JP2003194065A - 玉軸受用冠型保持器及び玉軸受 - Google Patents

玉軸受用冠型保持器及び玉軸受

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JP2003194065A
JP2003194065A JP2001396017A JP2001396017A JP2003194065A JP 2003194065 A JP2003194065 A JP 2003194065A JP 2001396017 A JP2001396017 A JP 2001396017A JP 2001396017 A JP2001396017 A JP 2001396017A JP 2003194065 A JP2003194065 A JP 2003194065A
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radius
pockets
ball
ball bearing
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Shinichiro Asae
真一郎 浅枝
Yasuyuki Muto
泰之 武藤
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NSK Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 合成樹脂製の保持器8aを組み込んだ玉軸受
の高性能化を図る。 【解決手段】 保持器8aに設けた各ポケット10aの
中心軸αを含む仮想平面βに関するこれら各ポケット1
0aの断面形状の曲率半径R1 を、これら各ポケット1
0aの中心軸αに直交する仮想平面γに関するこれら各
ポケット10aの断面形状の最大内接円の半径R2 より
も大きくする。この最大内接円の半径R2は、各玉6の
転動面の外径Da の1/2よりも僅かに大きくする。こ
れにより、保持器8aの成形時に体積収縮が生じた場合
でも、上記各ポケット10aの端縁を上記各玉6の転動
面に接触しにくくして、上記課題を解決できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明の玉軸受用冠型保持器
及び玉軸受は、例えば電気掃除機用、或はエアコン用の
ファンモータ等、低振動、低騒音、低トルクを要求され
るモータの回転部分を支持する為の玉軸受、及びこの玉
軸受に組み込んで、複数の玉を転動自在に案内する保持
器の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】各種回転部分を支持する為に、例えば図
9に示す様な玉軸受1が広く使用されている。この玉軸
受1は、外周面に内輪軌道2を形成した内輪3と、内周
面に外輪軌道4を形成した外輪5とを同心に配置し、上
記内輪軌道2と外輪軌道4との間に複数個の玉6、6を
転動自在に設けて成る。これら複数個の玉6、6は、保
持器8により転動自在に保持している。又、上記外輪5
の両端部内周面には、それぞれ円輪状のシールド板7、
7の外周縁を係止し、これら両シールド板7、7によっ
て、上記玉6、6を設置した部分に存在するグリースが
外部に漏洩したり、或は外部に浮遊する塵芥がこの設置
部分に進入したりするのを防止している。尚、密封装置
として、上記非接触型のシールド板7、7に代えて、接
触型のシール板を使用する場合もある。
【0003】上記保持器8は、所謂冠型保持器と呼ばれ
るもので、図10〜11に示す様に構成している。この
保持器8は、円環状の主部9と、この主部9の軸方向片
面に等間隔に設けられた複数のポケット10、10とを
備える。これら各ポケット10、10は、上記主部9の
軸方向片面に互いに間隔をあけて配置した1対ずつの弾
性片11、11と、上記主部9の片面でこれら1対ずつ
の弾性片11、11の間部分に設けた凹面部12とから
構成している。そして、上記各ポケット10、10に上
