JP2003144128A - ビール濾過用積層フィルター - Google Patents

ビール濾過用積層フィルター

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JP2003144128A JP2001341033A JP2001341033A JP2003144128A JP 2003144128 A JP2003144128 A JP 2003144128A JP 2001341033 A JP2001341033 A JP 2001341033A JP 2001341033 A JP2001341033 A JP 2001341033A JP 2003144128 A JP2003144128 A JP 2003144128A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ビール濾過において、高い除菌性能と長い濾
過寿命を兼ね備えたビール濾過用積層フィルターを提供
する。 【解決手段】 このフィルターは、親水性ポリマーを含
有するポリエーテルスルホンあるいはポリスルホンより
なる異方性精密濾過膜を積層して成るフィルターであっ
て、乳酸菌除去率LRVが4〜5.5で、且つ平均水流
速が125〜155ml/min・cm at52±1cmHgの膜を
二次側に、乳酸菌除去率LRVが二次側膜より低い2〜
4で、且つ平均水流速が160〜210ml/min・cm at
52±1cmHgである膜を一次側に積層することにより達
成される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ビール中に含まれ
る微小粒子及び乳酸菌等の雑菌を除去するビール濾過用
フィルターに関するものである。
【0002】
【従来の技術】ビール、ワイン、酒等の食品について
は、好ましくない物質を分離するために、液状で濾過す
る工程が設けられていることが多く、例えば、貯蔵タン
クからビールを取り出す際に、酵母や懸濁物質、雑菌な
どを濾過することにより、良好な品質と清澄さを得てい
る。
【0003】従来、ビールの濾過工程では、珪藻土を利
用して濾過する方法が採用されていたが、この方法で
は、多量の珪藻土を必要とする上、珪藻土の再生ができ
ないため、環境破壊の問題が生じている。また、濾過方
法の改良として、特公平6−97984号にビール原料
の麦什をβ-グルカナーゼやキシラナーゼによる酵素処
理して濾過助剤による濾過性能の改良技術が開示されて
いる。
【0004】一方、近年では、プラスチックやセラミッ
ク物質からなる所定の孔径を有する薄い多孔質の精密濾
過膜、例えば、セルロースーエステル混合物、ポリアミ
ド、ポリイミド、ポリウレタン、ポリ弗化ビニリデン、
ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリス
ルホン、ナイロン66等から成る精密濾過膜を利用した
濾過技術が提案されている。
【0005】前記精密濾過膜の孔径と孔径分布は、製造
工程で制御され、目的とする微粒子の大きさに適合させ
る。勿論、最大の孔径は、分離する微粒子の大きさを越
えないように制御する。膜は孔径の差異だけでなく、そ
の断面構造においても分類され、膜の厚み方向に等しい
孔径の孔が貫通した等方性膜と、膜の一方の面から他方
の面へと孔径が広がる孔を有する異方性膜とに区分され
る。
【0006】異方性膜は膜の厚み方向に孔径が連続的に
変化する構造であるが、その異方性の変化具合は膜のバ
ブルポイントと平均水流速の値で制御できる。平均水流
速は単位時間当たりに膜の単位面積を通過する純水の容
積である。同じバブルポイントであっても膜の厚み方向
の孔径の変化が少ないと水流速が小さくなり、等方性膜
の構造に似てくる。
【0007】前記精密濾過膜をビール用に用いた技術と
して、特公平5-5532号にビールの濾過寿命を長く
するための親水性ポリエーテルスルホン膜が、また、特
開平3-117475号には、膜素材の表面にポリアク
リル酸誘導体又はポリメタクリル酸誘導体からなる表面
被覆を有する膜が、また、濾過膜を積層して用いる技術
としては、特開平7−124450号には乳酸菌除去率
LRVが0.6〜3の精密濾過膜を積層する技術が、ま
た、特開平7−222917号には等方性膜と異方性膜
を積層する技術が開示されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】近年、ビール濾過で
は、食品安全面より対数減少比:LRV=log(濾過
前菌数/濾過後菌数)で表される乳酸菌の除去率(LR
