JP2003231974A - 表面処理鋼材とその製造方法と化成処理液 - Google Patents
表面処理鋼材とその製造方法と化成処理液Info
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Abstract
部にリン酸塩化成皮膜を安定して形成できる化成処理液
を開発する。 【解決手段】 所定量のカリウムイオンを添加した化成
処理液を使って、油井鋼管継手部のネジ表面に所定の厚
みとカリウム化合物を所定量含有する化成皮膜を形成す
る。
Description
材の表面に化成皮膜を生成させるための化成処理液およ
びそれを用いて表面処理を行う表面処理鋼材の製造方法
に関する。
より得られる表面処理鋼材、特に耐焼付き性に優れた表
面処理鋼材に関する。
溶液とを化学反応させて鋼材表面に、固着性のある腐食
生成物を形成する処理であって、通常、その腐食性溶液
の種類によってリン酸塩処理、クロメート処理およびシ
ュウ酸塩処理等と呼ばれる。
には、そのような従来の化成処理によっても化成皮膜を
設けることができなかった。従来にあっても、例えば、
特開昭57−82478 号公報に開示されているように、アル
カリ金属リン酸塩を主成分とし、チタン化合物と塩素酸
塩を含有する化成処理液で鋼材表面に化成処理を行った
後、リン酸亜鉛を含有する化成処理液による更なる化成
処理を施す方法は公知である。しかし、この方法では、
2回の処理を必要とする。しかも、高Cr含有鋼材、例え
ば13%Cr含有鋼材には、健全なリン酸塩の化成皮膜を表
面に形成することができなかった。
ンを添加した、マンガンとリン酸を含有する化成処理液
で表面処理を行う方法が開示されている。しかし、この
方法でもCr含有鋼材には依然として、化成皮膜は設ける
ことができなかった。
して相互に接続される。このとき、鋼管の端部に形成し
た雄ネジにカップリングの内面に形成した雌ネジを嵌め
合わせ、これらのネジを締め付けることにより、気密性
および液密性を維持しながら複数の鋼管が接続される。
ところが、この締め付け時に各ネジに大きなトルクが働
くため、ネジ表面にゴーリングなどの欠陥が生じやすく
油井鋼管の繰り返し使用回数が低減する。また、ネジ表
面に腐食が発生すると、充分な気密性および液密性を確
保することが困難となる。
含有鋼から製造される油井鋼管のネジ継手のネジ表面に
はCuなどの軟質金属のめっきを施すことでゴーリングの
防止を図っていたが、かかる方法はめっき操作の工数を
要すること等から更なる改善が求められている。
でもその表面に健全なリン酸亜鉛皮膜あるいはリン酸マ
ンガン皮膜等の化成皮膜を安定して形成できる技術が求
められていた。
含有するCr含有鋼材の表面にもリン酸塩の化成皮膜を安
定して形成できる化成処理液を提供することである。本
発明の別の目的は、上述のCr含有鋼材の表面にでもリン
酸塩の化成皮膜を安定して形成できる表面処理を行う表
面処理鋼材の製造方法を提供することである。
ン酸塩の化成皮膜を備えた表面処理鋼材を提供すること
にある。
ム化合物をリン酸塩系化成処理液に添加することにより
皮膜形成能が飛躍的に向上すること、さらに化成皮膜形
成が困難であったCr含有鋼材でもリン酸塩系の化成皮膜
を安定して形成できることを知った。
更に研究・開発を続け、かかるカリウム化合物、特に四
硼酸カリウムの作用効果がクロメート処理、シュウ酸塩
処理等による化成皮膜一般に見られることを知り、本発
明を完成した。
なくとも1つの部位に設けた化成皮膜から成り、該化成
皮膜はカリウム量が0.1 〜1000 mg/m2であり、厚みが5
