JP2003279926A - 光偏向素子、光偏向デバイス、光偏向装置及び画像表示装置 - Google Patents

光偏向素子、光偏向デバイス、光偏向装置及び画像表示装置

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JP2003279926A JP2002086538A JP2002086538A JP2003279926A JP 2003279926 A JP2003279926 A JP 2003279926A JP 2002086538 A JP2002086538 A JP 2002086538A JP 2002086538 A JP2002086538 A JP 2002086538A JP 2003279926 A JP2003279926 A JP 2003279926A
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Yasuyuki Takiguchi
康之 滝口
Toshiaki Tokita
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ノイズ光の影響を除去できる光偏向素子を提
供する。 【解決手段】 入射光が素子法線方向から傾斜して入射
するケースでは、入射光の偏光方向と垂直な偏光成分が
混在し、偏光成分の一部は所定の位置に偏向されずにノ
イズ光となったり、また、光偏向素子による偏向方向
を、印加電界を変化させることにより切換える際に、液
晶分子の運動による散乱光に起因してノイズ光が発生し
たりするが、液晶5の光出射側に偏光フィルタ7よりな
るノイズ光除去手段を備えることにより、これらのノイ
ズ光成分を低減させることができるようにした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電気信号によって
光の方向を変える光偏向素子、光偏向デバイス、光偏向
装置及びこれらの光偏向素子又は光偏向デバイスを利用
した画像表示装置に関する。
【0002】
【定義】本明細書において、「光偏向素子」とは、外部
からの電気信号により光の光路を偏向、即ち、入射光に
対して出射光を平行にシフトさせるか、或る角度を持っ
て回転させるか、或いは、その両者を組合せて光路を切
換えることが可能な光学素子を意味する。この説明にお
いて、平行シフトによる光偏向に対してそのシフトの大
きさを「シフト量」と呼び、回転による光偏向に対して
その回転量を「回転角」と呼ぶものとする。「光偏向デ
バイス」とは、このような光偏向素子を含み、光の光路
を偏向させるデバイスを意味する。
【0003】また、「ピクセルシフト素子」とは、少な
くとも画像情報に従って光を制御可能な複数の画素を二
次元的に配列した画像表示素子と、画像表示素子を照明
する光源と、画像表示素子に表示した画像パターンを観
察するための光学部材と、画像フィールドを時間的に分
割した複数のサブフィールド毎に画像表示素子と光学部
材の間の光路を偏向する光偏向手段とを有し、光偏向手
段によりサブフィールド毎の光路の偏向に応じて表示位
置がずれている状態の画像パターンを表示させること
で、画像表示素子の見掛け上の画素数を増倍して表示す
る画像表示装置における光偏向手段を意味する。従っ
て、基本的には、上記定義による光偏向素子や光偏向デ
バイスを光偏向手段として応用することが可能といえ
る。
【0004】
【従来の技術】光偏向素子なる光学素子として、従来よ
り、KHPO(KDP),NHPO(AD
P),LiNbO,LiTaO,GaAs,CdT
eなど第1次電気光学効果(ポッケルス効果)の大きな
材料や、KTN,SrTiO,CS,ニトロベンゼ
ン等の第2次電気光学効果の大きな材料を用いた電気光
学デバイスや、ガラス、シリカ、TeOなどの材料を
用いた音響光学デバイスが知られている(例えば、青木
昌治編;「オプトエレクトロニックデバイス」、昭晃
堂)。これらは、一般的に、十分大きな光偏向量を得る
ためには光路長を長く取る必要があり、また、材料が高
価であるため用途が制限されている。
【0005】一方で、液晶材料を用いた光偏向素子なる
光学素子も各種提案されており、その数例を挙げると、
以下に示すような提案例がある。
【0006】例えば、特開平6−18940号公報によ
れば、光空間スイッチの光の損失を低減することを目的
に、人工複屈折板からなる光ビームシフタが提案されて
いる。内容的には、2枚のくさび形の透明基板を互いに
逆向きに配置し、これらの透明基板間に液晶層を挟んだ
光ビームシフタ及びマトリクス形偏向制御素子の後面に
光ビームシフタを接続した光ビームシフタが提案され、
併せて、2枚のくさび形の透明基板を互いに逆向きに配
置し、これらの透明基板間にマトリクス駆動が可能で、
入射光ビームを半セルシフトする液晶層を挟んだ光ビー
ムシフタを半セルずらして多段接続した光ビームシフタ
が提案されている。
【0007】また、特開平9−133904号公報によ
れば、大きな偏向を得ることが可能で、偏向効率が高
く、しかも、偏向角と偏向距離とを任意に設定すること
ができる光偏向スイッチが提案されている。具体的に
は、2枚の透明基板を所定の間隔で対向配置させ、対向
させた面に垂直配向処理を施し、透明基板間にスメクチ
ックA相の強誘電性液晶を封入し、前記透明基板に対し
て垂直配向させ、スメクチック層と平行に交流電界を印
加できるように電極対を配置し、電極対に交流電界を印
加する駆動装置を備えた液晶素子である。即ち、スメク
チックA相の強誘電性液晶による電傾効果を用い、液晶
分子の傾斜による複屈折によって、液晶層に入射する偏
光の屈折角と変位する方向を変化できるようにしたもの
である。
【0008】前者の特開平6−18940号公報例にお
いては、液晶材料にネマチック液晶を用いているため、
応答速度をサブmsにまで速めることは困難であり、高
速なスイッチングが必要な用途には用いることはできな
い。
【0009】また、後者の特開平9−133904号公
報例においては、スメクチックA相の強誘電液晶を用い
ているが、スメクチックA相は自発分極を持たないた
め、高速動作は望めない。
【0010】次に、ピクセルシフト素子に関して従来提
案されている技術を数例挙げて説明する。
【0011】例えば、特許第2939826号公報に示
されるように、表示素子に表示された画像を投写光学系
によりスクリーン上に拡大投影する投影表示装置におい
て、前記表示素子から前記スクリーンに至る光路の途中
に透過光の偏光方向を旋回できる光学素子を少なくとも
1個以上と複屈折効果を有する透明素子を少なくとも1
個以上を有してなる投影画像をシフトする手段と、前記
表示素子の開口率を実効的に低減させ、表示素子の各画
素の投影領域が前記スクリーン上で離散的に投影される
手段と、を備えた投影表示装置がある。
【0012】同公報例においては、偏光方向を旋回でき
る光学素子(旋光素子と呼ぶ)を少なくとも1個以上と
複屈折効果を有する透明素子(複屈折素子と呼ぶ)を少
なくとも1個以上を有してなる投影画像シフト手段(ピ
クセルシフト手段)によりピクセルシフトを行ってい
る。
【0013】しかし、問題点として、旋光素子と複屈折
素子とを組合せて使用するため、光量損失が大きいこ
と、光の波長によりピクセルシフト量が変動し解像度が
低下しやすいこと、旋光素子と複屈折素子との光学特性
のミスマッチから本来画像が形成されないピクセルシフ
ト外の位置に漏れ光によるゴースト等の光学ノイズが発
生しやすいこと、素子化のためのコストが大きいことが
挙げられる。特に、複屈折素子に前述したようなKH
PO(KDP),NHPO(ADP),Li
NbO,LiTaO,GaAs,CdTeなど第1
