JP2003188432A - 圧電素子及びその製造方法、並びに圧電素子を備えたインクジエツトヘツド及びインクジエツト式記録装置 - Google Patents

圧電素子及びその製造方法、並びに圧電素子を備えたインクジエツトヘツド及びインクジエツト式記録装置

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JP2003188432A
JP2003188432A JP2001384312A JP2001384312A JP2003188432A JP 2003188432 A JP2003188432 A JP 2003188432A JP 2001384312 A JP2001384312 A JP 2001384312A JP 2001384312 A JP2001384312 A JP 2001384312A JP 2003188432 A JP2003188432 A JP 2003188432A
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JP2001384312A
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Atsushi Tomosawa
淳 友澤
Akiyuki Fujii
映志 藤井
Hideo Torii
秀雄 鳥井
Akiko Kubo
晶子 久保
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Panasonic Holdings Corp
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Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高い圧電定数(d31)を有し、圧電特性の再
現性が良好で、ばらつきが小さく、信頼性の高い圧電素
子とその製造方法を提供すること。 【解決手段】 基板1上に酸化性金属からなる密着層2
を設け、その密着層上に非酸化性金属からなる第1の電
極層3を設け、その第1の電極層上に島状に分布した前
記密着層の元素の酸化物からなるシ−ド5を設け、その
シ−ドを形成した第1の電極上に酸化物からなる配向制
御層6を設け、その配向制御層上に酸化物からなる圧電
体層7を設け、その圧電体層上に第2の電極層8を設け
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、マイクロセンサ、
マイクロアクチュエーター、マイクロポンプ、マイクロ
スピーカー、インクジエツトヘツド等に利用される圧電
素子及びその製造方法並びにインクジエツトヘツド及び
インクジエツトヘツドを印字手段として備えたインクジ
エツト式記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年圧電素子を備えた電子機器に対して
小型化、省電力化、高速駆動化が強く要求されるような
ってきた。その要求を満たすために、圧電素子は従来か
ら多く使用されてきた焼結体に比べて著しく体積の小さ
い圧電体薄膜を利用したものが使用されるようになって
きた。従来のこの種の圧電素子としては図6の一部断面
図に示すように、絶縁膜100上にチタンと白金からなる
電極下層101を設け、その上に白金からなる電極上層を
設けて下部電極103とし、下部電極103上に圧電体薄膜層
104を設け、圧電体薄膜上に上部電極105を設けて圧電体
薄膜104にクラツクの発生が生じにくくしたものがあっ
た(例えば特開2000−252544号公報)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記従来技術
のように非酸化性金属からなる電極上にチタン酸ジルコ
ン酸鉛(以下、PZTという)のような酸化物の圧電体薄
膜を形成すると、高い圧電定数(d31)が得られる(00
1)の結晶面が優先配向した圧電体薄膜が再現性よく形
成できないという課題があった。また、非酸化性金属か
らなる電極と酸化物の圧電体薄膜との間では強固な接着
性が得られないという課題もあった。従って、従来の構
成の圧電素子を量産すると、高い圧電定数(d31)が得
られない、圧電特性の再現性に欠ける、ばらつきが大き
い、信頼性が低いという課題があった。また、従来の圧
電素子を備えたインクジエツトヘツドはインク吐出能が
低く、量産すると特性の再現性に欠け、ばらつきが大き
く、信頼性が低いという課題があった。さらに、従来の
インクジエツトヘツドを備えたインクジエツト式記録装
置は記録媒体に対する記録のばらつきが大きく、信頼性
が低いという課題があった。本発明は、従来技術におけ
る前記課題を解決するものであり、高い圧電定数
(d31)を有し、圧電特性の再現性が良好で、ばらつき
が小さく、信頼性の高い圧電素子とその製造方法を提供
することを目的とする。また、高性能なインクジエツト
ヘツドとインクジエツト式記録装置を提供することを目
的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに本発明の圧電素子は、基板上に酸化性金属からなる
密着層を設け、その密着層上に非酸化性金属からなる第
1の電極層を設け、その第1の電極層上に島状に分布した
前記密着層の元素の酸化物からなるシ−ドを設け、その
シ−ドを形成した第1の電極層上に酸化物からなる配向
制御層を設け、その配向制御層上に酸化物からなる圧電
体層を設け、その圧電体層上に第2の電極層を設けたこ
とを特徴とする。
【0005】前記圧電素子の構成によれば、酸化物から
なるシ−ドを設けることにより第1の電極層と酸化物か