記玉6、6を1個ずつ、転動自在に保持自在としてい
る。この様に構成する各ポケット10、10の内面は、
その全体を単一の曲率半径を有する球状凹面としてい
る。又、この球状凹面の曲率半径は、上記各玉6、6の
転動面の曲率半径よりも僅かに大きくしている。この様
な保持器8は、合成樹脂を射出成形する事により、一体
に形成している。
【0004】玉軸受1を組み立てる際に、上記各玉6、
6は、上記各ポケット10、10を構成する1対ずつの
弾性片11、11の先端部同士の間隔を弾性的に押し広
げつつ、これら1対の弾性片11、11同士の間に押し
込む。そして、押し込んだ状態では、上記各玉6、6を
上記各ポケット10、10内に転動自在に保持する。こ
の状態で、上記各玉6、6の転動面と上記各ポケット1
0、10の内面との間には、微小な隙間が存在する。従
って、上記各玉6、6を上記各ポケット10、10に保
持した状態では、上記保持器8がこれら各玉6、6を円
周方向に関して等間隔に、且つ転動自在に保持すると共
に、これら各玉6、6によって上記保持器8の直径方向
位置を規制する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記保持器8は、合成
樹脂を射出成形する事により造っている為、射出成形後
に合成樹脂の体積収縮が生じて上記保持器8の各部の寸
法が所望値よりも小さくなる可能性がある。又、これら
各寸法は、上記主部9の円周方向よりも、径方向に関し
て小さくなり易い。これに対して、上述した従来の保持
器8の場合には、設計時に、複数のポケット10、10
の内面を、これら各ポケット10、10に保持する各玉
6の転動面の曲率半径よりも僅かに大きい、単一の曲率
半径を有する球状凹面とする事を前提として設計してい
た。この為、保持器8の射出成形時に上述の体積収縮が
生じた場合には、上記各ポケット10、10の内面形状
に関して、上記主部9の円周方向に関する寸法よりも、
この主部9の径方向に関する寸法が小さくなり易い。
【0006】そして、図12に示す様に、上記主部9の
径方向に関する上記各ポケット10の内面の曲率半径R
1 が小さくなると、この曲率半径R1 が、上記各ポケッ
ト10に保持する玉6の転動面の曲率半径である、各玉
6の外径Da の1/2よりも小さくなる(R1 <Da
2)可能性がある。この場合には、上記各ポケット10
の端縁で、上記保持器8の直径方向(図12の左右方
向)両側に位置する1対のエッヂ部13、13が、上記
各玉6の転動面に接触する。そして、上記各玉6に対す
る上記保持器8の保持性能が低下し、玉軸受1の運転時
にこの保持器8が振動して、保持器音が大きくなる可能
性がある。
【0007】又、上記各玉6の転動面に付着したグリー
ス等の潤滑剤が上記各エッヂ部13、13で掻き取られ
て、上記各玉6の転動面と上記各ポケット10の内面と
の間に存在する隙間に潤滑剤を取り込みにくくなる。そ
して、上記各ポケット10の内面と上記各玉6の転動面
との摺接部に十分量の潤滑剤が存在しない場合には、こ
の摺接部に作用する摩擦力が大きくなる。又、玉軸受の
運転時に、上記各ポケット10内に保持された玉6は、
その公転運動に基づいて、上記各ポケット10の端縁
で、上記保持器8の円周方向(図12の裏表方向)片側
に位置する1対のエッヂ部13、13に押し付けられ
る。この為、上記各ポケット10の内面と上記各玉6の
転動面との摺接部に作用する摩擦力がより大きくなる。
この様に摩擦力が大きくなると、玉軸受の回転抵抗(動
トルク)が大きくなって、この玉軸受を組み込んだ各種
機械装置の消費エネルギ(電力)を低減する事が難しく
なる。本発明の玉軸受用冠型保持器及び玉軸受は、この
様な事情に鑑み、成形時に体積収縮が生じる可能性があ
る合成樹脂製の冠型保持器を組み込んだ、玉軸受の高性
能化を図るべく発明したものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の玉軸受用冠型保
持器及び玉軸受のうち、請求項1に記載した玉軸受用冠
