JP2003172947A - 液晶表示装置および液晶表示装置の駆動方法 - Google Patents

液晶表示装置および液晶表示装置の駆動方法

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JP2003172947A
JP2003172947A JP2001401597A JP2001401597A JP2003172947A JP 2003172947 A JP2003172947 A JP 2003172947A JP 2001401597 A JP2001401597 A JP 2001401597A JP 2001401597 A JP2001401597 A JP 2001401597A JP 2003172947 A JP2003172947 A JP 2003172947A
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potential
crystal cell
voltage
electrode
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JP2001401597A
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Satoshi Nakazawa
聡 中澤
Makoto Nagai
真 永井
Noriko Suehiro
紀子 末廣
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AGC Inc
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Asahi Glass Co Ltd
Kyocera Display Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 積層された液晶セルのメモリ性液晶に対し
て、一つの電源回路で共通の電圧を印加する。 【解決手段】 セルギャップがそれぞれ異なる液晶セル
11〜11を作成する。各液晶セルのセルギャップ
dは、各層のメモリ性液晶の選択反射波長をλ、平均屈
折率をnとし、各液晶セルのnd/λの最大値をA、各
液晶セルのnd/λの最小値をBとしたときに、(A−
B)/((A+B)/2)≦0.15を満足するように
定める。積層した液晶セル11〜11の各電極は、
それぞれドライバ12〜12を接続され、各ドライ
バ12〜12は共通の電源回路13に接続される。
また、背面には光吸収体14を設ける。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、液晶表示装置およ
び液晶表示装置の駆動方法に関し、特に複数の液晶セル
が積層された液晶表示装置およびその駆動方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】現在、TN、STN、TFT液晶を備え
た液晶表示装置が広く使用されている。これらの液晶表
示装置は、所定の駆動を常時行って表示を行う。これに
対し、メモリ性の動作モードを有するコレステリックま
たはカイラルネマチック液晶等のメモリ性液晶が注目さ
れ、それを備えた液晶表示装置の実用化が検討されてい
る。
【0003】一対の平行基板間に挟持されたメモリ性液
晶は、その液晶ディレクタが一定周期でねじれた「ねじ
れ構造」を有する。そのねじれの中心軸(以下、ヘリカ
ル軸という。)が基板に対して平均的に垂直方向になる
配列が存在する。
【0004】複数の液晶ドメインの各ヘリカル軸の平均
的な方向が基板面に対してほぼ垂直となる状態をプレナ
ー状態という。プレナー状態では、入射光のうちの、液
晶層のねじれの向きに対応した円偏光を選択反射する。
選択反射波長λは、液晶組成物の平均屈折率nと液晶組
成物のピッチpの積にほぼ等しい(λ=n・p)。従っ
て、ピッチpは、p=λ/nとなる。
【0005】ピッチpは、カイラル剤等の光学活性物質
の添加量cと光学活性物質の定数HTP(Helica
l Twisting Power)から、p=1/
(c・HTP)によって決まる。したがって、選択反射
波長は、光学活性物質の種類と添加量によって調整でき
る。メモリ性液晶の選択反射波長を可視域外となるよう
にピッチを設定すれば、選択反射時に目視では透明にな
り透過散乱の動作モードを呈する。
【0006】選択反射を呈するプレナー状態に対して、
複数の液晶ドメインのヘリカル軸が基板面に対してラン
ダム方向または非垂直方向に配列したフォーカルコニッ
ク状態をとることもできる。一般的に、フォーカルコニ
ック状態の液晶層は全体として弱い散乱状態を示す。選
択反射時のように特定の波長の光を反射することはな
い。また、フォーカルコニック状態およびプレナー状態
は、無電界時でも安定に存在する。図17(a)はプレ
ナー状態、図17(b)はフォーカルコニック状態の模
式図であり、鼓型で示す液晶ドメインの配列状態を示
す。
【0007】図17(b)のフォーカルコニック状態の
ときに、液晶セルの裏面側に吸収層を設けることよって
吸収層の色の表示が得られる。したがって、明状態であ
るプレナー状態と、暗状態(吸収層が黒の場合)である
フォーカルコニック状態の2状態を利用したメモリ型の
表示動作を実現できる。
【0008】このようなカイラルネマチック液晶または
コレステリック液晶を備えた液晶表示装置の基本構成に
ついては、George H.Heilmeier, Joel E.Goldmacher et
al,Appl. Phys. Lett., 13(1968),132やUS3936
815に示されている。また、US4097127は、
プレナー状態とフォーカルコニック状態が混在した安定
的な中間状態が存在し、表示に利用できることを示して
いる。
【0009】次に、液晶表示装置の駆動法について説明
をする。US3936815では、駆動電圧の振幅の大
きさによって、プレナー状態をフォーカルコニック状態
に、またフォーカルコニック状態をプレナー状態にそれ
ぞれ変化させている。後者の相転移の場合には、液晶分
子が電圧印加方向にほぼ平行になるホメオトロピック状
態を経由するので、最も高い電圧が必要とされる。
【0010】メモリ性液晶では、一連の印加電圧波形の
実効値が電圧消去後の状態を直接決定するのではなく、
電圧消去後の表示は、直前に印加された電圧パルスの印
加時間および振幅値に依存する。
【0011】メモリ性液晶が備えられた液晶表示装置を
駆動する場合、液晶層の両側に位置する電極の電位を所
定値に設定して、フォーカルコニック状態に移行させる
電圧またはプレナー状態に移行させる電圧をメモリ性液
晶に印加する。ホメオトロピック状態を経由してプレナ
ー状態に移行させるための電圧をVthとする。
【0012】1層の液晶セルを有する液晶表示装置で
は、メモリ性液晶の二つの状態(プレナー状態およびフ
ォーカルコニック状態)によって2色の表示を行うこと
ができる。そして、選択反射波長が異なる複数の液晶セ
ルを積層することで、表示する色の種類を増やすことが
できる。従来は、セルギャップが等しい複数の液晶セル
を積層して、多くの種類の色を表示できるようにしてい
た。
【0013】図18は、積層された複数の液晶セルの駆
動法として、IAPT(Improved Alto Pleshko Techni
que )を採用した場合の駆動波形の例を示す。ここで
は、二つの液晶セルが積層されている場合を例に説明す
る。図18(a),(b)は、それぞれ、一方の液晶セ
ルの行電極、列電極の駆動波形の例である。図18
(c),(d)は、それぞれ、他方の液晶セルの行電
極、列電極の駆動波形の例である。なお、各電圧V
は、V−V=V−V=V−V=V
となるように定める。また、V−Vは、メモリ
性液晶をプレナー状態(オン表示)にするための電圧で
あり、V−V、V−Vは、フォーカルコニック
状態(オフ表示)にするための電圧である。他方の液晶
セルに印加する電圧V’〜V’も同様に定める。
【0014】一方の液晶セルでは、選択した行電極の電
位を二種類の電位V,Vに交互に設定する。また、
選択していない行電極の電位も二種類の電位V,V
に交互に設定する(図18(a)参照)。そして、他の
