JP2003275510A - 固液分離装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 懸濁物質を含む被処理水を効率良く濾過する
ことができ、しかも装置の小型化および低コスト化が図
れる。 【解決手段】 少なくとも一方の外面に濾過媒体を有
し、且つ外周部に処理水排出手段を有する平板状の中空
濾過部材２を複数個上下に間隔をあけて重ね合わせた濾
過体１と、濾過体１の中心部を離間して貫通する中空回
転軸１１に設けられ、前記濾過媒体の外表面に形成され
たケーキ層を掻き取るスクレーパ１０と、前記処理水排
出手段に連通した集水管８を具備する濾過装置Ａと、懸
濁物質を含有する被処理水の流入口２６と流出口２７を
有すると共に、濾過装置Ａを収容する被処理水貯留槽Ｂ
とを備えた固液分離装置において、被処理水の流入口２
６の前段に、硫酸添加手段２８、無機凝集剤添加手段２
９、有機高分子凝集剤添加手段３０およびラインミキサ
ー３１を設ける。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】この発明は、固液分離装置、
特に、上水道、下水道またはし尿処理の水処理過程で発
生する排水または汚泥、および懸濁物質を含む工業排水
や一般排水を、効率良く濾過することができ、しかも装
置の小型化および低コスト化が図れる固液分離装置に関
するものである。

【０００２】

【従来の技術】一般の下水処理場における汚泥処理方法
を、図面を参照しながら説明する。

【０００３】図８は、一般的な下水処理場における汚泥
処理方法を示すフロー図である。

【０００４】図８に示すように、最初沈殿池３２に流入
した下水は、ここで重力沈降処理によって固液分離され
る。次いで、沈降処理後の上澄水は、反応タンク３３に
供給され、ここで活性汚泥処理される。このようにして
活性汚泥処理された下水は、最終沈殿池３４に供給さ
れ、ここで再度、重力沈降処理によって固液分離され
る。このようにして最終沈殿池３４で得られた上澄水は
滅菌槽３５に供給され、ここで滅菌処理される。そし
て、このように滅菌処理された下水の処理水は、河川、
湖沼あるいは海域に放流される。

【０００５】一方、最初沈殿池３２における沈降汚泥と
最終沈殿池３４における余剰汚泥は、通常、混合され
る。このようにして混合された混合汚泥は、汚泥濃縮槽
３６に供給される。汚泥濃縮槽３６に供給される混合汚
泥の固形物濃度は、通常、１％前後である。混合汚泥
は、汚泥濃縮槽３６において重力沈降によって濃縮処理
される。これによって、２から３％程度の固形物濃度の
濃縮汚泥が得られる。このようにして得られた濃縮汚泥
は、汚泥貯留槽３７に貯留される。そして、汚泥貯留槽
３７に貯留された汚泥は、脱水機３８によって脱水され
る。このようにして脱水ケーキが得られる。

【０００６】上述のように、一般の下水処理場におい
て、流入下水および汚泥混合液（以下、汚泥という）の
固液分離・濃縮処理には、重力沈降が用いられている。
即ち、流入下水は、最初沈殿池３２において重力沈降に
よって固液分離され、反応タンク２において活性汚泥処
理された下水は、最終沈殿池３４において重力沈降によ
って固液分離され、そして、混合汚泥は、汚泥濃縮槽３
６において重力沈降によって濃縮処理されていた。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】上述した、重力沈降に
よる汚泥処理方法は、電力の消費が少ないことから、処
理費用が安価で済むといった利点を有している。しかし
ながら、重力沈降による汚泥処理装置は、その設置面積
が大きく、しかも装置の処理能力が汚泥の性状や水温に
大きく左右されるといった問題を有していた。

【０００８】特に、近年、汚泥中の有機分の増加あるい
は汚泥の集約処理化にともなう長距離輸送された汚泥の
腐敗などの原因によって、汚泥の沈降性が悪化してい
る。この結果、汚泥の集約処理を行っている下水処理場
の汚泥濃縮槽においては、重力沈降による汚泥処理によ
ってコンスタントに固形物濃度で２％以上の濃縮汚泥を
確保することが困難となっているのが現状である。

