JP2003233012A - 液浸系顕微鏡対物レンズ - Google Patents
液浸系顕微鏡対物レンズInfo
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Abstract
高NAで、特に軸上の光学性能が極めて良好な液浸系顕
微鏡対物レンズ。 【構成】 複数のレンズ群G1〜G6を有し、最も物体
側のレンズ面の物体側に油浸液を付して観察する液浸系
顕微鏡対物レンズにおいて、最も物体側のレンズの屈折
率が1.6以上である液浸系顕微鏡対物レンズ。
Description
ズに関し、特に、開口数(NA)が1.4を越えるアポ
クロマート級液浸系顕微鏡対物レンズに関するものであ
る。
(NA)化による解像力の向上は必要不可欠な仕様であ
り、従来から多くの提案がなされてきている。例えば、
特許文献1や特願平4−311703号は、NA1.4
であり、かつ色収差が良く補正されており、像面平坦性
も良い。しかし、油浸液の屈折率が1.52程度である
ため、さらに高NAにしようとすると、軸上物点からの
光束が拡がりすぎてレンズ設計自体が困難を極めてしま
うため、NA1.4を越える従来技術はなかった。
上、未知の技術であるが、顕微鏡の使い方にも近年は変
化が見られ、先端の研究分野では、微分干渉を行えるよ
うに構成して、ビデオカメラで拡大観察する手法も用い
られるようになっている。後記する本発明の対物レンズ
は、そうした未知の分野を開拓するものである。
は異なるが、構成が似ている従来技術を以下に列挙す
る。まず、特許文献2は、NA0.8で倍率65倍と液
浸系の対物レンズではないが、本発明の特徴の1つであ
る第3レンズ群の形状が似ている。ただし、第1レンズ
群に、接合面が物体側に凹形状の接合レンズを含まない
点、第2レンズ群に3枚接合レンズを含まない点で本発
明とは異なる。
1.3で、倍率が100倍の液浸系対物レンズである。
本発明の対物レンズとは、第1、第5、第6レンズ群が
同じで、第3、第4レンズ群も形状は似ている。しか
し、第2レンズ群に3枚接合レンズを含まない点、第3
レンズ群が正屈折力である点で本発明とは異なる。ちな
みに、本発明の第3レンズ群は負屈折力であることが特
徴である。
従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、その目
的は、従来の開口数(NA)1.4の対物レンズよりも
高NAで、特に軸上の光学性能が極めて良好な液浸系顕
微鏡対物レンズを提供することである。
明の液浸系顕微鏡対物レンズは、複数のレンズ群を有
し、最も物体側のレンズ面の物体側に油浸液を付して観
察する液浸系顕微鏡対物レンズにおいて、最も物体側の
レンズの屈折率が1.6以上であることを特徴とするも
のである。
の屈折力の第1レンズ群と、全体として正の屈折力の第
2レンズ群と、全体として負の屈折力の第3レンズ群
と、全体として正の屈折力の第4レンズ群と、像側に凹
面を向けた第5レンズ群と、物体側に凹面を向けた第6
レンズ群とからなることが望ましい。
て説明する。
めに、屈折率が1.6以上の油浸液を用い、球面収差の
発生を少なくするため、最も物体側のレンズの屈折率を
1.6以上にする。
の先玉レンズを接合レンズとし、物体側のレンズの屈折
率は上記のようにできるだけ大きいものを用い、接合面
は物体側に凹形状にする。これらは何れも、球面収差の
発生量をできるだけ小さくするためのものである。
正レンズの3枚接合レンズを配置する。これは、軸上色
収差の補正に効果的である。第3レンズ群では、最も物
体側の凸面によって光束を絞り、最も像側の面の像側に
強い凹面によって負の屈折力を働かせる。この負屈折力
によって光束は拡がってしまうが、第4レンズ群の最も
物体側の強い凸面によって再度光束を絞り込む。この種
の高倍率、高NAの対物レンズでは、対物レンズ全系で
強い正屈折力を持つため、負の球面収差が大きく発生す
る。球面収差補正をするためにいかに負屈折力を確保す
るかが、対物レンズ設計のポイントであるが、本発明に
おいては、第3レンズ群の最も像側の面と第4レンズ群
の最も物体側の面の間に空気間隙をはさみ、負屈折力の
いわゆる空気レンズのような効果を持たせている。
絞り込み、第5レンズ群と第6レンズ群のいわゆるガウ
スタイプのレンズ群に入射させて、像面平坦性を確保す
るようにしている。
第3レンズ群の最も像側の面の曲率半径と第4レンズ群
の最も物体側の面の曲率半径をそれぞれR3 、R4 とし
た時、 (1) 0.7<R3 /R4 <1.3 の条件を満足することが必要である。
とと、あまり負屈折力が強すぎても全体の収差バランス
