JP2003185425A - 薄膜の歪測定方法及び装置 - Google Patents

薄膜の歪測定方法及び装置

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JP2003185425A JP2001385474A JP2001385474A JP2003185425A JP 2003185425 A JP2003185425 A JP 2003185425A JP 2001385474 A JP2001385474 A JP 2001385474A JP 2001385474 A JP2001385474 A JP 2001385474A JP 2003185425 A JP2003185425 A JP 2003185425A
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Yoshihiro Kudo
喜弘 工藤
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 シリコン基板上の絶縁膜などの薄膜の歪を精
度よく測定することが可能な薄膜の歪測定方法及び装置
を提供する。 【解決手段】 基層に薄膜が被覆された被覆部と薄膜が
被覆されずに基層が露出された露出部とを有する薄膜試
料における薄膜の歪測定方法において、被覆部の所定箇
所と露出部の所定箇所にX線を照射しそれらの回折結果
を得る第1の回折工程と、前記第1の回折工程の後、被
覆部のうち前記X線が照射された所定箇所の前記薄膜を
除去し基層を露出させる薄膜除去工程と、前記薄膜除去
工程の後、当該薄膜除去部と前記露出部の前記第1の回
折工程と同箇所にX線を照射しそれらの回折結果を得る
第2の回折工程と、前記第1の回折工程で得た回折結果
と前記第2の回折工程で得た回折結果に基づいて、前記
薄膜の歪を測定する歪測定工程とからなる薄膜の歪測定
方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、シリコンウェーハ
等の結晶基板上にシリコン酸化膜やシリコン窒化酸化膜
等の絶縁薄膜を形成した薄膜試料において、その薄膜の
歪を測定する方法及び装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】シリコンウェーハ等の半導体結晶基板に
形成された厚さが10nm以下の薄膜の歪を測定する技
術としては、金属薄膜歪センサーや半導体歪センサーを
用いた測定方法が知られている。これらの測定方法は、
それぞれ基板の変形に伴って金属薄膜や半導体に応力が
印加され、それによって金属薄膜や半導体の抵抗値が変
化することを利用して基板の歪を測定するものであり、
基板に対して外力が加わった場合、その外力により誘起
される歪を測定するものである。
【0003】しかしながら、例えばシリコンウェーハ等
の半導体結晶基板に形成されたシリコン酸化膜やシリコ
ン窒化酸化膜等の絶縁薄膜に存在する歪を測定するに
は、ウェーハにあからさまに外力が加わっているわけで
はないので、上記のような測定方法は本質的に適さない
ことになる。
【0004】一方、上記の方法とは別のX線を利用した
薄膜の歪測定方法として、sinψ法が知られている。
この方法は、試料表面の法線と入射X線とのなす角度を
ψとしたとき、薄膜からの回折X線強度を検出器の試料
に対する角度を変化させながら連続的に計測し、そのピ
ーク角度位置を幾つかの角度ψに対して測定することに
より、薄膜の残留応力を求めるようにした方法である
が、この方法の場合、薄膜からの回折X線を測定するも
のであることから、薄膜は多結晶膜や単結晶膜でなけれ
ばならず、アモルファスなどの結晶質でない薄膜には適
用できなかった。
【0005】また、薄膜に起因する歪が基板に影響を及
ぼすことを利用して、薄膜の形成されている部分と形成
