JP2003239986A - 玉軸受 - Google Patents

玉軸受

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JP2003239986A
JP2003239986A JP2002035451A JP2002035451A JP2003239986A JP 2003239986 A JP2003239986 A JP 2003239986A JP 2002035451 A JP2002035451 A JP 2002035451A JP 2002035451 A JP2002035451 A JP 2002035451A JP 2003239986 A JP2003239986 A JP 2003239986A
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radius
cage
outer ring
ring raceway
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Yoichiro Sugimori
庸一郎 杉森
Takashi Ogawa
隆司 小川
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NSK Ltd
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NSK Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 保持器音の低減、低振動化、低トルク化及び
音響耐久性の改善を図った玉軸受を提供する。 【解決手段】 内周面に外輪軌道を有する外輪と、外周
面に内輪軌道を有する内輪と、外輪軌道と内輪軌道との
間に転動自在に設けた複数個の玉と、複数個の玉を転動
自在に保持する保持器とを備え、外輪軌道と内輪軌道と
の間の空間内にグリースを封入した玉軸受において、前
記保持器のポケット内周面が、前記玉の曲率半径よりも
僅かに大きな曲率半径の球状凹面からなる球面部と、前
記球面部よりも大きな曲率半径を有し、かつ前記球面部
の端縁から前記各ポケットの開口側端縁に向けて滑らか
に連続する曲面部とから構成されるとともに、前記内輪
軌道の断面形状の曲率半径及び前記外輪軌道の断面形状
の曲率半径が、前記転動体の外径の51.0〜60.0
%未満であり、かつ前記外輪軌道の断面形状の曲率半径
が前記内輪軌道の断面形状の曲率半径以上である玉軸
受。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、一般産業用に使用
される各種モータ用玉軸受に関し、特に保持器音の低
減、低振動化、低トルク化及び音響耐久性の改善を図っ
た玉軸受に関する。
【0002】
【従来の技術】一般産業用として、例えば空気調整装置
(以下、「エアコンディショナー」と称する)用の駆動
用モータ装置が挙げられる。このエアコンディショナー
は近年、高性能化や多機能化が進み、例えばインバータ
制御により、高速運転により急速冷却して短時間で室内
温度を下げた後は、低速運転で部屋の温度を一定に維持
することが行われている。それに伴って低速運転時に
は、空気の吹き出し音や、モータの回転音等を抑えた低
騒音運転が要求されている。しかし、低速運転時には装
置内部の冷却効率が低下してモータに組み込まれた転が
り軸受の温度は100〜120℃前後まで上昇すること
があり、また潤滑による油膜厚の確保が難しくなり、軸
受に封入したグリースが劣化しやすくなる。そして、劣
化が進行すると騒音が発生する。
【0003】また、エアコンディショナーに使用される
室外機においては、冬季等の低温環境における運転起動
時の軸受初期音響(保持器音)が問題になることがあ
る。
【0004】一方で、上記した高性能化・多機能化と同
時に環境規制にも配慮し、モータからの発熱を抑制する
ために小型化、低出力化が促進されている。このため、
これらの用途に使用される転がり軸受では、トルク特性
が重要な機能として求められている。転がり軸受の動摩
擦トルクは、転がり接触面の微少滑りによる摩擦、軸受
内の滑り接触部における滑り摩擦、グリースの粘性抵抗
が原因で発生する。このうちグリースの粘性抵抗は、基
油の動粘度およびグリースのちょう度に影響を受けるこ
とが知られている。従って、基油の動粘度は流体潤滑膜
が形成された際の油のせん断抵抗によるため、この動粘
度の低減が転がり軸受の動摩擦トルクを低減させる上で
大きな解決策となる。また、グリースのちょう度は軸受
回転時、軸受内部でせん断を受ける際のチャネリング性
に関わるため、このちょう度を低減することも効果的で
ある。
【0005】しかしながら、基油の動粘度を低減させる
と、上記したように、エアコンディショナーのモータで
は、インバータ制御により比較的低速で運転されること
があるために油膜厚の確保が難しくなる。また、一般に
動粘度が低い油は耐熱性が低く、音響耐久性に問題が出
てくる。一方、グリースのちょう度を低減させることは
増ちょう剤の配合量の増加を招くため、グリース中の基
