JP2003180336A - 細胞走化性検出及び走化細胞分離装置のためのウエルユニット - Google Patents

細胞走化性検出及び走化細胞分離装置のためのウエルユニット

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JP2003180336A
JP2003180336A JP2001360423A JP2001360423A JP2003180336A JP 2003180336 A JP2003180336 A JP 2003180336A JP 2001360423 A JP2001360423 A JP 2001360423A JP 2001360423 A JP2001360423 A JP 2001360423A JP 2003180336 A JP2003180336 A JP 2003180336A
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cells
wells
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Shiro Kanegasaki
士朗 金ヶ崎
Yuji Kikuchi
佑二 菊池
Hiroko Kikuchi
裕子 菊池
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Effector Cell Institute Inc
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    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12MAPPARATUS FOR ENZYMOLOGY OR MICROBIOLOGY; APPARATUS FOR CULTURING MICROORGANISMS FOR PRODUCING BIOMASS, FOR GROWING CELLS OR FOR OBTAINING FERMENTATION OR METABOLIC PRODUCTS, i.e. BIOREACTORS OR FERMENTERS
    • C12M47/00Means for after-treatment of the produced biomass or of the fermentation or metabolic products, e.g. storage of biomass
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 走化性因子による細胞の走化性又は阻害剤に
よる細胞の走化性阻害を検出するに当たり、細胞の自力
に基づく動きを正確にしかも容易に検出しうる装置を組
立てるために用いられるウエルユニットを提供すること
を目的とする。 【解決手段】 液体試料を静止した状態で収納できるウ
エルの複数個が流路を介して互いに連通していること、
流路には土手が設けられていること、土手の上部には細
胞の径又はその変形能に合わせた幅及び/又は深さの溝
を1乃至複数本構成する障壁が設けられているか、又は
平面が設けられており、該平面はガラス基板との間で細
胞の径又はその変形能に合わせた深さを形成するべく設
けられていることを特徴とする細胞走化性検出及び細胞
分離装置のためのウエルユニット。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、細胞が自力で一定
の方向に移動するか否かの判定、細胞が自力で一定の方
向に移動する状態の観察、或いは一定の方向に自力で移
動した細胞の数を計数するための装置、即ち、細胞走化
性検出装置、更には、細胞が選択的に自力で一定の方向
に移動することを利用する細胞の分離装置において用い
られるウエルユニットに関わる。
【0002】
【従来の技術】細胞の走化性をin vitro で検出する装
置としてボイデンチェンバーが使用されてきた。これ
は、細胞が通過できる大きさの穴(直径3〜8μm)が
あいているフィルターで上室と下室とに2分された構造
を有し、上室に細胞浮遊液を、下室に走化性因子を含む
検体溶液を入れ、走化性因子に向かって移動する細胞が
フィルターを通過し又はフィルターの裏面に現れた数を
観察する装置である。今日最も普通に使用されている装
置であるが、細胞浮遊液の量として、1×106 cells
/mlの濃度の浮遊液を1/4ml〜1/20ml要する。これ
は、細胞数にして、少なくとも5×104個を必要とす
ることを意味する。多量に得られる細胞を対象とする場
合はさしたる問題はないが、例えば、好酸球は抹消血白
血球に占める割合が1〜5%程度、好塩基球は同じく1
%以下、単球は同じく1〜2%程度であり、この様な少量
のみ存在する細胞を対象とする場合は、必要量を手に入
れるために多くの労力を要する。また、マウスのような
小動物を用いる場合、採血可能な量は限られており、一
頭あたりせいぜい1.0ml程度である。更に、がん細胞や
組織に存在する細胞にも多量には入手しにくい細胞があ
り、その性質を調べるには使用量が少ないことが望まれ
る。また、ボイデンチェンバーにおいては、移動する過
程にある細胞の状態の観察や数の計数をすることができ
ない。
【0003】細胞の走化性を数個のレベルで観察できる
定性用スライドグラスが市販されている。これは、25×
75mm、2mm厚の顕微鏡ガラススライド上に、1mm
幅のブリッジ(流路)を挟んで幅4mm、長さ25m
m、深さ1mmの溝(ウエル)が2個設けられている。即
ち、二つのウエルが流路を挟んで連通した形を有してい
る。一方のウエルに細胞浮遊液を入れ、他方のウエルに
走化性因子を含有する検体溶液を入れ、カバーグラスを
被せて、一方のウエルから流路を越えて他方のウエルへ
移動する細胞を顕微鏡で観察する。然し、ブリッジが細
胞の径又は変形能に合わせた空間を形成することは想定
されていない。また、流路に細胞が通過する溝は設けら
れていない。更に、一個のウエルの容積が100μlであ
り、少なくとも1/10mlの細胞浮遊液を要する。また、
同様な構造のものとして、スライドグラス上に、同心円
状に二つの溝(ウエル)を設け、その間をブリッジ(流路)
で隔てたケモタキシスチャンバーが市販されている(ウ
ェーバーサイエンティフィック社製、商品名 ダンケモ
タキシスチャンバー)。これは、内側のウエルに細胞浮
遊液を、外側のウエルに検体を夫々入れ、カバーグラス
を被せて、流路を通過する細胞を顕微鏡で観察するもの
である。流路はカバーグラスより20μm低く設定されて
おり、細胞はその隙間を通過する構造である。ここで、
流路の平面とカバーグラスとの間で形成される距離は細
胞の径又は変形能とは無関係に設定されており、また、
流路には細胞が通過する溝が設けられていない。
【0004】血液レオロジーの計測のために、シリコン
単結晶基板表面に半導体作製技術を利用して微細な溝を
複数本設けてなる流路を備えた装置が提案されている
(Kikuchi 他、SPIE Vol.2978,165−171(1997)、Kikuc
hi 他、Microvascuar ResearchVol.44, 226−240(199
2)、菊池他、生物物理 214号254−258(1997))。こ
れは、流路を挟んで圧力差を与えることにより血球浮遊
液の流れを作り、血流の状況を観察し研究しようとする
もので、細胞レベルでの挙動を観察することを可能とす
るものであるが、血球の自力による移動を観察乃至計測
することを目的としていない。
【0005】特許2532707号公報には、一端部に流入口
を有し、他端部に流出口を有する大きな溝を並列に配置
し、且つ、この溝を区画する障壁に、前記流入口と流出
口とを結ぶ直線に対し直交する方向において、溝相互を
連通する微小な溝を設けてなる血液回路が記載されてい
る。これは、大きな溝の一つに血液試料を流し、他方の
溝に走化性因子を含む検体を流しておき、血液試料の一
