JP2003239348A - 排水弁装置と排水装置並びに便器 - Google Patents

排水弁装置と排水装置並びに便器

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JP2003239348A
JP2003239348A JP2002358170A JP2002358170A JP2003239348A JP 2003239348 A JP2003239348 A JP 2003239348A JP 2002358170 A JP2002358170 A JP 2002358170A JP 2002358170 A JP2002358170 A JP 2002358170A JP 2003239348 A JP2003239348 A JP 2003239348A
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tank
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sleeve
float
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JP2002358170A
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English (en)
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Takehiro Kosugi
建博 小杉
Taiji Sugita
泰司 杉田
Koichi Ogawa
孝一 小川
Hiroyuki Tokunaga
博之 徳永
Takashi Yoshioka
隆 吉岡
Takayuki Otani
孝幸 大谷
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Toto Ltd
Original Assignee
Toto Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 排水弁装置の構成の簡略化を図りつつ、操作
性と排水性能の両立を図る。 【解決手段】 排水弁装置110は、蓋体126下面ま
で浮上したフロート122により蓋体の貫通孔128を
閉塞し、この状態をフロート浮力を用いて維持し、この
間において、弁体112も開弁維持する。タンク内洗浄
水が排水口108から流出してタンク内水位は低下する
ものの、スリーブ124では、貫通孔128の閉塞状態
が維持されている。タンク内水位がスリーブ下端のエア
流入孔134まで低下すると、スリーブ内側にエアが流
入して、スリーブ内を満たしていた洗浄水はスリーブ内
から落下する。これにより、フロート122は浮力を失
って降下し、弁体112は閉弁する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、タンク底面壁の排
水口からタンク内洗浄水を排水する排水弁装置とこれを
有する排水装置並びに便器に関する。
【0002】
【従来の技術】この種の排水弁装置は、洗浄水を貯留す
るタンクに水没設置され、便器や簡易シャワー等の種々
の排水先への洗浄水排水に多用されている。
【0003】排水弁装置は、タンク底面壁の排水口周り
の弁座に弁体を当接させ、この弁体を弁座からリフトす
ることで、排水口を開放し、排水を行う。こうして開弁
された弁体は、フロートからの浮力を受けて開弁状態を
維持し、この開弁の間に亘って排水する。タンク内水位
が低下しフロート周囲の水位が低下すると、この水位低
下に併せてフロートは水面に露呈しつつ降下する。これ
により、やがて弁体は弁座に当接して閉弁し、洗浄水排
水は停止する。なお、排水停止後には、次回の排水に備
えてタンク内には洗浄水が補給される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記したような開弁の
維持・閉弁の確実化を図るため種々の提案がなされてお
り、例えば、特開平5−65730号公報では、フロー
トとは別の弁機構をフロート収納容器に設け、この弁機
構で容器内を閉塞して開弁維持を図っていた。ところ
が、この公報で提案された弁装置では、フロートとは別
の弁機構を要する分、部品製造・組み付けの作業が繁雑
となっていた。
【0005】また、洗浄水排水の際に、弁体は玉鎖やシ
ャフトで持ち上げられる。この弁体リフトには、弁体を
弁座に向けて押し付けるタンク内洗浄水の水圧(全水
圧)に勝る力(リフト力)を必要とする。この水圧は、
弁体面積と弁体からタンク満水時の水面までの高さ(水
頭圧)に比例するので、弁体面積を広くすれば、大きな
リフト力を必要とし操作性を損なう。その反面、弁体面
積を狭くすると、それに応じて弁座開口面積も狭くなる
ので、時間当たりの排水量の低下を招き排水性能が低下
する。
【0006】本発明は、上記問題点を解決するためにな
され、構成の簡略化を図ることと、操作性と排水性能の
両立を図ることとをその目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段およびその作用・効果】か
かる課題の少なくとも一部を解決するため、本発明の排
水弁装置は、タンク底面壁の排水口からタンク内洗浄水
を排水する排水弁装置であって、前記排水口周りの弁座
に当接し、前記排水口を開閉する弁体と、該弁体を開弁
側にリフトするリフタと、フロートを有し、該フロート
の浮力を前記リフトした前記弁体に及ぼして前記弁体の
開弁を維持し、タンク内水位の低下に伴って前記弁体を
閉弁させるフロート機構とを備え、該フロート機構は、
前記フロートを取り囲んでフロートの浮沈領域を形成す
るスリーブと、該スリーブの上端を閉鎖し、貫通孔を有
する蓋体とを備え、前記貫通孔を、浮力により前記蓋体
下面まで浮上した前記フロートを介して閉塞させ、前記
貫通孔の閉塞状態を、前記スリーブの下方部位のエア流
入位置においてスリーブ外側から内側へのエアの流入が
始まるまで維持することを特徴とする。
【0008】上記構成を有する本発明の排水弁装置で
は、弁体の開弁は、蓋体下面まで浮上したフロートによ
り蓋体貫通孔が閉塞されている間に亘り維持される。つ
まり、弁体開弁の間に、タンク内洗浄水は排水口から流
出し、タンク内水位は低下するものの、スリーブでは、
蓋体貫通孔が閉塞されているので、スリーブ内は洗浄水
で満たされたままであり、蓋体貫通孔にあっても、浮力
を受けるフロートにより閉塞されたままである。そし
て、タンク内水位が引き続き低下してスリーブ下方部位
のエア流入位置まで低下すると、このエア流入位置にお
いて、スリーブ外側から内側にエアが流入する。スリー
ブ内を満たしていた洗浄水は、このエアのスリーブ内流
入に伴いスリーブ内から落下する。よって、フロートは
スリーブ内洗浄水の落下に伴い浮力を失って降下し、貫
通孔の閉塞状態は消失する。こうなると、フロートが弁
体に及ぼす浮力での弁体開弁の維持ができなくなるの
で、弁体は閉弁する。こうした弁体の開弁維持・その後
の閉弁には、フロート単体での蓋体貫通孔の閉塞状況が
関与するに過ぎないので、フロート以外の弁機構を要し
ない。よって、構成の簡略化を図ることができ、組み付
け製造作業は簡便となり、コスト低下を図ることができ
る。なお、スリーブ内洗浄水の落下が急激に起きれば、
フロートはほぼ総て露呈するのでフロート浮力は消失す
ると思われる。その一方、この洗浄水落下が緩慢であれ
ば、落下に伴ってフロート浮力は低減し、やがてフロー
トの浮沈状態は一定となるので、フロート浮力はこの状
態で定まる最低浮力となる。
【0009】また、上記の本発明の排水弁装置では、弁
体閉弁時のタンク内洗浄水の満水水位がスリーブ上端の
蓋体の上にさえ有れば、蓋体下面まで浮上したフロート
による蓋体貫通孔の閉塞、並びにその閉塞状態のその後
の維持が可能である。よって、満水水位をスリーブ蓋体
より不用意に高い位置に設定する必要がなく、その分だ
けタンクでの水頭圧を小さくできる。このため、弁体の
面積を広くしても、この弁体を開弁させるに必要なリフ
ト力を小さくでき、操作性と排水能力を維持できる。こ
の場合、所定水量、例えば5リットルとか6リットル程
度の総水量の洗浄水を排水することが求められている場
合には、タンク形状をその底面積が広いものとすれば、
上記したように低水頭圧であっても、上記所定水量の洗
浄水を排水できる。なお、モータ等のアクチュエータを
使って弁体を開弁させるような場合や、テコの原理を用
いて小さな操作力で弁体を開弁させるような場合には、
タンク底面積を狭くして満水水位を高くしても支障はな
い。
【0010】上記の構成を有する本発明の排水弁装置
は、以下の態様を採ることもできる。即ち、前記フロー
ト機構は、前記蓋体の上面側に、前記貫通孔を取り囲む
よう筒状に形成され、タンク内洗浄水を前記貫通孔の上
方に貯め置く上部貯水部を有するものとすることができ
る。こうすれば、次の利点がある。
【0011】蓋体貫通孔の閉塞は、浮力を受けたフロー
トが蓋体下面まで浮上することにより起き、この閉塞状
態の確保には、貫通孔周囲やフロートにシール部材を設
けて水密を図ることが有効である。ここで、この水密が
不十分であるとすると、貫通孔の閉塞箇所には隙間が残
ることになり、この隙間を通して蓋体上面から下面への
洗浄水漏洩が起き得る。この場合、排水口からのタンク
内洗浄水の排出に伴いタンク内水位が前記蓋体の下方ま
で低下すると、前記蓋体貫通孔からの洗浄水漏洩は、こ
の貫通孔からスリーブ内へのエア流入を最終的に引き起
こす。よって、スリーブ内を満たしている洗浄水は下方
へ落下し、フロートが弁体へ及ぼす浮力は既述したよう
に低減して、弁体は閉弁することとなる。
【0012】しかるに本発明の上記態様においては、前
記蓋体の上面側に前記貫通孔を取り囲むよう筒状に形成
され、タンク内洗浄水を前記貫通孔の上方に貯め置く上
部貯水部を有するので、こうした漏洩が起きていている
間において、蓋体上面側で上部貯水部に洗浄水が残存し
ている状況を維持することが可能となる。
【0013】こうした状況が起きている場合、上部貯水
部の残存洗浄水の漏洩と、排水口からのタンク内洗浄水
の流出に伴うタンク内水位低下とが並行して起きる。
今、タンク内水位がスリーブ下方部位のエア流入位置に
達してスリーブ内へのエアの流入が起きようとする状況
が、上部貯水部の総ての残存洗浄水が漏洩して当該貯水
部が空となる状況(即ち、洗浄水がまだ貯め置かれてい
る状況)より早く起きたとする。この場合には、タンク
内水位がスリーブ下方部位のエア流入位置に達するま
で、蓋体上面側から貫通孔を経て空気が入り込むことは
ない。よって、この間にあっては、スリーブ内は洗浄水
により満たされた状態であり、フロートは蓋体下面に浮
上したままである。そして、漏洩継続の間にタンク内水
位がスリーブ下方部位のエア流入位置に達すれば、スリ
ーブ外側から内側へのエア流入が起こり、これにより、
既述したようにフロートが下方に離れて弁体は閉弁す
る。この結果、フロートによる貫通孔閉塞に際して水密
が不十分であったとしても、支障なく弁体を開弁維持で
きると共に、弁体閉弁を起こすことができる。よって、
フロートや蓋体下面或いは貫通孔には、シール部材設置
や水密化確保のための機械加工が不要となるので、部品
製造やその組み付けを簡便化できるほか、部品製造・組
み付け等のコスト低減に有益である。
【0014】また、次のような利点もある。スリーブ下
端からのエア流入が起きれば、スリーブ内では、そのエ
アは蓋体貫通孔を通過し、このエア通過と共に上部貯水
部の残留洗浄水は勢いよく貫通孔を流れ落ちる。この流
れ落ちる残留洗浄水はフロートを強制的に下方に押すの
で、スリーブ内へのエア流入と相まって、速やかにフロ
ートを蓋体下面から離すことができる。よって、弁体閉
弁を高い応答性で速やかに起こすことができる。
【0015】その一方、上部貯水部の貯水量を調整する
ことで、上部貯水部の総ての残存洗浄水が漏洩して当該
貯水部が空となる状況が、タンク内水位がスリーブ下方
部位のエア流入位置に達する状況より早く起きるように
もできる。この場合には、蓋体貫通孔からスリーブ内部
にはエアが入り込んで、スリーブ内は大気解放されるの
で、それまでスリーブ内で浮力を受けていたフロートは
タンク内水位の低下に伴ってスリーブ蓋体から下方に離
れる。そうすると、弁体は閉弁する。よって、タンク内
水位がスリーブ下方部位のエア流入位置に達する以前で
あっても弁体閉弁を実行でき、早期のうちに排水停止を
行うことができる。
【0016】この場合、上記した貫通孔は、フロートに
より閉塞されるものであればよく、単一の貫通孔の他、
小径の貫通孔が蓋体上に点在したものでもよい。そし
て、後者の場合にあっては、それぞれの小径貫通孔がフ
ロートにより閉塞されるようにすればよく、上部貯水部
はこのそれぞれの小径貫通孔を取り囲んで洗浄水を貯め
置けばよい。
【0017】なお、このように上部貯水部を設けても、
タンク内ではその満水水位をこの上部貯水部が水没する
程度とすればよいことから、満水水位を不用意に高くす
る必要はない。
【0018】また、リフタを、前記弁体を下端に有する
シャフトを、上下動可能に備えるものとし、前記フロー
ト機構は、前記シャフトが前記貫通孔を貫通するように
前記スリーブと前記上部貯水部を備えると共に、前記フ
ロートを前記シャフト周りに該シャフトと一体に備え、
前記シャフトは、前記フロートが前記蓋体まで達して前
記貫通孔を閉塞する閉塞位置まで上昇動作するようにす
ることもできる。
【0019】こうすれば、リフタ周りにフロート機構を
集約できるので、取扱が便利となる。しかも、シャフト
の上昇動作により、弁体開弁(排水口開放)と貫通孔閉
塞を同時実行できるので、排水のための操作も簡便とな
る。なお、シャフトが上昇動作を起こした以降は、既述
したように、フロートによる貫通孔閉塞維持、タンク内
水位低下時のエア流入を経て、弁体閉弁(排水停止)が
起きる。
【0020】このようにシャフトを閉塞位置まで上昇動
作させるほか、シャフトを閉塞位置手前の中間位置に上
昇動作させるようにすることもできる。シャフトがこの
中間位置に上昇動作した場合は、蓋体貫通孔は閉塞され
ていない。よって、弁体開弁に伴うタンク内水位低下と
同時に、この貫通孔を経て上部貯水部の洗浄水は速やか
にスリーブ内に流れ落ちてスリーブ内は大気解放され
る。このため、スリーブ内外では同じようにタンク内水
位が低下する。そして、タンク内水位の低下に伴ってフ
ロートは水面に露呈した後に下降する。これにより、弁
体はシャフトと共に降下して排水口を閉弁する。こうし
た閉弁は、タンク内水位がスリーブ下方部位のエア流入
位置に達する以前に起きるので、この場合の排水総量
は、シャフトが上記の閉塞位置まで上昇動作した場合よ
り少なくなる。よって、シャフトを閉塞位置まで上昇動
作させた場合と中間位置まで上昇動作させた場合とで、
異なる排水総量とすることができる。この結果、異なる
排水総量での排水を使い分けることが求められる排水
先、例えば、大便時の洗浄と小便時の洗浄で洗浄水水量
に大小の使い分けが必要とされる便器には好適である。
この他、シャワー水量に大小設定が可能な簡易シャワー
等にも好適である。
【0021】また、上記したように上部貯水部を設ける
に当たり、上部貯水部を水の貯め置き量が調整可能なも
のとできる。こうすれば、上記した洗浄水の漏洩時間を
長短設定できるので、次の利点がある。
【0022】タンク内水位がスリーブ下方部位のエア流
入位置に達するまでの時間(水位降下時間)は、排水口
の開口面積や満水水位により長短調整できる。このた
め、開口面積等の調整と上記の上部貯水部の貯め置き量
調整のいずれによっても、水位降下時間に対して漏洩時
間を遅くしたり早くしたりできる。ところで、排水口は
タンク底面壁の開口であることから開口面積調整は困難
であるのに対し、上部貯水部はタンクとは別のものであ
るので、その調整は容易である。よって、水位降下時間
と漏洩時間の長短調整を容易に行うことができる。
【0023】このように貯め置き量を調整可能とするに
は、前記貫通孔を取り囲むよう前記蓋体の上方に突出し
た筒状体を備え、該筒状体の突出高さを調整すればよ
い。また、この筒状体は、前記蓋体の上方に突出した第
1筒状体と、該第1筒状体に組み込まれた第2筒状体と
を有し、該第2筒状体は、前記第1筒状体に対して上下
にスライド可能とすればよい。或いは、前記貫通孔を取
り囲むよう前記蓋体の上方に突出した筒状体であって、
側壁を貫通する側壁貫通孔を前記蓋体上面からの高さが
異なる位置ごとに有する前記筒状体と、該筒状体におけ
る前記側壁貫通孔を閉塞し、その閉塞状態を調整するこ
とで、未閉塞で最下段に位置する側壁貫通孔を変更する
閉塞体とを有するものとすることもできる。また、前記
貫通孔を取り囲むよう前記蓋体の上方に突出した筒状体
であって、側壁に筒状体内外での洗浄水の流通を起こす
開口部を有する前記筒状体と、該筒状体における前記開
口部の開口状況を変更する閉塞体とを有するものとする
こともできる。以上のようにすれば、簡便に貯め置き量
を調整できる。
【0024】また、上部貯水部は、タンク内洗浄水に水
没した状態において洗浄水を貯め置き、タンク内水位低
下に伴って水面に露呈する。よって、水面に露呈した状
況では、上部貯水部の貯め置く洗浄水は、筒状体側壁の
貫通孔や開口部から流れ出す。このため、この側壁貫通
孔や開口部の面積を調整して、上部貯水部から洗浄水が
流れ出る状況を調整できる。例えば、貫通孔や開口部の
最下段位置が同じであるため最終的な洗浄水の貯め置き
量が同じでも、面積が異なると、上部貯水部が満水の状
況から最終的な貯め置きの状況になるまでの経過時間に
長短が起きる。従って、こうした面積調整によっても、
貯め置き洗浄水の上記した漏洩時間を調整できるので、
上記の水位降下時間と漏洩時間の長短調整の幅が広が
る。
【0025】この他、本発明の給水弁装置は、次のよう
な態様を採ることもできる。即ち、前記スリーブは、ス
リーブ下方部位におけるスリーブ外側から内側へのエア
の流入位置を、スリーブ高さ方向において調整可能とさ
れている。こうすれば、タンク内水位の低下に伴って起
きるエア流入の誘発タイミングを調整できる。このエア
流入は、既述したようにフロートの浮力低減を起こして
弁体を閉弁させる。よって、エア流入位置の調整を通し
て排水洗浄水量を調整することができる。
【0026】また、前記シャフトは、タンク内洗浄水に
水没し前記弁体を下端側周囲に有する中空のシャフトと
され、上端にカップ状に拡張したカップ部を有し、前記
フロート機構は、前記スリーブの前記蓋体より上方に前
記カップ部が位置するよう前記スリーブを備え、更に、
タンク内洗浄水に水没した前記中空シャフトの上端カッ
プ部に配設され、前記中空シャフトの中空孔を開閉する