がくずれてしまうことのために、R3 とR4 の比が条件
式(1)の範囲に入っている必要がある。条件式(1)
の上限の1.3を越えると、第4レンズ群の最も物体側
の面の正屈折力が強くなりすぎ、全体の収差バランスが
くずれてしまう。条件式(1)の下限の0.7を越える
と、第3レンズ群の最も像側の面の負屈折力が強くなり
すぎ、同様に全体の収差バランスがくずれてしまう。
f3 、対物レンズ全系の焦点距離をfとした時、 (2) f/f3 <−0.01 の条件を満たすと、球面収差補正に必要な負屈折力が確
保できて効果的である。ちなみに、従来技術の実公昭4
1−12378号では、条件式(2)の対応する値は−
0.0031と弱い負屈折力である。その他の従来技術
は全て正屈折力となっており、本発明の条件式(2)と
は異なっている。
施例1〜2について説明する。
1は実施例1のレンズ構成を示す断面図であり、実施例
2の構成もほぼ同じであるので図示は省く。
群G1 は、平凸レンズと物体側に凹面を向けたメニスカ
スレンズの接合レンズと、物体側に凹面を向けた正メニ
スカスレンズの3枚からなり、第2群G2 は、両凸レン
ズ、両凹レンズ、両凸レンズの3枚接合レンズからな
り、第3群G3 は、両凸レンズと両凹レンズの2枚接合
レンズからなり、第4群G4 は、両凸レンズと物体側に
凹面を向けた負メニスカスレンズの2枚接合レンズから
なり、第5群G5 は、両凸レンズと両凹レンズの2枚接
合レンズからなり、第6群G6 は、両凹レンズと両凸レ
ンズの2枚接合レンズからなる。
号は、上記の他、r1 、r2 …は物体側から順に示した
各レンズ面の曲率半径、d1 、d2 …は物体側から順に
示した各レンズ面間の間隔、nd1、nd2…は物体側から
順に示した各レンズのd線の屈折率、νd1、νd2…は物
体側から順に示した各レンズのアッベ数である。
1.8、倍率=100×、開口数NA=1.65、作動
距離は0.1289である。また、何れも油浸系であ
り、使用する油浸液(オイル)の屈折率は、nd =1.
78035、nC =1.76883、nF =1.809
75、ng =1.83503(添字d、C、F、gは、
それぞれd線、C線、F線、g線での値を表す。)であ
る。さらに、カバーガラスのd線の屈折率、アッベ数、
厚みは、それぞれnd =1.7865、νd =50.
0、d=0.17mmとして設計してある。
に示すレンズデータを有し、図2にレンズ断面を示す結
像レンズと組み合わせて用いられる。ただし、データ
中、r 1'、r2'…は物体側から順に示した各レンズ面の
曲率半径、d1'、d2'…は物体側から順に示した各レン
ズ面間の間隔、nd1' 、nd2' …は物体側から順に示し
た各レンズのd線の屈折率、νd1' 、νd2' …は物体側
から順に示した各レンズのアッベ数である。
2の結像レンズの間の間隔は50mm〜170mmの間
の何れの位置でもよいが、この間隔を105mmとした
場合についての実施例1、2の球面収差、非点収差、歪
曲収差を表す収差図をそれぞれ図3、図4に示す。な
お、上記間隔が50mm〜170mmの間で105mm
以外の位置においてもほぼ同様の収差状況を示す。
用いる顕微鏡の概略の構成と作用について簡単に説明し
ておく。図5(a)に液浸系顕微鏡の概略の構成図を、
同(b)に対物レンズ先端部分の拡大図を示すが、顕微
鏡本体Msは、対物レンズOb、接眼レンズEp、試料
台St等からなり、スライドSgとカバーガラスCgの
間に挟持された試料Sを試料台St上に載置し、カバー
ガラスCg上に油浸液Oiを滴下して対物レンズObを
カバーガラスCgに近付けると、対物レンズObとカバ
ーガラスCgの間が油浸液Oiで埋められる。このよう
に油浸液Oiで対物レンズObと試料Sの間を埋める
と、空気層を介する乾燥系に比べて、試料SからのNA
の大きな光束も対物レンズObに入射して結像に寄与で
きるため、より高倍率での観察が可能になると共に、収
差上もより良好に結像できるものとなる。
レンズをまとめると、次のようになる。
折力を有し、接合面が物体側に凹形状の接合レンズを含
む第1レンズ群と、正レンズと負レンズと正レンズとの
3枚接合レンズを有し、全体として正の屈折力の第2レ
ンズ群と、最も物体側に凸面を有すると共に、最も像側
の面が像側に強い凹形状を有し、全体として負の屈折力
の第3レンズ群と、最も物体側が強い凸面で、全体とし
て正の屈折力を有する第4レンズ群と、最も物体側に凸
面を有すると共に、最も像側の面が像側に凹形状を有す
る第5レンズ群と、最も物体側に凹面を有すると共に、
最も像側の面が像側に凸形状を有する第6レンズ群と、
を備えた液浸系顕微鏡対物レンズ。
