JP2003277670A - 消去性インキ組成物の製造方法、着色化粒子の処理方法、消去性インキ組成物及び筆記具 - Google Patents

消去性インキ組成物の製造方法、着色化粒子の処理方法、消去性インキ組成物及び筆記具

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JP2003277670A
JP2003277670A JP2002088286A JP2002088286A JP2003277670A JP 2003277670 A JP2003277670 A JP 2003277670A JP 2002088286 A JP2002088286 A JP 2002088286A JP 2002088286 A JP2002088286 A JP 2002088286A JP 2003277670 A JP2003277670 A JP 2003277670A
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Isao Enjoji
勲 円城寺
Yasuyuki Yoshimura
保幸 吉村
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Sakura Color Products Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 所定の粒径範囲の着色樹脂粒子を用いること
を特徴とする消去性インキ組成物であっても、筆跡乃至
塗膜の消去性は満足できるものではなく、消去性インキ
組成物中に含まれる着色剤の材質や粒径のみを制御して
も、筆跡乃至塗膜についての良好な消去性を得ることは
できない。 【解決手段】 着色化粒子を洗浄する洗浄処理工程を行
った後に、前記洗浄処理工程において洗浄処理された着
色化粒子を原料に用いるインキ組成物の製造工程を行う
消去性インキ組成物を用いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】消しゴム等の字消しで筆跡を
消去した際に、紙に色が残らない消去性水性インキ組成
物に関する。
【0002】
【従来の技術】消去性水性インキ組成物は、紙面上に筆
記して文字、図等の筆跡乃至塗膜を形成した場合には、
これらの筆跡乃至塗膜を消しゴム等の字消しで消すこと
が可能である。このような消去性水性インキ組成物に
は、着色成分について種々の検討がなされており、着色
成分として樹脂粒子と着色剤とを複合化させた着色樹脂
球を使用することが可能であり、例えば特開平5−27
9614号に、粒子径1〜20μの着色樹脂球を含有す
ることを特徴とする消去性インキが提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、前記の所定の
粒径範囲の着色樹脂粒子を用いた場合であっても、筆跡
乃至塗膜の消去性は満足できるものではなく、消去性イ
ンキ組成物中に含まれる着色剤の材質や粒径のみを制御
しても、筆跡乃至塗膜についての良好な消去性を得るこ
とはできない。
【0004】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明者らは、
鋭意検討の結果、消去性インキ組成物の消去性を阻害す
る要因が、着色樹脂球や板状アルミナ等を着色化した粒
子等の着色化粒子中における染料等の着色剤がインキ成
分の影響により溶出(ブリード)すること、または余剰
の着色剤が影響することであるのを見出した。そして、
本発明者らは、前記着色剤を除去すること、即ち、着色
剤により粒子を着色させた着色化粒子に洗浄処理を施す
ことにより前記課題を解決し、本発明に至った。特に、
本発明の着色化粒子の洗浄処理に消去性インキ組成物中
の着色成分以外の原料を用いることにより、洗浄された
着色化粒子から消去性インキ組成物の液層へ着色成分の
溶出が極めて少なく、さらには、前記洗浄剤が悪影響を
及ぼして経時安定性等のインキ物性を低下させることも
なく、かつ、筆跡消去の際の着色化粒子に起因した筆跡
消去後の色残りが殆ど生じることがない。
【0005】上述のように、通常の樹脂成分を用いた消
去性インキ組成物の消去性を満足なレベルとすることを
阻害する要因は、着色樹脂粒子等の着色が施された粒子
(着色化粒子)に含まれる完全に固定化されていない染
料等の着色剤に起因するものである。ここで、前記着色
樹脂粒子は、染料や顔料などの着色剤により着色された
ものであり、例としては、粒子間の着色度合いを均一に
するなどのために反応性染料等を使って着色剤が粒子に
固定化されたり、樹脂と顔料を溶融混合した後粉砕した
りして製造される。しかし、反応時において反応性染料
の反応部位がマスクされてしまうなどの理由により着色
剤が着色樹脂粒子中に固定化が完全にはされず、着色剤
が着色樹脂粒子中に残存しているために、固定化されて
いない着色剤が紙面またはインキ液層に移行若しくは溶
出する。つまり着色剤の一部が紙面またはインキ液層に
移行若しくは溶出することがない着色樹脂粒子はない。
また、板状アルミナやアルミニウム粉顔料等の無機系粒
子が染料等の着色剤で着色された顔料についても、前記
着色剤が無機系粒子に完全には固定化されておらず、前
記着色剤の一部が紙面またはインキ液層に移行若しくは
溶出しない無機系の着色樹脂粒子は存在しない。事実、
着色樹脂粒子や着色された板状アルミナ等の着色化粒子
を所定量の水や界面活性剤水溶液中で公知の方法により
撹拌した場合には、水層に着色剤が移行し、ろ過により
着色化粒子を除去した水層は吸光度が0.2以上の値を
示す。また、顔料を着色剤に用いた着色樹脂粒子であっ
ても混合や結合が不十分な場合は、着色樹脂粒子から顔
料が外れる。
【0006】従って、上記の特開平5−279614号
において提案されている特定の粒径分布の着色樹脂球を
用いた消去水性インキ組成物であっても、消去水性イン
キ組成物中に存在する水、界面活性剤、水溶性有機溶媒
など含有成分の影響により、着色樹脂粒子中の染料や顔
料等の着色剤がインキ組成物中や被塗物である紙に移行
を生じ、また着色樹脂粒子中の余剰の着色剤により被塗
物である紙が着色されて、消しゴム等により筆跡乃至塗
膜を消去しても、着色剤の影響による色が残り、消去性
が完全ではない。つまり、前記着色樹脂球を含む消去性
水性インキ組成物を筆記具に充填して筆記し、紙上に筆
跡乃至塗膜を形成した後に消しゴムで消去しても前記筆
跡乃至塗膜消去性は満足できるものではない。また、組
成を着色樹脂球の替わりに板状アルミナ等を着色化した
粒子を用いても、上記着色樹脂球を用いた場合と同様
に、筆跡乃至塗膜の消去性は満足できるものではなく、
消去性インキ組成物中に含まれる着色剤の材質や粒径の
みでは消去性を制御できない。本来であればインキ組成