部のみを微細な溝(流路)に導き、微細な溝(流路)を通過
する細胞を検出することで、細胞の動きや機能をチェッ
クし、或いは遊走性を観察・測定するものである。大き
な溝により血液試料及び走化性因子を含む検体が循環す
る流れを作るため、血液試料や検体溶液を静止した状態
で収納するウエルを有さず、血液試料及び検体が相当量
必要であり、微量な試料を用いて細胞の性質を調べるに
は不向きである。
【0006】血液中の細胞を微細な溝を通過させ、通過
中の血球の態様を観察するための血液フィルタが知られ
ている(特許2685544)。これは、シリコン基板表面に微
細な溝を有してなる第1の基板と、第1の基板の表面に接
合される平面を有する第2の基板とからなり、両基板の
接合部に第1の基板の溝によって形成される空間を血球
が通過する構造である。然し、血球を微細な溝を通過さ
せるために加圧又は吸引等外部から力を加えており、細
胞の自力による溝の通過を観察するものではない。即
ち、血液試料や検体溶液を静止した状態で収納するウエ
ルを有さない。
【0007】細胞膜の硬さや細胞の変形能の機能的な側
面での分画処理を行うために、分画処理すべき細胞を多
数の微細な溝を有する流路を通過させ、通過し得ない細
胞と通過する細胞とを分ける装置も知られている。その
中で、溝の幅が異なる流路を2段に設け、何段階かに細
胞を分画することも提案されている(特許2685119)。然
し、これは細胞を含む液を加圧下に移動させる構造であ
り、細胞の自力による移動を捉えるものではない。
【0008】微細な溝を設けた流路を有する基板を積重
ね、多量の細胞懸濁液を濾過、分画可能とした積層マイ
クロチャネルアレイ装置も知られている(特開平11−16
5062)。これも、細胞を含む液を加圧下に移動させる構
造であり、細胞の自力による移動を捉えるものではな
い。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、走化性因子
による細胞の走化性又は阻害剤による細胞の走化性阻害
を検出するに当たり、細胞の自力に基づく動きを正確に
しかも容易に検出しうる装置のためのウエルユニットを
提供することを目的とする。ここに、自力に基づく動き
とは、圧力等の影響を受けることなく、細胞が自らの運
動により移動する状態を意味し、走化性因子の作用を高
い信頼度で検証し、確認するために重要な事項である。
かかる細胞の自力に基づく動きを正確に検出するために
は、ウエルに入れた細胞が、走化開始前に流路の近傍に
集まり、細胞の進行方向に向かって並ぶことが重要であ
るが、かかる状態を微細なウエル内で作り出すことがで
きるウエルユニットの構造は知られていない。
【0010】また、本発明は、少量の細胞試料を用いて
細胞の走化性を検出することができる装置のためのウエ
ルユニットを提供することを目的とする。加えて、本発
明は、細胞の走化性物質及びそれを阻害する物質の検索
を、一度に多数の検体につき、効率よく行う装置のため
のウエルユニットの提供を目的とする。更に、本発明
は、複数種の細胞の混合液から特定の細胞を選択的に分
離採取する装置のためのウエルユニットを提供すること
も、その目的の一つとする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、液体試料を静
止した状態で収納できるウエルの複数個が流路を介して
互いに連通していること、流路には土手が設けられてい
ること、ウエルはガラス基板と密着するように形成され
ていること、土手の上部には細胞の径又はその変形能に
合わせた幅及び/又は深さの溝を1乃至複数本構成する
障壁が設けられているか、又は平面が設けられており、
該平面はガラス基板との間で細胞の径又はその変形能に
合わせた深さを形成するべく設けられていることを特徴
とする細胞走化性検出及び細胞分離装置のためのウエル
ユニットであり、また、液体試料を静止した状態で収納
できるウエルの複数個が流路を介して互いに連通してい
ること、流路には土手が設けられていること、土手の上
部には細胞の径又はその変形能に合わせた幅及び/又は
深さの溝を1乃至複数本構成する障壁が設けられている
ことを特徴とする該ウエルユニットである。かかる、土
手を設けること、或いは土手に溝を構成する障壁を設け
ることにより、ウエルに入れた細胞が、走化開始前に流
路の近傍に集まり、細胞の進行方向に向かって並ぶとい
う状態が容易に作り出される。この効果は、土手の上部
に、細胞をスタートラインに並べる際に細胞の移動を制
限するための障害物を相対するウエルに向かう方向に直
交して設けること、或は、土手の上部に、細胞をスター
トラインに並べる際に細胞の移動を制限するための障害
物を、障壁の列に並行して設ける構造を採用することに
より、更に高められる。
【0012】ここで、複数のウエルは、流路を介して直
列に連通していることができ、或いは、1つのウエルに
複数のウエルが流路を介して連通していてもよく、更に
は、1つのウエルに流路を介して連通している複数のウ
エルの内、少なくとも2つのウエルが流路を介して更に
他の共通のウエルと連通していてもよい。
【0013】上記の複数のウエルは、細胞浮遊液を収納
するウエル及び走化性因子を含有する溶液を収納するウ
エルであり、或いは、細胞浮遊液を収納するウエル、走
化性因子を含有する溶液を収納するウエル及び走化性因
子阻害剤を含有する溶液を収納するウエルである。
【0014】本発明のウエルユニットは、流路を介して
互いに連通しているウエルの何れか一方又は双方におい
て、流路の近傍における液体の量を制限するために、流
路に直交して壁を設けることができ、更には、このウエ
ルユニットにおいて、流路に直交して設けられている何
れか一方又は双方の壁のまでテラスが形成されていても
よい。
【0015】本発明のウエルユニットにおける土手の上
部の何れかの箇所に、細胞を検出する画面の位置決めを
行うための印を設けることができ、また、流路におい
て、土手が多段に形成されていてもよい。
【0016】本発明のウエルユニットにおいて、流路に
設けられている溝が、相対するウエルに向かう方向に直
交する1乃至複数本の溝で互いに連通していることがで
き、或いは、流路において、相対するウエルに向かう方
向の複数本の溝の幅が、これに直交する1乃至複数の溝
を横切る度に段階的に変化すること、更には、流路にお
いて、相対するウエルに向かう方向の複数の溝が、これ
に直交する1乃至複数本の溝を横切る度に、相互の位置
をシフトさせて形成されていることができる。
【0017】本発明のウエルユニットにおける流路にお
いて、細胞の径又はその変形能に合わせた幅及び/又は
深さの溝を1乃至複数本構成する障壁の一連の列の前後
にテラスが設け、且つ、細胞の進行方向におけるテラス
の長さが他方のテラスの長さより長することができる。
【0018】本発明のウエルユニットの流路において
は、中央にテラスを設け、細胞の径又はその変形能に合
わせた幅及び/又は深さの溝を1乃至複数本構成する障
壁の列が該テラスを挟んで2箇所に形成されており、所
望により、障壁の列の外側にもテラスが設けられていて
もよい。
【0019】本発明に関わる上記の各ウエルユニットの
夫々を1ユニットとし、同一又は複数種のユニットを複
数個集積して細胞走化性検出及び細胞分離装置のための
ウエルユニットとすることもできる。
【発明の実施の形態】
【0020】本発明に関わる細胞走化性検出及び走化細
胞分離装置のためのウエルユニットは、複数のウエルが
流路を挟んで結合し、互いに連通する構造を有する。こ
こで、ウエルとは、細胞懸濁液又は細胞走化性因子や走
化性因子阻害剤等の検体溶液を収納する容器である。流
路とは、二つのウエルを連通させている部分であって、
一つのウエルから他方のウエルに細胞が移動するときに
細胞が通過する通路である。流路には、後述する土手が
設けられ、土手には、細胞の径又はその変形能に合わせ
た幅及び/又は深さの溝を1乃至複数本構成する障壁が
設けられているか、又は平面が設けられており、該平面
