JP2003183077A - 窒化アルミニウム基板およびそれを用いた薄膜基板 - Google Patents
窒化アルミニウム基板およびそれを用いた薄膜基板Info
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Abstract
おいては、窒化アルミニウム基板表面にTi/Pt/A
uあるいはTi/Pd/Auなどの薄膜が形成されてい
るが、この薄膜の密着性が悪いとワイヤーボンディング
時に膜剥がれが生じたり、高温下や長期間使用時に薄膜
に膨れなどが生じることがある。 【解決手段】 希土類アルミニウム酸化物を含む窒化ア
ルミニウム焼結体からなる基板であって、前記基板表面
は鏡面加工することにより算術平均粗さRaが0.2μ
m以下された後にエッチング処理が施されたものであ
り、前記基板表面の単位面積中に占める前記希土類アル
ミニウム酸化物の面積率をM1、前記基板の中心の単位
面積中に占める前記希土類アルミニウム酸化物の面積率
をM2としたとき、M1/M2が0.95以下、かつ前
記M1が7%以下であるもの。
Description
るとともに、高い薄膜密着性を有する窒化アルミニウム
基板およびそれを用いた薄膜基板に関し、特にマイクロ
波集積回路基板やVLD用サブマウントに用いられる窒
化アルミニウム基板およびそれを用いた薄膜基板に関す
る。
マイクロ波帯のインピーダンス整合回路と直接接続する
ことができるため、パッケージやリード線により生じる
寄生リアクタンスの影響を極めて低減することが可能と
なり、その結果として小型でかつ高精度のマイクロ波周
波数帯能動回路を実現することができる。
かして、最近では光通信用ハイブリッドIC、移動体通
信用ハイブリッドIC、レーザダイオード用ハイブリッ
ドIC、自動車用ハイブリッドICなどに急速に使用さ
れはじめている。
ては、回路の高精度化や高信頼性化などが要求されるこ
とから、回路形成にはスパッタ法や真空蒸着法などの薄
膜形成技術、特にPVD(Physical Vapor Depositio
n:物理的気相成長)法を適用することが一般的であ
る。PVD法などの薄膜形成技術を適用した回路(薄膜
回路)は、パターン精度が厚膜回路に比べて1桁以上優
れており、また膜材の純度も高く、さらに膜素子の精
度、雑音特性、温度特性、安定性などに優れるという利
点を有している。
においては、回路を高集積化することが可能であること
ことから、回路動作に伴う発熱量は増大する傾向にあ
る。さらに、半導体チップ自体のハイパワー化なども進
められており、半導体チップからの発熱量も年々増大し
ている。このため、マイクロ波集積回路用の基板は放熱
性に優れることが重要であり、熱伝導性に優れる窒化ア
ルミニウム基板が多用されるようになってきている(特
開2000-124566公報など参照)。
VLDサブマウントにおいては、窒化アルミニウム基板
表面に例えばTi/Pt/AuあるいはTi/Pd/A
uなどの薄膜が形成されている。しかしながら、この薄
膜の密着性が悪いとワイヤーボンディング時に膜剥がれ
が生じたり、高温下や長期間使用時に薄膜に膨れなどが
生じることがある。
には放熱性に加えて、上述したような薄膜回路を精度よ
く形成することが可能な表面性を有することが求められ
ている。すなわち、スパッタ法などで薄膜回路を形成す
る場合、基板の薄膜被着面(回路形成面)の表面性が重
要であり、表面に凹凸などが存在していると回路の形成
精度を低下させることになる。
上させ、薄膜密着性を高めるために、例えば窒化アルミ
ニウム基板表面に算術平均粗さRaが0.05μm程度
となるまでポリッシュ仕上を施し、表面部分のうねり成
分を除去した後、薄膜を形成する手法がとられる。ま
