JP2003172240A - 内燃機関の制御装置 - Google Patents

内燃機関の制御装置

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JP2003172240A
JP2003172240A JP2001373140A JP2001373140A JP2003172240A JP 2003172240 A JP2003172240 A JP 2003172240A JP 2001373140 A JP2001373140 A JP 2001373140A JP 2001373140 A JP2001373140 A JP 2001373140A JP 2003172240 A JP2003172240 A JP 2003172240A
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JP
Japan
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ignition timing
control
air
cylinder
fuel ratio
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Application number
JP2001373140A
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English (en)
Inventor
Takayuki Demura
隆行 出村
Masato Kaneko
理人 金子
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Toyota Motor Corp
Original Assignee
Toyota Motor Corp
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Publication date
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    • Y02TCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES RELATED TO TRANSPORTATION
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    • Y02T10/10Internal combustion engine [ICE] based vehicles
    • Y02T10/40Engine management systems

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  • Electrical Control Of Ignition Timing (AREA)
  • Exhaust Gas After Treatment (AREA)
  • Electrical Control Of Air Or Fuel Supplied To Internal-Combustion Engine (AREA)
  • Combined Controls Of Internal Combustion Engines (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】昇温制御時に触媒の昇温を効果的に行えなくな
ること、及び通常制御時にドライバビリティの悪化等が
生じることを抑制できるようにする。 【解決手段】電子制御装置10は、エンジン1を通常ど
おり運転制御する通常制御を実行することに加え、エン
ジン1の排気通路7に設けられたNOx 吸蔵還元触媒を
昇温させる昇温制御を実行する。この昇温制御は、エン
ジン1の各気筒#1〜#4のうち、一部の気筒での空燃
比をリッチにするとともに他の気筒での空燃比をリーン
にすることにより実現される。一方、点火時期の遅角側
についてのガードは、通常制御時にはガード値Gを用い
て行われ、昇温制御時にはガード値GR,GLを用いて
行われる。上記ガード値Gは通常制御時における点火時
期遅角の失火限界に対応する値として設定され、上記ガ
ード値GR,GLは昇温制御時における点火時期遅角の
失火限界に対応する値として設定される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、内燃機関の制御装
置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、自動車など車両に搭載される
内燃機関においては、その排気通路に排気を浄化するた
めの触媒として三元触媒やNOx 吸蔵還元触媒が設けら
れている。
【0003】上記三元触媒は、理論空燃比での混合気の
燃焼時(ストイキ燃焼時)に、排気中の炭化水素(H
C)、一酸化炭素(CO)、及び窒素酸化物(NOx )
について浄化を行うものである。また、NOx 吸蔵還元
触媒は、三元触媒ではNOx の浄化を行うことが困難な
理論空燃比よりもリーンな空燃比での混合気の燃焼時
(リーン燃焼時)に、排気中に含まれるNOx を吸蔵す
るものである。
【0004】NOx 吸蔵還元触媒に吸蔵されたNOx
は、所定のタイミングを見計らって一時的に理論空燃比
よりもリッチな空燃比の混合気を燃焼させる、いわゆる
リッチスパイク制御を実行することで、排気中の炭化水
素(HC)等と反応して窒素(N2 )に還元される。こ
うした還元によりNOx 吸蔵還元触媒に吸蔵されたNO
x の飽和が防止される。
【0005】これら三元触媒及びNOx 吸蔵還元触媒に
ついては、触媒温度が低いとき排気浄化能力が低下する
ため、必要な排気浄化能力を確保できる程度まで昇温す
る必要がある。また、NOx 吸蔵還元触媒については、
NOx ばかりでなく硫黄酸化物(SOx )等も付着して
NOx の吸蔵に悪影響を及ぼすため、当該SOx を除去
するために所定のタイミングを見計らって600℃程度
まで昇温する必要がある。なお、触媒を昇温させる方法
としては、例えば特開2000−227038公報に示
されるものが知られている。
【0006】同公報には、各気筒の空燃比を理論空燃比
とする通常制御を行うことに加え、触媒の昇温要求があ
るときには一部の気筒の空燃比をリッチにするとともに
他の気筒の空燃比をリーンにする昇温制御を行うことが