らなる配向制御層との接着性を強固にし、配向制御層と
酸化物からなる圧電体層とも強固な接着性を得ることが
可能となる。
【0006】また、配向制御層により圧電体層を(00
1)の結晶面を優先配向させることが可能となるので高
い圧電定数(d31)を有し、圧電特性の再現性、ばらつ
き、信頼性の高い圧電素子を実現することができる。
【0007】前記圧電素子の構成における密着層は、チ
タン、鉄、コバルト、ニツケル、マンガンの群から選ば
れた1種以上であるのが好ましい。そして、密着層の厚
みは0.005μmから0.2μmであるのが好ましい。また、第
1の電極層は、白金、イリジウム、ロジウム、ルテニウ
ムの群から選ばれた1種以上であるのが好ましい。ま
た、シ−ドは、酸化チタン、酸化鉄、酸化コバルト、酸
化ニツケル、酸化マンガンの群から選ばれた1種以上で
あるのが好ましい。そして、第1の電極層に対するシ−
ドの比率は0.1原子%から15原子%であるのが好まし
い。また、配向制御層は、チタン酸鉛ランタンもしくは
チタン酸鉛ランタンにマグネシウム又はマンガンの群か
ら選ばれた1種以上を添加し、さらに鉛がチタン酸鉛ラ
ンタンの化学量論組成よりも5原子%から30原子%過剰
に含まれた組成であるものが好ましい。そして、配向制
御層の厚みは0.005μmから0.2μmであるのが好ましい。
また、圧電体層は、チタン酸ジルコン酸鉛もしくはチタ
ン酸ジルコン酸鉛にマグネシウム(Mg)、ニオブ(N
b)、亜鉛(Zn)の群から選ばれた1種以上を添加したも
のであるのが好ましい。そして、圧電体層の厚みは1μm
から10μmであるのが好ましい。
【0008】本発明に係る圧電素子の製造方法は、基板
上に酸化性金属からなる密着層を非酸化性雰囲気中で形
成し、その密着層上に非酸化性金属からなる第1の電極
層を非酸化性雰囲気中で形成し、前記密着層と前記第1
の電極層を酸化性雰囲気中でアニ−ルして密着層の元素
を第1の電極層上に拡散させて島状に分布させ、その密
着層の元素を酸化させてシ−ドを形成し、そのシ−ドを
形成した第1の電極層上に酸化物からなる配向制御層を
形成し、その配向制御層上に酸化物からなる圧電体層を
形成し、その圧電体層上に第2の電極層を形成すること
を特徴とする。
【0009】本発明の圧電素子の製造方法によれば、酸
化物からなるシ−ドを形成することにより第1の電極層
と酸化物からなる配向制御層との接着性が強固になり、
配向制御層と圧電体層とも強固な接着性を得ることが可
能となり、配向制御層により圧電体層を(001)の結晶
面に優先配向させることが可能となるので高い圧電定数
(d31)を有し、圧電特性の再現性が良好で、ばらつき
が小さく、信頼性の良好な圧電素子を製造することがで
きる。
【0010】本発明に係るインクジエツトヘツドは、基
板の一方の面上に振動板を設け、その振動板上に酸化性
金属からなる密着層を設け、その密着層上に非酸化性金
属からなる第1の電極層を設け、その第1の電極層上に島
状に分布した前記密着層の元素の酸化物からなるシ−ド
を設け、そのシ−ドを形成した第1の電極層上に酸化物
からなる配向制御層を設け、その配向制御層上に酸化物
からなる圧電体層を設け、その圧電体層上に第2の電極
層を設け、前記基板の他方の面に隔壁で囲まれた圧力室
を設けた圧電素子と、その圧電素子の隔壁と、インク吐
出口及び圧力室を備えたインクジエツトヘツド本体とを
接合したことを特徴とする。
【0011】前記本発明のインクジエツトヘツドの構成
によれば、酸化物からなるシ−ドにより第1の電極層と
配向制御層との接着性が強固になり、配向制御層と圧電
体層とも強固な接着性を得ることが可能となり、配向制
御層により圧電体層を(001)の結晶面に優先配向させ
ることが可能となるので高い圧電定数(d31)を有し、
圧電特性の再現性が良好で、ばらつきが小さく、信頼性
の良好なインクジエツトヘツドを実現することができ
る。
【0012】また、高い圧電定数(d31)の圧電体層を
備えているためインク吐出能の高いインクジエツトヘツ
ドを実現することができる。
【0013】また、本発明のインクジエツトヘツドはイ
ンク吐出能が高いため、電源電圧の調整幅のマ−ジンを
大きくとることができるのでインク吐出量のばらつきを
容易に制御することができる。
【0014】また、本発明のインクジエツトヘツドの構
成においては、酸化性金属からなる密着層はチタン、
鉄、コバルト、ニツケル、マンガンの群から選ばれた1
種以上であるのが好ましい。そして、密着層の厚みは0.
005μmから0.2μmであるのが好ましい。また、非酸化性
金属からなる第1の電極層は、白金、イリジウム、ロジ
ウム、ルテニウムの群から選ばれた1種以上であるのが
好ましい。また、シ−ドは、酸化チタン、酸化鉄、酸化
コバルト、酸化ニツケル、酸化マンガンの群から選ばれ
た1種以上であるのが好ましい。そして、第1の電極層に
対するシ−ドの比率は0.1原子%から15原子%であるの
が好ましい。また、配向制御層はチタン酸鉛ランタンも
しくはチタン酸鉛ランタンにマグネシウム又はマンガン
の群から選ばれた1種以上を添加したものであり、さら
に鉛がチタン酸鉛ランタンの化学量論組成よりも5原子
%から30原子%過剰に含まれた組成であるのが好まし
い。そして、配向制御層の厚みは0.005μmから0.2μmで
あるのが好ましい。また、圧電体層は、チタン酸ジルコ
ン酸鉛もしくはチタン酸ジルコン酸鉛にマグネシウム
(Mg)、ニオブ(Nb)、亜鉛(Zn)の群から選ばれた1
種以上を添加したものであるのが好ましい。そして、圧
電体層の厚みは1μmから10μmであるのが好ましい。
【0015】本発明のインクジエツトヘツドの製造方法
は、基板上の一方の面上に振動板を形成し、その振動板
