JP2003165729A - ガラス成形型 - Google Patents

ガラス成形型

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JP2003165729A
JP2003165729A JP2001361617A JP2001361617A JP2003165729A JP 2003165729 A JP2003165729 A JP 2003165729A JP 2001361617 A JP2001361617 A JP 2001361617A JP 2001361617 A JP2001361617 A JP 2001361617A JP 2003165729 A JP2003165729 A JP 2003165729A
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glass
carbon
glassy carbon
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JP2001361617A
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Koichi Sugimoto
公一 杉本
Hiroaki Ito
寛明 伊藤
Toshiaki Matsukura
利顕 松倉
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Chinontec KK
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    • C03GLASS; MINERAL OR SLAG WOOL
    • C03BMANUFACTURE, SHAPING, OR SUPPLEMENTARY PROCESSES
    • C03B11/00Pressing molten glass or performed glass reheated to equivalent low viscosity without blowing
    • C03B11/06Construction of plunger or mould
    • C03B11/08Construction of plunger or mould for making solid articles, e.g. lenses
    • C03B11/084Construction of plunger or mould for making solid articles, e.g. lenses material composition or material properties of press dies therefor
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C03GLASS; MINERAL OR SLAG WOOL
    • C03BMANUFACTURE, SHAPING, OR SUPPLEMENTARY PROCESSES
    • C03B2215/00Press-moulding glass
    • C03B2215/02Press-mould materials
    • C03B2215/05Press-mould die materials
    • C03B2215/07Ceramic or cermets

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  • Organic Chemistry (AREA)
  • Re-Forming, After-Treatment, Cutting And Transporting Of Glass Products (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 比較的高温域でガラス材料を融解または軟化
状態にして高精度の光学デバイスを製造できる光学デバ
イス製造用プレス型を提供する。 【解決手段】 ガラス状カーボンは、軽量かつ硬質で、
表面からの粒子の脱離が極めて少なく、優れた耐食性を
示す。ガラス状カーボンは、比較的高温域においてガラ
ス材料との濡れ角が大きく、かつ大気雰囲気でガラス材
料と反応しない。ガラス材料を融解または軟化状態にし
て光学デバイスをプレス成形にて製造する光学デバイス
製造用プレス型をガラス状カーボン製とする。雰囲気を
制御することなく、比較的高温域でガラス材料を融解ま
たは軟化状態にして高精度の光学電デバイスを製造でき
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ガラスから対象物