油の量が相対的に少なくなり、またグリースの機械的せ
ん断の抵抗力が高まるため、結果として軸受潤滑面への
基油の供給量が減り、潤滑性を長期にわたり安定に維持
することができなくなる。
【0006】このように基油動粘度及びグリースちょう
度の低減には限度があり、上記した用途の転がり軸受で
は、40℃における基油動粘度が10〜500mm2
s、グリースのちょう度がNLGINo.2〜3グレー
ド、もしくは増ちょう剤配合量として5〜20質量%の
範囲のグリースが適当とされている。また、特に低騒音
特性、即ち音響耐久性が要求されるモータでは、基油とし
て、極性基含有潤滑油もしくは、この極性基含有潤滑油
と無極性潤滑油との混合油を用い、これに脂肪酸リチウ
ム塩を増ちょう剤として配合したグリースが使用されて
いる。極性基含有潤滑油としては、エステル油やエーテ
ル油が一般的に使用される。エステル油やエーテル油
は、無極性潤滑油(例えば鉱油)に比べて耐熱性が高
く、その分子構造中に極性基を有しており、この極性基
が金属表面への吸着性を高めて摩耗特性を良好にし、音
響耐久性を向上させる作用を有する。
【0007】一方、上記用途に使用される転がり軸受と
して、例えば図1に示すような玉軸受が知られている。
この玉軸受は、外周面に内輪軌道1を有する内輪2と内
周面に外輪軌道3を有する外輪4とを同心に配置し、内
輪軌道1と外輪軌道3との間に、複数個の玉5、5を転
動自在に設けてなる。図示の例の場合、内輪軌道1と外
輪軌道3とは、共に深溝型としている。また、玉5、5
は、保持器6に設けたポケット7、7内に、転動自在に
保持されている。
【0008】また、保持器6は、波形プレス保持器と呼
ばれるもので、それぞれが金属板材をプレス成形する事
により造られる、波形で円環状に形成された1対の素子
8、8を組み合わせてなる。これら両素子8、8は、そ
れぞれの円周方向複数個所に、各ポケット7、7を構成
するための、略半円筒状の凹部9、9を形成している。
そして、この1対の素子8、8同士をこれら各凹部9、
9から外れた部分で突き合わせ、これら各部分を複数の
リベット10により結合固定して、円環状で円周方向複
数個所にポケット7、7を有する保持器6としている。
また、各凹部9、9の内面中間部は、各玉5、5の外面
の曲率半径よりも僅かに大きな曲率半径を有する、断面
円弧状の球状凹面としている。この為、1対の素子8、
8を突き合わせると、上記凹部9、9が組み合わされて
ポケット7、7を構成する。
【0009】上記玉軸受は、使用時には、玉5、5の転
動に伴って、内輪2と外輪4との相対回転が自在とな
る。その際、玉5、5は、自転しつつ内輪2の周囲を公
転する。また、保持器6は、各玉5、5の公転速度と同
じ速度で、内輪2の周囲を回転する。
【0010】内輪2の外周面と外輪4の内周面との間部
分には、グリースその他の潤滑油等の潤滑剤を充填もし
くは連続的に供給して、上記の相対回転が円滑に行なわ
れるようにしてある。そして、玉軸受に振動や騒音が生
じないようにするとともに、焼き付き等の故障を防止す
る。尚、エアコンディショナー用玉軸受では、シール板
やシールド板等の密封部材により、内輪2の外周面と外
輪4の内周面との間の空間の両端開口を塞ぎ、この空間
から潤滑剤が漏洩したり、あるいこの空間内に塵芥等の
異物が進入するのを防止する場合もある。但し、図1に
はこの様な密封部材を持たない玉軸受を示している。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上述した玉
軸受の場合、必要量の潤滑剤を充填若しくは供給して
も、保持器6に振動が誘発されて玉軸受には保持器音と
呼ばれる騒音や振動が発生する場合がある。このような
保持器6の振動は、保持器6の玉5、5に対する動き量
が大きいことに起因して、各玉5、5と保持器6との間
の滑り摩擦に基づいて発生する。そこで、従来では、ポ
ケット7、7の内面と玉5、5の転動面との間の隙間を
小さくして、玉5、5に対する保持器6の動き量を小さ
くすることで保持器音の発生を抑えることが行なわれて
いる。
【0012】しかしながら、単に玉5、5に対する保持
器6の動き量を小さくしても、潤滑剤の供給が不十分な
場合のように運転条件が厳しい場合には、保持器6のポ
ケット7、7の内周面形状に起因して保持器音が発生す
る事がある。即ち、図1に示した従来の保持器6では、
ポケット7、7の内周面が、ほぼその全幅に亙って玉
5、5の転動面と摺接し得るため、これら内周面と転動
面との間に作用する摩擦力が大きくなる。この点につい
て、図7及び図8を参照してより詳しく説明する。
【0013】先ず、図1に示した従来構造の場合、ポケ
ット7、7の内周面は、図7及び図8に斜格子で示すよ
うに、凹部9、9の大部分がその全幅に亙って、玉5、
5(図1,図10)の転動面の曲率半径よりも僅かに大
きな曲率半径を有する保持案内面として機能する球面部
15、15になっている。このように、ポケット7、7
の内周面がその全幅に亙って保持案内面として機能する
球面部15になっていると、これら各ポケット7、7の
