JP2003261774A - 制電性樹脂組成物 - Google Patents

制電性樹脂組成物

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JP2003261774A
JP2003261774A JP2002060213A JP2002060213A JP2003261774A JP 2003261774 A JP2003261774 A JP 2003261774A JP 2002060213 A JP2002060213 A JP 2002060213A JP 2002060213 A JP2002060213 A JP 2002060213A JP 2003261774 A JP2003261774 A JP 2003261774A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高い静電気消散機能を有し、かつ制電性フィ
ラーの分散性が優れ、持続性、成形加工性、成形外観に
優れた制電性樹脂組成物を提供すること。 【解決手段】 (a)熱可塑性樹脂および/または未加
硫ゴム、(b)表面をポリアルキレンエーテル、ポリエ
ステル、ポリアミン、ポリスルフィド、およびポリアク
リロニトリルの群から選ばれた少なくとも1種の(共)
重合体で被覆した無機充填材、ならびに(c)アルカリ
金属またはアルカリ土類金属であるカチオン、およびア
ニオンによって構成されている金属塩を配合した制電性
樹脂組成物であり、必要に応じてさらに(d)−{O
(AO)n}−基(Aは炭素数2〜4のアルキレン基、
nは1〜7の整数を示す)を有し、かつ全ての分子鎖末
端がCH3基および/またはCH2基である有機化合物を
配合した制電性樹脂組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、制電性樹脂組成物
に関し、さらに詳細には、高い静電気消散機能を有し、
かつ制電性フィラーの分散性が優れ、持続性、成形加工
性、成形外観に優れた制電性樹脂組成物に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】制電性樹脂は、産業界において広く普及
し、さまざまな用途に利用されている。この制電性樹脂
としては、例えば、各樹脂に対してカーボンブラックな
どの導電性フィラーを高充填した組成物があり、経済性
に優れることもあって、産業界を中心として広く利用さ
れている。ところで、近年、制電性樹脂およびその組成
物は、ICチップの包装関係に普及し、材料のバリエー
ションも汎用プラスチックスからエンジニアリングプラ
スチックスに至るまで多様化している。また、用いられ
る導電性充填材も、カーボンブラック以外に、炭素繊
維、黒鉛、金属コートフィラー、金属繊維などが、目的
および機能に応じて広く使い分けられている。ICチッ
プの包装に使用されるICトレーなどの素材としての制
電性樹脂組成物は、軽量化、薄肉化、コンパクト化が検
討されるようになり、強度と高い剛性が求められる傾向
にある。さらに、ICの種類の識別などを目的として、
トレー、キャリアテープにも着色性などの意匠性の要求
もある。
【0003】このような要求に対し、制電性フィラーと
して汎用されているカーボンブラックは、経済的であ
り、抵抗値の低いものが得られるが、黒色に限定される
のと、一般的には加工性や材料強度などに問題があるこ
とから、通常は種々の改質材と共に複合化されて使用さ
れている。さらに、近年、ICやLSIなどの高性能化
と大容量化によってトレーなどの包装用途や周辺機器に
使用される高分子素材に求められる電気特性としては、
体積固有抵抗値が1010Ω・cm未満の特性が安定して求
められるようになり、いわゆる従来の帯電防止領域の水
準では充分ではなくなっているほか、静電気を利用した
電子写真システムなどの普及により比較的高い体積固有
抵抗値を安定的に発現させる高分子素材も求められるよ
うになっている。
【0004】また、帯電防止剤を含有した制電性樹脂組
成物も広く普及しており、さまざまな用途に応用されて
いる。帯電防止剤には、表面にブリードさせて機能を持
たせる界面活性剤型のものと、いわゆる高分子型と称す
る、親水性セグメントを構造中に有する親水性高分子材
料を、ポリマーアロイ化することによって機能を発現さ
せるものがある。界面活性剤型は、樹脂組成物中に含有
されている界面活性剤の表面への移行によって帯電防止
を図るものであるが、表面の払拭、洗浄によって制電性
効果が失われたり、表面汚染、持続性の問題があるほ
か、満足のいく体積固有抵抗値は得られない。
【0005】一方、高分子型は、熱可塑性樹脂に対し、
親水性高分子をポリマーアロイ化することによって、永
久的な制電性能を付与するものであり、産業上の利用価
値が高い。しかしながら、高い制電機能を発現させよう
とすると、アロイ化するために必要な高分子型帯電防止
剤の量が多くなるため、経済的に問題となる場合があ
る。高分子型帯電防止剤は一般的に親水性セグメントを
有しているものが多く、柔軟性を有するものが多いた
め、アロイ化することにより、得られる制電性樹脂材料
の剛性が低下し、成形品の変形が生じる他、柔軟性を有
する高分子合成ゴム、エラストマーのような高分子素材
への添加では、得られる制電性のバラツキが大きく、適
用が難しい問題がある。
【0006】さらに、従来知られている上記界面活性剤
型、高分子型帯電防止剤を使用して得られる制電性樹脂
