リグノ
セリン酸など又はこれら高級脂肪酸の混合物のアルミニ
ウム塩が挙げられる。

【０００６】オクチル酸アルミニウムとＣ₁₂〜Ｃ₂₄高級
脂肪酸アルミニウムとの混合割合は厳密に制限されるも
のではないが、一般には、オクチル酸アルミニウムとＣ
₁₂〜Ｃ₂₄高級脂肪酸アルミニウムの合計量を基準にして
Ｃ₁₂〜Ｃ₂₄高級脂肪酸アルミニウムが６〜８０モル％、
より好ましくは１６〜５０モル％の範囲内にあるのが好
適である。また、ジ−２−エチルヘキサン酸アルミニウ
ム中の２−エチルヘキサン酸（オクチル酸）の一部がＣ
₁₂〜Ｃ₂₄高級脂肪酸で置換されている複合酸アルミニウ
ム塩を使用することもでき、その場合の該複合酸アルミ
ニウム塩中のＣ ₁₂〜Ｃ₂₄高級脂肪酸の含有量は３〜４０
モル％の範囲内にあることができる。本発明で使用する
オクチル酸アルミニウムとＣ₁₂〜Ｃ₂₄高級脂肪酸アルミ
ニウムとの混合物の添加割合は、２〜２０重量％でよ
く、好ましくは、４〜１５重量％である。

【０００７】本発明で使用できる架橋剤である官能基を
有する液状ポリオレフィンは、好ましくは、ブタジエ
ン、イソプレン又はクロロプレンの誘導体であるポリマ
ーが使用される。例えば、α，Ω−ポリブタジエンジカ
ルボン酸、水素添加型ポリブタジエン樹脂、液状ポリイ
ソプレンゴム官能基タイプ、マレイン酸化ポリイソプレ
ン、マレイン酸化液状ポリブタジエン、無水マレイン酸
化ポリイソプレン及び無水マレイン酸化液状ポリブタジ
エンが挙げられる。α，Ω−ポリブタジエンジカルボン
酸は、好ましくは、数平均分子量が１５００〜１２００
である。水素添加型ポリブタジエン樹脂では、末端官能
基が水素、水酸基又はカルボキシル基のものが使用でき
るが、特に、カルボキシル基のものが好ましい。水素添
加型ポリブタジエン樹脂は、一例として次のようなの構
造を有する。

【０００８】

【化１】

【０００９】液状ポリイソプレンゴム官能基タイプとし
ては、分子量２００００〜３００００を有するものを使
用することが好ましく、その例としては、次のような構
造を有するブロック共重合体が挙げられる。

【００１０】

【化２】

【００１１】

【化３】

【００１２】マレイン酸化液状ポリブタジエンは、より
好ましくは、分子量５０００〜２００００を有する。マ
レイン酸化ポリイソプレン又は無水マレイン酸化ポリイ
ソプレンは、より好ましくは、分子量２０００００〜５
０００００を有する。これらは、商業的に入手可能な物
質である。これらの物質の例は、ヨーロッパ特許出願第
２３０８４号明細書中に記載されている。その一例とし
て、リテン（Lithene、Revertex社製）として知られて
いる生成物が挙げられる。利用しうる種々の特性を有す
るリテンの中で、「リテンＮ４−９０００ １０ＭＡ」
を使用することで良好な結果が得られる。「９０００」
は、マレイン酸化する前のポリブタジエンの分子量を表
し、「１０ＭＡ」は、マレイン酸化の度合いを示し、こ
の場合、ポリブタジエン１００部当たり無水マレイン酸
化が１０部である（約９．１％）。

【００１３】本発明で使用する官能基を有する液状ポリ
オレフィンの添加割合は、２〜２５重量％でよく、好ま
しくは、６〜１５重量％である。本発明で使用する芳香
及び／又は消臭成分の添加割合は、１０〜９０重量％で
よく、好ましくは、２０〜８０重量％である。

