JP2003177167A - 磁気センサ - Google Patents

磁気センサ

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JP2003177167A
JP2003177167A JP2001376714A JP2001376714A JP2003177167A JP 2003177167 A JP2003177167 A JP 2003177167A JP 2001376714 A JP2001376714 A JP 2001376714A JP 2001376714 A JP2001376714 A JP 2001376714A JP 2003177167 A JP2003177167 A JP 2003177167A
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Osamu Shimoe
治 下江
Kenichi Arai
賢一 荒井
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Hitachi Metals Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 磁気インピーダンス効果を利用した磁気セン
サの高精度化を図る。 【解決手段】 磁気インピーダンス効果によって外部磁
界を検知する磁気センサにおいて、磁気センサ素子の端
子に生じる逆起電圧ベクトルと所要の基準電圧ベクトル
との差電圧ベクトルを検知して、外部磁場および/また
は極性を測定することを可能とした磁気センサであり、
3端子もしくはブリッジ回路に構成して更に精度を高め
る。特に、外部磁場の変化によって生じる前記逆起電圧
のベクトル軌跡を複素平面上に描き、前記基準電圧ベク
トルは複素平面の原点を始点とした場合、終点がベクト
ル軌跡上の曲率半径を有する円を所要位置に配したとき
の円内にあることを特徴とする磁気センサ。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、地磁気レベル以下
の低磁場の測定が可能な磁気センサに係り、特に10
−4〜10−10Tの外部磁場を高精度に測定できる磁
気インピーダンス効果を利用した磁気センサに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、磁性体に表皮効果を生じさせる程
度の高周波電流を通流することによって、外部磁場の大
きさをインピーダンスの変化として検出する磁気センサ
が知られている。例えば、特開平7−181239号公
報に記載される磁気センサは、磁性線に高周波電流を流
して生じる円周磁束の時間変化に対する逆起電圧が、外
部印加磁界に依存して変動することを利用した磁気イン
ピーダンス効果によるセンサである。また、特開200
1−27664号公報には磁性膜を短冊状に形成してな
る2個の磁気センサ素子を3端子ブリッジ回路に接続
し、それぞれの磁気センサ素子に逆方向のバアイアス磁
界を与えながら、3端子ブリッジ回路の中点電位の変化
を検出する方法が記載されている。図12(a)および
(b)はその磁気センサの上面図と断面図である。この
センサの動作を簡単に説明する。
【0003】図12(a)において、磁気センサ90は
基板91上に形成された磁気検出コア92,93と、絶
縁されたスパイラルコイル99からなる。磁気検出コア
92,93は短冊状の磁性膜で構成され、隣接する端部
が出力電極96によって接続された3端子ブリッジ回路
である。バイアス電極97および98間にバイアス電圧
を印加すると、図12(b)に示すように磁気検出コア
92および93は互いに逆方向の直流磁界Hbiasでバイ
アスされる。駆動電圧印加電極94と接地電極95間に
高周波電圧源を印加すると、磁気検出コアの長手方向と
一致する外部磁場Hextの成分に応じた電圧が、磁気検
出コア92および93の各端子間に生じる。各磁気検出
コアの端子間のHextによる電圧変動分は逆位相の関係
