JP2003254002A - 軸流型タービンのタービン翼型およびタービン翼 - Google Patents
軸流型タービンのタービン翼型およびタービン翼Info
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Abstract
生する衝撃波を最小限に抑えてタービンの性能を向上さ
せる。 【解決手段】 軸流型タービンのタービン翼Sは、前縁
LEおよび後縁TE間に正圧を発生する腹面Slおよび
負圧を発生する背面Suを備える。腹面Slの後部に後
縁TEに連なる平坦面1を形成するとともに、平坦面1
に対応する背面Suの少なくとも一部に湾曲面2,5を
形成し、かつタービン翼Sの後縁TEを尖端状に形成す
る。後縁TEにおける腹面Slおよび背面Suの交差角
αは、直角ないし鋭角とする。後縁部において腹面Sl
側から背面Su側へのガスの回り込みを抑制し、また後
縁部の背面Suの湾曲度合を小さくして流速を低下させ
ることにより、後縁部に発生する衝撃波を緩和して圧力
損失を低減する。
Description
に正圧を発生する腹面および負圧を発生する背面を備え
た軸流型タービンのタービン翼型と、そのタービン翼型
を適用したービン翼とに関する。
ビン翼Sにおける後縁部の一般的な形状が示される。即
ち、円で囲ったタービン翼Sの後縁部は、後縁半径rを
有する円弧面Stと、円弧面Stの上端から前縁LE側
に延びてタービンの運転時に主として負圧を発生する背
面Suと、円弧面Stの下端から前縁LE側に延びてタ
ービンの運転時に主として正圧を発生する腹面Slとを
備えており、円弧面StとキャンバーラインCLとの交
点としてタービン翼Sの後縁TEが規定される。従っ
て、従来のタービン翼Sの後縁TEは尖端をなしておら
ず、後縁半径rを有する円弧面St上の点として規定さ
れる。
発明として、特開昭57−113906号公報、特開平
7−332007号公報、特開平9−125904号公
報に記載されたものが公知である。
れたタービン翼は、後縁部を背面側に湾曲させた構成、
あるいは後縁部における背面側の曲率を腹面側の曲率よ
りも大きくした構成を備えており、この構成により遷音
速下における衝撃波の発生をコントロールしてタービン
翼に加わる加重の軽減および圧力損失の低減を図ってい
る。
されたタービン翼は後縁部に波状の凹凸を形成したもの
で、この構成によりタービンの半径方向の流れ分布を干
渉し易くし、ウエイクによる速度欠損割合を低減してタ
ービン各段の流れ性能の向上を図っている。
された蒸気タービンのタービン翼は後縁部における背面
を直線状に切り欠いたもので、この構成により蒸気流に
よる加振や蒸気流内の異物によるエロージョンに対する
耐性を確保しながら、圧力損失の低減を図っている。
従来の軸流型タービンのタービン翼Sは、翼表面に沿う
流速が高亜音速であって衝撃波が発生しない状態では充
分な性能を発揮するが、後縁部における流速が音速に達
すると、該後縁部の復面Sl側および背面Su側からそ
れぞれ発生する衝撃波SWl,SWuが性能低下の要因
となる問題がある。即ち、後縁部の腹面Sl側から発生
した衝撃波SWlは隣接するタービン翼Sの背面Su側
の境界層と干渉して圧力損失が発生する要因となり、ま
た後縁部の背面Su側から発生した衝撃波SWuは下流
段のタービンの翼列に歪みや変形をもたらしてタービン
全体の性能向上を困難なものとする。
で、軸流型タービンのタービン翼の後縁部から発生する
衝撃波を最小限に抑えてタービンの性能を向上させるこ
とを目的とする。
に、請求項1に記載された発明によれば、前縁および後
縁間に正圧を発生する腹面および負圧を発生する背面を
備えた軸流型タービンのタービン翼型において、後縁は
尖端をなしており、腹面の後部に後縁に連なる平坦面を
有するとともに、この平坦面に対応する背面の少なくと
も一部に湾曲面を有することを特徴とする軸流型タービ
ンのタービン翼型が提案される。
尖端状とし、腹面の後部に後縁に連なる平坦面を形成
し、かつ平坦面に対応する背面の少なくとも一部に湾曲
面を形成したので、後縁部における腹面側から背面側へ