【００１４】一方、本発明の組成物に配合しうる芳香・
消臭成分（ｃ）としては、例えば、香料については、天
然及び合成の広い範囲の香料を利用することができる。
そのような香料の例としては、たとえば、レモン油、オ
レンジ油、ベルガモット油、イランイラン油、パチュリ
油、シトロネラ油、レモングラス油、ボアドローズ油、
チョウジ油、ユーカリ油、セダー油、ビャクダン油・ペ
チバー油・ゼラニウム油、ペパーミント油、ローズ油、
ジャスミン油など、更にはこれら天然精油から分離され
たリモネン、ゲラ二オール、シトロネロール、リナロー
ルなどの如き天然源植物性精油及びその単離香料類；ム
スク、シベット、アンバーグリス、カストリウムなどの
如き天然源動物性香料類；バニリン、メントール、シン
ナミックアルデヒド、ヘリオトロピン、リナロール、ゲ
ラニオール、シトロネロール、シトラール、メントー
ル、ミルセン、ミルセノール、アニスアルデヒド、シネ
オール、イオノン、ピネン、リモネン、カンフェン、シ
ス−３−ヘキセノール、ベンジルアルコール、α−アミ
ルシンナミックアルコール、オイゲノール、リナリルア
セテート、ベンジルアセテートなどの如き合成香料；こ
れら各種精油乃至香料の少なくとも二種を配合した調合
香料類；などの各種の香料成分を例示することができ
る。なお、香料の溶剤として、イソパラフィン、ノルマ
ルパラフィンを用いることもできる。

【００１５】また、消臭成分としては、例えば、ラウリ
ルメタアクリレート、ゲラニルクロトネートクロロフィ
ルの如き化学的消臭剤を例示することができる。上記芳
香・消臭成分（ｃ）の使用量は、本発明の透明ゲル状芳
香・消臭剤組成物の利用目的により異なるが、通常、芳
香・消臭剤組成物の８３〜９８．９９重量％、好ましく
は９０．５〜９６．９８重量％の範囲内を例示すること
ができる。

【００１６】本発明の組成物には、さらに、他の添加剤
として、例えば、パラジクロールベンゼン、ナフタリ
ン、カンファーの如き防虫剤；オルトフェニルフオノー
ル、安息香酸、サリチル酸、イソプロピルメチルフェノ
ールの如き防腐・殺菌剤；アセトキシフェニルブタノ
ン、メチルオイゲノールの如き誘引、忌避剤等を配合例
示することもできる。

【００１７】また、上記添加物以外に、ゲル化を促進さ
せ及び／又は（ａ）成分と（ｂ）成の混合を促進するた
めに、例えば、プロピレングリコールモノメチルエーテ
ル、３−メチル−３−メトキシブタノール、エチレング
リコールモノエチルエーテル、ヘキシレングリコール、
ジメチルスルフォキシドなどの溶剤を配合することもで
きる。

【００１８】本発明の透明ゲル状芳香・消臭剤組成物
は、以上述べた（ａ）成分、（ｂ）成分及び（ｃ）成分
を必要成分とし、さらに所望により上記例示の如き他の
配合剤を適宜配合することにより容易に製造することが
できる。本発明の一実施態様によれば、室温下で、
（ａ）成分のオクチル酸アルミニウムとＣ₁₂〜Ｃ₂₄高級
脂肪酸アルミニウムとの混合物をイソパラフィン系溶剤
（商品名、ＮＡ−４Ｃ）中に添加して混合し、撹拌して
分散させる。そこに、予め（ｃ）成分のレモンオイルに
（ｂ）成分を加えて撹拌溶解させたものに撹拌しながら
加え混合液を得た後、室温に放置することにより、透明
で美観に優れ、優れた芳香消臭効果を有するとともに、
高温下で長期間保存しても流動化しなく、組成物の成分
も均一でゲル表面のざらつきが生じない透明ゲル状芳香
・消臭剤組成物を得ることができる。

【００１９】本発明の透明ゲル状芳香・消臭剤組成物
は、高温下で長期間保存しても流動化しない優れた形状
安定性を示し、たとえば４５〜５０℃の室温を超える温
度条件に、たとえば２ヶ月の如き長期間放置しても不都
合な型くずれや液だれ、液浸みだしを生じない。また、
本発明の透明ゲル状芳香・消臭剤組成物は香料の保留効
果が優れているので、たとえば室内などの芳香・消臭剤
として使用すると、香料成分が一定のバランスを保ちな
がら揮散する徐放性を示し、例えば、２ケ月以上の長期
間にわたって芳香・消臭効果をバランスよく持続するこ
とができる。

