JP2003277749A - 2価金属珪酸塩蛍光体、蛍光体ペースト組成物及び真空紫外線励起発光素子 - Google Patents
2価金属珪酸塩蛍光体、蛍光体ペースト組成物及び真空紫外線励起発光素子Info
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Abstract
体、蛍光体ペースト並びに輝度の改良された真空紫外線
励起発光素子を提供する。 【解決手段】 Ca、Eu、Mg、Si、Laをそれぞ
れ含有し、式(Ca1−xEux)O・aMgO・bS
iO2・cLa2O3で表わされる珪酸塩蛍光体および
当該蛍光体を含有した蛍光体ペースト組成物、並びに当
該蛍光体から成る蛍光膜を具備した真空紫外線励起発光
素子(a,b,cおよびxは、それぞれ0.9≦a<
1.1、1.9≦b≦2.2、0<c≦2.5×10
−2および5×10−3≦x≦0.1)
Description
以下の真空紫外線(VUV)による励起によって青色に
発光する2価金属珪酸塩蛍光体、またこの蛍光体を含有
する蛍光体ペースト組成物及びこれを用いた蛍光膜を具
備した真空紫外線励起発光素子(VUV励起発光素子)
に関する。
源等に使われる希ガスランプやプラズマディスプレイパ
ネル(PDP)等に代表されるように、Ar、Xe、H
e、Ne、Xe−Ne等の希ガスをガラス等によって形
成された外囲器中に封入し、その希ガスの放電によって
放射されるVUVにより外囲器内部のVUV用蛍光体か
らなる蛍光膜を励起して発光させる構造のVUV励起発
光素子の開発が盛んに行われている。
ランプは、ガラス製の細管内にXe、Xe−Ne等の希
ガスが封入されていて、その管の内壁面には、VUVに
より励起されると発光するVUV用蛍光体からなる蛍光
膜が形成されている。この希ガスランプの電極間に電気
エネルギーを印加すると、該ガラス細管内に希ガス放電
が起こり、その時放射されるVUVにより管の内壁面に
形成されている蛍光膜が励起されて可視光を発する。
あるPDPは原理的には、前記のVUV励起の希ガスラ
ンプを更に小さくし、複数の希ガスランプをストライプ
状、もしくはマトリックス状に並べたものと考えること
が出来る。つまり、狭い放電空間(セル)がストライプ
状、もしくはマトリックス状に配置されたものである。
各セルには電極が設けられ、この各セルの内部にはVU
V用蛍光体からなる蛍光膜が形成されている。各セル内
にはXe、Xe−Ne等の希ガスが封入されて、セル内
の電極から電気エネルギーを印加すると、セル内に希ガ
ス放電が起こってVUVが放射され、このVUVにより
セル内の蛍光膜が励起されて可視光を発し、この発光に
よって画像が表示される。フルカラーPDPの場合、V
UV励起により赤、青、緑に発光する蛍光体からなる各
セルをストライプ状もしくはマトリックス状に配列する
ことにより、フルカラーの表示を行うことが出来る。
光膜形成のための蛍光体としては(Y,Gd)BO3:
Eu等の赤色発光蛍光体、LaPO4:Ce,Tb、
(Ba,Sr)MgAl10O17:Eu,Mn、Zn
2SiO4:Mn等の緑色発光蛍光体、BaMgAl
10O17:Eu等の青色発光蛍光体等が所望の発光色
に応じてそれぞれ単独もしくは混合して用いられてい
る。(電子材料誌 1997年12月号工業調査会社等
参照)。VUV励起発光素子の蛍光膜として実用されて
いる、これらのVUV用の実用蛍光体の中、青色成分と
して主として実用されている蛍光体はBaMgAl10
O17:Euの組成をもった、通称BAMと略称されて
いるアルミン酸塩蛍光体であるが、このBAM蛍光体は
VUVを照射して励起した時の発光輝度が高く、また青
色としての色純度が良好であるものの、VUV励起発光
素子の蛍光膜の製造時におけるベーキング工程での輝度
劣化(ベーキング劣化)が大きいことと、VUV励起発
光素子を駆動させた時、VUVに長時間晒らされた際の
輝度の経時劣化(VUV劣化)が大きいといった欠点を
有してる。
グ劣化が少なく、かつVUV劣化少ない小さい青色蛍光
体として、Euを付活剤とし、その組成式がCaMgS