内周面と各玉5、5の転動面との摩擦面積が広くなり、
保持器6と玉5、5との滑り接触部分で発生する摩擦振
動が大きくなって、振動や騒音を誘発する。また、各ポ
ケット7、7がその全幅に亙って単一球面である球面部
15、15となっていた場合には、これら各ポケットの
球面部15、15の中心O15(図10)と、各ポケット
7、7内に保持した玉5、5の中心O5 (図10、図1
1)とがずれた場合には、玉5、5の転動面に付着した
潤滑剤が掻き取られて、上記振動や騒音が著しくなる。
この点について、図1に示したような波形プレス保持器
を例にして、図9〜図11を参照して詳しく説明する。
【0014】従来の保持器6は、各ポケット7、7を構
成する球面部15の曲率半径R15が、図9に示すよう
に、玉5の曲率半径R5 より僅かに大きな(R15>R
5 )、単一球面であった。また、保持器6の幅方向に関
する各ポケット7、7の内寸の1/2である、これら各
ポケット7、7の深さD7 は、図10に誇張して示すよ
うに、球面部15の曲率半径R15よりも少しだけ小さく
していた。
【0015】このような保持器6を組み込んだ玉軸受で
は、運転時に、各玉5の転動面と保持器6に設けた各ポ
ケット7の内周面とが当接し、これら各玉5は、自転し
つつこの保持器6と同一速度で公転する。しかし、各玉
5は、内輪軌道1及び外輪軌道3(図1)の形状誤差、
あるいは玉5自身の相互差及び玉軸受の傾き(内輪2と
外輪4との中心軸のずれ)等によって、全ての玉5の公
転速度が完全に一致する事はなく、玉5毎に微小な遅れ
や進みを生ずる。その結果、各玉5と保持器6との間
で、玉5が保持器6を公転方向に押す場合と、逆に保持
器6が玉5を押す場合とが生ずる。何れの場合も、玉5
の転動面はポケット7の内周面を構成する球面部15と
接触する。即ち、これら各球面部15の曲率半径R
15は、各玉5の曲率半径R5 よりも大きいので、保持器
6は、図10に示すように、これら曲率半径R15、R5
の相違に基づく隙間分だけ半径方向に変位する。そし
て、この状態で、各玉5の転動面と各ポケット7を構成
する球面部15とが摺接する。即ち、この状態では、図
10及び図11に示すように、各ポケット7を構成する
球面部15と玉5の転動面とは、保持器6の幅方向(図
10の上下方向、図11の左右方向)の両側で、ポケッ
ト7の円周方向中央部から円周方向端部に向けてずれた
2点P1 、P2 で摺接する。
【0016】上記曲率半径R15、R5 の相違に基づく隙
間に基づき、保持器6のポケット7の中心O7 が、図1
1に示すように、玉5の中心O5 よりも内径側にずれた
場合には、玉5の転動面のうち、保持器6の外径寄り部
分と、ポケット7の内周面を構成する球面部15の保持
器6の外径寄り部分とが摺接する。そのため、玉軸受を
潤滑するために供給され、各玉5の転動面に付着したグ
リースや油等の潤滑剤が球面部15の端縁部で掻き取ら
れ、この潤滑剤が各ポケット7内に取り込まれずにポケ
ット7の外に押し出される。また、保持器6の円周方向
反対側では、玉5の転動面のうち、保持器6の内径寄り
部分と、ポケット7の内周面を構成する球面部15の保
持器6の内径寄り部分とが摺接する現象が発生し、やは
り潤滑剤の取り込み不良が生じる。
【0017】このような潤滑剤の取り込み不良が生じる
結果、各玉5の転動面と、保持器6のポケット7の内周
面を構成する球面部15との摺接部の滑り摩擦係数が増
加する。その結果、保持器6を組み込んだ玉軸受の摩擦
トルクが変動したり、あるいは増加し、更には運転時に
摩擦音が発生したり、場合によってはこの摩擦音が著し
くなる等の問題を生じる。
【0018】本発明はこのような状況に鑑みてなされた
ものであり、特に保持器音の低減、低振動化、低トルク
化及び音響耐久性の改善を図った玉軸受を提供すること
を目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は、内周面に外輪軌道を有する外輪と、外周
面に内輪軌道を有する内輪と、外輪軌道と内輪軌道との
間に転動自在に設けた複数個の玉と、複数個の玉を転動
自在に保持する保持器とを備え、外輪軌道と内輪軌道と
の間の空間内にグリースを封入した玉軸受において、前
記保持器のポケット内周面が、前記玉の曲率半径よりも
僅かに大きな曲率半径の球状凹面からなる球面部と、前
記球面部よりも大きな曲率半径を有し、かつ前記球面部
の端縁から前記各ポケットの開口側端縁に向けて滑らか
に連続する曲面部とから構成されるとともに、前記内輪
軌道の断面形状の曲率半径及び前記外輪軌道の断面形状
の曲率半径が、前記転動体の外径の51.0〜60.0
%未満であり、かつ前記外輪軌道の断面形状の曲率半径
が前記内輪軌道の断面形状の曲率半径以上であることを
特徴とする玉軸受を提供する。
【0020】
【作用】上述のように構成される保持器では、各ポケッ
トの内周面と玉の転動面とが球面部でのみ擦れ合い、曲
面部では擦れ合わない。また、曲面部と玉の転動面との
間には、球面部と玉の転動面との間に存在する隙間より
も大きな隙間が存在する。従って、各ポケットの内周面
