JP2003257439A - 電極製造材料およびその電極製造材料の製造方法並びにその電極製造材料を用いた燃料電池用電極の製造方法。 - Google Patents

電極製造材料およびその電極製造材料の製造方法並びにその電極製造材料を用いた燃料電池用電極の製造方法。

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JP2003257439A JP2002379280A JP2002379280A JP2003257439A JP 2003257439 A JP2003257439 A JP 2003257439A JP 2002379280 A JP2002379280 A JP 2002379280A JP 2002379280 A JP2002379280 A JP 2002379280A JP 2003257439 A JP2003257439 A JP 2003257439A
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】高電流密度領域や長期間発電した時の電圧低下
のない固体高分子型燃料電池用電極製造材料とその簡便
な製造方法を提供する。 【解決手段】炭素質材料と陽イオン交換樹脂と触媒金属
とを含む電極製造材料において、平均粒度が0.1μm
以上200μm以下である電極製造材料。及び、炭素質
材料と陽イオン交換樹脂とを含む混合物Aを製造する工
程、更にAに触媒金属元素の陽イオンを含む混合物Bを
製造する工程、前記混合物Bを還元する事による混合物
Cを製造する工程と、混合物A、B、Cのうち少なくと
も一つを、平均粒度が0.1μm以下200μm以下の
粒子に成形する工程を含む電極製造材料の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電極製造材料およ
びその電極製造材料の製造方法並びにその電極製造材料
を用いた燃料電池用電極の製造方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】固体高分子形燃料電池(以下、燃料電
池)には、炭素質材料、陽イオン交換樹脂および触媒金
属を含む触媒層を備えた電極が使用される。その触媒層
の製造方法として、炭素質材料と陽イオン交換樹脂と触
媒金属とを含む電極製造材料を用いる方法がある(特開
2001−319661)。
【0003】その具体的な方法は、つぎの通りである。
まず、炭素質材料と陽イオン交換樹脂と触媒金属とを含
む電極製造材料と、PTFE粒子分散溶液とを混合して
ペーストを製造する。つぎに、このペーストを、カーボ
ンペーパー上に塗布したのちに、120℃の窒素雰囲気
中で乾燥することによって、触媒層をカーボンペーパー
上に製造する。
【0004】さらにこの特許で開示されている炭素質材
料と陽イオン交換樹脂と触媒金属とを含む電極製造材料
の製造方法は、つぎの通りである。まず、炭素質材料に
陽イオン交換樹脂の溶液を付着させたのちにその溶液を
乾燥することによって、炭素質材料の表面に陽イオン交
換樹脂を付着させる。
【0005】つぎに、その電極製造材料の陽イオン交換
樹脂のイオンクラスターに触媒金属の元素を含む陽イオ
ンを吸着させる。さらに、触媒金属の元素を含む陽イオ
ンを還元することによって、炭素質材料と陽イオン交換
樹脂と触媒金属とを含む電極製造材料が得られる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記の方法で
製造された触媒層を含む電極を備えた燃料電池では、高
電流密度での電圧が低いことや長期間発電した場合に電
圧が著しく低下することなどの問題があった。その原因
は、炭素質材料と陽イオン交換樹脂と触媒金属とを含む
電極製造材料の平均粒度が大きいことに起因する。
【0007】この電極製造材料は、上述したように、炭
素質材料に陽イオン交換樹脂の溶液を付着させたのちに
その溶液を乾燥する工程を経る。この工程では、陽イオ
ン交換樹脂が炭素質材料同士を互いに結着させる。その
ために、この方法で得られた電極製造材料の平均粒度
は、1000μmよりも大きい。したがって、その電極
製造材料を用いて製造した電極の内部では、電流分布が
不均一となる。すなわち、炭素質材料と陽イオン交換樹
脂と触媒金属とを含む電極製造材料の平均粒度が燃料電
池の出力性能に大きく影響するのである。
【0008】発明者は、炭素質材料と陽イオン交換樹脂
と触媒金属とを含む電極製造材料の平均粒度が触媒層表
面のラフネスなどに大きく影響することに着目し、そし
て、その平均粒度と燃料電池の性能との関係を調査し
た。その結果、電極製造材料の平均粒度を小さくするこ
とによって、燃料電池の性能が向上すること明らかにす
るとともに、とくに、その平均粒度が0.1μm以上2
00μm以下の範囲の場合、著しく高い性能の燃料電池
が得られることを見いだした。
【0009】そこで、本発明の目的は、0.1μm以上
200μm以下の範囲の平均粒度の電極製造材料と、こ
の電極製造材料を簡便に製造するための方法と、その電
極製造材料を用いて燃料電池用電極を製造するための優
れた方法とを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明の一つは、炭素質
材料と陽イオン交換樹脂と触媒金属とを含むことと、平
均粒度が0.1μm以上200μm以下であることとを
特徴とする電極製造材料である。そして、前記触媒金属
の50重量部以上が、前記炭素質材料と前記陽イオン交
換樹脂のイオンクラスターとの接面に担持されているこ
とが好ましい。
【0011】本発明の一つは、炭素質材料と陽イオン交
換樹脂とを含む混合物Aを製造する工程と、混合物Aに
触媒金属元素の陽イオンを含ませることにより混合物B
を製造する工程と、混合物Bの陽イオンを還元すること
により混合物Cを製造する工程と、混合物A、混合物B
および混合物Cのうち少なくとも一つを、平均粒度が
0.1μm以上200μm以下の粒子に成形する工程と
を含むことを特徴とする本発明の粒子の製造方法であ
る。
【0012】本発明の一つは、溶媒と本発明の電極製造
材料または本発明の製造方法で製造された電極製造材料
とのペーストを製造する工程と、そのペーストを用いて
触媒層を成形する工程と、その触媒層を加圧する工程と
を含むことを特徴とする燃料電池用電極の製造方法であ
る。
【0013】
【発明実施の形態】本発明の一つは、炭素質材料と陽イ
オン交換樹脂と触媒金属とを含むことと、平均粒度が
0.1μm以上200μm以下であることとを特徴とす
る電極製造材料である。
【0014】平均粒度が200μm以下の電極製造材料
を用いて製造した触媒層の表面は、200μmよりも大
きいものを用いた場合よりも著しく平坦となる。その表
面が平坦なほど電極面内の電流分布が均一になるので、
平均粒度が200μm以下の電極製造材料を用いて製造
