JP2003257647A - 有機el装置の製造装置、有機el装置、電子機器 - Google Patents

有機el装置の製造装置、有機el装置、電子機器

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JP2003257647A
JP2003257647A JP2002059563A JP2002059563A JP2003257647A JP 2003257647 A JP2003257647 A JP 2003257647A JP 2002059563 A JP2002059563 A JP 2002059563A JP 2002059563 A JP2002059563 A JP 2002059563A JP 2003257647 A JP2003257647 A JP 2003257647A
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gas
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plasma
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JP2002059563A
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Shunichi Seki
関  俊一
Hiroo Miyajima
弘夫 宮島
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Seiko Epson Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 使用するガスの流量を低減できるとともにプ
ラズマ処理を連続的に行うことにより処理効率の向上及
び処理コストの低下を実現できるプラズマ処理装置を備
えた有機EL装置の製造装置を提供する。 【解決手段】 プラズマ処理装置Sは、試料43を支持
する試料ステージ12と、試料ステージ12に支持され
ている試料43に対向する位置に設けられたプラズマ放
電電極20と、プラスマ放電電極20と試料43との間
の放電ギャップ47に混合ガスを供給するガス噴出口2
9と、プラズマ放電電極20に対して試料ステージ12
を移動する移動装置12Aとを備えており、ガス噴出口
29からの混合ガスは試料43の移動方向に対して後方
の一方向に流れるように設定されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、有機EL装置を製
造する製造装置、及びこの製造装置によって製造された
有機EL装置、この有機EL装置を有する電子機器に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、有機蛍光材料等の発光材料をイン
ク化し、当該インク(組成物)を基材上に吐出するイン
クジェット法(液滴吐出法)により、発光材料のパター
ニングを行う方法を採用して、陽極及び陰極の間に該発
光材料からなる発光層が挟持された構造のカラー表示装
置、特に発光材料として有機発光材料を用いた有機EL
(エレクトロルミネッセンス:electroluminescence)
表示装置の開発が行われている。有機EL表示装置(以
下、「有機EL装置」と称する)は、基板上に複数の回
路素子や、有機発光層を陽極及び陰極の電極層で挟んだ
発光素子などを積層した構成を有している。そして、有
機EL装置においては、陽極側から注入された正孔と、
陰極側から注入された電子とを発光能を有する発光層内
で再結合し、励起状態から失括する際に発光する現象を
利用している。
【0003】有機EL装置は複数の材料層を積層したも
のであり、基板上に材料を配置した後、乾燥処理や表面
処理等の所定の処理を行い、これを順次繰り返すことに
よって製造される。表面処理としては、基板表面を撥液
性や親液性に加工する処理、あるいは電極の仕事関数を
調整する処理等があり、これにはプラズマ処理が適用さ
れる場合が多い。近年において、大気圧付近の圧力下で
のプラズマ放電により生成される化学的に活性な励起活
性種を利用して、真空設備を必要としない比較的低コス
トで簡単な構成により、被処理面を様々に処理するプラ
ズマ表面処理技術が提案されている。大気圧下でのプラ
ズマによる表面処理には、被処理面との間での直接放電
により作られるプラズマに被処理面を直接曝露する直接
方式と、一対の電極間での気体放電により作られたプラ
ズマにより生成される励起活性種を輸送して被処理面を
曝露する間接方式とがある。
【0004】直接方式は、チャージアップによる被処理
面の損傷、複雑な形状や凹凸がある被処理面、又は処理
範囲の制限に十分に対応できないおそれがある反面、高
い処理レートが得られる利点がある。また、間接方式
は、チャージアップによる被処理面の損傷のおそれが無
く、ガス噴射ノズルの形状やガス流量の調整により被処
理面の形状や処理範囲の制限に対応し得る利点はある
が、放電により生成された活性種を移送するため、反応
に寄与できる活性種が直接方式に比べて少なく、処理レ
ートが低いので、直接方式に比して高速での大面積の処
理は不利である。
【0005】図14は、直接方式の大気圧プラズマによ
る従来のプラズマ処理装置の一例を示す概略図である。
図14に示すプラズマ処理装置は、交流電源1に接続さ
れた電極2と、接地電極である試料テーブル10とを有
している。試料テーブル10は試料3を支持しつつY軸
方向に移動可能となっている。電極2の下面には、移動
方向と直交するX軸方向に延在する2本の平行な放電発
生部4,4が突設されているとともに、放電発生部4を
囲むように誘電体部材5が設けられている。誘電体部材
5は放電発生部4の異常放電を防止するものである。そ
して、誘電体部材5を含む電極2の下面は略平面状とな
っており、放電発生部4及び誘電体部材5と試料3との
間には僅かな空間(放電ギャップ)が形成されるように
なっている。また、電極2の中央にはX軸方向に細長く
形成されたガス噴出口6が設けられている。ガス噴出口
6は、電極内部のガス通路7及び中間チャンバ8を介し
てガス導入口9に接続している。
【0006】ガス通路7を通ってガス噴出口6から噴射
された所定のガスは、前記空間の中を移動方向(Y軸方
向)の前方及び後方に分かれて流れ、誘電体部材5の前
端及び後端から外部に排気される。これと同時に、電源
1から電極2に所定の電圧が印加され、放電発生部4,
4と試料テーブル10との間で気体放電が発生する。そ
して、この気体放電により生成されるプラズマで前記所
定のガスの励起活性種が生成され、放電領域を通過する
試料3の表面全体が連続的に処理される。
【0007】通常、前記所定のガスは、目的とする表面
処理に適した酸素(O2)、四フッ化炭素(CF4)等の
処理ガスと、大気圧近傍の圧力下で放電を容易に開始さ
せ且つ安定に維持するためのヘリウム(He)、アルゴ
ン(Ar)等の希ガスや窒素(N2)等の不活性ガスと
を混合したものである。処理ガスを適当に選択すること
により、試料表面に対するエッチング、アッシング、改
質、被膜形成などといった種々の表面処理が行われる。
特に、処理ガスとして酸素を用いることにより、有機E
L装置における電極の仕事関数の調整及び有機物洗浄、
親液化が行われる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た従来のプラズマ処理装置には、以下に述べる問題があ
った。すなわち、従来のプラズマ処理装置において、電
極2の下面は略平面状になっているため、ガス噴出口6
から噴射されたガスは、前記空間のうち移動方向と交わ
る方向(すなわちX軸方向)両側、更には前記空間のう
ち移動方向(Y軸方向)前方側及び後方側から流出しや
すい。このため、プラズマ放電を安定化するためにはガ
ス流量、特に不活性ガスの流量を多くする必要があっ
た。不活性ガスの流量を多くすると、それだけ処理ガス
の流量が少なくなるので、処理レートが低下することに