されていない部分の基板からの回折X線強度曲線を別々
に測定し、そのピーク角度位置を比較してその角度位置
の差から薄膜の歪を見積る方法が考えられている。しか
しながら、この方法の場合、一般的に試料位置をずらす
などしてX線の照射位置を変えなければならず、その移
動によって試料の角度条件がずれたり、試料上の照射位
置の違いによって角度条件がずれたりする可能性があ
り、回折強度曲線のピーク位置のずれに薄膜の歪以外に
よる成分が混在する恐れがあるため、歪を精度よく測定
することができない問題があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記したよ
うな問題に対処するためになされたものであり、その第
1の課題は、従来の方法では難しかった、薄膜試料に被
覆された厚さが10nm以下の薄膜、例えばシリコン基
板上の絶縁薄膜などの歪を精度よく測定することが可能
な薄膜の歪測定方法及び装置を提供することにある。ま
た、本発明のもう一つの課題は、薄膜の品質評価手法と
して活用することにより、薄膜を利用したデバイスの電
気的特性の向上を図るため、薄膜の歪の程度を定量的に
測定できる薄膜の歪測定方法及び装置を提供することに
ある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記した課題を解決する
ため、本発明にかかる薄膜の歪測定方法は、基層に薄膜
が被覆された被覆部と薄膜が被覆されずに基層が露出さ
れた露出部とを有する薄膜試料における薄膜の歪測定方
法において、被覆部の所定箇所と露出部の所定箇所にX
線を照射しそれらの回折結果を得る第1の回折工程と、
前記第1の回折工程の後、被覆部のうち前記X線が照射
された所定箇所の前記薄膜を除去し基層を露出させる薄
膜除去工程と、前記薄膜除去工程の後、当該薄膜除去部
と前記露出部の前記第1の回折工程と同箇所にX線を照
射しそれらの回折結果を得る第2の回折工程と、前記第
1の回折工程で得た回折結果と前記第2の回折工程で得
た回折結果に基づいて、前記薄膜の歪を測定する歪測定
工程とからなることを特徴とするものである。
【0008】上記のように第1回折工程でX線を照射し
その回折結果を得た後、薄膜試料の位置をずらすことな
く、被膜部のうちのX線照射箇所の薄膜を除去し、しか
る後第1回工程と同箇所にX線を照射してその回折結果
を取得し、それらの回折結果に基づいて、薄膜の歪に起
因する基層の回折に預かる格子面間隔のずれの相対的な
ずれを求めるようにしているため、薄膜試料位置をずら
してX線照射位置を変える必要がなく、角度条件がずれ
たりする等の可能性をなくして薄膜の歪以外による成分
の混在を排除し、薄膜の歪を精度よく測定することがで
きる。
【0009】また、本発明にかかる薄膜の歪測定方法
は、上記した薄膜の歪測定方法であって、前記第1の回
折工程において各々の箇所からのX線による回折強度曲
線を測定し、そのピーク角度位置をθa、θbとしてそ
れらの角度位置の差Δθ1(θa−θb)を求め、次い
で、前記第2の回折工程において各々の箇所からのX線
による回折強度曲線を測定し、そのピーク角度位置をθ
a′、θb′としてそれらの角度位置の差Δθ2(θ
a′−θb′)を求め、その結果に基づいて前記歪測定
工程で薄膜の歪に起因する基層の回折に預かる格子面間
隔DのずれをΔDとし、その相対的なずれΔD/Dを次
式 ΔD/D=−Δθ/tanθ ここで、Δθ=Δθ2−Δθ1、θはブラッグ角とする
によって求め、このΔD/Dを用いて薄膜の歪程度を定
量的に測定することを特徴とするものである。
【0010】このように第1回折工程でX線による回折
強度曲線を測定し、そのピーク角度位置の差Δθ1を求
め、次いで、第2回折工程で薄膜を除去した部分のX線
による回折強度曲線を測定し、そのピーク角度位置の差
Δθ2を求め、それらの結果に基づいて薄膜の歪に起因