カップ部弁体と、該カップ部弁体を開弁側にリフトする
リフタとを有するものとすることができる。こうすれ
ば、次のようにして異なる排水総量の排水を起こすこと
ができる。
【0027】まず、カップ部弁体が閉弁状態のまま中空
シャフトにより弁体の開弁とフロートによる蓋体貫通孔
の閉塞がなされた場合は、排水口が開口する。よって、
当該排水口からタンク内洗浄水が排出され、タンク内水
位は下がる。この水位低下によりカップ部は、内部に洗
浄水を貯めたまま水面上に露呈し、カップ部が水没して
いた際の浮力は消失する。このため、カップ部とその内
部の洗浄水の重量は、中空シャフトを介してフロートに
掛かる。そうすると、蓋体貫通孔を閉塞していたフロー
トは、カップ部と内部の洗浄水の重量に押されて蓋体か
ら離れ、貫通孔の閉塞は解消される。このため、この貫
通孔からスリーブ内部へのエア流入が起きるので、スリ
ーブ内部は大気解放となり、スリーブ内外では同じよう
にタンク内水位が低下する。そして、タンク内水位の低
下に伴ってフロートが水面に露呈した後に下降するの
で、弁体はシャフトと共に降下して排水口を閉弁する。
こうした閉弁は、タンク内水位がスリーブ下方部位のエ
ア流入位置に達する以前に起きるので、この場合の排水
総量は、タンク内水位がスリーブ下方部位のエア流入位
置に達して弁体閉弁を起こした場合より少なくなる。
【0028】こうした閉弁を起こす際、カップ部は、洗
浄水重量を中空シャフトを介して弁体にかけるので、弁
体は、速やかに閉弁する。なお、カップ部弁体が閉弁状
態のまま中空シャフトにより弁体を開弁する際、フロー
トが蓋体下面に達しないようにすることもできる。こう
しても、蓋体貫通孔は閉塞なされていないのでスリーブ
内部の大気解放を起こして、上記したように少ない排水
量での排水を図ることができる。
【0029】ところが、カップ部弁体が開弁されると、
カップ部の内部の洗浄水とカップ部上端より上にある洗
浄水は、中空シャフトを通過して排水口から排出され
る。これにより、タンク内水位はカップ部上端まで低下
し、この状態では、カップ部は空となったために今まで
以上の浮力を生じさせることになり、弁体には、フロー
ト浮力に加えてこのカップ部の浮力も掛かる。そうする
と、弁体は排水口の弁座から離れて開弁し、排水口から
洗浄水が直接排水される。しかも、フロートにあって
も、自身の浮力に加えてカップ部の浮力を受けるので、
蓋体下面にまで浮上し、蓋体貫通孔を閉塞する。この場
合にあっては、フロートはカップ部内の洗浄水の重量を
受けないので、貫通孔の閉塞状態はタンク内水位がスリ
ーブ下方部位のエア流入位置に達してスリーブ内へのエ
ア流入が起きるまで維持される。よって、このスリーブ
内へのエア流入に伴い既述したように弁体は閉弁し、こ
の時の排水総量は、カップ部弁体を閉弁させた場合のも
のより多くなるので、カップ部弁体の開閉の選択によ
り、異なる排水総量での排水を使い分けることができ
る。
【0030】また、前記シャフトを蓋体貫通孔の閉塞位
置或いはその手前の中間位置に選択的に上昇動作するよ
うにした場合、シャフトは、前記フロート機構の上方
に、前記シャフトに対して下方に力を及ぼすウェイトを
有し、前記ウェイトは、上端が開口したカップ状の容器
がタンク内洗浄水に水没したときに該容器に貯め置かれ
る洗浄水とされているものとすることもできる。
【0031】こうすれば、容器がタンク内洗浄水の水面
から露呈した以降にあって、容器とその内部の洗浄水の
重量は、常にフロートと弁体に掛かる。よって、閉塞位
置までの上昇動作を起こした場合にあっては、フロート
は、この重量により、タンク内水位がスリーブ下方部位
のエア流入位置に達する手前で蓋体下面から離れて、貫
通孔の閉塞状態を早めに消失させる。このため、ウェイ
トが無い場合よりも、排水総量を少なくできる。一方、
中間位置までの上昇動作の場合には、ウェイトが掛かる
分だけ弁体を早めに閉弁でき、やはり、ウェイトが無い
場合よりも、排水総量を少なくできる。つまり、異なる
排水総量での排水を図るにしても、その排水総量を共に
減少側に調整できる。また、洗浄水をウェイトに用いる
ので、専用の重り等が不要となり、コスト的に有利であ
る。
【0032】そして、この容器の貯め置く洗浄水量を調
整可能とすれば、フロートや弁体に掛かるウェイト量を
大小調整できるので、排水総量の調整程度を種々のもの
とできる。また、タンク内洗浄水の水没位置において容
器の高さ位置を調整すれば、容器が水面に露呈するタイ
ミング、即ち、ウェイトの掛かるタイミングを調整でき
るので、閉塞状態の消失タイミングを変更でき、排水総
量の新たな調整手法を提供できる。加えて、タンク内水
位が低下して容器がタンク内水位より高くなったとき
に、容器内部から外部に流れ出す時間当たり水量を調整
するようにすることもできる。こうすれば、フロートや
弁体に掛かる重量の変化率を変えることができるので、
例えば、この時間当たり水量を大きくすれば、容器の及
ぼす重量を速やかに小さくできる。また、時間当たり水
量を小さくすれば、容器の及ぼす重量が徐々にしか小さ
くしないようにできる。この結果、こうしても閉塞状態
の消失タイミングを変更できるので、排水総量の新たな
調整手法を提供できる。
【0033】以上の排水弁装置は、この排水弁装置を用
いてタンク底面壁の排水口を開閉する排水装置に適用す
ることができる。また、こうした排水装置は、この排水
装置を用いて便器ボール部に洗浄水を流し込んで便器洗
浄を行う便器に適用することができる。特に便器にあっ
ては、洗浄水量を大小***で使い分けるものについて
も、これら排水装置を用いることができる。
【0034】上記した課題の少なくとも一部を解決する
ため、本発明の別の排水弁装置は、タンク底面壁の排水
口からタンク内洗浄水を排水する排水弁装置であって、
前記排水口周りの弁座に当接し、前記排水口を開閉する
第1弁体と、前記第1弁体を下端側周囲に有しタンク内
洗浄水に水没する中空のシャフトであって、上端がカッ
プ状に拡張したカップ部を有する上下動可能な前記中空
シャフトと、前記中空シャフト周りに配設され、前記中
空シャフトと一体とされたフロートと、前記フロートを
取り囲んで配設されたスリーブと、前記スリーブの内側
を上下の区画領域に区画する区画壁であって、上部の前
記区画領域を前記フロートの浮沈領域とすると共に、下
部の前記区画領域を前記第1弁体の上下動領域とし、前
記上下の区画領域を連通する絞り孔を有する前記区画壁
と、タンク内洗浄水に水没した前記中空シャフトの上端
カップ部に配設され、前記中空シャフトの中空孔を開閉
する第2弁体と、該第2弁体を開弁側にリフトするリフ
タとを有することを特徴とする。
【0035】上記構成を有する本発明の別の排水弁装置
では、第1弁体を開弁した場合と第2弁体を開弁した場
合とで、以下に説明するように排水総量に差を持たせて
タンク内洗浄水を排水する。
【0036】まず、中空シャフト上端のカップ部に配設
された第2弁体を閉弁状態としたまま中空シャフトの上
昇動作により第1弁体を開弁した場合について説明す
る。この場合は、排水口は開口するので、タンク内洗浄
水が排出され、タンク内水位は下がる。また、フロート
は、スリーブ内の上部の区画領域において浮上し、その
浮力を中空シャフトを介して第1弁体に及ぼす。よっ
て、第1弁体は、スリーブ内の下部の区画領域の上端、
即ち区画壁下面まで上昇し、排水口は開口状態のまま維
持される。
【0037】こうして排水口が開口している間において
水位低下が進むので、中空シャフト上端のカップ部は、
最初に水面上に露呈し、カップ部が水没していた際の浮
力は消失する。この際、カップ部は、内部に洗浄水を貯
めたままであることから、カップ自体の重量と内部の洗
浄水の重量とを、中空シャフトを介してフロートにかけ
る。そうすると、フロートは、自身の浮力に抗した上記
重量を受けることになる。しかし、タンク内水位はスリ
ーブより高いためにフロートは完全水没したままである
ことから、フロート浮力は勝り、弁体を開弁したままと
する。これにより、タンク内水位は更に低下する。
【0038】タンク内水位がスリーブ上端を下回るまで
低下すると、スリーブ外側では、排水口からの排水によ
りそのまま水位低下を来す。しかし、スリーブ内側で
は、区画壁上部の区画領域から下部の区画領域への洗浄
水通過が区画壁の絞り孔に規制されているので、スリー
ブ内の水位はスリーブ外部に遅れて低下する。ところ
が、フロートは、カップ部とその内部の洗浄水の重量を
中空シャフトを介して受けていることから、この重量を
支えるための浮力を得るために、その大部分を水没させ
ることになる。スリーブ上部区画内の水位低下に伴い、
フロートはその大部分が水没した状態で降下すると、や
がて第1弁体は排水口まで降下し閉弁する。この時の閉
弁のタイミングは、フロートの水没程度が大きいほどス
リーブ内の水位低下が少ない状態で第1弁体が排水口に
到達するので、従ってカップ内に洗浄水を貯めた状態で
は、早期に閉弁することになる。
【0039】対して、中空シャフト上端のカップ部の第
2弁体を開弁した場合は次のようになる。この場合は、
カップ部の内部の洗浄水とカップ部上端より上にある洗
浄水は、中空シャフトを通過して排水口から排出され
る。これにより、タンク内水位はカップ部上端まで低下
し、この状態では、カップ部は空となったために今まで
以上の浮力を生じさせることになり、第1弁体には、フ
ロート浮力に加えてこのカップ部の浮力も掛かる。そう
すると、第1弁体は排水口の弁座から離れて開弁し、排
水口から洗浄水が直接排水される。よって、これ以降で
は、第2弁体閉弁時の場合と同様にしてタンク内水位が
スリーブ内外で低下する。
【0040】しかしながら、カップ部は空であることか
ら、フロートと第1弁体にはカップ部の自重しかかから
ない。よって、フロートの大部分は水面の上方に浮上
し、あまり水没していない状態を維持しながら、水位の
低下に伴って下降をすることになる。このため、第1弁
体が排水口に到達するためには、より多くの水位低下が
必要となり、閉弁までに排出される排水総量を大きくす
ることができる。
【0041】このように、この本発明の排水弁装置によ
れば、排水総量に差を持たせてタンク内洗浄水を排水で
きる。そして、この本発明の排水弁装置では、第1弁体
閉弁時のタンク内洗浄水の満水水位が中空シャフト上端
のカップ部の上にさえ有れば、第1弁体、第2弁体の選
択的な開弁を経た洗浄水排水を実行できる。よって、満
水水位をカップ部より不用意に高い位置に設定する必要
がなく、その分だけタンクでの水頭圧を小さくできる。
このため、タンク底面壁側の第1弁体の面積を広くして
も、この第1弁体を開弁させるに必要なリフト力を小さ
くでき、操作性と排水能力を維持できる。なお、第2弁
体にあっては、その位置がカップ部であることから当該
弁体に掛かる水頭圧は小さく、開弁操作は容易である。
【0042】この本発明の排水弁装置にあっても、この
排水弁装置を用いてタンク底面壁の排水口を開閉する排
水装置に適用することができる。また、こうした排水装
置は、この排水装置を用いて便器ボール部に洗浄水を流
し込んで便器洗浄を行うに当たり、洗浄水量を大小***
で使い分ける便器に適用することができる。
【0043】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施の形態を実施
例に基づき説明する。図1は実施例の大便器10を表す
概略斜視図、図2は大便器10の正面を一部破断して示
す正面図、図3は大便器10の側面を一部破断して示す
側面図、図4はこの大便器10が有する洗浄水タンク1
00の底面の様子を説明するための説明図である。
【0044】これら図面に示すように、大便器10は、
後述の便器ボール部12を有する便器本体部11を備
え、本体部後方には、洗浄水タンク100を有する。便
器本体部11と洗浄水タンク100は、共に陶器製であ
り、洗浄水タンク100が便器本体部11の上面に乗り
上げるようにして一体形成されている。なお、便器本体
部11上縁のリム14には、便座11aと便蓋11bが
開閉自在に装着されている。
【0045】洗浄水タンク100は、平面視において略
L字状の外形をなし、便器本体部11後方に位置する後
部タンク部102と、便器側方に位置する側方タンク部
104とを備える。この各タンク部は、蓋体106でそ
の上端が閉鎖されている。後部タンク部102と側方タ
ンク部104とは、その内部領域が連続するよう、連結
形成されている。洗浄水タンク100は、大便時の洗浄
水総量が約5.5リットルとされた便器への適用を図る
べく、後部タンク部102と側方タンク部104で合わ
せてこの洗浄水総量をやや上回る満水水量(例えば、約
5.6リットル)の洗浄水を貯留する。つまり、洗浄水
タンク100は、タンク水量(約5.6リットル)のう
ちの約5.5リットルのタンク内洗浄水を大便時に排出
し、便器洗浄後においてこの約5.5リットルの洗浄水
を図示しないボールタップ等の洗浄水補給機構で補給す
る。本実施例では、後部タンク部102の底面面積を約
360cm2(約9x40)、側方タンク部104を約
180cm2(約9x20)としたので、上記のタンク
水量(約5.6リットル)を貯留したときの満水水位は
約12.5cmとなる。しかし、満水水位水面からの洗
浄水の飛散防止のための余裕や後述の排水弁の組み付け
の便等を考慮して、便器本体部11上面からのタンク高
さを蓋体込みで約20cmとした。なお、このタンク高
さは、既存のタンク付き便器の1/2〜1/3である。
【0046】後部タンク部102の底面壁103は、図
2に示すように、側方タンク部104との連結部の側に
向けて傾斜する。側方タンク部104にあっては、底面
壁105は、便器前方側の排水弁配設部107に向けて
傾斜している。つまり、図4に示すように、後部タンク
部102から側方タンク部104にかけては、図中の傾
斜記号103aに示すように底面壁103は傾斜し、側
方タンク部104では、図中の傾斜記号105aのよう
に、底面壁105は傾斜している。よって、上記した想
定水量(約5.5リットル)の洗浄水が排出される排出
終期には、後部タンク部102における洗浄水は側方タ
ンク部104の側に流れ、側方タンク部104では排水
弁配設部107の側に流れる。この結果、排水弁配設部
107から離れた後部タンク部102の底面壁103、
特に図4における後部タンク部102の左方側底面部に
は、洗浄水を残さないようにできる。
【0047】次に、洗浄水タンク100からの洗浄水排
水を図るための排水弁装置110と便器本体部11の詳
細について、順を追って説明する。図5は排水弁装置1
10の構成を図1の5−5線に沿って断面視して表す説
明図、図6は図5の6−6線断面図、図7は図5の7−
7線断面図である。
【0048】排水弁装置110は、洗浄水タンク100
における側方タンク部104の排水弁配設部107に次
のようにして配設される。排水弁配設部107はその底
面に開口107aを有し、当該開口には、弁座スリーブ
107bが固定具107cとシールリング107dを介
して水密に装着されている。弁座スリーブ107bは、
その貫通孔をタンク内洗浄水の排水口108とし、貫通
孔上縁を弁座109とする。固定具107cには図2に
示すようにL字配管107eが装着され、この配管を経
てタンク内洗浄水は後述のリム通水路に通水される。
【0049】排水弁装置110は、この排水口108周
りの弁座109に当接し、排水口108を開閉する弁体
112と、この弁体112を下端に備え弁体開閉のため
に上下動する中空シャフト114と、開弁した弁体11
2を閉弁動作させるためのフロート機構120とを有す
る。フロート機構120は、フロート122と、このフ
ロート122を取り囲んでフロート浮沈領域を形成する
スリーブ124とを有する。
【0050】フロート122は、有底の筒状体122a
をその開口側が下方となるよう倒立姿勢を採り、中空シ
ャフト114の周りに当該シャフトと一体とされてい
る。フロート122は、図5に示す洗浄待機時におい
て、内部に空気を残存させた状態でタンク内洗浄水に水
没している。こうした状態にあるフロート122は、弁
体開弁時において、水没していることで生じる浮力を中
空シャフト114を介して弁体112に及ぼして弁体1
12の開弁を維持する。このフロート浮力がタンク内水
位の低下に伴って低減することで、弁体112は閉弁す
る。弁体の開弁維持・閉弁の際のフロートの挙動につい
ては後述する。
【0051】弁体112は、有底部上端に閉塞シール1
23を有する。この閉塞シール123は、フロート12
2の浮上に伴い後述の貫通孔128をその下方側から閉
塞する。この閉塞シール123は、ゴム・軟質樹脂(例
えば、軟質ポリ塩化ビニル(PVC)、発泡ポリエチレ
ン(PE)等)のシート材から形成されており、上記の
ように閉塞した貫通孔128における気液の流通を遮蔽
する。この遮蔽程度については後述する。
【0052】また、フロート122は、筒状体122a
の内側に内部スリーブ122bを備え、この両者を内部
スリーブ側のシールリング122cで気密に保持する。
図8はこの内部スリーブ122bでフロート122の内
容積を可変する様子を説明するための説明図である。図
示するように、フロート122は、内部スリーブ122
bを下方に引き出すことでその内容積を増減でき、水没
時に掛かる浮力の大きさを調整できる。
【0053】スリーブ124は、排水弁配設部107の
上面に配設され、弁座スリーブ107bの上縁に嵌合固
定される。スリーブ124は、スリーブ下端側周辺に脚
124aを等間隔に立設しており、各脚間の開口で弁座
109の周囲を取り囲んでいる。よって、この脚間の開
口は、タンク内の洗浄水が排水口108に至って排水さ
れる際の通水経路となる。この脚間開口は、後述のエア
流入孔134と兼用することもできれば、エア流入孔1
34とは別に設けることもできる。スリーブ124は、
上端側に蓋体126を備え、蓋体中央を中空シャフト1
14が入り込む貫通孔128とする。また、スリーブ1
24は、蓋体126の上部を、図5に示す洗浄待機時に
あってタンク内洗浄水を貯め置く上部貯水部130とす
る。図示するように、本実施例では、この上部貯水部1
30の上端を数ミリ程度越えた水位が洗浄水の満水水位
とされており、この状態において既述した満水水量(約
5.6リットル)の洗浄水が貯留される。なお、中空シ
ャフト114には、図示しない給水機構が給水する際の
規定水位を超えて洗浄水が供給された際に、増加した洗
浄水を排水口108へ導くオーバーフロー孔115が等
ピッチで空けられている。
【0054】スリーブ124は、貫通孔128の開口縁
から中央に迫り出した貫通孔突起129を等ピッチで備
え(図6参照)、蓋体126の下方に、スリーブ内壁か
ら中央に迫り出した内壁凸条132を等ピッチで備える
(図7参照)。この貫通孔突起129と内壁凸条132
