JP2003190859A - 塗布乾燥装置および塗布乾燥方法 - Google Patents

塗布乾燥装置および塗布乾燥方法

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JP2003190859A
JP2003190859A JP2001396735A JP2001396735A JP2003190859A JP 2003190859 A JP2003190859 A JP 2003190859A JP 2001396735 A JP2001396735 A JP 2001396735A JP 2001396735 A JP2001396735 A JP 2001396735A JP 2003190859 A JP2003190859 A JP 2003190859A
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drying
cylindrical
hood
length
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JP2001396735A
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Junji Ujihara
淳二 氏原
Tadaaki Sumiya
忠昭 住谷
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Konica Minolta Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 塗布乾燥装置及び塗布乾燥方法において、塗
布液に含まれる溶媒を均一に蒸発させ乾燥させることで
膜厚が均一で表面状態も良好な電子写真装置の感光体ド
ラムの電荷輸送層を連続して形成し、高速、高画質、高
耐久の電子写真装置の提供が可能な生産性の高い塗布乾
燥装置及び塗布乾燥方法を提供すること。 【解決手段】 塗布膜を形成した後、円筒状乾燥フード
中を通過させることにより塗布膜の乾燥を行う塗布乾燥
装置において、塗布液に含まれる溶媒を蒸発させるため
のスリットを前記円筒状乾燥フードに設けたこと。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、円筒状基材の外周
面に塗布液を塗布し塗布膜を形成すると共に形成された
塗布膜を乾燥させる塗布乾燥装置および塗布乾燥方法に
関し、特に、電子写真装置の感光体ドラムの電荷輸送層
を均一の膜厚に形成するために、円筒状基材の外周面に
感光材料よりなる塗布液を塗布した後、適切な乾燥条件
で乾燥することにより膜厚ムラ等の発生を防止して、高
速、高画質、高耐久の電子写真装置の提供が可能な塗布
乾燥装置および塗布乾燥方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年では、電子メールやインターネット
等による情報の電子化が進展し、これらの情報を電子機
器の表示装置で知得する機会が多くなってきたが、その
反面、これらの情報をプリンタ等により紙等の用紙に出
力する機会が予想外に増加してきた。
【0003】このような状況に対応するために、電子写
真装置は、用紙原稿の複写機能の他に、パソコン(パー
ソナルコンピュータ)やFAX(ファクシミリ)等の電
子機器と接続して電子化された画像や文字等による情報
を紙等の用紙に出力するプリンタ機能を備えたものも多
数市販されるようになってきたが、従来にない情報の増
加に伴なって、出力される情報もモノクロ(黒白)画像
のみでなくカラー画像の出力も増加し、電子写真装置は
更なる出力速度の高速化や耐久性の向上が望まれ、高
速、高画質、高耐久の電子写真装置を提供するために
は、電子写真装置の心臓部である感光体の改善が強く望
まれていた。
【0004】電子写真の感光体には、シート状の感光体
と円筒状の感光体(以下、感光体ドラムという。)があ
るが、最近では、高画質な画像を形成するために必要な
面精度が得やすく高速回転等の制御が容易等の理由によ
り感光体ドラムを用いることが多くなっている。
【0005】感光体ドラムは、ステンレス、アルミニウ
ム、銅、黄銅、もしくはプラスチック等の材料で形成さ
れた円筒状基材の外周面に電荷発生層(CGL)を形成
し、更にその上に、感光材料からなる塗布液を塗布する
ことにより塗布膜を形成し乾燥させることで形成された
塗布層、すなわち電荷輸送層(CTL)を形成したもの
が多用されているが、特に、電荷輸送層(CTL)の作
製は、塗布液を塗布し乾燥する工程で、一般には、10
0μm程度の塗布膜が乾燥すると20μm程度に収縮す
るが、収縮しても膜厚変動が1μm以下となるように、
膜厚を均一に形成すると共に表面状態も細かな凹凸がな
いようにする高度な技術が必要である。
【0006】つまり、電子写真装置の感光体ドラムとし
て電荷輸送層(CTL)に帯電させ静電潜像を形成する
場合に、膜厚が均一でないと一様な帯電が得られず画像
濃度ムラが生じ、乾燥させる工程で急激に乾燥させる
と、塗布膜中の溶媒が急激に蒸発して塗布膜に白化や結
露現象を生じさせたり、細かな凹凸の皺のある表面にな
ったりして表面状態を悪化させ、画像の一部が欠落する
等の画像欠陥を生じさせることになる。
【0007】また、乾燥が遅すぎると、塗布膜中の溶媒
が蒸発せず多く残っているので、塗布膜が自重で落ちて
きて液垂れ等が生じ、結果として塗布膜ムラが生じると
いった問題があった。
【0008】そこで、このような問題の発生を防止する
ために、塗布液は塗布膜中の溶媒の蒸発が比較的早く均
一に乾燥されるように、低分子バインダーを使用した低
粘度の塗布液が開発され、塗布乾燥装置としては、特開
