JP2003230836A - 複合酸化物触媒及びその製造方法 - Google Patents

複合酸化物触媒及びその製造方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 プロピレン、イソブテン又はターシャリーブ
タノールからアクロレイン又はメタクロレインを製造す
る気相接触酸化反応、プロピレン又はイソブテンからア
クリロニトリル又はメタクリロニトリルを製造する気相
接触アンモ酸化反応、及びブテンからブタジエンを製造
する気相接触酸化的脱水素反応等の選択的反応に用いら
れる触媒として、原料転化率や選択率等の触媒性能がよ
り向上した触媒を提供することを目的とする。 【解決手段】 所定の成分元素を有する複合酸化物触媒
を、各成分元素の供給源化合物の水性系での一体化及び
加熱を含む工程によって製造する際に、ハロゲンを含有
したBiの複合炭酸塩化合物をBi等の供給源化合物と
して用いて製造する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、プロピレン、イ
ソブテン又はターシャリーブタノールからアクロレイン
又はメタクロレインを製造する気相接触酸化反応、プロ
ピレン又はイソブテンからアクリロニトリル又はメタク
リロニトリルを製造する気相接触アンモ酸化反応、及び
ブテンからブタジエンを製造する気相接触酸化的脱水素
反応等の選択的反応に用いられる複合酸化物触媒及びそ
の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】プロピレン、イソブテン又はターシャリ
ーブタノールからアクロレイン又はメタクロレインを製
造する気相接触酸化反応、プロピレン又はイソブテンか
らアクリロニトリル又はメタクリロニトリルを製造する
気相接触アンモ酸化反応、及びブテンからブタジエンを
製造する気相接触酸化的脱水素反応等の選択的反応にお
いて、Mo−Bi系の複合酸化物触媒が有用な触媒であ
ることは良く知られており、工業的にも広く実用化され
ている。
【0003】これら各種反応におけるMo−Bi系複合
酸化物の組成及び製造法に関する特許文献としては、特
公昭39−3670号公報、同48−1645号公報、
同48−4763号公報、同48−17253号公報、
同49−3498号公報、同55−41213号公報、
同56−14659号公報、同56−23969号公
報、同56−52013号公報、同57−26245号
公報、特開昭48−503号公報、同48−514号公
報、同48−52713号公報、同48−54027号
公報、同48−57916号公報、同55−20610
号公報、同55−47144号公報、同55−8454
1号公報、同59−76541号公報、同60−122
041号公報等の多くの公報が知られている。
【0004】これらのうち、特開昭55−47144号
公報及び特開昭59−76541号公報に、複合酸化物
触媒を製造する際にあらかじめMo−BiまたはW−B
iを製造することが開示されていることを除けば、他の
ものはいずれもBiの原料として実施例において硝酸ビ
スマスを使用するものであり、それぞれの説明中におい
てBi原料として水溶性のビスマス化合物即ち硝酸ビス
マスまたは水酸化物を推奨している。これらに記載の触
媒は、複合酸化物触媒内でのBiの均一分散を考えれば
合理的な処方と考えられるが、充分な触媒性能が得られ
ていない。
【0005】また、特公平5−87300号公報には、
Naを固溶した次炭酸ビスマスをBi原料として用いる
複合酸化物触媒が開示され、特公平6−13096号公
報には、Mg,Ca,Zn,Ce,Smのいずれかを固
溶した次炭酸ビスマスをBi原料として用いる複合酸化
物触媒が開示され、特公平6−13097号公報には、
Mg,Ca,Zn,Ce,SmのいずれかとNaとを固
溶した次炭酸ビスマスをBi原料として用いる複合酸化
物触媒が開示されている。そして、これらの複合酸化物
触媒は、十分な触媒性能を有していることが開示されて
いる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、これらの反
応に用いられる触媒は、石油資源の有効活用及び上記の
各反応における工程の合理化の観点から、少しでも高い
触媒性能が求められる。すなわち、原料転化率や選択率
が0.1%向上すると、得られる生成物の量は、数百〜
数千トンのレベルで増加する。したがって、原料転化率
や選択率等の触媒性能の向上は、たとえ少しの向上であ
っても、石油資源の有効活用や工程の合理化に大幅に寄
与する。また、ハロゲンが触媒内に残存すると、一般的
に触媒性能が低下する場合が多い。
【0007】そこでこの発明は、プロピレン、イソブテ
ン又はターシャリーブタノールからアクロレイン又はメ
タクロレインを製造する気相接触酸化反応、プロピレン
又はイソブテンからアクリロニトリル又はメタクリロニ
トリルを製造する気相接触アンモ酸化反応、及びブテン
からブタジエンを製造する気相接触酸化的脱水素反応等
の選択的反応に用いられる触媒として、原料転化率や選
択率等の触媒性能がより向上した触媒を提供することを
目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】この発明はプロピレン、
イソブテン又はターシャリーブタノールからアクロレイ
ン又はメタクロレインを製造する気相接触酸化反応、プ
ロピレン又はイソブテンからアクリロニトリル又はメタ
クリロニトリルを製造する気相接触アンモ酸化反応、及
びブテンからブタジエンを製造する気相接触酸化的脱水
素反応のいずれかの反応に使用され、かつ、Mo、Bi
及びハロゲンを成分元素として含有した複合酸化物触媒
を用いることにより、上記課題を解決したのである。
【0009】ハロゲンを含有させた複合酸化物触媒を用
いたので、触媒性能、特に原料転化率をより向上させる
ことができる。さらに、上記のハロゲンとしてClを用
いることができ、また、上記ハロゲンの含有量を、12
原子量のMoに対して、0.0005〜0.5原子量と
することにより、原料転化率をさらに向上させることが
できる。さらにまた、成分元素としてNaや、Mg、C
a、Zn、Ce及びSmから選ばれる1つ又は2つ以上
を用いると、触媒性能の原料転化率や選択率をより向上
させることができる。
【0010】このような複合酸化物触媒の製造方法とし
て、下記一般式(1)に示される複合酸化物触媒を、各
成分元素の供給源化合物の水性系での一体化及び加熱を
含む工程によって製造する際に、Bi等の供給源化合物
として、ハロゲン等を含有したBiの複合炭酸塩化合物
を用いる方法を採用することができる。
【0011】 MoaBibCocNidFeeNafmghSiijk (1) (但し、Xはハロゲンを示し、YはK,Rb,Cs又は
Tlのいずれか少なくとも一種を示し、ZはB,P,A
s又はWのいずれか少なくとも一種を示し、Qは、M
g、Ca、Zn、Ce又はSmのいずれか少なくとも一
種を示す。又、a〜k及びmはそれぞれの元素の原子比
を表わし、a=12とするとき、b=0.5〜7、c=
0〜10、d=0〜10、c+d=1〜10、e=0.