を成形するガラス成形型に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、インフォメーションテクノロジ(I
nformation Technology:IT)機器の発展に伴って、デ
ジタルビデオディスク(Digital Video Disk:DVD)な
どの光メモリピックアップや、液晶プロジェクタの照明
光学系ユニット、光学部品などへのガラス製の非球面レ
ンズ、マイクロレンズアレイ、回析型の光学デバイスな
どの需要が多くなっている。
【0003】従来、これらガラス製の光学素子の生産に
は、研磨などの製造工程が採用されていたが、近年にな
って、これらガラス製光学素子をより高精度化および低
廉化しつつ、極微細化および非球面化などすることが求
められた結果、これらガラス製光学素子を金型による高
温プレス成形で安価に製造することが知られている。
【0004】ところが、金型による高温プレス成形でガ
ラス製光学素子を製造する場合には、ガラスが金型表面
に融着してしまうなどといった問題が生じるおそれがあ
るから、900℃以上といった比較的高温域で、金型に
よる高温プレス成形でのガラス製光学素子の製造の実用
化が容易ではない。
【0005】また、この種の金型としては、特開平4−
89212号公報に記載の構成が知られている。この特
開平4−89212号公報に記載の金型は、樹脂層を有
する光学素子を製造する光学素子成形用型であり、少な
くとも樹脂層と接触する表面に、アモルファス炭素やダ
イヤモンド、グラファイトなどの炭素膜が被覆されてい
る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、この特
開平4−89212号公報に記載の金型は、400℃程
度の比較的低温域で融解する樹脂層を有した光学素子を
製造するものであり、製造された光学素子を変形させず
に容易に離型させるために、表面をアモルファス炭素や
ダイヤモンド、グラファイトなどの炭素膜で被覆してい
るので、900℃以上といった比較的高温域で、樹脂層
を有する光学素子を製造した場合には、この樹脂が金型
の表面に付着してしまうおそれがある。このため、比較
的高温域での製造が容易でないという問題を有してい
る。
【0007】本発明は、このような点に鑑みなされたも
ので、比較的高温域でガラスを含む材料を融解または軟
化状態にして高精度の被成形物を製造できるガラス成形
型を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】請求項1記載のガラス成
形型は、ガラスを含む材料を融解して被成形物を製造す
るガラス成形型であって、少なくとも前記材料に接触す
る表面にガラス状カーボンを有するものである。
【0009】そして、ガラス状カーボンは、軽量かつ硬
質で、表面からの粒子の脱離が極めて少なく、優れた耐
食性を示す。また、このガラス状カーボンは、比較的高
温域において、ガラスとの濡れ角が大きく、かつ大気雰
囲気でガラスと反応しない。このため、ガラスを含む材
料を融解して被成形物を製造するガラス成形型の少なく
とも材料に接触する表面に、ガラス状カーボンを有する
ことにより、雰囲気などを制御することなく、比較的高
温域でガラスを含む材料を融解して高精度の被成形物が
製造可能となる。
【0010】請求項2記載のガラス成形型は、ガラスを
含む材料を軟化状態にして被成形物を製造するガラス成
形型であって、少なくとも前記材料に接触する表面にガ
ラス状カーボンを有するものである。
【0011】そして、ガラス状カーボンは、軽量かつ硬
質で、表面からの粒子の脱離が極めて少なく、優れた耐
食性を示す。また、このガラス状カーボンは、比較的高
温域において、ガラスとの濡れ角が大きく、かつ大気雰
囲気でガラスと反応しない。このため、ガラスを含む材
料を軟化状態にして被成形物を製造するガラス成形型の
少なくとも材料に接触する表面に、ガラス状カーボンを
有することにより、雰囲気などを制御することなく、比
較的高温域でガラスを含む材料を軟化状態にして高精度
の被成形物が製造可能となる。
【0012】請求項3記載のガラス成形型は、請求項1
または2記載のガラス成形型において、ガラスを含む材
料からプレス成形にて被成形物を製造するものである。
【0013】そして、ガラスを含む材料からプレス成形
にて被成形物を製造するので、雰囲気などを制御するこ
となく、比較的高温域でガラスを含む材料から高精度の
被成形物がプレス成形で製造可能となる。
【0014】請求項4記載のガラス成形型は、請求項1
ないし3いずれか記載のガラス成形型において、全体が
ガラス状カーボンで成形されているものである。
【0015】そして、全体をガラス状カーボンで成形す
ることにより、軽量化が可能となる。
【0016】請求項5記載のガラス成形型は、請求項1
ないし4いずれか記載のガラス成形型において、ガラス
状カーボンには、カーボンナノチューブが混合されてい
るものである。