組成物は、いずれも、その体積固有抵抗値が1010〜1
12Ω・cmまでがほとんどであるため、目的を充分に満
足しえない場合が多い。また、特開昭56−13684
9号公報などに例示されているように、予め帯電防止剤
を表面処理したフィラーを含有する制電性樹脂組成物が
あるが、体積固有抵抗値の低減が充分ではなく、帯電防
止剤がフィラ−から分離しブリードアウトする問題があ
る。
【0007】さらに、特開平11−256144号公報
には、高分子型帯電防止剤として、片末端にアルキル基
またはアルキル置換フェニル基を有し、エチレンオキシ
ド基を有するポリ(オリゴ)エチレングリコールの末端
基が、メタクリロイル基、またはアクリロイル基により
エステル化されたメタクリレートまたはアクリレートな
どが挙げられている。上記片末端のアルキル基は、炭素
数1〜25の直鎖または分岐のものが用いられている。
同公報では、これらの親水性高分子によってフィラーの
表面がコーティング処理されたものや、さらにこの高分
子中にリチウム塩などが溶解されたものが提案されてい
るが、リチウム塩として塩化リチウム塩などの塩素系が
用いられているため、塩素系イオンによる接触機材の腐
食、高分子の劣化、着色の問題がある。特開平11−2
56144号公報には、トリフルオロメタンスルホン酸
リチウム塩が用いられているものが例示されている。同
公報記載の発明では、導電性は良好であるものの、目的
の導電性を得るために必要なこのようなフィラーの充填
には、50〜60重量%以上の高添加量を必要とするた
め、高充填による加工性、機械特性の低下、成形品の表
面外観の悪化、着色性(黄変)、材料の熱劣化などの問
題がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、以上のよう
な従来の技術的課題を解決するものであり、少量の帯電
防止剤の添加でも体積固有抵抗値を低く保ち、かつバラ
ツキが少なく、成形加工性、表面外観に優れ、持続性に
優れた制電性樹脂組成物を得ることを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は、(a)熱可塑
性樹脂および/または未加硫ゴム20〜80重量部、
(b)表面をポリアルキレンエーテル、ポリエステル、
ポリアミン、ポリスルフィド、およびポリアクリロニト
リルの群から選ばれた少なくとも1種の(共)重合体で
被覆した無機充填材80〜20重量部〔ただし、(a)
+(b)=100重量部〕、ならびに(c)アルカリ金
属またはアルカリ土類金属であるカチオン、およびアニ
オンによって構成されている金属塩0.01〜20重量
部を配合したことを特徴とする制電性樹脂組成物に関す
る。上記(c)成分は、トリフルオロメタンスルホン酸
リチウム、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニ
ル)イミド、およびリチウムトリス(トリフルオロメタ
ンスルホニル)メチドの群から選ばれた少なくとも1種
であることが好ましい。上記制電性樹脂組成物は、さら
に、(d)−{O(AO)n}−基(Aは炭素数2〜4
のアルキレン基、nは1〜7の整数を示す)を有し、か
つ全ての分子鎖末端がCH3基および/またはCH2基で
ある有機化合物を、(a)成分と(b)成分合わせて1
00重量部に対し0.1〜20重量部配合してもよい。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明の組成物に用いられる
(a)熱可塑性樹脂や未加硫ゴムは、いかなるものでも
よい。このうち、熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリ
塩化ビニル、ポリスチレンやアクリロニトリル・ブタジ
エン・スチレン共重合体(ABS樹脂)などのポリスチ
レン系樹脂;アクリレート/メタクリレート系樹脂など
の、ビニルモノマー重合体または共重合体;低密度ポリ
エチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、
直鎖状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテ
ン−1、ポリ4−メチルペンテン−1などの、ポリα−
オレフィン;プロピレン・エチレンブロック共重合体、
プロピレン・エチレンランダム共重合体などの、α−オ
レフィンどうし、またはα−オレフィンと他のモノマー
との共重合体;その他のポリオレフィン系樹脂;ナイロ
ン6、ナイロン66、ナイロン12などのポリアミド;
ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレ
ートなどの芳香族系ポリエステルおよび脂肪族系ポリエ
ステル;液晶ポリエステル;ポリフェニレンオキシドな
どの芳香族ポリエーテル;ポリアセタール系樹脂;ポリ
カーボネート系樹脂;ポリイミド、ポリスルホン、ポリ
エーテルスルホンなどのスルホン系ポリマーなどが挙げ
られる。
【0011】また、熱可塑性エラストマーとしては、ポ
リウレタン、ポリエステル、ポリアミドなどの有極性エ
ラストマー、ポリオレフィン系、ポリスチレン系〔スチ
レン−ブタジエン−スチレン共重合体(SBS)、スチ
レン−エチレン−ブタジエン−スチレン共重合体(SE
BS)、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレン共
重合体(SEPS)〕などの無極性型エラストマーなど