物中や被塗物に移行などを生じる着色剤を着色化粒子中
に含まない着色化粒子を消去性インキ組成物に用いるこ
とが好ましいのである。
【0007】本発明は、洗浄処理がされた着色化粒子を
用いた消去性インキ組成物の製造方法である。前記着色
化粒子に洗浄処理を施すことにより、インキ組成物や紙
に移行する着色化粒子中の顔料等の着色剤が除去され、
または、紙に付着等することにより紙が着色される着色
化粒子中の余剰の着色剤が除去されるので、かかる着色
化粒子を用いて製造された消去性インキ組成物は、着色
化粒子から着色剤が紙面またはインキ液層に移行若しく
は溶出することが極めて少ないために、消去性インキ組
成物の樹脂成分として通常の樹脂成分を用いた場合であ
っても筆跡乃至塗膜の除去が容易であり、消去性インキ
として最適である。すなわち、本発明は、着色化粒子を
洗浄する洗浄処理工程を行った後に、前記洗浄処理工程
において洗浄処理された着色化粒子を原料に用いるイン
キ組成物の製造工程を行う消去性インキ組成物の製造方
法であり、親水性基を有する有機化合物、親水性基を有
する有機化合物を含む水溶液または溶剤を洗浄液とし、
前記洗浄液を用いて着色化粒子を洗浄処理する着色化粒
子の処理方法でもある。また、着色化粒子を含む消去性
インキ組成物であり、前記着色化粒子は洗浄処理がされ
た着色化粒子である消去性インキ組成物である。さらに
は、前記消去性インキ組成物を含む筆記具でもある。
【0008】
【発明の実施の形態】(消去性インキ組成物の製造方
法)本発明は、着色化粒子を洗浄する洗浄処理工程を行
った後に、前記洗浄処理工程において洗浄処理された着
色化粒子を原料に用いるインキ組成物の製造工程を行う
消去性インキ組成物の製造方法であり、上述の消去性に
優れた消去性インキ組成物を提供する製造方法である。
かかる製造方法により得られた消去性インキ組成物は、
消しゴム等の字消しにより筆跡乃至塗膜を消去しても色
残りが極めて少なく、消去性に優れた塗膜乃至筆跡を得
ることができる。前記消去性インキ組成物の製造方法
は、着色化粒子を洗浄する洗浄処理工程とインキ組成物
の製造工程とを含むものである。なお、前記着色化粒子
を洗浄する洗浄処理工程と前記インキ組成物の製造工程
との間に乾燥工程等が行われても良い。
【0009】(着色化粒子の洗浄処理工程)本発明の消
去性インキ組成物における洗浄処理工程は、着色化粒子
を洗浄することにより行われる工程であり、着色化粒子
に含まれる着色剤のうちで着色化粒子から溶出したり、
外れたりする着色剤若しくは余剰の着色剤を取り除くこ
とができるものであれば、特に限定されるものではな
い。
【0010】前記着色化粒子とは、本願明細書におい
て、樹脂球等の有機粒子やアルミニウム粉、板状アルミ
ナ等の無機粒子である基材に対して顔料や染料等の着色
剤により着色が施されることにより、着色化された粒子
状のものをいう。前記着色化粒子は、インキ組成物の着
色成分として使用され、インキ中での分散性が良く、消
去性インキ組成物として使用できるものであれば特に限
定されるものではない。
【0011】前記着色化粒子は、その組成は特に限定さ
れるものではなく、例えば、基材を有機粒子とする場合
には、樹脂球に着色剤を吸着させることにより得た着色
樹脂球を用いても良く、樹脂モノマーを着色剤である反
応性染料の共存下で重合することにより得た着色樹脂球
を用いても良く、また、樹脂成分と着色剤とを溶融混練
した後に粉砕することにより得た着色樹脂球を用いても
良い。前記着色化粒子の樹脂成分は、樹脂の種類につい
て限定されるものではなく、アクリル系樹脂球、ウレタ
ン樹脂球、メラミン系樹脂球などでも良い。前記着色化
粒子は、基材を無機粒子とする場合についても、着色化
粒子の組成が特に限定されるものではなく、染料、顔料
等の着色剤により無定形や平板状などの無機粒子の表面
に着色が施されても良い。前記着色化粒子は、特に、球
状粒子である樹脂球であることが、凸部を有する無定形
粒子に比べて紙面に食込みにくく、筆跡の消去性がより
良好となるので好ましい。
【0012】前記着色化粒子としては、特に限定される
ものではないが、粒度分布がメジアン径(D50)が2
μm以上であり、かつ、粒径1μm以下の粒子が5.0
重量%未満であることが好ましい。この粒度分布の範囲
内でない場合には、被塗物の材質によっては着色化粒子
そのものが、被塗物に残るために消しゴム等の字消しに
よる消去性が低下する場合がある。なお、前記のメジア
ン径及び粒径は、液層沈降法の光透過法(測定装置「C
APA−700」堀場製作所製)により重量累積分布を
求め、分布50重量%の粒径を平均粒径として算出し
た。
【0013】本発明の洗浄処理工程で行われる前記洗浄
処理は、着色化粒子に存在する着色剤の一部を除去する
ために洗浄液を用いて行われ、インキ組成物中の成分に
より着色化粒子の着色剤がインキ組成物若しくは紙に移
行すること、または着色化粒子中の余剰の着色剤が紙に
付着することを防止するために行われるものである。前
記の着色化粒子を洗浄する洗浄処理工程は、前記の洗浄
液を用いて、着色化粒子から移行する着色剤若しくは着
色化粒子中の余剰の着色剤を取り除くものであれば、特
に限定されるものではなく、公知の撹拌装置中で着色化
粒子と洗浄液を撹拌することによって行っても良い。
【0014】洗浄液とは、本願明細書において、洗浄処
理を行うに際して着色化粒子中の着色剤を除去すること
を主として行うものであるが、着色化粒子に施すことに
より着色化粒子に含まれる着色剤のうち余剰の着色剤若
しくは着色化粒子から溶出する着色剤を取り除くことが
できるものであれば、特に限定されるものではなく、な
かでも親水性基を有する有機化合物、親水性基を有する
有機化合物を含む水溶液または溶剤であることが好まし
い。これらの化合物は、洗浄処理を施した後に着色化粒
子中に残存していても、インキ組成物中に前記着色化粒
子が含まれた際に前記洗浄液が貯蔵安定性等のインキ特
性を低下させる場合が少ないからである。前記溶剤とし
ては、水、水溶性有機溶剤、油性溶剤等を用いることが
できる。前記洗浄剤とは、本願明細書において、洗浄液
中に含まれて着色化粒子の洗浄処理に主として作用する
物質であるが、前記洗浄液は、前記洗浄剤の水溶液であ
っても良く、前記洗浄剤そのものを洗浄液としても良
い。例えば、前記洗浄液が親水性基を有する有機化合物
を含む水溶液である場合には、洗浄剤は親水性基を有す
る有機化合物であり、前記洗浄液が水である場合には、
前記洗浄剤は水である。また、前記洗浄剤としては、特
に限定されるものではないが、洗浄剤によって洗浄処理
を施される着色化粒子が用いられる消去性インキ組成物
の原料であることが好ましい。即ち、前記洗浄剤として
は、前記洗浄処理工程において用いられた前記親水性基
を有する有機化合物及び/または前記溶剤を消去性イン
キ組成物の原料として用いることが好ましい。これらの
