JP2003147103A - 織物プリプレグおよびハニカムサンドイッチパネル - Google Patents

織物プリプレグおよびハニカムサンドイッチパネル

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JP2003147103A
JP2003147103A JP2001348363A JP2001348363A JP2003147103A JP 2003147103 A JP2003147103 A JP 2003147103A JP 2001348363 A JP2001348363 A JP 2001348363A JP 2001348363 A JP2001348363 A JP 2001348363A JP 2003147103 A JP2003147103 A JP 2003147103A
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JP
Japan
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prepreg
honeycomb
resin
woven
honeycomb core
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Application number
JP2001348363A
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English (en)
Inventor
Norimitsu Natsume
憲光 夏目
Masahiko Hayashi
政彦 林
Takeshi Terashita
武 寺下
Hiroaki Ninomiya
宏明 二宮
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Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】様々な成形条件や、ハニカムコアのセルサイ
ズ、あるいはハニカムコアの形態に対しても、コアクラ
ッシュが発生しにくく、安定した生産が可能であり、か
つ、スキンパネルとハニカムコアとの接着性に優れ、さ
らには表面平滑性に優れたハニカムサンドイッチパネル
を提供すること。 【解決手段】強化繊維織物およびマトリックス樹脂から
なる織物プリプレグにおいて、任意の表面樹脂カバー率
が40〜100%であることを特徴とする織物プリプレ
グ。さらに、上記プリプレグより得られるスキンパネル
とハニカムコアとから構成されるハニカムサンドイッチ
パネル。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は織物プリプレグおよ
びハニカムサンドイッチパネルに関するものである。特
に詳しくは、ハニカムサンドイッチパネルのスキンパネ
ルとして用いるに際して、成形性に優れ、かつハニカム
コアとの自己接着性に優れる織物プリプレグ、および、
スキンパネル表面の穴や凹みが少なく表面平滑性に優れ
たハニカムサンドイッチパネルに関するものである。
【0002】
【従来の技術】強化繊維とマトリックス樹脂とからなる
繊維強化複合材料は、その優れた力学物性などから、航
空機、自動車、産業用途に幅広く使われている。近年、
その使用実績を積むに従い、繊維強化複合材料に対する
要求特性はますます厳しくなってきている。繊維強化複
合材料の力学物性や耐久性を十分に引き出すためには強
度低減に繋がる欠陥を少なくすることが重要である。特
に航空機用構造材料や内装材においては、軽量化の観点
から、繊維強化複合材料をスキンパネルとしてハニカム
サンドイッチパネルに用いるケースが増加している。
【0003】これらハニカムサンドイッチパネルのハニ
カムコアとしては、アラミドハニカム、ガラスハニカ
ム、アルミニウムハニカムが使用される。
【0004】ハニカムサンドイッチパネルの製造に当た
っては、従来、プリプレグとハニカムコアとの接着に当
たり、フィルム状に加工した接着剤をハニカムコアとプ
リプレグの積層体との間に挟み込み、その後コキュアし
て接着する方法が使用されていたが、航空機用途分野に
おけるコスト低減化への要望が強まるに従い、最近では
プリプレグをハニカムコアの両面に積層し、加熱するこ
とによってプリプレグの硬化とプリプレグとハニカムコ
アとの接着を同時に行なう、いわゆる自己接着ハニカム
コキュア成形法が主流となっている。
【0005】この自己接着ハニカムコキュア成形法に
は、スキンパネルとなるプリプレグとハニカムコアとの
接着性を極力高めることが求められているが、プリプレ
グより滲み出た樹脂により接着させるため、使用する樹
脂とハニカムコアとの相性など複雑な要因を考慮する必
要があるなど、接着性を充分に確保するのは従来は困難
であった。
【0006】特に、航空機用途のハニカムサンドイッチ
パネルには、セルサイズが3.2mm(1/8in)、
4.8mm(3/16in)、6.4mm(1/4i
n)のハニカムコアが多用される。セルサイズが大きく
なると、スキンパネルとハニカムコアとが接着する面積
が減少するため、接着性が弱くなる傾向があり、また、
これを補うため成形時の圧力を上昇させるとハニカムコ
アの変形や潰れ、すなわちコアクラッシュを生じること
があった。このようにセルサイズの大きいハニカムコア
を使用する場合、コアクラッシュすることなく、スキン
パネルとハニカムコアとの接着性に優れたハニカムサン
