JP2003267787A - β´−サイアロン基セラミックス工具およびその製造方法 - Google Patents
β´−サイアロン基セラミックス工具およびその製造方法Info
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- JP2003267787A JP2003267787A JP2002067344A JP2002067344A JP2003267787A JP 2003267787 A JP2003267787 A JP 2003267787A JP 2002067344 A JP2002067344 A JP 2002067344A JP 2002067344 A JP2002067344 A JP 2002067344A JP 2003267787 A JP2003267787 A JP 2003267787A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】切削時の耐摩耗性,耐欠損性,および耐チッピ
ング性を共に改善したβ´−サイアロン基セラミックス
工具とその製造方法の提供を目的とする。 【解決手段】Si6-ZAlZ0ZN8-Z(0<Z≦4.2)
で表されるβ´−サイアロンを主成分とするβ´−サイ
アロン基セラミックス工具において、該β´−サイアロ
ンは、0.03≦Z<1.0である低Z値β´−サイア
ロンと1.1≦Z<4.0である高Z値β´−サイアロ
ンを含有するβ´−サイアロン基セラミックス工具は耐
摩耗性,耐欠損性,および耐チッピング性に優れる。本
発明のβ´−サイアロン基セラミックス工具は、窒化ケ
イ素,窒化アルミニウム,酸化イットリウムの予備混合
粉末に、粗粒の酸化アルミニウム粉末を添加して焼結す
ることによって得られる。
ング性を共に改善したβ´−サイアロン基セラミックス
工具とその製造方法の提供を目的とする。 【解決手段】Si6-ZAlZ0ZN8-Z(0<Z≦4.2)
で表されるβ´−サイアロンを主成分とするβ´−サイ
アロン基セラミックス工具において、該β´−サイアロ
ンは、0.03≦Z<1.0である低Z値β´−サイア
ロンと1.1≦Z<4.0である高Z値β´−サイアロ
ンを含有するβ´−サイアロン基セラミックス工具は耐
摩耗性,耐欠損性,および耐チッピング性に優れる。本
発明のβ´−サイアロン基セラミックス工具は、窒化ケ
イ素,窒化アルミニウム,酸化イットリウムの予備混合
粉末に、粗粒の酸化アルミニウム粉末を添加して焼結す
ることによって得られる。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、主に鋳鉄や耐熱合金の
高速切削向け工具として用いられるβ´−サイアロン基
セラミックス工具に関するものである。
高速切削向け工具として用いられるβ´−サイアロン基
セラミックス工具に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般にβ´−サイアロン(一般式Si
6-ZAlZ0ZN8-Z,0<Z≦4.2)基セラミックス工
具は、窒化ケイ素基セラミックス工具と比較すると、ア
ルミナを含有するために耐摩耗性には優れるものの、強
度・靱性や熱伝導性などが低いために耐欠損性に劣り、
この傾向はアルミナ添加量の増加に伴って顕著となる。
そこで、耐摩耗性と耐欠損性の両面からの改善提案が多
数なされている。
6-ZAlZ0ZN8-Z,0<Z≦4.2)基セラミックス工
具は、窒化ケイ素基セラミックス工具と比較すると、ア
ルミナを含有するために耐摩耗性には優れるものの、強
度・靱性や熱伝導性などが低いために耐欠損性に劣り、
この傾向はアルミナ添加量の増加に伴って顕著となる。
そこで、耐摩耗性と耐欠損性の両面からの改善提案が多
数なされている。
【0003】β´−サイアロン基セラミックスの強度改
善策に関する先行技術の代表的なものに、特表平8−5
10965号公報、特開平5−208869号公報、特
開平8−337477号公報などがある。
善策に関する先行技術の代表的なものに、特表平8−5
10965号公報、特開平5−208869号公報、特
開平8−337477号公報などがある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】β´−サイアロン基セ
ラミックスの強度改善に関する先行技術の内、特表平8
−510965号公報には、50vol%以上のβ´−
サイアロンを含有し、そのZ値を1.0<Z<3.0の
範囲に限定したセラミックスからなる金属切削インサー
トが記載されている。本記載のβ´−サイアロン系セラ
ミックスは、特定条件での切削では耐摩耗性と耐欠損性
とのバランスが良いが、汎用性に乏しくて、耐摩耗性あ
るいは耐欠損性の一方が不十分であると言う問題があ
る。
ラミックスの強度改善に関する先行技術の内、特表平8
−510965号公報には、50vol%以上のβ´−
サイアロンを含有し、そのZ値を1.0<Z<3.0の
範囲に限定したセラミックスからなる金属切削インサー
トが記載されている。本記載のβ´−サイアロン系セラ
ミックスは、特定条件での切削では耐摩耗性と耐欠損性
とのバランスが良いが、汎用性に乏しくて、耐摩耗性あ
るいは耐欠損性の一方が不十分であると言う問題があ
る。
【0005】特開平5−208869号公報には、微粒
で等軸晶のα−窒化ケイ素と微粒で柱状化したβ´−サ
イアロンの両方の結晶相を複合させた窒化ケイ素系切削
