JP2003167123A - 光学ローパスフィルタおよびカメラ - Google Patents

光学ローパスフィルタおよびカメラ

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JP2003167123A
JP2003167123A JP2001365768A JP2001365768A JP2003167123A JP 2003167123 A JP2003167123 A JP 2003167123A JP 2001365768 A JP2001365768 A JP 2001365768A JP 2001365768 A JP2001365768 A JP 2001365768A JP 2003167123 A JP2003167123 A JP 2003167123A
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photoelastic
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light transmitting
optical
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Toru Iwane
透 岩根
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 撮像条件の変化に応じてカットオフ周波数を
変えることができる光学ローパスフィルタ。 【解決手段】 光学的に等方的な光弾性物質で形成され
た光透過部材31,32は、入射面が光軸に対して斜め
になるように傾けて配設される。このとき、光透過部材
31と光透過部材32とは傾き方向が90°異なってい
る。光透過部材31,32に応力付加アクチュエータ3
7によって応力を付加すると、光透過部材31,32は
複屈折板として機能するようになる。そのため、被写体
光束は光透過部材31により2つの光束に分離され、こ
れらの分離された2つの光束は、さらに光透過部材32
によりそれぞれ2つの光束に分離される。これらの分離
幅は応力によって変化するので、光透過部材31,32
によりカットオフ周波数が可変な光学ローパスフィルタ
が形成される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、撮像素子とともに
使用される光学ローパスフィルタ、およびその光学ロー
パスフィルタを備えるカメラに関する。
【0002】
【従来の技術】デジタルスチルカメラやビデオカメラ等
の電子撮像装置では、CCD等の撮像素子が使用されて
いる。このような撮像素子では受光画素が規則的に配列
されており、受光画素の配列パターンと被写体像のパタ
ーンとが生み出すモアレ縞や偽色などの減少を取り除く
目的で、水晶板を用いた光学ローパスフィルタが用いら
れる。光学ローパスフィルタを用いることにより、画素
ピッチを波長とする空間周波数と同程度の周波数成分が
被写体光からカットされ、上述したような現象が低減さ
れる。
【0003】水晶板を光学ローパスフィルタに用いる場
合には結晶軸に対して所定の角度で切り出し、水晶の複
屈折を利用して像を二重化することにより上述した周波
数成分をカットしている。被写体光は複屈折現象によっ
て常光線と異常光線との二つに分離し、二つの平行光束
として水晶板から出射される。この平行光束の間隔は切
り出し角度と水晶板の厚さに依存しており、これらを調
整することによりカットオフ周波数を所望の空間周波数
に一致させることができる。撮像素子では受光素子が2
次元的に配列しているので、水晶板を2枚用いて2次元
的に空間周波数をカットしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、デジタルス
チルカメラでは、使用する画素のピッチを電子的または
ソフト的に数段階で選択できるものがある。例えば、撮
像素子の有効画素数が2048×1536であった場合
に、画素を間引くことによって記録画素数を1024×
768(XGAサイズ)や640×480(VGAサイ
ズ)にすることができる。このように画素を間引くとそ
れに応じて画素配列の空間周波数も変化することにな