記載されている。こうした昇温制御を行うことにより、
排気通路でリッチ気筒からの排気中に含まれるHC及び
COが、リーン気筒からの排気中に含まれる酸素(O2
)により燃焼し、触媒の温度が必要とされる値まで上
昇させられる。
【0007】ところで、上記通常制御時と上記昇温制御
時とでは混合気の燃焼状態が異なることから、最適な燃
焼を得るための点火時期も通常制御時と昇温制御時とで
異なるものとなる。従って、内燃機関の点火時期は、通
常制御時と昇温制御時とで、各々最適な燃焼が得られる
よう制御されることとなる。また、この点火時期には車
両の加速ショック低減を意図した遅角補正など種々の補
正が加えられるため、最終的な点火時期が上記補正によ
り失火限界を越えて遅角されることのないよう、点火時
期を遅角側についてガードすることも行われている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上記点火時期の遅角側
についてのガードは、点火時期遅角の失火限界に基づき
設定されるガード値を用いて行われる。ただし、上述し
たように通常制御と昇温制御とでは燃焼状態が異なるこ
とから、点火時期遅角の失火限界についても通常制御と
昇温制御とでは異なるものとなる。即ち、昇温制御時に
は各気筒の空燃比がリッチ又はリーンとなるため、点火
時期の遅角が混合気の燃焼速度及び燃焼性の悪化に繋が
り易く、点火時期遅角の失火限界が通常制御時に比べて
進角側になる。
【0009】従って、上記ガード値を通常制御時におけ
る点火時期遅角の失火限界のみに対応して設定すると、
昇温制御時に点火時期が遅角補正されるとき、上記ガー
ド値によるガードが行われる前に、点火時期が失火限界
を越えて遅角してしまうおそれがある。そのため、この
場合には昇温制御時の各気筒における空燃比のリッチ側
又はリーン側への変更を制限し、混合気の燃焼を安定さ
せることで、昇温制御時における点火時期遅角の失火限
界を上記ガード値に対応して進角側に移行させなければ
ならなくなる。しかし、このように各気筒における空燃
比のリッチ側又はリーン側への変更を制限すると、リッ
チ気筒からの排気中に含まれるHC及びCO、並びにリ
ーン気筒からの排気中に含まれるO2 の量が少なくな
り、HC及びCOのO2 による燃焼に基づく触媒の昇温
を効果的に行えなくなる。
【0010】一方、上記ガード値を昇温制御時における
点火時期遅角の失火限界のみに対応して設定することも
考えられる。しかし、この場合には通常制御時に点火時
期が遅角側に制御されるとき、点火時期遅角の失火限界
に達する前に上記ガード値によるガードが行われる可能
性がある。このため、点火時期の遅角側への制御が上記
ガード値によって必要以上に制限され、それに伴いドラ
イバビリティの悪化などを招くことともなる。
【0011】本発明はこのような実情に鑑みてなされた
ものであって、その目的は、昇温制御時に触媒の昇温を
効果的に行えなくなること、及び通常制御時にドライバ
ビリティの悪化等が生じることを抑制できる内燃機関の
制御装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】以下、上記目的を達成す
るための手段及びその作用効果について記載する。上記
目的を達成するため、請求項1記載の発明では、排気通
路に触媒が設けられた多気筒内燃機関に適用され、各気
筒の空燃比を理論空燃比とする通常制御を行うことに加
え、前記触媒の昇温要求があるときには一部の気筒の空
燃比をリッチにするとともに他の気筒の空燃比をリーン
にする昇温制御を行う内燃機関の制御装置において、各
気筒の点火時期を遅角側についてガードすることにより
前記点火時期が過遅角となるのを防止する制限手段と、
前記通常制御が行われるときと前記昇温制御が行われる
ときとで、前記点火時期のガードに用いるガード値を各
々設定する設定手段とを備えた。
【0013】上記構成によれば、点火時期の遅角側につ
いてのガードに用いられるガード値を、通常制御時と昇
温制御時とで各々適切な異なる値に設定することができ
る。従って、上記ガード値を通常制御時の点火時期遅角
の失火限界のみに対応して設定した場合のように、昇温
制御時の点火時期遅角の失火限界を上記ガード値に対応
して進角側にすべく、同制御中の各気筒における空燃比
のリッチ側又はリーン側への変更を制限する必要はな
い。そのため、上記制限を行うことに伴い触媒の昇温を
効果的に行えなくなるのを抑制することができる。ま
た、上記ガード値を昇温制御時の点火時期遅角の失火限
界のみに対応して設定した場合のように、通常制御時の
点火時期の遅角が上記ガード値によって必要以上に制限
され、それに伴いドライバビリティの悪化等が生じるの
を抑制することができる。
【0014】請求項2記載の発明では、請求項1記載の
発明において、前記設定手段は、前記昇温制御の実行時
に空燃比がリッチにされる気筒とリーンにされる気筒と
のそれぞれに対して前記ガード値を各々設定するものと
した。
【0015】昇温制御の実行時において、空燃比がリッ
チにされる気筒とリーンにされる気筒とでは燃焼状態が
異なることから、空燃比がリッチにされる気筒での点火
時期遅角の失火限界と、空燃比がリーンにされる気筒で
の点火時期遅角の失火限界とは異なるものとなる。上記
構成によれば、昇温制御の実行時において、点火時期の
遅角側についてのガードに用いられるガード値を、空燃
比がリッチにされる気筒とリーンにされる気筒とで各々
適切な異なる値に設定することができ、各気筒で点火時
期の過遅角による失火が生じたり、点火時期の遅角が過
度に制限されたりしないようにすることができる。
【0016】請求項3記載の発明では、請求項1又は2
記載の発明において、前記設定手段は、前記通常制御時
及び前記昇温制御時に前記ガード値の設定を機関運転状
態に応じて行うものとした。
【0017】通常制御時と昇温制御時とのいずれの場合
も、機関運転状態に応じて点火時期遅角の失火限界が変
化する。上記構成によれば、点火時期の遅角側について
のガードに用いられる上記ガード値を、点火時期が過度
に遅角されたり点火時期の遅角が過度に制限されたりし
ないよう、機関運転状態に応じて適切に設定することが
できる。
【0018】請求項4記載の発明では、請求項1又は2
記載の発明において、前記設定手段は、前記通常制御が
行われるときのガード値を予め設定するとともに、前記
昇温制御が行われるときのガード値を前記予め設定され
たガード値に対し各気筒の空燃比に応じた補正を施すこ