した触媒層を備えた燃料電池の出力性能は、200μm
よりも大きいものを用いた場合よりも著しく高い。
【0015】一方で、平均粒度が0.1μm以上の電極
製造材料は、0.1μmよりも小さい平均粒度のものに
比べて飛散性が低いなどの特長がある。したがって、平
均粒度が0.1μm以上の電極製造材料は、0.1μm
よりも小さい平均粒度のものに比べて取り扱いの点で優
れている。
【0016】さらに、原因は明らかではないが、平均粒
度が0.1μm以上の電極製造材料を用いて製造した触
媒層を備えた燃料電池の出力性能は、0.1μmよりも
小さい平均粒度のものを用いた場合よりも著しく高い。
【0017】また、触媒層内部の高いガス拡散性および
高い電子伝導性を得るためには、触媒層の厚さは3μm
以上30μm以下であることが好ましいことがわかって
いる。この厚さの触媒層を容易に製造できることから、
本発明の電極製造材料の平均粒度は、0.1μm以上1
0μm以下であることが好ましい。
【0018】また、1.0μm以下の平均粒度の電極製
造材料は、溶媒への分散性が良好であるので、触媒層へ
の成形性がとくに高い。したがって、その大きさの電極
製造材料を用いることによって、平坦な表面の触媒層が
容易に得られる。
【0019】これらのことから、本発明の電極製造材料
の平均粒度は0.1μm以上10μm以下、さらには
0.1μm以上1.0μm以下であることが好ましい。
【0020】本発明の電極製造材料の構造の模式図を図
1および図2に示す。図1および図2において、11と
21とは炭素質材料、12と22とは陽イオン交換樹脂
を示す。本発明の電極製造材料に含まれる炭素質材料
は、図1に示されるように一次粒子であってもよく、図
2に示されるように二次粒子またはそれ以上の凝集体で
あってもよい。
【0021】さらに、本発明の電極製造材料に含まれる
陽イオン交換樹脂の量は、炭素質材料100重量部に対
して5重量部以上150重量部以下であることが好まし
く、さらに25重量部以上55重量部以下であることが
好ましい。この理由はつぎの通りである。
【0022】炭素質材料100重量部に対して150重
量部よりも多くの陽イオン交換樹脂を含む電極製造材料
を用いて製造した触媒層では、炭素質材料と炭素質材料
との間に形成された陽イオン交換樹脂の層が電子伝導経
路の一部を遮断するので、触媒金属の利用率が極端に低
い。一方で、陽イオン交換樹脂の割合が5重量部よりも
少ない電極製造材料を用いた触媒層では、陽イオン交換
樹脂が充分に連続しないので、プロトン移動に起因する
内部抵抗が高い。
【0023】したがって、炭素質材料に対する陽イオン
交換樹脂子の割合は、5重量部以上150重量部以下で
あることが好ましい。とくに、触媒層内の電子伝導性と
プロトン伝導性との両方を高いレベルのものにできるこ
とから、25重量部以上55重量部以下であることが好
ましい。
【0024】また、本発明の電極製造材料に含まれる陽
イオン交換樹脂は、図1に示されるように、炭素質材料
表面の少なくとも一部を被覆していることが好ましい。
この炭素質材料を被覆している陽イオン交換樹脂の厚さ
は、4nm以上300nm以下であることが好ましい。
【0025】その厚みが300nmよりも大きい場合、
触媒層内の電子伝導経路の一部が陽イオン交換樹脂によ
って遮断される。この遮断された電子伝導経路の周辺の
触媒金属は電子を授受できないので、この場合の触媒層
の触媒金属の利用率は極端に低い。
【0026】一方で、その厚みが4nmよりも小さい場
合、プロトンの移動抵抗が極端に高いので、この場合の
触媒層の内部抵抗はとくに高い。すなわち、陽イオン交
換樹脂の厚さが4nm以上300nm以下の電極製造材
料を用いて製造した触媒層は、その範囲以外の場合より
も、電子伝導性とプロトン伝導性とに優れたものであ
る。
【0027】また、本発明の電極製造材料に含まれる触
媒金属は、炭素質材料の表面に担持されていることが好
ましい。とくに、炭素質材料と陽イオン交換樹脂のイオ
ンクラスターとの接面に担持されていることが好まし
い。このイオンクラスターは陽イオン交換樹脂の一部で
あってプロトン伝導性を示す部分である。
【0028】炭素質材料と陽イオン交換樹脂のイオンク
ラスターとの接面は、電子とプロトンとの授受を同時に
おこなうことのできる場所であるので、この接面に担持
された触媒金属は、電極反応に効率的に関与する。した
がって、その接面に担持された触媒金属の割合を高める
ことによって、触媒金属の使用量を低減できる。
【0029】本発明の電極製造材料では、触媒金属の使
用量削減によるコスト低減の効果があることから、炭素
質材料と陽イオン交換樹脂のイオンクラスターとの接面
に担持されている触媒金属は全触媒金属100重量部に
対して50重量部以上であることが好ましく、その効果
がとくに高いことから、80重量部以上であることがと
くに好ましい。
【0030】なお、炭素質材料表面と陽イオン交換樹脂
のイオンクラスターとの接面に担持された触媒金属の全
触媒金属量の割合は、たとえば、つぎの手順で計算する
ことができる。まず、本発明の電極製造材料おける水素
の吸脱着反応の電荷量をサイクリックボルタメトリーに
よって測定する。つぎに、この電荷量から、この反応に
関与した表面積を計算する。この表面積は、電気化学的
に活性な表面積であるので、炭素質材料の表面と陽イオ
ン交換樹脂のイオンクラスターとの接面に担持された触
媒金属の表面積を意味するものである。
【0031】これとは別に、触媒金属の平均粒度を電子
顕微鏡を用いて見積もり、その値を用いて、1粒子当た
りの表面積を計算する。この表面積と触媒金属の比重と
から、触媒金属1粒子当たりの重量を求めることができ
る。そして、前述の電気化学的に活性な表面積を1粒子
当たりの表面積で割ることにより、電気化学的に活性な
粒子数を求めることができる。さらに、この粒子数に触
媒金属1粒子当たりの重量をかけた値が、電気化学的に
活性な触媒金属量である。この触媒金属量が炭素質材料
表面と陽イオン交換樹脂のイオンクラスターとの接面に
担持されている触媒金属量である。
【0032】そして、この触媒金属量を、電極に担持さ
れている全触媒金属量でわることによって、陽イオン交
換樹脂のイオンクラスターと炭素質材料表面との接面に
担持された触媒金属量の全触媒金属担持量に対する割合
が得られる。
【0033】全触媒金属量を得るための方法として、た
とえば、電極中の触媒金属を王水で抽出したのちに、そ
の王水中の触媒金属を含むイオンをICP発光分析など
により定量する方法がある。
【0034】本発明の電極製造材料に使用できる触媒金
属は、酸素の還元反応または水素の酸化反応に対する触
媒活性が高いことから、白金、ロジウム、ルテニウム、
イリジウム、パラジウム、オスニウムなどの白金族金属
およびその合金などが好ましい。とくに、微量の一酸化
炭素を含む水素ガスを燃料ガスとする場合、触媒金属
は、白金とルテニウムとの合金であることが好ましい。