り、光学ローパスフィルタでカットオフすべき周波数成
分も変化する。また、被写体によっても必要なカットオ
フ周波数が異なる。しかしながら、上述した光学ローパ
スフィルタでは、カットオフ周波数は使用される水晶板
の切り出し角度と厚さにより所定の値に決まってしまう
ため、必要なカットオフ周波数の変化に対して適切に対
応しきれないという問題があった。
【0005】本発明の目的は、撮像条件の変化に応じて
カットオフ周波数を変えることができる光学ローパスフ
ィルタ、およびその光学ローパスフィルタを備えたカメ
ラを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明による光学ローパ
スフィルタは、入射光束のうち、内部応力状態に応じた
周波数帯域の光束を通過する光弾性部材と、光弾性部材
に応力を付加する応力付加手段とを備えて上述の目的を
達成する。本発明の光学ローパスフィルタは画素が第1
の配列方向および第2の配列方向に二次元的に配列され
た撮像素子に対して適用され、光学的に等方な光弾性物
質で形成され、光軸と第1または第2の配列方向とが含
まれる平面内において入射面の法線が光軸に対して所定
角度を成すように配設された光弾性部材と、光弾性部材
に対して平面内の法線と直交する方向に所定応力を与え
る応力付加手段とを備えて上述の目的を達成する。本発
明の光学ローパスフィルタは画素が第1の配列方向およ
び第2の配列方向に二次元的に配列された撮像素子に対
して適用され、光学的に等方な光弾性物質で形成され、
光軸と第1の配列方向とが含まれる第1平面内において
入射面の法線が光軸に対して所定角度を成すように配設
された第1光弾性部材と、第1光弾性部材に対して第1
平面内の法線と直交する方向に所定応力を与える第1応
力付加手段と、光学的に等方な光弾性物質で形成され、
光軸と第2の配列方向とが含まれる第2平面内において
入射面の法線が光軸に対して所定角度を成すように配設
された第2光弾性部材と、第2光弾性部材に対して第2
平面内の法線と直交する方向に所定応力を与える第2応
力付加手段と、第1光弾性部材と第2光弾性部材との間
に配設された1/4波長板とを備えて上述の目的を達成
する。また、応力付加手段を制御する応力制御手段を設
けても良い。本発明によるカメラは、被写体像を結像す
る光学系と、被写体像を撮像する撮像素子と、光学系と
撮像素子との間の光路上に配設される請求項4に記載の
光学ローパスフィルタとを備えて上述の目的を達成す
る。さらに、必要画像分解能に応じて光弾性部材へ与え
る応力を算出する応力算出手段を設け、応力付加手段に
よる応力が応力算出手段で算出された応力と等しくなる
ように応力付加手段を制御する様にしても良い。また、
撮像素子の画素数に応じて応力付加手段による応力を制
御するようにしても良い。さらにまた、被写体像のコン
トラストに基づいてオートフォーカスを行うAF手段を
設け、AF手段によるオートフォーカス時には応力付加
手段による応力の付加を禁止するようにしても良い。な
お、応力付加手段による応力を撮影条件に応じて制御し
ても良い。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、図を参照して本発明の実施
の形態を説明する。図1は、本発明による光学ローパス
フィルタを用いたデジタルスチルカメラの概略構成を示
すブロック図である。光学ローパスフィルタを有するフ
ィルタ光学系1は撮影レンズ2とCCD撮像素子3との
間に配設され、ローパスフィルタを構成する光透過部材
31,32および1/4波長板33が設けられている。
光透過部材31,32には応力付加装置30により応力
が付加される。応力付加装置30はメインCPU6によ
り制御される。フィルタ光学系1の詳細については後述
する。
【0008】撮影レンズ2から出射された被写体光はフ
ィルタ1を通過した後にCCD撮像素子3の撮像面上に
結像される。焦点調整装置20はコントラスト法により
AF動作を行う。焦点調整装置20はレンズ駆動装置2
4で撮影レンズ2を移動させつつ被写体像のコントラス
ト情報を算出し、コントラストが最も大きくなるレンズ
位置に、すなわち、合焦位置に撮影レンズ2を駆動す