上に酸化性金属からなる密着層を非酸化性雰囲気中で形
成し、その密着層上に非酸化性金属からなる第1の電極
層を非酸化性雰囲気中で形成し、前記密着層と前記第1
の電極層を非酸化性雰囲気中でアニ−ルして密着層の元
素を第1の電極層上に拡散させて島状に分布させ、この
密着層の元素を酸化性雰囲気中で酸化させてシ−ドを形
成し、そのシ−ドを形成した第1の電極層上に配向制御
層を形成し、その配向制御層上に圧電体層を形成し、そ
の圧電体層上に第2の電極層を形成し、前記基板の他方
の面に隔壁で囲まれた圧力室を形成して圧電素子を形成
し、その圧電素子の隔壁と、インク吐出口及び圧力室を
備えたインクジエツトヘツド本体とを接合することを特
徴とする。
【0016】本発明のインクジエツトヘツドの製造方法
によれば、酸化物からなるシ−ドにより第1の電極層と
配向制御層との接着性が強固になり、配向制御層と圧電
体層とも強固な接着性を得ることが可能となるので圧電
特性の再現性が良好で、ばらつきが小さく、信頼性の良
好なインクジエツトヘツドを製造することができる。
【0017】本発明に係るインクジエツト式記録装置の
構成は、本発明のインクジェットヘッドと、前記インク
ジェットヘッドを記録媒体の幅方向に移送するインクジ
ェットヘッド移送手段と、前記インクジェットヘッドの
移送方向に対して略垂直方向に記録媒体を移送する記録
媒体移送手段とを備えたことを特徴とする。このインク
ジエツト式記録装置の構成によれば、インク吐出能が高
く、信頼性の高いインクジェットヘッドを用いて構成す
ることにより、記録媒体に対する記録のばらつきが小さ
く、信頼性の高いインクジエツト式記録装置を実現する
ことができる。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態について
図面を参照しながら説明する。
【0019】(実施形態1)図1は本実施形態の圧電素
子の製造方法を示す図である。同図(a)において、1は
厚みが0.2mm、幅が20mm、長さが20mmのシリコン(Si)
からなる基板であり、その基板上に厚みが0.01μmの酸
化性金属であるチタン(Ti)からなる密着層2を形成し
た。この密着層は、基板を400℃に加熱しながら非酸化
性雰囲気の1Paのアルゴンガス中で5分間スパツタリング
を行って形成した。次に密着層上に厚みが0.2μmの非酸
化性金属である白金(Pt)からなる第1の電極層3を形成
した。この第1の電極層は室温において1Paのアルゴンガ
ス中で30分間スパツタリングを行って形成した。次に図
1(b)および(c)に示すように、基板、密着層、第1の
電極層からなる積層体を0.5Paのアルゴン−酸素ガス
(ガス体積比Ar:O2=10:2)の酸化性雰囲気中で300℃
で30分アニ−ルしてチタンを白金中に拡散させて島状に
分布させて酸化チタン(TiOx)からなる島状に分布した
シ−ド5を形成した。この場合の第1の電極層表面にお
けるシ−ドの比率(Ti/Pt)をニ次イオン質量分析法(S
IMS)で測定すると1.5原子%であった。次に図1(d)に
示すように、表面にシ−ドを形成した第1の電極層上
に、厚みが0.02μmの鉛の含有量が化学量論組成よりも
過剰な、組成0.8(Pb0.9La0.1)TiO3+0.2PbOのチタン酸
鉛ランタンからなる配向制御層6を形成した。この配向
制御層は基板を560℃に加熱しながら0.3Paのアルゴン−
酸素ガス(ガス体積比Ar:O2=19:1)中で、0.7(Pb
0.9La0. 1)TiO3+0.3PbOの組成のターゲットを用いて10
分間スパッタリングを行って形成した。この配向制御層
は(001)面が優先配向したペロブスカイト型結晶構造
である。次に、配向制御層上に、基板を600℃に加熱し
ながら0.3Paのアルゴン−酸素ガス(ガス体積比Ar:O2
=19:1)中で2時間スパッタリングを行って厚みが2.5
μmの(001)面が優先配向したチタン酸ジルコン酸鉛
(PbZr0.53Ti0.47O3)からなるペロブスカイト型結晶構
造の圧電体層7を形成した。この圧電体層の(001)面の
配向度をX線回折法で測定すると98%であった。ここで
配向度とは、(001)面、(110)面、(111)面の回折
強度の和を100としたときの(001)面の回折強度の割合
である。次に圧電体層上に厚みが0.2μmの白金(Pt)か
らなる第2の電極層7を形成した。2から7の各層の幅は0.
2mm、長さは15mmとし基板上に100個形成した。上記構成
の圧電素子において第1の電極層と第2の電極層の間に電
気信号を印加すると圧電体層において機械信号に変換さ
れる。本実施形態の圧電体層の圧電定数(d31)は−100
pC/Nで、そのバラツキは±1.5%の範囲であった。この
圧電定数(d31)の測定法については後で述べる。ま
た、この圧電素子に100Vの交流電圧を10時間印加した
が、99%が破壊せず、高い信頼性を示した。以上の様
に、本実施形態の圧電素子によれば、次に記載する比較
例と比較すると各層の密着性が向上し、圧電体層中には
クラツクの発生がなく、かつ(001)面が優先配向した
圧電薄膜を再現性良く形成できるので工業的に量産して
も特性の再現性に優れ、ばらつきが少なく、信頼性も向
上した。
【0020】(比較例1)実施形態1と同じシリコン(S
i)からなる基板上に厚みが0.05μmのチタン(Ti)からな
る密着層を形成した。この密着層は、基板を400℃に加
熱しながら1Paのアルゴンガス中で30分間スパツタリン
グを行って形成した。次に密着層上に厚みが0.2μmの白
金(Pt)からなる第1の電極層を形成した。この第1の電
極層は室温において1Paのアルゴンガス中で30分間スパ
ツタリングを行って形成した。次に、第1の電極層上に