工具が記載されている。本記載の工具は、α−窒化ケイ
素の含有によって強靱とはなるものの、α−窒化ケイ素
と共存させたβ´−サイアロンのZ値が必然的に低くな
るために、耐摩耗性が確実に低下すると言う問題があ
る。
で等軸晶のα−窒化ケイ素と微粒で柱状化したβ´−サ
イアロンの両方の結晶相を複合させた窒化ケイ素系切削
工具が記載されている。本記載の工具は、α−窒化ケイ
素の含有によって強靱とはなるものの、α−窒化ケイ素
と共存させたβ´−サイアロンのZ値が必然的に低くな
るために、耐摩耗性が確実に低下すると言う問題があ
る。
【0006】また、特開平8−337477号公報に
は、β´−サイアロンを主成分とするマトリックスを9
0〜99重量%と、RZ(M′M″)2-XO7-2X(Rは希
土類、M′は周期律表4a族元素の中の少なくとも1
種、M″は周期律表2a,6a,7a,8a族元素の中
の少なくとも1種、−6<X<1、0≦Z<1)で表さ
れる複合酸化物を主成分とする粒界相とからなるサイア
ロン基焼結体が記載されている。本公報記載のβ´−サ
イアロン基焼結体は、粒界相を結晶化することによって
耐摩耗性、耐欠損性、耐熱衝撃性などを改善したもので
はあるが、その効果は少なく、耐摩耗性と耐欠損性の同
時改善は困難であると言う問題がある。
は、β´−サイアロンを主成分とするマトリックスを9
0〜99重量%と、RZ(M′M″)2-XO7-2X(Rは希
土類、M′は周期律表4a族元素の中の少なくとも1
種、M″は周期律表2a,6a,7a,8a族元素の中
の少なくとも1種、−6<X<1、0≦Z<1)で表さ
れる複合酸化物を主成分とする粒界相とからなるサイア
ロン基焼結体が記載されている。本公報記載のβ´−サ
イアロン基焼結体は、粒界相を結晶化することによって
耐摩耗性、耐欠損性、耐熱衝撃性などを改善したもので
はあるが、その効果は少なく、耐摩耗性と耐欠損性の同
時改善は困難であると言う問題がある。
【0007】本発明は、β´−サイアロン基セラミック
スの硬さ,強度,靱性を向上させ、切削時の耐摩耗性,
耐欠損性,および耐チッピング性を改善したβ´−サイ
アロン基セラミックス工具の提供を目的とする。
スの硬さ,強度,靱性を向上させ、切削時の耐摩耗性,
耐欠損性,および耐チッピング性を改善したβ´−サイ
アロン基セラミックス工具の提供を目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、Si6-Z
AlZ0ZN8-Z(0<Z≦4.2)で表されるβ´−サ
イアロンを主成分とするβ´−サイアロン基セラミック
ス工具の寿命および信頼性の向上について検討していた
ところ、β´−サイアロン基セラミックス工具に、アル
ミナ量の少ない、すなわちZ値の低いβ´−サイアロン
と、アルミナ量の多い、すなわちZ値の高いβ´−サイ
アロンとが含まれると、切削工具として用いた場合、耐
摩耗性と耐欠損性および耐チッピング性を高いレベルで
両立できると言う知見を得た。
AlZ0ZN8-Z(0<Z≦4.2)で表されるβ´−サ
イアロンを主成分とするβ´−サイアロン基セラミック
ス工具の寿命および信頼性の向上について検討していた
ところ、β´−サイアロン基セラミックス工具に、アル
ミナ量の少ない、すなわちZ値の低いβ´−サイアロン
と、アルミナ量の多い、すなわちZ値の高いβ´−サイ
アロンとが含まれると、切削工具として用いた場合、耐
摩耗性と耐欠損性および耐チッピング性を高いレベルで
両立できると言う知見を得た。
【0009】本発明のβ´−サイアロン基セラミックス
工具を製造する方法としては、原料粉末から酸化アルミ
ニウム成分の一部ないし全部を除いた予備混合粉末を予
め作製し、この予備混合粉末に粗粒の酸化アルミニウム
粉末を添加・混合した後に焼結するとZ値の低いβ´−
サイアロンとZ値の高いβ´−サイアロンとの均一な複
合組織が得られると言う知見を得て本発明を完成するに
至った。
工具を製造する方法としては、原料粉末から酸化アルミ
ニウム成分の一部ないし全部を除いた予備混合粉末を予
め作製し、この予備混合粉末に粗粒の酸化アルミニウム
粉末を添加・混合した後に焼結するとZ値の低いβ´−
サイアロンとZ値の高いβ´−サイアロンとの均一な複
合組織が得られると言う知見を得て本発明を完成するに
至った。
【0010】本発明においてβ´−サイアロン基セラミ
ックス工具とは、β´−サイアロン50重量%以上と、
残りがセラミックス、ガラス相、金属、および/または
不可避不純物からなるβ´−サイアロン基セラミックス
工具のことである。その中でもβ´−サイアロン以外
が、Si,Al,Mg,Ca,Li,希土類,4a,5
a,6a族元素の炭化物、窒化物、酸化物、ホウ化物、
およびこれらの相互固溶体から選ばれた1種以上である
β´−サイアロン基セラミックス工具は耐熱性が高く好
ましい。
ックス工具とは、β´−サイアロン50重量%以上と、
残りがセラミックス、ガラス相、金属、および/または
不可避不純物からなるβ´−サイアロン基セラミックス
工具のことである。その中でもβ´−サイアロン以外
が、Si,Al,Mg,Ca,Li,希土類,4a,5
a,6a族元素の炭化物、窒化物、酸化物、ホウ化物、
およびこれらの相互固溶体から選ばれた1種以上である
β´−サイアロン基セラミックス工具は耐熱性が高く好
ましい。
【0011】具体的には、Mw(SiAl)12(ON)
16[ただし、Mは希土類、Li,Mg,Ca,Hf,T
i,Zrの中から選ばれた1種以上の元素,(0<w≦