る。また、被写体の輝度は測光装置23により測定され
る。CCD撮像素子3により被写体像が撮像されると、
不図示のCCD駆動回路によりCCD出力信号として撮
像情報が読み出される。本実施の形態では、撮像素子と
してCCD型の撮像素子を例に説明するが、MOS型、
CID型の撮像素子でもよい。
【0009】CCD撮像素子3からのCCD出力信号
は、AGC回路やCDS回路などを含むアナログ信号処
理回路4に入力され、ゲイン調整や雑音除去等のアナロ
グ処理が施された後に、A/D変換回路5によってデジ
タル信号に変換される。メインCPU6はカメラ全体の
制御を行うものであり、メインスイッチ7をオンすると
メインCPU6の制御プログラムが起動する。
【0010】メインCPU6には、撮像素子の記録画素
数や撮影条件等の設定条件を入力するための入力部22
が接続されている。入力部22から入力された設定条件
はメインCPU6の記憶部(不図示)に記憶される。画
像処理CPU8は輝度・色差信号変換回路やガンマ補正
回路等のデジタル処理回路を含み、A/D変換回路5で
デジタル変換された信号はこの画像処理CPU8により
ガンマ補正等の画像処理が行われる。画像処理後の画像
データは、一旦バッファメモリ9に格納される。
【0011】圧縮回路10は画像データを所定の比率に
データ圧縮する回路であり、例えば、JPEG圧縮のた
めの所定のフォーマット処理が行なわれる。データ圧縮
処理を受けた画像データは、再びバッファメモリ9に格
納される。12はCCD撮像素子3で撮像されている画
像を表示したり、既に撮影されて後述するメモリカード
16に記憶されている画像を再生表示したりするための
LCDモニタである。データ圧縮を受けた画像データに
は、被写体に関連する関連情報や所定のデータ名(例え
ばデータの番号)および日時データ等が添付され、記録
媒体であるメモリカード16に記録される。
【0012】図2はフィルタ光学系1における光透過部
材31,32および1/4波長板33の配置を示す図で
あり、光軸をz軸、紙面表裏方向をx軸、図示上下方向
をy軸とする。図2において、(a)はフィルタ光学系
1をx軸正方向から見た図であり、(b)はy軸正方向
から見た図である。光透過部材31,32は光弾性物質
で形成された板状部材であり、光透過部材31の入射面
の法線n1はxz面内にあってz軸と角度θ(≠0)を
成している。一方、光透過部材32の入射面の法線n2
はyz面内にあってz軸と角度θを成している。1/4
波長板33は、入射面が光軸(z軸)と直交するように
配設されている。
【0013】各光透過部材31,32に用いられる光弾
性物質としては、例えば、ゼラチンやエポキシ樹脂等の
光弾性係数の大きな物質が用いられる。各光透過部材3
1,32には前述したように応力付加装置30が設けら
れており、光透過部材31には入射面に平行なF1方向
に応力が付加される。一方、光透過部材32の場合に
は、入射面に平行なF2方向に応力が付加される。図3
は光透過部材32に設けられた応力付加装置30の概念
図である。図3は光透過部材32を法線方向から見た図
であり、図示右方向がx軸正方向であり、図示上方がy
軸正方向に対応している。
【0014】応力付加装置30は、光透過部材32の一
端に設けられたゴムやバネ等の弾性体部材35と、光透
過部材32の他端に設けられた制限部材36と、弾性体
部材35を変形させる応力付加アクチュエータ37とで
構成されている。応力付加アクチュエータ37に設けら
れたねじ部38の繰り出し量を調整することにより、弾
性体部材35の変形量を調整する。すなわち、弾性体部
材35を圧縮して、そのバネ係数に比例した弾性力によ
り光透過部材32の縁部全体に一様な応力を付加する。
【0015】なお、図3に示す構造では弾性体部材35
から応力を受けるような構成としたが、光透過部材32
に対して直に応力付加アクチュエータ37を取り付け
て、ねじ部38のトルクによって応力を制御するように
しても良い。
【0016】光弾性物質としてエポキシ樹脂を用いる場
合には、エポキシ樹脂を板状に形成して光透過部材32
とし、その各端面に弾性体部材35と制限部材36とを
設ければ良い。また、ゼラチンを使用する場合には、図