とにより設定するものとした。
【0019】昇温制御の実行時には各気筒の空燃比がリ
ッチ側又はリーン側に設定されるが、こうして設定され
る空燃比のリッチ度合い又はリーン度合いが変更される
と、各気筒での燃焼状態が変化することから点火時期遅
角の失火限界も変化することとなる。上記構成によれ
ば、こうして点火時期遅角の失火限界が変化したとして
も、昇温制御時には各気筒の空燃比に応じた補正によっ
てガード値の設定が行われるため、同ガード値を各気筒
で点火時期が過度に遅角されたり、点火時期の遅角が過
度に制限されたりしないよう適切に設定することができ
る。
【0020】請求項5記載の発明では、請求項4記載の
発明において、前記設定手段は、前記通常制御時に前記
ガード値の設定を機関運転状態に応じて行うものとし
た。通常制御時と昇温制御時とのいずれの場合も、機関
運転状態に応じて点火時期遅角の失火限界が変化する。
上記構成によれば、通常制御時には点火時期の遅角側に
ついてのガードを、機関運転状態に応じて予め設定され
たガード値を用いることで、点火時期が過度に遅角され
たり点火時期の遅角が過度に制限されたりしないよう適
切に行うことができる。また、昇温制御時には点火時期
の遅角側についてのガードを、上記予め設定されたガー
ド値を補正して得られる昇温制御時のガード値を用いる
ことで、点火時期が過度に遅角されたり点火時期の遅角
が過度に制限されたりしないよう適切に行うことができ
る。このように通常制御時と昇温制御時とのいずれの場
合も、機関運転状態に応じて適切に点火時期の遅角側に
ついてのガードを行うことができるようになる。
【0021】
【発明の実施の形態】[第1実施形態]以下、本発明を
自動車用の直列四気筒エンジンに適用した第1実施形態
を図1〜図5に従って説明する。
【0022】図1に示されるエンジン1においては、各
気筒#1〜#4の燃焼室2に吸気通路3から空気が吸入
されるとともに燃料噴射弁4から燃焼室2内に燃料が噴
射供給され、それら空気及び燃料からなる混合気に対し
燃焼室2内で点火プラグ5による点火が行われる。この
点火により燃焼室2内の混合気が燃焼し、そのときの燃
焼エネルギによりエンジン1が駆動され、同エンジン1
の出力軸であるクランクシャフト6が回転するようにな
る。また、燃焼室2で燃焼した後の混合気は、排気とし
て排気通路7に送り出される。
【0023】エンジン1における混合気の燃焼形態は、
エンジン運転状態に応じて、空気に対し燃料が均等に混
合された均質混合気を燃焼させる「均質燃焼」と、点火
プラグ5周りのみに可燃混合気が存在する成層混合気を
燃焼させる「成層燃焼」との間で切り換えられる。例え
ば、高い出力が要求される高回転高負荷時には、各気筒
#1〜#4に対しエンジン1の高出力を得やすい理論空
燃比での均質燃焼が実行され、あまり高い出力が要求さ
れない低回転低負荷時には、各気筒#1〜#4に対しエ
ンジン1の燃費改善を図るべくリーンな空燃比での成層
燃焼が実行される。
【0024】エンジン1の排気通路7には、理論空燃比
での混合気の燃焼時に排気中の炭化水素(HC)、一酸
化炭素(CO)、及び窒素酸化物(NOx )について浄
化を行う三元触媒8が設けられている。また、排気通路
7において三元触媒8よりも下流には、同三元触媒8で
は排気中のNOx について浄化を行うことが困難なリー
ンな空燃比での混合気の燃焼時に、排気中のNOx につ
いて浄化を行うNOx吸蔵還元触媒9が設けられてい
る。NOx 吸蔵還元触媒9は、リーンな空燃比の混合気
の燃焼時に排気中のNOx を一時的に吸蔵し、理論空燃
比よりもリッチな空燃比での混合気の燃焼が行われたと
き、上記吸蔵したNOx を排気中のHC等によって窒素
(N2 )に還元する。
【0025】エンジン1において、燃料噴射弁4から噴
射される燃料量、及び点火プラグ5による点火の時期
は、エンジン1を運転制御すべく自動車に搭載された電
子制御装置10によって制御される。また、電子制御装
置10には、以下に示される各種センサ、即ち、 ・自動車の運転者によって操作されるアクセルペダル1
1の踏み込み量(アクセル踏込量)を検出するアクセル
ポジションセンサ12、 ・吸気通路3の上流部分に設けられ、アクセル踏込量等
に基づき開閉されるスロットルバルブ13の開度(スロ
ットル開度)を検出するスロットルポジションセンサ1
4、 ・吸気通路3におけるスロットルバルブ13よりも下流
側の圧力(吸気圧)を検出するバキュームセンサ15、 ・クランクシャフト6の回転に対応した信号を出力する
クランクポジションセンサ16、 ・排気通路7においてNOx 吸蔵還元触媒9の上流を通
過する排気中の酸素濃度に対応した信号を出力する空燃
比センサ17、 等々からの信号が入力される。
【0026】電子制御装置10は、リーンな空燃比での
混合気の燃焼時にNOx 吸蔵還元触媒9に吸蔵されるN
Ox が飽和しないよう、所定のタイミングを見計らって
上記NOx をNOx 吸蔵還元触媒9から除去するための
リッチスパイク制御を実行する。このリッチスパイク制
御においては、一時的に理論空燃比よりもリッチな空燃
比での混合気の燃焼(リッチ燃焼)が行われ、このリッ
チ燃焼中の排気に含まれるHC等により上記NOx がN
2 に還元されてNOx 吸蔵還元触媒9から除去される。
【0027】また、NOx 吸蔵還元触媒9には、NOx
だけでなく硫黄酸化物(SOx )等も吸蔵されることと
なる。この場合、NOx 吸蔵還元触媒9において、本来
NOx が吸蔵されるべきところにSOx 等が吸蔵される
ため、NOx 吸蔵能力が低下することとなる。NOx 吸
蔵還元触媒9に吸蔵されたSOx 等を離脱させるには、
同触媒9を600℃程度まで昇温した状態で排気中の酸
素濃度を低下させる必要がある。従って、電子制御装置
10は、エンジン1を通常運転させる上述した制御(通
常制御)を実行することに加え、NOx 吸蔵還元触媒9
を上記のように昇温させるべく、一部の気筒での空燃比
をリッチにするとともに他の気筒での空燃比をリーンに
する昇温制御を実行する。
【0028】ここで、上記昇温制御について詳しく説明
する。こうした昇温制御は、以下に示される[1]、
[2]の条件、即ち、[1]各気筒毎に空燃比をリッチ
又はリーンにしてもエンジン運転状態が悪化しない運転
域にあること、[2]NOx 吸蔵還元触媒9におけるS
Ox 吸蔵量Si が上限値に達していること、といった条
件がすべて成立したときに実行される。
【0029】上記[2]で用いられるSOx 吸蔵量Si