のガスの回り込みを抑制して後縁部の腹面側に発生する
衝撃波を緩和し、圧力損失を最小限に抑えることができ
る。
請求項1の構成に加えて、後縁における腹面および背面
の交差角は、直角ないし鋭角であることを特徴とする軸
流型タービンのタービン翼型が提案される。
び背面の交差角を直角ないし鋭角としたので、後縁部の
背面の湾曲度合を小さくして流速を低下させ、背面側に
発生する衝撃波を緩和して圧力損失を更に低減すること
ができる。
請求項1または請求項2に記載のタービン翼型を、ター
ビン翼のスパン方向の少なくとも一部に適用した軸流型
タービンのタービン翼が提案される。
と既存のタービン翼型とを適宜併用してタービン翼の設
計自由度を高めることができる。
付図面に示した本発明の実施例に基づいて説明する。
で、図1は軸流型タービンのタービン翼型およびその後
縁部の拡大図、図2は翼弦に沿う腹面および背面の流速
分布を示すグラフ、図3はマッハ数に対する圧力損失の
変化を示すグラフ、図4はタービン翼のまわりの流れの
様子を可視化した図、図5は図4の5部拡大図である。
の環状のガス通路に配置されてタービン翼列を構成する
もので、その左端の前縁LEと右端の後縁TEとの間
に、ガスの流れに伴って正圧を発生する腹面Sl(正圧
面)と、ガスの流れに伴って負圧を発生する背面Su
(負圧面)とを備える。円内に拡大して示すように、タ
ービン翼Sの後縁部において腹面Slには平坦面1が形
成されており、この平坦面1の後端に鋭く尖った後縁T
Eが形成される。平坦面1の長さはタービン翼Sの翼弦
長の約20%に達している。一方、タービン翼Sの後縁
部において背面Suは湾曲面2および平坦面3を介して
後縁TEに連なっている。湾曲面2は後縁部に内接する
半径rの円の一部から成り、また平坦面3は前記湾曲面
2に外接している。そして腹面Slの直線部1と背面S
uの直線部3とが成す交差角αは直角に設定される。背
面Suの湾曲面2は比較的に狭い領域、つまり腹面Sl
の平坦面1の範囲内に納まるように配置される。従っ
て、図1に示す本実施例のタービン翼Sの後縁部は、従
来のタービン翼Sの後縁部(図8参照)に斜線を施した
部分を付加したものに相当する。
にタービン翼Sの後縁部でガスの流速が超音速に達する
と、その後縁部から斜め後下方に向かう衝撃波SWl
と、斜め後上方に向かう衝撃波SWuとが発生する。図
4および図5には、本実施例のタービン翼Sの後縁部に
おいて発生する衝撃波SWl,SWuの状態が示されて
いる。また図6および図7には、従来のタービン翼S
(図8参照)の後縁部において発生する衝撃波SWl,
SWuの状態が示されている。
lは腹面Sl側に隣接するタービン翼Sの背面Suに衝
突し、その背面Suに沿って形成された境界層と前記衝
撃波SWlとが干渉して圧力損失が発生してしまう。し
かしながら、本実施例によれば、タービン翼Sの腹面S
lの後部に後縁TEに連なる平坦面1を形成し、かつ後
縁TEを曲率半径が極めて小さい尖端形状としたことに
より、腹面Sl側から後縁TEを通って背面Su側への
ガスの回り込みを抑制し、斜め後下方に向かう衝撃波S
Wlの発生を緩和して圧力損失を最小限に抑えることが
できる。
も、ガスの流速が低下して斜め後上方に向かう衝撃波S
Wuの発生が緩和される。その結果、前記衝撃波SWu
により後段のタービン翼列に歪みや変形が発生すること
が防止され、タービン全体の性能向上が可能になる。
uの流速分布が示される。従来のタービン翼Sと本実施
例のタービン翼Sとを比較すると明らかなように、ター
ビン翼Sの腹面Sl側では、従来のものに比べて後縁T
Eの極近傍における流速のピークが減少しており、後縁
部から斜め後下方に向かう衝撃波SWlが緩和されてい
ることが推測される。またタービン翼Sの背面Su側で
は、従来のものに比べて後縁TEの僅かに前方位置にお
ける流速のピークが減少しており、後縁部から斜め後上
方に向かう衝撃波SWuが緩和されていることが推測さ
れる。
失が示される。従来のタービン翼Sと本実施例のタービ
ン翼Sとを比較すると明らかなように、マッハ数が1.