ドイッチパネルを得ることは困難であった。
【0007】ハニカムサンドイッチパネルの製造に当た
り、炭素繊維を強化繊維とするプリプレグをスキンパネ
ルに使用し、自己接着ハニカムコキュア成形法を採用し
たものとして、次のようなものがある。
【0008】USP4500660号明細書、特開昭5
8−82755号公報、特公昭62−28167 号公
報、特公昭63−30925号公報、特公平1−298
14号公報、特開平3 −210356号公報、特表平
9−828210号公報などでは、樹脂組成物の改質に
より、スキンパネルとハニカムコアとの接着性やサンド
イッチパネルの表面品位などを改善する技術が開示され
ている。
【0009】一方、WO99/02586号公報、特開
2000−238154号公報、特開2000−239
417号公報では樹脂組成物の改質に加え、カバーファ
クターや強化繊維織物の目付量など繊維強化織物の改良
により、スキンパネルとハニカムコアとの接着性やサン
ドイッチパネルの表面品位などを改善する技術が開示さ
れている。
【0010】しかし、これらに開示された技術は、すべ
てマトリックス樹脂組成物および/または強化繊維織物
の形態を改良することにより、スキンパネルとハニカム
コアとの接着性などを改善しようとしたものであるが、
成形条件や、ハニカムコアのコアサイズ、あるいはテー
パー角度といったハニカムコアの形態などの変化による
コアクラッシュ発生の懸念は依然払拭されていないまま
である。また、航空機用途に適用するには、前記接着性
は依然として不充分であり、さらに、ハニカムサンドイ
ッチパネルの表面平滑性についても充分なものではなか
った。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、様々
な成形条件や、ハニカムコアのセルサイズ、あるいはハ
ニカムコアの形態に対しても、コアクラッシュが発生し
にくく、安定した生産が可能であり、かつ、スキンパネ
ルとハニカムコアとの接着性に優れ、さらには表面平滑
性に優れたハニカムサンドイッチパネルを提供せんとす
るものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は上記目的を達成
するために次のような手段を採用する。すなわち、強化
繊維織物およびマトリックス樹脂からなる織物プリプレ
グにおいて、任意の表面樹脂カバー率が40〜100%
であることを特徴とする織物プリプレグである。
【0013】また、本発明は上記目的を達成するために
次のような手段を採用する。すなわち、上記織物プリプ
レグより得られるスキンパネルとハニカムコアとから構
成されるハニカムサンドイッチパネルである。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明は、前記した課題につい
て、鋭意検討し、織物プリプレグ表面の全面積に対して
マトリックス樹脂がカバーする面積(表面樹脂カバー
率)をコントロールさせたプリプレグにより前記課題を
一挙に解決することを究明したものである。
【0015】本発明の織物プリプレグは、表面樹脂カバ
ー率が40〜100%の範囲、好ましくは70〜100
%の範囲、特に好ましくは90〜100%の範囲にある
ことが重要である。表面樹脂カバー率が40%未満であ
ると、ハニカムサンドイッチパネル成形時にコアクラッ
シュを起こし易くなることがある。
【0016】織物プリプレグの表面樹脂カバー率は例え
ば次の手順に従って求めることができる。
【0017】織物プリプレグを任意の大きさに切りだ
し、マイクロスコープ(例えばキーエンス(株)製のデ
ジタルHDマイクロスコープVH−7000)で観察
し、録画して画像を得る。この時、レンズは撮影範囲が
6.10mm×4.55mmのもの(例えばキーエンス
(株)製のVH−50(接触タイプ、撮影範囲6.10
mm×4.55mm))を用いる。
【0018】次いで録画した画像を白と黒とに分けて2
値化する。2値化の方法は様々あるが、例えば次の手法
で行える。得られた画像を画像処理用ソフト(例えばA
dobe Systems,Inc.製Adobe P
hotoshop Elemetnts(日本語版))
にて、しきい値を110として2値化する。このとき黒
い部分が、プリプレグ表面を樹脂がカバーしている部分
であり、白い部分が樹脂がカバーしていない範囲と見な
し、全体(白い部分と黒い部分の和)に対する黒い部分
が占める割合(%)が表面樹脂カバー率である。
【0019】なお、本発明の織物プリプレグでは、ある
部分が6.10mm×4.55mmの範囲で表面樹脂カ
バー率が40〜100%を満たせば、その部分にハニカ
ムコアを設置することにより、コアクラッシュを防ぐこ
とが可能である。より安定してコアクラッシュを防ぐた
めには、10カ所以上任意にサンプリングし、それら表
面樹脂カバー率の平均すなわち平均表面樹脂カバー率が
50〜100%でありかつその平均表面樹脂カバー率の
標準偏差σが10以下であることが好ましく、同平均表
面樹脂カバー率が70〜100%かつその平均表面樹脂
カバー率の標準偏差σが6以下であることがさらに好ま
しく、同平均表面樹脂カバー率が90〜100%かつそ
の平均表面樹脂カバー率の標準偏差σが3以下であるこ
とが特に好ましい。
【0020】本発明の織物プリプレグはカバーファクタ
ーが95%以上であることが好ましい。ここで、カバー
ファクターとは、織糸部分の存在面積がプリプレグ全体
面積中に占める割合のことである。つまり、織物上に面
積がS1の領域を設定したとき、その面積S1と、領域