液晶セルにおいても同様に、選択した行電極の電位を二
種類の電位V’,V’に交互に設定し、選択してい
ない行電極の電位も二種類の電位V’,V’に交互
に設定する(図18(c)参照)。そして、一方の液晶
セルで、選択した行電極の電位を高い方の電位Vに設
定するときには、他方の液晶セルにおいて選択した行電
極の電位も高い方の電位V’に設定する。一方の液晶
セルで、選択した行電極の電位を低い方の電位Vに設
定するときには、他方においても、低い方の電位V
に設定する。同様に、選択していない行に関しても、一
方で低い方の電位Vを設定するときには、他方でも低
い方の電位V’を設定し、一方で高い方の電位V
設定するときには、他方でも高い方の電位V’を設定
する。
【0015】表示を書き込むときには、まず全ての画素
がプレナー状態(オン表示)となるように行電極および
列電極を駆動する。この期間をリセット期間と記す。リ
セット期間の後、表示データに対応する電圧を印加する
ように行電極および列電極を駆動する。この期間を表示
書き込み期間と記す。
【0016】リセット期間中、一方の液晶セルの各列電
極には、図18(b)に示すように電圧V,Vを交
互に印加する。他方の液晶セルの各列電極には、図18
(d)に示すように電圧V’,V’を交互に印加す
る。リセット期間中、一方の液晶セルで、各列電極の電
位を低い方の電位Vに設定するときには、他方の液晶
セルにおける列電極の電位も低い方の電位V’に設定
する。一方の液晶セルで、各列電極の電位を高い方の電
位Vに設定するときには、他の液晶セルの列電極も高
い方の電位V’に設定する。リセット期間では、各液
晶セルの選択行の画素に、それぞれ電圧V−V、電
圧V’−V’を印加してメモリ性液晶を順次プレナ
ーに移行させ、オン表示とする。リセット期間中、選択
されていない行の画素のメモリ性液晶には、電圧V
,V−Vあるいは電圧V ’−V’,V
−V’が印加されるが、表示状態は変化しない。
【0017】表示書き込み期間では、一方の液晶セルの
各列電極には、選択した行の表示データに応じて、
,V,V,Vのいずれかの電位を設定する。
他方の液晶セルの列電極にも、同様にV’,V’,
’,V’のいずれかの電位を設定する。この結
果、所望の表示が書き込まれる。
【0018】なお、行電極のように、個々の電極が順次
選択されていく電極を走査電極あるいはコモン電極とい
う。また、列電極のように、順次選択されていく電極と
対をなして、選択行等における表示データに応じた電位
が設定される電極を信号電極あるいはセグメント電極と
いう。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】p=λ/nであるの
で、各液晶セルにおける選択反射波長や平均屈折率が異
なれば各層のピッチも異なっていた。そして、ピッチが
異なると、メモリ性液晶をプレナー状態に移行させるた
めの電圧Vthも変化する。そのため、液晶セルを積層
する場合には、各液晶セルに電源回路がそれぞれ設けら
れていた。図19は、従来の液晶表示装置の構成を示す
模式図である。積層された液晶セル101〜101
には、それぞれドライバ102〜102が接続され
る。そして、各電源回路103〜103は、各ドラ
イバ102〜102に必要な電圧を供給する。な
お、背面側の液晶セル103には、光吸収体104が
設けられる。
【0020】複数の液晶セルの各層毎では、異なる電源
回路を用いて、プレナー状態に移行させるための電圧V
thとしてそれぞれ異なる電圧を印加していた。しか
し、電源回路を複数設けるのではなく、一つの電源回路
で各層のドライバに電圧を供給できることが望ましい。
【0021】また、二つの液晶セルが積層され、一つの
液晶セルでは電圧Vでメモリ性液晶をプレナー状態に
移行させれば最良のコントラストが得られるとする。同
様に、他方の液晶セルでは電圧Vでプレナー状態に移
行させれば最良のコントラストが得られるとする。電圧
が、Vの動作許容電圧の範囲内にあれば、両方の
液晶セルを一つの電圧Vで駆動することができる。こ
こで、動作許容電圧について説明する。プレナー状態に
移行するためにVから少しずれた電圧を印加しても良
好なコントラスト比の表示を維持できる。電圧Vを中
心にして、良好なコントラスト比の表示を維持できる電
圧の幅を電圧Vの動作許容電圧という。
【0022】このように、一方の電圧が、他方の電圧を
中心とする動作許容電圧の範囲内にあれば、電源回路を
共通化して良好なコントラスト比の表示を維持できる。
しかし、ある液晶セルの選択反射波長の逆数が、他の液
晶セルの選択反射波長の逆数の0.9倍以下であった
り、1.1倍以上となると、各層において最良のコント
ラスト比の表示を得るための電圧が大きく異なり、電源
回路を共通化できなかった。
【0023】また、一つの電源回路で各層のドライバに
電圧を供給できることが望ましいが、電源回路を共通化
する場合には、電源回路にできるだけ負荷がかからない
ようにすることが望ましい。なお、電源回路は、供給さ
れる電圧を分圧する抵抗部と、分圧した電圧が入力され
る複数の演算増幅器(以下、オペアンプと記す。)との
組み合わせを一組のみ備えるものを一つと数える。
【0024】本発明は、積層した各液晶セルのメモリ性
液晶に対して、一つの電源回路で共通の電圧を印加して
表示を書き込むことができる液晶表示装置を提供するこ
とを目的とする。また、一つの電源回路で各層のドライ
バに電圧を供給する際、電源回路に大きな負荷がかから
ないようにする液晶表示装置の駆動方法を提供すること
を目的とする。
【0025】
【課題を解決するための手段】本発明の態様1は、複数
の走査電極と複数の信号電極との間に、少なくともプレ
ナー状態を呈するカイラルネマチック液晶が備えられた
液晶セルが複数積層された液晶表示装置であって、ある
液晶セルの選択反射波長の逆数が、他の液晶セルの選択
反射波長の逆数の0.9倍以下または1.1倍以上とな
るように設けられ、各液晶セルのセルギャップと選択反
射波長とが所定の関係を有していることを特徴とする液
晶表示装置を提供する。
【0026】本発明の態様2は、各液晶セルのセルギャ
ップをd、各液晶セルの選択反射波長をλ、各液晶セル
のメモリ性液晶の平均屈折率をnとし、各液晶セルのn
d/λの最大値をA、各液晶セルのnd/λの最小値を
Bとしたときに、(A−B)/((A+B)/2)≦
0.15を満足する液晶表示装置を提供する。
【0027】本発明の態様3は、(A−B)/((A+
B)/2)≦0.1を満足する液晶表示装置を提供す
る。
【0028】本発明の態様4は、一の液晶セルは、オン
表示またはオフ表示とするための電圧をメモリ性液晶に
印加するときに、信号電極の電位と選択した走査電極の
電位の高低関係を逆転させながら電圧を印加し、他の液
晶セルのうちの少なくとも一つの液晶セルは、一の液晶
セルの選択した走査電極の電位が一の液晶セルの信号電
極の電位よりも高く設定されたときには、信号電極の電
位を選択した走査電極の電位よりも高く設定し、一の液
晶セルの信号電極の電位が一の液晶セルの選択した走査
電極の電位よりも高く設定されたときには、選択した走
査電極の電位を信号電極の電位よりも高く設定する液晶
表示装置を提供する。そのような構成によれば、一の液
晶セルと、少なくとも一つの他の液晶セルにおいて、走
査電極に同時に高い電位が設定されたり、信号電極に同
時に高い電位が設定されることがなくなる。その結果、
各層の走査電極に同時に流れる電流や各層の信号電極に
同時に流れる電流を減少させることができる。
【0029】本発明の態様5は、各液晶セルのメモリ性
液晶の平均屈折率が同一である液晶表示装置を提供す
る。
【0030】本発明の態様6は、各液晶セルのドライバ
が共通の電源回路から電源が供給されてなる液晶表示装
置を提供する。
【0031】本発明の態様7は、複数の走査電極と複数
の信号電極との間に、少なくとも二つの安定状態を呈す
るメモリ性液晶が備えられた液晶セルが複数積層された
液晶表示装置の駆動方法であって、供給される電圧を分
圧する抵抗部と、分圧した電圧が入力される複数の演算
増幅器との組み合わせを一組のみ備える一つの電源回路
を用いて、各液晶セルが備えるメモリ性液晶にオン表示
