JP2003210975A - 水素吸蔵材料及びその製造方法 - Google Patents

水素吸蔵材料及びその製造方法

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JP2003210975A JP2002011899A JP2002011899A JP2003210975A JP 2003210975 A JP2003210975 A JP 2003210975A JP 2002011899 A JP2002011899 A JP 2002011899A JP 2002011899 A JP2002011899 A JP 2002011899A JP 2003210975 A JP2003210975 A JP 2003210975A
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graphite
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Hiroaki Wakayama
博昭 若山
Yoshiaki Fukushima
喜章 福嶋
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    • Y02E60/30Hydrogen technology
    • Y02E60/32Hydrogen storage

Abstract

(57)【要約】 【課題】 高純度且つ十分な量の水素を低温で吸蔵・放
出することができる水素吸蔵材料及びその製造方法を提
供すること。 【解決手段】 本発明の水素吸蔵材料は、ラマンスペク
トル測定で得られる波数1350cm-1のラマンピーク
の半値幅が下記式(1):d<(376/La)+1
9.0(1)[式中、dはラマンピークの半値幅(cm
-1)を表し、Laは黒鉛構造のa軸及びb軸を含む面内
の結晶粒子サイズ(nm)を表す]で表される条件を満
たす黒鉛結晶粒子を、ハロゲン及び/又は硫黄酸化物で
処理して得られるものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は水素吸蔵材料及びそ
の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】現代社会において、水素は合成化学工業
や石油精製などに多量に利用されている重要な化学原料
である。一方、将来におけるエネルギー問題や環境問題
を解決するために、クリーンなエネルギーとしての水素
利用技術は重要な位置を占めると考えられ、水素を貯蔵
し、それを燃料として稼動する燃料電池の開発が進めら
れている。
【0003】かかる燃料電池はガスで作動する電池であ
り、その際、水素と酸素との反応から得られるエネルギ
ーを直接電気エネルギーに変換する。このような燃料電
池は従来の燃焼エンジンに比べて極めて高い効率を有
し、NOx、SOx、COなどの有毒ガスの放出が全く
ないため、燃料電池を有する自動車はZEV(Zero Emissi
on Vehicle)と称されている。
【0004】一方、水素の貯蔵法としては、圧縮してボ
ンベに貯蔵する方法、冷却して液体水素とする方法、活
性炭に吸着させる方法、水素吸蔵材料を利用する方法な
どが提案されている。これらの方法の中でも、水素吸蔵
材料を利用する方法は燃料電池自動車などの移動媒体に
おいて主要な役割を果たすと考えられている。
【0005】このような背景の下、水素吸蔵材料として
の炭素の使用が提案されている(特表平8−50439
4号公報、特開2000−103612号公報、特開2
001−106516号公報など)。また、水素雰囲気
下でグラファイトを粉砕する方法により、水素吸蔵材料
の水素吸蔵性能が高められることが報告されている(J.
