JP2003215080A - 物質の吸水性又は吸湿性を評価する試験法及び吸水分布又は吸湿分布の検出方法 - Google Patents

物質の吸水性又は吸湿性を評価する試験法及び吸水分布又は吸湿分布の検出方法

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JP2003215080A JP2002013847A JP2002013847A JP2003215080A JP 2003215080 A JP2003215080 A JP 2003215080A JP 2002013847 A JP2002013847 A JP 2002013847A JP 2002013847 A JP2002013847 A JP 2002013847A JP 2003215080 A JP2003215080 A JP 2003215080A
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moisture absorption
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Katsuyuki Ichikawa
克之 市川
Toshiyuki Shimizu
俊幸 清水
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、銅張積層板のような物質の吸水分
布や吸湿分布を可視化して検出でき、吸水(吸湿)しや
すい部分を特定し得る物質の吸水分布又は吸湿分布の検
出方法を提供する。 【解決手段】 本発明の物質の吸水分布又は吸湿分布の
検出方法は、物質である銅張積層板1に水の固有振動数
と同じ振動数をもつマイクロ波を一定時間照射し、前記
マイクロ波を照射中又は照射後に、前記銅張積層板1の
温度分布をサーモグラフ装置を用いて測定し、前記銅張
積層板1の吸水分布又は吸湿分布を目視可能な状態に表
示するものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、物質の吸水性や吸
湿性を評価するための試験法及び吸水分布又は吸湿分布
の検出方法に関する。
【0002】
【従来の技術】電子機器に使用されるプリント配線基板
には、主として銅張積層板が使用される。銅張積層板と
は、フェノール樹脂やエポキシ樹脂等の樹脂材料を含浸
した紙やガラス布等の基材を数牧重ねた絶縁層の片面又
は両面に銅箔をのせ、これを一定時間加圧、加熱して積
層したものである。前記絶縁層を構成する物質の種類に
よって、その吸水性や熱膨張係数などの特性が異なり、
吸水率の大きい物質ほど絶縁層の耐絶縁性が悪くなる。
【0003】銅張積層板の絶縁層の吸水性を評価する方
法として、JIS、MIL及びIPC等の規格において
は給水率試験法が定められている。これらの試験は、乾
燥した試験片を常温の水中(23℃)に24時間浸漬さ
せて、浸漬前と浸漬後で前記試験片の重量を測定し、前
記試験片の吸水率を算出することによって、吸水性を判
定する試験である。下記表1にJIS、MIL及びIP
Cの各規格による吸水率試験条件を示す。
【0004】
【表1】
【0005】ここで、表1における処理欄の記号D、E
は、各々恒温水中浸漬処理、恒温気中放置処理を意味
し、後に続くスラッシュ記号の前の数値が処理時間、ス
ラッシュ記号の後の数値が処理温度を示している。
【0006】また他の試験法として、圧力容器を利用し
たHAST(Highly Accelerated
Temperature&Humidity Stre
ssTest)試験等が行われることがある。HAST
試験は、高い圧力環境下(例えば、133℃/100%
RH(3気圧[絶対圧])や、130℃/85%RH
(2.34気圧[絶対圧])等)に物質を一定時間放置
することによって、前記物質に水分を強制的に押し込ん
で吸湿状態にさせる試験である。したがって、HAST
試験によって物質を吸湿状態にする前、及び後の重量を
測定し、前記物質の重量変化から算出された吸湿率を基
に前記物質の吸湿性の判定を行っている。
【0007】また、銅張積層板の吸湿(吸水)性を評価
するための試験法ではないが、紙や布等の吸湿(吸水)
率を調べる方法として、特開平6−118027号公報
や特開平6−129999号公報に開示された方法が挙
げられる。これら公報による方法は、物質にマイクロ波
を照射して、照射したマイクロ波の透過率や反射率を算
