JP2003252883A - リン含有カルボン酸誘導体の製造方法 - Google Patents

リン含有カルボン酸誘導体の製造方法

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JP2003252883A JP2002052509A JP2002052509A JP2003252883A JP 2003252883 A JP2003252883 A JP 2003252883A JP 2002052509 A JP2002052509 A JP 2002052509A JP 2002052509 A JP2002052509 A JP 2002052509A JP 2003252883 A JP2003252883 A JP 2003252883A
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】有機溶剤に対する溶解性が優れるとともに、低
温で短時間でかつ高収率で製造できるリン含有カルボン
酸誘導体の製造方法を提供する。 【解決方法】少なくとも分子中に1つ以上のC=C二重
結合(a1)とカルボン酸がビニルエーテルに付加した
基(a2)を有する不飽和カルボン誘導体(式(1)の
A成分)と、リン含有化合物(式(2)のB成分)とを
用いて、C=C結合にリン化合物を付加させることを特
徴とする、リン含有カルボン酸誘導体(式(3)のC成
分)の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、リン含有カルボン
酸誘導体の製造方法に関する。更に詳しくは、融点が原
料に比べて低温となり、有機溶剤に対する相溶性や溶解
性に優れ、比較的に低温、短時間で、特に無溶媒で収率
でよく容易に反応できるリン含有カルボン酸誘導体の製
造方法に関する。さらにその精製方法に関する。
【0002】
【従来の技術】リン系難燃剤やハロゲン系難燃剤といっ
た各種難燃剤が様々な樹脂系に配合されている。これら
の難燃剤には、樹脂を成形加工する際、あるいは成形後
の製品を使用する際に受ける熱への耐性が必要であり、
また、耐水性や物理性能等本来の樹脂が持つ性能を損な
わないことが望まれる。しかしながら、これまで難燃剤
として用いられてきたリン含有化合物に関しては、その
多くが添加型難燃剤であったために、樹脂の特性を損な
ったり、安定性や耐水性に問題がある等の短所があっ
た。さらには、添加型難燃剤として用いられるリン含有
化合物の多くは樹脂との相溶性が悪いため、樹脂へ均一
に配合することが難しく、さらに、成形後の樹脂より難
燃剤がブリードアウトしてしまうという問題もあった。
【0003】また、これらの問題点を解決するべく、リ
ン含有エポキシ樹脂が合成された(特開平11−279
258号公報)。リン含有エポキシ樹脂は成形後にリン
含有官能基が樹脂マトリックスと化学結合しているた
め、樹脂特性をある程度保ち耐水性、安定性に優れた難
燃剤となり得る。しかしながら、リン含有エポキシ樹脂
は分子量が大きいため多くの有機溶剤に対する溶解性や
各種樹脂に対する相溶性に優れていないこと、また、樹
脂中に配合できるリン原子濃度が低くなる(2.5重量
%以下)ために、単独では高い難燃性が必要とされる用
途に用いることができないといった短所もあった。
【0004】一方、リン原子を有しさらにエポキシ基と
反応するカルボキシル基等の官能基を有するリン含有カ
ルボン酸化合物等も優れた反応性難燃剤として考えられ
るが、前記の様に多くの有機溶剤に対する溶解性や各種
樹脂に対する相溶性が低いため汎用性に問題があった。
さらには、カルボキシル基と反応性官能基とは反応しや
すいため、リン含有カルボン酸化合物と前記の反応性官
能基を含有する化合物とが共存する組成物においては、
貯蔵中にゲル化を生じたり、可使用時間が短くなるな
ど、その安定性に問題があった。
【0005】そこで、本発明者らは、リン含有カルボン
酸のカルボキシル基をビニルエーテルで保護することで
リン含有カルボン酸誘導体とし、有機溶剤に対する溶解
性や各種樹脂に対する相溶性を向上させる技術について
提案している。さらには、このリン含有カルボン酸誘導
体は、カルボキシル基をビニルエーテルで保護している
ため、室温では反応せず可使時間の長い安定な化合物と
なることが判明している。このリン含有カルボン酸誘導
体は熱や光などの刺激を受けて初めてビニルエーテルに
よる保護が外れ、カルボキシル基を再生し各種反応が開
始するという潜在性の反応性の難燃剤となる。
【0006】このように有用であるリン含有カルボン酸
誘導体ではあるが、その製造方法においては、収率が低
い、溶解しにくく高温での反応になり不純物を多く含有
するなど問題があった。すなわち、例えばリン化合物と
不飽和カルボン酸とを反応させて、ついで、このカルボ
ン酸とビニルエーテルと反応させて、目的とする化合物
を得ていた。その際、リン含有カルボン酸誘導体は、融
点が高く、取り扱い性が悪く、例えば特開平11―80
340号公報の従来技術に記載されているようにイタコ
ン酸に式(6)
【0007】
【化11】
【0008】で示されるリン化合物を付加させる際に
は、生成物が、200℃付近に融点を有するため、溶媒
が存在しないと円滑に反応することが困難であり、生成
物の溶剤に対する溶解性が低く、付加させるビニルエー
テが限定され、低収率であるなど問題があった。また一
方、特開平8−176171号公報には、フマル酸、マ
レイン酸、イタコン酸等のジカルボン酸に前記の式
(6)と同様なリン化合物を付加させる反応が開示され
ているが、その反応の際には、酢酸やプロピオン酸等の
炭素数1〜5の飽和脂肪属モノカルボン酸を、目的の生