05〜3、f=0〜1、m=0〜1、g=0.04〜
0.4、h=0〜3、i=0〜48、j=0.0005
〜0.5、及びkは他の元素の酸化状態を満足させる値
である。)
【0012】Bi等の供給源化合物として、ハロゲン等
を含有したBiの複合炭酸塩化合物を用いることによ
り、触媒性能、特に原料転化率をより向上させることが
できる。
【0013】
【発明の実施の形態】以下において、この発明について
詳細に説明する。なお、モリブデン(Mo)、ビスマス
(Bi)、ケイ素(Si)、コバルト(Co)、ニッケ
ル(Ni)、鉄(Fe)、マグネシウム(Mg)、カル
シウム(Ca)、亜鉛(Zn)、セリウム(Ce)、サ
マリウム(Sm)、ナトリウム(Na)、カリウム
(K)、ルビジウム(Rb)、セシウム(Cs)、タリ
ウム(Tl)、ホウ素(B)、リン(P)、ヒ素(A
s)、タングステン(W)、フッ素(F)、塩素(C
l)、臭素(Br)、ヨウ素(I)の各元素は、それぞ
れカッコ内の元素記号を用いて表記した。
【0014】この発明にかかる複合酸化物触媒は、プロ
ピレン、イソブテン又はターシャリーブタノールからア
クロレイン又はメタクロレインを製造する気相接触酸化
反応、プロピレン又はイソブテンからアクリロニトリル
又はメタクリロニトリルを製造する気相接触アンモ酸化
反応、及びブテンからブタジエンを製造する気相接触酸
化的脱水素反応のいずれかの反応に使用される触媒であ
る。
【0015】この複合酸化物触媒は、Mo、Bi及びハ
ロゲンを成分元素として含有する。上記ハロゲンの複合
酸化物触媒製造工程における作用機構及び上記複合酸化
物触媒中の存在形態は明らかではないが、ハロゲンの導
入量がBiに対して所定量で効果を発揮すること、残留
しているハロゲンが微量であること、残留しているハロ
ゲンの量に触媒性能が依存しないことから、上記複合酸
化物触媒の加熱工程において、Mo及びBiから形成さ
れるモリブデン酸ビスマス結晶生成の際の熱拡散促進に
寄与し、上記モリブデン酸ビスマス結晶中の酸素の格子
欠陥を増加させる結果、触媒性能、特に原料転化率の向
上につながるものと推察される。上記ハロゲンとして
は、F、Cl、Br、Iがあげられるが、この中でも、
Clが効果的である。
【0016】上記複合酸化物触媒におけるハロゲンの含
有量は、12原子量のMoに対して、0.0005〜
0.5原子量がよく、0.0005〜0.05原子量が
好ましい。0.5原子量より多いと、触媒性能が低下す
ることがある。一方、0.0005原子量より少なくて
もよいが、0.0005原子量は、ハロゲン量を測定す
る燃焼吸収イオンクロマト法における測定限界であり、
これより少ない量を測定することはできないため、ハロ
ゲンの存在を確認することができなくなる。
【0017】また、上記複合酸化物触媒調製時における
ハロゲンの使用量は、用いた量全てが複合酸化物触媒に
残存しないため、より多目の量を用いる必要がある。具
体的には、Biに対して、25〜50000ppmがよ
く、50〜5000ppmが好ましく、100〜100
0ppmがより好ましい。25ppmより少ないと、ハ
ロゲンの導入効果が十分に発揮しえない場合がある。一
方、50000ppmより多いと、かえって、触媒性能
の劣化を招く場合がある。導入量がBiを基準とするの
は、後述するように、ハロゲンの導入は、Bi及びハロ
ゲンを含有した次炭酸ビスマス粉末を用いて行うため、
Biを基準とする方が調製しやすいからである。
【0018】上記の複合酸化物触媒には、成分元素とし
てNaや、Mg、Ca、Zn、Ce及びSmから選ばれ
る1つ又は2つ以上を用いることができる。このNa
は、上記の複合酸化物触媒に生じるモリブデン酸ビスマ
ス結晶中の(BiO)+イオンをNa+イオンで置換した
場合、酸素の格子欠陥を増大させると推定される。イオ
ン半径を考慮して選択された上記のMg、Ca、Zn、
Sm等の元素も、Naと同様に、モリブデン酸ビスマス
結晶中の酸素の格子欠陥を増大させると考えられてい
る。いずれの場合も、この格子欠陥により、特に原料転
化率の向上につながるものと考えられる。
【0019】上記複合酸化物触媒におけるNaの含有量
は、12原子量のMoに対して、0〜1原子量がよく、
0.01〜1原子量が好ましい。1原子量より多いと、
触媒性能が低下することがある。なお、添加量が0.0
1原子量より少ないと、Na添加による触媒性能の向上
効果が見られなくなる場合がある。
【0020】上記複合酸化物触媒におけるMg、Ca、
Zn、Ce及びSmから選ばれる1つ又は2つ以上の成
分元素の含有量は、12原子量のMoに対して、0〜1
原子量がよく、0.01〜1原子量が好ましい。1原子
量より多いと、触媒性能が低下することがある。なお、
添加量が0.01原子量より少ないと、上記成分元素添
加による触媒性能の向上効果が不十分となる場合があ
る。
【0021】上記複合酸化物触媒の、上記各反応におけ
る選択率をさらに向上させるためには、上記の各成分元
