JP2003183775A - 冷延鋼板製造用母板、高強度高延性冷延鋼板およびそれらの製造方法 - Google Patents

冷延鋼板製造用母板、高強度高延性冷延鋼板およびそれらの製造方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高い延性と高い伸びフランジ性を有する高強
度高延性冷延鋼板およびその製造方法を提案する。 【解決手段】 C:0.05〜0.40%を含有し、Si、Mn、
P、Al量を調整した鋼素材に、熱間圧延を施したのち、
冷却速度:30℃/s以上で500 ℃以下まで冷却し巻取る熱
延工程と、550 〜700 ℃で保持する再加熱工程を施し球
状セメンタイトを微細分散させ、ついで、冷延工程と、
Ac1変態点以上850 ℃以下の温度に保持する加熱処理を
施したのち、10℃/s以上の冷却速度で350 〜500 ℃に冷
却し、該温度域に10〜600s保持した後室温まで冷却する
連続焼鈍工程と、を順次施す。これにより、組織は、フ
ェライト相を主相とし、残留γ相を含みさらに低温変態
相を含む相を第2相とする複合組織となる。なお、第2
相の平均粒径は3.0 μm以下と微細であり、残留γは、
残留γ量、残留γの固溶C量、平均粒径が所定の関係式
を満足する微細で安定な相で、 延性および伸びフランジ
性が顕著に向上する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車用高強度冷
延鋼板に係り、とくに、延性、伸びフランジ性に優れた
高強度冷延鋼板に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、地球環境の保全という観点から、
自動車の燃費改善が要求されている。さらに加えて、衝
突時に乗員を保護するため、自動車車体の安全性向上も
要求されている。このようなことから、自動車車体の軽
量化および自動車車体の強化が積極的に進められてい
る。自動車車体の軽量化と強化を同時に満足させるに
は、部品素材を高強度化することが効果的であるといわ
れており、最近では高強度鋼板が自動車部品に積極的に
使用されている。
【0003】鋼板を素材とする自動車部品の多くがプレ
ス加工によって加工されるため、自動車部品用鋼板には
優れたプレス成形性が要求される。優れたプレス成形性
を実現するには、高い延性と高い伸びフランジ性を確保
することが肝要である。延性に優れる高強度鋼板として
は、フェライトとマルテンサイトの複合組織を有する二
相組織鋼板(いわゆる、Dual Phase鋼:DP鋼)が開発さ
れている。このような二相組織鋼板は、降伏点伸びがな
いこと、降伏比が低いこと、強度・伸びバランスが固溶
強化型鋼板や析出強化型鋼板よりも優れていることが知
られている。
【0004】また、強度と延性を兼備した鋼板を得るた
めに、残留オーステナイトによる変態誘起塑性(Transf
ormation Induced Plasticity :TRIP)を利用した鋼板
(TRIP鋼)が考えられている。例えば、特許文献1に
は、残留オーステナイトを含有する延性の良好な高強度
鋼板の製造方法が提案されている。特許文献1に記載さ
れた高強度鋼板の製造方法は、C:0.10〜0.45%を含
み、Si,Mn,Al,N含有量を調整した鋼に、熱延・巻取り
後、直接または一旦冷却したのち550 〜Ac1の温度域で
の1次焼鈍と、冷延後の(Ac3−80℃)〜Ac3の温度域
での2次焼鈍とを行ったのち、350 〜550 ℃の温度域ま
での冷却と、その温度域での時効を行い、適量の残留オ
ーステナイトを含む複合組織を得て、強度・伸びバラン
スを向上させるというものである。
【0005】また、特許文献2および特許文献3にも、
フェライト、ベイナイトおよび残留オーステナイトを含
む複合組織を有するTRIP鋼板の製造方法が提案されてい
る。
【0006】
【特許文献1】特開昭62−182224号公報
【特許文献2 】特公平5−64215 号公報
【特許文献3 】特開平4−333524号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、DP鋼や
TRIP鋼などの複合組織鋼板は一般的に伸びフランジ性が
劣るといわれており、特許文献1に記載された技術で製
造された高強度鋼板、あるいは特許文献2、特許文献3
に記載された技術で製造された鋼板では、伸びフランジ
性に劣るという問題があった。
【0008】そして、引張強さとTSと穴拡げ率λとの
積、TS×λが60000MPa%以上の高い強度−穴拡げ率バ
ランスを有する鋼板は得られなかった。本発明では、残
留オーステナイト相を含有し、延性に優れ、高い強度−
延性バランスを有する鋼板であって、かつ、伸びフラン
ジ性に優れ、TS×λが60000MPa%以上という高い強度
−穴拡げ率バランスを有する高強度高延性冷延鋼板およ
び高強度高延性冷延鋼板製造用母板ならびにそれらの製
造方法を提案することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記した
課題を達成するため、冷延鋼板の延性(伸び)、伸びフ
ランジ性に影響する要因について鋭意検討した。その結
果、鋼素材を加熱し、熱間圧延終了後、急冷し、低温巻
取りを行い、組織をベイナイト、マルテンサイト主体の
組織とした熱延板とし、ついで該熱延板に550 〜700 ℃
の温度範囲に再加熱し、1〜30h間保持し、セメンタイ
トを球状化させる再加熱処理を施し冷延鋼板製造用母板
としたのち、該母板に冷間圧延、連続焼鈍を施すことに
より、残留オーステナイトおよび低温変態相からなる第
2相の平均粒径が3μm以下と微細になり、伸びフラン
ジ性が向上し、さらに、残留オーステナイト中のC濃度
が高くなり延性が向上した冷延鋼板が得られ、従来のTR
IP鋼を凌ぐ、高い伸び、伸びフランジ性を有する冷延鋼
板が得られることを見出した。
【0010】本発明は、上記した知見に基づき、さらに
検討を加えて完成されたものである。すなわち、本発明
の要旨はつぎのとおりである。 (1)質量%で、C:0.05〜0.40%、Si:0.5 〜3.0
%、Mn:0.5 〜3.0 %、P:0.050 %以下、Al:0.01〜
0.30%を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からな
る組成と、フェライト相およびセメンタイト相とからな
る組織を有し、かつ前記セメンタイト相の平均粒径が0.