【0017】そして、ガラス状カーボンとの結合に優れ
たカーボンナノチューブをこのガラス状カーボンに混合
させることにより、ガラス成形型の強度がより向上する
ので、このガラス成形型の変形および歪みが少なくな
り、被成形物を製造する際の成形精度がより向上する。
【0018】請求項6記載のガラス成形型は、請求項1
ないし4いずれか記載のガラス成形型において、ガラス
状カーボンには、カーボンウィスカーが混合されている
ものである。
【0019】そして、ガラス状カーボンとの結合に優れ
たカーボンウィスカーをこのガラス状カーボンに混合さ
せることにより、ガラス成形型の強度がより安価に向上
するので、このガラス成形型の変形および歪みが少なく
なり、被成形物を製造する際の成形精度がより安価に向
上する。
【0020】請求項7記載のガラス成形型は、請求項1
ないし6いずれか記載のガラス成形型において、ガラス
状カーボンの表面は、ダイヤモンドライクカーボンで被
覆されているものである。
【0021】そして、ガラス状カーボンの表面を、この
ガラス状カーボンと同様の炭素で構成されたダイヤモン
ドライクカーボンで被覆することにより、中間層を設け
ることなく、ガラス状カーボンの表面がダイヤモンドラ
イクカーボンで被覆されるとともに、表面がより硬質に
なり、この表面の平滑性、剥離性および耐食性がより向
上する。このため、より有用なガラス成形型が製造可能
となる。
【0022】請求項8記載のガラス成形型は、請求項1
ないし6いずれか記載のガラス成形型において、ガラス
状カーボンの表面は、六方晶窒化硼素で被覆されている
ものである。
【0023】そして、ガラス状カーボンの表面を六方晶
窒化硼素で被覆することにより、表面がより硬質になる
とともに、この表面の平滑性、剥離性および耐食性がよ
り向上する。このため、より有用なガラス成形型が製造
可能となる。
【0024】請求項9記載のガラス成形型は、請求項1
ないし8いずれか記載のガラス成形型において、被成形
物は、光学素子であるものである。
【0025】そして、被成形物が光学素子であるので、
雰囲気などを制御することなく、比較的高温域でガラス
を含む材料から高精度の光学素子が製造可能となる。
【0026】
【発明の実施の形態】以下、本発明のガラス成形型の一
実施の形態を図1ないし図13を参照して説明する。
【0027】図1ないし図13において、1はガラス成
形型としての光学デバイス製造用プレス型であり、この
光学デバイス製造用プレス型1は、ガラスを含む材料、
具体的にはガラス材料2を融解して、被成形物としての
光学素子である光学デバイスを高温プレス成形にて製造
する型である。なお、この光学デバイス製造用プレス型
1では、軟化状態にしたガラス材料による高温プレス成
形で光学デバイスを製造することもできる。さらに、こ
の光学デバイス製造用プレス型1は、全体がガラス状カ
ーボン(Glassy Carbon:GC)にて成形されている。
【0028】ここで、このガラス状カーボンは、黒鉛と
ダイヤモンドの中間的構造を有し、結晶学的にはアモル
ファス、すなわち非晶質な構造を示す炭素の1つであ
る。さらに、このガラス状カーボンとしては、表1およ
び図2に示すように、異なる特性を有する複数の、いわ
ゆるGC(t)、GC(h)およびGC(s)と呼ばれるものが
存在する。なお、光学デバイス製造用プレス型1として
は、最も濡れ角θが優れたGC(t)がより好ましい。
【0029】
【表1】
【0030】このGC(t)は、東海カーボン株式会社製
の「グラッシーカーボン(商品名)」であり、アモルファス
な炭素、すなわち非晶質炭素とグラファイトとを混合し
たものである。さらに、このGC(t)は、約9.8N(1
kgf)の荷重を15秒間保持させた状態で、測定器(株
式会社ニコン社製:QM−2)およびサファイヤ製の圧子
を用いて測定したところ、表2に示すように、高温域に
おいても硬度を維持できるので、光学デバイス製造用プ
レス型1の材料として特に有益である。
【0031】
【表2】
【0032】さらに、GC(h)は、日立化成工業株式会
社製の「ガラス状炭素(商品名)」であり、非晶質炭素とそ
の他の相の炭素とを混合したものである。また、GC
(s)は、昭和電工株式会社製の「SGカーボン(商品名)」
であり、非晶質炭素とその他の相の炭素とを混合したも
のである。
【0033】一方、ガラス材料2としては、転移温度が
510℃であり比重が2.54であるいわゆるK−3ガ
ラス(クリーンオプティカル社製)や、転移温度が600
℃であり比重が3.64であるいわゆるSSK−5ガラ
ス(クリーンオプティカル社製)、転移温度が680℃で
あり比重が4.65である高屈折率ガラスとしてのいわ
ゆるTaF−3ガラス(クリーンオプティカル社製)など
の種々の工業用ガラスが用いられる。ここで、K−3ガ
ラスは、表3に示すように、シリカ(SiO )を65.