内に存在する織目(織糸間に形成される隙間)の面積の
総和S2とからCf=[(S1−S2)/S1]×10
0によって求められるCfを、任意の10カ所について
求め、その単純平均をカバーファクターKcとするもの
である。カバーファクターKcが大きいほど、織糸の開
繊、拡幅、扁平化が進んでいて、織目が小さい。カバー
ファクターが95%以上の織物プリプレグをスキンパネ
ルとして用いることにより、スキンパネル内部の欠陥で
あるポロシティが少ないがゆえ剛性、強度に優れたスキ
ンパネルとなる。
【0021】また、カバーファクターが95%以上の織
物プリプレグをスキンパネルとして用いることにより、
フラットワイズ引張強度やクライミングドラムピール法
にて評価するスキンパネルとハニカムコアとの自己接着
性が優れたハニカムサンドイッチパネルを得ることがで
きる。ここでクライミングドラムピール法とは自己接着
性評価方法の1つであり、例えばASTM D1781
に記載されている方法がある。また、カバーファクター
が95%以上の織物プリプレグをスキンパネルとして用
いることにより、織物が均一に拡がっているため、スキ
ンパネルの表面平滑性が良いハニカムサンドイッチパネ
ルを得ることができる。また、樹脂をプリプレグ表面に
保ちやすくプリプレグのタック経時変化が少なくなるの
である。クライミングドラムピール法により評価される
ハニカムサンドイッチパネルの自己接着性(クライミン
グドラムピール強度)は、15Nm/m以上であること
が航空機用構造材、内装材として好適であり、25Nm
/m以上であることがさらに好ましい。
【0022】また、カバーファクターが大きいとバーン
スルー特性に優れる。ここでバーンスルー特性とは内装
材として使用した時に重要な火災時などにおける炎の貫
通を阻止する効果であり、すなわち耐火性の良い成形板
が得られる。カバーファクターが不十分な場合は、成形
体のスキンパネル表面にピット、スキンパネル内部にポ
ロシティが発生する場合があり、クライミングドラムピ
ール強度が小さくなることがある。またカバーファクタ
ーが不十分な場合、プリプレグとしてはタック性の経時
変化が大きくなる場合がある。本発明に特に適したカバ
ーファクターの範囲は96%以上であり、さらに好まし
くは97.5%以上である。
【0023】また、本発明の織物プリプレグは、強化繊
維織物の目付が150〜550g/m2であり、かつプ
リプレグ全体に対する強化繊維織物の重量分率が40〜
85重量%であることが好ましい。これにより優れた機
械強度を有するスキンパネルを得ることができる。強化
繊維織物の目付が150g/m2未満であると機械強度
が不十分であることがあり、550g/m2を越えると
レイアップの際の作業性が損なわれることがある。強化
繊維織物の目付は170〜500g/m2であることが
さらに好ましい。また、強化繊維織物の重量分率が40
重量%未満であると、得られる繊維強化複合材料スキン
パネルの剛性が不十分となることがあり、85重量%を
越えると得られるスキンパネルにボイドが発生しやすく
なることがある。強化繊維織物の重量分率は50〜75
重量%であることがさらに好ましい。
【0024】本発明の織物プリプレグに用いる強化繊維
織物の強化繊維としては、ガラス繊維、炭素繊維、アラ
ミド繊維、ボロン繊維、アルミナ繊維、炭化ケイ素繊維
などが用いられる。これらの繊維は2種以上混合して用
いても構わない。より軽量で、より耐久性の高い成形品
を得るためには、特に炭素繊維の使用が好ましい。本発
明に使用される炭素繊維はポリアクリロニトリル系、ピ
ッチ系等があるがそのいずれを用いてもよい。繊維本来
の引張強度やハニカムサンドイッチパネルとしたときの
耐衝撃性が高いという面から、ストランド引張強度4.
4GPa以上、引張り破断伸度1.7%以上の高強度炭
素繊維がより好ましい。ここでストランド引張強度はJ
IS−R7601に基づいて測定される。さらに耐衝撃
性向上の面から引張伸度が1.7%以上である炭素繊維
の使用が特に好ましく、引張弾性率Eが200GPa以
上、破壊ひずみ強さWが40MPa以上であることが好
ましい。引張弾性率Eが高い強化繊維を用いることは、
自己接着性評価の1つであるクライミングドラムピール
法において高強度を得ることに繋がる。なお、破壊ひず
み強さWとはJIS−R7601に準拠して測定したと
きの引張強度(σ:MPa)と、弾性率(E:MPa)
とを用いて、次式:W=σ2/2Eに基づいて算出す
る。こうした高強度高伸度炭素繊維として例えば、東レ
(株)製T700SCやT800H、T1000G等が
挙げられる。
【0025】本発明の織物プリプレグに用いる強化繊維
織物としては二次元織物を用いることができる。織物組
織としては特に限定されないが平織、綾織、絡み織、繻
子織といった織物が好ましい。特に平織構造が薄い成形
体を造りやすいという点で、適している。織物の織糸は
繊維束からなるが、一つの繊維束中のフィラメント数が
2500〜50000本の範囲が好ましい。2500本
を下回ると繊維配列が蛇行しやすく強度低下の原因とな
りやすい。また、50000本を上回るとプリプレグ作
製時あるいは成形時に樹脂含浸が起こりにくい。より好
ましくは2800〜25000本の範囲である。特にフ
ィラメント数5000本以上のものがハニカムスキンパ
ネルの表面平滑性向上の観点から好ましい。
【0026】また、多数本の炭素繊維からなる実質的に
撚りのない扁平な炭素繊維マルチフィラメント糸を織糸
とした織物を用いることは、織物プリプレグを長時間放
置しておいても織物繊維の動きが小さく表面樹脂の沈み