なる。また、比較的高価なヘリウム等の使用量が増加す
ると、処理コストが大幅に高くなるという問題が生じ
る。
【0009】更に、外部から前記空間に対して大気が侵
入し易く、そのためにプラズマ放電が不安定になり、特
に、試料3の端部近傍では外部から侵入する大気によっ
て乱流が発生しやすく、プラズマ放電が安定しないた
め、処理レートの低下及び処理分布が発生する。プラズ
マ放電が安定しないと、被処理面が有機EL装置の電極
である場合、仕事関数が不均一な電極を形成してしま
う。この場合、有機EL装置の発光特性も不均一あるい
は不安定となり、発光性能の低下を招く。
【0010】また、ガス噴出口6は電極2の中央に設け
られ、ガス噴出口6からの所定のガスは移動方向前方側
及び後方側のそれぞれに流れることになる。したがっ
て、放電ギャップに供給された所定のガスを有効に使用
するためには、電極2の放電発生部4をガス噴出口6に
対して移動方向前方側及び後方側の少なくとも2箇所に
設ける必要があり、装置の大型化を招く。また、放電発
生部4が2つある場合、試料3をスキャンしながら2箇
所でプラズマ放電が生じるが、放電領域ARの全てにお
いて被処理面に対して所定レベルの反応が生じるわけで
はなく、所定レベルの反応状態に達するまでに、ある程
度の応答時間(立ち上がり時間)が必要となり、所定レ
ベルの反応が生じている領域は放電領域ARより狭い領
域となる。したがって、プラズマ処理効率を向上するた
めには、プラズマ処理は断続的なものではなく、連続的
に行われることが好ましい。
【0011】本発明はこのような事情に鑑みてなされた
もので、有機EL装置の電極に対してプラズマ処理を行
う際、使用するガスの流量を低減できるとともにプラズ
マ処理を連続的に行うことにより処理効率の向上及び処
理コストの低下を実現でき、且つプラズマ処理を平均的
に行って仕事関数を均一化し、高い発光性能を備える有
機EL装置を製造できる有機EL装置の製造装置、この
製造装置により製造された有機EL装置を有する電子機
器を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
め、本発明の有機EL装置の製造装置は、基板上に設け
られた電極と、前記電極に隣接して設けられた有機発光
層とを有する有機EL装置の製造装置において、前記電
極の表面改質を行うプラズマ処理装置を備え、前記プラ
ズマ処理装置は、前記基板を支持するステージと、前記
ステージに支持されている前記基板に対向する位置に設
けられたプラズマ放電電極と、前記プラスマ放電電極と
前記ステージに支持されている前記基板との間に所定の
ガスを供給するガス供給部と、前記プラズマ放電電極に
対して前記ステージを相対的に移動する移動装置と、前
記ガス供給部からの前記所定のガスの流れを規制するガ
ス流路とを備えることを特徴とする。
【0013】本発明によれば、ガス供給部からの所定の
ガスを一方向に流すようにしたので、1つのプラズマ放
電電極によって所定のガスを有効利用しつつプラズマ処
理を連続的に行うことができる。そして、1つのプラズ
マ放電電極でプラズマ処理が行われるので、反応の立ち
上がり時間を低減することができ、処理効率を向上でき
る。つまり、図15(a)に示すように、プラズマ放電
電極が2つの場合は、スキャンする基板に対する反応の
立ち上がり時間Tは2回となる。ここで、図15(a)
に示すグラフは、スキャンする基板の被処理面のある1
点が、プラズマ放電電極の下を通過する際に受けるプラ
ズマ反応レベルであり、横軸は時間、縦軸は反応レベル
である。図15(a)に示すように、被処理面のある1
点は、2つのプラズマ放電電極の下を通過することによ
って、2回プラズマ処理されるが、立ち上がり時間が2
回あるため所定レベルの反応を得るための実際の反応時
間は、2AR−2Tとなる。一方、図15(b)に示す
ように、プラズマ放電電極が1つである場合は、反応の
立ち上がり時間Tは1回であり、放電領域が2ARであ
って、スキャン速度が図15(a)のときと同一条件で
ある場合には、所定レベルの反応を得るための実際の反
応時間は、2AR−Tとなる。このように、プラズマ放
電電極を1つにすることによって、スキャン速度及び電
極の大きさ(合計の大きさ)が同じである場合には、反
応時間を長くすることができ、プラズマ処理効率を向上
することができる。
【0014】上記有機EL装置の製造装置において、表
面改質により、仕事関数の調整、親液化処理、撥液化処
理、洗浄処理等を行うことができる。
【0015】上記有機EL装置の製造装置において、前
記ガス供給部からの前記所定のガスは前記移動方向後方
側に流れるように前記ガス流路が設定されているので、
所定のガスが空間(放電ギャップ)を基板の移動方向に
沿って後方に流れるので、表面処理により基板表面から
一旦除去された物質等が再付着することを低減すること
ができる。
【0016】上記有機EL装置の製造装置において、前
記ガス流路は、前記移動方向前方側に設けられ、前記プ
ラズマ放電電極と前記ステージとの間に形成される空間
を閉塞する壁部を含むので、この壁部により、空間に供
給される所定のガスの空間外部(すなわち大気)への拡
散及び空間内部に対する大気の侵入を制限できるので、
ヘリウムなどの不活性ガス、すなわち放電用ガスの流量
を少なくしても、放電を容易に開始させることができる
とともに放電を安定化することができる。一方で、目的
とする表面処理のための処理ガスの添加量を増加させる
ことができるので、処理効率の向上及び処理コストの低
下を実現することができる。また、空間外部と内部との
ガスの出入りが規制されるので、乱流の発生を抑え、安
定したプラズマ処理が実現される。
【0017】また、上記有機EL装置の製造装置におい
て、前記所定のガスは、フッ素を含む化合物を含むこと
により、有機EL装置における電極の撥液化処理を行う
ことができる。
【0018】また、上記有機EL装置の製造装置におい
て、前記所定のガスは、酸素を含むことにより、有機E
L装置における電極の仕事関数を調整することができ
る。
【0019】本発明の有機EL装置は、上記記載の有機
EL装置の製造装置によって製造されたことを特徴とす
る。本発明によれば、仕事関数を均一に調整された電極
を有するので、良好な発光性能が得られる。
【0020】本発明の電子機器は、上記記載の有機EL
装置を有することを特徴とする。本発明によれば、本発
明の有機EL装置が搭載されたので、信頼性の高い動作
を実現できる。
【0021】
【発明の実施の形態】<有機ELの製造装置>以下、本
発明の有機EL装置の製造装置の一実施形態について図
1〜図5を参照しながら説明する。図1は本発明の有機
EL装置の製造装置としてのプラズマ処理装置の一例を
示す−Y方向側から見た図、図2は図1に示したプラズ
マ処理装置を+Y方向側から見た図、図3は図1のA−
A矢視断面図、図4は図1に示したプラズマ処理装置の
うち試料ステージ(基板ステージ)を示す外観斜視図、
図5は図3の部分拡大図、図6は図5のB−B矢視断面
図である。
【0022】図1,図2,図3において、プラズマ処理
装置Sは、試料(基板)43を支持する試料ステージ
(基板ステージ)12と、試料ステージ12に対向する
位置に設けられたプラズマ放電電極20を有する電極部
11とを備えている。試料ステージ12には、この試料
ステージ12を移動させるアクチュエータ(移動装置)
12Aが接続されており、試料ステージ12はアクチュ
エータ12Aの駆動のもとで試料43を支持しつつY軸
方向に移動可能となっている。また、試料ステージ12
は支持した試料43を温度調整する温度調整装置を備え
ている。ここで、以下の説明において、水平面内におけ
る試料ステージ12の移動方向(スキャン方向)をY軸
方向、水平面内においてY軸方向と直交する方向(非ス
キャン方向)をX軸方向、X軸方向及びY軸方向と直交
する方向をZ軸方向とする。更に、以下の説明におい
て、X軸方向を「幅方向」と称し、その両端を「左端、
右端」と称する場合がある。また、移動方向前方側(+
Y方向側)を「前端」、移動方向後方側(−Y方向側)