4質量%、硼酸(B)を2.5質量%、酸化ナトリ
ウム(NaO)を5.6質量%、酸化カリウム(KO)
を15.0質量%、酸化バリウム(BaO)を9.6質量
%、酸化亜鉛(ZnO)を1.0質量%程度含有してい
る。また、SSK−5ガラスは、表3に示すように、シ
リカ(SiO)を37.5質量%、硼酸(B)を1
5.0質量%、アルミナ(Al)を5.9質量%、
酸化バリウム(BaO)を41.0質量%程度含有してい
る。
【0034】
【表3】
【0035】次に、上記一実施の形態の作用を説明す
る。
【0036】まず、融解または軟化状態にしたガラス材
料2をプレス成形して光学デバイスを製造する型の材料
として、表4に示すように、ガラス状カーボン、六方晶
窒化硼素(hexaborate-Boron Nitride:h−BN)、グラ
ファイト(Graphite:GR)、ダイヤモンドライクカーボ
ン(Diamond Like Carbon:DLC)、ボロンカーバイド(B
oron Carbide:BC)、タングステンカーバイド(Tungs
ten Carbide:WC)、プラチナ−イリジウム(Platinum-I
rdium:Pt-Ir)を対象とした。
【0037】
【表4】
【0038】そして、図3に示すように、0℃〜850
℃までは温度変化率100℃/minで上昇し、850℃〜
1050℃までは温度変化率20℃/minで上昇する90
0℃〜1050℃のアルゴン(Ar)、窒素(N)および
大気(Air)の3種の雰囲気の中で、これら各材料それ
ぞれの直径10mm厚さ3mmの試験片の上に、融解ま
たは軟化状態にしたTaF−3ガラスの滴状体を垂らし
て、これら各材料の濡れ性試験をした。なお、このとき
のガス流量を0.2l/minとし、ガス封入前の真空度を
6.7×10−5Paとした。
【0039】このとき、各材料に体するガラスの濡れ角
θを、高温濡れ性・固液接触角測定装置(アルバック理
工株式会社製)にて測定するとともに、各材料とガラス
との反応の有無、および各材料の組織変化を測定した。
【0040】(実験例1)まず、900℃のアルゴン雰囲
気での各材料に対するK−3ガラスおよびTaF−3ガ
ラスの濡れ角θを測定して、ガラス材料2の各材料に対
する依存性について試験した。
【0041】この結果、各材料に対するTaF−3ガラ
スの濡れ角θは、図4ないし図10に示すようになっ
た。そして、これら図4ないし図10に示す結果と、9
00℃のアルゴン雰囲気での各材料に対するK−3ガラ
スの濡れ角θの測定結果とをグラフにすると、図11に
示すようになった。
【0042】すなわち、この図11に示すように、濡れ
角θは、材料順に見ると、六方晶窒化硼素、グラファイ
ト、ガラス状カーボン、ダイヤモンドライクカーボン、
プラチナ−イリジウム、ボロンカーバイド、タングステ
ンカーバイドの順に悪くなっていることが分かった。ま
た、K−3ガラスおよびTaF−3ガラスによる各材料
への濡れ角θの結果から、ガラス材料2の雰囲気温度に
よる影響は、ほとんど無いことが分かった。
【0043】つまり、各材料毎のK−3ガラスとTaF
−3ガラスとの濡れ角θの大小関係は、光学デバイス製
造用プレス型1の材料によらず同じであることが分かっ
た。すなわち、各材料に対するK−3ガラスとTaF−
3ガラスとの濡れ角θは、光学デバイス製造用プレス型
1の材料によらず、TaF−3ガラスの濡れ角θが、K
−3ガラスの濡れ角θよりも大きいことが分かった。
【0044】(実験例2)また、900℃〜1050℃で
雰囲気をアルゴン雰囲気、大気雰囲気、窒素雰囲気と変
化させて、各材料へのTaF−3ガラスの濡れ角θを測
定して、これら各材料によるガス雰囲気依存性を測定し
た。
【0045】この結果、図12に示すように、900
℃、950℃、1000℃および1050℃での各材料
へのTaF−3ガラスの濡れ角θの平均値は、ボロンカ
ーバイドを除き良好であった。しかし、窒素雰囲気で
は、グラファイトおよびガラス状カーボンに対しては優
れた濡れ角を示したが、六方晶窒化硼素に対しては、窒
素との反応などの要因により、濡れ角が小さくなった。
また、アルゴン雰囲気では、六方晶窒化硼素に対しては
優れた濡れ角を示したが、グラファイトおよびガラス状
カーボンに対しては濡れ角が小さくなった。
【0046】(実験例3)さらに、温度を900℃、95
0℃、1000℃、1050℃と変化させて窒素雰囲気