出することによって、前記物質の吸水(吸水)率を測定
するものである。
【0008】なお、上記に「吸水」、「吸湿」という用
語が記載されているが、「吸水」とは物質を液体の水又
は湯に一定時間浸漬放置したときに前記物質が水分を吸
収することをいい、「吸湿」とは物質を気体の水(水蒸
気)の雰囲気に一定時間放置したときに前記物質が水分
を吸収することをいう。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た吸水率試験法の場合、ガラスエポキシ基板やBTレジ
ン基板等の吸水率の低い絶縁物質で構成された銅張積層
板の試験では、吸水率が低いために浸漬前、浸漬後の重
量差が生じにくく、表1に示すような規格試験を適用し
ても所望の測定結果を得らないことがある。
【0010】また、HAST試験を用いて、物質の重量
変化を捉えることによって物質の吸湿性を判定する方法
には、次のような問題がある。
【0011】HAST試験で使用する圧力容器は、その
内部を高い温度かつ高い相対湿度に設定することで、高
い圧力環境を作り出している。このような環境下に物質
が放置されると、物質の種類によっては、高い温度の影
響によってその成分の一部が溶解し、さらに高い圧力の
影響によって溶解した成分の全部若しくは一部が物質外
部へ溶出してしまうことがある。
【0012】物質の成分の一部が物質外部へ溶出した場
合には、図4に示す圧力と重量との関係を示すグラフか
ら明らかなように、高い圧力領域で物質の重量が減少し
てしまうことがある。そのため、物質の重量を測定して
も、測定した重量からは正確な吸湿重量を把握すること
ができず、その結果、物質の吸湿性を判定することがで
きなくなったり、誤った判定を下してしまう惧れがあっ
た。
【0013】また上記従来技術によるマイクロ波照射に
よる方法では、物質が吸湿(吸水)する前後の重量変化
を捉えたり、マイクロ波の透過率や反射率を捉えたりし
て、前記物質の吸湿(吸水)率を算出している。しかし
ながら、算出された吸湿(吸水)率からは、物質全体に
含まれる水分の程度を把握することはできるが、物質に
吸湿(吸水)された水分がどのように分布しているかま
では知ることができない。そのため、例えば、次のよう
な問題が発生することが危惧されている。
【0014】即ち、銅張積層板の絶縁層内部の一部分に
空隙が存在する、銅張積層板を構成するガラスクロスと
樹脂との癒着性や接着性が悪い箇所、若しくは樹脂の硬
化が不十分な部分が存在する、等のような欠陥が存在す
ると、前記錮張積層板の欠陥部分は多湿環境下において
水分が吸湿しやすくなる。
【0015】このような銅張積層板によって電子回路が
形成され、しかも前記欠陥部分が電子回路の電極間に存
在した場合には、多湿環境下での動作時において前記欠
陥部分が吸湿することにより電極間でイオンマイグレー
ション等による絶縁低下を招く惧れがある。
【0016】このように、銅張積層板の内部に欠陥等の
吸湿しやすい部分が存在することは、電子回路に不具合
をもたらす。このような不具合を未然に防止すること
は、電子回路の絶縁信頼性を確保する上で重要であり、
そのためにも、吸湿しやすい部分を特定できる技術が必
要となる。しかし、従来による方法では吸湿(吸水)し
やすい部分を特定することは困難である。
【0017】本発明は上記事情の鑑みてなされたもので
あり、例え高い温度と高い圧力の影響によって物質中の
成分の一部が溶出してしまったとしても、正確に物質の
吸水性や吸湿性を判定できる物質の吸水性又は吸湿性を
評価する試験法を提供すること、及び、物質の吸水分布
や吸湿分布を可視化して検出でき、吸水(吸湿)しやす
い部分を特定し得る物質の吸水分布又は吸湿分布の検出
方法を提供することを目的とするものである。
【0018】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明は、
物質を吸水処理又は吸湿処理することによって前記物質
の吸水性又は吸湿性を判定する評価法において、物質を
吸水処理又は吸湿処理する前に、前記物質に水の固有振
動数と同じ振動数をもつマイクロ波を一定時間照射し、
前記マイクロ波を照射中又は照射直後に前記物質の温度
を測定し、前記物質を吸水処理又は吸湿処理した後に、
前記物質に水の固有振動数と同じ振動数を持つマイクロ
波を一定時間照射し、前記マイクロ波を照射中又は照射
直後に前記物質の温度を測定し、吸水処理又は吸湿処理
を施す前に測定した物質の温度と、吸水処理又は吸湿処