成物に対して、6/1〜1.5/1の重量比で、温度1
00〜200℃で反応し、収率83%以上のものが得ら
れることが開示されている。しかし実際の実施例では、
反応温度が、プロピオン酸の還流温度(約141℃)と
150℃の圧力下での反応が記載されている。しかし、
この反応では、収率が高いが、過剰に使用する酸の溶媒
の脱溶媒困難であり、また、反応温度が高く、反応時間
が長いため着色が問題であった。したがって、前記のよ
うに新たな難燃性などの機能を有するリン含有カルボン
酸化合物を、有機溶媒に対する相溶性や溶解性に優れ、
比較的低温で、短時間で反応でき、特に無溶媒で高収率
で容易に製造できる方法が求められていた。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、以上のよう
な従来技術に存在する問題点に着目してなされたもので
ある。その第1の目的とするところは、有機溶剤に対す
る溶解性が優れるとともに、低温で短時間でかつ高収率
で製造できるリン含有カルボン酸誘導体の製造方法を提
供することにある。またさらに本発明の第2の目的とす
るところは、前記の得られた生成物を溶媒を用いて高純
度に精製するリン含有カルボン酸誘導体の精製方法を提
供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記の問
題点に鑑み、鋭意検討した結果、特定の分子中に少なく
とも1つ以上のC=C二重結合(a1)とカルボン酸が
ビニルエーテルに付加したヘミアセタールエステル基
(a2)とを有するカルボン酸誘導体(A成分)と、リ
ン含有化合物(B成分)とを反応させることにより収率
よくリン含有カルボン酸誘導体が得られることの知見を
得て、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明
は、次の〔1〕〜〔5〕である。 〔1〕下記式(1)で表される、少なくとも分子中に1
つ以上のC=C二重結合(a1)と、カルボキシル基が
ビニルエーテルに付加した基(a2)を有する不飽和カ
ルボン誘導体(A成分)と、下記式(2)で表されるリ
ン含有化合物(B成分)とを用いて、C=C二重結合に
リン化合物を付加させることを特徴とする、下記式
(3)で表されるリン含有カルボン酸誘導体(C成分)
の製造方法。
【0011】
【化12】
【0012】(式中のR1、R2およびR3はそれぞれ水
素原子または有機基であり、gは0または1の数、R4
は置換または無置換の二価の有機基であって、R1とR2
とは互いに結合していてもよい。また−COOVEは、
−COOHがビニルエーテルのC=Cの二重結合に付加
した基を示す。)
【0013】
【化13】
【0014】(式中のR5およびR6はそれぞれ水素原子
または有機基であり、互いに結合していてもよい。)
【0015】
【化14】
【0016】(式中のR1、R2およびR3はそれぞれ水
素原子または有機基であり、gは0または1の数、R4
は置換または無置換の二価の有機基であって、R1とR2
とは互いに結合していてもよい。また−COOVEは、
−COOH基がビニルエーテルのC=Cの二重結合に付
加した基を示し、またR5およびR6はそれぞれ水素原子
または有機基であり、互いに結合していてもよい。)
【0017】〔2〕 A成分の式(1)で表される不飽
和カルボン酸誘導体が、下記式(4)で表わされるイタ
コン酸のビニルエーテル付加体または(5)で表される
マレイン酸のビニルエーテル付加体である不飽和カルボ
ン酸誘導体であり、B成分の式(2)で表されるリン含
有化合物が下記式(6)または(7)であり、A成分の
C=Cの1モル等量に対して、B成分を0.5〜2.0
モル等量の条件で付加反応させる前記〔1〕記載の、式
(8)(9)または(10)で表されるリン含有カルボ
ン酸誘導体の製造方法。
【0018】
【化15】
【0019】
【化16】
【0020】
【化17】
【0021】
【化18】
【0022】
【化19】
【0023】
【化20】
【0024】
【化21】
【0025】〔3〕 反応条件が次の条件である前記の
〔1〕または〔2〕に記載のリン含有カルボン酸誘導体
(C成分)の製造方法。 <反応条件>; モル比がC=C二重結合の1等量に対してリン化合物が
0.5〜2.0等量、反応温度が室温〜140℃、無溶
媒もしくは溶媒が酢酸メトキシプロピルもしくはキシレ
ンである、無触媒もしくは反応触媒が、酸触媒、塩基触
媒、金属触媒、よびラジカル発生剤よりなる群から選択
される1種または2種以上を用いる。
【0026】〔4〕反応触媒が、塩基触媒または、金属
触媒である前記〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載のリン
含有カルボン酸誘導体(C成分)の製造方法。
【0027】〔5〕 反応後、溶媒抽出してなる液体ク
ラマトグラフィー純度が90%以上であるリン含有カル
ボン酸誘導体(C成分)の精製方法。
【0028】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て詳細に説明する。本発明の製造方法は、下記式(1)
で表される、少なくとも分子中に1つ以上のC=C二重
結合(a1)とカルボキシル基がビニルエーテルに付加
したヘミアセタール基(a2)を有する不飽和カルボン
誘導体(A成分)と、下記式(2)で表されるリン含有
化合物(B成分)とを用いて、C=C二重結合にリン化
合物を付加させることを特徴とする方法である。この反
応を次式(11)に示す。
【0029】
【化22】
【0030】ここで、分子中に少なくとも1つ以上の、
C=C二重結合(a1)と、カルボキシル基がビニルエ