折力を有し、接合面が物体側に凹形状の接合レンズを含
む第1レンズ群と、正レンズと負レンズと正レンズとの
3枚接合レンズを有し、全体として正の屈折力の第2レ
ンズ群と、最も物体側に凸面を有すると共に、最も像側
の面が像側に強い凹形状を有し、全体として負の屈折力
の第3レンズ群と、最も物体側が強い凸面で、全体とし
て正の屈折力を有する第4レンズ群と、最も物体側に凸
面を有すると共に、最も像側の面が像側に凹形状を有す
る第5レンズ群と、最も物体側に凹面を有すると共に、
最も像側の面が像側に凸形状を有する第6レンズ群と、
を備え、以下の条件を満足する液浸系顕微鏡対物レン
ズ。
の面の曲率半径と第4レンズ群の最も物体側の面の曲率
半径である。
のレンズ面の物体側に油浸液を付して観察する液浸系顕
微鏡対物レンズにおいて、最も物体側のレンズの屈折率
が1.6以上であることを特徴とする液浸系顕微鏡対物
レンズ。
折力の第1レンズ群と、全体として正の屈折力の第2レ
ンズ群と、全体として負の屈折力の第3レンズ群と、全
体として正の屈折力の第4レンズ群と、像側に凹面を向
けた第5レンズ群と、物体側に凹面を向けた第6レンズ
群とからなる上記〔3〕の液浸系顕微鏡対物レンズ。
ズを有する上記〔4〕の液浸系顕微鏡対物レンズ。
の屈折力を有し、接合面が物体側に凹形状の接合レンズ
を含む上記〔3〕、〔4〕又は〔5〕の液浸系顕微鏡対
物レンズ。
レンズと正レンズの3枚接合レンズを有し、全体として
正の屈折力を有する上記〔3〕、〔4〕、〔5〕又は
〔6〕の液浸系顕微鏡対物レンズ。
凸面を有すると共に、最も像側の面が像側に強い凹形状
を有する全体として負の屈折力の上記〔3〕、〔4〕、
〔5〕、〔6〕又は〔7〕の液浸系顕微鏡対物レンズ。
強い凸面で、全体として正の屈折力を有する上記
〔3〕、〔4〕、〔5〕、〔6〕、〔7〕又は〔8〕の
液浸系顕微鏡対物レンズ。
に凸面を有すると共に、最も像側の面が像側に凹形状を
有する上記〔3〕、〔4〕、〔5〕、〔6〕、〔7〕、
〔8〕又は
に凹面を有すると共に、最も像側の面が像側に凸形状を
有する上記〔3〕、〔4〕、〔5〕、〔6〕、〔7〕、
〔8〕、
ズ。
〔3〕、〔4〕、〔5〕、〔6〕、〔7〕、〔8〕、
ズ。
の面の曲率半径と第4レンズ群の最も物体側の面の曲率
半径である。
〔3〕、〔4〕、〔5〕、〔6〕、〔7〕、〔8〕、
鏡対物レンズ。 (2) f/f3 <−0.01 ただし、f3 は第3レンズ群の焦点距離、fは対物レン
ズ全系の焦点距離である。
倍率が100倍程度、NAが1.65という高NAで、
特に軸上の光学性能が極めて良好な液浸系顕微鏡対物レ
ンズを提供することができる。
断面図である。
像レンズの断面図である。
す収差図である。
す収差図である。
成図と対物レンズ先端部分の拡大図である。
Claims (4)
- 【請求項1】 複数のレンズ群を有し、最も物体側のレ
ンズ面の物体側に油浸液を付して観察する液浸系顕微鏡
対物レンズにおいて、 最も物体側のレンズの屈折率が1.6以上であることを
特徴とする液浸系顕微鏡対物レンズ。 - 【請求項2】 物体側から順に、全体として正の屈折力
の第1レンズ群と、全体として正の屈折力の第2レンズ
群と、全体として負の屈折力の第3レンズ群と、全体と
して正の屈折力の第4レンズ群と、像側に凹面を向けた
第5レンズ群と、物体側に凹面を向けた第6レンズ群と
からなる請求項1記載の液浸系顕微鏡対物レンズ。 - 【請求項3】 以下の条件を満足する請求項2記載の液
浸系顕微鏡対物レンズ。 (1) 0.7<R3 /R4 <1.3 ただし、R3 、R4 はそれぞれ第3レンズ群の最も像側
の面の曲率半径と第4レンズ群の最も物体側の面の曲率
半径である。 - 【請求項4】 以下の条件を満足する請求項2又は3記
載の液浸系顕微鏡対物レンズ。 (2) f/f3 <−0.01 ただし、f3 は第3レンズ群の焦点距離、fは対物レン
ズ全系の焦点距離である。
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JP2007121338A (ja) * | 2005-10-25 | 2007-05-17 | Olympus Corp | 液浸系顕微鏡対物レンズ |
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-
2003
- 2003-03-07 JP JP2003061654A patent/JP3944099B2/ja not_active Expired - Lifetime
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