4の断面図に示すように、ガラス板等の透明部材39の
隙間にゼラチン40を充填したものを光透過部材として
用いれば良い。なお、光透過部材31も図3に示した光
透過部材32と同様の構成であって、配置が異なるだけ
である。すなわち、光透過部材31の場合には、図3の
図示右方向がy軸正方向と一致し、図示下方向がx軸正
方向に対応している(図2参照)。
【0017】ゼラチンやエポキシ樹脂等の光弾性物質
は、応力が付加されていないときには光学的に等方であ
って屈折率楕円体も球形状となっている。一方、図5に
示すように光透過部材31に応力44を付加すると、屈
折率が等方的でなくなる。図5は光透過部材31に応力
44を付加したときの屈折率楕円体41を定性的に示し
たものであり、xz面に沿った断面図である。
【0018】図3に示すように光透過部材32に一方向
から一様な応力を付加すると、等方性の光透過部材32
は光学的に一軸ないし二軸結晶のように振る舞う。一軸
結晶になるか否かは光弾性物質の結晶構造に依るが、プ
ラスチックのような等方的な材料の場合にはほぼ一軸結
晶とみなせる。応力を付加した際に、光透過部材32は
応力方向と直交する方向(図3の左右方向)に関しては
伸びる。そのため、図3の縦方向の屈折率は大きくな
り、横方向の屈折率は小さくなって、屈折率楕円体41
は図5に示すように応力軸に関して回転体になると考え
られる。
【0019】応力44の方向(方向F2)は光透過部材
31の入射面に平行なので、屈折率楕円体41の長軸は
x軸に対して角度θだけ傾いている。そのため、被写体
光は屈折率楕円体41に対して斜めに入射する。一軸結
晶の場合には異常光線の波面と進行方向とは垂直ではな
くなり、光束の進行方向が偏光方向により分割されるこ
とになる。すなわち、屈折率楕円体41に斜めに入射し
た光束は常光線(光束42)と異常光線(光束43)と
に分離し、二つの光束42,43が光透過部材31から
出射される。この光束42,43の間隔(分離幅)Hは
角度θ、光透過部材31の厚さtおよび光透過部材31
に付加する応力44の大きさに依存している。本実施の
形態の場合には、厚さtと角度θは固定されているの
で、応力44の大きさを変えることによって分離幅H1
を調整することができる。
【0020】光透過部材31の法線n1はxz平面内で
傾いているので、光束42,43はx軸方向に分離す
る。光束42,43は互いに直交する直線偏光となって
おり、図2に示す1/4波長板33はその光学軸が光束
42,43の振動方向に対して45度傾くように配設さ
れている。そのため、光束42,43は1/4波長板3
3を通過すると直線偏光から円偏光へと変換される。
【0021】1/4波長板33を出射した光束42,4
3は、それぞれ光透過部材32に対して斜めに入射す
る。図2(a)に示すようにF2方向に応力が付加され
た光透過部材32の場合も、その屈折率楕円体の長軸方
向は入射面に対して平行となっている。その結果、複屈
折現象により、円偏光である光束42,43はそれぞれ
常光線(光束42a,43a)および異常光線(光束4
2b、43b)に分離される。光透過部材32の場合の
分離方向はy方向となる。
【0022】4つの光束42a,42b,43a,43
bをCCD側から観察すると、図6のような位置関係に
なっている。図6においてH1は光透過部材31による
分離幅、H2は光透過部材32による分離幅であり、光
束42a,42b,43a,43bは辺の長さがH1,
H2である長方形の頂点に位置している。CCD撮像素
子3の画素はx方向およびy方向に配列しており、光透
過部材31に与える付加応力の大きさを変えて分離幅H
1を調整することにより、x方向の画素ピッチに対応す
る周波数成分を被写体光からカットする。一方、光透過
部材32に与える付加応力の大きさを変えて分離幅H2
を調整することにより、y方向の画素ピッチに対応する
周波数成分をカットする。
【0023】《複屈折に関する説明》上述したように、
光透過部材31,32に用いられる光弾性物質として
は、光弾性係数の大きな物質が好ましい。そのため、ガ
ラス等の無機材質に比べて比較的高い光弾性係数を有す
る高分子樹脂が適している。例えば、ガラスの光弾性係
数(brewster)Cは2.68×10−8(cm/N)で