は、それぞれ中空シャフト114、フロート122の外
周との間に僅かな間隙を残して中空シャフトとフロート
に対峙する。よって、この中空シャフト114は、貫通
孔突起129に案内されてほぼ真っ直ぐに上下動し、フ
ロート122にあっても、スリーブ124の内部でほぼ
真っ直ぐに上下動する。これにより、弁体112は、ほ
ぼ同じ位置で弁座109に当接して排水口108を閉鎖
する。なお、中空シャフト114のシャフト外周は貫通
孔突起129と内壁凸条132でしか接触することはな
いので、中空シャフト114はスムースに上下動する。
【0055】内壁凸条132は等ピッチで存在するに過
ぎないので、フロート122とスリーブ124の内周壁
の間隙は、図示からも判るように広く空いている。よっ
て、後述するようにスリーブ下方部位のエア流入位置か
らエアがスリーブ内に流入した場合、流入エアは速やか
に上記間隙を経てスリーブ内上壁の蓋体126まで上昇
する。スリーブ124をフロート122の外径より僅か
に大きな内径のものとすれば、スリーブ外径を小さくで
き、コンパクト化が可能である。この場合は、スリーブ
下端から蓋体126に到るまでの間に、スリーブ内壁に
縦溝を形成すれば、この縦溝が上記の流入エアの上昇経
路となり、やはり、流入エアを速やかに蓋体126まで
上昇させることができる。
【0056】スリーブ124は、下方部位周壁にエア流
入孔134を等ピッチで有する。このエア流入孔134
は、スリーブ124外側のタンク内水位がエア流入孔上
端まで低下すると、タンク内のエアをスリーブ内部に流
入させ、後述するように弁体閉弁に関与する。このエア
流入の時期はエア流入孔134の孔上端位置で定まる。
よって、この孔上端位置を調整することで、洗浄水総量
を規定できる。本実施例では、上記した約5.5リット
ルの洗浄水総量となるよう、エア流入孔134の開口位
置は調整されている。なお、この際、洗浄水タンク10
0の総底面面積も考慮される。
【0057】次に、この排水弁装置110が有する開弁
機構について説明する。排水弁装置110は、中空シャ
フト114の上端に形成された上昇動作係合具140
と、蓋体106の上面に上下動可能に配設された大洗浄
押圧ボタン142と小洗浄押圧ボタン144と、これら
各ボタンの押圧動作を中空シャフト114に伝達するた
めの大洗浄リンク片143と小洗浄リンク片145とを
有する。
【0058】大洗浄押圧ボタン142と小洗浄押圧ボタ
ン144の各押圧ボタンは、押圧操作の後には元の位置
に復帰するよう、図示しないスプリングにより常に上向
きに付勢されている。各押圧ボタンの押圧動作は、大洗
浄リンク片143或いは小洗浄リンク片145の回転動
作に変換される。このリンク片が回転すると、各リンク
片と上昇動作係合具140とを係合させる係合腕146
を介して、中空シャフト114は持ち上げられ、弁体1
12は弁座109から離れて排水口108を開弁する。
これにより、タンク内洗浄水の排水(便器への給水)が
開始される。
【0059】排水弁装置110は、大洗浄と小洗浄の上
記各押圧ボタンが押圧操作されたときの中空シャフト1
14の上昇動作長を長短択一的に選択するシフト量調整
機構148を有する。図5に示すように、このシフト量
調整機構148は、振り子状に回動自在とされた駒14
9と、大洗浄押圧ボタン142の下方から延び駒149
の回動を規制する回動規制プレート150とを有する。
駒149は、図示しないスプリングにより図中矢印X方
向に付勢されており、駒先端を中空シャフト114の上
端側外周に当接させている。回動規制プレート150
は、図示しないスプリングにより上方に向けて付勢され
ており、大洗浄押圧ボタン142の押圧操作に伴って下
降する。回動規制プレート150は、この下降動作によ
り駒149の駒先端と中空シャフト114の外周壁との
間に入り込み、中空シャフト114が上昇動作を起こし
ている間に亘って、駒先端を中空シャフト114から遠
ざける。これにより、後述するように中空シャフト11
4のリフト量は多くなる。回動規制プレート150は、
小洗浄押圧ボタン144の押圧操作時にあっては図示す
る位置に止まるので、駒149は、スプリング付勢力を
受けて既述したように駒先端を中空シャフト114の上
端側外周に当接させる。これにより、後述するように中
空シャフト114のリフト量は少なくなる。
【0060】次に、上記した各押圧ボタンが操作された
ときのタンク内洗浄水の排出の様子をフロート122等
の挙動と併せて説明する。図9は大洗浄押圧ボタン14
2を押圧操作した大洗浄時の前半部分における洗浄水排
出の様子と各部材の挙動を表す説明図であり、図9
(a)はボタン操作時の様子を図9(b)は洗浄水排出
途中の様子を示す説明図である。図10は大洗浄時の後
半部分における洗浄水排出の様子と各部材の挙動を表す
説明図であり、図10(a)は排出終期間近の時の様子
を図10(b)は洗浄水排出終了時の様子を示す説明図
ある。なお、説明の便宜上、操作対象となった押圧ボタ
ンは区別して描画する。
【0061】図5に示す洗浄待機状態において大洗浄押
圧ボタン142が図中矢印Laのように押圧操作される
と、大洗浄リンク片143は矢印La1のように回転
し、係合腕146を持ち上げる。これにより、中空シャ
フト114は、矢印La2に示すように上昇する。この
際、回動規制プレート150は、矢印La3のように降
下するので、駒149の駒先端が中空シャフト114の
リフト規制孔116に入り込むことはない。よって、大
洗浄押圧ボタン142の操作時にあっては、中空シャフ
ト114は、上昇端として規定された位置、即ち、図9
(a)に示すように、フロート122がその閉塞シール
123を蓋体126下面に当接させる上昇端位置まで上
昇する。これにより、貫通孔128は、閉塞シール12
3により閉塞される。なお、リフト規制孔116は、対
向形成されているので、中空シャフト114は、上昇動
作係合具140との関係で180度回転した状態でも組
み付け可能である。
【0062】本実施例では、回動規制プレート150の
降下により駒先端のリフト規制孔116への入り込みが
起きないようにしたが、こうした構成に限られない。例
えば、大洗浄押圧ボタン142の押圧操作時には、当該
ボタンにより回動規制プレート150を傾斜させ、この
プレートで駒149を中空シャフト114から遠ざかる
側に回転させるように構成することもできる。
【0063】このように中空シャフト114が上昇する
と、この上昇と同時に弁体112は弁座109から離れ
て排水口108を開弁する。これにより、タンク内洗浄
水の排水(便器への給水)が開始される。フロート12
2は、自身の浮力(フロート浮力)を弁体112に及ぼ
して、この弁体112の開弁状態を維持する。なお、閉
弁時においてもフロート122はフロート浮力を弁体1
12に及ぼすが、弁体112は、タンク内洗浄水から受
ける水頭圧とフロート浮力の差分の力によって閉弁状態
を維持するようにされている。
【0064】その一方、フロート122は、自身の浮力
により絶えず閉塞シール123を蓋体126下面に押し
付けるので、閉塞シール123による貫通孔128の閉
塞状態を維持する。こうした弁体の開弁維持・貫通孔の
閉塞状態維持の間において、タンク内洗浄水は引き続き
排水口108から排水されるので、タンク内水位は低下
する。
【0065】タンク内水位がスリーブ124の最上端、
即ち上部貯水部130周囲壁の上端に達するまでは、ス
リーブ内外で一律にタンク内水位は低下する。タンク内
水位がこの周囲壁上端を下回った以降では、図9(b)
に示すように、スリーブ124では、貫通孔128がフ
ロート122の閉塞シール123により閉塞されたまま
である。よって、スリーブ内へのエア流入は起きず、ス
リーブ内は洗浄水で満たされたままであると共に、貫通
孔128も浮力を受けるフロート122により閉塞され
たままである。この間であっても、スリーブ外側では引
き続きタンク内水位は低下する(図9(b)参照)。
【0066】タンク内水位がスリーブ124下端のエア
流入孔134の開口部上端まで低下すると(図10
(a)参照)、このそれぞれのエア流入孔134を通っ
てスリーブ外側から内側にエアが流入し、スリーブ内は
大気解放される。よって、スリーブ内を満たしていた洗
浄水は、このエアのスリーブ内流入に伴い排水口108
を経てスリーブ内から排水される。フロート122は、
スリーブ内洗浄水の排水に伴いスリーブ内水面に従って
下降する。この場合、スリーブ内の洗浄水は排水口10
8から一気に排出されるので、フロート122は瞬時に
総て露呈してフロート浮力が消失する事態も起き得る。
このため、弁体112は弁座109の側に下降して排水
口108を閉弁し、タンク内洗浄水の排水(便器への給
水)は終了する(図10(b)参照)。本実施例では、
この弁体閉弁までに上記した約5.5リットルの洗浄水
を排出できるよう、エア流入孔134の開孔高さやその
個数等が調整されている。
【0067】こうしてエア流入孔134を経たスリーブ
内へのエア流入が起きると、上記のスリーブ内大気解放
と共に上部貯水部130の残留洗浄水は勢いよく貫通孔
128を流れ落ちる。この流れ落ちる残留洗浄水はフロ
ート122を強制的に下方に押すので、スリーブ内への
エア流入と相まって、フロート122は速やかに蓋体1
26下面から離れる。よって、弁体112は応答性よく
閉弁動作を起こし、タンク内洗浄水の排水終了の応答性
も高まる。なお、弁体112が閉弁して排水が完了する
と、図示しない洗浄水補給装置により洗浄水タンク10
0には、新たな洗浄水が補給され、図5で示した洗浄待
機状態となる。
【0068】ところで、貫通孔128の閉塞が不十分で
閉塞箇所に隙間があると、この隙間を通してスリーブ内
へのエアの流入を起こし、タンク内水位がエア流入孔1
34に達する以前にスリーブ内が大気解放される。しか
し、本実施例では、貫通孔128上部の上部貯水部13
0に洗浄水を貯め置くので、隙間が残っていても、この
隙間からの洗浄水の漏洩を起こす。この漏洩が起きてい
る間は、貫通孔128によるスリーブ内の大気解放を起
こさず、フロート122を浮上させたままとして貫通孔
128の閉塞も維持できる。よって、閉塞シール123
による貫通孔128の閉塞を厳格な水密確保ができるよ
うにする必要が無く、各部材にも高い寸法精度や組み付
け精度等を要しない。このため、部品の加工工程や組み
付け工程の管理・維持が簡便となり、コスト低減に有益
である。
【0069】また、排水弁装置110では、所定水量
(約5.5リットル)の洗浄水排水を行うに当たり、上
記のように上部貯水部130への洗浄水貯め置き、フロ
ートによる貫通孔128の閉塞維持を起こせば足りる。
よって、この所定水量を僅かに上回るタンク水量(約
5.6リットル)を貯留すればよい。そして、このタン
ク水量を貯留したときの満水水位を、図5等に示すよう
に上部貯水部130の周囲壁上端を僅かに越える水位
(本実施例では約12.5cm)とすればよい。このた
め、弁体112をその面積が広いものとしても、この弁
体112を開弁させるに必要なリフト力、即ち上記の大
洗浄押圧ボタン142を押圧操作したときの中空シャフ
ト114の持ち上げ力を小さくでき、操作性と排水能力
を維持できる。
【0070】次に、小洗浄押圧ボタン144が押圧操作
された場合について説明する。図11は小洗浄押圧ボタ
ン144を押圧操作した小洗浄時の前半部分における洗
浄水排出の様子と各部材の挙動を表す説明図であり、図
11(a)はボタン操作時の様子を図11(b)は洗浄
水排出途中の様子を示す説明図である。図12は小洗浄
時の後半部分における洗浄水排出の様子と各部材の挙動
を表す説明図であり、図12(a)は排出終期間近の時
の様子を図12(b)は洗浄水排出終了時の様子を示す
説明図ある。
【0071】図5に示す洗浄待機状態において小洗浄押
圧ボタン144が図中矢印Lbのように押圧操作される
と、小洗浄リンク片145は矢印Lb1のように回転
し、係合腕146を持ち上げる。これにより、中空シャ
フト114は、矢印Lb2に示すように上昇する。この
際、回動規制プレート150はそのままの位置にあるの
で、駒149は駒先端を中空シャフト114の外周壁に
押し付ける。この状態で中空シャフト114は上昇する
ので、駒149の駒先端はリフト規制孔116に入り込
む。このため、図11(a)に示すように、小洗浄押圧
ボタン144の操作時にあっては、中空シャフト114
は、既述した上昇端位置(図9(a)参照)の手前(図
における下方)の中間位置までしか上昇しない。この場
合には、フロート122は蓋体126の下面まで達しな
いので、貫通孔128は開放されたままである。
【0072】このように回動規制プレートを動かさない
ことで駒先端がリフト規制孔116に入り込むようにし
たが、こうした構成に限られない。例えば、小洗浄押圧
ボタン144の押圧操作時には、当該ボタンにより回動
規制プレート150を傾斜等させ、このプレートで駒1
49を中空シャフト114の側に回転させるように構成
することもできる。
【0073】こうした中空シャフト114の上昇と同時
に、弁体112は弁座109から離れて排水口108を
開弁する。これにより、タンク内洗浄水の排水(便器へ
の給水)が開始され、大洗浄時と同様、フロート浮力に
より弁体112の開弁状態は維持される。これにより、
タンク内水位は低下する。
【0074】この場合、貫通孔128は開放されている
ので、タンク内水位は、蓋体126に達するまでの間に
亘り、スリーブ内外で同じように低下する。つまり、上
部貯水部130の貯め置く洗浄水は、スリーブ外側の水
位低下と共に貫通孔128を通過してスリーブ内に流れ
落ち、図11(b)に示すように、スリーブ内は大気解
放状態となる。よって、タンク内水位は、蓋体126の
下方位置であっても、スリーブ内外で引き続き同じよう
に低下する。
【0075】こうしてタンク内水位が低下すると、図1
2(a)に示すように、フロート122は、この水位低
下に伴って水面に露呈し、その後の水位低下と共に降下
する。これにより、弁体112は、既述したように中空
シャフト114と共に降下して排水口108を閉弁し
(図12(b)参照)、洗浄水排水(便器への給水)は
終了する。こうした閉弁は、押圧ボタン操作時の弁体上
昇分だけのシャフト降下が起きればよいことから、タン
ク内水位がスリーブ124のエア流入孔134に達する
以前に起きる。よって、この場合の排水総量は、大洗浄
押圧ボタン142の押圧操作により中空シャフト114
が上記の上昇端位置(図9(a)参照)まで上昇動作し
た場合より少なくなる。この結果、小洗浄押圧ボタン1
44の押圧操作に伴う小洗浄時では、大洗浄時よりも少
ない量の洗浄水を便器への給水のために排水することが
できる。つまり、本実施例の排水弁装置110によれ
ば、大小洗浄時で異なる水量の洗浄水を洗浄水タンク1
00から便器に給水(排出)することができる。
【0076】次に、上記した洗浄水タンク100からの
洗浄水給水を受ける便器本体部11について説明する。
図13は実施例の大便器10をその上面を破断して説明
するための説明図、図14は図13の大便器10を前後
方向の中央線に沿って左方に断面視して示す説明図、図
15は同じく大便器10を右方に断面視して示す説明
図、図16は図14に示すリムの中央部付近を一部破断
して説明するための説明図である。
【0077】これら図面に示すように、大便器10が有
する便器本体部11上縁のリム14は、便器ボール部1
2を取り囲むよう形成されており、その内部に中空のリ
ム導水路16を有する。リム導水路16は、便器後方側
にて洗浄水給水路18と繋がっている。
【0078】洗浄水給水路18は、便器袖側に向かって
延び、図5に示す排水弁装置110からのL字配管10
7e(図2参照)を収納する。このL字配管107e
は、洗浄水給水路18の連結孔19にて水密に固定され
ており、洗浄水給水路18に洗浄水タンク100のタン
ク内洗浄水を導き入れる。こうして洗浄水給水路18に
給水された洗浄水は、図13に示すように、リム導水路
16に左右方向から入り込み、便器ボール部12の上縁
周りに導かれる。
【0079】便器ボール部12は、そのボール底部13
においてサイホントラップ20と連結されている。サイ
ホントラップ20は、ボール底部13に臨んで開口した
トラップ入口22と、このトラップ入口22から便器後
方側に斜め上方に向けた管路を形成する上昇管路部24
と、上昇管路部24の上端に連結して下方に向けて湾曲
した頂上管路部26と、頂上管路部26に連結して下降
する下降管路部28とを有する。頂上管路部26は、上
昇管路部24との連結部に、下降管路部28の側に屈曲
した頂上堰30を備え、この頂上堰30で便器ボール部
12が貯め置く溜水RSの水位を規定する。このサイホ
ントラップ20の管路形状については、後述する。
【0080】リム14は、そのリム導水路16に、図1
3に示す便器左側に、基部第1吐水孔41、基部第2吐
水孔42、左方中央部吐水孔43とを備えるほか、この
左方中央部吐水孔43とリム前端側吐水孔44との間に
は多孔の第1矯正用吐水孔45を、左方中央部吐水孔4
3と基部第2吐水孔42との間には多孔の補助吐水孔4
6を有する。また、リム14は、便器右側に、右中央部
吐水孔47を備え、この右中央部吐水孔47とリム前端
側吐水孔44との間には、多孔の第2矯正用吐水孔4
8、第3矯正用吐水孔49を、右中央部吐水孔47と洗
浄水給水路18の連結部との間には、多孔の第4矯正用
吐水孔50と補助吐水孔51を有する。
【0081】基部第1吐水孔41と基部第2吐水孔42
は、リム導水路16の底部側に形成され、図示するよう
に長孔形状(本実施例では、幅×長さが基部第1吐水孔
41で12×43mm、基部第2吐水孔42で13×3
5mm)とされている。補助吐水孔46や第1矯正用吐
水孔45、リム前端側吐水孔44、第2矯正用吐水孔4
8、第3矯正用吐水孔49、右中央部吐水孔47、第4
矯正用吐水孔50および補助吐水孔51は、それぞれ略
円形の孔形状でリム導水路16の底部側に形成されてい
る。この場合、上記吐水孔の孔径は、本実施例では、補
助吐水孔46と補助吐水孔51が約4mm、第1矯正用
吐水孔45が約13mm、リム前端側吐水孔44と第2
矯正用吐水孔48が約10mm、第3矯正用吐水孔49
と第4矯正用吐水孔50が約5mm、右中央部吐水孔4
7が約16mmとされている。
【0082】リム導水路16に流れ込んだ洗浄水は、洗
浄水給水装置で与えられた流量に依存する速度(流速)
で、リム導水路16を導水路経路に沿って通過し、各吐
水孔に到達した時点では、リム導水路周りの吐水孔位置
に応じた方向性を持っている。よって、上記の各吐水孔
は、図13に模式的に示すように、洗浄水が有する方向
性を反映させながら、洗浄水を便器ボール部12の表面
に沿ってボール底部13の側に吐出する。
【0083】リム導水路16における便器左右の略中央