と玉の転動面との摩擦面積が減少するだけでなく、球面
部と転動面との間に存在する隙間部分への潤滑剤の取り
込みが円滑に、効果的に行なわれる。これらの作用によ
り、保持器と玉との滑り接触部分に作用する摩擦を低減
し、この滑り接触部分で発生する摩擦振動を低減して、
振動や騒音の減少を図れる。
【0021】また、内・外輪軌道の断面形状の曲率半径
を、玉の外径の51.0〜60.0%未満に規定したこ
とにより、玉の表面と内・外輪軌道面との接触部の弾性
変形量が少なくなる。即ち、ヘルツの接触楕円が小さく
なり、差動滑りが軽減され、軸受トルクの低減を図れ、
音響耐久性を改善できる。一方で、特に、内・外輪軌道
の断面形状の曲率半径を60.0%以上にすると、接触
楕円部分での最大ヘルツ接触圧が過大となり、内・外輪
軌道の転がり疲れ寿命を低下させて、音響や剥離寿命の
面で不利となる。内・外輪軌道の断面形状の曲率半径の
好ましい範囲は玉外径の51.5〜58%未満である。
更に、外輪軌道の断面形状の曲率半径を内輪軌道の断面
形状の曲率半径以上とすることにより、玉の表面と内・
外輪軌道との接触面圧の差が小さくなり、振動低減、低
トルク化、音響耐久性により優れるようになる。
【0022】更に、本発明の転がり軸受では、外輪と内
輪との相対回転時に、外輪軌道及び内輪軌道と玉の軌道
面との間に作用する摩擦を低減させて、転がり軸受の内
部での発熱を抑えることができる。その結果、内部に封
入したグリース組成物の劣化を抑制して、玉軸受の音響
耐久性向上が図れる。
【0023】
【発明の実施の形態】以下に図面を参照して、本発明の
玉軸受を詳細に説明する。
【0024】本発明において、玉軸受の構造には、後述
される保持器の形状以外は制限が無く、例えば図1に示
した構造とすることができる。上述したように、この玉
軸受は、外周面に内輪軌道1を有する内輪2と、内周面
に外輪軌道3を有する外輪4とを同心に配置し、内輪軌
道1と外輪軌道3との間に、複数個の玉5、5を転動自
在に設けてなる。また、内輪軌道1及び外輪軌道3は共
に深溝型としており、玉5、5は保持器6に設けたポケ
ット7、7内に転動自在に保持されている。保持器6
は、波形プレス保持器と呼ばれるもので、金属板材をプ
レス成形により波形で円環状に形成した一対の素子8,
8を組み合わせてなる。両素子8,8は、それぞれの円
周方向複数個所に、各ポケット7,7を構成するための
略半円筒状の凹部9,9を形成している。そして、この
1対の素子8,8同士をこれら各凹部9,9から外れた
部分で突き合わせ、これら各部分を複数のリベット10
により結合固定して円環状で円周方向複数個所にポケッ
ト7,7を有する保持器6としている。
【0025】本発明において、保持器6の内面形状は、
玉5の曲率半径よりも僅かに大きな曲率半径の球状凹面
からなる球面部と、球面部よりも大きな曲率半径を有
し、かつ球面部の端縁からポケット7の開口側端縁に向
けて滑らかに連続する曲面部とを有する。
【0026】即ち、図2は保持器6を幅方向に沿って示
す断面図であるが、各ポケット7の内周面は、中央部分
の球面部15と、その両端縁から連続して延在する曲面
部18とから形成されている。球面部15は、各ポケッ
ト7の内周面のほぼ全長に亙って形成され、玉5の転動
面の曲率半径R5 よりも僅かに大きな曲率半径R15を有
する球状凹面である。また、曲面部18は、球面部15
の幅方向両端縁から連続して各ポケット7の開口端縁部
にまで達しており、球面部15よりも大きな曲率半径R
18(R18>R15>R5 )を有する。また、曲面部18、
18の内端縁と球面部15の幅方向端縁とは、滑らかに
連続している。即ち、球面部15の両端縁に於ける接線
方向と、曲面部18、18の内端縁に於ける接線方向と
は、互いに一致して形成されている。尚、球面部15及
び曲面部18、18の円弧長さL 15、L18は設計的に定
めるが、例えば次の様な範囲内に規制することが好まし
い。 L15=R15・θ15=2R5 ×(5〜15%) L18=R18・θ18=2R5 ×(5〜15%)
【0027】また、上記各ポケット7を保持器6の径方
向から見た形状は、図3に誇張して示すように、円形よ
りもラグビーボール状に少し潰れた形状としている。即
ち、前述の図9に示した従来構造と同様に、各ポケット
7の深さD7 を、球面部15の曲率半径R15よりも小さ
くしている。特に本発明の場合には、これらD7と曲率
半径R15との差(R15−D7 )を、前述した従来構造の
場合よりも大きくしている。従って、本例の場合には、
各ポケット7を構成する球面部15と玉5の転動面とが
摺接する点P1 が、図3に示すように、ポケット7の幅
方向中央部から幅方向端部に向けて比較的大きくずれた
位置に存在する。即ち、接点角度α(玉5の中心と点P
1 とを結ぶ直線と、保持器6の円周方向を表す線との交
差角度)が、前述の図9に示した従来構造の場合よりも
大きい。尚、この接点角度αは、保持器6を組み込む玉
軸受の接触角(通常10〜20°)よりも大きい値とす
る(最大90°)。従って、各玉5の転走面と、ポケッ
ト7の内周面との間には、図3に示すように、比較的大