【００２０】上記のように、本発明の透明ゲル状芳香・
消臭剤組成物は、芳香・消臭成分の変質、変色、異臭化
などの不都合な変化を伴うことなしに、優れた芳香・消
臭効果の持続性及び芳香バランス性を示し、且つ、ゲル
状形態安定性に優れ、多量の香料を含有してもその形態
安定性を保持でき、更に塗布形から硬い固形状にわたる
広い領域において、上記優れた諸性質を示し、車内、船
舶内、トイレ内、浴場内、居室内などの室内芳香・消臭
剤として、更には固型香水、固型芳香・消臭塗布剤、ポ
マンダーなどの香粧品として、その他広い分野において
有用である。

【００２１】

【実施例】［実施例１〜７及び比較例１〜３］オクチル
酸アルミニウムとステアリン酸アルミニウムの混合物を
イソパラフィン系溶剤（商品名、ＮＡ−４Ｃ）中に添加
して混合し、撹拌して分散させる。これを、予め香料に
官能基を有する液状ポリイソプレンゴムを入れ、撹拌溶
解させたものに撹拌しながら加え混合液を得た。この混
合液を、幅７ｍｍ、底７ｍｍの溝でできた直径５ｃｍの
円型容器に充填し室温で放置した。約３０分後はゲル化
し、容器を立てても流れない透明なゲル状芳香剤組成物
が得られた。作成後、６時間経過したものを室温状態で
縦に置いてゲルが流れ出るか目視で確認した。また、引
き続き縦に置いた状態で４０℃で１週間放置し、同様に
ゲルが流れ出ているか確認した。

【００２２】結果を表に示した。表中、ゲル化剤Ａと
は、オクチル酸アルミニウム、７０重量％とステアリン
酸アルミニウム、３０重量％（合計１００重量％）との
混合物を表す。

【００２３】

【表１】

【００２４】

【表２】

【００２５】表に示したとおり、本発明の実施例では、
透明性は良好であり、組成物作成後室温で６時間放置後
及び７日間４０℃で放置後において、流動は見られなか
った。また、表面のざらつきも観察されなかった。一
方、液状ポリオレフィンを欠いた比較例１及びゲル化剤
Ａを欠いた比較例２は、いずれも、透明性は良好であっ
たものの、組成物作成後室温で６時間放置後及び７日間
４０℃で放置後において、流動が見られた。液状ポリオ
レフィンを欠いた比較例３では、ゲル表面のざらつきに
問題があった。

【００２６】

【発明の効果】本発明のゲル状芳香・消臭剤組成物は、
透明で美観に優れ、優れた芳香消臭効果を有するととも
に、高温下で長期間保存しても流動化しないゲル状形態
安定性にも優れている。また、組成物の成分も均一でゲ
ル表面のざらつきが生じない。

フロントページの続き Ｆターム(参考） 4C080 AA03 AA04 BB02 BB03 CC01 HH06 JJ03 KK03 LL03 LL06 NN14 NN27

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 （ａ）オクチル酸アルミニウムとＣ₁₂〜
   Ｃ₂₄高級脂肪酸アルミニウムとの混合物、（ｂ）官能基
   を有する液状ポリオレフィン、及び（ｃ）芳香及び／又
   は消臭成分を含有することを特徴とする、ゲル状芳香・
   消臭剤組成物。
2. 【請求項２】 前記官能基を有する液状ポリオレフィン
   は、ブタジエン、イソプレン若しくはクロロプレンの誘
   導体であるポリマー又はこれらの混合物からなる群から
   選択される請求項１記載のゲル状芳香・消臭剤組成物。
3. 【請求項３】 前記官能基を有する液状ポリオレフィン
   は、α，Ω−ポリブタジエンジカルボン酸、カルボキシ
   ル基末端水素添加型ポリブタジエン、マレイン酸化ポリ
   イソプレン若しくは無水マレイン酸化ポリイソプレン又
   はこれらの混合物からなる群から選択される請求項２記
   載のゲル状芳香・消臭剤組成物。