JP3996594B2 - 圧電素子、インクジェットヘッド、及びインクジェット式記録装置 - Google Patents

圧電素子、インクジェットヘッド、及びインクジェット式記録装置 Download PDF

Info

Publication number
JP3996594B2
JP3996594B2 JP2004344446A JP2004344446A JP3996594B2 JP 3996594 B2 JP3996594 B2 JP 3996594B2 JP 2004344446 A JP2004344446 A JP 2004344446A JP 2004344446 A JP2004344446 A JP 2004344446A JP 3996594 B2 JP3996594 B2 JP 3996594B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
piezoelectric
film
thin film
piezoelectric element
piezoelectric thin
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2004344446A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2005354026A (ja
Inventor
晶子 村田
映志 藤井
秀雄 鳥井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Panasonic Corp
Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Panasonic Corp
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Panasonic Corp, Matsushita Electric Industrial Co Ltd filed Critical Panasonic Corp
Priority to JP2004344446A priority Critical patent/JP3996594B2/ja
Publication of JP2005354026A publication Critical patent/JP2005354026A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3996594B2 publication Critical patent/JP3996594B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B41PRINTING; LINING MACHINES; TYPEWRITERS; STAMPS
    • B41JTYPEWRITERS; SELECTIVE PRINTING MECHANISMS, i.e. MECHANISMS PRINTING OTHERWISE THAN FROM A FORME; CORRECTION OF TYPOGRAPHICAL ERRORS
    • B41J2/00Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed
    • B41J2/005Typewriters or selective printing mechanisms characterised by the printing or marking process for which they are designed characterised by bringing liquid or particles selectively into contact with a printing material
    • B41J2/01Ink jet
    • B41J2/135Nozzles
    • B41J2/14Structure thereof only for on-demand ink jet heads
    • B41J2/14201Structure of print heads with piezoelectric elements
    • B41J2/14233Structure of print heads with piezoelectric elements of film type, deformed by bending and disposed on a diaphragm
    • B41J2002/1425Embedded thin film piezoelectric element

Landscapes

  • Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)
  • General Electrical Machinery Utilizing Piezoelectricity, Electrostriction Or Magnetostriction (AREA)