込みが起こりにくいため、プリプレグのタック性の経時
変化を抑制するため好ましい。また、成形中のプリプレ
グにおいても織物繊維の動きが小さく表面樹脂の沈み込
みが起こりにくいため、硬化後のハニカムサンドイッチ
パネルの表面平滑性向上をもたらすため好ましい。ここ
で「実質的に撚りがない」とは、糸長1m当たりに1タ
ーン以上の撚りがない状態をいう。特に、実質的にマル
チフィラメント糸に撚りがなく、集束性がフックドロッ
プ値で100〜1000mm、好ましくは100〜50
0mmの範囲にあるマルチフィラメント糸からなる織物
を用いることが、織物繊維の動きを小さくし織糸の扁平
状態を維持しやすく、プリプレグのタック経時変化抑制
およびハニカムサンドイッチパネルの表面平滑性向上の
観点から好ましい。
【0027】ここでフックドロップ値とは温度23℃、
湿度60%の雰囲気で炭素繊維束を垂直に吊り下げ、こ
れに直径1mm、長さ100mm程度のステンレスワイ
ヤーの上部および下部の20〜30mmを曲げ、12g
の重りを下部に掛け、上部を繊維束に引っ掛け、30分
経過後の重りの落下距離で表す値である。撚りや捩れが
あるとこの値が小さくなる。炭素繊維糸を用いた補強織
物とする場合、一般に炭素繊維はその製造工程において
切れたフィラメントのローラーへの巻き付きによる工程
トラブルを防ぐため、プリカーサーの繊維束のフィラメ
ント同士を交絡させて、炭素繊維糸に集束性を付与して
いる。また、サイジング剤の付着量やフィラメント同士
の接着により炭素繊維糸に集束性を付与している。フィ
ラメント同士の交絡度合い、サイジング剤の付着量およ
びフィラメント同士の接着の度合いによって集束性を制
御する。フックドロップ値が100mm以下で集束性が
強すぎると、前述の織物プリプレグのカバーファクター
を大きくすることが難しい場合がある。この場合、プリ
プレグのタック性の経時変化が大きくなったり、また、
プリプレグの樹脂含浸性が劣る場合がある。その結果、
スキンパネルの表面ピットや内部のボイドが発生しやす
くなる。フックドロップ値が1000mm以上であると
炭素繊維糸の集束性が悪くなり毛羽が発生しやすく製織
性が悪くなり、また複合材料としての強度低下につなが
る。
【0028】本発明の織物プリプレグに用いるマトリッ
クス樹脂としては、最低粘度が0.1〜1000Pa・
sのマトリックス樹脂であることが好ましい。0.1P
a・s未満であると、プリプレグの硬化途中に樹脂が流
動し、所望の繊維含有率のサンドイッチパネルが得られ
なかったり、コアクラッシュが発生することがある。ま
た、1000Pa・sより大きいと樹脂の流動性が少な
く、得られたサンドイッチパネルにおけるフィレット形
成が不十分であることがある。ここで、フィレットとは
プリプレグ積層体からハニカムコアの厚み方向に、ハニ
カムの壁に沿って樹脂が垂れ、あるいはせり上がった状
態で硬化した部分のことを言う。マトリックス樹脂の最
低粘度としては0.5〜100Pa・sが好ましく、
0.5〜50Pa・sがさらに好ましい。
【0029】マトリックス樹脂としてはエポキシ樹脂、
フェノール樹脂、ビニルエステル樹脂、ベンゾオキサジ
ン樹脂、シアネートエステル樹脂、ビスマレイミド樹脂
など各種の熱硬化性樹脂を使用するのが好ましく、これ
ら2種以上を混合して用いても良い。中でも、成形が容
易で物性に優れたエポキシ樹脂が好ましい。
【0030】本発明の織物プリプレグに用いるマトリッ
クス樹脂としてエポキシ樹脂を用いる場合、少なくとも
エポキシ基含有化合物と硬化剤を含むエポキシ樹脂組成
物であることが肝要である。
【0031】かかるエポキシ基含有化合物としては、分
子内に少なくとも2個以上のエポキシ基を有する化合物
が好ましく用いられる。具体的には、ビスフェノールA
型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビ
スフェノールS型エポキシ樹脂、テトラブロモビスフェ
ノールA型エポキシ樹脂などのビスフェノール型エポキ
シ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾ
ールノボラック型エポキシ樹脂などのノボラック型エポ
キシ樹脂、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタ
ン、トリグリシジルアミノフェノール、テトラグリシジ
ルキシレンジアミンの、グリシジルアニリン、グリシジ
ルo−トルイジンなどのようなグリシジルアミン型エポ
キシ樹脂等、あるいはこれらの組み合わせが好適に用い
られる。
【0032】かかるエポキシ樹脂組成物に使用される硬
化剤としては、例えば、ジアミノジフェニルメタン、ジ
アミノジフェニルスルホンのような芳香族アミン、トリ
エチレンテトラミン、イソホロンジアミン等の脂肪族ア
ミン、ジシアンジアミド、テトラメチルグアニジン、メ
チルヘキサヒドロフタル酸無水物のようなカルボン酸無
水物、アジピン酸ヒドラジド等のカルボン酸ヒドラジ
ド、カルボン酸アミド、ポリフェノール化合物、ポリメ
ルカプタン、三フッ化ホウ素エチルアミン錯体のような
ルイス酸錯体等あるいはこれらの組み合わせが好適に用
いられる。これらの中でも良好な耐熱性および硬化性を
与えることから、ジアミノジフェニルスルホンの各構造
異性体および/またはジシアンジアミドを含むことが好
ましい。かかる硬化剤は得られるプリプレグのライフと
硬化性を両立させるという観点から、エポキシ樹脂組成
物における全エポキシ基含有化合物100重量部に対し