またはオフ表示とするための電圧を印加する第一の段階
と、各液晶セルが備えるメモリ性液晶に表示データに対
応する電圧を印加する第二の段階とを含み、第一の段階
では、一の液晶セルは、信号電極の電位と選択した走査
電極の電位の高低関係を逆転させながらメモリ性液晶に
電圧を印加し、他の液晶セルのうちの少なくとも一つの
液晶セルは、一の液晶セルが一の液晶セルの選択した走
査電極の電位を一の液晶セルの信号電極よりも高く設定
したときには、信号電極の電位を選択した走査電極の電
位よりも高く設定してメモリ性液晶に電圧を印加し、一
の液晶セルが一の液晶セルの信号電極の電位を一の液晶
セルの選択した走査電極よりも高く設定したときには、
選択した走査電極の電位を信号電極の電位よりも高く設
定してメモリ性液晶に電圧を印加することを特徴とする
液晶表示装置の駆動方法を提供する。
【0032】本発明の態様8は、第一の段階および第二
の段階で、一の液晶セルは、選択した走査電極に第一の
電位または第二の電位を設定し、選択していない走査電
極に第三の電位または第四の電位を設定し、他の液晶セ
ルのうちの少なくとも一つの液晶セルは、一の液晶セル
が一の液晶セルの選択した走査電極に第一の電位を設定
したときには、選択した走査電極に第二の電位を設定
し、一の液晶セルが一の液晶セルの選択した走査電極に
第二の電位が設定したときには、選択した走査電極に第
一の電位を設定し、一の液晶セルが一の液晶セルの選択
していない走査電極に第三の電位を設定したときには、
選択していない走査電極に第四の電位を設定し、一の液
晶セルが一の液晶セルの選択していない走査電極に第四
の電位を設定したときには、選択していない走査電極に
第三の電位を設定する液晶表示装置の駆動方法を提供す
る。
【0033】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
を参照して説明する。図1は、本発明の液晶表示装置に
おいて積層される液晶セルの模式的断面図を示す。図1
に示す液晶セルは、ガラス基板1、1、電極2
、薄膜3 、3、液晶組成物(メモリ性液晶)4
が配置され、フォーカルコニック状態とプレナー状態を
安定に表示する液晶セルである。電極2、2の一方
は行電極(走査電極)であり、他方は列電極(信号電
極)である。以下の説明では、電極2が列電極であ
り、電極2が行電極であるとする。
【0034】薄膜3、3には、ポリイミドのような
高分子が用いられるが、シリカなどの無機薄膜を形成し
てもよい。しかし、メモリ性液晶に接する薄膜の表面を
ラビング処理すると、薄膜の種類によってはメモリ性液
晶のフォーカルコニック状態の安定性が失われてしまう
ことがある。よって、ラビング無しの薄膜を設けるか、
または、電極と液晶組成物が直接接するように設ける。
【0035】電極2、2は、それぞれドライバ(列
ドライバおよび行ドライバ)に接続され、ドライバによ
って電位が設定される。その結果、メモリ性液晶4に電
圧が印加され、メモリ性液晶4は印加電圧に応じてプレ
ナー状態またはフォーカルコニック状態に移行する。以
下、プレナー状態の表示をオン表示、フォーカルコニッ
ク状態の表示をオフ表示とする。
【0036】表示の態様は、セグメント表示などの非フ
ルドットマトリクス表示でも、ドットマトリクス表示で
もよい。基板は、ガラス基板でも樹脂基板でもよく、ま
た、ガラス基板と樹脂基板の組み合わせでもよい。
【0037】図2は、本発明の液晶表示装置の模式的断
面図である。液晶表示装置は、積層された液晶セル11
〜11を備え、背面側の液晶セル11の裏面に
は、黒色の光吸収体14を備える。光吸収体14は、液
晶セル11の内面に設けてもよく、または、液晶セル
11の背面側の基板として光吸収機能を有するものを
用いてもよい。図2では、3つの液晶セルが積層された
場合を示したが、液晶セルの数は3つに限定されない。
例えば、二つの液晶セルが積層されていてもよい。
【0038】各液晶セル11〜11に配置される電
極2、2には、それぞれドライバ12〜12
接続され、各液晶セル11〜11は、このドライバ
によって駆動される。また、液晶表示装置は、一つの電
源回路13を備え、電源回路13は、各ドライバ11
〜11に必要な電圧を供給する。
【0039】各液晶セル11〜11に配置される各
メモリ性液晶4の選択反射波長は、それぞれ異なる。液
晶セル11〜11のうちの一層に配置されたメモリ
性液晶4の選択反射波長の逆数は、他層に配置されたメ
モリ性液晶の選択反射波長の逆数の0.9倍以下または
1.1倍以上であるものとする。例えば、各層は、選択
反射によってそれぞれ赤、緑、青を呈するものとする。
また、各液晶セル11 〜11に配置される各メモリ
性液晶4の平均屈折率は同一であっても、異なっていて
もよい。
【0040】また、各液晶セル11〜11のセルギ
ャップは、各液晶セルのセルギャップをd、各液晶セル
の選択反射波長をλ、各液晶セルのメモリ性液晶の平均
屈折率をnとし、各液晶セルのnd/λの最大値をA、
各液晶セルのnd/λの最小値をBとしたときに、(A
−B)/((A+B)/2)≦0.15を満足するよう
に、定める。特に、(A−B)/((A+B)/2)≦
0.1を満足するように定めることが好ましい。
【0041】例えば、各液晶セル11〜11に配置
されるメモリ性液晶の選択反射波長がそれぞれλ,λ
,λであり、平均屈折率がそれぞれn,n,n
であるとする。また、各液晶セル11〜11のセ
ルギャップを、それぞれd,d,dとする。この
とき、n/λ、n/λ、n/λ
の中の最大値Aと最小値Bによって、(A−B)/
((A+B)/2)≦0.15が満たされるように各セ
ルギャップd,d,dを定める。
【0042】この条件を満たすように各層のセルギャッ
プを定めれば、共通の電圧で複数の液晶セルの各層のメ
モリ性液晶をプレナー状態に移行させることができ、従
来のように複数の電源回路を設ける必要がなくなる。
【0043】一つの液晶セルのセルギャップd、その液
晶セルに配置されたメモリ性液晶のピッチp、およびそ
のメモリ性液晶をプレナー状態に移行させるための電圧
の間には、d/p∝Vthという関係が成立す
る。また、既に述べたように、p=λ/nであるので、
nd/λ∝Vthという関係が成り立つ。したがって、
各層におけるnd/λの差が小さくなるように定めれ
ば、各層のメモリ性液晶をプレナー状態にするための電
圧Vthの差も小さくなり、共通の電圧で各層のメモリ
性液晶をプレナー状態に移行させることができるように
なる。
【0044】上述した例において、n/λ、n
/λ、n/λの大小関係が、図3に示
すようになっているとする。すなわち、n/λ
が最大値Aとなり、n/λが最小値Bになると
する。(A−B)/((A+B)/2)≦0.15とい
う条件において”A−B”は、この最大値と最小値の差
である。そして、”(A+B)/2”は、この最大値A
と最小値Bの平均値である。したがって、(A−B)/
((A+B)/2)≦0.15という条件は、各層にお
けるnd/λの最大値と最小値の差が、最大値と最小値
の平均値の15%以内になるということを示している。
この程度まで、各層におけるnd/λの差を小さくすれ
ば、共通の電圧で各層のメモリ性液晶4をプレナー状態
に移行させることができる。
【0045】(A−B)/((A+B)/2)≦0.1
という条件を満たすようにすれば、各層におけるnd/
λの最大値と最小値の差は、最大値と最小値の平均値の
10%以内になり、電圧を共通化するうえでさらに好ま
しい。
【0046】図4は、動作許容電圧の説明図である。メ
モリ性液晶に電圧Vthを印加してプレナー状態に移行
させたときに最も良好なコントラストが得られるとす
る。このときの動作許容電圧は、図4に示すようにV
thを中心とする、良好なコントラストを維持できる電
圧の幅である。この幅は、Vthの約20%である。例
えば、最も良好なコントラストを得るために、プレナー
状態に移行させる液晶に印加すべき電圧が20Vである
とする。この場合、約18V〜約22Vの電圧範囲で液
晶をプレナー状態に移行させたとしても、良好なコント
ラストを維持できる。
【0047】また、Vthを中心とする、Vthの10
%の幅に収まる電圧でプレナー状態に移行させれば、よ
り良好なコントラスト比の表示を維持できる。
