JP2003238259A - セラミック部品の製造方法 - Google Patents

セラミック部品の製造方法

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JP2003238259A
JP2003238259A JP2002044160A JP2002044160A JP2003238259A JP 2003238259 A JP2003238259 A JP 2003238259A JP 2002044160 A JP2002044160 A JP 2002044160A JP 2002044160 A JP2002044160 A JP 2002044160A JP 2003238259 A JP2003238259 A JP 2003238259A
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ceramic
glass
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ceramic dielectric
laminate
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JP2002044160A
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English (en)
Inventor
Hidenori Katsumura
英則 勝村
Ryuichi Saito
隆一 齊藤
Hiroshi Kagata
博司 加賀田
Tomoya Maekawa
智哉 前川
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Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ガラス含有率が少ない、もしくは全く含まな
いセラミック誘電体材料に対し、焼成処理における平面
方向の収縮を抑え、寸法精度の高いセラミック部品の製
造方法を提供するものである。 【解決手段】 主成分のセラミック誘電体材料100重
量%に対するガラス成分の配合率が20重量%未満のセ
ラミック誘電体組成物からなるグリーンシートを所望枚
数積層し、このグリーンシート積層体の上下両面に、前
記セラミック誘電体材料の焼成処理温度よりも低い軟化
温度を有するガラスと任意のセラミック粉末を混合した
ガラスセラミック組成物からなるグリーンシートを積層
し、さらにその上下両面に焼成処理で焼結しない無機組
成物よりなるグリーンシート(拘束層)を積層した後、
一体焼成処理を行い、その後前記拘束層を取り除く。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はインダクタ、コンデ
ンサ、高周波フィルタなどセラミック部品の製造方法に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、電子部品の小型化のため、セラミ
ック誘電体の内部に導体層を含み、一体焼成して作製さ
れるセラミック積層部品が盛んに用いられるようになっ
ている。積層デバイス技術は、インダクタやコンデンサ
には以前より広く用いられているが、最近では高周波領
域で用いられる共振器などにも利用され始めている。ま
た、セラミック積層部品内にコンデンサ、インダクタ、
フィルタなど複数の回路素子を内蔵し、さらに部品表面
に半導体やSAWフィルタなどのセラミック積層体に内
蔵できない部品を実装して、それらを相互接続し一体化
した小型モジュール積層部品も開発されている。
【0003】ところで、一般的にセラミックは焼成処理
時に収縮をともなうため、原料となるセラミック粉体の
粒径などの物性や、プレス工程、焼成工程など製造工程
の種々の条件が変動すると、焼成処理時の収縮量に違い
が生じ、積層部品の大きさにばらつきを引き起こす。
【0004】前記積層共振器の例では、共振器の共振周
波数は積層体の長さに比例するため、焼成処理時に生じ
る収縮ばらつきは、製品の歩留まりに直接影響する。ま
た小型モジュール積層部品の例では、セラミック積層体
に内蔵する回路の特性をばらつかせ、さらに積層体の表