て、1〜70重量部配合することが好ましく、15〜6
0重量部であることがさらに好ましい。また、ジアミノ
ジフェニルスルホンの各構造異性体および/またはジシ
アンジアミドを含む場合は、ジアミノジフェニルスルホ
ンの各構造異性体の配合量は、エポキシ樹脂組成物にお
けるエポキシ基含有化合物100重量部に対して、15
〜70重量部配合するのが、また、ジシアンジアミドは
エポキシ樹脂組成物におけるエポキシ基含有化合物10
0重量部に対して、2〜15重量部配合するのが得られ
るプリプレグのライフと硬化性を両立させ、良好な耐熱
性を与えるのでよい。
【0033】また、本発明の織物プリプレグのマトリッ
クス樹脂にエポキシ樹脂組成物を用いる場合は、ゴム成
分、熱可塑性樹脂、揺変性付与剤、ウレア化合物、イミ
ダゾール類より選ばれる少なくとも一種を含むエポキシ
樹脂樹脂組成物であることが好ましい。これにより、エ
ポキシ樹脂組成物の流動性を制御することができ、好ま
しい最低粘度を実現することができる。
【0034】かかるゴム成分としては固形ゴム、液状ゴ
ムやゴム粒子などを用いることができる。
【0035】一般に固形ゴムは液状ゴムに比べて同一量
をエポキシ樹脂に溶解した場合の粘度上昇が大きく、成
形過程の樹脂組成物を適度な粘度レベルに保ちながら、
比較的成形物の耐熱性を維持できるため好ましい。特
に、樹脂組成物の粘弾性関数の温度依存性を減少し、プ
リプレグを扱う作業環境温度の変動があっても取扱い性
が悪化しにくく、またプリプレグ放置によるタック性の
経時変化を小さくし、硬化物であるスキンパネルの表面
平滑性を向上せしめる。
【0036】固形ゴムとしてはブタジエンとアクリロニ
トリルのランダムコポリマーであるアクリロニトリル−
ブタジエン共重合体がエポキシ樹脂との相溶性の面から
好ましい。アクリロニトリルの共重合比を変化させるこ
とでエポキシ樹脂との相溶性を制御できる。さらにエポ
キシ樹脂との接着性をあげるために官能基を有する固形
ゴムがより好ましい。官能基としては、カルボキシル
基、アミノ基などがある。特にカルボキシル基を含有す
る固形アクリロニトリル−ブタジエンゴムが好ましい。
また、水素化ニトリルゴムも耐候性に優れるため好まし
い。これら固形ゴムの市販品としてNIPOL(登録商
標)1072、NIPOL1072J、NIPOL14
72、NIPOL1472HV、NIPOL1042、
NIPOL1043、NIPOL DN631、NIP
OL1001、ZETPOL(登録商標)2020、Z
ETPOL2220、ZETPOL3110(以上、日
本ゼオン(株)製)等が挙げられる。
【0037】また、ゴム粒子としては、架橋ゴム粒子、
及び架橋ゴム粒子の表面に異種ポリマーをグラフト重合
したコアシェルゴム粒子が好ましく用いられる。市販の
架橋ゴム粒子としては、カルボキシル変性のブタジエン
−アクリロニトリル共重合体の架橋物からなるXER−
91(型番、日本合成ゴム工業(株)製)、アクリルゴ
ム微粒子からなるCX−MNシリーズ(型番、日本触媒
(株)製)、YR−500シリーズ(型番、東都化成
(株)製)などを使用することができる。また、市販の
コアシェルゴム粒子としては、ブタジエン・メタクリル
酸アルキル・スチレン共重合体からなるパラロイド(登
録商標)EXL−2655(呉羽化学工業(株)製)、
アクリル酸エステル・メタクリル酸エステル共重合体か
らなるスタフィロイド(登録商標)AC−3355、T
R−2122(型番、武田薬品工業(株)製)、アクリ
ル酸ブチル・メタクリル酸メチル共重合体からなるPA
RALOID(登録商標)EXL−2611、EXL−
3387(型番、Rohm & Haas社製)などを使用するこ
とができる。
【0038】これらゴム成分は靱性向上の反面、樹脂の
弾性率や耐熱性を低下させやすいため、配合する場合は
添加量をエポキシ樹脂組成物全体に対して0.1〜10
重量%とすることが好ましく、2〜6重量%であること
がさらに好ましい。
【0039】また、かかる熱可塑性樹脂としては、主鎖
に、炭素−炭素結合、アミド結合、イミド結合、エステ
ル結合、エーテル結合、カーボネート結合、ウレタン結
合、尿素結合、チオエーテル結合、スルホン結合、イミ
ダゾール結合、カルボニル結合から選ばれる結合を有す
る熱可塑性樹脂が好ましく使用される。ポリアクリレー
ト、ポリアミド、ポリアラミド、ポリエステル、ポリカ
ーボネート、ポリフェニレンスルフィド、ポリベンズイ
ミダゾール、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリス
ルホン、ポリエーテルスルホンのようなエンジニアリン
グプラスチックに属する熱可塑性樹脂の一群がより好ま
しく使用される。特に好ましくは、ポリイミド、ポリエ
ーテルイミド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホンな
どが、耐熱性にも優れることから好適に使用される。ま
た、これらの熱可塑性樹脂が熱硬化性樹脂との反応性を
有することは靱性向上および硬化樹脂の耐環境性維持の
観点から好ましい。特に好ましい官能基としては、カル
ボキシル基、アミノ基、水酸基などが挙げられる。かか
る熱可塑性樹脂の配合量は、エポキシ樹脂組成物におけ
る全エポキシ基含有化合物100重量部に対して、好ま
しくは1〜30重量部配合するのが、エポキシ樹脂組成
物に適度な流動性を与え、得られる炭素繊維強化プラス
チックの機械強度を高める作用を有するのでよい。
【0040】また、かかる揺変性付与剤としてはタル
ク、ケイ酸アルミニウム、微粒子状シリカ、炭酸カルシ
