JP2003239973A - 摺動部材とその製造方法 - Google Patents

摺動部材とその製造方法

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直隆 藤澤
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 滑り軸受のごとき無給油式の摺動部材の部品
点数を減少させた構成でかつ機械的な工程で簡単に製造
可能な摺動部材の製造方法。 【解決手段】 リング状ハウジングの内径を内蔵予定の
球面内輪の外径より大きくしておき、ハウジングの球面
座を形成した内周あるいは球面内輪の外周の摺動予定面
に、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)を成膜して
おき、球面内輪を当該内径内に収納してからハウジング
に対して全体を縮径する絞り加工を加えることで容易に
製造でき、かつDLC膜にて摺動面を極めて低摩擦抵抗
面となすことができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、例えばラウンド
形やロッドエンド形滑り軸受のごとき摺動部材の改良に
係り、ハウジング内周面又は内蔵する球面内輪の外周面
のいずれかの摺動面にダイヤモンドライクカーボン(D
LC)膜を設けて、球面内輪を内蔵させてハウジングを
絞り成形することで製造性を著しく向上させた無給油式
の摺動部材とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】雄ねじ又は雌ねじ部を持ったロッドエン
ド形滑り軸受やラウンド形滑り軸受は、リング状ハウジ
ングに球面内輪を組み込んで回転、揺動および旋回運動
を支える構成からなる。かかる滑り軸受はその構成及び
製造方法の違いからインサート式、溶接式、無給油式等
の各種構成が知られている。
【0003】インサート式は、リング状ハウジングに球
面内輪を組み込むために周方向に2分割されたインサー
ト部材を用いる構成で、切削加工されたインサート部材
の内周面と球面内輪の外周面とが摺動することになる。
溶接式は、リング状ハウジング自体を周方向に2分割し
た構成で、切削加工されたハウジングの内周面と球面内
輪の外周面とが摺動することになる。
【0004】無給油式は、ハウジング内面にガラスまた
は金属メッシュで強化した四ふつ化エチレン樹脂製のラ
イナーを設け、これを固体潤滑剤として球面内輪との間
で自動調心性を持たせた構成を有し、インサート式また
は溶接式で製造される。また、溶接に換えて2分割のハ
ウジングで挟み込み後に全体をかしめたり、あるいは当
接面に接着剤を塗布して加温して圧着させる構成もあ
る。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】インサート式の構成の
場合は、溶接工程がなく嵌入の機械的工程のみである
が、リング状ハウジング、球面内輪、2分割されたイン
サート部材と部品数が多い問題がある。一方、溶接式の
構成の場合は、溶接工程が必要であるが、2分割された
リング状ハウジング及び球面内輪のみでインサート式と
比較すると部品数が減る利点がある。
【0006】無給油式の構成の場合は、部品としての潤
滑ライナーが増える上、上記のインサート式または溶接
式で製造することから、これらのいずれかの問題を有
し、基本的に部品と工程が多いという問題がある。
【0007】さらに、リング状ハウジングをエンドミル
か鍛造加工により製造して、端面側に球面内輪を嵌め込
むための切り欠き部を設けておき、ハウジング内周面内
に切り欠き部から球面内輪を嵌入回転させて内蔵させる
構成があり、ハウジングと球面内輪と部品点数が少ない
が、切り欠き部に基づく使用時のガタツキが発生すると