平9−24330号において、円筒状基材の外周面に垂
直塗布装置で連続して塗布膜の膜厚を均一に形成し、塗
布膜が形成された円筒状基材を穴付き乾燥フードを有す
る乾燥装置中を通過させ、塗布膜中の溶媒を乾燥フード
に設けた複数の穴から徐々に蒸発させることにより乾燥
させて、塗布膜を均一に形成するようにしたものが提案
されている。
【0009】しかしながら、この方法を使用して、耐久
性の高い感光体ドラムを作製しようと試みたところ、新
たな問題が発生したのである。
【0010】つまり、感光体ドラムの耐久性を向上させ
るために各種条件を検討したところ、感光体ドラムの耐
久性は、静電潜像を形成する場合に電荷輸送層(CT
L)に対して除電や荷電等の繰り返し帯電を与えた場合
の電荷輸送層(CTL)の帯電特性の劣化に大きく影響
され、膜厚が薄いと帯電特性の劣化が早く耐久性に乏し
くなり、膜厚が厚いと耐久性を向上させることができる
ということが判明した。
【0011】そこで、前述の塗布乾燥方法で電荷輸送層
の膜厚を厚くすることを試みたが、従来の分子量2〜3
万程度の低分子バインダーを用いた塗布液では、粘度が
低いために塗布液が流れやすく膜厚を20μm程度より
厚く形成できないという問題があり、塗布液を改良し
て、粘度の高い分子量4万以上の高分子バインダーを用
いた塗布液を用いたところ、膜厚を23μm以上に厚く
することはできたが液垂れ等が多発した。
【0012】すなわち、薄い塗布膜は塗布膜中の溶媒も
少ないので溶媒の蒸発も比較的早く均一に乾燥できる
が、厚膜にすると塗布膜中の溶媒が多く残っているの
で、未乾燥の塗布膜が自重で下がって液垂れ等による膜
厚ムラが発生したのである。
【0013】この問題を解決するために、前述の穴付き
乾燥フードを備えた塗布乾燥装置で、穴の径を大小変化
させたり、穴の数を増減させたりして適切な乾燥条件が
得られる乾燥フードの開口形状を確定しようとしたが、
穴径を大きくすると急激に乾燥し、穴径を小さくすると
溶媒が蒸発しにくく、しかも、穴と穴との壁の部分に位
置する塗布膜中の溶媒を均一に蒸発させることができ
ず、穴加工が複雑になるばかりで、結果として、塗布膜
の膜厚を均一に乾燥できないという問題が解決できず、
更に、穴付き乾燥フードの構造上、製作する感光体ドラ
ムの形状等の仕様が変わるたびに、穴の径や穴の個数等
を変更した乾燥フードを新規に作製して実験を行い、適
切な乾燥条件を求めるための検討を行わなければなら
ず、作製日数や製作コストも大幅にかかるという弊害も
発生していた。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記問題に
鑑み、垂直塗布手段により、前記円筒状基材の外周面上
に塗布液を連続的に塗布して塗布膜を形成した後、円筒
状乾燥フード中を通過させることにより前記塗布膜の乾
燥を行う塗布乾燥装置及び塗布乾燥方法において、塗布
液に含まれる溶媒を均一に蒸発させ乾燥させることがで
き、膜厚が均一で表面状態も良好な電子写真装置の感光
体ドラムの電荷輸送層を連続して形成し、安価なコスト
で高速、高画質、高耐久の電子写真装置の提供が可能な
生産性の高い塗布乾燥装置及び塗布乾燥方法を提供する
ことを目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、請求項1に記載の発明は、複数の円筒状基材の端部
が接するように筒軸を合致させて積み重ね、前記円筒状
基材を垂直方向に移動させながら、垂直塗布手段により
前記円筒状基材の外周面上に塗布液を連続的に塗布して
塗布膜を形成した後、円筒状乾燥フード中を通過させる
ことにより前記塗布膜の乾燥を行う塗布乾燥装置におい
て、前記円筒状乾燥フードの筒軸に対して垂直方向の全
周に前記円筒状乾燥フードの内面側と外周面側とを連通
する幅の均一なスリットを形成したことを特徴とする。
【0016】これにより、塗布液および塗布膜中の溶媒
を円筒状乾燥フードの全周に設けたスリットから均一に
蒸発させ乾燥させることができるので、膜厚の厚い塗布
膜を均一に形成することができ、塗布膜を電子写真装置
の感光体ドラムの電荷輸送層(CTL)として形成した
場合には、感光体ドラムの耐久性を著しく向上させるこ
とができるので、安価なコストで高速、高画質、高耐久
の電子写真装置の提供が可能な生産性の高い塗布乾燥装
置及び塗布乾燥方法を提供することができる。
【0017】請求項2に記載の発明は、請求項1に記載
の発明において、前記スリットを前記円筒状乾燥フード
および前記円筒状乾燥フードと前記垂直塗布手段との間
に設けたことを特徴とする。
【0018】これにより垂直塗布装置の塗布領域に充満
する溶媒の蒸気を速やかに排出して、徐々に乾燥させる
ことができるので、塗布直後の塗布膜に液垂れの発生が
無く、乾燥後の塗布膜も均一に形成され、品質の高い塗
布膜を効率よく生産性できる。
【0019】請求項3に記載の発明は、請求項1に記載
の発明において、所望の長さの円筒状乾燥フードより長
さの短い円筒状乾燥フードを複数個設け、前記長さの短
い円筒状乾燥フードを筒軸を合致させて積み重ねること
により所望の長さの円筒状乾燥フードを形成する際に、
前記長さの短い円筒状乾燥フード間を所望の幅の間隔で
積み重ねることにより、前記スリットを形成するように
したことを特徴とする。
【0020】これにより、従来のように円筒状乾燥フー
ドに機械加工で穴を開けたりする必要もなく作製日程も
短縮でき、作製費用も削減できる。しかも繰り返して使
用できるので、急な生産にも即応できるようになり生産
性を高めることができる。
【0021】請求項4に記載の発明は、請求項3に記載
の発明において、前記長さの短い円筒状乾燥フード間を
連結するための連結手段を設け、前記連結手段により前
記長さの短い円筒状乾燥フード間を所望の幅の間隔で連