i2O6:Euで表される2価金属の珪酸塩蛍光体が報
告されている(Proceedings of The
8th International Displa
y Workshops 2001 pp.1115
参照)が、この蛍光体は従来の青色蛍光体であるBAM
(BaMgAl10O17:Eu)と比較して輝度が低
いのが問題である。
状況に鑑みてなされたもので、VUV劣化が少なく、従
来のものよりも発光輝度の改善された2価金属珪酸塩蛍
光体、蛍光体ペースト組成物並びにVUV励起発光素子
を提供することを目的とする。
化が比較的少ないことが知られている、組成式CaMg
Si2O6:EUで表される2価金属珪酸塩蛍光体の母
体結晶に対して付活剤のEuの外に種々の金属元素を添
加、含有させてみて、VUV励起下での発光輝度に及ぼ
す添加元素の影響について詳細に検討した結果、組成式
がCaMgSi2O6:Euである2価金属珪酸塩にL
aを特定量添加してこれを組成中に含有させると特にV
UV励起下での発光輝度が増強され、この蛍光体を用い
た蛍光体ペースト組成物により蛍光膜を形成すると青色
成分の輝度が改善されたVUV励起発光素子となること
を見出し本発明に至った。本発明の上記目的は以下のよ
うな構成とすることによって達成される。
ム(Mg)及び硅素(Si)を構成金属元素として含む
珪酸塩を母体結晶とし、ユーロピウム(Eu)で付活さ
れた2価金属珪酸塩蛍光体において、該蛍光体の組成中
にランタン(La)を含有することを特徴とする2価金
属珪酸塩蛍光体(請求項1の発明)。 (2) 上記珪酸塩蛍光体が、一般式(Ca1−xEu
x)O・aMgO・bSiO2・cLa2O3で表され
ることを特徴とする上記(1)に記載の2価金属珪酸塩
蛍光体(請求項2の発明)。 (但し、上記式中、a、b、cおよびxは、それぞれ
0.9≦a≦1.1、1.9≦b≦2.2、0<c≦
2.5×10−2および5×10−3≦x≦0.1なる
条件を満たす数を表す。)
=1、b=2および2.5×10−4≦c≦1.5×1
0−2なる条件を満たす数であることを特徴とする上記
(2)に記載の2価金属珪酸塩蛍光体(請求項3の発
明)。 (4) バインダーを溶解した溶媒中に蛍光体を分散さ
せてなる蛍光体ペースト組成物において、上記蛍光体が
上記(1)〜(3)のいずれかに記載の2価金属蛍光体
であることを特徴とする蛍光体ペースト組成物(請求項
4の発明)。 (5) 蛍光膜が形成された外囲器内に封入されている
希ガスの放電によって放射される真空紫外線により該蛍
光膜を励起して発光させる紫外線励起発光素子におい
て、上記蛍光膜が、上記(1)〜(3)のいずれかに記
載の2価金属珪酸塩蛍光体により形成されていることを
特徴とする真空紫外線励起発光素子(請求項5の発
明)。
本発明の蛍光体を製造するには、従来から知られている
2価金属珪酸塩蛍光体と同様、蛍光体を構成するCa、
Mg、Si、La及びEuの各金属の酸化物または高温
で酸化物に変わり得る炭酸塩、硫酸塩、ハロゲン化物等
の上記各金属の化合物からなる蛍光体原料混合物を、化
学量論的にその組成式が(Ca1−xEux)O・aM
gO・bSiO2・cLa2O3(但し、上記式中、x
は5×10−3≦x≦0.1なる条件、a,bおよびc
はそれぞれ0.9≦a≦1.1、1.9≦b≦2.2、
および0<c≦2.5×10−2なる条件を満たす数を
表す。以下同様である)となるような割合で混合し、ア
ルミナ坩堝等の耐熱容器に充填して、還元性雰囲気で、
1000〜1400℃の温度で2〜40時間かけて1回
以上焼成し、この焼成物に分散、水洗、乾燥、篩かけ等
の蛍光体製造時に通常行われる後処理を行うことによっ
て製造することが出来る。なお、上記蛍光体原料混合物
中には更にフッ化物等のフラックスを添加しておいてか
ら焼成しても良い。
の各値がそれぞれ1.0、2.0及び2×10−2であ
って、Laの添加量(c値)の異なる2価金属珪酸塩蛍
光体{(Ca0.98Eu0.02)O・MgO・2S
iO2・cLa2O3}を製造し、得られた蛍光体に1
46nmのVUVを照射して発光させた際の各蛍光体の