にあるため、出力電極96から得られる電圧は単独の場
合の2倍になり、検出感度を高めている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】さて、従来の磁気セン
サは低磁場の測定に関して感度が十分でなかった。最
近、急速にニーズが増加している生体における磁場検出
では、10−8Tオーダ以上の高分解能が要求されるよ
うになっている。前述した特開2001−27664号
公報では、1mV当り約10−6Tの出力が得られる旨
の記載があるが、この程度のセンサ感度では要求される
性能を満足できない。
【0005】一方、磁気センサの高感度化として、「1
−10T台の磁界検出分解能力を持つ高周波キャリア
型薄膜磁界センサ」(電気学会マグネテック研究会資料
MAG−00−133 1−6P)等の論文発表があ
る。この文献では、磁性膜を多層化すると同時に、セン
サ素子の一軸異方性を維持しながらセンサ素子幅を狭小
化する方法が記載されている。また、上記した文献のい
ずれもが磁気センサ素子のインピーダンス変化を電圧変
動に変換する方法である。しかしながら、外部磁場に対
するインピーダンス変化を電圧変動として捉える上述の
センサ検出方法は、センサ自体の熱雑音、アンプのゲイ
ン対周波数特性等によって分解能が制限され、10−8
Tオーダを超える分解能を得ることは困難であった。
【0006】一方、センサ出力電圧の振幅変化を検出量
としない例として、特開平8−320362号公報に開
示される方法は、単一のセンサ素子を用いてそのインピ
ーダンス変動を位相変化として捉えるものである。この
磁気センサ素子は、基板上に形成された導電体層とこの
導電体層の周囲に設けられた磁性体層からなる積層型構
造である。センサ素子の通電電流方向と直交する方向に
磁化容易軸が設定され、さらにセンサ素子の低抵抗化に
より従来素子より2桁低い駆動周波数範囲でも、外部磁
場による磁気センサ素子のインピーダンス変化を位相変
動として検知できる旨が記載されている。駆動電圧の周
波数は0.1〜10MHzに低減され、駆動周波数が低下
した分だけ製造上の許容度が増すことが考えられる。
【0007】また、この磁気センサ素子感度はアンプな
しで27mV/10−4Tであることが記載されてお
り、10−5T程度に相当する感度である。この感度は
上記の出力電圧の増幅方法とほぼ同程度であり、この方
法でも目標とする感度が得られていない。加えて、同公
報の図18および図21等を参照すると、被検出磁界が
10−3T(10Oe)以下の低磁場領域では、位相お
よびインダクタンスが磁界に対して変化しない不感帯を
示すデータが記載されており、明らかに10−8T以下
の測定には不適な方法である。
【0008】
【課題を解決するための手段】磁気センサの高感度化の
実現するためには、(1)センサ素子自体の高感度化を
実現してセンサ出力を増大させる方法と、(2)センサ
素子からの微弱な出力を検出回路側の信号処理あるいは
分解能で向上させる方法があるが、本発明は後者に属す
る考えである。また、磁気センサ素子の構成に関係なく
一般的な磁気センサにも応用でき、高感度で優れた特性
を有するものである。
【0009】従来の磁気センサによる外部磁場測定で
は、インピーダンス変化を単一の磁気センサ素子あるい
は3端子ブリッジ回路の出力電圧の変化分ΔVとして検
知し、外部磁場と対応させている。即ち、今まで用いら
れてきた磁気センサではセンサ出力の電圧振幅値を検知
量とする方法である。センサの特性上、ΔVは一般的に
は微小であるために相当のアンプ処理が必要であると共
に、磁気インピーダンス効果を利用する磁気センサは1
00MHz程度以上の高周波信号で動作するため、安定な
動作を得るには高価なアンプの使用と高度な設計技術が
必要不可欠であった。このため、従来の方法を使う外部
磁場測定では、動作域あるいは感度が原理的に制限さ
れ、この限界値を打破することは困難であるとされてき
た。しかしながら、本発明は従来の制限要件が基本的に