【０００９】所定の濃度の濃縮汚泥が得られない場合、
後段の脱水処理設備に供給される混合汚泥液量が大とな
るため、脱水機の安定運転が困難となるばかりでなく、
過剰の脱水処理設備を要することとなる。

【００１０】このような問題点を解決するために、最近
は、遠心分離機等の機械濃縮装置が採用されつつある
が、この方法は、電力の消費が大きいため経済的に不利
である。

【００１１】一方、公共用水域の富栄養化防止を図るた
めに、積極的な採用が検討されている窒素・リン除去等
の高度処理方法においては、反応速度をより大きくする
ために、反応タンクは、標準活性汚泥法の場合より固形
物濃度の高い状態で運転されるケースが多い。

【００１２】従って、反応タンクから流出する高濃度の
汚泥混合液を固液分離処理することが必要となる。特
に、大都市においては、既に標準活性汚泥法に対応した
最終沈殿池が数多く稼働中であるので、高度処理を採用
するためには、図８の最終沈殿池３４を代替できるか、
あるいは、これを補完することができる新たな汚泥処理
手段の開発が必要である。

【００１３】このように、重力沈降によらず、汚泥を確
実に分離・濃縮する技術への必要性は、近年、大となっ
ている。

【００１４】上述した観点から本発明者等は、特願２０
００−３６８１６９として、新たな固液分離装置を開発
した。以下、この装置を先行固液分離装置という。先行
固液分離装置は、後述する発明の実施の形態において詳
細に説明する。

【００１５】本発明者等は、先行固液分離装置について
さらに検討を行ったところ、凝集剤として無機凝集剤お
よび有機高分子凝集剤を被処理水に添加するか、また
は、ポリ硫酸第二鉄と被処理水のｐＨ調整のための硫酸
とを被処理水に添加することによって、汚泥の固液分
離、濃縮処理性能を飛躍的に向上させることができるこ
とを見出し、この発明を得るに至った。

【００１６】すなわち、この発明の目的は、上述した先
行固液分離装置を用いて被処理水を処理するに際して、
被処理水の性状に依存せず大量にかつ効率良く、被処理
水を固液分離・濃縮処理することができる固液分離装置
を提供することにある。

【００１７】

【課題を解決するための手段】請求項１記載の発明は、
少なくとも一方の外面に濾過媒体を有し、外周部に濾液
排出手段を有する平板状の中空濾過部材を複数個上下に
間隔をあけて重ね合わせた濾過体と、前記濾過体の中心
部を離間して貫通する中空回転軸に設けられ、前記濾過
媒体の外表面に形成されたケーキ状懸濁物質を掻き取る
スクレーパと、前記濾液排出手段に連通した集水管を具
備する濾過装置と、懸濁物質を含有する被処理水の流入
口と流出口とを有すると共に、前記濾過装置を収容する
被処理水貯留槽とを有する固液分離装置において、前記
被処理水の前記流入口の前段に、前記被処理水への凝集
剤添加手段を有することに特徴を有するものである。

【００１８】請求項２記載の発明は、少なくとも一方の
外面に濾過媒体を有し、外周部に濾液排出手段を有する
平板状の中空濾過部材を複数個上下に間隔をあけて重ね
合わせた濾過体と、前記濾過体の中心部を離間して貫通
する中空回転軸に設けられ、前記濾過媒体の外表面に形
成されたケーキ状懸濁物質を掻き取るスクレーパと、前
記濾液排出手段に連通した集水管を具備する濾過装置
と、懸濁物質を含有する被処理水の流入口と流出口とを
有すると共に、前記濾過装置を収容する被処理水貯留槽
とを有する固液分離装置において、被処理水の前記流入
口の前段に、被処理水への酸添加手段と凝集剤添加手段
とを設けたことに特徴を有するものである。