3 〜1.0 μmであることを特徴とする高強度高延性冷延
鋼板製造用母板。 (2)(1)において、前記組成に加えてさらに、質量
%で、Ti:0.25%以下、Nb:0.1 %以下のうちの1種ま
たは2種を含有する組成とすることを特徴とする高強度
高延性冷延鋼板製造用母板。 (3)(1)または(2)において、前記組成に加えて
さらに、質量%で、Ca、REM のうちの1種または2種を
合計で0.0100%以下含有する組成とすることを特徴とす
る高強度高延性冷延鋼板製造用母板。 (4)質量%で、C:0.05〜0.40%、Si:0.5 〜3.0
%、Mn:0.5 〜3.0 %、P:0.050 %以下、Al:0.01〜
0.30%を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からな
る組成の鋼素材に、熱間圧延を施し熱延板とし、冷却速
度:30℃/s以上で500 ℃以下まで冷却してから該熱延板
を巻取る熱延工程と、該熱延板を再加熱し550 〜700 ℃
の温度範囲で10〜30h保持する再加熱工程と、を順次施
すことを特徴とする高強度高延性冷延鋼板製造用母板の
製造方法。 (5)(4)において、前記組成に加えてさらに、質量
%で、Ti:0.25%以下、Nb:0.1 %以下のうちの1種ま
たは2種を含有する組成とすることを特徴とする高強度
高延性冷延鋼板製造用母板の製造方法。 (6)(4)または(5)において、前記組成に加えて
さらに、質量%で、Ca、REM のうちの1種または2種を
合計で0.0100%以下含有する組成とすることを特徴とす
る高強度高延性冷延鋼板製造用母板の製造方法。 (7)質量%で、C:0.05〜0.40%、Si:0.5 〜3.0
%、Mn:0.5 〜3.0 %、P:0.050 %以下、Al:0.01〜
0.30%を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からな
る組成と、フェライト相を主相とし、体積率で4%以上
の残留オーステナイト相を含みさらに低温変態相を含む
相を第2相とする複合組織を有し、前記第2相の平均粒
径が3μm以下であり、かつ前記残留オーステナイト相
の含有量Vγ、固溶C量Cγ、平均結晶粒径dγが、 次
(1)式 Vγ×Cγ/dγ≧6 ………(1) (ここで、Vγ:残留オーステナイト相の含有量(体積
%)、Cγ:残留オーステナイト相中の固溶C量(質量
%)、dγ:残留オーステナイト相の平均結晶粒径(μ
m)) を満足することを特徴とする高強度高延性冷延鋼板。
(8)(7)において、前記組成に加えてさらに、質量
%で、Ti:0.25%以下、Nb:0.1 %以下のうちの1種ま
たは2種を含有する組成とすることを特徴とする高強度
高延性冷延鋼板。 (9)(7)または(8)において、前記組成に加えて
さらに、質量%で、Ca、REM のうちの1種または2種を
合計で0.0100%以下含有する組成とすることを特徴とす
る高強度高延性冷延鋼板。 (10)質量%で、C:0.05〜0.40%、Si:0.5 〜3.0
%、Mn:0.5 〜3.0 %、P:0.050 %以下、Al:0.01〜
0.30%を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からな
る組成の鋼素材に、熱間圧延を施し熱延板とし、冷却速
度:30℃/s以上で500 ℃以下まで冷却してから該熱延板
を巻取る熱延工程と、該熱延板を再加熱し550 〜700 ℃
の温度範囲で10〜30h保持する再加熱工程と、該再加熱
工程を経た熱延板に冷間圧延を施し冷延板とする冷延工
程と、該冷延板にAc1変態点以上850 ℃以下の温度で20
〜200s保持する加熱処理を施したのち、該加熱処理の保
持温度から、10℃/s以上の冷却速度で350 〜500 ℃の温
度域に冷却し、該温度域に10〜600s保持した後室温まで
冷却する連続焼鈍工程と、を順次施すことを特徴とする
高強度高延性冷延鋼板の製造方法。 (11)(10)において、前記組成に加えてさらに、
質量%で、Ti:0.25%以下、Nb:0.1 %以下のうちの1
種または2種を含有する組成とすることを特徴とする高
強度高延性冷延鋼板の製造方法。 (12)(10)または(11)において、前記組成に
加えてさらに、質量%で、Ca、REM のうちの1種または
2種を合計で0.0100%以下含有する組成とすることを特
徴とする高強度高延性冷延鋼板の製造方法。
【0011】
【発明の実施の形態】まず、本発明の冷延鋼板の組成限
定理由について説明する。以下、組成における質量%
は、単に%と記す。 C:0.05〜0.40% Cは、鋼の強化に有効に寄与するだけでなく、残留オー
ステナイトの生成に寄与する有効な元素である。このよ
うな効果を得るためには、0.05%以上の含有を必要とす
る。一方、0.40%を超える含有は、延性を低下させる。
このため、本発明では、Cは0.05〜0.40%の範囲に限定
した。なお、好ましくは0.10〜0.25%である。
【0012】Si:0.5 〜3.0 % Siは、固溶強化により鋼を強化するとともに、オーステ
ナイトを安定化し、残留オーステナイト相の生成を促進
する作用を有する元素である。このような作用は、0.5
%以上の含有で認められる。一方、3.0 %を超えて含有