次電気光学効果(ポッケルス効果)の大きな材料を使用
した場合、顕著である。
【0014】また、特開平5−313116号公報に示
される投影機においては、制御回路により、画像蓄積回
路に蓄積した本来表示すべき画像を市松状に画素選択回
路へサンプリングして順次空間光変調器に表示し、投影
させ、さらに、制御回路により、この表示に対応させて
パネル揺動機構を制御して空間光変調器の隣接画素ピッ
チ距離を整数分の一ずつ移動させることで、本来表示す
べき画像を時間的な合成により再現するようにしてい
る。これにより、空間光変調器の画素の整数倍の分解能
で画像を表示可能にするとともに、画素の粗い空間光変
調器と簡単な光学系を用いて安価に投影機を構成可能と
している。
【0015】ところが、同公報例においては、画像表示
用素子自体を画素ピッチよりも小さい距離だけ高速に揺
動させるピクセルシフト方式が記載されており、この方
式では、光学系は固定されているので諸収差の発生が少
ないが、画像表示素子自体を正確かつ高速に平行移動さ
せる必要があるため、可動部の精度や耐久性が要求さ
れ、振動や音が問題となる。
【0016】さらに、特開平6−324320号公報に
よれば、LCD等の画像表示装置の画素数を増加させる
ことなく、表示画像の解像度を、見掛け上、向上させる
ため、縦方向及び横方向に配列された複数個の画素の各
々が、表示画素パターンに応じて発光することにより、
画像が表示される画像表示装置と、観測者又はスクリー
ンとの間に、光路をフィールド毎に変更する光学部材を
配し、また、フィールド毎に、前記光路の変更に応じて
表示位置がずれている状態の表示画素パターンを画像表
示装置に表示させるようにしている。ここに、屈折率が
異なる部位が、画像情報のフィールド毎に、交互に、画
像表示装置と観測者又はスクリーンとの間の光路中に現
れるようにすることで、光路の変更が行われるものであ
る。
【0017】同公報例においては、光路を変更する手段
として、電気光学素子と複屈折材料の組合せ機構、レン
ズシフト機構、バリアングルプリズム、回転ミラー、回
転ガラス等が記述されており、上記旋光素子と複屈折素
子を組合せてなる方式の他に、ボイスコイル、圧電素子
等によりレンズ、反射板、複屈折板等の光学素子を変位
(平行移動、傾斜)させ光路を切り替える方式が提案さ
れているが、この方式においては、光学素子を駆動する
ために構成が複雑となりコストが高くなる。
【0018】また、特開平10−133135 号公報
によれば、回転機械要素を不要化でき、全体の小型化、
高精度・高分解能化を実現でき、しかも、外部からの振
動の影響を受け難い光ビーム偏向装置が提案されてい
る。具体的には、光ビームの進行路上に配置される透光
性の圧電素子と、この圧電素子の表面に設けられた透明
の電極と、圧電素子の光ビーム入射面Aと光ビーム出射
面Bとの間の光路長を変化させて光ビームの光軸を偏向
させるために電極を介して圧電素子に電圧を印加する電
圧印加手段とを備えている。
【0019】同公報例では、透光性の圧電素子を透明の
電極で挟み、電圧を印加することで厚みを変化させて光
路をシフトさせる方式が提案されているが、比較的大き
な透明圧電素子を必要とし、装置コストがアップする
等、前述の特開平6−324320号公報の場合と同様
の問題点がある。
【0020】
【発明が解決しようとする課題】上述した従来技術の課
題を解決するため、本出願人は先に特願2002−12
479(平成14年1月22日出願、本出願時において
未公開)において、透明な一対の基板と、この基板間に
充填されたホメオトロピック配向をなすキラルスメクチ
ックC相よりなる液晶と、この液晶に電界を作用させる
一組以上の電界印加手段と、を備える光偏向素子及びこ
の光偏向素子を用いた画像表示装置を提案している。
【0021】本出願人による改良された上記提案例のよ
うな液晶を用いる光偏向素子においても、まだ、以下の
ような不具合がある。
【0022】 例えば、入射光が素子法線方向から傾
斜して入射する場合など、出射光の偏光状態が複屈折に
よって入射光の偏光状態と異なる場合がある。即ち、入
射光の偏光方向と垂直な偏光成分が混在するようにな
る。この偏光成分の一部は所定の位置に偏向されずにノ
イズ光となる。
【0023】 光偏向素子による偏向方向を、印加電
界を変化させることにより切換える際に、液晶分子の運
動による散乱光が発生し、これがノイズ光となる。特
に、画像表示装置等にあっては、フレーム切換時に顕著
に発生し、画像が劣化してしまう。
【0024】画像表示装置等への利用を考えた場合に
は、の不具合を抑制する必要上、斜め入射光成分を光
偏向素子に入射させる前後で大幅にカットせざるを得な
いが、これでは、照明光の広角成分まで有効に利用する
ことができず、光利用効率が低下してしまう。
【0025】また、偏向方向を4方向に設定するため
に、例えば第一、第二の光偏向素子を直列に配置した光
偏向デバイスにおいても、第一の光偏向素子からの出射
光のこれらのノイズ成分を除去せずに偏光方向切換手段
及び後段の第二の光偏向素子に入射させた場合、そのノ
イズ成分は偏光方向切換手段によって偏光方向が切換え
られ、後段の第二の光偏向素子で光偏向を受けず直進し
てしまうため、本来の光偏向位置とは異なる位置に受光
されることになる。
【0026】本発明は、これらのノイズ光の影響を除去
することができる光偏向素子及び光偏向デバイス並びに
これらを用いた光偏向装置及び画像表示装置を提供する
ことを目的とする。
【0027】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明の光
偏向素子は、透明な一対の基板と、これらの基板間に充
填された液晶と、この液晶に電界を作用させる一組以上
の電界印加手段と、前記液晶の光出射側に配設された偏
光フィルタよりなるノイズ光除去手段と、を備える。
【0028】従って、偏光フィルタよりなるノイズ光除
去手段を液晶の光出射側に備えることにより、ノイズ光
成分を低減させることができる。このため、画像表示装
置或いは撮像装置に利用する際には、ノイズ光によって
画像が劣化してしまうような不具合を解消することが可
能となる。具体的には、斜め入射光成分を光偏向素子に
入射させる前後で大幅にカットさせる必要がなくなり、
照明光の広角成分まで有効に利用することができるた
め、光利用効率を向上させることができる。フレーム切
換時に顕著に発生するノイズ光に関しても、画像劣化を
低減させることができる。さらには、光スイッチに利用
する上でも、SN比を向上させ、エラー発生を低減させ
ることができる上に、光検出系の精度を緩めることがで
き、光スイッチの使用温度範囲を広めることが可能とな
る。
【0029】請求項2記載の発明は、請求項1記載の光
偏向素子において、前記液晶が、ホメオトロピック配向
をなすキラルスメクチックC相よりなり、前記液晶の分
子長軸方向を平均化した方向として定まる光学軸の方向
を、前記電界印加手段による電界の印加により所定方向
に向けた状態で、一方の基板面から他方の基板面に向か
って前記光学軸を投影して得られる投影光学軸方向が、
前記偏光フィルタの透過光軸方向と一致している。
【0030】従って、請求項1記載の発明を実現する上
で、液晶の分子長軸方向を平均化した方向として定まる
光学軸の方向を、電界印加手段による電界の印加により
所定方向に向けた状態で、一方の基板面から他方の基板
面に向かって光学軸を投影して得られる投影光学軸方向
に透過光軸を一致させた偏光フィルタを光出射側に設置
することで、ノイズ光の除去を良好かつ有効に行える。
また、偏光フィルタはフィルム状のものを用いることが
できるため、従来構成の光偏向素子に比較して大型化す