する基層の回折に預かる格子面間隔DのずれをΔDと
し、その相対的なずれΔD/Dを上記式から求めること
によって、薄膜の歪程度を定量的に測定することができ
る。
【0011】更に、本発明にかかる薄膜の歪測定装置
は、基層に薄膜が被覆された被覆部と薄膜が被覆されず
に基層が露出された露出部とを有する薄膜試料における
薄膜の歪測定装置において、前記薄膜試料に対して選択
された任意のX線を所定の入射角で照射するX線照射装
置と、前記薄膜試料を微小回転できるように取り付ける
ゴニオメータと、前記薄膜試料の所定箇所に照射された
X線の反射強度をそれぞれ検出する3台のX線検出器
と、前記ゴニオメータの複数の回転軸を制御しながら前
記X線検出器で検出されたX線の強度を読み取り、得ら
れた回折強度曲線からそのピーク角度位置の差を用いて
薄膜の歪を測定するコンピュータとを備えたことを特徴
とするものである。
【0012】上記の装置を用いることによって、薄膜試
料をずらしてX線照射位置を変えることなく、薄膜を被
覆した箇所及び薄膜を除去した箇所と基層の露出箇所に
それぞれX線を照射して3台のX線検出器によりX線の
回折強度曲線を測定し、得られた回折強度曲線からコン
ピュータによりピーク角度位置の差を用いて薄膜の歪を
精度よく測定することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】以下に本発明の実施の形態を図1
乃至図4に基づいて説明する。図1は本発明にかかる薄
膜の歪測定装置の概略構成図、図2乃至図4はそれぞれ
X線検出器で測定されるX線の回折強度曲線図である。
【0014】図1に示す薄膜の歪測定装置においては、
薄膜が形成されている部分と形成されていない部分で同
時に回折X線を計測することになるが、それぞれの部分
で回折を起こす格子面は互いに異なるのが一般的であ
る。回折を起こす格子面を反射面と呼ぶが、異なる反射
面で同時に回折を生じさせるのは通常難しい。
【0015】ここで、「同時」というのは2つの反射面
の回折強度曲線のピーク角度位置の差が1°以内の場合
を指すものとする。同時に回折を生じさせるのは、角度
位置の差を精度よく測定するためと、後述する薄膜試料
を微小回転させるゴニオメータの送り角度範囲の制約の
ためである。これに関係する2つの反射面をa、bとす
ると、それぞれの反射面でのブラッグ条件は以下の式
(1)、及び式(2)のように表される。
【0016】
【数1】
【0017】
【数2】
【0018】反射面を決めると、その格子面間隔Daと
Dbが固定される。通常のX線発生装置では、金属ター
ゲットの特性X線(Kα線など)を利用するが、金属元
素に応じて特定の波長のX線しか得られない。すなわ
ち、波長λが固定され、反射面aのブラッグ角θaは、
波長λと格子面間隔Daによって一義的に決められてし
まう。
【0019】一方、反射面bは反射面aと角度αを形成
しているものとすると、そのブラッグ角θbは、以下の
式(3)で表すことができる。
【0020】
【数3】
【0021】ここで、角度αは反射面の組み合わせで一
義的に決まってしまい、任意に選ぶのは難しい。このた
め、波長λが固定されている場合には、式(2)と式
(3)の両式は一般的に同時には成り立たない。そこ
で、本実施形態においては、波長を任意に選択できる放
射光X線の利用を想定している。
【0022】前段から薄膜試料周りにかけてのX線の光
線図を図1に示している。この放射光X線照射装置1の
放射光X線は、図示されていない放射光X線源を介して
図の左方から入射し、先ず、モノクロメータ2で好みの
波長に単色化される。ここでは、Si111面を利用した
二結晶配置のモノクロメータで0.1214nmのX線
のみを選択する。
【0023】単色化されたX線をスリット3により整形
してから、コリメータ4に入射させる。このコリメータ