型保持器は、前述の図10〜11に示した従来の保持器
8と同様、合成樹脂により一体に造られて、円環状の主
部と、この主部の軸方向片面に設けられた複数のポケッ
トとを備える。そして、これら各ポケットは、上記主部
の軸方向片面に互いに間隔をあけて配置された1対ずつ
の弾性片同士の間に設けられたものである。特に、本発
明の玉軸受用冠型保持器に於いては、上記主部の半径方
向と一致する上記各ポケットの中心軸を含む仮想平面に
関するこれら各ポケットの断面形状の曲率半径R1 が、
これら各ポケットの中心軸に関してこれら各ポケットの
内径が最も大きくなる部分での、これら各ポケットの中
心軸に直交する仮想平面に関するこれら各ポケットの断
面形状の内接円の半径R2 よりも大きい。
【0009】又、請求項2に記載した玉軸受の場合に
は、前述の図9に示した従来の玉軸受1と同様、外周面
に内輪軌道を形成した内輪と、内周面に外輪軌道を形成
した外輪と、これら内輪の外周面と外輪の内周面との間
に、これら内輪及び外輪に対する相対回転自在に配置さ
れた保持器と、この保持器に設けた複数のポケット内に
それぞれ転動自在に保持された状態で、上記内輪軌道と
上記外輪軌道との間に配置された複数個の玉とを備え
る。特に、本発明の玉軸受に於いては、上記保持器が請
求項1に記載した玉軸受用冠型保持器であり、且つ、上
記各ポケットの中心軸を含む仮想平面に関する断面形状
の曲率半径R1 の2倍である、主部の半径方向に関する
これら各ポケットの直径Dと、上記各玉の外径Da との
比D/Da を、1.035〜1.050としている。
【0010】
【作用】上述の様に構成する請求項1に記載した本発明
の玉軸受用冠型保持器の場合、射出成形時に体積収縮が
生じた場合でも、主部の半径方向に関する各ポケットの
曲率半径R1 が、これら各ポケットに保持する玉の転動
面の曲率半径よりも小さくなりにくい。この為、本発明
の玉軸受用冠型保持器を組み込んだ玉軸受の運転時に、
上記各ポケットの端縁で、上記主部の直径方向両側に位
置する1対のエッヂ部が、上記各玉の転動面に接触しに
くくなる。従って、上記各玉に対する保持性能を十分に
確保できて、保持器音の低減を図れる。又、上記各玉の
転動面に付着したグリース等の潤滑剤を上記各エッヂ部
で掻き取られにくくして、上記各玉の転動面と上記ポケ
ットの内面との間の隙間に上記潤滑剤を取り込み易くで
きる。この為、上記各ポケットの内面と上記各玉の転動
面との摺接部に、十分量の潤滑剤を取り込んで、この摺
接部で摩擦抵抗が大きくなる事を防止できる。又、上記
各ポケットの内面と上記各玉の転動面との間の隙間の厚
さを大きくできて、この隙間部分に存在する潤滑剤に作
用する剪断抵抗を小さくできる。この結果、上記各玉と
上記各ポケットの内面との摺接部が1個所位置になる事
と相俟って、玉軸受の回転抵抗を低減できると共に、保
持器の耐摩耗性の向上を図れる。
【0011】又、請求項2に記載した本発明の玉軸受の
場合、上記各ポケットの内面と上記各玉の転動面との隙
間に、十分量の潤滑剤を取り込めると共に、一旦取り込
んだ潤滑剤を外部に流出しにくくできる。この為、上記
各ポケットの内面と上記各玉の転動面との摺接部に作用
する摩擦抵抗を十分に小さくできる。又、上記隙間の厚
さを十分に大きくできる為、この隙間部分に存在する潤
滑剤の剪断抵抗を十分に小さくできる。従って、玉軸受
の回転抵抗を十分に低減する事ができる。
【0012】
【発明の実施の形態】図1〜2は、本発明の実施の形態
の第1例を示している。尚、本発明の玉軸受用冠型保持
器及び玉軸受の特徴は、合成樹脂製の保持器8aを組み
込んだ玉軸受の高性能化を図るべく、この保持器8aを
構成するポケット10aの内面の形状を工夫した点にあ
る。この保持器8aの全体的な基本構造、並びに、この
保持器8aを組み込んだ玉軸受の基本構造は、前述の図
9〜11に示した従来構造とほぼ同様である。この為、
この従来構造と同等部分には同一符号を付すると共に、
重複する部分の図示並びに説明を省略し、以下、本発明
の特徴部分を中心に説明する。