2)]で表されるα´−サイアロン、α−Si3N4、β
−Si3N4、Al2O3、AlON、AlN、SiAl3
O2N3、SiAl4O2N4、MgO、CaO、Y203、
Yb2O3、Dy2O3、La2O3、SiO2、ZrO2、H
fO2、TiC、TiN、TiCN、TiB2、WC、Z
r(N,O)、ZrN、HfN、TaC、TaN、Ta
CN、NbC、NbN,NbCN、およびこれらの相互
固溶体が挙げられる。なお希土類はSc,Y,ランタニ
ド(原子番号57〜71)を示す。
16[ただし、Mは希土類、Li,Mg,Ca,Hf,T
i,Zrの中から選ばれた1種以上の元素,(0<w≦
2)]で表されるα´−サイアロン、α−Si3N4、β
−Si3N4、Al2O3、AlON、AlN、SiAl3
O2N3、SiAl4O2N4、MgO、CaO、Y203、
Yb2O3、Dy2O3、La2O3、SiO2、ZrO2、H
fO2、TiC、TiN、TiCN、TiB2、WC、Z
r(N,O)、ZrN、HfN、TaC、TaN、Ta
CN、NbC、NbN,NbCN、およびこれらの相互
固溶体が挙げられる。なお希土類はSc,Y,ランタニ
ド(原子番号57〜71)を示す。
【0012】β´−サイアロンは、Si6-ZAlZ0ZN
8-Z(0<Z≦4.2)で表されるSi3N4−SiO2−
AlN−Al203系の化合物であり、β−Si3N4にA
l20 3.AlN,SiO2および一部の粒界相成分が固
溶して形成される。本発明のβ´−サイアロンは、Z値
が0.03≦Z<1.0と1.1≦Z<4.0とでなる
2種類のβ´−サイアロンの結晶粒子を含有しているも
のである。
8-Z(0<Z≦4.2)で表されるSi3N4−SiO2−
AlN−Al203系の化合物であり、β−Si3N4にA
l20 3.AlN,SiO2および一部の粒界相成分が固
溶して形成される。本発明のβ´−サイアロンは、Z値
が0.03≦Z<1.0と1.1≦Z<4.0とでなる
2種類のβ´−サイアロンの結晶粒子を含有しているも
のである。
【0013】前者のZ値は、0.03未満ではβ´−サ
イアロンの針状結晶とならず、また1.0を超えて大き
くなると結晶の強度低下が大きいために耐欠損性および
耐チッピング性を改善できない。後者のZ値は、1.1
未満では耐摩耗性を改善できず、4.0を超えて大きく
なるとβ´−サイアロンを形成し難くて、かつ強度低下
が顕著となって、前者による強度改善効果を損なう。
イアロンの針状結晶とならず、また1.0を超えて大き
くなると結晶の強度低下が大きいために耐欠損性および
耐チッピング性を改善できない。後者のZ値は、1.1
未満では耐摩耗性を改善できず、4.0を超えて大きく
なるとβ´−サイアロンを形成し難くて、かつ強度低下
が顕著となって、前者による強度改善効果を損なう。
【0014】通常、β´−サイアロンの1つの結晶面に
おけるX線回折図形は1つのピークを持つ。しかし、低
Z値β´−サイアロン結晶粒子と高Z値β´−サイアロ
ン結晶粒子をそれぞれ多く含有した場合、β´−サイア
ロンの1つの結晶面におけるX線回折図形は2つのピー
クを持つ。2つのピークのうち、1つのピークは低Z値
β´−サイアロン結晶粒子のX線回折図形のピークであ
り、もう1つのピークは高Z値β´−サイアロン結晶粒
子のX線回折図形のピークである。
おけるX線回折図形は1つのピークを持つ。しかし、低
Z値β´−サイアロン結晶粒子と高Z値β´−サイアロ
ン結晶粒子をそれぞれ多く含有した場合、β´−サイア
ロンの1つの結晶面におけるX線回折図形は2つのピー
クを持つ。2つのピークのうち、1つのピークは低Z値
β´−サイアロン結晶粒子のX線回折図形のピークであ
り、もう1つのピークは高Z値β´−サイアロン結晶粒
子のX線回折図形のピークである。
【0015】β´−サイアロンのX線回折図形は、粒界
相や分散相のX線回折図形と重なる場合があるが、β´
−サイアロンの(110)面、(101)面、または
(201)面におけるX線回折強度は高いので、β´−
サイアロン以外のX線回折図形と重なっても影響が少な
い。したがって、β´−サイアロンの(110)面、
(101)面、(201)面の中から選ばれた少なくと
も1つの面におけるX線回折図形が2つのピークを有し
たβ´−サイアロン基セラミックス工具は、従来品と比
較して耐摩耗性と耐欠損性および耐チッピング性に優れ
る。
相や分散相のX線回折図形と重なる場合があるが、β´
−サイアロンの(110)面、(101)面、または
(201)面におけるX線回折強度は高いので、β´−
サイアロン以外のX線回折図形と重なっても影響が少な
い。したがって、β´−サイアロンの(110)面、
(101)面、(201)面の中から選ばれた少なくと
も1つの面におけるX線回折図形が2つのピークを有し
たβ´−サイアロン基セラミックス工具は、従来品と比
較して耐摩耗性と耐欠損性および耐チッピング性に優れ
る。
【0016】本発明のβ´−サイアロン基セラミックス
工具は、低Z値β´−サイアロンと高Z値β´−サイア
ロンの割合が重量比で低Z値β´−サイアロン:高Z値
β´−サイアロン=20:80〜80:20であると耐
摩耗性と耐欠損性および耐チッピング性がバランス良く
改善できるので好ましい。
工具は、低Z値β´−サイアロンと高Z値β´−サイア
ロンの割合が重量比で低Z値β´−サイアロン:高Z値
β´−サイアロン=20:80〜80:20であると耐
摩耗性と耐欠損性および耐チッピング性がバランス良く