素以外に、Rb、Cs、Tl等の他の原子を加えるのが
好ましい。これらは、複合酸化物触媒を構成する各化合
物の境界或いは表面に存在することにより選択性の向上
をもたらしているものと考えられる。
【0022】これらから、上記の各反応に使用される複
合酸化物触媒の好ましい態様としては、下記一般式
(1)で示される触媒が例示される。 MoaBibCocNidFeeNafmghSiijk (1) 上記一般式(1)において、Xはハロゲンを示し、Yは
K,Rb,Cs又はTlのいずれか少なくとも一種を示
し、ZはB,P,As又はWのいずれか少なくとも一種
を示し、Qは、Mg、Ca、Zn、Ce又はSmのいず
れか少なくとも一種を示す。また、a〜k及びmはそれ
ぞれの元素の原子比を表わし、a=12としたとき、下
記の値の範囲で表される。 b:0.5〜7 c:0〜10 d:0〜10 c+d:1〜10 e:0.05〜3 f:0〜1(好ましくは、0.01〜1) m=0〜1(好ましくは、0.01〜1) g:0.04〜0.4 h:0〜3 i:0〜48 j:0.0005〜0.5 k:他の元素の酸化状態を満足させる値
【0023】次に、上記複合酸化物触媒の製造方法につ
いて説明する。上記複合酸化物触媒は、この複合酸化物
触媒を構成する各成分元素の供給源化合物の水性系での
一体化及び加熱を含む工程によって製造される。
【0024】上記各成分元素の供給源化合物とは、上記
複合酸化物触媒を構成する成分元素のうち、1つ又は2
つ以上の元素を含有し、かつ、水溶液又は水懸濁液とす
ることのできる化合物(例えば、Moについてのパラモ
リブデン酸アンモン等、MoとPとについてのリンモリ
ブデン酸アンモン等)をいう。
【0025】上記供給源化合物としては、次のものが具
体例としてあげることができる。Moの供給源化合物と
しては、パラモリブデン酸アンモニウム、三酸化モリブ
デン、モリブデン酸、リンモリブデン酸アンモニウム、
リンモリブデン酸等があげられる。Coの供給源化合物
としては、硝酸コバルト、硫酸コバルト、塩化コバル
ト、炭酸コバルト、酢酸コバルト等があげられる。Ni
の供給源化合物としては、硝酸ニッケル、硫酸ニッケ
ル、塩化ニッケル、炭酸ニッケル、酢酸ニッケル等があ
げられる。Feの供給源化合物としては、硝酸第二鉄、
硫酸第二鉄、塩化第二鉄、酢酸第二鉄等があげられる。
【0026】また、Kの供給源化合物としては、硝酸カ
リウム、硫酸カリウム、塩化カリウム、炭酸カリウム、
酢酸カリウム等をあげることができる。Rbの供給源化
合物としては、硝酸ルビジウム、硫酸ルビジウム、塩化
ルビジウム、炭酸ルビジウム、酢酸ルビジウム等をあげ
ることができる。Csの供給源化合物としては、硝酸セ
シウム、硫酸セシウム、塩化セシウム、炭酸セシウム、
酢酸セシウム等をあげることができる。Tlの供給源化
合物としては、硝酸第一タリウム、塩化第一タリウム、
炭酸タリウム、酢酸第一タリウム等をあげることができ
る。
【0027】さらに、Bの供給源化合物としては、ホウ
砂、ホウ酸アンモニウム、ホウ酸等をあげることができ
る。Pの供給源化合物としては、リンモリブデン酸アン
モニウム、リン酸アンモニウム、リン酸、五酸化リン等
をあげることができる。Asの供給源化合物としては、
ジアルセノ十八モリブデン酸アンモニウム、ジアルセノ
十八タングステン酸アンモニウム等をあげることができ
る。Wの供給源化合物としては、パラタングステン酸ア
ンモニウム、三酸化タングステン、タングステン酸、リ
ンタングステン酸等をあげることができる。
【0028】さらにまた、Siの供給源化合物として
は、シリカ、粒状シリカ、コロイダルシリカ、ヒューム
ドシリカ等をあげることができる。
【0029】また、必須成分としてBi及びハロゲン、
並びに選択成分として、Na、並びに/又は、Mg、C
a、Zn、Ce及びSmから選ばれる1つ若しくは2つ
以上からなる成分元素の供給源化合物(以下、「Bi等
の供給源化合物」と略する。)としては、必須成分とし
てハロゲン、並びに選択成分として、Na、並びに/又
は、Mg、Ca、Zn、Ce及びSmから選ばれる1つ
若しくは2つ以上からなる成分元素(以下、「ハロゲン
等」と略する。)を含有したBiの複合炭酸塩化合物が
あげられる。この例としては、水不溶性のハロゲン等を
含有した次炭酸ビスマスがあげられる。この化合物は、
炭酸アンモニウム、重炭酸アンモニウム等の炭酸塩及び
/又は重炭酸塩の水溶液と、ハロゲン化アンモニウム等
の水溶性ハロゲン化物の水溶液との混合液に、硝酸ビス
マス等の水溶性ビスマス化合物を滴下混合し、得られた
沈殿物を水洗、乾燥することによって製造できる。Na
を含有させるためには、炭酸塩及び/又は重炭酸塩とし
て、炭酸ナトリウム又は重炭酸ナトリウムの水溶液を用
いたり、ハロゲン化物としてハロゲン化ナトリウムの水
溶液を用いればよい。さらに、Mg、Ca、Zn、Ce
及びSmから選ばれる1つ並びに2つ以上の元素を含有