Appl. Phys., Vol.90 No.3 (2001) p1545-1549、 App
l. Phys. Lett., Vol.75 No.20 (1999) p3903-390
5)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来の水素吸蔵材料は、いずれも単位重量当たりの水素吸
蔵量が十分とは言えず、実用に供し得るものとしては未
だ不十分である。また、水素吸蔵材料には水素の吸蔵・
放出を低温(好ましくは室温)で可逆的に行えることが
望まれるが、上記従来の水素吸蔵材料から水素を放出さ
せるためには高温(例えば500℃以上)に加熱する必
要があり、かかる加熱により放出される水素中に炭化水
素(HC)が混入しやすくなって水素の純度が不十分と
なる。さらに、水素雰囲気下でグラファイトの粉砕を行
う方法は、発火しやすいなど安全性の面で望ましいもの
とは言えず、さらにはコストが高いという欠点もある。
【0007】一方、特開平6−256008号公報に
は、静電像画像用トナーの添加剤等として、数平均粒子
径、粒度分布、粒子表面のF/C比がそれぞれ所定の条
件を満たすフッ化カーボン粒子が開示されている。しか
し、このようなフッ化カーボン粒子を水素吸蔵材料とし
て用いた場合であっても、十分な水素吸蔵・放出能を得
ることは非常に困難である。また、上記特開平6−25
6008号公報には、当該フッ化カーボン粒子を得る方
法として、カーボン粒子を350〜600℃でフッ素と
反応させる方法が開示されているが、このような高温処
理を行うと、水素吸蔵材料から放出される水素に炭化水
素が混入しやすくなって水素の純度が不十分となる。
【0008】本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑
みてなされたものであり、高純度且つ十分な量の水素を
低温で吸蔵・放出することができる水素吸蔵材料及びそ
の製造方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明の水素吸蔵材料は、ラマンスペクトル測定で
得られる波数1350cm-1のラマンピークの半値幅が
下記式(1): d<(376/La)+19.0 (1) [式中、dはラマンピークの半値幅(cm-1)を表し、
Laは黒鉛構造のa軸及びb軸を含む面内の結晶粒子サ
イズ(nm)を表す]で表される条件を満たす黒鉛結晶
粒子を、ハロゲン及び/又は硫黄酸化物で処理して得ら
れるものであることを特徴とする。
【0010】また、本発明の水素吸蔵材料の製造方法
は、黒鉛の機械的粉砕により、ラマンスペクトル測定で
得られる波数1350cm-1のラマンピークの半値幅が
下記式(1): d<(376/La)+19.0 (1) [式中、dはラマンピークの半値幅(cm-1)を表し、
Laは黒鉛構造のa軸及びb軸を含む面内の結晶粒子サ
イズ(nm)を表す]で表される条件を満たす黒鉛結晶
粒子を得る工程と、当該黒鉛結晶粒子を、ハロゲン及び
/又は硫黄酸化物で処理する工程と、を含むことを特徴
とする。
【0011】本発明によれば、ラマンピークの半値幅が
上記一般式(1)で表される条件を満たす黒鉛結晶微粒
子をハロゲン及び/又は硫黄酸化物で処理することによ
って、水素の吸蔵・放出において不可逆反応の原因とな
る活性点がハロゲン及び/又は硫黄酸化物により終端さ
れて不活性化されると共に、ハロゲンなどの電子吸引作
用によりbasal面の電子状態が制御されて水素の乖
離吸着が起こりやすくなる。従って、当該黒鉛結晶粒子
が本来的に有する水素吸蔵・放出能と、ハロゲン及び/
硫黄酸化物の処理による可逆反応(水素の吸着・脱離)
の促進効果とにより、高純度且つ十分な量の水素を低温
で吸蔵・放出することが可能となる。
【0012】なお、本発明において、黒鉛の粉砕工程
と、ハロゲン及び/又は硫黄酸化物による処理工程とは
必ずしも別個に行われるものではなく、例えばハロゲン
及び/又は硫黄酸化物を含むガス雰囲気中で黒鉛を機械
的に粉砕することにより、上記2つの工程を同時に行う
ことができる。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、場合により図面を参照しつ