も使用可能である。この他、未加硫ゴムとして、アクリ
ロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、エチレン−プ
ロピレンターポリマー(EPDM)、クロロプレンゴム
(CR)、アクリルゴム(AR)、スチレン−ブタジエ
ンゴム(SBR)なども適用可能である。これらの熱可
塑性エラストマーや未加硫ゴムには可塑剤やプロセス油
などの加工油が含まれていてもよい。
【0012】本発明においては、上記の熱可塑性樹脂お
よび/または未加硫ゴムの中から1種または2種以上が
目的に応じて適宜選択される。なかでも、成形性の点か
ら、熱可塑性樹脂としては、ポリ塩化ビニル、ポリスチ
レン、ABS樹脂などのビニルモノマー重合体または共
重合体;ポリプロピレン、結晶性プロピレン・エチレン
共重合体や結晶性プロピレン・ブテン−1共重合体など
の結晶性プロピレン共重合体、ナイロン、ポリブチレン
テレフタレートなどが好ましく、特にポリ塩化ビニル、
ポリスチレン、ABS樹脂などのビニルモノマー重合体
または共重合体が好ましい。未加硫ゴムとしては、NB
R、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(B
R)、ブチルゴム(IIR)、エチレン−プロピレンゴ
ム(EPM)、EPDM、AR、SBR、フッ素ゴム、
シリコーンゴム、ウレタンゴムなどが好ましい。
【0013】特に、熱可塑性エラストマー、未加硫ゴム
は、イオン成分が溶媒和しているセグメントの分子運動
性を助長し好ましいイオン伝導性を与える働きがあり、
電気伝導性が良好となる。本発明においては、これら熱
可塑性樹脂、熱可塑性エラストマー、未加硫ゴムにおけ
る任意高分子成分同志のポリマーブレンド、ポリマーア
ロイなどの形態も使用可能である。なお、耐熱性の点か
らは、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレー
ト、芳香族ポリイミド、芳香族ポリエーテルなどが好ま
しい。
【0014】(b)成分は、表面処理無機充填材であっ
て、無機充填材の表面に、ポリアルキレンエーテル、ポ
リエステル、ポリアミン、ポリスルフィド、およびポリ
アクリロニトリルの群から選ばれた少なくとも1種の
(共)重合体が表面コートもしくはグラフト結合された
ものである。本発明の無機充填材は、特に限定されるも
のでは無く、公知の無機充填材を使用可能であるが、な
かでも炭酸カルシウム、タルク、雲母、ガラス、珪酸カ
ルシウム、セリサイト、水酸化マグネシウム、水酸化ア
ルミニウム、モンモリロナイト、ゼオライト、酸化チタ
ン、カオリンなどが、良好に使用可能である。また、無
機充填材の形態は特に限定されるものでは無く、粒子径
の小さなものから繊維状、テトラポット状、鱗片状など
のアスペクト比の大きな形状のものまで使用可能であ
る。
【0015】上記無機充填材の表面処理に使用される
(共)重合体は、アルキレンエーテル、エステル、アミ
ン、スルフィド、およびアクリロニトリルのいずれか1
つ以上を基本繰り返し単位とするセグメントを有する
(共)重合体であり、好ましくはポリアルキレンエーテ
ル、ポリエステルである。上記(共)重合体は構造中に
有極性官能基であるエステル基、エーテル基、水酸基、
アミン基、カルボニル基、エポキシ基、スルホン酸基
や、無極性基であるアルキル基、アルキル基置換フェニ
ル基を、骨格中に有していても良い。
【0016】アルキレンエーテルおよび/またはエステ
ルを基本繰り返し単位とするセグメントを有する(共)
重合体は、様々な合成方法によって得られ、その形態に
も様々のものがあるが、その例として、末端水酸基を有
する直鎖状または分岐状ポリマーポリオールタイプ、お
よびまたはそれらの末端水酸基がメチル基、エチル基、
t−ブチル基などでキャップされたタイプが挙げられ
る。上記直鎖状ポリマーポリオールとして、例えば、末
端が水酸基を有し、エチレングリコール、プロピレング
リコール、およびブタンジオールの群から選ばれた少な
くとも1種の化合物を構成成分として有する直鎖状ブロ
ック共重合体を骨格として有する直鎖状ポリマーポリオ
ールが挙げられる。
【0017】また、上記分岐状ポリマーポリオールとし
て、例えば、エチレンオキサイド系構成成分の含有率が
10モル%〜50モル%であり、けん化度30〜100
%、数平均分子量1,000〜20,000、エチレン
単位含量が1〜90重量%であるエチレン・飽和カルボ
ン酸ビニルエステル共重合体けん化物へ、アルキレンオ
キサイドをグラフトした分岐状ポリマーポリオールが挙
げられる。
【0018】上記エチレン・飽和カルボン酸ビニルエス
テル共重合体の製造方法については特に制限はなく、公
知の方法、例えば高圧ラジカル重合法などにより製造し
得る。エチレンモノマーとの共重合原料である飽和カル
ボン酸のビニルエステルとしては、特に限定はないが、
炭素数が2〜4程度の脂肪族カルボン酸のビニルエステ
ルが好ましく、例えば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニ
ル、酪酸ビニルなどが挙げられ、またこれらは適宜混合
して使用することもできる。これらの中では酢酸ビニル
が最も好ましい。
【0019】また、共重合原料としては、エチレン、飽
和カルボン酸ビニルエステルのほかに、少量のα,β-
不飽和カルボン酸のアルキルエステル、例えばアクリル
酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタ
クリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブ
チルなどおよびこれら2種以上の混合物などを用いるこ
ともできる。エチレン・飽和カルボン酸ビニルエステル
共重合体のエチレン含有量は、通常、1〜90重量%程
度、好ましくは40〜80重量%程度である。また、数
平均分子量は、通常、1,000〜20,000程度、
好ましくは1,000〜10,000程度である。
【0020】エチレン・飽和カルボン酸ビニルエステル
共重合体のけん化反応についても、その方法に特に制限
はなく、例えばエチレン・飽和カルボン酸ビニルエステ
ル共重合体とアルコールをアルカリ触媒の存在下で加熱
してけん化し、アルコールを除去後アルキレンオキサイ
ドを導入し、グラフトする方法が挙げられる。また、け
ん化方法としては、用いるエチレン・飽和カルボン酸ビ
ニルエステル共重合体の分子量、飽和カルボン酸ビニル
エステルの含有量などに起因する特性に応じて、アルコ
ールとの不均一液相系、アルコール溶液系、アルコール
中ペレット分散系などが適宜採用できる。けん化率は、
エチレン・飽和カルボン酸ビニルエステル共重合体の飽
和カルボン酸ビニルエステル含量によっても変わり、特
に限定されないが、通常、30〜100%程度、好まし
くは50〜100%程度である。
【0021】また、エチレン・飽和カルボン酸ビニルエ
ステル共重合体けん化物へのアルキレンオキサイドの付
加方法については特に制限はないが、該けん化物に、ア
ルキレンオキサイドを気体状で反応させることが一般的
である。アルキレンオキサイドとしては特に限定はない
が、通常、炭素数が2〜4程度のものが好ましく、例え
ばエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレ
ンオキサイド、環状エーテルである共重合体変性物など
が挙げられる。中でも、エチレンオキサイドが、好まし
く使用される。アルキレンオキサイドは、2種以上使用
することもでき、この場合ブロック付加してもランダム
付加しても良い。アルキレンオキサイドの付加量は、特
に限定はないが、けん化物100重量部に対して、通
常、20〜1,000重量部程度、好ましくは50〜5
00重量部程度である。エチレン・飽和カルボン酸ビニ
ルエステル共重合体けん化物のアルキレンオキサイド付
加物は、エチレン・飽和カルボン酸ビニルエステル共重
合体をけん化して飽和カルボン酸ビニルエステルの一部
もしくはすべてをビニルアルコール構造に変化させたも
のに、アルキレンオキサイドをグラフトすることにより
製造したものであり、主鎖がポリエチレン単位、側鎖が
ポリオキシアルキレン単位を有した構造と推定される。
【0022】本発明で用いるエチレン・飽和カルボン酸
ビニルエステル共重合体としては、市場入手性、価格な
どからエチレン・酢酸ビニル共重合体が特に好適であ
り、酢酸ビニル単位含有量5〜50重量%、数平均分子
量が1,000〜5,000のものが、バルクけん化反
応が容易なことからより好適である。エチレン・酢酸ビ
ニル共重合体のけん化率は、30〜100%の範囲が樹
脂との相溶性のよいものを得るうえで好ましい。エチレ
ン・酢酸ビニル共重合体けん化物へのエチレンオキサイ
ド付加量は、エチレン・酢酸ビニル共重合体けん化物に
対して50〜1,000重量%であることが、樹脂との
相溶性、帯電防止性の効果の面でより好ましい。
【0023】上記分岐状ポリマーポリオールとして、末
端が水酸基を有するポリマーポリオールであって、3官
能ポリオール構造へアルキレンオキサイドをグラフトし
て得られる分岐状ポリマーポリオールも、使用可能であ
る。3官能ポリオール構造の3官能ポリオールとして
は、ピロガロール、1,2,4−トリヒドロキシベンゼ
ンなどのトリヒドロキシ芳香族化合物、グリセリン1,
1,1−トリス(ヒドロキシメチル)エタンなどの脂肪
族トリオール、トリエタノールアミンなどのトリアルコ
ールアミン類などが挙げられる。これらの重合体は、例
えばアセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類、ア
セトニトリルなどのニトリル類、クロロホルムなどのハ
ロゲン類、ジメチルホルムアミドなどのアミド類などが
挙げられるがこれに限定されない。これら有機溶媒中に
おいてイソシアネートなどの架橋剤を用いて重合する方
法や、3官能ポリオール、アルキレンオキサイドを熱可
塑性樹脂と溶融ブレンドして反応させ重合する方法によ
って容易に得ることができる。なお、アルキレンオキサ
イドとしては、特に限定はないが、通常、炭素数が2〜
4程度のものが好ましく、例えばエチレンオキサイド、
プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、環状エー
テルである共重合体変性物などが挙げられる。
【0024】上記分岐状ポリマーポリオールとしては、
スチレン・無水マレイン酸共重合体とポリアルキレンオ
キシドモノアルキルエーテルとの反応によって得られる
分岐状ポリマーポリオールも、使用可能である。例え
ば、スチレン・無水マレイン酸共重合体の数平均分子量
が1,000〜400,000で、無水マレイン酸に対
するスチレンの共重合モル比が1/1〜1/9であり、
さらにポリアルキレンオキシドモノアルキルエーテルの
数平均分子量が100〜5,000であり、該ポリアル
キレンオキシドモノアルキルエーテルが下記式(1)で