部には、導水路底部から***した左方***部52と右方
***部53が形成されている。この両***部は、リム導
水路16を、洗浄水の流れ方向に対して上流側を導水路
断面積が広い拡張導水路16aと、下流側を導水路断面
積が狭い狭小導水路16bに区別する。従って、拡張導
水路16aでは通水洗浄水量が大きくなり、狭小導水路
16bでは、左右の***部で整流を受けた洗浄水が流れ
ることになる。
【0084】基部第1吐水孔41等の上記各吐水孔から
の洗浄水吐出がなされる際、基部第1吐水孔41と基部
第2吐水孔42は、その孔形状が長孔形状であると共
に、拡張導水路16aでの吐水孔であること、洗浄水給
水路18に近接していることから、他の吐水孔に比して
大流量での洗浄水吐出を行う。また、第1矯正用吐水孔
45や、右中央部吐水孔47、リム前端側吐水孔44お
よび第2矯正用吐水孔48は、狭小導水路16bでの整
流により、吐出洗浄水の方向性が安定した状態で洗浄水
を吐出し、その際の吐出量は孔径に依存する。
【0085】左方中央部吐水孔43は、図16に示すよ
うに、左方***部52に約16mmの孔径で形成されて
おり、その開口方向は、拡張導水路16aの洗浄水通水
方向と一致する。よって、この左方中央部吐水孔43か
ら吐出された洗浄水は、この左方中央部吐水孔43から
真っ直ぐに進んでリム14下端の便器ボール部12の上
縁周壁55に案内され、その吐出軌跡は、図中の吐出軌
跡TSで示すようなものとなる。この場合、リム14
は、狭小導水路16bの便器ボール部12の側に、左方
***部52から便器前方側にかけて垂下板部56を有
し、左方中央部吐水孔43の前方領域を、垂下板部56
と狭小導水路16bの底面部57および上縁周壁55で
取り囲む。このため、左方中央部吐水孔43は、高い方
向性と収束性を持って洗浄水を上記の吐出軌跡TSで吐
出する。
【0086】次に、上記した基部第1吐水孔41等から
洗浄水吐出を行った場合の洗浄水挙動について説明す
る。図17は基部第1吐水孔41と基部第2吐水孔42
とから吐出された洗浄水の挙動を説明する説明図、図1
8は左方中央部吐水孔43と第1矯正用吐水孔45、リ
ム前端側吐水孔44、第2矯正用吐水孔48および右中
央部吐水孔47からの洗浄水吐出を説明する説明図であ
り、図18(a)は各吐水孔から単独で洗浄水吐出を行
ったと仮定した場合の洗浄水の挙動を説明する説明図、
図18(b)は各吐水孔からの洗浄水吐出により起きる
洗浄水の挙動を説明する説明図である。図19は総ての
吐水孔からの洗浄水吐出により起きる洗浄水の挙動を模
式的に説明する説明図、図20はこの洗浄水挙動を起こ
す各主流が溜水RSに個別に合流することを仮想した際
の様子を模式的に説明する説明図、図21は両主流が同
時に溜水RSに合流した際の溜水における旋回の挙動を
模式的に説明する説明図である。
【0087】基部第1吐水孔41と基部第2吐水孔42
は、図13および図17に示すように、その形成位置が
便器後方側であり拡張導水路16aの底部に開口してい
る。よって、この両吐水孔は、洗浄水を、便器前方側に
向けて溜水RSに対して斜め上方から吐出する。この場
合、両吐水孔は、それぞれ長孔形状とされているので、
洗浄水を幅広く、また、長孔形状より拡がるように吐出
する。そして、この両吐水孔は、隣接形成されているこ
とから、吐出後の洗浄水の流れを合流させるので、こう
した合流により正確な方向性と強い水勢を持った流れの
主流(第1主流S1)を形成し、この第1主流S1を溜
水RSに合流させる。この第1主流S1は、上記の吐水
孔位置、洗浄水吐出方向から、溜水RSに対して、図示
するように平面視で、便器左奥から斜め右前方に向けて
合流する。また、この第1主流S1は、両吐水孔からの
洗浄水流の合流によるものであることから、安定した軌
跡を採って溜水RSに合流する。上記両吐水孔から吐出
されて第1主流S1の形成に関与しない洗浄水は、第1
主流S1両側の流れとして溜水RSに合流し、第1主流
S1が到らない便器ボール部12の表面を洗い流す。補
助吐水孔46からの吐出洗浄水についても同様である。
【0088】左方中央部吐水孔43は、リム導水路16
に導かれた洗浄水を、基部第1吐水孔41と基部第2吐
水孔42と同じ側(詳しくは、便器左方側)から吐出す
る。こうして吐出された洗浄水は、図18(a)に示す
ように、上縁周壁55(図16参照)に沿って周回する
ような既述した吐出軌跡TSで流れる。ところが、この
左方中央部吐水孔43からの洗浄水吐出と共に、第1矯
正用吐水孔45やリム前端側吐水孔44、第2矯正用吐
水孔48および右中央部吐水孔47からの洗浄水吐出も
起きている。これら各吐水孔からの洗浄水吐出は、左方
中央部吐水孔43からの吐出洗浄水の吐出軌跡TSにそ
れぞれ交差するものとなる。よって、吐出軌跡TSの洗
浄水の流れには、便器前方側において、第1矯正用吐水
孔45からの吐出洗浄水、リム前端側吐水孔44からの
吐出洗浄水、第2矯正用吐水孔48からの吐出洗浄水お
よび第3矯正用吐水孔49からの吐出洗浄水が順次合流
する。また、左方中央部吐水孔43の反対側である便器
右方側では、吐出軌跡TSの洗浄水の流れに、右中央部
吐水孔47からの吐出洗浄水と第4矯正用吐水孔50か
らの吐出洗浄水が合流する。
【0089】こうした洗浄水の合流は、吐出軌跡TSの
洗浄水の流れを合流を経て矯正すると共に、吐出軌跡T
Sの洗浄水の流れを合流により正確な方向性と強い水勢
を持った流れの主流(第2主流S2)とし、この第2主
流S2を溜水RSに合流させる。この第2主流S2は、
上縁周壁55周りの吐出軌跡TSの洗浄水の流れを便器
前方側、便器右方側での合流・矯正したものであること
から、溜水RSに対して、図18(b)に示すように平
面視で、便器右前方から斜め左後方に向けて合流する。
この第2主流S2にあっては、第1矯正用吐水孔45等
の複数の吐水孔からの吐出洗浄水の合流・矯正を経たも
のであることから、安定した軌跡を採って溜水RSに合
流し、溜水合流に際しては、図18(b)や図19に示
すように、第1主流S1と便器水平面視において溜水R
Sを挟んで略平行な関係を採り、両主流の合流によって
溜水RSに同一回転方向の旋回流が発生する。なお、補
助吐水孔51や当該吐水孔側の第4矯正用吐水孔50に
あっては、第2主流S2が到らない便器ボール部12の
表面(便器後方側表面)を洗い流す。
【0090】このように第1主流S1と第2主流S2が
溜水RSに対して便器水平面視において略平行で、溜水
RSに同一回転方向の旋回流を起こすよう関係を有して
いることから、本実施例の大便器10では、それぞれの
主流が溜水RSに旋回流を起こす際、お互いの主流が旋
回流の旋回方向の乱れを及ぼし合うことがない。このた
め、旋回流を乱すことなくその旋回を促進し合うので、
吐出洗浄水のエネルギ(水勢)を旋回流生成に無駄なく
用いることができ、これを通して、旋回流による溜水の
押し込み効率を高めることができる。
【0091】次に、こうした主流の合流を引き起こすた
めのボール部内壁構造について説明する。図22は大便
器10を第2主流S2の溜水合流付近である図13の2
2−22線で断面視して示す説明図である。この図22
や図13ないし図15に示すように、本実施例の大便器
10では、便器ボール部12の便器前方側内壁を、リム
14下方の上縁周壁55と、これに続く傾斜の緩い傾斜
部60と、大きく傾斜した傾斜部61と傾斜を抑えた下
端棚部62とし、この下端棚部62を溜水RS中の水面
近傍に位置するようにした。この下端棚部62は、第1
主流S1を受け止めて旋回の案内をすると共に、溜水R
Sにこの第1主流S1が合流して起きる洗浄水の旋回状
況を、図20に示すように、溜水RSの深さ方向の旋回
のリードS1Lが小さくなるようにする。
【0092】また、便器ボール部12の便器後方側内壁
は、リム14下方からほぼ一律に大きな傾斜で傾斜した
後方傾斜部63とされている。この後方傾斜部63は、
溜水RS水面下方のボール底部13のトラップ入口22
まで達するようにされている。また、便器ボール部12
の便器側面側内壁は、図22に示すように、リム14下
方の上縁周壁55に続く傾斜の緩い左右の傾斜部64
R、64Lと、大きく傾斜した左右の傾斜部65R、6
5Lとされている。傾斜部64R、64Lは、便器前方
側の傾斜部60と繋がって、既述した第2主流S2の流
れ矯正の際の洗浄水受け面となり、便器後方側の後方傾
斜部63と繋がっている。この傾斜部64Lは、第1主
流S1を溜水RS近くまで案内するものの、第1主流S
1は斜め後方から前方に流れるので、第1主流S1の溜
水合流とその後の旋回付与のための案内は、既述したよ
うに下端棚部62でなされる。
【0093】傾斜部65R、65Lは、便器前方側で傾
斜部61と、便器後方側で後方傾斜部63と繋がってい
る。傾斜部65Rとこれに続く後方傾斜部63は、上記
のように矯正された第2主流S2を受け止めて溜水RS
に合流案内すると共に、合流後の第2主流S2が溜水R
Sに合流して起きる洗浄水の旋回状況を規定する。この
場合、傾斜部65Rと後方傾斜部63は、共に傾斜が大
きくされており、その傾斜の様子は、溜水RSへの洗浄
水流入によって起きる図22中の溜水水位上昇ΔHと溜
水面広さの拡張ΔSとの比較において、溜水水位上昇Δ
Hに対して水面拡張ΔSが約1/5〜2/5程度とさ
れ、水位上昇における溜水面広さの拡張割合が元の広さ
に対して約40%以内となっている。つまり、第2主流
S2は、こうした大きな傾斜を持って溜水RSに合流し
て溜水合流後にあってもこれら傾斜部で旋回案内され
る。このため、溜水RSにこの第2主流S2が合流して
起きる洗浄水の旋回状況は、図20に示すように、溜水
RSの深さ方向の旋回のリードS2Lが大きくなるよう
なものとなる。なお、傾斜部65Rと後方傾斜部63お
よび傾斜部65Lは、湾曲面であるためにその傾斜程度
を上記した溜水水位上昇ΔHと溜水面広さの拡張ΔSと
の比較で説明したが、これらをその鉛直方向の断面形状
において、溜水水面と周壁面部の断面周壁面とがなす角
度を、約5〜25°となるよう急角度なものにすること
もできる。こうすれば、上記の各傾斜部で案内した第2
主流S2を、大きなリードS2Lの旋回流とできる。
【0094】ところで、上記の各主流合流後に起きる旋
回流は独立に起きているわけではなく、同時進行的に溜
水において発生する。よって、次のような挙動を採ると
推考される。
【0095】このように旋回リードの大きくなるよう第
2主流S2が溜水RSに引き起こした旋回流は、旋回に
基づく溜水RSの押し込みをボール底部13の側、即ち
トラップ入口22に向かうものとする。しかも、この押
し込みを、図21に示すように、第1主流S1が起こす
旋回リードの小さい旋回流にも及ぼすので、第1主流S
1の旋回流に乗って旋回する汚物および旋回洗浄水自体
をトラップ入口22に向かうよう押し込む。このため、
溜水RSや汚物の押し込み性能をより高めることができ
る。なお、このような押し込みを及ぼした場合であって
も、旋回流の旋回方向の乱れは生じない。
【0096】加えて、便器ボール部12は、ボール底部
13をすり鉢状にしていることから、トラップ入口22
へと向かう上記の両旋回流の旋回半径は徐々に小さくな
り、旋回流の勢いは増大していく。このため上記した旋
回流による押し込みの性能はさらに向上することにな
る。
【0097】上記した第1主流S1と第2主流S2に基
づく溜水旋回が起きると、便器ボール部12内の洗浄水
と汚物は、トラップ入口22からサイホントラップ20
に入り込み(押し込まれ)、次のようにしてサイホント
ラップ20から排出される。ここで、汚物排出の様子の
説明に先立ち、サイホントラップ20の詳細な構成につ
いて説明する。図23はサイホントラップ20の管路構
成を説明するために管路を図15の23−23線に沿っ
て断面視した説明図、図24は下降管路部28を図15
および図23の24−24線に沿って断面視した説明
図、図25は下降管路部28を図15および図23の2
5−25線に沿って断面視した説明図、図26は下降管
路部28を図15および図23の26−26線に沿って
断面視した説明図である。
【0098】頂上管路部26は、上昇管路部24に連続
して便器後方に延び、頂上堰30から洗浄水を下降管路
部28に流し落とす。本実施例では、この頂上管路部2
6は、その管路断面積が上昇管路部24より広くなるよ
うにし、後述するように、頂上管路部26の内壁最上位
部70にエア封止を図ることができるようにされてい
る。
【0099】頂上堰30は、この堰を洗浄水が乗り越え
て下降管路部28に流れ落ちる際の案内となるよう、下
降管路部28の側に舌部71を突出して有する。よっ
て、頂上堰30に達した洗浄水は、舌部71での案内を
受けて下降管路部28に流れ落ちるので、下降管路部2
8が有する後述の上部管路棚部75や下部管路棚部77
に確実に到達して、これら棚部での受け止め・跳ね返り
を起こして下流に流れ落ちる。舌部71は、図示するよ
うに下方に湾曲していることから、その下面領域は洗浄
水排出時におけるエア溜まりとなる。
【0100】下降管路部28は、頂上管路部26の側か
ら、湾曲管路部72と中間管路部73と末端管路部74
とを備える。下降管路部28は、図23ないし図26に
示すように、この湾曲管路部72と中間管路部73を、
末端管路部74にかけて管路断面の面積が減少徐変する
ようにして備える。つまり、湾曲管路部72と中間管路
部73は、これら管路部を通過する洗浄水の通過方向に
沿ってその断面積が減少徐変するようにされており、そ
の徐変の様子は、図24、図25に示すように、便器左
右方向において管路軸心側に絞られたものとされてい
る。
【0101】湾曲管路部72は、中間管路部73の連結
部に上部管路棚部75を備える。上部管路棚部75は、
舌部71に案内されて頂上堰30から流れ落ちた洗浄水
を受け止めて洗浄水の跳ね返りを起こし、洗浄水を下流
の中間管路部73に落とし込む。
【0102】中間管路部73は、末端管路部74の連結
部に下部管路棚部77を備える。この下部管路棚部77
は、舌部71からの流れ落ち洗浄水、並びに上部管路棚
部75から中間管路部73の外周壁部76を伝わり落ち
た洗浄水を受け止めて、これら洗浄水の跳ね返りを起こ
し、洗浄水を下流の末端管路部74に落とし込む。
【0103】末端管路部74は、図示しない排水口にい
わゆるスリップインされて、下降管路部28とこの排水
口を連結する。この末端管路部74は、下端に最下端棚
部80を残して開口された貫通孔78を備え、この貫通
孔78を開口面積の狭い絞りとして機能させる。最下端
棚部80は、上記の上部管路棚部75と下部管路棚部7
7で便器ボール部12の側に跳ね返った洗浄水を受け止
めて洗浄水の跳ね返りを起こし、洗浄水を貫通孔78か
ら排水口に導く。
【0104】上記したように、下降管路部28は、上部
管路棚部75と下部管路棚部77を有するので、頂上堰
30を乗り越えて下降管路部28に流れ落ちる洗浄水の
流量が少ないときは、下部管路棚部77での洗浄水の受
け止めと跳ね返りを起こし、流れ落ちる流量が多けれ
ば、上部管路棚部75と下部管路棚部77の両者で洗浄
水の受け止めと跳ね返りを起こす。このため、落ち込み
洗浄水流量の多少に拘わらず、末端管路部74の最下端
棚部80で洗浄水の受け止めと跳ね返りを起こした後
に、洗浄水を排水口に排出する。この場合、中間管路部
73の外周壁部76と頂上堰30の舌部71との位置関
係は、洗浄水給水装置からの給水流量(吐出量)が本実
施例で想定している最低流量(約40リットル/mi
n)であっても、頂上堰30からの流れ落ち洗浄水が確
実に下部管路棚部77で跳ね返るようなものとされてい
る。また、中間管路部73の管路面積や末端管路部74
における78の開口面積等は、既述した洗浄水タンク1
00からの給水流量が上記の最低流量であっても、後述
するように洗浄水の貯め置きが起きるものとされてい
る。
【0105】こうした構成を有する下降管路部28によ
る汚物排出の様子を、下降管路部28における洗浄水の
挙動で説明する。図27は洗浄開始初期における洗浄水
の挙動を説明するための説明図、図28は洗浄水が末端
管路部74で貯め置かれる様子を説明する説明図、図2
9はサイホン作用の発生の状況を説明する説明図であ
る。
【0106】既述した大洗浄押圧ボタン142や小洗浄
押圧ボタン144の操作を経て便器洗浄が開始される
と、洗浄水タンク100からリム導水路16に洗浄水が
流れ込み、既述したように第1主流S1、第2主流S2
で洗浄水が溜水RSに流れ込む。そうすると、図27に
示すように、上昇管路部24に入り込んでいた洗浄水
は、溜水RSに流れ込んだ洗浄水に押し込まれるので、
上昇管路部24での水位が上がる。こうした洗浄水の押
し込みは、既述した第1主流S1と第2主流S2の溜水
RSへの略平行かつ同一回転方向への合流に基づく旋回
流により起きる。
【0107】こうして押し込まれた洗浄水は、上昇管路
部24から頂上管路部26の頂上堰30を越えて下降管
路部28に流れ落ちる。この洗浄水は、図28に示すよ
うに、下降管路部28の上部管路棚部75や下部管路棚
部77で受け止められて跳ね返る。こうして跳ね返った
洗浄水は、洗浄水の流れの向きを下流の末端管路部74
の側に転換して更に下流側に流れ落ち、その際に、下降
管路部内のエアの巻き込みを伴う管路流下と、流れ方向
の転換に伴う洗浄水の流下速度の低下を来して、下流の
末端管路部74に達する。こうした洗浄水挙動により、
上部管路棚部75下流では、その下流管路の洗浄水によ
る封止が次のようにして始まる。
【0108】末端管路部74は、最下端棚部80を備え
るので、この最下端棚部80で洗浄水を更に跳ね返した
後に、貫通孔78から洗浄水を排出する。この場合、図
26に示すように、貫通孔78は、その開口面積が狭く
されていることから、末端管路部74は、一部の洗浄水
を貫通孔78から排出するものの、洗浄水を管路部79
に貯め置く。
【0109】本実施例では、上記の最低流量での洗浄水
給水を起こしている状況下であっても、洗浄水貯め置き
に際して上記した棚部での跳ね返りに基づく流下速度の
低下を起こしていることから、頂上堰30を越えて下降
管路部28に流れ落ちる洗浄水の流量は、末端管路部7
4を経て排出口に流れ出る洗浄水流量に勝る。よって、
洗浄開始当初において、末端管路部74での洗浄水の貯
め置きと排水口への排出を並行して起こすことができ
る。そして、末端管路部74での洗浄水の貯め置き水量
は、下降管路部28への洗浄水の流れ落ちが継続される
に連れて増加する。この洗浄水の落ち込み継続の間にお
いては、頂上堰30を乗り越えて下降管路部28に流れ
落ちる洗浄水の流れが、図28に示すように、頂上堰3
0の舌部71先端から上部管路棚部75或いは下部管路
棚部77に亘るウォーターカーテンのような働きを為
す。
【0110】こうした末端管路部74での洗浄水の貯め