つ、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
【0014】図1は本発明にかかる黒鉛結晶粒子の一例
を模式的に示す説明図である。図1中、ほぼ同じ形状、
面積を有する炭素層1がカラム状に積層して黒鉛構造の
結晶粒子が構成されている。ここで、La[nm]は黒
鉛構造のa軸及びb軸を含む面内の結晶粒子サイズ(炭
素層1の面に水平な方向における結晶粒子径)、Lc
[nm]は黒鉛構造のc軸方向の結晶粒子サイズ(炭素
層1の積み重なりの厚さ)を表す。
【0015】本発明にかかる黒鉛結晶微粒子は、ラマン
スペクトル測定で得られる波数1350cm-1のラマン
ピークの半値幅dと結晶粒子サイズLaとが下記式
(1): d<(376/La)+19.0 (1) で表される条件を満たすことが必要である。上記式
(1)で表されるdとLaとの関係は炭素の結晶性及び
結晶粒子径の均一性の指標であり、dとLaとが上記の
条件を満たさない場合には、結晶性及び結晶粒子径の均
一性が低く水素吸蔵・放出能が不十分となる傾向にあ
る。また、上記と同様の理由により、半値幅dと結晶粒
子サイズLaとが下記式(2): d<(341/La)+10.5 (2) で表される条件を満たす黒鉛結晶粒子を用いることがよ
り好ましい。
【0016】また、当該黒鉛結晶粒子においては、結晶
粒子サイズLaが4.0nm以下であることが好まし
い。Laが4.0nm以下であると、結晶粒子間に生ず
る空孔が増加して水素吸蔵・放出能がより高められる傾
向にある。
【0017】また、当該黒鉛結晶粒子は、層面内方向
(黒鉛構造のa軸及びb軸を含む面に水平な方向)の長
さが十分に長いことが好ましく、具体的には、結晶粒子
サイズの比(La/Lc)が0.15以上であることが
好ましい。さらに、黒鉛粒子の比表面積は100m2
g以上であることが好ましい。これにより、黒鉛微結晶
の表面に生じる空孔を増加させることができる。
【0018】また、当該黒鉛結晶粒子において、炭素と
水素との原子数の比(H/C)は0.05以下であるこ
とが好ましい。H/Cが0.05以下であると、結晶粒
子の末端における水酸基やカルボキシル基などの形成が
抑制される。
【0019】上記一般式(1)で表される条件を満たす
黒鉛結晶粒子は、黒鉛の機械的粉砕により得ることがで
きる。黒鉛の原料としては、純度の高い天然黒鉛や、高
配向性熱分解黒鉛(HOPG)のような黒鉛化度の高い
人造黒鉛などの黒鉛(グラファイト)を用いることが好
ましい。
【0020】黒鉛の粉砕工程においては、粉砕加速度を
2G以上に設定可能な粉砕装置(ボールミルなど)が好
適に使用される。特に、遊星ボールミルを用いると、1
0G以上の高い粉砕加速度によって粉砕効果が向上し、
上記式(1)で表される条件を満たす黒鉛結晶粒子を容
易に且つ確実に得ることができるので好ましい。
【0021】黒鉛の粉砕工程を行うに際し、雰囲気中に
酸素が存在すると粉砕中の黒鉛が発火しやすい状態とな
るため、当該粉砕処理はアルゴンなどの不活性ガス雰囲
気下で行うことが好ましい。また、不活性ガス雰囲気下
で粉砕処理を行うと、水素、酸素などの不純物の混入量
を低減することができる。
【0022】このようにして得られる黒鉛結晶粒子を、
ハロゲン及び/又は硫黄酸化物で処理することにより、
本発明の水素吸蔵材料が得られる。
【0023】本発明において用いられるハロゲンとして
は、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素などが挙げられる。ま
た、硫黄酸化物としては、発煙硫酸から発生する三酸化
硫黄などが挙げられる。
【0024】当該処理を行う際のハロゲン又は硫黄酸化
物の圧力は好ましくは0.1〜10MPaであり、処理
温度は好ましくは0〜300℃である。なお、処理温度
が300℃を超えると、得られる水素吸蔵材料の水素吸
蔵・放出能が低下する傾向にあり、また、水素吸蔵材料
から水素を放出させる際に、当該水素中に炭化水素(H
C)などの不純物が混入しやすくなるので好ましくな
い。
【0025】当該処理は1回のみ行ってもよいが、これ