させるには、これらの元素の硝酸塩等の水溶液等を硝酸
ビスマス等の水溶性ビスマス化合物の水溶液に混合して
用いればよい。このときの、Bi、Na、Mg、Ca、
Zn、Ce又はSmの添加量は、上記複合酸化物触媒の
含有量に合わせて調整される。また、ハロゲンの量は、
後述する量に合わせて調整される。
【0030】上記水不溶性のハロゲン等を含有した次炭
酸ビスマスは、粉末の形態で使用することが好ましい。
触媒製造原料としてのこれら化合物は粉末より大きな粒
子のものであってもよいが、その熱拡散を行わせるべき
加熱工程を考えれば小さい粒子である方が好ましい。従
って、原料としてのこれらの化合物がこのように粒子の
小さいものでなかった場合は、加熱工程前に粉砕を行な
うべきである。
【0031】上記各成分元素の供給源化合物の水性系で
の一体化とは、各成分元素の供給源化合物の水溶液ない
し水分散液を一括にあるいは段階的に混合又は熟成処理
することを意味する。すなわち、(イ)上記の各供給源
化合物を一括して混合する方法、(ロ)上記の各供給源
化合物を一括して混合し、そして熟成処理する方法、
(ハ)上記の各供給源化合物を段階的に混合する方法、
(ニ)上記の各供給源化合物を段階的に混合・熟成処理
を繰り返す方法、及び(イ)〜(ニ)を組み合わせた方
法はいずれも上記各成分元素の供給源化合物の水性系で
の一体化の概念に含まれる。ここで、上記熟成とは、
「工業原料もしくは半製品を、一定時間、一定温度など
の特定条件のもとに処理して、必要とする物理性、化学
性の取得、上昇あるいは所定反応の進行などをはかる操
作」(化学大辞典/共立出版)のことをいう。なお、こ
の発明において、上記の一定時間とは、10分〜24時
間の範囲をいい、上記の一定温度とは室温〜水溶液ない
し水分散液の沸点の範囲をいう。
【0032】さらに、上記一体化は、各元素の供給源化
合物のみについて上記処理を行うことを意味するもので
はなく、必要に応じて使用することがあるアルミナ、シ
リカ・アルミナ、耐火性酸化物等の担体材料も対象とし
て含むものである。
【0033】また、上記の加熱とは、上記の各成分元素
の供給源化合物個々の酸化物や複酸化物の形成、一体化
により生じた複合化合物の酸化物や複酸化物の形成、生
成最終複合酸化物の形成等のための熱処理をいう。そし
て、加熱は必ずしも1回には限られない。すなわち、こ
の加熱は上記(イ)〜(ニ)で示される一体化の各段階
で任意に行うことができ、また一体化後に必要に応じて
追加して行っても構わない。上記の加熱温度は、通常2
00℃〜700℃の範囲である。
【0034】さらに、上記の一体化及び加熱において
は、これら以外に、例えば、乾燥、粉砕、成形、等をそ
の前後や途中に実施してもよい。
【0035】上記一般式(1)で示される複合酸化物触
媒の製造法の具体例を、ハロゲンとしてClを用いた場
合について、以下に示す。なお、上記したような特許文
献その他が公知の時点において、この具体例から他の具
体例に及ぶことは当業者にとって容易であると考えられ
る。
【0036】まず、適当なMoの供給源化合物、例えば
パラモリブデン酸アンモニウムの水溶液に、Fe、Co
及びNiの供給源化合物、例えばそれぞれの硝酸塩の水
溶液を加える。更にNa、K、Cs、Rb、Tl、B、
P、As、W等の各供給源化合物、例えば、それぞれの
水溶性塩を上記水溶液に加える。更に、必要ならば粒状
あるいはコロイダルシリカ、ヒュームドシリカ等のSi
の供給源化合物を加える。これによって、Mo等の供給
源化合物水溶液又は懸濁液を調製する。
【0037】次に、ハロゲン等を含有したBiの複合炭
酸塩化合物として、ハロゲン等を含有した次炭酸ビスマ
スを調製する。これは、ビスマス含有化合物、例えば硝
酸ビスマスの水溶液を調製し、これをCl含有化合物、
例えば塩化アンモニウムの水溶液と、炭酸イオン又は重
炭酸イオン含有化合物、例えば炭酸アンモニウム又は重
炭酸アンモニウムの水溶液との混合液に滴下混合し、得
られたスラリーを水洗、乾燥して得られる。選択成分と
してNaを含有させるには、Cl含有化合物として塩化
ナトリウムを用いたり、炭酸イオン又は重炭酸イオン含
有化合物として、炭酸ナトリウム又は重炭酸ナトリウム
を用いればよい。また、Mg、Ca、Zn、Ce又はS
m等を含有させるには、例えばこれらの硝酸塩等の水溶
液を硝酸ビスマスの水溶液に混合して用いればよい。上
記の調製法により、ハロゲン等を含有した次炭酸ビスマ
ス中に、Naや、Mg、Ca、Zn、Ce又はSmが含
有される。
【0038】次いで、上記Mo等の供給源化合物水溶液
又は懸濁液にハロゲン等を含有した次炭酸ビスマス粉末
を混合する。そして、得られた懸濁液又はスラリーを充
分に攪拌した後、乾燥する。乾燥された顆粒あるいはケ
ーキ状のものは、空気中で250〜350℃の温度域で
短時間の熱処理を行う。この様に得られた一次熱処理品
を、押出し成型、打錠成型、あるいは担持成型等の方法
