JP2003146744A - 低温焼成用誘電体磁器の比誘電率の管理方法、低温焼成用誘電体磁器および電子部品 - Google Patents

低温焼成用誘電体磁器の比誘電率の管理方法、低温焼成用誘電体磁器および電子部品

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JP2003146744A
JP2003146744A JP2001347108A JP2001347108A JP2003146744A JP 2003146744 A JP2003146744 A JP 2003146744A JP 2001347108 A JP2001347108 A JP 2001347108A JP 2001347108 A JP2001347108 A JP 2001347108A JP 2003146744 A JP2003146744 A JP 2003146744A
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dielectric ceramic
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zirconia
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Takeshi Obuchi
武志 大渕
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NGK Insulators Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】BaO−TiO2 −RE2 3系の組成物を主
成分とする低温焼成用誘電体磁器において、比誘電率の
バラツキを低減し、製造歩留りを向上できるようにす
る。 【解決手段】xBaO・yTiO2 ・z〔(1−a)
RE2 3 ・aBi2 3 〕(REは、希土類金属元素
を示す;0.10≦x≦0.20;0.60≦y≦0.
75;0.10≦z≦0.25;x+y+z=1;0≦
a≦0.3)によって表わされる組成物を主成分とする
低温焼成用誘電体磁器の比誘電率を管理するために、組
成物100重量部に対するジルコニアの含有量を0.1
1重量部以上、0.50重量部以下に制御する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、低温焼成用誘電体
磁器の比誘電率の管理方法、低温焼成用誘電体磁器およ
び電子部品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】例えば、ストリップライン型フィルタの
如き内層導体を有する誘電体フィルタを作製するのに際
しては、内層導体と誘電体磁器との同時焼成が必要とな
る。例えば、内層導体としてAg−Pd系合金またはA
g−Pt系合金を使用するには、誘電体磁器組成物の焼
成温度は1000℃以下とする必要がある。特に導通抵
抗の低いAgを金属単体として使用するためには、誘電
体磁器の焼成温度は920℃以下とする必要がある。こ
のため、低い焼成温度で焼結可能であり、高周波特性に
優れた誘電体磁器組成物が必要である。
【0003】本出願人は、特開平5−319922号公
報において、高い比誘電率を有する、低温焼成可能な磁
器を開示した。この磁器は、BaO−TiO2−RE2
3−Bi2系の組成物を主成分とし、ZnO−B2
3 −SiO2 系ガラスを副成分として含有するもので
ある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明者は、この種の
組成系について、各種特性の最適化を研究しており、例
えばBaNdTi12結晶相を示す組成系の磁器
を検討していた。この磁器では、例えば78程度の比誘
電率が得られる。しかし、この磁器の量産を検討する過
程で、次の問題点を見いだすに至った。即ち、磁器の原
料粉末を混合する過程においては、まず前記の各金属元
素の酸化物の粉末を混合して混合粉末を得、この混合粉
末を仮焼し、仮焼物を解砕し、次いで粉砕する。この粉
砕の際には、玉石としてジルコニア玉石を使用している
ために、磁器組成物中に不可避的にジルコニアが混入す
る。また、他の源からジルコニアが磁器組成物中に混入
する可能性もある。ジルコニアが磁器組成物中に混入す
ると、結晶粒界に析出し、磁器が焼結しにくくなる。従