改善できるので好ましい。
【0017】β´−サイアロン基セラミックスは焼結助
剤を添加すると緻密化が容易になる。焼結助剤の大部分
は焼結後に粒界相として存在する。粒界相の量が1重量
%未満では焼結しにくく、10重量%を超えて多くなる
と耐摩耗性や耐熱衝撃性が低下するため、1〜10重量
%が好ましい。粒界相としては希土類の酸化物は高温強
度が高いので好ましい。具体的には、Y2O3,Yb
2O3,Dy2O3,La2O3などを主成分とし、少量のS
iO2やAl2O3が含有されたものである。通常、粒界
相は非晶質(ガラス相)であるが、結晶化させると耐熱
性がさらに向上する。
剤を添加すると緻密化が容易になる。焼結助剤の大部分
は焼結後に粒界相として存在する。粒界相の量が1重量
%未満では焼結しにくく、10重量%を超えて多くなる
と耐摩耗性や耐熱衝撃性が低下するため、1〜10重量
%が好ましい。粒界相としては希土類の酸化物は高温強
度が高いので好ましい。具体的には、Y2O3,Yb
2O3,Dy2O3,La2O3などを主成分とし、少量のS
iO2やAl2O3が含有されたものである。通常、粒界
相は非晶質(ガラス相)であるが、結晶化させると耐熱
性がさらに向上する。
【0018】本発明のβ´−サイアロン基セラミックス
工具の耐摩耗性や耐欠損性の改善ため、β´−サイアロ
ン以外の硬質粒子を添加しても良く、添加された硬質粒
子がβ´−サイアロンと固溶しない場合は、焼結後にβ
´−サイアロン基セラミックスの中にβ´−サイアロン
粒子や粒界相とは別の分散相として存在する。分散相は
30重量%を超えて多くなると焼結性と靱性の低下がみ
られるため30重量%以下(0を含む)が好ましい。
工具の耐摩耗性や耐欠損性の改善ため、β´−サイアロ
ン以外の硬質粒子を添加しても良く、添加された硬質粒
子がβ´−サイアロンと固溶しない場合は、焼結後にβ
´−サイアロン基セラミックスの中にβ´−サイアロン
粒子や粒界相とは別の分散相として存在する。分散相は
30重量%を超えて多くなると焼結性と靱性の低下がみ
られるため30重量%以下(0を含む)が好ましい。
【0019】分散相としては、ジルコニウムの酸化物,
窒化物,酸窒化物、チタンの炭化物,窒化物,炭窒化
物、ハフニウムの窒化物、タングステンの炭化物、タン
タルの炭化物,窒化物,炭窒化物、ニオブの炭化物,窒
化物,炭窒化物の中の少なくとも1種からなると耐摩耗
性と耐欠損性の向上とともに耐熱性に優れ好ましい。具
体的には、ZrO2,ZrN,Zr(N,O),Ti
C,TiN,TiCN,HfN,WC,TaC,Ta
N,TaCN,NbC,NbN,NbCNなどを挙げる
ことができる。
窒化物,酸窒化物、チタンの炭化物,窒化物,炭窒化
物、ハフニウムの窒化物、タングステンの炭化物、タン
タルの炭化物,窒化物,炭窒化物、ニオブの炭化物,窒
化物,炭窒化物の中の少なくとも1種からなると耐摩耗
性と耐欠損性の向上とともに耐熱性に優れ好ましい。具
体的には、ZrO2,ZrN,Zr(N,O),Ti
C,TiN,TiCN,HfN,WC,TaC,Ta
N,TaCN,NbC,NbN,NbCNなどを挙げる
ことができる。
【0020】組織的には、低Z値β´−サイアロン結晶
粒子を多く含む低Z値β´−サイアロン素地の中に、高
Z値β´−サイアロン結晶粒子を多く含む高Z値β´−
サイアロン塊状体が平均径5〜100μmの斑点状に分
散していると、耐摩耗性と耐欠損性および耐チッピング
性が向上するので好ましい。
粒子を多く含む低Z値β´−サイアロン素地の中に、高
Z値β´−サイアロン結晶粒子を多く含む高Z値β´−
サイアロン塊状体が平均径5〜100μmの斑点状に分
散していると、耐摩耗性と耐欠損性および耐チッピング
性が向上するので好ましい。
【0021】本発明のβ´−サイアロン基セラミックス
工具は、CVD,PVDで、TiN,TiCN,Al2
O3,TiAlNなどを被覆すると、さらに寿命延長で
きる。
工具は、CVD,PVDで、TiN,TiCN,Al2
O3,TiAlNなどを被覆すると、さらに寿命延長で
きる。
【0022】本発明のβ´−サイアロン基セラミックス
工具は、例えばZ値が0.1と4.0とでなる2種類の
混合粉末をそれぞれ造粒した後に混合し、プレス成形、
焼結することによって得られる。しかし、以下の製造方
法を用いると、低Z値と高Z値のβ´−サイアロン結晶
粒子を均一、微細に分散できるため、耐摩耗性と耐欠損
性の両方が著しく改善されるので好ましい。
工具は、例えばZ値が0.1と4.0とでなる2種類の
混合粉末をそれぞれ造粒した後に混合し、プレス成形、
焼結することによって得られる。しかし、以下の製造方
法を用いると、低Z値と高Z値のβ´−サイアロン結晶
粒子を均一、微細に分散できるため、耐摩耗性と耐欠損
性の両方が著しく改善されるので好ましい。
【0023】窒化ケイ素と窒化アルミニウムと希土類の
酸化物と必要に応じて微粒酸化アルミニウム,周期律表
4a,5a,6a族元素の炭化物,窒化物,酸化物,ホ
ウ化物,およびこれらの相互固溶体の中から選ばれた1
種以上を混合して予備混合粉末を得て、該予備混合粉末
の平均粒子径に対して2倍以上の平均粒子径を有する粗
粒酸化アルミニウム粉末を混合した後、窒素雰囲気中で
1400〜2000℃の温度で焼結すると低Z値β´−
サイアロン結晶粒子と高Z値β´−サイアロン結晶粒子
を均一、かつ微細に分散できる。
酸化物と必要に応じて微粒酸化アルミニウム,周期律表
4a,5a,6a族元素の炭化物,窒化物,酸化物,ホ