結することにより、前記スリットを形成するようにした
ことを特徴とする。
【0022】これにより、スリットの幅も容易に変更で
きるようになったので、最適な乾燥状態をすばやく作り
出すことができ、高品質な塗布膜を効率よく生産でき
る。
【0023】請求項5に記載の発明は、請求項3に記載
の発明において、幅の異なる複数種類のスペーサーをそ
れぞれの幅毎に複数個備え、前記長さの短い円筒状乾燥
フード間に所望の幅の前記スペーサーを選択して挿入す
ることにより前記スリットを形成するようにしたことを
特徴とする。
【0024】これにより、スリットの幅の変更作業が容
易にできるようになったので、少量多品種生産用や実験
検討用にも適用できることになり、高品質な塗布膜を効
率よく生産できる。
【0025】請求項6に記載の発明は、請求項3に記載
の発明において、伸縮可能な調整手段を有するフード駆
動手段を前記長さの短い円筒状乾燥フードに備え、前記
長さの短い円筒状乾燥フードを筒軸を合致させて積み重
ねることにより所望の長さの円筒状乾燥フードを形成す
る際に、前記フード駆動手段を駆動し前記調整手段を伸
縮させることにより前記長さの短い円筒状乾燥フード間
の間隔を調整して前記スリットを形成するようにしたこ
とを特徴とする。
【0026】これにより、スリットの幅の変更作業が自
動的に行えるようになったので、生産を中止することな
く塗布乾燥工程の稼働中にもスリットの幅の変更や調整
が容易にでき、しかも、塗布乾燥工程の稼働中の僅かな
乾燥状態の変化にも即応できるので、品質の安定した効
率的な生産ができる。
【0027】請求項7に記載の発明は、請求項1〜6の
いずれか1項に記載の発明において、前記スリットの幅
が0.2mm以上5mm以下であることを特徴とする。
【0028】これにより、膜厚の厚い塗布膜を均一に乾
燥でき、高品質の塗布膜を安定して生産できる。
【0029】請求項8に記載の発明は、請求項1〜7の
いずれか1項に記載の発明において、前記円筒状乾燥フ
ードの内径は次式を満足することを特徴とする。2(m
m)≦フード内径(mm)−円筒状基材の外径(mm)
≦200(mm)これにより、円筒状乾燥フードと円筒
状基材との空間が適切に設けられ、塗布膜中の溶媒が適
切に蒸発する蒸発経路等の環境が整うので、均一に乾燥
された品質の高い塗布膜を安定して生産できる。
【0030】請求項9に記載の発明は、請求項1〜8の
いずれか1項に記載の発明において、前記円筒状乾燥フ
ードにより前記塗布膜が乾燥され形成される塗布層の層
厚が23μm以上40mm以下であることを特徴とす
る。
【0031】これにより、従来の円筒状基材に形成され
ていた塗布層より層厚の厚い塗布層を均一に形成できる
塗布乾燥装置を提供できる。
【0032】請求項10に記載の発明は、請求項1〜9
のいずれか1項に記載の発明において、前記塗布層が電
子写真装置の感光体ドラムの電荷輸送層であることを特
徴とする。
【0033】これにより、本発明の塗布乾燥装置で形成
する塗布膜を電子写真装置の感光体ドラムの電荷輸送層
の作製に適用することにより、耐久性が高く高品質な感
光体ドラムとして提供できる。
【0034】請求項11に記載の発明は、複数の円筒状
基材の端部が接するように筒軸を合致させて積み重ね、
前記円筒状基材を垂直方向に移動させながら、垂直塗布
手段により前記円筒状基材の外周面上に塗布液を連続的
に塗布して塗布膜を形成した後、円筒状乾燥フード中を
通過させることにより前記塗布膜の乾燥を行う塗布乾燥
方法において、乾燥工程は、前記塗布膜が形成された前
記円筒状基材を前記塗布膜に含まれる溶媒を蒸発させる
ためのスリットを設けた前記円筒状乾燥フード中を通過
させて乾燥させるようにしたことを特徴とする。
【0035】これにより、円筒状基材の外周面に形成さ
れた塗布膜中の溶媒を最適な乾燥条件で蒸発させ、塗布
膜を従来の膜厚より厚く、均一で高品質に形成でき、効
率的で生産性の高い塗布乾燥方法を提供できる。
【0036】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て、図面を参照しながら説明するが、本発明はこれに限
定されるものではない。
【0037】図1は、本発明の塗布乾燥装置の全体概略
図である。図2は、本発明のフード結合方式による乾燥
フードの全体概略図である。図3は、本発明のスリット
自動調節式乾燥フードの全体概略図である。
【0038】図1により、本発明の塗布乾燥装置の構成
を説明する。図中、参照符号の1は円筒状基材で1A、
1B、1Cは同形状同寸法の円筒状基材1を積み重ねた
状態を示し、2は感光材料からなる塗布液、2Aは円筒
状基材1の外周に塗布液2を塗布したのち乾燥して形成
された塗布膜、10は垂直塗布装置、20は乾燥フー
ド、30は連結部材、Sは乾燥フード20に設けられた
スリットである。
【0039】円筒状基材1は、本発明の実施の形態にお
いては、電子写真装置の感光体ドラムの基体となるもの
で、材質および外径や長さ等は使用する電子写真装置の
仕様等により異なるが、本発明の実施の形態では、例え
ば、外径φ30〜100mm、長さ100〜400mm
程度のアルミニウムの材料を切削加工して中空円筒状に
形成し、更に、外周面を細かな凹凸が不規則に設けられ
た状態に加工して、電子写真装置の露光工程で、例え
ば、レーザー光等で露光したとき、レーザー光の反射で
規則的なモアレ縞が発生することがないようにすると共
に両端面に0.3mm以下の面取りを施したものであ
る。
【0040】因に、円筒状基材1は垂直塗布装置10に
よる塗布工程に投入される前に、例えば、浸漬法等によ
り接着剤からなる接着層を厚さ0.3μm程度に形成し
て、円筒状基材1の表面に形成された凹凸を覆い表面を
滑らかにし、その上に電荷発生層(CGL)が厚さ0.