ることなく、目的とする機能を発揮させることができ
る。
【0031】請求項3記載の発明は、請求項1記載の光
偏向素子において、前記一対の基板が、対向する一方の
基板表面に対し他方の基板表面が傾斜した領域を有し、
前記液晶が、ホメオトロピック配向をなすキラルスメク
チックC相よりなり、前記液晶の電界印加による回転軸
が、前記偏光フィルタの透過光軸方向と45°の角をな
すよう配置されている。
【0032】従って、対向する一方の基板表面に対し他
方の基板表面が傾斜した領域を有する一対の基板と、こ
れらの基板間に設けられるキラルスメクチックC液晶
と、この液晶に電界を作用させる一組以上の電界印加手
段と、を備える光偏向素子においても、偏光フィルタを
備えることにより、前述したような原因に伴うノイズ光
を、有効に除去することができる。この際、偏光フィル
タの透過光軸方向を液晶の電界印加による回転軸と45
°の角をなすように設定することで、電界印加により得
られる出射光の光量を一致させることができる。
【0033】請求項4記載の発明の光偏向デバイスは、
透明な一対の基板と、これらの基板間に充填されたホメ
オトロピック配向をなすキラルスメクチックC相よりな
る液晶と、この液晶に電界を作用させる一組以上の電界
印加手段と、を各々備える第一及び第二の光偏向素子
と、光入射側から順に直列に配列されたこれらの第一及
び第二の光偏向素子間に設置されて、前記第一の光偏向
素子からの出射光の偏光方向を前記第二の光偏向素子の
偏向方向に揃える偏光方向切換手段と、この偏光方向切
換手段と前記第二の光偏向素子との間に配置された偏光
フィルタよりなるノイズ光除去手段と、を備える。
【0034】従って、偏向方向を4方向に設定するため
に光偏向素子を直列に配置した光偏向デバイスにおいて
も、効果的なノイズ光除去を行える。また、第一の光偏
向素子と偏光方向切換手段との間に偏光フィルタを配置
した場合と比べ、偏光方向切換手段と第二の光偏向素子
との間に配置した場合は、偏光方向切換手段で発生した
ノイズ光も同時に除去できるため、よりノイズ光の除去
効果が高いものとなる。特に、入射光の波長が多重化さ
れている場合、偏光方向切換手段における偏光方向切換
性能に波長依存性がある場合が多いので、さらに効果が
大きい。もっとも、複数(二つ以上)の光偏向素子を直
列に配置し、各光偏向素子間に偏光方向切換手段が対応
して配置される光偏向デバイスにおいては、偏光方向切
換手段と光偏向素子との間に偏光フィルタを配置させる
ことで同様の効果を得ることができる。
【0035】請求項5記載の発明の光偏向装置は、請求
項1,2又は3記載の光偏向素子又は請求項4記載の光
偏向デバイスによる光偏向手段と、この光偏向手段の光
出射側に設けられて、当該光偏向手段において所定領域
外を進行するノイズ光を遮蔽する開口部材と、を備え
る。
【0036】従って、光偏向手段による偏向方向を、印
加電界を変化させることにより切換える際に、液晶分子
の運動による散乱光が発生し、このような原因によるノ
イズ光は、いわゆる散乱成分が主であり液晶部を輝点と
して球状に発せられるものであるが、光偏向素子の後段
(光出射側)に、光偏向素子において所定領域外を通過
するノイズ光を遮蔽する開口部材を設けることで、良好
にノイズ光除去が行える。
【0037】請求項6記載の発明の画像表示装置は、画
像情報に従って光を制御可能な複数の画素を二次元的に
配列した画像表示素子と、この画像表示素子を照明する
光源と、前記画像表示素子に表示した画像パターンを観
察するための光学部材と、画像フィールドを時間的に分
割した複数のサブフィールド毎に前記画像表示素子と前
記光学部材の間の光路を偏向する請求項1,2又は3記
載の光偏向素子又は請求項4記載の光偏向デバイスによ
る光偏向手段と、を備える。
【0038】従って、請求項1,2又は3記載の光偏向
素子又は請求項4記載の光偏向デバイスによる光偏向手
段を備えることにより、入射光の偏光方向と垂直な偏光
成分が混在することに起因して、偏光成分の一部は所定
の位置に偏向されずに発生するノイズ光を有効に除去す
ることができ、よって、入射光の偏光方向と垂直な偏光
成分が混在するために発生するコントラスト低下を防ぐ
ことができ、良好な画像を得ることができ、高精細表示
が可能な画像表示装置を提供することができる。
【0039】請求項7記載の発明の画像表示装置は、画
像情報に従って光を制御可能な複数の画素を二次元的に
配列した画像表示素子と、この画像表示素子を照明する
光源と、前記画像表示素子に表示した画像パターンを観
察するための光学部材と、画像フィールドを時間的に分
割した複数のサブフィールド毎に前記画像表示素子と前
記光学部材の間の光路を偏向する光偏向手段と、この光
偏向手段の光出射側に設けられて、当該光偏向手段にお
いて発生するノイズ光を除去するための開口部材と、を
備える。
【0040】従って、光偏向手段による偏向方向を、印
加電界を変化させることにより切換える際に、液晶分子
の運動による散乱光が発生することに起因するノイズ光
は光偏向手段の光出射側に設けられて、当該光偏向手段
において発生するノイズ光を除去するための開口部材に
よって有効に除去することができ、よって、液晶スイッ
チング時に発生する散乱光を低減することができるた
め、これによるコントラスト低下を防ぐことができ、良
好な画像が得られる画像表示装置を提供することができ
る。
【0041】
【発明の実施の形態】本発明の第一の実施の形態を図1
ないし図6に基づいて説明する。図1は、本実施の形態
の光偏向素子1の原理的構成例を示す断面図である。こ
の光偏向素子1においては、まず、一対の透明な基板
2,3が対向配置させて設けられている。そして、少な
くとも一方、ここでは基板2側内面には配向膜4が形成
されており、この配向膜4と他方の基板3との間にはキ
ラルスメクチックC相よりなる強誘電液晶なる液晶5が
充填されている。
【0042】このような一対の基板2,3及び液晶5を
有する構造体に対して、目的とする光偏向方向に対応さ
せて電極6a,6bによる一対の電極対6が配置され、
電源21に接続されている。電極対6は電界印加手段と
して機能するもので、光路と重ならない位置で当該光偏
向素子1の液晶回転軸に対して略垂直方向に電界ベクト
ルが向くように設置されている。電極6a,6bは、基
板2,3と一体化させて設けても、分離させて設けても
良い。また、液晶5の膜厚を規定するためのスペーサを
電極に兼用することも可能である。
【0043】光進行方向の液晶の後段(光出射側)に
は、ノイズ光除去手段として機能する偏光フィルタ7が
基板3に密着させて設置されている。この偏光フィルタ
7の動作については後述する。
【0044】入射光は、電極対6より形成される電界の
方向によって偏向を受け、第1の出射光若しくは第2の
出射光の何れかの光路をとる。
【0045】ここで、液晶5に関して説明する。「スメ
クチック液晶」は、液晶分子の長軸方向を層状に配列し
てなる液晶分子である。このような液晶に関し、上述の
層の法線方向(層法線方向)と液晶分子の長軸方向とが
一致している液晶を「スメクチックA相」、法線方向と
一致していない液晶を「キラルスメクチックC相」と呼
んでいる。キラルスメクチックC相よりなる強誘電液晶
5は、一般的に外部電界が働かない状態において各層毎
に液晶分子方向が螺旋的に回転しているいわゆる螺旋構
造をとり、キラルスメクチックC相反強誘電液晶は各層
毎に液晶分子が対向する方向を向く。これらのキラルス
メクチックC相よりなる液晶は、不斉炭素を分子構造に
有し、これによって自発分極しているため、この自発分
極Psと外部電界Eにより定まる方向に液晶分子が再配
列することで光学特性が制御される。