ウ化物,およびこれらの相互固溶体の中から選ばれた1
種以上を混合して予備混合粉末を得て、該予備混合粉末
の平均粒子径に対して2倍以上の平均粒子径を有する粗
粒酸化アルミニウム粉末を混合した後、窒素雰囲気中で
1400〜2000℃の温度で焼結すると低Z値β´−
サイアロン結晶粒子と高Z値β´−サイアロン結晶粒子
を均一、かつ微細に分散できる。
【0024】予備混合粉末に添加する粗粒酸化アルミニ
ウム粉末の代わりに、粗粒酸化アルミニウム粉末の表面
に周期律表4a,5a,6a族元素の炭化物,窒化物,
酸化物,ホウ化物,およびこれらの相互固溶体の中から
選ばれた1種以上を被覆した被覆粗粒酸化アルミニウム
粉末を用いると焼結時に素地中への酸化アルミニウムの
拡散を遅らせ、低Z値β´−サイアロン素地と高Z値β
´−サイアロン塊状体との間のZ値差を大きくするため
好ましい。
ウム粉末の代わりに、粗粒酸化アルミニウム粉末の表面
に周期律表4a,5a,6a族元素の炭化物,窒化物,
酸化物,ホウ化物,およびこれらの相互固溶体の中から
選ばれた1種以上を被覆した被覆粗粒酸化アルミニウム
粉末を用いると焼結時に素地中への酸化アルミニウムの
拡散を遅らせ、低Z値β´−サイアロン素地と高Z値β
´−サイアロン塊状体との間のZ値差を大きくするため
好ましい。
【0025】被覆粗粒酸化アルミニウム粉末は、CVD
法,PVD法,溶液塗布などによって製作できるが、以
下の方法を用いると簡便に、かつ効果的に行える。具体
的には、平均粒子径が3〜20μm程度の酸化アルミニ
ウム粉末に硫酸チタン,硝酸ジルコニールなどの水溶液
を添加して乾燥するものである。緻密で強固なこれら酸
化膜が粒子表面に形成されているため、焼結時に酸化ア
ルミニウムの均一拡散を防止し、結果的に低Z値β´−
サイアロン素地中に、高Z値β´−サイアロン塊状体を
均一、微細に分散できる。
法,PVD法,溶液塗布などによって製作できるが、以
下の方法を用いると簡便に、かつ効果的に行える。具体
的には、平均粒子径が3〜20μm程度の酸化アルミニ
ウム粉末に硫酸チタン,硝酸ジルコニールなどの水溶液
を添加して乾燥するものである。緻密で強固なこれら酸
化膜が粒子表面に形成されているため、焼結時に酸化ア
ルミニウムの均一拡散を防止し、結果的に低Z値β´−
サイアロン素地中に、高Z値β´−サイアロン塊状体を
均一、微細に分散できる。
【0026】
【実施例1】まず、平均粒子径が3.0μmと10μm
の各Al2O3粉末(それぞれMとCを付記する)に、Z
rO(NO3)2・2H2Oの20%水溶液(Zと表記す
る)とTi(SO4)2の24%水溶液(Tと表記する)
を表1に示した組成に配合し、120℃で乾燥した後、
アルミナ製るつぼに入れて大気炉中で1000℃×30
分の加熱処理を行った。得られた処理粉末のХ線回折に
よる同定結果と計算により求めた組成を表1に併記し
た。尚、処理粉末を走査電子顕微鏡で観察したところ、
粒子表面は均一な薄膜で覆われていた。
の各Al2O3粉末(それぞれMとCを付記する)に、Z
rO(NO3)2・2H2Oの20%水溶液(Zと表記す
る)とTi(SO4)2の24%水溶液(Tと表記する)
を表1に示した組成に配合し、120℃で乾燥した後、
アルミナ製るつぼに入れて大気炉中で1000℃×30
分の加熱処理を行った。得られた処理粉末のХ線回折に
よる同定結果と計算により求めた組成を表1に併記し
た。尚、処理粉末を走査電子顕微鏡で観察したところ、
粒子表面は均一な薄膜で覆われていた。
【0027】
【表1】
【0028】次に、平均粒子径が0.5μmのα−Si
3N4(α結晶化率95%、酸素量1.5%),0.2μ
mのAl2O3(Fを付記する),0.9μmのAlN,
1.0μmのTiN,0.2μmのZrO2,0.8μ
mのY2O3,1.2μmのDy2O3の各粉末を用いて、
表2に示した組成に配合し、エチルアルコールの溶媒、
ウレタン内張りのポット、アルミナ製の粉砕用ボールを
用いて48時間の湿式混合を行った後、乾燥して混合粉
末a〜jを得た。cとfの混合粉末については、金型に
充填して98MPaの圧力で成形体とし、アルミナ製る
つぼに入れて窒素中で1200℃×60分の加熱処理を
行った後、乳鉢で粉砕し、篩いを用いて600#〜32
5#の造粒粉末(Gを付記する)とした。
3N4(α結晶化率95%、酸素量1.5%),0.2μ
mのAl2O3(Fを付記する),0.9μmのAlN,
1.0μmのTiN,0.2μmのZrO2,0.8μ
mのY2O3,1.2μmのDy2O3の各粉末を用いて、
表2に示した組成に配合し、エチルアルコールの溶媒、
ウレタン内張りのポット、アルミナ製の粉砕用ボールを
用いて48時間の湿式混合を行った後、乾燥して混合粉
末a〜jを得た。cとfの混合粉末については、金型に
充填して98MPaの圧力で成形体とし、アルミナ製る
つぼに入れて窒素中で1200℃×60分の加熱処理を
行った後、乳鉢で粉砕し、篩いを用いて600#〜32
5#の造粒粉末(Gを付記する)とした。
【0029】
【表2】
【0030】最後に、混合粉末であるa〜h、その造粒
粉末であるc(G),f(G)、被覆処理Al2O3粉末
であるMAZ,MAT,CAZ,CATを用いて表3に
示した組成に配合し、エチルアルコールの溶媒、ウレタ
ン内張りのポット、アルミナ製の粉砕用ボールを用いて
2時間の湿式混合を行った後、乾燥しながら5重量%の
パラフィンワックスを添加した。そして、金型に充填