【0048】(A−B)/((A+B)/2)≦0.1
5という条件を満たすように各層のセルギャップを定め
れば、各層において、最も良好なコントラストを得るた
めに印加すべき電圧の差も小さくなる。その結果、共通
の電圧で各層のメモリ性液晶をプレナー状態に移行させ
るとしても、その共通の電圧は、各層における動作許容
電圧の範囲内に収まり、各層において良好なコントラス
ト比の表示を維持できる。また、(A−B)/((A+
B)/2)≦0.1という条件を満たすように各層のセ
ルギャップを定めれば、さらに良好なコントラストを維
持できる。
【0049】二つの液晶セルが積層され、一つの液晶セ
ルでは電圧Vでメモリ性液晶をプレナー状態に移行さ
せれば最良のコントラストが得られ、他方の液晶セルで
は電圧Vでプレナー状態に移行させれば最良のコント
ラストが得られるとする。上述のように、動作許容電圧
は、最良のコントラストが得られるときの電圧を中心と
する約20%の幅の電圧である。したがって、電圧V
を中心とするVの20%の幅と、電圧Vを中心とす
るVの20%の幅が十分に重なっていれば、その重な
っている範囲の電圧を共通電圧として使用することによ
って、双方の液晶セルで良好なコントラストが得られ
る。
【0050】図5は、電圧Vを中心とする動作許容電
圧と電圧Vを中心とする動作許容電圧の重なりを示す
説明図である。図5に示す幅50は、電圧Vを中心と
する動作許容電圧の1/2の幅を示す。幅50の範囲の
電圧は、0.1・Vである。同様に、幅51は、電圧
を中心とする動作許容電圧の1/2の幅を示す。幅
51の範囲の電圧は、0.1・Vである。また、幅5
2は、幅50と幅51が重なる範囲である。幅52の範
囲の電圧は、幅50,51の和から、電圧V,V
差を差し引くことによって求められる。したがって、幅
52の範囲の電圧は、(0.1・V+0.1・V
−(V−V)と表される。すなわち、0.1・(V
+V)−(V−V)と表される。
【0051】0.1・(V+V)−(V−V
≧0であれば、動作許容電圧が重なることになる。しか
し、幅52が狭いと、二つの液晶セルで良好なコントラ
ストが得られない。良好なコントラストが得られるの
は、電圧V,Vの平均値に対する幅52の割合が5
%以上の場合であった。この条件を式に表すと、以下の
様になる。
【0052】(0.1・(V+V)−(V
))/((V+V)/2)≧0.05
【0053】この式を整理すると、以下の式のようにな
る。
【0054】(V−V)/((V+V)/2)
≦0.15
【0055】nd/λ∝Vthという関係が成り立つの
で、上記の式をVに対応するA(nd/λの最大値)
と、Vに対応するB(nd/λの最小値)で表せば、
(A−B)/((A+B)/2)≦0.15という条件
が得られる。
【0056】なお、各層における平均屈折率が同一であ
る場合には、各液晶セルのd/λの最大値をA、各液晶
セルのd/λの最小値をBとして上記条件を満足するよ
うに、セルギャップを定めてもよい。
【0057】次に、各液晶セル11〜11の駆動方
法について説明する。各ドライバ11〜11によっ
て設定される各層の行電極2および列電極2の電位
の種類は、予め定められる。各層の行電極2および列
電極2には、0V、Von、Voffのいずれかの電
位が設定されるものとする。ここで、Vonは、メモリ
性液晶をオン表示にするための電圧(プレナー状態に移
行させるための電圧)であり、Voffは、メモリ性液
晶をオフ表示にするための電圧(フォーカルコニック状
態に移行させるための電圧)である。行電極2および
列電極2には、0V、Von、Voff以外の電位が
設定されてもよい。
【0058】メモリ性液晶4をオン表示にする場合、選
択した行電極2の電位を0V、列電極2の電位をV
onとする設定と、選択した行電極2の電位を
on、列電極2の電位を0Vとする設定を交互に繰
り返す。同様にメモリ性液晶をオフ表示にする場合、選
択した行電極2の電位を0V、列電極2の電位をV
of とする設定と、選択した行電極2の電位をV
off、列電極2の電位を0Vとする設定を交互に繰
り返す。各ドライバ12〜12は、このように行電
極2の電位と列電極2の電位の高低関係を逆転させ
ながら、オン表示にするための電圧Vonやオフ表示に
するための電圧Voffを印加する。
【0059】行電極2の電位と列電極2の電位の高
低関係を逆転するタイミングは、例えば、全ての行電極
を選択して1回の走査を終了したときである。また
は、各行の選択時間内で、行電極2の電位と列電極2
の電位の高低関係を逆転させながらメモリ性液晶4に
電圧を印加してもよい。
【0060】各ドライバ12〜12のうちの一つ
(ここでは、ドライバ12とする。)が、行電極2
の電位を列電極2の電位よりも高く設定しているとき
には、他のドライバのうちの少なくとも一つ(ここで
は、ドライバ12とする。)は、列電極2の電位を
行電極2の電位よりも高く設定する。ドライバ12
が、列電極2の電位を行電極2の電位よりも高く設
定しているときには、ドライバ12は、行電極2の電
位を列電極2の電位よりも高く設定する。
【0061】図6は、液晶セル11および液晶セル1
の列電極2と行電極2に設定される電位の例を
示す。例えば、液晶セル11では、選択された行電極
の電位が0Vで、列電極2の電位がVonに設定
されたとする。すなわち、列電極の電位の方が高くなっ
ているとする。このとき、液晶セル11では、選択さ
れた行電極2の電位を列電極2よりも高くなるよう
に設定する。例えば、オン表示にする場合、行電極2
の電位をVonに設定し、列電極2の電位を0Vにす
る。液晶セル11において、行電極2と列電極2
の電位の高低関係が逆転した場合には(例えば、行電極
がVon、列電極が0V。)、液晶セル11において
も電位の高低関係を逆転させる。ここでは、液晶セル1
のメモリ性液晶4に電圧Vonを印加する場合につ
いて説明したが、図6に示すように、液晶セル11
メモリ性液晶4に電圧Voffを印加する場合でも、同
様である。
【0062】なお、液晶セル11において、行電極2
よりも列電極2の電位が高い場合、液晶セル11
における行電極2の電位は、列電極より高くても低く
てもよい。ただし、液晶セル11において電位の高低
関係を逆転させるときに、液晶セル11における電位
の高低関係も逆転させる。
【0063】このように一つの液晶セル11と他の液
晶セル11とで、行電極2と列電極2の電位の高低
関係が逆になるようにする。このような構成によって、
一つの液晶セル11と他の液晶セル11において行
電極2に同時に高い電位が設定されたり、列電極2
に同時に高い電位が設定されなくなる。すなわち、液晶
セル11と液晶セル11の両方の行電極にVon
の高い電位が同時に設定されることがない。この結果、
同時に二つの層の行電極に多くの電流が流れることを防
止できる。同様に、同時に二つの層の列電極に多くの電
流が流れることを防止できる。
【0064】
【実施例】[例1]240本の行電極を有する液晶セル
を二つ作成した。一方の液晶セルのセルギャップdを
3.6μmとし、もう一方の液晶セルのセルギャップd
を4.6μmとした。そして、d=3.6μmとした液
晶セルには、選択反射波長λ=490nmのメモリ性液
晶を注入した。このメモリ性液晶は、プレナー状態で青
を呈する。d=4.6μmとした液晶セルには、λ=6
20nmのメモリ性液晶を注入した。このメモリ性液晶
は、プレナー状態で橙を呈する。二つの液晶セルに注入
したメモリ性液晶の平均屈折率は同一である。
【0065】作成した二つの液晶セルを積層した。そし
て、各層に対応するドライバ(行ドライバおよび列ドラ
イバ)を各層の電極に接続し、一つの電源回路を各ドラ
イバに接続した。また、V+V=18V、V/R
=7を満足するV,Vを定めた。そして、オン表
示とするための電圧をV+V、オフ表示とするため
の電圧をV−Vとして液晶表示装置を駆動した。
【0066】選択した行に位置するメモリ性液晶をオン
表示とするために、電圧18Vを印加しながら、2回走
査を行った。この結果、画面全体がオン表示となった。
次に、表示を書き込むための走査を2回行った。この結
果、各層の各画素はオン表示またはオフ表示となり、所