面に半導体などを実装する場合は所定の位置に実装でき
ないなどの不具合が生じる。
【0005】これを解決する方法として特許27855
44号公報等には、ガラスセラミック組成物よりなるグ
リーンシート積層体の上下面に、このガラスセラミック
混合組成物の焼成処理温度では焼結しない無機組成物よ
りなるグリーンシート(以下拘束層と称する)を積層し
た後、一体焼成処理を行い、その後拘束層を取り除く方
法が提案されている。
【0006】この方法によれば、拘束層によってグリー
ンシート積層体の平面方向の収縮を抑えることができる
ため、平面方向の寸法精度が極めて高いセラミック部品
を得ることができる。その結果、共振器の共振周波数の
ばらつきや、積層体表面への部品実装の位置精度の低下
等の問題が生じにくいといった利点がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上述した製造方法は、
ガラス成分を比較的多く含むガラスセラミック混合組成
物に対して適用可能であるが、ガラス含有率が少ない、
もしくは全く含まないセラミック誘電体材料に対しては
適用が困難である。なぜならば、ガラス含有率が少ない
セラミック誘電体材料では拘束層との結着力が不十分
で、焼成処理中にセラミック誘電体材料の焼成収縮力に
耐えられなくなって界面より剥離が生じ、拘束層がその
役目を果たすことができないためである。発明提案者ら
の検討によれば、セラミック誘電体材料100重量%に
対してガラス成分の配合率が20重量%未満であると、
上記のような不具合が生じる。
【0008】そこで、本発明は上述した問題点を解決す
るものであり、その目的は、主成分のセラミック誘電体
材料100重量%に対してガラス成分の配合率が20重
量%未満のセラミック誘電体材料であっても、焼成処理
における平面方向の収縮を抑え、寸法精度の高いセラミ
ック部品の製造方法を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】そして、この目的を達成
するために本発明の請求項1に記載の発明は、特に、セ
ラミック誘電体材料100重量%に対するガラス成分の
配合率が20重量%未満のセラミック誘電体組成物から
なるグリーンシートを所望枚数積層し、次にこのグリー
ンシート積層体の上下両面に、前記セラミック誘電体材
料の焼成処理温度よりも低い軟化温度を有するガラスと
任意のセラミック粉末を混合したガラスセラミック組成
物からなるグリーンシートを積層し、さらにその上下両
面に拘束層として、焼成処理で焼結しない無機組成物よ
りなるグリーンシートを積層した後、一体焼成処理を行
い、その後前記焼結しない無機組成物を取り除くことを
特徴とするセラミック部品の製造方法であり、ガラス含
有率の少ないセラミック誘電体層であっても、拘束層に
よってセラミック誘電体層の焼成処理における平面方向
の収縮が抑えられるため、平面方向の寸法精度が極めて
高いセラミック部品を得ることができるという効果が得
られる。
【0010】本発明の請求項2に記載の発明は、特に、
セラミック積層体もしくはガラスセラミック積層体の内
部に銀、銅を主成分とする電極を内蔵していることを特
徴とする請求項1記載のセラミック部品の製造方法であ
り、銀、銅を主成分とする電極を内蔵していることによ
り特に高周波領域で優れた特性を示すセラミック部品を
得ることができるという効果が得られる。
【0011】本発明の請求項3に記載の発明は、特に、
ガラスセラミック組成物の熱膨張係数α2と、セラミッ
ク誘電体組成物の熱膨張係数α1の比α2/α1が0.8
〜1.2の範囲内であることを特徴とする請求項1また
は2に記載のセラミック部品の製造方法であり、両者の
熱膨張係数の差を小さくすることによりガラスセラミッ
ク層およびセラミック誘電体層の内部に焼成処理にとも
なう応力の蓄積を小さくし、信頼性の高いセラミック部
品を得ることができるという効果が得られる。
【0012】本発明の請求項4に記載の発明は、特に、
ガラスセラミック組成物からなるグリーンシート積層体
の厚みt2と、セラミック誘電体組成物からなる積層体
厚みt1の比t2/t1が0.02〜0.2の範囲内であ
ることを特徴とする請求項3記載のセラミック部品の製
造方法であり、両者の厚みの比を所定の範囲にすること