により任意の形状に賦形する。次に、この成型体を好ま
しくは450〜650℃の温度条件にて1〜16時間程
度の最終熱処理に付す。これにより、この発明にかかる
複合酸化物触媒が製造される。
【0039】上記の短時間の熱処理によって得られた一
次熱処理品においては、鉄、コバルト及びニッケルはす
でに酸性酸化物との塩を形成しているのに対し、ハロゲ
ン等を含有した次炭酸ビスマスの大部分は原料の形態を
示していた。このことは、ハロゲン等を含有した次炭酸
ビスマスの添加時期は、上記短時間の熱処理の前に限ら
れず、この短時間の熱処理の後であってもよく、任意に
とり得ることを意味している。
【0040】したがって、上記のように全ての供給源化
合物を混合した後に加熱する一括の一体化及び短時間又
は長時間の加熱を行う方法を採用する以外に、ハロゲン
等を含有したBiの複合炭酸塩化合物及びSiの供給源
化合物以外の上記の供給源化合物を水性系で一体化及び
加熱した後、ハロゲン等を含有したBiの複合炭酸塩化
合物及びSiの供給源化合物を混合して、成型後、水性
系での一体化及び加熱する方法をさせてもよい。なお、
Siは担体としての役目を有するので、どの段階で加え
ても問題は生じない。
【0041】上記の製造方法における各供給源化合物の
添加量は、上記一般式(1)で示される複合酸化物触媒
の構成元素の構成比に合わせて設定すればよい。
【0042】また、上記のハロゲン等を含有した次炭酸
ビスマス粉末を製造する場合において、Bi含有化合物
及びNa含有化合物、Mg、Ca、Zn、Ce又はSm
のいずれか少なくとも一種の含有化合物の添加量は、B
i、Na、Mg、Ca、Zn、Ce又はSmの量が上記
一般式(1)で示される複合酸化物触媒の構成元素の構
成比となるように設定すればよい。また、Cl含有化合
物の添加量は、導入されたClの全てが複合酸化物触媒
に残存しないため、より多くの量を導入する必要があ
り、具体的には、Cl量がBiに対して、25〜500
00重量ppmとなるように添加するのがよく、50〜
5000重量ppmとなるように添加するのが好まし
く、100〜1000重量ppmとなるように添加する
のが最も好ましい。25重量ppmより少ないと、モリ
ブデン酸ビスマス結晶生成の際の熱拡散促進に十分寄与
せず、上記モリブデン酸ビスマス結晶中の酸素の格子欠
陥を十分に増加させない場合がある。一方、50000
重量ppmより多いと、かえって、触媒性能の劣化を招
く場合がある。
【0043】なお、上記の製造方法における上記一般式
(1)で示される複合酸化物触媒中のハロゲンの原子
数、すなわち、jの値は、0〜0.5がよく、上記の
0.0005〜0.5が好ましい。jの値が0.5より
多いと、触媒性能が低下することがある。一方、jの値
は0、すなわち上記の製造方法で得られる上記(1)で
示される複合酸化物触媒中にハロゲンが存在しなくても
よい。また、jの値が0を超えて0.0005より小さ
い場合は、ハロゲン量を測定する燃焼吸収イオンクロマ
ト法における測定限界以下であり、j=0と判断され
る。jが0〜0.0005の範囲内であっても、上記の
製造方法においては、触媒調製時にはハロゲンが添加さ
れており、モリブデン酸ビスマス結晶生成の際の熱拡散
促進に十分寄与し、上記モリブデン酸ビスマス結晶中の
酸素の格子欠陥を十分に増加させるので、この製造方法
において、最終的に得られる複合酸化物触媒中のハロゲ
ン量が検出限界以下であっても、この発明の目的が達せ
られる。
【0044】この方法で製造された複合酸化物触媒は、
分子状酸素の存在下に行なわれる各種の気相接触酸化反
応に対して使用することができる。ここでいう気相接触
酸化反応の具体例としては、上記したような、プロピレ
ン、イソブテン又はターシャリーブタノール等からアク
ロレイン又はメタクロレインを製造する反応、プロピレ
ン又はイソブテンからアンモニアの共存下にアクリロニ
トリル又はメタクリロニトリルを製造する反応、ブテン
からブタジエンを製造する反応等があげられる。
【0045】
【実施例】以下にこの発明をさらに具体的に説明する。 (実施例1)パラモリブデン酸アンモニウム94.1g
を純水400mlに加熱して溶解させた。次に、硝酸第
二鉄7.18g、硝酸コバルト25.8g及び硝酸ニッ
ケル38.7gを純水60mlに加熱して溶解させた。
この二液を充分に攪拌しながら徐々に混合した。次い
で、この混合液に、ホウ砂0.85g及び硝酸カリウム
0.36gを純水40mlに加温溶解させた液を加え
て、充分に攪拌し、Mo等の供給源化合物の水溶液を調
製した。
【0046】次に、硝酸で酸性にしたイオン交換水に硝
酸ビスマス100gを溶解させた。また、炭酸ナトリウ
ム42.0g及び塩化ナトリウム0.3gをイオン交換
水に加熱して溶解させた。この二液を充分に攪拌しなが
ら徐々に混合した。撹拌混合した後、得られた白色沈殿
物を洗浄濾過し乾燥した。得られたハロゲン等を含有し
た次炭酸ビスマスのCl及びNa含有量はそれぞれ0.