た、薄膜密着性をさらに向上させる場合には、窒化アル
ミニウム基板表面に算術平均粗さRaが0.5μm以下
となるまでラッピング加工を施した後、さらに酸やアル
カリによりエッチング処理を施し、薄膜形成部分の比表
面積を増やしてから薄膜を形成する手法がとられる。
結体)には高い熱伝導率を達成するために窒化アルミニ
ウム結晶間(粒界)に希土類アルミニウム酸化物、例え
ばYAG(イットリウム−アルミニウム−ガーネット
材)などが偏析されており、この希土類アルミニウム酸
化物はガラス質成分であるため、上記したようなエッチ
ング処理によりこの希土類アルミニウム酸化物が窒化ア
ルミニウム結晶粒子より先に腐食する。
合、基板内部までエッチング液が入り込み、薄膜形成後
にこれが染み出し、密着性を低下させる。逆に、エッチ
ングが不充分である場合、アンカー効果が低下し、薄膜
の密着強度が向上しない。
なされたもので、窒化アルミニウム基板の高放熱特性を
維持しつつ、各種回路の形成などに使用される薄膜との
密着性や薄膜の形成精度などに優れる窒化アルミニウム
基板およびそれを用いた信頼性に優れる薄膜基板を提供
することを目的としている。
ム基板は、希土類アルミニウム酸化物を含む窒化アルミ
ニウム焼結体からなる基板であって、前記基板の少なく
とも一方の表面の単位面積中に占める前記希土類アルミ
ニウム酸化物の面積率をM1、前記基板の中心の単位面
積中に占める前記希土類アルミニウム酸化物の面積率を
M2としたとき、M1/M2が0.95以下であること
を特徴とする。
算術平均粗さRaは0.2μm以下、かつ前記基板表面
の単位面積中に占める希土類アルミニウム酸化物の面積
率M1は7%以下であることが好ましい。このような基
板表面は、例えば鏡面加工により算術平均粗さRaを
0.2μm以下とした後、エッチング処理が施されたも
のであることが好ましい。また、エッチング処理は、エ
ッチングによる質量減少率が0.02〜0.5%の範囲
となるように行われることが好ましい。
リウムアルミニウム酸化物であることが好ましく、前記
基板の窒化アルミニウム結晶粒の平均粒径は3μm以上
5μm以下であり、かつ結晶粒径分布の標準偏差が2μ
m以下であることが好ましい。また、前記基板の25℃
での熱伝導率は160W/m・K以上であることが好ま
しい。また、イットリウムアルミニウム酸化物はYA
G、YAM、YALなど様々な形態があり、本発明にお
いてはどのような形態であっても有効である。言い換え
れば、本発明では希土類元素とアルミニウムと酸素を含
む化合物であるものは、希土類アルミニウム酸化物に含
まれるものである。
ルミニウム基板の表面に薄膜が形成されてなることを特
徴とする。この薄膜基板は、例えばマイクロ波集積回路
基板、VLD用サブマウントに好適に使用することがで
きる。
態について説明する。
薄膜形成用基板として用い、これに薄膜2を形成した薄
膜基板3の一実施形態の概略構成を示す断面図である。
窒化アルミニウム(AlN)基板1は、希土類アルミニ
ウム酸化物を含む窒化アルミニウム焼結体からなるもの
である。
化アルミニウム焼結体の高熱伝導率を維持しつつ薄膜の
密着性を向上させるために、窒化アルミニウム基板1の
うち薄膜が形成される基板表面1aを大きなアンカー効
果が期待できる表面形状とするとともに、該基板表面以
外における希土類アルミニウム酸化物の分布を緻密なも
のとしたことを特徴とする。
1は、希土類アルミニウム酸化物を含む窒化アルミニウ
ム焼結体からなる基板であって、前記基板の少なくとも
一方の基板表面1aの単位面積中に占める前記希土類ア
ルミニウム酸化物の面積率をM1、前記基板の基板中心
1bの単位面積中に占める前記希土類アルミニウム酸化