はガラス基板との間で細胞の径又はその変形能に合わせ
た深さを形成するべく設けられている。なお、細胞の変
形能とは、細胞が弾力性を有するものであるとき、その
弾力性のために容易に形を変え、扁平状やひも状などの
形態をとり、通常、細胞が自由空間でとる形状(球状)
において有する径よりも狭い隙間を通り抜けることを言
う。
【0021】かかる隙間を設けることにより、細胞が隙
間という障害を越えて移動することになり、細胞の自力
による移動に障害を加えることで、より正確に細胞の走
化性を判定することが可能となる。かかる隙間を形成す
るために、土手を設けること、或いは土手に溝を構成す
る障壁を設けることにより、ウエルに入れた細胞が、走
化開始前に流路の近傍に集まり、細胞の進行方向に向か
って並ぶという状態が容易に作り出される。更に、細胞
が個体毎に通過する溝を設ける場合は、細胞を個々のレ
ベルで観察することが可能となり、又、細胞を所望の種
類ごとに分離することができる。
【0022】本発明は、かかる細胞走化性検出及び走化
細胞分離装置において用いられるウエルの結合様式、ウ
エルの構造及び流路の構造に関する。
【0023】図1は、本発明のウエルユニットが組み込
まれた細胞走化性検出及び細胞分離装置の一例を示し、
図2は図1の装置で用いられるウエルユニットの上面図
である。図の例では、ウエルユニットは、細胞浮遊液や
検体溶液等の試料を収納するウエル2A、2Bを有し、
これ等のウエルを隔てる土手10の上面に溝5を構成する
障壁6が設けられている。ウエルユニットには光学的に
透明なガラス基板8が密着して装着され、密閉された空
間を構成する。なお、本明細書においては、土手10と溝
5を構成する障壁6を含む部分構造を流路と呼ぶことと
する。ウエル2の一つ(2A)に細胞浮遊液を入れたと
き、細胞は、他方のウエル(2B)の検体溶液が走化性
因子である場合はウエル2Bに向かって移動しようと
し、流路を通過する。細胞の移動の状態は検出器13、例
えば顕微鏡により観察される。この装置の他の用途とし
て、ウエル2Aに種々の細胞の混合懸濁液を入れてお
き、ウエル2Bに特定の走化性因子を入れることによ
り、ウエル2Aからウエル2Bに移動した細胞を採取す
ることで、走化性因子に反応する細胞を選択的に分離す
ることを挙げることができる。
【0024】図3は、本発明のウエルユニットが組み込
まれた細胞走化性検出及び細胞分離装置の他の例を示
す。1は流路、2A、2Bは細胞浮遊液や検体溶液等の
試料を収納するウエルであり、試料はマイクロピペット
等により管3A又は3Bを通じてウエル2A又は2Bに
供給される。移動後の細胞をウエル2A又は2Bから採
取する場合も、マイクロピペット等により管3A又は3
Bを通じて行われる。
【0025】試料の一つである細胞浮遊液を、マイクロ
ピペット等により管3Aを通じてウエル2Aに供給する
際、注入する液圧により細胞が流路1を通過して反対側
のウエル2Bに移動してしまうことが生じる。これは、
細胞の移動が検体の有する走化性によるのか否かの判定
に混乱を与える要因となるとともに、細胞の分離を目的
とする場合は、所望の細胞に他の細胞が混合してしまう
ことになり目的が達せられないことになる。同様に、検
体溶液を、マイクロピペット等により管3Bを通じてウ
エル2Bに供給する際、注入圧により検体溶液が流路1
を通って反対側のウエル2Aに入り細胞浮遊液と混合す
る事態が生じ、細胞がその走化性により流路1を通過す
る現象が混乱乃至阻害される。
【0026】この問題点を解決するために、管3と連通
するように管4を設け、管3に加わる注入圧を管4の方
向に逃がし、流路1に向かって細胞が強制的に流れるこ
とを防止する構造が採用される。即ち、試料を注入する
管3に連通する管4を設けることにより、水平方向への
液圧の影響を最小にすることができ、検体溶液が細胞走
化性を有するか否かの判定をより正確に行うことができ
る。管4による圧力差の緩和作用は、ウエルから細胞な
どの試料を採取する際の減圧を緩和する上でも有効であ
り、試料の採取を容易にする。
【0027】本発明は、かかる装置においても使用でき
るウエルユニットを提供する。図4には、かかる装置に
おいて使用できる本発明のウエルユニットの一例が示さ
れており、ウエル2Aには、管3A、4Aを設けるため
の貫通孔3Aa、4Aaが、ウエル2Bには、管3B、
4Bを設けるための貫通孔3Ba、4Baが、夫々、設
けられている。
【0028】図5(1)、(2)は、本発明のウエルユニッ
トが組み込まれた細胞走化性検出及び細胞分離装置の他
の例を示す。図5の装置においては、ウエルに試料を注
入し、或いはウエルから試料を採取する際の圧力の影響
を少なくするために、図5(1)に示すように、管3A、
3Bの上端部3Ab及び3Bbにより共有される空間15
が設けられている。ウエル2A、2B、管3A、3B及
び空間15を、細胞等の試料に影響を与えない液体で満た
すことにより、全体が一定の圧力下に保たれ、管3A又
は3Bから試料を注入・採取する際の水平方向の圧力変
化が緩和される。
【0029】本発明が提供するウエルユニットは、かか
る装置において使用できるウエルユニットも含む。図5
(2)には、かかる装置において使用できる本発明のウエ
ルユニットの一例が示されており、ウエル2Aには、管
3Aを設けるための貫通孔3Aaが、ウエル2Bには、
管3Bを設けるための貫通孔3Baが、夫々、設けられ
ている。
【0030】図5に示す装置の応用例として、図6(1)
に示すように、各ウエル2A、2Bに管3A・3B、及
び連通管4A・4Bを設け、各管の上端部に、液体を入
れるための空間15を設けることができる。この場合に用
いられる本発明のウエルユニットは、図6(2)に示す
ように、各ウエルに二個ずつの貫通孔が設けられる。な
お、図6には、流路1おける土手10に障壁が設けられて
いないウエルユニットの使用例を示してある.
【0031】本発明のウエルユニットにおいては、複数
のウエルを目的に応じて種々の様式で結合させ、互いに
連通させることが可能である。本発明は、複数のウエル
2が、種々の様式で、流路1を介して結合し互いに連通
した構造のウエルユニットを含む(図7〜図14参照)。
【0032】また、本発明は、できるだけ少量の細胞を
用いて走化性を調べることができるように、流路に対す
るウエルの構造を設定する場合を含む(図15、図16参
照)。
【0033】流路1には、細胞の径又はその変形能に合
わせた幅及び/又は深さの溝を1乃至複数本、例えば、
約20〜約100本構成する障壁を設けること好ましい。か
かる溝を設けることにより、細胞や検体の拡散状況を調
節し、細胞の動きをより正確に、且つ、個々のレベルで
観察することが可能となる。更には、溝を設けること
は、細胞のウエル内における位置の調節を容易に行うこ
とを可能にする。即ち、ウエルに入れた細胞が、走化開
始前に流路の近傍に集まり、細胞の進行方向に向かって
並ぶという状態が容易に作り出される。本発明のウエル
ユニットは、目的に応じて、障壁の種々の構造を採用す
ることができる(図19〜図25参照)。
【0034】流路1には、テラスを設けることができ、
テラスの構造を種々変えることにより、流路を通過した
細胞、或いは通過する細胞の状況を観察することが容易
になる。また、ウエル内における細胞の流路に対する位
置関係を調整することが可能となる。本発明は、かかる
テラスの構造を有するウエルユニットに関わる(図26〜
図31参照)。
【0035】本発明のウエルユニットは、流路を介する
ウエルの結合を一つのユニットとする時、複数のユニッ
トを集積させた場合を含む(図33〜図37参照)。かかる集
積により、一度に多種類の細胞・検体を処理することが
可能な細胞走化性検出又は細胞分離装置を組み立てるこ
とができる。
【0036】本発明のウエルユニットを備えた細胞走化
性検出及び細胞分離装置における、細胞の移動の観察乃
至流路を通過中又は通過後の細胞数の計数は、図1、図
3、図5或るいは図6に示すように、流路1に検知装