【００１９】請求項３記載の発明は、少なくとも一方の
外面に濾過媒体を有し、外周部に濾液排出手段を有する
平板状の中空濾過部材を複数個上下に間隔をあけて重ね
合わせた濾過体と、前記濾過体の中心部を離間して貫通
する中空回転軸に設けられ、前記濾過媒体の外表面に形
成されたケーキ状懸濁物質を掻き取るスクレーパと、前
記濾液排出手段に連通した集水管を具備する濾過装置
と、懸濁物質を含有する被処理水の流入口と流出口とを
有すると共に、前記濾過装置を収容する被処理水貯留槽
とを有する固液分離装置において、被処理水の前記流入
口の前段に、被処理水への凝集剤添加手段とラインミキ
サーとを設けたことに特徴を有するものである。

【００２０】請求項４記載の発明は、少なくとも一方の
外面に濾過媒体を有し、外周部に濾液排出手段を有する
平板状の中空濾過部材を複数個上下に間隔をあけて重ね
合わせた濾過体と、前記濾過体の中心部を離間して貫通
する中空回転軸に設けられ、前記濾過媒体の外表面に形
成されたケーキ状懸濁物質を掻き取るスクレーパと、前
記濾液排出手段に連通した集水管を具備する濾過装置
と、懸濁物質を含有する被処理水の流入口と流出口とを
有すると共に、前記濾過装置を収容する被処理水貯留槽
とを有する固液分離装置において、被処理水の前記流入
口の前段に、被処理水への酸添加手段と凝集剤添加手段
とラインミキサーとを設けたことに特徴を有するもので
ある。

【００２１】

【発明の実施の形態】次に、この発明の固液分離装置の
一実施態様を、図面を参照しながら説明する。

【００２２】図１は、この発明の概略斜視図、図２は、
この発明の濾過装置を示す斜視図、図３は、この発明の
濾過装置を示す一部省略分解斜視図、図４は、この発明
の中空濾過部材とスクレーパとを示す分解斜視図、図５
は、この発明の中空濾過部材とスクレーパと掻き取りブ
レードとの配置を示す斜視図、図６は、この発明の集水
管を示す部分斜視図、図７は、この発明の中空回転軸を
示す部分斜視図である。

【００２３】図１に示すように、この発明の固液分離装
置は、濾過装置Ａと濾過装置Ａを収容する被処理水貯留
槽Ｂとを備えている。

【００２４】濾過装置Ａは、後述する濾過体１と処理水
集水管８とスクレーパ１０とを備えているが、必要に応
じて掻き取りブレード１５および洗浄ノズル１７を備え
ても良い。

【００２５】以下、濾過体１、処理水集水管８、スクレ
ーパ１０、掻き取りブレード１５および洗浄ノズル１７
を備えた濾過装置Ａについて、図１から図７を参照しな
がら説明する。

【００２６】図１から図７において、１は、縦型濾過体
である。濾過体１は、懸濁物質を含む被処理水を外側か
ら内側へ、水頭差により濾過する中空濾過部材２が間隔
をあけて上下に重ね合わされたものからなっている。

【００２７】なお、加圧または吸引を利用して濾過する
ことも可能であるが、設備コスト、運転コストを考慮す
ると、水頭差により濾過することが好ましい。

【００２８】中空濾過部材２は、所定の厚みを有する、
例えば、円形状枠体３と枠体３の上面および下面に固定
された濾過媒体４とからなっている。濾過媒体４自体が
強度の高いものであれば、濾過媒体４を直接、枠体３に
固定しても良いが、濾布、高分子体等のように柔らか
く、水圧により容易に変形してしまうようなものの場合
には、補強用多孔性平板を介して枠体３に固定する必要
がある。中空濾過部材２は、後述する集水管取り付け部
毎に仕切り板２Ａによって分割されている。仕切り板２
Ａは、水圧等による濾過媒体４の変形を防止するもので
あるが、この変形が問題無いような場合には必要ない。

【００２９】濾過媒体４としては、濾布、不織布、分離
膜（精密濾過膜、限外濾過膜、逆浸透膜、イオン交換樹
脂膜等）が用いられるが、低コストで固液分離を行なわ
せるためには、低圧で通過可能な濾布、不織布または精
密濾過膜を用いることが好ましい。