物の面積率をM2としたとき、M1/M2を0.95以
下としたことを特徴とする。
アルミニウム酸化物の量に対して基板表面1aの希土類
アルミニウム酸化物の量を少なくしている。すなわち基
板表面1aの希土類アルミニウム酸化物のみを適量除去
することにより、適度に基板表面1aが粗された状態と
なり、アンカー効果により薄膜の密着性を向上させるこ
とができる。また、基板中心1bの希土類アルミニウム
酸化物の量はほとんど変化させていないため、緻密な構
造が維持され、窒化アルミニウム基板の高熱伝導率も維
持することができる。
することにより、上記したように表面部分の希土類アル
ミニウム酸化物が適量除去され、適度に表面が粗された
状態とすることができ、薄膜の密着性を向上させること
ができる。M1/M2が0.95を超える場合には、基
板表面1aの希土類アルミニウム酸化物の除去量が不足
しており、薄膜の密着性を向上させるために必要な表面
性状を得られない。
ることが好ましい。過度に粒界相成分およびそこに存在
する凝集体成分である希土類アルミニウム酸化物が除去
されると、結晶粒の脱落などにより比較的大きな凹部が
発生し、このような凹部が形成された基板表面1aに薄
膜2を形成すると、窒化アルミニウム基板1と薄膜2と
の間に空隙が生じてしまう。また、この空隙は、その後
の製造工程や回路使用時に印加される熱により、薄膜2
に膨れを生じさせ、回路精度の低下や薄膜の剥がれの原
因となる。本発明におけるより好ましいM1/M2の値
は、0.80〜0.95である。
希土類アルミニウム酸化物の面積率M1は7%以下とす
ることが好ましい。基板表面1aの単位面積中に占める
希土類アルミニウム酸化物の面積率M1が7%を超える
場合、基板表面1aに占める希土類アルミニウム酸化物
の量が多くなり、アンカー効果により薄膜の密着性を向
上させることが難しくなる。基板表面1aの単位面積中
に占める希土類アルミニウム酸化物の面積率M1のより
好ましい値としては、2〜4%である。
m×20μmの面積であり、面積率M1、M2は、基板
表面1aまたは基板中心1bにおける5個所の単位面積
で測定した希土類アルミニウム酸化物の面積を、測定個
所数(=5)で平均した値とする。また、基板中心1b
における希土類アルミニウム酸化物の面積の測定は、窒
化アルミニウム基板の厚さ方向の中心部を通り、かつ前
記基板表面1aと平行な平面上で行うものとする。
は、基板表面1aおよび基板中心1bを走査型電子顕微
鏡(SEM)で観察したり、あるいは電子線プローブマ
イクロアナライザ(EPMA)で調べることにより測定
することができる。
2が形成される基板表面1aの表面粗さはJIS B0601-19
94で規定する算術平均粗さRaで0.2μm以下とする
ことが好ましい。基板表面1aの算術平均粗さRaが
0.2μmを超える場合、薄膜2の形成面としての要求
特性を満たすことが難しい。このような算術平均粗さR
aを有する基板表面1aは、例えば窒化アルミニウム焼
結体を作製した後、鏡面加工を行うことにより形成でき
る。
さRaが0.2μm以下となった基板表面1aにはエッ
チングが行われることが好ましい。このようなエッチン
グにより、基板表面1aの希土類アルミニウム酸化物を
適切に除去することができ、基板表面1aの単位面積中
に占める希土類アルミニウム酸化物の面積率M1を制御
することができる。これによりM1/M2の制御も可能
となる。
ウム酸化物はエッチングにより除去されにくく、基板表
面1aの希土類アルミニウム酸化物はエッチングにより
除去しやすいため、基板表面1aの希土類アルミニウム
酸化物のエッチング量を制御できるようになり、面積率
の比、M1/M2を例えば0.95以下とすることがで
きる。