【0035】この他に、白金族金属使用量を低減できる
ことと、耐CO被毒性や酸素の還元反応に対して高い活
性が得られることとから、マグネシウム、アルミニウ
ム、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、ニ
ッケル、銅、亜鉛、銀またはタングステンとからなる群
より選ばれた少なくとも一つの元素と白金族金属とを含
む合金も使用可能である。
【0036】また、炭素質材料は電子伝導性の高いもの
が好ましく、たとえば、アセチレンブラックやファーネ
スブラックなどのカーボンブラックおよび活性炭などが
使用できる。とくにカーボンブラックは、担持された触
媒金属が高分散となることから好ましい。
【0037】また、陽イオン交換樹脂として、たとえ
ば、パーフルオロカーボンスルフォン酸形、スチレン−
ジビニルベンゼン系のスルフォン酸形陽イオン交換樹脂
またはイオン交換基としてカルボキシル基を備えた陽イ
オン交換樹脂などが使用できる。
【0038】本発明の電極製造材料は、本発明の製造方
法によって製造することができる。その製造方法は、炭
素質材料と陽イオン交換樹脂とを含む混合物Aを製造す
る工程(混合物Aの製造工程)と、混合物Aに触媒金属
元素の陽イオンを含ませることにより混合物Bを製造す
る工程(混合物Bの製造工程)と、混合物Bの陽イオン
を化学的に還元することにより混合物Cを製造する工程
(混合物Cの製造工程)と、混合物A、混合物Bおよび
混合物Cのうち少なくとも一つを、平均粒度が0.1μ
m以上200μm以下の粒子にする工程(粒子製造工
程)とを含むことを特徴とする。
【0039】本発明の電極製造材料の製造方法におい
て、混合物Aの製造工程は、炭素質材料と陽イオン交換
樹脂とを含む混合物を製造する工程である。この工程で
は、炭素質材料と陽イオン交換樹脂との混合を均一にお
こなうために、陽イオン交換樹脂は、粉末状または溶媒
に分散あるいは溶解された状態のものであることが好ま
しい。溶媒に分散あるいは溶解された状態の陽イオン交
換樹脂を使用する場合、この工程は、炭素質材料と陽イ
オン交換樹脂の溶液とを混合したのちに乾燥することに
よって実施されることが好ましい。
【0040】この混合と乾燥とをおこなうための方法と
して、炭素質材料と陽イオン交換樹脂の溶液との混合物
を加熱しながら撹拌する方法、炭素質材料と陽イオン交
換樹脂の溶液との混合物を吸引濾過したのちに乾燥する
方法、または、炭素質材料と陽イオン交換樹脂の溶液と
の混合物を噴霧乾燥する方法などがある。
【0041】本発明の電極製造材料の製造方法で使用で
きる陽イオン交換樹脂として、パーフルオロカーボンス
ルフォン酸形またはスチレン−ジビニルベンゼン系のス
ルフォン酸形の陽イオン交換樹脂や、イオン交換基とし
てカルボキシル基を備えた陽イオン交換樹脂などがあ
る。陽イオン交換樹脂を分散または溶解するための溶媒
は水とアルコールとの混合溶液であることが好ましく、
そのアルコールは炭素数が4以下のものであることが好
ましい。なお、この工程では、炭素質材料と陽イオン交
換樹脂とだけでなく、必要に応じてPTFEなどのバイ
ンダーを混合してもよい。
【0042】また、本発明の電極製造材料の製造方法お
いて、混合物Bの製造工程は、混合物Aに触媒金属元素
の陽イオンを含ませる工程である。この工程は、たとえ
ば、混合物Aを触媒金属元素の陽イオンを含む水溶液に
浸漬することによって実施される。この工程では、触媒
金属元素の陽イオンをそのイオンと陽イオン交換樹脂の
対イオンとのイオン交換反応によりその樹脂に吸着させ
ることが好ましい。
【0043】本発明の電極製造材料の製造方法で使用で
きる触媒金属元素の陽イオンは、その陽イオンが還元さ
れることで触媒金属となることが可能な陽イオンであ
る。そのような陽イオンとして、たとえば、白金、ロジ
ウム、ルテニウム、イリジウム、パラジウム、オスニウ
ム、マグネシウム、アルミニウム、バナジウム、クロ
ム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、
銀、タングステンなど金属元素を含む陽イオンがある。
【0044】とくに、電気化学的な酸素の還元反応また
は水素酸化反応に対して高い触媒活性の触媒金属が得ら
れることから、白金、ロジウム、ルテニウム、イリジウ
ム、パラジウム、オスニウムを含む陽イオンが好まし
い。
【0045】さらに、本発明の製造方法に用いる触媒金
属元素の陽イオンは、陽イオン交換樹脂のイオン交換基
の対イオンとのイオン交換反応によって、混合物Aのイ
オン交換基に優先的に吸着するものであることが好まし
い。そのような吸着特性を持つ白金族金属を含む陽イオ
ンとして、白金族金属の錯イオン、たとえば[Pt(N
2+や[Pt(NH4+とあらわす
ことができる白金のアンミン錯体陽イオン、または[R
u(NH2+や[Ru(NH 3+とあ
らわすことができるルテニウムのアンミン錯体陽イオン
がある。
【0046】また、本発明の電極製造材料の製造方法に
おいて、混合物Cの製造工程は、混合物Bに含まれた触
媒金属元素の陽イオンを還元する工程である。したがっ
て、混合物Cは、少なくとも炭素質材料、陽イオン交換
樹脂および触媒金属を含む混合物である。
【0047】この工程では、触媒金属元素の陽イオンを
還元する方法として、還元剤を用いてその陽イオンを還
元する方法を用いることができる。この方法を用いる場
合、還元剤の種類、還元圧力、還元剤濃度、還元時間、
還元温度を調整することによって、炭素質材料表面の付
近に存在する陽イオンを優先的に還元することが好まし
い。
【0048】たとえば、還元剤として水素を用いた場
合、還元温度を調整することによって、混合物Bに含ま
れる陽イオンのうち炭素質材料表面付近のものを選択的
に還元することができる。この現象は、炭素質材料が触
媒金属元素の陽イオンの還元反応に対する触媒活性を備
えていることを利用したものである。
【0049】混合物Cの製造工程では、混合物Cの炭素
質材料表面と陽イオン交換樹脂のイオンクラスターとの
接面に還元生成させた触媒金属の量を、全触媒金属量1
00重量部に対して50重量部を越えるようにすること
が好ましく、80重量部を越えるようにすることがさら
に好ましい。その接面は電子とプロトンとの授受を同時
におこなうことのできる場所であるので、そこに担持さ
れた触媒金属の量の割合を高めることによって、触媒金
属の使用量削減によるコスト低減をはかることができ
る。
【0050】この工程で使用できる還元剤として、水
素、硫化水素、ヨウ化水素、ヨウ素イオンなどの非金属
のイオン、一酸化炭素や二酸化硫黄などの低級酸化物、
ホスフィン酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、水素化
ホウ素ナトリウムやテトラヒドロアルミン酸リチウムな
どの水素化物、ヒドラジン、ジイミド、ギ酸、アルデヒ