示される分岐状ポリマーポリオール (式中、R1は炭素数1〜4のアルキル基、R2は水素原
子、または炭素数1〜2のアルキル基、mは5〜100
の整数を示す。)などが挙げられる。ポリアルキレンオ
キシドモノアルキルエーテルとしては、単独のみなら
ず、2種以上〔例えば、式(1)においてR2が水素の
ものとメチル基のもの〕であっても良い。中でもポリエ
チレンオキシドモノメチルエーテルが、反応性の面で好
ましい。
【0025】上記分岐状ポリマーポリオールとして、ポ
リアルキレンオキシドモノアルキルエーテルの末端水酸
基とスチレン・無水マレイン酸共重合体の酸無水物基と
の反応によって、ポリスチレンを主鎖としてポリアルキ
レンオキシドモノアルキルエーテルを側鎖とする櫛形ポ
リマーポリオールも挙げられる。上記櫛形ポリマーポリ
オールにおいて、ポリアルキレンオキシドモノアルキル
エーテルの数平均分子量は、100未満では、ポリマー
ポリオール自体がもつ帯電防止機能が不充分となり、一
方、5,000を超えるとスチレン・無水マレイン酸共
重合体との反応性が劣る。式(1)のR1の炭素数が4
を超えると、イオン伝導性が劣る。
【0026】これらの重合物に用いられるポリエーテル
におけるエチレンオキサイドの含有率は、10モル%〜
50モル%であることが望ましい。50モル%を超える
と結晶化などが起こり固体状となり取扱いが困難とな
り、一方、10モル%未満では(c)、(d)成分の溶
解が不充分となる他、電気特性が低下する。また、鎖延
長剤として、芳香族イソシアナート、脂肪族イソシアナ
ートなどで反応させて延長され得られる直鎖状または分
岐状ポリエーテルブロック共重合型ポリマーポリオール
も、使用可能である。このような構造体の例としては、
セグメント化ポリウレタンエラストマーなどを挙げるこ
とができる。
【0027】アルキレンエーテルおよび/またはエステ
ルを基本繰り返し単位とするセグメントを有する(共)
重合体として、ハードセグメント、ソフトセグメントか
らなるエラストマー骨格のものも、使用可能である。例
えばポリエステルエラストマー構造のものであり、ハー
ドセグメントとしてのポリブチレンテレフタレートなど
に対し、ソフトセグメントとしてポリエーテル構造を有
するポリエステル/ポリエーテル型、またはソフトセグ
メントとしてポリエステル構造を有するポリエステル/
ポリエステル型に代表されるエラストマーである。上記
ポリエステル/ポリエーテル型は、例えばテレフタル酸
ジメチルと1,4ブタンジオールならびにポリテトラメ
チレンエーテルグリコールなどを出発原料として、エス
テル交換反応、重縮合反応によって合成されるものであ
る。上記ポリエステル/ポリエーテル型は、テレフタル
酸ジメチルと1,4ブタンジオールならびにε−カプロ
ラクトンなどを出発原料として、エステル交換反応、開
環反応によって合成されるものである。
【0028】アルキレンエーテルおよび/またはエステ
ルを基本繰り返し単位とするセグメントを有する(共)
重合体として、ポリアミドエラストマーも使用可能であ
る。ポリアミドエラストマーとは、ポリアミド拘束相
と、ソフトセグメントとしてポリエーテルおよび/また
はポリエステル構造を有する熱可塑性エラストマーの総
称である。例えば、ポリアミド拘束相としてPA(ポリ
アミド)12成分を用いたポリアミドエラストマーは、
ラウリルラクタム、ジカルボン酸、およびポリエーテル
ジオールを原料とし、ラクタム開環触媒としての水を加
えて、加圧加熱下の反応でカルボキシルテレケリックナ
イロン12オリゴマーを得て、次にポリエーテルジオー
ルとの縮合反応によって得られる。ポリアミド拘束相と
しては、このほかPA(ポリアミド)6なども用いられ
る。本発明に使用できるポリアミドエラストマーは、基
本構造的にはポリエステルブロックポリアミドエラスト
マー、ポリエーテルエステルブロックポリアミドエラス
トマーである。構成要素として使用されるジオールの種
類などによって様々な特性を持ったポリアミドエラスト
マーが使用できる。
【0029】アルキレンエーテルおよび/またはエステ
ルを基本繰り返し単位とするセグメントを有する(共)
重合体として、脂肪族ポリエステルも使用可能である。
脂肪族ポリエステルは、工業的には、脂肪族ジカルボン
酸と過剰のジオールを出発原料として脱水重縮合反応お
よび脱ジオール反応によって合成されるもの、カプロラ
クトンの開環重合などによって合成されるものなどが挙
げられる。本発明の脂肪族ポリエステルの構造として
は、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネ
ートアジペートなどの、コハク酸と1,4−ブタンジオ
ールの2元系縮合物、コハク酸およびアジピン酸と1,
4−ブタンジオールの3元系縮合物からなるものが挙げ
られる。また生分解性の機能を損わない範囲で、機能性
の改質を目的とし、イソシアネート基、ウレタン基、芳
香族環といった反応基や骨格を構造中に導入したり、あ
るいはポリ乳酸などを共重合したコポリエステルのよう
な種々の共重合体も用いることができる。
【0030】脂肪族ポリエステルとして、ポリブチレン
サクシネート、ポリエチレンサクシネートおよびその共
重合体など、各種高分子量タイプが工業生産されてい
る。脂肪族ポリエステルには、生分解性機能がある市販
品を用いることができ、例えば、ポリブチレンサクシネ
ートアジペートである昭和高分子(株)製、生分解性脂
肪族ポリエステル、商品名ビオノーレ、ポリカプロラク