18重量%及び0.52重量%であった。次いで、上記
のMo等の供給源化合物の水溶液に、上記のハロゲン等
を含有した次炭酸ビスマス粉末58.1gとシリカ64
gとを加えて、攪拌混合した。
【0047】次に、このスラリーを加熱乾燥した後、空
気雰囲気で300℃/1時間の熱処理に付した。得られ
た粒状固体を小型成形機にて、径5mm、高さ4mmの
錠剤に打錠成型し、次にマッフル炉にて500℃/4時
間の焼成を行って複合酸化物触媒を製造した。仕込み原
料から計算される上記複合酸化物触媒の金属成分の組成
比は、表1に示すとおりであった。一方、複合酸化物触
媒中のCl含有量を以下の方法で測定した。その原子比
を表1に示す。
【0048】この複合酸化物触媒20mlを内径15m
mのステンレス鋼製ナイタージャケット付反応管に充填
し、プロピレン濃度10%、スチーム濃度17%及び空
気濃度73%の原料ガスを常圧にて接触時間2.3秒に
て通過させて、プロピレンの酸化反応を実施した。反応
温度310℃にて、表2に示す反応結果が得られた。
【0049】ここで、プロピレン転化率、アクロレイン
選択率、アクリル酸選択率、アクロレイン収率、アクリ
ル酸収率、合計収率の定義は、下記の通りである。 ・プロピレン転化率(モル%)=(反応したプロピレン
のモル数/供給したプロピレンのモル数)×100 ・アクロレイン選択率(モル%)=(生成したアクロレ
インのモル数/反応したプロピレンのモル数)×100 ・アクリル酸選択率(モル%)=(生成したアクリル酸
のモル数/反応したプロピレンのモル数)×100 ・アクロレイン収率(モル%)=(生成したアクロレイ
ンのモル数/供給したプロピレンのモル数)×100 ・アクリル酸収率(モル%)=(生成したアクリル酸の
モル数/供給したプロピレンのモル数)×100 ・合計収率(モル%)=アクロレイン収率(モル%)+
アクリル酸収率(モル%)
【0050】[Cl含有量の測定法]燃焼吸収イオンク
ロマト法を用いて測定した。すなわち、分析試料に助燃
剤を加え1100℃に加熱し、生成したガスを純水に吸
収させて、イオンクロマトにて定量した。
【0051】(比較例1)硝酸で酸性にしたイオン交換
水に硝酸ビスマス100gを溶解させた。また、炭酸ナ
トリウム42.0gをイオン交換水に加熱して溶解させ
た。この二液を充分に攪拌しながら徐々に混合した。撹
拌混合した後、得られた白色沈殿物を洗浄濾過し乾燥し
た。得られた次炭酸ビスマスのNa含有量は0.53重
量%であった。実施例1のハロゲン等を含有した次炭酸
ビスマスの代わりに上記のNaを含有した次炭酸ビスマ
ス粉末を使用した以外は、実施例1と同様にして、複合
酸化物触媒を製造し、プロピレンの酸化反応を実施し
た。上記複合酸化物触媒の金属成分の組成比及び反応温
度310℃における反応結果を、表2に示す。
【0052】(実施例2)硝酸で酸性にしたイオン交換
水に硝酸ビスマス100gと硝酸マグネシウム25gと
を溶解させた。また、炭酸アンモニウム38.1g及び
塩化アンモニウム0.3gをイオン交換水に加熱して溶
解させた。この二液を充分に攪拌しながら徐々に混合し
た。撹拌混合した後、得られた白色沈殿物を洗浄濾過し
乾燥した。得られたハロゲン等を含有した次炭酸ビスマ
スのCl及びMg含有量はそれぞれ0.09重量%及び
0.83重量%であった。実施例1に記載のハロゲン等
を含有した次炭酸ビスマスの代わりに上記のハロゲン等
を含有した次炭酸ビスマス粉末を使用した以外は、実施
例1と同様にして、複合酸化物触媒を製造し、プロピレ
ンの酸化反応を実施した。上記複合酸化物触媒の金属成
分の組成比及び反応温度310℃における反応結果を、
表2に示す。
【0053】(比較例2)硝酸で酸性にしたイオン交換
水に硝酸ビスマス100gと硝酸マグネシウム25gと
を溶解させた。また、炭酸アンモニウム38.1gをイ
オン交換水に加熱して溶解させた。この二液を充分に攪
拌しながら徐々に混合した。撹拌混合した後、得られた
白色沈殿物を洗浄濾過し乾燥した。得られたMgを含有
した次炭酸ビスマスのMg含有量は0.83重量%であ
った。実施例1に記載のハロゲン等を含有した次炭酸ビ
スマスの代わりに上記のMgを含有した次炭酸ビスマス
粉末を使用した以外は、実施例1と同様にして、複合酸
化物触媒を製造し、プロピレンの酸化反応を実施した。
上記複合酸化物触媒の金属成分の組成比及び反応温度3
10℃における反応結果を、表2に示す。
【0054】(実施例3)硝酸で酸性にしたイオン交換
水に硝酸ビスマス100gと硝酸カルシウム25gとを
溶解させた。また、炭酸ナトリウム42g及び塩化ナト
リウム0.3gをイオン交換水に加熱して溶解させた。
この二液を充分に攪拌しながら徐々に混合した。撹拌混
合した後、得られた白色沈殿物を洗浄濾過し乾燥した。
得られたハロゲン等を含有した次炭酸ビスマスのCl,
Na及びCa含有量はそれぞれ0.09重量%、0.4