【００３０】中空濾過部材２は、その上面および下面を
濾過面として用いるため、単位体積当たりの濾過面積を
大きく取ることができ、更に中空濾過部材２の径が大き
くなればなるほど径の２乗で濾過面積が増加するため、
従来技術３の円筒状濾過ドラムのような濾過面積がドラ
ム径の１乗で増加する濾過体よりも濾過効率面で有利と
なる。なお、中空濾過部材２の形状は、円形以外に矩
形、多角形等であっても良い。上記中空濾過部材２がス
ペーサ５を介して間隔をあけて上下に重ね合わされてい
る。

【００３１】中空濾過部材２の側面には、リング状の集
水管取り付け部６が突設されていて、集水管取り付け部
６内に後述する処理水集水管が挿入されている。集水管
取り付け部６には、図４に示すように、中空濾過部材２
内と連通する処理水排出手段としても連通口７が形成さ
れている。前記集水管は、最小限１本で良いので、取り
付け部６も最小限１本で良いが、この例では、中空濾過
部材２の補強も兼ねて等間隔で４個設けられている。

【００３２】８は、中空濾過部材２の集水管取り付け部
６内に挿入された処理水集水管である。集水管８の軸線
方向には、図６に示すように、間隔をあけて開口９が形
成されている。開口９と集水管取り付け部６の連通口７
とは、合致している。従って、各中空濾過部材２内の処
理水は、連通口７および開口９を通って集水管８に集水
される。各集水管８は、後述する処理水排出管に連結さ
れている。

【００３３】１０は、各中空濾過部材２間に設けられ
た、後述する中空回転軸に固定され、これによって回転
可能なスクレーパである。スクレーパ１０は、前記回転
軸を中心として渦巻き状に配された複数枚（この例では
２枚）の羽根からなっている。スクレーパ１０の回転に
よって濾過媒体４の表面に、濾過の進行に伴って付着お
よび堆積したケーキ状懸濁物質は、スクレーパ１０と濾
過媒体４との間の隙間分の厚みを残して除去される。こ
の隙間に関して、スクレーパ１０と濾過媒体４とが直接
接触する隙間ゼロの状態から非接触の任意隙間の状態の
何れも採用することができるが、濾過速度を速める場合
には、接触させるか隙間を狭くする。一方、処理水中の
懸濁濃度を低くしたい場合には、隙間を広くすれば良
い。

【００３４】また、スクレーパ１０の回転速度によって
も、濾過媒体４の表面上に堆積したケーキ状懸濁物質の
厚みを調節することが可能である。即ち、回転速度が遅
い場合には、スクレーパ１０による懸濁物質の除去頻度
が減少するため堆積した懸濁物質の厚みは厚くなり、一
方、回転数が早いと懸濁物質の除去頻度が増加するため
懸濁物質の厚みは薄くなる。

【００３５】スクレーパ１０の材質としては、金属、高
分子材料、セラミック等を用いることが可能であるが、
被処理水に対して耐腐食性を有し、また、濾過媒体４と
直接接触する場合のことを考慮して耐摩耗性を有するも
のが好ましい。

【００３６】スクレーパ１０によるケーキ状懸濁物質の
除去は、連続的に行なってもあるいは定期的に行なって
も良い。

【００３７】濾過媒体４に付着するケーキ状懸濁物質の
厚みは、被処理水の深さが深くなり濾過圧力が高くなる
ほど、また、被処理水の深さが深くなり濾過媒体４の周
囲の汚泥濃度が沈降現象により高くなればなるほど増加
し、濾過速度が低下する。従って、深い部分ほど、スク
レーパ１０の設置枚数を増やすか、スクレーパ１０によ
る汚泥掻き取りのためのクリアランスを小さくするか、
その両方を併用する。これによって、深い部分の濾過媒
体４に付着するケーキ状懸濁物質の厚みを薄くすること
ができるので、長期間の濾過運転を実施しても濾過媒体
４の目詰まりの進行を抑制できて、濾過速度の低下を防
止することができる。

【００３８】１１は、各スクレーパ１０および後述する
洗浄ノズルが固定された垂直な中空回転軸である。回転
軸１１は、各中空濾過部材２の中心部を貫通し、プーリ
１２およびモータ１３等を備えた駆動手段１４によって
スクレーパ１０の渦巻き方向に回転する。回転軸１１と
各中空濾過部材２とは完全に離間している。