って、目的の比誘電率を有する磁器の最低焼成温度が上
昇すると考えられる。言い換えると、低温で焼結を行っ
た場合には、目的の比誘電率が得られないことになる。
このため、磁器の製造プロセスにおいて、ジルコニアの
混入を可能な限り低減することが行われてきた。
【0005】ところが、このようにして得られた磁器の
比誘電率にバラツキが生じやすく、このために磁器の比
誘電率が仕様の範囲から外れ、不良品となる場合が多
く、このために製品の歩留りが低下していた。
【0006】本発明の課題は、BaO−TiO2 −R
2 3系の組成物を主成分とする低温焼成用誘電体磁
器において、比誘電率のバラツキを低減し、製造歩留り
を向上できるようにすることである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、xBaO・y
TiO2 ・z〔(1−a)RE2 3 ・aBi
2 3 〕(REは、希土類金属元素を示す;0.10≦
x≦0.20,0.60≦y≦0.75;0.10≦z
≦0.25;x+y+z=1;0≦a≦0.30)によ
って表わされる組成物を主成分とする低温焼成用誘電体
磁器の比誘電率を管理する方法であって、前記組成物1
00重量部に対するジルコニアの含有量を0.11重量
部以上、0.50重量部以下に制御することによって、
磁器の比誘電率を管理する方法に係るものである。
【0008】また、本発明は、xBaO・yTiO2
・z〔(1−a)RE23 ・aBi2 3 〕(RE
は、希土類金属元素を示す;0.10≦x≦0.20,
0.60≦y≦0.75;0.10≦z≦0.25;x
+y+z=1;0≦a≦0.30)によって表わされる
組成物を主成分とする低温焼成用誘電体磁器であって、
前記組成物100重量部に対して0.11重量部以上、
0.50重量部以下のジルコニアを含有することを特徴
とする、低温焼成用誘電体磁器に係るものである。
【0009】また、本発明は、前記の低温焼成用誘電体
磁器を備えていることを特徴とする、電子部品に係るも
のである。
【0010】本発明者は、従来の製造プロセスにおい
て、誘電体磁器の比誘電率が比較的に大きく変動し、不
良品が発生する原因について検討したところ、以下の知
見に至った。即ち、誘電体磁器を構成する各種酸化物成
分について、種々変動させて実験した場合には、誘電体
磁器の比誘電率の変動を説明できるような知見は特に得
られなかった。しかし、誘電体磁器に含有されるジルコ
ニアの量が、0.10重量部以下という極微量の場合
に、比誘電率が大きく不規則に変動することを発見し
た。
【0011】従来の製造プロセスにおいては、前述した
理由から、誘電体磁器の焼結性の低下を防止するため
に、ジルコニアの含有量を可能な限り低減することが行
われれてきた。なぜなら、ジルコニアの混入量が多い
と、誘電体磁器の比誘電率が低下するが、ジルコニアの
混入量が微量である場合には、誘電体磁器の焼結性に大
きく影響するような理由がなく、このために比誘電率を
変動させる要因とはならないものと考えられるからであ
る。
【0012】ところが、例えば図1に示すように、ジル
コニア含有量が0.10重量部以下という領域におい
て、比誘電率が大きく変動していることを発見した。し
かも、0.10重量部以下の領域においては、比誘電率
が、ジルコニア含有量に対して正比例しておらず、単調
減少もしておらず、不規則に変化していることを発見し
た。これと共に、ジルコニア含有量が0.10重量部を
超える場合には、比誘電率の変化は非常に小さくなり、
かつその変化が滑らかになることを見いだした。このよ
うに、ジルコニアの含有量が極微量の場合に、比誘電率
に対して顕著かつ不規則な変動をもたらすことは知られ
ていない。
【0013】この結果に基づいて考察すると、従来はジ
ルコニアの含有量の低減を試みた結果として、ジルコニ
アの含有量が0.10重量部以下にまで低減されたため
に、かえって比誘電率が大きく変動する結果を招いてた
いものと推定できる。
【0014】本発明者は、ジルコニア含有量とQ値との
関係を調査した結果、図2に示すように、ジルコニア含
有量が0.10重量部以下の範囲において極端な変動は
見られないことを確認した。
【0015】これと共に、得られた誘電体磁器結晶相の
a軸の格子定数を測定したところ、例えば図3に示すよ
うな結果が得られた。図3において、横軸はジルコニア
含有量を示し、縦軸は、BaNdTi12結晶相