ともに、ハウジングの加工工程に手間を要する問題があ
る。
【0008】無給油式の滑り軸受は、メンテナンスフリ
ーが要求される場合や潤滑油を嫌う箇所や雰囲気で使用
されるなどの用途での需要が多いが、前記理由から安価
に提供できない。安価に提供するには部品と工程を減ら
すことが求められるが、上述のごとくその基本構造故に
要求に答えられなかった。
【0009】この発明は、前記滑り軸受のごとき無給油
式の摺動部材の部品点数を減少させた構成でかつ機械的
な工程で簡単に製造可能な摺動部材とその製造方法を提
供することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】発明者らは、分割型でな
いハウジングとこれに内蔵する球面内輪の2部品のみで
構成できる無給油式の滑り軸受を目的に、その構成と製
造方法について種々検討した結果、予めリング状ハウジ
ングの内径を内蔵予定の球面内輪の外径より大きくして
おき、球面内輪を当該内径内に収納してからハウジング
に対して全体を縮径する塑性変形、すなわち絞り加工を
加えることで製造できること、内周に球面を設けたハウ
ジングの球面座を形成した内周あるいは球面内輪の外周
の摺動予定面に、ダイヤモンドライクカーボン(DL
C)を成膜しておき、前述の絞り加工を施しても成膜し
たDLCは全く剥離することなく、長期の摺動摩擦に耐
えて無給油潤滑が可能となることを知見した。
【0011】また、発明者らは、ハウジングの球面座に
成膜したDLCは、前記の塑性変形を受けた後に顕微鏡
で観察可能な直線状や鱗状の微細紋様を呈するもので、
前記膜内には前記塑性変形に伴う圧縮応力が発生して入
ると考えられ、塑性変形を完了した後にも剥離しないこ
とを知見し、この発明を完成した。
【0012】すなわち、この発明は、他部材との摺動面
を有した摺動部材で、該摺動面に直接又は1層以上の下
地層を介して成膜されたDLC膜を有し、DLC膜表面
に摺動部材が直接又は間接に受けた塑性変形にて生成し
た顕微鏡で観察可能な微細紋様を有することを特徴とす
る摺動部材である。
【0013】また、この発明は、前記構成の摺動部材に
おいて、微細紋様が、直線状又は鱗状あるいはその両方
である構成、下地層がTi,V,Cr,Mo,W,Si
のうちいずれかの炭化物又は窒化物からなる構成、下地
層が金属又は合金めっき層からなる構成、さらに、摺動
部材が、外周面が凸球面状の摺動面を有する球面内輪
と、これを内蔵するために内周面に凹球面状の摺動面を
有するリング状ハウジングとからなり、該球面内輪又は
ハウジングあるいはその両方にDLC膜を有する構成、
を特徴とする摺動部材を併せて提案する。
【0014】また、この発明は、摺動部材の摺動面にD
LCを成膜する工程、摺動面を含む摺動部材に直接又は
間接に塑性変形を加える工程を含み、塑性変形を受けた
後の摺動面の前記DLC膜内に顕微鏡で観察可能な微細
紋様を形成することを特徴とする摺動部材の製造方法で
ある。
【0015】さらにこの発明は、前記の外周面が凸球面
状の摺動面を有する球面内輪と、これを内蔵するために
内周面に凹球面状の摺動面を有するリング状ハウジング
とからなる摺動部材の製造方法において、前記球面内輪
の外周面又は前記ハウジングの内周面あるいはその両方
に直接又は1層以上の下地層を介してDLC膜を成膜す
る工程と、前記リング状ハウジングの内周面内に球面内
輪を配置した後に該ハウジングにその内外径を縮小する
絞り加工又は曲げ加工を施す工程とを有することを特徴
とする摺動部材の製造方法である。
【0016】
【発明の実施の形態】この発明において、摺動面に成膜
するDLCは、公知の気相成長法に用いられる装置を使
用して成膜することが可能で、原料ソースを固体より蒸
発させるか、あるいはトルエンやアセチレンガス等のガ