Description

本発明は、圧電素子、インクジェットヘッド、及びインクジェット式記録装置に関するものである。
圧電材料は機械的エネルギーを電気的エネルギーに変換し、又は電気的エネルギーを機械的エネルギーに変換する材料である。圧電材料の代表的なものとしては、ペロブスカイト型結晶構造の酸化物であるチタン酸ジルコン酸鉛(Pb(Zr,Ti)O,以下、PZTという)がある。ペロブスカイト型の正方晶系結晶構造のPZTでは、〈001〉軸方向(c軸方向)に最も大きな圧電変位を得ることができる。しかし、多くの圧電材料は結晶粒子の集合体からなる多結晶体であり、各結晶粒子の結晶軸は様々な方向を向いていて、自発分極Psも様々に配列している。
ところで、近年の電子機器の小型化に伴って、圧電素子も小型化が強く要求されるようになっている。そして、その要求を満たすために、圧電素子は、従来から多用されていた焼結体に比べて著しく体積の小さい薄膜の形態で使用されるようになりつつある。そのため、圧電素子の薄膜化の研究開発が盛んになってきている。
例えば、PZTは自発分極Psが〈001〉軸方向を向いているので、圧電特性(圧電変位特性)が高いPZT薄膜を実現するためには、PZT薄膜を構成する結晶の〈001〉軸を基板の一方側の面に対して垂直な方向にする必要がある。そして、従来においては、これを実現するために、表面に結晶方位(001)面が出た、岩塩型結晶構造の酸化マグネシウム(MgO)からなる単結晶の基板上に、その一方側の面に対して垂直な方向に〈001〉軸が配向した、結晶性が良好なPZT薄膜を、600〜700℃の温度で且つPZTをターゲットとして用いたスパッタ法で直接形成していた(例えば特許文献1を参照)。この方法の特徴はMgO単結晶の基板を用いることであり、それによってはじめて圧電特性が高く、結晶方向に優先配向した圧電体薄膜を実現できる。
しかし、このMgO単結晶は非常に高価な材料であるため、上記方法は、圧電体薄膜を用いた圧電素子などの工業製品を大量生産するときには、コスト上の観点から好ましくない。
これに対して、シリコンなどの安価な基板上にPZTなどのペロブスカイト型圧電材料の(001)面又は(100)面結晶配向膜を形成する方法として、以下のようなものが知られている。すなわち、例えば特許文献2には、(111)面に配向したPt電極上に、PZT又はランタンを含有したPZTの前駆体溶液を塗布し、この前駆体溶液を結晶化させる前にまず450〜550℃で熱分解させ、その後550〜800℃で加熱処理して結晶化させること(ゾル−ゲル法)により、PZTの(100)面結晶配向膜を生成できることが示されている。
しかし、このゾル−ゲル法で圧電素子を量産すると、有機物を取り除く工程や非晶質の圧電体前駆体薄膜を高温加熱して結晶化させる工程において結晶変化することで、クラックや下部電極と圧電体薄膜との膜剥離が生じ易いという問題がある。
これに対して、安価な基板上に結晶配向膜を作る方法として、ゾル−ゲル法を必要としない方法、例えばスパッタ法で作る方法が知られている(例えば特許文献3を参照)。以下、この方法による結晶配向膜の形成の工程について説明する。まず、基板上に、Co、Ni、Mn、Fe又はCuを含むPt又はIrなどの貴金属合金からなる電極薄膜を下地電極としてスパッタ法で形成する。次に、その電極薄膜上にPZTをスパッタ法で形成することにより、(001)結晶配向したPZT薄膜を得ることができる。
特開平10−209517号公報 特許第3021930号公報 特開2004−79991号公報
以上のようにして得られる圧電体薄膜は圧電定数が高く、印加する電圧が小さくても大きな圧電変位が発生するので、様々な分野のアクチュエーターとして用いられることが期待されている。また、この圧電体薄膜に大きな電圧を印加することにより、さらに大きな圧電変位を発生させることもできる。
しかし、上述の、PZT薄膜をスパッタ法で形成したアクチュエーターに高温高湿(温度50℃、湿度50%)の雰囲気下で電圧を長時間印加すると、変位量が減少するとともに電極薄膜が黒色に変色し、その結果、アクチュエーターが劣化するという問題があった。これは、電極薄膜とPZT薄膜との界面でPZT薄膜の過剰Pbが水分と反応することが原因と考えられる。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、低コストで、圧電特性が高く、且つ、耐湿性が高い圧電素子並びにそれを備えたインクジェットヘッド及びインクジェット式記録装置を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明の圧電素子は、第1電極膜と、該第1電極膜上に形成された第1圧電体膜と該第1圧電体膜上に形成され且つ上記第1圧電体膜により結晶配向性を制御される第2圧電体膜とからなる圧電体積層膜と、該第2圧電体膜上に形成された第2電極膜とを備えた圧電素子であって、上記第1及び第2圧電体膜は、結晶成長方向が上記圧電体積層膜の厚み方向一方側から他方側に向いている柱状粒子の集合体であり、上記第1圧電体膜のPb含有量が上記第2圧電体膜のPb含有量よりも少なく、上記第2圧電体膜の柱状粒子の平均断面径が上記第1圧電体膜の柱状粒子の平均断面径よりも大きく、上記第2圧電体膜の柱状粒子の平均断面径に対する上記圧電体積層膜の厚みの比が20以上60以下であることを特徴とするものである。
これにより、第1圧電体膜のPb含有量が第2圧電体膜のPb含有量よりも少ないので、圧電素子に高温高湿の雰囲気下で電圧を印加しても、第1電極膜と第1圧電体膜との界面で第1圧電体膜の過剰Pbが水分と反応することを原因とする、圧電素子の劣化が起こらなくなる。そのため、低コストで、圧電特性が高く、且つ、耐湿性が高い圧電素子を提供できる。
また、本発明のその他の圧電素子は、第1電極膜と、該第1電極膜上に形成された配向制御膜と、該配向制御膜上に形成された第1圧電体膜と該第1圧電体膜上に形成され且つ上記第1圧電体膜により結晶配向性を制御される第2圧電体膜とからなる圧電体積層膜と、該第2圧電体膜上に形成された第2電極膜とを備えた圧電素子であって、上記第1及び第2圧電体膜は、結晶成長方向が上記圧電体積層膜の厚み方向一方側から他方側に向いている柱状粒子の集合体であり、上記第1圧電体膜のPb含有量が上記第2圧電体膜のPb含有量よりも少なく、上記第2圧電体膜の柱状粒子の平均断面径が上記第1圧電体膜の柱状粒子の平均断面径よりも大きく、上記第2圧電体膜の柱状粒子の平均断面径に対する上記圧電体積層膜の厚みの比が20以上60以下であることを特徴とするものである。
これにより、第1圧電体膜のPb含有量が第2圧電体膜のPb含有量よりも少ないので、圧電素子に高温高湿の雰囲気下で電圧を印加しても、配向制御膜と第1圧電体膜との界面で第1圧電体膜の過剰Pbが第1電極膜及び配向制御膜を透過して浸入した水分と反応することを原因とする、圧電素子の劣化が起こらなくなる。そのため、低コストで、圧電特性が高く、且つ、耐湿性が高い圧電素子を提供できる。
また、第1電極膜上に配向制御膜を形成することにより、第1圧電体膜の結晶配向性を向上させることができ、さらに、第2圧電体膜の結晶配向性も向上させることができる。そのため、圧電特性がより高い圧電素子を提供できる。
上記第1圧電体膜の柱状粒子は、平均断面径が40nm以上70nm以下であり且つ長さが5nm以上100nm以下であることが望ましい。
これにより、第1圧電体膜は第2圧電体膜の結晶配向性を確実に制御できる。
上記第2圧電体膜の柱状粒子は、平均断面径が60nm以上200nm以下であり且つ長さが2500nm以上5000nm以下であることが望ましい。
ところで、第2圧電体膜の柱状粒子の長さが2500nmよりも小さい場合は、第1及び第2電極膜間に電圧を印加したときにおける圧電体積層膜にかかる電界が大きくなるので、クラックが発生する可能性が高くなる。
ここで、本発明によれば、第2圧電体膜の柱状粒子の長さが2500nm以上であるので、クラックが発生することを防止できる。
上記第1及び第2圧電体膜は少なくともPb、Zr及びTiを含んでいて、化学組成比がPb:Zr:Ti=(1+a):b:1−bで表され、上記第1及び第2圧電体膜の上記bの値が0.50以上0.60以下の同じ値であり、上記第1圧電体膜の上記aの値が−0.05以上0.05以下であり、上記第2圧電体膜の上記aの値が0以上0.1以下であることが望ましい。
これにより、圧電素子の耐湿性を確実に向上させることができる。
上記第1及び第2圧電体膜は、(001)面に優先配向していることが望ましい。
上記第1電極膜は、Pt、Ir、Pd及びRuから選ばれた少なくとも1種の貴金属、又は該貴金属とTi、Co、Ni、Al、Fe、Mn、Cu、Mg、Ca、Sr及びBaから選ばれた少なくとも1種の金属若しくはその酸化物との合金からなっていて、平均断面径が20nm以上30nm以下の柱状粒子の集合体であることが望ましい。
これにより、第1電極膜は第1圧電体膜の配向制御膜としての機能を活性化させることができるので、第1圧電体膜は第2圧電体膜の結晶配向性を確実に制御できる。
上記配向制御膜は、チタン酸ランタン鉛からなることが望ましい。
これにより、圧電体積層膜を(001)面に確実に配向させることができる。
発明のインクジェットヘッドは、ノズルと該ノズルに連通し且つインクを収容する圧力室とが形成されたヘッド本体部と、厚み方向一方側の面の一部が上記圧力室に臨むように設けられた振動板膜と、上記振動板膜の厚み方向他方側の面上に形成され、上記圧力室内のインクに圧力を付与して上記ノズルからインクを吐出させる圧電素子とを備えたインクジェットヘッドであって、上記圧電素子は、本発明の圧電素子のいずれか1つからなることを特徴とするものである。
発明のインクジェット式記録装置は、インクジェットヘッドと、上記インクジェットヘッドと記録媒体とを相対移動させる移動手段とを備えたインクジェット式記録装置であって、上記インクジェットヘッドは、本発明のインクジェットヘッドからなることを特徴とするものである。
なお、本発明の圧電素子は、インクジェットヘッドやインクジェット式記録装置以外のもの、例えばジャイロ素子や加速度センサなどの電子部品等にも適用できる。
本発明によれば、圧電素子に高温高湿の雰囲気下で電圧を印加しても圧電素子が劣化しないので、低コストで、圧電特性が高く、且つ、耐湿性が高い圧電素子並びにそれを備えたインクジェットヘッド及びインクジェット式記録装置を提供できる。また、低コストで、圧電特性が高く、且つ、耐湿性が高い圧電素子を容易に製造できる。さらに、インク液の吐出能力のばらつきが小さく信頼性が高いインクジェットヘッド及びそれを備えたインクジェット式記録装置を提供できる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
(実施形態1)
図1に示すように、本発明の実施形態に係る圧電素子(圧電体素子)20は、短冊平板状の基板1(厚さ0.3mm、幅3.0mm、長さ15.0mm)と、その基板1上に形成された積層体11とを備えている。圧電素子20の幅は3.0mmである。圧電素子20の一端部(図1では左端部)は、エポキシ系接着剤7を介してステンレス支持基板6(厚さ1.0mm、幅3.0mm、長さ10.0mm)上に固定されている。この一端部は、圧電素子20の一端(図1では左端)からの長さが3.0mmまでの部分である。圧電素子20の長手方向とステンレス支持基板6の長手方向とはほぼ直行している。以上から、圧電素子20は片持ち梁を構成している。
基板1は、圧電効果による積層体11の伸縮を阻害する振動板膜(振動板層)の役割も果たす。積層体11は、基板1上に形成された第1電極膜2と、その第1電極膜2上に形成された圧電体積層膜10と、その圧電体積層膜10上に形成された第2電極膜5とを備えている。
第1電極膜2は、基板1の厚み方向一方側の面の全面に設けられている。圧電体積層膜10は、第1電極膜2の上記一端部以外の部分の上に設けられている。すなわち、圧電体積層膜10は、幅が3.0mmで且つ長さが12.0mmである。圧電体積層膜10は、(001)優先結晶配向のペロブスカイト型結晶構造のジルコン酸チタン酸鉛系酸化物(以下、PZT系酸化物という)からなる。PZT系酸化物とは、少なくともPb、Zr及びTiを含む酸化物である。具体的には、圧電体積層膜10は、第1電極膜2上に形成された第1圧電体薄膜3と、その第1圧電体薄膜3上に形成された第2圧電体薄膜4とにより構成されている。この第1圧電体薄膜3は、第2圧電体薄膜4の結晶配向性を制御する配向制御膜としての機能を有する。
第2電極膜5は厚さ100nmの白金からなる。第1及び第2電極膜2,5には金製のリード線8,9がそれぞれ接続されている。
本発明の特徴として、第1及び第2圧電体薄膜3,4は、結晶成長方向が圧電体積層膜10(第1及び第2圧電体薄膜3,4)の厚み方向一方向側から他方側に向いている柱状粒子の集合体である(図3を参照)。換言すれば、第1及び第2圧電体薄膜3,4は基板1(第1電極膜2)の厚み方向一方側の面に対して垂直な方向に成長した柱状粒子の集合体である。第1及び第2圧電体薄膜3,4の柱状粒子は連続して繋がっている。第1圧電体薄膜3のPb含有量は第2圧電体薄膜4のPb含有量よりも少ない。第2圧電体薄膜4の柱状粒子の平均断面径(粒子径)は第1圧電体薄膜3の柱状粒子の平均断面径(粒子径)よりも大きい。第2圧電体薄膜4の柱状粒子の平均断面径(粒子径)に対する圧電体積層膜10の厚み(圧電体積層膜10の柱状粒子の長さ)の比は20以上60以下である。ここで、第2圧電体薄膜4の柱状粒子の平均断面径に対する圧電体積層膜10の厚みの比が20未満の場合は、成膜時に生じる応力で圧電体積層膜10にクラックが発生し、また、その比が60を超えると、駆動時の消費電力が大きくなって応答性が低下し、いずれの場合も望ましくない。
また、第1圧電体薄膜3の柱状粒子は、平均断面径(粒子径)が40nm以上70nm以下であるとともに長さが5nm以上100nm以下である。第2圧電体薄膜4の柱状粒子は、平均断面径(粒子径)が60nm以上200nm以下であるとともに長さが2500nm以上5000nm以下である。
また、第1及び第2圧電体薄膜3,4は、化学組成比がPb:Zr:Ti=(1+a):b:1−bで表される。第1及び第2圧電体薄膜3,4のbの値は、0.50以上0.60以下の同じ値である。第1圧電体薄膜3のaの値は−0.05以上0.05以下である。第2圧電体薄膜4のaの値は0以上0.10以下である。
また、第1電極膜2はPt、Ir、Pd及びRuから選ばれた少なくとも1種の貴金属、又は該貴金属とTi、Co、Ni、Al、Fe、Mn、Cu、Mg、Ca、Sr及びBaから選ばれた少なくとも1種の金属若しくはその酸化物との合金からなっていて、平均断面径が20nm以上30nm以下の柱状粒子の集合体である。
ここで、圧電素子20の第1及び第2電極膜2,5間にリード線8,9を介して電圧を印加すると、圧電体積層膜10はX軸方向に伸びる。ここで、印加電圧をE(V)、圧電体積層膜10の長さをL(m)、圧電体積層膜10の厚さをt(m)、圧電体積層膜10の圧電定数をd31(pm/V)とすると、圧電体積層膜10のX軸方向の伸びの変化量ΔL(m)は、以下の式(1)によって求められる。
ΔL=d31×L×E/t…(1)
また、第2電極膜5と接合している圧電体積層膜10の上側部分はX軸方向に伸びる一方、第1電極膜2と接合している圧電体積層膜10の下側部分は、厚みが大きい基板1によって伸びが抑制される。その結果、圧電素子20における上記一端とは反対側の他端(図1では右端。以下、先端という)は、Z軸の−Z方向(図1では下側)に変位する。したがって、電圧の印加を一定周期で繰り返すと、圧電素子20の先端はZ軸方向に所定の変位量で変位する。そして、印加電圧と圧電素子20の先端の変位量の大きさとの関係を調べることにより、圧電素子20の変位特性を評価できる。
−圧電素子の製造方法−
以下、図2を参照しながら、圧電素子20の製造方法について説明する。まず、図2(a)に示すように、縦20mm、横20mm、厚さ0.3mmの基板101の表面上に、幅5.0mm、長さ18.0mmの長方形の開口部が形成されたステンレス製マスク(厚さ0.2mm)を用いて、第1電極膜102をRFマグネトロンスパッタ法で形成する。