置、例えば顕微鏡をセットすることにより行われる。ま
た、顕微鏡−ビデオカメラ、或いはCCDカメラを組み
合わせることにより、自動的に細胞の移動する経過を記
録することが可能となる。
【0037】流路1を通過する細胞の検出・計数は、細
胞を直接顕微鏡で捉えることにより行うこともできる
が、常法に従い、予め細胞を発光・蛍光物質でマーキン
グしておき、その発光・蛍光を捕捉することにより容易
に検出・計数することができる。
【0038】本発明によれば、後述するように、装置の
全体を小型化することが可能であり、試料の処理を微量
で行うことができ、しかも各ユニットを多数集積させ
て、多数検体の処理を同時に行うことが可能となる。更
に、液体の吸引・注入量のプログラム制御により自動化
して行うことが容易である。
【0039】装置の自動化は、ユニット単体、同一又は
複数種のユニットを複数個集積させてなる集積ユニット
又は複数の集積ユニットよりなるユニット部と共に、細
胞貯蔵部、検体貯蔵部、必要に応じてピペット洗浄部及
びこれ等各部を移動する細胞や検体等の試料供給ピペッ
トを備え、且つ、これ等ピペットの作動を制御する機構
をを備えることにより、細胞や検体等の供給・採取も含
めた装置全体を自動制御することができる。更に、複数
のユニット上の流路における細胞の状態を検出するため
に検出器をスキャンさせ、一定時間毎に繰返し検出し、
細胞の動きを経時的にトレースするよう検出器を制御す
ることも可能である。これ等の制御は、コンピューター
プログラムにより容易に行われる。
【0040】本発明に関わるウエルユニットの構造を更
に具体的に説明すれば、次の通りである。
【0041】1)ウエルユニットの構造 図2、図4及び図6に例示するように、流路及びウエル
は基板7上に一体的に構築されるのが好ましく、基板7
には、必要に応じ、各ウエルに通じる管と連絡する穴
(貫通孔)が設けられる。流路には土手10が設けられ
る。土手の上部は、平面であるか、溝5を構成する障壁
6及び必要に応じてテラス11が設けられる。土手10を設
けること、或いは土手10に溝5を構成する障壁6を設け
ることにより、ウエルに入れた細胞が、走化開始前に流
路の近傍に集まり、細胞の進行方向に向かって並ぶとい
う状態が容易に作り出される。即ち、ウエルの一つに細
胞懸濁液を入れた後、流路を介して反対側にあるウエル
から適当量の液体を吸引することにより細胞が流路の近
傍に集められる。このとき、土手10又は土手10と障壁6
の存在により、細胞は進行方向に対して直交する方向に
並ぶ。次いで、反対側のウエルに走化性因子が注入され
ると、細胞が流路の通過を開始する。流路の近傍に細胞
が集まっていない場合、或いは、並んだ状態にないとき
は、細胞の動きが不規則的になり、所謂、細胞のランダ
ムムーブメントの故に、走化性の検出を明確に行うこと
が困難となる。このウエルユニットを用いて、細胞走化
性検出及び細胞分離装置を組み立てるには、1)ウエル
及び流路を設けた基板7にガラス基板8をのせる(図1
参照)、或いは、2)ウエル、流路及び貫通孔を設けた
基板7に、貫通孔に相当する管を穿ったブロック9を、
各管が基板上の各貫通孔に合致するように固着し、更に
ガラス基板8を密着固定する(図3、図5、図6参照)。
なお、ブロック9、基板7及びガラス基板8はO−リン
グで締め付ける等により圧着・固定してもよい(図39参
照)。
【0042】2)ウエル ウエル2は、試料、即ち、細胞浮遊液又は走化性因子含
有溶液、或いは、同阻害剤含有溶液等の検体溶液を収納
するもので、容積は、特に制限は無く、必要最小限の液
量を収納できればよい。例えば、液量0.3μlを収容する
場合は、深さ0.1mm、幅1.2mm、長さ2.5mmあれば
よい。
【0043】3)流路を介したウエルの連通様式 流路を介したウエルの連通様式は、図2、図4、図5
(2)或いは図6(2)に例示する2連式、図7、図8に例
示する3連式が通常用いられる。図2及び図7は貫通孔
が設けられていない場合であり、図4、図6、図8は貫
通孔が設けられている場合の例示である。3連式の場合
は、例えば、ウエル2Aに細胞浮遊液、ウエル2Bに阻
害剤含有液、ウエル2C走化性因子含有液を入れること
により、複数検体につき3者の関係を一度に調べること
ができる。
【0044】ウエルは、必要に応じて更に結合させ、連
通させることができる。連通の形式として、図7や図8
のような直列型の他に、図9〜図11に例示するように、
一つのウエルの周りに流路を介して複数のウエルを連通
させた、所謂、同心状の形式をとることもでき、更に
は、図12、図13の如く、同心円状にすることもできる。
図12、図13は、3連式を同心円状にした例である。
【0045】図9〜図11の場合、中央のウエル2Aに細
胞浮遊液を入れ、ウエル2B1〜4に種々の検体を入れる
ことにより、複数の走化性因子の検索を同時に行うこと
ができる。更に、複数種の細胞を含む試料をウエル2A
に入れることにより、細胞を種類別に分離することを一
度に行うことができる(ソーティング)。例えば、ウエ
ル2B1〜4に細胞の種類に対応した走化性因子を入れ、
中央のウエル2Aに複数種の細胞を含む試料、例えば全
血を入れる。細胞は、夫々の走化性因子のある各ウエル
2B1〜4に向かって移動する。一定時間経過後に、各ウ
エル2B1〜4から細胞を採取する。
【0046】図14には、1つのウエル(2A)に流路を介
して連通している複数のウエルの内、少なくとも2つの
ウエル(2B1及び2B2)が相互に流路を介して更に他の
共通のウエル(2C)と連通しているタイプが例示されて
いる。この場合、ウエル2Aに細胞浮遊液を、ウエル2
Cに走化性因子を含有する検体溶液を入れ、ウエル2B
1及び2B2に夫々異なった阻害剤を含む検体溶液を入れ
ることにより、夫々の阻害剤の性質を同一条件下で比較
しながら調べることができる。
【0047】4)ウエルの構造における特定の態様 流路を介して互いに連通しているウエルの何れか一方、
例えば細胞を収納するウエル、又は双方において、流路
の近傍における液体又は細胞懸濁液の量を制限するべ
く、流路に直交して壁を設けることにより、ウエル内に
おける細胞の流路に対する位置関係を調整することが容
易となり、或いは、検体試料の流れを調整することが容
易となる(図15)。図15は、流路1を介してウエル2A、
2Bが連通しており、夫々のウエルに、流路1に直交し
て壁14A及び14Bが設けられている場合を示す。試料注
入管3Aからウエル2Aに細胞を注入すると、一定量の
細胞が壁14Aと流路1の間に集まる。壁14と流路1との
間隔は任意に設定できるが、通常は50〜300μmから選
ばれる。
【0048】図16は、流路に直交して壁を設けたウエル
と流路の変形例を示しており、(1)はウエルの幅の一部
に流路が設けられている場合を、(2)は流路が中央で
二分されており、流路を挟んで一個のウエル(2A)に対
し二個のウエル(2B、2C)が設けられていると共にウ
エル2A側にのみ壁14Aが設けられている場合を、(3)
は流路において障壁の列がテラス11を挟んで二列設けら
れている場合を、夫々示している。このような変形は例
示として挙げたもので、これ等に限られないことは云う
までもない。
【0049】5)流路 流路1(図3、5、6、8〜16)の構造の一例を図1〜
6、図17、18により説明すれば次の通りである。流路1
は、両端のウエル2Aとウエル2Bを隔てる土手10(基
板7上の突出部)とガラス基板8との間で細胞が通過す
る空間を形成する。土手10の上部は平面であるか(図6
参照)、又は、溝5を構成する障壁6及び必要に応じ、
テラス11が設けられる。なお、図17は、図1に示す構造
の装置における例であり、図18は図3や図5に示す構造
の装置における例である。
【0050】土手10は、流路1の両端にあるウエル2
A、2Bを隔てるもので、そのサイズは、特に限定され
るものではないが、例えば、高さ0.03〜0.1mm程度、相
対するウエルに向かう方向における長さとして0.01〜0.