化合物は、洗浄処理を施した後に着色化粒子中に残存し
ていても、残存する洗浄剤が消去性インキ組成物の原料
と相互作用を及ぼして凝集等を生じることが無いからで
ある。また、前記洗除液としては、最終製造物である消
去性水性インキ組成物のインキ特性に問題を生じること
がなければ、着色化粒子中の不必要な着色剤を除去する
能力の高い界面活性剤を含む水溶液であることが好まし
い。例えば、着色化粒子の洗浄処理に先立って1重量%
の界面活性剤水溶液を作成し、この界面活性剤水溶液を
80重量%とし、着色化粒子を20重量%となるように
混合して撹拌した後にろ過してろ液を得て、前記ろ液を
さらにイオン交換水を用いて、ろ液:イオン交換水が
1:4となるように希釈して希釈したろ液を得て、前記
希釈されたろ液の吸光度が0.6以上となる界面活性剤
を選択し、この選択された界面活性剤を用いて着色化粒
子を洗浄する消去性水性インキ組成物の製造方法である
ことが好ましい。
【0015】また、前記の着色化粒子を洗浄する洗浄処
理工程は、洗浄剤に親水性基を含む有機化合物を用いる
場合には、特に限定されるものではないが、洗浄剤に界
面活性剤を用いることが好ましい。前記界面活性剤は、
着色化粒子から移行(又は外れる)する着色剤若しくは
着色化粒子中の余剰の着色剤が疎水性着色剤であっても
親和性を有するからである。前記洗浄剤として用いるこ
とができる界面活性剤としては、例えば、カルボン酸型
界面活性剤、硫酸エステル型界面活性剤、スルホン型界
面活性剤やリン酸エステル型界面活性剤等のアニオン系
界面活性剤、エーテル型界面活性剤、エステル型界面活
性剤、アミノエーテル型界面活性剤やアルキルアミド型
界面活性剤等のノニオン系界面活性剤、4級アンモニウ
ム塩型界面活性剤、アミン塩型界面活性剤や高分子化カ
チオン界面活性剤等のカチオン系界面活性剤、ベタイン
型界面活性剤やアミノ酸型界面活性剤等の両性界面活性
剤並びにフッ素系界面活性剤やシリコン系界面活性剤等
のその他の界面活性剤など例示することができる。な
お、前記界面活性剤としては、スルホン酸エステル型ア
ニオン系界面活性剤、燐酸エステル型アニオン系界面活
性剤及びエステル型ノニオン系界面活性剤からなる群よ
り少なくとも1種以上選ばれた界面活性剤であること
が、顔料に対しても親和性が良好で、樹脂にカルボン酸
基を有する着色樹脂球と凝集を生じることがないので好
ましい。
【0016】前記界面活性剤は、着色化粒子を洗浄する
洗浄処理工程の後に行われる水性インキ組成物の製造工
程の原料と同じ組成であることが好ましい。着色化粒子
を洗浄する洗浄処理工程で洗浄剤として用いられる界面
活性剤と水性インキ組成物の製造工程で原料として用い
られる界面活性剤とが同一の組成であることにより、得
られる消去性水性組成物中に本来不必要な成分が混入す
ることがなく、かかる成分が着色化粒子の分散安定性を
阻害することもないからである。
【0017】前記洗浄剤として用いることができる水溶
性有機溶剤としては、特に限定されるものではないが、
例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、
トリエチレングリコール、トリエチレングリコール、プ
ロピレングリコール、ポリエチレングリコールやグリセ
リン等のグリコール類、エチレングリコールモノメチル
エーテルやジエチレングリコールモノメチルエーテル等
のグリコール類を例示することができる。また、前記洗
浄剤として用いることができる水については、特に限定
されるものではなく、イオン交換水等を用いることがで
きる。前記洗浄剤として用いることができる油性溶剤に
ついても、特に限定されるものではなく、着色化粒子に
悪影響を与えない種類の油性溶剤を用いることができ、
本発明の製造方法により油性インキ組成物を製造する場
合には油性インキ組成物の原料に用いることができる油
性溶剤が好ましい。前記油性溶剤としては、例えば、ベ
ンジルアルコール、ラウリルアルコール、α−メチルベ
ンジルアルコール、イソドデシルアルコール、トリデシ
ルアルコール、イソトリデシルアルコール等のアルコー
ル系溶剤、エチレングリコール、ジエチレングリコー
ル、プロピレングリコール、ヘキシレングリコール等の
グリコール系溶剤、エチレングリコールモノメチルエー
テル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレ
ングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコール
モノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノフェニ
ルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテ
ル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチ
レングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコ
ールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノ
フェニルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエ
ーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プ
ロピレングリコールモノノルマルブチルエーテル、プロ
ピレングリコールモノフェニルエーテル、ジプロピレン
グリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコー
ルモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノノ
ルマルブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノフ
ェニルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチル
エーテル、トリプロピレングリコールモノエチルエーテ
ル、トリプロピレングリコールモノノルマルブチルエー
テル、トリプロピレングリコールモノフェニルエーテル
等のグリコ−ルエ−テル系溶剤やプロピレングリコール
メチルエーテルアセテート、プロピレングリコールジア
セテート、N−メチル−2−ピロリドンなどを挙げるこ
とができる。尚、上記油性溶剤は1種又は2種以上を混
合して用いることができる。
【0018】前記洗浄剤は、洗浄処理された着色化粒子
が配合されるインキ組成物の原料から選ばれることが、
着色化粒子中に前記洗浄剤が残存してもインキ物性を低
下させることがないことから好ましい。また、前記洗浄
液における前記洗浄剤の濃度範囲は、有効成分で、0.