5重量%及び0.30重量%であった。実施例1に記載
のハロゲン等を含有した次炭酸ビスマスの代わりに上記
のハロゲン等を含有した次炭酸ビスマス粉末を使用した
以外は、実施例1と同様にして、複合酸化物触媒を製造
し、プロピレンの酸化反応を実施した。上記複合酸化物
触媒の金属成分の組成比及び反応温度310℃における
反応結果を、表2に示す。
【0055】(実施例4〜7)ハロゲン等を含有した次
炭酸ビスマスに複合した金属種及び量並びに塩化物イオ
ン量が表3に示す値となるように、ハロゲン等を含有し
た次炭酸ビスマスを調製した以外は、実施例3と同様に
して表1に示される触媒を製造した。そして、これら触
媒を用いて、実施例1と同条件における反応を行った。
上記複合酸化物触媒の金属成分の組成比及び反応温度3
10℃における反応結果を、表2に示す。
【0056】(比較例3)硝酸で酸性にしたイオン交換
水に硝酸ビスマス100gと硝酸カルシウム25gとを
溶解させた。また、炭酸ナトリウム42gをイオン交換
水に加熱して溶解させた。この二液を充分に攪拌しなが
ら徐々に混合した。撹拌混合した後、得られた白色沈殿
物を洗浄濾過し乾燥した。得られたCaを含有した次炭
酸ビスマスのCa及びNa含有量はそれぞれ0.30重
量%、0.45重量%であった。実施例1に記載のハロ
ゲン等を含有した次炭酸ビスマスの代わりに上記のCa
を含有した次炭酸ビスマス粉末を使用した以外は、実施
例1と同様にして、複合酸化物触媒を製造し、プロピレ
ンの酸化反応を実施した。上記複合酸化物触媒の金属成
分の組成比及び反応温度310℃における反応結果を、
表2に示す。
【0057】(結果)実施例1と比較例1との結果から
明らかなように、Clを複合酸化物触媒に加えることに
よって、選択率に影響を与えることなく、プロピレン転
化率を0.3%向上させることができた。また、実施例
2と比較例2との結果から明らかなように、Clを複合
酸化物触媒に加えることによって、選択率の低下を抑制
しつつプロピレン転化率を0.8%向上させることがで
きたので、合計収率を0.4%向上させることができ
た。さらに、実施例3と比較例3との結果から明らかな
ように、Clを複合酸化物触媒に加えることによって、
選択率を0.3%向上させ、プロピレン転化率を0.3
%向上させることができたので、合計収率を0.5%向
上させることができた。さらにまた、実施例3と同様の
効果が実施例4〜7でも確認された。
【0058】
【表1】
【0059】
【表2】
【0060】
【表3】
【0061】
【発明の効果】この発明によると、複合酸化物触媒に所
定量のハロゲンを含有させたので、触媒性能、特に原料
転化率をより向上させることができる。
【0062】また、この発明にかかる製造方法で製造さ
れる複合酸化物触媒は、ハロゲンを含有しない場合と同
様に長寿命である。
【0063】さらに、成分元素として、ハロゲン以外
に、Na、Mg、Ca、Zn、Ce、Sm等を使用する
と、原料転化率や選択率をより向上させることができ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C07C 47/22 C07C 47/22 A 253/26 253/26 255/08 255/08 // C07B 61/00 300 C07B 61/00 300 (72)発明者 岩倉 具敦 三重県四日市市東邦町1番地 三菱化学株 式会社内 Fターム(参考) 4G069 AA03 AA08 BA02B BB08A BB08B BB08C BB16C BC02A BC02B BC02C BC03A BC03B BC05A BC06A BC09A BC09B BC09C BC10A BC10B BC10C BC19A BC25A BC25B BC25C BC27A BC35A BC35C BC43A BC43B BC43C BC44A BC44B BC44C BC59A BC59B BC66A BC66B BC67A BC67B BC68A BC68B BD03A BD07A BD12A BD12B BD12C CB10 CB17 CB20 FA01 FB09 FC02 FC08 4H006 AA02 AC12 AC45 AC54 BA02 BA06 BA07 BA08 BA13 BA14 BA19 BA21 BA37 BE14 BE30 QN24 4H039 CA29 CA62 CA70 CC10 CC20 CC30 CL50

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 プロピレン、イソブテン又はターシャリ
    ーブタノールからアクロレイン又はメタクロレインを製
    造する気相接触酸化反応、プロピレン又はイソブテンか
    らアクリロニトリル又はメタクリロニトリルを製造する
    気相接触アンモ酸化反応、及びブテンからブタジエンを