理を施した後に測定した前記物質の温度との変化量又は
変化率から前記物質の吸水性又は吸湿性を判定すること
を特徴とするものである。
【0019】請求項2の発明は、物質を吸水処理又は吸
湿処理することによって前記物質の吸水性又は吸湿性を
判定する物質の吸水性又は吸湿性を評価する試験法にお
いて、物質を吸水処理又は吸湿処理した後に、前記物質
に水の固有振動数と同じ振動数をもつマイクロ波を一定
時間照射し、前記マイクロ波を照射中又は照射直後に前
記物質の温度を測定し、吸水処理又は吸湿処理を施した
後に測定した物質の温度から前記物質の吸水性又は吸湿
性を判定することを特徴とするものである。
【0020】請求項1、2記載の発明は、水分子の固有
振動数と同じ振動数のマイクロ波(2.45GHz)を
物資に照射すると、前記物質に水分が含まれる場合、含
まれる水の分子と分子とが振動でぶつかりあって摩擦熱
が生じ、前記物質が発熱するという現象に基づいて、マ
イクロ波を照射中又は照射直後に物質の温度を測定し、
温度の変化量や変化率、又は温度差から物質の吸水性や
吸湿性を判定しようとするものである。
【0021】即ち、上述した請求項1の発明では、物質
に吸水処理又は吸湿処理を施す前に、前記物質に対して
水の固有振動数と同じ振動数をもつマイクロ波を一定時
間照射する。このとき、前記物質中に含まれる水分量は
少ないので、水分子の振動による前記物質からの発熱は
小さく、その結果、前記物質の温度は高くならない。温
度測定後、前記物質に吸水処理又は吸湿処理を施すと、
前記物質内部に水分が入り込む。吸水処理又は吸湿処理
が完了した後に、前記物質に対して再び水の固有振動数
と同じ振動数をもつマイクロ波を一定時間照射すると、
前記物質中には吸水処理又は吸湿処理を施す前よりも多
くの水分が入り込んでいるため、水分子の振動が活発と
なり前記物質から発熱が起こる。そのため、前記マイク
ロ波を照射中又は照射直後に前記物質の温度を測定する
と、吸水処理又は吸湿処理を施す前に測定した温度より
も高くなる。そして、吸水処理又は吸湿処理を施す前に
測定した物質の温度と、吸水処理又は吸湿処理を施した
後に測定した前記物質の温度との温度変化量や温度変化
率から、前記物質の吸水性又は吸湿性を判定することが
できる。
【0022】ここで、吸水処理とは、物質を液体の水又
は湯に一定時間浸漬放置して、前記物質に水分を吸収さ
せることをいい、吸湿処理とは、物質を気体の水(水蒸
気)の雰囲気に一定時間放置して、前記物質に水分を吸
収させることをいう。
【0023】請求項2記載の発明では、物質に吸水処理
又は吸湿処理を施すと、前記物質内部に水分が入り込
む。吸水処理又は吸湿処理が完了した後に、前記物質に
対して水の固有振動数と同じ振動数をもつマイクロ波を
一定時間照射すると、前記物質中には吸水処理又は吸湿
処理を施す前よりも多くの水分が入り込んでいるため、
水分子の振動が活発になり前記物質から発熱が起こる。
そのため、前記マイクロ波を照射中又は照射直後に前記
物質の温度を測定すると、吸水処理又は吸湿処理を施し
た後に測定した前記物質の温度は上昇する。そして、こ
の上昇した温度から前記物質の吸水性又は吸湿性を判定
することができる。
【0024】請求項3記載の発明の物質の吸水分布又は
吸湿分布の検出方法は、物質に水の固有振動数と同じ振
動数をもつマイクロ波を一定時間照射し、前記マイクロ
波を照射中又は照射後に、前記物質の温度分布を温度分
布測定表示手段を用いて測定し、前記物質の吸水分布又
は吸湿分布を目視可能な状態に表示することを特徴とす
るものである。
【0025】請求項3記載の発明においては、水分子の
固有振動数と同じ振動数のマイクロ波を物質に照射する
と、前記物質に水分が含まれる場合、含まれる水の分子
と分子とが振動でぶつかりあって摩擦熱が生じ、前記物
質が発熱するという現象に基づいて、マイクロ波を照射
中又は照射後に物質の温度分布を測定し、前記温度分布
の状態から物質の吸水分布や吸湿分布を検出しようとす
るものである。
【0026】即ち、物質に対して水の固有振動数と同じ
振動数をもつマイクロ波を一定時間照射すると、前記物
質中に水分が含まれている場合、水分子の振動が活発と
なり、水分子同士の摩擦熱による発熱現象により前記物
質の温度が上昇する。特に、水分が多い部分ではこの発
熱現象が活発となり、水分が多い部分ほど温度上昇は大
きくなる。このような物質の温度を温度分布測定表示手