【0046】なお、本実施の形態等では、液晶5として
強誘電液晶を例に採り光偏向素子1の説明を行うが、反
強誘電液晶の場合にも同様に使用することができる。
【0047】キラルスメクチックC相よりなる強誘電液
晶の構造は、主鎖、スペーサ、骨格、結合部、キラル部
などよりなる。主鎖構造としてはポリアクリレート、ポ
リメタクリレート、ポリシロキサン、ポリオキシエチレ
ンなどが利用可能である。スペーサは分子回転を担う骨
格、結合部、キラル部を主鎖と結合させるためのもので
あり、適当な長さのメチレン鎖等が選ばれる。また、カ
イラル部とビフェニル構造など剛直な骨格とを結合する
結合部には−COO−結合等が選ばれる。
【0048】本実施の形態の光偏向素子1においては、
キラルスメクチックC相よりなる強誘電液晶5は配向膜
4により基板2,3面に垂直に分子螺旋回転の回転軸が
向いており、いわゆるホメオトロピック配向をなす。こ
のようなホメオトロピック配向のための配向法として
は、従来より行われている方法を適用することができ
る。即ち、ずり応力法、磁場配向法、温度勾配
法、SiO斜法蒸着法、光配向法等が挙げられる
(例えば、竹添、福田「強誘電性液晶の構造と物性」コ
ロナ社、p235 参照)。
【0049】本実施の形態の光偏向素子1の特徴の1つ
は、ITO膜等による透明電極パターンを素子内に形成
する必要がないため、これによる光損失がない点と、素
子の光が透過する部分の層構成が簡単で製造コストが抑
制できる点にある。ただし、透明電極パターンを素子内
に形成することでも十分機能させることは可能である。
また、キラルスメクチックC相はネマチック液晶に比較
して極めて高速な応答性を有しており、サブmsでのス
イッチングが可能である点も特徴である。また、電界方
向に対して液晶分子方向が一義的に決定され、或る電界
強度以上でダイレクタの方向が固定されるため、電界強
度に比例したダイレクタ角度をとる電傾効果を利用した
スメクチックA相よりなる液晶に比べ、ダイレクタ方向
の制御が容易であり扱いやすい。
【0050】また、ホメオロトピック配向をなすキラル
スメクチックC相よりなる液晶5は、ホモジニアス配向
(液晶分子が基板面に平行に配向している状態)をとる
場合に比べて、液晶分子の動作が基板2,3からの規制
力を受けにくく、外部電界方向の調整で光偏向方向の制
御が行いやすく、必要電界が低いという利点を有する。
また、液晶分子がホモジニアス配向している場合、電界
方向だけでなく基板面に液晶分子が強く依存するため、
光偏向素子の設置についてより位置精度が求められるこ
とになる。逆に、本実施の形態のようなホメオロトピッ
ク配向の場合は、光偏向に対して光偏向素子1のセッテ
ィング余裕度が増す。これらの特徴を活かす上で、厳密
に螺旋軸を基板2,3面に垂直に向ける必要はなく、或
る程度傾いていても差し支えない。例えば、螺旋構造を
なす側面の一部が基板2,3に垂直であって螺旋軸その
ものは基板法線方向から傾いている状態であっても、液
晶分子が基板2,3からの規制力を受けずに2つの方向
を向くことが可能であればよい。
【0051】次に、本実施の形態の光偏向素子1の動作
原理について図2及び図3を参照して説明する。図2
(a)は、図1に示した構成に関して液晶配向を模式的
に示したものである。ただし、図1では電界が上下方向
に印加されるように描いているが、図2(a)では便宜
上紙面表裏方向に印加されるように描いており、電界は
紙面表裏方向に発生するものとする。また、電界方向は
目的とする光の偏向方向に対応して電源21により切換
えられる。図2(a)における電極6a,6bは、上述
したように基板2,3と一体化してもまた分離して設け
てもよい。
【0052】また、当該光偏向素子1に対する入射光は
直線偏光であり、その偏光方向は図2(a)中上下の矢
印に示す通り上下方向であって(以後、同様に偏光方向
については上下或いは左右の矢印で入射光に重ねて示
す)、その偏光方向に電界方向が直交するように電極6
a,6bは対向配置される。また、液晶5の膜厚を規定
するためのスペーサを電極に兼用することも可能であ
る。何れの場合においても、電極6a,6bからの漏洩
電界が当該光偏向素子1周辺の機器に悪影響を及ぼさな
いように電磁シールドを設けるのが好ましい。液晶分子
8は印加される電界方向によって前述の通り螺旋的に配
向方向を採ることが可能であり、図にはその採り得る配
向状態をコーン状に示している。
【0053】図2(a)においてXYZ直交座標系を図
示する通りにとったときの液晶5内のXZ断面を図3に
示す。図3に示す通り、液晶分子8は、十分大きな電界
であれば、その電界方向によって第1の配向状態又は第
2の配向状態の何れかの状態(図3(b)参照)をとっ
て分布する。θは液晶回転軸からの液晶分子8のチルト
角であり、以後、単に「チルト角」と呼ぶ。液晶5の自
発分極Psが正でありY軸正方向(紙面上向き)に電界
Eがかかっているものとすると、液晶分子8は液晶回転
軸が略基板垂直方向であるため図3(b)に示す第1の
配向状態の方向と一致する。
【0054】液晶5の長軸方向の屈折率をne、短軸方
向の屈折率をnoとすると、入射光として、偏光方向を
Y軸方向に持つ直線偏光を選びX軸正方向に入射光が進
むとき、光は液晶5内で常光として屈折率noを受け直
進し、図3(a)中のa方向に進む。即ち、光偏向は受
けない。
【0055】一方、偏光方向がZ軸方向である直線偏光
が入射するとき、入射方向の屈折率は液晶分子8の方向
及び屈折率no,neの両者から求められる。より詳し
くは、屈折率no,neを主軸に持つ屈折率楕円体にお
いて楕円体中心を通過する光の方向との関係から求めら
れるが、ここでは詳細は省略する。光は屈折率no,n
e及び液晶分子8の方向(チルト角θ)に対応した偏向
を受け、図3(a)中のa(第1の配向状態の場合)に
示す方向にシフトする。
【0056】いま、液晶5の厚み(ギャップ)をdとす
るときシフト量Sは以下の式で表される(例えば、「結
晶光学」応用物理学会、光学懇話会編、p198参照)。
【0057】 S=[(1/no)2−(1/ne)2]sin(2θ・d) ÷[2((1/ne)2sin2θ+(1/no)2cos2θ)] ……(1) また、電界方向を反転させた時、液晶分子8は図3にお
いてX軸を中心とした線対称の配置(第2の配向状態)
を取り、偏光方向がZ軸方向である直線偏光の進行方向
は図3(a)中のb′に示す通りとなる。
【0058】従って、この直線偏光に対して液晶5に作
用させる電界方向を制御することで、bとb′との2位
置、即ち、2S分の光偏向が可能となる。
【0059】液晶5の材料の代表的物性値(no=1.
6,ne=1.8)に対して得られる光偏向量について
光偏向量Sを計算した結果を図4に示す。θ=45°付
近が最も光偏向量が大きい。仮に、液晶分子8のチルト
角θが22.5°のとき、2S=5(μm)の偏向量を
得るためには、ここに示される通り、液晶の厚みを32
μm厚に設定すれば良い。また、ホメオトロピック配向
強誘電液晶において、約700V/cmの電界に対して
0.1msの応答速度が報告されており(Ozaki他、J.
J.Appl.Physics、Vol.30、No.9B、pp2366-2368(1991)
参照)、サブmsオーダの十分高速な応答速度が得られ
る。
【0060】また、キラルスメクチックC相よりなる液
晶においては、チルト角θは温度Tにより変化し、相転
移点をTcとすると、θ∝(T−Tc)βなる関係があ
る。βは材料により異なるが0.5程度の値をとる。こ
の特性を利用した温度制御で光偏向量を制御することも
可能である。
【0061】例えば、仮にチルト角θとして上記の2
2.5°を設定し、これに対応する温度をTθ=22.