によりガラスセラミック積層体表面の変色がなく、か
つ、ガラスセラミック層とセラミック誘電体層の界面に
剥離などの欠陥のない信頼性の高いセラミック部品を得
ることができるという効果が得られる。
【0013】本発明の請求項5に記載の発明は、特に、
セラミック誘電体組成物からなるグリーンシート積層体
の厚みt1およびガラスセラミック積層体の厚みt2の和
と、焼成処理で焼結しない無機組成物からなる積層体厚
みt3の比t3/(t1+t2)が0.02以上であること
を特徴とする請求項3記載のセラミック部品の製造方法
であり、各々の厚みの比を所定の範囲にすることにより
平面方向の収縮歪みが小さく、寸法精度の極めて優れた
セラミック部品を得ることができるという効果が得られ
る。
【0014】本発明の請求項6に記載の発明は、特に、
焼成処理で焼結しない無機組成物からなるグリーンシー
トがAl23、MgO、ZrO2、SiO2、TiO2
うち少なくとも1種以上を含むグリーンシートであるこ
とを特徴とする請求項1記載のセラミック部品の製造方
法であり、前記の成分を拘束層に含むことにより、セラ
ミック誘電体層の平面方向の収縮をさらに抑えられるた
め、平面方向の寸法精度がより高いセラミック部品を得
ることができるという効果が得られる。
【0015】本発明の請求項7に記載の発明は、特に、
焼成処理で焼結しない無機組成物の平均粒径が5μm以
下であることを特徴とする請求項1記載のセラミック部
品の製造方法であり、平均粒径を小さくすることにより
ガラスセラミック層の表面粗さが平滑なセラミック部品
を得ることができるという効果が得られる。
【0016】本発明の請求項8に記載の発明は、特に、
セラミック誘電体組成物の主成分がBi23、CaO、
Nb25であることを特徴とする請求項1〜7のいずれ
か1つに記載のセラミック部品の製造方法であり、主成
分に前記の成分を用いることにより高周波領域において
電気特性の優れたセラミック部品を得ることができると
いう効果が得られる。
【0017】本発明の請求項9に記載の発明は、特に、
セラミック誘電体組成物の主成分がBaO、RE23
TiO2であり、REはLa、Nd、Smのうち少なく
とも一種類以上から選ばれる元素であることを特徴とす
る請求項1〜7のいずれか1つに記載のセラミック部品
の製造方法であり、主成分に前記の成分を用いることに
より高周波領域において電気特性の優れたセラミック部
品を得ることができるという効果が得られる。
【0018】
【発明の実施の形態】(実施の形態1)以下、本発明の
具体的な実施の形態について表および図面を参照しなが
ら具体的に説明する。
【0019】セラミック誘電体組成物としてBi23
CaO、Nb25を主成分とする系(以下BCN材と称
する)、Bi23、CaO、ZnO、Nb25を主成分
とする系(以下BCZN材と称する)、およびBaO、
Nd23、TiO2を主成分とする系にホウケイ酸バリ
ウムガラスを15重量%添加した混合系(以下BNTG
材と称する)を用いた。セラミック誘電体としてBCN
材、BCZN材およびBNTG材を用いたのは、いずれ
も温度880〜950℃で緻密に焼成し、内部導体層に
導電率の高い銀や銅を用いて同時一体焼成が可能であ
り、かつ高周波における電気特性が優れている材料であ
るためである。
【0020】(表1)に今回検討したガラスセラミック
組成物を構成するガラス材料の組成(主成分)および軟
化温度、セラミック粉末の組成及びその混合重量比、な
らびにガラスセラミック組成物の熱膨張係数を示した。
なおガラスの軟化温度はTG−DTA計、熱膨張係数は
TMA計を用いて計測した。
【0021】
【表1】
【0022】拘束層にはアルミナ(Al23)を用い
た。(表2)にその平均粒子径を示す。なお平均粒子径
はレーザー回折式粒度分布計を用いて計測した。
【0023】
【表2】
【0024】以上のセラミック誘電体、ガラスセラミッ
ク、拘束層材料それぞれの粉末500gを、酢酸ブチル
200g中にジブチルフタレート10〜25g、ポリビ
ニルブチラール樹脂25〜50gを溶かしたビヒクル中
に加え、ボールミルで48時間混合してスラリーとし、
周知のドクターブレード法により厚さ10μmまたは2
0μmのグリーンシートを作製した。