ド、糖類などがある。
【0051】とくに、量産に適していることから、水素
ガスまたはヒドラジンを含むガスが好ましい。この水素
ガスは、窒素、ヘリウムまたはアルゴンなどの不活性ガ
スとの混合ガス(水素混合ガス)として用いられること
が好ましく、そして、この水素混合ガスの水素ガスの含
有量は10vol%以上であることが好ましい。
【0052】さらに、この工程における還元温度は、陽
イオン交換樹脂の劣化を防ぐために、その樹脂の分解温
度よりも低いことが好ましい。たとえば、混合物Bの陽
イオン交換樹脂がパーフルオロカーボンスルフォン酸形
の陽イオン交換樹脂である場合、その樹脂の分解温度2
80℃より低い温度で還元することによって、樹脂の劣
化を押さえることができる。還元剤として水素ガスまた
は水素混合ガスを用いる場合、還元温度条件は100℃
以上200℃以下であることが好ましい。
【0053】その温度条件がこの範囲のとき、全触媒金
属100重量部のうち80重量部以上が炭素質材料表面
と陽イオン交換樹脂のイオンクラスターとの接面に担持
された状態の混合物Cを効率よく製造することができ
る。
【0054】このことは、還元温度条件が100℃以上
のときに炭素質材料が触媒金属元素の陽イオンの還元反
応に対する触媒活性が高くなることと、200℃以下の
ときに陽イオン交換樹脂の劣化が少ないこととによるも
のである。なお、混合物Cを酸性水溶液に浸漬すること
によって、混合物内の未還元の触媒金属元素の陽イオン
を回収できる。
【0055】また、本発明の電極製造材料の製造方法に
おいて、粒子製造工程は、混合物A、混合物Bおよび混
合物Cの少なくとも一つの混合物を、平均粒度が0.1
μm以上200μm以下の粒子に成形する工程である。
これらの混合物をその範囲の平均粒度の粒子にする方法
として、ふるい機や分級機を用いて粒子を分類する方
法、および、粉砕機または造粒機を用いて粒子を粉砕ま
たは造粒する方法がある。
【0056】分級機としては、水力分級機、機械分級
機、液体サイクロンなど湿式分級機あるいは乾式サイク
ロンなどの空気式分級機を用いることができる。粉砕機
としては、高速回転衝撃剪断式、ロール回転式、ボール
ミル、気流粉砕式、剪断摩擦式のものが使用できる。
【0057】とくに、粉砕機としてボールミルを使用し
た場合、粒度分布の狭い混合物が容易に得られる。ま
た、二種以上の粉砕器を使用することによって、効率よ
く粉砕をおこなうことができる。また、粉砕機は、作動
条件を調整することによって造粒機としても使用でき
る。また、混合物の平均粒度を10μm以下に調整する
場合は、湿式粉砕が好ましい。
【0058】本発明の粒子製造工程をおこなうことによ
って、混合物A、混合物Bおよび混合物Cの少なくとも
一つの混合物を、平均粒度が0.1μm以上200μm
以下の粒子に効率よく成形することができる。なお、粒
子の平均粒度は、レーザー回折式粒度分布測定装置など
の粒度測定装置、または、走査型電子顕微鏡などの顕微
鏡を用いて測定することができる。
【0059】本発明の製造方法において、混合物A、混
合物Bおよび混合物Cのうち少なくとも一つが膜状であ
ることが好ましい。混合物がこの形状の場合、粉砕によ
る平均粒度の調整が容易である。混合物を粉砕して平均
粒度が0.1μm以上200μm以下の範囲の粒子にす
ることが容易であることから、膜状の混合物の厚さは
0.1μm以上200μm以下であることが好ましい。
【0060】なお、本発明の電極製造材料の製造方法で
は、炭素質材料として、アセチレンブラックやファーネ
スブラックなどのカーボンブラックおよび活性炭などが
使用できる。とくにカーボンブラックは、担持された触
媒金属が高分散となることから好ましい。
【0061】また、本発明の一つは、本発明の電極製造
材料または本発明の方法で製造された電極製造材料を含
む触媒層を備えた燃料電池用電極の製造方法に関するも
のである。すなわち、この発明は、その電極製造材料と
溶媒とのペーストを製造する工程(ペースト製造工程)
と、ペーストを用いて触媒層を成形する工程(成形工
程)と、触媒層を加圧する工程(加圧工程)とを経るこ
とを特徴とする。
【0062】本発明の燃料電池用電極の製造方法におけ
るペースト製造工程は、電極製造材料と溶媒とを混合す
ることによってペーストを製造する工程である。このペ
ーストに含まれる溶媒の割合は、限定されるものではな
いが、電極への成形性を良好に保つためには、混合物中
の炭素質材料100重量部に対して10重量部以上15
00重量以下であることが好ましい。
【0063】さらに、この工程では、25℃での蒸気圧
が0.002Torrよりも低い溶媒を用いた場合、溶
媒を充分に蒸発させることが困難となる。そのために、
この工程で使用する溶媒は、蒸気圧が0.002Tor
r以上のものであることが好ましい。
【0064】とくに、電極製造にかかる時間を短縮でき
ることから、この工程で使用する溶媒は、室温で乾燥可
能なものが好ましく、具体的には、蒸気圧が0.3To
rr以上のものが好ましい。しかし、520Torrよ
りも高い蒸気圧の溶媒を使用した場合、溶媒の揮発にと
もなうペーストの体積が著しく減少することがある。
【0065】そのような体積変化の著しいペーストを用
いた場合、均一な厚みの電極を成形することが困難とな
る。したがって、溶媒の25℃での蒸気圧は、520T
orr以下であることが好ましく、とくに、160To
rr以下であることが好ましい。160Torr以下の
場合では、ペーストの取り扱いがさらに容易になる。
【0066】本発明で使用する溶媒は、具体的には、水
などの無機化合物、ヘキサン、ペンタン、シクロヘキサ
ン、オクタン、ベンゼンなどの炭化水素系の液体、ジク
ロロメタン、1,1,2−トリクロロ−1,2,2−ト
リフルオロエタンなどのハロゲン化合物、メタノール、
エタノール、エチレングリコール、グリセリンなどのア
ルコール、アニソールなどのエーテル、アセトンなどの
ケトン、N−メチル−2−ピロリドン、ピリジン、ジメ
チルスルホキシドなどの有機化合物を使用することがで
きる。これらのなかでも、N−メチル−2−ピロリドン
が溶媒としてとくに好ましく、これを溶媒として用いた
場合、電極製造材料の分散性が著しく良好となる。
【0067】なお、本発明のペーストに含まれる溶媒
は、上記に記載したものを単体で使用してもよいし、複
数を混合して用いてもよい。本発明の燃料電池用電極の
製造方法は、本発明の電極製造材料以外の電極製造材料
を用いた場合でも、効果がある。
【0068】本発明の燃料電池用電極の製造方法におけ
る成形工程は、ペースト製造工程で製造されたペースト
を用いて触媒層を成形する工程である。具体的には、ま
ず、ペーストを基材上に塗布することによって触媒層の
形状に成形し、つぎに、ペーストに含まれる溶媒を蒸発
させることによって実施される。
【0069】ペーストを塗布する基材としては、高分子
フィルムまたは多孔質のカーボン板が使用できる。基材