全く入らない方法である。以下、本発明の解決手段つい
て詳しく述べる。なお、図面あるいは説明には磁性膜を
用いた磁気センサの例を示すが、軟磁性体の磁性線によ
る場合でも何ら変更することなく本発明の実施ができ、
同一の効果が得られる。
【0010】図1に本発明の原理を示す。この図は磁気
センサ素子の逆起電圧eのベクトル軌跡を複素平面上に
描いたもので、パラメータは外部磁場Hの大きさであ
る。図2(a)に示すように抵抗50Ωと磁気センサ素
子21の直列回路に高周波電源23を接続し、外部磁場
Hを磁気センサ素子21の長手方向に印加しながら、磁
気センサ素子21に生じる逆起電圧Eのベクトルを測定
したもので、逆電圧ベクトルの始点を原点に選び、ベク
トルの終点の軌跡を示す。
【0011】磁気センサ21は抵抗RとリアクタンスX
が直列に接続された等価回路として扱うことができ、外
部磁場Hに対して図2(b)および(c)のように変化
する。図では100と500MHzの場合を示す。高周波
電源23の周波数が高くなる程、RおよびXのHに対す
る変化は大きく、センサのS/Nから考えると高い周波
数の方が好都合であるが、GHzに近い周波数であるため
漂遊容量等の影響が大きく、また高周波の信号処理回路
の構成が難しくなる等で、実用的には100MHzが適当
と考え、これ以降は100MHzの場合を中心に説明を進
める。
【0012】発明の原理に言及する前に、磁気センサが
具備する最低条件についてまず触れることにする。磁気
センサ素子に流れる高周波電流は100MHzであるため
インピーダンス整合を考慮して、磁気センサ素子は特性
インピーダンスである50Ω付近に選ぶ必要がある。従
って、磁気センサ素子の構造あるいは大きさ等はこの規
定を満足するように、製造調整するとよい。図2(a)
ではこの条件を満たすために、直列抵抗を50Ωに選択
している。因みに、磁気センサ21はCo−Nd−Zr
のスパッタ膜を使用し、長さ3mm、幅50μm、厚さ
3μmに加工したものである。磁性膜の材質としてはパ
ーマロイ等の強磁性膜が好適であるが、表皮効果が得ら
れる強磁性体であるならば本発明の実施には支障をきた
さない。
【0013】図1にはベクトル軌跡A−B−C、逆起電
圧ベクトルEおよび基準電圧ベクトルEのそれぞれの
位置関係を模式的に示す。まず、ベクトル軌跡A−B−
Cは外部磁場Hを0〜∞に変化させた場合に得られる図
形であり、曲線上にプロットした点はそれぞれ外部磁場
H=0,1.5x10−4T(1.5Oe),3x10
−4T(3Oe),4.5x10−4T(4.5O
e),6x10−4T(6Oe),15x10−4
(15Oe)および∞に対する逆起電圧ベクトルEの終
点位置である。なお、バイアス磁界は3x10−4Tで
ある。図示するようにベクトル軌跡A−B−CはH=0
とH=∞がほぼ一致した閉曲線を形成し、且つ扁平な楕
円状となる。図2(b)および(c)に示すRとXのH
に対する変化状況を参照すれば明らかなように、Rおよ
びXはHに対して同じ傾向で変わり、ピーク値を一箇所
有することおよびH=∞で飽和し初期値にほぼ戻ること
を考え合わせると、扁平な楕円状になることは理解され
る。また、外部磁場Hを逆転させてもRおよびXが軸対
称性を有するため、ベクトル軌跡は図1と同一の結果が
得られる。
【0014】なお、軌跡曲線上のB点はRおよびXのピ
ーク値付近に対応する。この時のHは磁性膜の異方性磁
界Hで示される物性定数であり、使用材料によって自
ずと決まる値で、図1のB点のHは6x10−4Tであ
る。本発明はAからB点に至る低磁場領域を対象に説明
するが、原理的には高磁場領域でも可能であり、Bから
C点の任意の点あるいは範囲を動作域とすることができ
る。しかし、AからCを動作域とする場合は2値問題を
解決する必要がある。
【0015】さて、本発明で重要な点の一つは基準電圧
ベクトルEの決め方である。図1では、A点とB点を
結ぶ線分の中点Mを求めた後、原点OからM点に向かっ
て引いた直線が基準電圧ベクトルEである。外部磁場