次に、第1電極膜102の表面上に、幅5.0mm、長さ12.0mmの長方形の開口部が形成されたステンレス製マスク(厚さ0.2mm)を用いて、圧電体積層膜110をRFマグネトロンスパッタ法で正確に形成する。具体的には、圧電体積層膜110を、以下のようにして作製する。まず、PZT酸化物の焼結体を所定のターゲットとして用い且つ所定の成膜条件下におけるRFマグネトロンスパッタ法で、第1電極膜102上に第1圧電体薄膜103を形成する。それから、第1圧電体薄膜103の形成時と同じ所定のターゲットを用い且つ第1圧電体薄膜103の形成時の所定の成膜条件とは異なる成膜条件下におけるRFマグネトロンスパッタ法で、第1圧電体薄膜103上に第2圧電体薄膜104を連続して形成する。
次に、圧電体積層膜110の表面上に、上記と同じマスクを用いて、第2電極膜105をRFマグネトロンスパッタ法で形成する。その結果、図2(b)に示すように、基板101と、その基板101上に形成され且つ圧電体積層膜110を含む積層体111とからなる構造体121を得ることができる。
次に、図2(c)に示すように、基板1が幅3.0mm、長さ15.0mmの短冊形状となり且つ第1電極膜2の、その一端(図2(c)では左端)から長さ3.0mmまでの部分が露出するように、構造体121をダイシングソーで切断する。その結果、基板1、第1電極膜2、第1圧電体薄膜3、第2圧電体薄膜4及び第2電極膜5がその順に積層されてなる圧電素子構造体部品22を得ることができる。
次に、図2(d)に示すように、基板1における第1電極膜2の露出部(図2(d)では左端部)側の部分を、ステンレス支持基板6にエポキシ系接着剤7を用いて接合する。
次に、図2(e)に示すように、第1電極膜2の露出部にリード線8を導電性接着剤(銀ペースト)を用いて接続するとともに、第2電極膜5における第1電極膜2の露出部側の部分にリード線9をワイヤボンディングで接続することにより、図1に示す圧電素子20を得ることができる。図3は、この圧電素子20の膜構造を示す模式図である。
以下、具体的に実施した実施例について説明する。
(実施例1)
本実施例では、基板101としてシリコン基板を用い、第1電極膜102として厚さ100nmのPt薄膜を用いた。このPt薄膜は、3元RFマグネトロンスパッタ装置で形成した。具体的には、シリコン基板101を400℃になるまで加熱してその温度で保った。アルゴンと酸素との混合ガス(ガス体積比Ar/O=15/1)をスパッタリングガスとして用い、トータルガス圧力を0.25Paに保った。3元RFマグネトロンスパッタ装置の第1ターゲットとしてPtからなるターゲットを用いた。そして、200Wの高周波電力を印加して1200秒間スパッタリングすることにより、Pt薄膜を成膜した。
圧電体積層膜110の膜厚を3100nmとした。圧電体積層膜110を、(001)優先配向のジルコン酸チタン酸鉛(以下、PZTという)からなる厚さ100nmの第1圧電体薄膜103と、その第1圧電体薄膜103上に形成した、(001)優先配向のPZTからなる厚さ3000nmの第2圧電体薄膜104とにより構成した。
第1及び第2圧電体薄膜103,104をRFマグネトロンスパッタ装置を用いて作製した(図2(b)を参照)。このとき、約20モル%PbOを過剰に加えて調合した、化学量論組成のチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)の6インチ径の焼結体(組成モル比Pb:Zr:Ti=1.20:0.53:0.47)を、ターゲットとして用いた。また、成膜条件を、以下に示すとおりにした。すなわち、上記ターゲットを取り付けた成膜室の中で、一方側の面に第1電極膜102が形成されたシリコン基板101を580℃になるまで加熱してその温度で保った。アルゴンと酸素との混合ガス(ガス体積比Ar/O=79/1)をスパッタリングガスとして用い、そのガス圧力を0.2Paにし、そのガス流量を毎分40mlにした。そして、プラズマ発生電力を3kWにし、第1圧電体薄膜103を50秒間成膜した。その後、成膜を一旦停止し、上記成膜条件のうちスパッタリングガスのガス体積比のみをAr/O=38/2に変更し、その他の成膜条件は変えずに、第2圧電体薄膜104を3000秒間成膜した。
ここで、図2(b)に示す第1圧電体薄膜103の組成、膜厚及び断面構造を正確に求めるために、第1圧電体薄膜103を形成した後に成膜を打ち切った積層膜も同時に作製した。この試料の表面を走査型電子顕微鏡で観察し、且つ、X線マイクロアナライザーによる組成分析を行った。その後、この試料を破壊し、その破断面を走査型電子顕微鏡で観察した。
また、図2(b)に示す第2圧電体膜104の組成、膜厚及び断面構造を正確に求めるために、第2圧電体膜104を形成した後に成膜を中止した積層膜も作製した。この試料の表面を走査型電子顕微鏡で観察し、且つ、X線マイクロアナライザーによる組成分析を行った。その後、この試料を破壊し、その破断面を走査型電子顕微鏡で観察した。
また、図2(b)に示す構造体121を試料として用いて、オージェ分光分析により圧電体積層膜110の厚み方向の組成分析を行った。さらに、圧電体積層膜110の破断面を走査型電子顕微鏡で観察した。
以上のような分析及び観察の結果、第1電極膜102としてのPt電極は、平均粒子径(平均直径)が20nmの柱状粒子(柱状結晶)の集合体であることがわかった。第1及び第2圧電体薄膜103,104は、互いが連続して繋がった、柱状構造の粒子の集合体として存在していた。第1圧電体薄膜103は、膜厚が100nmであって、柱状粒子の平均粒子径(平均直径)が40nmであった。第2圧電体薄膜104は、膜厚が3000nmであって、柱状粒子の平均粒子径(平均直径)が100nmであった。第2圧電体薄膜104の柱状粒子の平均粒子径(平均直径)に対する圧電体積層膜110の厚みの比は31であった。
また、X線回折法によって解析した結果、第1及び第2圧電体膜103,104はペロブスカイト型結晶構造であることがわかった。第1圧電体膜103の形成面の(001)結晶配向率は55%であり、第2圧電体膜104の形成面の(001)結晶配向率は75%であった。ここで、(001)結晶配向率αは、以下の式(2)によって定義されている。
α=I(001)/ΣI(hkl)・・・(2)
Σ(hkl)は、X線回折法において、Cu−Kα線を用いた場合の2θが10°〜70°であるときの、ペロブスカイト型酸化物の全回折強度の総和である。
また、X線マイクロアナライザーによる陽イオンの組成分析の結果、第1圧電体薄膜103の組成は、Pb:Zr:Ti=0.95:0.53:0.47であり、第2圧電体薄膜104の組成は、Pb:Zr:Ti=1.00:0.53:0.47であった。つまり、第1及び第2圧電体薄膜103,104は、(001)軸が基板101の上面に対して垂直な方向に優先配向して成長した、ペロブスカイト型結晶構造のPZT膜であり、Zr及びTiの組成は、第1及び第2圧電体薄膜103,104で同じであり、Pbの組成は、第1圧電体薄膜103の方が第2圧電体薄膜104よりも少ないことがわかった。
また、第1及び第2電極膜2,5間にリード線8,9を介して0V〜−50Vの三角波電圧を印加して、圧電素子20の先端のZ軸方向の変位量をレーザードップラー振動変位測定装置を用いて測定した。図4は、周波数2kHzの三角波電圧を印加した場合における圧電素子20の先端のZ軸方向の変位量を示す。その測定結果、圧電素子20の先端は最大19.0μm変位したことがわかった。
また、この三角波電圧により圧電素子20を高温高湿(温度50℃、湿度50%)の雰囲気下で120時間連続駆動した後に、圧電素子20の駆動状況を調べるとともに光学顕微鏡により圧電素子20の外観を調べた。その結果、圧電素子20を高温高湿の雰囲気下で120時間連続駆動した後でも、変位量は最大19.0μmであって、変位量の減少は見られず、また、第1電極膜2の変色も見られなかった。
(実施例2)
本実施例では、基板101としてシリコン基板を用い、第1電極膜102として厚さ120nmのIr−Ti合金薄膜を用いた。このIr−Ti膜は、3元RFマグネトロンスパッタ装置で形成した。具体的には、シリコン基板101を400℃になるまで加熱してその温度で保った。アルゴンと酸素との混合ガス(ガス体積比Ar/O=15/1)をスパッタリングガスとして用い、トータルガス圧力を0.25Paに保った。3元RFマグネトロンスパッタ装置の第1ターゲットとしてIrからなるターゲットを用い、第2ターゲットとしてチタンからなるターゲットを用いた。そして、第1及び第2ターゲットに200W及び60Wの高周波電力をそれぞれ印加して1200秒間スパッタリングすることにより、Ir−Ti合金薄膜を成膜した。
圧電体積層膜110の膜厚を2550nmとした。圧電体積層膜110を、(001)優先配向のPZTからなる厚さ50nmの第1圧電体薄膜103と、その第1圧電体薄膜103上に形成した、(001)優先配向のPZTからなる厚さ2500nmの第2圧電体薄膜104とにより構成した。
第1及び第2圧電体薄膜103,104をRFマグネトロンスパッタ装置を用いて作製した(図2(b)を参照)。このとき、約20モル%PbOを過剰に加えて調合した、化学量論組成のチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)の6インチ径の焼結体(組成モル比Pb:Zr:Ti=1.20:0.50:0.50)を、ターゲットとして用いた。また、成膜条件を、以下に示すとおりにした。すなわち、上記ターゲットを取り付けた成膜室の中で、一方側の面に第1電極膜102が形成されたシリコン基板101を580℃になるまで加熱してその温度で保った。アルゴンと酸素との混合ガス(ガス体積比Ar/O=79/1)をスパッタリングガスとして用い、そのガス圧力を0.2Paにし、そのガス流量を毎分40mlにした。そして、プラズマ発生電力を3kWにし、第1圧電体薄膜103を40秒間成膜した。その後、成膜を一旦停止し、上記成膜条件のうちスパッタリングガスのガス体積比のみをAr/O=38/2に変更し、その他の成膜条件は変えずに、第2圧電体薄膜104を2400秒間成膜した。
実施例1と同じ分析及び観察の結果、第1電極膜102としてのIr−Ti電極は、組成が3%のチタンを含むIr薄膜であって、平均粒子径(平均直径)が30nmの柱状粒子(柱状結晶)の集合体であることがわかった。第1及び第2圧電体薄膜103,104は、互いが連続して繋がった、柱状構造の粒子の集合体として存在していた。第1圧電体薄膜103は、膜厚が50nmであって、柱状粒子の平均粒子径(平均直径)が40nmであった。第2圧電体薄膜104は、膜厚が2500nmであって、柱状粒子の平均粒子径(平均直径)が80nmであった。第2圧電体薄膜104の柱状粒子の平均粒子径(平均直径)に対する圧電体積層膜110の厚みの比は31.9であった。
また、X線回折法によって解析した結果、第1及び第2圧電体膜103,104はペロブスカイト型結晶構造であることがわかった。第1圧電体膜103の形成面の(001)結晶配向率は60%であり、第2圧電体膜104の形成面の(001)結晶配向率は80%であった。
また、X線マイクロアナライザーによる陽イオンの組成分析の結果、第1圧電体薄膜103の組成は、Pb:Zr:Ti=1.00:0.50:0.50であり、第2圧電体薄膜104の組成は、Pb:Zr:Ti=1.10:0.50:0.50であった。つまり、第1及び第2圧電体薄膜103,104は、(001)軸が基板101の上面に対して垂直な方向に優先配向して成長した、ペロブスカイト型結晶構造のPZT膜であり、Zr及びTiの組成は、第1及び第2圧電体薄膜103,104で同じであり、Pbの組成は、第1圧電体薄膜103の方が第2圧電体薄膜104よりも少ないことがわかった。
また、実施例1と同様に、第1及び第2電極膜2,5間にリード線8,9を介して0V〜−50Vの三角波電圧を印加して、圧電素子20の先端のZ軸方向の変位量をレーザードップラー振動変位測定装置を用いて測定した。その測定結果、圧電素子20の先端は最大23.9μm変位したことがわかった。
また、この三角波電圧により圧電素子20を高温高湿(温度50℃、湿度50%)の雰囲気下で120時間連続駆動した後に、圧電素子20の駆動状況を調べるとともに光学顕微鏡により圧電素子20の外観を調べた。その結果、圧電素子20を高温高湿の雰囲気下で120時間連続駆動した後でも、変位量は最大23.9μmであって、変位量の減少は見られず、また、第1電極膜2の変色も見られなかった。
(実施例3)
本実施例では、基板101としてシリコン基板を用い、第1電極膜102として厚さ150nmのPd薄膜を用いた。このPd膜は、3元RFマグネトロンスパッタ装置で形成した。具体的には、シリコン基板101を400℃になるまで加熱してその温度で保った。アルゴンと酸素との混合ガス(ガス体積比Ar/O=15/1)をスパッタリングガスとして用い、トータルガス圧力を0.25Paに保った。3元RFマグネトロンスパッタ装置の第1ターゲットとしてPdからなるターゲットを用いた。そして、第1ターゲットに200Wの高周波電力を印加して1200秒間スパッタリングすることにより、第1電極膜102としてPd薄膜を成膜した。
圧電体積層膜110の膜厚を3100nmとした。圧電体積層膜110を、(001)優先配向のPZTからなる厚さ100nmの第1圧電体薄膜103と、その第1圧電体薄膜103上に形成した、(001)優先配向のPZTからなる厚さ3000nmの第2圧電体薄膜104とにより構成した。
第1及び第2圧電体薄膜103,104をRFマグネトロンスパッタ装置を用いて作製した(図2(b)を参照)。このとき、約20モル%PbOを過剰に加えて調合した、化学量論組成のチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)の6インチ径の焼結体(組成モル比Pb:Zr:Ti=1.20:0.60:0.40)を、ターゲットとして用いた。また、成膜条件を、以下に示すとおりにした。すなわち、上記ターゲットを取り付けた成膜室の中で、一方側の面に第1電極膜102が形成されたシリコン基板101を580℃になるまで加熱してその温度で保った。アルゴンと酸素との混合ガス(ガス体積比Ar/O=79/1)をスパッタリングガスとして用い、そのガス圧力を0.2Paにし、そのガス流量を毎分40mlにした。そして、プラズマ発生電力を3kWにし、第1圧電体薄膜103を50秒間成膜した。その後、成膜を一旦停止し、上記成膜条件のうちスパッタリングガスのガス体積比のみをAr/O=38/2に変更し、その他の成膜条件は変えずに、第2圧電体薄膜104を2800秒間成膜した。
実施例1と同じ分析及び観察の結果、第1電極膜102としてのPd電極は、平均粒子径(平均直径)が20nmの柱状粒子(柱状結晶)の集合体であることがわかった。第1及び第2圧電体薄膜103,104は、互いが連続して繋がった、柱状構造の粒子の集合体として存在していた。第1圧電体薄膜103は、膜厚が100nmであって、柱状粒子の平均粒子径(平均直径)が70nmであった。第2圧電体薄膜104は、膜厚が3000nmであって、柱状粒子の平均粒子径(平均直径)が150nmであった。第2圧電体薄膜104の柱状粒子の平均粒子径(平均直径)に対する圧電体積層膜110の厚みの比は20.7であった。
また、X線回折法によって解析した結果、第1及び第2圧電体膜103,104はペロブスカイト型結晶構造であることがわかった。第1圧電体膜103の形成面の(001)結晶配向率は50%であり、第2圧電体膜104の形成面の(001)結晶配向率は75%であった。
また、X線マイクロアナライザーによる陽イオンの組成分析の結果、第1圧電体薄膜103の組成は、Pb:Zr:Ti=1.05:0.60:0.40であり、第2圧電体薄膜104の組成は、Pb:Zr:Ti=1.10:0.60:0.40であった。つまり、第1及び第2圧電体薄膜103,104は、(001)軸が基板1の上面に対して垂直な方向に優先配向して成長した、ペロブスカイト型結晶構造のPZT膜であり、Zr及びTiの組成は、第1及び第2圧電体薄膜103,104で同じであり、Pbの組成は、第1圧電体薄膜103の方が第2圧電体薄膜104よりも少ないことがわかった。