し、196MPaの圧力でもって約5.5×17×43
mmの圧粉成形体を作製した。これを窒化ホウ素製のセ
ッター上に設置し、約50Paの真空中で加熱して40
0℃で60分間保持してパラフィンワックスを飛散させ
た後、1200℃まで昇温した。そして、0.5MPa
の窒素ガスを導入してさらに加熱し、1650℃で12
0分間保持することによって本発明品1〜10及び比較
品1〜6の焼結体を得た。尚、すべてのセラミックス焼
結体には、150MPaの窒素中で1700℃、60分
のHIP処理を焼結後に施した。
粉末であるc(G),f(G)、被覆処理Al2O3粉末
であるMAZ,MAT,CAZ,CATを用いて表3に
示した組成に配合し、エチルアルコールの溶媒、ウレタ
ン内張りのポット、アルミナ製の粉砕用ボールを用いて
2時間の湿式混合を行った後、乾燥しながら5重量%の
パラフィンワックスを添加した。そして、金型に充填
し、196MPaの圧力でもって約5.5×17×43
mmの圧粉成形体を作製した。これを窒化ホウ素製のセ
ッター上に設置し、約50Paの真空中で加熱して40
0℃で60分間保持してパラフィンワックスを飛散させ
た後、1200℃まで昇温した。そして、0.5MPa
の窒素ガスを導入してさらに加熱し、1650℃で12
0分間保持することによって本発明品1〜10及び比較
品1〜6の焼結体を得た。尚、すべてのセラミックス焼
結体には、150MPaの窒素中で1700℃、60分
のHIP処理を焼結後に施した。
【0031】
【表3】
【0032】こうして得たセラミックス焼結体をダイヤ
モンドカッターで角棒状に切断し、#600のダイヤモ
ンド砥石で湿式研削加工して3.0×4.0×35.0
mmのJIS試験片とした後、曲げ強度を測定した。そ
の結果を表4に示した。また、同試料の1面を0.3μ
mのダイヤモンドペーストでラップ研磨した後、ビッカ
ース圧子を用いた荷重:19.6Nでの硬さおよび破壊
靱性値K1C(IM法)を測定し、その結果を表4に併記
した。
モンドカッターで角棒状に切断し、#600のダイヤモ
ンド砥石で湿式研削加工して3.0×4.0×35.0
mmのJIS試験片とした後、曲げ強度を測定した。そ
の結果を表4に示した。また、同試料の1面を0.3μ
mのダイヤモンドペーストでラップ研磨した後、ビッカ
ース圧子を用いた荷重:19.6Nでの硬さおよび破壊
靱性値K1C(IM法)を測定し、その結果を表4に併記
した。
【0033】
【表4】
【0034】さらに、各試料のラップ研磨面について、
X線回折装置を用いてβ´−サイアロンの回折ピークを
取り、格子定数からZ値を換算式で算出した。ここで、
β´−サイアロンの格子定数は、(110)面、(10
1)面、(201)面のX線回折図形におけるピーク位
置から最小2乗近似法を用いて求めた。得られたZ値と
ピーク強度比を表4に記載した。また、走査型分析電子
顕微鏡を用いてAlの組成像を取り、Al量の多い領域
(高Z値の斑点状部分)の平均径を測定した。これらの
結果を表4に併記した。
X線回折装置を用いてβ´−サイアロンの回折ピークを
取り、格子定数からZ値を換算式で算出した。ここで、
β´−サイアロンの格子定数は、(110)面、(10
1)面、(201)面のX線回折図形におけるピーク位
置から最小2乗近似法を用いて求めた。得られたZ値と
ピーク強度比を表4に記載した。また、走査型分析電子
顕微鏡を用いてAlの組成像を取り、Al量の多い領域
(高Z値の斑点状部分)の平均径を測定した。これらの
結果を表4に併記した。
【0035】
【実施例2】実施例1で得た、本発明1〜10および比
較1〜6の混合粉末を用いて、ISO規格に記載のSN
GN120408形状用の金型でもって、実施例1と同
様の方法、条件でプレス成形、加熱焼結、湿式研削加工
により、SNGN120408形状(0.1×−25°
のホーニング付)の切削工具用チップを作製した。
較1〜6の混合粉末を用いて、ISO規格に記載のSN
GN120408形状用の金型でもって、実施例1と同
様の方法、条件でプレス成形、加熱焼結、湿式研削加工
により、SNGN120408形状(0.1×−25°
のホーニング付)の切削工具用チップを作製した。
【0036】そして、被削材:FC350,切削速度:
500m/min,切込み:1.5mm,送り:0.3
mm/revの条件で湿式による外周連続旋削試験を行
い、寿命になるまでの時間を求めた。寿命の評価として
は、平均フランク摩耗量(VB)が0.3mm以上にな
るか、または欠損やチッピングが発生した時を寿命とし
た。その結果を表5に示す。
500m/min,切込み:1.5mm,送り:0.3
mm/revの条件で湿式による外周連続旋削試験を行
い、寿命になるまでの時間を求めた。寿命の評価として
は、平均フランク摩耗量(VB)が0.3mm以上にな
るか、または欠損やチッピングが発生した時を寿命とし
た。その結果を表5に示す。
【0037】また、被削材:FCD600(45×20
0mm面),切削速度:150m/min,切込み:
1.5mm,送り:0.12mm/revから0.03
mm刻みで増加させた条件での乾式によるフライス切削
試験を行い、チップが欠損又はチッピングを起こす時の
最大送り量を求めた。その結果を表5に併記した。
0mm面),切削速度:150m/min,切込み:
1.5mm,送り:0.12mm/revから0.03
mm刻みで増加させた条件での乾式によるフライス切削
試験を行い、チップが欠損又はチッピングを起こす時の
