JP2003282598A - エピタキシャル基板、電子デバイス用エピタキシャル基板、及び電子デバイス - Google Patents
エピタキシャル基板、電子デバイス用エピタキシャル基板、及び電子デバイスInfo
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Abstract
からなる実用レベルの電子デバイスを得るための手段を
提供する。 【解決手段】基材1上に、少なくともAlを含有した第
1のIII族窒化物下地層2及び第2のIII族窒化物下地層
3を順次に形成する。そして、下地層2及び下地層3の
界面9から下地層3へ延在するアクセプタ不純物が存在
する領域Aを形成してエピタキシャル基板5を作製し、
この基板5を電子デバイス作製時の基板として用いる。
Description
板、電子デバイス用エピタキシャル基板、及び電子デバ
イスに関する。
で、高周波特性に優れ、低消費電力型で高出力の電子デ
バイスに対する需要が急速に増大している。このような
用途としては、従来、SiデバイスやGaAsデバイス
が用いられてきた。しかし、携帯電話の高性能化や光通
信の高速化に伴い、より良い高周波特性で高出力の電子
デバイスが望まれている。
ドモルフイックHEMT、GaAs系のHBT などが
実用化されている。また、さらに高性能な電子デバイス
として、InP 系のHEMTやHBT などの電子デバ
イスが盛んに研究開発されている。
スの製造にあっては、電子デバイス作製のためのエピタ
キシャル成長させた半導体層の構造がより複雑になり、
またデバイスプロセスもより微細化し、製造コストが高
くなるとともに、半導体層を構成する材料系もより高価
になるため、これらの材料系にとって代わる新しい材料
系が望まれていた。
た電子デバイスが最近注目されている。GaN はバン
ドギャップが3.39eVと大きいため、Si、GaA
sに比べて絶縁破壊電圧が約一桁大きく、電子飽和ドリ
フト速度が大きいため、Si、GaAsに比べて電子デ
バイスとしての性能指数が優れており、高温動作デバイ
ス、高出力デバイス、高周波デバイスとして、エンジン
制御、電力変換、移動体通信などの分野で有望視されて
いる。
を示す図である。図1に示すHEMTは、サファイア単
結晶などからなる基材1上において、MOCVD法によ
り600℃以下の低温で形成されたAlNなどからなる
第1の下地層2と、この下地層2上にMOCVD法やM
BE法などによりエピタキシャル成長されたGaNなど
からなる第2の下地層3と、この下地層3上にエピタキ
シャル成長されたAlGaNなどからなる半導体層4と
を具えている。そして、半導体層4上には、ゲート電極
6、ソース電極7、及びドレイン電極8が設けられてい
る。なお、図1においては、基材1、下地層2及び3は
エピタキシャル基板5を構成する。
と、ソース電極7及びドレイン電極8間には、図中矢印
で示すように下地層3及び半導体層4間の界面を通るよ
うにして電流が流れ、デバイスとして機能するようにな
る。
示すようなGaN系材料を用いたHEMT、及びその他
の電子デバイスなどにおいては、高速動作性などが十分
でなく、実用的な電子デバイスとして使用するには不十
分であった。
し、GaN系材料からなる実用レベルの電子デバイスを
得るための手段を提供することを目的とする。
本発明は、単結晶材料からなる基材と、この基材上に形
成された少なくともAlを含む第1のIII族窒化物下地
層と、この第1のIII族窒化物下地層上に形成された第
2の窒化物下地層とを具え、前記第1のIII族窒化物下
地層と前記第2のIII族窒化物下地層との界面におい
て、アクセプタ不純物を含むことを特徴とする、エピタ
キシャル基板に関する。
討を行い、以下の事実を見出すに至った。すなわち、下
地層2及び下地層3の界面9においては、転位の消失過
程に伴ってnタイプのキャリアが比較的多量に生成さ
れ、このキャリアに起因したリーク電流が界面9におい
て生じていることを見出した。したがって、ゲート電極
6に所定の電圧を印加した場合、その一部はリーク電流
の生成のために用いられてしまうため、十分な高速動作
性を実現できないことを見出した。
抑制すべくさらなる検討を実施した。その結果、上記リ
ーク電流はnタイプのキャリアから生じていることか
ら、界面9にアクセプタ不純物を添加し、前記nタイプ
キャリアを捕捉することを想到し、本発明をするに至っ
たものである。この結果、上記リーク電流を抑制して、
高速動作性に優れた電子デバイスを提供することができ
る。
純物は、前記第1のIII族窒化物下地層及び前記第2のI
II族窒化物下地層に対してアクセプタとして作用する不
純物であり、周期律表第II族の元素、例えば、Mg、B
e、Zn及びCなどを例示することができる。