すると、延性の低下を招くだけでなく、スケール性状を
低下させ表面品質を低下させる傾向となる。このため、
Siは0.5 〜3.0 %の範囲に限定した。好ましくは1.0 〜
2.5 %である。
【0013】Mn:0.5 〜3.0 % Mnは、固溶強化により鋼を強化するとともに、残留オー
ステナイトの生成を促進する作用を有する元素である。
このような効果は、0.5 %以上のMn含有で認められる。
一方、3.0 %を超えて含有しても効果が飽和し、含有量
に見合う効果が期待できなくなり経済上不利となる。こ
のため、Mnは0.5 〜3.0 %の範囲に限定した。好ましく
は1.0 〜2.0 %である。
【0014】P:0.050 %以下 Pは、固溶強化により鋼を強化する元素であり、高強度
鋼板を得るのに有効である。しかし、0.050 %を超えて
含有すると、スポット溶接性を低下させる。このため、
本発明では、Pは0.050 %以下に限定した。なお、好ま
しくは、0.020%以下である。
【0015】Al:0.01〜0.3 % Alは、脱酸剤として作用する元素であり、そのためには
少なくとも0.01%の含有を必要とするが、0.3 %を超え
て含有してもその効果は飽和するうえ、むしろコスト面
での不利が著しくなるため、Alは0.01〜0.3 %の範囲に
限定した。以上の基本成分に加えて、本発明では、必要
に応じ、強度改善成分としてのTiやNb、加工性改善成分
としてのCaやREM を、以下に示す範囲で適宜含有させる
ことができる。
【0016】Ti:0.25%以下、Nb:0.1 %以下のうちの
1種または2種 Ti、Nbは、いずれも、強度の向上に寄与する元素であ
り、必要に応じて選択して含有することができる。この
ような効果を得るためには、Ti:0.005 %以上、Nb:0.
003 %以上含有することが好ましい。一方、Ti:0.25
%、Nb:0.1 %を超える過度の含有は延性の低下を招
く。このため、含有する場合にはTi:0.25%、Nb:0.1
%を上限とする。また、Ti、Nbは、中炭炭素鋼の熱間圧
延時に発生しやすいエッジ部での粒界割れを防止するう
えでも有効である。
【0017】Ca、REM のうちの1種または2種を合計で
0.0100%以下 Ca、REM は、硫化物系介在物の形態を制御する作用を有
し、加工性とくに伸びフランジ性の向上に有効に寄与す
る元素であり、必要に応じ選択して含有することができ
る。このような効果は、Ca、REM のうちの1種または2
種を合計で、0.0010%以上の含有で認められるが、0.01
00%を超えて含有しても、効果が飽和し、含有量に見合
う効果が期待できなくなる。このため、Ca、REM のうち
の1種または2種を合計で0.0100%を上限として含有し
てもよく、0.0010〜0.0100%の範囲とすることが好まし
い。なお、より好ましくは0.001 〜0.005 %である。
【0018】上記した成分以外の残部は、Feおよび不可
避的不純物である。なお、不可避的不純物としてのS
は、鋼中ではMnS 等の介在物(硫化物)を形成し、延性
とくに、伸びフランジ性を低下させる元素であり、でき
るだけ低減することが好ましい。このため、Sの含有量
は0.005 %以下とすることが好ましい。なお、より好ま
しくは0.003 %以下である。
【0019】つぎに、本発明の冷延鋼板の組織限定理由
について説明する。本発明の冷延鋼板は、フェライトを
主相とし、体積率で4%以上の残留オーステナイトを含
みさらに低温変態相を含む相を第2相とする複合組織を
有する鋼板である。主相であるフェライト相は、炭化物
を含まない軟質な相であり高い変形能を有し、鋼板の延
性を向上させる。このため、本発明では、このようなフ
ェライトを体積率で50%以上含有させる。フェライトが
50%未満では顕著な延性向上効果が期待できない。な
お、より好ましくは70%以上である。
【0020】本発明では、第2相は平均粒径を3.0 μm
以下である必要がある。第2相の平均粒径が3.0 μmを
超えて大きくなると伸びフランジ性が低下し、強度−伸
びフランジ性バランスの指標である引張強さTS×穴拡
げ率λ(MPa %)の値が低下する。なお、本発明で言う
第2相とは、残留オーステナイトと低温変態相からなる
相のことを言う。本発明者らは、微細に分散した球状化
セメンタイトを逆変態させてオーステナイトとし、この
オーステナイトを冷却・過時効処理により第2相とした
場合、得られる第2相は平均粒径3μm以下の微細なも
のとなり、このような微細な第2相を有する鋼板は非常
に良好な強度−伸びフランジ性バランスを示す。
【0021】図1に第2相の平均粒径(μm)とTS×
λ(MPa %)との相関を示す。ここで、図1中のデータ
は、詳細は後述する表3−1、表3−2中、鋼組成が上
記した範囲内にあり、かつ、残留オーステナイト量が上
記した範囲内にあるもの(鋼板No. 3、15、16、19、2
0、23、26、27、3〜 37 を除外したもの) についての
データであり、図1中の○印は冷延鋼板製造用母板(以
下、単に冷延母板ともいう)の組織がフェライトと平均
粒径0.3 〜1.0 μmのセメンタイトからなる組織である
場合を、●印は他の組織である場合を示す。図1から、
冷延母板、すなわち、冷延・焼鈍前の組織がフェライト