ミニウム焼結体を一定の温度に保温された酸液に浸漬す
ることにより行われる。このエッチングによる質量減少
率は0.02〜0.5%以下となるようにすることが好
ましい。
土類アルミニウム酸化物の除去が少ないことになり、薄
膜の密着性を向上させるために必要な表面部分の粗さを
得られなくなり、アンカー効果が低下し、薄膜の密着強
度が低下してしまう。また、希土類アルミニウム酸化物
が多く存在する窒化アルミニウム基板表面に薄膜を形成
すると、高温環境下に置かれたときに希土類アルミニウ
ム酸化物が膨張(または溶けだし)し薄膜の膨れなどの
不具合の原因となり易い。
には、過度に粒界相成分である希土類アルミニウム酸化
物が除去されることになり、結晶粒の脱落などにより比
較的大きな凹部が発生するとともに、エッチングに使用
された酸液などが基板内部まで入り込み、薄膜形成後に
これが染み出し、薄膜の密着性を低下させる。また、仮
に基板内部に入り込んだ酸液などを十分除去・乾燥など
を行ったとしても、基板表面部に空隙が必要以上にでき
てしまう。このような空隙が必要以上に存在する基板表
面に薄膜を形成すると高温環境下に置かれたときに空隙
中に存在する空気が膨張し、薄膜の膨れなどの不具合の
原因となり易い。
うな0.02〜0.5%とするには、例えば窒化アルミ
ニウム焼結体を40℃に保温された20%希釈濃度の酸
液、すなわち硫酸(H2SO4)、塩酸(HCl)、硝
酸(HNO3)などの酸液に5〜60分間程度浸漬する
ことにより行うことができる。
板1を構成する窒化アルミニウム焼結体については、そ
の結晶粒径(窒化アルミニウム結晶粒の粒径)の平均値
を3〜5μmの範囲とすると共に、粒径分布の標準偏差
を2μm以下とすることが好ましい。
径を微細化すると共に、粒径分布をシャープにすること
によって、焼結助剤成分(粒界相成分)の析出並びに凝
集を抑制することができる。なお、窒化アルミニウム結
晶粒の粒径は、それを含む最小円の直径(すなわち窒化
アルミニウム結晶粒の最大径)を示すものとする。
mを超えると、窒化アルミニウム結晶粒同士の隙間(例
えば三重点)が大きくなるため、焼結助剤成分(粒界相
成分)の析出量が増大し、焼結助剤成分の凝集体が大き
くなると共に、凝集体の面積の総和が増大する傾向にあ
る。結晶粒径分布の標準偏差についても同様であり、そ
の値が2μmを超えると焼結助剤成分(粒界相成分)の
析出量が増大しやすくなる。焼結助剤成分の析出や凝集
体が必要以上に存在すると、M1または/およびM2の
値が好ましいものが得難くなる。
が3μm未満になると、窒化アルミニウム焼結体の熱伝
導率の低下が著しくなり、例えば常温で160W/m・
K以上という熱伝導率を満たさなくなるおそれがある。
化については、例えば上記した焼結助剤の組成や添加
量、さらに焼結条件を制御することで実現することがで
きる。ただし、単に結晶粒径を微細化しただけでは、窒
化アルミニウム焼結体の熱伝導率の低下が著しくなるお
それがあるが、例えば窒化アルミニウム焼結体の製造過
程において、脱バインダ後の残留炭素量を低減するなど
によって、結晶粒径の微細化を図った上で160W/m
・K以上という熱伝導率を満足させることができる。
記したように160W/m・K以上(25℃)であるこ
とが好ましい。窒化アルミニウム基板1の常温での熱伝
導率が160W/m・K未満であると、薄膜基板3を例
えばマイクロ波集積回路などに適用する際に、十分な放
熱性を確保することができず、窒化アルミニウム基板1
を用いることの利点が損なわれてしまう。
に含まれる希土類アルミニウム酸化物は、焼結助剤とし
て、予め希土類アルミニウム酸化物を添加してもよい
し、希土類酸化物を添加して窒化アルミニウムまたは/