0のときの従来のタービン翼Sの圧力損失を1.0とす
ると、マッハ数が1.0のときの本実施例のタービン翼
Sの圧力損失は0.935に止まっており、圧力損失が
6.5%低減している。この圧力損失低減効果は、マッ
ハ数が0.6〜1.4の広い領域でほぼ同様に達成され
る。
下のように変形可能である。前述した第1実施例のター
ビン翼Sの後縁部の形状は、腹面Slの平坦面1と背面
Suの平坦面3とが後縁TEにおいて交差する交差角α
が直角に設定されているが、図1に破線で示すように、
腹面Slの平坦面1と背面Suの平坦面4との交差角α
を鋭角に設定しても良い(第2実施例)。また背面Su
の湾曲面2と平坦面3との組み合わせ(第1実施例)、
あるいは背面Suの湾曲面2と平坦面4との組み合わせ
(第2実施例)に代えて、湾曲面2に接する円弧面より
なる湾曲面5を形成し、この湾曲面5の後端を後縁TE
において腹面Slの平坦面1の後端に交差させても良い
(第3実施例)。この場合の交差角αは、後縁TEを通
って湾曲面5に接する接線と平坦面1との成す角度とし
て定義され、この交差角αも鋭角となる。
長さが第1実施例の湾曲面2の長さよりも短くなるた
め、また上記第3実施例によれば、その湾曲面5の曲率
半径が第1実施例の湾曲面2の曲率半径よりも大きくな
るため、タービン翼Sの背面Suの後部における流速の
増加を抑制し、後縁部から斜め後上方に向かう衝撃波S
Wuを一層効果的に抑制することができる。以上のこと
から、この第2、第3実施例によれば、第1実施例を上
回る10%程度の圧力損失低減効果を見込むことができ
る。
明はその要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更を行う
ことが可能である。
び第3実施例の湾曲面5は円弧面で構成されているが、
それら湾曲面2,5は必ずしも円弧面である必要はな
い。また湾曲面2,5の翼弦方向の位置は実施例に限定
されるものでなく、腹面Slの平坦面1に対応する背面
Suの少なくとも一部に湾曲面が形成されていれば良
い。
翼の何れに対しても適用することができる。
スパン方向の全域に亘って採用しても良いし、スパン方
向の一部だけに採用しても良い。即ち、タービン翼Sの
スパン方向の一部に本発明のタービン翼型(例えば図1
の翼型)を採用し、残りの部分に本発明以外のタービン
翼型(例えば図8の翼型)を採用しても良い。これによ
り、本発明のタービン翼型と既存のタービン翼型とを適
宜併用してタービン翼の設計自由度を高めることができ
る。
によれば、タービン翼型の後縁を尖端状とし、腹面の後
部に後縁に連なる平坦面を形成し、かつ平坦面に対応す
る背面の少なくとも一部に湾曲面を形成したので、後縁
部における腹面側から背面側へのガスの回り込みを抑制
して後縁部の腹面側に発生する衝撃波を緩和し、圧力損
失を最小限に抑えることができる。
後縁における腹面および背面の交差角を直角ないし鋭角
としたので、後縁部の背面の湾曲度合を小さくして流速
を低下させ、背面側に発生する衝撃波を緩和して圧力損
失を更に低減することができる。
本発明のタービン翼型と既存のタービン翼型とを適宜併
用してタービン翼の設計自由度を高めることができる。
部の拡大図
ラフ
図
化した図
の後縁部の拡大図
Claims (3)
- 【請求項1】 前縁(LE)および後縁(TE)間に正
圧を発生する腹面(Sl)および負圧を発生する背面
(Su)を備えた軸流型タービンのタービン翼型におい
て、 後縁(TE)は尖端をなしており、腹面(Sl)の後部
に後縁(TE)に連なる平坦面(1)を有するととも
に、この平坦面(1)に対応する背面(Su)の少なく
とも一部に湾曲面(2,5)を有することを特徴とする
軸流型タービンのタービン翼型。 - 【請求項2】 後縁(TE)における腹面(Sl)およ
び背面(Su)の交差角(α)は、直角ないし鋭角であ
ることを特徴とする、請求項1に記載の軸流型タービン
のタービン翼型。 - 【請求項3】 請求項1または請求項2に記載のタービ
ン翼型を、タービン翼(S)のスパン方向の少なくとも
一部に適用した軸流型タービンのタービン翼。
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2002
- 2002-03-01 JP JP2002056227A patent/JP3894811B2/ja not_active Expired - Fee Related
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