は、燃料噴射弁4からの燃料噴射に対応した所定周期毎
に以下の式(1)を用いて算出される。 Si =Si-1 +SU+SD …(1) Si :今回のSOx 吸蔵量 Si-1 :前回のSOx 吸蔵量 SU :SOx 増加量 SD :SOx 減少量 式(1)において、前回のSOx 吸蔵量Si-1 は、所定
周期毎に算出されるSOx 吸蔵量において、今回のSO
x 吸蔵量Si を算出する一回前の算出タイミングで算出
されたものであり、初回のSOx 吸蔵量Si の算出時に
は「0」に設定されるものである。
【0030】式(1)のSOx 増加量SUは、一回の燃
料噴射での燃料に含まれる硫黄(S)によるSOx 吸蔵
量の増加分を表している。このSOx 増加量SUを算出
するために、まず所定周期毎に算出される燃料噴射量の
指令値Qfin 、即ち一回の燃料噴射で噴射される燃料量
の指令値に対し、予め定められた値である燃料中の硫黄
濃度Nを「100」で除算した値(「N/100」)が
乗算される。その結果として得られる値(Qfin ・(N
/100))は、上記一回の燃料噴射で噴射される燃料
に含まれる硫黄量に対応した値となる。この値(Qfin
・(N/100))に対し硫黄量というパラメータをS
Ox 吸蔵量というパラメータに変換するための係数Kを
乗算することで、上記SOx 増加量SU求められる。
【0031】上記係数Kは、空燃比センサ17からの検
出信号に基づき求められる空燃比A/Fと、所定の計算
式から算出されるNOx 吸蔵還元触媒9の触媒温度Tと
に基づきマップを参照して求められる。こうして求めら
れる係数Kは、空燃比A/Fが理論空燃比よりもリーン
側の値であるとき、リーンになるほど且つ触媒温度Tが
高くなるほど大きくなる。なお、触媒温度Tを算出する
ための上記計算式では、クランクポジションセンサ16
からの検出信号に基づき求められるエンジン回転速度N
Eと、エンジン1の吸入空気量等から求められる体積効
率ηとが用いられる。
【0032】式(1)のSOx 減少量SDは、空燃比A
/F及び触媒温度Tに基づきマップから求められ、その
空燃比A/F及び触媒温度TであるときのSOx 吸蔵量
の減少分、即ちNOx 吸蔵還元触媒9からのSOx の離
脱量を表している。そして、SOx 減少量SDは、空燃
比A/Fがリッチ側の値であるときには触媒温度Tが高
く且つリッチになるほど「0」よりも小さい値になり、
空燃比A/Fが理論空燃比よりもリーン側の値であると
きには「0」に維持される。
【0033】上記[1]、[2]の各条件が全て成立し
て昇温制御が開始されると、例えば一番気筒#1及び四
番気筒#4といった一部の気筒における目標空燃比が理
論空燃比よりもリッチ側に設定され、このリッチな目標
空燃比が得られるよう燃料噴射量が増量される。更に、
二番気筒#2及び三番気筒#3といった他の気筒につい
ては、その目標空燃比が理論空燃比よりもリーン側に設
定され、このリーンな目標空燃比が得られるよう燃料噴
射量が減量される。なお、昇温制御時における各気筒#
1〜#4毎の目標空燃比は、負荷率KL及びエンジン回
転速度NEなどエンジン運転状態に応じて、その状態に
適した値となるよう可変設定することが可能である。
【0034】各気筒#1〜#4での空燃比が上記のよう
にリッチ側又はリーン側に変更されると、排気通路7で
一番及び四番気筒#1,#4(リッチ気筒)からの排気
中に含まれるHC及びCOが、二番及び三番気筒#2,
#3(リーン気筒)からの排気中に含まれるO2 によっ
て燃焼する。その結果、NOx 吸蔵還元触媒9が600
℃程度まで昇温されるとともに排気中の酸素濃度が低く
なり、同触媒9からSOx 等が離脱させられるようにな
る。
【0035】こうしたSOx の離脱が行われるときに
は、式(1)から求められるSOx 吸蔵量Si が減少す
る。そして、SOx 吸蔵量Si が上記[2]で用いられ
る上限量よりも少ない値である許容量未満まで低下する
と、上記昇温制御が停止されてエンジン1の制御が通常
制御へと移行する。
【0036】次に、通常制御時及び昇温制御時における
エンジン1の点火時期制御の概要について説明する。エ
ンジン1の点火時期は、通常制御時と昇温制御時とのい
ずれの場合も、混合気の良好な燃焼が得られるよう電子
制御装置10を通じて制御される。電子制御装置10
は、通常制御時には最終点火時期Afを用いて点火時期
制御を行い、昇温制御時にはリッチ気筒で最終点火時期
AfRを用いて点火時期制御を行うとともにリーン気筒
で最終点火時期AfLを用いて点火時期制御を行う。
【0037】上記最終点火時期Af,AfR,AfL
は、それぞれ以下の式(2)〜(4)によって算出され
る。 Af =Ab +A3 …(2) AfR=AbR+A1 …(3) AfL=AbL+A2 …(4) Af,AfR,AfL:最終点火時期 Ab,AbR,AbL:基本点火時期 A1,A2,A3 :補正値 上記各式で用いられる基本点火時期Ab,AbR,Ab
Lは、最良な燃焼状態を得ることの可能な理論上の点火
時期であって、負荷率KL及びエンジン回転速度NEと
いったエンジン運転状態に基づき求められるものであ
る。ここで、負荷率KLは、エンジン1の最大機関負荷
に対する現在の負荷割合を示す値であって、エンジン1
の吸入空気量に対応するパラメータとエンジン回転速度
NEとから算出される。なお、吸入空気量に対応するパ
ラメータとしては、バキュームセンサ15からの検出信
号に基づき求められる吸気圧、スロットルポジションセ
ンサ14からの検出信号に基づき求められるスロットル
開度、及びアクセルポジションセンサ12からのアクセ
ル踏込量等があげられる。
【0038】通常制御時の基本点火時期Abと昇温制御
時の基本点火時期AbR,AbLとは、通常制御時と昇
温制御時とで混合気の燃焼状態が異なることから、負荷
率KL及びエンジン回転速度NEが同じであっても異な
る値となる。また、昇温制御時におけるリッチ気筒での
基本点火時期AbRとリーン気筒における基本点火時期
AbLについても、リッチ気筒とリーン気筒とでは混合
気の燃焼状態が異なることから、負荷率KL及びエンジ
ン回転速度NEが同じであっても異なる値となる。
【0039】また、上記各式において補正値A1,A
2,A3は、点火時期を補正するためのものであって、
例えば自動車の加速ショック低減のためにエンジン1の
出力トルクを低下させる際には、点火時期を遅角させる
側の値をとるようになる。ただし、こうした点火時期の
遅角補正は、通常制御時での成層燃焼中には行われな