を「後端」と称する場合がある。
【0023】図3に示すように、電極部11は、アルミ
ナ等の絶縁材料で形成された電極保持ブロック13と、
ポリ4フッ化エチレン等の絶縁樹脂材料からなる略直方
体の前部ブロック14とを有している。また、電極保持
ブロック13及び前部ブロック14の上方には上部ブロ
ック16が設けられている。更に、図1及び図2に示す
ように、上記各ブロック13,14,16のX軸方向両
側には、側板17a,17bがボルトなどの固定部材
(不図示)によって結合されている。
【0024】図3に示すように、電極保持ブロック13
は、その下面に段状の凹部19を有している。凹部19
はX軸方向を長手方向として形成されている。凹部19
内部にはプラズマ放電電極20が設けられている。プラ
ズマ放電電極20は側面視L字状に形成されており、L
字先端に放電発生部(プラズマ放電電極)21を有して
いる。プラズマ放電電極20は凹部19内部において放
電発生部21を下向きにして配置されている。そして、
プラズマ放電電極20は、アルミナ、石英等の誘電体か
らなる取付ブロック22を介してボルト23により電極
保持ブロック23に対して固定されている(図1参
照)。プラズマ放電電極20は交流電源24に接続され
ている。
【0025】電極保持ブロック13の下側には、該ブロ
ックと同じ長さ・幅を有するアルミナ、石英等の誘電体
薄板からなるガス流制御板(ガス通路)25が、前部ブ
ロック14下面と一致する高さに水平に取り付けられて
いる。
【0026】また、電極保持ブロック13と前部ブロッ
ク14との間には、Z軸方向に延びる主ガス通路(ガス
供給部)15が設けられている。主ガス通路15はX軸
方向に延びるスリット状に形成されたものである。主ガ
ス通路15は、上部ブロック16に形成されている中間
チャンバ30に接続している。中間チャンバ30は、そ
の略中央において上部ブロック16上面に開口するガス
導入口31に連通している。ガス導入口31にはジョイ
ント32が設けられており、ジョイント32はヘリウム
等の放電用ガスの供給源32Aに接続する。供給源32
Aからジョイント32を介してガス導入口31に導入さ
れた放電用ガスは、中間チャンバ30内で幅方向(X軸
方向)にガス圧を略均一化され、主ガス通路15を幅方
向に略一様に流れる。なお、本実施形態ではガス導入口
31は1つであるが、必要に応じて複数個設け、主ガス
通路15の全幅に亘って放電用ガスの流れをより均一に
することができる。
【0027】電極部11の下面には、主ガス通路15と
接続するガス噴出口(ガス供給部)29が形成されてい
る。ガス噴出口29は、試料ステージ12の移動方向と
直交するX軸方向に細長く直線状に形成されており、主
ガス通路15からの所定のガスを、電極部11の下面
と、試料ステージ12に支持されている試料43との間
の空間(放電ギャップ、ガス流路)47に供給するよう
になっている。
【0028】ガス噴出口29は、プラズマ放電電極20
(放電発生部21)に対して、試料43の移動方向前方
側に設けられている。
【0029】図1に示すように、ガス流制御板25下側
のうち左右両側(X軸方向両側)のそれぞれには、マイ
カ等の絶縁材料からなる脚部材(壁部)26a,26b
が設けられている。脚部材26a,26bのそれぞれは
ガス流制御板25の左右両側の辺に沿って側板17a,
17bの内側に取り付けられ、電極保持ブロック13の
内側端面に当接するように配置されている。脚部材26
a,26bのそれぞれと電極保持ブロック13とはボル
トなどの固定部材により一体に結合されている。そし
て、ガス流制御板25と脚部26a,26bとによっ
て、下向き「コ」字状の空間が形成されるようになって
いる。
【0030】図2に示すように、前部ブロック14の下
面のうち左右両側(X軸方向両側)のそれぞれには突部
(壁部)27a,27bが形成されている。これら突部
27a,27bのそれぞれと電極保持ブロック13の脚
部材26a,26bのそれぞれとは連続するように形成
されており、同一形状及び寸法の断面を有している。突
部27a,27bのそれぞれは前部ブロック14の左右
両側の辺の全長に亘って設けられており、図2に示すよ
うに、前部ブロック14の下面と突部27a,27bと
によって、下向き「コ」字状の空間が形成されるように
なっている。
【0031】図2及び図3に示すように、前部ブロック
14の背面には、この前部ブロック14の下面及び突部
27a,27bの内面を後方へ延長させるように、ポリ
塩化ビニル(PVC)等の樹脂材料からなるカバー28
が取り付けられている。
【0032】前部ブロック14の内部には、実施しよう
とする表面処理に適した特定の処理ガスを主ガス通路1
5に導入するために、その幅方向に等間隔で配置した多
数の水平な小円孔からなる副ガス通路33が形設されて
いる。副ガス通路33は、同様に前部ブロック14に内
設された中間チャンバ34を経て、前部ブロック14の
後面に開口するガス導入口35に連通している。ガス導
入口35には、多くの場合にO2 やCF4 等である処理
ガスの供給源36Aに接続するためのジョイント36が
設けられている。ジョイント36から導入された処理ガ
スは、中間チャンバ34内で幅方向にガス圧が略均一化
されるので、副ガス通路33のそれぞれを略一様な流量
で流れる。
【0033】本実施形態において、プラズマ処理装置S
は有機EL装置の電極の仕事関数調整に用いられるの
で、処理ガスとしてO2が用いられる。
【0034】供給源36Aからの処理ガスは、供給源3
2Aからの放電用ガスとともに、主ガス流路15を介し
てガス噴出口29より、電極部11の下面と、試料ステ
ージ12に支持されている試料43との間の空間(放電
ギャップ)47に供給されるようになっている。
【0035】ここで、電極部11の下面には、左右両側
(X軸方向両側)の辺の全長に亘って脚部材26a,2
6b及び突部27a,27bからなる壁部(ガス流通規
制部)が設けられたことになるので、これら壁部によっ
て放電ギャップ47のうちX軸方向両側は閉塞され、放
電ギャップ47内部と外部とのガスの流通が規制される
ようになっている。
【0036】試料ステージ12は、図4に示すように移
動方向(Y軸方向)に長い長方形のアルミニウム等の金
属板からなり、プラズマ放電電極20に対する接地電極
として機能する。試料ステージ12は、電極部11の左
右脚部26a、26b、27a、27b間の幅より僅か
に狭幅の上面37と、その左右両側に全長に亘って形成
され、前記左右脚部と同じ高さの段差部38a、38b
とを有する。
【0037】試料ステージ12の上面37には、その中
央付近に僅かな段差(壁部、ガス流路)39がX軸方向
に形成され、段差39の下側に後方に延長する試料支持
面40が設けられている。試料支持面40の後端には、
突縁41が試料ステージ12の上面37を超えない高さ
に形成されている。
【0038】本実施形態では、試料支持面40上にアル
ミナ等の絶縁材料の薄板からなるマウントプレート42
を配置し、その上に試料43を載置する。マウントプレ
ート42は試料支持面40と同じ寸法を有し、段差39
と突縁41との間に前後方向に移動しないように位置決
め・保持される。マウントプレート42の上面には、そ
の移動方向前端から少し距離を置いて、例えば基板のよ
うな長方形の試料を収容するために対応する長方形の凹
所44が形成されている。凹所44は、その中に収容し
た試料43の表面がマウントプレート上面と一致して前
記移動方向に凹凸を生じないように、試料43の厚さ及
び長さに対応する深さ及び長さに形成するのが好まし
い。
【0039】なお、図4では、マウントプレートの凹所
44を長方形にしたが、処理しようとする試料の形状・
寸法に対応した様々な形状・寸法の凹所を有するマウン
トプレートを用いることができる。例えば、円形の試料
を処理するために、それに対応する直径の円形凹所がマ
ウントプレートに形成されている。
【0040】もちろん、前記マウントプレートを使用せ
ず、試料テーブル12の試料支持面40上に試料43を
直接載置することができる。この場合にも、処理しよう