トンであるダイセル化学工業(株)製、商品名CELG
REEN PH7などがあるが、用途や特性に応じた樹
脂を任意に選定することができる。脂肪族ポリエステル
として、一般的にはガラス転移点が30℃以下のものを
用いることが好ましい。30℃を超えると、充分な制電
性を得ることができなくなることがある。
【0031】アルキレンエーテルおよび/またはエステ
ルを基本繰り返し単位とするセグメントを有する(共)
重合体として、ポリエーテル系アミド樹脂も、使用可能
である。上記ポリエーテル系アミド樹脂は、ポリエーテ
ルセグメントを有する高分子の非イオン系界面活性剤の
1種であり、具体例としてはポリエーテルエステルアミ
ド樹脂、ポリエーテルアミドイミド樹脂などが挙げられ
る。具体的には、エチレングリコール・アミド共重合
体、エチレングリコール・メタクリレート共重合体、エ
チレングリコール系・エステルアミド共重合体など、エ
ーテルセグメントとアミドセグメントを共重合した制電
性エラストマーである。中でも、両末端にカルボキシル
基を有するポリアミドとビスフェノール類のアルキレン
オキシド付加物および/またはポリオキシアルキレング
リコールから誘導されるポリエーテルエステルアミド樹
脂が好ましい。
【0032】アミン、スルフィド、およびアクリロニト
リルのいずれか1つ以上を基本繰り返し単位とするセグ
メントを有する(共)重合体として、ポリアクリロニト
リル、トリアジソジチオール化合物と脂肪族ジハライド
との重縮合反応によるポリスルフィド系熱可塑性エラス
トマー、ポリウレア樹脂の主原料として用いられるポリ
アミンや非タンパク性脂肪族化合物などが挙げられる。
なお、無機充填材の表面処理に使用される(共)重合体
のガラス転移点(Tg)は、好ましくは40℃以下、さ
らに好ましくは25℃以下である。Tgが40℃を超え
ると、通常の使用環境下では充分な導電性を得ることが
できない。
【0033】アルキレンエーテル、エステル、アミン、
スルフィド、およびアクリロニトリルのいずれか1つ以
上を基本繰り返し単位とするセグメントを有する(共)
重合体による無機充填材の表面処理方法は、特に限定さ
れるものでは無い。例えば、特開平10−176079
号公報などに例示されている、表面を水溶性カチオン
系、アニオン系高分子界面活性剤によって処理する方法
が使用できる。上記水溶性カチオン系、アニオン系高分
子界面活性剤としては、第1、2、3級アミン塩型カチ
オン系低分子、高分子界面活性剤および第4級アンモニ
ウム塩型カチオン系低分子界面活性剤、または高分子界
面活性剤が挙げられる。
【0034】本発明の(b)成分を得る場合、例えば、
無機充填材100重量部に対し、アルキレンエーテル、
エステル、アミン、スルフィド、およびアクリロニトリ
ルのいずれか1つ以上を基本繰り返し単位とするセグメ
ントを有する(共)重合体を好ましくは0.5〜15重
量部、さらに好ましくは1〜10重量部配合して得られ
る。基本繰り返し単位とするセグメントを有する(共)
重合体が0.5重量部以下では電気特性が不充分であ
り、一方、基本繰り返し単位とするセグメントを有する
(共)重合体が15重量部以上では電気特性は良好であ
るが、成形収縮率が大きく、変形があり、精密な成形品
には不向きである。具体的には、例えば、無機充填材お
よび上記(共)重合体を有機溶媒下で溶解し、ヘンシェ
ルミキサーやリボンミキサーなどを用いて混合させる方
法などが挙げられる。本願発明の(b)成分の中の無機
充填材100重量部に対する表面処理(共)重合体の割
合は、好ましくは0.5〜15重量部、さらに好ましく
は1〜10重量部である。(共)重合体の割合が、0.
5重量部未満であると導電性が不十分である。一方、1
5重量部を超えるとフィラーのベタツキが強くなり供給
性に問題が生じる他、マトリックス樹脂を可塑化する作
用が加わり機械特性が低下する。好ましい(共)重合体
の重量平均分子量は、1,000〜100,000であ
り、さらに好ましくは5,000〜50,000であ
る。本発明の(b)成分は、(c)成分であるLi、N
a、Kなどのアルカリ金属イオンとアニオンなどを含む
イオン成分を、予め1種以上任意に含有していても構わ
ない。
【0035】本発明の組成物において、(b)表面処理
無機充填材の使用割合は、(a)成分および(b)成分
の合計100重量部とすると、(a)成分20〜80重
量部、(b)成分80〜20重量部、好ましくは(a)
成分30〜70重量部、(b)成分70〜30重量部、
さらに好ましくは(a)成分40〜60重量部、(b)
成分60〜40重量部である。(b)成分の配合割合が
80重量部を超えると、電気特性は良好であるが、加工
性、外観の悪化、機械特性の低下を招く。一方、(b)
成分が20重量部未満では、電気特性が不充分である。
【0036】(c)金属塩類のカチオンであるアルカリ
金属としては、Li,Na,Kなどが挙げられる。カチ
オンとしては、イオン半径の小さいLi+,Na+が好ま
しく、特に好ましくは、リチウムLi+である。また、
本発明の金属塩類の構成要素であるアニオンとしては、
例えば、Cl-,Br-,F-,I-,NO3 -,SCN-
ClO4 -,CF3SO3 -,BF4 -,(CF3SO2
2-,(CF3SO23-などが挙げられるが、本発明
に用いられる好ましいアニオン種は、CF3SO3 -
(CF3SO22-,(CF3SO23-である。上記
好ましいアニオン種は、カチオンの解離を促進させ、よ
り少ない添加量で効果を生じるという利点がある。