〜50μm、好ましくは5〜35μmであることを特徴とす
る表面処理鋼材である。
膜が、リン酸塩系化成皮膜、例えばリン酸亜鉛系化成皮
膜、またはリン酸マンガン系化成皮膜である。油井鋼管
のカップリングの継手部にはリン酸マンガン系化成皮膜
を、油井鋼管の継手部にはリン酸亜鉛系化成被膜をそれ
ぞれ設けることが好ましい。
またはマンガンとリン酸を含有し、さらにカリウムを含
有する化成処理液を用いて鋼材表面に化成処理を行うこ
とを特徴とする表面処理鋼材の製造方法である。
イオンのモル濃度が6×10-4%以上、7×10-1%以下で
あることが好ましい。化成処理は、60〜100 ℃、好まし
くは70〜100 ℃の温度で少なくとも5分間鋼材を前記化
成処理液に浸漬して行う。
しくは70〜100 ℃の温度で少なくとも5分間鋼材に化成
処理液を供給して行うさらに別の面からは、本発明は、
亜鉛とリン酸、またはマンガンとリン酸を含有し、さら
にカリウムを含有することを特徴とする鋼材用化成処理
液である。
ウムを含むイオンのモル濃度が6×10-4%以上、7×10
-1%以下であることが好ましい。本発明にかかる化成処
理液において、マンガンとリン酸を含有し、さらにカリ
ウムを含有し、全酸度を30以上55未満、全酸度の遊離酸
度に対する比を3〜15に調整することが好ましい。
が、本明細書において、「%」は特に断りがないかぎり
「質量%」を意味する。
脱脂、水洗した後で、リン酸塩系、クロム酸塩系、シュ
ウ酸塩系等の化成処理を行う。特に好ましくは亜鉛とリ
ン酸あるいはマンガンとリン酸とを含有する化成処理液
で化成処理を行う。かかる化成処理液は、亜鉛−リン酸
系あるいはマンガン−リン酸系化成処理液とも称され
る。化成処理方法それ自体は、公知であり、したがっ
て、化成処理方法それ自体についての説明は割愛する。
定されるものではないが、従来技術では化成処理が困難
な、Crを質量%(以下、単に%で表す)で0.5 〜13%含
有するCr含有鋼材が好ましい。
ず、例えば油井鋼管またはカップリングとして用いられ
る継目なし鋼管の継手部、特にネジ継手部であってもよ
い。あるいはそれ以外の管材、棒材、板材等であっても
よい。しかし、その経済効果を考えた場合、Cr含有鋼か
らなる油井鋼管などの継目なし鋼管のネジ継手部に本発
明を適用することが好ましい。
ax 0.1〜60μmに調整することが好ましい。ここに、
「化成皮膜」は、溶液と鋼材表面との化学反応で生じた
生成物が鋼材表面に密着して皮膜状に生成したものを言
い、溶液の種類によってリン酸塩系、クロム酸塩系、シ
ュウ酸塩系などの化成皮膜がある。本発明の場合、カリ
ウムが化成皮膜中に含まれる限り特に制限ない。しか
し、本発明を油井鋼管のような継目なし鋼管の継手部に
適用する場合、リン酸塩系化成皮膜が好ましい。その理
由は、リン酸塩系、特にリン酸−マンガン系あるいはリ
ン酸−亜鉛系の化成皮膜は鋼材表面への密着性に優れる
とともに防錆性と耐ゴーリング性に優れるからである。
より好ましくはリン酸−マンガン系化成皮膜である。
形成させるための処理液である。これについても、リン
酸塩系、クロム酸塩系、シュウ酸塩系等がある。本発明
の場合、このような化成処理液にカリウム化合物が含有
されるが、その目的は化成皮膜の生成を促進させると共
に生成した化成皮膜の均質性を向上させ、スケムラ(金
属露出) を防止することである。ただし、化成処理液に
FイオンおよびAlイオンが共に存在すると、同時に存在
するFeイオンおよびZnイオンとの作用により、場合によ
り K2Al(Fe、Zn)F6 のスラッジが生成・沈殿してしま