1〜100重量%であることが好ましく、0.5〜10
0重量%であることがより好ましい。かかる範囲より前
記濃度が薄い場合には、着色化粒子から移行する着色剤
若しくは着色化粒子中の余剰の着色剤を効率的に取り除
くことができないからである。
【0019】前記洗浄液を用いて着色化粒子を洗浄する
洗浄処理としては、前記の洗浄液を用いて、着色化粒子
から移行する着色剤若しくは着色化粒子中の余剰の着色
剤を取り除くものであれば、特に限定されるものではな
く、公知の撹拌装置中で着色化粒子と洗浄液を撹拌する
ことにより行っても良い。前記洗浄処理工程における前
記洗浄液と着色化粒子との混合比は、重量比で、洗浄液
/着色化粒子が99/1〜10/90であることが好ま
しく、95/5〜70/30であることが好ましい。前
記混合比が99/1より高い場合(洗浄液が多すぎる場
合)には前記洗浄処理工程が行われる回数が多くなる。
前記混合比が10/90より低い場合(洗浄液が少なす
ぎる場合)には、洗浄効果が低く、洗浄処理を施した着
色化粒子であってもインキ組成物の消去性があまり向上
しない。
【0020】前記洗浄処理工程は、洗浄液を用いて洗浄
処理がなされるものであるが、前記洗浄処理は、上述の
消去性インキ組成物に関する説明のように、洗浄液とし
て親水性基を有する有機化合物、親水性基を有する有機
化合物を含む水溶液または溶剤が用いられ、前記の親水
性基を有する有機化合物、親水性基を有する有機化合物
を含む水溶液または溶剤としては着色化粒子を洗浄する
洗浄処理工程の後に行われる水性インキ組成物の製造工
程の原料若しくは油性インキ組成物の製造工程の原料で
あることが好ましい。
【0021】(インキ組成物の製造工程)本発明の消去
性インキ組成物の製造方法におけるインキ組成物の製造
工程は、上述の前記洗浄処理工程において洗浄処理され
た着色化粒子を原料に用いるインキ組成物の製造工程で
ある。かかるインキ組成物の製造工程を行うことによ
り、洗浄された着色化粒子をインキ組成物の着色成分と
して用いて消去性インキ組成物を製造するので、消去性
に優れた消去性インキ組成物を製造することができる。
【0022】前記消去性インキ組成物の製造方法は、消
去性インキ組成物としての性能を発揮できる公知の原料
が用いられるものであるが、上述のように洗浄された着
色化粒子以外にも必要な原料を含むことができ、前記消
去性インキ組成物が水性インキ組成物である場合には、
インキ流動性、分散安定性若しくは筆跡定着性等の良好
なインキ物性を得るために水溶性樹脂またはエマルショ
ンを原料として含むものであるが、乾燥防止やインキ凍
結防止等のために水溶性有機溶剤も原料として含むこと
ができる。
【0023】前記インキ組成物の製造方法において、消
去性インキ組成物の原料として用いられる前記着色化粒
子は、洗浄処理が施されることにより着色化粒子から移
行する着色剤若しくは着色化粒子中の余剰の着色剤が取
り除かれて、消去性インキ組成物に配合されるのである
が、洗浄処理が施された着色化粒子は消去性インキ組成
物全量中に1.0〜40.0重量%含まれることが好ま
しく、3.0〜20.0重量%含まれることがより好ま
しい。洗浄処理が施された着色化粒子が消去性インキ組
成物全量中1.0重量%未満である場合には、得られる
筆跡乃至塗膜の色が薄くなり、所望の色を得にくい。洗
浄処理が施された着色化粒子が消去性インキ組成物全量
中40.0重量%より多い場合には、インキの粘度、流
動性が低下する。
【0024】前記水溶性樹脂としては、一例を挙げれ
ば、多糖類、アクリル系合成樹脂、ビニル系合成樹脂、
セルロース系半合成樹脂、その他の合成樹脂等を用いる
ことができる。前記多糖類としては、微生物産系多糖類
及びその誘導体が用いることができる。例えば、プルラ
ン、ザンサンガム、ウェランガム、ラムザンガム、サク
シノグルカン等を例示することができる。また、植物系
多糖類およびその誘導体が用いることができる。例え
ば、グァ−ガム、ロ−カストビ−ンガム、アラビアガ
ム、デンプン、カラギ−ナン、アルギン酸等を例示する
ことができる。また、動物系多糖類およびその誘導体が
用いることができる。例えば、ゼラチン、カゼイン、ア
ルブミンを例示することができる。これらの多糖類は、
所定の分解処理を行うと多糖の構成単位であるグルコー
ス、マンノースなどの単糖に分解される性質をもつ物質
である。
【0025】前記アクリル系合成樹脂としては、例え
ば、ポリアクリル酸、カルボキシルビニルポリマーやス
チレン−アクリル共重合体等を挙げることができる。前
記ビニル系重合樹脂としては、ポリビニルアルコール、
ポリビニルピロリドンポリビニルエーテル、ポリN−ビ
ニルアセトアミド並びにこれらの共重合体等を挙げるこ
とができる。前記セルロース系半合成樹脂としては、例
えば、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロー
ス、カルボキシメチルセルロースやヒドロキシプロピル
セルロース等を挙げることができる。前記その他の合成
樹脂としては、エチレン−マレイン酸共重合体、ポリエ
チレンオキシドやN−ビニルアセトアミド等を挙げるこ
とができる。
【0026】前記エマルションとしては、特に限定され
るものではないが、高分子成分として、アクリル樹脂、
酢酸ビニル−アクリル共重合樹脂、酢酸ビニル樹脂、ウ
レタン樹脂、ウレタン−アクリル樹脂、スチレン−アク
リル共重合樹脂、酢酸ビニル−エチレン樹脂、アクリル
−ポリエステル樹脂、アクリル−エポキシ樹脂、一部が
エチレン性不飽和単量体よりなるアクリル系樹脂、酢酸
ビニル−アクリル共重合体、酢酸ビニル−エチレン共重
合体、ウレタン樹脂、シリコン−アクリル樹脂、SBR
などの合成ゴム若しくは天然ゴムなどを含むことができ
る。
【0027】前記インキ組成物の製造工程において水性
インキ組成物の原料として用いられる水溶性樹脂とエマ
ルションとは、それぞれ1種もしくは2種以上用いるこ