    製造する気相接触酸化的脱水素反応のいずれかの反応に
    使用され、かつ、Mo、Bi及びハロゲンを成分元素と
    して含有した複合酸化物触媒。
  2. 【請求項2】 上記成分元素としてNaを含有する請求
    項1に記載の複合酸化物触媒。
  3. 【請求項3】 上記成分元素としてMg、Ca、Zn、
    Ce及びSmから選ばれる1つ又は2つ以上を含有する
    請求項1又は2に記載の複合酸化物触媒。
  4. 【請求項4】 上記のハロゲンはClである請求項1乃
    至3のいずれかに記載の複合酸化物触媒。
  5. 【請求項5】 上記ハロゲンの含有量は、12原子量の
    Moに対して、0.0005〜0.5原子量である請求
    項1乃至4のいずれかに記載の複合酸化物触媒。
  6. 【請求項6】 下記一般式で示される請求項1乃至5の
    いずれかに記載の複合酸化物触媒。 MoaBibCocNidFeeNafmghSiijk (1) (但し、Xはハロゲンを示し、YはK,Rb,Cs又は
    Tlのいずれか少なくとも一種を示し、ZはB,P,A
    s又はWのいずれか少なくとも一種を示し、Qは、M
    g、Ca、Zn、Ce又はSmのいずれか少なくとも一
    種を示す。又、a〜k及びmはそれぞれの元素の原子比
    を表わし、a=12とするとき、b=0.5〜7、c=
    0〜10、d=0〜10、c+d=1〜10、e=0.
    05〜3、f=0〜1、m=0〜1、g=0.04〜
    0.4、h=0〜3、i=0〜48、j=0.0005
    〜0.5、及びkは他の元素の酸化状態を満足させる値
    である。)
  7. 【請求項7】 プロピレン、イソブテン又はターシャリ
    ーブタノールからアクロレイン又はメタクロレインを製
    造する気相接触酸化反応、プロピレン又はイソブテンか
    らアクリロニトリル又はメタクリロニトリルを製造する
    気相接触アンモ酸化反応、及びブテンからブタジエンを
    製造する気相接触酸化的脱水素反応のいずれかの反応に
    使用され、かつ、下記一般式(1)に示される複合酸化
    物触媒を、各成分元素の供給源化合物の水性系での一体
    化及び加熱を含む工程によって製造する際に、ハロゲン
    を含有したBiの複合炭酸塩化合物をBi等の供給源化
    合物として用いることを特徴とする、複合酸化物触媒の
    製造方法。 MoaBibCocNidFeeNafmghSiijk (1) (但し、Xはハロゲンを示し、YはK,Rb,Cs又は
    Tlのいずれか少なくとも一種を示し、ZはB,P,A
    s又はWのいずれか少なくとも一種を示し、Qは、M
    g、Ca、Zn、Ce又はSmのいずれか少なくとも一
    種を示す。又、a〜k及びmはそれぞれの元素の原子比
    を表わし、a=12とするとき、b=0.5〜7、c=
    0〜10、d=0〜10、c+d=1〜10、e=0.
    05〜3、f=0〜1、m=0〜1、g=0.04〜
    0.4、h=0〜3、i=0〜48、j=0.0005
    〜0.5、及びkは他の元素の酸化状態を満足させる値
    である。)
  8. 【請求項8】 上記Bi等の供給源化合物として、ハロ
    ゲン及びNaを含有したBiの複合炭酸塩化合物を用い
    ることを特徴とする請求項7に記載の複合酸化物触媒の
    製造方法。
  9. 【請求項9】 上記Bi等の供給源化合物として、ハロ
    ゲン、並びにMg、Ca、Zn、Ce及びSmから選ば
    れる1つ又は2つ以上を含有したBiの複合炭酸塩化合
    物を用いることを特徴とする請求項7に記載の複合酸化
    物触媒の製造方法。
  10. 【請求項10】 上記Bi等の供給源化合物として、ハ
    ロゲン、Na、並びにMg、Ca、Zn、Ce及びSm
    から選ばれる1つ又は2つ以上を含有したBiの複合炭
    酸塩化合物を用いることを特徴とする請求項7に記載の
    複合酸化物触媒の製造方法。
  11. 【請求項11】 上記のハロゲンはClである請求項7
    乃至10のいずれかに記載の複合酸化物触媒の製造方
    法。
  12. 【請求項12】 請求項1乃至6のいずれかに記載の複
    合酸化物触媒を用いることを特徴とする、プロピレンを
    原料としてアクロレイン及び/又はアクリル酸を製造す
    る方法。
  13. 【請求項13】 請求項7乃至11のいずれかに記載の
    製造方法で製造された複合酸化物触媒を用いることを特
    徴とする、プロピレンを原料としてアクロレイン及び/
    又はアクリル酸を製造する方法。
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