厚みが2.5μmのチタン酸ジルコン酸鉛(PbZr0.53Ti0.47
O3)からなる圧電体層を形成した。この圧電体層は基板
を600℃に加熱しながら0.3Paのアルゴン−酸素ガス(ガ
ス体積比Ar:O2=19:1)中で2時間スパッタリングを行
って形成した。次に圧電体層上に厚みが0.2μmの白金
(Pt)からなる第2の電極層を形成した。この第1の電極
層は室温において1Paのアルゴンガス中で30分間スパツ
タリングを行って形成した。前記の各層の幅は0.2mm、
長さは15mmとし基板上に100個形成した。本比較例の圧
電素子が実施形態1と異なる点は、第1の電極上に酸化物
からなるシ−ドがなくかつ配向制御層を設けていない点
である。この圧電体層の(001)面の配向度は30%で、
かつ圧電特性を示さないパイロクロア相の混じった状態
であり、圧電定数(d31)は−5〜−25pC/Nの範囲で、バ
ラツキが大きい結果であった。また、この圧電素子に10
0Vの交流電圧を印加すると10分間で95%が破壊した。
【0021】(比較例2)実施形態1と同じシリコン(S
i)からなる基板上に厚みが0.05μmのチタン(Ti)からな
る密着層を形成した。この密着層は、基板を400℃に加
熱しながら1Paのアルゴンガス中で30分間スパツタリン
グを行って形成した。次に密着層上に厚みが0.2μmの白
金(Pt)からなる第1の電極層を形成した。この第1の電
極層は室温において1Paのアルゴンガス中で30分間スパ
ツタリングを行って形成した。この基板、密着層、第1
の電極層からなる積層体を0.5Paのアルゴン−酸素ガス
(ガス体積比Ar:O2=10:2)の酸化性雰囲気中で300℃
で30分アニ−ルしてチタンを白金中に拡散させて島状に
分布させて酸化チタン(TiOx)からなる島状に分布した
シ−ド5を形成した。この場合の第1の電極層表面にお
けるシ−ドの比率(Ti/Pt)をニ次イオン質量分析法(S
IMS)で測定すると1.7原子%であった。次に表面にシ−
ドを形成した第1の電極層上に、厚みが0.02μmの鉛の
含有量が化学量論組成の組成(Pb0.9La0.1)TiO3のチタ
ン酸鉛ランタンからなる配向制御層を形成した。この配
向制御層は基板を560℃に加熱しながら0.3Paのアルゴン
−酸素ガス(ガス体積比Ar:O2=19:1)中で、(Pb0.9
La0.1)TiO3の組成のターゲットを用いて10分間スパッ
タリングを行って形成した。この配向制御層は、(00
1)面の配向度が20%と低いぺロブスカイト型結晶構造
であった。次に、この配向制御層上に、厚みが2.5μmの
チタン酸ジルコン酸鉛(PbZr0.53Ti0.47O3)からなる圧
電体層を形成した。この圧電体層は基板を600℃に加熱
しながら0.3Paのアルゴン−酸素ガス(ガス体積比Ar:O
2=19:1)中で2時間スパッタリングを行って形成し
た。次に圧電体層上に厚みが0.2μmの白金(Pt)からな
る第2の電極層を形成した。この第1の電極層は室温にお
いて1Paのアルゴンガス中で30分間スパツタリングを行
って形成した。前記の各層の幅は0.2mm、長さは15mmと
し基板上に100個形成した。本比較例の圧電素子が実施
形態1と異なる点は、配向制御層が鉛過剰の組成ではな
く、配向制御膜の(001)面の配向度が20%と低い点であ
る。この圧電体層の(001)面の配向度は40%で、かつ
圧電特性を示さないパイロクロア相の混じった状態であ
り、圧電定数(d31)は−10〜−45pC/Nで、バラツキが
大きい結果であった。また、この圧電素子に100Vの交流
電圧を印加すると30分間で75%が破壊した。
【0022】(実施形態2)本実施形態のインクジエツ
トヘツドは図2に示すように、実施形態1で用いたのと同
じシリコン基板1の一方の面上に厚みが5μmのクロムか
らなる振動板9を室温で1Paのアルゴンガス中でスパッタ
リング法で形成し、次に、その振動板上に実施形態1と
同じ圧電素子を同じ製造方法で形成し、次に図3に示す
ように、シリコン基板の他方の面をドライエツチング法
で加工してシリコンからなる隔壁10で囲まれた圧力室11
aを形成してインクジエツトヘツド用の圧電素子を形成
した。次に、前記圧電素子の隔壁と、インク吐出口12と
圧力室b13を備えたステンレスからなるインクジエツト
ヘツド本体14とを接着剤(アクリル樹脂)15で接着し
た。このような構成において、第1の電極層と第2の電極
層の間に電気信号を印加すると圧電素子で機械信号に変
換されてたわみ振動が発生し、そのたわみ振動により圧
力室内のインクがインク吐出口から吐出される。本実施
形態のインクジエツトヘツドは上記構成の単独のインク
ジエツトヘツドを20mm×20mmの面積内に100個形成
した。このインクジエツトヘツドは工業的に量産しても
吐出能の再現性、ばらつきは比較例の圧電素子を備えた
インクジエツトヘツドより格段に向上した。また、各単
独のインクジエツトヘツドに周波数10kHz、電圧30Vの交
流電圧を10日間印加してもインク吐出不良は全くなく、
吐出能もほとんど低下しなかった。
【0023】(実施形態3)本実施形態の圧電素子は実
施形態1で用いたのと同じシリコンからなる基板上にニ
ツケル(Ni)からなる厚みが0.01μmの密着層を形成し
た。この密着層は、基板を400℃に加熱しながら非酸化
性雰囲気の1Paのアルゴンガス中で15分間スパツタリン
グを行って形成した。次に密着層上に、非酸化性金属で
あるイリジウム(Ir)からなる厚みが0.15μmの第1の電
極層3を形成した。この第1の電極層は室温において1Pa
のアルゴンガス中で30分間スパツタリングを行って形成
した。次に、基板、密着層、第1の電極層からなる積層