【0025】図1は本発明の焼成処理前のセラミック部
品の一実施の形態である。
【0026】図1を参照してセラミック誘電体層1グリ
ーンシート、ガラスセラミック層2グリーンシート、拘
束層3グリーンシートをそれぞれt1,t2,t3の厚み
となるように各グリーンシートの枚数を調整して積層し
60℃−500kg/cm2の条件で熱圧着して一体化
した。この積層体を3cm×3cmの大きさに切断し、
アルミナ製の多孔質さや上に乗せ、箱型炉において50
0℃の熱処理によりグリーンシート中の樹脂成分を焼却
した後、880〜950℃の温度まで1時間で昇温し、
その温度で2時間保持して焼成した。
【0027】焼成後の積層体の表面には未焼結の拘束層
材料が存在するため、酢酸ブチル溶液中で超音波洗浄を
行なって完全に取り除き、図2に示した構成のセラミッ
ク部品が完成する。
【0028】(実施の形態2)次に、様々な軟化温度を
有するガラスから構成されたガラスセラミック材料を用
い、前記実施の形態1のように焼成して得られた焼成積
層体について積層体の外観、平面方向の収縮率、反り量
を評価した。
【0029】積層体の平面方向の収縮率は、マイクロメ
ーターで外形寸法を測定し、焼成前の外形寸法との差よ
り求めた。また反り量は触針式表面粗さ計により測定
し、最大値と最小値の差より求めた。その結果を(表
3)に示す。
【0030】
【表3】
【0031】(表3)に評価したセラミック積層体の誘
電体層1の組成と厚みt1、ガラスセラミック層2の材
料種類と厚みt2および構成ガラスの軟化温度、拘束層
3の材料種類と厚みt3、ガラスセラミック材料と誘電
体材料の熱膨張率の比α2/α 1、ガラスセラミック層2
とセラミック誘電体層1の厚みの比t2/t1、拘束層3
とセラミック誘電体層1の厚みの比t3/(t1+t2
を示した。なおBCN材の熱膨張係数は9.3ppm/
℃、BCZN材は7.8ppm/℃、BNTG材は9.
5ppm/℃である。
【0032】試料番号1〜3のように、セラミック誘電
体層1と拘束層3の間にガラスセラミック層2を積層し
なかった場合、焼成後に拘束層3が破壊しており、平面
方向の収縮率はいずれも10%以上と大きく、セラミッ
ク誘電体層1の本来の収縮率にほぼ等しくなっていた。
また大きな反りも発生していた。今回使用したようなガ
ラス成分の含有量が少ない誘電体材料は拘束層3との結
着力が小さく、セラミック誘電体層1の焼成収縮開始直
後に拘束層3が剥離、破壊したためと考えられる。
【0033】試料番号4〜14のように、セラミック誘
電体層1と拘束層3の間に、焼成温度よりも低い軟化温
度を有するガラスセラミック層2を積層した場合、平面
方向の収縮率がいずれも1.0%以下で、反り量も50
μm以下と小さいセラミック積層体が得られた。また外
観上、セラミック誘電体層1とガラスセラミック層2は
完全に一体化しており、界面剥離などの異常は認められ
なかった。
【0034】一方試料番号15〜17のようにガラスの
軟化温度が990℃と焼成処理温度よりも高い場合は、
ガラスセラミック層2を積層しなかった場合と同様に、
焼成後に拘束層3が破壊しており、平面方向の収縮率は
10%以上と大きく、大きな反りも発生していた。ガラ
スの軟化温度が高すぎるため、セラミック誘電体層1の
焼成収縮が始まる温度付近で、ガラスセラミック層2と
セラミック誘電体層1の間で十分な結着力が得られず、
拘束層3が剥離、破壊したためと考えられる。
【0035】以上のように、セラミック誘電体層1と拘
束層3の間に焼成温度よりも低い軟化温度を有するガラ
スで構成されるガラスセラミック層2を積層することに
より、焼成処理による平面方向の収縮率が1%以下と極
めて小さいセラミック積層体を得ることができる。
【0036】(実施の形態3)次に、ガラスセラミック
材料と誘電体材料の熱膨張率の比α2/α1と積層体内部
に蓄積された内部応力について検討した。
【0037】積層体内部に蓄積された内部応力の評価
は、焼成後の積層体をダイシングマシンにより切断し
(切削刃の厚み0.2mm)、切断により解放されて現
れる切断面のクラック等の欠陥を観察することにより行
なった。その結果を(表4)に示す。
【0038】
【表4】
【0039】試料番号4〜14のようにα2/α1が0.