最大送り量を求めた。その結果を表5に併記した。
【0038】次に、被削材:ワスパロイ,切削速度:1
25m/min,切込み:1.0mm,送り:0.15
mm/rev,切削時間:3minの条件で湿式による
外周連続旋削試験を行い、平均の逃げ面摩耗量と境界摩
耗量を測定した。その結果を表5に併記した。
25m/min,切込み:1.0mm,送り:0.15
mm/rev,切削時間:3minの条件で湿式による
外周連続旋削試験を行い、平均の逃げ面摩耗量と境界摩
耗量を測定した。その結果を表5に併記した。
【0039】
【表5】
【0040】表5の切削試験結果から本発明品と比較品
とをほぼ同一組成のチップで比較すると、本発明品は、
FC350の旋削試験の寿命で約2倍、FCD600フ
ライス試験で1〜2ランク向上し、ワスパロイ旋削試験
で境界摩耗量が約1/2となっており、Z値の異なるβ
´−サイアロン粒子の組み合わせが切削性能を向上させ
ていると言える。
とをほぼ同一組成のチップで比較すると、本発明品は、
FC350の旋削試験の寿命で約2倍、FCD600フ
ライス試験で1〜2ランク向上し、ワスパロイ旋削試験
で境界摩耗量が約1/2となっており、Z値の異なるβ
´−サイアロン粒子の組み合わせが切削性能を向上させ
ていると言える。
【0041】
【発明の効果】上述のように本発明のβ´−サイアロン
基セラミックス工具は、Z値の小さいβ´−サイアロン
粒子が強度と靱性を向上させる作用をし、Z値の大きい
β´−サイアロン粒子が硬さを改善する作用をし、これ
らの作用により、本発明のβ´−サイアロン基セラミッ
クス工具を切削工具に用いた場合、耐摩耗性、耐欠損
性、および耐チッピング性を向上させる効果を発揮する
ものである。本発明品の製造方法としては、Z値の小さ
いβ´−サイアロンの混合粉末に粗大な酸化アルミニウ
ム粉末を添加して焼結することにより、Z値の大きいβ
´−サイアロンの結晶粒子を生成させる。
基セラミックス工具は、Z値の小さいβ´−サイアロン
粒子が強度と靱性を向上させる作用をし、Z値の大きい
β´−サイアロン粒子が硬さを改善する作用をし、これ
らの作用により、本発明のβ´−サイアロン基セラミッ
クス工具を切削工具に用いた場合、耐摩耗性、耐欠損
性、および耐チッピング性を向上させる効果を発揮する
ものである。本発明品の製造方法としては、Z値の小さ
いβ´−サイアロンの混合粉末に粗大な酸化アルミニウ
ム粉末を添加して焼結することにより、Z値の大きいβ
´−サイアロンの結晶粒子を生成させる。
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
Fターム(参考) 3C046 FF33 FF37
4G001 BA03 BA32 BA36 BA37 BA38
BA39 BB52 BC02 BC11 BC13
BC52 BC54 BD18 BE03
Claims (9)
- 【請求項1】β´−サイアロン基セラミックス工具にお
いて、β´−サイアロン(Si6-ZAlZ0ZN8-Z)は、
0.03≦Z<1.0である低Z値β´−サイアロンと
1.1≦Z<4.0である高Z値β´−サイアロンを含
有するβ´−サイアロン基セラミックス工具。 - 【請求項2】β´−サイアロン基セラミックス工具にお
いて、β´−サイアロンの(110)面、(101)
面、(201)面の中から選ばれた少なくとも1つの面
におけるX線回折図形は2つのピークを持つβ´−サイ
アロン基セラミックス工具。 - 【請求項3】前記低Z値β´−サイアロンと前記高Z値
β´−サイアロンの重量比が、低Z値β´−サイアロ
ン:高Z値β´−サイアロン=20:80〜80:20
である請求項1に記載のβ´−サイアロン基セラミック
ス工具。 - 【請求項4】前記β´−サイアロン基セラミックス工具
は、粒界相1〜10重量%と、分散相0〜30重量%
と、残部が前記β´−サイアロンと不可避不純物からな
る請求項1〜3のいずれか1項に記載のβ´−サイアロ
ン基セラミックス工具。 - 【請求項5】前記粒界相は希土類の酸化物の中の少なく
とも1種からなる請求項4に記載のβ´−サイアロン基
セラミックス工具。 - 【請求項6】前記分散相は、ジルコニウムの酸化物,窒
化物,酸窒化物、チタンの炭化物,窒化物,炭窒化物、
ハフニウムの窒化物、タングステンの炭化物、タンタル
の炭化物,窒化物,炭窒化物、ニオブの炭化物,窒化
物,炭窒化物の中の少なくとも1種からなる請求項4ま
たは5に記載のβ´−サイアロン基セラミックス工具。 - 【請求項7】前記β´−サイアロン基セラミックス工具
は、低Z値β´−サイアロン素地内に平均径5〜100
μmの高Z値β´−サイアロン塊状体が存在し、前記低
Z値β´−サイアロン素地は前記粒界相1〜10重量%
と前記分散相0〜30重量%と残部が前記低Z値β´−
サイアロンからなり、前記高Z値β´−サイアロン塊状
体は前記粒界相1〜10重量%と前記分散相0〜30重
量%と残部が前記高Z値β´−サイアロンからなる請求
項1〜6のいずれか1項に記載のβ´−サイアロン基セ
ラミックス工具。 - 【請求項8】粉末混合工程と焼結工程とを含むβ´−サ
イアロン基セラミックス工具の製造方法において、窒化
ケイ素と窒化アルミニウムと希土類の酸化物と必要に応
じて微粒酸化アルミニウム,周期律表4a,5a,6a
族元素の炭化物,窒化物,酸化物,ホウ化物,およびこ
れらの相互固溶体の中から選ばれた1種以上を混合して
予備混合粉末を得る粉末混合工程1と、該予備混合粉末