きな隙間19が存在することになる。
【0028】上述のように構成される保持器6では、各
ポケット7の内周面と玉5の転動面とは、球面部15で
のみ擦れ合い、曲面部18、18では擦れ合わない。従
って、各ポケット7の内周面と玉5の転動面との摩擦面
積が減少し、保持器6と玉5との滑り接触部分で発生す
る摩擦振動が低減されて、振動や騒音が減少する。ま
た、球面部15を挟む状態で形成した1対の曲面部1
8、18と玉5の転動面との間には、図2に示すよう
に、くさび状隙間17a、17aが存在する。そのた
め、玉軸受の運転時に、玉5の転動面に付着した潤滑剤
は、くさび状隙間17a、17aから球面部15と転動
面との間に存在する隙間部分に円滑に取り込まれる。し
かも、曲面部18、18は、各ポケット7の内径側、外
径側、両開口部の全長に亙って設けており、くさび状空
間17a、17aも、これら両開口部の全長に亙って存
在するので、球面部15と玉5の転動面との間に存在す
る隙間部分への潤滑剤の取り込みが効果的に行なわれ
る。これらにより、保持器6と玉5との滑り接触部分に
作用する摩擦をより低減し、この滑り接触部分で発生す
る摩擦振動を低減して、振動や騒音の減少が図られる。
【0029】しかも、図3に示すように、玉5の転走面
とポケット7の内周面との間に、比較的大きな隙間19
が存在する。玉5の転動面のうち、特に転走面に付着し
た潤滑剤は、この隙間19を通過して殆ど掻き取られる
ことなく、この転走面と内輪軌道1及び外輪軌道3(図
1)との当接部に送り込まれる。このため、この当接部
に十分な量の潤滑剤を送り込んで、玉軸受の潤滑性を良
好にし、この玉軸受の耐久性向上が図られる。
【0030】保持器6はまた、図4に示すように、ポケ
ット7の内周面を構成すべく、球面部15の両側に設け
た1対の曲面部18、18の断面形状を直線状とするこ
ともできる。即ち、これら各曲面部18、18を円錐状
凹面とし、断面形状の曲率半径を無限大(∞)としてい
る。その他の構成及び作用は、上述した例と同様であ
る。
【0031】また、本発明の玉軸受では、内輪軌道1の
断面形状の曲率半径及び外輪軌道3の断面形状の曲率半
径を、玉5の外径の51.0〜60.0%未満に規定さ
れている。これにより、内輪軌道1及び外輪軌道3と玉
5の表面との接触部における弾性変形量が少なくなり、
ヘルツの接触楕円が小さくなって差動滑りが軽減され、
軸受トルクの低減を図ることができ、音響耐久性も改善
できる。これに対し、内輪軌道1及び外輪軌道3の断面
形状の曲率半径を60.0%以上になると、接触楕円部
分での最大ヘルツ接触圧が過大となり、内輪軌道1及び
外輪軌道3の転がり疲れ寿命が低下し、音響や剥離寿命
の面で不利となる。内輪軌道1及び外輪軌道3の断面形
状の曲率半径の特に好ましい範囲は、玉5の外径の5
1.5〜58%未満である。
【0032】更に、外輪軌道3の断面形状の曲率半径を
内輪軌道1の断面形状の曲率半径以上にすることによ
り、内輪軌道1及び外輪軌道3と玉5の表面との接触面
圧の差が小さくなり、振動低減、低トルク化、音響耐久
性により優れるようになる。
【0033】また、上記の玉軸受には、グリースを充填
して内輪2と外輪4との相対回転が円滑に行われ、振動
や騒音が発生しないようにする。そのために、図示は省
略するが、外輪4の両端部内周面に円環状のシール板や
シールド板などの密封板を装着してグリースの漏洩及び
外部からの異物の侵入を防止する。更に、内輪2、外輪
4、玉5、保持器6の表面に、金属製部品の防錆や寿命
の延長等を目的として潤滑油を薄く塗布しておくことが
好ましい。
【0034】充填されるグリースには特に制限はない
が、特に低騒音特性、即ち音響耐久性が要求される場合
には、基油として、極性基含有潤滑油もしくは極性基含
有潤滑油と無極性潤滑油との混合油を用いることが好ま
しい。
【0035】極性基含有潤滑油としては、エステル構造
を有する潤滑油またはエーテル構造を有する潤滑油が好
適である。エステル構造を有する潤滑油としては、特に
制限はないが、二塩基酸と分岐アルコールとの反応から
得られるジエステル油、炭酸エステル油、芳香族系三塩
基酸と分岐アルコールとの反応から得られる芳香族エス
テル油、一塩基酸と多価アルコールとの反応から得られ
るポリオールエステル油等を好適に挙げることができ
る。これらは、単独でも複数種を併用してもよい。以下
にそれぞれの好ましい具体例を例示する。
【0036】ジエステル油としては、ジオクチルアジペ
ート(DOA)、ジイソブチルアジペート(DIB
A)、ジブチルアジペート(DBA)、ジオクチルアジ
ペート(DOZ)、ジブチルセバケート(DBS)、ジ
オクチルセバケート(DOS)、メチル・アセチルリシ
ノレート(MAR−N)等が挙げられる。
【0037】芳香族エステル油としては、トリオクチル
トリメリテート(TOTM)、トリデシルトリメリテー
ト(TDTM)、テトラオクチルピロメリテート(TO
PM)等が挙げられる。
【0038】ポリオールエステル油としては、以下に示
す多価アルコールと一塩基酸とを適宜反応させて得られ