として高分子フィルムを用いた場合、触媒層を固体高分
子膜に転写することにより、触媒層と固体高分子膜との
接合体を製造することができ、さらに、この接合体に多
孔質のカーボン板を接合することにより、電極/膜接合
体を製造することができる。また、基材として多孔質の
カーボン板を用いた場合、触媒層を、その基材とともに
固体高分子膜に接合することにより、電極/膜接合体を
製造することができる。上記の多孔質のカーボン板は、
ガス拡散層として機能する。
【0070】また、ペーストを固体高分子膜に直接塗布
することにより、触媒層を固体高分子膜の成形してもよ
い。また、本発明のペースト製造工程において、ペース
トを塗布する方法としては、スクリーン印刷法、スプレ
ーによって吹きつける方法、ドクターブレードによって
塗布する方法などがある。
【0071】本発明の燃料電池用電極の製造方法におい
て加圧工程は、成形工程で製造された触媒層を加圧する
工程である。成形工程で製造された触媒層を加圧するこ
とによって、ペースト中の本発明の電極製造材料が互い
に接触するので、触媒層内部の電子伝導性およびプロト
ン伝導性が向上する。したがって、この工程を経て製造
された触媒層を含む燃料電池は、加圧の工程をおこなわ
なかったものよりも高い出力となる。
【0072】この工程において触媒層にかけられる圧力
は、個々の電極製造材料を互いに接触させることができ
ることから3kg/cm2以上であることが好ましく、
充分な接触が得られることから50kg/cm2以上で
あることが好ましい。
【0073】さらに、この工程は、陽イオン交換樹脂の
ガラス転移温度以上の温度条件下で実施されることが好
ましい。触媒層をこの温度範囲で加圧することによっ
て、触媒層内に陽イオン交換樹脂の三次元的なネットワ
ークが形成されるので、高いプロトン伝導性の触媒層を
製造することができる。また、この工程は、陽イオン交
換樹脂の劣化を防ぐために、分解温度以下で実施される
ことが好ましい。
【0074】
【実施例】以下本発明の好適な実施例を用いて説明す
る。
【0075】[実施例1]触媒金属として白金を備えた
本発明の電極製造材料をつぎの方法で製造した。まず、
カーボンブラック(Vulcan XC−72、Cab
ot社製)と陽イオン交換樹脂の溶液(Nafion5
重量部溶液、Aldrich社製)とを混合したのちに
吸引濾過し、さらに乾燥することによって、カーボンブ
ラックに陽イオン交換樹脂を付着させた。この工程を繰
り返すことによって、カーボンブラックと陽イオン交換
樹脂とで構成された混合物を製造した。
【0076】この混合物に含まれる陽イオン交換樹脂の
割合は、カーボンブラック100重量部に対して35重
量部であった。また、この混合物の平均粒度は1350
μmであった。つぎに、この混合物をふるい機で分級す
ることによって、183μmの平均粒度の混合物を製造
した。
【0077】さらに、この混合物をテトラアンミン白金
(2価)イオン([Pt(NH 2+)を含む水
溶液に浸漬することによって、その陽イオンを陽イオン
交換樹脂のイオンクラスターに吸着させた。そして、そ
の陽イオンを180℃、1.5atmの水素雰囲気下で
4時間還元することによって、カーボンブラックと陽イ
オン交換樹脂と白金とを含み、かつ、183μmの平均
粒度の電極製造材料を製造した。なお、混合物および電
極製造材料の平均粒度の測定は、レーザー回折式粒度分
布測定装置(SALD−2000J、Shimadz
u)を用いておこなった。
【0078】つぎに、このカーボンブラックと陽イオン
交換樹脂と白金とを含む電極製造材料を用いて燃料電池
用電極を製造した。この電極の製造方法はつぎの通りで
ある。まず、この電極製造材料と、この電極製造材料中
のカーボンブラック100重量部に対して500重量部
のN−メチル−2−ピロリドンとから製造されたペース
トを高分子フィルム(テトラフルオロエチレン−ヘキサ
フルオロプロピレン共重合フィルム、Daikin社
製)上に塗布したのちに乾燥することによって、触媒層
を高分子フィルム上に成形した。
【0079】この触媒層に含まれる白金量は、0.05
3mg/cmである。この白金量は、触媒層中の白金
を王水で抽出したのちに、その王水中の白金量をICP
発光分析で定量することによって求めた値である。
【0080】つぎに、触媒層を一辺2.2cmの正方形
に裁断したのちに、触媒層と固体高分子膜(Nafio
n115、デュポン社製)とを100kg/cm、1
30℃でホットプレスすることによって、固体高分子膜
の両面に転写した。さらに、カーボンペーパーを触媒層
の外側に接合することによって、電極/膜接合体を製造
した。この接合体を備えた燃料電池を実施例1の燃料電
池とする。
【0081】この実施例の燃料電池の、一方の電極の白
金の電気化学的に活性な表面積をサイクリックボルタメ
トリーによって測定し、さらに、白金の粒度を電子顕微
鏡を用いて測定した。これらの測定の結果と触媒層に含
まれる白金量とから、上記で製造した電極製造材料の全
白金量100重量部に対するカーボンブラックと陽イオ
ン交換樹脂のイオンクラスターとの接面に担持された白
金の割合は、85重量部であることがわかった。
【0082】[実施例2]触媒金属として白金を備えた
本発明の混合物をつぎの方法で製造した。まず、カーボ
ンブラックと陽イオン交換樹脂の溶液との混合溶液をガ
ラス板上に塗布したのちに乾燥することによって、カー
ボンブラックと陽イオン交換樹脂とで構成された混合物
を製造した。この混合物に含まれる陽イオン交換樹脂の
割合は、カーボンブラック100重量部に対して35重
量部であった。また、この混合物の形状は199μmの
厚さの膜状である。
【0083】つぎに、この混合物をテトラアンミン白金
(2価)イオン([Pt(NH 2+)を含む水
溶液に浸漬することによって、その陽イオンを陽イオン
交換樹脂のイオンクラスターに吸着させた。さらに、こ
の混合物を遊星形のボールミル(ポット容積80ml)
を用いて回転数300rpmで10分間粉砕することに
よって、189μmの平均粒度の混合物を製造した。
【0084】そして、その陽イオンを180℃、1.5
atmの水素雰囲気下で10時間還元することによっ
て、カーボンブラックと陽イオン交換樹脂と白金とを含
み、かつ、189μmの平均粒度の電極製造材料を製造
した。なお、混合物および電極製造材料の平均粒度の測
定は、実施例1と同じ装置を用いておこなった。
【0085】つぎに、このカーボンブラックと陽イオン
交換樹脂と白金とを含む電極製造材料を用いて燃料電池
用電極を製造した。この電極の製造方法はつぎの通りで
ある。まず、この電極製造材料と、この電極製造材料中
のカーボンブラック100重量部に対して1500重量
部のグリセリンとから製造されたペーストを高分子フィ
ルム上に塗布したのちに乾燥することによって、触媒層
を高分子フィルム上に成形した。
【0086】この触媒層に含まれる白金量は、0.05