い、カリウム化合物の添加による効果が得られないこと
がある。したがって、好ましくは、フッ素イオンの不存
在下で化成処理を行う。
としては、硼酸塩(例えば、四硼酸カリウム)、水酸化
物(例えば、水酸化カリウム)、弗化物(例えば、弗化
カリウム)、硝酸塩(例えば、硝酸カリウム)、塩化物
(例えば、塩化カリウム)、硫酸塩(例えば、硫酸カリ
ウム)等がある。これらのカリウム化合物を1種、もし
くは2種以上を混合して使用してもよい。好ましくは硼
酸塩、より好ましくは四硼酸カリウムである。このカリ
ウム化合物を亜鉛あるいはマンガンを含有する化成処理
液中に添加して使用する。
構は、リン酸塩系化成処理液の場合、次のように考える
ことができる。化成処理液中にカリウム化合物を添加す
ることにより、液中の亜鉛あるいはマンガンとリン酸の
平衡状態が崩れ、可溶性のリン酸カリウムとなり液中に
溶解する。このとき、余剰の亜鉛あるいはマンガンは、
羽毛状突起を有する不溶性のゲル状の浮遊物質を生成す
る。この浮遊物が鋼材表面に速やかに吸着して鋼材表面
にリン酸塩の皮膜形成を促進させる核となり、スケムラ
(金属露出)の少ない健全なリン酸塩皮膜を形成するも
のと推定される。
いが、カリウム化合物に代えてナトリウム化合物(Na2B4
O7・10H2O)を添加した化成処理液を使用すると、厚さ10
μmの化成皮膜値が得られたがスケムラが大きく、実用
的とは云えない。したがって、上述のようなすぐれた効
果はカリウム化合物特有のものと考えられる。
の添加は、粉末の状態であるいは水溶液にしてから行う
ことができる。その添加時期は、最初に化成処理液を調
製するときに添加してもよいが、化成処理を行う直前に
あるいは化成処理中に添加してもよい。
理液は、カリウム化合物を含有するリン酸マンガン系化
成処理液であって、全酸度を30以上、55未満、全酸度の
遊離酸度に対する比を3 〜15に調整したリン酸マンガン
系化成処理液である。
ェノールフタレインを指示薬として0.1ml/l の濃度の水
酸化ナトリウム液で中和滴定したときの滴定値(ml 数)
である。「遊離酸度」とは、被検体液10mlをブロムフェ
ノールを指示薬として中和滴定したときの滴定値(ml
数) である。「全酸度の遊離酸度に対する比」とは、全
酸度/ 遊離酸度であり、酸比とも称する。
れるリン酸マンガン系皮膜が十分に均質でなく、スケム
ラが発生する場合があり、たとえ均質な化成皮膜が形成
されたとしても、皮膜形成に要する処理時間が極端に長
くなり経済的に好ましくない。また、全酸度が55以上と
なると、被処理鋼材表面に形成されるリン酸マンガン系
結晶が極端に粗大化し、そのためスケムラが生じたり、
被処理鋼材との密着性が劣化し、耐ゴーリング性を損な
うことから好ましくない。より好ましくは35〜53であ
る。
3 〜15、より好ましくは、6 〜11であり、その理由は、
全酸度の限定理由と同じである。化成処理液中のカリウ
ム化合物の濃度は、質量%で、0.01〜10%を含有するこ
とが好ましい。カリウム化合物の濃度が0.01%未満で
は、皮膜厚みが不足する。一方、カリウム化合物の濃度
が10%を超えると、皮膜形成のための効果が飽和する。
皮膜厚みを均一にするという観点からは、より好ましく
は0.1 〜10%とする。さらに好ましくは0.1 〜1%とす
る。これはカリウムを含むイオンのモル濃度で、ほぼ6
×10-4%以上、7×10-1%以下に相当する。より好まし
い範囲は、同じくカリウムを含むイオンのモル濃度で、
ほぼ6×10-3%以上、7×10-1%以下、さらに好ましい
範囲は、ほぼ6×10-3%以上、7×10-2%以下である。