るものなどが挙げられる。多価アルコールと反応させる
一塩基酸は、単独でも複数種を併用してもよい。更に、
多価アルコールと二塩基酸・一塩基酸の混合酸とのオリ
ゴエステルであるコンプレックスエステルとして用いて
もよい。多価アルコールとしては、トリメチロールプロ
パン(TMP)、ペンタエリスリトール(PE)、ジペ
ンタエリスリトール(DPE)、ネオペンチルグリコー
ル(NPG)、2−メチル−2−プロピル−1,3−プ
ロパンジオール(MPPD)などが挙げられる。一塩基
酸としては、主にC4〜C16の一価脂肪酸が用いられ、
具体的には酪酸、吉草酸、カプロン酸、カプリル酸、エ
ナント酸、ペラルゴン酸、カプリン酸、ウンデカン酸、
ラウリン酸、ミステリン酸、パルミチン酸、牛脂脂肪
酸、スレアリン酸、カプロレイン酸、パルミトレイン
酸、ペトロセリン酸、オレイン酸、エライジン酸、アス
クレピン酸、バクセン酸、ソルビン酸、リノール酸、リ
ノレン酸、サビニン酸、リシノール酸等が挙げられる。
【0039】炭酸エステル油としては、直鎖または分岐
アルキル基のC6〜C30が挙げられる。
【0040】また、エーテル構造を有する潤滑油として
は、例えば(ジ)アルキルジフェニルエーテル油、
(ジ)アルキルポリフェニルエーテル油、ポリアルキレ
ングリコール油等を挙げることができる。
【0041】上記各極性基含有潤滑油は、単独で用いて
もよいし、複数種を併用してもよい。また、トルク特性
および音響耐久性を考慮すると、中でもポリオールエス
テル油、芳香族エステル油が好ましい。
【0042】一方、無極性潤滑油としては、鉱油、合成
炭化水素油、あるいはこれらの混合油を用いることがで
きる。鉱油の例としては、パラフィン系鉱油、ナフテン
系鉱油等を挙げることができる。また、合成炭化水素油
の例としては、ポリ−α−オレフィン油等を挙げること
ができる。中でも、音響耐久性を考慮すると、合成炭化
水素油が好ましい。
【0043】極性基含有潤滑油と無極性潤滑油との混合
油とする場合、極性基含有潤滑油が基油全量の5〜70
質量%、特に10〜70質量%を占めるように配合する
ことが好ましい。特に、極性基含有潤滑油の配合量が5
質量%未満では、音響耐久性およびトルク低減に十分な
効果が得られない。また、基油の動粘度は、従来と同様
の10〜500mm2/s(40℃)の範囲で構わず、
混合油の場合も同様である。
【0044】また、音響耐久性が特に要求されない場合
には、基油として、フッ素系潤滑油やシリコン系潤滑油
を用いることもできる。
【0045】増ちょう剤は、特に制限されるものではな
く、金属石けん系及び非金属石けん系増ちょう剤を何れ
も使用できる。
【0046】金属石けん系増ちょう剤としては、1価及
び/または2価の有機脂肪酸または有機ヒドロキシ脂肪
酸と、金属水酸化物とを反応させて得られる有機脂肪酸
金属塩または有機ヒドロキシ脂肪酸金属塩が好ましい。
有機脂肪酸としては、特に限定されないが、ラウリン酸
(C12)、ミスチリン酸(C14)、パルミチン酸
(C 16)、マルガン酸(C17)、ステアリン酸
(C18)、アラキジン酸(C20)、ベヘン酸(C22)、
リグノセリン酸(C24)、牛脂脂肪酸等が挙げられる。
また、有機ヒドロキシ脂肪酸としては、9−ヒドロキシ
ステアリン酸、10−ヒドロキシステアリン酸、12−
ヒドロキシステアリン酸、9,10−ジヒドロキシステ
アリン酸、リシノール酸、リシノエライジン酸等が挙げ
られる。一方、金属水酸化物としては、アルミニウム、
バリウム、カルシウム、リチウム、ナトリウム等の水酸
化物が挙げられる。
【0047】上記有機脂肪酸または有機ヒドロキシ脂肪
酸と、金属水酸化物との組み合わせは特に限定されるも
のではないが、ステアリン酸、牛脂脂肪酸またはヒドロ
キシステアリン酸(特に12−ヒドロキシステアリン
酸)と、水酸化リチウムとの組み合わせが、軸受性能に
優れることから好ましい。また、必要に応じて複数種を
併用することもできる。
【0048】非金属石けん系増ちょう剤としては、ウレ
ア系増ちょう剤やフッ素系増ちょう剤等を使用すること
ができる。
【0049】尚、これら増ちょう剤の配合量は従来のグ
リースと同様の5〜20質量%で構わない。
【0050】また、グリースには、上記した基油及び増
ちょう剤以外に、カルボン酸またはカルボン酸塩を添加
することが好ましい。カルボン酸またはカルボン酸塩を
添加することにより、吸着膜を形成して、表面摩擦特性
を改善し、軸受トルク低減を更に効果的なものとする。
そして、音響耐久性の改善となる。尚、カルボン酸とし
ては、例えばオレイン酸、ナフテン酸、コハク酸等を挙
げることができる。コハク酸化合物としては、アルケニ
ルコハク酸が好ましく、コハク酸誘導体としては、例え
ばアルキルコハク酸エステル、アルキルコハク酸エーテ
ル、アルケニルコハク酸エステル、アルケニルコハク酸
エーテル等を挙げることができる。また、その添加量
は、全体としてグリース全量の10質量%以下とするの
が適当である。
【0051】更に、グリースには、その好ましい特性を
損なわない限り、酸化防止剤、防錆剤、金属不活性化
剤、油性剤、極圧剤、摩耗防止剤、粘度指数向上剤等を