8〜1.2の範囲内にある場合、ダイシングマシンによ
る切断面を顕微鏡で詳細に観察しても、クラック等の欠
陥の発生はみられなかった。
【0040】一方試料番号18〜20のようにα2/α1
が0.8よりも小さい場合、誘電体層の切断面に多数の
クラックが観察され、また切断時に破壊した試料もあっ
た。ガラスセラミック層2に対しセラミック誘電体層1
の熱膨張率が小さくなりすぎると、セラミック誘電体層
1に大きな引っ張り応力が作用したため、クラックを発
生させたり、破壊したものと考えられる。
【0041】また試料番号21〜23のようにα2/α1
が1.2よりも大きい場合、ガラスセラミック層2の切
断面にクラックが観察された。ガラスセラミック層2に
対しセラミック誘電体層1の熱膨張率が大きくなりすぎ
ると、セラミック誘電体層1に大きな圧縮応力が作用し
たため、クラックを発生させたものと考えられる。
【0042】以上の結果より、セラミック積層体の内部
に応力を蓄積させ信頼性に悪影響を及ぼさないように、
熱膨張率の比α2/α1は0.8〜1.2の範囲内である
ことが好ましい。
【0043】(実施の形態4)次に、ガラスセラミック
層2とセラミック誘電体層1の厚みの比α2/α1につい
て検討した。その結果を(表5)に示す。
【0044】
【表5】
【0045】試料番号4、24〜27のようにt2/t1
が0.02〜0.2の範囲内にある場合、平面方向の収
縮率はいずれも1.0%以下で、反り量も50μm以下
と小さいセラミック積層体が得られた。またいずれの場
合でもダイシングによる内部応力の評価によって、切断
面にクラック等の欠陥は認められなかった。
【0046】一方試料番号28のようにt2/t1が0.
01と薄い場合、焼成して拘束層3を取り除いた後、ガ
ラスセラミック層2の表面が斑状に変色していた。セラ
ミック誘電体層1の成分がガラスセラミック層2へ焼成
中に拡散し、その成分が表面にまで到達したものと考え
られる。変色は外観上好ましくないだけでなく、積層体
表面にチップ部品などを実装する際には実装位置の画像
認識精度に悪影響を及ぼす。
【0047】また試料番号29のようにt2/t1が0.
2よりも厚い場合、焼成後にガラスセラミック層2とセ
ラミック誘電体層1の界面の端部4(図3参照)が部分
剥離した。ガラスセラミック層2とセラミック誘電体層
1の焼成収縮挙動が異なるため、ガラスセラミック層2
の厚みが厚くなると、そのストレスが界面の端部4の部
分剥離として現れたものと考えられる。この部分剥離は
焼成後に研磨等を施せば解消できる程度の規模の小さい
ものであるが、工程の追加によるコストアップや信頼性
の低下を引き起こす可能性があり好ましくない。
【0048】以上の結果より、ガラスセラミック層2と
セラミック誘電体層1の厚みの比t 2/t1は0.02〜
0.2の範囲内であることが好ましい。
【0049】(実施の形態5)次に、セラミック誘電体
層1とガラスセラミック層2の厚みの和と拘束層3の厚
みの比t3/(t1+t2)について検討した。その結果
を(表6)に示す。
【0050】
【表6】
【0051】試料番号4、30、31のようにt3
(t1+t2)が0.02以上の範囲内である場合、平面
方向の収縮率はいずれも1.0%以下で、反り量も50
μm以下と小さいセラミック積層体が得られた。またい
ずれの場合でもダイシングによる内部応力の評価によっ
て、切断面にクラック等の欠陥は認められなかった。
【0052】一方試料番号32のようにt3/(t1+t
2)が0.02よりも小さくなる場合、平面方向のX方
向とY方向の収縮率の差が大きくなり、若干の収縮歪み
が生じた。セラミック誘電体層1とガラスセラミック層
2の厚みに比較して拘束層3の厚みが薄くなりすぎる
と、セラミック誘電体層1およびガラスセラミック層2
の焼成収縮による平面方向へ収縮しようとする力に対し
て、拘束層3の一部分が耐えられずに界面ですべり、収
縮歪みを引き起こしたと考えられる。
【0053】以上の結果より、セラミック誘電体層1と
ガラスセラミック層2の厚みの和と拘束層3の厚みの比