を複数回行うことによって水素吸蔵材料の水素吸蔵・放
出能をより高めることができる。また、ハロゲン及び硫
黄酸化物のうちの2種以上を組み合わせて処理を行って
もよく、例えばフッ素で処理した後さらに発煙硫酸から
の三酸化硫黄で処理してもよい。
【0026】なお、本発明においては、黒鉛の粉砕工程
と、ハロゲン及び/又は硫黄酸化物による処理工程とを
別個に行う必要はなく、これら2つの工程を同時に行っ
てもよい。例えば、黒鉛の粉砕工程において、上述した
不活性ガスの代わりにハロゲン及び/又は硫黄酸化物を
含むガスを用い、当該ガス雰囲気中で黒鉛を機械的に粉
砕することにより、本発明の水素吸蔵材料を1つの工程
で得ることができる。
【0027】このようにして得られる本発明の水素吸蔵
材料においては、C−F、C−Cl、C−Br、C−
I、C−SO3Hなどの形成により、水素の吸着・脱離
における不可逆反応の活性点が終端されると共に、−
F、−Cl、−Br、−I、−SO3Hなどの官能基の
電子吸引作用によりbasal面の電子状態が制御され
て水素の乖離吸着が起こりやすくなる。従って、一旦吸
蔵された水素が放出されにくくなる現象が起こりにくく
なり、高純度且つ十分な量の水素を低温で放出すること
が可能となる。
【0028】本発明の水素吸蔵材料は、一般式(1)で
表される条件を満たし、ハロゲン及び/又は硫黄酸化物
で処理された黒鉛結晶粒子に加えて、所定の触媒を含ん
でいてもよい。これにより、黒鉛結晶粒子の水素吸蔵・
放出能と触媒による水素の脱離促進作用との相乗効果が
得られ、より高い水素吸蔵・放出能を有する水素吸蔵材
料を実現することができる。
【0029】触媒としては、ニッケル(Ni)、クロム
(Cr)、モリブデン(Mo)、コバルト(Co)、銅
(Cu)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、鉄(F
e)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、イリジ
ウム(Ir)、タングステン(W)、チタン(Ti)、
マンガン(Mn)、オスミウム(Os)などが挙げら
れ、これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組
み合わせて用いてもよい。
【0030】本発明の水素吸蔵材料に上記の触媒を含有
させる場合、ハロゲン及び/又は硫黄酸化物で処理され
た黒鉛結晶粒子を触媒と混合してもよく、あるいは粉砕
工程で得られる黒鉛結晶粒子と触媒とを混合した後、ハ
ロゲン及び/又は硫黄酸化物で処理してもよい。
【0031】また、かかる混合の際には、触媒をそのま
ま黒鉛結晶粒子と混合してもよく、あるいは触媒の前駆
体である所定の化合物を黒鉛結晶粒子と混合して触媒を
黒鉛結晶粒子に担持してもよい。例えば黒鉛結晶粒子に
白金が担持された水素吸蔵材料を得る場合には、触媒の
前駆体として白金錯体を用いることができる。
【0032】さらに、かかる混合の際には、溶媒として
二酸化炭素(CO2)などの超臨界流体を用いることが
好ましい。超臨界流体中で黒鉛結晶粒子と触媒とを混合
すると、両者の分散均一性が向上して水素吸蔵・放出能
がより高められる傾向にある。処理条件は超臨界流体の
種類により異なるが、例えば二酸化炭素を用いる場合の
処理温度は40〜200℃、圧力は5〜50MPa、処
理時間は0.1〜10時間がそれぞれ好ましい。
【0033】上記の構成を有する本発明の水素吸蔵材料
は、高純度且つ十分な量の水素を低温で吸蔵・放出する
ことができるものである。ここで、水素を吸蔵させると
きの水素圧は0.1〜10MPa、処理温度は20〜3
00℃であることが好ましい。また、このようにして水
素が吸蔵された水素吸蔵材料を密閉容器内に入れ、所定
の温度下(好ましくは20〜300℃)で容器内を減圧
することによって、十分な量の水素を容易に放出させる
ことができるが、このときの圧力は0.1MPa以下で
あることが好ましい。
【0034】本発明の水素吸蔵材料においては、1回の
水素吸蔵処理により十分な量の水素を吸蔵することが可
能であるが、水素吸蔵処理と水素放出処理とを交互に複
数回繰り返すと、その水素吸蔵・放出能が高められる傾