とが可能であり、消去性水性インキ組成物中に水溶性樹
脂またはエマルションが1種類含まれていても良く、消
去性水性インキ組成物中に水溶性樹脂若しくはエマルシ
ョン及び1種類とエマルション若しくは水溶性樹脂が2
種類以上含まれていても良く、消去性水性インキ組成物
中に水溶性樹脂またはエマルションが2種類以上含まれ
ていても良い。前記水溶性樹脂及び前記エマルションの
種類は、所定のインキ物性を得るために消去性水性イン
キ組成物中に配合することができるが、着色化粒子の分
散安定性のためには微生物系多糖類及びその誘導体を用
いることが好ましく、筆跡の定着性のためには合成エマ
ルションまたはアクリル系合成樹脂を用いることが好ま
しい。また、前記水性インキ組成物の製造工程における
前記水溶性樹脂及び前記エマルションの使用量は、特に
限定されるものではないが、前記水溶性樹脂と前記エマ
ルションとを合計した量について、固形分で消去性水性
インキ組成物中0.1〜40.0重量%であることが好
ましく、種類により量が異なるが0.5〜20.0重量
%であることがより好ましい。前記含有量が0.1重量
%未満である場合には無色樹脂球や着色化粒子の分散安
定性が低下し、筆跡の定着性も低下する。また、前記含
有量が40.0重量%より多い場合には、インキの粘
度、流動性が低下する。
【0028】前記インキ組成物の製造工程は、水性イン
キ組成物の原料として水溶性有機溶剤を用いることがで
きる。前記水溶性有機溶剤は、ペン先での乾燥防止がで
き、インキの凍結防止ができるものであれば特に限定さ
れるものではないが、例えば、エチレングリコール、ジ
エチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピ
レングリコール、ポリエチレングリコールやグリセリン
等のグリコール類、エチレングリコールモノメチルエー
テルやジエチレングリコールモノメチルエーテル等のグ
リコール類を用いることができる。前記水性インキ組成
物の製造工程における前記水溶性有機溶剤の使用量は、
特に限定されるものではないが、消去性水性インキ組成
物全量中1.0〜40.0重量%として用いることが好
ましく、種類により量は異なるが5.0〜20.0重量
%として用いることが好ましい。前記配合量が1.0重
量%未満である場合にはペン先が乾燥しやすく、またイ
ンキ凍結の可能性がある。前記配合量が40.0重量%
より多い場合には、水溶性樹脂の溶解性に影響があり、
塗膜の乾燥に時間を要する。
【0029】本発明の消去性インキ組成物は、必要に応
じてその他の成分として、ポリオキシエチレンアルカリ
金属塩、ジカルボン酸アミド、リン酸エステル等の潤滑
剤(界面活性剤)、ベンゾトリアゾール、トリルトリア
ゾール、ジシクロヘキシルアンモニウムナイトレート等
の防錆剤、ベンゾイソチアゾリン系、ペンタクロロフェ
ノール系、クレゾール等の防腐剤、無色樹脂球等を添加
することができる。また、消去性を低下させない種類の
着色剤を添加することもできる。
【0030】前記インキ組成物の製造方法は、より具体
的には、インキ組成物の一般的な製造方法で製造するこ
とが可能であり、従来公知の分散方法、脱泡方法、ろ過
等を行うことができるが、水性インキ組成物を製造する
場合においては、先ず水、水溶性有機溶剤、エマルショ
ン及び洗浄済み着色化粒子投入した後に公知の分散装置
で分散し、次いで水溶性樹脂を投入して公知の撹拌装置
で撹拌し、必要に応じてpH調整を行うことのより消去
性水性インキ組成物を得る方法が好ましい。
【0031】(着色化粒子の処理方法)本発明は、親水
性基を有する有機化合物、親水性基を有する有機化合物
を含む水溶液または溶剤を洗浄液とし、前記洗浄液を用
いて着色化粒子を洗浄処理する着色化粒子の処理方法で
もある。前記着色化粒子の処理方法は、上述の消去性イ
ンキ組成物の製造方法において消去性インキ組成物の原
料として好適な着色化粒子を提供する方法である。前記
処理方法により得られた着色化粒子により優れた消去性
を発揮できる。すなわち、前記着色化粒子の処理方法
は、上述の消去性インキ組成物の製造方法における着色
化粒子の洗浄処理工程と同様の洗浄処理の方法である。
【0032】前記着色化粒子の処理方法は、着色化粒子
に含まれる着色剤のうち余剰の着色剤若しくは着色化粒
子から溶出する着色剤を取り除くことができるものであ
れば、特に限定されるものではないが、上述の消去性イ
ンキ組成物の製造方法における着色化粒子の洗浄処理工
程の説明のように、洗浄液として親水性基を有する有機
化合物、親水性基を有する有機化合物を含む水溶液また
は溶剤が用いられることが好ましい。前記着色化粒子の
処理方法に用いられる洗浄剤及び洗浄液についても、上
述の消去性インキ組成物の製造方法における着色化粒子
の洗浄処理工程の説明の如くである。
【0033】また、特に前記洗浄液に含まれる洗浄剤が
界面活性剤であることが、上述の消去性インキ組成物の
製造方法における着色化粒子の洗浄処理工程の説明のよ
うに、前記着色剤と親和性の高いために好ましい。前記
界面活性剤としては、特に限定されるものではないが、
上述の消去性インキ組成物の製造方法における着色化粒
子の洗浄処理工程の説明の如くである。
【0034】(消去性インキ組成物)本発明の消去性イ
ンキ組成物は、着色化粒子を含むインキ組成物であり、
前記着色化粒子は洗浄処理がされた着色化粒子である消
去性インキ組成物である。前記消去性組成物は、着色化
粒子を洗浄することにより着色化粒子に含まれる着色剤
のうちで着色化粒子から移行する(又は外れる)着色剤
若しくは余剰の着色剤を取り除くことができ、優れた消
去性を発揮するものである。すなわち、前記の洗浄処理
がされた着色化粒子は、上述の消去性インキ組成物の製
造方法における洗浄処理工程において洗浄された着色化
粒子と同様である。
【0035】本発明の消去性インキ組成物は、洗浄処理
がされた着色化粒子を含むものであるが、前記洗浄処理