また、実施例1と同様に、第1及び第2電極膜2,5間にリード線8,9を介して0V〜−50Vの三角波電圧を印加して、圧電素子20の先端のZ軸方向の変位量をレーザードップラー振動変位測定装置を用いて測定した。その測定結果、圧電素子20の先端は最大20.2μm変位したことがわかった。
また、この三角波電圧により圧電素子20を高温高湿(温度50℃、湿度50%)の雰囲気下で120時間連続駆動した後に、圧電素子20の駆動状況を調べるとともに光学顕微鏡により圧電素子20の外観を調べた。その結果、圧電素子20を高温高湿の雰囲気下で120時間連続駆動した後でも、変位量は最大20.2μmであって、変位量の減少は見られず、また、第1電極膜2の変色も見られなかった。
(実施例4)
本実施例では、基板101としてシリコン基板を用い、第1電極膜102として厚さ110nmのRu薄膜を用いた。このRu膜は、3元RFマグネトロンスパッタ装置で形成した。具体的には、シリコン基板101を400℃になるまで加熱してその温度で保った。アルゴンと酸素との混合ガス(ガス体積比Ar/O=15/1)をスパッタリングガスとして用い、トータルガス圧力を0.25Paに保った。3元RFマグネトロンスパッタ装置の第1ターゲットとしてRuからなるターゲットを用いた。そして、第1ターゲットに200Wの高周波電力を印加して1200秒間スパッタリングすることにより、Ru薄膜を成膜した。
圧電体積層膜110の膜厚を4505nmとした。圧電体積層膜110を、(001)優先配向のPZTからなる厚さ5nmの第1圧電体薄膜103と、その第1圧電体薄膜103上に形成した、(001)優先配向のPZTからなる厚さ4500nmの第2圧電体薄膜104とにより構成した。
第1及び第2圧電体薄膜103,104をRFマグネトロンスパッタ装置を用いて作製した(図2(b)を参照)。このとき、約20モル%PbOを過剰に加えて調合した、化学量論組成のチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)の6インチ径の焼結体(組成モル比Pb:Zr:Ti=1.20:0.53:0.47)を、ターゲットとして用いた。また、成膜条件を、以下に示すとおりにした。すなわち、上記ターゲットを取り付けた成膜室の中で、一方側の面に第1電極膜102が形成されたシリコン基板101を580℃になるまで加熱してその温度で保った。アルゴンと酸素との混合ガス(ガス体積比Ar/O=79/1)をスパッタリングガスとして用い、そのガス圧力を0.2Paにし、そのガス流量を毎分40mlにした。そして、プラズマ発生電力を3kWにし、第1圧電体薄膜103を10秒間成膜した。その後、成膜を一旦停止し、上記成膜条件のうちスパッタリングガスのガス体積比のみをAr/O=38/2に変更し、その他の成膜条件は変えずに、第2圧電体薄膜104を3600秒間成膜した。
実施例1と同じ分析及び観察の結果、第1電極膜102としてのRu電極は、平均粒子径(平均直径)が25nmの柱状粒子(柱状結晶)の集合体であることがわかった。第1及び第2圧電体薄膜103,104は、互いが連続して繋がった、柱状構造の粒子の集合体として存在していた。第1圧電体薄膜103は、膜厚が5nmであって、柱状粒子の平均粒子径(平均直径)が50nmであった。第2圧電体薄膜104は、膜厚が4500nmであって、柱状粒子の平均粒子径(平均直径)が150nmであった。第2圧電体薄膜104の柱状粒子の平均粒子径(平均直径)に対する圧電体積層膜110の厚みの比は30であった。
また、X線回折法によって解析した結果、第1及び第2圧電体膜103,104はペロブスカイト型結晶構造であることがわかった。第1圧電体膜103の形成面の(001)結晶配向率は60%であり、第2圧電体膜104の形成面の(001)結晶配向率は85%であった。
また、X線マイクロアナライザーによる陽イオンの組成分析の結果、第1圧電体薄膜103の組成は、Pb:Zr:Ti=0.95:0.53:0.47であり、第2圧電体薄膜104の組成は、Pb:Zr:Ti=1.10:0.53:0.47であった。つまり、第1及び第2圧電体薄膜103,104は、(001)軸が基板101の上面に対して垂直な方向に優先配向して成長した、ペロブスカイト型結晶構造のPZT膜であり、Zr及びTiの組成は、第1及び第2圧電体薄膜103,104で同じであり、Pbの組成は、第1圧電体薄膜103の方が第2圧電体薄膜104よりも少ないことがわかった。
また、実施例1と同様に、第1及び第2電極膜2,5間にリード線8,9を介して0V〜−50Vの三角波電圧を印加して、圧電素子20の先端のZ軸方向の変位量をレーザードップラー振動変位測定装置を用いて測定した。その測定結果、圧電素子20の先端は最大18.8μm変位したことがわかった。
また、この三角波電圧により圧電素子20を高温高湿(温度50℃、湿度50%)の雰囲気下で120時間連続駆動した後に、圧電素子20の駆動状況を調べるとともに光学顕微鏡により圧電素子20の外観を調べた。その結果、圧電素子20を高温高湿の雰囲気下で120時間連続駆動した後でも、変位量は最大18.8μmであって、変位量の減少は見られず、また、第1電極膜2の変色も見られなかった。
(実施例5)
本実施例では、基板101としてシリコン基板を用い、第1電極膜102として厚さ130nmのIr−Co合金薄膜を用いた。このIr−Co膜は、3元RFマグネトロンスパッタ装置で形成した。具体的には、シリコン基板101を400℃になるまで加熱してその温度で保った。アルゴンと酸素との混合ガス(ガス体積比Ar/O=15/1)をスパッタリングガスとして用い、トータルガス圧力を0.25Paに保った。3元RFマグネトロンスパッタ装置の第1ターゲットとしてIrからなるターゲットを用い、第2ターゲットとしてCoからなるターゲットを用いた。そして、第1及び第2ターゲットに200W及び60Wの高周波電力をそれぞれ印加して1200秒間スパッタリングすることにより、第1電極膜102としてのIr−Co合金薄膜を成膜した。
圧電体積層膜110の膜厚を3030nmとした。圧電体積層膜110を、(001)優先配向のPZTからなる厚さ30nmの第1圧電体薄膜103と、その第1圧電体薄膜103上に形成した、(001)優先配向のPZTからなる厚さ3000nmの第2圧電体薄膜104とにより構成した。
第1及び第2圧電体薄膜103,104をRFマグネトロンスパッタ装置を用いて作製した(図2(b)を参照)。このとき、約20モル%PbOを過剰に加えて調合した、化学量論組成のチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)の6インチ径の焼結体(組成モル比Pb:Zr:Ti=1.20:0.50:0.50)を、ターゲットとして用いた。また、成膜条件を、以下に示すとおりにした。すなわち、上記ターゲットを取り付けた成膜室の中で、一方側の面に第1電極膜102が形成されたシリコン基板101を580℃になるまで予め加熱してその温度で保った。アルゴンと酸素との混合ガス(ガス体積比Ar/O=79/1)をスパッタリングガスとして用い、そのガス圧力を0.2Paにし、そのガス流量を毎分40mlにした。そして、プラズマ発生電力を3kWにし、第1圧電体薄膜103を30秒間成膜した。その後、成膜を一旦停止し、上記成膜条件のうちスパッタリングガスのガス体積比のみをAr/O=38/2に変更し、その他の成膜条件は変えずに、第2圧電体薄膜104を3000秒間成膜した。
実施例1と同じ分析及び観察の結果、第1電極膜102としてのIr−Co電極は、組成が4%のCoを含むIr薄膜であって、平均粒子径(平均直径)が20nmの柱状粒子(柱状結晶)の集合体であることがわかった。第1及び第2圧電体薄膜103,104は、互いが連続して繋がった、柱状構造の粒子の集合体として存在していた。第1圧電体薄膜103は、膜厚が30nmであって、柱状粒子の平均粒子径(平均直径)が40nmであった。第2圧電体薄膜104は、膜厚が3000nmであって、柱状粒子の平均粒子径(平均直径)が60nmであった。第2圧電体薄膜104の柱状粒子の平均粒子径(平均直径)に対する圧電体積層膜110の厚みの比は50.5であった。
また、X線回折法によって解析した結果、第1及び第2圧電体膜103,104はペロブスカイト型結晶構造であることがわかった。第1圧電体膜103の形成面の(001)結晶配向率は65%であり、第2圧電体膜104の形成面の(001)結晶配向率は80%であった。
また、X線マイクロアナライザーによる陽イオンの組成分析の結果、第1圧電体薄膜103の組成は、Pb:Zr:Ti=1.00:0.50:0.50であり、第2圧電体薄膜104の組成は、Pb:Zr:Ti=1.10:0.50:0.50であった。つまり、第1及び第2圧電体薄膜103,104は、(001)軸が基板101の上面に対して垂直な方向に優先配向して成長した、ペロブスカイト型結晶構造のPZT膜であり、Zr及びTiの組成は、第1及び第2圧電体薄膜103,104で同じであり、Pbの組成は、第1圧電体薄膜103の方が第2圧電体薄膜104よりも少ないことがわかった。
また、実施例1と同様に、第1及び第2電極膜2,5間にリード線8,9を介して0V〜−50Vの三角波電圧を印加して、圧電素子20の先端のZ軸方向の変位量をレーザードップラー振動変位測定装置を用いて測定した。その測定結果、圧電素子20の先端は最大26.7μm変位したことがわかった。
また、この三角波電圧により圧電素子20を高温高湿(温度50℃、湿度50%)の雰囲気下で120時間連続駆動した後に、圧電素子20の駆動状況を調べるとともに光学顕微鏡により圧電素子20の外観を調べた。その結果、圧電素子20を高温高湿の雰囲気下で120時間連続駆動した後でも、変位量は最大26.7μmであって、変位量の減少は見られず、また、第1電極膜2の変色も見られなかった。
(比較例1)
上記各実施例の圧電素子と比較するために、以下のような比較例1の圧電素子を作製した。すなわち、本比較例のものは、実施例1と異なり、圧電体積層膜のPb組成を第1圧電体薄膜の方が第2圧電体薄膜よりも多くした。なお、この圧電体積層膜の成膜方法は実施例1と同様であり、成膜条件は実施例1と異なる。その他の点に関しては、実施例1と全く同じである。
実施例1と同じ分析及び観察の結果、本比較例の第1及び第2圧電体薄膜は、互いが連続して繋がった柱状粒子の集合体として存在していた。第1圧電体薄膜は、膜厚が100nmであって、柱状粒子の平均粒子径(平均直径)が60nmであった。第2圧電体薄膜は、膜厚が3000nmであって、柱状粒子の平均粒子径(平均直径)が180nmであった。第2圧電体薄膜の柱状粒子の平均粒子径(平均直径)に対する圧電体積層膜の厚みの比は17.2であった。
また、X線回折法によって解析した結果、第1及び第2圧電体膜はペロブスカイト型結晶構造であることがわかった。第1圧電体膜の形成面の(001)結晶配向率は70%であり、第2圧電体膜の形成面の(001)結晶配向率は88%であった。
また、X線マイクロアナライザーによる陽イオンの組成分析の結果、第1圧電体薄膜の組成は、Pb:Zr:Ti=1.15:0.53:0.47であり、第2圧電体薄膜の組成は、Pb:Zr:Ti=1.10:0.53:0.47であった。つまり、第1及び第2圧電体薄膜は、(001)軸が基板の上面に対して垂直な方向に優先配向して成長した、ペロブスカイト型結晶構造のPZT膜であり、Zr及びTiの組成は、第1及び第2圧電体薄膜で同じであり、Pbの組成は、第1圧電体薄膜の方が第2圧電体薄膜よりも多いことがわかった。
また、この圧電素子に、実施例1と同様に、0V〜−50Vの三角波電圧を印加すると、圧電素子の先端は最大22.3μm変位したことがわかった。
また、この三角波電圧により圧電素子を高温高湿(温度50℃、湿度50%)の雰囲気下で120時間連続駆動した後に、圧電素子の駆動状況を調べるとともに光学顕微鏡により圧電素子の外観を調べた。その結果、圧電素子を高温高湿の雰囲気下で120時間連続駆動した後において、変位量が減少しており(0μm)、第1電極膜が黒色に変色していた。すなわち、圧電素子は劣化していた。
(比較例2)
上記各実施例の圧電素子と比較するために、以下のような比較例2の圧電素子を作製した。すなわち、本比較例のものは、実施例2と異なり、圧電体積層膜のPb組成を第1圧電体薄膜の方が第2圧電体薄膜よりも多くした。なお、この圧電体積層膜の成膜方法は実施例2と同様であり、成膜条件は実施例2と異なる。その他の点に関しては、実施例2と全く同じである。
実施例1と同じ分析及び観察の結果、本比較例の第1及び第2圧電体薄膜は、互いが連続して繋がった柱状粒子の集合体として存在していた。第1圧電体薄膜は、膜厚が50nmであって、柱状粒子の平均粒子径(平均直径)が70nmであった。第2圧電体薄膜は、膜厚が2500nmであって、柱状粒子の平均粒子径(平均直径)が140nmであった。第2圧電体薄膜の柱状粒子の平均粒子径(平均直径)に対する圧電体積層膜の厚みの比は18.2であった。
また、X線回折法によって解析した結果、第1及び第2圧電体膜はペロブスカイト型結晶構造であることがわかった。第1圧電体膜の形成面の(001)結晶配向率は65%であり、第2圧電体膜の形成面の(001)結晶配向率は85%であった。
また、X線マイクロアナライザーによる陽イオンの組成分析の結果、第1圧電体薄膜の組成は、Pb:Zr:Ti=1.10:0.50:0.50であり、第2圧電体薄膜の組成は、Pb:Zr:Ti=1.05:0.50:0.50であった。つまり、第1及び第2圧電体薄膜は、(001)軸が基板の上面に対して垂直な方向に優先配向して成長した、ペロブスカイト型結晶構造のPZT膜であり、Zr及びTiの組成は、第1及び第2圧電体薄膜で同じであり、Pbの組成は、第1圧電体薄膜の方が第2圧電体薄膜よりも多いことがわかった。
また、この圧電素子に、上記実施例2と同様に、0V〜−50Vの三角波電圧を印加すると、圧電素子の先端は最大18.0μm変位したことがわかった。
また、この三角波電圧により圧電素子を高温高湿(温度50℃、湿度50%)の雰囲気下で120時間連続駆動した後に、圧電素子の駆動状況を調べるとともに光学顕微鏡により圧電素子の外観を調べた。その結果、圧電素子を高温高湿の雰囲気下で120時間連続駆動した後において、変位量が減少しており(0μm)、第1電極膜が黒色に変色していた。すなわち、圧電素子は劣化していた。
−効果−
以上により、本実施形態によれば、第1圧電体薄膜3のPb組成が第2圧電体薄膜4のPb組成よりも少ないので、圧電素子20を高温高湿(温度50℃、湿度50%)の雰囲気下で駆動させても、第1電極膜2と第1圧電体薄膜3との界面で第1圧電体薄膜3の過剰Pbが水分と反応することを原因とする、圧電素子20の劣化が起こらなくなる。そのため、低コストで、圧電特性が高く、且つ、耐湿性が高い圧電素子20を実現できる。
(実施形態2)
図5に示すように、本実施形態に係る圧電素子21は、第1電極膜2と第1圧電体薄膜3との間に配向制御膜12が配設されたものであり、その他の点に関しては、実施形態1の圧電素子20とほぼ同様の構成である。
本実施形態に係る圧電素子21は、実施形態1の圧電素子20と類似する形状であって、短冊平板状の基板1(厚さ0.3mm、幅3.0mm、長さ15.0mm)と、その基板1上に形成された積層体11とを備えている。圧電素子21の幅は3.0mmである。圧電素子21の一端部(図5では左端部)は、エポキシ系接着剤7を介してステンレス支持基板6(厚さ1.0mm、幅3.0mm、長さ10.0mm)上に固定されている。この一端部は、圧電素子21の一端(図5では左端)からの長さが3.0mmまでの部分である。圧電素子21の長手方向とステンレス支持基板6の長手方向とはほぼ直行している。以上から、圧電素子21は片持ち梁を構成している。
基板1は、圧電効果による積層体11の伸縮を阻害する振動板膜(振動板層)の役割も果たす。積層体11は、基板1上に形成された第1電極膜2と、その第1電極膜2上に形成された配向制御膜12と、その配向制御膜12上に形成された圧電体積層膜10と、その圧電体積層膜10上に形成された第2電極膜5とを備えている。