中での各材料へのTaF−3ガラスの濡れ角θを測定し
て、これら各材料による温度依存性を測定した。
【0047】この結果、図1に示すように、窒素雰囲気
においては、グラファイトおよびガラス状カーボンの濡
れ角が900℃〜1050℃の間の温度範囲において、
ほぼ一定で変化しなかったが、ダイヤモンドライクカー
ボンの場合には、濡れ角が温度上昇に伴って小さくなる
という温度依存性があった。
【0048】このとき、ガラス状カーボンおよびグラフ
ァイトは、1050℃までの加熱により、表面に微細な
ガラス材料2がわずかに付着したが、このガラス材料2
との反応物は生じず、構造、すなわち組成の変化も認め
られなかった。また、このガラス状カーボンは、窒素雰
囲気中で1450℃までの加熱でも組成の変化が認めら
れなかった。さらに、このガラス状カーボンは、図13
に示すように、雰囲気および1050℃以内の温度域で
は、組成の変化が見られず、安定な材料であることが分
かる。
【0049】一方、表5に示すアルゴン雰囲気中におけ
る組織からみた濡れ性の評価から、ダイヤモンドライク
カーボンは、温度上昇時に伴って気泡の発生と剥離が認
められた。また、このダイヤモンドライクカーボンの低
い濡れ角と温度依存性とは、ダイヤモンドライクカーボ
ンからグラファイトへの分解が生じたためであると考え
られる。
【0050】
【表5】
【0051】このため、ガラス材料2から光学デバイス
をプレス成形にて製造する光学デバイス製造用プレス型
1としては、表6に示すように、六方晶窒化硼素、ガラ
ス状カーボンおよびダイヤモンドライクカーボンそれぞ
れが優れた結果を示したが、濡れ性の観点から、ガラス
状カーボンが最も優れている。
【0052】
【表6】
【0053】上述したように、上記一実施の形態によれ
ば、ガラス状カーボンは、軽量かつ硬質で、表面からの
粒子の脱離が極めて少なく、優れた耐食性を示し、平滑
性に極めて優れ、低い摩擦係数を持つとともに、上述し
た測定結果から、900℃〜1050℃における比較的
高温域において、ガラス材料2との濡れ角θが大きいの
でこのガラス材料2との離型性に優れ、かつ大気雰囲気
であってもこのガラス材料2と反応しない。
【0054】このため、このガラス材料2を融解または
軟化状態にしてこの融解または軟化状態にしたガラス材
料2を用いたプレス成形で光学デバイスを製造する光学
デバイス製造用プレス型1をガラス状カーボン製とする
ことにより、窒素やアルゴンなどの不活性雰囲気として
雰囲気を制御することなく、大気雰囲気において、90
0℃〜1050℃といった比較的高温域で、ガラス材料
2を融解または軟化状態にして成形ひずみの少ない高精
度の光学デバイスをプレス成形にて製造できる。
【0055】さらに、ガラス状カーボン製の光学デバイ
ス製造用プレス型1の内表面、すなわちこの光学デバイ
ス製造用プレス型1にて光学デバイスをプレス成形にて
製造する際に、融解または軟化状態にしたガラス材料2
に接触する部分を、このガラス状カーボンと同様の炭素
で構成され、このガラス状カーボンの原子構造と似てい
るダイヤモンドライクカーボンで被覆することにより、
接着剤などの中間層を設けることなく、ガラス状カーボ
ンの表面をダイヤモンドライクカーボンで被覆できる。
【0056】また、ダイヤモンドライクカーボンは、ガ
ラス状カーボンに比べ硬質であるとともに平滑性に優れ
ているので、光学デバイス製造用プレス型1の内表面を
ダイヤモンドライクカーボンで被覆することにより、こ
の光学デバイス製造用プレス型1の内表面をより硬質に
できるとともに、この内表面の平滑性を向上できる。よ
って、この光学デバイス製造用プレス型1の耐食性をよ
り向上できるとともに、ガラス材料2からより高精度の
光学デバイスを製造できる。
【0057】さらに、ガラス状カーボン製の光学デバイ
ス製造用プレス型1の内表面を、このガラス状カーボン
より硬質でありダイヤモンドに次ぐ超硬質材料であると
ともに、グラファイトに似た結晶構造である六方晶窒化
硼素で被覆することにより、この光学デバイス製造用プ
レス型1の内表面をより硬質にできるから、この光学デ
バイス製造用プレス型1の耐食性をより向上できる。
【0058】またさらに、ガラス状カーボンより硬質で
ありこのガラス状カーボンとの結合に優れ、他の炭素材
料より仕事関数が低いカーボンナノチューブ(Carbon Na
no Tube:CNT)をガラス状カーボンに混合させて光学