発光輝度を、Laを添加しなかった蛍光体(c値=0の
場合)に対する相対値で示したグラフである。なお、青
色蛍光体の輝度はその発光色(CIE表色系色度座標に
おける色度点のy値)に比例して大きく変化するので、
発光色のy値の異なる蛍光体間の発光効率を比較する簡
便な方法として発光輝度をy値で割った(輝度/y)値
(刺激和)で比較することが一般に行われる。そこで本
発明においても、蛍光体間の発光効率(発光輝度)は刺
激和で相互比較することとした。本明細書において発光
輝度ないし輝度とはいづれも上記定義の「刺激和」のこ
とをいう。図1における縦軸の「相対輝度」も各蛍光体
について求めた刺激和の相対値である。
酸塩蛍光体{(Ca0.98Eu0.02)O・MgO
・2SiO2}に少量のLaを添加することによってそ
の発光輝度は向上するが、添加されるLaの量をある一
定量よりも多くすると発光輝度はLaが添加されていな
い蛍光体に比べて次第に低下することがわかる。なお、
図示していないが、この珪酸塩蛍光体において、組成中
におけるMgOの割合(a値)が1.0であり、SiO
2の割合(b値)が2.0であり、Euの濃度(x値)
が2×10−2である組成以外の組成の蛍光体において
も、所定の発光輝度が得られるような組成範囲にある場
合、Laの含有量(c値)とこの蛍光体のVUV励起下
での発光輝度との間には図1とほぼ類似の相関があるこ
とが確認された。
組成式において蛍光体組成中のLaの含有量(c値)が
0<c≦2.5×10−2なる条件を満たす場合、VU
V励起下での発光輝度はLaを組成中に含まない従来の
2価金属珪酸塩蛍光体よりも発光輝度が高く、発光輝度
の観点からc値がおよそ2.5×10−4〜1.5×1
0−2の範囲にあることがより好ましい。一方、c値が
2.5×10−2より大になるとLa添加による輝度上
昇の効果よりも、異相の生成による輝度低下の効果が大
きくなってしまうので好ましくない。
1及び1.9≦b≦2.2の範囲にあるのが好ましく、
蛍光体の結晶性の点から、a=1及びb=2であること
が特に好ましい。このa値及びb値の上記各範囲からの
ずれが大きいと結晶性の不完全な蛍光体や異相が副生さ
れ、発光輝度が低下する原因となるので好ましくない。
度の点で5×10−3≦x≦0.1なる範囲となる組成
が好ましく、特に5×10−3≦x≦5×10−2の範
囲とするのがより好ましい。このx値が0.1を越える
と上記組成とは異なった異相を形成して蛍光体の輝度を
低下させ、また5×10−3よりも低いと発光中心の量
が不足し得られる蛍光体の発光輝度が低くなってしま
う。
ダー樹脂が溶解した溶媒中に本発明の2価金属珪酸塩蛍
光体を加えて十分に混練して溶媒の量を調節することに
よって使用用途に応じて適当な粘度のペースト状にする
ことにより製造することができる。
際のバインダー樹脂としては、エチルセルロース、ニト
ロセルロース、ポリエチレンオキサイド、アクリル樹脂
等が使用され、また、ペーストの粘度調整のために使用
される溶媒としては水、酢酸ブチル、ブチルカルビトー
ル、テルピネオール等の溶媒が使用される。また本発明
の蛍光体ペースト組成物中の蛍光体としては、その目
的、用途に応じて本発明の2価金属珪酸塩蛍光体とこれ
以外の組成の蛍光体との混合蛍光体を用いても良いこと
はいうまでもない。
ラスなどからなる外囲器内におけるその素子に応じた所
定の場所に本発明の蛍光体ペースト組成物を塗布し乾燥
した後、ベーキング処理して蛍光膜を形成することによ
って上記本発明の2価金属珪酸塩蛍光体からなる蛍光膜
が形成される以外は従来のVUV励起発光素子と同様に
して製造される。
属珪酸塩蛍光体は、Laを組成中に含有していない従来
の2価金属珪酸塩蛍光体に比べて発光輝度が増大し、こ
の蛍光体を含む本発明の蛍光体ペースト組成物により形
成された蛍光膜を有する本発明のVUV励起発光素子の
発光輝度が増大する。
とし、この蛍光体原料をアルミナ坩堝に充填し、還元雰
囲気中で、最高温度1150℃で昇降温時間を含め14
時間かけて焼成した。この焼成物に蛍光体の後処理法と