4は無くてもよいが、薄膜試料5とコリメータ4の反射
面を等しくすると、薄膜試料5からの回折X線の発散角
が狭まり、回折強度曲線のピーク角度位置の測定精度を
向上させることができる。ここでは、コリメータ4とし
て、薄膜試料5の反射面の一つであるSi400反射を
利用している。このときの入射X線と回折X線とが成す
角度(散乱角)は53.1°となる。
【0024】薄膜試料5は、シリコンウェーハにシリコ
ン酸化膜やシリコン窒化酸化膜などの絶縁薄膜が形成さ
れたものとし、膜の厚さは10nm以下の極薄膜とす
る。ウェーハの面方位は<001>とし、ウェーハの形
状は、例えば面方位<110>を長手方向とする短冊状
とする。この薄膜試料5は、ゴニオメータ6に取り付け
固定される。
【0025】コリメータ4からの回折X線を薄膜試料5
に対しすれすれに入射させる。このとき、試料表面(薄
膜の形成されている面)は紙面に対して平行である。薄
膜試料5に対する視斜角を調整するために、入射X線に
直交し、試料表面内に存在する軸の周りで薄膜試料5を
ゴニオメータ6によって微小回転(φ回転)させなが
ら、薄膜試料5からの鏡面反射X線の強度を♯1X線検
出器7で測定し、図2に示すような鏡面反射強度曲線を
得る。
【0026】厚さが10nm以下のような極薄膜の場
合、鏡面反射強度曲線の変曲点を与える角度は全反射臨
界角φcに一致すると考えてよい。本実施形態で選択し
た波長のX線のシリコンに対する全反射臨界角は0.1
75°であり、その侵入深さは6.3nmである。視斜
角が全反射臨界角より小さいとそれより侵入深さは浅く
なり、全反射臨界角より大きいとそれより侵入深さは深
くなる。すなわち、薄膜が基板に及ぼす歪がどの程度の
深さまで分布しているかに応じて、視斜角を調整するこ
とにより、X線の深さ方向に対して最適な感度で回折強
度曲線を測定することができる。なお、回折強度曲線の
測定の際には、視斜角は固定される。
【0027】薄膜試料5において回折X線を測定するの
に選択した反射面は、Si400面とSi800面とす
る。これらの反射面は互いに直交すると共に、試料表面
にも直交、すなわち紙面にも直交する。試料表面、すな
わち紙面に直交する軸の周りで薄膜試料5を微小回転
(θ回転)させることにより、Si400面からの回折
X線をスリット10を介して♯2X線検出器8で、ま
た、Si800面の回折X線を♯3X検出器9でそれぞ
れ測定する。本実施形態によるX線の波長でそれら2つ
の反射は、入射X線と薄膜試料5の<110>軸との成
す角が、18.4°で同時に起こるように選ばれてい
る。
【0028】ここで、Si400面での回折は入射X線
と回折X線が薄膜試料表面に平行な配置で生じることか
ら、一般的にin−plane回折と呼ばれる。薄膜の
歪によって基板の界面近傍の格子面間隔は、歪のない部
分に比べて微かに変化していると考えられるが、視斜角
が全反射臨界角近傍であれば、Si400面からの回折
を利用することにより、厚さ10nm以下の極薄膜に起
因した歪の影響を感度よく検出できると考えられる。
【0029】一方、Si800面での回折は、図1にA
点で示した薄膜試料側面で起こるもと考えられる。薄膜
試料側面は、絶縁膜の形成されたウェーハを劈開して生
じた面であるから、絶縁膜は形成されていない。すなわ
ち、Si800面からの回折X線は、常に薄膜の影響を
受けずに、そのピーク角度位置は、Si400面のピー
ク角度位置の基準となり得る。
【0030】次いで、薄膜試料5に入射するX線の薄膜
試料表面に直交する方向(紙面に垂直の方向)の幅を考
えると、薄膜試料5の表面において、ビーム方向に長く
とも100mmの長さで照射されていれば、十分なSi
400反射の強度が得られると考えてよいから、前記の
ようにX線の全反射臨界角0.175°で入射している
とすると、Si400反射に必要な入射X線の幅は0.