望の表示が書き込まれた。なお、各行電極の選択時間は
20msとし、5ms毎に各層の行電極の電位と列電極
の電位の高低関係を逆転させながら電圧を印加した。
【0067】[比較例1]240本の行電極を有する液
晶セルを二つ作成した。どちらの液晶セルもセルギャッ
プを4μmとした。一方の液晶セルには選択反射波長λ
=490nmのメモリ性液晶を注入し、もう一方の液晶
セルにはλ=620nmのメモリ性液晶を注入した。各
メモリ性液晶の平均屈折率は同一である。作成した二つ
の液晶セルを積層し、各層に対応するドライバを各層の
電極に接続した。また、各ドライバには、それぞれ異な
る電源回路を接続した。
【0068】λ=490nmのメモリ性液晶を注入した
液晶セルでは、V+V=20V、V/R=7を
満足するV,Vを定め、オン表示とするための電圧
をV +V、オフ表示とするための電圧をV−V
とした。同様に、λ=620nmのメモリ性液晶を注入
した液晶セルでは、V+V=16V、V/V
7を満足するV,Vによって、オン表示とするため
の電圧およびオフ表示とするための電圧を定めた。
【0069】例1と同様に、画面全体をオン表示にする
ための走査と、表示を書き込むための走査を2回ずつ行
った。この結果、例1と同様に所望の表示を書き込むこ
とができた。
【0070】図7に、例1と比較例1におけるd/λの
値を示す。図7に示すd/λは、セルギャップおよび選
択反射波長をメートル単位に換算したうえで算出した値
である。例1において、d/λの最大値Aは7.42で
あり、最小値Bは7.34である。したがって、例1で
は、(A−B)/((A+B)/2)=0.01であ
り、(A−B)/((A+B)/2)≦0.1という条
件を満足している。この例1では、オン表示とするため
の電圧およびオフ表示とするための電圧を各層で共通と
し、一つの電源回路を用いて所望の表示を書き込むこと
ができた。
【0071】一方、比較例1において、d/λの最大値
Aは8.16であり、最小値Bは6.45である。この
場合、(A−B)/((A+B)/2)=0.23であ
り、(A−B)/((A+B)/2)≦0.1という条
件も、(A−B)/((A+B)/2)≦0.15とい
う条件も満足していない。比較例1では、オン表示とす
るための電圧およびオフ表示とするための電圧が各層で
異なり、二つの電源回路を使用することで所望の表示を
書き込むことができた。
【0072】以上のことから、各液晶セルのセルギャッ
プを個別に定めることで、印加電圧を共通化できること
がわかる。
【0073】なお、例1において、さらに他の液晶セル
を積層させ、共通化した電圧で駆動することもできる。
例えば、セルギャップd=4.2μmであり、選択反射
波長λが530nmであるメモリ性液晶を注入した液晶
セルを例1に示す液晶セルに追加してもよい。この場合
であっても、(A−B)/((A+B)/2)≦0.1
という条件を満足し、三つの液晶セルを共通の電圧で駆
動することができる。なお、選択反射波長λ=530n
mのメモリ性液晶は、プレナー状態で緑を呈する。
【0074】[例2]セルギャップdが4.2μm、
4.6μmである液晶セルをそれぞれ作成した。そし
て、d=4.2μmの液晶セルには、選択反射波長λ=
532nmのメモリ性液晶を注入し、もう一方の液晶セ
ルには、λ=635nmのメモリ性液晶を注入した。二
つの液晶セルを積層し、同一の電源回路で駆動したとこ
ろ、良好なコントラスト比の表示が得られた。
【0075】[比較例2]セルギャップdが4μmであ
る液晶セルを二つ作成し、各液晶セルに例2と同じメモ
リ性液晶を注入した。二つの液晶セルを積層し、同一の
電源回路で駆動したところ、良好なコントラスト比の表
示が得られなかった。
【0076】図8(a)は、例2および比較例2におけ
る(A−B)/((A+B)/2)の値を示す。例2で
は、この値が0.1以下であり、良好なコントラスト比
の表示が得られたが、比較例2では0.15よりも大き
く、良好なコントラスト比の表示が得られなかった。
【0077】[例3]セルギャップdが3.8μm、
4.6μmである液晶セルをそれぞれ作成した。そし
て、d=3.8μmの液晶セルには、選択反射波長λ=
505nmのメモリ性液晶を注入し、もう一方の液晶セ
ルには、λ=650nmのメモリ性液晶を注入した。二
つの液晶セルを積層し、同一の電源回路で駆動したとこ
ろ、良好なコントラスト比の表示が得られた。
【0078】[例4]例3で作成したd=3.8μmの
液晶セルの代わりに、d=3.6μmの液晶セルを作成
した。他の条件は、例3と同様とした。この場合、例3
よりもさらに良好なコントラスト比の表示が得られた。
【0079】[比較例3]セルギャップdが4μmであ
る液晶セルを二つ作成し、各液晶セルに例3と同じメモ
リ性液晶を注入した。二つの液晶セルを積層し、同一の
電源回路で駆動したところ、良好なコントラスト比の表
示が得られなかった。
【0080】図8(b)は、例3、例4、および比較例
3における(A−B)/((A+B)/2)の値を示
す。例3では、この値が0.1以下であり、良好なコン
トラスト比の表示が得られ、例4では、この値が0であ
り、さらに良好なコントラスト比の表示が得られた。比
較例3では、0.15よりも大きい値となり、良好なコ
ントラスト比の表示が得られなかった。
【0081】[例5]セルギャップdが4.2μm、
5.0μm、3.6μmである液晶セルをそれぞれ作成
した。そして、d=4.2μmの液晶セルには、選択反
射波長λ=532nmのメモリ性液晶を注入し、d=
5.0μmの液晶セルには、λ=650nmのメモリ性
液晶を注入した。また、d=3.6μmのメモリ性液晶
には、λ=480nmのメモリ性液晶を注入した。三つ
の液晶セルを積層し、同一の電源回路で駆動したとこ
ろ、良好なコントラスト比の表示が得られた。
【0082】[比較例4]セルギャップdが4μmであ
る液晶セルを三つ作成し、各液晶セルに例5と同じメモ
リ性液晶を注入した。三つの液晶セルを積層し、同一の
電源回路で駆動したところ、良好なコントラスト比の表
示が得られなかった。
【0083】図8(a)は、例5および比較例4におけ
る(A−B)/((A+B)/2)の値を示す。例5で
は、この値が0.1以下であり、良好なコントラスト比
の表示が得られたが、比較例4では0.15よりも大き
く、良好なコントラスト比の表示が得られなかった。
【0084】次に、積層された液晶セルを一つの電源回
路で駆動するときに、電源回路に大きな負荷がかからな
いようにする駆動方法について説明する。図9は、積層
された液晶セルを一つの電源回路で駆動する液晶表示装
置の例を示すブロック図である。本例では、二つの液晶
セル(第一の液晶セル61および第二の液晶セル71)
が積層される場合を例に説明する。第一の液晶セル61
と第二の液晶セル71は、複数の行電極と複数の列電極
との間にカイラルネマチック液晶等のメモリ性液晶を備
える。第一の液晶セル61および第二の液晶セル71
は、一つの電源回路77が出力する共通の駆動電圧によ
って駆動される。
【0085】各層の行ドライバおよび列ドライバ(第一
の行ドライバ62、第一の列ドライバ63、第二の行ド
ライバ72、および第二の列ドライバ73)は、それぞ
れ複数の電圧出力端子を有する。第一の液晶セル61の
個々の行電極は、第一の行ドライバ62の個々の電圧出
力端子と一対一に接続される。第一の液晶セル61の個
々の列電極は、第一の列ドライバ63の個々の電圧出力
端子と一対一に接続される。同様に、第二の液晶セル7
1の行電極および列電極も、それぞれ第二の行ドライバ
72、第二の列ドライバ73に接続される。
【0086】第一の行ドライバ62は、行電極を選択し
ながら全ての行電極を走査するように第一の液晶セル6
1を駆動する。第一の列ドライバ63は、第一の液晶セ
ル61の列電極に表示データに対応する電圧を印加して
第一の液晶セル61を駆動する。第一の液晶セル61
は、第一の行ドライバ62および第一の列ドライバ63
に駆動され、行電極や列電極の電位を設定する。第二の
行ドライバ72および第二の列ドライバ73は、第一の
行ドライバ62および第一の列ドライバ63と同様に、
第二の液晶セル71を駆動する。第二の液晶セル71
は、第二の行ドライバ72および第二の列ドライバ73