第1電極膜2は、基板1の厚み方向一方側の面の全面に設けられている。配向制御膜12は、第1電極膜2の上記一端部以外の部分の上に設けられている。すなわち、配向制御膜12は、幅が3.0mmで且つ長さが12.0mmである。圧電体積層膜10は、配向制御膜12上に設けられている。具体的には、圧電体積層膜10は、配向制御膜12上に形成された第1圧電体薄膜3と、その第1圧電体薄膜3上に形成された第2圧電体薄膜4とにより構成されている。この第1圧電体薄膜3は、第2圧電体薄膜4の結晶配向性を制御する配向制御膜としての機能を有する。
第2電極膜5は厚さ100nmの白金からなる。第1及び第2電極膜2,5には金製のリード線8,9がそれぞれ接続されている。
本発明の特徴として、第1及び第2圧電体薄膜3,4は、結晶成長方向が圧電体積層膜10(第1及び第2圧電体薄膜3,4)の厚み方向一方向側から他方側に向いている柱状粒子の集合体である。第1圧電体薄膜3のPb含有量は第2圧電体薄膜4のPb含有量よりも少ない。第2圧電体膜4の柱状粒子の平均断面径に対する圧電体積層膜の厚みの比は20以上60以下である。ここで、第2圧電体膜4の柱状粒子の平均断面径に対する圧電体積層膜10の厚みの比が20未満の場合は、成膜時に生じる応力で圧電体積層膜10にクラックが発生し、また、その比が60を超えると、駆動時の消費電力が大きくなって応答性が低下し、いずれの場合も望ましくない。
また、第1圧電体薄膜3の柱状粒子は、平均断面径(粒子径)が40nm以上70nm以下であるとともに長さが5nm以上100nm以下である。第2圧電体薄膜4の柱状粒子は、平均断面径(粒子径)が60nm以上200nm以下であるとともに長さが2500nm以上5000nm以下である。
また、第1及び第2圧電体薄膜3,4は、化学組成比がPb:Zr:Ti=(1+a):b:1−bで表される。第1及び第2圧電体薄膜3,4のbの値は、0.50以上0.60以下の同じ値である。第1圧電体薄膜3のaの値は−0.05以上0.05以下である。第2圧電体薄膜4のaの値は0以上0.10以下である。
また、配向制御膜12はチタン酸ランタン鉛からなる。
また、第1電極膜2はPt、Ir、Pd及びRuから選ばれた少なくとも1種の貴金属、又は該貴金属とTi、Co、Ni、Al、Fe、Mn、Cu、Mg、Ca、Sr及びBaから選ばれた少なくとも1種の金属若しくはその酸化物との合金からなっていて、平均断面径が20nm以上30nm以下の柱状粒子の集合体である。
ここで、実施形態1と同様に、圧電素子21にリード線8,9を介して電圧を印加すると、圧電素子21の先端は、Z軸の−Z方向に変位する。したがって、電圧の印加を一定周期で繰り返すと、圧電素子21の先端はZ軸方向に所定の変位量で変位し、その結果、圧電素子21の変位特性を評価できる。
−圧電素子の製造方法−
以下、図6を参照しながら、圧電素子21の製造方法について説明する。まず、図6(a)に示すように、縦20mm、横20mm、厚さ0.3mmの基板101の表面上に、幅5.0mm、長さ18.0mmの長方形の開口部が形成されたステンレス製マスク(厚さ0.2mm)を用いて、第1電極膜102をRFマグネトロンスパッタ法で形成する。
次に、第1電極膜102の表面上に、幅5.0mm、長さ12.0mmの長方形の開口部が形成されたステンレス製マスク(厚さ0.2mm)を使用して、チタン酸ランタン鉛の焼結体をターゲットとして用い且つ第1成膜条件下におけるRFマグネトロンスパッタ法で配向制御膜112を形成する。
次に、配向制御膜112上に、上記と同じマスクを用いて、圧電体積層膜110をRFマグネトロンスパッタ法で正確に形成する。具体的には、圧電体積層膜110を、以下のようにして作製する。まず、PZT酸化物の焼結体をターゲットとして用い且つ第1成膜条件とは異なる第2成膜条件下におけるRFマグネトロンスパッタ法で、配向制御膜112上に第1圧電体薄膜103を形成する。それから、第1圧電体薄膜103の形成時と同じターゲットを用い且つ第1圧電体薄膜103の形成時の第2成膜条件とは異なる成膜条件下におけるRFマグネトロンスパッタ法で、第1圧電体薄膜103上に第2圧電体薄膜104を連続して形成する。
次に、圧電体積層膜110の表面上に、上記と同じマスクを用いて、第2電極膜105をRFマグネトロンスパッタ法で形成する。その結果、図6(b)に示すように、基板101とその基板101上に形成され且つ圧電体積層膜110を含む積層体111とからなる構造体121を得ることができる。
次に、図6(c)に示すように、基板1が幅3.0mm、長さ15.0mmの短冊形状となり且つ第1電極膜2の、その一端(図6(c)では左端)から長さ3.0mmまでの部分が露出するように、構造体121をダイシングソーで切断する。その結果、基板1、第1電極膜2、配向制御膜12、第1圧電体薄膜3、第2圧電体薄膜4及び第2電極膜5がその順に積層されてなる圧電素子構造体部品22を得ることができる。
次に、図6(d)に示すように、基板1における第1電極膜2の露出部(図6(d)では左端部)側の部分を、ステンレス支持基板6にエポキシ系接着剤7を用いて接合する。
次に、図6(e)に示すように、第1電極膜2の露出部にリード線8を導電性接着剤(銀ペースト)を用いて接続するとともに、第2電極膜5における第1電極膜2の露出部側の部分にリード線9をワイヤボンディングで接続することにより、図5に示す圧電素子21を得ることができる。図7は、この圧電素子21の膜構造を示す模式図である。
以下、具体的に実施した実施例について説明する。
(実施例6)
本実施例では、基板101としてシリコン基板を用い、第1電極膜102として厚さ100nmのPt薄膜を用い、これらを実施例1と全く同じように成膜した。
配向制御膜112を、ランタンを10モル%含有するPLTに酸化鉛(PbO)を15モル%過剰に加えて調合した焼結ターゲットを用いて、基板温度600℃、アルゴンと酸素との混合ガス雰囲気中(ガス体積比Ar/O=19/1)、真空度0.8Pa、高周波電力300Wの成膜条件下で12分間成膜した。
圧電体積層膜110を、実施例1のRFマグネトロンスパッタ装置を用いて作製した。化学量論組成のチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)の6インチ径の焼結体(組成モル比Pb:Zr:Ti=1.20:0.53:0.47)をターゲットとして用いた。成膜条件を、以下に示すとおりにした。すなわち、上記ターゲットを取り付けた成膜室の中で、一方側の面に第1電極膜102が形成されたシリコン基板101を580℃になるまで加熱してその温度で保った。アルゴンと酸素との混合ガス(ガス体積比Ar/O=79/1)をスパッタリングガスとして用い、そのガス圧力を0.2Paにし、そのガス流量を毎分40mlにした。そして、プラズマ発生電力を3kWにし、第1圧電体薄膜103を50秒間成膜した。その後、成膜を一旦停止し、上記成膜条件のうちスパッタリングガスのガス体積比のみをAr/O=38/2に変更し、その他の成膜条件は変えずに、第2圧電体薄膜104を2500秒間成膜した。
第1電極膜102、配向制御膜112及び圧電体積層膜110の組成、膜厚、断面構造及び結晶配向性について、実施例1と同じ方法で調べた。
第1電極膜102としてのPt電極は、平均粒子径(平均直径)が20nmの柱状粒子(柱状結晶)の集合体であることがわかった。
配向制御膜112は、ランタンを10モル%含み、且つ、鉛を化学量論組成よりも10%過剰に含むペロブスカイト型結晶構造であった。
第1圧電体薄膜103は、膜厚が100nmであって、柱状粒子の平均粒子径(平均直径)が40nmであった。第2圧電体薄膜104は、膜厚が2800nmであって、柱状粒子の平均粒子径(平均直径)が100nmであった。第2圧電体薄膜104の柱状粒子の平均粒子径(平均直径)に対する圧電体積層膜110の厚みの比は29であった。
また、X線回折法によって解析した結果、第1及び第2圧電体膜103,104はペロブスカイト型結晶構造であることがわかった。第1圧電体膜103の形成面の(001)結晶配向率は78%であり、第2圧電体膜104の形成面の(001)結晶配向率は95%であった。
また、X線マイクロアナライザーによる陽イオンの組成分析の結果、第1圧電体薄膜103の組成は、Pb:Zr:Ti=1.00:0.53:0.47であり、第2圧電体薄膜104の組成は、Pb:Zr:Ti=1.05:0.53:0.47であった。つまり、第1及び第2圧電体薄膜103,104は、(001)軸が基板101の上面に対して垂直な方向に優先配向して成長した、ペロブスカイト型結晶構造のPZT膜であり、Zr及びTiの組成は、第1及び第2圧電体薄膜103,104で同じであり、Pbの組成は、第1圧電体薄膜103の方が第2圧電体薄膜104よりも少ないことがわかった。
また、圧電素子21の先端のZ軸方向の変位量の測定を、実施例1と同じ評価装置を用いて行った。すなわち、第1及び第2電極膜2,5間にリード線8,9を介して0V〜−50Vの三角波電圧を印加して、圧電素子21の先端のZ軸方向の変位量をレーザードップラー振動変位測定装置を用いて測定した。その測定結果、圧電素子21の先端は最大28.3μm変位したことがわかった。
また、この三角波電圧により圧電素子21を高温高湿(温度50℃、湿度50%)の雰囲気下で120時間連続駆動した後に、圧電素子21の駆動状況を調べるとともに光学顕微鏡により圧電素子21の外観を調べた。その結果、圧電素子21を高温高湿の雰囲気下で120時間連続駆動した後でも、変位量は最大28.3μmであって、変位量の減少は見られず、また、第1電極膜2の変色も見られなかった。
(実施例7)
本実施例では、基板101としてシリコン基板を用い、第1電極膜102として厚さ120nmのIr-Ti合金薄膜を用い、これらを実施例2と全く同じようにして成膜した。
配向制御膜112を、実施例6と同じターゲット・成膜条件下で成膜した。
圧電体積層膜110を、実施例1のRFマグネトロンスパッタ装置を用いて作製した。化学量論組成のチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)の6インチ径の焼結体(組成モル比Pb:Zr:Ti=1.20:0.50:0.50)をターゲットとして用いた。成膜条件を、以下に示すとおりにした。すなわち、上記ターゲットを取り付けた成膜室の中で、一方側の面に第1電極膜102が形成されたシリコン基板101を580℃になるまで加熱してその温度で保った。アルゴンと酸素との混合ガス(ガス体積比Ar/O=79/1)をスパッタリングガスとして用い、そのガス圧力を0.2Paにし、そのガス流量を毎分40mlにした。そして、プラズマ発生電力を3kWにし、第1圧電体薄膜103を50秒間成膜した。その後、成膜を一旦停止し、上記成膜条件のうちスパッタリングガスのガス体積比のみをAr/O=38/2に変更し、その他の成膜条件は変えずに、第2圧電体薄膜104を3000秒間成膜した。
第1電極膜102、配向制御膜112及び圧電体積層膜110の組成、膜厚、断面構造及び結晶配向性について、実施例1と同じ方法で調べた。
第1電極膜102としてのIr-Ti合金電極は、3%のチタンを含むIr膜であって、平均粒子径(平均直径)が30nmの柱状粒子(柱状結晶)の集合体であることがわかった。
配向制御膜112は、ランタンを10モル%含み、且つ、鉛を化学量論組成よりも10%過剰に含むペロブスカイト型結晶構造であった。
第1圧電体薄膜103は、膜厚が100nmであって、柱状粒子の平均粒子径(平均直径)が40nmであった。第2圧電体薄膜104は、膜厚が3800nmであって、柱状粒子の平均粒子径(平均直径)が170nmであった。第2圧電体薄膜104の柱状粒子の平均粒子径(平均直径)に対する圧電体積層膜110の厚みの比は22.9であった。
また、X線回折法によって解析した結果、第1及び第2圧電体膜103,104はペロブスカイト型結晶構造であることがわかった。第1圧電体膜103の形成面の(001)結晶配向率は80%であり、第2圧電体膜104の形成面の(001)結晶配向率は98%であった。
また、X線マイクロアナライザーによる陽イオンの組成分析の結果、第1圧電体薄膜103の組成は、Pb:Zr:Ti=1.05:0.50:0.50であり、第2圧電体薄膜104の組成は、Pb:Zr:Ti=1.10:0.50:0.50であった。つまり、第1及び第2圧電体薄膜103,104は、(001)軸が基板101の上面に対して垂直な方向に優先配向して成長した、ペロブスカイト型結晶構造のPZT膜であり、Zr及びTiの組成は、第1及び第2圧電体薄膜103,104で同じであり、Pbの組成は、第1圧電体薄膜103の方が第2圧電体薄膜104よりも少ないことがわかった。
また、圧電素子21の先端のZ軸方向の変位量の測定を、実施例1と同じ評価装置を用いて行った。すなわち、第1及び第2電極膜2,5間にリード線8,9を介して0V〜−50Vの三角波電圧を印加して、圧電素子21の先端のZ軸方向の変位量をレーザードップラー振動変位測定装置を用いて測定した。その測定結果、圧電素子21の先端は最大26.5μm変位したことがわかった。
また、この三角波電圧により圧電素子21を高温高湿(温度50℃、湿度50%)の雰囲気下で120時間連続駆動した後に、圧電素子21の駆動状況を調べるとともに光学顕微鏡により圧電素子21の外観を調べた。その結果、圧電素子21を高温高湿の雰囲気下で120時間連続駆動した後でも、変位量は最大26.5μmであって、変位量の減少は見られず、また、第1電極膜2の変色も見られなかった。
(実施例8)
本実施例では、基板1としてシリコン基板を用い、第1電極膜102として厚さ110nmのRu薄膜を用い、これらを実施例2と全く同じようにして成膜した。
配向制御膜112を、実施例6と同じターゲット・成膜条件下で成膜した。
圧電体積層膜110を、実施例1のRFマグネトロンスパッタ装置を用いて作製した。化学量論組成のチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)の6インチ径の焼結体(組成モル比Pb:Zr:Ti=1.20:0.53:0.47)をターゲットとして用いた。成膜条件を、以下に示すとおりにした。すなわち、上記ターゲットを取り付けた成膜室の中で、一方側の面に第1電極膜102が形成されたシリコン基板101を580℃になるまで加熱してその温度で保った。アルゴンと酸素との混合ガス(ガス体積比Ar/O=79/1)をスパッタリングガスとして用い、そのガス圧力を0.2Paにし、そのガス流量を毎分40mlにした。そして、プラズマ発生電力を3kWにし、第1圧電体薄膜103を30秒間成膜した。その後、成膜を一旦停止し、上記成膜条件のうちスパッタリングガスのガス体積比のみをAr/O=38/2に変更し、その他の成膜条件は変えずに、第2圧電体薄膜104を3500秒間成膜した。
第1電極膜102、配向制御膜112及び圧電体積層膜110の組成、膜厚、断面構造及び結晶配向性について、実施例1と同じ方法で調べた。
第1電極膜102としてのRu電極は、平均粒子径(平均直径)が20nmの柱状粒子(柱状結晶)の集合体であることがわかった。
配向制御膜112は、ランタンを10モル%含み、且つ、鉛を化学量論組成よりも10%過剰に含むペロブスカイト型結晶構造であった。
第1圧電体薄膜103は、膜厚が50nmであって、柱状粒子の平均粒子径(平均直径)が50nmであった。第2圧電体薄膜104は、膜厚が3500nmであって、柱状粒子の平均粒子径(平均直径)が150nmであった。第2圧電体薄膜104の柱状粒子の平均粒子径(平均直径)に対する圧電体積層膜110の厚みの比は28であった。
また、X線回折法によって解析した結果、第1及び第2圧電体膜103,104はペロブスカイト型結晶構造であることがわかった。第1圧電体膜103の形成面の(001)結晶配向率は75%であり、第2圧電体膜104の形成面の(001)結晶配向率は93%であった。
また、X線マイクロアナライザーによる陽イオンの組成分析の結果、第1圧電体薄膜103の組成は、Pb:Zr:Ti=1.00:0.53:0.47であり、第2圧電体薄膜104の組成は、Pb:Zr:Ti=1.10:0.53:0.47であった。Zr及びTiの組成は、第1及び第2圧電体薄膜103,104で同じであり、Pbの組成は、第1圧電体薄膜103の方が第2圧電体薄膜104よりも少なかった。