ーテルの二重結合に付加したヘミアセタール基(a2)
を有する不飽和カルボン酸誘導体は、便宜的に式(1)
で表される。
【0031】
【化23】
【0032】ここで、式中のR1、R2およびR3はそれ
ぞれ水素原子または有機基であり、gは0または1の
数、R4は置換または無置換の二価の有機基であって、
1とR2とは互いに結合していてもよい。また−COO
VEは、−COOH基がビニルエーテルのC=Cの二重
結合に付加したヘミアセタール基を示している。また、
1、R2およびR3の有機基は、それぞれ独立に−CO
OVE基を有していてもよい。また、gが0の場合に
は、C=C結合の炭素に−COOVE基が直接結合して
いることを示す。
【0033】また、この不飽和カルボン酸誘導体の二重
結合に付加させるリン含有化合物は、下記式(2)で表
される。
【0034】
【化24】
【0035】ここで、式中のR5およびR6はそれぞれ水
素原子または有機基であり、互いに結合していてもよ
い。
【0036】また、得られるリン含有カルボン酸誘導体
は、次式(3)で表される。
【0037】
【化25】
【0038】ここで、式中のR1、R2、R3、R4、g、
−COOVE、R5およびR6は、前記と同じものを示
す。本発明で用いられる二重結合を有するカルボン酸誘
導体の原料となる、カルボン酸としては、例えば、アク
リル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、メサコ
ン酸、シトラコン酸、イタコン酸、シクロヘキセンカル
ボン酸などの炭素数2〜10の脂肪族不飽和カルボン酸
またはその誘導体などが挙げられる。さらに例えば、ジ
カルボン酸2モルが1モルのジアルコールにの両末端に
エステル化している化合物等が挙げられる。
【0039】カルボキル基に付加させる(ブロック化と
いう場合もある)ビニルエーエルとしては、脂肪族モノ
ビニルエーテル、脂環式モノビニルエーテル、環状化合
物ビニルエーテル、ヒドロキシビニルエーテル等が挙げ
られる。脂肪族モノビニルエーテルとしては、例えば、
メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、イソプ
ロピルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、
n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテ
ル、tert−ブチルビニルエーテル、2−エチルヘキ
シルビニルエーテル等が挙げられる。脂環式ビニルエー
テルとしては、例えば、シクロヘキシルモノビニルエー
テルが挙げられる。
【0040】さらには、環状化合物ビニルエーテルとし
て、例えば、2,3−ジヒドロフラン、3,4−ジヒド
ロフラン、2,3−ジヒドロ−2H−ピラン、3,4−
ジヒドロ−2H−ピラン、3,4−ジヒドロ−2−メト
キシ−2H−ピラン、3,4−ジヒドロ−4,4−ジメ
チル−2H−ピラン−2−オン、3,4−ジヒドロ−2
−エトキシ−2H−ピラン、3,4−ジヒドロ−2H−
ピラン−2−カルボン酸ナトリウムなどの環状ビニルエ
ーテル化合物が挙げられる。これらのなかでも、原料の
入手性や変性カルボン酸誘導体の解離温度等の点からn
−プロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテ
ル、2−エチルヘキシルビニルエーテルが好ましく挙げ
られる。また、ヒドロキシビニルエーテルとしては、ヒ
ドロキシメチルビニルエーテル、ヒドロキシエチルビニ
ルエーテル、ヒドロキシプロピルビニルエーテル、ヒド
ロキシブチルビニルエーテル、ヒドロキシペンチルビニ
ルエーテル、ヒドロキシヘキシルビニルエーテル、ヒド
ロキシヘプチルビニルエーテル、ヒドロキシオクチルビ
ニルエーテル、ヒドロキシノニルビニルエーテル、4−
ヒドロキシシクロへキシルビニルエーテル、3−ヒドロ
キシシクロへキシルビニルエーテル、2−ヒドロキシシ
クロへキシルビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノ
ールモノビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビ
ニルエーテル、トリエチレングリコールモノビニルエー
テル、テトラエチレングリコールモノビニルエーテルな
どが挙げられる。また、前記のビニルエーテルは1種単
独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。これ
らの中では、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエ
ーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、ヒドロキ
シヘキシルビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノー
ルモノビニルエーテル等が入手性及びカルボン酸との反
応性の点から好ましく挙げられる。
【0041】前記のC=C二重結合を有するカルボン酸
誘導体は、前記のC=C二重結合を有するカルボン酸化
合物と前記のビニルエーテルを10℃から170℃の温
度範囲で反応させることで容易にかつ収率良く得ること
ができる。前記のブロック酸のなかでも、イタコン酸と
のn−プロピルビニルエーテル付加物、マレイン酸との
n−プロピルビニルエーテル付加物が好ましく挙げら
れ、前記式(4)、(5)で表される。
【0042】その際の反応条件としては、カルボキシル
基の1モル等量に対する、ビニルエーテルのモル比とし
ては、0.5〜3.0モル等量、より好ましくは、0.