(t2+t3)/t1は0.02以上であることが好まし
い。
【0054】(実施の形態6)次に、拘束層3を構成す
る無機材料の平均粒子径と、セラミック積層体表面の表
面粗さとの関係について検討した。表面粗さは触針式表
面粗さ計により測定した。その結果を(表7)に示す。
【0055】
【表7】
【0056】試料番号4、33、34のように、拘束層
3を構成する無機材料の平均粒子径が変わることによっ
て、平面方向の収縮率、反り量にはほとんど変化はな
い。しかしガラスセラミック層2の表面粗さは無機材料
の平均粒子径が5μm未満の場合、Ra値で3μm以下
と小さく問題ないが、試料番号34のように平均粒子径
が5μmを越えると、Ra値が3μmを越えるようにな
り、実装信頼性上問題となる可能性がある。
【0057】以上の結果より、拘束層3を構成する無機
材料の平均粒子径は5μm以下であることが好ましい。
【0058】なお、拘束層3の材料としては本実施の形
態で示したAl23以外にMgO、ZrO2、SiO2
TiO2およびこれらの混合物系でも同様の効果が得ら
れることがわかっている。
【0059】なお、図4のように銀や銅を主成分とする
内部電極5やビアホール電極6が積層されている場合で
も、本発明の範囲内であれば同様の効果が得られる。な
お内部電極5に銅を使用する場合は、還元雰囲気で焼成
する必要がある。なお7は端子電極である。
【0060】なお、図5のようにセラミック誘電体層1
の上下に積層するガラスセラミック層2、または拘束層
3の上下の厚みが異なっても、本発明の請求範囲内であ
れば、焼成時にアルミナ製の多孔質さやを乗せ、加重し
ながら焼成すれば、同様の効果が得られる。
【0061】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、セラミッ
ク誘電体材料100重量%に対するガラス成分の配合率
が20重量%未満のセラミック誘電体組成物からなるグ
リーンシートを所望枚数積層し、次にこのグリーンシー
ト積層体の上下両面に、前記セラミック誘電体材料の焼
成温度よりも低い軟化温度を有するガラスと任意のセラ
ミック粉末を混合したガラスセラミック組成物からなる
グリーンシートを積層し、さらにその上下両面に拘束層
として、焼成処理で焼結しない無機組成物よりなるグリ
ーンシートを積層した後、一体焼成処理を行い、その後
前記焼結しない無機組成物を取り除くことを特徴とする
セラミック部品の製造方法である。
【0062】この発明によれば、主成分のセラミック誘
電体材料100重量%に対してガラス成分の配合率が2
0重量%未満のセラミック誘電体材料であっても、焼成
処理における平面方向の収縮を抑え、寸法精度の高いセ
ラミック部品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態を示す焼成処理前のセラ
ミック部品の断面図
【図2】本発明の一実施の形態を示す焼成処理、拘束層
除去後のセラミック部品の断面図
【図3】部分剥離現象発生箇所の説明をする断面図
【図4】本発明の一実施の形態を示す焼成処理、拘束層
除去後のセラミック部品の断面図
【図5】本発明の一実施の形態を示す焼成処理前のセラ
ミック部品の断面図
【符号の説明】
1 セラミック誘電体層 2 ガラスセラミック層 3 拘束層 4 界面の端部 5 内部電極 6 ビアホール電極 7 端子電極
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H01G 4/12 364 C04B 35/00 J (72)発明者 加賀田 博司 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 前川 智哉 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 Fターム(参考) 4F100 AD00A AD00B AD00C AD00K AG00A AG00B AG00C BA03 BA06 BA10B BA10C BA13 