5°とすれば、T>Tθ=22.5°ではθ<22.5
°であり、T<Tθ=22.5°ではθ>22.5°で
あるため、温度によりチルト角θを制御でき、これによ
って光偏向量を制御できることとなる。また、位置制御
に関しては、電界による微調を同様に行うことができ、
温度、電界或いはその両者の組合せにより適切な光偏向
を達成できる。
【0062】以上は、電界強度がEs以上で螺旋構造が
解けてチルト角θが光学軸の傾斜角に等しい場合につい
て説明したが、電界強度がEs以下の場合には、上記θ
を液晶分子方向を平均化した光学軸の傾斜角として扱え
ば良い。
【0063】入射光が素子法線方向から傾斜して入射す
る場合、出射光の偏光状態が複屈折によって入射光の偏
光状態と異なる場合がある。即ち、入射光の偏光方向と
垂直な偏光成分が混在するようになる。この偏光成分は
(1)式に示す所定の偏向を受けずにノイズ光となる。
【0064】図5はこの偏光成分を計算により求めたも
のである。計算に用いた諸条件を図6により説明する。
図6において、光偏向素子1はクロスニコル配置された
偏光子9,10に挟まれ配置される。照明光は波長55
0nmの無偏光であって、基板法線方向から所定の角度
傾いた状態で入射される。この傾きは、基板法線方向を
X軸、液晶分子の傾き方向をZ軸、X軸、Z軸に垂直な
方向をY軸にとった場合、X軸からの傾き角(極角)を
θ、Z軸から反時計回り方向を正方向にした方位角をφ
として表現する。照明光は偏光子9により直線偏光化さ
れ光偏向素子1に入射する(この直線偏光化された成分
を“入射光”と呼ぶ)。また、偏光子9(又は10)は
理想的に、全ての波長範囲においてZ(Y)方向の偏光
成分のみ透過し、Y(Z)方向成分は全て吸収するもの
とする。液晶は波長550nmにおいてno(常光屈折
率)=1.48、ne(異常光屈折率)=1.58と
し、チルト角は22.5°、ギャップ50μmに設定し
ている。
【0065】図5に示す通り、方位角(Azimuth Angl
e)によって、入射光に対する出射光におけるノイズ光
比率(Transmittance)は大きく変化し、極角(Pola
Angle)が大きいほどこの比率が高くなる。
【0066】このノイズ光成分を効果的に除去するため
には、図1に示す通り、液晶の後段(光出射側)に所定
方向の偏光成分のみ透過させる(この方向を“透過光
軸”と呼ぶ)偏光フィルタ7を配置すれば良い。この場
合、所定方向とは、投影光学軸方向である。図2(b)
には基板3(図示せず)から基板2に投影された液晶分
子の方向(Cダイレクタ)8bを示す。各液晶分子が均
一な方向に配向している場合、投影光学軸方向はCダイ
レクタ方向と一致する。
【0067】偏光フィルタとは、入射光に対して或る定
められた方向の直線偏光成分のみを透過し、これと垂直
な成分を反射、又は吸収する光学素子である。本実施の
形態においては、偏光フィルタ7としては、市販されて
いるものを適用することが可能で、例えば、金属薄膜偏
光子、ダイクロイック偏光子、カルサイト等の複屈折材
料を用いた各種プリズムなどを適用できる。特に、比較
的安価で可視光域に効率の優れるダイクロイック偏光子
を好適に用いることができる。
【0068】本発明の第二の実施の形態を図7に基づい
て説明する。前述した実施の形態の場合と同一又は相当
する部分は同一符号を用いて示し、説明も省略する(以
降の各実施の形態でも順次同様とする)。
【0069】図7は、偏向方向が互いに所定角90°傾
いた方向に設置された図2(a)に示す2つの光偏向素
子1A(第一の光偏向素子),1B(第二の光偏向素
子)がこの順に直列に配列され、これらの光偏向素子1
A,1B間に、第一の光偏向素子1Aからの出射光の偏
光方向を第二の光偏向素子1Bの偏向方向に揃える偏光
方向切換手段22を備え、かつ、偏光方向切換手段22
と第二の光偏向素子1Bとの間に、偏光フィルタ7aを
配置した光偏向デバイス11である。
【0070】このような光偏向デバイス11によれば、
光偏向素子1Aにおいて上下方向(Z軸方向)に2位置
光シフトが行われ、光偏向素子1Bにおいて光偏向素子
1Aのシフト方向から90°方向に2位置の光シフトが
行われるため、デバイス全体としては合計4位置に光を
シフトさせることが可能となる。
【0071】この光偏向デバイス11に入射する光は、
図7に示す通り、Z軸方向に偏光方向を有しており、光
進行方向に対して前段側の光偏向素子1Aにおいて上下
方向(Z軸方向)に偏向を受けた後、偏光方向切換手段
22によって偏光方向を90°回転させて後段の偏光フ
ィルタ7a、光偏向素子1Bに入射する。光偏向素子1
Aでは前述の通り、斜め方向から入射する光の一部がノ
イズ光成分となり出射するが、このノイズ光成分は偏光
方向切換手段22において、通常光と同様に偏光面を所
定角度(90°)切換えて進行することになるため、第
二の光偏向素子1Bにそのまま入射させるとこのノイズ
光成分は何ら偏向を受けることなく直進してしまい、ノ
イズが解消されることはない。また、仮に第二の光偏向
素子1Bの後段に偏光フィルタを設けても、この成分に
ついては除去することはできない。従って、このノイズ
光成分を効果的に除去するためには、第一の光偏向素子
1Aと第二の光偏向素子1Bの間に偏光フィルタ7aを
設けるのがよい。さらに好ましくは、偏光方向切換手段
22によりやはりノイズ光が発生するので、この成分を
も除去することが可能な、偏光方向切換手段22と第二
の光偏向素子1Bとの間に偏光フィルタ7aを配置する
のが好適である。また、図では第二の光偏向素子1Bか
らの出射光に対してノイズ光を除去するための偏光フィ
ルタ7bも設けており、第一の実施の形態で述べた効果
を偏光フィルタ7bにより得ることができる。
【0072】ここに示す実施の形態においては、光偏向
素子1A,1Bにおける偏向方向の相対角度が90°の
場合を示したが、これ以外の角度に設定することも可能
であり、その場合の偏光フィルタ7aの透過光軸は第二
の光偏向素子1Bへ入射させる偏光方向に一致させる。
【0073】偏光方向切換手段22としては、ファラデ
ー回転素子やツイスト構造を有する液晶素子などを用い
ることができ、偏光方向回転角φ1は前記φ2と略一致す
るよう設定される。特に、ツイスト構造を有する液晶素
子は、波長による偏光方向回転角のバラツキを比較的小
さく設定可能であるため、多波長よりなる光を扱う場合
に好適である。
【0074】ツイスト構造を有する液晶素子としては、
いわゆる低分子ツイストネマティック液晶を、前記φ
のツイスト角が得られるように互いに配向処理を施した
一対の透明基板中に充填した構造をなす素子や、或いは
高分子によりツイスト構造を形成した液晶素子等が用い
られる。高分子によりツイスト構造を形成した液晶素子
においては一対の透明基板を用いることなく、例えば、
ベースフィルム上に直接液晶を構成することができるた
め、厚みを抑えることが可能となり、省スペース化の観
点から好ましい。
【0075】また、偏光方向切換手段22として、雲
母、水晶等の複屈折性材料により形成される1/2波長
板を使用することも可能である。これらの材料は温度に
よる特性変動が比較的少なく、温度変化の大きい環境で
の使用時に特に有用である。
【0076】ここでは、4方向にシフトさせるための実
施の形態を述べたが、複数(二つ以上)の光偏向素子1
A,1B,…,1Nを直列に配置し、各光偏向素子1
A,1B,…,1N間に偏光方向切換手段22が対応し
て配置される光偏向デバイスにおいては、図8に示すよ
うに、偏光方向切換手段22とその後段の光偏向素子1
との間に各々偏光フィルタ7を配置させることで同様の
効果を得ることができる。
【0077】本発明の第三の実施の形態を図9ないし図
11に基づいて説明する。図9は、本実施の形態の光偏
向素子1の原理的構成例を示す断面図である。一対の透
明基板2′,3と、透明基板2′,3間に設けられるキ
ラルスメクチックC液晶よりなる液晶層5と、該キラル
スメクチックC液晶に電界を付与するための液晶層5側
の基板表面に設けられた一対の透明電極(図示せず)と
を有する。光の入射する側の透明基板2′の液晶層側基
板表面は、他方の基板表面に対して所定角度ψ傾斜した
構造をとるように鋸歯状に表面加工されている。液晶層
5はホモジニアス配向された状態で存在し、鋸歯状構造
の稜線と略平行に液晶分子長軸が配向する状態31(第
一の配向状態と呼ぶ)と略垂直に配向する状態32(第
二の配向状態と呼ぶ)をとる。
【0078】鋸歯状構造を形成する方法としては、ガラ
ス基板に対してエッチングしたり、原盤を熱加圧転写し
たり、透明プラスチック材料を射出成形等したりする方
法が従来から工業化されており、これらの手法を利用す
ることが可能である。
【0079】光進行方向の液晶の後段には、ノイズ除去
手段として機能する偏光フィルタ7が基板3と密着し設
置されている。この偏光フィルタ7の動作については前
述の通りである。
【0080】入射光は液晶分子の状態31,32によっ
て、常光或いは異常光として振る舞い、各々の屈折率に
応じた屈折を受ける。図では常光屈折率が基板屈折率と
同等で入射光は直進し(図中直線矢印)、異常光屈折率
がそれより大きく上方向に屈折する(同破線矢印)場合
について示している。
【0081】液晶の配向状態31,32が互いに垂直な
関係(チルト角として45°)であれば、何れかの配向
状態と平行に入射偏光方向を設定することでノイズ光の
発生は極めて小さく抑えられるが、実際には45°以下
のものを使用することが多い。この場合、入射偏光方向
と液晶分子とのズレ角に応じたノイズ光が発生する。
【0082】図10はこの場合の、入射光に対して出射
するノイズ光の比率(Transmittance)を示すもので、
図中に示すズレ角(2°〜10°)の増加に伴ってノイ
ズ光比率が増加することを示している。ここでの計算は
簡単のため平行平板間にne−no(=Δn)=0.