体を1.0Paのアルゴン−酸素ガス(ガス体積比Ar:O2=1
0:2)の酸化性雰囲気中で400℃で30分アニ−ルしてニ
ツケルをイリジウム中に拡散させて島状に分布させて酸
化ニツケル(NiOx)からなる島状に分布したシ−ドを形
成した。この場合のシ−ドの比率(Ni/Ir)は3原子%で
あった。次にシ−ド上に、厚みが0.05μmの鉛の含有量
が化学量論組成よりも過剰な、組成0.85(Pb 0.9L
a0.1)TiO3+0.15PbOのチタン酸鉛ランタンに2原子%の
マグネシウムを添加した(001)面が優先配向したペロ
ブスカイト型結晶構造の配向制御層を形成した。この配
向制御層は基板を600℃に加熱しながら0.3Paのアルゴン
−酸素ガス(ガス体積比Ar:O2=18:2)中で20分間ス
パッタリングを行って形成した。この配向制御層上に厚
みが3μmのマグネシウムニオブ酸ジルコニウムチタン酸
鉛{0.6Pb(Mg1/3Nb2/3)O3+0.2PbZrO3+0.2PbTiO3}か
らなるペロブスカイト結晶構造の圧電体層を形成した。
この圧電体層の(001)面の配向度をX線回折法で測定す
ると100%であった。次に、圧電体層上に厚みが0.2μm
の白金(Pt)からなる第2の電極層を形成した。その断
面構造は図1(d)と同じである。上記各層の幅は0.2m
m、長さは15mmとし基板上に100個形成した。上記構成の
圧電素子において、第1の電極層と第2の電極層の間に電
気信号を印加すると圧電体層において機械信号に変換さ
れる。この圧電体層の圧電定数(d31)は−135pC/Nであ
り、そのバラツキは±2.0%の範囲であった。また、こ
の圧電素子に100Vの交流電圧を10時間印加したが、98%
が破壊せず、高い信頼性を示した。以上の様に、本実施
の形態の圧電素子によれば各層の密着性が向上し、圧電
体層中にはクラツクの発生がなく、かつ(001)面が優
先配向した圧電薄膜を再現性良く形成できるので工業的
に量産しても特性の再現性に優れ、ばらつきが少なく、
信頼性も向上した。
【0024】(実施形態4)本実施形態のインクジエツ
トヘツドは、実施形態3の圧電素子を備え、振動板に厚
みが3μmの酸化アルミニウム(Al2O3)を用いた以外は
実施形態2のインクジエツトヘツドと同じ構成である。
前記振動板は基板を600℃に加熱しながら5Paのアルゴン
−酸素ガス中でスパッタリング法で形成した。このイン
クジエツトヘツドの第1の電極層と第2の電極層の間に電
気信号を印加すると圧電体層で機械信号に変換されてた
わみ振動を発生させ、そのたわみ振動により圧力室内の
インクがインク吐出口から吐出される。本実施形態のイ
ンクジエツトヘツドは圧電定数の大きい圧電体層を備え
ているため実施形態2のインクジエツトヘツドより高い
吐出能を有する。本実施形態のインクジエツトヘツドは
単独のインクジエツトヘツドを20mm×20mmの面積内
に100個形成した。このインクジエツトヘツドは工業的
に量産しても吐出能の再現性、ばらつきは比較例の圧電
素子を備えたインクジエツトヘツドより格段に向上し
た。また、各単独のインクジエツトヘツドに周波数10kH
z、電圧30Vの交流電圧を10日間印加してもインク吐出不
良は全くなく、吐出能もほとんど低下しなかった。
【0025】(実施形態5)本実施形態の圧電素子は、
厚みが0.5mm、幅が20mm、長さが20mmのステンレスから
なる基板上に、酸化性金属であるマンガン(Mn)からなる
厚みが0.1μmの密着層をスパツタリング法で形成した。
この密着層は、基板を400℃に加熱しながら非酸化性雰
囲気の1Paのアルゴンガス中で30分間スパツタリングを
行って形成した。次に、密着層上に厚みが0.2μmの白金
ロジウム合金(Pt−Rh)からなる非酸化性金属である第
1の電極層を形成した。この第1の電極層は、室温におい
て非酸化性雰囲気の1Paのアルゴンガス中で40分間スパ
ツタリングを行って形成した。次に、基板、密着層、第
1の電極層からなる積層体を0.5Paのアルゴン−酸素ガス
(ガス体積比Ar:O2=10:2)の酸化性雰囲気中で300℃
で30分アニ−ルしてマンガンを白金ロジウム合金中に拡
散させて島状に分布させて酸化マンガン(MnOx)からな
る島状に分布したシ−ドを形成した。この場合のシ−ド
の比率(Mn/Pt-Rh)は10原子%であった。次にシ−ド上
に、厚みが0.05μmの鉛の含有量が化学量論組成よりも
過剰な、組成0.7(Pb 0.9La0.1)TiO3+0.3PbOのチタン
酸鉛ランタンに5原子%のマンガン(Mn)を添加した配
向制御層を形成した。この配向制御層は基板を560℃に
加熱しながら0.3Paのアルゴン−酸素ガス(ガス体積比A
r:O2=19:1)中で20分間スパッタリングを行って形成
した。この配向制御層は(001)面が優先配向したペロ
ブスカイト型結晶構造である。次に配向制御層上に、厚
みが3μmの亜鉛ニオブ酸ジルコニウムチタン酸鉛{0.6P
b(Zn1/3Nb2/3)0.2PbZrO3+0.2PbTiO3}からなるペロブ
スカイト型結晶構造の圧電体層を形成した。この圧電体
層の(001)面の配向度をX線回折法で測定すると95%で
あった。次に、圧電体層上に厚みが0.2μmの白金(Pt)
からなる第2の電極層を室温で1Paのアルゴンガス中で形
成した。その断面構造は図1と同じである。上記各層の
幅は0.2mm、長さは15mmとし基板上に100個形成した。上
記構成の圧電素子において第1の電極層と第2の電極層の
間に電気信号を印加すると圧電体層において機械信号に
変換される。この圧電体層の圧電定数(d31)は−110pC
/Nであり、そのバラツキは±1.8%の範囲であった。ま
た、この圧電素子に100Vの交流電圧を10時間印加した