また、圧電素子21の先端のZ軸方向の変位量の測定を、実施例1と同じ評価装置を用いて行った。すなわち、第1及び第2電極膜2,5間にリード線8,9を介して0V〜−50Vの三角波電圧を印加して、圧電素子21の先端のZ軸方向の変位量をレーザードップラー振動変位測定装置を用いて測定した。その測定結果、圧電素子21の先端は最大29.7μm変位したことがわかった。
また、この三角波電圧により圧電素子21を高温高湿(温度50℃、湿度50%)の雰囲気下で120時間連続駆動した後に、圧電素子21の駆動状況を調べるとともに光学顕微鏡により圧電素子21の外観を調べた。その結果、圧電素子21を高温高湿の雰囲気下で120時間連続駆動した後でも、変位量は最大29.7μmであって、変位量の減少は見られず、また、第1電極膜2の変色も見られなかった。
(比較例3)
上記各実施例の圧電素子と比較するために、以下のような比較例3の圧電素子を作製した。すなわち、本比較例のものは、実施例6と異なり、圧電体積層膜のPb組成を第1圧電体薄膜の方が第2圧電体薄膜よりも多くした。なお、この圧電体積層膜の成膜方法は実施例6と同様であり、成膜条件は実施例6と異なる。その他の点に関しては、実施例6と全く同じである。
第1電極膜、配向制御膜及び圧電体積層膜の組成、膜厚、断面構造及び結晶配向性について、実施例1と同じ方法で調べた。
配向制御膜は、ランタンを10モル%含み、且つ、鉛を化学量論組成よりも10%過剰に含むペロブスカイト型結晶構造であった。
第1圧電体薄膜は、膜厚が100nmであって、柱状粒子の平均粒子径(平均直径)が70nmであった。第2圧電体薄膜は、膜厚が2800nmであって、柱状粒子の平均粒子径(平均直径)が180nmであった。第2圧電体薄膜の柱状粒子の平均粒子径(平均直径)に対する圧電体積層膜の厚みの比は16.1であった。
また、X線回折法によって解析した結果、第1及び第2圧電体膜はペロブスカイト型結晶構造であることがわかった。第1圧電体膜の形成面(001)結晶配向率は80%であり、第2圧電体膜の形成面の(001)結晶配向率は98%であった。
また、X線マイクロアナライザーによる陽イオンの組成分析の結果、第1圧電体薄膜の組成は、Pb:Zr:Ti=1.15:0.53:0.47であり、第2圧電体薄膜の組成は、Pb:Zr:Ti=1.10:0.53:0.47であった。つまり、第1及び第2圧電体薄膜は、(001)軸が基板の上面に対して垂直な方向に優先配向して成長した、ペロブスカイト型結晶構造のPZT膜であり、Zr及びTiの組成は、第1及び第2圧電体薄膜で同じであり、Pbの組成は、第1圧電体薄膜の方が第2圧電体薄膜よりも多いことがわかった。
また、圧電素子の圧電変位の駆動耐久試験は、実施例1と同じ評価装置を用いて行った。すなわち、第1及び第2電極膜間にリード線を介して0V〜−50Vの三角波電圧を印加して、圧電素子の先端のZ軸方向の変位量をレーザードップラー振動変位測定装置を用いて測定した。その測定結果、圧電素子の先端は最大26.0μm変位したことがわかった。
また、この三角波電圧により圧電素子を高温高湿(温度50℃、湿度50%)の雰囲気下で120時間連続駆動した後に、圧電素子の駆動状況を調べるとともに光学顕微鏡により圧電素子の外観を調べた。その結果、圧電素子を高温高湿の雰囲気下で120時間連続駆動した後において、変位量が減少しており(0μm)、第1電極膜が黒色に変色していた。すなわち、圧電素子は劣化していた。
−効果−
以上により、本実施形態によれば、第1圧電体薄膜3のPb組成が第2圧電体薄膜4のPb組成よりも少ないので、圧電素子21を高温高湿(温度50℃、湿度50%)の雰囲気下で駆動させても、配向制御膜12と第1圧電体薄膜3との界面で第1圧電体薄膜3の過剰Pbが第1電極膜2及び配向制御膜12を透過して浸入した水分と反応することを原因とする、圧電素子21の劣化が起こらなくなる。そのため、低コストで、圧電特性が高く、且つ、耐湿性が高い圧電素子21を実現できる。
また、第1電極膜2と第1圧電体薄膜3との間に配向制御膜12を配設することにより、第1圧電体薄膜3の結晶配向性が向上し、さらに、第2圧電体薄膜4の結晶配向性が向上する。そのため、圧電特性がより高い圧電素子21を実現できる。
(実施形態3)
本実施形態は、本発明の圧電素子をインクジェットヘッドに適用したものである。図8に示すように、本実施形態に係るインクジェットヘッド201は、互いが列状に並んだ、同じ形状である10個のインク吐出素子202,…と、各インク吐出素子202の個別電極33(図9を参照)に接続され且つインク吐出素子202を駆動するための駆動電源素子203とにより構成されている。
図9に示すように、インク吐出素子202は、ノズル板Dとインク液流路部品Cと圧力室部品Aとアクチュエーター部Bとが順に積層されてなる。これら部品A〜Dは互いに接着剤によって接着固定されている。
圧力室部品Aには圧力室用開口部31が形成されている。アクチュエーター部Bは圧力室用開口部31の上端開口面を覆うように配置されている。すなわち、アクチュエーター部Bは厚み方向一方側の面の一部が圧力室用開口部31に臨むように設けられている。インク液流路部品Cは圧力室用開口部31の下端開口面を覆うように配置されている。つまり、圧力室用開口部31はその上下にそれぞれ配置されたアクチュエーター部B及びインク液流路部品Cにより区画され、その区画された空間がインク液を収容する圧力室32(厚さ0.2mm)を構成している。なお、上記上端開口面の形状は、短軸が200μm、長軸が400μmの楕円形状である。
インク液流路部品Cには、互いが列状に並んだ複数の圧力室32,…で共用される共通液室35と、その共通液室35と圧力室32とを連通する供給口36と、圧力室32と後述するノズル孔38とを連通するインク流路37とが形成されている。ノズル板Dには、直径30μmのノズル孔38が穿設されている。
上記駆動電源素子203は、各インク吐出素子202の個別電極33にボンディングワイヤを介して電圧を供給する。なお、本発明のヘッド本体部はノズル板D、インク液流路部品C及び圧力室部品Aに対応する。
以下、具体的に実施した実施例について説明する。
(実施例9)
図10は、図9のX−X線の断面図である。アクチュエーター部Bは、Pt膜からなる厚さ100nmの個別電極33と、その個別電極33の直下に位置し且つPb1.00Zr0.53Ti0.47で表記されるPZTからなる厚さ100nmの第1圧電体薄膜41と、その第1圧電体薄膜41の直下に位置し且つPb1.05Zr0.53Ti0.47で表記されるPZTからなる厚さ2800nmの第2圧電体薄膜42と、その第2圧電体薄膜42の直下に位置し且つPtからなる厚さ100nmの第2電極膜(共通電極)43と、その第2電極膜43の直下に位置し且つクロムからなる厚さ3500nmの振動板膜44とを有する。個別電極33は、圧力室32の位置に対応するように個別化されて設けられている。振動板膜44は、圧電体薄膜41,42の圧電効果により変位して振動する。第2電極膜43及び振動板膜44は各圧力室32間で共用されている。第2電極膜43上における積層膜以外の部分(積層膜については後述する)には、ポリイミド樹脂からなる電気絶縁有機膜45が個別電極33の上面と同じ高さまで形成されている。この電気絶縁有機膜45の上面上には、個別電極33に接続された、金からなる厚さ100nmのリード線46が形成されている。なお、本発明の振動板膜及び圧電素子はアクチュエーター部Bに対応する。
−インク吐出素子の製造方法−
以下、図11及び図12を参照しながら、インク吐出素子202の製造方法について説明する。まず、実施例1と同様に、縦20mm、横20mm、厚さ0.3mmのシリコン基板51上に第1電極膜52、第1圧電体薄膜53、第2圧電体薄膜54及び第2電極膜43を順に積層する。それにより、図11(a)に示す構造体55を得ることができる。
次に、図11(b)に示すように、室温下において、第2電極膜43上に振動板膜44をRFマグネトロンスパッタ法で形成する。
次に、図11(c)に示すように、振動板膜44上にガラス製の圧力室部品57を接着剤(アクリル樹脂)56を用いて貼り合わせる。
次に、図11(d)に示すように、プラズマ反応エッチング装置を使用して、シリコン基板51をSFガスを用いたドライエッチング法で除去する。
次に、図11(e)に示すように、第1電極膜52上にフォトレジスト58を形成して、それから、そのフォトレジスト58を圧力室32の位置に対応するようにパターニングする。
次に、図12(a)に示すように、第1電極膜52及び第1圧電体薄膜53を、圧力室32の位置に対応し且つ互いが同一形状になるようにドライエッチング法でパターニングして、それから、フォトレジスト58を除去する。尚、この第1電極膜52及び第1圧電体薄膜をパターニングする工程では、ハロゲン元素を含むガス又はハロゲン元素を含むガスと不活性ガスとからなる混合ガスを用いたドライエッチング法でパターニングすることが望ましい。
次に、上記と同じフォトレジストを用いて、第2圧電体薄膜54を個別電極33よりも大きいサイズになるようにウェットエッチング法でパターニングする。それにより、図12(b)に示すように、第1電極膜52、第1圧電体薄膜53及び第2圧電体薄膜54からなる積層膜は個別化され、アクチュエーター構造体を得ることができる。尚、この第2圧電体薄膜54をパターニングする工程では、フッ硝酸を主成分とするエッチャントを用いたウェットエッチング法でパターニングすることが望ましい。
次に、図12(c)に示すように、第2電極膜43上の上記積層膜以外の部分に、電気絶縁有機膜45を印刷法で形成する。その後、図12(d)に示すように、電気絶縁有機膜45の上面上にリード線46をDCスパッタ法で形成する。以上により、図9に示すアクチュエーター部Bを得ることができる。
以上のような製造方法により、互いが同じ形状・大きさの30個のインク吐出素子202,…を作製した。そして、各インク吐出素子202,・・・の個別電極33と第2電極膜43との間に0V〜−50Vのサイン波形電圧(200Hz)を印加して、各インク吐出素子202を高温高湿(温度50℃、湿度50%)の雰囲気下で駆動させた。その結果、全てのインク吐出素子202,…は故障することなく、長時間駆動した。
以上に示す製造方法により作製されたインク吐出素子202を10個用いて、図8に示すインクジェットヘッド201を作製した。
−インクジェットヘッドの動作−
以下、インクジェットヘッド201の動作について説明する。図8に示すインクジェットヘッド201では、10個のインク吐出素子202,…の個別電極33に駆動電源素子203からボンディングワイヤを介して電圧がそれぞれ供給される。そして、圧電体薄膜41,42の圧電効果により、振動板膜44が変位して振動し、それにより、共通液室35内のインク液が供給口36、圧力室32及びインク流路37を経由してノズル孔38から吐出される。このとき、このインクジェットヘッド201では、圧電体薄膜41,42の膜面の結晶配向性が(001)面に揃い、また、圧電体薄膜41,42の圧電特性も揃っている。そのため、このインクジェットヘッド201によれば、大きな圧電変位(変位量)を得ることができる。
また、インク吐出素子202は、圧電変位が大きい、すなわち、インク液の吐出能力が高いので、電源電圧の調整幅に大きなマージンを取ることができる。そのため、各インク吐出素子202のインク液の吐出能力を容易にコントロールできる。したがって、各インク吐出素子202間のインク液の吐出能力のばらつきを小さくできる。
(実施例10)
図13に示すように、本実施例に係るインクジェットヘッドは、個別電極33と第1圧電体薄膜41との間に配向制御膜59が配設されている点が実施例9と異なり、その他の点に関しては、実施例9とほぼ同様である。この配向制御膜59は、実施例6と同じチタン酸ランタン鉛からなるものである。
インク吐出素子202の製造方法は、第1電極膜52と第1圧電体薄膜53との間に配向制御膜59を形成する点、及び配向制御膜59を、第1電極膜52及び第1圧電体薄膜53とともに圧力室32の位置に対応するようにドライエッチング法でパターニングする点が実施例9と異なり、その他の点に関しては、実施例9とほぼ同様である。この配向制御膜59は、実施例6の配向制御膜と同じ方法で作製される。
以上に示す製造方法により作製されたインク吐出素子202を用いて、インクジェットヘッド201を作製した。
−効果−
以上により、本実施形態によれば、インク吐出素子202を複数並べてなるインクジェットヘッド201において、各インク吐出素子202間のインク液の吐出能力のばらつきを小さくできる。そのため、信頼性が高いインクジェットヘッド201を実現できる。
なお、アクチュエーター部Bを構成する第1電極膜52、配向制御膜59、第1圧電体薄膜53、第2圧電体薄膜54及び第2電極膜43は、実施形態1及び2に係る圧電素子20,21に用いられた材料で構成されている限り、どの材料を用いても高特性のアクチュエーター部Bを実現できる。
また、本実施形態では、振動板膜44はクロムからなるが、シリコン、ガラス、セラミック材料又はクロム以外の金属材料から構成されても良い。
また、本実施形態では、第2電極膜43における第2圧電体薄膜42と反対側の面の上に振動板膜44が形成されているが、個別電極33における第1圧電体薄膜41(配向制御膜59)と反対側の面の上に振動板44を形成されても良い。
(実施形態4)
本実施形態は、本発明の圧電素子をインクジェット式記録装置に適用したものである。図14に示すように、本実施形態に係るインクジェット式記録装置81は、圧電体薄膜41,42の圧電効果を利用して記録を行う、実施形態3に係るインクジェットヘッド201を備えており、インクジェットヘッド201から吐出したインク滴を紙などの記録媒体82に着弾させることにより記録媒体82に記録を行うことができる。インクジェットヘッド201は、主走査方向(図14ではX方向)に延びるように配置されたキャリッジ軸83に取り付けられたキャリッジ84に搭載されている。そして、キャリッジ84がキャリッジ軸83に沿って往復移動することにより、インクジェットヘッド201は主走査方向Xに往復移動する。インクジェット式記録装置81は、記録媒体82を主走査方向Xと略垂直な副走査方向Yに移動させる複数個のローラ85,…をさらに備えている。なお、本発明に係る移動手段は、キャリッジ軸83、キャリッジ84及びローラ85に対応する。
−効果−
以上のように、本実施形態によれば、各インク吐出素子202間のインク液の吐出能力のばらつきが小さいインクジェットヘッド201を用いてインクジェット式記録装置81を構成しているので、記録時に印字むらが少ない、信頼性が高いインクジェット式記録装置81を実現できる。
なお、本実施形態では、インクジェットヘッド201をいわゆるシリアル方式のインクジェット式記録装置81に適用しているが、いわゆるライン方式のインクジェット式記録装置に適用しても良い。
以上説明したように、本発明は、インクジェットヘッドのみならず、ジャイロ素子などについても有用である。また、本発明はマイクロマシンデバイス等に対しても適用できる。
本発明の実施形態に係る圧電素子の斜視図である。 圧電素子の製造工程を示す図である。 圧電素子の膜構造を示す模式図である。 周波数2kHzの三角波電圧を印加した場合における圧電素子の先端のZ軸方向の変位量を示す図である。 圧電素子の斜視図である。 圧電素子の製造工程を示す図である。 圧電素子の膜構造を示す模式図である。 インクジェットヘッドの概略構成図である。 インク吐出素子の一部を破断した分解斜視図である。 図9のX−X線の断面図である。 アクチュエーター部の製造工程の一部を示す図である。 アクチュエーター部の製造工程の一部を示す図である。 インク吐出素子の変形例の、図10に相当する図である。 インクジェット式記録装置の概略斜視図である。
符号の説明
1,101 基板
2,52,102 第1電極膜
3,41,53,103 第1圧電体薄膜
4,42,54,104 第2圧電体薄膜
5,43,105 第2電極膜
20,21 圧電素子
44 振動板膜
81 インクジェット式記録装置
83 キャリッジ軸(移動手段)
84 キャリッジ(移動手段)
85 ローラ(移動手段)
201 インクジェットヘッド
12,59,112 配向制御膜