V)が、6程度の高い除去率が求められており、また高
い除去能と合わせて、コストダウンとして長い濾過寿命
の両面を兼ね備えた精密濾過膜が求められている。
【0009】従来の単層の精密濾過膜による濾過の場
合、除去性能は膜の孔径を小さくすることによって高め
られるが、孔径が小さくなると反対に濾過寿命は短くな
る。更にビールの最終の除菌濾過の場合、液中に存在す
る細菌・真菌・酵母の如き微生物よりも小さな粒子が膜
の孔壁に付着堆積し、孔を徐々に閉塞するため、微生物
の捕捉性能と長い濾過寿命を両立させることは非常に難
しい。
【0010】ビール濾過工程での濾過膜に対する目詰ま
りの物質は、調査の結果、主に乳酸菌より小さい糖類の
捕捉による目詰まりが主原因であった。具体的には、市
販のビールにて濾過した膜を1規定の水酸化ナトリウム
水溶液に24時間浸漬し、その溶出物を分析した。タン
パク質を検出するため、ニンヒドリン反応にて評価した
ところ、陰性であり、タンパク質の吸着は認められなか
った。ところが、単糖類や多糖類を検出するフェノール
硫酸反応による評価を行ったところ陽性となり、糖類の
目詰まりが主原因であることが確認された。よって、乳
酸菌除菌性能を維持し、且つ、ビール中の糖類の吸着を
いかに抑制するか、或いは膜に均一に捕集するかが濾過
寿命を長くするポイントである。
【0011】そこで精密濾過膜をビール用に用いた技術
として、特公平5-5532号や特開平3-117475
号が開示されているが、前記技術は単層膜を用いている
ものであるため長い濾過寿命を得ることが出来ないもの
であった。また、濾過膜を積層して用いる技術として
は、前掲のように特開平7−124450号や特開平7
−222917号が開示されているが、乳酸菌除去率L
RVが0.6〜3の乳酸菌除去率が低い膜同士を積層す
る場合、所望の除去率を得るためには3層以上が必要と
なり、加工上や経済的に不利であり、またフィルターカ
ートリッジにアッセンブリーした場合、濾材が厚くなる
ことから濾過面積が減少し、所望の濾過流量や濾過寿命
を得ることが出来ない。また、等方性膜と異方性膜を積
層した場合においてもさして長い濾過寿命を得ることが
出来ないものであった。
【0012】従って、本発明の目的は、ビール用濾過フ
ィルターとして、従来にない高い除去性能と長い濾過寿
命とを兼ね備えた精密濾過膜を提供することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明のビール濾過用積層フィルターは、親水性ポ
リマーを含有するポリエーテルスルホンあるいはポリス
ルホンよりなる異方性精密濾過膜を積層して成るフィル
ターであって、乳酸菌除去率LRVが4〜5.5で、且
つ平均水流速が125〜155ml/min・cm at52±1
cmHgの膜を二次側に、乳酸菌除去率LRVが二次側膜よ
り低い2〜4で、且つ平均水流速が160〜210ml/m
in・cm at52±1cmHgである膜を一次側に積層して成
るものである。
【0014】そして前記二次側の膜厚が90〜135μ
m、特に100〜125μmであり、一次側の膜厚が7
0〜110μm、特に80〜100μmとすることがよ
り好ましい。
【0015】また、前記二次側膜のイソプロピルアルコ
ールによるバブルポイントが0.05〜0.07MP
a、一次側膜のイソプロピルアルコールによるバブルポ
イントが0.035〜0.05MPaとすることがより
好ましい。
【0016】また、親水性ポリマーとしては、ヒドロキ
シプロピルセルロース、或いは、ポリビニルピロリド
ン、またはそれらの組み合わせが好適に用いられ、特
に、分子量111,000〜150,000のヒドロキ
シプロピルセルロース、または分子量が40,000〜
1,200,000のポリビニルピロリドンが好適に用
いられる。
【0017】更に、前記親水性ポリマーの含有量は、ポ
リエーテルスルホンあるいはポリスルホンの重量に対し
て0.5〜6.0重量%、好ましくは1.0〜3.0重
量%を含有させることが好ましい。
【0018】
【発明の実施の形態】本発明の要素であるポリエーテル
スルホンあるいはポリスルホン異方性膜は、公知の技術
で製造され、例えば特開昭60−41503等に開示さ
れているように、膜は適当な製膜溶液から相分離法によ
り作ることができる。前記製膜溶液は、ポリエーテルス
ルホンあるいはポリスルホン樹脂の良溶媒と非溶媒の混
合溶媒、或いは溶解性が異なる複数種の溶媒を混合させ
たものであり、前記樹脂を前記混合溶液に溶解し、ポリ
エステルフィルム等の支持体上に流延し、流延した液膜