と平均粒径0.3 〜1.0 μmのセメンタイトとからなる組
織である場合、第2相の平均粒径が3μm以下となり、
第2相の平均粒径が3μm以下であると高いTS×λが
得られることが分かる。このため、本発明では第2相の
平均粒径を3.0 μm以下に限定した。
【0022】第2相を構成する一つの相である、残留オ
ーステナイト相は、加工時にマルテンサイトに歪誘起変
態し、局所的に加えられた加工歪を広く分散させ、鋼板
の延性を向上させる。このため、本発明では、このよう
な残留オーステナイト相を体積率で4%以上含有させ
る。残留オーステナイト量が4%未満では顕著な延性の
向上が期待できない。なお、残留オーステナイトの含有
量の上限は、本発明の組成範囲では15%程度である。さ
らに、同一の残留オーステナイト量である場合において
も、冷延・焼鈍前、すなわち、冷延母板の組織がフェラ
イトと平均粒径0.3 〜1.0 μmのセメンタイトとからな
る場合には、他の組織である場合に比較して、強度−延
性バランスの指標である引張強さTS(MPa )×伸びE
l(%)の値が高くなることがわかった。
【0023】図2に残留オーステナイト量(体積%)と
TS×El(MPa %)との関係を示す。図2から、残留
オーステナイトの量が多くなるに従ってTS×Elの値
が大きくなる傾向があり、さらに、冷延母板の組織がフ
ェライトと平均粒径0.3 〜1.0 μmのセメンタイトとか
らなる組織である場合(図2中の○印)は、他の組織で
ある場合(図2中の△印)に比べてTS×Elの値が高
いことがわかる。
【0024】しかし、冷延鋼板中の残留オーステナイト
量が同量である場合でも、TS×Elの値にばらつきが
生じている。その原因について考察した結果、TS×E
lの値は残留オーステナイトの粒径、残留オーステナイ
ト中のC濃度にも影響されるであろうことに想到した。
そこで、残留オーステナイト相の粒径dγ(μm)が小
さい方が高TS、高Elとなり、残留オーステナイト中
のC濃度Cγ(wt%)が大きい方が、残留オーステナイ
ト相が安定化して高Elとなり、結果としてTS×El
の値が大きくなるという考えのもとに、残留オーステナ
イト相の含有量Vγ(体積%)、残留オーステナイト相
中の固溶C量Cγ(質量%)、残留オーステナイト相の
平均結晶粒径dγ(μm)から求められるVγ×Cγ/
dγを指標としてTS×Elを整理した。図3にその結
果を示す。
【0025】図3から、残留オーステナイト量Vγがい
ずれの値でも、Vγ×Cγ/dγの値が上昇するにした
がいTS×Elが上昇するという強い相関がある。TS
×Elが27000MPa%以上という高い値を示した冷延鋼板
は、Vγ×Cγ/dγの値が6以上となっており、この
値が6未満ではTS×Elが急激に低下することがわか
る。なお、図2、図3中のデータは、詳細は後述する表
3−1、表3−2中、鋼組成が上記した範囲内にあり、
かつ、残留オーステナイト量が上記した範囲内にあるも
の(鋼板No. 3、15、16、19、20、23、26、27、3〜37
を除外したもの)についてのデータである。
【0026】以上の知見に基づき、本発明における残留
オーステナイト相は、 上記した含有量範囲で、かつ残留
オーステナイト相の含有量Vγ、固溶C量Cγ、平均結
晶粒径dγが、 次(1)式 Vγ×Cγ/dγ≧6 ………(1) (ここで、Vγ:残留オーステナイト相の含有量(体積
%)、Cγ:残留オーステナイト相中の固溶C量(質量
%)、dγ:残留オーステナイト相の平均結晶粒径(μ
m))を満足する。Vγ、Cγ、dγが(1)式を満足
しない場合には、伸び特性が低下する。このため、伸び
特性向上のために残留オーステナイト相の含有量Vγ、
固溶C量Cγ、平均結晶粒径dγを(1)式を満足する
ように限定した。より高い強度−延性バランスを得るた
めには、Vγ×Cγ/dγは7以上とすることが好まし
い。
【0027】また、本発明の冷延鋼板では、第2相を構
成する他の相として、低温変態相を含む。本発明でいう
低温変態相は、べイナイト、あるいは、マルテンサイト
とベイナイトとの混合組織を指す。マルテンサイト、ベ
イナイトとも硬質相であり、組織強化によって鋼板強度
を増加させる作用を有する。また、低温変態相は、生成
時に可動転位の発生を伴うため、鋼板の降伏比を低下さ
せる作用も有する。なお、本発明では、低温変態相の含
有量は特に限定せず、鋼板の強度に応じて適宜配分すれ
ばよい。引張強さ:780MPa級の冷延鋼板では低温変態相
は20〜30%程度とすることが好ましい。
【0028】上記したような組成、組織を有する本発明
の冷延鋼板は、引張強さTSと穴拡げ率λとの積、TS
×λ、が60000MPa%以上を有する冷延鋼板である。TS
×λが60000MPa%未満では前記した従来技術により得ら
れるTRIP鋼と同レベルの強度−穴拡げ率バランスであ
り、高強度化した場合には伸びフランジ性が十分ではな
く、伸びフランジ性を向上させた場合には高強度化が達
成できないからである。また、強度−延性バランスにも
優れている方が厳しい成形加工が施される高強度の部材
への成形に有利であり、本発明の冷延鋼板は、引張強さ
TSと伸びElとの積、TS×Elが27000MPa%以上を
有する冷延鋼板となる。
【0029】つぎに、本発明の高強度高延性冷延鋼板の