が、99%が破壊せず、高い信頼性を示した。以上の様
に、本実施形態の圧電素子によれば、各層の密着性が向
上し、圧電体層中にはクラツクの発生がなくかつ(10
0)面が優先配向した圧電体層を再現性良く形成できる
ので工業的に量産しても特性の再現性に優れ、ばらつき
が少なく、信頼性も向上した。
【0026】(実施形態6)本実施形態のインクジエツ
トヘツドは、実施形態5の圧電素子を備え、振動板に厚
みが3μmの酸化ジルコニウム(ZrO2)を用いた以外は実
施形態2のインクジエツトヘツドと同じ構成である。前
記振動板は基板を600℃に加熱しながら2Paのアルゴン−
酸素ガス中でスパッタリング法で形成した。この構成に
おいて、第1の電極層と第2の電極層の間に電気信号を印
加すると圧電体層で機械信号に変換されてたわみ振動を
発生させ、そのたわみ振動により圧力室内のインクがイ
ンク吐出口から吐出される。本実施の形態のインクジエ
ツトヘツドは上記構成の単独のインクジエツトヘツドを
20mm×20mmの面積内に100個形成した。このインク
ジエツトヘツドは工業的に量産しても吐出能の再現性、
ばらつきは比較例の圧電素子を備えたインクジエツトヘ
ツドより格段に向上した。また、各単独のインクジエツ
トヘツドに周波数10kHz、電圧30Vの交流電圧を10日間印
加してもインク吐出不良は全くなく、吐出能もほとんど
低下しなかった。
【0027】(実施形態7)図4は本発明のインクジエ
ツトヘツドを備えたインクジエツト式記録装置16の概略
構成図である。同図において17はインクジエツトヘツド
であり、このインクジエツトヘツドから吐出されたイン
ク滴を紙等の記録媒体18に着弾させて記録を行う。イン
クジエツトヘツドは、キヤリツジ軸19に沿って主走査方
向Xに移動するインクジエツトヘツド移動手段20に搭載
されていて、インクジエツトヘツド移動手段がキヤリツ
ジ軸19に沿って往復動するのに応じて主走査方向Xに往
復動する。さらに、インクジエツト式記録装置は記録媒
体をインクジエツトヘツドの主走査方向Xと略垂直方向
の副走査方向Yに移動させる複数個の記録媒体移動手段2
1を備える。本実施形態のインクジエツト式記録装置は
吐出能のばらつきが少なく、10日間駆動してもインクの
吐出不良はなく高い信頼性を示した。
【0028】次に、図5を参照しながら本発明の圧電定
数(d31)の測定法について説明する。
【0029】同図において22が圧電定数(d31)を測定
するための厚さが2.5μmの圧電体層であり、その片面に
は厚さが0.1μmの白金からなる下部電極23が設けられ、
他方の面には厚さが1.5μmのアルミニウムからなる上部
電極24が設けられている。そして前記圧電体層と電極は
T字型の片持ち梁に加工されている。圧電体層と電極の
全長は800μmであり、幅が広い部分(幅は500μ
m)の長さは300μm、幅が狭い部分(幅は50μ
m)の長さは500μmである。幅の広い部分は導電性
接着剤(銀ペ−スト)25によって導電性支持基板(ステ
ンレス基板)26に固定されている。
【0030】下部電極と電気的に導通している導電性支
持基板には、リード線a27が接続されている。また、上
部電極にはリード線b28が接続されている。そしてリー
ド線a27、リード線b28を介して下部電極と上部電極と
の間に電圧を印加すると、圧電体層は図5のx方向に伸
びる。圧電体層の伸びの変化量ΔL(m)は、印加電圧
をE(V)、圧電体層の厚さをt(m)、圧電体層の長
さをL(m)、圧電体層の圧電定数をd31(pm/V)
として、下記(数1)によって表記される。
【0031】
【数1】
【0032】ここで、膜厚の薄い下部電極と接合してい
る圧電体層の下側部分はx方向へ伸びるが、膜厚の厚い
上部電極と接合している圧電体層の上側部分は、膜厚の
厚い上部電極によってその伸び変位が抑制される。その
結果、導電性支持基板に固定された一端部と反対側の圧
電体層の先端が図5の+z軸方向に変位する。従って、
電圧の印加と除去を一定周波数で繰り返すと、圧電体層
の先端が所定の変位幅でz軸方向に上下運動する。そし
て、印加電圧と圧電体層の先端の変位幅を測定し、前記
(数1)より圧電定数(d31)を算出した。
【0033】なお、本発明における圧電素子及びインク
ジエツトヘツドにおいて、基板としてはシリコン、ステ
ンレスについて説明したがこれらに代えてガラス、結晶
化ガラス、酸化マグネシウムを用いても同様の効果が得
られる。また、酸化性金属としてはチタン、ニツケル、
マンガンについて説明したがこれらに代えて鉄、コバル
トを用いても同様の効果が得られる。また、シ−ドとし
ては酸化チタン、酸化ニツケル、酸化マンガンについて
説明したがこれらに代えて酸化鉄、酸化コバルトを用い
ても同様の効果が得られる。また、非酸化性金属として
は白金、イリジウム、白金ロジウムについて説明したが
これらに代えてルテニウムを用いても同様の効果が得ら
れる。
【0034】さらに、第1の電極層に対するシ−ドの比
率を0.1原子%から15原子%に限定したのは、0.1原子%
未満では十分な密着性が得られないとともにシード上に
形成する配向制御膜の結晶の(001)配向性が悪化し、ま
た15原子%を超えると密着性が低下するとともにシード
上に形成する配向制御膜にペロブスカイト相以外のパイ
ロクロア相が混在して結晶性が悪化するためである。ま
た、密着層の厚みを0.005μmから0.2μmに限定したの
は、0.005μm未満では十分な密着性が得られないととも
にシードの拡散による供給量が不足し、0.2μmを超える
と密着性が低下するとともにシードの拡散による供給量
が過剰になるためである。
【0035】また、配向制御膜の厚みを0.005μmから0.