して通常行われている分散、水洗、乾燥、篩いがけの処
理を施して、組成式が(Ca0.98Eu0.02)O
・MgO・2SiO2・0.0005La2O3であ
る、実施例1のLa元素を含有したEu付活珪酸塩蛍光
体を得た。
の粉末を、直径12mm、深さ1mmの円柱状の窪みを
持ったセルに充填し、その上をガラス板で押し詰めして
平らな粉末の蛍光面を作成し、この蛍光面に146nm
のVUVを照射して励起し発光させてその時の発光輝度
と発光色を測定し、刺激和(発光輝度/y値)を測定し
たところ、これと同様にして測定した、組成式(Ca
0.98Eu0.02)O・MgO・2SiO2で表さ
れる下記比較例1の蛍光体の刺激和の104%の値であ
った。
とした以は実施例1の蛍光体と同様にして組成式が(C
a0.98Eu0.02)O・MgO・2SiO2・
0.005La2O3である、La元素を含有した実施
例2のEu付活珪酸塩蛍光体を得た。この実施例2の蛍
光体を実施例1と同様にして、146nmの真空紫外線
で励起して発光させた時の発光輝度並びに発光色の色度
点を測定し、その刺激和(発光輝度/y値)を求めたと
ころ、下記比較例1の蛍光体の刺激和の104%であっ
た。
とした以は実施例1の蛍光体と同様にして組成式が(C
a0.98Eu0.02)O・MgO・2SiO2・
0.025La2O3である、La元素を含有した実施
例3のEu付活珪酸塩蛍光体を得た。
して、146nmの真空紫外線で励起して発光させた時
の発光輝度並びに発光色の色度点を測定し、を測定し、
その刺激和(発光輝度/y値)を求めたところ、下記比
較例1の蛍光体の刺激和の94%であった。
とした以は実施例1の蛍光体と同様にして組成式が(C
a0.98Eu0.02)O・MgO・2SiO2であ
る比較例1のEu付活珪酸塩蛍光体を得た。
して、146nmの真空紫外線で励起して発光させた時
の発光輝度並びに発光色の色度点を測定し、その測定値
から刺激和(発光輝度/y値)を求め、上記各実施例の
蛍光体の発光輝度の基準値とした。
含有量(c)と蛍光体の発光の刺激和(輝度/y)のと
の相関を例示するグラフである。
より、特にVUV励起下において従来のものよりも発光
輝度の高い2価金属珪酸塩蛍光体および蛍光体ペースト
組成物を提供することができ、これをVUV励起発光素
子の蛍光膜に適用することによって青色成分の発光効率
が改善されたVUV励起発光素子の提供を可能にした。
Claims (5)
- 【請求項1】 カルシウム(Ca)、マグネシウム(M
g)及び硅素(Si)を構成金属元素として含む珪酸塩
を母体結晶とし、ユーロピウム(Eu)で付活された2
価金属珪酸塩蛍光体において、該蛍光体の組成中にラン
タン(La)を含有することを特徴とする2価金属珪酸
塩蛍光体。 - 【請求項2】 上記蛍光体が、一般式(Ca1−xEu
x)O・aMgO・bSiO2・cLa2O3で表され
ることを特徴とする請求項1に記載の珪酸塩蛍光体。
(但し、上記式中、a、b、cおよびxは、それぞれ
0.9≦a≦1.1、1.9≦b≦2.2、0<c≦
2.5×10−2および5×10−3≦x≦0.1なる
条件を満たす数を表す。) - 【請求項3】 上記a、b及びcが、それぞれa=1、
b=2および2.5×10−4≦c≦1.5×10−2
なる条件を満たす数であることを特徴とする請求項2に
記載の2価金属珪酸塩蛍光体。 - 【請求項4】 バインダーを溶解した溶媒中に蛍光体を
分散させてなる蛍光体ペースト組成物において、上記蛍
光体が請求項1〜3のいずれか一項に記載の2価金属蛍
光体であることを特徴とする蛍光体ペースト組成物。 - 【請求項5】 蛍光膜が形成された外囲器内に封入され
ている希ガスの放電によって放射される真空紫外線によ
り該蛍光膜を励起して発光させる紫外線励起発光素子に
おいて、上記蛍光膜が、請求項1〜3のいずれか1項に
記載の2価金属珪酸塩蛍光体により形成されていること
を特徴とする真空紫外線励起発光素子。
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