のa軸の格子定数を示している。この結果から分かるよ
うに、ジルコニア含有量が0.10重量部以下の領域で
は、ジルコニア含有率の増加に対して、a軸の格子定数
が比例的に減少している。Nd3+の6配位イオン半径は0.9
0オングストローム、Zr4+の6配位イオン半径は0.79オン
グストロームであり、BaNdTi12結晶相へ
のZrO2の固溶により格子定数が減少したと考えられる。
ジルコニア含有率が0.10重量部を超えるとa軸の格子定
数はほとんど変化しない。
【0016】従って、ジルコニア含有量が0.10重量
部に達するまでは、結晶中へのジルコニアの固溶量がジ
ルコニア含有量にほぼ比例すると考えられ、このために
a軸の格子定数がジルコニア含有量にほぼ比例して減少
するものと考えられる。これに対して、ジルコニア含有
量が0.10重量部を超えると、ジルコニア元素の結晶
中への固溶が飽和し、a軸の格子定数が変化しなくなる
ものと思われる。そして、結晶中に固溶しないジルコニ
ア元素が、粒界相に析出するものと思われる。この粒界
相へのジルコニアの析出に伴い、図1に示すように、比
誘電率は若干低下する傾向を示す。しかし、ジルコニア
含有量が0.50重量部以下という微量領域において
は、ジルコニアの粒界相への析出による焼結性や比誘電
率への影響は少ないことも分かる。
【0017】上記の知見に立脚し、前記組成系の低温焼
成用誘電体磁器を製造するのに際して、組成物100重
量部に対するジルコニアの含有量を0.11重量部以
上、0.50重量部以下に制御することによって、磁器
の比誘電率を狭い範囲に管理することができ、これによ
って製造プロセスにおける不良品の発生を低減できるこ
とを見いだし、本発明に到達した。このような管理を行
うことによって、誘電体磁器の比誘電率を目標値の近傍
に制御でき、不良品の発生を低減できるようになった。
【0018】
【発明の実施の形態】本発明の誘電体磁器の基本組成
は、以下の通りである。xBaO・yTiO2 ・z
〔(1−a)RE2 3 ・aBi2 3
【0019】BaOの含有量が10モル%よりも少なく
なると(x<0.10)、得られる誘電体磁器の比誘電
率が低くなってしまう。一方、20モル%を越えるよう
になると(x>0.20)、共振周波数の温度係数が大
きくなり過ぎてしまう。
【0020】TiO2 の含有量が60モル%未満とな
ると(y<0.60)、焼結が困難となって、緻密な焼
結体が得られなくなる。一方、75モル%を越えるよう
になると(y>0.75)、共振周波数の温度係数が正
の方向に大きくなり過ぎてしまう。
【0021】RE2 3 とBi2 3 の合計量が10モ
ル%よりも少なくなると(z<0.10)、共振周波数
の温度係数が正に大きくなり過ぎる。この合計量が25
モル%を越えると(z>0.25)、誘電体磁器の焼結
性が悪く、比誘電率が小さくなる。
【0022】REは、希土類金属元素を示し、サマリウ
ム、スカンジウム、イットリウム、ランタン、セリウ
ム、プラセオジム、ネオジム、プロメチウム、ユーロピ
ウム、ガドリニウム、テルビウム、ジスプロシウム、ホ
ルミウム、エルビウム、ツリウム、イッテルビウムおよ
びルテチウムからなる群より選ばれた一種以上の元素で
ある。好ましくは、REが、Nd,Sm,La,Ceお
よびPrからなる群より選ばれた一種以上の元素であ
る。
【0023】特に好ましくは、REが、Nd、NdとS
mとの組み合わせ、NdとLaとの組み合わせである。
Ndを使用する場合や、Ndと共にSm及び/又はLa
を組み合わせて用いる場合には、高い比誘電率、無負荷
Qを保ったまま、共振周波数の温度係数を制御すること
ができる。ただし、Sm及び/またはLaをNdと組み
合わせる場合には、RE全体に占めるSm又はLaの割
合を20モル%以下にすることが望ましい。なお、RE
としてCeを用いる場合には、四価の原子に換算して
(CeOとして)計算されることとなる。
【0024】本発明においては、Bi2 3 によってR
2 3を置換する必要はなく、つまりaは0であって
もよい。この場合には、上記一般式は、以下のように表
記できる。xBaO・yTiO2 ・zRE2 3
【0025】この場合、特に好適な実施形態において
も、磁器の主結晶相はBaNdTi12である。
【0026】Bi2 3 によってRE2 3 を置換した
場合には、比誘電率を増加させ、共振周波数の温度係数
を小さくすることができる。この観点からは、aが0.