【００３９】１５は、掻き取りブレードであり、スクレ
ーパ１０の掻き取り側の面に付着したケーキ状懸濁物質
を掻き取り、中空濾過部材２間の外に掻き出す。掻き取
りブレード１５の先端部は、スクレーパ１０の回転に伴
ないスクレーパ１０の掻き取り側の面に沿って所定角度
範囲内を回動軸１６を中心として回動する。

【００４０】なお、掻き取りブレード１５は、カム機構
を備えた回動手段（図示せず）を回動軸１６に取り付け
て、自らスクレーパ１０の回転に合わせて回動するよう
にしても、あるいは、スクレーパ１０の回転に伴って回
動するようにしても良い。スクレーパ１０の回転に伴っ
て回動させる場合には、掻き取りブレード１５の先端端
がスクレーパ１０の掻き取り側の面に沿って摺動するよ
うにし、且つ、掻き取りブレード１５自体に弾性力を付
与しておいて、掻き取りブレード１５がスクレーパ１０
から外れた時に元の状態に復帰するようにする。

【００４１】掻き取りブレード１５とスクレーパ１０と
は、ケーキ状懸濁物質の掻き出し効果の面では、接触、
非接触の何れでも良いが、材料の摩耗を考慮すると非接
触が好ましい。

【００４２】１７は、図１および図７に示すように、中
空濾過部材２間に設けられた、濾過媒体４の外側を洗浄
する洗浄手段としての洗浄ノズルである。洗浄ノズル１
７は、各濾過媒体４の外面に流体を吹き付けて、濾過媒
体４に付着したケーキ状懸濁物質を除去し、また、濾過
媒体４が目詰まりを起こした場合の濾過機能を回復させ
る。用いる洗浄用流体としては、濾過体１からの処理水
の他、外部からの導入水、洗浄薬液および空気等が可能
であるが、運転コストの削減効果を考慮すると、処理
水、空気または処理水と空気との併用が望ましい。

【００４３】洗浄ノズル１７からの洗浄用流体は、濾過
媒体４の全面に行き渡らせる必要があるため、スクレー
パ１０と同様に回転軸１１に固定されている。洗浄用流
体は、中空回転軸１１を介して各洗浄ノズル１７に供給
される。洗浄ノズル１７のノズル孔１７Ａは、図７に示
すように、上下に設けることによって、上段の濾過媒体
４下面および下段の濾過媒体４の上面を同時に洗浄する
ことができる。

【００４４】１８は、集水管８に接続された処理水排出
管２５からの処理水が溜められる処理水槽、１９は、処
理水排出管２５への処理水の開閉を行なう第１バルブ、
２０は、中空回転軸１１への処理水の開閉を行なう第２
バルブ、２１は、処理水排出管２５への空気の開閉を行
なう第３バルブ、２２は、中空回転軸１１への空気の開
閉を行なう第４バルブ、２３は、処理水用ポンプ、そし
て、２４は、空気用コンプレッサである。

【００４５】なお、図１では、集水管８は、１本のみ設
けられていて、上述のように処理水排出管２５に続され
ている。また、第１バルブ１９、第３バルブ２１、処理
水用ポンプ２３および空気用コンプレッサ２４は、逆洗
浄手段となる。

【００４６】被処理水貯留槽Ｂは、懸濁物質を含有する
被処理水の流入口２６と濃縮固形分の流出口２７とを有
していて、少なくとも１つの濾過装置Ａが収容されてい
る。

【００４７】流入口２６の前段には、被処理水のｐＨ調
整のための硫酸添加手段２８、無機凝集剤添加手段２９
および有機高分子凝集剤添加手段３０が上流側からこの
順序で設けられている。

【００４８】硫酸の添加方法としては、被処理水に先ず
硫酸を添加し、引き続きポリ硫酸第二鉄を添加する方法
が最も好ましいが、設備の配管等の関係から硫酸とポリ
硫酸第二鉄とを同時に添加するか、始めにポリ硫酸第二
鉄を添加し、引き続き硫酸を添加しても良い。