2〜0.8μm程度形成されており、垂直塗布装置10
の塗布工程で、塗布液2を厚さ100μm程度に均一に
塗布し塗布膜2Aを形成した後、乾燥工程で乾燥させる
ことにより収縮して形成された塗布層を電荷輸送層(C
TL)として厚さ23〜40μm程度に形成するように
したものである。
【0041】塗布液2は、耐久性向上のために塗布膜2
Aの膜厚を厚くする必要があるため、エーテル系または
ハロゲン系の溶剤に、従来の分子量2〜3万程度の粘度
の低い低分子バインダーに変えて分子量4万以上の粘度
の高い高分子バインダーを添加し、更に、電荷輸送物質
(CTM)を混入したものを使用した。
【0042】垂直塗布装置10は、本体上部10Aと本
体下部10Bとからなり、一体に構成されており、本体
上部10Aの外周部には塗布液供給口8が形成されてお
り、本体上部10Aの内部には、塗布液供給口8と連通
して水平方向の幅狭の塗布液流路を形成する塗布液分配
用流路6と塗布液分配室7が全周に形成されている。
【0043】また、本体下部10Bの内部には、円筒状
基材1の外周を取り囲むように塗布液2を塗布する塗布
ヘッド3、塗布ヘッド3に隣接するテーパ状の塗布液ス
ライド面4、塗布液スライド面4に沿って塗布液2を供
給する塗布液流出口5、塗布ヘッド3の下方に接続する
傾斜面形状をなす唇状部3Aが形成されている。
【0044】垂直塗布装置10における塗布液2の流れ
は、まず、塗布液2が外部の塗布液貯留タンク(図示せ
ず)から圧送ポンプ(図示せず)により塗布液供給口8
に供給されると塗布液分配室7に溜まり、次に塗布液分
配用流路6を通って全周に導かれ、塗布液流出口5から
浸み出すように流出した塗布液2は塗布液スライド面4
に沿って塗布ヘッド3に流れ、塗布ヘッド3で円筒状基
材1の外周面上に所定の膜厚で均一に塗布するようにな
っている。
【0045】なお、塗布液2は所定の膜厚を形成するた
めに必要な量だけ塗布ヘッド3に供給されるように、例
えば、前記圧送ポンプの流量調節等で調整されている
が、塗布の過程で塗布ヘッド3に塗布液2が僅かに残っ
た状態になった場合は、残った塗布液2を唇状部3Aに
逃がすようにしているので、残った塗布液2が溜まり突
然垂れて、膜厚ムラを生じることがないようにしてい
る。
【0046】乾燥フード20は、垂直塗布装置10の塗
布液スライド面4に流れ出ている塗布液2の溶媒と、円
筒状基材1に塗布した塗布膜2Aの溶媒とで塗布領域3
Bに充満している溶媒の蒸気を乾燥フード20の内面側
から外面側に速やかに排出して、塗布膜2Aの乾燥遅延
の原因となる溶媒の蒸気の滞留を除外することにより液
垂れ等を防止し、その後、塗布膜2Aの溶媒を徐々に蒸
発させ乾燥させることにより、塗布直後の100μm程
度の塗布膜2Aの膜厚を乾燥後は均一に収縮させて23
〜40μm程度の塗布層になるようにする重要な機能が
ある。
【0047】つまり、塗布層の厚い感光体ドラムの電荷
輸送層(CTL)を形成するためには、膜厚の厚い塗布
膜2Aを均一に乾燥させることができなかった従来の穴
付き乾燥フードの穴に変えて、全周に幅の均一なスリッ
トSを設け、溶媒を適切に蒸発させ排出するための適切
な蒸発経路を設ける必要がある。
【0048】本発明の実施の形態における乾燥フード2
0は、円筒状基材1の外周面を全周で囲うように中空円
筒状に形成されており、例えば、長さの短い乾燥フード
(20A、20B、20C、20D)により構成されて
いる。
【0049】更に、塗布膜2Aを均一に形成させるため
に急激に乾燥しないように、乾燥フード20には塗布膜
中の溶媒を徐々に蒸発させるためのスリットSが設けら
れており、また、垂直塗布装置10の塗布領域3Bに充
満している溶媒の蒸気を速やかに排出するために、必要
に応じて垂直塗布装置10と乾燥フード20との間にも
スリットS4を設けることができるようになっている。
【0050】乾燥フード20に設けられるスリットS
は、塗布膜中の溶媒を徐々に、しかも均一に蒸発させる
ために、円筒状乾燥フード20の内面側と外周面側とを
連通する幅の均一な開口として乾燥フード20の筒軸
(中心軸Zと一致する垂直な軸)に対して垂直方向の全
周に形成する必要がある。
【0051】長さの短い乾燥フード(20A、20B、
20C、20D)を用いた場合は、連結部材(30A、
30B、30C、30D)で、それぞれの筒軸を合わせ
て長さの短い乾燥フード(20A、20B、20C、2
0D)を筒軸方向に連結する際に、所望の隙間を開ける
ことにより、例えば、4箇所のスリット(S1、S2、
S3、S4)を形成し、この隙間を調整することでスリ
ットの幅が調節できるようになっている。
【0052】因に、連結部材30は、スリットの幅を安
定して設けるために、乾燥フード20の全周囲に等間隔
に設置することが好ましく、本発明の実施の形態におい
ては120°間隔で3箇所に設けている。
【0053】そして、乾燥フード20は、垂直塗布装置
10の上部に、図示はしないが、中心軸Zに対して乾燥
フード20の筒軸が偏芯しないように位置決めされて設
置されている。
【0054】なお、環状に形成されたスリットSの幅や
本数は、円筒状基材1の塗布面積や垂直塗布装置10に
よる円筒状基材1の上昇速度(塗布速度)および塗布液
2に含まれる溶媒の種類や塗布膜厚等を考慮して、最適
な乾燥条件が得られるように設定されるものであり、最
適な乾燥条件とは、塗布膜2Aが指触乾燥レベル(手の
指で塗布膜に触れたとき、塗布膜が指に付かない程度に
乾燥された状態)のとき、膜厚が均一で塗布膜2Aの表
面が滑らかになっている状態をいう。
【0055】次に、本発明の塗布乾燥装置の作動につい
て説明する。基材供給装置(図示せず)により、円筒状
基材1が1A、1B、1Cの順に下方から上方へと送ら
れ、連続的に垂直方向に端面を接して積み重ねられ、位
置決め装置(図示せず)で中心軸Zに合致させられなが
ら、所定速度(例えば、20mm/s)で上昇移動させ
られる。
【0056】固定された垂直塗布装置10の塗布ヘッド
3に円筒状基材1Aの上部先端が達すると、円筒状基材
1Aの外周面に塗布液2が所定の膜厚(例えば、100
μm)で均一に塗布され始め、円筒状基材1A、1B、
1Cと連続的な上昇移動により塗布液2が連続的に塗布
され続けていく。
【0057】そして、円筒状基材1Aの上部先端から1
B、1Cへと乾燥フード20の中を通過することで、乾