05以上であることが好ましい。また、aは0.30以
下とする。
【0027】本発明の誘電体磁器は、上記組成を基本組
成としている。そして、この組成の合計量を100重量
部としたときに、誘電体磁器中のジルコニアの含有量を
0.11重量部以上、0.50重量部以下に制御する。
【0028】本発明の作用効果の観点からは、ジルコニ
ア含有量を0.15重量部以上とすることが更に好まし
い。また、誘電体磁器のQ値を高く維持するという観点
からは、ジルコニア含有量を0.40重量部以下とする
ことが更に好ましい。
【0029】本発明においては、磁器の比誘電率を目標
値±1.0の範囲内に管理することが可能である。例え
ば、磁器の比誘電率の目標値を78.0とした場合に
は、比誘電率を77.0〜79.0の範囲内に制御する
ことが可能である。好適な実施形態においては、誘電体
磁器の比誘電率は、目標値±0.5の範囲に制御可能で
ある。好適な実施形態においては、目標値は、77.5以上
が好ましく、78.5以下が好ましい。
【0030】本発明の誘電体磁器中には、前述した金属
酸化物以外の金属の酸化物を含有させることができる。
この他の金属酸化物としては、酸化アルミニウム、酸化
鉄、酸化マンガン、酸化クロム、酸化亜鉛、酸化錫を例
示できる。この他の金属酸化物の含有量は、前記基本組
成を100重量部としたとき、3重量部以下とすること
が好ましく、2.5重量部以下とすることが更に好まし
く、2重量部以下すとることが特に好ましい。
【0031】本発明の磁器には、前述の金属酸化物に加
えて、ガラス成分を添加できる。こうしたガラス成分と
してはZnO−B2 3 −SiO2 系ガラスが好まし
い。
【0032】本磁器の基本組成100重量部に対して、
ガラス成分を、0.1重量部以上、(18−62.5
a)重量部以下(0≦a≦0.2のとき)または5.5
重量部以下(0.2<a≦0.3のとき)添加すること
が好ましい。これによって、誘電体磁器の最適焼成温度
を1000℃以下、更には920℃以下に低減できる。
【0033】ZnO−B2 3 −SiO2 系ガラスを
使用する場合には、30〜85重量%の酸化亜鉛(Zn
O)と、5〜50重量%の酸化ホウ素(B2 3)と、
2〜40重量%の酸化珪素(SiO2 )との組成を有
するものが好ましい。これは以下のように表記できる。 kZnO−mB2 3 −nSiO2 (0.30≦k≦0.85:0.05≦m≦0.50:
0.02≦n≦0.40:k+m+n=1.00)
【0034】特に好ましくは、以下の組成のガラスを採
用する。 kZnO−mB2 3 −nSiO2 (0.40≦k≦0.75:0.10≦m≦0.40:
0.05≦n≦0.30:k+m+n=1.00)
【0035】ガラス成分には、各種金属酸化物の如き不
純物の含有が許容される。しかし、そのような不純物の
含有量は、ガラスに対して10重量%以下の割合とされ
るべきである。
【0036】本発明の誘電体磁器を製造する際には、金
属酸化物を秤量し、混合し、仮焼した仮焼物を得、この
仮焼物を解砕し、次いで粉砕して所望粒径の仮焼粉末を
得る。ここで、仮焼物の粉砕に際しては、ジルコニア製
の玉石を使用したボールミルを用いることが好ましく、
媒体攪拌ミルを用いることがさらに好ましい。
【0037】仮焼温度は、1050℃以上とすることが
好ましく、1350℃以下とすることが好ましい。
【0038】次いで、仮焼粉末に対して所定のガラス成
分を添加し、混合して混合物を得る。この混合物を乾
燥、造粒し、造粒粉末を成形して成形体を得る。この成
形体を、1000℃以下、好ましくは920℃以下の温
度で焼結し、誘電体磁器を得る。
【0039】本発明において、誘電体磁器中のジルコニ
ア含有量を制御するためには、以下の方法を採用でき
る。 (1)各金属酸化物の各原料粉末中の各ジルコニア含有
量を調節する。 (2)原料粉末に対して、所定量のジルコニア粉末を添
加する。 (3)仮焼粉末を粉砕する際に使用する玉石の材質をジ
ルコニアとした場合には、玉石の粒径、玉石の個数、玉
石の緻密度と粉砕装置の回転数、冷却温度、を調節す
る。 (4)仮焼粉末を粉砕する際に使用する玉石の材質をジ