および窒化アルミニウム粉末中の不純物酸素などと反応
させて希土類アルミニウム酸化物を形成させてもよい。
希土類酸化物としては、例えば酸化イットリウム(Y2
O3)、酸化エルビウム(Er2O3)、酸化ディスプ
ロシウム(Dy2O3)、酸化ホルミウム(Ho
2O3)などが挙げられる。また、希土類酸化物を添加
する場合は、窒化アルミニウム焼結体中にすべて希土類
アルミニウム酸化物の形態で存在する必要はなく、希土
類アルミニウム酸化物と希土類酸化物の両方が存在する
形態であってもよい。なお、焼結体中に希土類アルミニ
ウム酸化物と希土類酸化物の両方の形態で存在する場合
であっても、M1およびM2の値は希土類アルミニウム
酸化物の面積率のみで算出するものとする。
成する焼結助剤としての希土類酸化物の配合量は、窒化
アルミニウム粉末に対して1〜9質量%の範囲とするこ
とが好ましい。希土類酸化物の配合量が9質量%を超え
ると、主として焼結助剤成分からなる粒界相が凝集しや
すくなり、窒化アルミニウム基板1の基板表面1aにお
ける焼結助剤成分の凝集体の存在量が増加しやすくな
る。
満であると、窒化アルミニウム焼結体の焼結性などが低
下してポアの増大などを招いたり、また熱伝導性が低下
するおそれがある。希土類酸化物の配合量は3〜5質量
%の範囲とすることがさらに好ましい。
Ca、Ba、Srなどのアルカリ土類金属元素の酸化
物、さらにSiO2やSi3N4などのSi化合物、B
2O3、B4C、TiB2、LaB6などの硼素化合物
などを併用してもよい。なお、希土類酸化物やアルカリ
土類酸化物などは、焼成時に酸化物となる炭酸塩、シュ
ウ酸塩、硝酸塩、フッ化物などとして配合してもよい。
また、TiO2、HfO 2、ZrO2などの黒色化材を
併用することも可能である。これらの化合物を希土類酸
化物と併用する場合には、焼結助剤の総量が酸化物換算
で2〜10質量%の範囲となるように添加量を調整する
ことが好ましい。
製について一例を挙げる。
ための窒化アルミニウム原料粉末および焼結助剤などを
用意する。窒化アルミニウム原料粉末としては、平均粒
径が1μm以下、不純物酸素濃度が1質量%以下のもの
用いることが好ましい。また、焼結助剤粉末としては、
例えば酸化イットリウム(Y2O3)、酸化エルビウム
(Er2O3)、酸化イッテルビウム(Yb2O3)が
挙げられ、高純度で微細な粉末であることが好ましい。
焼結助剤の添加量は1〜9重量%とすることが好まし
い。
上、好ましくは1時間〜3時間程度攪拌する。この攪拌
により焼結助剤が偏析せず均一に混合できるようにな
る。攪拌を終えた焼結助剤は窒化アルミニウム原料粉末
および適量の有機バインダと混合し、ドクターブレード
法などにより板状に成形する。得られた成形体は600
〜800℃の温度で脱脂を行う。
AlN、BNなどからなる焼成容器中に配置する。焼成
容器は蓋付きの密閉型を使用することが好ましい。この
際、焼成容器内へのAlN成形体の充填量は体積比で5
0〜70%の範囲とすることが好ましい。また、AlN
成形体は敷板上に一定の間隔を空けて対称に配置するこ
とが好ましい。図2(a)および図2(b)にAlN成
形体の対称配置の例を示す。これらの図において、4は
AlN成形体、5は焼成容器の底面または焼成容器内に
収めた敷板である。図2(a)はAlN成形体4を左右
(または前後)に対称に配置した例である。図2(b)
はAlN成形体4を左右および前後に対称に配置した例
である。
器を焼成炉内に配置する。焼成炉内への焼成容器の充填
量は体積比で40〜70%の範囲とすることが好まし
い。なお、焼成容器はカーボン製容器収納部材(円筒状
部材)中に入れて焼成炉内に配置することがある。この
ような二重容器を使用する場合には、カーボン製容器収