Claims (10)

  1. 第1電極膜と、該第1電極膜上に形成された第1圧電体膜と該第1圧電体膜上に形成され且つ上記第1圧電体膜により結晶配向性を制御される第2圧電体膜とからなる圧電体積層膜と、該第2圧電体膜上に形成された第2電極膜とを備えた圧電素子であって、
    上記第1及び第2圧電体膜は、結晶成長方向が上記圧電体積層膜の厚み方向一方側から他方側に向いている柱状粒子の集合体であり、
    上記第1圧電体膜のPb含有量が上記第2圧電体膜のPb含有量よりも少なく、
    上記第2圧電体膜の柱状粒子の平均断面径が上記第1圧電体膜の柱状粒子の平均断面径よりも大きく、
    上記第2圧電体膜の柱状粒子の平均断面径に対する上記圧電体積層膜の厚みの比が20以上60以下であることを特徴とする圧電素子。
  2. 第1電極膜と、該第1電極膜上に形成された配向制御膜と、該配向制御膜上に形成された第1圧電体膜と該第1圧電体膜上に形成され且つ上記第1圧電体膜により結晶配向性を制御される第2圧電体膜とからなる圧電体積層膜と、該第2圧電体膜上に形成された第2電極膜とを備えた圧電素子であって、
    上記第1及び第2圧電体膜は、結晶成長方向が上記圧電体積層膜の厚み方向一方側から他方側に向いている柱状粒子の集合体であり、
    上記第1圧電体膜のPb含有量が上記第2圧電体膜のPb含有量よりも少なく、
    上記第2圧電体膜の柱状粒子の平均断面径が上記第1圧電体膜の柱状粒子の平均断面径よりも大きく、
    上記第2圧電体膜の柱状粒子の平均断面径に対する上記圧電体積層膜の厚みの比が20以上60以下であることを特徴とする圧電素子。
  3. 上記第1圧電体膜の柱状粒子は、平均断面径が40nm以上70nm以下であり且つ長さが5nm以上100nm以下であることを特徴とする請求項1又は2記載の圧電素子。
  4. 上記第2圧電体膜の柱状粒子は、平均断面径が60nm以上200nm以下であり且つ長さが2500nm以上5000nm以下であることを特徴とする請求項1又は2記載の圧電素子。
  5. 上記第1及び第2圧電体膜は少なくともPb、Zr及びTiを含んでいて、化学組成比がPb:Zr:Ti=(1+a):b:1−bで表され、
    上記第1及び第2圧電体膜の上記bの値が0.50以上0.60以下の同じ値であり、
    上記第1圧電体膜の上記aの値が−0.05以上0.05以下であり、
    上記第2圧電体膜の上記aの値が0以上0.1以下であることを特徴とする請求項1又は2記載の圧電素子。
  6. 上記第1及び第2圧電体膜は、(001)面に優先配向していることを特徴とする請求項1記載の圧電素子。
  7. 上記第1電極膜は、Pt、Ir、Pd及びRuから選ばれた少なくとも1種の貴金属、又は該貴金属とTi、Co、Ni、Al、Fe、Mn、Cu、Mg、Ca、Sr及びBaから選ばれた少なくとも1種の金属若しくはその酸化物との合金からなっていて、平均断面径が20nm以上30nm以下の柱状粒子の集合体であることを特徴とする請求項1又は2記載の圧電素子。
  8. 上記配向制御膜は、チタン酸ランタン鉛からなることを特徴とする請求項2記載の圧電素子。
  9. ノズルと該ノズルに連通し且つインクを収容する圧力室とが形成されたヘッド本体部と、
    厚み方向一方側の面の一部が上記圧力室に臨むように設けられた振動板膜と、
    上記振動板膜の厚み方向他方側の面上に形成され、上記圧力室内のインクに圧力を付与して上記ノズルからインクを吐出させる圧電素子とを備えたインクジェットヘッドであって、
    上記圧電素子は、請求項1〜8のいずれか1つに記載の圧電素子からなることを特徴とするインクジェットヘッド。
  10. インクジェットヘッドと、
    上記インクジェットヘッドと記録媒体とを相対移動させる移動手段とを備えたインクジェット式記録装置であって、
    上記インクジェットヘッドは、請求項9記載のインクジェットヘッドからなることを特徴とするインクジェット式記録装置。
JP2004344446A 2004-05-10 2004-11-29 圧電素子、インクジェットヘッド、及びインクジェット式記録装置 Active JP3996594B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004344446A JP3996594B2 (ja) 2004-05-10 2004-11-29 圧電素子、インクジェットヘッド、及びインクジェット式記録装置