ルコニアとした場合には、解砕時間、解砕用のミルの出
力を調節する。
【0040】本発明の誘電体磁器は電子部品に対して適
用できる。電子部品としては、以下を例示できる。 (1)誘電体磁器と、誘電体磁器と同時焼成することに
より誘電体磁器内に形成された導体パターンを有する誘
電体共振器。この導体パターンの材質は、Ag−Pd系
合金、Ag−Pt系合金、Ag単体が好ましい。 (2)前記誘電体共振器からなる誘電体フィルター
【0041】
【実施例】高純度の炭酸バリウム、酸化チタン、酸化ネ
オジム、酸化ビスマスの各粉末を、xBaO・yTiO
2・z〔(1−a)Nd2 3 ・aBi2 3 〕(x=
1/7:y=4/7:z=2/7:a=0.18)の組成と
なるようにそれぞれ秤量した。各原料粉末を、ボールミ
ルの中にジルコニア玉石と共に投入し、純水を加え、湿
式混合した。次いで、得られた混合物をポットから取り
出し、乾燥した後、アルミナ製ルツボに入れ、1300℃で
4時間、空気雰囲気下に仮焼した。次いで、得られた仮
焼物を解砕し、ジルコニア玉石を用いた媒体攪拌ミルに
て、レーザー回折散乱法を利用して測定される平均粒子
径が0.4〜1.0μmになるまで粉砕を行ない、仮焼
粉砕物を得た。
【0042】一方、高純度の酸化亜鉛、酸化ホウ素、酸
化珪素を、ZnO:65重量%、B2 3 :25重量
%、SiO2 :10重量%の比率となるように秤量
し、アルミナ製ポットの中にアルミナ玉石と共に投入
し、乾式混合した。次いで、得られた混合物を、シャモ
ットルツボの中で融解させ、水中に投入して急冷し、ガ
ラス化した。得られたガラスを、アルミナ製ポットの中
にアルミナ玉石と共に投入し、エタノール中で平均粒子
径が4μmになるまで粉砕することにより、ガラス粉末
を得た。
【0043】上記した仮焼粉砕物とガラス粉末とを、ジ
ルコニア玉石と共にボールミルの中に投入し、純水を加
え、湿式混合した。基本組成100重量部に対するガラ
ス成分の添加量は2重量部とした。この際、バインダー
としてポリビニルアルコールを1重量%加えた。得られ
た混合物を乾燥した後、目開き355μmのふるいを通
し、造粒した。
【0044】得られた造粒粉体を、プレス成形機を用い
て、面圧:1t/cm2にて成形し、直径20mmφ×
厚さ15mmt の円板状の試験片を得た。次いで、この
試験片を、空気中において900℃の温度で2時間焼成
することにより、誘電体磁器のサンプルを作製した。
【0045】このサンプルを8mmφ×4mmt の大きさ
の円板状に研磨し、その誘電体特性を測定した。比誘電
率(εr)と無負荷Qは、平行導体板型誘電体共振器法
によって測定した。測定周波数は、2〜4GHzであ
る。また、BaTi Nd12結晶のa軸の格子定
数を、以下のようにして測定した。また、ジルコニア含
有量を以下のようにして測定した。これらの測定結果
を、表1および図1〜3に示す。
【0046】(BaNdTiNd12結晶相の
a軸の格子定数)格子定数測定条件は、以下のとおりで
ある。 X線回折装置名: RIGAKU製「RINT2500」 管球:Cu 管電圧:50kV 管電流:300mA モノクロメーター:入射側Ge 発散スリット:1/2deg 散乱スリット:1/2deg 受光スリット:0.15mm ステップ:0.02deg 計数時間:7.00sec 格子定数計算用ソフト リガク製:JADE5
【0047】(ジルコニア含有量)試料を酸溶解し、不
溶解残さをろ過してろ液(1)を得る。不溶解残さはア
ルカリ融解後、酸溶解して溶液(2)を作製する。ろ液
(1)及び不溶解残さ融解液(2)のそれぞれの溶液中
のジルコニウム量を誘導結合プラズマ発光分析装置(I
PC−AES)で測定し、試料中のジルコニウム量を求
める。
【0048】
【表1】
【0049】表1および図1から分かるように、ジルコ
ニア含有量が0.10重量部以下の領域において、比誘
電率が大きく変動しており、かつジルコニア含有量に対
して不規則に変化していた。ジルコニア含有量が0.1
重量部を超える場合には、比誘電率の変化は非常に小さ
くなり、かつその変化が滑らかになった。