5 mm程度あればよく、相対するウエルに向かう方向に直
交する方向における長さは、ウエルの幅又はそれ以下で
よい。
【0051】土手の上部に溝を構成する障壁を設けない
場合は、土手の上面がガラス基板との間で細胞の径又は
細胞の変形能に合わせた深さ乃至隙間を形成する。この
場合の深さは、細胞の種類に合わせて、通常3〜50μm
から選ばれる。好中球、好酸球、好塩基球、単球・マク
ロファージ、T細胞、B細胞等の場合は3〜10μm、例
えば6、7、8又は10μmから選ばれ、がん細胞や組織に
存在する細胞の場合は10〜20μmの幅が選ばれる。
【0052】6)流路における障壁及び障壁により構成
される溝 土手10の上面には、図19で示すように、障壁6を設ける
ことができる。障壁6により構成される溝5の断面は、
V字型断面、凹型断面、半円型断面等、任意の形状とす
ることができる(図20参照)。
【0053】溝5の幅は、通常は3〜50μmから選ば
れ、対象とする細胞が1個づつ通過するだけの幅である
ことが好ましく、細胞の種類に合わせて好適な幅が選ば
れる。好中球、好酸球、好塩基球、単球・マクロファー
ジ、T細胞、B細胞等の場合は3〜10μm、例えば6、
7、8又は10μmから選ばれ、がん細胞や組織に存在する
細胞の場合は10〜20μmの幅が選ばれる。
【0054】溝5の深さ(障壁6の高さ)は、顕微鏡の焦
点深度に合わせて適宜設定するか、或いは、細胞が1個
づつ通過し得る深さとすることができる。更には、溝の
幅と溝の高さの双方を細胞が1個づつ通過し得る幅と高
さに設定しても良い。
【0055】溝5の深さを、細胞の移動を観察する際の
顕微鏡の焦点深度内に収まる深さにする場合、例えば、
10〜40倍の顕微鏡の焦点深度に合わせる場合は4.5μm
程度が好ましいが、これに限定される必要はない。
【0056】溝5の数は、流路の幅に対する障壁の幅と
溝の幅で決定される。例えば、流路の幅1mm、障壁の
幅10μm、溝の幅5μmの場合、溝の数は最大で66本と
なる。検出・観察に適した溝5の数は、1乃至約100本、
好ましくは好ましくは約10乃至約70本である。
【0057】障壁6の長さは、約5〜約400μmから選ば
れ、例えば、5、10、20、30、40、60、100、200、300又
は400μmのものが用いられる。障壁6自体の幅は適宜
選ぶことができる。後述する図25に示す構造を採る場合
は縦横の長さがほぼ等しい方が効果的である。
【0058】流路1を形成する溝5は、図21、図22に例
示するごとく、相対するウエルに向かう方向に直交する
1乃至複数本の溝12で互いに連通していてもよい。かく
することにより細胞が通過する様子をより正確に把握す
ることができる。その場合、図23、図24の如く溝5の幅
を、相対するウエルに向かう方向でこれに直交する溝12
を横切る度に段階的に変化させても良い。なお、図23で
は、障壁6自体の幅が変化する例を示しているが、図24
に示すように、同一の大きさを有する障壁6の数を増減
させることにより溝5の幅を変化させることもできる。
【0059】図25に例示する如く、相対するウエルに向
かう方向の複数の溝5が、これに直交する溝12を横切る
度に、相互の位置関係をシフトさせて形成されていても
よい。図25は、相対するウエルに向かう方向の溝5が、
それと直交する溝12を横切る毎に、5aと5bのよう
に、2分の1ピッチづつ位置関係を変えて形成されている
場合を示す。溝5をこのように形成させることにより、
走化性因子や阻害物質を含有する検体溶液の拡散を充分
に行わせることができ、相対する流路に向かう方向での
検体溶液を均一に分布させることができると共に、細胞
や検体の注入・採取による昇圧・減圧をより効率よく回
避することが可能となる。
【0060】更に、障壁6は、図26に例示する如く相対
するウエルに向かう方向に繋がった連続形であっても良
い。
【0061】7)流路における、画像の位置決めのため
の印 流路を通過する細胞の状態を検出するに当たり、検出器
13が一定時間経過毎に所定の流路上に戻り、繰返し検出
を行う場合がある。例えば、後述するように、複数のウ
エルユニットを集積させた装置において、各ウエルユニ
ットの流路を通過する細胞の状態を検出するために、検
出器13をスキャンさせ、経時的に検出を行う場合であ
る。このような場合、所定の流路においては検出画面の
範囲が毎回同じになるよう、画面の位置決めを容易にす
るために、流路上の何れかの位置に印を設けると便利で
ある。印は位置決めを容易にするために役立てば、如何
なる形状でも良い。また、印を設ける箇所は、土手10の
上部、例えば後述のテラス11の何れかの箇所、或いは、
何れかの障壁の上部であっても良い。また、設ける印の
数は、1個に限らず、複数個であっても良い(図27、図2
8(1)参照)。
【0062】8)流路におけるテラス 土手の上面に、例えば図1、図2において符号11で示す
平面を設けると細胞の通過が観察しやすくなる(この平
面をテラスと呼ぶことにする)。テラス11は必須のもの
ではないが、設けることが好ましい。図2に示すよう
に、テラス11を障壁6の列の両側に設ける場合、その相
対するウエルに向かう方向の長さは約0.03mm乃至約0.
4mmから適宜選ばれる。また、図27に例示するよう
に、障壁6の列の両側に設けられたテラス11-1、11-2
内、一方(図27では、11-1)を他方(図27では、11-2)より
長くすることもできる。かかる構造とすることにより、
溝を通過した後の細胞の観察が容易になる。
【0063】なお、図27には、土手上面に+印(23)が設
けられた例が示されているが、この印は必要に応じて設
けられればよい。
【0064】土手の中央にテラスを設け、テラスをはさ
んで 障壁の列を2箇所に形成することもでき(図28参
照)、かかる構造とすることにより、溝を通過した後の
細胞が中央のテラス上に存在する時間が長くなり、観察
・計数が容易に行われる。なお、中央のテラスの大きさ
は、顕微鏡の視野でカバーできる大きさであることが望
ましい。図28において、(1)は上面図、(2)は断面図で
ある。
【0065】図28には、画像の位置決めを容易にするた
めの印(23)が2箇所に設けられている場合が例示されて
いるが、この印は必要に応じて設けられれば良い。
【0066】図29〜図31は、図15、図16に示すタイプの
ウエルにおいて、流路にテラスを設けた例である。な
お、図29〜図31の(1)は上面図、(2)は、(1)に
おける破線で示した部分の断面図である。図29は流路を
挟んで両側に、流路に直交する壁14A、14Bまでテ
ラス11A、11Bが設けられている場合を示す。図30
は流路の片側においてのみ、流路に直交する壁14Aま
でテラス11Aが設けられ、反対側においては壁14B
に達しないテラス11Bが設けられている場合を示す。
図31は、細胞が注入されるウエル2A側にのみ流路に直
交する壁14Aが設けられている場合において、該壁1
4Aまでテラス11Aが設けられている場合である。図
15、図16に示すタイプのウエルにおいて、かかるテラス
を設けることにより、ウエル2B側に入れた走化性因子
や阻害物質がウエル2A側へと溝を通り抜けた後に、そ
れ等の拡散が急激に進むのを防止することができる。か
かるテラスがない場合は、流路の近傍の容積が大きいた
め、拡散が急激に進むことになる。
【0067】なお、図32に例示するように、土手10を多
段に形成すること、即ち、土手10のテラス11を多段式に
形成することにより、一方のウエル側から吸引すると他
方のウエルに入れた細胞が土手10の近傍に集まり易くな
る。例えば、細胞が好中球、好酸球、好塩基球等である
場合、テラス11-2 及び11-3のガラス基板8からの距離
(図においては障壁6の高さ)を3μm、テラス11-1
び11-4のガラス基板8からの距離を4.5μmとし、ウエル
2Aに細胞を入れ、ウエル2Bの側から液を吸引する
と、細胞はテラス11-1のところで一旦止まった後、テラ
ス11-2とガラス基板8との間に集まり易くなる。各テラ
ス11-1〜4のガラス基板8からの距離は、取扱う細胞に
応じて適宜設定することができ、概ね3乃至5μmの範囲
で設定され得るが、これに限定されるわけではない。こ