によって変化する量は、図示するようにEからEをベ
クトル的に引算した差電圧ベクトルΔEである。例え
ば、H=0からH=6x10−4TまでHが変化した場
合、ΔEは180度近く変化して向きが反転する程にな
る。6x10−4Tの変化で位相が180度近く変わ
る。しかし、特開平8−320362号公報に記載のあ
る方法では、図1に示す逆起電圧Eの偏角φを検知する
ため、図面上では精々20〜30度程度の位相変化しか
得られない。
【0016】以上の記述から理解されるように、本発明
のポイントは基準電圧ベクトルEのとり方である。図
1ではM点を外部磁場の最小と最大値の中間点か、もし
くは中間点を通過する垂線上に設ける例を示したが、磁
気センサ素子の逆電圧ベクトル軌跡の形状を考慮して決
めることにすれば、測定範囲あるいは精度等を改善でき
るばかりか、特異な用途に本発明の磁気センサを適用す
る道が拓かれる。基準電圧ベクトルEの典型的なとり
方のいくつかを図3に示す。
【0017】まず、基準電圧ベクトルE01の場合は外
部磁場Hの零付近の比較的狭い範囲をカバーする方法
で、M点はH=0に接近してかつ正面に配置した。ベ
クトル軌跡上において、曲率半径を算定してMを決め
る方法などが考えられる。次にE02はH付近を対象
にした場合である。これまでの例は軌跡曲線の内側から
の設定を考えたものであるが、本発明では図示のように
軌跡曲線の外側にのM点を置いても、前出の例と同様
に発明の効果を奏することができる。さらに、E 03
はベクトルの終点Mを軌跡曲線上に設けた場合であ
る。このようにE を決めると、動作原理から容易に
理解されるように差電圧ベクトルΔEは、M 以下に対
応する外部磁場(ここでは1.5x10−4T)には外
部磁場の減少する方向に向いているが、Mを超えると
外部磁場の増加方向に向き、これはΔEの反転を意味す
る。即ち、閾値を設定した磁気スイッチ、リレーあるい
は外部磁場の極性判定等に応用できる。
【0018】ここで強調しておきたいことは、基準電圧
ベクトルの位相が出力に対して反転させる働きを持つだ
けであり、本質的な問題ではないことである。例えば、
測定したい外部磁界が大きい場合に、正の大きい電圧の
出力とするか、あるいは磁界が低い時に負にするかの問
題である。また、アナログ出力の場合でも同様で、測定
磁界の大きさで出力電圧の極性もしくは零の選択が可能
である。また、磁気センサ素子に使用する軟磁性体は磁
気インピーダンス効果が得られればよく、その効果の大
小には関係ないことは本願の測定原理から明らかであ
る。加えて、磁気センサ素子の検知部の形態として薄膜
もしくは線状が可能であるが、好ましくは薄膜方式の方
が小型化あるいは製造上のメリットを生かせる。
【0019】(作用)本発明によれば、磁気インピーダ
ンスの外部磁界変化に対する変化分のみを拡大して検出
することができるため、高感度のセンサとして利用でき
るばかりか、微少の磁界変化を捉えてオン−オフ動作を
するリレーとして適用が可能である。さらに、磁性薄膜
等を使用することによってセンサの集積化が可能であ
る。この他に本発明は、地表での磁気の分布から地中の
金属埋設物の位置を特定し、磁性体(鉄あるいは鉄合
金)の混入あるいは移動を検知追跡することや、人体に
固定した複数個の永久磁石片等による磁界の変動から人
あるいは筋肉の動きを知る方法等に応用することが考え
られる。
【0020】本発明の磁気センサは、軟磁性体からなる
磁性膜もしくは磁性線と、バイアスコイルとを備えた磁
気センサ素子を有し、前記磁気センサ素子に表皮効果を
生じる程度の高周波電流を通じて外部磁場を検出する磁
気センサにおいて、前記磁気センサ素子端子間に生じる
逆起電圧ベクトルと所要の基準電圧ベクトルとの差電圧
ベクトルを検知して、外部磁場および/または極性を測
定することを特徴とする。この磁気センサにおいて、外
部磁場の変化によって生じる前記逆起電圧のベクトル軌
跡を複素平面上に描き、前記基準電圧ベクトルは複素平
面の原点を始点とした場合、終点がベクトル軌跡上の曲