置きと排出が起きている洗浄開始当初の状況では、上部
管路棚部75より下流に残留していたエアは、上記した
棚部跳ね返りの洗浄水に巻き込まれて末端管路部74か
ら排出される。そして、上記した末端管路部74での洗
浄水貯め置きが継続するので、図29に示すように、中
間管路部73並びに末端管路部74は洗浄水で満たされ
てシールされる。これにより、その後の洗浄水の流れ落
ちの継続により、末端管路部74から頂上堰30までに
達する水柱が形成されると共に、この洗浄水水柱により
貫通孔78外部からのエアの進入が防止される。この水
柱形成後であっても、引き続き頂上堰30から下降管路
部28への洗浄水の流れ落ちは継続されて、末端管路部
74での洗浄水の貯め置き水量が増加することから、下
降管路部28における上記形成済みの水柱が貫通孔78
へ落下する際の水頭により洗浄水通水が起きるので、ト
ラップ内では減圧現象が起きる。しかも、上昇管路部2
4を通過して頂上堰30を乗り越え下降管路部28に流
れ込もうとする洗浄水の流れ込みは、この減圧現象の間
も継続されることから、上昇管路部24の側からのエア
の吸込も起こさない。よって、便器ボール部12の溜水
水面と末端管路部74の高さの相違によって、便器ボー
ル部12の洗浄水を吸引するいわゆるサイホン作用が発
生し、エア吸込によるサイホン消滅が起きるまで、この
サイホン作用は継続される。このため、便器ボール部1
2の汚物は溜水並びに給水洗浄水と共に強制的にサイホ
ントラップ20に吸引されて排出される。
【0111】ところで、当初から頂上管路部26の内壁
最上位部70に残存したエアは、この内壁最上位部70
に封止されたままであり、上記した洗浄水による巻き込
みによっては下降管路部28から排出されなかったエア
は、下降管路部28では既に水柱形成済みであることか
ら、この水柱を上昇して内壁最上位部70に封止され
る。また、舌部71の下面でも、エアの溜まりが起きる
ことがある。しかし、末端管路部74では洗浄水の貯め
置きと排出が起きてシール状態であるので、貫通孔78
からのエア浸入を起こさない。また、便器ボール部12
の側でもエア吸込がないので、上記形成された水柱は、
封止エアおよび浸入エアにより断ち切られることがない
ので、上記のように発生したサイホン作用を継続させ
る。このため、サイホン作用により便器ボール部12の
汚物は溜水RSと共に強制的にサイホントラップ20に
吸引されて排出される。
【0112】こうしてサイホン作用が発生して継続する
と、頂上管路部26の内壁最上位部70に封止されてい
た残存エアは、吸引される洗浄水に巻き込まれて当該洗
浄水と共に継続して排出されると予想される。
【0113】ところで、本実施例では、下降管路部28
を、図23ないし図26に示すように、下降側に行くほ
ど管路面積が狭くなるようにした。従って、頂上堰30
を越えて下降管路部28に落ち込んだ洗浄水の末端管路
部74での貯め置きが促進されるので、洗浄水の貯め置
き状況をより確実に起こすことができる。このため、上
記したエア排出・封止によるサイホン作用の発生・継続
の信頼性を高めることができる。つまりは、サイホン作
用により汚物等の強制吸引を確実なものとして、汚物排
出性能を高めることができる。
【0114】本実施例では、旋回のリードが相違する第
1主流S1と第2主流S2とで旋回を起こしているの
で、旋回による押し込み効率は、高まっている。よっ
て、上記のようにエア残存状況下でサイホン作用の発生
・継続を起こす様子は、U字管をサイホントラップ20
の適宜箇所、例えば内壁最上位部70の近辺に接続し、
便器洗浄開始からのU時間字管の液位推移を観察するこ
とで確認できる。図30はエア残存状況下でサイホン作
用の発生・継続を起こす様子を確認するためのU字管の
設置状況を示す説明図、図31はU字管の液位推移を表
したグラフである。
【0115】図示するように、U字管90の液位は、サ
イホン発生当初に正圧側に推移し、その後は、負圧とな
った。このことは、次のように考えることができる。つ
まり、本実施例では、洗浄初期の少量の洗浄水により下
降管路部の一部を封止するので、洗浄開始当初に旋回に
よる押し込みにより洗浄水がサイホントラップに押し込
まれると、残存エアが圧縮を受けて管路内の圧力が高ま
ったと説明できる。こうした正圧発生後に負圧が観察さ
れたのは、サイホン発生により管路内洗浄水の強制吸引
が起きたためと説明できる。よって、こうしたU字管の
液位推移を起こす便器であれば、エア残存状況下での強
い押し込み力による洗浄水押し込みと、その後のサイホ
ン作用の発生並びに継続を起こすものであると考えられ
る。
【0116】なお、便器洗浄に用いる洗浄水流量を節水
便器としての実効性の高い総流量(約5.5リットル)
とした場合、単純に溜水旋回を起こすに過ぎない既存便
器では、上記した正圧・負圧の推移状況は発現せず、洗
浄開始当初から一貫して負圧現象が起きただけであっ
た。
【0117】次に、上記の洗浄水タンク100を有する
大便器10で得られる効果について説明する。本実施例
では、既述したタンク内満水水位が約12.5cmであ
ることから、その水頭圧は約1kPaである。この水頭圧
は、既存のタンク式のサイホントラップ便器の水頭圧
(約2.5kPa)に比して約1/2〜1/3である。よ
って、こうした低水頭圧でも支障なく便器洗浄を行うこ
とができるかについて述べる。
【0118】対比大便器は、上記のサイホントラップ式
便器であり、管路面積がほぼ一様とされたサイホントラ
ップを有し、便器ボール部への洗浄水の吐出により溜水
の旋回を起こすものである。対比試験としては、汚物排
出能力を示すものとして一般的な微粒残数試験とPP
(ポリプロピレン)ボール残数試験を行った。この場
合、微粒残数試験は、粒径約4.5mmの微粒子を約2
500個溜水に浮かべ、この状態で便器洗浄を行った。
この試験では、微粒残数が125個以内であれば、汚物
の排出能力があるとされる。PPボール残数試験は、粒
径約19mmのPPボールを100個溜水に浮かべ、こ
の状態で便器洗浄を行った。この試験では、PPボール
残数が25個以内であれば、汚物の排出能力があるとさ
れる。本実施例の大便器10と上記の比較例便器につい
て、洗浄水総量(目標値)を変えて上記試験を行った。
図32は本実施例の大便器10と対比する大便器につい
て、便器ボール部への給水、ボール部への流入、トラッ
プからの洗浄水排出の各流量を対比して説明する説明
図、図33は本実施例の大便器10と上記の比較例便器
について行った評価試験の結果を示す説明図である。
【0119】この図32、図33から明らかなように、
本実施例の大便器10は、便器ボール部への給水流量、
ボール部への流入流量並びにトラップからの洗浄水排出
流量が対比大便器より少流量である拘わらず、評価試験
の結果が格段に高まった。つまり、大便器10によれ
ば、節水の実効性効果が高いとされる現状洗浄水総量
(約5.5リットル)で洗浄能力を格段に高めることが
できる。このことは、本実施例では、上記したサイホン
作用が確実に起きているために、強い汚物・溜水吸引力
が働いていると共に、第1主流S1と第2主流S2の略
平行かつ同一回転方向への合流に基づく旋回流の押し込
みが高い効率で働いているためといえる。よって、本実
施例便器によれば、高い汚物排出能力を発揮できる。比
較例便器であってもサイホン作用の発生は観察された
が、微粒残数試験での結果の相違から、サイホン作用の
吸引力と旋回流による押し込み効率は、本実施例便器に
勝るものではなかった。なお、PPボール残数試験につ
いては、上記したように高い汚物排出能力を得ることが
できたことが確認されたので、実施を省略した。
【0120】次に、現状洗浄水総量よりも少ない水量
(5リットル)について、微粒残数試験とPPボール残
数試験を行ったところ、本実施例の大便器10によれ
ば、共に、比較例品便器より高い洗浄能力を発揮するこ
とができた。この結果についても、本実施例では、上記
したサイホン作用が確実に起きているために、強い汚物
・溜水吸引力が働いていると共に、第1主流S1と第2
主流S2の略平行かつ同一回転方向への合流に基づく旋
回流の押し込みが高い効率で働いているためといえる。
特に、上記の5リットル(実質的には約4リットル)と
いう少量の洗浄水給水でありながら、溜水中に残るPP
ボール数を低減できた。このことは、第1主流S1と第
2主流S2の略平行かつ同一回転方向への合流に基づく
旋回流の押し込みが高い効率で働いている結果であると
いえる。
【0121】次に、旋回流の押し込み効率について比較
した。つまり、実施例品便器・比較例品便器を、便器ボ
ール部や溜水への洗浄水給水特性を変更することなくサ
イホントラップのない状態とし、旋回流の押し込み効率
について比較した。なお、サイホントラップに替えて壁
排水構成のP配管を上昇管路部24の上端に接続した。
図34は旋回流の押し込み効率についての実施例品と比
較例品との比較結果を示す説明図である。比較試験は、
PPボール残数試験について行った。
【0122】図34に示すように、本実施例の大便器1
0によれば、比較例品便器より高い洗浄能力(PPボー
ルの押し込み効率)を発揮することができた。この結果
についても、本実施例では、第1主流S1と第2主流S
2の略平行かつ同一回転方向への合流に基づく旋回流の
押し込みが高い効率で働いているためといえる。
【0123】本実施例では、上記のような高い洗浄能力
を、少流量で低水頭圧での洗浄水供給により発揮でき
る。便器への洗浄水の供給水量を確認したところ、本実
施例の大便器10では洗浄水の供給水量は約80リット
ル/min、比較例品便器では約150リットル/mi
nという結果であった。こうした少流量では、洗浄開始
当初においてサイホントラップの残存エアをトラップ管
路から追い出せないとして、既存便器では少流量化・低
水頭圧化が採用されることはなかった。しかしながら、
サイホントラップ管路における残存エアの全部を洗浄開
始当初には排出させないと云う新規な着想に基づき、少
流量・低水頭圧の給水での高能力化を現実のものとでき
た。
【0124】以上説明したように、特異なトラップ管路
や便器ボール部への特異な吐水形態を採ることで、本実
施例における大便器10の便器本体部11は、低水頭圧
での給水であっても好適に便器洗浄が可能である。よっ
て、満水水位を低くして洗浄水給水の低水頭圧化をもた
らす本実施例の洗浄水タンク100は、上記の便器本体
部11は勿論、低水頭圧給水での便器洗浄が可能な他の
便器にも、好適に適用できる。また、本実施例の排水弁
装置110によれば、次のような利点もある。
【0125】上記したように、排水弁装置110では、
フロート122を介した貫通孔128の閉塞維持とその
解除を行うことで、大洗浄時の弁体112の開弁維持・
その後の閉弁を行うことができる。よって、洗浄水排水
と排水停止をフロート単体の挙動で司ることができ、フ
ロート以外の弁機構を要しない。このため、本実施例の
排水弁装置110によれば、弁構成の簡略化を図ること
ができると共に、組み付け製造作業の簡便化や、コスト
低下を図ることができる。
【0126】次に、上記した排水弁装置110の変形例
について説明する。図35は変形例の排水弁装置110
Aの要部を断面視して表す説明図である。この変形例
は、弁体112を上昇端位置とその手前の中間位置のい
ずれかに止める構成が相違する。なお、以下の説明に当
たっては、上記実施例と同一の作用をなすものについて
は、そのままの符号を用いる。
【0127】図示するように、弁体112を下端に有す
る中空シャフト114は、蓋体126の上方で大径とさ
れている。この中空シャフト114大径部は、外筒シャ
フト114Aで覆われ、この外筒シャフト114Aは、
下端の顎部154で中空シャフト114の小径部・大径
部の段差部155を支えている。よって、外筒シャフト
114Aをリフトさせれば、この外筒シャフト114A
と中空シャフト114とは一体で上昇する。一方、中空
シャフト114をリフトさせれば、中空シャフト114
だけが単独で上昇する。この場合、顎部154は、その
下面に図示しない突起を等ピッチで有するので、顎部1
54下面と蓋体126上面の間には間隙が形成され、顎
部154で貫通孔128を塞がないようにされている。
【0128】排水弁装置110Aは、蓋体126上面に
ラッチ機構160を有する。このラッチ機構160は、
ラッチ爪161を中空シャフト側に付勢して備え、この
ラッチ爪161と上記両シャフトとの係合状態を異なる
ものとする。ラッチ機構160は、外筒シャフト114
Aのリフト時にあっては、この外筒シャフト114Aの
係合孔162及び中空シャフト114の係合孔163に
ラッチ爪161を係合させない。これにより、外筒シャ
フト114Aと共に中空シャフト114をリフトさせた
場合には、中空シャフト114を上昇端位置まで上昇さ
せることができる。その一方、中空シャフト114のリ
フト時にあっては、外筒シャフト114Aの係合孔16
2及び中空シャフト114の係合孔163にラッチ爪1
61を係合させる。これにより、中空シャフト114の
上昇は規制されるので、中空シャフト114をリフトさ
せた場合には、中空シャフト114を上昇端位置手前の
中間位置まで上昇させることができる。これにより、変
形例の排水弁装置110Aによっても、弁体112の開
弁時において、フロート122による貫通孔128の閉
塞を引き起こすことと、この閉塞を引き起こさないよう
にできる。このため、既述したように、この排水弁装置
110Aによっても、大小洗浄時の洗浄水水量が異なる
よう、タンク内洗浄水を排水できる。
【0129】ここで、上記したように弁体112の上昇
動作を上昇端位置までとその手前の中間位置までのいず
れかにして大小洗浄時の洗浄水量を異なるものとする他
の変形例について説明する。図36は変形例の排水弁装
置110Bのスリーブ上端要部を概略的に示す説明図、
図37はこの排水弁装置110Bのスリーブ上端要部を
概略的に示す斜視図である。
【0130】これら図面に示すよう、排水弁装置110
Bは、中空シャフト114をリフトさせるリフト機構1
70を、スリーブ124上端、詳しくは、蓋体126の
上面に有する。リフト機構170は、蓋体126の上面
から立設して対向する支柱171を備え、この支柱間
に、大洗浄用ヒンジ172と小洗浄ヒンジ173とを有
する。これら両ヒンジは、支柱171に両端支持される
ピン174周りに、個別に揺動可能とされている。
【0131】図37に示すように、大洗浄用ヒンジ17
2は、図示しない大洗浄押圧ボタンの押圧シャフト17
5で図中矢印La方向に押されるプッシュ片176と、
このプッシュ片に繋がったリフタ片177とを有する。
このリフタ片177は、中空シャフト114のシャフト
上端114aの側に向けて延びている。そして、大洗浄
用ヒンジ172は、プッシュ片176が矢印Laのよう
に押されると、ピン174を中心にリフタ片177を図
中矢印La1に示すように回転させ、このリフタ片17
7をシャフト上端114aから遠ざける。
【0132】小洗浄ヒンジ173は、図示しない小洗浄
押圧ボタンの押圧シャフト178で図中矢印Lb方向に
押されるプッシュ片179と、このプッシュ片の一端側
から延び大洗浄用ヒンジ172の側の支柱171にまで
達する開ループ状の支持腕片180とを有する。この小
洗浄ヒンジ173は、図示するように自身のプッシュ片
179が大洗浄用ヒンジ172のプッシュ片176と並
んだ状態で、支柱171間に配設される。この状態で、
小洗浄ヒンジ173は、ピン174により、大洗浄用ヒ
ンジ172と共に支持される。よって、小洗浄ヒンジ1
73は、プッシュ片179が矢印Lbのように押される
と、ピン174を中心に支持腕片180を図中矢印Lb
1に示すように回転させる。この場合、支持腕片180
は、大洗浄用ヒンジ172のリフタ片177と干渉しな
いよう上記したように支持されていることから、小洗浄
ヒンジ173は、単独で矢印Lb1のように回転する。
ところが、上記したように大洗浄用ヒンジ172がリフ
タ片177を回転させた場合は、支持腕片180は、こ
の回転するリフタ片177で下方から持ち上げられて当
該プッシュ片と共に回転する。
【0133】リフト機構170は、上記した各ヒンジ片
の回転動作を中空シャフト114の上昇動作(リフト動
作)に変換するために、リフタ片181を有する。この
リフタ片181は、図示しない固定具にて中空シャフト
114の上端に固定されて上方に延び、その上端に係合
シャフト182を有する。この係合シャフト182は、
支持腕片180の係合孔183に入り込んでいる。これ
により、支持腕片180が既述したように回転すると、
リフタ片181は真っ直ぐに持ち上げられるので、中空
シャフト114は上昇する。
【0134】こうした構成のリフト機構170による中
空シャフト114のリフトの様子は次の通りである。大
洗浄押圧ボタンが操作されると、大洗浄用ヒンジ172
は、リフタ片177を回転させると共に、このリフタ片
177で支持腕片180を下方から持ち上げ、この支持
腕片180をも回転させる。これにより、中空シャフト
114は、リフタ片181を介して上昇する。この場
合、大洗浄用ヒンジ172は、リフタ片177をシャフ
ト上端114aから遠ざけるので、中空シャフト114
は、図36に二点鎖線で示す上昇端位置、即ちフロート
122により貫通孔128を閉塞させる位置まで上昇す
る。よって、この場合は、図5における大洗浄押圧ボタ
ン142操作時と同様、規定の水量(約5.5リット
ル)の洗浄水を便器に給水できる。
【0135】一方、小洗浄押圧ボタンが操作されると、
小洗浄ヒンジ173は、支持腕片180を回転させて中
空シャフト114を持ち上げる。この場合、大洗浄用ヒ
ンジ172は、そのリフタ片177をシャフト上端11
4aの上方に位置させたままである。よって、中空シャ
フト114は、そのシャフト上端114aがリフタ片1
77に当接する位置までしか上昇しない。従って、中空
シャフト114は、貫通孔128がフロート122で閉
鎖される前の位置で停止するので、図5における小洗浄
押圧ボタン144操作時の現象を起こし、上記の大洗浄
時より少量の水量の洗浄水を便器に給水できる。このた
め、リフト機構170を組み込んだ排水弁装置110B
によっても、大小洗浄時の洗浄水水量が異なるよう、タ
ンク内洗浄水を排水できる。
【0136】次に、また別の変形例について説明する。
図38はまた別の変形例の排水弁装置110Cを説明す
る説明図である。この変形例は、上部貯水部130の貯
め置く洗浄水水量を調整できる点に特徴がある。
【0137】図示するように、排水弁装置110Cは、
スリーブ124の上端側に、外筒スリーブ185を有す
る。この外筒スリーブ185は、シールリング186を
介してスリーブ124に装着されており、このスリーブ
に対して上下に摺動する。従って、この変形例の排水弁