は、着色化粒子に含まれる着色剤のうちで着色化粒子か
ら外れる着色剤若しくは余剰の着色剤を取り除くことが
できるものであれば特に限定されるものではないが、上
述の消去性インキ組成物の製造方法の洗浄処理工程の説
明の如く、親水性基を有する有機化合物、親水性基を有
する有機化合物を含む水溶液、または溶剤を洗浄液とし
た洗浄処理するものであることが好ましい。なお、着色
化粒子を洗浄する際に用いられる洗浄液及び洗浄剤は、
上述の消去性インキ組成物の製造方法の洗浄処理工程の
説明の如くである。前記洗浄処理における洗浄剤は、消
去性インキ組成物の所望のインキ物性を得るために原料
が決定され、この原料のうちから着色化粒子に含まれる
着色剤と親和性のより高い前記洗浄剤が選択されること
がより好ましい。また、前記着色化粒子は、上述の消去
性インキ組成物の製造方法の洗浄処理工程の説明の如
く、粒度分布がメジアン径(D50)が2μm以上であ
り、かつ、粒径1μm以下の粒子が5.0重量%未満で
あることが好ましい。
【0036】本発明の消去性インキ組成物は、上述の消
去性インキ組成物の製造方法の洗浄処理工程の説明の如
く、消去性インキ組成物の原料として用いられる界面活
性剤の水溶液を洗浄液として用いることが好ましい。前
記界面活性剤については、上述の消去性インキ組成物の
製造方法の洗浄処理工程の説明の如くである。
【0037】本発明の消去性インキ組成物は、消去性水
性インキ組成物である場合には、水溶性有機溶剤を含
み、さらに水溶性樹脂及び/またはエマルションを含む
ことが好ましい。上述の消去性インキ組成物の製造方法
の洗浄処理工程の説明の如く、水溶性有機溶剤を含むこ
とにより筆記具に用いた場合のペン先の乾燥防止やイン
キ凍結防止を図ることができ、水溶性樹脂及び/または
エマルションを含むことにより粘度調整、着色化粒子の
沈降防止若しくは分散安定性、筆跡の定着性を向上する
ことができるからである。なお、水溶性有機溶剤、水溶
性樹脂及びエマルションについては、上述の消去性イン
キ組成物の製造方法の洗浄処理工程の説明の如くであ
る。
【0038】本発明の消去性水性インキ組成物の粘度範
囲は、1000〜10000mPa・sである。なお、
粘度はELD型粘度計(3゜コーン、回転数:0.5r
pm、20℃)による測定値である。このような粘度範
囲であると、インキとして筆記性も良好でインキ組成物
の分散安定性を高めることができる。
【0039】本発明の消去性水性インキ組成物は、上述
のように、界面活性剤や水溶性有機溶剤を含むものであ
るが、着色化粒子の洗浄処理工程において用いられた前
記親水性基を有する有機化合物または前記水を原料とし
て用いることが好ましい。即ち、消去性水性インキ組成
物の原料として配合される界面活性剤や水溶性有機溶剤
等の親水性基を有する有機化合物や水を前記洗浄処理工
程の洗浄剤とすることが好ましい。洗浄処理を施した後
に洗浄剤が着色化粒子に残存していても、前記洗浄剤は
水性インキ組成物中に含まれるものであるので、洗浄剤
が残存した着色粒子が前記着色化粒子が含まれた際にお
いても前記洗浄液が貯蔵安定性等のインキ特性を低下さ
せる場合が少ないからである。
【0040】(筆記具)本発明は、上述の消去性インキ
組成物を含む筆記具でもある。本発明の筆記具の形態と
しては特に限定されるものではないが、好ましい使用形
態の例としては、光輝性組成物をインキ収容管に収容
し、インキ収容管の一端にボールペン先等の塗布部品を
配してペン先でインキを塗布する形態などが挙げられ
る。特に好ましい形態としては、いわゆる水性ゲルイン
キボールペンである。発明者又は出願人は、好適な筆記
具、および、ボールペンチップの形態に関する発明も出
願している(特願平11−258189号、同2652
32号、同265233号、特願2000−30124
号)。これらの採用は、本発明のインキ組成物をボール
ペンで筆跡を得る上において最適である。
【0041】
【実施例】〔着色化粒子の洗浄処理〕表1の原料及び配
合組成で洗浄液A〜Gを得た。得られた洗浄液A〜Gを
着色化粒子I〜IIIとを表2の重量比で公知の撹拌装置
を用いて室温1時間撹拌して洗浄処理し、それぞれ公知
のろ過装置によりろ過し、固形分約90重量%の洗浄済
みの着色化粒子を得た。なお、洗浄液A〜Gには次の洗
浄剤を用い、着色化粒子には次の着色剤を用いた。表1
の配合量は重量%で表されている。 (洗浄剤) 洗浄剤I;ポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸エ
ステル(商品名「フォスファノールML−220」、東
邦化学工業株式会社製、燐酸エステル型界面活性剤) 洗浄剤II:プロピレングリコール(試薬) 洗浄剤III:β−ナフタレンスルフォン酸ホルマリン縮
合物のナトリウム塩(商品名「デモール NL」、花王
株式会社製、スルホン酸型界面活性剤) 洗浄剤IV:ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(商
品名「ネオペレックスF−65」、花王株式会社製、ス
ルホン酸系界面活性剤) 洗浄剤V:ポリオキシエチレン(9)ラウリルエーテル
(商品名「BL−9EX」、日光ケミカルズ株式会社
製、エーテル型界面活性剤) (着色化粒子) 着色化粒子I:赤色アクリル着色粒子(綜研化学株式会
社製の赤色アゾ系含金染料着色アクリル樹脂球の8μm
分級品) 着色化粒子II:黒色アクリル着色粒子(綜研化学株式会
社製の黒色アゾ系含金染料着色アクリル樹脂球の4μm
分級品) 着色化粒子III:赤色板状アルミナ(商品名「テラセス
P−2」、寺田薬泉社製、板状γ−アルミナにC.IP
IGMENT RED146を用いて着色、6μm分級
品)
【0042】
【表1】
【0043】洗浄済みの着色化粒子を得る際のろ液をさ
らにイオン交換水を用いて、ろ液:イオン交換水が1:
4となるように希釈し、吸光度計(商品名「330形自
記分光光度計」、日立社製)で吸光度を測定し、結果を