1mg/cmである。この白金量は、触媒層中の白金
を王水で抽出したのちに、その王水中の白金量をICP
発光分析で定量することによって求めた値である。
【0087】つぎに、実施例1と同様の方法で、この触
媒層を含む電極/膜接合体を製造した。この接合体を備
えた燃料電池を実施例2の燃料電池とする。
【0088】この実施例の燃料電池の、一方の電極の白
金の電気化学的に活性な表面積をサイクリックボルタメ
トリーによって測定し、さらに、白金の粒度を電子顕微
鏡を用いて測定した。これらの測定の結果と触媒層に含
まれる白金量とから、上記で製造した電極製造材料の全
白金量100重量部に対するカーボンブラックと陽イオ
ン交換樹脂のイオンクラスターとの接面に担持された白
金の割合は、76重量部であることがわかった。
【0089】[実施例3]触媒金属として白金を備えた
本発明の混合物をつぎの方法で製造した。まず、カーボ
ンブラックと陽イオン交換樹脂の溶液との混合溶液をガ
ラス板上に塗布したのちに乾燥することによって、カー
ボンブラックと陽イオン交換樹脂とで構成された混合物
を製造した。この混合物に含まれる陽イオン交換樹脂の
割合は、カーボンブラック100重量部に対して35重
量部である。また、この混合物の形状は50μmの厚さ
の膜状である。
【0090】つぎに、この混合物をテトラアンミン白金
(2価)イオン([Pt(NH 2+)を含む水
溶液に浸漬することによって、その陽イオンを陽イオン
交換樹脂のイオンクラスターに吸着させた。さらに、そ
の陽イオンを180℃、1.5atmの水素雰囲気下で
4時間還元することによって、カーボンブラックと陽イ
オン交換樹脂のイオンクラスターとの接面に白金を生成
させた。
【0091】そして、この混合物を遊星形のボールミル
を用いて回転数200rpmで30分間粉砕することに
よって、カーボンブラックと陽イオン交換樹脂と白金と
を含み、かつ、0.12μmの平均粒度の電極製造材料
を製造した。この電極製造材料の平均粒度の測定は、実
施例1と同じ装置を用いておこなった。
【0092】つぎに、このカーボンブラックと陽イオン
交換樹脂と白金とを含む電極製造材料を用いて燃料電池
用電極を製造した。この電極の製造方法はつぎの通りで
ある。まず、この電極製造材料と、電極製造材料中のカ
ーボンブラック100重量部に対して10重量部のヘキ
サンとから製造されたペーストを高分子フィルム上に塗
布したのちに乾燥することによって、触媒層を高分子フ
ィルム上に成形した。
【0093】この触媒層に含まれる白金量は、0.04
9mg/cmである。この白金量は、触媒層中の白金
を王水で抽出したのちに、その王水中の白金量をICP
発光分析で定量することによって求めた値である。
【0094】つぎに、実施例1と同様の方法で、この触
媒層を含む電極/膜接合体を製造した。この接合体を備
えた燃料電池を実施例3の燃料電池とする。
【0095】この実施例の燃料電池の一方の電極の白金
の電気化学的に活性な表面積をサイクリックボルタメト
リーによって測定し、さらに、白金の粒度を電子顕微鏡
を用いて測定した。これらの測定の結果と触媒層に含ま
れる白金量とから、上記で製造した電極製造材料の全白
金量100重量部に対するカーボンブラックと陽イオン
交換樹脂のイオンクラスターとの接面に担持された白金
の割合は、90重量部であることがわかった。
【0096】[比較例1]カーボンブラックと陽イオン
交換樹脂と白金とを含む電極製造材料をつぎの方法で製
造した。まず、白金担持カーボン(Pt/Vulcan
XC−72、田中貴金属社製)と陽イオン交換樹脂の
溶液とを混合したのちに吸引濾過し、さらに乾燥するこ
とによって、白金担持カーボンに陽イオン交換樹脂を付
着させた。この工程を繰り返すことによって、カーボン
ブラックと陽イオン交換樹脂と白金とを含み、かつ、平
均粒度が2200μmの電極製造材料を製造した。
【0097】この電極製造材料に含まれる陽イオン交換
樹脂の割合は、カーボン100重量部に対して35重量
部であった。なお、電極製造材料の平均粒度の測定は、
実施例1と同じ装置を用いておこなった。
【0098】つぎに、この電極製造材料を用いて燃料電
池用電極を製造した。この電極の製造方法はつぎの通り
である。まず、この電極製造材料と、この電極製造材料
中のカーボン100重量部に対して2000重量部のN
−メチル−2−ピロリドンとから製造されたペーストを
高分子フィルム上に塗布したのちに乾燥することによっ
て、触媒層を高分子フィルム上に成形した。この触媒層
に含まれる白金量は、0.12mg/cmである。こ
の白金量は、触媒層中の白金を王水で抽出したのちに、
その王水中の白金量をICP発光分析で定量することに
よって求めた値である。
【0099】つぎに、触媒層を一辺2.2cmの正方形
に裁断したのちに、触媒層と固体高分子膜とを100k
g/cm、70℃でホットプレスすることによって、
固体高分子膜の両面に転写した。さらに、カーボンペー
パーを触媒層の外側に接合することによって、電極/膜
接合体を製造した。この接合体を備えた燃料電池を比較
例1の燃料電池とする。
【0100】この比較例の燃料電池の、一方の電極の白
金の電気化学的に活性な表面積をサイクリックボルタメ
トリーによって測定し、さらに、白金の粒度を電子顕微
鏡を用いて測定した。これらの測定の結果と触媒層に含
まれる白金量とから、上記で製造した電極製造材料の全
白金量100重量部に対するカーボンブラックと陽イオ
ン交換樹脂のイオンクラスターとの接面に担持された白
金の割合は、15重量部であることがわかった。
【0101】[比較例2]カーボンブラックと陽イオン
交換樹脂と白金とを含む電極製造材料をつぎの方法で製
造した。まず、カーボンブラックと陽イオン交換樹脂の
溶液とを混合したのちに吸引濾過し、さらに乾燥するこ
とによって、カーボンブラックに陽イオン交換樹脂を付
着させた。この工程を繰り返すことによって、カーボン
ブラックと陽イオン交換樹脂とで構成された混合物を製
造した。この混合物に含まれる陽イオン交換樹脂の割合
は、カーボンブラック100重量部に対して35重量部
であった。また、この混合物の平均粒度は1480μm
であった。
【0102】さらに、この混合物をテトラアンミン白金
(2価)イオン([Pt(NH 2+)を含む水
溶液に浸漬することによって、その陽イオンを陽イオン
交換樹脂のイオンクラスターに吸着させた。そして、そ
の陽イオンを180℃、2.5atmの水素雰囲気下で
6時間還元することによって、カーボンブラックと陽イ
オン交換樹脂と白金とを含み、かつ、1480μmの平
均粒度の電極製造材料を製造した。なお、混合物および
電極製造材料の平均粒度の測定は、実施例1と同じ装置
を用いておこなった。
【0103】つぎに、この電極製造材料を用いて燃料電
池用電極を製造した。この電極の製造方法はつぎの通り
である。まず、この電極製造材料と、この電極製造材料