クセプタ不純物濃度を、1010/cm2〜1020/
cm2、さらには1014/cm2〜1018/cm2
にする。これによって、前記下地層間の界面に存在する
nタイプキャリアの捕捉を十分に行うことができ、リー
ク電流を十分に抑制することができる。
は、前記アクセプタ不純物が、前記第1のIII族窒化物
下地層及び前記第2のIII族窒化物下地層の前記界面か
ら、前記第2のIII族窒化物下地層中に0.01μm〜
1μm、さらには0.01μm〜0.5μmの深さに侵
入し、存在するようにすることが好ましい。この場合に
おいても、前記下地層間の界面に存在するnタイプキャ
リアの捕捉を十分に行うことができ、リーク電流を十分
に抑制することができる。
前記アクセプタ不純物濃度を、前記第1のIII族窒化物
下地層及び前記第2のIII族窒化物下地層の前記界面か
ら、前記第2のIII族窒化物下地層の厚さ方向に向けて
減少させるようにする。この場合においても、前記下地
層間の界面に存在するnタイプキャリアの捕捉を十分に
行うことができ、リーク電流を十分に抑制することがで
きる。さらに、前記アクセプタ不純物が前記第2のIII
族窒化物下地層内において高濃度に存在しないために、
前記アクセプタ不純物に起因したキャリアの移動度の劣
化などを抑制することができる。
族窒化物下地層の厚さ方向へ向けて連続的又はステップ
状に減少させることができる。さらには、必要に応じて
前記第2のIII族窒化物下地層の厚さ方向へ向けて全体
的に濃度が減少した状態において、その内部の局所的に
濃度の高い部分を形成することもできる。
層間の界面及び前記第2のIII族窒化物下地層に存在す
るのみでなく、前記界面から拡散などによって前記第1
のIII族窒化物下地層中に侵入して、存在していても良
い。
態に基づいて詳細に説明する。
いてなるHEMTの構成を示す図である。なお、図1に
示すHEMT10と同様の構成要素に対しては同じ参照
数字を用いている。図2に示すHEMT20において
は、所定の単結晶材料から基材1上において、少なくと
もAlを含む第1のIII族窒化物下地層2と、この下地
層2上にエピタキシャル成長された、下地層2よりも少
ない含有量でAlを含む第2のIII族窒化物下地層3
と、この下地層3上にエピタキシャル成長された半導体
層4とを具えている。そして、半導体層4上において、
ゲート電極6、ソース電極7、及びドレイン電極8が設
けられている。なお、図2においては、基材1、下地層
2及び3はエピタキシャル基板5を構成する。
から下地層3へ延在した領域Aにはアクセプタ不純物が
含有されている。このアクセプタ不純物としては、上述
したように下地層2及び下地層3を構成するIII族窒化
物に対してアクセプタとして機能する周期律表第II族の
Mg、Be及びZnを例示することができる。
ように、1010/cm 2〜1020/cm2、さらに
は1014/cm2〜1018/cm2にすることが好
ましい。また、領域Aの厚さt、すなわちアクセプタ不
純物が界面9から下地層3内に侵入して存在している深
さtは、上述したように0.01μm〜1μm、さらに
は0.01μm〜0.5μmにすることが好ましい。こ
れによって、界面9で生じるnタイプキャリアの捕捉を
十分に行うことができ、界面9におけるリーク電流の発
生を十分に低減することができる。
うにして形成することができる。すなわち、下地層3を
MOCVD法により形成する際に、下地層3の原料であ
るトリメチルアルミニウム(TMA)、トリエチルアル
ミニウム(TEA)、その他のIII族元素供給ガスと、
アンモニア(NH3)などの窒素原料ガスとに加えて、
形成の初期の段階においてのみ、Cp2Mg、DEZ
n、Cp2Be、及びCH4などのアクセプタ不純物ガ
スを用いる。なお、Cのドープに関しては上記有機金属
内のメチル基を利用することもできる。そして、下地層
3をある程度の厚さに形成した後、前記不純物ガスの供
給を止めることによって、界面9から下地層3へ延在す
るようにして、アクセプタ不純物が存在する領域Aを形
成することができる。
を用いて同様の構造を形成することもできる。
III族窒化物下地層2は、Alを含むことが必要であ
り、好ましくはAlを全III族元素に対して50原子%
以上、さらにはIII族元素の総てがAlから構成され、
下地層2がAlNから構成されることが好ましい。これ
によって、基材1と下地層2との界面で生じるミスフィ
ット転位がその界面において絡まり、下地層2中に伝播
しなくなるために層中の転位密度が低減される。その結
果、下地層2上に形成された第2のIII族窒化物下地層
3及び半導体層4中の転位密度も低減され、結晶品質が
向上する。
リアの移動度が増大し、図2における下地層3及び半導