「ろ液(20重量%希釈液)の吸光度」として表2に示し
た。さらに洗浄済み着色化粒子I〜VIIの一部を採取し
て、洗浄液Aを用いて、重量比を 洗浄液/洗浄済み着色化粒子 = 80/20 として公知の撹拌機により室温1時間撹拌してろ過し、
ろ液を得た。このろ液をさらにイオン交換水を用いて、
ろ液:イオン交換水が1:4となるように希釈し、吸光
度を前記吸光度測定器により測定した。結果を表2に
「更なる洗浄後のろ液(20重量%希釈液)の吸光度」
として示した。
【0044】
【表2】
【0045】〔インキ組成物の製造〕表3〜6の原料及
び配合組成で、水、水溶性有機溶剤及び洗浄済み着色化
粒子若しくは未洗浄着色化粒子、並びに必要に応じてエ
マルションを投入して公知の分散装置により分散し、水
溶性樹脂、防腐防黴剤、防錆剤及び界面活性剤を加えて
撹拌し、必要に応じて公知の方法でpH調整をして実施
例1〜14及び比較例1〜10の水性インキ組成物を得
た。
【0046】
【表3】
【0047】
【表4】
【0048】
【表5】
【0049】
【表6】
【0050】表3〜6における実施例1〜14及び比較
例1〜10の消去性水性インキ組成物の各原料には、以
下のものを用いた。なお、洗浄済み着色化粒子には上記
の着色化粒子の洗浄処理において洗浄処理した洗浄済み
着色化粒子を用い、着色化粒子(洗浄なし)には、着色
化粒子の洗浄処理において洗浄処理する前の着色化粒子
を用いた。 (水溶性樹脂) 水溶性樹脂I:ウエランガム(商品名:「K1C37
6」、三晶社製) 水溶性樹脂II:サクシノグルカン(商品名:「RHEO
ZAN」、三晶社製)(エマルション) エマルションI:SBRエマルション(商品名:「JS
R0561」、日本合成ゴム社製、固形分69重量%、
Tg=−63℃) エマルションII:SBRエマルション(商品名:「JS
R0589」、日本合成ゴム社製、固形分58重量%、
Tg=0℃)、 エマルションIII:SBSエマルション(商品名:「H
−3175」、第一工業製薬社製、固形分50重量%、
軟化点100〜120℃) エマルションIV:アクリル系エマルション(商品名:
「ジュリマーAT−510」、日本純薬社製、固形分3
0重量%、Tg=−28.5℃) (水溶性有機溶剤) 水溶性有機溶剤I:グリセリン(試薬) 水溶性有機溶剤II:プロピレングリコール(試薬) (防腐防黴剤) 1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン:商品名「プ
ロクセルXL−2」(ヘキスト合成株式会社製) (防錆剤) ベンゾトリアゾール(試薬) (界面活性剤) ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル
(商品名「フォスファノールML−220」、東邦化学
工業株式会社製、燐酸エステル系界面活性剤)
【0051】(評価) (消去性)実施例1〜14及び比較例1〜10の消去性
水性インキ組成物をアプリケーター(塗布厚20μm)
を用いて白画用紙にそれぞれ塗布した後に室温1時間乾
燥し、試験塗膜を得た。得られた試験塗膜を市販のプラ
スチック消しゴムにて1.5kg過重を加えながら2往
復させ、残色と白画用紙との色差(△Ea)を測
定し、次の評価基準により消去性を評価した。 〔消去性評価基準〕 〇:△Eaが7以下である。 ×:△Eaが7より大きい。
【0052】(経時安定性)実施例1〜14及び比較例
1〜10の消去性水性インキ組成物をステンレス製のボ
ールペンチップ(ボール材質:炭化珪素、ボール径:
1.0mm)を一端に連設した半透明のポリプロピレン
製の中空軸筒より成るインキ収容部に充填し、このイン
キ収容部を装填した各試験サンプルのボールペンを作成
し、50℃1ヶ月でそれぞれ保存し、消去性評価と同様
にして△Eaを求めることにより次の評価基準に
より経時安定性を評価した。 〔経時安定性評価基準〕 〇:△Eaが7以下である。 ×:△Eaが7より大きい。
【0053】(結果)実施例1〜5の消去性水性インキ
組成物は、リン酸エステル系界面活性剤を洗浄剤として
用いた洗浄液を用いて洗浄処理した着色化粒子を用いて
製造したものであり、消去性は良好であった。実施例6
〜8は、着色化粒子の洗浄剤として、水溶性有機溶剤と
リン酸エステル系界面活性剤とを洗浄剤としたものであ
り、得られた消去性水性インキ組成物の消去性も良好で
あった。また、実施例9及び10は洗浄剤を水溶性有機
溶剤とし、実施例11は水を洗浄剤とし、洗浄剤そのも
のを洗浄液としたものを用いて着色化粒子を洗浄処理し
たものであり、得られた消去性水性インキ組成物の消去
性も良好であった。実施例1〜11については、消去性
水性インキ組成物の原料としても用いられている。実施
例12〜14は、界面活性剤を洗浄剤とした着色化粒子
を用いたものであり、消去性水性インキ組成物の原料と
しては用いられてはいないが、消去性も良好である。特
に、実施例13及び実施例14に用いた着色化粒子は、
表2に示すように「更なる洗浄後のろ液(20重量%希
釈液)の吸光度」が0.3以下であり、着色剤の除去が
良好であった。このため、実施例13及び実施例14の
消去性水性インキ組成物の消去性は優れていた。また、
実施例13及び実施例14については、インキ配合の原
料に洗除剤IVと洗除剤Vと反応や凝集など相互作用を生
じる原料を用いなかったので、消去性についての経時安
定性も良好であった。洗浄処理後の着色化粒子から洗浄
剤を完全に除去でき、インキの原料に洗除剤と相互作用
等を生じることがない原料を用いるのであれば、望まし
くは、「更なる洗浄後(20重量%希釈液)のろ液の吸
光度」が0.3以下となる洗浄液で着色化粒子を洗浄処
理することが好ましい。つまり、最終製造物に対して界
面活性剤が悪影響を及ぼさなければ、洗浄力の高い界面
活性剤で洗浄する方が筆跡乃至塗膜の消去性に効果が高
いことがわかった。また、消去性水性インキ組成物の原