装置110Cでは、外筒スリーブ185の上下位置を調
整することで、上部貯水部130が貯め置く洗浄水水量
を調整できる。よって、次のような利点がある。なお、
この変形例では、外筒スリーブ185そのものを上部貯
水部130の周囲壁とできるので、図38に示すよう
に、蓋体126をスリーブ124の最上端に設けるよう
にしてもよい。
【0138】スリーブ124内が洗浄水で満たされてフ
ロート122が浮上して閉塞シール123により貫通孔
128を閉塞した場合、既述したように貫通孔128の
閉塞が不十分で閉塞箇所に隙間があると、この隙間から
の洗浄水の漏洩が起きる。そして、この漏洩が起きてい
る間は、貫通孔128によるスリーブ内の大気解放は起
きず、フロート122を介した貫通孔128の閉塞も維
持できる。こうして洗浄水の漏洩と貫通孔128の閉塞
維持が起きている間にあっても、排水口108からのタ
ンク内洗浄水の排出に伴いタンク内水位は低下する(図
9(b)参照)。こうした状況が継続すると、タンク内
水位がエア流入孔134に達してスリーブ内にエアが流
入する状況(エア流入状況)と、上部貯水部130の総
ての残存洗浄水が漏洩して空になる状況(漏洩終了状
況)が現れる。
【0139】この両状況のうち、エア流入状況はタンク
内水位の低下の様子に依存したタイミングで起き、漏洩
終了状況は漏洩の様子(漏洩水量、残存洗浄水水量)に
依存したタイミングで起きる。漏洩水量は上記の隙間に
変化が無ければ一定と仮定できるので、残存洗浄水水
量、即ち上部貯水部130の貯め置き洗浄水水量を調整
することで、漏洩終了状況のタイミングを調整できる。
具体的には、貯め置き洗浄水水量を少なくすれば、漏洩
が短時間で終了するので、漏洩終了状況は早く起き、洗
浄水水量が多ければ遅く起きる。
【0140】このため、漏洩終了状況をエア流入状況よ
り遅らせれば、タンク内水位がエア流入孔134に達す
る以前に、貫通孔128を経て空気がスリーブ内に入り
込むことはない。よって、エア流入孔134を通したエ
ア流入状況の発現を待ってからしか既述したような弁体
112の閉弁を起きないようにできるので、開弁した弁
体112を閉弁する大洗浄の都度のタイミングをほぼ一
定にでき、洗浄水水量の再現性が高まる。
【0141】また、漏洩終了状況をエア流入状況より早
めれば、貫通孔128からスリーブ内部へのエアの入り
込みによるスリーブ内の大気解放が、タンク内水位がエ
ア流入孔134に達する以前に確実に起きる。よって、
タンク内水位がエア流入孔134に達する以前におい
て、弁体閉弁を確実に実行できる。このため、小洗浄時
の洗浄水水量を大洗浄時より常に少なくできると共に、
その再現性も高まる。
【0142】また、次の利点がある。タンク内水位がス
リーブ下方部位のエア流入位置に達して上記のエア流入
状況が起きるまでの時間(水位降下時間)は、排水口1
08の開口面積やタンク内洗浄水の満水水位により長短
調整できる。ところが、排水口108はタンク底面壁の
開口であることから開口面積調整は困難である。しか
し、この変形例の排水弁装置110Cでは、外筒スリー
ブ185の上下摺動という簡単な調整で、上記の漏洩終
了状況が起きるまでの漏洩時間を簡便に長短調整でき
る。よって、この変形例の排水弁装置110Cによれ
は、水位降下時間と漏洩時間の長短調整を容易に行うこ
とができる。
【0143】上部貯水部130の貯め置き洗浄水水量の
調整は、タンク装置や便器の工場出荷時や保守点検時
に、タンク満水水位等に応じて行えばよい。また、使用
済みの排水弁装置110Cを回収してリサイクル利用す
る際には、新たに装着されるタンクに併せて貯め置き洗
浄水水量を調整できるので、再利用性も高まる。また、
上部貯水部130の貯め置き洗浄水水量の調整を経た漏
洩時間の調整を、この変形例の排水弁装置110Cが適
用される洗浄水タンクや便器の求め(例えば、洗浄水水
量規定等)に応じて行うことができる。よって、適用の
汎用性を高めることができる。
【0144】このように上部貯水部130での貯め置き
量を調整可能とするに当たり、次のように変形すること
もできる。図39はその他の変形例の排水弁装置110
Dを説明する説明図である。図示するように、この排水
弁装置110Dは、上部貯水部130の周囲壁130a
を上記のものに比べて高く有する。この周囲壁130a
には、蓋体126からの高さが異なる位置に複数の壁面
貫通孔187が配設されている。或いは、周囲壁130
aに上下に切り欠かれた切欠溝188が形成されてい
る。なお、壁面貫通孔187や切欠溝188は、周囲壁
130aに等ピッチ(例えば周方向45度ピッチ)で形
成されている。そして、この排水弁装置110Dは、外
筒スリーブ185を上下に摺動することで、未閉塞で最
下段に位置する壁面貫通孔187を変更したり、切欠溝
188における開孔長188aを変更する。このような
構成の排水弁装置110Dにあっても、上部貯水部13
0での貯め置き洗浄水量を調整できるので、上記の排水
弁装置110Cと同様の効果を奏することができる。
【0145】次に、他の変形例について説明する。図4
0は他の変形例の排水弁装置の要部を説明するための説
明図である。この変形例は、上部貯水部130が貯め置
いた洗浄水がスリーブ外側に流れ落ちる状況を調整でき
る点に特徴がある。
【0146】図示するように、この変形例では、上部貯
水部130を取り囲む周囲壁130aは、その周りに壁
面貫通孔190を等ピッチ(例えば周方向45度ピッ
チ)で有する。また、上部貯水部130には、その内壁
に密着して帯状リング191が組み込まれている。この
帯状リング191の組み込みの際には、その組み込み高
さ位置を調整することで、壁面貫通孔190全体の開口
面積が調整される。なお、壁面貫通孔190のいくつか
を埋め栓等で塞いで、壁面貫通孔190全体の開口面積
を調整することもできる。
【0147】また、この帯状リング191を、周囲に貫
通孔192aを有する帯状リング192に替えることも
できる。この帯状リング192では、自身の貫通孔19
2aと壁面貫通孔190の重なり状態によっても、壁面
貫通孔190全体の開口面積を調整できる。なお、図で
は、帯状リング192を二つの貫通孔192aを有する
ものとしたが、これに限らず、周囲壁130aの壁面貫
通孔190と同数とすることや、貫通孔192aを横長
形状とすることなどもできる。また、壁面貫通孔190
についても、図中二点鎖線で示すような長孔状の開口1
90aとすることもできる。更には、帯状リングを周囲
壁130a外周に装着するようにすることもできる。
【0148】こうした開口面積の調整により上部貯水部
130の貯め置いた洗浄水の流れ落ちの状況を調整でき
ることから、次のような利点がある。上部貯水部130
は、図5等に示すように、洗浄待機の時にタンク内洗浄
水に水没して洗浄水を貯め置く。この上部貯水部130
は、タンク内水位低下に伴って水面に露呈し、タンク内
水位が壁面貫通孔190の開口箇所にまで達すると、そ
の後の水位低下の際に、上部貯水部130から外部に貯
め置き洗浄水はこの壁面貫通孔190から流れ出す。最
終的には、上部貯水部130は、壁面貫通孔190の開
口状態で定まる量だけを貯め置く。壁面貫通孔190全
体での開口面積が狭ければ、この洗浄水流出は少流量で
起き、面積が広ければ多流量で起きるので、上部貯水部
130が満水の状況から最終的な貯め置き状況になるま
での経過時間に長短が起きる。従って、こうした面積調
整によっても、洗浄開始からの上記貯め置き洗浄水の漏
洩時間を調整できるので、上記の水位降下時間と漏洩時
間の長短調整の幅が広がる。また、この貫通孔開口面積
調整を経た漏洩時間の調整を、この変形例の排水弁装置
が適用される洗浄水タンクや便器の求め(例えば、洗浄
水水量規定等)に応じて行うことができる。よって、適
用の汎用性を高めることができると共に、再利用効率も
高まる。
【0149】次に、また別の変形例について説明する。
図41はまた別の変形例の排水弁装置110Eを断面視
して説明する説明図、図42はこの排水弁装置110E
を側面視して説明する説明図である。この変形例は、ス
リーブ124下端のエア流入孔134の開口状態を調整
する点に特徴がある。
【0150】図示するように、この変形例の排水弁装置
110Eは、スリーブ124下方部位に、上下に延びる
長孔状のエア流入孔134aと、外筒スリーブ185を
有する。エア流入孔134aは、スリーブ周りに等ピッ
チに形成され、外筒スリーブ185を上下摺動すること
で、それぞれのエア流入孔134aの開口部上端位置は
変更される。つまり、エア流入孔134aの開口部上端
位置は、外筒スリーブ185の下端縁185aで規定さ
れ、外筒スリーブ185とエア流入孔134aの重なり
程度で調整される。
【0151】こうした調整を行うことで、エア流入孔1
34aを介したスリーブ外側から内側へのエアの流入位
置を、スリーブ高さ方向において変更できる。このた
め、タンク内水位の低下に伴って起きるスリーブ内への
エア流入の誘発タイミングを調整できる。このエア流入
は、既述したようにフロート122の浮力低減を起こし
て弁体112を閉弁させるので、排水洗浄水量を調整す
ることができる。
【0152】こうした調整にあっても、タンク装置や便
器の工場出荷時や保守点検時に、所望の洗浄水水量(大
洗浄洗浄水水量)に応じて行えばよい。また、使用済み
の排水弁装置のリサイクル利用の際には、新たに装着さ
れるタンクに併せてエア流入の誘発タイミング、即ち大
便時の洗浄水水量を調整できるので、再利用性も高ま
る。また、外筒スリーブ185の位置調整を、この変形
例の排水弁装置110Eが適用される洗浄水タンクや便
器の求め(洗浄水水量規定等)に応じて行うことができ
るので、適用の汎用性を高めることができる。
【0153】次に、他の変形例について説明する。図4
3は他の変形例の排水弁装置110Fの要部を断面視し
て示す説明図である。この排水弁装置110Fは、中空
シャフト114と一体のフロート122を有する点、フ
ロート浮沈領域をスリーブ124で形成する点、蓋体1
26に貫通孔128を有する点等で上記した実施例と同
様の構成を有し、次の点で構成が相違する。
【0154】図示するように、中空シャフト114は、
その上端にカップ状に拡張したカップ部202を有す
る。このカップ部202は、蓋体126の上方に位置す
ると共に、図示する洗浄待機状態においてタンク内洗浄
水に水没する。このカップ部202の中央開口部は、カ
ップ部弁座204とされ、当該弁座には、これを開閉す
るカップ部弁体206が配設されている。このカップ部
弁体206は、上部中空シャフト208の下端に装着さ
れ、当該シャフトの上昇により、カップ部弁座204を
開弁し、カップ部202内の洗浄水を中空シャフト11
4の中空部を介して排水口108に排出する。上部中空
シャフト208は、先の実施例で説明したようなリフト
機構と係合され、便器洗浄時においてリフトされる。
【0155】こうした構成を有する排水弁装置110F
は、図示する洗浄待機状態において、弁体112に掛か
る水頭圧と、フロート122浮力と、水没下のカップ部
202が生じさせる浮力のバランスの上で、弁体112
を閉弁させている。この排水弁装置110Fは、次のよ
うにして大小洗浄のための洗浄水を異なる洗浄水で排水
(給水)する。
【0156】大洗浄のための操作がなされると、図示し
ないリフト機構は上部中空シャフト208を持ち上げ、
カップ部弁体206を開弁させる。これにより、カップ
部202の内部の洗浄水とカップ部上端より上にあるタ
ンク内洗浄水は、カップ部弁座204の開口を経て中空
シャフト114を通過して排水口108から排出され
る。タンク内水位はカップ部202の上端まで低下し、
この状態では、カップ部は空となったために今まで以上
の浮力を生じさせる。よって、タンク内水位の低下によ
る水頭圧の減少、浮力の増加が起きることから、上記し
たバランスが崩れ、フロート122はスリーブ内の洗浄
水中で浮上する。これにより、中空シャフト114下端
の弁体112は排水口108の弁座109から離れて開
弁し、排水口108からタンク内洗浄水が直接排水され
る。しかも、フロート122は、自身の浮力に加えてカ
ップ部202の浮力を受け、かつ弁体112の上下面で
の圧力差に依存する下方への押し下げ力も減少するの
で、蓋体126下面にまで浮上して、貫通孔128を閉
塞状態とする。こうして浮上したフロート122は貫通
孔128の閉塞状態を、タンク内水位がエア流入孔13
4に達してスリーブ内へのエア流入が起きるまで維持す
る。よって、このスリーブ内へのエア流入に伴い既述し
たように弁体112は閉弁し、この時の排水総量は、タ
ンク内水位がエア流入孔134に達するまでのものとな
る。
【0157】なお、上部中空シャフト208の持ち上げ
の際に、中空シャフト114を同時に持ち上げて、カッ
プ部弁体206と弁体112を開弁するようにすること
もできる。こうしても、上記したように、大洗浄のため
の洗浄水排水を行うことができる。中空シャフト114
を同時に持ち上げるには、持ち上げられた上部中空シャ
フト208と機械的に係合する保持部をカップ部202
上縁からのリブ等で支持するようにする。こうすれば、
上部中空シャフト208が持ち上げられると、保持部を
介して中空シャフト114も持ち上がる。
【0158】小洗浄のための操作がなされると、カップ
部弁体206を閉弁状態としたまま中空シャフト114
は図示しないリフト機構により持ち上げられ、弁体11
2は開弁する。この際、中空シャフト114を、フロー
ト122が貫通孔128を閉塞するまでの上昇端位置に
持ち上げることも、その手前の中間位置までしか持ち上
げないようにすることもできる。まず、上昇端位置まで
のリフトにより貫通孔閉塞がなされた場合について説明
する。
【0159】この場合は、排水口108からのタンク内
洗浄水の排出に伴い、タンク内水位は低下する。カップ
部202は、カップ部弁体206が閉弁状態であること
から、内部に洗浄水を貯めたまま水位低下に伴って水面
上に露呈する。この露呈程度は水位低下に伴って多くな
るので、カップ部202の浮力は、水位低下に伴って低
下し、カップ部202が総て水面上に出ると、消失す
る。こうした浮力の変化(低減・消失)が起きると共
に、カップ部202とその内部の洗浄水の重量は、中空
シャフト114を介してフロート122に掛かる。そう
すると、貫通孔128を閉塞していたフロート122
は、カップ部202と内部の洗浄水の重量に押されて蓋
体126から離れ、貫通孔128の閉塞は解消される。
よって、この貫通孔128からスリーブ内部へのエア流
入が起きるので、スリーブ内部は大気解放となり、スリ
ーブ内外では同じようにタンク内水位が低下する。そし
て、タンク内水位の低下に伴ってフロート122は水面
に露呈した後に下降する。これにより、弁体112は中
空シャフト114と共に降下して排水口108を閉弁す
る。こうした閉弁は、タンク内水位がスリーブ124の
エア流入孔134に達する以前に起きるので、この場合
の排水総量は、タンク内水位がエア流入孔134に達し
て弁体閉弁を起こした上記の大洗浄の場合より少なくな
る。こうした弁体112の閉弁を起こす際、カップ部2
02は、洗浄水重量を中空シャフト114を介して弁体
112にかけるので、弁体112は、速やかに閉弁す
る。
【0160】また、中空シャフト114を中間位置まで
しか持ち上げないようにした場合は、貫通孔128の閉
塞は起きないので、貫通孔128からのエア流入を経た
スリーブ内の大気解放が起きる。よって、この場合であ
っても、既述したようにタンク内水位がエア流入孔13
4に達する以前に起きるので、大洗浄の場合より少ない
量の洗浄水を排出できる。
【0161】この結果、本変形例の排水弁装置110F
によっても、大小洗浄で洗浄水水量を異なるよう、洗浄
水を排出(給水)できる。しかも、この排水弁装置11
0Fにあっても、タンクの満水水位をカップ部202が
水没すれば足りるよう低くできるので、先の実施例と同
様、操作性と排水能力を維持できる。
【0162】また、本変形例では、カップ部202自身
の重量とその内部の洗浄水の重量を、このカップ部20
2がタンク内洗浄水の水面から露呈した以降にあって、
常にフロート122と弁体112にウェイトとしてかけ
る。このため、貫通孔閉塞を起こしているフロートは、
この重量により、タンク内水位がエア流入孔134に達
する手前で蓋体下面から離れて、貫通孔の閉塞状態を早
めに消失させる。従って、ウェイトが無い場合よりも、
排水総量を少なくできる。一方、中間位置までのシャフ
ト上昇の場合には、ウェイトが掛かる分だけ弁体112
を早めに閉弁でき、やはり、ウェイトが無い場合より
も、排水総量を少なくできる。つまり、異なる排水総量
での排水を図るにしても、その排水総量を共に減少側に
調整できる。また、洗浄水をウェイトに用いるので、専
用の重り等が不要となり、コスト的に有利である。しか
も、カップ部202のカップ部弁体206にあっては、
その位置が満水水位近くのカップ部202であることか
ら当該弁体に掛かる水頭圧は小さく、開弁操作は容易で
ある。
【0163】次に、また別の変形例について説明する。
図44はまた別の変形例の排水弁装置110Gの要部を
断面視して示す説明図である。図示するように、この排
水弁装置110Gは、カップ部202のカップ部弁体2
06に上部フロート203を有し、カップ部周囲壁に壁
面貫通孔205を有する。また、この変形例では、中空
シャフト114をその中空径が大きなものとされてお
り、カップ部202内の洗浄水は速やかに排水口108
から排出される。
【0164】この排水弁装置110Gは、図示する洗浄
待機状態において、弁体112に掛かる水頭圧と、フロ
ート122浮力と、水没下のカップ部202が生じさせ
る浮力のバランスの上で、弁体112を閉弁させてい
る。また、カップ部202においては、カップ部弁体2
06に掛かる水頭圧と上部フロート203浮力のバラン
スの上で、カップ部弁体206を閉弁させている。この
排水弁装置110Gは、次のようにして大小洗浄のため
の洗浄水を異なる洗浄水で排水(給水)する。
【0165】小洗浄のための操作がなされると、図示し
ないリフト機構は上部中空シャフト208を持ち上げ、
カップ部弁体206を開弁させる。この場合、上部中空
シャフト208には上部フロート203の浮力が作用し
ていることから、僅かな力を掛けるだけで上部中空シャ
フト208を持ち上げることができる。上部中空シャフ
ト208の持ち上げにより、カップ部202の内部の洗
浄水とカップ部上端より上にあるタンク内洗浄水は、カ
ップ部弁座204の開口を経て中空シャフト114を通
過して排水口108から排出される。この場合、中空シ
ャフト114は大径の中空部を有することから、タンク
内洗浄水の排出は速やかに進み、タンク内水位の低下も
速い。