率半径を有する円を所要位置に配したときの円内にある
ことを特徴とする。さらに、前記基準電圧ベクトルの終
点は、前記ベクトル軌跡の一部もしくは全てを包含する
円内にあることを特徴とする。
【0021】本発明の他の磁気センサは、軟磁性体から
なる磁性膜もしくは磁性線と、バイアスコイルとを備え
た磁気センサ素子を有し、前記磁気センサ素子に表皮効
果を生じる程度の高周波電流を通じて外部磁場を検出す
る磁気センサにおいて、前記磁気センサ素子端子間に生
じる逆起電圧ベクトルと所要の基準電圧ベクトルとの差
電圧ベクトルを検知して、外部磁場および/または極性
を測定するものであり、前記基準電圧ベクトルの終点が
前記逆起電圧のベクトル軌跡上に設定されることを特徴
とする。
【0022】上記本発明に係るいずれかの構成におい
て、前記磁気センサ素子は3端子もしくはブリッジ回路
の少なくとも一辺として接続され、出力電圧と前記基準
電圧を入力とする位相検出手段を備えることを特徴とす
る。出力電圧は、磁気センサ素子を有する3端子の出力
電圧、もしくは磁気センサ素子を含むブリッジ回路の出
力電圧とすることができる。
【0023】本発明の他の磁気センサは、軟磁性体から
なる磁性膜もしくは磁性線と、バイアスコイルとを備え
る磁気センサ素子を有し、前記磁気センサ素子に表皮効
果を生じる程度の電流を供給する高周波電源と、前記磁
気センサ素子の出力の処理回路を有する磁気センサにお
いて、前記磁気センサ素子を単独または3端子もしくは
ブリッジの少なくとも一辺として接続し、センサ出力電
圧ベクトルと基準電圧ベクトルとの差電圧ベクトルを検
知して、10−4〜10−10Tの外部磁場を測定する
ことを特徴とする。さらに、前記外部磁場は0から50
kHz程度までの周波数成分を含むことが望ましい。
【0024】本発明の他の磁気センサは、磁気センサ素
子を用いて外部磁場を検出する磁気センサにおいて、前
記磁気センサ素子端子間に生じる逆起電圧ベクトルと所
要の基準電圧ベクトルとの位相差を検知して、外部磁場
および/または極性を測定することを特徴とする。さら
に、前記磁気センサ素子は3端子もしくはブリッジ回路
の少なくとも一辺として接続され、前記3端子もしくは
ブリッジ回路の出力電圧と前記基準電圧を入力とする位
相検出手段を備えることが望ましい。
【0025】
【発明の実施の形態】以上述べた本発明の原理に基づい
た実施例を詳細に説明するが、これら実施例により本発
明が限定されるものではない。これ以降、参照図中の番
号は同一機能を有する部品等で、同じ番号を使用する。
図4は本発明による磁気センサの基本構成を示す回路図
である。図示するように磁気センサは外部磁界を検知す
る検知部20と基準電圧発生回路40からなり、それぞ
れの出力は位相比較回路47に入力される。さらに、位
相比較回路47の出力は必要に応じてアナログ出力もし
くはデジタル出力に変換する処理回路49に入力され
る。
【0026】図4に示す実施例の特徴的な点を述べる
と、(1)検知部20の出力は差動電圧であること。
(2)基準電圧発生回路40は減衰器43および移相器
45を備え、高周波電源23’は同期回路41によって
完全に検知側の高周波電源23に同期していること。
(3)処理回路45の出力はアナログだけでなく、A/
D変換器を用いないデジタル出力でも得られること等で
ある。
【0027】本発明では、基準電圧ベクトルとセンサの
逆起電圧ベクトルとの位相差を検出するため、従来必要
であった整流回路(検波回路)による小信号領域での非
線形部分を無くすことができ、補正回路の挿入など回路
的な考慮が不要となり、回路の簡略化と共に高感度で磁
界を検知できる。特に、高周波電圧を直接整流する従来
方式では、キャリア周波数の基本波成分の脈動電圧が大
きく、また微小信号同士の処理のため高いS/Nを得る
ことは非常に難しかった。しかし、本発明はセンサ出力
を回路処理できる程度に増幅すればよく、振幅値による
精度の低下は原理的に発生しない。したがって、小信号