こで、細胞を収納するウエルの反対側のテラス(11-3
の長さを、細胞を収納するウエルの側のテラス(テラス
11-2)より約1.5乃至5倍長くすると、溝を通り抜けた
細胞の観察や計数をより容易に行うことができる。
【0068】9)流路における障害物 走化性因子を入れる前に、他方のウエルにおいて細胞が
同じ条件で、細胞の進行方向に向かってスタートライン
に並ぶようにするための構造の一つとして、流路に細胞
の移動を制限するための障害物を設けることが提案され
る。ここに云う障害物とは、細胞の移動を完全には遮断
することなく、その移動を制限するもので、例えば、一
連の突起の並び、一連の三角柱や四角柱の並びを挙げる
ことができるが、この目的を達成し得るならば如何なる
形状でも採用し得る。障害物が設けられる位置は、土手
の上部であることが好ましいが、目的を達成するのであ
れば、土手の上部に限られない。土手の上面に障壁が設
けられておらず、全面がテラスである場合はその一端付
近に設けられる(図40(1)参照)。土手の上面に障壁とテ
ラスが設けられている場合は、障壁の列に並行して、テ
ラスのウエル側に設けられる(図40(2)〜(4)参照)。な
お、図40において、(1)、(2)及び(4)は障害物として突
起の並びが採用された場合の例示であり、(3)は三角柱
の並びが採用された場合の例示である。障害物の高さ
は、細胞の径又は変形能に合わせた長さと同等かそれの
2分の1乃至4分の1あればよい。障害物の間隔は、通
常は、細胞の径又は変形能に合わせた長さと同等に設定
されるが、高さが低く設定されている場合は、それより
短く設定されていてもよい。
【0069】10)多数のユニットの配列 流路を介して連通した複数のウエルを1ユニットとし
て、複数のユニットを1枚の基板上に配置乃至集積して
多数検体を同時に処理するウエルユニットとすることが
できる。同じタイプのユニットを並列に配置する場合
(例えば図33〜35)、円形に集積する場合(例えば図36)、
異種のユニットを配列する場合(例えば図37)等、必要に
応じて種々の配置乃至集積をすることが可能である。以
下に各図に基づいて配置乃至集積の様式を説明するが、
もとよりこれ等は例示であり、これ等に限定されるもの
ではなく、目的に応じて種々の組み合わせを採ることが
できる。
【0070】図33及び図34は、図3に示す、2つのウエル
が流路を介して連通してなるウエルユニットが、1辺が
16mmの正方形である一枚の基板7上に12個設けられた
場合を示す。1ユニットの大きさは長辺が5.7mm、短
辺が1.2mm、ユニットの間隔は0.8mmで配置されてい
る。なお、図33では、基板7に設けられた貫通孔3a及
び4aが四角形であるのに対し、図34は貫通孔が円形で
ある場合を示す。図35は、図15に示すタイプのユニット
ウエルを一枚の基板7上に12個設けた場合を示す。
【0071】図36は、2連式の独立したウエルユニット
が円形に集積されている場合を示す。図36は各ウエルが
貫通孔を有する場合を示しているが、貫通孔を有さない
場合も有り得ることは云うまでもない。大きさを例示す
ると、ウエル2A及び2Bは半径方向の幅が1.5m
m、流路の幅は0.5mmであり、10μm幅の溝5が設け
られている。この場合、ユニット全体としての円の半径
は5.0mmである。勿論、目的に応じて大きさを変え
ることができる。
【0072】図37は、図33〜図36に示される多数ユニッ
トの集積を更に集積させた場合を示す。即ち、図37にお
いてA1〜4、B1〜4、C1〜4、D1〜4で表される四辺形
の夫々が図33〜は図36で示されるウエルユニットの集積
である。ここで、A行、B行、C行及びD行は互いに異
なったタイプのユニットの集積であることができる。
【0073】これら、多数のユニットを集積させる場合
において、ブロック9は全てのユニットに夫々管を接続
する1個のものとして構成することができ、ガラス基板
8も全体で1枚とすることができる。
【0074】11)ウエルと流路の作製 基板7の材質としては、微細加工が容易で、細胞に対し
比較的不活性なシリコン単結晶が好ましい。流路1にお
ける障壁6及び溝5は、このシリコン単結晶に集積回路
の製作で使用されるフォトリソグラフィやエッチング、
例えば、ウエットエッチング、ドライエッチング等によ
り工作される。ウエル2及び貫通孔3a、4aは障壁6
や溝5に比べれば比較的大きいので様々な既知の工作技
術を適用して作製することができ、例えば、サンドトラ
スト法やドライエッチング法を適用することができる。
シリコン単結晶以外にも、硬質ガラス、硬質プラスチッ
ク、金属等も流路における微細な構造が構築可能であれ
ば使用できる。プラスチックを使用する場合は、表面に
親水性を付与するための処理、例えば、表面に親水性薄
膜を形成させる処理を行うことが好ましい。なお、流路
1とウエル2を夫々別に作製し、組合わせてもよい。
【0075】ウエットエッチングによる製作過程の一例
を図38により説明すると、まず、シリコン単結晶基板の
一部(1)に、(2)及び(3)に示す如く、溝5を形
成させる。ここで、(2)は上面図であり、(3)は破
線部における断面図である。次いで、溝5及び障壁6を
残して全体を障壁の高さ(例えば、4.5μm)だけ掘り
下げる(4)。その後、中央に土手10を残して、更に掘
り下げてウエル2A、2Bを形成させ(5)、必要に応
じ、サンドプラスト法等により、ウエルの底部に貫通孔
3a、4aを設ける(6)。(7)は、(6)の上面図
である。 同様にして、ウエルユニットを集積させた基
板も製作することができる。
【0076】12)細胞走化性検出及び細胞分離装置の組
立て 本発明のウエルユニットを用いた細胞走化性検出及び細
胞分離装置の組み立ては、図1のタイプの装置において
は、基板7とガラス基板8とを組合わせることにより行
うことができ、図3及び5のタイプの装置においては、
基板7、ガラス基板8及びブロック9を組合わせること
により行うことができる。
【0077】ブロック9は図3、図5や図6に例示する
ように、ウエルに通じる管を有する部分である。物理的
に可能であれば、ウエルの貫通孔3a或いは4aに管を
直接装着してもよく、その場合は、ブロックは必要でな
い。管3、4の断面は、通常は四角形又は円形から選ば
れる。管の太さは、特に限定されるものではないが、四
角形の場合は1辺が1mm程度でよく、円形の場合は直
径が1mm程度でよい。長さは、細胞浮遊液、検体溶液
の容量を保持する上から、2mm〜10mm程度は必要
である。
【0078】ブロック又は管を構成する材質は、ガラ
ス、アクリル等のプラスチックス又は金属から選ぶこと
ができ、ブロックや管は、通常の工作手段、例えば、機
械による鑿孔、レーザー光線による鑿孔その他により容
易に作製される。また、光重合樹脂に光照射し、感光し
た部位を残し、感光しない部位を溶媒により溶解除去す
る方法により、工作することもできる。
【0079】ガラス基板8は、図1、図3、図5、図6
に例示するように、基板7に圧着して液体を収納する空
間を構成し、且つ流路を通過する細胞の観察を可能とす
るもので、光学的に透明且つ平面性を保持しするもので
ある。また、細胞が接着することが望ましい。かかる目
的に適うものであれば、ガラス以外にも、透明アクリル
等のプラスチックも使用できる。厚さは、特に限定され
るものではないが、1〜2mmあれば充分である。
【0080】図39は、本発明のウエルユニットを用いて
細胞走化性検出及び走化細胞分離装置を組立てる場合の
一例を示す。カバーキャップ17と中間支持体21の間にウ
エルユニットが形成された基板7、パッキング16とそれ
をカバーする1個のブロック9をおき、中間支持体21と
底支持体22の間に1枚のガラス基板8をおき、ネジで締
め付ける。ブロック9と基板7との位置関係は中間支持
体21で規定され、中間支持体21に設けられたガイドピン
20とブロック9の底面に設けられたガイドピン受孔19に
よって固定される。なお、基板7とブロック9とは直接
圧着させてもよい。
【0081】13)検出手段 本発明において用いられる検出手段は、流路を移動する
細胞又は移動した後の細胞を検出する手段であり、必要
に応じ検出結果を記録するための手段を含む。細胞を検