【0050】表1および図2から分かるように、ジルコ
ニア含有量が0.10重量部以下の範囲において、Q値
には大きな変動は見られなかった。
【0051】表1および図3から分かるように、ジルコ
ニア含有量が0.10重量部以下の領域では、a軸の格
子定数が、0.10重量部を超える場合の格子定数に比
べて著しく増大していた。そして、ジルコニア含有量が
0.10重量部以下の場合には、a軸の格子定数は、ジ
ルコニア含有量に対してほぼ単調減少していた。ジルコ
ニア含有量が0.10重量部を超えると、格子定数は大
きく変化していない。
【0052】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、B
aO−TiO−RE23系の組成物を主成分とする低
温焼成用誘電体磁器において、比誘電率のバラツキを低
減し、製造歩留りを向上できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】誘電体磁器の比誘電率とジルコニア含有量との
関係をプロットして得られたグラフである。
【図2】誘電体磁器のQ値とジルコニア含有量との関係
をプロットして得られたグラフである。
【図3】誘電体磁器のBaNdTi12結晶相の
a軸の格子定数とジルコニア含有量との関係をプロット
して得られたグラフである。

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】xBaO・yTiO2・z〔(1−a)R
    2 3 ・aBi2 3〕(REは、希土類金属元素を
    示す;0.10≦x≦0.20,0.60≦y≦0.7
    5;0.10≦z≦0.25;x+y+z=1;0≦a
    ≦0.30)によって表わされる組成物を主成分とする
    低温焼成用誘電体磁器の比誘電率を管理する方法であっ
    て、 前記組成物100重量部に対するジルコニアの含有量を
    0.11重量部以上、0.50重量部以下に制御するこ
    とによって、前記低温焼成用誘電体磁器の比誘電率を管
    理する方法。
  2. 【請求項2】前記磁器の前記比誘電率を目標値±1.0
    の範囲内に管理することを特徴とする、請求項1記載の
    方法。
  3. 【請求項3】前記希土類金属元素がネオジムであること
    を特徴とする、請求項1または2記載の方法。
  4. 【請求項4】前記磁器の主結晶相がBaNdTi
    12結晶相(JCPDSカードNo.44−0061)であ
    ることを特徴とする、請求項3記載の方法。
  5. 【請求項5】前記磁器が、ZnO−B2 3−SiO2
    系ガラスを含有することを特徴とする、請求項1〜4の
    いずれか一つの請求項に記載の方法。
  6. 【請求項6】xBaO・yTiO2 ・z〔(1−a)
    RE2 3 ・aBi2 3 〕(REは、希土類金属元素
    を示す;0.10≦x≦0.20,0.60≦y≦0.
    75;0.10≦z≦0.25;x+y+z=1;0≦
    a≦0.30)によって表わされる組成物を主成分とす
    る低温焼成用誘電体磁器であって、前記組成物100重
    量部に対して0.11重量部以上、0.50重量部以下
    のジルコニアを含有することを特徴とする、低温焼成用
    誘電体磁器。
  7. 【請求項7】前記希土類金属元素がネオジムであること
    を特徴とする、請求項6記載の磁器。
  8. 【請求項8】前記磁器の主結晶相がBaNdTi
    12結晶相(JCPDSカードNo.44−0061)であ
    ることを特徴とする、請求項7記載の磁器。
  9. 【請求項9】ZnO−B2 3 −SiO2 系ガラスを
    含有することを特徴とする、請求項6〜8のいずれか一
    つの請求項に記載の磁器。
  10. 【請求項10】請求項6〜9のいずれか一つの請求項に
    記載の低温焼成用誘電体磁器を備えていることを特徴と
    する、電子部品。
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