スから得るなどの原料手段の違い、原料分子の励起方法
や被成膜表面へ成膜手段の違いから、スパッタリング
法、イオンスパッタリング法、プラズマスパッタリング
法、CVD法、PVD法など多種多様の成膜法が知られ
ており、これらより適宜選定できる。例えば、PVD法
では、被成膜表面を純水洗浄、化学洗浄等の洗浄処理
後、真空チャンバー内でスパッタクリーニングし、成膜
チャンバー内に所要の原料ガスを流して下地層を設け、
さらにDLC膜を成膜する。
【0017】従って、気相成長法を採用することから、
DLC膜内に金属を混入させることが可能であり、金属
材料からなる摺動部材との密着性の向上、膜厚み方向に
段階的な熱膨張係数の変化を図ること、さらにはSiを
混入してDLC膜の摩擦係数の低減を図ることも可能で
ある。例えば、Ti、Si、W、Cr、Mo等の金属を
成膜初層から中間層程度まで適宜混入させるなど、DL
C膜厚み方向に含有濃度変化させるなど種々の構成を採
用することができる。
【0018】さらに、気相成長法を採用することから、
被成膜側の摺動部材材料種、例えば炭素鋼、ステンレス
鋼、Cr鋼などの金属材料に応じて、セラミックである
DLCとの熱膨張係数との差異を緩和できるように、金
属及びDLCとの濡れ性にすぐれかつこれら両者の中間
的な熱膨張係数を有するTi,V,Cr,Mo,W,S
i等の炭化物又は窒化物などを下地層として適宜選定
し、先に成膜することができる。又、かかる下地層は1
層のみならず、必要に応じて前記材質あるいは他の種々
材料による下地層を複数積層成膜することも好ましい。
【0019】例えば、TiC+DLC、TiN+TiC
+DLC、TiC+SiC+DLC、SiC+DLC、
WC+DLC、MoC+DLC、CrC+WC+DLC
等の種々の積層構成を適宜採用できる。
【0020】上記の気相成長法による下地層の他に、め
っきによる下地層を設けることも好ましく、めっき膜と
しては、Cr,Niなどの金属めっき、Cr合金、Ni
合金などの合金めっきを適宜選定できる。
【0021】この発明において、DLC膜厚みは特に限
定しないが、成膜の効果と膜剥離の防止を考慮して0.
5〜5μmの範囲が好ましく、また下地層厚みは0.5
〜3μmの範囲が好ましく、下地層を含む場合も成膜厚
みは5μm以下が好ましい。
【0022】この発明において、DLC膜は、摺動部材
の摺動面、例えば滑り軸受の場合、リング状ハウジング
の内周面、球面内輪の外面のいずれか一方あるいは両方
に設けることができ、また、いずれか一方にDLC膜を
設けた場合、他方の摺動面に公知のフッ素樹脂などの低
摩擦係数の樹脂膜、あるいは各種金属めっき膜を適宜設
けることができる。金属めっき膜は、例えば耐食、防
錆、耐摩耗、耐熱、耐衝撃、耐傷等の目的に応じて、C
r,Zn,Ni,Cu,Sn,Pb,Au,Ag,Al
などから適宜選定できる。前記めっき膜の厚みは、目的
や材料に応じて選定されるが、3〜20μm程度が好ま
しい。
【0023】この発明において、摺動面を含む摺動部材
に塑性変形を加える工程、例えば滑り軸受の場合のリン
グ状ハウジングの内周面内に球面内輪を配置した後に該
ハウジングにその内外径を縮小する絞り加工方法は、公
知の機械加工を適宜選定、すなわち被加工ワークの形状
形態などに応じて工法と治具を適宜選定して施すことが
できる。
【0024】具体例を示すと、図1に示す構成のリング
状ハウジングに球面内輪を組み込む場合、図示しないワ
ーク受け台に絞り加工後に所要形状となるように設定し
た内径、外径、リング幅寸法に予め設定されたハウジン
グ素材を挿入配置し、さらにその内部に球面内輪をその
内径部に図示しないシャフトを嵌入して支持させて配置
し、これらの組立て体を内径部が順次小径となった絞り
治具にて絞り加工する。
【0025】また、前記内径部にシャフトを嵌入せずに