い。これは、成層燃焼が行われているときには成層混合
気中の可燃混合気が点火プラグ周りに存在するときに点
火を行わなければならず、点火時期を過度に補正すると
上記のようなタイミングで点火を行うことができなくな
り、良好な燃焼が得られなくなるためである。
【0040】従って、通常制御時での成層燃焼中に、自
動車の加速ショック低減等の理由によりエンジン1の出
力トルクを低下させる際には、点火時期を遅角させるの
ではなく燃料噴射量を減少させることで上記出力トルク
の低下が実現される。また、通常制御時であっても理論
空燃比での均質燃焼中には、上記出力トルクの低下が補
正値A3による点火時期の遅角補正によって実現され
る。
【0041】ところで、昇温制御時と通常制御時とのい
ずれの場合も、上記補正値A1,A2,A3によって点
火時期が失火限界を越えて遅角側に補正されるおそれが
ある。そのため、点火時期が失火限界を越えて遅角され
ることのないよう、最終点火時期Af,AfR,AfL
をガード値を用いて遅角側についてガードすることも行
われる。
【0042】ただし、上述したように通常制御時と昇温
制御時とでは、燃焼状態が異なることから、点火時期遅
角の失火限界についても通常制御時と昇温制御時とでは
異なるものとなる。即ち、昇温制御時には各気筒#1〜
#4の空燃比がリッチ又はリーンとなるため、点火時期
の遅角が混合気の燃焼速度及び燃焼性の悪化に繋がり易
く、点火時期遅角の失火限界が通常制御時の均質燃焼中
に比べて進角側になる。
【0043】仮に、上記ガード値を通常制御時の均質燃
焼中における点火時期の失火限界のみに対応して設定す
ると、昇温制御時に点火時期が補正値A1,A2によっ
て遅角補正されるとき、上記ガード値によるガードが行
われる前に点火時期が失火限界を越えて遅角してしまう
おそれがある。そのため、この場合には昇温制御時の各
気筒#1〜#4における空燃比のリッチ側又はリーン側
への変更を制限し、混合気の燃焼を安定させることで、
昇温制御時における点火時期遅角の失火限界を遅角側に
移行させて上記ガード値に対応させなければならなくな
る。
【0044】しかし、このように各気筒#1〜#4にお
ける空燃比のリッチ側又はリーン側への変更を制限する
と、リッチ気筒からの排気中に含まれるHC及びCO、
並びにリーン気筒からの排気中に含まれるO2 の量が少
なくなる。そのため、HC及びCOのO2 による燃焼に
基づくNOx 吸蔵還元触媒9の昇温を効果的に行えなく
なるという問題が生じる。
【0045】また、上記ガード値を昇温制御時における
点火時期遅角の失火限界のみに対応して設定することも
考えられる。昇温制御時のリッチ気筒とリーン気筒とで
は、リーン気筒の方がリッチ気筒に比べて燃焼速度及び
燃焼性について悪化し易い傾向がある。そのため、点火
時期遅角の失火限界もリーン気筒の方がリッチ気筒より
も進角側になり、このことを考慮して昇温制御時のガー
ド値を例えば当該リーン気筒での点火時期遅角の失火限
界に対応して設定することが考えられる。
【0046】しかし、この場合には通常制御時の均質燃
焼中に点火時期が遅角側に制御されるとき、点火時期遅
角の失火限界に達する前に上記ガード値によるガードが
行われる可能性がある。このため、通常制御時における
点火時期の遅角側への制御が上記ガード値によって必要
以上に制限され、それに伴いドライバビリティの悪化な
どを招くことともなる。
【0047】以上のような実情に鑑みて、本実施形態で
は、上記ガード値を通常制御時と昇温制御時とで各々設
定し、同ガード値が通常制御時と昇温制御時とのいずれ
の場合でも適切な値となるようにする。これにより、昇
温制御時に各気筒#1〜#4での空燃比のリッチ側又は
リーン側への変更が制限されてNOx 吸蔵還元触媒9の
昇温を効果的に行えなくなることや、通常制御時に点火
時期の遅角が必要以上に制限されてドライバビリティ悪
化等が生じることが抑制されるようになる。
【0048】次に、上記最終点火時期Af,AfR,A
fLの算出手順について、点火時期算出ルーチンを示す
図2のフローチャートを参照して説明する。この点火時
期算出ルーチンは、電子制御装置10を通じて例えば所
定クランク角毎の角度割り込みにて実行される。
【0049】点火時期算出ルーチンにおいて、NOx 吸
蔵還元触媒9からSOx を離脱させるための昇温制御中
でなければ(S101:NO)、通常制御中の点火時期
制御に用いられる最終点火時期Afを算出するための処
理が実行される(S106〜S109)。
【0050】ここでは、上述した基本点火時期Abの算
出(S106)、及び上記式(2)に基づく最終点火時
期Afの算出(S107)が順次行われる。最終点火時
期Afを算出する際に用いられる補正値A3は、成層燃
焼中には点火時期を過度に進角又は遅角させるような値
をとることはないが、理論空燃比での均質燃焼中には例
えば自動車の加速ショック低減のためにエンジン1の出
力トルクを低下させるとき等に点火時期を比較的大きく
遅角させる値をとるようになる。
【0051】続いてステップS108では、通常制御時
における点火時期の遅角側についてのガードに用いられ
るガード値Gが、負荷率KL及びエンジン回転速度NE
といったエンジン運転状態に基づき図3のマップを参照
して算出される。こうして算出されるガード値Gは、理
論空燃比での均質燃焼時における点火時期遅角の失火限
界に対応したものとなり、通常制御時における点火時期
の遅角側についてのガード値として設定される。なお、
通常制御時のガード値を理論空燃比での均質燃焼時にお
ける点火時期遅角の失火限界に対応したものとして設定
するのは、通常制御時の成層燃焼中には燃焼状態が悪化
するほど点火時期が過度に進角側や遅角側に補正される
ことはないためである。
【0052】通常制御時のガード値Gは、図3から明ら
かなように、負荷率KLを一定とした条件のもとでは、
エンジン回転速度NEが大となるほど点火時期を進角側
でガードする値となるよう推移する。これは、エンジン
回転速度NEが大となるほど、混合気を燃焼させるのに
用いることのできる期間が短くなり、点火時期を過度に
遅角すると上記期間中に混合気の燃焼が終了しなくなっ
て、燃焼状態が悪化するおそれがあるためである。
【0053】通常制御時のガード値Gが算出された後、
このガード値Gを用いて通常制御時の最終点火時期Af
を遅角側についてガードするための処理が行われる(S
109)。
【0054】この処理により、上記最終点火時期Afが