とする試料に対応した凹所を試料支持面に形成すると、
同様に移動方向に凹凸を生じないので、好ましい。
【0041】図1及び図2に示すように、電極部11は
試料ステージ12の上方に、その左右脚部26a、26
b、27a、27bの間を試料ステージ12の上面37
が通過するように配置される。図5に示すように、電極
部11下面と試料ステージ12の上面37との間には、
両者が接触しない程度の僅かな隙間が維持され、段差3
9によって低い位置のマウントプレート42に配置され
る試料43と電極部11下面との間には、前記隙間に比
して十分に大きい空間(放電ギャップ)47が形成され
る。同様に、図6に示すように、電極部11の壁部26
a,27a(26b,27b)の下面48及び内側面4
9と、試料テーブル12の段差部38a(38b)の底
面50及び側壁面51との間には、それぞれ前記空間
(放電ギャップ)47に比して十分に狭い僅かな隙間が
形成される。
【0042】次に、上述した構成を有するプラズマ処理
装置Sを用いて、試料43に対してプラズマ処理する際
の手順について説明する。試料ステージ12に処理対象
である試料43が支持されたら、試料ステージ12が−
Y側(図3中、左側)にセットされる。そして、試料ス
テージ12が+Y方向に移動しながら、放電用ガスが主
ガス通路15内にジョイント32を介して供給されると
ともに、処理ガスがジョイント36から副ガス通路33
を介して主ガス流路15に供給され、主ガス流路15に
おいて放電用ガスと処理ガスとが混合される。この混合
ガス(所定のガス)はガス噴出口29から放電ギャップ
47内に噴射される。これと同時に交流電源24から所
定の電圧がプラズマ放電電極20に印加される。する
と、図3及び図5に示すように、前記放電ギャップ47
の放電発生部21と試料ステージ12との間で放電が発
生する。
【0043】放電ギャップ47は、その前方が段差(壁
部)39により仕切られ、かつ左右両側方が前記左右壁
部26a,26b,27a,27bにより仕切られて、
それぞれ実質的に閉塞されているので、ガス噴出口29
から噴射された混合ガスは、放電ギャップ47を移動方
向と逆向き(すなわち−Y方向)に一方向に流れる。ま
た、上述したように試料43表面とマウントプレート4
2上面とが同一平面上にあって、放電ギャップ47が全
長に亘って均一なことから、前記混合ガスは放電ギャッ
プ47の中を一様に流れる。
【0044】本実施形態では、試料ステージ12の中央
付近に段差39を設けてその前端からの距離を比較的長
くし、且つ前部ブロック14に電極部11の下面を延長
するカバー28を設けたことにより、電極部11の下面
と試料ステージ12の上面37との間の隙間が放電ギャ
ップ47の前方に長く設けられる。このため、この隙間
を介して混合ガスが放電ギャップ47から前方へ漏出し
たり、大気が外部から放電ギャップ47へ侵入すること
を有効に防止することができる。また、放電ギャップ4
7の左右両側方には、ガス流通規制部としての左右壁部
26a,26b,27a,27bと左右段差部38a、
38bとにより垂直方向及び水平方向に狭小な隙間が連
続しているので、放電ギャップ47内部と外部とでガス
の流通が困難であり、同様に前記混合ガスの漏出及び大
気の侵入を有効に防止することができる。したがって、
試料43の端部近傍における乱流の発生を抑えることが
でき、試料43の被処理面が有機EL装置の電極である
場合、電極表面のいずれの位置においてもプラスマ放電
は安定化される。したがって、電極の仕事関数は均一に
調整される。
【0045】また、段差(壁部)39や、壁部26a,
26b,27a,27bにより、放電ギャップ47に供
給される混合ガスの放電ギャップ47外部(すなわち大
気)への拡散及び放電ギャップ47内部に対する大気の
侵入を制限できるので、放電用ガスの流量を少なくして
も、放電を容易に開始させることができるとともに放電
を安定化することができる。一方で、目的とする表面処
理のための処理ガスの添加量を増加させることができる
ので、処理効率の向上及び処理コストの低下を実現する
ことができる。
【0046】更に、段差(壁部)39とマウントプレー
ト42上面に置いた試料43との間には、上述したよう
に或る程度の距離が設けられているので、図5に示すよ
うに、放電ギャップ47には、試料43が放電領域52
に入る前から、ガス噴出口29より前方に先行する段差
39との間で閉塞された空間が画定される。ガス噴出口
29から噴射された混合ガスは、その一部が一旦この閉
塞された空間内へも広がって、ガス溜まりを形成するの
で、電極部11の下面と試料テーブル12の上面37と
の間の前記隙間からの大気の侵入が、より確実に防止さ
れる。
【0047】放電領域52では、放電により作られたプ
ラズマによる前記混合ガスの励起活性種が生成され、そ
れによって放電領域52を通過する試料43の表面が処
理される。上述したように放電ギャップ47が放電領域
52よりも後方に延長して設けられ、且つ放電ギャップ
47内におけるガスの流れが一方向に制限されているの
で、前記励起活性種を含む反応性ガスは、放電領域52
から直ぐに大気中に拡散することなく、試料43表面に
沿って後方にガス流制御板25の端部まで流れた後に外
部に排出される。
【0048】ガス噴出口26からの混合ガスを一方向に
流すようにしたので、1つのプラズマ放電電極20によ
って混合ガスを有効利用しつつプラズマ処理を連続的に
行うことができる。そして、1つのプラズマ放電電極2
0でプラズマ処理が行われるので、反応の立ち上がり時
間を低減することができ、処理効率を向上できる。
【0049】ガス噴出口29からの混合ガスは移動方向
後方側に流れるように設定されているので、混合ガスが
放電ギャップ47を試料43の移動方向に沿って後方に
流れるので、表面処理により試料43表面から一旦除去
された物質等が再付着することを低減することができ
る。
【0050】上記実施形態では、電極部11の下面左右
両側に下方に突出する壁部26a、26b、27a、2
7bを設けるとともに、試料ステージ12の左右両側に
段差部38a、38bを設けた構成であるが、もちろ
ん、試料ステージ12の左右両側に上方に突出する壁部
を設けるとともに、電極部11の下面左右両側に段差部
を設ける構成でもよい。
【0051】また、プラズマ処理装置に排気装置を付設
し、その排気取入口をガス流制御板25の端部付近に配
置して、放電ギャップ47からの排気を大気中に放出す
ることなく、回収・処理するようにしてもよい。こうす
ることにより、特に気体放電により生成されるオゾン等
による大気の汚染が防止される。
【0052】以上、本発明について好適な実施例を用い
て詳細に説明したが、本発明はその技術的範囲内におい
て上記実施例に様々な変形・変更を加えて実施すること
ができる。例えば電極部11は、上記実施例以外の様々
な構造にすることができ、また1つのガス通路に予め放
電用ガスと処理ガスとを適当な割合で混合したガスを供
給することができる。また、試料ステージ12は逆向き
に、試料支持面40側を先にして電極部11の下を移動
させることができる。また、試料43側を固定して電極
部11を移動させることもできる。
【0053】<有機EL装置>次に、有機EL装置及び
その製造工程の一例について説明する。図7は有機EL
表示装置における表示領域の断面構造を拡大した図であ
る。ここで、図7に示す有機EL装置は、薄膜トランジ
スタ(TFT:Thin Film Transistor)が配置された基
板202側から光を取り出す形態である。図7に示すよ
うに、有機EL装置Eは、基板202と、基板202上
に設けられた発光素子(有機EL素子)203と、TF
T204とを有している。発光素子203は、インジウ
ム錫酸化物(ITO:Indium Tin Oxide)等の透明電極
材料からなる画素電極(陽極)223と、画素電極22
3から正孔を輸送可能な正孔輸送層270と、有機発光
材料を含む有機発光層260と、発光層260の上面に
設けられている電子輸送層250と、電子輸送層250
の上面に設けられているアルミニウム(Al)やマグネ