納部材への焼成容器の充填量を体積比で40〜70%の
範囲とすることが好ましい。図3に二重容器の一構成例
を示す。図3において、6は焼成容器、7は容器収納部
材である。焼成容器6が収納された容器収納部材7を重
ねて使用したり、複数の焼成容器6を重ねて容器収納部
材7内に収納してもよい。
AlN成形体は、窒素雰囲気のような不活性雰囲気中に
て1650〜1900℃の範囲の温度で1〜10時間焼
成される。焼成工程は常圧もしくは雰囲気加圧下で行わ
れる。このような焼成工程によって、上述したような特
性を有するAlN焼結体が得られる。この際、焼成時の
雰囲気ガスは純度99%以上の窒素ガスを使用すること
が好ましい。焼成炉内の圧力は2×105〜10×10
5Paの範囲とすることが好ましい。また、焼成炉内の
圧力は設定値に対して±1×105Paの範囲となるよ
うに調整することが好ましく、さらに好ましくは±0.
3×105Paの範囲である。
のうち、少なくとも薄膜を形成する表面部分に鏡面加工
を施し、さらにこの鏡面加工を行った表面部分にエッチ
ングを施して本発明の窒化アルミニウム基板1が作製さ
れる。なお、エッチングは希土類アルミニウム酸化物の
面積率(M1/M2)が0.95以下、質量減少率が
0.02〜0.5%の範囲となるように、硫酸溶液など
に浸漬する時間や温度を調整して行うことが好ましい。
ルミニウム基板1の鏡面加工およびエッチングを行った
基板表面1aに薄膜2を形成することによって構成され
る。
分子線エピタキシー(MBE)法、イオンプレーティン
グ法、レーザデポジション法、イオンビームデポジショ
ン法などのPVD法により形成されるものである。ま
た、場合によっては、熱CVD法、プラズマCVD法、
光CVD法などのCVD(Chemical Vapor Depositio
n:化学的気相成長)法を適用することもできる。薄膜
2は回路構造を有するものに限らず、ベタ膜であっても
よい。また、ここで言う薄膜2とは、膜の総厚が3μm
以下のものを示すものとする。
板表面1aの希土類アルミニウム酸化物の面積率(M1
/M2)を0.95以下とした窒化アルミニウム基板1
の基板表面1a上に薄膜2を形成することによって、そ
の密着性並びに形成精度を大幅に高めることが可能とな
る。
膜を形成する面に所定の構成を有するものであればよ
く、薄膜を形成しない基板表面を必ずしも上述したよう
な構成とする必要はない。
板3は、例えば光通信用ハイブリッドIC、移動体通信
用ハイブリッドIC、レーザーダイオード用ハイブリッ
ドIC、自動車用ハイブリッドICなどのマイクロ波集
積回路に対して好適に用いられ、またVLD(Visible
Laser Diode)用サブマウント基板などとしても有効で
ある。
に説明する。
0.8μmのAlN粉末100重量部および平均粒径
0.8μmのY 2O3粉末3〜6重量部を用意した。
溶媒中にて60分間攪拌した後、これにAlN粉末およ
び有機バインダを添加・混合してスラリを作製し、この
スラリをドクターブレード法により板状に成形した。こ
の成形体を600〜800℃で脱脂した後、純度99%
以上の窒素ガス雰囲気下、焼成温度1700〜1900
℃、焼成時間1〜8時間にて焼成することにより、厚さ
0.8mmのAlN焼結体を作製した。なお、AlN焼
結体の熱伝導率はいずれも160〜230W/m・K、
AlN結晶粒の平均粒径は3〜5μm、結晶粒径分布の
標準偏差は2μm以下とした。
面部分に対し、算術平均粗さが0.2μmとなるように
鏡面加工を施した後、この鏡面加工が施された表面部分
を20%希釈濃度の硫酸溶液に浸漬してエッチングを行
うことにより表1に示すような希土類アルミニウム酸化