燥フード20に設けられたスリットS(例えば、スリッ
トの幅0.2mm)から塗布膜中の溶媒が適切に蒸発し
て乾燥された均一な塗布膜2A、すなわち塗布層として
の電荷輸送層(CTL)が形成されるようになってい
る。
【0058】なお、本発明の実施の形態においては、特
に、垂直塗布装置10と乾燥フード20との間に設けた
スリットS4で、垂直塗布装置10の塗布領域3Bに充
満する溶媒を速やかに蒸発させ、塗布膜2Aの液垂れを
防止し、その後、スリットS3、S2、S1から徐々に
塗布膜中の溶媒を蒸発させ乾燥させ、塗布膜2Aが乾燥
すると密着強度の高い塗布層となり、均一な層厚(例え
ば、23μm)の電荷輸送層(CTL)が形成されるよ
うになっている。
【0059】次に、塗布膜2Aが指触乾燥レベルに乾燥
された円筒状基材1Aが、乾燥フード20を通過し乾燥
工程を終了した後も更に上昇し、切断機(図示せず)に
より円筒状基材1Aの下端部と1Bの上端部との間に連
続的に塗布されていた塗布膜2A、すなわち塗布層を切
断することにより円筒状基材1Aと1Bが分断され、円
筒状基材1Aが電荷輸送層(CTL)を有する感光体ド
ラムとして完成する。以降はこの作業を連続して繰り返
すことにより、次々と感光体ドラムが完成していくこと
になる。
【0060】本発明の実施の形態では、乾燥工程でスリ
ットSを4箇所設けたが、この数は、乾燥状態を考慮し
て適宜増減させても良く、また、スリットSを複数個設
けた場合に、スリットの幅も全て同じ幅にする必要もな
く、0.2mm〜5mmの範囲で、例えば、最初はやや
広く中間は狭く最後は広くするなど、乾燥状態等に合わ
せて、それぞれ変化させても良い。
【0061】なお、乾燥フード20にスリットを設ける
方式として、中空円筒状の素材に所望の幅のスリットを
カッター等で全周に溝状の穴加工を行い環状のスリット
を一体に形成する方式やスリットの幅や本数を容易に変
化できる乾燥フード20として、例えば、長さの短い中
空円筒状のフードを複数個作り、フード間を所望の幅の
間隔に調整して環状のスリットSを形成した後に、連結
部材30等による連結手段でフード間を結合するフード
結合方式とフード間に予め作製したスペーサーを挟み込
みスリットSを形成するスペーサー方式およびスリット
の幅を自動的に調整する自動調節方式等がある。
【0062】スリットを一体に形成する方式の乾燥フー
ド20は、図示はしないが、スリットの幅を容易に変化
させることができないので、すでに多くの実験や生産等
から得られたデータにより乾燥条件が特定された製品の
塗布乾燥装置には取り扱いが簡単で便利であるが、乾燥
条件が不確定な他の製品の塗布乾燥装置に使用する場合
は、再度の実験等によりスリットの幅等の乾燥条件を確
定したのちに、確定した乾燥条件に適した新規のスリッ
トSを加工した新規の乾燥フード20を作製する必要が
あるので、少量多品種生産や実験検討用に使用する乾燥
フードとしては不向きである。
【0063】次に、図2によりフード結合方式による乾
燥フード20を詳細に説明する。なお、図(A)は乾燥
フード20の概略平面図で、図(B)は概略側面図であ
る。
【0064】図中、参照符号の20A、20B、20
C、20Dは乾燥フード20を構成する長さの短い中空
円筒状の乾燥フードで、例えば、外周の3箇所に等間隔
で上端部と下端部にネジ穴加工が施されている。30は
連結部材で、縦長の長方形状で中央部に長穴31が形成
されている。40は止めネジやボルト等の締結部材で、
連結部材30および締結部材40等により連結手段を構
成している。
【0065】なお、説明を簡単にするため、図(B)に
おいて、明らかに同一部材、同一面等を示すものについ
ては、参照符号の付記を省略した。
【0066】長さの短い中空円筒状の乾燥フード(以
下、フードという。)20A、20B、20C、20D
を使用してスリットSをS1、S2、S3、S4の4箇
所に設ける場合は、フード20A、20B、20C、2
0Dを連結部材30A、30B、30C、30Dを用い
て締結部材40でそれぞれ仮締めした後、間隔調整治具
(図示せず)等を用いてフード間を所望の間隔に調整し
てスリットS1、S2、S3、S4を形成し、最後に締
結部材40を緩まないように強く締めて本締めすること
により乾燥フード20を形成することができる。
【0067】なお、連結部材30Dは垂直塗布装置10
との間にスリットS4を設けるためのもので、他の連結
部材30A、30B、30Cより若干短いものを使用し
た。
【0068】また、連結部材30には長穴31が形成さ
れているので締結部材40をこの長穴31に挿入してフ
ード間を締結することにより、スリットSの幅を所望の
間隔に容易に形成することが出来るようになっており、
スリットSの幅の変更が生じた場合またはスリットS
1、S2、S3、S4をそれぞれ異なる幅に設定したい
場合、あるいはスリットSを設ける箇所を増加したり削
減したりする場合においては、締結部材40を緩めてフ
ード間隔を拡げたり縮めたり、また密着させたりするこ
とにより容易に実現できるものである。
【0069】更に、フードの追加や削除により、乾燥フ
ード20の長さを長くしたり短くしたりして、適切な乾
燥フード20の長さを設定することもできる。
【0070】スペーサー方式は、特に図示はしないが、
基本的にはフード20A、20B、20C、20Dを用
いる点で前述のフード結合方式と同様な構造であり、特
長も類似している。
【0071】つまり、フード結合方式ではスリットS
1、S2、S3、S4を形成する場合に、連結手段であ
る連結部材30や締結部材40によりフード間を連結す
る際に、間隔調整治具等を用いてスリットの幅を調整し
たが、スペーサー方式では、間隔調整治具の代わりに、
予め異なる幅で複数種類かつ幅毎に複数個準備していた
スペーサー(図示せず)を所望の間隔になるように選択
して挟み込んでスリットSを形成するようにしたもの
で、フード20A、20B、20C、20Dをスペーサ
ーを挟み込んで積み上げた際に崩落の危険性がなけれ
ば、特に連結部材30等の連結手段を使用しフード間を
連結する必要もないので、乾燥フード20の交換や設定
変更を行う場合は、フード結合方式より作業工程も少な
く容易に行える利点がある。
【0072】なお、スペーサーは、均一な幅を有するも
のであれば、どのような形状のものでも良く、容易に変
形しないものが好ましい。