シウム(Mg)、金(Au)、銀(Ag)、カルシウム
(Ca)等からなる対向電極(陰極)222とを有して
いる。
【0054】TFT204は、SiO2を主体とする下
地保護層281を介して基板202の表面に設けられて
いる。このTFT204は、下地保護層281の上層に
形成されたシリコン層241と、シリコン層241を覆
うように下地保護層281の上層に設けられたゲート絶
縁層282と、ゲート絶縁層282の上面のうちシリコ
ン層241に対向する部分に設けられたゲート電極24
2と、ゲート電極242を覆うようにゲート絶縁層28
2の上層に設けられた第1層間絶縁層283と、ゲート
絶縁層282及び第1層間絶縁層283にわたって開孔
するコンタクトホールを介してシリコン層241と接続
するソース電極243と、ゲート電極242を挟んでソ
ース電極243と対向する位置に設けられ、ゲート絶縁
層282及び第1層間絶縁層283にわたって開孔する
コンタクトホールを介してシリコン層241と接続する
ドレイン電極244と、ソース電極243及びドレイン
電極244を覆うように第1層間絶縁層283の上層に
設けられた第2層間絶縁層284とを備えている。
【0055】そして、第2層間絶縁層284の上面に画
素電極223が配置され、画素電極223とドレイン電
極244とは、第2層間絶縁層284に設けられたコン
タクトホール223aを介して接続されている。また、
第2層間絶縁層284の表面のうち発光素子(有機EL
素子)が設けられている以外の部分と対向電極222と
の間には、合成樹脂などからなバンク層221が設けら
れている。
【0056】なお、シリコン層241のうち、ゲート絶
縁層282を挟んでゲート電極242と重なる領域がチ
ャネル領域とされている。また、シリコン層241のう
ち、チャネル領域のソース側にはソース領域が設けられ
ている一方、チャネル領域のドレイン側にはドレイン領
域が設けられている。このうち、ソース領域が、ゲート
絶縁層282と第1層間絶縁層283とにわたって開孔
するコンタクトホールを介して、ソース電極243に接
続されている。一方、ドレイン領域が、ゲート絶縁層2
82と第1層間絶縁層283とにわたって開孔するコン
タクトホールを介して、ソース電極243と同一層から
なるドレイン電極244に接続されている。画素電極2
3は、ドレイン電極244を介して、シリコン層241
のドレイン領域に接続されている。
【0057】本例では、TFT204が設けられている
基板202側から発光光を取り出す構成であるため、基
板202は透明であるものが好ましく、この場合の基板
材料としてはガラスや石英、樹脂等の透明度の高い(透
過率が高い)ないし半透明なものが用いられる。また、
基板に色フィルター膜や発光性物質を含む色変換膜、あ
るいは誘電体反射膜を配置して、発光色を制御するよう
にしてもよい。
【0058】一方、発光層からの発光光をTFTが設け
られている基板とは反対側から取り出す構成とすること
も可能である。発光光を基板とは反対側から取り出す構
成とする場合、基板202は不透明であってもよく、そ
の場合、アルミナ等のセラミック、ステンレス等の金属
シートに表面酸化などの絶縁処理を施したもの、熱硬化
性樹脂、熱可塑性樹脂などを用いることができる。
【0059】次に、図8及び図9をを参照しながら図7
に示した有機EL装置Eの製造工程について説明する。
はじめに、基板202上にシリコン層241が形成され
る。シリコン層241を形成する際には、まず、図8
(a)に示すように、基板202の表面にTEOS(テ
トラエトキシシラン)や酸素ガスなどを原料としてプラ
ズマCVD法により厚さ約200〜500nmのシリコ
ン酸化膜からなる下地保護層281を形成する。
【0060】次に、図8(b)に示すように、基板20
2の温度を約350℃に設定して、下地保護膜281の
表面にプラズマCVD法あるいはICVD法により厚さ
約30〜70nmのアモルファスシリコン膜からなる半
導体層241Aが形成される。次いで、この半導体層2
41Aに対してレーザアニール法、急速加熱法、または
固相成長法などによって結晶化工程を行い、半導体層2
41Aをポリシリコン層に結晶化する。レーザアニール
法では、例えばエキシマレーザでビームの長寸が400
mmのラインビームを用い、その出力強度は例えば20
0mJ/cm2とする。ラインビームについては、その
短寸方向におけるレーザ強度のピーク値の90%に相当
する部分が各領域毎に重なるようにラインビームを走査
する。
【0061】次いで、図8(c)に示すように、半導体
層(ポリシリコン層)241Aをパターニングして島状
のシリコン層241とし、その表面に対して、TEOS
や酸化ガスなどを原料としてプラズマCVD法により厚
さ約60〜150nmのシリコン酸化膜又は窒化膜から
なるゲート絶縁層282が形成される。
【0062】なお、ゲート絶縁層282の表面に水素
(H2)プラズマ処理をしてもよい。これにより、空隙
の表面のSi−O結合中のダングリングボンドがSi−
H結合に置き換えられ、膜の耐吸湿性が良くなる。そし
て、このプラズマ処理されたゲート絶縁層282の表面
に別のSiO2層を設けてもよい。こうすることによ
り、誘電率な絶縁層が形成できる。
【0063】次いで、図8(d)に示すように、ゲート
絶縁層282上にアルミニウム、タンタル、モリブデ
ン、チタン、タングステンなどの金属を含む導電膜をス
パッタ法により形成した後、これをパターニングするこ
とにより、ゲート電極242が形成される。次いで、こ
の状態で高濃度のリンイオンを打ち込み、シリコン層2
41に、ゲート電極242に対して自己整合的にソース
領域241s及びドレイン領域241dが形成される。
この場合、ゲート電極242はパターニング用マスクと
して用いられる。なお、不純物が導入されなかった部分
がチャネル領域241cとなる。
【0064】次いで、図8(e)に示すように、第1層
間絶縁層283が形成される。第1層間絶縁層283
は、ゲート絶縁層282同様、シリコン酸化膜または窒
化膜、多孔性を有するシリコン酸化膜などによって構成
され、ゲート絶縁層282の形成方法と同様の手順でゲ
ート絶縁層282の上層に形成される。そして、この第
1層間絶縁層283及びゲート絶縁層282にフォトリ
ソグラフィ法を用いてパターニングすることにより、ソ
ース電極及びドレイン電極に対応するコンタクトホール
が形成される。次いで、第1層間絶縁層283を覆うよ
うに、アルミニウムやクロム、タンタル等の金属からな
る導電層を形成した後、この導電層のうち、ソース電極
及びドレイン電極が形成されるべき領域を覆うようにパ
ターニング用マスクを設けるとともに、導電層をパター
ニングすることにより、ソース電極243及びドレイン
電極244が形成される。次に、図示はしないが、第1
層間絶縁層283上に、信号線、共通給電線、走査線を
形成する。このとき、これらに囲まれる箇所は後述する
ように発光層等を形成する画素となることから、例えば
発光光を基板側から取り出す形態とする場合には、TF
T204が前記各配線に囲まれた箇所の直下に位置しな
いよう、各配線を形成する。
【0065】次いで、図9(a)に示すように、第2層
間絶縁層284が、第1層間絶縁層283、各電極24
3、244、前記不図示の各配線を覆うように形成され
る。第2層間絶縁層284は、第1層間絶縁層283同
様、シリコン酸化膜または窒化膜などによって構成さ
れ、第1層間絶縁層283の形成方法と同様の手順で第
1層間絶縁層283の上層に形成される。そして、第2
層間絶縁層284を形成したら、第2層間絶縁層284
のうちドレイン電極244に対応する部分にコンタクト
ホール223aが形成される。そして、このコンタクト
ホール223aを介してドレイン電極244に連続する
ようにITO等の導電性材料をパターニングし、画素電
極223が形成される。
【0066】画素電極223は、ITOやフッ素をドー
プしてなるSnO2、更にZnOやポリアミン等の透明
電極材料からなり、コンタクトホール223aを介して
TFT204のドレイン電極244に接続されている。