ウム、マイカ、モンモリロナイト、スメクタイト、カー
ボンブラック、炭化ケイ素、アルミナ水和物等の無機粒
子が挙げられる。なかでも微粒子状シリカは樹脂組成物
に加えた際に揺変性発現効果が大きいことが知られてい
るが、それのみでなく樹脂組成物の粘弾性関数の温度依
存性を減少し、プリプレグを扱う作業環境温度の変動が
あっても取扱い性が悪化しにくく、またプリプレグ放置
によるタック性の経時変化を小さくし、硬化物であるス
キンパネルの表面平滑性を向上せしめ、ハニカムコアへ
の自己接着性に優れる効果を与えるため好ましい。二酸
化ケイ素を基本骨格とする微粒子状シリカとして、例え
ば一次粒径の平均値は5〜40nmの範囲にあるものが
アエロジル(日本アエロジル(株)製)の商標にて市販
されている。一次粒子径が40nm以下と細かいことが
充分な増粘効果を与えるため好ましい。粒子径は電子顕
微鏡にて評価する。比表面積としては50〜400m2
/gの範囲のものが好ましい。シリカの表面がシラノー
ル基で覆われているものが一般的に用いられるが、シラ
ノール基の水素をメチル基、オクチル基、ジメチルシロ
キサン等で置換した疎水性微粒子状シリカを用いること
は樹脂の増粘効果、チキソトロピー性安定化の面および
成形品の耐水性、圧縮強度に代表される力学物性を向上
する面からより好ましい。かかる揺変性付与剤を配合す
る場合、エポキシ樹脂組成物全体に対して0.1〜8重
量%の範囲で添加することが好ましい。0.1重量%未
満ではハニカムサンドイッチパネルのスキンパネル表面
にピットや樹脂かすれが発生しやすく、一方、8重量%
を超えると樹脂粘度が高すぎ、強化繊維への含浸が困難
になりやすい。より好ましい添加量は0.2〜5重量%
の範囲であり、さらに好ましくは0.3〜3重量%の範
囲である。
【0041】熱可塑性樹脂、ゴム成分と揺変性付与剤は
単独で使用してもよいが、熱可塑性樹脂と揺変性付与
剤、またはゴム成分と揺変性付与剤を併用した場合がス
キンパネル表面のピット低減とプリプレグのタック性向
上、経時変化抑制や成形物の耐熱性維持のためより好ま
しい。その場合のもっとも好ましい添加量は熱可塑性樹
脂と揺変性付与剤を併用する場合、エポキシ樹脂組成物
全体に対して熱可塑性樹脂5〜25重量%および揺変性
付与剤0.3〜3重量%であり、ゴム成分と揺変性付与
剤を併用する場合、ゴム成分2〜4重量%および揺変性
付与剤0.3〜3重量%の範囲である。
【0042】また、かかるウレア化合物としては、3-
フェニル- 1, 1- ジメチル尿素、3- (3, 4- ジク
ロロフェニル)- 1, 1- ジメチル尿素(DCMU)、
3-(3−クロロ−4- メチルフェニル)- 1, 1- ジ
メチル尿素、2,4−ビス(3,3−ジメチルウレイ
ド)トルエン等の第二アミンとイソシアネートの反応に
より得られる化合物が好ましく用いられる。かかるウレ
ア化合物の配合量は、エポキシ樹脂組成物における全エ
ポキシ樹脂100重量%に対して、好ましくは0〜10
重量%配合するのが、エポキシ樹脂組成物に適度な流動
性を与えると同時に、優れた硬化性を付与するので好ま
しい。
【0043】また、かかるイミダゾール類としては2−
エチル−4−メチルイミダゾール、2,4−ジメチルイ
ミダゾール、2−フェニルイミダゾールなどを好適に用
いることができる。かかるウレア化合物の配合量は、エ
ポキシ樹脂組成物における全エポキシ樹脂100重量%
に対して、好ましくは0〜7重量%配合するのが、エポ
キシ樹脂組成物に適度な流動性を与えると同時に、ポッ
トライフが優れるので好ましい。
【0044】適度な流動性を有し、優れた硬化性および
ポットライフを与えることから、本発明の織物プリプレ
グのエポキシ樹脂組成物には、ゴム成分、熱可塑性樹
脂、揺変性付与剤、ウレア化合物、イミダゾール類より
選ばれる少なくとも二種を含むことがさらに好ましい。
この組み合わせとしては、熱可塑性樹脂およびウレア化
合物を含有することが好ましい。このとき、エポキシ樹
脂組成物100重量%に対し、熱可塑性樹脂とウレア化
合物の合計が1〜30重量%になることが、特に優れた
流動性および硬化性を与えるため、特に好ましい。
【0045】さらに、かかるエポキシ樹脂組成物には上
記以外の高分子化合物、有機粒子等の任意の成分をそれ
ぞれの目的に応じて配合することができる。
【0046】高分子化合物としては熱可塑性エラストマ
ーを添加することができる。特にポリエステル系または
ポリアミド系の熱可塑性エラストマーが好ましく配合さ
れる。ポリエステル系またはポリアミド系の熱可塑性エ
ラストマーを配合したエポキシ樹脂組成物は、優れたタ
ック性を示しながら、低粘度であり、ドレープ性、強化
繊維への含浸性にも優れる。また、このような熱可塑性
エラストマーを配合しない場合に比較して、樹脂の粘弾
性関数の温度依存性、特に室温付近での変化が小さいた
め、プリプレグの取扱性の温度依存性が小さくなるため
好ましい。従って、これを用いたプリプレグは、タック
性、ドレープ性、得られるサンドイッチパネルの表面品
位などにおいて優れた特性を発現し得る。このような効
果を得るためには、ポリエステル系またはポリアミド系
エラストマーを熱硬化性樹脂100重量部に対して1〜
20重量部配合することが好ましい。ポリエステル系ま
たはポリアミド系の熱可塑性エラストマーの融点は熱硬
化性樹脂組成物の硬化後の耐熱性に影響を与えるため、
100℃以上であることが好ましく、さらには140℃
以上であることが好ましい。
【0047】また、熱可塑性樹脂粒子としては、ポリア