で雑音の混入し易い部分がないことから、安定な測定が
可能となる。通常、高周波で直線性よく増幅するには、
高度の電子回路技術を必要とするが、本発明における高
周波増幅は位相に着目しているため、回路および素子の
線形性に特段の注意を払うことなく容易に実施できる。
また、増幅された信号は大振幅となるため、雑音の混入
が少ない。
【0028】次に、本発明における被測定磁界の検出分
解能について説明する。検出限界を決める因子は、磁気
センサ素子を構成している磁性膜の熱雑音、増幅器の熱
雑音、バイアスコイルの直流電源から伝播してくる雑音
電流および高周波発振器の雑音等である。しかし、検出
信号に関しては高周波域での差動出力をとるため、上記
の雑音の影響は充分小さくできる。また、バイアスコイ
ル電源の雑音は注意深く設定したローパスフィルタ等の
使用によって、交流成分を充分減衰させた直流電流が得
られるため、無視できる程度に小さくすることができ
る。また、高周波発振器による雑音分は、検知部20で
差動演算されるため誤差の大部分が相殺され、その影響
は極小化される。
【0029】一方、増幅器の発生する雑音は近年の通信
機用半導体や衛星放送の目覚しい進展により、安価で高
性能の集積回路を利用できるため全く問題なく低雑音化
が可能である。磁気センサ素子の抵抗としての熱雑音で
制限される10−10T/Hz1/2が、測定限界であ
る。この値は1Hz当り10−10Tの分解能を意味し、
周波数帯域が広くなるに伴って分解能は低下する。さら
に、図4に示すように磁界成分を電圧振幅でなく位相変
化を検出信号としているため、アナログ信号電圧に変換
できることは当然であるが、時間軸に乗った信号出力と
して直接デジタル信号を得ることも可能である。
【0030】一例として、デジタル信号の発生方法を説
明する。基準電圧と磁気センサ素子からの検出電圧を増
幅して波形整形回路に入力し、矩形波に整形した後、排
他論理和をとる。この排他論理和の出力は、両入力の位
相差に比例したパルス幅を持つパルス列が得られる。ク
ロックパルスをこのパルス列でゲート制御することによ
って、パルス幅即ち位相差に比例したクロックパルス数
が得られる。このパルス数をカウンタで計数することに
よってアナログ電圧を直接デジタル値に変換することが
できる。センサに加える周波数より高い周波数のパルス
を計数することは一般的でないため、通常高周波信号電
圧と比較信号の両者を別置の共通の局部発振器出力を用
いた。周波数変換器を使用して、低い周波数に変換して
精度を高める方法が用いられる。上記した波形例を図1
1(a)に示す。同図(b)にアナログ電圧を得る方法
の一例を示した。基準電圧および検知電圧を波形整形し
た後、排他論理和をとる。この波形を平滑することによ
って、位相差0度で0V、位相差180度で電源電圧
(5V)が得られる。
【0031】図5は第2の実施例における磁気センサの
構成平面図と付属部品との接続を示す概念図である。磁
気センサ素子21−1および21−2は図に示すように
3端子ブリッジ結合され、トランス19の二次コイルに
接続される。トランス19の二次コイルは中点が接地さ
れているため、180度位相が異なる高周波電流が流れ
ることになる。また、磁気センサ素子21−1および2
1−2は絶縁シート15−1および15−2を介してバ
イアスコイル13上に配置されるため、磁気センサの長
手方向にバイアス磁界が印加される。この実施例では、
基準電圧は磁気センサ素子21−2に印加される電圧と
同相の電圧である。
【0032】また、図6(a)に示す第3の実施例は基
準電圧ベクトルの発生を簡易な方法で実現する場合であ
る。ブリッジ構成にした左側の直列回路には磁気センサ
素子21を挿入して中点から出力を得ると共に、右側辺
は抵抗とコンデンサの直列回路が接続され、抵抗とコン
デンサを適宜選ぶことによって所望の移相と大きさの基
準電圧が得られる。
【0033】従来方式の電圧振幅の差動出力でも外部磁
界と電圧出力の関係が、図6(b)に示すようなV字型
特性を示す。原点に近い低磁界を検知する場合、検出電