単独または2種以上組み合わせて添加することができ
る。これらは何れも公知のもので構わない。例えば、酸
化防止剤としては、アミン系、フェノール系、イオウ
系、ジチオリン酸亜鉛等を使用できる。防錆剤として
は、石油スルフォネート、ジノニルナフタレンスルフォ
ネート、ソルビタンエステル等を使用できる。金属不活
性化剤としては、ベンゾトリアゾールや亜鉛酸ソーダ等
を使用できる。油性剤としては、脂肪酸、植物油等を使
用できる。粘度指数向上剤としては、ポリメタクリレー
ト、ポリイソブチレン、ポリスチレン等を使用できる。
これらの添加剤は、単独または2種以上組み合わせて添
加することができ、その添加量は全体としてグリース全
量の20質量%以下とすることが好ましい。
【0052】
【実施例】本発明を実施例及び比較例に基づいて、更に
説明する。尚、本発明は以下の実施例に限定されるもの
ではない。
【0053】(実施例1〜12、比較例1〜9)表1、
表2及び表3に、実施例1〜12、比較例1〜9のグリ
ース組成及び性状を示した。尚、増ちょう剤と基油の総
量を950gとし、これに添加剤(カルボン酸、酸化防
止剤、防錆剤、金属不活性剤等)50gを加えて総量1
000gのグリース組成物としてある。また、基油の動
粘度(40℃)を同表に併記した。
【0054】そして、各グリース組成物を試験軸受に充
填し、(1)軸受動トルク試験、(2)軸受保持器音測
定及び(3)軸受音響耐久試験に供した。尚、実施例1
〜12及び比較例2,5,8では、図2に示した球面部
と曲面部とを備えた波形プレス保持器(表中、保持器形
状の欄に「発明品」と付記)を使用し、比較例1、3,
4,6,7,9では図7に示した従来の波形プレス保持
器(表中、保持器形状の欄に「従来品」と付記)を用い
た。また、内輪軌道及び外輪軌道の各断面形状の曲率半
径を同表に付記した。
【0055】(1)軸受動トルク試験 図5に示す測定装置30を用いて軸受動トルク測定を行
った。この測定装置30において、試験軸受31は2個
一組で、エアースピンドル32に連結する軸33に予圧
用ウエーブワッシャ34を用いて装着される。また、試
験軸受31は駆動スピンドル32とともに水平に置か
れ、糸35を介して荷重変換機36が吊るされており、
荷重変換機36の出力がX−Yレコーダ37により記録
される。
【0056】試験は、試験軸受31として、上記した各
波形プレス保持器を備えた内径φ15mm、外径φ35m
m、幅11mmの非接触ゴムシール付き玉軸受を用い、こ
れに実施例1〜12、比較例1〜9の各グリース組成物
を0.7g封入し、アキシアル荷重39.2Nとし、1
400min-1で内輪回転させて動トルクを測定した。
測定時の温度は室温とした。測定結果を前記表1、表2
中に動トルクとして示した。尚、表1、表2及び表3に
おいて、×印は、従来エアコンファンモータ用に使用さ
れているグリース組成物が封入された玉軸受の動トルク
を100%(基準値)とした時に、試験軸受31の動ト
ルクが80%以上であること、△印は基準値の60%以
上で80%未満であること、○印は基準値の40%以上
で60%未満であること、◎印は基準値の40%未満で
あることをそれぞれ表わしている。軸受動トルク試験
は、○印、即ち基準値の60%未満の場合を合格とし
た。表1〜表3から、実施例6が合格と不合格との境界
レベルであるものの、他の全ての実施例、並びに比較1
〜3及び7〜9において、良好なトルク特性が得られる
ことがわかる。
【0057】(2)軸受保持器音測定 試験は、試験軸受31として、上記の各波形プレス保持
器を備えた内径φ15mm、外径φ35mm、幅11mmの非
接触ゴムシール付き玉軸受を用い、これに実施例1〜1
2、比較例1〜9の各グリース組成物を0.7g封入
し、アキシアル荷重39.2Nとし、1800min-1
で内輪回転させ、周波数分析器を用いて0℃及び+20
℃における保持器音を測定した。測定結果を表1、表2
及び表3中に保持器音として示した。尚、表1、表2に
おいて、○印は保持器音の発生なし、△印は保持器音や
やあり、×印は保持器音が大きいことをそれぞれ表わし
ている。表1〜表3から、実施例3,6,12におい
て、0℃での試験で極く僅かに保持器音が発生したもの
の、その他の全実施例、並びに比較例1〜3では、保持
器音が発生しないことがわかる。
【0058】(3)軸受音響耐久試験 図6に示すモータ実機耐久試験機を用いて、軸受音響耐
久試験を行った。このモータ実機耐久試験機は、ハウジ
ング20内に入れた2個一対の試験軸受21を、コイル
22を介してDC電源23の動力にて回転させるもので
ある。試験軸受21として、上記の各波形プレス保持器
を備えた内径φ15mm、外径φ35mm、幅11mm
の非接触金属シール付き玉軸受を用いた。これに実施例
1〜12、比較例1〜9の各グリース組成物を0.7g
封入した。試験軸受21は、各グリース組成物毎に8個
ずつ用意し、上記モータ実機耐久試験機に装着(アキシ
アル荷重約39.2N)した。そして、モータ実機耐久
試験機を120℃に調整された恒温槽中に収納し、30