ミドあるいはポリイミドの粒子が好ましく用いられる。
これら熱可塑性樹脂粒子の配合により得られるサンドイ
ッチパネルのスキンパネル/ハニカムコア間の接着強度
向上効果、さらにはスキンパネルに高度の耐衝撃性を付
与させることができる。市販のポリアミド粒子として
は、SP−500(型番、東レ(株)製)、オルガソー
ル(登録商標、ATOCHEM社製)などを好ましく使
用することができる。熱可塑性樹脂粒子としては、その
大きさは平均一次粒子径が1〜50μmの範囲であるこ
とが好ましい。平均一次粒子径が1μm未満ではスキン
パネル/ハニカムコア間の接着強度向上効果が小さくな
り、50μmを超えると強化繊維の配列を乱し、強度低
下を起こしたり含浸不良となる可能性がある。より好ま
しくは平均一次粒子径が1〜30μmの範囲である。な
お、これら粒子を配合する場合には、接着強度向上と、
強化繊維の配列を乱れによる強度低下を起こさないため
に、エポキシ樹脂組成物全体に対し、1〜18重量%、
好ましくは2〜10重量%配合することが好ましい。
【0048】
【実施例】以下、本発明を実施例により説明する。プリ
プレグの作製および各種測定は次の1〜6に示す方法で
行った。実施例、比較例の内容は表1〜3に纏めて示し
た。 1.織物プリプレグの作製 表1〜3に示す樹脂組成物(表中数字は重量部を表す)
をリバースロールコーターを用いて離型紙上に塗布して
樹脂フィルムを作製した。強化繊維織物に樹脂フィルム
2枚を強化繊維織物の両面から重ね、加熱加圧により樹
脂を含浸した。このとき、加圧時の圧力を調整すること
により、表面樹脂カバー率を変化させた1000mm幅
の織物プリプレグを作製した。なお、強化繊維織物は表
1〜3に示す織組織のものを使用した。強化繊維には引
張弾性率230GPa、引張強度4.9GPaの炭素繊
維(東レ(株)製T700S−12K)を用いた。 2.樹脂組成物の最低粘度測定 表1および2に示すエポキシ樹脂組成物を、動的粘弾性
測定装置を用いて、以下の条件で温度と粘度との関係曲
線を得、その曲線から最低粘度を求めた。なお、粘弾性
測定装置としては、レオメトリックス社製RDA −I
I 型装置を用い、測定は以下の条件で行った。
【0049】操作モード:ダイナミックモード 振動数:3.14ラジアン/秒 昇温速度:1.5℃/分 プレート構成:平行板(半径25mm) ギャップ:0.83mm 3.織物プリプレグの表面樹脂カバー率の測定 先ず、1000mm幅の織物プリプレグを幅と垂直方向
に100mmに切り出し、1000mm×100mmの
サンプルを得た。このサンプルを元の織物プリプレグの
幅方向に、均等に10分割し、100mm×100mm
の観察用サンプルを10個切り出した。観察用サンプル
の中央部を、キーエンス(株)製のデジタルHDマイク
ロスコープVH−7000で観察し、録画して画像を得
た。この時、レンズはキーエンス(株)製のVH−50
(接触タイプ)を用い、カメラのゲイン、シャッタ速
度、ホワイトバランス、光量はオートに設定し、フレー
ムレートは標準に設定し、かつ、日付、時刻、タイト
ル、コメントは表示させなかった。このようにして録画
したファイルを1/20の圧縮率で保存した。
【0050】次いで得られた画像を画像処理用ソフト
(Adobe Systems,Inc.製Adobe
Photoshop Elemetnts(日本語
版))にて、「イメージ」メニューから「色調補正」を
選び、さらに「2階調化」を選択し、しきい値を110
として2値化した。さらに、「イメージ」メニューから
「ヒストグラム」を選び、チャンネルを「輝度」にして
2値化した画像のヒストグラムを表示させた。ヒストグ
ラムで表示される「レベル」が110となるように表示
されるように画面上のポインタを静止させた時の「比
率」の値を読みとり、表面樹脂カバー率とした。
【0051】この表面樹脂カバー率を10個の観察用サ
ンプルについて求め、その平均表面樹脂カバー率と平均
表面樹脂カバー率の標準偏差σを求めた。 4.コア保持率の測定 ハニカムコアとして、ノーメックスハニカムSAH1/
8−3 .0(昭和飛行機(株)製、厚み25.4mm
)を300mm×300mmに切り出し、周囲を20
°でテーパー加工し、ハニカムコア下面が300mm×
300mm、上面が160mm×160mmとしたもの
を使用した。また、織物プリプレグの積層構成は、強化
繊維織物の目付が193g/m2の場合は、ハニカムコ
アの上下ともに(±45゜)/(0゜/90゜)/(±
45゜)/(0゜/90゜)の4プライ対称積層構成
(ハニカムコアに対して最外層は±45゜)とした。強
化繊維織物の目付が300g/m2を越える場合は、ハ
ニカムコアの上下ともに(±45゜)/(0゜/90
゜)の2プライ対称積層構成(ハニカムコアに対して最
外層は±45゜)とした。ここで、織物プリプレグの寸
法は、ハニカムコアの上面に配置するものを425mm
×425mm、ハニカムコアの下面に配置するものを4
05mm×405mmとし、織物プリプレグはハニカム
コアのリボン(L)方向が織物プリプレグのたて糸方向
になるように積層した。ここでいうハニカムコアのリボ
ン(L)方向とは、母材シートを波板に成形し重積して
接着することによりハニカムコアを製造する際の波板の
重積方向と垂直の方向であり、かつセルと垂直をなす方
向である。
【0052】次に、ナイロンバッグでアルミニウムツー
ル板上の積層体を覆い、バッグ内を真空状態に保った状
態でオートクレーブに収納し、0.49MPaまで圧力
を与えたところでバッグ内を常圧に戻した。次に、1.