き、具体的には、浸漬時、スプレー塗布時等のいずれに
あっても、化成処理液の温度を60〜100 ℃、好ましくは
70〜100 ℃に調整する。
度は、60〜100 ℃が好ましい。リン酸−亜鉛系の化成処
理液の温度は、70〜100 ℃である。70〜90℃が好まし
い。それぞれ60℃未満、70℃未満では、皮膜形成反応速
度が極端に低下するおそれがあるからである。リン酸マ
ンガン系化成処理液では、85℃以上、好ましくは95〜98
℃である。沸騰した化成処理液では水分の蒸発が激しく
なり、化成処理液の濃度が高くなってしまうためであ
る。特にリン酸亜鉛系化成処理液の場合、90℃を超える
と初期反応段階において下地鉄面に対するエッチング作
用が激しくなり、多量の水素ガスが発生し、油井管継手
のような鋼管の底部にはガス溜まりができるため皮膜形
成を阻害し、均質で健全な皮膜が形成できないおそれが
あるためである。このような温度での浸漬時間あるいは
スプレー塗布の場合の化成処理液との接触時間は5分以
上である。
用することで皮膜形成処理を行う方法は特に限定される
ものではなく、予め脱脂・水洗等の予備処理を行ってか
ら、カリウムを含有する処理液に浸漬する方法や、カリ
ウムを含有する処理液をスプレー等により鋼材表面に供
給する方法が適用できる。
は、被処理鋼材を予め脱脂、水洗、酸洗、水洗等の予備
処理を行った後、リン酸マンガンとピロリン酸ナトリウ
ムとの混合水溶液等による表面調整処理が必要とされて
いるが、本発明におけるリン酸マンガン系化成処理の場
合には、そのような表面調整処理を必要としない。
れた化成皮膜は鋼材表面を均質に被覆することができ
る。このような化成皮膜のカリウム含有量は、0.1 〜10
00 mg/m2となり、その際、厚さを5〜50μm 、好ましく
は5〜35μm とすることで、その効果を十分に発揮でき
る。さらに、結晶粒が微細で緻密なために結晶間にグリ
スや固体潤滑剤などの潤滑剤を保持する性質に優れ、良
好な潤滑性を呈するのであって、特に油井管の継手部、
特にネジ部に設けることで、優れた特性を発揮できる。
の均一性が向上し、スケムラが減少する。また1000 mg/
m2を超えても皮膜性状は変わらないので、経済性を考慮
すれば1000 mg/m2以下とすることが好ましい。
などの化成皮膜としての十分な特性を発揮できない。一
方、50μm を超える厚みの皮膜を形成した場合には、当
然のことながら化成液中のリン酸や亜鉛やマンガンの消
費量が多く液寿命も短くなる。経済性を考慮すれば35μ
m 以下が好ましい。
化成皮膜のカリウム化合物の含有量とは必ずしも同一で
はなく、鋼材の種類によっても、その他の化成処理条件
によっても変わる。特に、Cr含有鋼材の場合、20〜30℃
という低い温度あるいは化成時間が5分以内では十分な
量のカリウムが化成皮膜中に含有されず、スケムラの多
い皮膜となり、耐ゴーリング性に劣る。
果を具体的に説明する。
の各Cr含有鋼材 (C:0.25%) を使用してリン酸塩化成
処理を行った。
溶解炉で溶製後、25kg角インゴットにしてから、厚み8
mmにまで熱間圧延後、機械加工により、厚み5mm、幅25
mm、長さ:30mm、表面粗さ Rmax5μmに調整したものを
使用した。
は、四硼酸カリウムを使用し、リン酸亜鉛化成処理液は
市販の化成処理液を使用した。四硼酸カリウムは、上記
リン酸亜鉛液に0〜10%の濃度で添加して化成処理液を
調製し、化成処理液の温度75℃で 500ml容量の容器に収
容し、これに脱脂・水洗等の予備処理を行った試験材を
5分間浸漬した後、引き上げて水洗、乾燥した。