に駆動され、行電極や列電極の電位を設定する。
【0087】メモリ75は、各層の表示データを保持す
る。コントローラ76は、メモリ75から表示データを
読み込む。そして、第一層の表示データであるData
を第一の列ドライバ63に出力し、第二層の表示デー
タであるDataを第二の列ドライバ73に出力す
る。
【0088】コントローラ76は、第一の列ドライバ6
3および第二の列ドライバ73に、一行分の表示データ
の中から各列のデータを順次取得するタイミングを規定
するCP(データ転送用クロック)と、選択する行電極
の切り替えを示すLP(ラッチパルス)とを出力する。
また、コントローラ76は第一の行ドライバ62および
第二の行ドライバ72に、LPと、1フレームの開始を
示すFLM(ファーストラインマーカ)とを出力する。
【0089】さらに、コントローラ76は、第一の行ド
ライバ62、第一の列ドライバ63、第二の行ドライバ
72、および第二の列ドライバ73に、駆動電圧を交流
化するときの電位切替タイミングを規定するFR(交流
化のための電位切替信号)を出力する。FRに応じて、
どのように電位が切り替えられるかについては後述す
る。以下、コントローラ76が第一の行ドライバ62お
よび第一の列ドライバ63に出力するFRをFRと表
し、第二の行ドライバ72および第二の列ドライバ73
に出力するFRをFRと表す。コントローラ76は、
FR,FRのレベルの設定(ハイレベルとするかロ
ーレベルとするかの設定)を切り替えながら、FR
ハイレベルの時にFRがローレベルとなり、FR
ローレベルの時にFRがハイレベルになるようにFR
,FRを出力する。
【0090】図10(a)は、駆動時に行ドライバに入
力される信号のタイミングを示す説明図である。第一の
行ドライバ62および第二の行ドライバ72は、FLM
が入力されると、それに続いて入力されるLPに応じて
選択する行電極を順次切り替える。LPが入力されてか
ら、次のLPが入力されるまでの期間が、一つの行電極
の選択期間である。図10(b)は、駆動時に列ドライ
バに入力される信号のタイミングを示す説明図である。
第一の列ドライバ63および第二の列ドライバ73は、
それぞれCPが入力されると、そのタイミングで、これ
から選択される1行分の表示データの中から各列のデー
タを順次取得する。続いて、LPが入力されると、取得
したデータに基づいて各列電極の電位を設定する。
【0091】図9に示す電源回路77は、第一の行ドラ
イバ62、第一の列ドライバ63、第二の行ドライバ7
2、および第二の列ドライバ73に駆動電圧を出力す
る。電源回路77は、駆動電圧として電圧V〜V
出力する。図11は、電源回路77の一例を示すブロッ
ク図である。電源回路77は、一つの電源回路であり、
供給される電圧を分圧する抵抗部(抵抗83〜87)
と、分圧した電圧が入力される複数のオペアンプ91〜
95との組み合わせを一組のみ備える。
【0092】電源回路77には、定電圧Vccが入力さ
れる。オペアンプ96は、反転入力端子および接地電位
の間に接続された抵抗82および、出力端子と反転入力
端子の間に接続された抵抗81に応じて、電圧V5in
を出力する。この電圧V5i は、抵抗部(抵抗83〜
87)に供給される。電圧V5inと電圧V(接地電
位に相当)との間の電圧は、抵抗83〜87で分圧さ
れ、電圧V4in〜V inが発生する。ここで、一般
には、電圧Vは接地電位と同一である。
【0093】抵抗83〜87の分圧回路は液晶セルを駆
動する電流能力が小さいので、ボルテージフォロワ接続
されたオペアンプ91〜95によって駆動能力が上げら
れる。すなわち、電圧V5in〜V1inは、ボルテー
ジフォロワ接続されたオペアンプ91〜95の非反転入
力端子に入力される。そして、オペアンプ91〜95の
出力電圧がV〜Vとして、各行ドライバおよび各列
ドライバに出力される。電圧V5in〜V1inは、そ
れぞれ電圧V〜Vと同じである。
【0094】各層のメモリ性液晶をプレナーに移行させ
る電圧を電圧Vとして定める。また、抵抗83〜87
は、以下の各条件を満足するように定める。V−V
=V −V=V−V=V−Vが成立するよう
に定める。また、V−VおよびV−Vがメモリ
性液晶をフォーカルコニックに移行させる電圧となり、
−V,V−V,V−V,V−Vがメ
モリ性液晶に変化を与えない電圧となるように定める。
【0095】なお、電圧Vは、正極性駆動時に選択さ
れた行電極に印加され、また、負極性駆動時にオン表示
とする列電極に印加される電圧である。電圧Vは、負
極性駆動時に選択されていない行電極に印加される電圧
である。電圧Vは、負極性駆動時にオフ表示とする列
電極に印加される電圧である。電圧Vは、正極性駆動
時にオフ表示とする列電極に印加される電圧である。電
圧Vは、正極性駆動時に選択されていない行電極に印
加される電圧である。電圧Vは、負極性駆動時に選択
された行電極に印加され、また、正極性駆動時にオン表
示とする列電極に印加される電圧である。ここで、正極
性駆動とは、選択した行電極の電位が列電極の電位より
高くなるように駆動することをいい、負極性駆動とは、
選択した行電極の電位が列電極の電位より低くなるよう
に駆動することをいう。
【0096】第一の行ドライバ62および第一の列ドラ
イバ63は、FRがローレベルのときに正極性駆動で
駆動し、FRがハイレベルのときに負極性駆動で駆動
する。同様に、第二の行ドライバ72および第二の列ド
ライバ73は、FRがローレベルのときに正極性駆動
で駆動し、FRがハイレベルのときに負極性駆動で駆
動する。
【0097】コントローラ76は、FRおよびFR
の設定を切り替えながら、互いにレベルが逆になるよう
にしてFR,FRを出力する。従って、各液晶セル
では、列電極と選択した行電極の電位の高低関係を逆転
させながらメモリ性液晶に電圧を印加する。また、第一
の液晶セル61で、選択した行電極の電位を列電極の電
位よりも高くしてメモリ性液晶に電圧を印加する場合、
第二の液晶セル71では、列電極の電位を選択した行電
極の電位よりも高く設定してメモリ性液晶に電圧を印加
する。第一の液晶セル61で、列電極の電位を選択した
行電極の電位よりも高くしてメモリ性液晶に電圧を印加
する場合、第二の液晶セル71では、選択した行電極の
電位を列電極の電位よりも高く設定してメモリ性液晶に
電圧を印加する。
【0098】図12は、コントローラ76が出力する信
号と駆動波形の関係を示す説明図である。図12は、リ
セット期間において、各液晶セルの各行の画素をオン表
示とする場合の駆動波形を示す。コントローラ76は、
第一の行ドライバ62、第一の列ドライバ63、第二の
行ドライバ72、および第二の列ドライバ73に、FL
M,LPを出力する。コントローラ76は、各層の行ド
ライバおよび列ドライバには、同一のFLM,LPを出
力する。第一の行ドライバ62および第二の行ドライバ
72は、FLMが入力された後、LPが入力される度
に、選択する行電極を切り替える。第一の列ドライバ6
3および第二の列ドライバ73は、LPが入力される
と、選択行の表示データに基づいて、液晶セルの各列電
極の電位を設定する。
【0099】また、コントローラ76は、第一の行ドラ
イバ62および第一の列ドライバ63にFRを出力
し、第二の行ドライバ72および第二の列ドライバ73
にFR を出力する。第一の行ドライバ62は、FR
がローレベルならば、選択した行電極の電位をV(第
一の電位)に設定し、FRがハイレベルならば、選択
した行電極の電位をV(第二の電位)に設定する。ま
た、第一の行ドライバ62は、FRがローレベルなら
ば、選択していない行電極の電位をV(第三の電位)
に設定し、FRがハイレベルならば、選択していない
行電極の電位をV (第四の電位)に設定する。同様
に、第二の行ドライバ72も、FRに応じて、選択し
た行電極の電位をVまたはVに設定し、選択してい
ない行電極の電位をVまたはVに設定する。
【0100】コントローラ76は、FRとFRのレ
ベルが互いに逆になるようにFR,FRを出力す
る。従って、第一の液晶セル61において第一の行ドラ
イバ62が、選択した行電極の電位をV(第一の電
位)に設定するときには、第二の行ドライバ72は、第
二の液晶セル71で選択した行電極の電位をV(第二