2、厚み2μmの液晶を充填した場合の系を計算してい
る。鋸歯状構造の基板2',3間に充填した場合も基本
的には同様の傾向を示すと考えてよい。
【0083】このノイズ光成分を効果的に除去するため
には、図9に示す通り、液晶の後段に所定方向の偏光成
分のみ透過させる偏光フィルタ7を配置すれば良い。こ
の場合、所定方向とは、前記液晶配向状態31,32に
対する回転軸と45°をなす角が好適であり、この方向
に入射光偏光方向を一致させることで、ノイズ光の効果
的な除去のみならず、出射光の両者(図9中の実線と破
線で示される)の光量を一致させることができる。図1
1はこの配置を示すものである。図11中、矢印Dは偏
光フィルタ透過光軸方向及び入射光偏光方向を示してい
る。
【0084】偏光フィルタ7としては市販されているも
のを適用することが可能で、例えば、金属薄膜偏光子、
ダイクロイック偏光子、カルサイト等の複屈折材料を用
いた各種プリズムなどを適用できる。特に、比較的安価
で可視光域に効率の優れるダイクロイック偏光子が好適
に用いることができる。
【0085】本発明の第四の実施の形態を図12に基づ
いて説明する。図12では、透明な一対の基板と、これ
らの基板間に充填された液晶と、この液晶に電界を作用
させる一組以上の電界印加手段と、液晶の後段(光出射
側)に偏光フィルタを設けてなる前述したような光偏向
素子1、レーザ光源13、フォトダイオードよりなり光
偏向の各々の光に対応した位置に設けられる受光器14
a,14b及び光偏向素子1の後段(光出射側)に配置
されて、光偏向素子1において散乱し所定領域外を進行
するノイズ光を遮蔽する所定の大きさの開口部15aと
非透過部15bとを有する開口部材15とよりなる光学
系である。光偏向素子1と開口部材15とにより光偏向
装置16が構成されている。ここでいう所定領域とは、
光偏向による各々の光が進行し受光器14a,14bに
有効に取込まれるべき光線の含む範囲のことである。
【0086】従来例の課題の欄で前述したによるノイ
ズ光は、いわゆる散乱光であり液晶部を輝点として半球
状に発せられるものである。入射光の進行方向から除去
手段として、光偏向素子1の後段(光出射側)に、光偏
向素子1において所定領域外を通過するノイズ光を遮蔽
する開口部材15を設けることで、良好なノイズ光除去
が行える。開口部15aを囲む非透過部15bは光吸収
する材質で形成し反射を生じないようにするのが好まし
い。
【0087】本発明の第五の実施の形態を図13に基づ
いて説明する。本実施の形態は、画像表示装置80への
適用例を示す。図13において、81はLEDランプを
2次元アレイ状に配列した光源であり、この光源81か
らスクリーン86に向けて発せられる光の進行方向には
拡散板82、コンデンサレンズ83、画像表示素子とし
ての透過型液晶パネル84、画像パターンを観察するた
めの光学部材としての投射レンズ85が順に配設されて
いる。87は光源81に対する光源ドライブ部、88は
透過型液晶パネル84に対するドライブ部である。
【0088】ここに、透過型液晶パネル84と投射レン
ズ85との間の光路上にはピクセルシフト素子として機
能する光偏向手段89が介在されており、ドライブ部9
0に接続されている。このような光偏向手段89とし
て、第一の実施の形態示した光偏向素子1或いは第二の
実施の形態で示した光偏向デバイス11が用いられる。
【0089】光源ドライブ部87で制御されて光源81
から放出された照明光は、拡散板82により均一化され
た照明光となり、コンデンサレンズ83により液晶ドラ
イブ部88で照明光源と同期して制御されて透過型液晶
パネル84をクリティカル照明する。この透過型液晶パ
ネル84で空間光変調された照明光は、画像光として光
偏向手段89に入射し、この光偏向手段89によって画
像光が画素の配列方向に任意の距離だけシフトされる。
この光は投射レンズ85で拡大されスクリーン86上に
投射される。
【0090】ここに、光偏向手段89により画像フィー
ルドを時間的に分割した複数のサブフィールド毎の光路
の偏向に応じて表示位置がずれている状態の画像パター
ンを表示させることで、透過型液晶パネル84の見掛け
上の画素数を増倍して表示する。このように光偏向手段
89によるシフト量は透過型液晶パネル84の画素の配
列方向に対して2倍の画像増倍を行うことから、画素ピ
ッチの1/2に設定される。シフト量に応じて透過型液
晶パネル84を駆動する画像信号をシフト量分だけ補正
することで、見掛け上高精細な画像を表示することがで
きる。この際、光偏向手段89として、前述した各実施
の形態のような光偏向素子1或いは光偏向デバイス11
を用いているので、光の利用効率を向上させ、光源81
の負荷を増加することなく観察者により明るく高品質の
画像を提供できる。
【0091】本発明の第六の実施の形態を図14に基づ
いて説明する。本実施の形態は、図13に示した画像表
示装置80において、光偏向手段89の後段(光出射
側)に、光偏向手段89において発生するノイズ光を除
去するための所定の大きさの開口部91aと非透過部9
1bとを有する開口部材91が追加されている。この開
口部材91は投射レンズ85の前後、又は、投射レンズ
85が多群のレンズにより構成される場合は、それらの
レンズ間においてもよい。何れの場合でも、光偏向手段
89の液晶スイッチングに伴い発生する散乱光を遮蔽
し、スクリーン86で結像するための光を遮らない位置
に配置するようにする。
【0092】
【実施例】[実施例1]2枚の透明基板(厚さ1.1m
m)を用意し、基板の片面に各々配向剤JALS202
1−R2(JRS製)を約600Åの厚さに塗布した
後、燒結した。透明ガラス基板を配向剤塗布面が内側に
なるよう向かい合わせ、ギャップ50μmを光透過領域
外に配したスペーサで確保した状態で、基板両端を接着
してセルを形成した。その際、セル内には幅1mmのA
l線を2本平行に2mmの間隔で配置した。基板を90
℃に加熱した状態で2枚の基板間に、室温でキラルスメ
クチックC相をとる液晶(チッソ製CS1029)を毛
管法で注入し、徐冷後接着剤で封止した。その後、ダイ
クロイック偏光フィルタ7を透過軸が光偏向方向と一致
する方向に合わせて基板と密着し、光偏向素子1を作製
した。
【0093】配向状態を偏光顕微鏡でコノスコープ観察
したところ、光学軸が基板に垂直なホメオトロピック配
向をなしていることが確認できた。また、前記Al線間
に200Vの電圧を印加したところ、光学軸が電界方向
と垂直に傾くことを確認した。
【0094】この光偏向素子1を、図15(a)に示す
通り、偏光子9、2000Line/inchのパターンを有
するCrマスク17、の後段に配置させ、CCDカメラ
19を設けた。偏光子9、ダイクロイック偏光フィルタ
7の透過光軸は同じ方向にセットし、Crマスク17の
ライン方向もこれと平行にした。また、光偏向素子1に
よる偏向方向はこれらと垂直な方向に設定した。CCD
カメラ19は約2500倍の倍率で、Crマスク17に
焦点を合わせた状態で、高圧水銀ランプ18からの照明
光に対して光学系を透過した光を受光した。
【0095】光偏向素子1がない場合に比べて光偏向素
子1を挿入することで、マスク像から得られるCTF
(Contrast Transfer Function)は95%であり、光偏
向素子1を挿入してもほとんど画像の劣化がないことを
確認した。
【0096】[比較例1]図15(b)に示すようにダ
イクロイック偏光フィルタ7を外した状態で実施例1と
同様の実験をしたところ、光偏向素子1がない場合に比
べて光偏向素子1を挿入することで、マスク像から得ら
れるCTFは85%以下に低下した。
【0097】上記実施例1と合わせて考察すると、ダイ
クロイック偏光フィルタ7を設けない場合は、設ける場
合に比べて画像品質が低下することが確認された。