は、電磁膜厚計により測定した。皮膜の均質性は、走査
型電子顕微鏡(SEM) および画像解析装置により評価し
た。カリウム含有量は、化成処理後の試験材を5%クロ
ム酸の75℃水溶液に浸漬して化成皮膜のみを溶解した
後、原子吸光分析法により溶液分析を行いカリウム含有
量を決定した。
を、厚さ5μm以上に○ (良好) をそれぞれ付けた。ま
た、皮膜の均質性は鋼材表面に形成した皮膜中のスケム
ラ(金属露出)が、面積率で5%以下を○ (良好) 、5
%超20%以下を△ (普通) 、20%超の試験結果に× (不
可) をそれぞれつけた。全体評価では、皮膜厚み、皮膜
の均質性評価がいずれも○の試験結果に○ (合格) を、
いずれかが△あるいは×の試験結果に× (不合格) をそ
れぞれつけた。
下記鋼組成の鋼材であった。 (1)炭素鋼:C:0.25%、 (2)Cr−Mo鋼:C:0.25%、Cr:1.0 %、Mo:0.5 %、 (3)Cr鋼:C:0.25%、Cr:3%、5%、13%、22% 化成処理液として市販のリン酸マンガン化成処理液を使
用した点を除いて、実施例1を繰り返した。
リン酸マンガン化成処理液に添加し、得られた化成処理
液を、化成処理液の温度85℃で500ml 容量の容器に収容
し、これに脱脂・水洗等の予備処理を行った上記試験材
を10分間浸漬した後、引き上げて水洗、乾燥した。
て評価した。本発明例の試験材には、炭素鋼、1Cr−0.
5Mo 鋼、3Cr鋼、5Cr鋼、13Cr鋼を使用し、比較例の試
験材には、22Cr鋼を使用した。
を、厚さ5μm以上に○ (良好) をそれぞれ付けた。ま
た、皮膜の均質性は鋼材表面に形成した皮膜中のスケム
ラ(金属肌の露出)占有率が、面積率で5%以下を○
(良好) 、5%超20%以下を△(普通) 、20%超の試験結
果に× (不可) をそれぞれつけた。全体評価では、皮膜
厚み、皮膜の均質性評価がいずれも○の試験結果に○
(合格) を、いずれかが△あるいは×の試験結果に×
(不合格) をそれぞれつけた。
%の各Cr含有鋼から製造された継目なし鋼管である油井
鋼管 (C:0.25%) を使用した。
max5μmに調整された、上記の各Cr含有鋼管より、厚み
5mm、幅25mm、長さ30mm、のものを切り出し使用した。
本例においては、市販のリン酸亜鉛化成処理液に四硼酸
カリウムを0〜10%の濃度で添加して化成処理液を調製
した。
略図である。図示のように、化成処理液1の温度80℃で
500ml容量の容器に収容し、これに脱脂・水洗等の予備
処理を行った試験材2の外表面側に滴下装置3から化成
処理液1を5分間滴下した後、水洗、乾燥した。なお、
化成処理液1は、加熱用温水5により加熱されており、
循環ポンプ4により再循環利用される。
て評価した。表4に試験結果を示す。
を、厚さ5μm以上に○ (良好) をそれぞれ付けた。ま
た、皮膜の均質性は鋼管材料表面に形成した皮膜中のス
ケムラ(金属肌の露出)占有率が、面積率で5%以下を
○ (良好) 、5%超20%以下を△ (普通) 、20%超の試
験結果に× (不可) をそれぞれつけた。全体評価では、
皮膜厚み、皮膜の均質性評価がいずれも○の試験結果に
○ (合格) を、いずれかが△あるいは×の試験結果に×
(不合格) をそれぞれつけた。
3%の各Cr含有鋼 (C:0.25%) から製造した油井鋼管
を用意した。
ax 5μmに調整した上記鋼管より切り出し、その寸法は
厚み5mm、幅25mm、長さ30mmであった。本例において
は、市販のリン酸マンガン化成処理液に四硼酸カリウム
を0.1 〜1.0 %の濃度で添加した後、全酸度を30以上55