デバイス製造用プレス型1を製造することにより、この
光学デバイス製造用プレス型1の強度をより容易に向上
させることができる。このため、この光学デバイス製造
用プレス型1自体の変形および歪みをより少なくできる
から、光学デバイスをプレス成形にて製造する際の成形
精度をより向上させることができる。
【0059】さらにまた、ガラス状カーボンより硬質で
ありこのガラス状カーボンとの結合に優れ、カーボンナ
ノチューブより比較的安価であり、炭素(C)のひげ状単
結晶であるカーボンウィスカー(carbon whisker)をガラ
ス状カーボンに混合させて光学デバイス製造用プレス型
1を製造することにより、この光学デバイス製造用プレ
ス型1の強度をより容易かつ安価に向上させることがで
きる。このため、この光学デバイス製造用プレス型1自
体の変形および歪みをより少なくできるから、光学デバ
イスをプレス成形にて製造する際の成形精度をより安価
に向上させることができる。
【0060】さらに、光学デバイス製造用プレス型1を
ガラス状カーボンにて成形すれば、集束イオンビーム(F
ocused Ion Beam:FIB)を用いることにより、この光
学デバイス製造用プレス型1の内表面に微細、すなわち
ミクロン単位の溝を形成できる。このため、この光学デ
バイス製造用プレス型1を集束イオンビームで加工する
ことにより、より複雑で微細なサブミクロンレンズなど
の光学デバイスを、プレス成形にてより高精度かつ容易
に製造できる。
【0061】なお、上記一実施の形態では、全体をガラ
ス状カーボンにて成形した光学デバイス製造用プレス型
1について説明したが、少なくともこの光学デバイス製
造用プレス型1にてプレス成形する際にガラス材料2が
接触する表面、すなわち内表面のみがガラス状カーボン
にて成形されていれば、上記一実施の形態と同様の作用
効果を奏することができる。
【0062】また、カーボンナノチューブあるいはカー
ボンウィスカーをガラス状カーボンに混合させて製造し
た光学デバイス製造用プレス型1の内表面を、ダイヤモ
ンドライクカーボンあるいは六方晶窒化硼素で被膜して
も、上記一実施の形態と同様の作用効果を奏することが
できるとともに、ガラス状カーボン製の光学デバイス製
造用プレス型1の内表面をダイヤモンドライクカーボン
あるいは六方晶窒化硼素で被膜したものに比べ、光学デ
バイス製造用プレス型1自体の強度をより向上させるこ
とができる。
【0063】さらに、融解させたガラス材料2あるいは
軟化状態にしたガラス材料2であっても光学デバイス製
造用プレス型1を対応させることにより用いることがで
きる。
【0064】
【発明の効果】請求項1記載のガラス成形型によれば、
ガラス成形型の少なくとも材料に接触する表面にガラス
状カーボンを有するので、雰囲気などを制御することな
く、比較的高温域でガラスを含む材料を融解して高精度
の被成形物を製造できる。
【0065】請求項2記載のガラス成形型によれば、ガ
ラス成形型の少なくとも材料に接触する表面にガラス状
カーボンを有するので、雰囲気などを制御することな
く、比較的高温域でガラスを含む材料を軟化状態にして
高精度の被成形物を製造できる。
【0066】請求項3記載のガラス成形型によれば、請
求項1または2記載のガラス成形型の効果に加え、プレ
ス成形にて被成形物を製造するので、雰囲気などを制御
することなく、比較的高温域でガラスを含む材料から高
精度の被成形物をプレス成形にて製造できる。
【0067】請求項4記載のガラス成形型によれば、請
求項1ないし3いずれか記載のガラス成形型の効果に加
え、全体をガラス状カーボンで成形するので、軽量化で
きる。
【0068】請求項5記載のガラス成形型によれば、請
求項1ないし4いずれか記載のガラス成形型の効果に加
え、カーボンナノチューブをガラス状カーボンに混合さ
せることにより、強度をより向上できるので、変形およ
び歪みを少なくでき、被成形物を製造する際の成形精度
をより向上できる。
【0069】請求項6記載のガラス成形型によれば、請
求項1ないし4いずれか記載のガラス成形型の効果に加
え、カーボンウィスカーをガラス状カーボンに混合させ
ることにより、強度をより安価に向上できるので、変形
および歪みを少なくでき、被成形物を製造する際の成形
精度をより安価に向上できる。
【0070】請求項7記載のガラス成形型によれば、請
求項1ないし6いずれか記載のガラス成形型の効果に加