7〜2.0モル等量が挙げられる。ここで、カルボン酸
誘導体合成終了後にビニルエーテルが残存する条件の場
合には、不純物低減のためリン化合物との合成反応の前
にビニルエーテルを除去することが好ましい。
【0043】この際、反応を促進させる目的で、酸性リ
ン酸エステルが挙げられる。より具体的には、n−プロ
パノール、n−ブタノール、n−ヘキサノール、n−オ
クタノール、2−エチルヘキサノールといった第一級ア
ルコール類、及びイソプロパノール、2−ブタノール、
2−ヘキサノール、2−オクタノール、シクロヘキサノ
ールといった第二級アルコール類のリン酸モノエステル
類あるいはリン酸ジエステル類が挙げられる。これらの
酸触媒は、1種又は2種以上を組合わせて用いることが
できる。酸触媒の使用量は、特に制限ないが、カルボン
酸とビニルエーテルの合計量100重量部に対して、通
常0.01〜5重量部が好ましく、特に0.1〜1重量
部が好ましい。
【0044】また、反応系を均一にし、反応を容易にす
る目的で有機溶媒も使用することができる。そのような
有機溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン等の芳
香族炭化水素;ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエ
ーテル類、酢酸アルキルエステル等のエステル類;アセ
トン、メチルエチルケトン等のケトン類;ジメチルスル
ホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド等が挙げられ
る。これらの有機溶媒は、1種又は2種以上を組合わせ
て用いることができる。また、これらの溶媒量として
は、特に限定されないが、原料であるカルボン酸とビニ
ルエーテルの合計量100部に対して、5〜95重量
部、より好ましくは20〜80重量部が挙げられる。
【0045】B成分のリン化合物としては、前記の式
(2)で表される構造を有していればよく、R5、R
6は、有機基であり、例えば、置換もしくは無置換の環
状の炭化水素基、置換もしくは無置換の直鎖または分岐
の炭化水素基、あるいはエーテル酸素に結合する置換も
しくは無置換の環状の炭化水素基、(−O−R7、−O
−R8基で表され、R7、R8とは互いに結合していても
よい。)、等が挙げられる。
【0046】式(2)で表されるリン含有化合物のR5
あるいはR6としては、メチル基、エチル基、n−プロ
ピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−
ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n
−ヘキシル基、iso−ヘキシル基、n−ヘプチル基、
iso−ヘプチル基、n−オクチル基、iso−オクチ
ル基、n−ドデシル基、iso−ドデシル基、n−オク
タデシル基、iso−オクタデシル基等の分岐または直
鎖の炭化水素基が挙げられ、さらにこれらの基がエーテ
ル酸素の結合したアルキルオキシ基が挙げられる。また
さらに、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、フェニ
ル基、ベンジル基等の環状の基または芳香族の基が挙げ
られ、さらにこれら環状の基または芳香族の基がエーテ
ル酸素に結合した基が挙げられる。さらに、R5とR6
が互いに結合していてもよい。特に式(6)の化合物お
よび式(7)の化合物がより好ましいものとして挙げら
れる。
【0047】
【化26】
【0048】
【化27】
【0049】本発明のリン含有カルボン酸誘導体は、上
記カルボン酸誘導体とリン含有化合物とを室温ないし1
40℃の範囲の温度で反応させることにより得ることが
できる。反応温度は、好ましくは、40〜120℃であ
る。さらに好ましくは50〜100℃である。反応温度
が室温より低いと反応速度が低くなるため反応に時間を
要し好ましくなく、反応温度が140℃より高いと、着
色が著しくなるので好ましくない。この際、無触媒でも
反応は起こるが、反応を促進させる目的で、酸触媒、塩
基触媒、金属錯体触媒、あるいはラジカル発生剤等を使
用することができ、また、これらの組み合わせによる混
合触媒を用いてもよい。
【0050】前記の酸触媒としては、例えば、下記式
(12)
【0051】
【化28】
【0052】(式中のR9は炭素数3〜10のアルキル
基、シクロアルキル基又はアリール基、mは1又は2で
ある。)で表される酸性リン酸エステル化合物が挙げら
れる。
【0053】さらに具体的には、n−プロパノール、n
−ブタノール、n−ヘキサノール、n−オクタノール、
2−エチルヘキサノールといった第一級アルコール類、
及びイソプロパノール、2−ブタノール、2−ヘキサノ
ール、2−オクタノール、シクロヘキサノールなどの第
二級アルコール類のリン酸モノエステル類あるいはリン
酸ジエステル類が挙げられる。好ましくは、AP−8
(2−エチルヘキシルアッシドホスフェート;式(1
3))が挙げられる。
【0054】
【化29】
【0055】前記の塩基触媒としては、例えば、モノア
ミン類、ジアミン類、トリアミン類、ポリアミン類、環