305mm(=100mm×sin0.175°)とな
る。一方、薄膜試料5の側面(図1のA点)で起こるS
i800反射に対しては、0.5mm程度の幅があれば
十分である。
【0031】このように、薄膜試料5に入射するX線の
試料表面に直交する方向の幅は、上記の合計0.8mm
程度であれば、薄膜試料5の位置をずらすなどして照射
位置を移すことなく、Si400とSi800の2つの
反射を同時に起こすことができる。通常、1mm以下の
幅のX線を形成するのは容易であり、かつその範囲内に
おいてはX線の角度広がりは無視できるから、Si40
0とSi800の回折強度曲線のピーク角度位置の差の
原因は、一義的に薄膜の歪に帰着させることができる。
【0032】薄膜が形成されている状態で測定したSi
400とSi800の回折強度曲線の模式図を図3に示
す。薄膜が被覆された被覆部と薄膜が被覆されず基層が
露出された露出部の回折強度曲線をそれぞれθaとθb
とすると、θa及びθbはそれぞれθ400とθ800
と見なすことができ、そのピーク角度位置の差Δθ1
は、Δθ1=θ400−θ800となる。
【0033】また、薄膜をエッチングなどで除去した後
測定したSi400面とSi800面の回折強度曲線の
模式図を図4に示す。薄膜を除去した部分と薄膜が被覆
されず基層が露出された露出部の回折強度曲線をそれぞ
れθa′とθb′とすると、θa′とθb′はそれぞれ
θ400′とθ800′と見なすことができ、そのピー
ク角度位置の差Δθ2は、Δθ2=θ400′−θ80
0′となる。
【0034】ここで、薄膜を除去する際には、除去した
ことによって薄膜試料表面に対する歪を変化させないよ
うに、例えばゆっくりとエッチングするなど十分に注意
を払って行う必要がある。また、薄膜の除去後におい
て、薄膜試料5へのX線の照射位置が薄膜の除去前と同
一になるように、薄膜試料5を測定装置に固定する必要
がある。
【0035】更に、Si800面は薄膜の歪に影響され
ないから、そのピーク角度位置は薄膜の除去前後で一致
する筈であるが、通常その値はずれる。それは薄膜試料
5を微小回転させるのに用いるゴニオメータ6に薄膜試
料5を取り付ける際に、ピーク角度位置の差(θ1やθ
2)に比べて無視できるほど、取り付け位置の誤差を小
さくすることが困難なためである。
【0036】一般的に、ピーク角度位置の差θ1やθ2
は、100arcsec(0.028°)以下である。
すなわち、薄膜の除去前後でθ800反射のピーク角度
位置のずれがないように取り付け位置を再現するのは難
しい。逆に取り付け位置が再現されなくとも、常にθ8
00反射のピーク角度位置を基準にする限り、θ400
反射のずれΔθ400は、以下の式(4)として求める
ことができるので、取り付け位置を厳密に再現する必要
はない。
【0037】
【数4】
【0038】また、通常歪によって生じた格子面間隔D
のずれΔDは、反射面のピーク角度位置のずれΔθと既
知の下記式(5)の関係にある。
【0039】
【数5】
【0040】ここで、θはブラッグ角である。格子面間
隔Dの相対的なずれΔD/Dは、格子面に加わる歪の程
度を定量的に測る物理量として使うことができ、そのず
れを引き起こすのが基板に形成された薄膜の歪である場
合には、薄膜の歪の程度を定量的に把握する物理量とし
て使うことができる。従って、薄膜の歪に起因する基板
のSi400面の格子面間隔D400のずれをΔD40
0とすると、その相対的なずれは以下の式(6)により
求められる。
【0041】
【数6】
【0042】この式(6)で、θ400はSi400面
のブラッグ角であり、本実施形態においては、26.5
55°である。
【0043】なお、歪の測定装置は、上記したようにモ
ノクロメータ2、スリット3、コリメータ4等からなる
放射光X線照射装置1、薄膜試料5を取り付けし微小回
転させるゴニオメータ6、3台のX線検出器7、8、
9、スリット10、ゴニオメータ6の複数の回転軸を制
御しながら各X線検出器7、8、9で計測されたX線の
強度の値を読み取るコンピュータ11等から構成されて
おり、コンピュータ11上で得られた図3、図4に示す
ような回折強度曲線からピーク角度位置を割り出し、上
記の式(4)と式(6)の両式を用いて、薄膜に起因す
る歪として格子面間隔の相対的なずれを算出できるよう
になっている。
【0044】しかして、上記した実施形態によると、従