段を用いて測定し表示することによって、前記物質の温
度分布を視認することができる。そして、この表示され
た温度分布の状態から、水分が多く含まれる部分を特定
することができる。具体的には、温度上昇が大きい部分
には多くの水分が含まれ、温度上昇が小さい部分には水
分あまり含まれていないと判断できる。
【0027】
【発明の実施の形態】以下に本発明の実施の形態を詳細
に説明する。
【0028】(実施の形態1)本実施の形態1の物質の
吸水性又は吸湿性を評価する試験法においては、試験片
として絶縁層がガラスエポキシ基板からなる銅張積層板
を準備した。尚、前記銅張積層板は、外形寸法が50m
m×50mm、厚みが1.6mmであり、前記銅張積虐
板表面の銅は完全にエッチングにより除去されたものを
使用した。
【0029】次に、前記銅張積層板を125℃に設定さ
れた乾操炉の中に24時間放置して、前記銅張積層板中
に含まれる水分を除去した。次に、前記銅張積層板を温
度が25℃、相対湿度が60%RHの雰囲気中に1時間
放置してから、図示しない表面温度計で前記銅張積層板
の表面温度(Tb1)を測定した。また、比較のために
表面温度(Tb1)測定後、前記銅張積層板の重量(w
1)を測定した。
【0030】前記銅張積層板の表面温度(Tb1)を測
定した後、図示しないマイクロ波照射装置を用いて前記
銅張積層板にマイクロ波(2.45GHz)を1分間照
射した。マイクロ波を照射後すぐに、前記銅版積層板の
表面温度(Tb2)を前記表面温度計で測定した。
【0031】このようにして、表面温度が測定された前
記銅張積層板を第一種圧力容器(HAST SYSTE
M TPC−422M、タバイエスペック株式会社製)
に入れて、吸湿処理を施した。吸湿処理は下記表2に示
す3つの条件の中から1基板について1条件とし、1条
件について4枚の銅張積層板を吸湿処理した。
【0032】
【表2】
【0033】尚、銅張積層板を吸湿させる手段として、
本実施の形態1では、相対湿度が100%の飽和状態で
HAST試験を行っているが、相対湿度が100%RH
でない不飽和のHAST試験でもよく、さらには、銅張
積層板に水分を含ませることができれば、HAST試験
以外の方法でも構わない。
【0034】上記吸湿条件に前記銅張積層板を曝し後、
前記銅張積層板を温度25℃、相対湿度60%RHの雰
囲気中に1時間放置してから、前記表面温度計を用いて
前記銅張積層板の表面温度(Ta1)を測定した。ま
た、表面温度(Ta1)を測定後、前記銅張積層板の重
量(w2)を測定した。その後、マイクロ波照射装置を
用いて前記銅張積層板にマイクロ波(2.45GHz)
を1分間照射した。マイクロ照射完了後すぐに、前記銅
張積層板の表面温度(Ta2)を前記表面温度計で測定
した。
【0035】以上の温度測定データ及び重量測定データ
から、銅張積層板の表面温度の温度変化率及び重量変化
率を算出した。なお、本試験法においては、表面温度の
測定を4回(Ta1、Ta2、Tb1、Tb2)行って
いるが、Ta1及びTb2の温度は測定環境の温度とほ
ぼ等しくなるため、吸湿処理前後で測定環境の温度に差
がなければ、Ta1=Tb1とみなすことができる。こ
のような場合には、Ta1及びTb1の測定を省略して
も構わない。
【0036】また、銅張積層板の温度測定を表面温度計
で行っているが、銅張積層板からの発熱を捉えることが
できれば、サーモラベルを銅張積層板に貼る等の他の手
段を用いてもよい。
【0037】本試験法による測定結果を図1示す。図1
において縦軸は温度変化率であり、横軸は重量変化率で
ある。図1中の○は、表2の各吸湿条件での温度変化率
と重量変化率の値を平均化してプロットしたものであ
る。図1より、重量変化率の増加に伴って、温度変化率
も増加していることが分かる。これらプロットした点に
対して、回帰分析を行ってみると、右上がりの曲線が得
られる。このことは、重量変化率が増すにつれて、温度
変化率は重量変化率よりも大きな割合で増加しているこ
とを意味している。逆に言えば、温度変化率の増加に伴
い、重量変化率の増加の割合は徐々に小さくなっている
ことになる。つまり、圧力の高いHAST試験条件にな
るにしたがって、重量変化率の増加率は徐々に小さくな
ることを意味している。
【0038】このように、圧力が大きい試験条件で重量
変化率の増加率が小さくなる原因としては、高い温度の
影響によって銅張積層板の樹脂成分等の一部が溶解し、
高い圧力の影響によって、溶解した物質の全部若しくは