【0073】また、スペーサーを設置する際に、円筒状
基材1に塗布された塗布膜2Aを傷つけたり、塗布膜中
の溶媒の蒸発経路を妨げないように設置することが必要
で、円筒状乾燥フード20の内面側より若干の距離(例
えば、設置部の幅の1/4〜1/2程度)をおいて外面
側の方向に位置するように設置することが好ましい。
【0074】次に、図3により自動調節方式のスリット
自動調節式乾燥フードに関して説明する。なお、図
(A)は乾燥フードの要部を示す概略平面図で、図
(B)は要部を展開した概略縦断面図である。
【0075】図中の参照符号のMは歯車G1を有するモ
ータ、Tは軸部がネジ加工されモータMの歯車G1と噛
み合う歯車G2を有する調整部材で有り、21および2
2は乾燥フード20を構成するフード20A、20B、
20C、20Dにそれぞれ設けられているフランジで、
21は調整部材Tの軸の先端部T1と接触する調整面2
1Aを有する調整フランジであり、22は調整部材Tの
軸部のネジと嵌合する雌ネジ部22BとモータMを取り
付ける取付け部が設けられている固定フランジである。
【0076】なお、説明を簡単にするため、図(B)に
おいて、明らかに同一部材、同一面等を示すものについ
ては、参照符号の付記を省略した。
【0077】図(A)と(B)を参照して、フード駆動
装置の構成について説明する。例えば、フード20Aの
固定フランジの雌ネジ部22Bに調整部材Tをねじ込ん
で、組込み基準である歯車G2の下部端面が固定フラン
ジ22の上部端面22Aに接する位置までねじ込むと、
調整部材Tの軸の先端部T1が固定フランジ22の端面
22Cより所定の長さ分だけ突出することになる。
【0078】次に、モータMの歯車G1と調整部材Tの
歯車G2を噛み合わせた状態で、モータMを固定フラン
ジ22のモータ取付け部に固定する。なお、モータMの
駆動や制御を行うための電線類(図示せず)は、コネク
タ(図示せず)に結線されているものとする。
【0079】これにより、フード駆動装置が正しい組込
み基準位置でフード20Aに組み込まれたことになる
が、均等にフード20Aを上下駆動させるためには、図
(A)に示すように同様のフード駆動装置を3箇所程度
設けることが望ましい。
【0080】以下同様にして、フード20B、20C、
20Dにもフード駆動装置を組み込み、それぞれのフー
ドを垂直塗布装置10の上面部に筒軸が偏芯しないよう
に設置した後に、それぞれのフード駆動装置のモータM
のコネクタを制御回路(図示せず)のコネクタ(図示せ
ず)に連結することによりフード駆動装置を備えた乾燥
フード20を完成させる。
【0081】本発明の実施の形態によるフード駆動装置
を備えた乾燥フード20のスリットSの自動調整作動に
ついて説明する。
【0082】制御回路を作動させモータMを、例えば、
正回転させると、モータMの歯車G1と調整部材Tの歯
車G2の噛み合いにより調整部材Tが回転し、調整部材
Tの軸部に設けられたネジ部と固定フランジ22の雌ネ
ジ部22Bとのネジ構造により、調整部材Tの歯車G2
の歯面はモータMの歯車G1の歯面と滑り接触しながら
調整部材Tが上方に移動するので、固定フランジ22の
端面22Cから突出していた調整部材Tの軸の先端部T
1が次第に固定フランジ22の端面22Cに近づき、や
がて、固定フランジ22の雌ネジ部22B内に入って行
く。
【0083】この時逆に、制御回路を作動させモータM
を負回転させると、調整部材Tの軸の先端部T1は、固
定フランジ22の雌ネジ部22B内から再び突出する。
【0084】つまり、調整部材Tの軸の先端部T1が固
定フランジ22の端面22Cより突出した長さが、フー
ド間の隙間となり、これがスリットSとなるのである。
【0085】そこで、予めスリットSの幅とモータMの
回転角度や回転数とを関連付けたデータを制御回路に記
憶させて制御できるようにしておけば、作業者は所望の
スリット幅を制御回路に入力するだけで、自動的にフー
ド駆動装置が作動し、所望のスリット幅が得られること
になる。
【0086】なお、フード駆動装置のモータMをフード
毎に制御できるようにしておけば、スリットS1、S
2、S3、S4を各々単独にスリット幅を調整でき、更
に、個々に制御できるようにしておけば、フードやフー
ド駆動装置等の加工や組立に起因する微妙なスリット幅
の製造誤差等の変化量も調整できるようになるのであ
る。
【0087】そして、更に、例えば、乾燥フード20の
内側やスリットSの近傍等に、塗布液2の溶媒の蒸発状
態を検出するセンサーを設け、このセンサーの検出した
溶媒の蒸発状態等の情報に基づきフード駆動装置のモー
タMを制御するようにすれば、乾燥工程の稼働中にも自
動的にそれぞれのスリットSを適切なスリット幅に調整
でき、最適な乾燥状態を作り出すことが可能である。
【0088】また、本実施の形態において、フード駆動
装置はモータMによる歯車機構とネジ機構を組み合わせ
た構造の装置としたが、これに限るものでなく、フード
間の隙間を制御回路により調整できるものであれば良
く、例えば、プランジャー装置等の電磁駆動装置等、他
の装置を適用しても良いものである。
【0089】本発明の実施の形態における乾燥フード2
0と従来の穴付き乾燥フードおよびスリットのない乾燥
フードを比較した実験を行ったので説明する。
【0090】データ1は、本発明の実施の形態における
乾燥フード20と従来の穴付き乾燥フードおよびスリッ
トのない乾燥フードの実験条件を比較したもので、デー
タ2はその結果をまとめたものである。
【0091】なお、データ1とデータ2のナンバー(N
o.)が同一のものは乾燥フード20の同一の実験条件
を示すものとする。
【0092】本発明の実施の形態における乾燥フード2
0の実験条件は、フード内径(乾燥フード20の内
径)、ドラム外径(円筒状基材1の外径)、差(フード
内径とドラム外径との差)、フード長さ(乾燥フード2
0の長さ)、スリット幅(スリットSの幅)を後述する
データ1の実験1〜8に記載の条件で8通りにそれぞれ
変化させ、このときの乾燥膜厚(Hd)、膜厚偏差(乾
燥膜厚の膜厚偏差)、画像ムラの有無を調べると共に、
判定(総合判定)を行った。
【0093】なお、判定の優(◎)は特に優れているも
の、良(○)は従来の穴付き乾燥フードより良いもの、
不可(×)は従来の穴付き乾燥フードと同等以下のもの
とした。
【0094】因に、乾燥膜厚とは、円筒状基材1の外周