画素電極223を形成するには、前記透明電極材料から
なる膜を第2層間絶縁層284上面に形成し、この膜を
パターニングすることにより形成される。
【0067】画素電極23を形成したら、図9(b)に
示すように、第2層間絶縁層284の所定位置及び画素
電極223の一部を覆うように、バンク層221が形成
される。バンク層221はアクリル樹脂、ポリイミド樹
脂などの合成樹脂によって構成されている。具体的なバ
ンク層221の形成方法としては、例えば、アクリル樹
脂、ポリイミド樹脂、あるいはそれらの前駆体などのレ
ジストを溶媒に融かしたものを、スピンコート、ディッ
プコート等により塗布して絶縁層が形成される。なお、
絶縁層の構成材料は、後述するインクの溶媒に溶解せ
ず、しかもエッチング等によってパターニングしやすい
ものであればどのようなものでもよい。更に、絶縁層を
フォトリソグラフィ技術等により同時にエッチングし
て、開口部221aを形成することにより、開口部22
1aを備えたバンク層221が形成される。
【0068】画素電極223及びバンク部221が形成
されたら、本発明の特徴部分であるプラズマ処理工程が
行われる。すなわち、図9(b)に示した状態のものが
試料43となる。プラズマ処理工程は、画素電極223
の表面を活性化すること、更にバンク部221の表面を
表面処理することを目的として行われる。特に活性化工
程は、画素電極223(ITO)上の洗浄、更に仕事関
数の調整を主な目的として行われる。更に、画素電極2
23の表面の親液化処理、バンク部221表面の撥液化
処理が行われる。
【0069】このプラズマ処理工程は、例えば予備加熱
工程、活性化処理工程(親液性にする親液化工程)、撥
液化処理工程、及び冷却工程とに大別される。なお、こ
のような工程に限られるものではなく、必要に応じて工
程を削減、更なる工程追加も行われる。
【0070】図10は、図1〜図6を用いて説明したプ
ラズマ処理装置Sを備えたプラズマ処理システムSYS
を示す図である。図10に示すプラズマ処理システムS
YSは、予備加熱処理室551、第1プラズマ処理室5
52、第2プラズマ処理室553、冷却処理室554、
これらの各処理室551〜554に試料43を搬送する
搬送装置555とから構成されている。各処理室551
〜554は、搬送装置555を中心として放射状に配置
されている。第1プラズマ処理室552及び第2プラズ
マ処理室553には、上述した本発明に係るプラズマ処
理装置Sがそれぞれ配置されている。なお、第1,第2
プラズマ処理室552,553のそれぞれに設置されて
いるプラズマ処理装置Sは同じ構成のものであるが、以
下の説明において、第1,第2プラズマ処理室552,
553のそれぞれに設置されているプラズマ処理装置を
適宜、「第1プラズマ処理装置S1」、「第2プラズマ
処理装置S2」と称する。
【0071】まず、これらの装置を用いた概略の工程を
説明する。予備加熱工程は、図10に示す予備加熱処理
室551において行われる。そしてこの処理室551に
より、バンク部形成工程から搬送された試料43が所定
の温度に加熱される。予備加熱工程の後、親液化工程及
び撥液化処理工程が行われる。すなわち、試料43は第
1,第2プラズマ処理室552,553に順次搬送さ
れ、それぞれの処理室552,553においてバンク部
221にプラズマ処理が行われ親液化する。この親液化
処理後に撥液化処理が行われる。撥液化処理の後に試料
43は冷却処理室に搬送され、冷却処理室554おいて
試料43は室温まで冷却される。この冷却工程後、搬送
装置555により次の工程である正孔注入/輸送層形成
工程に試料43が搬送される。
【0072】以下に、それぞれの工程について詳細に説
明する。 (予備加熱工程)予備加熱工程は予備加熱処理室551
により行う。この処理室551において、バンク部22
1を含む試料43は所定の温度まで加熱される。試料4
3の加熱方法は、例えば処理室551内にて試料43を
載せるステージにヒータを取り付け、このヒータで当該
ステージごと試料43を加熱する手段がとられている。
なお、これ以外の方法を採用することも可能である。予
備加熱処理室551において、例えば70℃〜80℃の
範囲に試料43が加熱される。この温度は次工程である
プラズマ処理における処理温度であり、次の工程に合わ
せて試料43が事前に加熱され、試料43の温度ばらつ
きが解消されることを目的としている。仮に予備加熱工
程を加えなければ、試料43は室温から上記のような温
度に加熱されることになり、工程開始から工程終了まで
のプラズマ処理工程中において温度が常に変動しながら
処理されることになる。したがって、基板温度が変化し
ながらプラズマ処理を行うことは、特性の不均一につな
がる可能性がある。したがって、処理条件を一定に保
ち、均一な特性を得るために予備加熱が行われる。
【0073】そこで、プラズマ処理工程においては、第
1,第2プラズマ処理室552,553に設置されてい
るプラズマ処理装置Sの試料ステージ12上に試料43
を載置した状態で親液化工程または撥液化工程が行われ
るので、予備加熱温度は、親液化工程または撥液化工程
を連続して行う試料ステージ12の温度にほぼ一致させ
ることが好ましい。そこで、第1,第2プラズマ処理装
置S1,S2の試料ステージが上昇する温度、例えば7
0〜80℃まで予め試料43を予備加熱することによ
り、多数の試料43にプラズマ処理を連続的に行った場
合でも、処理開始直後と処理終了直前でのプラズマ処理
条件をほぼ一定にすることができる。これにより、試料
43間の表面処理条件を同一にし、バンク部221の組
成物に対する濡れ性を均一化することができ、一定の品
質を有する表示装置を製造することができる。また、試
料43を予め予備加熱しておくことにより、後のプラズ
マ処理における処理時間を短縮することができる。
【0074】(活性化処理)次に、第1プラズマ処理室
552では、活性化処理が行われる。活性化処理には、
画素電極223における仕事関数の調整、制御、画素電
極表面の洗浄、画素電極223表面の親液化処理が含ま
れる。親液化処理として、大気雰囲気中で酸素を処理ガ
スとするプラズマ処理(O2プラズマ処理)が第1プラ
ズマ処理装置S1によって行われる。O2プラズマ処理
の条件は、例えば、プラズマパワー100〜800W、
酸素ガス流量50〜100ml/min、基板搬送速度
0.5〜20mm/sec、基板温度70〜90℃の条
件で行われる。なお、試料ステージ12による加熱は、
主として予備加熱された試料43の保温のために行われ
る。
【0075】このO2プラズマ処理により、画素電極2
23の電極面、バンク層221の上面及び開口部221
a壁面が親液処理される。この親液処理により、これら
の各面に水酸基が導入されて親液性が付与される。そし
て、このO2プラズマ処理は、親液性を付与することの
ほかに、上述の通り画素電極223であるITO上の洗
浄,及び仕事関数の調整も兼ねている。
【0076】(撥液処理)次に、第2プラズマ処理室5
53では、撥液化工程として、大気雰囲気中でテトラフ
ルオロメタンを処理ガスとするプラズマ処理(CF4
ラズマ処理)が第2プラズマ処理装置S2によって行わ
れる。即ち、試料43は、試料ステージ12によって加
熱されつつ、試料ステージ12ごと所定の搬送速度で搬
送され、その間に試料43に対してプラズマ状態のテト
ラフルオロメタン(四フッ化炭素)が照射される。CF
4プラズマ処理の条件は、例えば、プラズマパワー10
0〜800W、4フッ化メタンガス流量50〜100m
l/min、基板搬送速度0.5〜20mm/sec、
基板温度70〜90℃の条件で行われる。なお、加熱ス
テージによる加熱は、第1プラズマ処理室552の場合
と同様に、主として予備加熱された試料43の保温のた
めに行われる。なお、処理ガスは、テトラフルオロメタ
ン(四フッ化炭素)に限らず、他のフルオロカーボン系
のガスを用いることができる。また、それらと他のガ
ス、O2等を混合してもよい。
【0077】CF4プラズマ処理により、バンク層22
1の上面及び開口部221a壁面が撥液処理される。こ