0min-1及び5600min-1で、1000時間内輪
回転させた。1000時間後に試験軸受21を取り出
し、下記評価基準により軸受の音響特性を調べた。
【0059】軸受の音響測定は、アンデロンメータを用
いて行い、各グリース組成物を封入した直後の軸受アン
デロン値と、1000時間内輪回転後の軸受アンデロン
値とを比較して音響特性の判定を行った。判定結果を、
表1、2及び表3に音響特性として示した。表1、表2
及び表3において、○印は音響特性の低下なし、△印は
音響特性の低下ややあり、×印は音響特性の低下あり、
をそれぞれ表わしている。表1、表2から、実施例3,
6,12においては音響特性の低下がややあるものの、
各実施例とも満足できる音響特性が得られることがわか
る。これに対し,比較例は全て音響特性に劣っている。
【0060】
【表1】
【0061】
【表2】
【0062】
【表3】
【0063】上記より、実施例の玉軸受は何れも、働ト
ルク、保持器音及び音響特性について、総合的に良好な
結果を示すことが確認された。特に、音響特性におい
て、比較例と比べて顕著な差が見られる。
【0064】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の玉軸受に
よれば、保持器のポケット内周面を特定形状とし、更に
内・外輪軌道の断面形状の曲率半径と玉外径との寸法関
係を特定することにより、ポケットの内面と玉の表面と
の間の滑り摩擦を低減して振動や騒音の減少が図られ、
かつ玉の表面と内・外輪軌道面との接触部おける弾性変
形量が少なくなり、即ちヘルツの接触楕円が小さくな
り、差動滑りが軽減され、軸受トルクの低減が図られ,
音響耐久性の向上が図られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の玉軸受の一例を示す、部分切断斜視図
である。
【図2】本発明の玉軸受に組み込む保持器の一例を示す
断面図である。
【図3】図2のDD断面図である。
【図4】本発明の玉軸受に組み込む保持器の他の例を示
す断面図である。
【図5】実施例において、軸受トルク試験を行うために
使用した測定装置を示す構成概略図である。
【図6】実施例において、軸受音響耐久試験を行うため
に使用した測定装置を示す構成概略図である。
【図7】従来の保持器の一例を示す部分拡大分解斜視図
である。
【図8】図7のEE断面図である。
【図9】図8の上半分に相当する図である。
【図10】図9のGG断面図である。
【図11】図10のHH断面図であり、玉に対して保持
器が内径側に変位した状態を示す図である。
【符号の説明】
1 内輪軌道 2 内輪 3 外輪軌道 4 外輪 5 玉 6 保持器 7 ポケット 8 素子 9 凹部 15 球面部 18 曲面部 20 ハウジング 21 試験軸受 22 コイル 23 DC電源 30 トルク試験用測定装置 31 試験軸受 32 駆動スピンドル 33 軸 34 予圧用ウエーブワッシャ 35 糸 36 荷重変換器 37 X−Yレコーダ
フロントページの続き Fターム(参考) 3J101 AA02 AA32 AA42 AA52 AA62 BA21 BA37 BA45 BA51 BA53 BA54 BA55 DA09 FA01 FA31 GA24 GA29

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 内周面に外輪軌道を有する外輪と、外周
    面に内輪軌道を有する内輪と、外輪軌道と内輪軌道との
    間に転動自在に設けた複数個の玉と、複数個の玉を転動
    自在に保持する保持器とを備え、外輪軌道と内輪軌道と
    の間の空間内にグリースを封入した玉軸受において、前
    記保持器のポケット内周面が、前記玉の曲率半径よりも
    僅かに大きな曲率半径の球状凹面からなる球面部と、前
    記球面部よりも大きな曲率半径を有し、かつ前記球面部
    の端縁から前記各ポケットの開口側端縁に向けて滑らか
    に連続する曲面部とから構成されるとともに、前記内輪
    軌道の断面形状の曲率半径及び前記外輪軌道の断面形状
    の曲率半径が、前記転動体の外径の51.0〜60.0
    %未満であり、かつ前記外輪軌道の断面形状の曲率半径
    が前記内輪軌道の断面形状の曲率半径以上であることを
    特徴とする玉軸受。
  2. 【請求項2】 前記保持器の曲面部の曲率半径が、無限
    大であることを特徴とする請求項1記載の玉軸受。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006009887A (ja) * 2004-06-24 2006-01-12 Nsk Ltd 玉軸受とトランスミッション用玉軸受
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JP7108373B2 (ja) 2016-10-21 2022-07-28 Ntn株式会社 玉軸受
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