中のカーボンブラック100重量部に対して5重量部の
N−メチル−2−ピロリドンとから製造されたペースト
を高分子フィルム上に塗布したのちに乾燥することによ
って、触媒層を高分子フィルム上に成形した。この触媒
層に含まれる白金量は、0.052mg/cmであ
る。この白金量は、触媒層中の白金を王水で抽出したの
ちに、その王水中の白金量をICP発光分析で定量する
ことによって求めた値である。
【0104】つぎに、触媒層を一辺2.2cmの正方形
に裁断したのちに、触媒層と固体高分子膜とを100k
g/cm、70℃でホットプレスすることによって、
固体高分子膜の両面に転写した。さらに、カーボンペー
パーを触媒層の外側に接合することによって、電極/膜
接合体を製造した。この接合体を備えた燃料電池を比較
例2の燃料電池とする。
【0105】この比較例の燃料電池の、一方の電極の白
金の電気化学的に活性な表面積をサイクリックボルタメ
トリーによって測定し、さらに、白金の粒度を電子顕微
鏡を用いて測定した。これらの測定の結果と触媒層に含
まれる白金量とから、上記で製造した電極製造材料の全
白金量100重量部に対するカーボンブラックと陽イオ
ン交換樹脂のイオンクラスターとの接面に担持された白
金の割合は、65重量部であることがわかった。
【0106】実施例1、実施例2、実施例3、比較例1
および比較例2の燃料電池を水素と酸素とを用いてセル
温度80℃でそれぞれ運転した。これらのセルの電流−
電圧特性を図3に示す。図3において、記号○は実施例
1の燃料電池の電流−電圧特性を示す。また、記号△は
実施例2の、記号□は実施例3の、記号◇は比較例1
の、記号+は比較例2の、電流−電圧特性を示す。
【0107】図3から、実施例1、実施例2および実施
例3の燃料電池のセル電圧は、比較例1および比較例2
の場合に比べて、高いことがわかる。これは、本発明の
燃料電池の出力性能が、従来のものと比べて優れている
ことを示している。
【0108】さらに、図3から、比較例2の燃料電池
は、実施例1の燃料電池の比べて、セル電圧が低いこと
がわかる。このことは、比較例1の燃料電池の電極で
は、カーボンブラックと陽イオン交換樹脂と白金とを含
む電極製造材料の平均粒度が大きかったために、触媒層
の表面が粗く、その結果、電極面内に電流集中が生じた
ことを意味している。
【0109】さらに、図3から、実施例1、実施例2お
よび実施例3の燃料電池では、比較例1の燃料電池より
も少ない白金担持量であるにもかかわらず、高いセル電
圧が維持されていることがわかる。このことは、実施例
1、実施例2および実施例3の燃料電池の電極の触媒金
属の利用率が高いことを示している。
【0110】燃料電池の出力性能と、カーボンブラック
と陽イオン交換樹脂と白金とを含む電極製造材料の平均
粒度との関係を調べた結果を以下に示す。まず、平均粒
度が1480μmの電極製造材料を比較例2と同様の方
法で製造し、つぎに、この粉末をボールミルに入れ、種
々の時間粉砕することによって、平均粒度の異なる電極
製造材料をそれぞれ製造した。さらに、各電極製造材料
を用いて電極/膜接合体を備えた燃料電池をそれぞれ製
造し、そして、水素と酸素とを用いてこれらの燃料電池
を300mA/cmで運転した。各燃料電池のセル電
圧と電極製造材料の平均粒度との関係を図4に示す。
【0111】図4から、電極製造材料の平均粒度が0.
1μm以上200μm以下の範囲のときのセル電圧は、
その他の範囲の場合に比べて高いことがわかる。これ
は、この範囲の平均粒度の電極製造材料がとくに優れた
ものであることを示している。
【0112】燃料電池の出力特性と、カーボンブラック
の表面と陽イオン交換樹脂のイオンクラスターとの接面
に担持された白金の量との関係を調べた結果を以下に示
す。まず、カーボンブラックの表面と陽イオン交換樹脂
のイオンクラスターとの接面に担持された白金の量が全
白金100重量部に対して12、23、34、41、5
0、63、80、85、92および96重量部の電極製
造材料を、下記に述べる方法でそれぞれ製造した。
【0113】つぎに、これらの電極製造材料を用いて製
造した電極を備えたそれぞれの燃料電池を水素と酸素と
を用いてセル温度80℃、セル電圧0.8Vで運転し
た。各燃料電池の電流密度と、カーボンブラックと陽イ
オン交換樹脂のイオンクラスターとの接面に担持された
触媒金属の量との関係を図5に示す。
【0114】図5では、電流密度を、実際の電流密度を
白金の重量で割った値で表記した。また、カーボンブラ
ックと陽イオン交換樹脂のイオンクラスターとの接面に
担持された触媒金属の量を、全触媒金属100重量部に
対する割合で表記した。
【0115】図5から、カーボンブラック表面と陽イオ
ン交換樹脂のイオンクラスターとの接面に担持された白
金の量が全白金100重量部に対して50、63、8
0、85、92および96重量部の電極製造材料を用い
た燃料電池の電流密度は、12、23、34および41
重量部のものを用いた場合に比べて著しく優れているこ
とがわかる。
【0116】さらに、図5から、80重量部以上の場
合、とくに燃料電池の出力特性が優れていることがわか
る。これは、本発明の電極製造材料を用いることによっ
て、高性能な燃料電池が得られることを示している。
【0117】図5の結果を得るために使用したカーボン
ブラックの表面と陽イオン交換樹脂のイオンクラスター
との接面に担持された白金の量が全白金100重量部に
対して12、23、34、41、50、63、80、8
5、92および96重量部の電極製造材料の製造方法を
つぎに述べる。12、23、34、41および50重量
部の電極製造材料の製造方法は、つぎの通りである。
【0118】実施例1と同様にして製造した電極製造材
料を20、18、11、3.2および0.5mmol/
lの塩化白金(PtCl)水溶液にそれぞれ浸漬する
ことによって、白金の陽イオンを電極製造材料に吸着さ
せた。この白金の陽イオンは、電極製造材料のカーボン
ブラックの表面、陽イオン交換樹脂の骨格部分およびイ
オンクラスターなどに吸着する。
【0119】つぎに、各電極製造材料に吸着した白金の
陽イオンを水素化ホウ素ナトリウムで還元することによ
って、12、23、34、41および50重量部の電極
製造材料をそれぞれ製造した。また、85重量部の電極
製造材料の製造方法は、実施例1と同様の方法でおこな
った。
【0120】また、92重量部の電極製造材料の製造方
法はつぎの通りである。まず、実施例1と同様の方法で
平均粒度が183μmのカーボンブラックと陽イオン交
換樹脂とで構成された混合物を製造した。つぎに、その
混合物にテトラアンミン白金イオンを吸着させたのち
に、その陽イオンを175℃の水素を用いて4時間還元
することによって、92重量部の電極製造材料を得た。
【0121】また、96重量部の電極製造材料の製造方
法は、つぎの通りである。まず、実施例1と同様の方法
で平均粒度が183μmのカーボンブラックと陽イオン