製造方法について説明する。まず、上記した組成を有す
る溶鋼を転炉等の通常公知の溶製方法で溶製したのち、
連続鋳造法、造塊法等の通常の公知の方法で鋼素材とす
る。ついで、上記した組成の鋼素材に、熱延工程と再加
熱工程とを順次施して冷延鋼板製造用母板とする。得ら
れた母板にさらに冷延工程と連続焼鈍工程とを順次施し
て、冷延鋼板とする。
【0030】まず、冷延鋼板製造用母板の製造方法につ
いて説明する。冷延鋼板製造用母板の製造方法において
はまず、上記した組成の鋼素材を加熱し、熱間圧延を施
し熱延板とする熱延工程を施す。熱間圧延は、通常公知
の方法で所望の寸法形状が確保できればよく、特に限定
されない。熱間圧延終了後、熱延板は、30℃/s以上の冷
却速度で500 ℃以下まで冷却(急冷)してから低温で巻
き取られ、熱延コイル(熱延板)とされる。
【0031】通常、熱延後放冷する熱延ままの状態で
は、熱延板の組織はフェライト+パーライトあるいはフ
ェライト+ベイナイトとなっている。このような組織で
は、冷延後焼鈍に際し、加熱時にフェライト粒界から優
先的にオーステナイトへの逆変態が起こるため、最終的
に得られる第2相が粗大でかつ不均一分布となりやす
い。本発明では、熱延後30℃/s以上の冷却速度で500 ℃
以下まで急冷し500 ℃以下の低温で巻取り、熱延板の組
織をベイナイトあるいはマルテンサイト主体の組織とす
る。
【0032】熱延後の冷却速度が30℃/s未満では、冷却
中にポリゴナルフェライトの生成量が多くなり、熱延板
の組織をベイナイトあるいはマルテンサイト主体の組織
とすることができない。また、熱延板の巻取り温度が、
500 ℃を超えると、その後の冷却でオーステナイトがパ
ーライトに変態し、熱延板の組織をベイナイトあるいは
マルテンサイト主体の組織とすることができない。
【0033】なお、巻取り温度がマルテンサイト変態点
以上である場合には、巻取後に後述する再加熱工程まで
の間を10min 以上とすることが、ベイナイト相を生成さ
せるために好ましい。本発明の冷延鋼板製造用母板の製
造方法においては、熱延板の組織をベイナイトあるいは
マルテンサイト主体の組織とする熱延工程に続いて、さ
らに熱延板を再加熱し550 〜700 ℃の温度範囲で10〜30
h保持する再加熱工程を施す。
【0034】この再加熱工程により、球状化セメンタイ
トが均一微細に分散する組織が得られる。熱延板の組織
をベイナイトあるいはマルテンサイト主体の組織とする
ことにより、多くの転位が導入される。このような組織
を有する熱延板を再加熱し、550 〜700 ℃の温度で保持
することにより、セメンタイトが球状化し均一微細に分
散した組織となる。セメンタイトの球状化は転位上で優
先的に起こりやすいため、多くの転位が導入されるベイ
ナイトあるいはマルテンサイト主体の組織を再加熱する
ことにより、球状化セメンタイトを均一微細に分散させ
ることができる。このような球状化セメントは、冷延後
の焼鈍時に溶解し、C濃度の高くなっているところで優
先的にオーステナイトへの逆変態が起こり、最終的に得
られる第2相が平均粒径3μm以下と均一微細になり、
伸びフランジ性が向上すると考えられる。
【0035】また、最終的に得られる残留オーステナイ
ト相中のC量が多くなるとともに、残留オーステナイト
相の結晶粒径も微細となり、これにより残留オーステナ
イト相が安定化し、高延性にも寄与する。再加熱工程に
おける加熱温度が550 ℃未満では、セメンタイトの球状
化が十分に起こらない。また、700 ℃を超えると、セメ
ンタイトの粗大化が起こったり、フェライト+オーステ
ナイト二相域となり、セメンタイトが再固溶する。この
ため、伸びフランジ性向上に寄与し、ひいてはTS×λ
が60000MPa%以上を達成するための微細な第2相を、冷
延板の焼鈍後に得られなくなる。このようなことから、
再加熱温度は550 〜700 ℃の範囲に限定することが好ま
しい。また、保持時間が10h未満では、セメンタイトの
生成が不充分となって固溶C量が高い残留オーステナイ
トの生成に寄与する程度のセメンタイトが得られない。
一方、30hを超えると、球状化セメンタイトが粗大にな
り、その後の冷延後焼鈍時にセメンタイトが完全に固溶
しにくくなる。このため、再加熱工程の加熱温度におけ
る保持時間を10〜30hに限定することが好ましい。
【0036】かくして得られた熱延板(冷延鋼板製造用
母板)は、フェライト相およびセメンタイト相とからな
り、かつセメンタイト相の平均粒径が0.3 〜1.0 μmで
ある球状化セメンタイト組織を有する熱延板となる。こ
のような組織を有する熱延板を冷延鋼板製造用母板とし
て、冷延・焼鈍を行うことで上記した(1)式の関係を
満たす冷延鋼板が得られる。セメンタイト相の平均粒径
が0.3 μm未満ではその後の連続焼鈍工程でCの濃縮部
が残留せず、残留オーステナイト相の固溶C量が低下す
る。一方、3.0 μmを超えて大きくなると、その後の連
続焼鈍工程でセメンタイト相が完全に固溶できなくな
り、あるいは最終的に生成する第2相が粗大化する。な
お、本発明の冷延鋼板製造用母板では、フェライト相と
セメンタイト相とからなる組織を有していれば、フェラ
イトの量(分率)は上記した鋼組成で生成し得る範囲で
は、どの程度であってもよいので、特に限定しない。