え、中間層を設けることなくガラス状カーボンの表面を
ダイヤモンドライクカーボンで被覆できるともに、表面
をより硬質にでき、この表面の平滑性を向上できるか
ら、耐食性をより向上できるとともに、ガラスを含む材
料からより高精度の被成形物を製造できる。
【0071】請求項8記載のガラス成形型によれば、請
求項1ないし6いずれか記載のガラス成形型の効果に加
え、ガラス状カーボンの表面を六方晶窒化硼素で被覆す
ることにより、表面をより硬質にできるから、耐食性を
より向上できる。
【0072】請求項9記載のガラス成形型によれば、請
求項1ないし8いずれか記載のガラス成形型の効果に加
え、被成形物を光学素子とすれば、雰囲気などを制御す
ることなく、比較的高温域でガラスを含む材料から高精
度の光学素子を製造できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態のガラス成形型に用いら
れる材料の温度に対する濡れ角を示すグラフである。
【図2】同上ガラス成形型に用いられるガラス状カーボ
ンの強度を示すグラフである。
【図3】同上ガラス成形型の雰囲気の熱周期表を示すグ
ラフである。
【図4】ガラス状カーボンに対するTaF−3ガラスの
濡れ角を示す側面図である。
【図5】六方晶窒化硼素に対するTaF−3ガラスの濡
れ角を示す側面図である。
【図6】グラファイトに対するTaF−3ガラスの濡れ
角を示す側面図である。
【図7】ダイヤモンドライクカーボンに対するTaF−
3ガラスの濡れ角を示す側面図である。
【図8】プラチナ−イリジウムに対するTaF−3ガラ
スの濡れ角を示す側面図である。
【図9】ボロンカーバイドに対するTaF−3ガラスの
濡れ角を示す側面図である。
【図10】タングステンカーバイドに対するTaF−3
ガラスの濡れ角を示す側面図である。
【図11】同上材料に対する濡れ角を示すグラフであ
る。
【図12】同上材料の雰囲気に応じた濡れ角を示すグラ
フである。
【図13】同上ガラス状カーボンの強度を示すグラフで
ある。
【符号の説明】
1 ガラス成形型としての光学デバイス製造用プレス
型 2 ガラスを含む材料としてのガラス材料
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 杉本 公一 長野県上田市常入一丁目7−91 (72)発明者 伊藤 寛明 長野県長野市大字稲葉22−2 セジュール イナバ102号 (72)発明者 松倉 利顕 長野県諏訪市大字中洲4710番地 チノンテ ック株式会社内

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ガラスを含む材料を融解して被成形物を
    製造するガラス成形型であって、 少なくとも前記材料に接触する表面にガラス状カーボン
    を有することを特徴としたガラス成形型。
  2. 【請求項2】 ガラスを含む材料を軟化状態にして被成
    形物を製造するガラス成形型であって、 少なくとも前記材料に接触する表面にガラス状カーボン
    を有することを特徴としたガラス成形型。
  3. 【請求項3】 ガラスを含む材料からプレス成形にて被
    成形物を製造することを特徴とした請求項1または2記
    載のガラス成形型。
  4. 【請求項4】 全体がガラス状カーボンで成形されてい
    ることを特徴とした請求項1ないし3いずれか記載のガ
    ラス成形型。
  5. 【請求項5】 ガラス状カーボンには、カーボンナノチ
    ューブが混合されていることを特徴とした請求項1ない
    し4いずれか記載のガラス成形型。
  6. 【請求項6】 ガラス状カーボンには、カーボンウィス
    カーが混合されていることを特徴とした請求項1ないし
    4いずれか記載のガラス成形型。
  7. 【請求項7】 ガラス状カーボンの表面は、ダイヤモン
    ドライクカーボンで被覆されていることを特徴とした請
    求項1ないし6いずれか記載のガラス成形型。
  8. 【請求項8】 ガラス状カーボンの表面は、六方晶窒化
    硼素で被覆されていることを特徴とした請求項1ないし
    6いずれか記載のガラス成形型。
  9. 【請求項9】 被成形物は、光学素子であることを特徴
    とした請求項1ないし8いずれか記載のガラス成形型。
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