【００４９】凝集剤の添加方法としては、被処理水にま
ず無機凝集剤を添加し、引き続き有機高分子凝集剤を添
加する方法が最も望ましいが、設備の配管等の関係から
無機凝集剤と有機高分子凝集剤とを同時に添加するか、
または、始めに有機高分子凝集剤を添加し、引き続き無
機凝集剤を添加する方法も可能である。

【００５０】被処理水が最初沈殿池汚泥のみまたは余剰
汚泥と最初沈殿池汚泥とが混合した混合汚泥の場合は、
被処理水に添加する凝集剤は、有機高分子凝集剤のみが
好ましい。有機高分子凝集剤添加手段３０によって添加
する有機高分子凝集剤は、カチオン系凝集剤、ノニオン
系凝集剤、アニオン系凝集剤が適用できるが、特にカチ
オン系凝集剤が望ましい。

【００５１】また、被処理水が余剰汚泥のみの場合、ま
たは、有機高分子凝集剤のみでは十分な濾過濃縮が行な
えない場合は、有機高分子凝集剤と無機凝集剤を併用す
る。被処理水に添加する無機凝集剤は、鉄またはアルミ
ニウムを主成分とする凝集剤が好ましいが、臭気の対策
および汚泥のりん除去も行なえることから、ポリ硫酸第
二鉄が好ましい。

【００５２】無機凝集剤の添加率は、汚泥性状によって
変化するが、汚泥固形物あたり５％から３０％の範囲内
が好ましいが、特に好ましい範囲は、５％から１５％で
ある。

【００５３】有機高分子凝集剤の添加率は、汚泥性状に
よって変化するが、無機凝集剤と併用する場合は、汚泥
固形物あたり０．０１％から０．２％の範囲内が好まし
いが、特に好ましい範囲は、０．０５％から０．１％で
ある。凝集剤として有機高分子凝集剤のみを用いた場合
は、汚泥固形物あたり０．１％から０．３％の範囲内が
好ましいが、特に好ましい範囲は、０．１％から０．２
％である。

【００５４】硫酸とポリ硫酸第二鉄とを添加する場合に
は、被処理水のｐＨは、４から６の範囲内が最も好まし
い。

【００５５】被処理水に硫酸、凝集剤を直接添加する場
合には、流入口２６の管路にラインミキサー３１を設け
て、硫酸および凝集剤と被処理水とを効率良く攪拌した
後、被処理水貯留槽Ｂ内に注入することが望ましい。ラ
インミキサー３１としては、攪拌翼による急速攪拌、緩
速攪拌等の他、配管内で効果的な攪拌が可能なスタティ
ックミキサー等を用いると良い。なお、ラインミキサー
３１を設けずに、無機凝集剤貯留槽および有機高分子凝
集剤貯留槽をそれぞれ別途設け、流入口２６の管路に凝
集剤をライン注入しても良い。

【００５６】なお、この例のように、被処理水貯留槽Ｂ
を濾過装置Ａ専用に設けても良いが、上水道、下水道、
し尿処理、工業排水処理または一般排水処理のフロー中
の既存の槽を用いることも可能である。

【００５７】以上のように構成されている、この発明の
固液分離装置によれば、以下のようにして、懸濁物質を
含む被処理水が処理される。

【００５８】図１に示すように、流入口２６から被処理
水貯留槽Ｂ内に注入された下水等の被処理水は、濾過体
１の各中空濾過部材２内に水頭差によって濾過媒体４を
介して流入し、濾過される。このようにして、各中空濾
過部材２内に流入した処理水は、集水管８を介して処理
水排出管２５から処理水槽１８に溜められる。

【００５９】濾過の進行に伴い、各中空濾過部材２の濾
過媒体には、ケーキ状懸濁物質が付着するが、この付着
懸濁物質は、中空回転軸１１により回転するスクレーパ
１０によって掻き取られ、濾過により濃縮された懸濁物
質の固形分と共に、被処理水貯留槽Ｂの底部に沈殿す
る。スクレーパ１０の掻き取り側の面に付着したケーキ
状懸濁物質は、掻き取りブレード１５によって掻き取ら
れ、各中空濾過部材２間から掻き出され、被処理水貯留
槽Ｂの底部に沈殿する。