の撥液処理により、これらの各面にフッ素基が導入され
て撥液性が付与される。バンク層221を構成するアク
リル樹脂、ポリイミド樹脂等の有機物はプラズマ状態の
フルオロカーボンが照射することで容易に撥液化させる
ことができる。また、O2プラズマにより前処理した方
がフッ素化されやすい、という特徴を有しており、本実
施形態には特に有効である。なお、画素電極223の電
極面もこのCF4プラズマ処理の影響を多少受けるが、
濡れ性に影響を与える事は少ない。
【0078】(冷却工程)次に冷却工程として、冷却処
理室554を用い、プラズマ処理のために加熱された試
料43を管理温度まで冷却する。これは、この以降の工
程であるインクジェット工程(液滴吐出工程)の管理温
度まで冷却するために行う工程である。この冷却処理室
554は、試料43を配置するためのプレートを有し、
そのプレートは試料43を冷却するように水冷装置が内
蔵された構造となっている。また、プラズマ処理後の試
料43を室温、または所定の温度(例えばインクジェッ
ト工程を行う管理温度)まで冷却することにより、次の
正孔注入/輸送層形成工程において、試料43の温度が
一定となり、試料43の温度変化が無い均一な温度で次
工程を行うことができる。したがって、このような冷却
工程を加えることにより、インクジェット法等の吐出手
段により吐出された材料を均一に形成できる。例えば、
正孔注入/輸送層を形成するための材料を含む第1組成
物を吐出させる際に、第1組成物を一定の容積、速度で
連続して吐出させることができ、正孔注入/輸送層を均
一に形成することができる。
【0079】次いで、図9(c)に示すように、画素電
極223の上面に正孔輸送層270が形成される。ここ
で、正孔輸送層270の形成材料としては、特に限定さ
れることなく公知のものが使用可能であり、例えばピラ
ゾリン誘導体、アリールアミン誘導体、スチルベン誘導
体、トリフェニルジアミン誘導体等が挙げられる。具体
的には、特開昭63−70257号、同63−1758
60号公報、特開平2−135359号、同2−135
361号、同2−209988号、同3−37992
号、同3−152184号公報に記載されているもの等
が例示されるが、トリフェニルジアミン誘導体が好まし
く、中でも4,4’−ビス(N(3−メチルフェニル)
−N−フェニルアミノ)ビフェニルが好適とされる。
【0080】なお、正孔輸送層に代えて正孔注入層を形
成するようにしてもよく、さらに正孔注入層と正孔輸送
層を両方形成するようにしてもよい。その場合、正孔注
入層の形成材料としては、ポリチオフェン誘導体、例え
ば銅フタロシアニン(CuPc)や、ポリテトラヒドロ
チオフェニルフェニレンであるポリフェニレンビニレ
ン、1,1−ビス−(4−N,N−ジトリルアミノフェ
ニル)シクロヘキサン、トリス(8−ヒドロキシキノリ
ノール)アルミニウム等が挙げられるが、特に銅フタロ
シアニン(CuPc)を用いるのが好ましい。
【0081】正孔注入/輸送層270を形成する際に
は、インクジェット法(液滴吐出法)が用いられる。す
なわち、上述した正孔注入/輸送層材料を含む組成物滴
(組成物インク)を画素電極223の電極面上に吐出し
た後に、乾燥処理及び熱処理を行うことにより、画素電
極223上に正孔注入/輸送層270が形成される。な
お、この正孔注入/輸送層形成工程以降は、正孔注入/
輸送層270及び発光層260の酸化を防止すべく、窒
素雰囲気、アルゴン雰囲気等の不活性ガス雰囲気で行う
ことが好ましい。具体的には、例えば、不図示のインク
ジェットヘッド(液滴吐出ヘッド)に正孔注入/輸送層
材料を含む組成物インクを充填し、インクジェットヘッ
ドの吐出ノズルを画素電極223の電極面に対向させ、
インクジェットヘッドと試料(基板202)とを相対移
動させながら、吐出ノズルから1滴当たりの液量が制御
されたインキ滴を電極面に吐出する。次に、吐出後のイ
ンク滴を乾燥処理して組成物インクに含まれる極性溶媒
を蒸発させることにより、正孔注入/輸送層270が形
成される。
【0082】なお、組成物インクとしては、例えば、ポ
リエチレンジオキシチオフェン等のポリチオフェン誘導
体と、ポリスチレンスルホン酸等との混合物を、N−メ
チルピロリドン、イソプロピルアルコール等の極性溶媒
に分散させたものを用いることができる。ここで、吐出
されたインク滴は、親インク処理された画素電極223
の電極面上に広がり、開口部221aの底部近傍に満た
される。その一方で、撥インク処理されたバンク層22
1の上面にはインク滴がはじかれて付着しない。したが
って、インク滴が所定の吐出位置からはずれてバンク層
221の上面に吐出されたとしても、該上面がインク滴
で濡れることがなく、はじかれたインク滴がバンク層2
21の開口部221a内に転がり込むものとされてい
る。
【0083】次に、乾燥工程が行われる。乾燥工程を行
うことにより、吐出後の組成物インクが乾燥処理され、
組成物インクに含まれる極性溶媒が蒸発されることによ
り、正孔注入/輸送層270が形成される。
【0084】上記の乾燥処理は、例えば窒素雰囲気中、
室温〜約50℃で圧力を例えば13.3Pa(0.1T
orr)程度にして行う。圧力があまりに低すぎると組
成物インクが突沸してしまうので好ましくない。また、
温度を室温以上例えば80℃以上の高温にすると、極性
溶媒の蒸発速度が高まり、平坦な膜を形成する事ができ
ない。乾燥処理後は、窒素中、好ましくは真空中で20
0℃で10分程度加熱する熱処理を行うことで、正孔注
入/輸送層270内に残存する極性溶媒や水を除去する
ことが好ましい。
【0085】次いで、図9(d)に示すように、正孔注
入/輸送層270上面に発光層260が形成される。発
光層260の形成材料としては、特に限定されることな
く、例えば、[化1]〜[化5]に示すポリフルオレン
系誘導体、ポリフェニレン誘導体、ポリビニルカルバゾ
ール、ポリチオフェン誘導体、またはこれらの高分子材
料にペリレン係色素、クマリン系色素、ローダミン系色
素、例えばルブレン、ペリレン、9,10-ジフェニル
アントラセン、テトラフェニルブタジエン、ナイルレッ
ド、クマリン6、キナクリドン等をドープして用いるこ
とができる。
【0086】
【化1】
【0087】
【化2】
【0088】
【化3】
【0089】
【化4】
【0090】
【化5】
【0091】発光層260は、正孔注入/輸送層270
の形成方法と同様の手順で形成される。すなわち、イン
クジェット法によって発光層材料を含む組成物インクを
正孔注入/輸送層270の上面に吐出した後に、乾燥処
理及び熱処理を行うことにより、バンク層221に形成
された開口部221a内部の正孔注入/輸送層270上
に発光層260が形成される。この発光層形成工程も上
述したように不活性ガス雰囲気化で行われる。吐出され
た組成物滴(組成物インク、液体材料)は撥液処理され
た領域ではじかれるので、液滴滴が所定の吐出位置から
はずれたとしても、はじかれた液滴滴がバンク層221
の開口部221a内に転がり込む。発光層260の形成
材料を含む組成物インクを設けたら、所定の条件で乾燥
処理が行われる。
【0092】なお、発光層260の上面に電子輸送層2
50を形成してもよい。電子輸送層250の形成材料と
しては、特に限定されることなく、オキサジアゾール誘
導体、アントラキノジメタンおよびその誘導体、ベンゾ
キノンおよびその誘導体、ナフトキノンおよびその誘導
体、アントラキノンおよびその誘導体、テトラシアノア
ンスラキノジメタンおよびその誘導体、フルオレノン誘
導体、ジフェニルジシアノエチレンおよびその誘導体、
ジフェノキノン誘導体、8−ヒドロキシキノリンおよび
その誘導体の金属錯体等が例示される。具体的には、先
の正孔輸送層の形成材料と同様に、特開昭63−702
57号、同63−175860号公報、特開平2−13
5359号、同2−135361号、同2−20998
8号、同3−37992号、同3−152184号公報
に記載されているもの等が例示され、特に2−(4−ビ
フェニリル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−1,