【0013】本例の場合、上記各ポケット10aの内面
に設けた凹面部12aを、上記保持器8aの主部9の半
径方向{図1(A)の裏表方向、図1(B)の左右方
向}と上記各ポケット10aの円周方向とに関して、そ
れぞれ互いに異なる所定の曲率半径で湾曲させている。
即ち、上記主部9の半径方向と一致する上記各ポケット
10aの中心軸αを含む仮想平面βに関するこれら各ポ
ケット10aの断面形状の曲率半径(=主部9の径方向
に関するポケット10aの曲率半径)をR1 とし、上記
各ポケット10aの中心軸αに関してこれら各ポケット
10aの内径が最も大きくなる部分{図1(B)のC−
C断面部分}での、これら各ポケット10aの中心軸α
に直交する仮想平面γに関するこれら各ポケット10a
の断面形状の内接円の半径(=ポケット10aの円周方
向に関する半径)をR2 とする。そして、本発明の場合
には、R1 >R2 となる様に規制している。従って、本
例の場合には、上記各ポケット10a の内面は、略楕円
体の長軸方向両端部を切断した場合にその内周面の一部
となる形状を有する。尚、本例の場合、上記主部9の径
方向に関する上記各ポケット10aの曲率半径R1 の中
心Oは、上記主部9の径方向中央に位置している。
【0014】又、上記各ポケット10aの円周方向に関
する半径R2 は、これら各ポケット10a内に組み込む
玉6の転動面の曲率半径である、これら各玉6の外径D
a の1/2よりも大きくしている(R2 >Da /2)。
尚、上記各ポケット10aの円周方向に関する半径R2
は、完成後の保持器8aで、上記各ポケット10aの内
面に関して、真円度測定器でスタイラスの動き量を測定
すると共に、この動き量をマイクロメータやダイヤルゲ
ージ等で測定した値を用いて校正する事で確認できる。
【0015】更に、本例の保持器を組み込んだ本発明の
玉軸受の場合には、上記主部9の径方向に関するポケッ
ト10aの曲率半径R1 の2倍である、上記主部9の半
径方向に関するこれら各ポケット10aの直径D(=2
・R1 )と、これら各ポケット10a内に組み込む各玉
6の外径Da との比D/Da を、1.035〜1.05
0(好ましくは、1.040〜1.050)に規制して
いる。尚、この様に上記比D/Da を規制する為には、
上記主部9の径方向に関するこれら各ポケット10aの
完成後の直径Dと、各玉6の外径Da とを、それぞれ測
定し、更に、上記比D/Da が所定の範囲になる様に、
上記保持器8aと複数の玉6とを適切に組み合わせる必
要がある。この為に、上記主部9の半径方向に関する上
記各ポケット10aの直径Dを、形状測定器等により測
定する。
【0016】上述の様に本発明の玉軸受用冠型保持器の
場合には、主部9の径方向に関する各ポケット10aの
曲率半径R1 を、これら各ポケット10aの円周方向に
関する半径R2 よりも大きくしている(R1 >R2 )。
この為、射出成形時に体積収縮が生じた場合でも、上記
主部9の直径方向に関する上記各ポケット10aの曲率
半径R1 が、これら各ポケット10a内に保持する各玉
6の転動面の曲率半径(=Da /2)よりも小さくなり
にくい。この結果、本発明の保持器8aを組み込んだ玉
軸受の運転時に、上記各ポケット10aの端縁で、上記
主部9の直径方向両側に位置する1対のエッヂ部13、
13が、上記各玉6の転動面に接触しにくくなる。従っ
て、上記各玉6に対する保持性能を十分に確保できて、
保持器音の低減を図れる。即ち、上記玉軸受の運転時
に、上記各玉6は、その公転運動に基づいて上記各ポケ
ット10aの円周方向{公転方向で図1(a)の左右方
向、図1(b)の裏表方向}片側に変位する。そして、
上記各玉6が、上記各ポケット10aの内面と当接し、
その自転運動に基づいてこの内面と摺接する。この場合
でも、上記各ポケット10aの内面と上記各玉6の転動
面との摺接部は、上記各ポケット10aの内面で、上記
保持器8aの径方向中央部の1個所位置になる為、上記
各エッヂ部13、13は上記各玉6の転動面に接触しに