前記ハウジング素材内に配置して絞り治具にて絞り加工
することもできる。さらに、絞り加工後の滑り軸受はハ
ウジングと球面内輪とが当接しているため、隙間出し処
理を行い所要の回動が可能となるように調整する。
【0026】上記工程において、ハウジングの内周面ま
たは球面内輪の外周面あるいはその両方にDLC膜を有
するが、かかるハウジングに塑性変形の力が加わる際に
ハウジングに成膜した場合はもちろん、球面内輪の外周
面に設けられたDLC膜に対しても外力が作用すること
になる。また、内径部が順次小径となった絞り治具の例
を説明したが、直接加圧する装置を用いるなど公知の加
工方法が適用できることは言うまでもない。
【0027】この発明において、特徴であるDLC膜表
面に摺動部材が受けた塑性変形にて生成した顕微鏡で観
察可能な微細紋様は、図3に示すごとく鱗状であるか、
または直線状あるいはその両方を含む性状を呈してい
る。なお、図3において左右方向の縞模様が鱗状の微細
紋様であり、上下方向の縞模様は試験等での傷である
が、傷のためによる膜剥離などは全く発生していない。
【0028】一般に、表面に成膜した部材に塑性変形を
加えることは、通常膜の剥離を招来するため望ましくな
く、常識的には前述のリング状ハウジングに絞り加工を
施すことは想定されないものである。発明者らは、製造
上の至便性を想定して成膜した部材に絞り加工を施すこ
とを考え、これを可能にする低摩擦抵抗の膜を種々検討
した結果、DLC膜が最適であり、また加工後の当該膜
には、顕微鏡で観察可能な微細紋様が形成されることを
知見したのである。
【0029】詳述すると、これらの微細紋様は、膜内に
は前記塑性変形に伴う力が加えられて圧縮応力が発生し
て紋様が入ると考えられる。DLC膜内には、セラミッ
クスとして本来内部応力と呼ばれる圧縮応力が存在して
いるが、絞り加工で加えられる弾性変形による力が膜に
作用し、外力が抜けた後には本来の圧縮応力と外力に伴
う圧縮応力が残り、顕微鏡で観察可能な微細紋様が形成
されると推測される。通常はこれが目視可能なクラック
の発生や膜剥離につながると考えられているが、全くか
かる状況に至らないことを知見した。
【0030】なお、その詳細な機構は不明であるが、内
部応力の存在に寛容であるDLC膜特有の構造から、膜
に部分的な内部応力の堆積が生じてもこれが膜を剥離さ
せるものでなく、さらには長期間の使用後も摺動部材と
しての機能を全く損なうことがないものと考えられる。
【0031】
【実施例】実施例1 図1に示すラウンド形滑り軸受を製造するため、ステン
レス鋼製のリング状ハウジング素材を切削加工し、その
内周面にプラズマスパッタ装置にて、下地層として厚み
0.7μmのTiC膜、さらに厚み1.3μmのDLC
膜を成膜した。リング状ハウジングは、外径36.60
mm、内径32.136mm、幅15.05mm寸法で
ある。また別途、ステンレス鋼製の球面内輪を研削加工
にて形成した。球面内輪は、外径28.575mm、内
径18.00mm、幅20.00mm寸法である。
【0032】図示しないワーク受け台に上記のハウジン
グ素材を挿入配置し、さらにその内部に球面内輪を配置
し、これらの組立て体を内径部が順次小径となった絞り
治具にて絞り加工を施した。この絞り加工の完了後、球
面内輪はリング状ハウジング内周面に当接して回動しな
いため、隙間出し加工を施して円滑に回動するようにし
た。
【0033】また、絞り加工を完了したリング状ハウジ
ングは、滑り軸受製品の予定寸法である外径33.00
mm、内径28.580mm、幅16.00mm寸法で
あった。該ハウジング内周面のDLC膜表面を光学顕微
鏡(倍率65倍)で観察した結果、図3に示す鱗状の微
細紋様を表面に有していた。
【0034】得られたラウンド形滑り軸受を用い、アキ