の電位)に設定する。逆に、第一の液晶セル61で、選
択した行電極の電位をV(第二の電位)に設定すると
きには、第二の液晶セル71で選択した行電極の電位を
(第一の電位)に設定する。
【0101】同様に、第一の行ドライバ62が、第一の
液晶セル61において選択していない行電極の電位をV
(第三の電位)に設定するときには、第二の行ドライ
バ72は、第二の液晶セル71で選択していない行電極
の電位をV(第四の電位)に設定する。逆に、第一の
液晶セル61で、選択していない行電極の電位をV
(第四の電位)に設定するときには、第二の液晶セル
71で選択していない行電極の電位をV(第三の電
位)に設定する。
【0102】また、リセット期間中、第一の列ドライバ
63および第二の列ドライバ73は、それぞれ、F
,FRがローレベルのときに、各列電極の電位を
に設定し、ハイレベルのときに各列電極の電位をV
に設定する。FR,FRのレベルは互いに逆であ
るので、リセット期間中は、一方の液晶セルの列電極の
電位がVであるなら、他方の列電極の電位はVとな
る。
【0103】リセット期間において、各行を選択して各
液晶セルの全ての画素をオン表示とすることで、それま
で表示していた表示内容を消去できる。続く表示書き込
み期間で新たなデータを書き込む。表示書き込み期間で
は、第一の行ドライバ62および第二の行ドライバ72
は、リセット期間と同様に各液晶セルの行電極の電位を
設定する。第一の列ドライバ63および第二の列ドライ
バ73は、選択行の表示データに応じて、オン表示とす
べき列電極の電位をVまたはVに設定する。また、
オフ表示とすべき列電極の電位をVまたはVに設定
する。
【0104】なお、リセット期間は、各液晶セルが備え
るメモリ性液晶にオン表示またはオフ表示とするための
電圧を印加する第一の段階に該当する。表示書き込み期
間は、各液晶セルが備えるメモリ性液晶に表示データに
対応する電圧を印加する第二の段階に該当する。
【0105】このような駆動方法によれば、第一の行ド
ライバ62と、第二の行ドライバ72とが、行電極の電
位を同時に同じ値に設定することがなくなる。この結
果、電源回路77にかかる負荷が減少する。図13は、
行ドライバへの電圧出力によって電源回路77に生じる
負荷の例を示す説明図である。図13(a),(b)
は、それぞれ、電源回路77が第一の行ドライバ62,
第二の行ドライバ72に出力する電圧の変動を示す。図
13(a),(b)に示すように、行電極の電位をV
からVに切り替えると、電源回路77の出力電圧に
は、スパイク状の変動301が生じる。同様に、行電極
の電位をVからVに切り替えるときにも、スパイク
状の変動302が生じる。第一の行ドライバ62と、第
二の行ドライバ72は、同時に行電極の電位をVから
に変更せず、一方がVに切り替える場合、他方は
に切り替える。従って、電源回路77が出力する電
圧V,Vの変動は、図13(c)に示すようにな
り、電位をVからVに切り替えるときの変動301
が同時に生じないように分散できる。変動302につい
ても同様に分散できる。
【0106】スパイク状に発生する変動(電源回路の負
荷)を分散することにより、電源回路の電圧出力端に設
けるコンデンサ(図示せず。)の容量を小さくすること
ができる。また、電源回路を選定しやすくなる。
【0107】なお、図13(d)は、図18に示す従来
の駆動波形と同様に、各層の極性を揃えて駆動した場合
の出力電圧の変動を示す。この場合、各層の行電極の電
位を同時にVからVに切り替えるので、変動301
が同時に生じ、変動量が大きくなってしまう。本発明に
よる駆動方法では、図13(d)に示す出力電圧の変動
を回避している。
【0108】図13では、電源回路77が各行ドライバ
に出力する電圧の変動について説明した。本発明の駆動
方法によれば、電源回路77が各列ドライバに出力する
電圧の変動も分散できる。この効果は、特にリセット期
間において発揮される。図14は、列ドライバへの電圧
出力によって電源回路77にかかる負荷の例を示す説明
図である。図14(a),(b)に示すように、列電極
の電位をVからVに切り替えると、電源回路77の
出力電圧には、変動311が生じる。同様に、列電極の
電位をVからVに切り替えるときにも、変動312
が生じる。
【0109】第一の液晶セル61において、列電極の電
位をVからVに切り替えるときに、第二の液晶セル
72では、列電極の電位をVからVに切り替えれ
ば、電源回路77が出力する電圧V,Vの変動は、
図14(c)に示すようになる。すなわち、電位をV
からVに切り替えるときの変動311が同時に生じな
いように分散できる。電位をVからVに切り替える
ときの変動312についても同様に分散できる。リセッ
ト期間中は、一方の液晶セルで列電極の電位をV に切
り替える場合、他方の液晶セルの列電極をVに切り替
えるので、図14(c)に示すように出力電圧の変動を
分散できる。
【0110】図9では、二つの液晶セルを積層した場合
を示したが、三つ以上の液晶セルを積層している場合で
も、上述の駆動方法を適用できる。この場合、一つの液
晶セルを、上述の第一の液晶セル61と同様に駆動し、
他の液晶セルのうちの少なくとも一つの液晶セルを、上
述の第二の液晶セル71と同様に駆動すればよい。
【0111】また、上記の例では、リセット期間におい
て、各液晶セルの全ての画素をオン表示にし、それまで
の表示内容を消去する場合を示した。以前の表示内容を
消去する際、リセット期間中に、オン表示にした後、各
液晶セルの全ての画素をオフ表示にしてもよい。リセッ
ト期間において、各液晶セルの全ての画素をオフ表示に
するためには、信号電極(列電極)に設定する電位を変
更すればよい。図12に示す信号電極の駆動波形におい
て、Vの代わりにVを設定し、Vの代わりにV
を設定すれば、選択した行の画素を全てオフ表示にする
ことができる。このとき、走査電極(行電極)の駆動波
形は、図12に示す駆動波形と同様にすればよい。
【0112】図12ではIAPTを採用した場合の駆動
波形を示したが、APT(Alto Pleshko Technique)を
採用した場合も、電源回路の負荷を軽減できる。APT
は、選択しない行電極の電位を一定に保つ駆動方法であ
る。この場合、リセット期間中、第一の液晶セル61に
おいて、各列電極の電位を、選択した行電極よりも高く
設定したならば、第二の液晶セル71では、各列電極の
電位を、選択した行電極よりも低く設定する。同様に、
リセット期間中、第一の液晶セル61において、各列電
極の電位を、選択した行電極よりも低く設定したなら
ば、第二の液晶セル71では、各列電極の電位を、選択
した行電極よりも高く設定する。そして、各層におい
て、選択した行電極の電位と、列電極の電位の高低関係
を逆転させながら駆動する。このように駆動すること
で、電源回路の負荷を軽減できる。
【0113】図15は、APTを採用した場合における
電源回路の負荷を示す説明図である。図15(a)は、
第一の液晶セル61の駆動に伴う電源回路の出力電圧の
変動を示す。リセット期間中、列電極の電位をV11
らV13に切り替えると、列電極の駆動に伴う出力電圧
には、変動351が生じる。このとき、行電極の駆動に
伴う出力電圧には、スパイク状の変動361が生じる。
列電極の電位をV13からV11に切り替えると、列電
極の駆動に伴う出力電圧には、変動352が生じる。こ
のとき、行電極の駆動に伴う出力電圧には、スパイク状
の変動362が生じる。図15(b)に示すように、第
二の液晶セル72の駆動に伴う電源回路の出力電圧も同
様に変動する。
【0114】選択した行電極の電位に対する列電極の電
位の高低は、二つの液晶セルで逆になるように駆動す
る。従って、図15(a)に示すスパイク状の変動36
1,362は、それぞれ、図15(b)に示す変動36
2,361と打ち消し合う。この結果、図15(c)に
示すように、電源回路77が出力する電圧V12には変
動が生じない。また、電源回路77が出力する電圧V
13,V11の変動は、図15(c)に示すようにな
り、電位をV11からV13に切り替えるときの変動3
51が同時に生じないように分散できる。同様に、変動
352についても分散できる。
【0115】図16は、選択した行電極の電位に対する