体層4の界面を、矢印で示す向きにより高速で電流が流
れるようになるため、高速応答性がさらに増大する。ま
た、転位によるキャリアの捕捉も抑制されるためキャリ
ア密度も増大し、より大きな電流を流すことができるよ
うになり、信号強度を増大させることができる。
02)面におけるX線ロッキングカーブの半値幅が10
0秒以下であることが好ましく、さらには60秒以下で
あることが好ましい。この場合においても、下地層2の
高結晶性に起因して、下地層2上にエピタキシャル成長
された下地層3及び半導体層4の結晶性も向上するた
め、キャリアの移動度及び密度が向上し、より大きな電
流を高速で流すことができるようになるため、高速応答
性が向上するとともに、信号強度も増大させることがで
きる。
OCVD法により基材1の温度を1100℃以上に設定
することによって形成することができる。なお、表面の
粗れの抑制などの観点から基材1の温度は1250℃以
下に設定することが好ましい。
のGa及びInなどのIII族元素の他、B、Si、G
e、Zn、Be及びMgなどの添加元素を含むこともで
きる。さらに、意識的に添加した元素に限らず、成膜条
件などに依存して必然的に取り込まれる微量元素、並び
に原料、反応管材質に含まれる微量不純物を含むことも
できる。
から、好ましくは2μm〜3μm以上に設定する。
の組成や半導体層4の組成などに応じて任意の組成を有
することができる。Al、Ga及びInなどのIII族元
素の他、B、Si、Ge、Zn、Be及びMgなどの添
加元素を含むこともできる。さらに、意識的に添加した
元素に限らず、成膜条件などに依存して必然的に取り込
まれる微量元素、並びに原料、反応管材質に含まれる微
量不純物を含むこともできる。
材料から構成することができるが、下地層2及び下地層
3を上述したようなIII族窒化物から構成した場合にお
いては、エピタキシャル成長を容易にし、界面における
原子の配列状態やエネルギー状態を任意に制御して、良
好な特性のHEMTを得るべく、同じくIII族窒化物か
ら構成することが好ましい。
ア単結晶、ZnO単結晶、LiAlO2単結晶、LiG
aO2単結晶、MgAl2O4単結晶、MgO単結晶な
どの酸化物単結晶、Si単結晶、SiC単結晶などのIV
族あるいはIV−IV族単結晶、GaAs単結晶、AlN単
結晶、GaN単結晶、及びAlGaN単結晶などのIII
−V族単結晶、ZrB2などのホウ化物単結晶などの公
知の基板材料を用いることができる。
る。
なHEMT20を作製した。基材1としてサファイア単
結晶基材を用い、これをMOCVD装置内に設置された
サセプタ上に載置した。次いで、前記サセプタ内のヒー
タにより、前記基材を1200℃まで加熱し、圧力を2
5Torrに設定した。
ルミニウム(TMA)を用い、窒素供給原料としてアン
モニアガス(NH3)を用い、これら原料ガスを水素キ
ャリアガスとともに、NH3/TMA=400となるよ
うにガス供給量を設定し、前記反応管内に導入するとと
もに、前記基材上に供給して、第1のIII族窒化物下地
層2としてのAlN下地膜を厚さ1μmに形成した。
基材温度を1050℃とし、Ga供給原料としてトリメ
チルガリウム(TMG)を用い、NH3/TMA=30
00となるようにガス供給量を設定し、前記AlN膜上
に供給して、第2のIII族窒化物下地層3としてのGa
N下地膜を厚さ3μmに形成した。なお、前記GaN下
地膜の形成初期の段階で、Cp2Mgを3×1016/
cm2の濃度となるような流量で流し、アクセプタ不純
物であるMgの存在領域Aを厚さ0.2μmに形成し
た。
0/0.3/1の流量比で、前記GaN下地膜上にこれ
らの原料ガスを供給するとともに、SiH4ガスを4×
1018/cm2の濃度となるような流量で供給して、
半導体層4としてのn−Al0.3Ga0.7N膜を厚
さ25nmに形成した。次いで、所定の電極を形成して
ホール効果測定を行った。次いで、前記n−Al0.3
Ga0.7N膜をエッチング除去し、10μmのギャッ
プをおいて所定の電極を形成してリーク電流の評価を行
った。その結果、二次元電子ガス濃度1.0×1013
/cm2、移動度1200cm2/Vsを実現し、20
V印加時のリーク電流値は0.1μA以下であった。
すようなHEMT10を作製した。作製条件は、第2の
III族窒化物下地層3であるGaN下地膜を形成する際
に、Cp2Mgを供給せず、アクセプタ不純物が存在す
る領域Aを形成しなかった以外は、実施例と同様にして
実施した。二次元電子ガス濃度1.0×1013/cm
2、移動度1200cm2/Vsを実現したものの、n
−Al0.3Ga0.7N膜をエッチング除去して評価
した20V印加時のリーク電流値は10μAであった。
うに、本発明にしたがって、第1のIII族窒化物下地層