あるが、エポキシ樹脂では52×10−8(cm
N)、べークライトでは56×10−8(cm/N)と
なり、ゼラチンでは16380×10−8(cm/N)
にもなる。これらの光弾性物質を光透過部材31,32
に使用することにより、より少ない応力で所望の複屈折
効果を得ることができる。
【0024】図3において、応力付加装置37による弾
性体部材35の変位をx(cm)、弾性体部材35のバネ
係数をk(N/cm)、弾性体部材35に接する光透過部
材32の断面積をS(cm)とすると、光透過部材32
の単位面積あたりの応力は次式(1)で表される。
【数1】T=kx/S …(1) この応力Tに光弾性係数Cを乗じたものが複屈折の際の
常光線の屈折率nと異常光線の屈折率nとの屈折率
差であるから、屈折率差は次式(2)となる。
【数2】n−n=C・kx/S …(2)
【0025】前述したように、図5の応力方向の屈折率
は大きくなり、応力に垂直な方向(図5の紙面に垂直な
方向)の屈折率は小さくなって、屈折率楕円体41は応
力軸に関して回転体になると考えられる。このことは、
長軸および短軸方向の圧光学係数(piezo-optical coef
ficient)π11、π12を用いると次式(3)を仮定
することを意味する。
【数3】π11+π12=0 …(3) 複屈折の大きさは、すなわち屈折率差は、長軸方向の屈
折率と短軸方向の屈折率との差であるので、光弾性係数
Cは次式(4)のように表すことができる。
【数4】π11−π12∝C …(4)
【0026】屈折率差をΔnと表し、このΔnと応力を
付加する前の屈折率nとを用いると長軸方向の屈折率n
νは次式(5)で表され、短軸方向の屈折率nは次式
(6)で表される。
【数5】nν=n+Δn/2 …(5) n=n−Δn/2 …(6)
【0027】前述したように屈折率差Δnは式(2)の
ように表されるので、Δn=nν−n=n−n
なっている。ただし、以上の説明での屈折率は応力が付
加された光透過部材31,32に光束が垂直に入射する
場合のものであり、屈折率楕円体41に所定角度θで光
束が入射した場合の屈折率n,nは次式(7),
(8)のように表される。光透過部材32の応力方向と
垂直な偏光面、すなわち、振動方向が図5のy軸方向で
ある偏光の屈折率nは式(7)に示すように短軸の屈
折率nと等しい。また、振動方向がy軸に垂直な偏光
の屈折率nは式(8)のようになる。
【数6】 n=n=n−Δn/2 …(7) n=nν・n/(nν sinθ+n cosθ)1/2 …(8 )
【0028】図7は光束42,43の屈折を説明する図
であり、図5の拡大図である。応力方向に直交する偏光
面を持つ光束42は式(7)の屈折率nでスネルの法
則に従って屈折するので、光束42の屈折角αは次式
(9)を満たす。
【数7】 sinα=sinθ/n =sinθ/(n−C・kx/2S) …(9)
【0029】一方、応力方向に平行な偏光面を持つ光束
43の場合には、光の進行方向と波面とが直交しないこ
とが知られている。この場合、波面法線の角度は光束4
2の場合と同様にスネルの法則に従うが、光の進行方向
はスネルの法則に従わず、屈折角は光束42と異なって
くる。波面法線の角度βは、式(8)の屈折率nを用
いてスネルの法則から次式(10)で表される。一方、
異常光線の進行方向、すなわち光束43の屈折角φは、
波面法線の角度βを用いて次式(11)のように表され
る。なお、式(5),(6)から(n/nν)>1な
ので、φ>βであることが分かる。
【数8】sinβ=sinθ/n …(10) tanφ=(n /nν )・tanβ …(11)
【0030】光透過部材31内を進行した光束42,4
3は、光透過部材31から出射される際にも再び屈折
し、それぞれ出射角θで出射される。そのときの光束4
2,43の分離幅H1は、図7から次式(12)で表さ
れることが分かる。上述したように屈折角φは波面法線
の角度βよりも大きいので、実際の分離幅H1は屈折率
差(Δn=n−n)から予想される分離幅よりも大
きくなる。
【数9】 H1=t・(tanφ−tanα)・cosθ …(12)
【0031】ここで、実際の数値を用いて分離幅を概算
してみる。例えば、θ=10(deg)、屈折率n=1.