列電極の電位の高低関係が二つの液晶セルで同じになる
ように駆動した場合における電源回路の負荷を示す。こ
の場合、二つの液晶セルを駆動するために生じる変動3
61,362が打ち消し合うことはなく、電源回路77
が出力する電圧V12の変動は大きくなる。また、電位
をV11からV13に切り替えるときの変動351は分
散されず、電源回路77が出力する電圧V13の変動は
大きくなってしまう。電源回路77が出力する電圧V
11の変動も同様に大きくなってしまう。本発明による
駆動方法では、図16に示す出力電圧の変動を回避して
いる。
【0116】
【発明の効果】本発明によれば、積層した各液晶セルの
メモリ性液晶に対して共通の電圧を印加して表示を書き
込むことができる。そして、一つの電源回路で各液晶セ
ルのメモリ性液晶に電圧を印加することができる。
【0117】また、一つの電源回路で各層のドライバに
電圧を供給する際、電源回路に大きな負荷がかからない
ようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 液晶表示装置において積層される液晶セルの
模式的断面図。
【図2】 本発明の液晶表示装置の模式的断面図。
【図3】 各層のnd/λの例を示す説明図。
【図4】 動作許容電圧の説明図。
【図5】 動作許容電圧の重なりを示す説明図。
【図6】 二つの層における列電極と行電極の電位の関
係を示す説明図。
【図7】 セルギャップd、選択反射波長λ、およびd
/λの具体例を示す説明図。
【図8】 (A−B)/((A+B)/2)の値の例を
示す図。
【図9】 液晶表示装置の例を示すブロック図。
【図10】 行ドライバおよび列ドライバに入力される
信号のタイミングを示す説明図。
【図11】 電源回路の例を示すブロック図。
【図12】 コントローラが出力する信号と駆動波形の
関係を示す説明図。
【図13】 行ドライバへの電圧出力によって電源回路
にかかる負荷の例を示す説明図。
【図14】 列ドライバへの電圧出力によって電源回路
にかかる負荷の例を示す説明図。
【図15】 APT採用時に電源回路にかかる負荷の例
を示す説明図。
【図16】 APT採用時に電源回路にかかる負荷の例
を示す説明図。
【図17】 メモリ性液晶の配向状態の一例を示す説明
図。
【図18】 IAPTでの駆動波形の例を示す説明図。
【図19】 従来の液晶表示装置の構成を示す模式図。
【符号の説明】
,1 ガラス基板 2,2 電極 3,3 薄膜 4 液晶組成物 11〜11 液晶セル 12〜12 ドライバ 13 電源回路 14 光吸収体
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G09G 3/36 G09G 3/36 (72)発明者 永井 真 神奈川県横浜市神奈川区羽沢町1150番地 旭硝子株式会社内 (72)発明者 末廣 紀子 神奈川県横浜市神奈川区羽沢町1150番地 旭硝子株式会社内 Fターム(参考) 2H089 HA21 HA32 RA18 SA01 SA02 TA07 TA08 2H093 NA11 NA25 NC03 ND50 5C006 AC24 BA11 BB08 BB12 BF42 FA41 FA45 GA02 GA03 5C080 AA10 BB05 DD22 FF10 JJ02 JJ04 JJ05 JJ06

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】複数の走査電極と複数の信号電極との間
    に、少なくともプレナー状態を呈するカイラルネマチッ
    ク液晶が備えられた液晶セルが複数積層された液晶表示
    装置であって、ある液晶セルの選択反射波長の逆数が、
    他の液晶セルの選択反射波長の逆数の0.9倍以下また
    は1.1倍以上となるように設けられ、各液晶セルのセ
    ルギャップと選択反射波長とが所定の関係を有している
    ことを特徴とする液晶表示装置。
  2. 【請求項2】各液晶セルのセルギャップをd、各液晶セ
    ルの選択反射波長をλ、各液晶セルのメモリ性液晶の平
    均屈折率をnとし、各液晶セルのnd/λの最大値を
    A、各液晶セルのnd/λの最小値をBとしたときに、 (A−B)/((A+B)/2)≦0.15 を満足する請求項1に記載の液晶表示装置。
  3. 【請求項3】(A−B)/((A+B)/2)≦0.1
    を満足する請求項2に記載の液晶表示装置。
  4. 【請求項4】一の液晶セルは、オン表示またはオフ表示
    とするための電圧をメモリ性液晶に印加するときに、信
    号電極の電位と選択した走査電極の電位の高低関係を逆
    転させながら電圧を印加し、他の液晶セルのうちの少な
    くとも一つの液晶セルは、一の液晶セルの選択した走査
    電極の電位が一の液晶セルの信号電極の電位よりも高く
    設定されたときには、信号電極の電位を選択した走査電
    極の電位よりも高く設定し、一の液晶セルの信号電極の
    電位が一の液晶セルの選択した走査電極の電位よりも高
    く設定されたときには、選択した走査電極の電位を信号
    電極の電位よりも高く設定する請求項1、2または3に
    記載の液晶表示装置。
  5. 【請求項5】各液晶セルのメモリ性液晶の平均屈折率が
    同一である請求項1、2、3または4に記載の液晶表示
    装置。
  6. 【請求項6】各液晶セルのドライバが共通の電源回路か
    ら電源が供給されてなる請求項1、2、3、4または5
    に記載の液晶表示装置。
  7. 【請求項7】複数の走査電極と複数の信号電極との間
    に、少なくとも二つの安定状態を呈するメモリ性液晶が
    備えられた液晶セルが複数積層された液晶表示装置の駆
    動方法であって、 供給される電圧を分圧する抵抗部と、分圧した電圧が入
    力される複数の演算増幅器との組み合わせを一組のみ備
    える一つの電源回路を用いて、各液晶セルが備えるメモ
    リ性液晶にオン表示またはオフ表示とするための電圧を
    印加する第一の段階と、 各液晶セルが備えるメモリ性液晶に表示データに対応す
    る電圧を印加する第二の段階とを含み、 第一の段階では、一の液晶セルは、信号電極の電位と選
    択した走査電極の電位の高低関係を逆転させながらメモ
    リ性液晶に電圧を印加し、 他の液晶セルのうちの少なくとも一つの液晶セルは、 一の液晶セルが一の液晶セルの選択した走査電極の電位
    を一の液晶セルの信号電極よりも高く設定したときに
    は、信号電極の電位を選択した走査電極の電位よりも高
    く設定してメモリ性液晶に電圧を印加し、 一の液晶セルが一の液晶セルの信号電極の電位を一の液
    晶セルの選択した走査電極よりも高く設定したときに
    は、選択した走査電極の電位を信号電極の電位よりも高
    く設定してメモリ性液晶に電圧を印加することを特徴と
    する液晶表示装置の駆動方法。
  8. 【請求項8】第一の段階および第二の段階で、一の液晶
    セルは、選択した走査電極に第一の電位または第二の電
    位を設定し、選択していない走査電極に第三の電位また
    は第四の電位を設定し、 他の液晶セルのうちの少なくとも一つの液晶セルは、 一の液晶セルが一の液晶セルの選択した走査電極に第一
    の電位を設定したときには、選択した走査電極に第二の
    電位を設定し、 一の液晶セルが一の液晶セルの選択した走査電極に第二
    の電位が設定したときには、選択した走査電極に第一の
    電位を設定し、 一の液晶セルが一の液晶セルの選択していない走査電極
    に第三の電位を設定したときには、選択していない走査
    電極に第四の電位を設定し、 一の液晶セルが一の液晶セルの選択していない走査電極
    に第四の電位を設定したときには、選択していない走査
    電極に第三の電位を設定する請求項7に記載の液晶表示
    装置の駆動方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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