ガード値Gよりも遅角側の値であれば、ガード値Gが新
たな最終点火時期Afとして設定されて点火時期制御に
用いられることとなる。一方、ステップS107で算出
された最終点火時期Afがガード値Gよりも進角側の値
であれば、同最終点火時期Afがそのまま点火時期制御
に用いられる。
【0055】従って、通常制御時における理論空燃比で
の均質燃焼中に、例えば自動車の加速ショック低減のた
めに点火時期の遅角補正によってエンジン1の出力トル
クを低下させるとき、点火時期が失火限界を越えて遅角
側に補正されることは、上記ガード値Gによる最終点火
時期Afのガードによって的確に抑制される。
【0056】点火時期算出ルーチンにおいて、NOx 吸
蔵還元触媒9からSOx を離脱させるための昇温制御中
であれば(S101:YES)、昇温制御中の点火時期
制御に用いられる最終点火時期AfR,AfLを算出す
るための処理が実行される(S102〜S105)。
【0057】ここでは、上述した基本点火時期AbR,
AbLの算出(S102)、及び上記式(3),(4)
に基づく最終点火時期AfR,AfLの算出(S10
3)が順次行われる。これら最終点火時期AfR,Af
Lを算出する際に用いられる補正値A1,A2は、例え
ば自動車の加速ショック低減のためにエンジン1の出力
トルクを低下させるとき等に点火時期を比較的大きく遅
角させる値をとるようになる。
【0058】続いてステップS104の処理では、昇温
制御時における点火時期の遅角側についてのガードに用
いられるガード値GR,GLが、負荷率KL及びエンジ
ン回転速度NEといったエンジン運転状態に基づき、図
4及び図5のマップを参照して算出される。こうして算
出されるガード値GRは、昇温制御時のリッチ気筒にお
ける点火時期遅角の失火限界に対応したものとなり、当
該リッチ気筒での点火時期の遅角側についてのガード値
として設定される。また、ガード値GLは、昇温制御時
のリーン気筒における点火時期の失火限界に対応したも
のとなり、当該リーン気筒での点火時期の遅角側につい
てのガード値として設定される。
【0059】上記ガード値GR,GLは、図4及び図5
から明らかなように、上述した通常制御時のガード値G
と同じく、負荷率KLを一定とした条件のもとでは、エ
ンジン回転速度NEが大となるほど点火時期を進角側で
ガードする値となるよう推移する。これは、通常制御時
のガード値Gが図3に示されるように推移するのと同様
の理由による。
【0060】ただし、昇温制御時のガード値GR,GL
と通常制御時のガード値Gとを比較してみると、ガード
値GR,GLは負荷率KL及びエンジン回転速度NEが
同じであることを条件にガード値Gよりも点火時期を進
角側でガードする値をとるようになる。これは、昇温制
御時のリッチ気筒及びリーン気筒では、空燃比が理論空
燃比に対してリッチ又はリーンとなるため、点火時期の
遅角が混合気の燃焼速度及び燃焼性の悪化に繋がり易
く、点火時期遅角の失火限界が通常制御時に比べて進角
側になるためである。
【0061】また、昇温制御時におけるリッチ気筒での
ガード値GRとリーン気筒でのガード値GLとを比較し
てみると、ガード値GLは負荷率KL及びエンジン回転
速度NEが同じであることを条件にガード値GRよりも
点火時期を進角側でガードする値をとるようになる。こ
れは、昇温制御時のリーン気筒は、点火時期の遅角によ
る燃焼速度及び燃焼性の悪化がリッチ気筒よりも大とな
る傾向があり、点火時期遅角の失火限界がリッチ気筒に
比べて進角側になるためである。
【0062】昇温制御時のガード値GR,GLが算出さ
れた後、このガード値GR,GLを用いて昇温制御時の
点火時期を遅角側についてガードするための処理が行わ
れる(S105)。
【0063】この処理により、リッチ気筒に対応した最
終点火時期AfRがガード値GRよりも遅角側の値であ
れば、ガード値GRが新たな最終点火時期AfRとして
設定されてリッチ気筒での点火時期制御に用いられるこ
ととなる。一方、ステップS103で算出された最終点
火時期AfRがガード値GRよりも進角側の値であれ
ば、同最終点火時期AfRがそのままリッチ気筒での点
火時期制御に用いられる。
【0064】また、リーン気筒に対応した最終点火時期
AfLがガード値GLよりも遅角側の値であれば、ガー
ド値GLが新たな最終点火時期AfLとして設定されて
リーン気筒での点火時期制御に用いられることとなる。
一方、ステップS103で算出された最終点火時期Af
Lがガード値GLよりも進角側の値であれば、同最終点
火時期AfLがそのままリーン気筒での点火時期制御に
用いられる。
【0065】従って、昇温制御時に、例えば自動車の加
速ショック低減のために点火時期の遅角補正によってエ
ンジン1の出力トルクを低下させるとき、リッチ気筒及
びリーン気筒で点火時期が失火限界を越えて遅角側に補
正されることは、上記ガード値GR,GLによる最終点
火時期AfR,AfLのガードによって的確に抑制され
る。
【0066】以上詳述した本実施形態によれば、以下に
示す効果が得られるようになる。 (1)点火時期の遅角側についてのガードは、通常制御
時にはガード値Gを用いて行われ、昇温制御時にはガー
ド値GR,GLを用いて行われる。そして、上記ガード
値Gは通常制御時(理論空燃比での均質燃焼時)におけ
る点火時期遅角の失火限界に対応する値として設定さ
れ、上記ガード値GR,GLは昇温制御時における点火
時期遅角の失火限界に対応する値として設定される。従
って、点火時期の遅角側についてのガードを行うガード
値を、例えば上記通常制御時における点火時期遅角の失
火限界のみに対応した値に固定した場合のように、昇温
制御時の点火時期遅角の失火限界を上記ガード値に対応
して進角側にすべく、同制御中の各気筒における空燃比
のリッチ側又はリーン側への変更を制限する必要はな
い。このため、当該制限によりリッチ気筒からの排気中
に含まれるHC及びCOの量が減少したり、リーン気筒
からの排気中に含まれるO2 の量が減少したりして、排
気通路7での上記HC及びCOのO2 による燃焼に基づ
くNOx 吸蔵還元触媒9の昇温を効果的に行えなくなる
のを抑制することができる。また、上記ガード値を、昇
温制御時における点火時期遅角の失火限界に対応した値
に固定した場合のように、通常制御時の点火時期の遅角
が上記ガード値によって必要以上に制限され、それに伴
いドライバビリティの悪化等が生じるのを抑制すること
ができる。
【0067】(2)昇温制御中であっても、リッチ気筒
とリーン気筒とでは、混合気の燃焼状態が異なり、リー