【0098】[実施例2]各々透明電極(ITO)付の
平滑透明基板(厚さ1.1mm)及び表面傾斜角1°の
鋸歯構造を片側表面に有するの鋸歯構造基板を一対用意
した。基板の片面に各々配向剤AL3046(JRS
製)を約800Åの厚さに塗布し燒結し、その後、鋸歯
稜線方向にラビング処理を行った。このような透明ガラ
ス基板を、ギャップ2〜3μmとなるように光透過領域
外にスペーサを配した状態で、配向剤塗布面を内側に向
かい合わせて接着しセルを形成した。基板を90℃に加
熱した状態で2枚の基板間に、室温でキラルスメクチッ
クC相をとる液晶AL5002(クラリアント製)を毛
管法で注入し、徐冷後接着剤で封止した。その後、ダイ
クロイック偏光フィルタ7を、液晶の回転軸が、これと
45°をなす角度になるよう設定し基板と密着して、光
偏向素子1を作製した。
【0099】配向状態を偏光顕微鏡で観察したところ、
光学軸が鋸歯構造稜線に平行なホモジニアス配向をなし
ていることを確認し、また、ITO電極間に20Vの電
圧を印加したところ、光学軸が鋸歯構造稜線と平行な方
向から約80°傾くことを確認した。
【0100】この光偏向素子1を、図15(a)に示す
通り、偏光子9、2000Line/inchのパターンを有
するCrマスク17、の後段に配置させ、CCDカメラ
19を設けた。偏光子9、ダイクロイック偏光フィルタ
7の透過光軸は同じ方向にセットし、Crマスク17の
ライン方向もこれと平行にした。また、光偏向素子1に
よる偏向方向はこれらと垂直な方向に設定した。CCD
カメラ19は約2500倍の倍率で、Crマスク17に
焦点を合わせた状態で、高圧水銀ランプ18からの照明
光に対して光学系を透過した光を受光した。
【0101】光偏向素子1を挿入することで、マスク像
から得られるCTFは95%であり、光偏向素子1を挿
入してもほとんど画像の劣化がないことを確認した。ま
た、光偏向素子1の初期状態に比べて電圧を印加し、液
晶配向状態を変化させても透過光量はほとんど変化せ
ず、光偏向のスイッチングによる光量変化がないことを
確認した。
【0102】[比較例2]図15(b)に示すようにダ
イクロイック偏光フィルタ7を外した状態で実施例1と
同様の実験をしたところ、光偏向素子1がない場合に比
べて光偏向素子1を挿入することで、マスク像から得ら
れるCTFは85%であり、ダイクロイック偏光フィル
タ7がない場合には、ある場合に比べて画像品質が低下
することが確認された。
【0103】[比較例3]実施例2における光偏向素子
1の設置角度を、光偏向素子1内の鋸歯構造稜線がダイ
クロイック偏光フィルタ7の透過光軸方向と一致するよ
うに配置して、実施例2と同様の操作を行ったところ、
ノイズ光の除去効果は同等にあったものの、液晶配向状
態を変化させた時の透過光量変化が大きく、光偏向のス
イッチングによる光量変化が発生することを確認した。
【0104】[実施例3]実施例1で得た光偏向素子1
を、図12に示した光学系内に配置し、電界印加方向を
反転させることで液晶をスイッチングさせた。開口部材
15がある場合は、スイッチング時に受光器14a,1
4b以外の部分に漏れる光は発生しなかったが、開口部
材15を外すと漏れ光が発生することを確認した。この
漏れ光は光偏向装置16内でフレア光の原因となるた
め、開口部材15を設けることで、フレア光を低減させ
ることが可能であることを確認した。
【0105】
【発明の効果】請求項1記載の発明の光偏向素子によれ
ば、透明な一対の基板と、これらの基板間に充填された
液晶と、この液晶に電界を作用させる一組以上の電界印
加手段と、前記液晶の光出射側に配設された偏光フィル
タよりなるノイズ光除去手段と、を備えることにより、
ノイズ光成分を低減させることができる。このため、画
像表示装置或いは撮像装置に利用する際には、ノイズ光
によって画像が劣化してしまうような不具合を解消する
ことが可能となる。さらには、光スイッチに利用する上
でも、SN比を向上させ、エラー発生を低減させること
ができる上に、光検出系の精度を緩めることができ、光
スイッチの使用温度範囲を広めることができる。
【0106】請求項2記載の発明によれば、請求項1記
載の発明を実現する上で、液晶の分子長軸方向を平均化
した方向として定まる光学軸の方向を、電界印加手段に
よる電界の印加により所定方向に向けた状態で、一方の
基板面から他方の基板面に向かって光学軸を投影して得
られる投影光学軸方向に透過光軸を一致させた偏光フィ
ルタを光出射側に設置したので、ノイズ光の除去を良好
かつ有効に行わせることができ、また、偏光フィルタは
フィルム状のものを用いることができるため、従来構成
の光偏向素子に比較して大型化することなく、目的とす
る機能を発揮させることができる。
【0107】請求項3記載の発明によれば、請求項1記
載の光偏向素子において、対向する一方の基板表面に対
し他方の基板表面が傾斜した領域を有する一対の基板
と、これらの基板間に設けられるキラルスメクチックC
液晶と、この液晶に電界を作用させる一組以上の電界印
加手段と、を備える光偏向素子においても、偏光フィル
タを備えることにより、前述したような原因に伴うノイ
ズ光を、有効に除去することができ、この際、偏光フィ
ルタの透過光軸方向を液晶の電界印加による回転軸と4
5°の角をなすように設定することで、電界印加により
得られる出射光の光量を一致させることができる。
【0108】請求項4記載の発明の光偏向デバイスによ
れば、透明な一対の基板と、これらの基板間に充填され
たホメオトロピック配向をなすキラルスメクチックC相
よりなる液晶と、この液晶に電界を作用させる一組以上
の電界印加手段と、を各々備える第一及び第二の光偏向
素子と、光入射側から順に直列に配列されたこれらの第
一及び第二の光偏向素子間に設置されて、前記第一の光
偏向素子からの出射光の偏光方向を前記第二の光偏向素
子の偏向方向に揃える偏光方向切換手段と、この偏光方
向切換手段と前記第二の光偏向素子との間に配置された
偏光フィルタよりなるノイズ光除去手段と、を備えるの
で、偏向方向を4方向に設定するために光偏向素子を直
列に配置した光偏向デバイスにおいても、効果的なノイ
ズ光除去を行わせることができ、かつ、第一の光偏向素
子と偏光方向切換手段との間に偏光フィルタを配置した
場合と比べ、偏光方向切換手段と第二の光偏向素子との
間に配置しているので、偏光方向切換手段で発生したノ
イズ光も同時に除去できるため、よりノイズ光の除去効
果を高めることができ、特に、入射光の波長が多重化さ
れている場合には、偏光方向切換手段における偏光方向
切換性能に波長依存性がある場合が多いので、さらに効
果が大きいものとすることができる。
【0109】請求項5記載の発明の光偏向装置によれ
ば、請求項1,2又は3記載の光偏向素子又は請求項4
記載の光偏向デバイスによる光偏向手段と、この光偏向
手段の光出射側に設けられて、当該光偏向手段において
所定領域外を進行するノイズ光を遮蔽する開口部材と、
を備えるので、光偏向手段による偏向方向を、印加電界
を変化させることにより切換える際に、液晶分子の運動
による散乱光が発生し、このような原因によるノイズ光
は、いわゆる散乱成分が主であり液晶部を輝点として球
状に発せられるものであるが、光偏向素子の後段(光出
射側)に設けられて、光偏向素子において所定領域外を
通過するノイズ光を遮蔽する開口部材により、良好にノ
イズ光を除去することができる。
【0110】請求項6記載の発明の画像表示装置によれ
ば、請求項1,2又は3記載の光偏向素子又は請求項4
記載の光偏向デバイスによる光偏向手段を備えるので、
入射光の偏光方向と垂直な偏光成分が混在することに起
因して、偏光成分の一部は所定の位置に偏向されずに発
生するノイズ光を有効に除去することができ、よって、
入射光の偏光方向と垂直な偏光成分が混在するために発