状アミン類、アルコールアミン類、エーテルアミン類等
が挙げられるがこれに限るものではない。具体的にはト
リエチルアミン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミ
ン、N,N,N',N'−テトラメチルエチレンジアミ
ン、N,N,N',N'−テトラメチルプロパン−1,3
−ジアミン、N,N,N',N'−テトラメチルヘキサン
−1,6−ジアミン、N,N,N',N'',N''−ペン
タメチルジエチレントリアミン、N,N,N',N'',
N''−ペンタメチルジプロピレントリアミン、テトラメ
チルグアニジン、N,N−ジ(ポリオキシエチレン)ス
テアリルアミン、N,N−ジポリオキシエチレン牛脂ア
ルキルアミン、トリエチレンジアミン、N,N'−ジメ
チルピペラジン、N−メチル−N'−(2−ジメチルア
ミノ)−エチルピペラジン、N−メチルモルホリン、
1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセ−7−
エン、ピリジン、N−エチルモルホリン、N−(N',
N'−ジメチルアミノエチル)−モルホリン、1,2−
ジメチルイミダゾール、ジメチルアミノエタノール、ジ
メチルアミノエトキシエタノール、N,N,N'−トリ
メチルアミノエチルエタノールアミン、N−メチル−
N'−(2−ヒドロキシエチル)−ピペラジン、N−
(2−ヒドロキシエチル)−モルホリン、ビス−(2−
ジメチルアミノエチル)エーテル、エチレングリコール
ビス−(3−ジメチルアミノプロピル)エーテル等が挙
げられる。より好ましくは、ピリジン、1,8−ジアザ
ビシクロ[5.4.0]ウンデセ−7−エンが挙げられ
る。
【0056】前記の金属錯体触媒としては、中心金属に
有機配位子が配位した有機金属錯体が挙げられる。中心
金属としては、例えば鉄、ニッケル、コバルト、ルテニ
ウム、ロジウム、パラジウム、白金、イリジウムが挙げ
られる。これらのうち、好ましくは、ルテニウム、ロジ
ウム、パラジウム、白金であり、より好ましくは、パラ
ジウムである。
【0057】金属錯体としては種々の構造のものを用い
ることができるが、好適なものは、いわゆる低原子価の
金属錯体であり、特に3級ホスフィンや3級ホスファイ
トを配位子とするゼロ価錯体が好ましい。また、反応系
中で容易にゼロ価パラジウム錯体に変換される適当な前
駆錯体を用いることも好ましい態様である。さらに、3
級ホスフィンや3級ホスファイトを配位子として含まな
い金属錯体と3級ホスフィンや3級ホスファイトを反応
系中で混合し、3級ホスフィンまたは3級ホスファイト
を配位子とする低原子価パラジウム錯体を発生させてそ
のまま触媒として用いる方法も好ましい態様である。こ
れらのいずれかの方法で有利な性能を発揮する配位子と
しては、種々の3級ホスフィンや3級ホスファイトを挙
げることができる。好適に用いることができる配位子を
例示すると、トリフェニルホスフィン、ジフェニルメチ
ルホスフィン、フェニルジメチルホスフィン、トリメチ
ルホスフィン、トリエチルホスフィン、ジフェニルシク
ロヘキシルホスフィン、フェニルジシクロヘキシルホス
フィン、1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタ
ン、トリメチルホスファイト、トリフェニルホスファイ
ト等が挙げられる。これに組み合わせて用いられる、3
級ホスフィンや3級ホスファイトを配位子として含まな
い錯体としては、ビス(ベンジリデンアセトン)パラジ
ウム、酢酸パラジウム等が挙げられるが、これらに限定
されるものではない。また、好適に用いられるホスフィ
ンまたはホスファイト錯体としては、ジメチルビス(ト
リフェニルホスフィン)パラジウム、ジメチルビス(ジ
フェニルメチルホスフィン)パラジウム{cis−Pd
Me2(P・ph2・Me)2と略す}、ジメチルビス(ト
リエチルホスフィン)パラジウム、(エチレン)ビス
(トリフェニルホスフィン)パラジウム、テトラキス
(トリフェニルホスフィン)パラジウム等が挙げられ
る。また、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パ
ラジウムのような2価錯体を、ブチルリチウムのような
還元剤で処理してそのまま用いてもよい。より好ましく
は、ジメチルビス(ジフェニルメチルホスフィン)パラ
ジウム{cis−PdMe2(P・ph2・Me)2と略
す}が挙げられる。
【0058】前記のラジカル発生剤としては、例えば、
アセチルパーオキサイド,イソブチルパーオキサイド,
オクタノイルパーオキサイド,デカノイルパーオキサイ
ド等のジアシルパーオキサイド類;ジイソプロピルパー
オキシジカルボネート,ジ−2−エチルヘキシルパーオ
キシジカーボネート等のパーオキシジカーボネート類;
t−ブチルパーオキシイソブチレート,t−ブチルパー
ピバレート、1,1,3,3−テトラブチルパーオキシ
−2−エチルへキサネート等のパーオキシエステル類;
2,2´−アゾビス(2−メチルプロピルニトリル),
2,2´−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリ
ル),ジメチル−2,2´−アゾビス(2−メチルプロ
ピオネイト)等のアゾビス類等が挙げられる。好ましく
は、1,1,3,3−テトラブチルパーオキシ−2−エ
チルへキサネートが挙げられる。
【0059】また、反応系を均一にし、反応を容易にす
る目的で有機溶媒も使用してもよい。そのような有機溶
媒としては、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、
エチルベンゼン、芳香族石油ナフタ、テトラリン、テレ
ビン油、ソルベッソ#100(エクソン化学(株)登録
商標)ソルベッソ#150(エクソン化学(株)登録商
標)等の芳香族炭化水素;ジオキサン、テトラヒドロフ
ラン等のエーテル類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n
−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル、酢酸
イソブチル、酢酸第二ブチル、酢酸アミル、酢酸メトキ
シブチル、酢酸メトキシプロピル(PMAc)等のエステ
ル及びエーテルエステル類;アセトン、メチルエチルケ
トン、メチルイソブチルケトン、メチルアミルケトン、
シクロヘキサノン、イソホロン、メシチルオキサイド、
メチルイソアミルケトン、エチル−n−ブチルケトン、
エチルアミルケトン、ジイソブチルケトン、ジエチルケ
トン、メチルプロピルケトン、ジイソブチルケトン等の
ケトン類;トリメチルホスフェート、トリエチルホスフ
ェート、トリブチルホスフェート等のリン酸エステル
類;ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムア
ミド等が挙げられる。より好ましくは、酢酸メトキシプ
ロピル(PMAc)等のエステル、キシレン等の芳香族炭
化水素が挙げられる。前記の溶媒の使用量は、全仕込み
量の0〜50重量%が好ましい。前記のカルボン酸やビ
ニルエーテルの種類などを選択することにより、ブロッ
ク化したカルボン酸の生成物が液状となる場合があり、
無溶媒で反応できるので、1段で高濃度で目的物を得る
ことができる。
【0060】本発明のリン含有カルボン酸誘導体は、上
記カルボン酸誘導体とリン含有化合物とを反応させるこ
とにより得られるが、カルボン酸誘導体とリン化合物と
の仕込み比は、カルボン酸誘導体のC=C二重結合の1
モル等量に対してリン化合物を0.5〜2モルにするこ
とが好ましい。カルボン酸誘導体のC=C二重結合の1
モル等量に対してリン化合物が0.5モル未満の場合は
反応終了後カルボン酸誘導体が過剰に残存するため好ま
しくない。一方、リン化合物が2モル等量より多い場合
は反応終了後リン化合物が過剰に残存するため好ましく
ない。
【0061】反応に要する時間は、触媒の有無、触媒の
種類、反応温度、カルボン酸誘導体とリン化合物との仕
込み比等の反応条件に依存するが、触媒が存在する場合
には8時間以内、触媒が存在しない場合には24時間以
内の反応が好ましい。これ以上反応を続けると、カルボ
ン酸誘導体が分解しカルボン酸化合物が生成するため好
ましくない。
【0062】
【発明の効果】以上の実施形態により発揮される効果を
以下にまとめて記載する。本発明の製造方法は、原料で
あるカルボン酸をビニルエーテルと反応させて誘導体と
することにより、原料の融点が下がり、液体となるため
に、従来のリン含有カルボン酸化合物を得てからビニル
エーテルで変性させる合成法に比べ以下の優位性があ
る。 1)カルボン酸誘導体が液体であるため、合成系の粘度
を低く設定できる。 2)カルボン酸誘導体が液体であるため、反応温度を低
く設定することができる。 3)カルボン酸誘導体が液体であるため、反応速度が速
く、短時間で反応が終了する。 4)カルボン酸誘導体が液体であるため、無溶剤系での
反応が可能である。 5)反応温度を低く設定することができるため、副生成
物の生成量が少なく、精製が容易であるという利点もあ
る。 6)この合成法により、新規なリン含有カルボン酸誘導
体を簡便に合成することが可能である。
【0063】
【実施例】次に、実施例によって本発明をさらに具体的
に説明する。前記式(6)の化合物は、9,10−デヒ
ドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナンスレン−1
0−オキシド(9,10−Dihydro−9−oxa
−10−phosphaphenanthrene−1
0−oxide)(三光(株)社製品、商品名、SAN
KO-HCA)であり、以下HCAと略す。以下に用い
た測定方法、評価方法を示す。 1.〈IRの測定条件〉 機種;日本分光(株)社製 FT/IR−600 セル;臭化カリウムを用いた錠剤法 分解;4cm-1 積算回数;16回 2.〈1H−NMRの測定条件〉 機種;日本ブルカー(株)社製 400MHzのAdv
ance400 積算回数;16回 溶媒;CDCl3、TMS基準 3.〈酸価の測定〉 JIS K 0070−3(1992)の方法に準じて
測定する。 4.〈生成率及び純度の測定〉 液クロマトグラフィー(以下LCと略す)により定量し