(c)金属塩類の配合量は、(a)および(b)成分の
合計量100重量部に対し、0.01〜20重量部、好
ましくは0.1〜10重量部の範囲である。0.01重
量部未満では、充分な導電性を得ることが難しく、一
方、20重量部を超えると、樹脂の機械特性、加工特
性、熱安定性を損う。本発明では、後記(d)成分に、
予め(c)成分を分散安定化させておくことが望まし
い。
【0037】上記カチオンおよびアニオンによって構成
されている金属塩類は数多くあるが、中でも、トリフル
オロメタンスルホン酸リチウム、トリフルオロメタンス
ルホン酸ナトリウム、ビス(トリフルオロメタンスルホ
ニル)イミドリチウムLi・N(CF3SO22、ビス
(トリフルオロメタンスルホニル)イミドナトリウムN
a・N(CF3SO22、トリス(トリフルオロメタン
スルホニル)メチド リチウムLi・C(CF3
23、トリス(トリフルオロメタンスルホニル)メチ
ドナトリウムNa・C(CF3SO23を用いることが
好ましい。これらを少量添加するだけで樹脂組成物の固
有抵抗が低くなるので、上記効果が一層発揮されること
になる。本発明の組成物は、これらの金属塩類を少なく
とも1種含有する。
【0038】上記原料を使用して製造される(c)成分
として、上記一般式(1)において、R1が末端にヒド
ロキシル基を有さないアルキル基であるものが、制電性
とブリードのバランスにおいて好ましい。特に好ましく
は、下記化学式(2)に示されるビス〔2−(2ブトキ
シエトキシ)エチル〕アジペート〔上記一般式(1)に
おいて、Xは炭素数4のアルキレン基、Rは炭素数4の
直鎖のアルキル基、Aは炭素数2のアルキレン基、nは
2をそれぞれ示す。〕、または下記化学式(3)に示さ
れるビス(2−ブトキシエチル)フタレート〔上記一般
式(1)において、Xはフェニル基、Rは炭素数4の直
鎖のアルキル基、Aは炭素数2のアルキレン基、nは1
をそれぞれ示す。〕である。
【0039】
【0040】本発明に用いられる(d)成分は、本発明
の組成物において、金属塩の溶解性、解離安定性、ブリ
ードアウト防止、電気伝導性の促進、加工安定性、表面
外観の改良に効果がある。上記(d)成分は、例えば、
炭素数1〜9の直鎖、または分岐脂肪族アルコール1モ
ルに、炭素数2〜4のアルキレンオキシドを1〜7モル
付加して得られるアルコールと、二塩基酸とを原料とし
て、一般的なエステル化合物の製造方法によって製造す
ることができる。
【0041】ここで、上記アルコールの例としては、プ
ロパノール1モルにエチレンオキシド1〜7モル、プロ
ピレンオキシド1〜4モル、またはブチレンオキシド1
〜3モル、ブタノール1モルにエチレンオキシド1〜6
モルまたはプロピレンオキシド1〜3モル、ヘキサノー
ル1モルにエチレンオキシド1〜2モル、ペンタノール
1モルにエチレンオキシド1〜5モル、プロピレンオキ
シド1〜3モル、またはブチレンオキシド1〜2モル、
オクタノール1モルにエチレンオキシド1〜5モル、プ
ロピレンオキシド1〜3モル、またはブチレンオキシド
1〜3モル、ノナノール1モルにエチレンオキシド1〜
4モル、プロピレンオキシド1〜2モル、またはブチレ
ンオキシド1〜2モルを、それぞれ、付加させたヒドロ
キシル化合物が挙げられる。これらの化合物の中で、ブ
タノール1モルにエチレンオキシド2モルを付加させた
2−(2−ブトキシエトキシ)エタノール、ブタノール
1モルにエチレンオキシド1モルを付加させた2−ブト
キシエタノールが、加工性とのバランスに良い。また、
上記二塩基酸としては、アジピン酸、セバシン酸、フタ
ル酸、コハク酸などのカルボン酸、およびこれらのカル
ボン酸無水物などが挙げられる。
【0042】(d)成分の添加量は、(a)および
(b)成分合わせて100重量部に対し、0.1〜20
重量部、好ましくは0.5〜10重量部の範囲である。
0.1重量部未満では、充分な導電性、加工特性、表面
外観の改善を得ることが難しく、一方、20重量部を超
えると、得られる組成物の粘度が著しく低下し、成形加
工が困難となるほか、ブリードアウトが生じ、物理的特
性の低下を招く。
【0043】本発明の制電性樹脂組成物には、この他本
発明の目的を損なわないかぎり、その他の無機充填材、
安定剤、着色剤、強化用ゴム、エラストマー成分、可塑
剤、分散剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、難燃剤、安定
剤、補強剤、滑剤、発泡剤、耐候(光)剤、金属粉など
の添加剤を目的に応じて任意に配合することができる。
本発明の制電性樹脂組成物は、通常の熱可塑性樹脂の混
合、混練に用いられる通常の装置、設備を用いて問題な
く製造できる。具体的には、タンブラー、ヘンシェルミ
キサーなどの予備混合機に、(a)〜(d)成分、その
他の成分を仕込み、均一に混合する。その後、混合物を
押し出し機に供給して溶融混練し、ダイから押し出すと
ともにペレタイザーによりペレット化する。押し出し機
としては、ベント付きの単軸、二軸異方向、二軸同方向
押し出し機が望ましい。また、押し出し機に代えて、ス
ーパーミキサー、バンバリーミキサー、ニーダー、タン
ブラー、コニーダーなどの混練機を用いても良い。
【0044】
【実施例】以下、本発明を実施例および比較例により説
明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるも
のではない。なお、実施例中における部および%は、特