物(Y−Al−O化合物)の分散状態および質量減少率
を有するAlN基板を作製した。なお、比較例1につい
ては、エッチングを行わないものとした。
実施例1〜7および比較例2のAlN基板の基板表面に
10−2Pa以下の真空中でTi薄膜を真空蒸着により
形成し薄膜基板を作製した。なお、Ti薄膜は、エッチ
ング処理を行ったものについては、エッチング処理を行
った基板表面に形成した。また、各実施例についてはT
i薄膜上にPtまたはPd薄膜を形成した後、Au薄膜
を形成した。
いて、薄膜の接合強度(ピール強度)および加熱後の膨
れの有無を調べた。ピール強度の測定は、直径2.0m
mのネイルピンをAg−Cu共晶ろう材を介して薄膜状
に接合した後、速度10mm/minで該ネイルピンを
引張ることにより行った。なお、膨れの有無の測定は薄
膜基板をホットプレート上にて450℃×10分の条件
でそれぞれ加熱し、これらの加熱処理後の薄膜の膨れの
有無を調べた。結果を表2に示す。
面積中に占める希土類アルミニウム酸化物の面積率M1
と基板中心の単位面積中に占める希土類アルミニウム酸
化物の面積率M2との比(M1/M2)を0.95以
下、かつエッチングによる質量減少率を0.02〜0.
5%の範囲内とした本発明の実施例においてはいずれも
高い接合強度を有し、かつ膨れも発生しないことが認め
られた。
に、希土類酸化物の種類および添加量を表3のように変
えてAlN基板を作製した。さらに、このAlN基板に
表4に記載したような金属薄膜を設けて接合強度の測定
を行った。結果を表3、表4に示す。なお、AlN基板
および薄膜基板の作製・評価は、実施例1および実施例
8に準じた方法で行った。
たとしても、本実施例にかかる薄膜基板は良好な結果が
得られた。
結助剤として表5に示されるような粉末を用意し、この
焼結助剤粉末を有機溶媒(エタノール)中に投入して撹
拌した。撹拌はボールミルを使用し、表に示すような撹
拌時間(予備混合時間)で行った。
不純物酸素量を有するAlN粉末に、適量の有機バイン
ダと溶媒などを加えて混合してスラリ状とした。このA
lNスラリに、上記焼結助剤粉末の分散体を表5に示さ
れるような配合量となるように添加した。これをさらに
ボールミルで24時間混合した。
レード法により板状に成形し、このAlN成形体を60
0〜800℃の温度で脱脂した。この脱脂後のAlN成
形体を、焼成容器なしで、または密閉型あるいは開放型
の焼成容器を使用して焼成した。なお、焼成容器を使用
した焼成は、脱脂後の複数のAlN成形体を高純度Al
N(純度99.9質量%以上)製の焼成容器中に配置
し、さらに焼成容器をカーボン製円筒部材中に入れた状
態で焼成炉内に配置することにより行った。
の条件で実施した。焼成雰囲気は純度99%以上の窒素
ガスとし、焼成炉内の圧力は3×105〜7×105P
aの範囲とした。その他、焼成容器の種類、焼成容器内
の成形体の充填量、2重容器内の焼成容器の充填量、雰
囲気調整の有無等の焼成条件については、表6に示すと
おりとした。
晶粒径と結晶粒径分布を調べた。AlN結晶粒の粒径に
ついては、AlN焼結体の破断面の任意の3箇所で単位
面積50×50μm内の結晶粒径を測定し、これらの平
均値に基づいて平均粒径および粒径分布を求めた。な
お、結晶粒径を測定する単位面積のうち、少なくとも1
箇所は加工面に隣接するAlN結晶粒を含む箇所とする
ことが望ましい。さらに、AlN焼結体の熱伝導率を測
定した。これらの測定結果を表7に示す。
よる各AlN焼結体は、いずれもAlN結晶粒の粒径が
微細であると共に、粒径分布の標準偏差が小さいことが
分かる。
なくとも薄膜が形成される基板表面を大きなアンカー効
果が期待できる表面性状とするとともに、該表面部分以