一部が前記銅張積層板の外部へ溶出してしまい、そのた
めに、前記銅張積層板の重量が減少していることが考え
られる。
【0039】以上のことから、マイクロ波を照射して銅
張積層板の温度を上昇させ、銅張積層板の吸水性や吸湿
性を評価する本試験法は、高い圧力においても正確に水
分の吸湿性を捉えることができるので、重量で評価する
試験方法よりも、広い圧力範囲に本試験法を適用するこ
とが可能となる。
【0040】尚、本実施の形態1では、銅張積層板に吸
湿処理を施す前後においてマイクロ波を照射して、前記
銅張積層板の表面温度の温度差で前記銅張積層板の吸湿
性を判定しているが、銅張積層板に吸湿処理を施してマ
イクロ波を照射し、このときの銅張積層板の表面温度の
みを測定し、その温度から吸湿性を判定することもでき
る。そして、本試験法では、吸収した水分の量に応じて
温度が変化するので、銅張積層板を構成する樹脂材料に
かかわらず正しい測定を行うことができる。
【0041】(実施の形態2)本発明の実施の形態2で
ある物質の吸水分布または吸湿分布の検出方法について
以下に説明する。
【0042】実施の形態2の検出方法では、絶縁層がガ
ラスエポキシ基板からなる銅張積層板1を準備した。
尚、前記銅張積層板1は、外形寸法が100mm×95
mm、厚みが1.0mmであり、前記銅張積層板1の表
面の銅は完全にエッチングにより除去されたものを使用
した。
【0043】次に、前記銅張積層板1を150℃に設定
された乾燥炉の中に1時間以上放置して、前記銅張積層
板1中に含まれる水分を除去した後に、前記銅張積層板
1を温度が25℃、相対湿度が60%RHの雰囲気中に
1時間放置し、その後、前記銅張積層板1の重量を測定
した。
【0044】次に、図示しないマイクロ波照射装置を用
いて前記銅張積層板1に対して周波数が水の固有振動数
と同じである2.45GHzのマイクロ波を1分間照射
した。その後、前記銅張積層板1の温度分布を温度分布
測定表示手段であるサーモグラフ装置(TH3104M
R、NEC三栄社製)を用いて測定した。尚、この測定
は外部からの光が入らないよう暗室内で行った。
【0045】このようにして、温度分布を測定した前記
銅張積層板1を第一種圧力容器(HAST SYSTE
M TPC−422M タバイエスペック社製)に入れ
て、吸湿処理を施した。このときの吸湿処理は、温度が
133℃、相対湿度が100%RHで処理時間は63時
間とした。尚、本実施の形態2では、銅張積層板1を吸
湿させる手段として、相対湿度が100%RHの飽和状
態でHASTを行っているが、相対湿度が100%RH
未満の不飽和のHASTでも同様な結果が得られ、さら
には、銅張積層板1に水分を含ませることができれば、
HAST以外の方法でも構わない。
【0046】上記吸湿処理条件下に前記銅張積層板1を
曝した後、前記銅張積層板1を温度25℃、相対湿度6
0%RHの雰囲気中に1時間放置してから、再び前記銅
張積層板1の重量を測定した。その後、吸湿処理前と同
様な方法で前記銅張積層板1にマイクロ波を1分間照射
してから、暗室にてサーモグラフ装置で前記銅張積層板
1の温度分布を測定した。
【0047】サーモグラフ装置により測定された銅張積
層板1の温度分布測定結果を図2及び図3示す。図2は
銅張積層板1に吸湿処理を施す前に測定した前記銅張積
層板1の温度分布である。図3は銅張積層板1に吸湿処
理を施した後に測定した前記銅積層板の温度分布であ
る。尚、図2及び図3は、マイクロ波照射完了後、約2
0秒後に測定した温度分布である。
【0048】図2を見ると、銅張積層板1の全面におい
て、温度分布がほぼ均一であることが分かる。このとき
の温度分布は32〜34℃程度であった。一方、図3を
見ると、銅張積層板1の全面において、温度分布は均一
でないことが分かる。特に、前記銅張積層板1の上方部
にはクロス斜線を付して示す温度の高い部分(吸水率の
高い部分)が見られ、またその部分の温度は約40℃に
まで達していた。また、前記銅張積層板1の下方部には
斜線を付して示す温度がやや高い部分(吸水率の中位の
部分)が見られ、これら両者を囲むように点々を付して
示す温度がわずかに高い部分(吸水率の少ない部分)が
見られた。
【0049】また、吸湿処理を施した前記銅張積層板1
の吸水率を従来の方法でも測定してみた。その結果、吸
水率は0.94%(重量で0.194g)の増加である
ことが確認でき、銅張積層板1には吸湿処理によって水
分が押し込まれていることが証明できた。