出・記録するために知られている手段であれば何れも使
用可能であり、例えば、顕微鏡、顕微鏡とビデオカメラ
の組合せ等である。対物レンズにCCDカメラを取り付
けた構造を採用することもできる。集積ユニットの検出
においては、対物レンズが各ユニットの流路を順次スキ
ャンする構造を採用することが好ましい。
【0082】検出手段は、通常は、図1、図3、図5や図
6に示すように、ユニットの流路に設定されるが、多数
ユニットを集積させた装置においては、所定の位置に設
置された検出器に各ユニットの列が順次移動し、検出・
記録を行う構造を採ることもできる。その場合、検出
は、直線上に並んでいる各ユニットの流路を検出器がス
キャンすることにより行われる。その場合、検出器が各
流路を一定時間毎に繰返し検出し、経時的に細胞の動き
を捉えることも可能である。スキャンする検出器は1個
でも良いし、複数個でもよい。かくすることにより、比
較的少ない数の検出装置で多数の集積ユニットに対応す
ることが可能となる。
【0083】流路を通過中、または、通過後の細胞の検
出・計数は、細胞を直接顕微鏡やCCDカメラ、CCD
ビデオ等で捉えることにより行うこともできるが、常法
に従い、予め細胞を発光・蛍光物質でマーキングしてお
き、その発光・蛍光を捕捉することにより容易に検出・
計数することができる。
【0084】
【発明の効果】本発明のウエルユニットを用いることに
より、種々の目的に適した細胞走化性検出及び細胞分離
装置を組み立てることができる。例えば、試料注入時に
水平方向の圧力の変化(昇圧)が生じにくく、外圧によ
る検体や細胞の移動が起こりにくい、細胞の自力による
運動を正確に捉えることができる装置を得ることがで
き、走化性因子又は阻害剤の作用と細胞の性質を忠実に
反映させた定量及び定性結果を得ることができる。
【0085】また、ボイデンチェンバーでは細胞のラン
ダムムーブメントも捕捉されるため、走化性因子なしの
バックグランドが高いのに対し、本発明のウエルユニッ
トを用いる装置ではバックグランドをほぼゼロにするこ
とができ、定量性も高い。
【0086】本発明のウエルユニットは、微量の試料を
取り扱うことに適している。即ち、使用する細胞の量
を、従来使用されてきたボイデンチェンバーに比べ、10
分の1乃至1000分の1とすることが可能である。例え
ば、試料として全血を使用したとき、好中球の走化性を
検出する場合は0.1μlの血液でよく、好酸球、単球又は
好塩基球では1μl程度の血液で測定可能である。
【0087】更に、本発明のウエルユニットは微小なも
のとすることができるため、多数集積させることが可能
であり、多数の試料を同時に処理する装置を組み立てる
ことができ、且つ、装置の自動化が容易に行えるという
メリットがある。
【0088】本発明のウエルユニットは、複数種の細胞
を含む細胞浮遊液から、特定の細胞のみを移動させた
後、これをウエルから採取するのに適しており、目的の
細胞を的確に採取することができる。
【0089】本発明のウエルユニットは、流路1に土手
を設けること、更には、土手に細胞の径又はその変形能
に合わせた幅及び/又は深さの溝5を種種の態様で設け
ること、或いは、土手に細胞の径又はその変形能に合わ
せた深さを形成する平面を設けることにより、細胞の個
々の動きをより容易に捉えることが可能となる。また、
土手を設けること、或いは土手に溝を構成する障壁を設
けることにより、ウエルに入れた細胞が、走化開始前に
流路の近傍に集まり、細胞の進行方向に向かって並ぶと
いう状態が容易に作り出される。
【0090】本発明のウエルユニットによれば、複数種
の細胞を含む試料、例えば、全血を用いて、その中に含
まれる種々の血球の一部について、これを予め分離する
ことなく、走化性を調べることができ、又、走化性因子
を適当に選ぶことにより、複数種の細胞を含む試料から
細胞を種類ごとに分離することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に関わるウエルユニットの使用態様の例
を示す断面図
【図2】本発明に関わるウエルユニットの一例を示す上
面図
【図3】本発明に関わるウエルユニットの使用態様の例
を示す断面図
【図4】本発明に関わるウエルユニットの一例を示す上
面図
【図5】本発明に関わるウエルユニットの使用態様の他
の例を示し、(1)は装置の断面図であり、(2)は本発明
に関わるウエルユニットの一例を示す上面図である。
【図6】本発明に関わるウエルユニットの使用態様の他
の例を示し、(1)は装置の断面図であり、(2)は本発明
に関わるウエルユニットの一例を示す上面図である。
【図7】本発明のウエルユニットの一例であり、流路を
介してウエルが直列に3個連通している場合を示す。
【図8】本発明のウエルユニットの一例であり、貫通孔
を有するウエルが流路を介して直列に3個連通している
場合を示す。
【図9】本発明のウエルユニットの一例であり、1つの
ウエルに複数のウエルが流路を介して連通している場合
を示す。
【図10】本発明のウエルユニットの一例であり、1つの
ウエルに複数のウエルが流路を介して連通しており、ウ
エルに貫通孔が設けられている場合を示す。
【図11】本発明のウエルユニットの一例であり、1つの
ウエルに複数のウエルが流路を介して連通しており、ウ
エルに貫通孔が設けられている場合を示す。
【図12】本発明のウエルユニットの一例であり、1つの
ウエルを中心にして、複数のウエルが流路を介して連通
している場合であって、全体として円形を構成している
場合を示す。図は貫通孔が設けられている例を示す。
【図13】本発明のウエルユニットの一例であり、1つの
ウエルを中心にして、複数のウエルが流路を介して連通
している場合であって、全体として円形を構成している
場合を示す。
【図14】1つのウエルを中心にして、複数のウエルが流
路を介して連通していると共に、それら複数のウエルの
内、2つづつが更に他の共通のウエルと流路を介して連
通している場合を示す。図は貫通孔が設けられている例
を示す。
【図15】流路に直交して壁が設けられたウエルユニット
の例を示す図である。
【図16】流路に直交して壁が設けられたウエルユニット
の他の例を示す図である。
【図17】流路の構造の一例を示す。
【図18】流路の構造の一例を示す。
【図19】流路の障壁の配列例。図において、矢印は相対
するウエルに向かう方向を示す。
【図20】図19の断面図を示す。
【図21】流路を挟んで相対するウエルに向かう方向の溝
が、これに直交する1本の溝で連通している場合を示
す。図中矢印は相対するウエルに向かう方向を示す。
【図22】流路を挟んで相対するウエルに向かう方向の溝
が、これに直交する2本の溝で連通している場合を示
す。図中矢印は相対するウエルに向かう方向を示す。
【図23】流路を挟んで相対するウエルに向かう方向の溝
が、これに直交する2本の溝で連通していると共に、相
対するウエルに向かう方向の溝の幅が直交する溝を横切
るごとに段階的に変化する場合を示す。図中矢印は相対
するウエルに向かう方向を示す。図は、障壁自体の幅が
変化する場合を示す。
【図24】図8の変形例で、障壁の大きさは同じである
が、その数が増減する場合を示す。図中矢印は相対する
ウエルに向かう方向を示す。
【図25】流路を挟んで相対するウエルに向かう方向の溝
が、これに直交する3本の溝で連通していると共に、相
対するウエルに向かう方向の溝が、これに直交する溝を
横切るごとに相互の位置関係を変えている場合を示す。
図では、2分の1ピッチ、直行する方向にシフトしている
場合を示す。図中矢印は相対するウエルに向かう方向を
示す。
【図26】障壁が相対するウエルに向かう方向に繋がって
いる場合を示す。図中矢印は相対するウエルに向かう方
向を示す。
【図27】土手に、障壁の列の両側にテラスを設け、一方
が他方より長い場合を示す。図中矢印は相対するウエル
に向かう方向を示す。
【図28】土手の中央にテラスを設け、テラスをはさんで
障壁の列を2箇所に形成した例を示す。
【図29】流路に直交して壁が設けられたウエルユニット
の流路において、壁までテラスが設けられている例を示
す。
【図30】流路に直交して壁が設けられたウエルユニット
の流路において、壁までテラスが設けられている他の例