に断らない限り、重量基準である。実施例および比較例
に用いた各種成分は、以下のとおりである。
【0045】(a)熱可塑性樹脂;ポリプロピレン樹
脂:東ソ−(株)製、商品名ブロックPP、PN640
(表中では「PP」) 熱可塑性エラストマー(スチレン系エラストマー);リ
ケンテクノス(株)製、商品名レオストマー硬度55
A、LQR(表中では「エラストマー」) (b)成分;炭酸カルシウム表面へアルキレンエーテル
重合体をグラフトしたもの:(株)ファイマテック製、
商品名AFF−EML33re11、平均粒子径1.0μ
m(表中では「Filler−A」) 炭酸カルシウム表面へアルキレンエーテル重合体をグラ
フトし、塩素系Li塩(塩化リチウム)を配合したも
の:(株)ファイマテック製、商品名AFF−EML3
3、平均粒子径1.0μm、Li塩量3%(表中では
「Filler−B」) 炭酸カルシウム表面へアルキレンエーテル重合体をグラ
フトしていないもの:(株)ファイマテック製、商品名
AFF−95、平均粒子径0.9μm(表中では「Fi
ller−C」) (c)成分;ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イ
ミドリチウム:Li・N(CF3SO22 (d)成分;ビス〔2−(2ブトキシエトキシ)エチ
ル〕アジペート(表中では「アジピン酸ジブトキシエト
キシエチル」)
【0046】実施例1〜13、比較例1〜28(組成物
ペレットの調製) 下記表の配合処方に従い、(a)熱可塑性樹脂、(b)
成分、および(c)〜(d)成分をタンブラーミキサー
により予備ドライブレンドし、47mm同方向2軸押し
出し機により180〜220℃で溶融混合した。押し出
し機のダイスから出た紐状の樹脂溶融混合物を、水槽に
て冷却処理し、カッターに通して制電性樹脂組成物のペ
レットを調製した。 評価用試験片の調製;上記調製したサンプルペレットを
使用して、型締め圧力80ton/cm2の射出成形機
により射出成形し、幅6×長さ6×厚み0.3(cm)
の試験片プレートを成形した。成形条件は、シリンダー
温度180〜220℃、金型温度40〜60℃で行っ
た。
【0047】体積固有抵抗値 上記調製した試験片を用い、三菱化学(株)製、ハイレ
スタにて、ASTMD257に準じて測定を行った。成形加工性、表面外観 上記調製した試験片プレートの成形性表面外観の判定
を、目視にて行った。ショートショット、表面肌荒れ、
ジェッティングマーク、シリンダー内10分滞留による
色焼け(黄変)などの不具合について、下記基準で評価
した。 ×:2つ以上の不具合が存在する。 △:不具合が一つ存在する。 ○:使用できるレベル ◎:不具合が全く存在しない
【0048】
【表1】
【0049】
【表2】
【0050】
【表3】
【0051】
【表4】
【0052】
【発明の効果】本発明の制電性樹脂組成物は、その優れ
た特性を生かし、OA機器、家電分野、電気・電子分
野、車両分野、その他の各種パーツ、ハウジング、パッ
ケージなどに好適に使用することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4J002 AC071 AC081 AC091 BB031 BB121 BB151 BB171 BC031 BD041 BG021 BG041 BN151 BP021 CB001 CF031 CF061 CF071 CF101 CF161 CF181 CH071 CK021 CL011 CL031 CM041 CN031 DE076 DE136 DE146 DE236 DJ006 DJ046 DJ056 DL006 ED028 EV237 FB266 FD016 FD117

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a)熱可塑性樹脂および/または未加
    硫ゴム20〜80重量部、(b)表面をポリアルキレン
    エーテル、ポリエステル、ポリアミン、ポリスルフィ
    ド、およびポリアクリロニトリルの群から選ばれた少な
    くとも1種の(共)重合体で被覆した無機充填材80〜
    20重量部〔ただし、(a)+(b)=100重量
    部〕、ならびに(c)アルカリ金属またはアルカリ土類
    金属であるカチオン、およびアニオンによって構成され
    ている金属塩0.01〜20重量部を配合したことを特
    徴とする制電性樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 (c)成分が、トリフルオロメタンスル
    ホン酸リチウム、リチウムビス(トリフルオロメタンス
    ルホニル)イミド、およびリチウムトリス(トリフルオ
    ロメタンスルホニル)メチドの群から選ばれた少なくと
    も1種である請求項1記載の制電性樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 さらに、(d)−{O(AO)n}−基
    (Aは炭素数2〜4のアルキレン基、nは1〜7の整数
    を示す)を有し、かつ全ての分子鎖末端がCH3基およ
    び/またはCH2基である有機化合物を、(a)成分と
    (b)成分合わせて100重量部に対し0.1〜20重
    量部配合した請求項1または2記載の制電性樹脂組成
    物。
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