シャル負荷耐久試験に供した。試験条件は、荷重が78
40Nで、振動数が11.3Hzの振動をアキシャル方
向に161.07×106回加える条件で実施した。該
耐久試験を完了した前記のラウンド形滑り軸受における
ハウジング内周面のDLC膜には膜剥離等の損傷は全く
発生していなかった。
【0035】実施例2 図1に示すラウンド形滑り軸受を製造するため、軸受鋼
製のリング状ハウジング素材を切削加工し、その内周面
にプラズマスパッタ装置にて厚み2.0μmのDLC膜
を成膜した。リング状ハウジングは、外径36.60m
m、内径32.136mm、幅15.05mm寸法であ
る。また別途、ステンレス鋼製の球面内輪を研削加工に
て形成し、その外周面にプラズマスパッタ装置にて厚み
2.0μmのDLC膜を成膜した。球面内輪は、外径2
8.579mm、内径18.00mm、幅20.00m
m寸法である。
【0036】図示しないワーク受け台に上記のハウジン
グ素材を挿入配置し、さらにその内部に球面内輪を配置
し、これらの組立て体を内径部が順次小径となった絞り
治具にて絞り加工を施した。この絞り加工の完了後、球
面内輪はリング状ハウジング内周面に当接して回動しな
いため、所要の隙間出し加工を施して円滑に回動するよ
うにした。
【0037】また、絞り加工を完了したリング状ハウジ
ングは、滑り軸受製品の予定寸法である外径33.00
mm、内径28.585mm、幅16.00mm寸法で
あった。該ハウジング内周面及び球面内輪外周面のDL
C膜表面を光学顕微鏡(倍率65倍)で観察した結果、
ハウジング内周面は鱗状、球面内輪外周面は部分的に直
線状の微細紋様を表面に有していた。
【0038】実施例3 図2に示すロッドエンド形滑り軸受を製造するため、ス
テンレス鋼製のリング状ハウジング素材を切削加工し
た。リング状ハウジングは、外径26.00mm、内径
19.176mm、幅11.50mm寸法である。次
に、このハウジング素材をロッドと溶接接合した。また
別途、ステンレス鋼製の球面内輪を研削加工にて形成
し、その外周面にプラズマスパッタ装置にて厚み2.0
μmのDLC膜を成膜した。球面内輪は、外径19.0
50mm、内径10.00mm、幅14.00mm寸法
である。
【0039】図示しないワーク受け台に上記のハウジン
グ素材を挿入配置し、さらにハウジング素材の内部に球
面内輪を配置し、これらの組立て体をハウジング素材の
端面側より押圧する曲げ治具にて加工を施した。この曲
げ加工の完了後、球面内輪はリング状ハウジング内周面
に当接して回動しないため、所要の隙間出し加工を施し
て円滑に回動するようにした。
【0040】また、曲げ加工を完了したリング状ハウジ
ングは、滑り軸受製品の予定寸法である外径26.00
mm、内径19.055mm、幅11.00mm寸法で
あった。該球面内輪外周面のDLC膜表面を光学顕微鏡
(倍率65倍)で観察した結果、鱗状の微細紋様を部分
的に有していた。
【0041】
【発明の効果】この発明は、例えばラウンド形やロッド
エンド形滑り軸受のごとき摺動部材を分割型でないハウ
ジングとこれに内蔵する球面内輪の2部品のみで構成で
き、その製造も球面内輪を当該内径内に収納してからハ
ウジングに対して全体を縮径する塑性変形、すなわち絞
り加工を加えることで容易に製造できる。
【0042】この発明は、従来のメンテナンスフリーが
要求される場合や潤滑油を嫌う箇所や雰囲気などの用途
で使用される、無給油式の滑り軸受としてはもちろん、
摺動面が高硬度なDLC膜にて形成されるため、隙間を
タイトに設計でき、さらに、従来の樹脂と比較しても数
分の一から数十分の一といえる低摩擦抵抗を実現し、か
つ摺動面からの塵を著しく低減することで、新たな用途
への適用が可能となる。例えば、水中用の装置、食品製
造装置、薬品製造装置、真空雰囲気での各種製造装置、