【0050】これら2つの結果から、前記銅張積層板1
に水分を押し込み、水分が押し込まれた銅張積層板1に
マイクロ波を照射し発熱させ、前記銅張積層板1の温度
分布を測定することによって、銅張積層板1の吸水分布
や吸湿分布の状態を知ることができる。
【0051】尚、本実施の形態2では、銅張積層板1の
吸湿分布の状態を検出した例を示しているが、接着剤の
気泡混入による吸湿(吸水)性の評価や、紙や布等に含
まれる水分の分布状態を調べることにも本発明は適用可
能である。
【0052】
【発明の効果】請求項1記載の発明によれば、物質中の
一部の成分が物質外に溶出しても、物質の吸水性又は吸
湿性の判定を誤ることなく評価を行うことができる物質
の吸水性又は吸湿性を評価する試験法を提供することが
できる。
【0053】請求項2記載の発明によれば、請求項1記
載の発明の場合よりも温度測定回数を低減でき、物質の
吸水性又は吸湿性の効率的な評価を行うことができる物
質の吸水性又は吸湿性を評価する試験法を提供するこが
できる。
【0054】請求項3記載の発明によれば、物質の吸水
分布又は吸湿分布を目視可能な状態にすることができ、
物質中に水分が多く含まれる箇所を容易に特定すること
ができる物質の吸水分布又は吸湿分布の検出法を提供す
るこができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1の試験法における銅張積
層板の各吸湿条件での温度変化率と重量変化率の値を平
均化してプロットしたグラフである。
【図2】本発明の実施の形態2の銅張積層板に吸湿処理
を施す前にサーモグラフ装置により測定した温度分布を
示す図である。
【図3】本発明の実施の形態2の銅張積層板に吸湿処理
を施した後にサーモグラフ装置により測定した温度分布
を示す図である。
【図4】物質の成分の一部が物質外部へ溶出した場合の
圧力と重量との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1 銅張積層板
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2G040 AA03 AB12 BA26 BB04 CA23 DA06 DA15 EA04 EB02 GC01 HA08 ZA05

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 物質を吸水処理又は吸湿処理することに
    よって前記物質の吸水性又は吸湿性を判定する評価法に
    おいて、物質を吸水処理又は吸湿処理する前に、前記物
    質に水の固有振動数と同じ振動数をもつマイクロ波を一
    定時間照射し、前記マイクロ波を照射中又は照射直後に
    前記物質の温度を測定し、前記物質を吸水処理又は吸湿
    処理した後に、前記物質に水の固有振動数と同じ振動数
    を持つマイクロ波を一定時間照射し、前記マイクロ波を
    照射中又は照射直後に前記物質の温度を測定し、吸水処
    理又は吸湿処理を施す前に測定した物質の温度と、吸水
    処理又は吸湿処理を施した後に測定した前記物質の温度
    との変化量又は変化率から前記物質の吸水性又は吸湿性
    を判定することを特徴とする物質の吸水性又は吸湿性を
    評価する試験法。
  2. 【請求項2】 物質を吸水処理又は吸湿処理することに
    よって前記物質の吸水性又は吸湿性を判定する物質の吸
    水性又は吸湿性を評価する試験法において、物質を吸水
    処理又は吸湿処理した後に、前記物質に水の固有振動数
    と同じ振動数をもつマイクロ波を一定時間照射し、前記
    マイクロ波を照射中又は照射直後に前記物質の温度を測
    定し、吸水処理又は吸湿処理を施した後に測定した物質
    の温度から前記物質の吸水性又は吸湿性を判定すること
    を特徴とする物質の吸水性又は吸湿性を評価する試験
    法。
  3. 【請求項3】 物質に水の固有振動数と同じ振動数をも
    つマイクロ波を一定時間照射し、前記マイクロ波を照射
    中又は照射後に、前記物質の温度分布を温度分布測定表
    示手段を用いて測定し、前記物質の吸水分布又は吸湿分
    布を目視可能な状態に表示することを特徴とする物質の
    吸水分布又は吸湿分布の検出方法。
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