圧が微少であるため誤差が混入し易く、精度の良い測定
することは相当難しい。これに対して、本発明は位相変
化に着目しているため検出電圧の振幅の大きさに関係な
く、一定した精度の検出が可能である。図6(c)は外
部磁界と位相差の関係である。このデータは3x10
−4Tのバイアス磁界を印加し、図6(a)の回路を使
用して測定したもので、回路定数を図6(d)にまとめ
て示す。図中の〜の特性曲線を見れば、外部磁場の
僅かな変動で位相が180度近く変わることがわかる。
〜の特性曲線はゲインを変更した場合である。これ
は図6(a)の中点電位を調整することと等価であり、
図1のM点を移動することになる。従って、M点をP点
(H=3Oe(3x10−4T))により近くに設定す
ることによって、より大きな感度が得られることは自明
である。なお、曲線は図6(b)の原点に近い点を折
り返す場合で、原点を通過する場合は無限大のゲイン、
即ちスイッチング動作が得られる。
【0034】図7〜10に実用的な回路を示す。まず、
図7の実施例は基板、短冊状の磁性膜に電極を設けた図
5に示す磁気センサ素子21−1および21−2を3端
子ブリッジ回路に接続して外部磁場を測定する磁気セン
サの構成である。磁気センサ素子21−1,21−2に
それぞれ逆位相の高周波電圧を印加して、3端子ブリッ
ジ回路の中点電圧の位相を検出する方法である。所謂、
トランス付きのブリッジ構成としたものであるが、逆位
相の高周波電圧が得られれば、上記のようなトランス構
成を必ずしも用いる必要はない。
【0035】この実施例では、2個の磁気センサ素子2
1−1,21−2は長手方向と一致する外部磁場Hに比
例した電圧が、3端子ブリッジ回路の中点から得られ
る。磁気センサの印加電圧が同相の場合、外部磁場の強
さと共に上部辺と下部辺の磁気センサのインピーダンス
が、同時に変化するため中点電位は変動せず、その結果
外部磁場に見合った電圧変化が得られない。また、二つ
の磁気センサ素子21−1および21−2の差動出力が
得られることによって、単位磁束密度変化当りの出力を
2倍にすることができると共に、高周波発振器に含まれ
る雑音が逆相で加えられるため、相殺されてS/N比が
向上して分解能が改善される。したがって、2点間の磁
界の差を測定する場合など、測定する箇所にセンサを設
置すれば、それぞれの磁気センサ出力の差動電圧が得ら
れ、容易に外部磁界の磁界差や変化量を知ることができ
る。
【0036】図8は2つの抵抗と磁気センサ素子を用い
たブリッジであり、1入力のアンプに入力するためにト
ランスを使用する方法である。この構成は汎用ICが利
用できることから、構成回路の低コスト化が可能であ
る。
【0037】図9は2入力端子を持つ差動アンプを用い
る場合の回路構成で、図7および8で用いたトランスを
省略することができ、高価なトランスを使用しない分コ
ストを低減できる。
【0038】図10は1個の磁気センサ素子21を用い
た場合の例で、磁気センサ素子21とその負荷抵抗の関
係、即ちリアクタす成分を持つ磁気センサ素子と純抵抗
成分の負荷との関係によって生じる位相変化を、純抵抗
とコンデンサの並列回路に直列の純抵抗間の電圧として
検出する方法であり、差動アンプに入力する。
【0039】
【発明の効果】本発明の構成によって、センサ素子から
の微弱な出力を向上させ、高感度な磁気センサが得られ
る。同時に、測定範囲が大幅に拡大できるため、様々な
用途にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を説明するための原理図である。
【図2】磁気センサの外部磁場に対する特性図である。
【図3】基準電圧ベクトルの設定例である。
【図4】本発明の基本概念図である。
【図5】本発明の第1の実施例を示す磁気センサ素子の
平面図である。
【図6】本発明の第2の実施例を示す回路図と特性であ
る。
【図7】本発明の第3の実施例を示す回路構成図であ
る。
【図8】本発明の第4の実施例を示す回路構成図であ
る。