【0037】得られた熱延板(冷延鋼板製造用母板)
は、ついで、冷延工程と連続焼鈍工程とを順次施されて
冷延板(冷延鋼板)とされる。再加熱工程を経た熱延板
(冷延鋼板製造用母板)は、ついで、冷間圧延を施し冷
延板とする冷延工程を施される。冷間圧延条件について
は、所望の寸法形状の冷延板とすることができればよ
く、とくに限定されない。
【0038】ついで冷延板は、連続焼鈍工程を施され
る。冷延板は、まず、連続焼鈍ラインで、Ac1変態点以
上850 ℃以下の温度で20〜200s保持する加熱処理を施さ
れる。加熱処理前の組織を球状化セメンタイトを含む組
織とすることにより、この加熱処理により、球状化した
セメンタイトが溶解し、C濃度の高くなっているところ
で優先的にオーステナイトへの逆変態が起こり、非平衡
でC濃度の高いオーステナイトが生成し、残留オーステ
ナイトの生成に有利に働くと考えられる。そして、この
非平衡で生成するC濃度の高いオーステナイトが最終的
に残留オーステナイトとして鋼中に存在することで、高
い延性が得られ、27000MPa%以上のTS×Elも可能と
なる。これに対し、加熱処理前の組織が、フェライト+
パーライトあるいはフェライト+ベイナイト組織では、
この加熱処理に際して、フェライト粒界から優先的にオ
ーステナイトへの逆変態が起こるが、フェライト粒界で
の逆変態により生成するオーステナイト中のC濃度はほ
ぼ平衡濃度に近い値となる。
【0039】加熱処理温度がAC1変態点未満では、α+
γの2相域に加熱されず、最終的に残留オーステナイト
相が生成せず、TRIP効果の発現が認められなる。一方、
加熱処理温度が850 ℃を超えて高くなると、オーステナ
イト粒が粗大化し、球状化セメンタイトを均一微細に分
散させた効果がなくなる。このため、加熱処理温度はA
c1変態点以上850 ℃以下とすることが好ましい。
【0040】また、加熱処理の保持時間が、20s 未満で
は、オーステナイト(γ)への逆変態が不十分となる。
一方、保持時間が200sを超えて長くなると、オーステナ
イト中に非平衡に濃化したCが拡散し、オーステナイト
中の固溶C量が平衡量まで減少してしまう。加熱処理
後、ついで、加熱処理の保持温度から、10℃/s以上の冷
却速度で350〜500 ℃の温度域に冷却(急冷)する。冷
却速度が、10℃/s未満では、オーステナイトがパーライ
トもしくはベイナイトに変態し、オーステナイトの残留
が認められなくなり、TRIP効果の発現が得られなくな
る。なお、冷却速度は、鋼板形状に影響を与えない範囲
の、100 ℃/s以下とすることがより好ましい。
【0041】また、急冷の終了温度が350 ℃未満では、
オーステナイトがマルテンサイトに変態し、所望の残留
オーステナイト量が確保できなくなる。一方、急冷の終
了温度が500 ℃を超えて高くなると、オーステナイトの
ほとんどがパーライトもしくはベイナイトに変態し、所
望の残留オーステナイト量が確保できなくなり、TRIP効
果の発現が期待できなくなる。なお、より好ましい急冷
終了温度の範囲は370〜450 ℃である。
【0042】350 〜500 ℃の温度域に急冷された冷延板
は、ついで、350 〜500 ℃の温度域に10〜600s保持する
過時効処理が施されたのち室温まで冷却される。350 〜
500℃の温度域に保持される時間が10s 未満では、保持
時間が短時間すぎて、殆どのオーステナイトは350 ℃未
満の温度域に到達するとマルテンサイトに変態し、残留
オーステナイト量が少なくなり、プレス成形時にTRIP効
果の発現が期待できなくなる。一方、保持時間が、600s
を超える長時間となると、ベイナイト変態の過度の進行
により、残留オーステナイト量が減少する。
【0043】次に、本発明について、さらに実施例によ
り詳細に説明する。
【0044】
【実施例】表1に示す組成の溶鋼を転炉で溶製し、連続
鋳造法で鋳片(スラブ)とした。得られた鋳片(スラ
ブ)を鋼素材として、熱間圧延により板厚3.0 mmの熱延
板とし、熱間圧延終了後、表2に示す冷却速度で急冷停
止温度まで急冷したのち、表2に示す巻取り温度でコイ
ル状に巻取りし、室温まで冷却する熱延工程を施した。
その後、熱延板(熱延コイル)を表2に示す温度、保持
時間の条件で再加熱する再加熱工程を施し、冷延鋼板製
造用母板とした。
【0045】得られた冷延鋼板製造用母板について、ミ
クロ組織を調査した。ミクロ組織の調査は、得られた冷
延鋼板製造用母板から、試験片を採取し、圧延方向断面
について光学顕微鏡あるいは走査型電子顕微鏡で組織を
観察し、画像解析装置をもちいて、組織の同定およびセ
メンタイト相の平均粒径を求めた。得られた結果を表2
に併記した。
【0046】次いで冷延鋼板製造用母板(熱延板)を酸
洗した後、冷間圧延により板厚1.4mmの冷延板とする冷
延工程を施した。次いで、これら冷延板に、連続焼鈍ラ
インにて、連続焼鈍工程を施した。 連続焼鈍工程では、
まず、表2に示す条件で加熱処理を施した後、表2に示
す条件の急冷および350 〜500 ℃の温度域での保持を施
し、その後室温まで冷却し、冷延焼鈍板とした。
【0047】得られた冷延鋼板について、ミクロ組織、
引張特性、穴拡げ性を調査した。 (1)ミクロ組織 鋼板のミクロ組織は、得られた冷延鋼板から、試験片を