くくなる。この為、上記保持性能を十分に確保できて、
上記保持器8aの振動に基づく、保持器音の低減を図れ
る。
【0017】又、上記各玉6の転動面に付着したグリー
ス等の潤滑剤を上記各エッヂ部13、13で掻き取られ
にくくして、上記各玉6の転動面と上記ポケット10a
の内面との間の隙間に上記潤滑剤を取り込み易くでき
る。この為、上記各ポケット10aの内面と上記各玉6
との摺接部に、十分量の潤滑剤を取り込んで、この摺接
部で摩擦抵抗が大きくなる事を防止できる。又、上記各
ポケット10aの内面と上記各玉6の転動面との間の隙
間の厚さを大きくできて、この隙間部分に存在する潤滑
剤に作用する剪断抵抗を小さくできる。この結果、上記
各玉6の転動面と上記各ポケット10aの内面との摺接
部が1個所位置になる事と相俟って、玉軸受の回転抵抗
を低減できると共に、保持器8aの耐摩耗性の向上を図
れる。
【0018】更に、本発明の玉軸受の場合には、上記主
部9の直径方向に関する上記各ポケット10aの断面形
状の曲率半径R1 の2倍である、上記主部9の半径方向
に関するこれら各ポケット10aの直径Dと、これら各
ポケット10a内に組み込む各玉6の外径Da との比D
/Da を、上述した所定の範囲(1.035〜1.05
0)に規制している。この為、上記玉軸受の回転抵抗を
十分に低減できる。即ち、上記比D/Da が、上記所定
の範囲の下限値である、1.035未満の場合には、上
記各玉6の転動面と前記各エッヂ部13、13とが接触
したり、上記各玉6の転動面と上記各ポケット10aの
内面との間の隙間の厚さが小さくなり過ぎて、この隙間
内に上記潤滑剤を取り込みにくくなる。又、この場合に
は、この隙間内に入り込んだ潤滑剤に作用する剪断抵抗
が大きくなる。これに対して、上記比D/Da が、上記
所定の範囲の上限値である、1.05よりも大きくなっ
た場合には、上記隙間内に一旦入り込んだ潤滑剤が、こ
の隙間内から外部に流出し易くなる。又、この隙間が大
きい為、玉軸受の運転時に発生する騒音が急速に増大す
る。そこで、本発明の場合には、上記比D/Da を、
1.035〜1.050に規制している。
【0019】この様に比D/Da を、上記所定の範囲に
規制する事で、上記各ポケット10aの内面と上記各玉
6の転動面との間の隙間に、十分量の潤滑剤を取り込め
ると共に、一旦取り込んだ潤滑剤を、外部に流出しにく
くできる。この為、上記各ポケット10aの内面と上記
各玉6の転動面との摺接部に作用する摩擦抵抗を十分に
小さくできる。又、上記隙間の厚さを十分に大きくでき
る為、この隙間部分に存在する潤滑剤の剪断抵抗を十分
に小さくできる。この結果、玉軸受の回転抵抗を十分に
低減する事ができる。又、上記比D/Da が、より好ま
しい範囲の1.040〜1.050である場合には、射
出成形時の材料や加工条件の変動に起因する寸法のばら
つきによる影響を受けにくくなり、安定した性能を確保
できる。しかも、上記隙間に潤滑剤を取り込める効果が
顕著になり、玉軸受の回転抵抗をより低減する事ができ
る。
【0020】次に、本発明の発明者が本発明の玉軸受の
効果を確認すべく行なった実験に就いて説明する。実験
は、保持器8aの主部9の半径方向に関する各ポケット
10aの直径Dと、これら各ポケット10a内に組み込
む玉6の外径Da との比D/Da が異なる玉軸受を数種
類、各種類毎に少なくとも1個ずつ用意し、この玉軸受
の回転抵抗を測定する事により行なった。図3に、この
様にして行なった実験結果を示している。この図3で、
横軸は上記比D/Da を、縦軸は回転抵抗を比として、
それぞれ表している。尚、図3で、同じ記号で示したも
のは、同種類の玉軸受で、完成後に各部の寸法が互いに
異なったものを表している。この図3に示す実験結果か
ら明らかな様に、実線矢印にその範囲を、破線矢印によ
り好ましい範囲を、それぞれ示す本発明の玉軸受の場合
には、回転抵抗を十分に低減できる。
【0021】次に、図4は、本発明の実施の形態の第2
例を示している。本例の保持器8aの場合には、各ポケ