5、厚さt=1(mm)の光透過部材31に関して、応力
付加により屈折率差Δnが4/1000程度生じた場
合、波面法線に関して算出される分離幅は1.3/10
00(mm)程度である。しかし、光線に関する分離幅を
計算すると、この幅はさらに広がり3.9/1000
(mm)となる。このときに必要な応力を算出すると、光
透過部材31の応力方向に垂直な方向の幅寸法が10
(mm)で、材質がエポキシ樹脂であった場合、エポキシ
樹脂の光弾性係数は52×10−8(cm/N)である
から7.7×10+3(N/cm)の応力が必要とな
る。この場合、厚さと幅寸法とから78(kg/cm)の
応力を付加すれば良いことがわかる。また、光透過部材
31の材質をゼラチンにした場合には、ゼラチンの光弾
性係数は16380×10−8(cm/N)と非常に大
きいため、同様の条件下で付加すべき応力は247(g
/cm)になる。
【0032】上述したように、本実施の形態では、応力
付加アクチュエータ37による応力を調整することによ
り、光学ローパスフィルタのカットオフ周波数を変更す
ることができる。そのため、CCD撮像素子3の使用画
素を間引くなどして解像度を光学的に変更した場合や被
写体像の空間周波数に応じて、光学ローパスフィルタの
カットオフ周波数を最適な値に設定変更することができ
る。
【0033】例えば、図1の入力部22を用いてCCD
撮像素子3の記録画素数の設定変更が行われた場合に
は、設定後の画素ピッチと光透過部材31,32による
光束の分離幅H1,H2とが一致するような応力をメイ
ンCPU6にて算出する。そして、算出された応力と等
しい応力が各光透過部材31,32に付加されるように
応力付加アクチュエータ37を制御する。
【0034】ところで、光学ローパスフィルタを用いる
と被写体光から所定周波数成分がカットされてしまうた
め、コントラストAFに影響を与えるおそれがある。そ
こで、本実施の形態ではAF動作時には光学ローパスフ
ィルタの機能をオフ状態とし、コントラストAFへの影
響を除去するようにしている。具体的には、AF動作時
には応力付加アクチュエータ37による光透過部材3
1,32への応力付加を禁止する。その結果、フィルタ
光学系1は光学ローパスフィルタとしての機能が停止さ
れ、所定周波数成分がカットされていない被写体光によ
りFA動作を行わせることができる。
【0035】また、撮影条件に応じて光学ローパスフィ
ルタ機能のオンオフを行わせるようにしても良い。例え
ば、ポートレート撮影モードが設定された場合には付加
応力をかけて光学ローパスフィルタのフィルタ機能をオ
ン状態にし、その他の撮影モードが設定されている場合
にはフィルタ機能をオフにする。すなわち、モアレ等の
影響がでやすい撮影モードの場合にはフィルタ機能をオ
ンし、影響のほとんどない撮影モードの場合にはフィル
タ機能をオフする。
【0036】なお、光透過部材31,32に応力を加え
る方法としては、上述した図3に示す方法のほかに、図
8に示すような圧電体50を用いる方法がある。この場
合、制限部材36に加えて図示上部側にも制限部材51
を設け、この制限部材51と弾性体部材35との間に圧
電体50を設ける。圧電体50に電圧をかけることによ
り弾性体部材35を圧縮し、光透過部材31に応力を付
加する。なお、弾性体部材35を省略して圧電体50を
光透過部材31に直接接合し、光透過部材31の持つ弾
性を利用しても良い。この場合、圧電体50と光透過部
材31との接合面を一様とすることが必要である。
【0037】さらに、光透過部材31,32として光弾
性係数の大きな高分子材料を用いる代わりにKDPなど
の圧電結晶を使用し、圧電結晶に電圧を与えて複屈折を
行わせる方法もある。
【0038】以上説明した実施の形態と特許請求の範囲
の要素との対応において、光透過部材31,32は光弾
性部材を構成し、光透過部材31は第1光弾性部材に、
光透過部材32は第2光弾性部材に対応する。弾性体部
材35,制限部材36,51,応力付加アクチュエータ
37を有する応力付加装置30は応力付加手段を、撮影
レンズ2は光学系を、メインCPU6は応力算出手段お
よび応力制御手段をそれぞれ構成する。
【0039】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
光弾性部材に付加される応力を調整することにより、光
学ローパスフィルタのカットオフ周波数を変更すること
ができる。その結果、撮像素子の撮像条件や被写体に応
じて光学ローパスフィルタのカットオフ周波数を最適な
値に設定変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による光学ローパスフィルタを用いたデ
ジタルスチルカメラの概略構成を示すブロック図であ
る。
【図2】光透過部材31,32および1/4波長板33
の配置を示す図であり、(a)はx軸正方向から見た
図、(b)はy軸正方向から見た図である。