面に塗布液2を均一に塗布した後に乾燥して形成される
塗布膜2Aの膜厚をいう。
【0095】 (データ1) No. フード内径 ドラム外径 差 フード長さ スリット幅 (実験) (mm) (mm) (mm) (mm) (mm) 1 100 80 20 200 0.2 2 100 80 20 400 0.2 3 150 60 90 250 5.0 4 100 30 70 350 3.0 5 250 60 190 400 5.0 6 100 80 20 100 0.2 7 100 30 70 350 7.0 8 250 30 220 400 1.0 比較例1 100 80 20 400 φ3.5穴 比較例2 100 80 20 400 無し 但し、比較例1は従来型穴付きフードで、比較例2は穴もスリットも無し。
【0096】なお、本発明の実施の形態による乾燥フー
ド20の実験1〜8においては、塗布液2を円筒状基材
1の外周面に100μmの厚さに塗布しており、比較例
1の従来の穴付き乾燥フードは、フード内径φ100m
m、フード長さ400mm、φ3.5mmの穴を複数個
設けたもので、比較例2のスリットなしの乾燥フード
は、フード内径、フード長さ等の条件は実験2と同一寸
法のものを使用し、比較例1および比較例2は、ドラム
外径φ80mmの円筒状基材1に実験1〜8と同様に塗
布液2を100μmの厚さに塗布した。また、円筒状基
材1の乾燥フード20内を通過する速度は、一般に8〜
40mm/s程度の速度が用いられるが、今回はほぼ中
間の20mm/sの速度に実験1〜8も比較例1〜2も
全て統一することにした。
【0097】 (データ2) No Hd(μm) 膜厚偏差(μm) 画像ムラ 判定 1 23 Δ0.5 無 ◎ 2 23 Δ0.4 無 ◎ 3 25 Δ0.5 無 ◎ 4 28 Δ0.5 無 ◎ 5 28 Δ0.5 無 ◎ 6 23 Δ1.1 有 ○ 7 28 Δ1.2 有 ○ 8 25 Δ1.8 有 ○ 比較例1 25 Δ2.1 有 × 比較例2 25 Δ2.2 有 × その結果、データ2で明らかなように、実験1〜8にお
いて、実験1〜5は、乾燥膜厚(Hd)は23〜28μ
mの範囲に形成され、膜厚偏差はΔ0.4〜0.5μm
と1μm以内を達成しており、目視による検査の結果、
画像ムラも無く、判定は優(◎)であったが、実験6〜
8は、乾燥膜厚(Hd)は23〜28μm範囲に形成さ
れ、膜厚偏差はΔ1.1〜1.8μmで1μm以上とな
りバラツキが大きく、画像ムラも有り、判定は良(○)
であった。
【0098】また、比較例1の従来の穴付き乾燥フード
と比較例2のスリットなしの乾燥フードは、膜厚偏差も
Δ2μm以上で極めてバラツキも大きく、画像ムラも有
り、判定も不可(×)であった。
【0099】そして、判定が優(◎)であった実験1〜
5は、フード長さは200〜400mmの範囲にあり、
スリット幅は0.2〜5mmの範囲に設定され、また、
フード内径とドラム外径との差が200mm以下の範囲
にあることがわかる。
【0100】なお、実験6の判定が良(○)となった理
由は、スリット幅が0.2〜5mmの範囲で、また、フ
ード内径とドラム外径との差が200mm以下の範囲に
あるにも係わらず、実験6はフード長さが実験1〜5と
比較して100mmと短いため、膜厚偏差がΔ1.1μ
mと僅かに1μmを越えてしまったことから理解ができ
るように、乾燥フード20中を通過する時間が若干短
く、塗布膜中の溶媒が僅かに早く蒸発し乾燥されたこと
により乾燥膜厚(Hd)に僅かにバラツキが生じたのが
原因である。
【0101】また、実験8の判定が良(○)となった理
由は、スリット幅が0.2〜5mmの範囲で、フード長
さが実験1〜5は200〜400mmであるにも係わら
ず、フード内径とドラム外径との差が大きい実験5にお
いても190mmであるのに対し実験8は220mmと
更に大きいため、フード内径とドラム外径との空間が広
がりすぎて、膜厚偏差がΔ1.8μmとバラツキが大き
く発生したことから理解できるように、やはり急激に塗
布膜中の溶媒が蒸発し乾燥されたことにより乾燥膜厚
(Hd)にバラツキが生じたのが原因である。
【0102】つまり、以上のことから、判定が優(◎)
となる条件は、スリット幅が0.2〜5mmの範囲で、
また、フード内径とドラム外径との差は、塗布膜2Aが
乾燥フード20の配置の際の中心軸Zに対する位置のバ
ラツキ等により乾燥フード20の内径と接触しない程度
の空間を考慮して最少の寸法を設定し、実験5が190
mmで判定が優(◎)であったことから若干の余裕を見
て最大の寸法を設定した結果、2〜200mmの範囲に
あることが必要であるといえる。
【0103】なお、乾燥フードの長さは、乾燥フード2
0中を通過する円筒状基材1の速度とも関連するので一
概には言えないが、急激な乾燥を防止するようにするた
めには、8〜40mm/s程度の速度で有れば、200
〜400mm程度あることが好ましいといえる。
【0104】以上のように、本発明の塗布乾燥装置にお
いては、従来の穴付き乾燥フードの穴に変えて乾燥フー
ド20にスリットを設けたので、乾燥工程では、円筒状
基材1の外周面に塗布した塗布膜2A等の溶媒を均一に
蒸発させ乾燥させることができ、膜厚の厚い塗布膜2
A、すなわち電子写真装置の感光体ドラムの電荷輸送層
(CTL)の層厚を厚く形成できるようになったので、
高速、高画質、高耐久の感光体ドラムを備えた電子写真
装置を提供することが出来るようになった。
【0105】なお、本発明の実施の形態においては、電
子写真装置の感光体ドラムの電荷輸送層(CTL)とな
る塗布膜2Aの塗布乾燥に関してのみ説明してきたが、
従来より浸漬法等により円筒状基材1に形成されていた
接着層や電荷発生層(CGL)を本発明の実施の形態に
おける塗布乾燥装置を用いて、例えば、接着層を塗布す
る塗布乾燥装置、CGLを塗布する塗布乾燥装置、CT
Lを塗布する塗布乾燥装置を順に円筒状基材1が通過す
るようにして、全ての層を形成することも可能で、その
際に、本発明の実施の形態における塗布乾燥装置の乾燥
フード20を用いれば、それぞれの乾燥条件等に適した
各乾燥フードのスリットの幅の設定作業が容易に行え、
更には自動化も可能である。
【0106】また、円筒状基材を塗布乾燥する必要があ
るものであれば、感光体ドラムに限らず、本発明の塗布
乾燥装置および塗布乾燥方法は、どのようなものにも使