2及び第2のIII族窒化物下地層3を構成するAlN下
地膜及びGaN下地膜の界面にアクセプタ不純物Mgが
存在するように、この不純物が存在する領域Aを形成し
た場合は、リーク電流が抑制されるとともに、電流遮断
特性に優れ、さらに不要なキャリアの存在による静電容
量も抑制されるため、高周波特性が優れていることが分
かる。
の実施の形態に基づいて詳細に説明したが、本発明は上
記発明の実施に形態に限定されるものではなく、本発明
の範疇を逸脱しない範囲であらゆる変更や変形が可能で
ある。
タ不純物が存在する領域Aを第2のIII族窒化物下地層
3内に存在する場合について示したが、第1のIII族窒
化物下地層2内に存在するようにすることもできる。ま
た、第1のIII族窒化物下地層2を形成した後、この下
地層2の極表面にのみイオン照射などによってアクセプ
タ不純物を吸着させ、ほぼ界面9のみにアクセプタ不純
物を存在するようにすることもできる。さらには、第2
のIII族窒化物下地層3内において、界面9からその膜
厚方向において、例えば連続的又はステップ状にアクセ
プタ不純物濃度が減少するようにすることもできる。
ャル基板をHEMTについて用いる場合について説明し
たが、その他の電子デバイス、例えばHBTなどにも用
いることができる。
の界面においてバッファ層やひずみ超格子などの多層積
層膜を挿入したり、成長条件を多段階としたりして、各
層の結晶品質を向上させることもできる。
シャル基板によれば、高速動作性などの特性を改善し、
GaN系材料からなる実用レベルの電子デバイスを提供
することができる。
Tの構成図である。
II族窒化物下地層、4半導体層、5 エピタキシャル基
板、6 ゲート電極、7 ソース電極、8ドレイン電
極、9 界面、10,20 HEMT
Claims (9)
- 【請求項1】単結晶材料からなる基材と、この基材上に
形成された少なくともAlを含む第1のIII族窒化物下
地層と、この第1のIII族窒化物下地層上に形成された
第2の窒化物下地層とを具え、少なくとも前記第1のII
I族窒化物下地層と前記第2のIII族窒化物下地層との界
面において、アクセプタ不純物を含むことを特徴とす
る、エピタキシャル基板。 - 【請求項2】前記アクセプタ不純物濃度が、1010/
cm2〜1020/cm 2であることを特徴とする、請
求項1に記載のエピタキシャル基板。 - 【請求項3】前記アクセプタ不純物は、前記第1のIII
族窒化物下地層及び前記第2のIII族窒化物下地層の前
記界面から、前記第2のIII族窒化物下地層中に、0.
01μm〜1μmの深さに侵入し、存在することを特徴
とする、請求項1又は2に記載のエピタキシャル基板。 - 【請求項4】前記アクセプタ不純物濃度が、前記第1の
III族窒化物下地層及び前記第2のIII族窒化物下地層の
前記界面から、前記第2のIII族窒化物下地層の厚さ方
向において減少していることを特徴とする、請求項1〜
3のいずれか一に記載のエピタキシャル基板。 - 【請求項5】前記第1のIII族窒化物下地層中のAl含
有量は、全III族元素に対して50原子%以上であるこ
とを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一に記載のエ
ピタキシャル基板。 - 【請求項6】前記第1のIII族窒化物下地層はAlNか
らなることを特徴とする、請求項5に記載のエピタキシ
ャル基板。 - 【請求項7】前記第1のIII族窒化物下地層の、(00
2)面のX線ロッキングカーブにおける半値幅が100
秒以下であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれ
か一に記載のエピタキシャル基板。 - 【請求項8】請求項1〜7のいずれか一に記載のエピタ
キシャル基板を含む、電子デバイス用エピタキシャル基
板。 - 【請求項9】請求項8に記載の電子デバイス用エピタキ
シャル基板を具えることを特徴とする、電子デバイス。
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JP2002081394A JP3987360B2 (ja) | 2002-03-22 | 2002-03-22 | エピタキシャル基板、電子デバイス用エピタキシャル基板、及び電子デバイス |
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- 2002-03-22 JP JP2002081394A patent/JP3987360B2/ja not_active Expired - Lifetime
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