ット10aの内面を、円周方向に関する曲率半径の中心
1、O2 が互いに異なる位置に存在する、2種類の曲
面により構成している。即ち、本例の場合には、上記各
ポケット10aの内面で、各弾性片11、11と同じ側
(図4の上側)に1対の第一凹面部14、14を、同じ
く各弾性片11、11と反対側(図4の下側)に、これ
ら1対の第一凹面14、14同士を連結する第二凹面部
15を、それぞれ形成している。そして、上記各ポケッ
ト10aの円周方向に関する、上記各第一凹面部14、
14の曲率半径R3 の中心O1 を、同じく上記第二凹面
部15の曲率半径R3 の中心O2 よりも上記各弾性片1
1、11と反対側に設けている。そして、本例の場合に
は、主部9の直径方向に関する上記各ポケット10aの
曲率半径R1 を、これら各ポケット10aの中心軸αに
関してこれら各ポケット10aの内径が最も大きくなる
部分での、これら各ポケット10aの中心軸αに直交す
る仮想平面γに関するこれら各ポケット10aの断面形
状の内接円の半径R2 よりも大きくしている(R1 >R
2 )。
【0022】上述の様に構成する本例の場合、上記各第
一凹面部14、14と第二凹面部15との曲率中心O
1 、O2 同士のずれ(オフセット量)を変化させるのみ
で、上記各ポケット10a内に保持された玉6が、これ
ら各ポケット10a内で、主部9の軸方向(図4の上下
方向)に関して変位できる量(アキシアル隙間)を設定
できる。この様なアキシアル隙間を設定するのに、上記
各ポケット10aを構成するそれぞれ1対ずつの弾性片
11、11の先端同士の間隔d11や、上記各ポケット1
0aの円周方向に関する上記各第一、第二凹面部14、
15の曲率半径R 3 を変化させる必要がなくなる為、保
持器8aの設計が容易になる。その他の構成及び作用に
就いては、上述した第1例の場合と同様である為、重複
する説明は省略する。
【0023】次に、図5は、本発明の実施の形態の第3
例を示している。本例の場合には、主部9の径方向{図
5(A)の裏表方向、図5(B)の左右方向}に関する
各ポケット10aの曲率半径R1 の中心Oを、上記主部
9の内径側{図5(B)の左側}に片寄らせている。
又、本例の場合にも、前述の図1〜3に示した第1例の
場合と同様に、上記主部9の径方向に関する各ポケット
10aの曲率半径R1 を、これら各ポケット10aの円
周方向に関する曲率半径R2 よりも大きくしている(R
1 >R2 )。従って、本例の様に上記主部9の径方向に
関する各ポケット10aの曲率半径R1 の中心Oを、上
記主部9の直径方向片側に片寄らせた場合でも、上記各
ポケット10aの端縁で、上記主部9の径方向両側に位
置するエッヂ部13、13を、上記各玉6の転動面に接
触しにくくできる。これに対して、保持器を構成する各
ポケットの内面を、単一の曲率半径を有する単一の球状
凹面とした場合には、主部の外径側に位置するエッヂ部
が上記各玉の転動面に接触し易い。
【0024】即ち、上記各ポケット10aの曲率半径R
1 の中心を上記主部9の内径側に片寄らせた場合には、
上記保持器8aと各玉6とを玉軸受に組み込んだ状態
で、これら各玉6が上記保持器8aの径方向に変位した
場合に、この保持器8aの外径側に位置する上記各ポケ
ット10aのエッヂ部13が、上記各玉6の転動面に接
触し易くなる。特に、保持器8aが射出成形の際に体積
収縮した場合には、上記各玉6の転動面が上記エッヂ部
13に接触する可能性が高くなる。そして、このエッヂ
部13と上記玉6とが接触した場合には、前述した様
な、玉軸受の回転抵抗が増大する等の問題が生じる。こ
れに対して、本発明の場合には、主部9の直径方向に関
する各ポケット10aの曲率半径R1 を、これら各ポケ
ット10aの円周方向に関する曲率半径R2 よりも大き
くしている(R1 >R2 )為、上述の様に主部9の径方
向に関する各ポケット10aの曲率半径R1 の中心O
を、上記主部の内径側に片寄らせた場合でも、上記エッ
ヂ部13を上記各玉6の転動面に接触しにくくできる。