【００６０】このようにして、被処理水貯留槽Ｂの底部
に沈殿した濃縮固形分および掻き取られたケーキ状懸濁
物質は、流出口２７から槽外に排出される。

【００６１】洗浄ノズル１７によって濾過体１を洗浄す
るには、第２バルブ２０を開き、ポンプ２３によって処
理水槽１８内の処理水を中空回転軸１１を介して各洗浄
ノズル１７に供給する。この場合、第４バルブ２２を開
き、コンプレッサ２４によって空気を中空回転軸１１を
介して各洗浄ノズル１７に供給しても、あるいは、処理
水と空気とを併用しても良い。

【００６２】一方、濾過体１を逆洗するには、第１バル
ブ１９を開き、ポンプ２３によって処理水槽１８内の処
理水を集水管８を介して各中空濾過部材２内に圧入す
る。この場合、第３バルブ２１を開き、コンプレッサ２
４によって空気を集水管８を介して各中空濾過部材２内
に圧入しても、あるいは、処理水と空気とを併用しても
良い。逆洗浄用流体としては、処理水以外に、外部から
の導入水、洗浄薬液および空気等が可能であるが、運転
コストの削減効果を考慮すると、処理水、空気または処
理水と空気との併用が望ましい。

【００６３】以上のようにして、懸濁物質を含む被処理
水が高能率で処理されると共に、濾過媒体の逆洗および
洗浄が行なわれる。

【００６４】なお、以上は、縦型濾過体１を垂直に被処
理水貯留槽Ｂ内に設置した例であるが、中空濾過部材２
内の処理水の排出を速やかにするために、濾過体１を集
水管８方向に傾斜させて設置しても良い。このように、
濾過体１を傾斜させることによって、スクレーパ１０お
よび掻き取りブレード１５によるケーキ状懸濁物質の掻
き取り効果が向上するといった効果もある。

【００６５】

【発明の効果】以上説明したように、この発明によれ
ば、以下のような有用な効果がもたらされる。

【００６６】 常時、スクレーパによって濾過媒体に
付着したケーキ状懸濁物質が確実に除去され、また、定
期的な濾過媒体の逆洗および洗浄が行なえるので、濾過
媒体の目詰まりが起きにくい。従って、長時間運転が可
能となって、高い濾過効率が得られる。

【００６７】 上下面に濾過媒体を有した上下多段に
組み合わされた中空濾過部材を用いて濾過するために、
濾過面積を大きくすることが可能であり、単位敷地面積
当たりの被処理水の処理量を増大することができること
から、装置の小型化を図ることができる。

【００６８】 水頭差のみで被処理水が濾過されるの
で、スクレーパおよび洗浄ノズルの回転、洗浄用流体お
よび逆洗用流体の昇圧以外に動力を必要としないので、
低コスト化が図れる。

【００６９】 被処理水に酸または凝集剤を添加する
手段を設けることによって、上記効果がさらに向上す
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明の概略斜視図である。

【図２】この発明の濾過装置を示す斜視図である。

【図３】この発明の濾過装置を示す一部省略分解斜視図
である。

【図４】この発明の中空濾過部材とスクレーパとを示す
分解斜視図である。

【図５】この発明の中空濾過部材とスクレーパと掻き取
りブレードとの配置を示す斜視図である。

【図６】この発明の集水管を示す部分斜視図である。

【図７】この発明の中空回転軸を示す部分斜視図であ
る。

【図８】一般的な下水処理場における汚泥処理方法を示
すフロー図である。

【符号の説明】

Ａ：濾過装置 Ｂ：被処理水貯留槽 １：濾過体 ２：中空濾過部材 ２Ａ：仕切り板 ３：枠体 ４：濾過媒体 ５：スぺーサ ６：集水管取り付け部 ７：連通口 ８：集水管 ９：開口 １０：スクレーパ １１：中空回転軸 １２：プーリ １３：モータ １４：駆動手段 １５：掻き取りブレード １６：回動軸 １７：洗浄ノズル １７Ａ：ノズル口 １８：処理水槽 １９：第１バルブ ２０：第２バルブ ２１：第３バルブ ２２：第４バルブ ２３：ポンプ ２４：コンプレッサ ２５：処理水排出管 ２６：流入口 ２７：流出口 ２８：硫酸添加手段 ２９：無機凝集剤添加手段 ３０：有機高分子凝集剤添加手段 ３１：ラインミキサー