2μmに限定したのは、0.005μm未満では十分な(001)面
の配向性を有する配向制御膜が得られず、0.2μmを超え
ると圧電体層の(001)面の結晶配向に及ぼす影響に差異
が少なくなり、実用上不必要であるためである。さらに
配向制御膜のチタン酸鉛ランタンもしくはチタン酸鉛ラ
ンタンにマグネシウム又はマンガンの群から選ばれた1
種以上を添加したものに、鉛が化学量論組成よりも5原
子%から30原子%過剰に含まれた組成に限定した組成で
あるのは、鉛の過剰添加量が5%未満では配向制御膜の
(001)面の配向度が低くなり、圧電体層の(001)面の配向
度が低くパイロクロアの混ざった相となり圧電定数が低
下し、また鉛の過剰添加量が30%を超えると配向制御膜
の(001)面の配向度が低くなり、圧電体層の(001)面の配
向度が低く酸化鉛の混ざった相となり圧電定数が低下す
るためである。
【0036】さらに配向制御膜中のランタンの比率は、
過剰に含まれた鉛を除いた鉛/ランタンの比率が原子%
比で90/10の場合について説明したが、これに変えて鉛
/ランタン比率が99.9/0.1から70/30の間の組成であ
れば、同等の効果が得られる。
【0037】また、圧電体層の厚みを1μmから10μmに
限定したのは、1μm未満では大きな変位量が得られない
ためであり、10μmを超えると圧電体層の表面の凹凸が
大きくなり、第2の電極層を平坦に形成することが困難
になり、その結果、変位量のばらつきの小さい圧電素子
を安定に作製することが困難になるためである。さらに
圧電体層にチタン酸ジルコン酸鉛を用いる場合、Zr/Ti
の比率が原子%比で53/47の場合について説明したが、
これに変えてZr/Ti比率が30/70から70/30の間の組成
であれば、同等の効果が得られる。
【0038】
【発明の効果】本発明によれば、基板上に酸化性金属か
らなる密着層を設け、その密着層上に非酸化性金属から
なる第1の電極層を設け、その第1の電極層上に前記酸化
性金属の酸化物からなる島状に分布したシ−ドを設け、
そのシ−ドを形成した第1の電極層上に配向制御層を設
け、その配向制御層上に圧電体層を設け、その圧電体層
上に第2の電極層を設けた構成とすることによって各層
の密着性並びに圧電体層の結晶構造と優先配向面を制御
できるので工業的に量産しても圧電特性の再現性、ばら
つき及び信頼性の良好な圧電体素子とそれを有するイン
クジエツトヘツドを提供することができる。さらに、吐
出能のばらつきが少なく且つ高信頼性のインクジエツト
式記録装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】圧電素子の製造工程図
【図2】圧電素子の断面図
【図3】インクジエツトヘツドの断面図
【図4】インクジエツトヘツド式記録装置の概略構成図
【図5】圧電定数(d31)を測定するための素子
【図6】従来の圧電素子の断面図
【符号の説明】
1 基板 2 密着層 3 第1の電極層 4 密着層の元素 5 シ−ド 6 配向制御層 7 圧電体層 8 第2の電極層 9 振動板 10 隔壁 11 圧力室a 12 インク吐出口 13 圧力室b 14 インクジェット本体 15 接着剤 16 インクジエツト式記録装置 17 インクジエツトヘツド 18 記録媒体 19 キャリッジ軸 20 インクジエツトヘツド移動手段 21 記録媒体移動手段 22 圧電体層 23 下部電極 24 上部電極 25 導電性接着剤(銀ペースト) 26 導電性支持基板(ステンレス基板) 27 リード線a 28 リード線b 100 絶縁膜 101 電極下層 102 電極上層 103 下部電極 104 圧電体薄膜層 105 上部電極
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H01L 41/18 H01L 41/22 Z 41/22 41/08 L (72)発明者 鳥井 秀雄 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 久保 晶子 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 Fターム(参考) 2C057 AF93 AG42 AG44 AP14 AP52 AP56 BA04 BA14

Claims (23)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板上に酸化性金属からなる密着層を設
    け、その密着層上に非酸化性金属からなる第1の電極層
    を設け、その第1の電極層上に島状に分布した前記密着
    層の元素の酸化物からなるシ−ドを設け、そのシ−ドを
    形成した第1の電極層上に酸化物からなる配向制御層を
    設け、その配向制御層上に酸化物からなる圧電体層を設
    け、その圧電体層上に第2の電極層を設けた圧電素子。
  2. 【請求項2】 基板上に酸化性金属からなる密着層を非
    酸化性雰囲気中で形成する工程と、その密着層上に非酸
    化性金属からなる第1の電極層を非酸化性雰囲気中で形
    成する工程と、前記密着層と前記第1の電極層を酸化性
    雰囲気中でアニ−ルして密着層の元素を第1の電極層上
    に島状に分布させ、その密着層の元素を酸化させてシ−
    ドを形成する工程と、そのシ−ドを形成した第1の電極
    層上に酸化物からなる配向制御層を形成する工程と、そ
    の配向制御層上に酸化物からなる圧電体層を形成する工
    程と、その圧電体層上に第2の電極層を形成する工程と
    を有する圧電素子の製造方法。
  3. 【請求項3】 基板の一方の面上に振動板を設け、その
    振動板上に酸化性金属からなる密着層を設け、その密着
    層上に非酸化性金属からなる第1の電極層を設け、その