その他の構成及び作用に就いては、前述の図1〜3に示
した第1例の場合と同様である為、重複する説明は省略
する。
【0025】次に、図6は、本発明の実施の形態の第4
例を示している。本例の場合には、前述の図4に示した
第2例の構造と、上述の図5に示した第3例の構造とを
組み合わせた如き構造を有する。即ち、本例の場合に
は、各ポケット10aの円周方向に関する曲率半径の中
心O1 、O2 が互いに異なる位置に存在する、第一凹面
部14、14と第二凹面部15とにより、上記各ポケッ
ト10aの内面を構成している。更に、主部9の径方向
{図6(A)の裏表方向、図6(B)の左右方向}に関
する上記各第一、第二凹面部の曲率半径R1 の中心O
を、上記主部9の内径側{図6(B)の左側}に片寄ら
せている。その他の構成及び作用に就いては、前述の図
4に示した第2例又は上述の図5に示した第3例の場合
と同様である為、重複する説明は省略する。尚、上述の
第3例及び本例の場合に於いて、主部9の径方向に関す
る各ポケット10aの内面の曲率半径R1 の中心Oを、
上記主部9の外径側{図5(B)、図6(B)の右側}
に片寄らせる事もできる。
【0026】次に、図7は、本発明の実施の形態の第5
例を示している。本例の場合には、各ポケット10aの
内面を、円周方向に関する曲率半径R4 、R5 が互いに
異なる、それぞれ複数ずつの小径凹面部16、16と大
径凹面部17、17とにより構成している。そして、こ
れら小径凹面部16、16と大径凹面部17、17と
を、上記各ポケット10aの円周方向に関して交互に設
けている。又、本例の場合には、各弾性片11、11の
片面に位置する各ポケット10aの内面と、これら各ポ
ケット10aの内面で、これら各ポケット10aを構成
するそれぞれ1対ずつの弾性片11、11の間部分の中
央部との、これら各ポケット10a毎に合計3個所位置
ずつに、小径凹面部16、16を設けている。そして、
本例の場合には、主部9の径方向{図7(A)の裏表方
向、図7(B)の左右方向}に関する上記各小径凹面部
16、16と大径凹面部17、17との曲率半径R1
を、上記各ポケット10aの中心軸αに関してこれら各
ポケット10aの内径が最も大きくなる部分での、これ
ら各ポケット10aの中心軸αに直交する仮想平面γに
関するこれら各ポケット10aの断面形状の内接円の半
径R2 (=R4 )よりも大きくしている(R1 >R
2 )。本例の場合、この内接円は、上記各小径凹面部1
6、16の内面に接している。
【0027】上述の様に構成する本例の場合、上記各ポ
ケット10a内に保持された各玉6の転動面は、上記各
小径凹面部16、16の内面に接触する。この為、これ
ら各玉6の転動面と上記各大径凹面部17、17の内面
との間に、比較的大きな空間18、18を形成できる。
従って、この空間18、18内にグリース等の潤滑剤を
十分に取り込む事ができて、上記各玉6の転動面と上記
各ポケット10aの内面との摺動部の潤滑性の向上を図
れる。その他の構成及び作用に就いては、前述の図1〜
3に示した第1例の場合と同様である為、重複する説明
は省略する。
【0028】次に、図8は、本発明の実施の形態の第6
例を示している。本例の場合には、各弾性片11、11
の片面に位置する各ポケット10aの内面と、これら各
ポケット10aの内面で、これら各ポケット10aを構
成するそれぞれ1対ずつの弾性片11、11の間部分の
中央部との、これら各ポケット10a毎に合計3個所位
置ずつに、大径径凹面部17、17を設けている。そし
て、上記各ポケット10aの内面で、これら各ポケット
10aの円周方向に関して上記各大径凹面部17、17
と隣り合う2個所位置に、小径凹面部16、16を設け
ている。その他の構成及び作用に就いては、上述の図7
に示した第5例の場合と同様である為、重複する説明は
省略する。
【0029】
【発明の効果】本発明の玉軸受用冠型保持器及び玉軸受
は、以上に述べた通り構成され作用する為、合成樹脂製
の冠型保持器を組み込んだ玉軸受の高性能化を図れて、