用できるものである。
【0107】
【発明の効果】塗布乾燥装置の乾燥フードにスリットを
設けたことにより、円筒状基材の外周面上に塗布した塗
布膜に含まれる溶媒を均一に蒸発させ乾燥させることが
でき、電子写真装置の感光体ドラムの電荷輸送層をデー
タ面状態も良好な厚膜で、且つ均一な膜厚に連続して形
成でき、高速、高画質、高耐久の電子写真装置の提供が
可能な生産性の高い塗布乾燥装置及び塗布乾燥方法を提
供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の塗布乾燥装置の全体概略図である。
【図2】本発明のフード結合方式による乾燥フードの全
体概略図である。
【図3】本発明のスリット自動調節式乾燥フードの全体
概略図である。
【符号の説明】
M モータ S スリット T 調整部材 1 円筒状基材 2 塗布液 3 塗布ヘッド 4 塗布液スライド面 5 塗布液流出口 6 塗布液分配用流路 7 塗布液分配室 8 塗布液供給口 10 垂直塗布装置 20 乾燥フード 30 連結部材 40 締結部材
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2H068 AA21 AA35 EA18 EA19 4D075 AB04 AB14 AB32 AB36 AB38 AB52 AB56 BB24Z BB92Z CA48 DA15 DA20 DB04 DB06 DB07 DB31 DC19 DC21 DC24 EA07 EA45 4F040 AA07 AB06 AC01 BA35 BA39 CC02 CC13 CC18 DA12 DA14 DB11 4F042 AA03 AA06 BA03 BA08 BA25 DB36 DB37 DC00 DC03 DF07 DF34

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数の円筒状基材の端部が接するように
    筒軸を合致させて積み重ね、前記円筒状基材を垂直方向
    に移動させながら、垂直塗布手段により前記円筒状基材
    の外周面上に塗布液を連続的に塗布して塗布膜を形成し
    た後、円筒状乾燥フード中を通過させることにより前記
    塗布膜の乾燥を行う塗布乾燥装置において、前記円筒状
    乾燥フードの筒軸に対して垂直方向の全周に前記円筒状
    乾燥フードの内面側と外周面側とを連通する幅の均一な
    スリットを形成したことを特徴とする塗布乾燥装置。
  2. 【請求項2】 前記スリットを前記円筒状乾燥フードお
    よび前記円筒状乾燥フードと前記垂直塗布手段との間に
    設けたことを特徴とする請求項1に記載の塗布乾燥装
    置。
  3. 【請求項3】 所望の長さの円筒状乾燥フードより長さ
    の短い円筒状乾燥フードを複数個設け、前記長さの短い
    円筒状乾燥フードを筒軸を合致させて積み重ねることに
    より所望の長さの円筒状乾燥フードを形成する際に、前
    記長さの短い円筒状乾燥フード間を所望の幅の間隔で積
    み重ねることにより、前記スリットを形成するようにし
    たことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の塗
    布乾燥装置。
  4. 【請求項4】 前記長さの短い円筒状乾燥フード間を連
    結するための連結手段を設け、前記連結手段により前記
    長さの短い円筒状乾燥フード間を所望の幅の間隔で連結
    することにより、前記スリットを形成するようにしたこ
    とを特徴とする請求項3に記載の塗布乾燥装置。
  5. 【請求項5】 幅の異なる複数種類のスペーサーをそれ
    ぞれの幅毎に複数個備え、前記長さの短い円筒状乾燥フ
    ード間に所望の幅の前記スペーサーを選択して挿入する
    ことにより前記スリットを形成するようにしたことを特
    徴とする請求項3に記載の塗布乾燥装置。
  6. 【請求項6】 伸縮可能な調整手段を有するフード駆動
    手段を前記長さの短い円筒状乾燥フードに備え、前記長
    さの短い円筒状乾燥フードを筒軸を合致させて積み重ね
    ることにより所望の長さの円筒状乾燥フードを形成する
    際に、前記フード駆動手段を駆動し前記調整手段を伸縮
    させることにより前記長さの短い円筒状乾燥フード間の
    間隔を調整して前記スリットを形成するようにしたこと
    を特徴とする請求項3に記載の塗布乾燥装置。
  7. 【請求項7】 前記スリットの幅が0.2mm以上5m
    m以下であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか
    1項に記載の塗布乾燥装置。
  8. 【請求項8】 前記円筒状乾燥フードの内径は次式を満
    足することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に
    記載の塗布乾燥装置。2(mm)≦フード内径(mm)
    −円筒状基材の外径(mm)≦200(mm)
  9. 【請求項9】 前記円筒状乾燥フードにより前記塗布膜
    が乾燥され形成される塗布層の層厚が23μm以上40
    mm以下であることを特徴とする請求項1〜8のいずれ
    か1項に記載の塗布乾燥装置。
  10. 【請求項10】 前記塗布層が電子写真装置の感光体ド
    ラムの電荷輸送層であることを特徴とする請求項1〜9
    のいずれか1項に記載の塗布乾燥装置。
  11. 【請求項11】 複数の円筒状基材の端部が接するよう
    に筒軸を合致させて積み重ね、前記円筒状基材を垂直方
    向に移動させながら、垂直塗布手段により前記円筒状基
    材の外周面上に塗布液を連続的に塗布して塗布膜を形成
    した後、円筒状乾燥フード中を通過させることにより前
    記塗布膜の乾燥を行う塗布乾燥方法において、乾燥工程
    は、前記塗布膜が形成された前記円筒状基材を前記塗布
    膜に含まれる溶媒を蒸発させるためのスリットを設けた
    前記円筒状乾燥フード中を通過させて乾燥させるように
    したことを特徴とする塗布乾燥方法。
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