【0166】タンク内水位がカップ部202の上端より
下方に低下する状況では、カップ部202周囲のタンク
内洗浄水は壁面貫通孔205からカップ部202に入り
込み、上記のようにカップ部弁座204を経て排水口1
08から排出される。つまり、タンク内水位が壁面貫通
孔205に達するまでは、当該貫通孔より上にあるタン
ク内洗浄水が排出されることになる。こうした水位低下
を起こしている最中では、弁体112は、上記した力の
バランスで閉弁したままである。その一方、カップ部弁
体206では、上部フロート203がカップ内水位の低
下に伴い降下することからカップ部弁座204に接近
し、これを閉弁する。こうなると上下の弁体が共に閉弁
状態であることから、タンク内洗浄水の排出は完了し、
その排水量は少量となる。
【0167】大洗浄のための操作がなされると、図示し
ないリフト機構は中空シャフト114を持ち上げるの
で、カップ部弁体206を閉弁状態としたまま弁体11
2が開弁する。これにより、タンク内洗浄水は排水口1
08から排出され、タンク内水位は低下する。この場合
であっても、排水口108はその開口面積が広いことか
ら、洗浄水は大流量で排出されタンク水位は速やかに低
下する。なお、上記のシャフト持ち上げにより、フロー
ト122は、貫通孔128を閉塞する。
【0168】タンク内水位がカップ部202における上
部フロート203近くまで低下すると、上部フロート2
03の浮力が当該フロートを抑えていた力(水頭圧)に
勝り、カップ部弁体206は開弁する。よって、これ以
降では、カップ部弁座204からカップ内洗浄水は排出
されるので、タンク内外で水位は低下する。カップ内水
位がある程度低下すると、上部フロート203が降下し
てカップ部弁体206は閉弁する。この場合、カップ外
側でも、広径の排水口108からの排出により、カップ
内と同様に水位低下が起きるので、上部フロート203
はカップ内で水面に露呈しその浮力は消失する。
【0169】タンク内水位は、引き続き低下しスリーブ
124の上端に達する。その後は、既述した実施例と同
様に、タンク内水位がエア流入孔134まで低下した時
点で、スリーブ内へのエア流入、貫通孔128を介した
スリーブ内大気解放が起き、弁体112は閉弁する。こ
の場合の洗浄水排出量は、タンク内水位がエア流入孔1
34にまで低下していることから、上記の小洗浄よりも
多い洗浄水水量となる。
【0170】この結果、本変形例の排水弁装置110G
によっても、大小洗浄で洗浄水水量を異なるよう、洗浄
水を排出(給水)できる。しかも、この排水弁装置11
0Gにあっても、タンクの満水水位をカップ部202が
水没すれば足りるよう低くできるので、先の実施例と同
様、操作性と排水能力を維持できる。
【0171】次に、その他の変形例について説明する。
図45はその他の変形例の排水弁装置110Hの要部を
断面視して示す説明図である。この排水弁装置110H
は、中空シャフト114が有するカップ部202が貯め
置く洗浄水水量を調整してウェイト量を調整可能である
点に特徴がある。
【0172】図示するように、この排水弁装置110H
は、カップ部202に内筒スリーブ210を有する。こ
の内筒スリーブ210は、シールリング211を介して
水密にカップ部202内周壁に沿って上下動する。つま
り、カップ部202上端からの内筒スリーブ210の突
出程度を変えることで、ウェイト量を大小調整できる。
この排水弁装置110Hでの弁挙動は次のようになる。
【0173】大洗浄のために中空シャフト114が上昇
端位置に持ち上げられた場合は、既述したようなフロー
ト122による貫通孔128の閉塞が起き、タンク内水
位の低下に伴ってカップ部202は露呈する。こうして
カップ部202が完全に露呈した以降では、このカップ
部202の自重と貯水洗浄水水量の重みがウェイトとな
り、このウェイトは、中空シャフト114を介してフロ
ート122に下向きの力として作用する。こうしてウェ
イトを受けている間にあっても、フロート122は自身
のフロート浮力とウェイトとのバランスの上で貫通孔1
28の閉塞状態を維持するが、この閉塞を維持する力は
小さくなる。よって、閉塞シール123でのシール(閉
塞)が弛み、ウェイトが無い場合に比して閉塞箇所の間
隙は広くなる。このため、上部貯水部130の貯め置き
洗浄水のこの間隙からの漏洩量も増えることから、上記
した漏洩時間が短くなる。この結果、タンク内水位がス
リーブ124のエア流入孔134に達する少し手前で、
貫通孔128からのスリーブ内エア流入・大気解放が起
きて弁体112は閉弁する。従って、その分、閉弁タイ
ミング(排水終了タイミング)が早くなり、大洗浄時の
洗浄水排水量を少なくできる。この減少程度は、ウェイ
ト量の大小調整で規定されるので、内筒スリーブ210
の突出程度調整により大洗浄時の排水量を調整できる。
【0174】小洗浄のために中空シャフト114を中間
位置まで持ち上げた場合は、フロート122は蓋体12
6より下方にある状況下で上記したようにカップ部20
2のウェイトがフロート122に掛かることになる。こ
のため、タンク内水位が蓋体126の下面より低く推移
すると、スリーブ内でもこの水位で推移するので、フロ
ート122は水面に露呈し、フロート浮力が低下する。
これと共に、その後の水位低下に伴ってフロート122
(中空シャフト114)も降下する。この状況で中空シ
ャフト114には上記のカップ部ウェイトが掛かるの
で、その分、弁体112の押し付け力が高まり、弁体1
12は、速く閉弁する。つまり、小洗浄時にあっても洗
浄水排水量を少なくできると共に、内筒スリーブ210
の突出程度調整(ウェイト調整)により小洗浄時の排水
量を調整できる。
【0175】また、この内筒スリーブ210の突出程度
調整(ウェイト調整)を、この変形例の排水弁装置11
0Hが適用される洗浄水タンクや便器の求め(例えば、
洗浄水水量規定等)に応じて行うことができる。よっ
て、適用の汎用性を高めることができると共に、再利用
効率も高まる。
【0176】次に、また別の変形例について説明する。
図46はその他の変形例の排水弁装置110Iの要部を
断面視して示す説明図である。この排水弁装置110I
は、中空シャフト114が有するカップ部202の高さ
位置を調整できる点に特徴がある。
【0177】図示するように、この排水弁装置110I
は、中空シャフト114の外周に雄ネジ部214を有
し、カップ部202にはこれに螺合する雌ネジ部215
を有する。カップ部202は、左右回転されることで、
その高さ位置を変える。このようにカップ部202の高
さ位置を変えることで、カップ部202が水面に露呈す
るタイミング、即ち、ウェイトの掛かるタイミングを調
整できる。よって、貫通孔128の閉塞状況下での隙間
を通した漏洩によるスリーブ内の大気解放並びにこれに
伴う閉塞状態の消失タイミングを変更できる。この結
果、変形例の排水弁装置110Iによれば、排水総量の
新たな調整手法を提供できる。また、このカップ部20
2の高さ位置調整を、この変形例の排水弁装置110H
が適用される洗浄水タンクや便器の求め(例えば、洗浄
水水量規定等)に応じて行うことができるので、適用の
汎用性を高めることができると共に、再利用効率も高ま
る。
【0178】こうしたカップ部202を有するものにあ
っては、次のように変形することもできる。つまり、図
40で示したような壁面貫通孔をカップ部202の壁面
に形成し、このカップ部壁面貫通孔の開口状態(開口総
面積)を図40の帯状リングで調整するようにすること
もできる。こうすれば、タンク内水位が低下してカップ
部202がタンク内水位より高くなったときに、カップ
部202内部から外部に流れ出す時間当たり水量(流出
量)を調整できる。このため、カップ部202が中空シ
ャフト114やフロート122に及ぼすウェイトは時間
経過と共に変化し、その変化率を変えることができる。
例えば、上記の貫通孔の遮蔽面積が狭く開口総面積が広
ければ、時間当たりの流出量は大きくなり、上記のウェ
イトを速やかに小さくできる。また、遮蔽面積を広くし
て開口総面積を狭くすれば、ウェイトを徐々にしか小さ
くしないようにできる。この結果、このように変形して
も、貫通孔128の閉塞状況下でのスリーブ内大気解放
並びにこれに伴う閉塞状態の消失タイミングを変更でき
るので、排水総量の新たな調整手法を提供できる。この
カップ部202におけるカップ部壁面貫通孔の開口状態
(開口総面積)の調整を、洗浄水タンクや便器の求め
(例えば、洗浄水水量規定等)に応じて行うことができ
るので、適用の汎用性を高めることができると共に、再
利用効率も高まる。
【0179】次に、フロート122による貫通孔閉塞の
変形例について説明する。図47は貫通孔閉塞の状態を
異なるものとした変形例の排水弁装置110Kの要部を
概略的に示す斜視図である。この排水弁装置110K
は、蓋体126の貫通孔形成の様子に特徴がある。
【0180】図示するように、この排水弁装置110K
は、蓋体126に、貫通孔128とその周りに等ピッチ
で形成された補助貫通孔128aを有する。貫通孔12
8は、中空シャフト114をほぼガタ無く貫通配置でき
るような径のものとされている。こうした構成の排水弁
装置110Kでは、図中点線で示すフロート122が蓋
体126の下面まで浮上した場合、貫通孔128と補助
貫通孔128aが共にこのフロート122により閉塞さ
れる。こうした閉塞が起きた以降にあっては、スリーブ
下端からのエア流入が起きた後に、この流入エアが貫通
孔128と補助貫通孔128aとを通過してスリーブ内
の大気解放を起こす。これにより、既述したように弁体
112が閉弁する。
【0181】この変形例の排水弁装置110Kでは、次
の利点がある。補助貫通孔128aは、埋め栓等で選択
的に閉塞可能であり、蓋体126における未閉塞の補助
貫通孔128aの総面積を変更できる。この未閉塞の補
助貫通孔128aは、上部貯水部130の貯め置き洗浄
水の既述した漏洩を起こす孔となり、未閉塞補助貫通孔
の総面積はこの漏洩程度(漏洩時間)に影響を及ぼす。
よって、補助貫通孔128aの閉塞状態(例えば、閉塞
個数や閉塞面積)を調整することで、既述したように水
位降下時間と漏洩時間の長短調整を容易に行うことがで
き、これにより洗浄水排水量の調整や、排水弁装置の再
利用性、汎用性を高めることができる。
【0182】なお、上記したそれぞれの弁装置におい
て、弁体112を背圧利用によりその閉弁の確実性を図
るようにしてもよい。図48は弁体112の周辺を断面
視すると共に下端方向から矢視して弁体112を示す説
明図である。図示するように、中空シャフト114下端
のフランジ114fは、その下面周縁に亘って段差部1
14gを有する。弁体112は、周縁に切欠112tを
有する。こうした構成の弁体112が段差部114gの
降下に伴って閉弁する際、段差部114gにはその周囲
や切欠112tからスリーブ内の洗浄水が入り込む。従
って、弁体112は、段差部114gに入り込んだ水
(スリーブ内の洗浄水)からの背圧を受けた状態で閉弁
するので、閉弁の信頼性を高めることができる。
【0183】次に、他の実施例について説明する。図4
9は他の実施例の排水弁装置200の要部を断面視して
示す説明図である。この排水弁装置200は、スリーブ
内外の水位低下に遅延を起こす点に特徴がある。
【0184】図示するように、排水弁装置200は、図
43に示した排水弁装置と同様、フロート122を一体
に有する中空シャフト114を備え、その上端にカップ
部202を有する。カップ部202は、そのカップ部弁
座204をカップ部弁体206で開閉する。
【0185】この排水弁装置200が有するスリーブ2
20は、その内部を上下に区画する区画壁222を備
え、区画壁上部をフロート122の浮沈領域とし、区画
壁下部を弁体112の上下動領域とする。区画壁222
には、その上下領域を連通する小径の連通孔226が空
けられている。この連通孔226は、区画壁上部から区
画壁下部へのスリーブ内洗浄水の流通を制限する絞りと
して機能する。
【0186】スリーブ220は、この他、区画壁222
の中央に、筒状突起224を有する。この筒状突起22
4は、中空シャフト114の上下動を案内する。図示す
る洗浄待機状態およびタンク内洗浄水の排出完了時にお
いて、筒状突起224の先端はフロート122に触れな
いようにされている。つまり、洗浄待機状態にあって
は、弁体112に掛かる水頭圧と、フロート122浮力
と、水没下のカップ部202が生じさせる浮力のバラン
スの上で、弁体112を閉弁させている。この排水弁装
置200は、次のようにして大小洗浄のための洗浄水を
異なる洗浄水で排水(給水)する。
【0187】大洗浄のための操作がなされると、図示し
ないリフト機構は上部中空シャフト208を持ち上げ、
カップ部弁体206を開弁させる。これにより、カップ
部202の内部の洗浄水とカップ部上端より上にあるタ
ンク内洗浄水は、カップ部弁座204の開口を経て中空
シャフト114を通過して排水口108から排出され
る。この洗浄水排出に伴いタンク内水位は低下するの
で、水頭圧の減少を引き起こす。これにより上記したバ
ランスが崩れて、フロート122はスリーブ220の区
画壁222上方区画領域内で浮上する。この場合、フロ
ート浮上は、弁体112が区画壁222の下面に達した
時点で機械的に制約される。この状態では、フロート1
22のフロート浮力と、カップ内部が空のまま水没して
いるカップ部202が生じさせる浮力とが、弁体112
に作用し、当該弁体を区画壁222下面に維持する。よ
って、弁体112は開弁状態を維持する。
【0188】なお、上部中空シャフト208の持ち上げ
の際に、中空シャフト114を同時に持ち上げて、カッ
プ部弁体206と弁体112を開弁するようにすること
もできる。こうしても、上記したように、大洗浄のため
の洗浄水排水を行うことができる。中空シャフト114
を同時に持ち上げるには、持ち上げられた上部中空シャ
フト208と機械的に係合する保持部をカップ部202
上縁からのリブ等で支持するようにする。こうすれば、
上部中空シャフト208が持ち上げられると、保持部を
介して中空シャフト114も持ち上がる。
【0189】この開弁の間にタンク内水位は引き続き低
下するので、カップ部202は徐々に水面に露呈し、カ
ップ部202の浮力は低下する。そして、カップ部20
2が完全に水面に露呈することで、カップ部浮力は消失
し、カップ部202は、内部が空であることから、カッ
プ自体の重量を、ウェイトとして、中空シャフト114
を介してフロート122にかける。そうすると、フロー
ト122は、自身の浮力に抗した上記ウェイトを受ける
ことになる。この時点では、タンク内水位はスリーブ2
20より高いためにフロート122は以前として水没し
たままであることから、フロート浮力により弁体112
を開弁したままとする。これにより、タンク内水位は更
に低下する。
【0190】タンク内水位がスリーブ220上端を下回
るまで低下すると、スリーブ外側では、排水口108か
らの排水によりそのまま水位低下を来す。しかし、スリ
ーブ内側では、区画壁222の上部区画領域から下部区
画領域への洗浄水通過が連通孔226に規制されている
ので、スリーブ内の水位はスリーブ外側に遅延して低下
する。
【0191】スリーブ内側の水位低下は、連通孔226
を通した洗浄水の通水程度に依存し、通水程度が大きけ
れば、スリーブ内水位は早く低下する。通水程度が小さ
ければ、スリーブ内水位は遅く低下する。ところで、ス
リーブ内側の水位低下に伴ってフロート122は徐々に
水面に露呈するので、フロート浮力は低減する。こうし
た浮力低減の間において、フロート122にはカップ部
202の自重がウェイトとして作用するので、連通孔2
26の通水は、ウェイト(カップ部自重)の分だけ早ま
る。
【0192】フロート122は、水面に露呈した以降に
おいて、スリーブ内水位の低下に伴って低下し、その
分、弁体112を区画壁222下面から離す。このフロ
ート低下の程度も、上記した連通孔226の通水程度で
定まる。
【0193】こうして上下の区画領域間の通水が行われ
ている間にも、スリーブ外側の水位低下は進み、区画領
域間の通水の程度が小さければ、上部区画領域に洗浄水
が残存しており弁体112が開弁した状態の間にタンク
内部の洗浄水は全て排水口108から排出される。
【0194】その一方、小洗浄のための操作がなされる
と、カップ部弁体206を閉弁状態としたまま中空シャ
フト114は図示しないリフト機構により持ち上げら
れ、弁体112は開弁する。この弁体開弁によりタンク
内洗浄水は弁座109から排出されるので、タンク内水
位は低下する。カップ部202は、カップ部弁体206
が閉弁状態であることから、カップ部自体の重量と内部
の洗浄水の重量とを、ウェイトとして、中空シャフト1
14を介してフロート122にかける。つまり、この小
洗浄時にあっては、上記した大洗浄の場合より大きなウ
ェイトがフロート122に掛かる。
【0195】従って、ウェイト増加の分だけフロート1
12は早いタイミングで下降を始め閉弁するので、小洗
浄時の洗浄水水量は大洗浄時のものより少なくできる。
【0196】このように、この実施例の排水弁装置20
0によっても、大小洗浄に排水総量の差を持たせてタン
ク内洗浄水を排水できる。そして、この排水弁装置20
0であっても、タンク内洗浄水の満水水位がカップ部2
02の上にさえ有れば、大小洗浄で水量が相違する洗浄
水排水を実行できる。よって、満水水位をカップ部20
2より不用意に高い位置に設定する必要がなく、その分
だけタンクでの水頭圧を小さくできるので、既述したよ
うに、操作性と排水能力を維持できる。なお、カップ部
202のカップ部弁体206にあっては、その位置が満
水水位近くのカップ部202であることから当該弁体に
掛かる水頭圧は小さく、開弁操作は容易である。
【0197】以上本発明の実施例について説明したが、
本発明は上記の実施例や実施形態になんら限定されるも
のではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種
々なる態様で実施し得ることは勿論である。
【0198】例えば、上記実施例では、フロート122
を中空シャフト114に一体化した場合について説明し
たが、次のようにすることもできる。図50はまた別の
変形例の排水弁装置300を模式的に示す説明図であ
る。
【0199】図示するように、この変形例の排水弁装置
300は、有底の筒状体302を倒立状態でタンク内に
保持固定して有する。筒状体302の底部には、貫通孔
303が円周上等ピッチで配置するよう形成されてい
る。この筒状体302には、フロート304を組み入
れ、フロート浮力を浮力伝達部材306を使って弁体3
08に掛ける。弁体308は、排水口310を開閉する
よう軸支部材312で回動支持されている。
【0200】今、図示しないレバー等が操作されチェー