交換樹脂とで構成された混合物を製造した。つぎに、そ
の混合物にテトラアンミン白金イオンを吸着させたのち
に、その陽イオンを150℃の水素を用いて6時間還元
することによって、96重量部の電極製造材料を得た。
【0122】本発明は、つぎのように要約される。
【0123】1.炭素質材料と陽イオン交換樹脂と触媒
金属とを含むことと、平均粒度が0.1μm以上200
μm以下であることとを特徴とする電極製造材料。
【0124】2.前記触媒金属の50重量部以上が、前
記炭素質材料と前記陽イオン交換樹脂のイオンクラスタ
ーとの接面に担持されていることを特徴とする第1項記
載の電極製造材料。
【0125】3.前記陽イオン交換樹脂の量が、前記炭
素質材料の全量100重量部に対して5重量部以上15
0重量部以下であることを特徴とする第1または2項記
載の電極製造材料。
【0126】4.4nm以上300nm以下の厚さの前
記陽イオン交換樹脂が前記炭素質材料を被覆しているこ
とを特徴とする第1、2または3項記載の電極製造材
料。
【0127】5.炭素質材料と陽イオン交換樹脂とを含
む混合物Aを製造する工程(混合物Aの製造工程)と、
混合物Aに触媒金属元素の陽イオンを含ませることによ
り混合物Bを製造する工程(混合物Bの製造工程)と、
混合物Bの陽イオンを還元することにより混合物Cを製
造する工程(混合物Cの製造工程)と、混合物A、混合
物Bおよび混合物Cのうち少なくとも一つを平均粒度が
0.1μm以上200μm以下の粒子に成形する工程
(粒子製造工程)とを含むことを特徴とする、第1、
2、3または4項記載の電極製造材料の製造方法であ
る。
【0128】6.混合物Cの製造工程が、触媒金属元素
の陽イオンを水素ガスまたは水素混合ガスによって還元
する工程であることを特徴とする第5項記載の電極製造
材料の製造方法。
【0129】7.混合物Cの製造工程が、触媒金属元素
の陽イオンを100oC以上200℃以下の条件下で還
元する工程であることを特徴とする第5または6項記載
の電極製造材料の製造方法。
【0130】8.混合物Aは炭素質材料100重量部に
対して5重量部以上150重量部以下の陽イオン交換樹
脂を含むことを特徴とする第5、6または7項記載の電
極製造材料の製造方法。
【0131】9.混合物A、混合物Bおよび混合物Cの
うち少なくとも一つが、膜状であることを特徴とする第
5、6、7または8項記載の電極製造材料の製造方法。
【0132】10.膜厚が0.1μm以上200μm以
下の膜状であることを特徴とする第9項記載の電極製造
材料の製造方法。
【0133】11.溶媒と第1、2、3または4項記載
の電極製造材料または第5、6、7、8、9または10
記載の製造方法によって製造された電極製造材料とのペ
ーストを製造する工程(ペースト製造工程)と、そのペ
ーストを用いて触媒層を成形する工程(成形工程)と、
その触媒層を加圧する工程(加圧工程)とを含むことを
特徴とする燃料電池用電極の製造方法。
【0134】12.前記の加圧工程として、第1、2、
3または4項記載の電極製造材料または第5、6、7、
8、9または10記載の製造方法によって製造された電
極製造材料に含まれる陽イオン交換樹脂のガラス転移温
度以上の温度条件下で前記触媒層を加圧する工程を含む
ことを特徴とする、第11項記載の燃料電池用電極の製
造方法。
【0135】13.前記のペースト製造工程として、第
1、2、3または4項記載の電極製造材料または第5、
6、7、8、9または10記載の製造方法によって製造
された電極製造材料に含まれる炭素質材料100重量部
に対して10重量部以上1500重量部以下の溶媒を含
むペーストを製造する工程を含むことを特徴とする第1
1または12項記載の燃料電池用電極の製造方法。
【0136】14.第11、12または13項記載の製
造方法によって製造された燃料電池用電極を備えたこと
を特徴とする燃料電池。
【0137】
【発明の効果】本発明の電極製造材料を用いることによ
って、平坦な表面の燃料電池用の触媒層を製造すること
ができる。この触媒層を備えた電極内の電流分布は極め
て均一であるので、この電極を備えた燃料電池の出力は
著しく高い。そして、この電極製造材料は、本発明の製
造方法によって効率よく製造される。
【0138】また、本発明の燃料電池用電極の製造方法
は、本発明の電極製造材料を用いて電極を簡便に製造す
る方法であり、この方法によって得られた電極は、平坦
な表面の触媒層を含むので高性能である。すなわち、本
発明は、高性能な燃料電池用電極および燃料電池を提供
するものであり、さらに、製造コストを大幅に削減でき
るので経済効果が高い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電極製造材料の構造の一例。
【図2】本発明の電極製造材料の構造の一例。
【図3】実施例1、実施例2、実施例3、比較例1およ
び比較例2の燃料電池の電流―電圧特性を示す図。
【図4】セル電圧と電極製造材料の平均粒度との関係を
示す図。
【図5】セル電圧0.8Vにおける燃料電池の電流密度
と、カーボンブラックの表面と陽イオン交換樹脂のイオ
ンクラスターとの接面に担持された触媒金属の量との関
係を示す図。
【符号の説明】
11、21 炭素質材料 12、22 陽イオン交換樹脂

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 炭素質材料と陽イオン交換樹脂と触媒金
    属とを含むことと、平均粒度が0.1μm以上200μ
    m以下であることとを特徴とする電極製造材料。
  2. 【請求項2】 前記触媒金属の50重量部以上が、前記
    炭素質材料と前記陽イオン交換樹脂のイオンクラスター
    との接面に担持されていることを特徴とする請求項1記
    載の電極製造材料。
  3. 【請求項3】 炭素質材料と陽イオン交換樹脂とを含む
    混合物Aを製造する工程と、混合物Aに触媒金属元素の
    陽イオンを含ませることにより混合物Bを製造する工程
    と、混合物Bの前記触媒金属元素の陽イオンを還元する
    ことにより混合物Cを製造する工程と、混合物A、混合
    物Bおよび混合物Cのうち少なくとも一つを、平均粒度
    が0.1μm以上200μm以下の粒子に成形する工程
    とを含むことを特徴とする請求項1または2記載の電極
    製造材料の製造方法。
  4. 【請求項4】 請求項1の電極製造材料、2記載の電極
    製造材料または請求項3記載の製造方法によって製造さ
    れた電極製造材料と、溶媒とのペーストを製造する工程
    と、そのペーストを用いて触媒層を成形する工程と、そ
    の触媒層を加圧する工程とを含むことを特徴とする燃料
    電池用電極の製造方法。
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