BA26 BA27 EC052 EJ482 EJ912 GB41 JA02 JA04A JA04B JA04C JA20 YY00 YY00A 4G030 AA04 AA07 AA10 AA11 AA13 AA16 AA17 AA20 AA32 AA35 AA36 AA37 AA40 AA43 BA09 CA03 CA08 GA19 GA32 4G031 AA03 AA04 AA06 AA07 AA09 AA11 AA12 AA14 AA26 AA28 AA29 AA30 AA32 AA35 BA09 CA03 CA08 GA06 GA07 GA15 5E001 AB03 AC09 AE02 AE03 AF03 AH01 AH09 5E070 AA01 AB02 BA12 BB01 CB03 CB13

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 セラミック誘電体材料100重量%に対
    するガラス成分の配合率が20重量%未満のセラミック
    誘電体組成物からなるグリーンシートを所望枚数積層
    し、次にこのグリーンシート積層体の上下両面に、前記
    セラミック誘電体材料の焼成処理温度よりも低い軟化温
    度を有するガラスと任意のセラミック粉末を混合したガ
    ラスセラミック組成物からなるグリーンシートを積層
    し、さらにその上下両面に拘束層として、焼成処理で焼
    結しない無機組成物よりなるグリーンシートを積層した
    後、一体焼成処理を行い、その後前記焼結しない無機組
    成物を取り除くことを特徴とするセラミック部品の製造
    方法。
  2. 【請求項2】 セラミック積層体もしくはガラスセラミ
    ック積層体の内部に銀、銅を主成分とする電極を内蔵し
    ていることを特徴とする請求項1記載のセラミック部品
    の製造方法。
  3. 【請求項3】 ガラスセラミック組成物の熱膨張係数α
    2と、セラミック誘電体組成物の熱膨張係数α1の比α2
    /α1が0.8〜1.2の範囲内であることを特徴とす
    る請求項1または2に記載のセラミック部品の製造方
    法。
  4. 【請求項4】 ガラスセラミック組成物からなるグリー
    ンシート積層体の厚みt2と、セラミック誘電体組成物
    からなる積層体厚みt1の比t2/t1が0.02〜0.
    2の範囲内であることを特徴とする請求項3記載のセラ
    ミック部品の製造方法。
  5. 【請求項5】 セラミック誘電体組成物からなるグリー
    ンシート積層体の厚みt1およびガラスセラミック積層
    体の厚みt2の和と、焼成処理で焼結しない無機組成物
    からなる積層体厚みt3の比t3/(t1+t2)が0.0
    2以上であることを特徴とする請求項3記載のセラミッ
    ク部品の製造方法。
  6. 【請求項6】 焼成処理で焼結しない無機組成物からな
    るグリーンシートがAl23、MgO、ZrO2、Si
    2、TiO2のうち少なくとも1種以上を含むグリーン
    シートであることを特徴とする請求項1記載のセラミッ
    ク部品の製造方法。
  7. 【請求項7】 焼成処理で焼結しない無機組成物の平均
    粒径が5μm以下であることを特徴とする請求項6記載
    のセラミック部品の製造方法。
  8. 【請求項8】 セラミック誘電体組成物の主成分がBi
    23、CaO、Nb25であることを特徴とする請求項
    1〜7のいずれか1つに記載のセラミック部品の製造方
    法。
  9. 【請求項9】 セラミック誘電体組成物の主成分がBa
    O、RE23、TiO 2であり、REはLa、Nd、S
    mのうち少なくとも一種類以上から選ばれる元素である
    ことを特徴とする請求項1〜7のいずれか1つに記載の
    セラミック部品の製造方法。
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