【図3】応力付加装置30を説明する図である。
【図4】光弾性物質としてゼラチンを用いた場合の光透
過部材の構成を示す断面図である。
【図5】光透過部材31に応力を付加したときの屈折率
楕円体41を説明する図である。
【図6】分離された光束42a,42b,43a,43
bの位置関係を示す図である。
【図7】光束42,43の屈折角α,φを説明する図で
ある。
【図8】応力付加装置の他の例を示す図である。
【符号の説明】
1 フィルタ光学系 2 撮影レンズ 3 CCD撮像素子 30 応力付加装置 31,32 光透過部材 33 1/4波長板 35 弾性体部材 36,51 制限部材 37 応力付加アクチュエータ 38 ねじ部 42,43,42a,42b,43a,43b 光束
フロントページの続き Fターム(参考) 2H041 AA21 AB10 AC01 AC04 AZ01 2H049 BA06 BA07 BA42 BB03 BC22 2H083 AA09 AA11 AA21 AA26 AA32 AA51 5C022 AB20 AB29 AC03 AC13 AC42 AC55 AC74

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 入射光束のうち、内部応力状態に応じた
    周波数帯域の光束を通過する光弾性部材と、 前記光弾性部材に応力を付加する応力付加手段とを備え
    たことを特徴とする光学ローパスフィルタ。
  2. 【請求項2】 画素が第1の配列方向および第2の配列
    方向に二次元的に配列された撮像素子に対して用いられ
    る光学ローパスフィルタにおいて、 光学的に等方な光弾性物質で形成され、光軸と前記第1
    または第2の配列方向とが含まれる平面内において入射
    面の法線が光軸に対して所定角度を成すように配設され
    た光弾性部材と、 前記光弾性部材に対して前記平面内の前記法線と直交す
    る方向に所定応力を与える応力付加手段とを備えること
    を特徴とする光学ローパスフィルタ。
  3. 【請求項3】 画素が第1の配列方向および第2の配列
    方向に二次元的に配列された撮像素子に対して用いられ
    る光学ローパスフィルタにおいて、 光学的に等方な光弾性物質で形成され、光軸と前記第1
    の配列方向とが含まれる第1平面内において入射面の法
    線が光軸に対して所定角度を成すように配設された第1
    光弾性部材と、 前記第1光弾性部材に対して前記第1平面内の前記法線
    と直交する方向に所定応力を与える第1応力付加手段
    と、 光学的に等方な光弾性物質で形成され、光軸と前記第2
    の配列方向とが含まれる第2平面内において入射面の法
    線が光軸に対して所定角度を成すように配設された第2
    光弾性部材と、 前記第2光弾性部材に対して前記第2平面内の前記法線
    と直交する方向に所定応力を与える第2応力付加手段
    と、 前記第1光弾性部材と前記第2光弾性部材との間に配設
    された1/4波長板とを備えることを特徴とする光学ロ
    ーパスフィルタ。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれかに記載の光学ロ
    ーパスフィルタにおいて、 前記応力付加手段を制御する応力制御手段を設けたこと
    を特徴とする光学ローパスフィルタ。
  5. 【請求項5】 被写体像を結像する光学系と、 前記被写体像を撮像する撮像素子と、 前記光学系と前記撮像素子との間の光路上に配設される
    請求項4に記載の光学ローパスフィルタとを備えること
    を特徴とするカメラ。
  6. 【請求項6】 請求項5に記載のカメラにおいて、 必要画像分解能に応じて前記光弾性部材へ与える応力を
    算出する応力算出手段を備え、 応力制御手段は、前記応力付加手段による応力が前記応
    力算出手段で算出された応力と等しくなるように前記応
    力付加手段を制御することを特徴とするカメラ。
  7. 【請求項7】 請求項5に記載のカメラにおいて、 前記応力制御手段は、前記撮像素子の画素数に応じて前
    記応力付加手段による応力を制御することを特徴とする
    カメラ。
  8. 【請求項8】 請求項5に記載のカメラにおいて、 前記被写体像のコントラストに基づいてオートフォーカ
    スを行うAF手段を備え、 前記応力制御手段は、前記AF手段によるオートフォー
    カス時には前記応力付加手段による応力の付加を禁止す
    ること特徴とするカメラ。
  9. 【請求項9】 請求項5に記載のカメラにおいて、 前記応力制御手段は、撮影条件に応じて前記応力付加手
    段による応力を制御することを特徴とするカメラ。
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