を示す。
【図31】流路に直交して壁が一方のウエルにのみ設けら
れたウエルユニットの流路において、壁までテラスが設
けられている例を示す。
【図32】流路における土手が多段に形成されている場合
を示す。
【図33】多数ユニットの集積例であり、同一タイプのユ
ニットの集積例を示す。
【図34】多数ユニットの集積例であり、同一タイプのユ
ニットの集積例を示す。
【図35】多数ユニットの集積例であり、図15のウエルが
集積配置された例を示す。
【図36】多数ユニットの集積例であり、円形タイプの集
積例を示す。
【図37】多数ユニットの集積例であり、異なったタイプ
のユニットの集積例を示す。
【図38】流路及びウエルを作製する工程の一例を示す。
【図39】細胞走化性検出及び走化細胞分離装置の組立例
を示す図であり、(1)は部品毎の斜視図、(2)は対応する
断面図である。
【図40】土手に、細胞の移動を制限するための障害物を
設ける場合の例を示す。
【符号の説明】
1:流路 2:ウエル。添字のA、B、B1-n、Cはウエルの区別
を意味する(以下同じ)。 3:試料注入・採取用管。添字のaは管3に対応する貫
通孔。添字のbは管3の上端部。 4:試料の注入・採取時における昇圧・減圧を回避する
ための管。添字のaは管4に対応する貫通孔。添字のb
は管4の上端部。 5:流路を挟んで相対するウエルに向かう方向の溝 6:障壁 7:基板 8:ガラス基板 9:管を穿ったブロック 10:土手 11、11-1〜4:テラス 12:溝5に直交する溝 13:検出器 14:流路に直交して設けられた壁 15:管3、4の上端部により共有される空間 16:パッキング 17:カバーキャップ 18:0−リング 19:ガイドピン受孔 20:ガイドピン 21:中間支持体 22:底支持体 23:画面の位置決めのための印 24:障害物
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (31)優先権主張番号 特願2001−258526(P2001−258526) (32)優先日 平成13年8月28日(2001.8.28) (33)優先権主張国 日本(JP) (31)優先権主張番号 特願2001−313205(P2001−313205) (32)優先日 平成13年10月10日(2001.10.10) (33)優先権主張国 日本(JP) (72)発明者 菊池 裕子 北海道小樽市桂岡町14番30 Fターム(参考) 4B029 AA07 AA09 BB11 CC01 FA04 FA15 GA03 GB03 GB04 GB06

Claims (19)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 液体試料を静止した状態で収納できるウ
    エルの複数個が流路を介して互いに連通していること、
    流路には土手が設けられていること、ウエルはガラス基
    板と密着するように形成されていること、土手の上部に
    は細胞の径又はその変形能に合わせた幅及び/又は深さ
    の溝を1乃至複数本構成する障壁が設けられているか、
    又は平面が設けられており、該平面はガラス基板との間
    で細胞の径又はその変形能に合わせた深さを形成するべ
    く設けられていることを特徴とする細胞走化性検出及び
    細胞分離装置のためのウエルユニット。
  2. 【請求項2】 液体試料を静止した状態で収納できるウ
    エルの複数個が流路を介して互いに連通していること、
    流路には土手が設けられていること、土手の上部には細
    胞の径又はその変形能に合わせた幅及び/又は深さの溝
    を1乃至複数本構成する障壁が設けられていることを特
    徴とする請求項1記載のウエルユニット。
  3. 【請求項3】 複数のウエルが流路を介して直列に連通
    していることを特徴とする請求項1又は2記載のウエル
    ユニット。
  4. 【請求項4】 1つのウエルに複数のウエルが流路を介
    して連通していることを特徴とする請求項1又は2記載
    のウエルユニット。
  5. 【請求項5】 1つのウエルに流路を介して連通してい
    る複数のウエルの内、少なくとも2つのウエルが流路を
    介して更に他の共通のウエルと連通していることを特徴
    とする請求項4記載のウエルユニット。
  6. 【請求項6】 複数のウエルが、細胞浮遊液を収納する
    ウエル及び走化性因子を含有する溶液を収納するウエル
    であることを特徴とする請求項1又は2記載のウエルユ
    ニット。
  7. 【請求項7】 複数のウエルが、細胞浮遊液を収納する
    ウエル、走化性因子を含有する溶液を収納するウエル及
    び走化性因子阻害剤を含有する溶液を収納するウエルで
    あることを特徴とする請求項1又は2記載のウエルユニ
    ット。
  8. 【請求項8】 流路を介して互いに連通しているウエル
    の何れか一方又は双方において、流路の近傍における液
    体の量を制限するために、流路に直交して壁を設けるこ
    とを特徴とする請求項1又は2記載のウエルユニット。
  9. 【請求項9】 請求項8記載のウエルユニットにおい
    て、流路に直交して設けられている何れか一方又は双方
    の壁のまでテラスが形成されていることを特徴とするウ
    エルユニット。
  10. 【請求項10】 土手の上部の何れかの箇所に、細胞を検
    出する画面の位置決めを行うための印を設けることを特
    徴とする請求項1又は2記載のウエルユニット。
  11. 【請求項11】 流路において、土手が多段に形成されて
    いることを特徴とする請求項1又は2記載のウエルユニ
    ット。
  12. 【請求項12】 流路に設けられている溝が、相対するウ
    エルに向かう方向に直交する1乃至複数本の溝で互いに
    連通していることを特徴とする請求項1又は2記載のウ
    エルユニット。
  13. 【請求項13】 流路において、相対するウエルに向かう
    方向の複数本の溝の幅が、これに直交する1乃至複数の
    溝を横切る度に段階的に変化することを特徴とする請求
    項12記載のウエルユニット。
  14. 【請求項14】 流路において、相対するウエルに向かう
    方向の複数の溝が、これに直交する1乃至複数本の溝を
    横切る度に、相互の位置をシフトさせて形成されている
    ことを特徴とする請求項12記載のウエルユニット。
  15. 【請求項15】 流路において、細胞の径又はその変形能
    に合わせた幅及び/又は深さの溝を1乃至複数本構成す
    る障壁の一連の列の前後にテラスが設けられており、且
    つ、細胞の進行方向におけるテラスの長さが他方のテラ
    スの長さより長いことを特徴とする請求項1又は2記載
    のウエルユニット。
  16. 【請求項16】 流路において、中央にテラスを設け、細
    胞の径又はその変形能に合わせた幅及び/又は深さの溝
    を1乃至複数本構成する障壁の列が該テラスを挟んで2
    箇所に形成されており、所望により、障壁の列の外側に
    もテラスが設けられていることを特徴とする請求項1又
    は2記載のウエルユニット。
  17. 【請求項17】 土手の上部に、細胞をスタートラインに
    並べる際に細胞の移動を制限するための障害物を、相対
    するウエルに向かう方向に直交して設けることを特徴と
    する請求項1又は2記載のウエルユニット。
  18. 【請求項18】 土手の上部に、細胞をスタートラインに
    並べる際に細胞の移動を制限するための障害物を、障壁
    の列に並行して設けることを特徴とする請求項1又は2
    記載のウエルユニット。
  19. 【請求項19】 請求項1乃至18記載のウエルユニットの
    夫々を1ユニットとし、同一又は複数種のユニットを複
    数個集積してなることを特徴とする細胞走化性検出及び
    細胞分離装置のためのウエルユニット。
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