採取し、圧延方向断面について光学顕微鏡あるいは走査
型電子顕微鏡で組織を観察し、画像解析装置をもちい
て、組織の同定および各組織の組織分率、平均粒径を求
めた。
【0048】なお、残留オーステナイト相の含有量は、
鋼板を板厚方向の中心面まで研磨し、板厚中心面での回
析X線強度測定により求めた。入射X線にはMoK α線を
使用し、フェライト相の{110 }、{200 }、{211 }
の各面の回析X線強度に対する、残留オーステナイト相
の{111 }、{200 }、{220 }、{311 }各面の回析
X線強度比をもとめ、これらの平均値を残留オーステナ
イト相の体積率とした。
【0049】また、残留オーステナイト相の平均粒径
は、EBSP(Electron Back ScatteringPattern)装置を
用いて、倍率5000倍で視野数:10で撮像し、 得られた像
から画像解析装置を用いて、オーステナイト粒の平均面
積を測定して、得られた平均面積からオーステナイト粒
の円相当径を換算し、平均粒径とした。また、残留オー
ステナイト相の固溶C量は、回析X線強度測定により求
めた残留オーステナイト相の(200 )面のピーク角度θ
を求め、次式 a=λ/{2sin θ( h2 +k2 +l2 1/2 } ここで、a:残留オーステナイト相の格子定数(Å)、 λ:入射X線の波長(Å)、 θ:(200 )γのピーク角度(rad.) h、k、l:γの面指数(h=2,k=0,l=0) からオーステナイトの格子定数aを算出し、得られたオ
ーステナイトの格子定数aから次式 Cγ=(a−3.5467)/0.0467 を用いて残留オーステナイト相の固溶C量Cγ(質量
%)を算出した。 (2)引張特性 鋼板より圧延直角方向に、JIS Z 2204の規定に準拠した
5号試験片を採取した。引張試験は、JIS Z 2241の規定
に準拠して実施し、耐力(YS)、引張強さ(TS)、破断
伸び(El)を測定した。 (3)穴拡げ性 鋼板から採取した試験片に直径10mmの円形の穴( 初期穴
径:di )を打抜き、この穴に頂角60°の円錐ポンチを
押し当て穴拡げする穴拡げ試験を実施した。穴縁の亀裂
が板厚を貫通した時点での穴径db を測定し、次式 λ(%)=[(db −di )/di ] ×100 ここで、di :初期穴径(mm)、db :亀裂が板厚を貫
通したときの穴径(mm)で定義される穴拡げ率を求め
た。この穴拡げ率で、伸びフランジ性を評価した。得ら
れた結果を表3に示す。
【0050】
【表1】
【0051】
【表2】
【0052】
【表3】
【0053】
【表4】
【0054】
【表5】
【0055】本発明例は、いずれも高い伸びと、高い穴
拡げ率を示し、延性と伸びフランジ性に優れ、さらに、
強度・伸びバランス(TS×El)が27000MPa%以上、
強度・穴拡げ率バランス(TS×λ)が60000MPa%以上
と、TS×ElおよびTS×λのバランスの良好な高強
度高延性冷延鋼板となっている。一方、本発明の範囲を
外れる比較例は、残留オーステナイト量が少なく伸びが
低いか、残留オーステナイト量を確保していたとしても
熱延工程条件、再加熱工程条件のうちのいずれかが本発
明の条件に適合しないため、残留オーステナイトが安定
性に欠け、また、第2相が均一微細でなく、穴拡げ率が
低いか、強度と延性、伸びフランジ性とのバランスを欠
いた冷延鋼板となっている。
【0056】
【発明の効果】以上、詳述したように、本発明によれ
ば、非常に優れた延性および伸びフランジ性を有し、T
S×ElおよびTS×λのバランスの良好な高張力冷延
鋼板を、安価にしかも安定して製造でき、産業上格段の
効果を奏する。また、本発明の冷延鋼板は、自動車部品
に代表される成形品素材用として好適であり、自動車の
軽量化、低燃費化、ひいては地球環境の改善に大きく貢
献することができるという効果もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】第2相の平均粒径(μm)とTS×λ(MPa
%)との相関を示すグラフである。
【図2】残留オーステナイト量(体積%)とTS×El
(MPa %)との関係を示すグラフである。
【図3】Vγ×Cγ/dγとTS×El(MPa %)との
相関を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 坂田 敬 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社技術研究所内 Fターム(参考) 4K037 EA01 EA05 EA06 EA09 EA15 EA16 EA19 EA23 EA27 EA28 EA31 EA36 FD04 FE01 FF01 FF02

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 質量%で、 C:0.05〜0.40%、 Si:0.5 〜3.0 %、 Mn:0.5 〜3.0 %、 P:0.050 %以下、 Al:0.01〜0.30% を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる組成
    と、フェライト相およびセメンタイト相とからなる組織
    を有し、かつ前記セメンタイト相の平均粒径が0.3 〜1.