ン気筒の方がリッチ気筒に比べて点火時期の遅角による
燃焼速度及び燃焼性の悪化が生じやすい傾向にある。こ
のことを考慮して、昇温制御時のリッチ気筒に対応する
上記ガード値GRは当該リッチ気筒での点火時期遅角の
失火限界に対応した値に設定され、リーン気筒に対応す
る上記ガード値GLは当該リーン気筒での点火時期遅角
の失火限界に対応した値に設定される。従って、昇温制
御時に、リッチ気筒とリーン気筒とのいずれにおいて
も、点火時期の過遅角による失火が生じたり、点火時期
の遅角がガード値を用いたガードによって過度に制限さ
れたりしないようにすることができる。
【0068】(3)上記ガード値G,GR,GLは、そ
れぞれ負荷率KL及びエンジン回転速度NEといったエ
ンジン運転状態に応じて設定される。そのため、エンジ
ン運転状態に応じて通常制御時及び昇温制御時における
点火時期遅角の失火限界が変化したとしても、点火時期
の遅角側についてのガードに用いられるガード値を、点
火時期が過度に遅角されたり点火時期の遅角が過度に制
限されたりしないよう、エンジン運転状態に応じて適切
に設定することができる。
【0069】[第2実施形態]次に、本発明の第2実施
形態について図6〜図8を参照して説明する。この実施
形態は、昇温制御時において、負荷率KL及びエンジン
回転速度NEに基づき予め定められた図3のマップを参
照して通常制御時のガード値Gを求め、このガード値G
に対し後述する補正値A4,A5による補正を施して昇
温制御時のガード値GR,GLを求めるようにしたもの
である。
【0070】図6は、本実施形態の点火時期算出ルーチ
ンを示すフローチャートである。この点火時期算出ルー
チンにおいて、昇温制御中でなければ(S201:N
O)、第1実施形態と同様に通常制御中の点火時期制御
に用いられる最終点火時期Afが算出される(S207
〜S210)。一方、昇温制御中であれば(S201:
YES)、昇温制御中の点火時期制御に用いられる最終
点火時期AfR,AfLを算出するための処理が実行さ
れる(S202〜S206)。
【0071】ここでは、基本点火時期AbR,AbLの
算出(S202)、及び最終点火時期AfR,AfLの
算出(S203)が順次行われる。その後、負荷率KL
及びエンジン回転速度NEといったエンジン運転状態に
基づき、予め設定された図3のマップを参照して通常制
御時のガード値Gが算出される(S204)。このガー
ド値Gに対し、下記の式(5),(6)で示されるよう
に、上記補正値A4,A5での補正を施すことにより、
昇温制御時のガード値GR,GLが算出される(S20
5)。
【0072】GR=G+A4 …(5) GL=G+A5 …(6) GR:リッチ気筒で用いられるガード値 GL:リーン気筒で用いられるガード値 G :通常制御時のガード値 A4:補正値 A5:補正値 こうして式(5)から算出されるガード値GRは、昇温
制御時のリッチ気筒における点火時期の失火限界に対応
したものとなり、当該リッチ気筒での点火時期の遅角側
についてのガード値として設定される。また、式(6)
から算出されるガード値GLは、昇温制御時のリーン気
筒における点火時期の失火限界に対応したものとなり、
当該リーン気筒での点火時期の遅角側についてのガード
値として設定される。
【0073】上記補正値A4は、リッチ気筒で用いられ
るガード値GRを算出するために用いられるものであっ
て、昇温制御時におけるリッチ気筒での空燃比に応じて
求められる。このリッチ気筒での空燃比の変化に対する
補正値A4の推移を図7のグラフに示す。同図から明ら
かなように、補正値A4は、リッチ気筒での空燃比がリ
ッチ側に変化するほど、式(5)から算出されるガード
値GRが点火時期を進角側でガードする値となるよう推
移する。これは、リッチ気筒においては、空燃比がリッ
チになるほど燃焼速度及び燃焼性が悪化し、点火時期遅
角の失火限界が進角側になるためである。
【0074】また、上記補正値A5は、リーン気筒で用
いられるガード値GLを算出するために用いられるもの
であって、昇温制御時におけるリーン気筒での空燃比に
応じて求められる。このリーン気筒での空燃比の変化に
対する補正値A5の推移を図8のグラフに示す。同図か
ら明らかなように、補正値A5は、リーン気筒での空燃
比がリーン側に変化するほど、式(6)から算出される
ガード値GLが点火時期を進角側でガードする値となる
よう推移する。これは、リーン気筒においては、空燃比
がリーンになるほど燃焼速度及び燃焼性が悪化し、点火
時期遅角の失火限界が進角側になるためである。
【0075】なお、補正値A4,A5を求めるための上
記空燃比としては、負荷率KL及びエンジン回転速度N
Eといったエンジン運転状態に基づき可変設定されるリ
ッチ気筒の目標空燃比や、リッチ気筒から排気が排出さ
れたときの空燃比センサ17からの検出信号に基づき求
められる空燃比A/Fを採用することができる。
【0076】昇温制御時のガード値GR,GLが算出さ
れた後、このガード値GR,GLを用いて昇温制御時の
点火時期を遅角側についてガードするための処理が行わ
れる(S206)。
【0077】以上詳述した本実施形態によれば、第1実
施形態に記載した(1)及び(2)の効果に加え、以下
に示す効果が得られるようになる。 (4)昇温制御時には各気筒#1〜#4の空燃比がエン
ジン運転状態に応じてリッチ側又はリーン側に変更され
る。また、昇温制御時に、エンジン運転状態の変化に伴
いリッチ気筒でのリッチ度合い、及びリーン気筒でのリ
ーン度合いが変更されると、それに応じて各気筒#1〜
#4での燃焼状態も変化することから、点火時期遅角の
失火限界も変化することとなる。このように失火限界が
変化したとしても、昇温制御時の点火時期のガード値G
R,GLは各気筒#1〜#4の空燃比に応じて変化する
補正値A4,A5に基づき設定されるため、同ガード値
GR,GLを各気筒#1〜#4で点火時期が過度に遅角
されたり点火時期の遅角が過度に抑制されたりしないよ
う適切に設定することができる。
【0078】(5)通常制御時と昇温制御時とのいずれ
の場合も、負荷率KL及びエンジン回転速度NEといっ
たエンジン運転状態に応じて、点火時期遅角の失火限界
が変化することとなる。しかし、通常制御時には点火時
期の遅角側についてのガードが、負荷率KL及びエンジ
ン回転速度NEに応じて予め設定された図3のマップよ
り求められるガード値Gを用いて、点火時期が過度に遅
角されたり点火時期の遅角が過度に制限されたりしない