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 宇田川 悟 東京都千代田区丸の内一丁目１番２号 日 本鋼管株式会社内 Ｆターム(参考） 4D015 BA22 BB12 CA11 CA14 DA02 DA16 DC06 DC07 DC08 EA35 4D026 BA01 BA03 BB01 BC40 BD02 BD06 BF09 BF11 4D059 AA05 BE06 BE13 BE55 BE57 BE58 BE59 CB17 CB18

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 少なくとも一方の外面に濾過媒体を有
   し、外周部に濾液排出手段を有する平板状の中空濾過部
   材を複数個上下に間隔をあけて重ね合わせた濾過体と、
   前記濾過体の中心部を離間して貫通する中空回転軸に設
   けられ、前記濾過媒体の外表面に形成されたケーキ状懸
   濁物質を掻き取るスクレーパと、前記濾液排出手段に連
   通した集水管を具備する濾過装置と、懸濁物質を含有す
   る被処理水の流入口と流出口とを有すると共に、前記濾
   過装置を収容する被処理水貯留槽とを有する固液分離装
   置において、 前記被処理水の前記流入口の前段に、前記被処理水への
   凝集剤添加手段を有することを特徴とする固液分離装
   置。
2. 【請求項２】 少なくとも一方の外面に濾過媒体を有
   し、外周部に濾液排出手段を有する平板状の中空濾過部
   材を複数個上下に間隔をあけて重ね合わせた濾過体と、
   前記濾過体の中心部を離間して貫通する中空回転軸に設
   けられ、前記濾過媒体の外表面に形成されたケーキ状懸
   濁物質を掻き取るスクレーパと、前記濾液排出手段に連
   通した集水管を具備する濾過装置と、懸濁物質を含有す
   る被処理水の流入口と流出口とを有すると共に、前記濾
   過装置を収容する被処理水貯留槽とを有する固液分離装
   置において、 被処理水の前記流入口の前段に、被処理水への酸添加手
   段と凝集剤添加手段とを設けたことを特徴とする固液分
   離装置。
3. 【請求項３】 少なくとも一方の外面に濾過媒体を有
   し、外周部に濾液排出手段を有する平板状の中空濾過部
   材を複数個上下に間隔をあけて重ね合わせた濾過体と、
   前記濾過体の中心部を離間して貫通する中空回転軸に設
   けられ、前記濾過媒体の外表面に形成されたケーキ状懸
   濁物質を掻き取るスクレーパと、前記濾液排出手段に連
   通した集水管を具備する濾過装置と、懸濁物質を含有す
   る被処理水の流入口と流出口とを有すると共に、前記濾
   過装置を収容する被処理水貯留槽とを有する固液分離装
   置において、 被処理水の前記流入口の前段に、被処理水への凝集剤添
   加手段とラインミキサーとを設けたことを特徴とする固
   液分離装置。
4. 【請求項４】 少なくとも一方の外面に濾過媒体を有
   し、外周部に濾液排出手段を有する平板状の中空濾過部
   材を複数個上下に間隔をあけて重ね合わせた濾過体と、
   前記濾過体の中心部を離間して貫通する中空回転軸に設
   けられ、前記濾過媒体の外表面に形成されたケーキ状懸
   濁物質を掻き取るスクレーパと、前記濾液排出手段に連
   通した集水管を具備する濾過装置と、懸濁物質を含有す
   る被処理水の流入口と流出口とを有すると共に、前記濾
   過装置を収容する被処理水貯留槽とを有する固液分離装
   置において、 被処理水の前記流入口の前段に、被処理水への酸添加手
   段と凝集剤添加手段とラインミキサーとを設けたことを
   特徴とする固液分離装置。