換算した。 LCの測定条件; 機種:東ソー(株)社製、SC−8010、 カラム:ジーエルサイエンス(株)社製、イナートシル
ODS−3、 溶離液:メチルイソブチルケトン、 検出器:UV。 5.溶解性試験;バイヤル瓶にそれぞれの試料1重量部
と各種溶媒9重量部を加え、ローターを用いて室温で1
時間攪拌する。攪拌後、目視にて溶解性を確認する。結
果の評価は、○は溶解したことを意味し、×は溶解しな
かったことを意味する。
【0064】合成例1;イタコン酸誘導体(B−IA)
の合成 還流冷却器、攪拌機、温度計を備えた4つ口フラスコ
に、C=C二重結合を有するカルボン酸化合物としてイ
タコン酸 38.6重量部、n−プロピルビニルエーテ
ル(n−PVE) 61.4重量部を仕込み、これを8
5℃で3時間反応させた。サンプリングし酸価を測定し
たところ2.8mgKOH/gであり、その酸価より算
出した反応率は99%であった。その後、エバポレータ
ー(20mmHg、60℃、1時間)により未反応のn
−プロピルビニルエーテルを除去した。得られた生成物
(B−IA)は、淡黄色透明の液体であった。
【0065】合成例2;マレイン酸誘導体(B−MA)
の合成 合成例1のC=C二重結合を有するカルボン酸化合物と
してイタコン酸 38.6重量部の代わりに、マレイン
酸25.2重量部、n−プロピルビニルエーテル 3
8.6重量部の代わりに、74.8重量部を用い、反応
温度35℃で4時間反応させた以外は合成例1と同様に
して目的物を反応した。サンプリングし酸価を測定した
ところ2.5mgKOH/gであり、その酸価より算出
した反応率は98%であった。その後、エバポレーター
(20mmHg、60℃、1時間)により未反応のn−
プロピルビニルエーテルを除去した。得たれた生成物
(B−MA)は、淡黄色透明の液体であった。
【0066】実施例1 還流冷却器、攪拌機、温度計を備えた4つ口フラスコ
に、C=C二重結合を有するカルボン酸誘導体として合
成例1で得たB−IA 58.5重量部、HCA41.
5重量部を仕込み、これを120℃で16時間反応させ
た。サンプリングし、LC分析によりリン含有カルボン
酸誘導体の生成率を計算したところ、54重量%であっ
た。
【0067】実施例2 C=C二重結合を有するカルボン酸誘導体として実施例
1で得たB−IA 60.9重量部、ジブチルハイドロ
ジエンホスファイト(以下DBP) 39.1重量部を
用い、これを120℃で16時間反応させた以外は実施
例1と同様にして目的のリン含有カルボン酸誘導体を得
た。サンプリングし、LC分析によりリン含有カルボン
酸誘導体の生成率を計算したところ、61重量%であっ
た。
【0068】実施例3 C=C二重結合を有するカルボン酸誘導体として合成例
2で得たB−MA 57.1重量部、HCA 42.9
重量部を用いた以外は実施例2と同様にして目的のリン
含有カルボン酸誘導体を得た。サンプリングし、LC分
析によりリン含有カルボン酸誘導体の生成率を計算した
ところ68重量%であった。
【0069】実施例4 C=C二重結合を有するカルボン酸誘導体として合成例
1で得たB−IA 46.7重量部、HCA 33.3
重量部、PMAc 20重量部を仕込み、これを120
℃で12時間反応させた以外は実施例 と同様にして目
的のリン含有カルボン酸誘導体を得た。サンプリング
し、LC分析によりリン含有カルボン酸誘導体の生成率
を計算したところ71重量%であった。
【0070】実施例5 C=C二重結合を有するカルボン酸誘導体として合成例
1で得たB−IA 58.5重量部、HCA 41.5
重量部、AP−8(酸性リン酸エステル:大八化学
(株)社製) 0.5重量部を仕込み、これを70℃で
4時間反応させた以外は実施例1と同様にして目的のリ
ン含有カルボン酸誘導体を得た。サンプリングし、LC
分析によりリン含有カルボン酸誘導体の生成率を計算し
たところ58重量%であった。
【0071】実施例6 C=C二重結合を有するカルボン酸誘導体として合成例
1で得たP−IA 58.5重量部、HCA 41.5
重量部、ピリジン 0.5重量部を仕込み、これを70
℃で3時間反応させた以外は実施例1と同様にして目的
のリン含有カルボン酸誘導体を得た。サンプリングし、
LC分析によりリン含有カルボン酸誘導体の生成率を計
算したところ87重量%であった。
【0072】実施例7 C=C二重結合を有するカルボン酸誘導体として合成例
1で得たB−IA 58.5重量部、HCA 41.5
重量部、cis−PdMe2(PPh2Me)20.1重
量部を仕込み、これを60℃で3時間反応させた以外は
実施例1と同様にして目的のリン含有カルボン酸誘導体
を得た。サンプリングし、LC分析によりリン含有カル
ボン酸誘導体の生成率を計算したところ92重量%であ
った。
【0073】実施例8 C=C二重結合を有するカルボン酸誘導体として合成例
1で得たB−IA 58.5重量部、HCA 41.5
重量部、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキ
シ−2−エチルヘキサネート(ラジカル発生剤:日本油
脂(株)社製、商品名パーオクタ―O) 5重量部を仕込