    第1の電極層上に島状に分布した前記密着層の元素の酸
    化物からなるシ−ドを設け、そのシ−ドを形成した第1
    の電極層上に酸化物からなる配向制御層を設け、その配
    向制御層上に酸化物からなる圧電体層を設け、その圧電
    体層上に第2の電極層を設け、前記基板の他方の面に隔
    壁で囲まれた圧力室を設けた圧電素子と、その圧電素子
    の隔壁と、インク吐出口及び圧力室を備えたインクジエ
    ツトヘツド本体とを接合してなるインクジエツトヘツ
    ド。
  4. 【請求項4】 基板上の一方の面上に振動板を形成する
    工程と、その振動板上に酸化性金属からなる密着層を非
    酸化性雰囲気中で形成する工程と、その密着層上に非酸
    化性金属からなる第1の電極層を非酸化性雰囲気中で形
    成する工程と、前記密着層と前記第1の電極層を酸化性
    雰囲気中でアニ−ルして密着層の元素を第1の電極層上
    に拡散させて島状に分布させ、その密着層の元素を酸化
    させてシ−ドを形成する工程と、そのシ−ド上に酸化物
    からなる配向制御層を形成する工程と、その配向制御層
    上に酸化物からなる圧電体層を形成する工程と、その圧
    電体層上に第2の電極層を形成する工程と、前記基板の
    他方の面に隔壁で囲まれた圧力室を形成して圧電素子を
    形成する工程と、その圧電素子の隔壁と、インク吐出口
    及び圧力室を備えたインクジエツトヘツド本体とを接合
    する工程とを有するインクジエツトヘツドの製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項3に記載のインクジェットヘッド
    と、前記インクジェットヘッドを記録媒体の幅方向に移
    動するインクジェットヘッド移動手段と、前記インクジ
    ェットヘッドの移動方向に対して略垂直方向に記録媒体
    を移動する記録媒体移動手段とを備えたインクジェット
    式記録装置。
  6. 【請求項6】 酸化性金属からなる密着層が、チタン、
    鉄、コバルト、ニツケル、マンガンの群から選ばれた1
    種以上である請求項1に記載の圧電素子。
  7. 【請求項7】 酸化性金属からなる密着層が、チタン、
    鉄、コバルト、ニツケル、マンガンの群から選ばれた1
    種以上である請求項3に記載のインクジエツトヘツド。
  8. 【請求項8】 非酸化性金属からなる第1の電極層が、
    白金、イリジウム、ロジウム、ルテニウムの群から選ば
    れた1種以上である請求項1に記載の圧電素子。
  9. 【請求項9】 非酸化性金属からなる第1の電極層が、
    白金、イリジウム、ロジウム、ルテニウムの群から選ば
    れた1種以上である請求項3に記載のインクジエツトヘツ
    ド。
  10. 【請求項10】 シ−ドが、酸化チタン、酸化鉄、酸化
    コバルト、酸化ニツケル、酸化マンガンの群から選ばれ
    た1種以上である請求項1に記載の圧電素子。
  11. 【請求項11】 シ−ドが、酸化チタン、酸化鉄、酸化
    コバルト、酸化ニツケル、酸化マンガンの群から選ばれ
    た1種以上である請求項3に記載のインクジエツトヘツ
    ド。
  12. 【請求項12】 配向制御層が、チタン酸鉛ランタンも
    しくはチタン酸鉛ランタンにマグネシウム又はマンガン
    の群から選ばれた1種以上を添加し、さらに鉛が化学量
    論組成よりも5原子%から30原子%過剰に含まれた組成
    である請求項1に記載の圧電素子。
  13. 【請求項13】 配向制御層が、チタン酸鉛ランタンも
    しくはチタン酸鉛ランタンにマグネシウム又はマンガン
    の群から選ばれた1種以上を添加し、さらに鉛が化学量
    論組成のチタン酸鉛ランタン酸よりも5原子%から30原
    子%過剰に含まれた組成である請求項3に記載のインク
    ジエツトヘツド。
  14. 【請求項14】 第1の電極層に対するシ−ドの比率が
    0.1原子%から15原子%である請求項1に記載の圧電素
    子。
  15. 【請求項15】 第1の電極層に対するシ−ドの比率が
    0.1原子%から15原子%である請求項3に記載のインクジ
    エツトヘツド。
  16. 【請求項16】 密着層の厚みが0.005μmから0.2μmで
    ある請求項1に記載の圧電素子。
  17. 【請求項17】 密着層の厚みが0.005μmから0.2μmで
    ある請求項3に記載のインクジエツトヘツド。
  18. 【請求項18】 配向制御層の厚みが0.005μmから0.2
    μmである請求項1に記載の圧電素子。
  19. 【請求項19】 配向制御層の厚みが0.005μmから0.2
    μmである請求項3に記載のインクジエツトヘツド。
  20. 【請求項20】 圧電体層が、チタン酸ジルコン酸鉛も
    しくはチタン酸ジルコン酸鉛にマグネシウム(Mg)、ニ
    オブ(Nb)、亜鉛(Zn)の群から選ばれた1種以上を添
    加したものである請求項1に記載の圧電素子。
  21. 【請求項21】 圧電体層が、チタン酸ジルコン酸鉛も
    しくはチタン酸ジルコン酸鉛にマグネシウム(Mg)、ニ
    オブ(Nb)、亜鉛(Zn)の群から選ばれた1種以上を添
    加したものである請求項3に記載のインクジエツトヘツ
    ド。
  22. 【請求項22】 圧電体層の厚みが1μmから10μmであ
    る請求項1に記載の圧電素子。
  23. 【請求項23】 圧電体層の厚みが1μmから10μmであ
    る請求項3に記載のインクジエツトヘツド。
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