向にあるので好ましい。
【0035】
【実施例】以下、実施例及び比較例に基づき本発明をさ
らに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら
限定されるものではない。
【0036】[実施例1] (黒鉛の粉砕工程)アルゴンガス雰囲気に保たれたグロ
ーブボックス内で、グラファイト5gをステンレス球
(4mmφ)と共にステンレス製容器(内容積:80m
l)に入れ、遊星ボールミルにて400rpmで12時
間機械的粉砕処理を行った。これにより、ラマンスペク
トル測定で得られる波数1350cm-1のラマンピーク
の半値幅dが61cm-1であり、黒鉛構造のa軸及びb
軸を含む面内の結晶粒子サイズLaが3.7nmであ
り、上記式(1)で表される条件を満たす黒鉛結晶粒子
を得た。
【0037】(フッ素処理工程)次に、得られた黒鉛結
晶粒子を真空且つ高圧に耐え得るステンレス製反応容器
に移した。この反応容器を排気装置に接続し、ロータリ
ーポンプにより反応容器内を0.1Torr程度まで減
圧した。さらに反応容器内の脱気処理を完全に行うため
に、減圧下で200℃に加熱して1時間保持した。その
後、フッ素ガス(純度:99.99%、以下同様であ
る)を反応容器内に導入し、室温(25℃、以下同様で
ある)、フッ素圧5MPaの条件下で保持した。フッ素
の吸収(フッ素圧の低下)が停止したことを確認した
後、室温で反応容器内を減圧してフッ素を放出させて目
的の水素吸蔵材料を得た。
【0038】(水素の吸蔵・放出)この水素吸蔵材料を
入れた反応容器内を0.1Torr程度まで減圧した
後、水素(純度:99.9999%、以下同様である)
を導入し、室温(25℃、以下同様である)、水素圧5
MPaの条件下で保持したところ、直ちに水素の吸収が
認められた。この水素の吸収(水素圧の低下)が停止し
たことを確認した後、室温で反応容器内を減圧して水素
を放出させた。
【0039】さらに、室温、水素圧5MPaでの水素吸
収と室温、減圧下での水素放出とを繰り返し、水素放出
の際にはその放出量(吸蔵量)を容器内の水素圧に基づ
いて求めた。この水素の吸収・放出を水素放出量が一定
値に達するまで繰り返した。その結果、本実施例の水素
吸蔵材料の水素放出量は最大値5.6重量%を示した。
【0040】[実施例2]アルゴンガスの代わりにフッ
素ガスをグローブボックス内に導入してフッ素圧を5M
Paとし、それ以外は実施例1と同様にして黒鉛の粉砕
工程を行った。
【0041】このようにして得られた黒鉛結晶粒子を、
フッ素処理を行わずにそのまま水素吸蔵材料として用
い、実施例1と同様にして水素の吸蔵・放出を行った。
その結果、本実施例の水素吸蔵材料の水素放出量は最大
値5.7重量%を示した。
【0042】[実施例3]実施例1の黒鉛の粉砕工程と
同様にして黒鉛結晶粒子を得た。この黒鉛結晶粒子につ
いて、フッ素の代わりに発煙硫酸を用いたこと以外は実
施例1と同様にして目的の水素吸蔵材料を得た。
【0043】得られた水素吸蔵材料を用いて、実施例1
と同様にして水素の吸蔵・放出を行った。その結果、水
素放出量の最大値は5.1重量%であった。
【0044】[比較例1]実施例1の黒鉛の粉砕工程と
同様にして得られた黒鉛結晶粒子をステンレス製反応容
器に入れ、この反応容器を排気装置に接続してロータリ
ーポンプで0.1Torr程度まで減圧した。さらに反
応容器内の脱気処理を完全に行うために、減圧下で20
0℃に加熱して1時間保持した。
【0045】次いで、反応容器内に水素を導入し、20
0℃、水素圧5MPaの条件下で保持した。水素の吸収
(水素圧の低下)が停止したことを確認した後、室温で
反応容器内を減圧して水素を放出させた。
【0046】さらに、室温、水素圧5MPaでの水素吸
収と室温、減圧下での水素放出とを繰り返し、水素放出
の際にはその放出量(吸蔵量)を容器内の水素圧に基づ
いて求めた。この水素の吸収・放出を水素放出量が一定
値に達するまで繰り返しところ、水素放出量は最大値
0.6重量%を示した。
【0047】[比較例2]特開平6−256008号公
報に記載の製造方法に準拠して、以下の手順でフッ化カ
ーボン粒子を作製した。