あるいは半導体デバイス製造装置やクリーンルーム内で
の各種装置などへの適用が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明によるラウンド形滑り軸受を示す説明
図であり、Aは全体説明図、Bは要部縦断説明図であ
る。
【図2】この発明によるロッドエンド形滑り軸受を示す
説明図であり、Aは全体説明図、Bは要部縦断説明図で
ある。
【図3】この発明によるラウンド形滑り軸受のハウジン
グ内周面に形成されたDLC膜表面の顕微鏡写真の模式
図である。
【符号の説明】
1 リング状ハウジング、 2 球面内輪、 3 ロッド
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 伊藤 正夫 大阪府堺市鳳東町6丁570番地の1 旭精 工株式会社内 Fターム(参考) 3J011 AA06 AA20 QA04 QA11 SE02

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 他部材との摺動面を有した摺動部材で、
    該摺動面に直接又は1層以上の下地層を介して成膜され
    たダイヤモンドライクカーボン(DLC)膜を有し、D
    LC膜表面に摺動部材が直接又は間接的に受けた塑性変
    形にて生成した顕微鏡で観察可能な微細紋様を有する摺
    動部材。
  2. 【請求項2】 微細紋様が、直線状又は鱗状あるいはそ
    の両方である請求項1に記載の摺動部材。
  3. 【請求項3】 下地層がTi,V,Cr,Mo,W,S
    iのうちいずれかの炭化物又は窒化物からなる請求項1
    に記載の摺動部材。
  4. 【請求項4】 下地層が金属又は合金めっき層からなる
    請求項1に記載の摺動部材。
  5. 【請求項5】 摺動部材が、外周面が凸球面状の摺動面
    を有する球面内輪と、これを内蔵するために内周面に凹
    球面状の摺動面を有するリング状ハウジングとからな
    り、該球面内輪又はハウジングあるいはその両方にDL
    C膜を有する請求項1に記載の摺動部材。
  6. 【請求項6】 摺動部材の摺動面にダイヤモンドライク
    カーボン(DLC)を成膜する工程、摺動面を含む摺動
    部材に直接又は間接的に塑性変形を加える工程を含み、
    塑性変形を受けた後の摺動面の前記膜表面に顕微鏡で観
    察可能な微細紋様を形成することを特徴とする摺動部材
    の製造方法。
  7. 【請求項7】 微細紋様が、直線状又は鱗状あるいはそ
    の両方である請求項6に記載の摺動部材の製造方法。
  8. 【請求項8】 Ti,V,Cr,Mo,W,Siのうち
    いずれかの炭化物又は窒化物からなる下地層を成膜して
    からDLCを成膜する工程を有する請求項6に記載の摺
    動部材の製造方法。
  9. 【請求項9】 金属又は合金めっき層からなる下地層を
    成膜してからDLCを成膜する工程を有する請求項6に
    記載の摺動部材の製造方法。
  10. 【請求項10】 外周面が凸球面状の摺動面を有する球
    面内輪と、これを内蔵するために内周面に凹球面状の摺
    動面を有するリング状ハウジングとからなる摺動部材で
    あり、前記球面内輪の外周面又は前記ハウジングの内周
    面あるいはその両方に直接又は1層以上の下地層を介し
    てダイヤモンドライクカーボン(DLC)膜を成膜する
    工程と、前記リング状ハウジングの内周面内に球面内輪
    を配置した後に該ハウジングにその内外径を縮小する絞
    り加工又は曲げ加工を施す工程とを有する摺動部材の製
    造方法。
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