5℃/分で135℃迄昇温し、同温度で2.2MPaま
で昇圧し、さらに同温度でそのまま1時間保持した後、
1.5℃/分で180℃迄昇温した。
【0053】その後、180℃で2時間放置して織物プ
リプレグを硬化させつつプリプレグ積層体をハニカムコ
アと接着させた後、室温まで2℃/分で降温し、ハニカ
ムコキュア成形体、すなわちハニカムサンドイッチパネ
ルとした。
【0054】得られたハニカムサンドイッチパネルの上
面部に内接する四角形の面積(mm 2)を160mm×
160mmで除し、100をかけた値をコア保持率
(%)とした。コア保持率(%)の数字が大きいほど、
コアクラッシュが起こりにくくサンドイッチパネルの成
形性が良いことを示す。 5.フラットワイズ引張強度の測定 ハニカムコアとして、HRP3/16−4.0のガラス
ハニカムを使用した。また、織物プリプレグの積層構成
は、強化繊維織物の目付が190g/m2の場合は、ハ
ニカムコアの上下ともに(0゜/90゜)/(0゜/9
0゜)の2プライ対称積層構成とする。強化繊維織物の
目付が300g/m2を越える場合は、ハニカムコアの
上下ともに(0゜/90゜)の1プライ対称積層構成と
した。ここで、ハニカムコアと織物プリプレグの寸法
は、40cm(短手方向)×50cm(長手方向)とし
た。織物プリプレグは、短手方向が織物のたて糸方向に
なるようにカットした。そして、ハニカムコアのリボン
(L)方向が、織物プリプレグのたて糸方向になるよう
に積層した。
【0055】次に、ナイロンバッグでアルミニウムツー
ル板上の積層体を覆い、バッグ内を真空状態に保った状
態でオートクレーブに収納し、150Paまで圧力を与
えたところでバッグ内を常圧に戻した後300Paまで
昇圧した。300Paを保持したまま、1.5℃/分で
180℃迄昇温し、同温度で2時間放置して織物プリプ
レグを硬化させつつプリプレグ積層体をハニカムコアと
接着させた後、室温まで2℃/分で降温し、ハニカムコ
キュア成形体、すなわちハニカムサンドイッチパネルと
した。
【0056】上記した成形体サンプルを用いて、MIL
−STD−401B法に従ってフラットワイズ引張強度
を測定した。 6.表面粗さ値の測定 4.で得られたハニカムサンドイッチパネルのアルミニ
ウムツール板側の表面について、ハニカムサンドイッチ
パネルの中心部を中心に、ハニカムコアののリボン
(L)方向に沿って、長さ95mmを触針計によりトレ
ースし、その間にあるピーク点から選んだ5点の単純平
均高さと、ディップ点から選んだ5 点の単純平均高さ
との差を求めた。ここでは、触針計として、ミツトヨ
(株)社製、表面粗さ計サーフテスト301を用いた。
なお、ここで得られる表面粗さ値(μm)は、その値が
小さい程、表面平滑性が優れていることを示す。
【0057】実施例1〜3と比較例1の比較から、コア
保持率を指標とするサンドイッチパネル成形性、フラッ
トワイズ引張強度を指標とするスキンパネルとハニカム
コアとの接着性および表面粗さ値を指標とする表面平滑
性について、本発明の織物プリプレグが大きく優れるこ
とが分かる。また、表面樹脂カバー率が70%を越える
とより優れ、90%を越えると特に優れていることが分
かる。
【0058】また、実施例1と実施例4〜8、10の比
較により、マトリックス樹脂がゴム成分、熱可塑性樹
脂、揺変性付与剤、ウレア化合物、イミダゾール類より
選ばれる少なくとも一種を含むエポキシ樹脂組成物を用
いた場合、それらを含まないエポキシ樹脂組成物を用い
た場合に比べ、成形性、接着性および表面平滑性に優れ
ることが分かる。
【0059】
【表1】
【0060】
【表2】
【0061】
【表3】
【0062】
【発明の効果】本発明によれば、様々な成形条件や、ハ
ニカムコアのコアサイズ、あるいはハニカムコアの形態
に対しても、コアクラッシュが発生しにくく、安定した
生産が可能であり、かつ、スキンパネルとハニカムコア
との接着性に優れ、さらには表面平滑性に優れたハニカ
ムサンドイッチパネルが得られる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08L 63/00 C08L 63/00 A 101/00 101/00 (72)発明者 二宮 宏明 愛媛県伊予郡松前町大字筒井1515番地 東 レ株式会社愛媛工場内 Fターム(参考) 4F072 AA04 AA07 AB06 AB08 AB09 AB10 AB28 AD02 AD09 AD27 AD28 AD31 AD37 AD41 AD44 AD46 AE02 AE12 AG20 AH44 AH49 AJ04 AK05 AK14 AL02 4J002 AC073 AC103 BG052 CD051 CD061 CF002 CG012 CL002 CL062 CM042 CN032 DA017 DE146 DE236 DJ006 DJ016 DJ056 DK007 DL007 FA047 FD336 GN00

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】強化繊維織物およびマトリックス樹脂から
    なる織物プリプレグにおいて、任意の表面樹脂カバー率
    が40〜100%であることを特徴とする織物プリプレ
    グ。
  2. 【請求項2】平均表面樹脂カバー率が50〜100%、
    かつ、その平均表面樹脂カバー率の標準偏差が10以下
    であることを特徴とする請求項1記載の織物プリプレ
    グ。
  3. 【請求項3】マトリックス樹脂がゴム成分、熱可塑性樹
    脂、揺変性付与剤、ウレア化合物、イミダゾール類より
    選ばれる少なくとも一種を含むエポキシ樹脂組成物であ
    ることを特徴とする請求項1又は2に記載の織物プリプ
    レグ。
  4. 【請求項4】請求項1〜3のいずれかに記載の織物プリ
    プレグより得られるスキンパネルとハニカムコアとから
    構成されるハニカムサンドイッチパネル。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
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WO2022054747A1 (ja) * 2020-09-11 2022-03-17 東レ株式会社 エポキシ樹脂組成物、成形材料および繊維強化複合材料

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