【図9】本発明の第5の実施例を示す回路構成図であ
る。
【図10】本発明の第6の実施例を示す回路構成図であ
る。
【図11】各部の電圧波形例である。
【図12】従来の磁気センサの構成図である。
【符号の説明】
11:基板、13:バイアスコイル、14:電極、1
5:絶縁シート、16:中点電極、17:アンプ、1
9:トランス、20:検知部、21:磁気センサ素子、
23:高周波電源、25:アンプ、40:基準電圧発生
回路、41:同調回路、43:位相比較回路、45:処
理回路、47:減衰器、49:移相器、90:磁気セン
サ、91:基板、 92,93:磁気検出コア、94:
駆動電圧印加電極、95:接地電極、96:出力電極、
97,98:バイアス電極、 99:スパイラルコイ
ル。

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 軟磁性体からなる磁性膜もしくは磁性線
    と、バイアスコイルとを備えた磁気センサ素子を有し、 前記磁気センサ素子に表皮効果を生じる程度の高周波電
    流を通じて外部磁場を検出する磁気センサにおいて、 前記磁気センサ素子端子間に生じる逆起電圧ベクトルと
    所要の基準電圧ベクトルとの差電圧ベクトルを検知し
    て、外部磁場および/または極性を測定することを特徴
    とする磁気センサ。
  2. 【請求項2】 請求項1において、外部磁場の変化によ
    って生じる前記逆起電圧のベクトル軌跡を複素平面上に
    描き、前記基準電圧ベクトルは複素平面の原点を始点と
    した場合、終点がベクトル軌跡上の曲率半径を有する円
    を所要位置に配したときの円内にあることを特徴とする
    磁気センサ。
  3. 【請求項3】 請求項2において、前記基準電圧ベクト
    ルの終点は、前記ベクトル軌跡の一部もしくは全てを包
    含する円内にあることを特徴とする磁気センサ。
  4. 【請求項4】 請求項1において、前記基準電圧ベクト
    ルの終点が前記逆起電圧のベクトル軌跡上に設定される
    ことを特徴とする磁気センサ。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれかにおいて、前記
    磁気センサ素子は3端子もしくはブリッジ回路の少なく
    とも一辺として接続され、出力電圧と前記基準電圧を入
    力とする位相検出手段を備えることを特徴とする磁気セ
    ンサ。
  6. 【請求項6】 軟磁性体からなる磁性膜もしくは磁性線
    と、バイアスコイルとを備える磁気センサ素子を有し、 前記磁気センサ素子に表皮効果を生じる程度の電流を供
    給する高周波電源と、前記磁気センサ素子の出力の処理
    回路を有する磁気センサにおいて、 前記磁気センサ素子を単独または3端子もしくはブリッ
    ジの少なくとも一辺として接続し、センサ出力電圧ベク
    トルと基準電圧ベクトルとの差電圧ベクトルを検知し
    て、10−4〜10−10Tの外部磁場を測定すること
    を特徴とする磁気センサ。
  7. 【請求項7】 請求項6において、前記外部磁場は0か
    ら50kHz程度までの周波数成分を含むことを特徴と
    する磁気センサ。
  8. 【請求項8】 磁気センサ素子を用いて外部磁場を検出
    する磁気センサにおいて、 前記磁気センサ素子端子間に生じる逆起電圧ベクトルと
    所要の基準電圧ベクトルとの位相差を検知して、外部磁
    場および/または極性を測定することを特徴とする磁気
    センサ。
  9. 【請求項9】 請求項8において、前記磁気センサ素子
    は3端子もしくはブリッジ回路の少なくとも一辺として
    接続され、前記3端子もしくはブリッジ回路の出力電圧
    と前記基準電圧を入力とする位相検出手段を備えること
    を特徴とする磁気センサ。
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