3,4−オキサジアゾール、ベンゾキノン、アントラキ
ノン、トリス(8−キノリノール)アルミニウムが好適
とされる。
【0093】なお、前述した正孔注入/輸送層270の
形成材料や電子輸送層250の形成材料を発光層260
の形成材料に混合し、発光層形成材料として使用しても
よく、その場合に、正孔注入/輸送層形成材料や電子輸
送層形成材料の使用量については、使用する化合物の種
類等によっても異なるものの、十分な成膜性と発光特性
を阻害しない量範囲でそれらを考慮して適宜決定され
る。通常は、発光層形成材料に対して1〜40重量%と
され、さらに好ましくは2〜30重量%とされる。
【0094】次いで、図9(e)に示すように、電子輸
送層250及びバンク層221の上面に対向電極222
が形成される。対向電極222は、電子輸送層250及
びバンク層221の表面全体、あるいはストライプ状に
形成されている。対向電極222については、もちろん
Al、Mg、Li、Caなどの単体材料やMg:Ag
(10:1合金)の合金材料からなる1層で形成しても
よいが、2層あるいは3層からなる金属(合金を含
む。)層として形成してもよい。具体的には、Li2
(0.5nm程度)/AlやLiF(0.1〜2nm程
度)/Al、MgF2/Alといった積層構造のものも
使用可能である。対向電極222は上述した金属からな
る薄膜であり、光を透過可能な材料、構造であってもよ
い。
【0095】<電子機器>上記実施の形態の有機EL装
置を備えた電子機器の例について説明する。図11は、
携帯電話の一例を示した斜視図である。図11におい
て、符号1000は携帯電話本体を示し、符号1001
は上記の有機EL表示装置を用いた表示部を示してい
る。
【0096】図12は、腕時計型電子機器の一例を示し
た斜視図である。図12において、符号1100は時計
本体を示し、符号1101は上記の有機EL表示装置を
用いた表示部を示している。
【0097】図13は、ワープロ、パソコンなどの携帯
型情報処理装置の一例を示した斜視図である。図13に
おいて、符号1200は情報処理装置、符号1202は
キーボードなどの入力部、符号1204は情報処理装置
本体、符号1206は上記の有機EL表示装置を用いた
表示部を示している。
【0098】図11〜図13に示す電子機器は、上記実
施の形態の有機EL表示装置を備えているので、表示品
位に優れ、明るい画面の有機EL表示部を備えた電子機
器を実現することができる。
【0099】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の有機EL
装置の製造装置によれば、ガス供給部からの所定のガス
を一方向に流すようにしたので、1つのプラズマ放電電
極によって所定のガスを有効利用しつつプラズマ処理を
連続的に行うことができる。そして、1つのプラズマ放
電電極でプラズマ処理が行われるので、反応の立ち上が
り時間を低減することができ、処理効率を向上できる。
【0100】本発明の有機EL装置によれば、本発明の
有機EL装置の製造装置によって製造されたので、仕事
関数が均一に調整された電極を有しており、良好な発光
性能が得られる。
【0101】本発明の電子機器によれば、本発明の有機
EL装置を有しているので、信頼性の高い動作が実現さ
れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の有機EL装置の製造装置であるプラズ
マ処理装置の一実施形態を示す−Y方向側から見た図で
ある。
【図2】図1を+Y方向側から見た図である。
【図3】図1のA−A矢視断面図である。
【図4】基板ステージを示す外観斜視図である。
【図5】図3の要部拡大図である。
【図6】図5のB−B矢視断面図である。
【図7】有機EL装置の部分断面図である。
【図8】有機EL装置の製造工程を説明するための図で
ある。
【図9】有機EL装置の製造工程を説明するための図で
ある。
【図10】プラズマ処理システムの概略構成図である。
【図11】本発明の有機EL装置が搭載された電子機器
を示す図である。
【図12】本発明の有機EL装置が搭載された電子機器
を示す図である。
【図13】本発明の有機EL装置が搭載された電子機器
を示す図である。
【図14】従来の有機EL装置の製造装置であるプラズ
マ処理装置を示す図である。
【図15】従来のプラズマ処理装置と本発明のプラズマ
処理装置とのプラズマ反応時間の違いを説明するための
図である。
【符号の説明】
11 電極部 12 試料ステージ(基板ステージ) 12A 移動装置 15 主ガス流路(ガス供給部) 20 プラズマ放電電極 21 放電発生部(プラズマ放電電極) 25 ガス流制御板(ガス流路) 29 ガス噴出口(ガス供給部) 39 段差(壁部、ガス流路) 43 試料(基板) 47 放電ギャップ(空間、ガス流路) 202 基板 203 発光素子 222 電極(陰極、対向電極) 223 電極(陽極、画素電極) 260 発光層 E 有機EL装置 S プラズマ処理装置(有機EL装置の製造装置) SYS プラズマ処理システム(有機EL装置の製造
装置)

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板上に設けられた電極と、前記電極に
    隣接して設けられた有機発光層とを有する有機EL装置
    の製造装置において、 前記電極の表面改質を行うプラズマ処理装置を備え、 前記プラズマ処理装置は、前記基板を支持するステージ
    と、 前記ステージに支持されている前記基板に対向する位置
    に設けられたプラズマ放電電極と、 前記プラスマ放電電極と前記ステージに支持されている
    前記基板との間に所定のガスを供給するガス供給部と、 前記プラズマ放電電極に対して前記ステージを相対的に
    移動する移動装置と、 前記ガス供給部からの前記所定のガスの流れを規制する
    ガス流路とを備えることを特徴とする有機EL装置の製
    造装置。
  2. 【請求項2】 前記表面改質により仕事関数の調整を行
    うことを特徴とする請求項1記載の有機EL装置の製造
    装置。
  3. 【請求項3】 前記表面改質により親液化処理を行うこ
    とを特徴とする請求項1記載の有機EL装置の製造装
    置。
  4. 【請求項4】 前記表面改質により撥液化処理を行うこ
    とを特徴とする請求項1記載の有機EL装置の製造装
    置。
  5. 【請求項5】 前記表面改質により洗浄処理を行うこと
    を特徴とする請求項1記載の有機EL装置の製造装置。
  6. 【請求項6】 前記ガス供給部からの前記所定のガスは
    前記移動方向後方側に流れるように前記ガス流路が設定
    されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一
    項記載の有機EL装置の製造装置。
  7. 【請求項7】 前記ガス流路は、前記移動方向前方側に
    設けられ、前記プラズマ放電電極と前記ステージとの間
    に形成される空間を閉塞する壁部を含むことを特徴とす
    る請求項1〜6のいずれか一項記載の有機EL装置の製
    造装置。
  8. 【請求項8】 前記所定のガスは、フッ素を含む化合物
    を含むことを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項記
    載の有機EL装置の製造装置。
  9. 【請求項9】 前記所定のガスは、酸素を含むことを特
    徴とする請求項1〜8のいずれか一項記載の有機EL装
    置の製造装置。
  10. 【請求項10】 請求項1〜請求項9のいずれか一項記
    載の有機EL装置の製造装置によって製造されたことを
    特徴とする有機EL装置。
  11. 【請求項11】 請求項10記載の有機EL装置を有す
    ることを特徴とする電子機器。
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