ン314で弁体308が持ち上げられると、排水口31
0は開口してタンク内洗浄水を排出する。これと同時
に、フロート304は、筒状体302内を浮上してその
有底部に達し、貫通孔303を閉塞する。この閉塞状態
は、フロート浮力を受けるフロート304で維持され
る。また、フロート浮力は浮力伝達部材306で弁体3
08の開弁側に作用するので、この弁体開弁も維持され
る。
【0201】今、排水口310からの洗浄水排出に伴い
タンク内水位が低下し、当該水位が筒状体302の下端
まで達すると、この下端から筒状体302内にエアが流
入する。そうすると、この流入エアは貫通孔303を貫
通して筒状体302内部の大気解放を引き起こす。これ
により、フロート低下を来すので、既述した実施例と同
様に、弁体308は閉弁する。よって、この排水弁装置
300によっても、タンク満水水位は筒状体302の上
方までとすればよいので、既述した実施例と同様の効果
を奏することができる。
【0202】また、排水弁装置を便器に適用した実施例
およびその変形例として説明したが、便器にその適用が
限られるわけではなく、簡易シャワーや種々の液体給排
水装置に適用できる。また、便器への適用を図るに当た
っては、上記したような低水頭圧でのタンク洗浄水の貯
留で済む便器に限らず、タンク高さを十分確保できて大
きな水頭圧での洗浄水給水を受ける便器に適用すること
もできる。更には、排水弁装置110等において蓋体1
26の上方に上部貯水部130を設けるようにしたが、
この上部貯水部130を有せず、蓋体126でスリーブ
最上端を塞ぐようにすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例の大便器10を表す概略斜視図であ
る。
【図2】 大便器10の正面を一部破断して示す正面図
である。
【図3】 大便器10の側面を一部破断して示す側面図
である。
【図4】 この大便器10が有する洗浄水タンク100
の底面の様子を説明するための説明図である。
【図5】 排水弁装置110の構成を図1の5−5線に
沿って断面視して表す説明図である。
【図6】 図5の6−6線断面図である。
【図7】 図5の7−7線断面図である。
【図8】 この内部スリーブ122bでフロート122
の内容積を可変する様子を説明するための説明図であ
る。
【図9】 大洗浄押圧ボタン142を押圧操作した大洗
浄時の前半部分における洗浄水排出の様子と各部材の挙
動を表す説明図である。
【図10】 大洗浄時の後半部分における洗浄水排出の
様子と各部材の挙動を表す説明図である。
【図11】 小洗浄押圧ボタン144を押圧操作した小
洗浄時の前半部分における洗浄水排出の様子と各部材の
挙動を表す説明図である。
【図12】 小洗浄時の後半部分における洗浄水排出の
様子と各部材の挙動を表す説明図である。
【図13】 実施例の大便器10をその上面を破断して
説明するための説明図である。
【図14】 図13の大便器10を前後方向の中央線に
沿って左方に断面視して示す説明図である。
【図15】 同じく大便器10を右方に断面視して示す
説明図である。
【図16】 図14に示すリムの中央部付近を一部破断
して説明するための説明図である。
【図17】 基部第1吐水孔41と基部第2吐水孔42
とから吐出された洗浄水の挙動を説明する説明図であ
る。
【図18】 左方中央部吐水孔43と第1矯正用吐水孔
45、リム前端側吐水孔44、第2矯正用吐水孔48お
よび右中央部吐水孔47からの洗浄水吐出を説明する説
明図である。
【図19】 総ての吐水孔からの洗浄水吐出により起き
る洗浄水の挙動を模式的に説明する説明図である。
【図20】 この洗浄水挙動を起こす各主流が溜水RS
に個別に合流することを仮想した際の様子を模式的に説
明する説明図である。
【図21】 両主流が同時に溜水RSに合流した際の溜
水における旋回の挙動を模式的に説明する説明図であ
る。
【図22】 大便器10を第2主流S2の溜水合流付近
である図13の22−22線で断面視して示す説明図で
ある。
【図23】 サイホントラップ20の管路構成を説明す
るために管路を図15の23−23線に沿って断面視し
た説明図である。
【図24】 下降管路部28を図15および図23の2
4−24線に沿って断面視した説明図である。
【図25】 下降管路部28を図15および図23の2
5−25線に沿って断面視した説明図である。
【図26】 下降管路部28を図15および図23の2
6−26線に沿って断面視した説明図である。
【図27】 洗浄開始初期における洗浄水の挙動を説明
するための説明図である。
【図28】 洗浄水が末端管路部74で貯め置かれる様
子を説明する説明図である。
【図29】 サイホン作用の発生の状況を説明する説明
図である。
【図30】 エア残存状況下でサイホン作用の発生・継
続を起こす様子を確認するためのU字管の設置状況を示
す説明図である。
【図31】 U字管の液位推移を表したグラフである。
【図32】 本実施例の大便器10と対比する大便器に
ついて、便器ボール部への給水、ボール部への流入、ト
ラップからの洗浄水排出の各流量を対比して説明する説
明図である。
【図33】 本実施例の大便器10と比較例便器につい
て行った評価試験の結果を示す説明図である。
【図34】 旋回流の押し込み効率についての実施例品
と比較例品との比較結果を示す説明図である。
【図35】 変形例の排水弁装置110Aの要部を断面
視して表す説明図である。
【図36】 変形例の排水弁装置110Bのスリーブ上
端要部を概略的に示す説明図である。
【図37】 この排水弁装置110Bのスリーブ上端要
部を概略的に示す斜視図である。
【図38】 また別の変形例の排水弁装置110Cを説
明する説明図である。
【図39】 その他の変形例の排水弁装置110Dを説
明する説明図である。
【図40】 他の変形例の排水弁装置の要部を説明する
ための説明図である。
【図41】 また別の変形例の排水弁装置110Eを断
面視して説明する説明図である。
【図42】 この排水弁装置110Eを側面視して説明
する説明図である。
【図43】 他の変形例の排水弁装置110Fの要部を
断面視して示す説明図である。
【図44】 また別の変形例の排水弁装置110Gの要
部を断面視して示す説明図である。
【図45】 その他の変形例の排水弁装置110Hの要
部を断面視して示す説明図である。
【図46】 その他の変形例の排水弁装置110Iの要
部を断面視して示す説明図である。
【図47】 貫通孔閉塞の状態を異なるものとした変形
例の排水弁装置110Kの要部を概略的に示す斜視図で
ある。
【図48】 弁体112の周辺を断面視すると共に下端
方向から矢視して弁体112を示す説明図である。
【図49】 他の実施例の排水弁装置200の要部を断
面視して示す説明図である。
【図50】 また別の変形例の排水弁装置300を模式
的に示す説明図である。
【符号の説明】
10…大便器 11…便器本体部 11a…便座 11b…便蓋 12…便器ボール部 13…ボール底部 14…リム 16…リム導水路 16a…拡張導水路 16b…狭小導水路 18…洗浄水給水路 19…連結孔 20…サイホントラップ 22…トラップ入口 24…上昇管路部 26…頂上管路部 28…下降管路部 30…頂上堰 41…基部第1吐水孔 42…基部第2吐水孔 43…左方中央部吐水孔 44…リム前端側吐水孔 45…第1矯正用吐水孔 46…補助吐水孔 47…右中央部吐水孔 48…第2矯正用吐水孔 49…第3矯正用吐水孔 50…第4矯正用吐水孔 51…補助吐水孔 52…左方***部 53…右方***部 55…上縁周壁 56…垂下板部 57…底面部 60…傾斜部 61…傾斜部 62…下端棚部 63…後方傾斜部 64L…傾斜部 64R…傾斜部 65L…傾斜部 65R…傾斜部 70…内壁最上位部 71…舌部 72…湾曲管路部 73…中間管路部 74…末端管路部 75…上部管路棚部 76…外周壁部 77…下部管路棚部 78…貫通孔 79…管路部 80…最下端棚部 100…洗浄水タンク 102…後部タンク部 103…底面壁 104…側方タンク部 105…底面壁 106…蓋体 107…排水弁配設部 107a…開口 107b…弁座スリーブ 107c…固定具 107d…シールリング 108…排水口 109…弁座 110、110A〜110K…排水弁装置 112…弁体 112t…切欠 114…中空シャフト 114A…外筒シャフト 114a…シャフト上端 114f…フランジ 114g…段差部 115…オーバーフロー孔 116…リフト規制孔 120…フロート機構 122…フロート 122a…筒状体 122b…内部スリーブ 122c…シールリング 123…閉塞シール 124…スリーブ 126…蓋体 128…貫通孔 128a…補助貫通孔 129…貫通孔突起 130…上部貯水部 130a…周囲壁 132…内壁凸条 134…エア流入孔 134a…エア流入孔 140…上昇動作係合具 142…大洗浄押圧ボタン 143…大洗浄リンク片 144…小洗浄押圧ボタン 145…小洗浄リンク片 146…係合腕 148…シフト量調整機構 149…駒 150…回動規制プレート 154…顎部 155…段差部 160…ラッチ機構 161…ラッチ爪 162…係合孔 163…係合孔 170…リフト機構 171…支柱 172…大洗浄用ヒンジ 173…小洗浄ヒンジ 174…ピン 175…押圧シャフト 176…プッシュ片 177…リフタ片 178…押圧シャフト 179…プッシュ片 180…支持腕片 181…リフタ片 182…係合シャフト 183…係合孔 185…外筒スリーブ 185a…下端縁 186…シールリング 187…壁面貫通孔 188…切欠溝 188a…開孔長 190…壁面貫通孔 190a…開口 191…帯状リング 192…帯状リング 192a…貫通孔 200…排水弁装置 202…カップ部 203…上部フロート 204…カップ部弁座 215…雌ネジ部 205…壁面貫通孔 206…カップ部弁体 208…上部中空シャフト 210…内筒スリーブ 211…シールリング 214…雄ネジ部 215…雌ネジ部 220…スリーブ 222…区画壁 226…連通孔 224…筒状突起 300…排水弁装置 302…筒状体 303…貫通孔 304…フロート 306…浮力伝達部材 308…弁体 310…排水口 312…軸支部材 314…チェーン
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 小川 孝一 福岡県北九州市小倉北区中島2丁目1番1 号 東陶機器株式会社内 (72)発明者 徳永 博之 福岡県北九州市小倉北区中島2丁目1番1 号 東陶機器株式会社内 (72)発明者 吉岡 隆 福岡県北九州市小倉北区中島2丁目1番1 号 東陶機器株式会社内 (72)発明者 大谷 孝幸 福岡県北九州市小倉北区中島2丁目1番1 号 東陶機器株式会社内 Fターム(参考) 2D039 AA02 AC03 AD01 BA12 DB00

Claims (20)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 タンク底面壁の排水口からタンク内洗浄
    水を排水する排水弁装置であって、 前記排水口周りの弁座に当接し、前記排水口を開閉する
    弁体と、 該弁体を開弁側にリフトするリフタと、 フロートを有し、該フロートの浮力を前記リフトした前
    記弁体に及ぼして前記弁体の開弁を維持し、タンク内水
    位の低下に伴って前記弁体を閉弁させるフロート機構と
    を備え、 該フロート機構は、 前記フロートを取り囲んでフロートの浮沈領域を形成す
    るスリーブと、 該スリーブの上端を閉鎖し、貫通孔を有する蓋体とを備
    え、 前記貫通孔を、浮力により前記蓋体下面まで浮上した前
    記フロートを介して閉塞させ、前記貫通孔の閉塞状態
    を、前記スリーブの下方部位のエア流入位置においてス
    リーブ外側から内側へのエアの流入が始まるまで維持す
    ることを特徴とする排水弁装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の排水弁装置であって、 前記フロート機構は、 前記蓋体の上面側に、前記貫通孔を取り囲むよう筒状に
    形成され、タンク内洗浄水を前記貫通孔の上方に貯め置
    く上部貯水部を有する排水弁装置。
  3. 【請求項3】 請求項2記載の排水弁装置であって、 前記リフタは、前記弁体を下端に有するシャフトを、上
    下動可能に備え、 前記フロート機構は、 前記シャフトが前記貫通孔を貫通するように前記スリー
    ブと前記上部貯水部を備えると共に、前記フロートを前
    記シャフト周りに該シャフトと一体に備え、 前記シャフトは、前記フロートが前記蓋体まで達して前
    記貫通孔を閉塞する閉塞位置まで上昇動作する排水弁装
    置。
  4. 【請求項4】 請求項3記載の排水弁装置であって、 前記シャフトは、前記閉塞位置と、前記蓋体まで達しな
    い中間位置とに選択的に上昇動作可能とされている排水
    弁装置。
  5. 【請求項5】 請求項2ないし請求項4いずれか記載の
    排水弁装置であって、 前記上部貯水部は、水の貯め置き量を調整可能とされて
    いる排水弁装置。
  6. 【請求項6】 請求項5記載の排水弁装置であって、 前記上部貯水部は、 前記貫通孔を取り囲むよう前記蓋体の上方に突出した筒
    状体を備え、該筒状体は、その突出高さが調整可能とさ
    れている排水弁装置。
  7. 【請求項7】 請求項6記載の排水弁装置であって、 前記筒状体は、 前記蓋体の上方に突出した第1筒状体と、 該第1筒状体に組み込まれた第2筒状体とを有し、 該第2筒状体は、前記第1筒状体に対して上下にスライ
    ド可能とされている排水弁装置。
  8. 【請求項8】 請求項5記載の排水弁装置であって、 前記上部貯水部は、 前記貫通孔を取り囲むよう前記蓋体の上方に突出した筒
    状体であって、側壁を貫通する側壁貫通孔を前記蓋体上
    面からの高さが異なる位置ごとに有する前記筒状体と、 該筒状体における前記側壁貫通孔を閉塞し、その閉塞状
    態を調整することで、未閉塞で最下段に位置する側壁貫
    通孔を変更する閉塞体とを有する排水弁装置。
  9. 【請求項9】 請求項5記載の排水弁装置であって、前
    記上部貯水部は、 前記貫通孔を取り囲むよう前記蓋体の上方に突出した筒
    状体であって、側壁に筒状体内外での洗浄水の流通を起
    こす開口部を有する前記筒状体と、 該筒状体における前記開口部の開口状況を変更する閉塞
    体とを有する排水弁装置。
  10. 【請求項10】 請求項1ないし請求項9いずれか記載
    の排水弁装置であって、 前記スリーブは、 スリーブ下方部位におけるスリーブ外側から内側へのエ
    アの流入位置を、スリーブ高さ方向において調整可能と
    されている排水弁装置。
  11. 【請求項11】 請求項3記載の排水弁装置であって、 前記シャフトは、タンク内洗浄水に水没し前記弁体を下
    端側周囲に有する中空のシャフトとされ、上端にカップ
    状に拡張したカップ部を有し、 前記フロート機構は、前記スリーブの前記蓋体より上方
    に前記カップ部が位置するよう前記スリーブを備え、 更に、 タンク内洗浄水に水没した前記中空シャフトの上端カッ
    プ部に配設され、前記中空シャフトの中空孔を開閉する
    カップ部弁体と、 該カップ部弁体を開弁側にリフトするリフタとを有する
    排水弁装置。
  12. 【請求項12】 請求項3または請求項4記載の排水弁
    装置であって、 前記シャフトは、前記フロート機構の上方に、前記シャ
    フトに対して下方に力を及ぼすウェイトを有し、 前記ウェイトは、上端が開口したカップ状の容器がタン
    ク内洗浄水に水没したときに該容器に貯め置かれる洗浄
    水とされている排水弁装置。
  13. 【請求項13】 請求項12記載の排水弁装置であっ
    て、 前記容器は、貯め置く洗浄水量が調整可能とされている
    排水弁装置。
  14. 【請求項14】 請求項12または請求項13記載の排
    水弁装置であって、 前記容器は、タンク内洗浄水の水没位置において高さ位
    置が調整可能とされている排水弁装置。
  15. 【請求項15】 請求項12記載の排水弁装置であっ
    て、 前記容器は、タンク内水位が低下して前記容器がタンク
    内水位より高くなったときに、前記容器の内部から外部
    に流れ出す時間当たり水量を調整可能とされている排水
    弁装置。
  16. 【請求項16】 洗浄水を排水する排水装置であって、 洗浄水を貯留するタンクと、該タンクの底面壁に形成し
    た排水口を開閉する請求項1ないし請求項15いずれか
    記載の排水弁装置とを有する排水装置。
  17. 【請求項17】 給水を受けた洗浄水を便器ボール部に
    流し込んで便器洗浄を行う便器であって、 前記便器ボール部を有する便器本体と、該便器本体に洗
    浄水を給水する請求項16記載の排水装置とを有する便
    器。
  18. 【請求項18】 タンク底面壁の排水口からタンク内洗
    浄水を排水する排水弁装置であって、 前記排水口周りの弁座に当接し、前記排水口を開閉する
    第1弁体と、 前記第1弁体を下端側周囲に有しタンク内洗浄水に水没
    する中空のシャフトであって、上端がカップ状に拡張し
    たカップ部を有する上下動可能な前記中空シャフトと、 前記中空シャフト周りに配設され、前記中空シャフトと
    一体とされたフロートと、 前記フロートを取り囲んで配設されたスリーブと、 前記スリーブの内側を上下の区画領域に区画する区画壁
    であって、上部の前記区画領域を前記フロートの浮沈領
    域とすると共に、下部の前記区画領域を前記第1弁体の
    上下動領域とし、前記上下の区画領域を連通する絞り孔
    を有する前記区画壁と、 タンク内洗浄水に水没した前記中空シャフトの上端カッ
    プ部に配設され、前記中空シャフトの中空孔を開閉する
    第2弁体と、 該第2弁体を開弁側にリフトするリフタとを有すること
    を特徴とする排水弁装置。
  19. 【請求項19】 洗浄水を排水する排水装置であって、 洗浄水を貯留するタンクと、該タンクの底面壁に形成し
    た排水口を開閉する請求項18記載の排水弁装置とを有
    する排水装置。
  20. 【請求項20】 給水を受けた洗浄水を便器ボール部に
    流し込んで便器洗浄を行う便器であって、 前記便器ボール部を有する便器本体と、該便器本体に洗
    浄水を給水する請求項19記載の排水装置とを有する便
    器。
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