よう適切に行われる。また、昇温制御時には点火時期の
遅角側についてのガードが、上記ガード値Gを補正値A
4,A5で補正して得られるガード値GR,GLを用い
て、点火時期が過度に遅角されたり点火時期の遅角が過
度に制限されたりしないよう適切に行われる。従って、
通常制御時と昇温制御時とのいずれの場合も、エンジン
運転状態に応じて適切に点火時期の遅角側についてのガ
ードを行うことができるようになる。
【0079】なお、上記各実施形態は、例えば以下のよ
うに変更することもできる。 ・第1実施形態において、負荷率KL及びエンジン回転
速度NEといったエンジン運転状態に応じてガード値
G,GR,GLを可変設定したが、これら各ガード値
G,GR,GLを固定値としてもよい。このときの固定
値としては、ガード値G,GR,GLを上記のように可
変設定した場合であって、点火時期の遅角側についての
ガードが最も進角側で行われるときの各ガード値G,G
R,GLの値を採用することが考えられる。
【0080】・第2実施形態において、負荷率KL及び
エンジン回転速度NEといったエンジン運転状態に応じ
てガード値Gを可変設定したが、このガード値Gを固定
値としてもよい。このときの固定値としては、ガード値
Gを上記のように可変設定した場合であって、点火時期
の遅角側についてのガードが最も進角側で行われるとき
のガード値Gを採用することが考えられる。
【0081】・第2実施形態において、ガード値GR,
GLを算出するための補正値A4,A5を、リッチ気筒
及びリーン気筒での空燃比に応じて可変となる値とした
が、これに代えて補正値A4,A5を固定値としてもよ
い。このときの固定値としては、実験等によって求めら
れる最適値を採用することが考えられる。
【0082】・上記各実施形態では、NOx 吸蔵還元触
媒9からSOx を離脱させるための昇温制御に本発明を
適用したが、これに代えて触媒が冷えた状態にあるとき
に排気浄化能力を速やかに確保するために触媒を昇温す
る昇温制御に本発明を適用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態の制御装置が適用されるエンジン
の略図。
【図2】第1実施形態の最終点火時期の算出手順を示す
フローチャート。
【図3】通常制御時のガード値Gを算出する際に用いら
れるマップ
【図4】昇温制御時のリッチ気筒に対応したガード値G
Rを算出するのに用いられるマップ
【図5】昇温制御時のリーン気筒に対応したガード値G
Lを算出するのに用いられるマップ
【図6】第2実施形態の最終点火時期の算出手順を示す
フローチャート。
【図7】昇温制御時のリッチ気筒での目標空燃比の変化
に対する補正値A4の推移を示すグラフ。
【図8】昇温制御時のリーン気筒での目標空燃比の変化
に対する補正値A5の推移を示すグラフ。
【符号の説明】
1…エンジン、#1…一番気筒、#2…二番気筒、#3
…三番気筒、#4…四番気筒、2…燃焼室、3…吸気通
路、4…燃料噴射弁、5…点火プラグ、6…クランクシ
ャフト、7…排気通路、8…三元触媒、9…NOx 吸蔵
還元触媒、10…電子制御装置、11…アクセルペダ
ル、12…アクセルポジションセンサ、13…スロット
ルバルブ、14…スロットルポジションセンサ、15…
バキュームセンサ、16…クランクポジションセンサ、
17…空燃比センサ。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) F02D 43/00 301 F02D 43/00 301E F02P 5/15 E Fターム(参考) 3G022 AA09 CA02 DA02 EA01 FA06 GA05 GA07 GA08 3G084 AA04 BA09 BA13 BA17 CA02 CA05 DA00 DA10 DA11 FA10 FA11 FA29 FA38 3G091 AA02 AA12 AA13 AA17 AA24 AA28 AB03 AB06 BA00 BA02 BA11 BA14 BA15 BA19 CB02 CB05 DA01 DA02 DA10 DB10 EA00 EA06 EA07 FA04 FA18 FB10 FB11 FB12 FC04 FC07 HA08 HA19 3G301 HA01 HA04 HA06 HA16 HA18 JA04 JA21 JA23 JA25 JA26 JA33 LA00 LB04 MA00 MA01 MA11 NA06 NA08 NC02 NE11 NE12 NE13 NE14 NE18 NE20 PA11Z PD02Z PE03Z PF03Z

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】排気通路に触媒が設けられた多気筒内燃機
    関に適用され、各気筒の空燃比を理論空燃比とする通常
    制御を行うことに加え、前記触媒の昇温要求があるとき
    には一部の気筒の空燃比をリッチにするとともに他の気
    筒の空燃比をリーンにする昇温制御を行う内燃機関の制
    御装置において、 各気筒の点火時期を遅角側についてガードすることによ
    り前記点火時期が過遅角となるのを防止する制限手段
    と、 前記通常制御が行われるときと前記昇温制御が行われる
    ときとで、前記点火時期のガードに用いるガード値を各
    々設定する設定手段と、 を備えることを特徴とする内燃機関の制御装置。
  2. 【請求項2】前記設定手段は、前記昇温制御の実行時に
    空燃比がリッチにされる気筒とリーンにされる気筒との
    それぞれに対して前記ガード値を各々設定する請求項1
    記載の内燃機関の制御装置。
  3. 【請求項3】前記設定手段は、前記通常制御時及び前記
    昇温制御時に前記ガード値の設定を機関運転状態に応じ
    て行う請求項1又は2記載の内燃機関の制御装置。
  4. 【請求項4】前記設定手段は、前記通常制御が行われる
    ときのガード値を予め設定するとともに、前記昇温制御
    が行われるときのガード値を前記予め設定されたガード
    値に対し各気筒の空燃比に応じた補正を施すことにより
    設定する請求項1又は2記載の内燃機関の制御装置。
  5. 【請求項5】前記設定手段は、前記通常制御時に前記ガ
    ード値の設定を機関運転状態に応じて行う請求項4記載
    の内燃機関の制御装置。
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