の平均粒子径に対して2倍以上の平均粒子径を有する粗
粒酸化アルミニウム粉末を混合する粉末混合工程2と、
窒素雰囲気中で1400〜2000℃の温度で焼結する
焼結工程とを含むβ´−サイアロン基セラミックス工具
の製造方法。 - 【請求項9】粉末混合工程と焼結工程とを含むβ´−サ
イアロン基セラミックス工具の製造方法において、窒化
ケイ素と窒化アルミニウムと希土類の酸化物と必要に応
じて微粒酸化アルミニウム,周期律表4a,5a,6a
族元素の炭化物,窒化物,酸化物,ホウ化物,およびこ
れらの相互固溶体の中から選ばれた1種以上を混合して
予備混合粉末を得る粉末混合工程1と、該予備混合粉末
の平均粒子径に対して2倍以上の平均粒子径を有する粗
粒酸化アルミニウム粉末の表面に周期律表4a,5a,
6a族元素の炭化物,窒化物,酸化物,ホウ化物,およ
びこれらの相互固溶体の中から選ばれた1種以上を被覆
した被覆粗粒酸化アルミニウム粉末を混合する粉末混合
工程2と、窒素雰囲気中で1400〜2000℃の温度
で焼結する焼結工程とを含むβ´−サイアロン基セラミ
ックス工具の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002067344A JP2003267787A (ja) | 2002-03-12 | 2002-03-12 | β´−サイアロン基セラミックス工具およびその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002067344A JP2003267787A (ja) | 2002-03-12 | 2002-03-12 | β´−サイアロン基セラミックス工具およびその製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2003267787A true JP2003267787A (ja) | 2003-09-25 |
Family
ID=29198762
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002067344A Withdrawn JP2003267787A (ja) | 2002-03-12 | 2002-03-12 | β´−サイアロン基セラミックス工具およびその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2003267787A (ja) |
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2006068220A1 (ja) * | 2004-12-22 | 2006-06-29 | Ngk Spark Plug Co., Ltd. | サイアロン製インサート及びこれを備えた切削工具 |
JP2010052110A (ja) * | 2008-08-29 | 2010-03-11 | Shimane Prefecture | 焼結体 |
CN104844223A (zh) * | 2015-04-24 | 2015-08-19 | 武汉科技大学 | 一种基于碱金属盐的Sialon粉体材料及其制备方法 |
KR101790724B1 (ko) | 2013-06-29 | 2017-10-26 | 가부시키가이샤 섬코 | 실리콘 단결정 인상 방법 |
CN116041071A (zh) * | 2022-12-28 | 2023-05-02 | 广东工业大学 | 一种高熵氮化物/塞隆复合陶瓷及其制备方法和应用 |
-
2002
- 2002-03-12 JP JP2002067344A patent/JP2003267787A/ja not_active Withdrawn
Cited By (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2006068220A1 (ja) * | 2004-12-22 | 2006-06-29 | Ngk Spark Plug Co., Ltd. | サイアロン製インサート及びこれを備えた切削工具 |
JP2010052110A (ja) * | 2008-08-29 | 2010-03-11 | Shimane Prefecture | 焼結体 |
KR101790724B1 (ko) | 2013-06-29 | 2017-10-26 | 가부시키가이샤 섬코 | 실리콘 단결정 인상 방법 |
CN104844223A (zh) * | 2015-04-24 | 2015-08-19 | 武汉科技大学 | 一种基于碱金属盐的Sialon粉体材料及其制备方法 |
CN116041071A (zh) * | 2022-12-28 | 2023-05-02 | 广东工业大学 | 一种高熵氮化物/塞隆复合陶瓷及其制备方法和应用 |
CN116041071B (zh) * | 2022-12-28 | 2024-01-09 | 广东工业大学 | 一种高熵氮化物/塞隆复合陶瓷及其制备方法和应用 |
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Legal Events
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---|---|---|---|
A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20050607 |