料を着色化粒子の洗浄剤として用いた実施例1〜10の
消去性水性インキ組成物は、経時でのインキ物性または
経時での消去性が低下する恐れがなく、製造時の不必要
な検査工程を設ける必要もないので消去性水性インキ組
成物の原料を洗浄剤として洗浄処理することが好まし
い。
【0054】比較例1〜10は、洗浄処理をしなかった
着色化粒子を用いた水性インキ組成物であり、消去性、
経時安定性(経時での消去性)がいずれも不良であっ
た。
【0055】
【本発明の効果】本発明の消去性インキ組成物は、洗浄
液で洗浄処理するにより着色化粒子から移行する着色剤
若しくは着色化粒子中の余剰の着色剤が除去された着色
化粒子を用いているために、消去性が良好で、消去性が
必要なボールペン等の筆記具に好適に用いることができ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2C350 GA03 HA08 NA19 4J039 AB01 AB02 AB11 AD03 AD06 AD08 AD09 AE03 AE04 AE06 AE11 BC54 BC56 BD04 BE01 BE02 BE12 BE22 CA03 EA48 GA26 GA27 GA28

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 着色化粒子を洗浄する洗浄処理工程を行
    った後に、前記洗浄処理工程において洗浄処理された着
    色化粒子を原料に用いるインキ組成物の製造工程を行う
    消去性インキ組成物の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記洗浄工程における洗浄処理が、洗浄
    液として親水性基を有する有機化合物、親水性基を有す
    る有機化合物を含む水溶液または溶剤を用いて行われ、
    前記インキ組成物の製造工程において前記洗浄処理工程
    で用いられた前記親水性基を有する有機化合物及び/ま
    たは前記溶剤を原料として用いる請求項1に記載の消去
    性インキ組成物の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記洗浄処理工程における洗浄液が界面
    活性剤を含む水溶液であり、前記インキ組成物の製造工
    程において界面活性剤を原料として用い、前記洗浄液に
    含まれる前記界面活性剤と前記インキ組成物の製造工程
    における前記界面活性剤との組成が同一である請求項1
    または請求項2に記載の消去性インキ組成物の製造方
    法。
  4. 【請求項4】 前記洗浄液として、スルホン酸エステル
    型アニオン系界面活性剤、燐酸エステル型アニオン系界
    面活性剤及びエステル型ノニオン系界面活性剤からなる
    群より少なくとも1種以上選ばれた界面活性剤の水溶液
    を用いる請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の消去
    性インキ組成物の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記洗浄処理工程における着色化粒子の
    洗浄処理が着色化粒子と洗浄液とを撹拌することにより
    行われる請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の消去
    性インキ組成物の製造方法。
  6. 【請求項6】 親水性基を有する有機化合物、親水性基
    を有する有機化合物を含む水溶液または溶剤を洗浄液と
    し、前記洗浄液を用いて着色化粒子を洗浄処理する着色
    化粒子の処理方法。
  7. 【請求項7】 前記洗浄液に含まれる洗浄剤として界面
    活性剤を用いる請求項16に記載の着色化粒子の処理方
    法。
  8. 【請求項8】 前記洗浄液として、スルホン酸エステル
    型アニオン系界面活性剤、燐酸エステル型アニオン系界
    面活性剤及びエステル型ノニオン系界面活性剤からなる
    群より少なくとも1種以上選ばれた界面活性剤の水溶液
    を用いる請求項6または請求項7に記載の着色化粒子の
    処理方法。
  9. 【請求項9】 着色化粒子を含むインキ組成物であり、
    前記着色化粒子は洗浄処理がされた着色化粒子である消
    去性インキ組成物。
  10. 【請求項10】 前記着色化粒子は、親水性基を有する
    有機化合物、親水性基を有する有機化合物を含む水溶
    液、または溶剤を洗浄液とし、洗浄処理がされた着色剤
    である請求項9に記載の消去性インキ組成物。
  11. 【請求項11】 前記洗浄剤が前記着色化粒子を含むイ
    ンキ組成物の原料として用いられる界面活性剤の水溶液
    である請求項9または請求項10に記載の消去性インキ
    組成物。
  12. 【請求項12】 水溶性有機溶剤を含み、さらに水溶性
    樹脂及び/またはエマルションを含む請求項9乃至請求
    項11のいずれかに記載の消去性インキ組成物。
  13. 【請求項13】 前記着色化粒子の粒度分布が、メジア
    ン径で2μm以上であり、かつ、粒径1μm以下の粒子
    が5.0重量%以下である請求項9乃至12のいずれか
    に記載の消去性インキ組成物。
  14. 【請求項14】 請求項9乃至請求項13のいずれかに
    記載の消去性インキ組成物を含む筆記具。
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JP2021109916A (ja) * 2020-01-09 2021-08-02 株式会社サクラクレパス 水性ボールペン用インキ組成物、水性ボールペンレフィル及び水性ボールペン

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