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004139796 2004-05-10
JP2004344446A JP3996594B2 (ja) 2004-05-10 2004-11-29 圧電素子、インクジェットヘッド、及びインクジェット式記録装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2005354026A JP2005354026A (ja) 2005-12-22
JP3996594B2 true JP3996594B2 (ja) 2007-10-24

Family

ID=35588195

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004344446A Active JP3996594B2 (ja) 2004-05-10 2004-11-29 圧電素子、インクジェットヘッド、及びインクジェット式記録装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3996594B2 (ja)

Families Citing this family (16)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5194463B2 (ja) * 2007-01-31 2013-05-08 パナソニック株式会社 圧電体薄膜素子の製造方法
JP2008218620A (ja) * 2007-03-02 2008-09-18 Matsushita Electric Ind Co Ltd 圧電体薄膜素子、圧電体薄膜素子の製造方法、インクジェットヘッド、およびインクジェット式記録装置
JP2009049220A (ja) * 2007-08-21 2009-03-05 Panasonic Corp 圧電体薄膜素子、圧電体薄膜素子の製造方法、インクジェットヘッド、及びインクジェット式記録装置
JP5391600B2 (ja) * 2008-07-16 2014-01-15 船井電機株式会社 振動ミラー素子
JP5444662B2 (ja) * 2008-08-25 2014-03-19 ソニー株式会社 圧電デバイスの製造方法
JP5399166B2 (ja) * 2009-08-14 2014-01-29 富士フイルム株式会社 柱状構造膜とその成膜方法、圧電素子、液体吐出装置、及び圧電型超音波振動子
JP2011061117A (ja) * 2009-09-14 2011-03-24 Seiko Epson Corp 圧電素子、圧電アクチュエーター、液体噴射ヘッドおよび液体噴射装置
JPWO2011062050A1 (ja) * 2009-11-17 2013-04-04 コニカミノルタホールディングス株式会社 圧電体薄膜の製造方法、圧電体薄膜及び圧電体素子
DE102010005906A1 (de) * 2010-01-27 2011-07-28 Epcos Ag, 81669 Piezoelektrisches Bauelement
US9842984B2 (en) * 2012-05-01 2017-12-12 Konica Minolta, Inc. Piezoelectric element
JP6110178B2 (ja) * 2013-03-28 2017-04-05 日本碍子株式会社 圧電/電歪デバイスとその製造方法
JP6232866B2 (ja) * 2013-09-10 2017-11-22 株式会社リコー アクチュエータ素子、圧電アクチュエータ、液滴吐出ヘッド、並びに画像形成装置
JP6451025B2 (ja) * 2014-09-03 2019-01-16 ローム株式会社 圧電体膜、圧電素子、およびインクジェットヘッド
JP2017005924A (ja) * 2015-06-12 2017-01-05 セイコーエプソン株式会社 モーター用圧電駆動装置、モーター、ロボット、およびポンプ
TWI717498B (zh) * 2016-06-21 2021-02-01 日商前進材料科技股份有限公司 膜構造體及其製造方法
EP4224540A4 (en) * 2020-09-30 2024-03-06 FUJIFILM Corporation SUBSTRATE EQUIPPED WITH A PIEZOELECTRIC FILM AND PIEZOELECTRIC ELEMENT

Also Published As

Publication number Publication date
JP2005354026A (ja) 2005-12-22

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4058018B2 (ja) 圧電素子及びその製造方法、並びにその圧電素子を備えたインクジェットヘッド、インクジェット式記録装置及び角速度センサ
KR100581257B1 (ko) 압전소자, 잉크젯헤드, 각속도센서 및 이들의 제조방법,그리고 잉크젯방식 기록장치
US7348715B2 (en) Piezoelectric element and method for manufacturing the same, and ink jet head and ink jet recording apparatus using the piezoelectric element
JP3996594B2 (ja) 圧電素子、インクジェットヘッド、及びインクジェット式記録装置
EP2044245B1 (en) Piezoelectric substance, piezoelectric element, and liquid discharge head and liquid discharge apparatus using piezoelectric element
US7530676B2 (en) Piezoelectric element, inkjet head, angular velocity sensor, methods for manufacturing them and inkjet recording device
US7144101B2 (en) Piezoelectric element
US9085146B2 (en) Liquid ejecting head, liquid ejecting apparatus and piezoelectric element
US7193756B2 (en) Piezoelectric element, method for fabricating the same, inkjet head, method for fabricating the same, and inkjet recording apparatus
JP2004186646A (ja) 圧電素子、インクジェットヘッド及びこれらの製造方法、並びにインクジェット式記録装置
JP2005244174A (ja) 圧電体素子及びその製造方法、並びに該圧電体素子を用いたインクジェットヘッド及びインクジェット式記録装置
JP4875827B2 (ja) 圧電薄膜及びその製造方法、並びにその圧電薄膜を備えた圧電素子、並びにその圧電素子を用いたインクジェットヘッド、並びにそのインクジェットヘッドを備えたインクジェット式記録装置
JP4451610B2 (ja) 圧電素子、インクジェットヘッド、角速度センサ及びこれらの製造方法、並びにインクジェット式記録装置
JP2004235599A (ja) 圧電素子、インクジェットヘッド、角速度センサ及びこれらの製造方法、並びにインクジェット式記録装置
JP5578311B2 (ja) 液体噴射ヘッド、液体噴射装置及び液体噴射ヘッドの製造方法
JP2012139919A (ja) 液体噴射ヘッドの製造方法、液体噴射装置、及び圧電素子の製造方法
JP5344143B2 (ja) 液体噴射ヘッド及び液体噴射装置並びに圧電素子
JP7515113B2 (ja) 誘電性薄膜、誘電性薄膜素子、圧電アクチュエータ、圧電センサ、ヘッドアセンブリ、ヘッドスタックアセンブリ、ハードディスクドライブ、プリンタヘッド、及びインクジェットプリンタ装置
JP2006144090A (ja) スパッタリング方法、スパッタリング装置、圧電素子の製造方法及び液体噴射ヘッド
JP2014192436A (ja) 液体噴射ヘッド、液体噴射装置、圧電素子及びアクチュエーター装置

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20070420

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20070515

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20070618

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20070710

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20070802

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100810

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Ref document number: 3996594

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100810

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110810

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110810

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120810

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130810

Year of fee payment: 6