未満、全酸度の遊離酸度に対する比を8.2 〜9.0 に調整
した。この化成処理液を温度95℃で1000ml容量の容器に
収容し、これに脱脂・水洗等の予備処理を行った試験材
を前記化成処理液に20分間浸漬した後、水洗、乾燥し
た。
評価は、実施例1と同様にして行った。
露出)占有率が、面積率で1%以下を◎ (優秀) 、1%
超5%以下を○ (良好) とした。全体評価では、皮膜の
均質性評価が◎または○の試験結果に○ (合格) をつけ
た。表5に試験結果を示す。
10%添加した亜鉛とリン酸またはマンガンとリン酸を含
有する化成処理液により、Crを0.5 〜13%含有する鋼材
の表面に、均質で密着性に優れた健全なリン酸塩の化成
皮膜を容易に安定して形成することができる。また、炭
素鋼についても、本発明を用いれば従来以上に密着性に
優れた厚い化成皮膜を容易に安定して形成することが可
能である。
示す概略図である。
Claims (15)
- 【請求項1】 鋼材とその表面の少なくとも1つの部位
に設けた化成皮膜から成り、該化成皮膜はカリウム量が
0.1 〜1000 mg/m2であり、厚みが5〜50μmであること
を特徴とする表面処理鋼材。 - 【請求項2】 前記化成皮膜がリン酸塩系化成皮膜であ
る請求項1記載の表面処理鋼材。 - 【請求項3】 前記化成皮膜が、リン酸亜鉛系またはリ
ン酸マンガン系化成皮膜である請求項2記載の表面処理
鋼材。 - 【請求項4】 前記鋼材がCrを0.5 〜13質量%含有する
鋼組成を有することを特徴とする請求項1ないし3のい
ずれかに記載の表面処理鋼材。 - 【請求項5】 前記鋼材が継目なし鋼管であって、前記
化成皮膜を設けた表面部位がネジ継手部であることを特
徴とする請求項4記載の表面処理鋼材。 - 【請求項6】 前記鋼管がねじを設けた油井管である請
求項5記載の表面処理鋼材。 - 【請求項7】 前記鋼管が油井管用のねじを設けたカッ
プリングである請求項5記載の表面処理鋼材。 - 【請求項8】 亜鉛とリン酸またはマンガンとリン酸を
含有し、さらにカリウムを含有する化成処理液を用いて
鋼材に化成処理を行うことを特徴とする表面処理鋼材の
製造方法。 - 【請求項9】 前記化成処理液におけるカリウムを含む
イオンのモル濃度が6×10-4%以上、7×10-1%以下で
あることを特徴とする請求項8記載の表面処理鋼材の製
造方法。 - 【請求項10】 前記化成処理を60〜100 ℃の温度で少
なくとも5分間前記鋼材の表面を前記化成処理液に浸漬
して行うことを特徴とする請求項8記載の表面処理鋼材
の製造方法。 - 【請求項11】 前記化成処理を60〜100 ℃の温度で少
なくとも5分間前記鋼材の表面に前記化成処理液を供給
して行うことを特徴とする請求項8記載の表面処理鋼材
の製造方法。 - 【請求項12】 フッ素イオンの不存在下で前記化成処
理を行うことを特徴とする請求項8ないし11のいずれ
かに記載の表面処理鋼材の製造方法。 - 【請求項13】 亜鉛とリン酸またはマンガンとリン酸
を含有し、さらにカリウムを含有することを特徴とする
鋼材用化成処理液。 - 【請求項14】 前記カリウムを含むイオンのモル濃度
が6×10-4%以上、7×10-1%以下であることを特徴と
する請求項13記載の鋼材用化成処理液。 - 【請求項15】 マンガンとリン酸を含有し、さらにカ
リウムを含有する、全酸度が30以上55未満、全酸度の遊
離酸度に対する比が3 〜15である請求項13または14に記
載の鋼材用化成処理液。
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