外における希土類アルミニウム酸化物の分布を緻密なも
のとすることにより、窒化アルミニウム基板の高熱伝導
率を維持しつつ、薄膜の密着性を向上させることができ
る。
ルミニウム基板に薄膜を形成することによって、薄膜の
接合強度が向上されるとともに膨れの発生も抑制され、
信頼性に優れたものとすることができる。
板の一実施形態の概略構成を示す断面図である。
ける成形体の配置例を示す図である。
用する二重容器の一構成例を一部切り欠いて示す斜視図
である。
板
Claims (10)
- 【請求項1】 希土類アルミニウム酸化物を含む窒化ア
ルミニウム焼結体からなる基板において、前記基板の少
なくとも一方の表面の単位面積中に占める前記希土類ア
ルミニウム酸化物の面積率をM1、前記基板の中心の単
位面積中に占める前記希土類アルミニウム酸化物の面積
率をM2としたとき、M1/M2が0.95以下である
ことを特徴とする窒化アルミニウム基板。 - 【請求項2】 前記基板表面の算術平均粗さRaが0.
2μm以下、かつ前記基板表面の単位面積中に占める希
土類アルミニウム酸化物の面積率M1が7%以下である
ことを特徴とする請求項1記載の窒化アルミニウム基
板。 - 【請求項3】 前記基板表面は、鏡面加工により算術平
均粗さRaを0.2μm以下とした後、エッチング処理
が施されたものであることを特徴とする請求項2記載の
窒化アルミニウム基板。 - 【請求項4】 前記基板に対するエッチング処理は、エ
ッチングによる質量減少率が0.02〜0.5%の範囲
となるように行われることを特徴とする請求項3記載の
窒化アルミニウム基板。 - 【請求項5】 前記希土類アルミニウム酸化物がイット
リウムアルミニウム酸化物であることを特徴とする請求
項1乃至4のいずれか1項記載の窒化アルミニウム基
板。 - 【請求項6】 前記基板の窒化アルミニウム結晶粒の平
均粒径が3μm以上5μm以下であり、かつ結晶粒径分
布の標準偏差が2μm以下であることを特徴とする請求
項1乃至5のいずれか1項記載の窒化アルミニウム基
板。 - 【請求項7】 前記基板の25℃での熱伝導率が160
W/m・K以上であることを特徴とする請求項1乃至6
のいずれか1項記載の窒化アルミニウム基板。 - 【請求項8】 請求項1乃至7のいずれか1項記載の前
記窒化アルミニウム基板の前記基板表面に薄膜が形成さ
れてなることを特徴とする薄膜基板。 - 【請求項9】 マイクロ波集積回路基板に使用されるこ
とを特徴とする請求項8記載の薄膜基板。 - 【請求項10】 VLD用サブマウントに使用されるこ
とを特徴とする請求項8記載の薄膜基板。
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JP2016017008A (ja) * | 2014-07-07 | 2016-02-01 | デンカ株式会社 | 窒化アルミニウム焼結体の製造方法 |
JP2016098159A (ja) * | 2014-11-25 | 2016-05-30 | 株式会社Maruwa | 窒化アルミニウム焼結体及びその製造方法 |
JP2021147305A (ja) * | 2020-03-13 | 2021-09-27 | 鴻創應用科技有限公司Hong Chuang Applied Technology Co., Ltd | 窒化アルミニウムウェハの製造方法およびその窒化アルミニウムウェハ |
-
2001
- 2001-12-14 JP JP2001381838A patent/JP4280009B2/ja not_active Expired - Lifetime
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