この玉軸受を組み込んだ各種機器の性能向上を図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の第1例を、(A)は
(B)のC−C断面で、(B)は図12に相当する状態
で、それぞれ示す図。
【図2】図1のD部拡大断面図。
【図3】本発明の効果を確認する為に行なった実験結果
を示す図。
【図4】本発明の実施の形態の第2例を示す、図1
(A)(B)にそれぞれ相当する図。
【図5】同第3例を示す、図1(A)(B)にそれぞれ
相当する図。
【図6】同第4例を示す、図1(A)(B)にそれぞれ
相当する図。
【図7】同第5例を示す、図1(A)(B)にそれぞれ
相当する図。
【図8】同第6例を示す、図1(A)(B)にそれぞれ
相当する図。
【図9】保持器を組み込んだ玉軸受の1例を示す断面
図。
【図10】保持器の従来構造の1例を示す斜視図。
【図11】図10のE−E断面を、切断部分以外を省略
して示す図。
【図12】主部の径方向に関するポケットの曲率半径が
小さくなった状態で示す、図11のF部拡大断面に相当
する図。
【符号の説明】
1 玉軸受 2 内輪軌道 3 内輪 4 外輪軌道 5 外輪 6 玉 7 シールド板 8、8a 保持器 9 主部 10、10a ポケット 11 弾性片 12、12a 凹面部 13 エッヂ部 14 第一凹面部 15 第二凹面部 16 小径凹面部 17 大径凹面部 18 空間
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 3J101 AA02 AA32 AA42 AA52 AA62 BA25 BA50 EA31 FA32 FA41 GA24

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 合成樹脂により一体に造られて、円環状
    の主部と、この主部の軸方向片面に設けられた、それぞ
    れの内周面を凹面とした複数のポケットとを備え、これ
    ら各ポケットは、上記主部の軸方向片面に互いに間隔を
    あけて配置された1対ずつの弾性片同士の間に設けられ
    たものである玉軸受用冠型保持器に於いて、上記主部の
    半径方向と一致する上記各ポケットの中心軸を含む仮想
    平面に関するこれら各ポケットの断面形状の曲率半径R
    1 が、これら各ポケットの中心軸に関してこれら各ポケ
    ットの内径が最も大きくなる部分での、これら各ポケッ
    トの中心軸に直交する仮想平面に関するこれら各ポケッ
    トの断面形状の内接円の半径R2 よりも大きい事を特徴
    とする玉軸受用冠型保持器。
  2. 【請求項2】 外周面に内輪軌道を形成した内輪と、内
    周面に外輪軌道を形成した外輪と、これら内輪の外周面
    と外輪の内周面との間に、これら内輪及び外輪に対する
    相対回転自在に配置された保持器と、この保持器に設け
    た複数のポケット内にそれぞれ転動自在に保持された状
    態で、上記内輪軌道と上記外輪軌道との間に配置された
    複数個の玉とを備えた玉軸受に於いて、上記保持器が請
    求項1に記載した玉軸受用冠型保持器であり、且つ、上
    記各ポケットの中心軸を含む仮想平面に関する断面形状
    の曲率半径R1 の2倍である、主部の半径方向に関する
    これら各ポケットの直径Dと、上記各玉の外径Da との
    比D/Da を、1.035〜1.050とした事を特徴
    とする玉軸受。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN112240347A (zh) * 2019-07-17 2021-01-19 斯凯孚公司 轴承保持架及其应用
WO2023157428A1 (ja) * 2022-02-17 2023-08-24 日本精工株式会社 保持器

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