生するコントラスト低下を防ぐことができ、良好な画像
を得ることができ、高精細表示が可能な画像表示装置を
提供することができる。
【0111】請求項7記載の発明の画像表示装置によれ
ば、光偏向手段による偏向方向を、印加電界を変化させ
ることにより切換える際に、液晶分子の運動による散乱
光が発生することに起因するノイズ光は光偏向手段の光
出射側に設けられて、当該光偏向手段において発生する
ノイズ光を除去するための開口部材によって有効に除去
することができ、よって、液晶スイッチング時に発生す
る散乱光を低減することができるため、これによるコン
トラスト低下を防ぐことができ、良好な画像が得られる
画像表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一の実施の形態の光偏向素子の原理
的構成例を示す断面図である。
【図2】(a)はその液晶配向を模式的に示す光偏向素
子の動作原理を説明するための斜視図、(b)は液晶分
子の配向方向を基板に投影したCダイレクタを示す斜視
図である。
【図3】液晶分子と光偏向との関係を示し、(a)は断
面構造図、(b)は液晶分子の配向状態の説明図であ
る。
【図4】液晶膜厚と液晶配向角に対する光軸シフト量と
の関係を示す特性図である。
【図5】光偏向素子への入射光の方向とノイズ光比率と
の関係の計算結果を示す特性図である。
【図6】図5に示す計算の条件を示す概略図である。
【図7】本発明の第二の実施の形態の光偏向デバイスを
光偏向素子の模式的な液晶配向を併せて示す概略斜視図
である。
【図8】その変形例の光偏向デバイスの構成例を示す断
面図である。
【図9】本発明の第三の実施の形態の光偏向素子の構成
例を示す断面図である。
【図10】その光偏向素子における、ノイズ光比率を液
晶分子方向と偏光フィルタのなす角をパラメータにして
示す特性図である。
【図11】偏光フィルタ透過軸と液晶配向方向の関係を
示す説明図である。
【図12】本発明の第四の実施の形態の光偏向装置の構
成例を示す断面構造図である。
【図13】本発明の第五の実施の形態の画像表示装置の
構成例を示す概略側面図である。
【図14】本発明の第六の実施の形態の画像表示装置の
構成例を示す概略側面図である。
【図15】実施例1及び比較例1に示すCTF評価装置
の概略図である。
【符号の説明】
1 光偏向素子 1A 第一の光偏向素子 1B 第二の光偏向素子 2,3 基板 5 液晶層 6a,6b 電圧印加手段 7 偏光フィルタ、ノイズ光除去手段 11 光偏向デバイス 15 開口部材 22 偏光方向切換手段 81 光源 84 画像表示素子 85 光学部材 89 光偏向手段 91 開口部材
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G03B 21/00 G03B 21/00 E 2K103 (72)発明者 小林 正典 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式 会社リコー内 (72)発明者 宮垣 一也 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式 会社リコー内 (72)発明者 滝口 康之 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式 会社リコー内 (72)発明者 鴇田 才明 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式 会社リコー内 (72)発明者 加藤 幾雄 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式 会社リコー内 Fターム(参考) 2H049 BA02 BA06 BA42 BB03 BC22 2H088 EA12 EA45 GA04 GA17 JA10 2H090 LA01 LA09 LA12 LA16 MA01 MA10 MB14 2H091 FA05Y FA08X FA08Z FA26X FA41Z LA16 LA17 MA10 2K002 AA07 AB06 AB07 BA06 CA14 DA14 EA12 HA04 2K103 AA05 BB02 BB03 BC14 BC33

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 透明な一対の基板と、 これらの基板間に充填された液晶と、 この液晶に電界を作用させる一組以上の電界印加手段
    と、 前記液晶の光出射側に配設された偏光フィルタよりなる
    ノイズ光除去手段と、を備える光偏向素子。
  2. 【請求項2】 前記液晶が、ホメオトロピック配向をな
    すキラルスメクチックC相よりなり、 前記液晶の分子長軸方向を平均化した方向として定まる
    光学軸の方向を、前記電界印加手段による電界の印加に
    より所定方向に向けた状態で、一方の基板面から他方の
    基板面に向かって前記光学軸を投影して得られる投影光
    学軸方向が、前記偏光フィルタの透過光軸方向と一致し
    ている請求項1記載の光偏向素子。
  3. 【請求項3】 前記一対の基板が、対向する一方の基板
    表面に対し他方の基板表面が傾斜した領域を有し、 前記液晶が、ホメオトロピック配向をなすキラルスメク
    チックC相よりなり、 前記液晶の電界印加による回転軸が、前記偏光フィルタ
    の透過光軸方向と45°の角をなすよう配置されている
    請求項1記載の光偏向素子。
  4. 【請求項4】 透明な一対の基板と、これらの基板間に
    充填されたホメオトロピック配向をなすキラルスメクチ
    ックC相よりなる液晶と、この液晶に電界を作用させる
    一組以上の電界印加手段と、を各々備える第一及び第二
    の光偏向素子と、 光入射側から順に直列に配列されたこれらの第一及び第
    二の光偏向素子間に設置されて、前記第一の光偏向素子
    からの出射光の偏光方向を前記第二の光偏向素子の偏向
    方向に揃える偏光方向切換手段と、 この偏光方向切換手段と前記第二の光偏向素子との間に
    配置された偏光フィルタよりなるノイズ光除去手段と、
    を備える光偏向デバイス。
  5. 【請求項5】 請求項1,2又は3記載の光偏向素子又
    は請求項4記載の光偏向デバイスによる光偏向手段と、 この光偏向手段の光出射側に設けられて、当該光偏向手
    段において所定領域外を進行するノイズ光を遮蔽する開
    口部材と、を備える光偏向装置。
  6. 【請求項6】 画像情報に従って光を制御可能な複数の
    画素を二次元的に配列した画像表示素子と、 この画像表示素子を照明する光源と、 前記画像表示素子に表示した画像パターンを観察するた
    めの光学部材と、 画像フィールドを時間的に分割した複数のサブフィール
    ド毎に前記画像表示素子と前記光学部材の間の光路を偏
    向する請求項1,2又は3記載の光偏向素子又は請求項
    4記載の光偏向デバイスによる光偏向手段と、を備える
    画像表示装置。
  7. 【請求項7】 画像情報に従って光を制御可能な複数の
    画素を二次元的に配列した画像表示素子と、 この画像表示素子を照明する光源と、 前記画像表示素子に表示した画像パターンを観察するた
    めの光学部材と、 画像フィールドを時間的に分割した複数のサブフィール
    ド毎に前記画像表示素子と前記光学部材の間の光路を偏
    向する光偏向手段と、 この光偏向手段の光出射側に設けられて、当該光偏向手
    段において発生するノイズ光を除去するための開口部材
    と、を備える画像表示装置。
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