【0048】先ず、アセチレンブラック(デンカブラッ
ク、電気化学工業(株)製)120gをニッケル製ボー
トに薄く広げ、モネル製反応器(内容積:1.5l)内
に入れた。反応器内を窒素で置換した後、窒素を1l/
分の流量で流しながら400℃まで昇温して2時間保持
した。窒素とフッ素との混合ガス(窒素含有量:10モ
ル%)を1l/分の流量で供給して、カーボン粒子を
0.5時間フッ素化した。フッ素化終了後、直ちに窒素
を1l/分の流量で流しながら室温まで冷却した後、フ
ッ化カーボン粒子を取り出した。
【0049】このようにして得られたフッ化カーボン粒
子を用いて、実施例1と同様にして水素の吸蔵・放出を
行ったところ、水素放出量は最大値0.3重量%を示し
た。
【0050】
【発明の効果】以上説明した通り、本発明の水素吸蔵材
料によれば、一般式(1)で表される条件を満たす黒鉛
結晶粒子が本来的に有する水素吸蔵・放出能と、ハロゲ
ン及び/又は硫黄酸化物での処理による不可逆反応の防
止及び水素の吸着・脱離の促進作用との相乗効果によ
り、高純度且つ十分な量の水素を低温で吸蔵・放出する
ことが可能となる。
【0051】また、本発明の製造方法によれば、上述の
ように優れた水素吸蔵・放出能を有する本発明の水素吸
蔵材料を容易に且つ確実に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる黒鉛結晶微粒子の一例を模式的
に示す説明図である。
【符号の説明】
1…炭素層、La…黒鉛構造のa軸及びb軸を含む面内
の結晶粒子サイズ、Lc…黒鉛構造のc軸方向の結晶粒
子サイズ。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4G066 AA04B AA08D AA47D BA09 BA38 CA38 GA14 4G140 AA02 AA36 AA48 4G146 AA02 AA15 AA27 AB01 AC16A AC16B AD32 BA02 BA43 CA13 CB22

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ラマンスペクトル測定で得られる波数1
    350cm-1のラマンピークの半値幅が下記式(1): d<(376/La)+19.0 (1) [式中、dはラマンピークの半値幅(cm-1)を表し、
    Laは黒鉛構造のa軸及びb軸を含む面内の結晶粒子サ
    イズ(nm)を表す]で表される条件を満たす黒鉛結晶
    粒子を、ハロゲン及び/又は硫黄酸化物で処理して得ら
    れる水素吸蔵材料。
  2. 【請求項2】 黒鉛の機械的粉砕により、ラマンスペク
    トル測定で得られる波数1350cm-1のラマンピーク
    の半値幅が下記式(1): d<(376/La)+19.0 (1) [式中、dはラマンピークの半値幅(cm-1)を表し、
    Laは黒鉛構造のa軸及びb軸を含む面内の結晶粒子サ
    イズ(nm)を表す]で表される条件を満たす黒鉛結晶
    粒子を得る工程と、 前記黒鉛結晶粒子を、ハロゲン及び/又は硫黄酸化物で
    処理する工程と、を含む水素吸蔵材料の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2016029014A (ja) * 2011-07-14 2016-03-03 ユニスト・アカデミー—インダストリー・リサーチ・コーポレーションUnist Academy−Industry Research Corporation 機械化学的方法により縁部が機能化されたグラファイトの製造方法

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JP2016029014A (ja) * 2011-07-14 2016-03-03 ユニスト・アカデミー—インダストリー・リサーチ・コーポレーションUnist Academy−Industry Research Corporation 機械化学的方法により縁部が機能化されたグラファイトの製造方法

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