    0 μmであることを特徴とする高強度高延性冷延鋼板製
    造用母板。
  2. 【請求項2】 前記組成に加えてさらに、質量%で、T
    i:0.25%以下、Nb:0.1 %以下のうちの1種または2
    種を含有する組成とすることを特徴とする請求項1に記
    載の高強度高延性冷延鋼板製造用母板。
  3. 【請求項3】 前記組成に加えてさらに、質量%で、C
    a、REM のうちの1種または2種を合計で0.0100%以下
    含有する組成とすることを特徴とする請求項1または2
    に記載の高強度高延性冷延鋼板製造用母板。
  4. 【請求項4】 質量%で、 C:0.05〜0.40%、 Si:0.5 〜3.0 %、 Mn:0.5 〜3.0 %、 P:0.050 %以下、 Al:0.01〜0.30% を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる組成
    の鋼素材に、熱間圧延を施し熱延板とし、冷却速度:30
    ℃/s以上で500 ℃以下まで冷却してから該熱延板を巻取
    る熱延工程と、該熱延板を再加熱し550 〜700 ℃の温度
    範囲で10〜30h保持する再加熱工程と、を順次施すこと
    を特徴とする高強度高延性冷延鋼板製造用母板の製造方
    法。
  5. 【請求項5】 前記組成に加えてさらに、質量%で、T
    i:0.25%以下、Nb:0.1 %以下のうちの1種または2
    種を含有する組成とすることを特徴とする請求項4に記
    載の高強度高延性冷延鋼板製造用母板の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記組成に加えてさらに、質量%で、C
    a、REM のうちの1種または2種を合計で0.0100%以下
    含有する組成とすることを特徴とする請求項4または5
    に記載の高強度高延性冷延鋼板製造用母板の製造方法。
  7. 【請求項7】 質量%で、 C:0.05〜0.40%、 Si:0.5 〜3.0 %、 Mn:0.5 〜3.0 %、 P:0.050 %以下、 Al:0.01〜0.30% を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる組成
    と、フェライト相を主相とし、体積率で4%以上の残留
    オーステナイト相を含みさらに低温変態相を含む相を第
    2相とする複合組織を有し、前記第2相の平均粒径が3
    μm以下であり、かつ前記残留オーステナイト相の含有
    量Vγ、固溶C量Cγ、平均結晶粒径dγが、 次(1)
    式を満足することを特徴とする高強度高延性冷延鋼板。 記 Vγ×Cγ/dγ≧6 ………(1) ここで、Vγ:残留オーステナイト相の含有量(体積
    %)、 Cγ:残留オーステナイト相中の固溶C量(質量%)、 dγ:残留オーステナイト相の平均結晶粒径(μm))
  8. 【請求項8】 前記組成に加えてさらに、質量%で、T
    i:0.25%以下、Nb:0.1 %以下のうちの1種または2
    種を含有する組成とすることを特徴とする請求項7に記
    載の高強度高延性冷延鋼板。
  9. 【請求項9】 前記組成に加えてさらに、質量%で、C
    a、REM のうちの1種または2種を合計で0.0100%以下
    含有する組成とすることを特徴とする請求項7または8
    に記載の高強度高延性冷延鋼板。
  10. 【請求項10】 質量%で、 C:0.05〜0.40%、 Si:0.5 〜3.0 %、 Mn:0.5 〜3.0 %、 P:0.050 %以下、 Al:0.01〜0.30% を含有し、残部がFeおよび不可避的不純物からなる組成
    の鋼素材に、熱間圧延を施し熱延板とし、冷却速度:30
    ℃/s以上で500 ℃以下まで冷却してから該熱延板を巻取
    る熱延工程と、該熱延板を再加熱し550 〜700 ℃の温度
    範囲で10〜30h保持する再加熱工程と、該再加熱工程を
    経た熱延板に冷間圧延を施し冷延板とする冷延工程と、
    該冷延板にAC1変態点以上850 ℃以下の温度で20〜200s
    保持する加熱処理を施したのち、該加熱処理の保持温度
    から、10℃/s以上の冷却速度で350〜500 ℃の温度域に
    冷却し、該温度域に10〜600s保持した後室温まで冷却す
    る連続焼鈍工程と、を順次施すことを特徴とする高強度
    高延性冷延鋼板の製造方法。
  11. 【請求項11】 前記組成に加えてさらに、質量%で、
    Ti:0.25%以下、Nb:0.1 %以下のうちの1種または2
    種を含有する組成とすることを特徴とする請求項10に
    記載の高強度高延性冷延鋼板の製造方法。
  12. 【請求項12】 前記組成に加えてさらに、質量%で、
    Ca、REM のうちの1種または2種を合計で0.0100%以下
    含有する組成とすることを特徴とする請求項10または
    11に記載の高強度高延性冷延鋼板の製造方法。
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