来困難とされていた10nm以下の厚さの、例えばシリ
コン基板上に被覆された絶縁薄膜等の薄膜の歪を精度よ
く測定することが可能となる。また、これを上記薄膜の
品質評価の手法として活用することによって、薄膜を利
用したデバイスの電気的特性の向上に繋げることができ
る。
【0045】
【発明の効果】以上に詳細に説明したように、本発明に
かかる薄膜の歪測定方法及び装置によると、従来困難と
されていた厚さ10nm以下の薄膜、例えばシリコン基
板上の絶縁薄膜などの歪を測定することができるように
なり、これを薄膜の品質評価の手法として活用すること
により、その薄膜を利用したデバイスの電気的特性の向
上に繋げることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態にかかる薄膜の歪測定装置の
概略構成図である。
【図2】♯1X線検出器で測定されるX線の鏡面反射強
度曲線図である。
【図3】♯2X線検出器で測定されるSi400面のX
線の回折強度曲線図である。
【図4】♯3X線検出器で測定されるSi800面のX
線の回折強度曲線図である。
【符号の説明】
1…放射光X線照射装置、2…モノクロメータ、3…ス
リット、4…コリメータ、5…薄膜試料、6…ゴニオメ
ータ、7…♯1X線検出器、8…♯2X線検出器、9…
♯3X線検出器、10…スリット、11…コンピュータ

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基層に薄膜が被覆された被覆部と薄膜が
    被覆されずに基層が露出された露出部とを有する薄膜試
    料における薄膜の歪測定方法において、 被覆部の所定箇所と露出部の所定箇所にX線を照射しそ
    れらの回折結果を得る第1の回折工程と、 前記第1の回折工程の後、被覆部のうち前記X線が照射
    された所定箇所の前記薄膜を除去し基層を露出させる薄
    膜除去工程と、 前記薄膜除去工程の後、当該薄膜除去部と前記露出部の
    前記第1の回折工程と同箇所にX線を照射しそれらの回
    折結果を得る第2の回折工程と、 前記第1の回折工程で得た回折結果と前記第2の回折工
    程で得た回折結果に基づいて、前記薄膜の歪を測定する
    歪測定工程とからなることを特徴とする薄膜の歪測定方
    法。
  2. 【請求項2】 前記第1の回折工程において各々の箇所
    からのX線による回折強度曲線を測定し、そのピーク角
    度位置をθa、θbとしてそれらの角度位置の差Δθ1
    (θa−θb)を求め、次いで、前記第2の回折工程に
    おいて各々の箇所からのX線による回折強度曲線を測定
    し、そのピーク角度位置をθa′、θb′としてそれら
    の角度位置の差Δθ2(θa′−θb′)を求め、その
    結果に基づいて前記歪測定工程で薄膜の歪に起因する基
    層の回折に預かる格子面間隔DのずれをΔDとし、その
    相対的なずれΔD/Dを次式 ΔD/D=−Δθ/tanθ ここで、Δθ=Δθ2−Δθ1、θはブラッグ角とする
    によって求め、このΔD/Dを用いて薄膜の歪程度を定
    量的に測定することを特徴とする請求項1に記載の薄膜
    の歪測定方法。
  3. 【請求項3】 基層に薄膜が被覆された被覆部と薄膜が
    被覆されずに基層が露出された露出部とを有する薄膜試
    料における薄膜の歪測定装置において、 前記薄膜試料に対して選択された任意のX線を所定の入
    射角で照射するX線照射装置と、 前記薄膜試料を微小回転できるように取り付けるゴニオ
    メータと、 前記薄膜試料の所定箇所に照射されたX線の反射強度を
    それぞれ検出する3台のX線検出器と、 前記ゴニオメータの複数の回転軸を制御しながら前記X
    線検出器で検出されたX線の強度を読み取り、得られた
    回折強度曲線からそのピーク角度位置の差を用いて薄膜
    の歪を測定するコンピュータとを備えたことを特徴とす
    る薄膜の歪測定装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN107527831A (zh) * 2017-08-21 2017-12-29 武汉新芯集成电路制造有限公司 一种晶圆扭曲度的表征方法

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