み、これを70℃で6時間反応させた以外は実施例1と
同様にして目的のリン含有カルボン酸誘導体を得た。サ
ンプリングし、LC分析によりリン含有カルボン酸誘導
体の生成率を計算したところ54重量%であった。以下
に、実施例1〜8の反応条件、及び生成率を表1に示
す。
【0074】
【表1】
【0075】実施例9;<精製方法> 分液ロートに実施例6で得た反応生成物 50重量部、
キシレン 10重量部、1N−水酸化カリウム水溶液
40重量部を加えて十分に攪拌した後、有機層を抽出し
た。有機層にシリカゲル0.5重量部、無水硫酸マグネ
シウム 2.5重量部を加え室温にて10分間攪拌して
乾燥した後、ポリフロンフィルター(アドバンテック東
洋(株)社製、No.PF100)によりろ過し、ろ液
の重量を測定し換算したところ回収率は84%であっ
た。LCにより純度を測定したところ、リン含有カルボ
ン酸誘導体の純度は96重量%であり、残り4重量%の
不純物は原料であるB−IAであった。これをエバポレ
ーターで脱溶媒して、高純度の目的のリン含有カルボン
酸誘導体を得た。生成物のIR及び1H−NMR測定を
行った。それぞれのチャートは図1および2に示す。実
施例6および9で得られた生成物を用いて、前記の溶解
性試験を行った。その結果を表2に示す。
【0076】
【表2】
【0077】以上の結果より本発明の実施例1〜8にお
いては、高純度で、収率よく、目的物が得られ、また実
施例9においては、生成物を90重量%以上の高純度ま
で精製できることがわかる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は実施例9で得たリン含有カルボン酸誘
導体のIRスペクトルである。
【図2】 図2は実施例9で得たリン含有カルボン酸誘
導体の1H−NMRのスペクトルである。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記式(1)で表される、少なくとも分子
    中に1つ以上のC=C二重結合(a1)とカルボキシル
    基がビニルエーテルに付加した基(a2)を有する不飽
    和カルボン誘導体(A成分)と、下記式(2)で表され
    るリン含有化合物(B成分)とを用いて、C=C二重結
    合にリン化合物を付加させることを特徴とする、下記式
    (3)で表されるリン含有カルボン酸誘導体(C成分)
    の製造方法。 【化1】 (式中のR1、R2およびR3はそれぞれ水素原子または
    有機基であり、gは0または1の数、R4は置換または
    無置換の二価の有機基であって、R1とR2とは互いに結
    合していてもよい。また−COOVEは、−COOHが
    ビニルエーテルのC=Cの二重結合に付加した基を示
    す。) 【化2】 (式中のR5およびR6はそれぞれ水素原子または有機基
    であり、互いに結合していてもよい。) 【化3】 (式中のR1、R2およびR3はそれぞれ水素原子または
    有機基であり、gは0または1の数、R4は置換または
    無置換の二価の有機基であって、R1とR2とは互いに結
    合していても良い。また−COOVEは、−COOH基
    がビニルエーテルのC=Cの二重結合に付加した基を示
    し、またR5およびR6はそれぞれ水素原子または有機基
    であり、互いに結合していてもよい。)
  2. 【請求項2】A成分の式(1)で表される不飽和カルボ
    ン酸誘導体が、下記式(4)で表わされるイタコン酸の
    ビニルエーテル付加体または(5)で表されるマレイン
    酸のビニルエーテル付加体である不飽和カルボン酸誘導
    体であり、B成分の式(2)で表されるリン含有化合物
    が下記式(6)または(7)であり、A成分のC=Cの
    1モル等量に対して、B成分を0.5〜2.0モル等量
    の条件で付加反応させる請求項1記載の、式(8)
    (9)または(10)で表されるリン含有カルボン酸誘
    導体の製造方法。 【化4】 【化5】 【化6】 【化7】 【化8】 【化9】 【化10】
  3. 【請求項3】反応条件が次の条件である請求項1または
    2に記載のリン含有カルボン酸誘導体(C成分)の製造
    方法。 <反応条件>;モル比が、C=C二重結合の1等量に対
    してリン化合物が0.5〜2.0モル等量、反応温度
    が、室温〜140℃、無溶媒もしくは溶媒が酢酸メトキ
    シプロピルもしくはキシレンである、無触媒もしくは反
    応触媒が、酸触媒、塩基触媒、金属触媒およびラジカル
    発生剤よりなる群から選択される1種または2種以上を
    用いる。
  4. 【請求項4】反応触媒が、塩基触媒または、金属触媒で
    ある請求項1〜3のいずれか1項に記載のリン含有カル
    ボン酸誘導体(C成分)の製造方法。
  5. 【請求項5】反応後、溶媒抽出してなる液体クラマトグ
    ラフィー純度が90%以上であるリン含有カルボン酸誘
    導体(C成分)の精製方法。
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