の表面に温湿度や送風条件を調節した雰囲気に曝露した
後、凝固液に浸漬し膜を形成する。膜の異方性及び孔径
は、製膜溶液組成、曝露条件、凝固液等の製膜条件によ
り制御することができる。
【0019】凝固液にて膜形成後、膜洗浄を行う。洗浄
は、膜中の溶媒をできるだけ取り除くために、50〜6
0℃の温水にて洗浄することが好ましい。洗浄後、熱板
ドライヤー等で乾燥する。乾燥後、膜に親水性ポリマー
が0.3〜0.5重量%溶解したアルコール液を含浸
し、熱板ドライヤー等にて乾燥し不溶化する。乾燥後、
再度、温水等にて洗浄し、過剰に付着した親水性ポリマ
ーを取り除き、再度、熱板ドライヤー等にて乾燥する。
【0020】本発明の膜材質は、ビール製造工程中のC
IPでの熱水処理や、酸、アルカリ洗浄による再生処理
に耐える優れた耐熱性及び耐薬品性を有することが必要
であり、また、比較的容易に異方性膜を製膜できるポリ
エーテルスルホンあるいはポリスルホンが用いられる。
【0021】前記良溶媒としては、N−メチル−2−ピ
ロリドン、アセトン、ジメチルホルムアミド、ジメチル
アセトアミド等であり、前記非溶媒としては、メタノー
ル、エタノール、エチルグリコール、エチレングリコー
ル、ポリエチレングリコール、テトラヒドロフラン等を
用いることができる。非溶媒の良溶媒に対する割合は、
混合液が均一状態に保てればいかなる範囲でも良いが、
特に、5〜70重量%が好ましい。
【0022】また、膜の多孔質構造を制御するために、
膨張剤と称される無機電解質、有機電解質、高分子電解
質等を加えることもできる。使用できる電解質として
は、食塩、硝酸ナトリウム、塩化亜鉛、臭化マグネシウ
ム等の無機酸の金属塩、酢酸ナトリウム、酪酸カリウ
ム、ギ酸ナトリウム等の有機酸塩類、ポリビニルピロリ
ドン、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム等の高分子電
解液、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、アルキル
メチルタウリン酸ナトリウム等のイオン系界面活性剤等
が挙げられる。前記電解質は、通常、水溶液として製膜
溶液に添加され、その添加量は、製膜溶液の均一性が保
てればいかなる範囲でも良いが、特に、0.5〜20重
量%が通常、添加される。
【0023】製膜溶液中のポリエーテルスルホンあるい
はポリスルホン濃度は5〜35重量%、好ましくは、1
0〜20重量%である。前記濃度が35重量%を超える
と得られる精密濾過膜の密度が高くなりすぎてしまい、
また、前記濃度が5重量%未満となると十分な強度を持
った精密濾過膜が得られない。
【0024】本発明として好ましい膜の性能は、乳酸菌
除去率LRV4〜5.5を有する二次側膜の場合、イソ
プロピルアルコールによるバブルポイントは0.05〜
0.07MPa、ASTM−316−80の方法により
測定した平均孔径(最小孔径層の孔径)は0.6〜0.
9μm、平均水流量は125〜155ml/min・cm at5
2±1cmHgの範囲である。
【0025】また、乳酸菌除去率LRV2〜4を有する
一次側膜の場合、イソプロピルアルコールによるバブル
ポイントは0.035〜0.05MPa、ASTM−3
16−80の方法により測定した平均孔径(最小孔径層
の孔径)は0.8〜1.2μm、平均水流量は160〜
210ml/min・cm at52±1cmHgの範囲である。
【0026】前記各範囲を外れると、除菌性能が低下し
たり、濾過寿命が短くなり好ましくない。また、本発明
に用いる精密濾過膜は異方性、つまり一方の表面の孔径
が大きく、他方表面の孔径は小さい膜であるため、膜を
セットする際は、一次側つまり濾過原液と接する膜表面
の孔が大きい孔径となり、二次側つまり濾過液出口側の
膜表面の孔が小さい孔径となるように配する。
【0027】本発明の膜は、通常、プリーツ加工したフ
ィルターカートリッジとして組み立てられ用いられる。
前記プリーツ加工の際に膜の厚みが厚いと膜割れが発生
し、また、膜の厚みが薄いと、膜強度が弱く加工性に問
題が生じる。この為、膜の厚みは、膜単体で90〜13
5μmが好ましく、2枚を積層した場合でも225μm
以下が好ましい。
【0028】凝固液としては水が一般的に用いられる
が、ポリエーテルスルホンあるいはポリスルホンを溶解
しない有機溶媒を用いてもよい。
【0029】膜の親水化は、親水性ポリマーを膜に付与
することにより達成できる。親水性ポリマーとして、ヒ
ドロキシプロピルセルロースあるいは、ポリビニルピロ
リドン及びその組み合わせが特に好ましい。また、親水
性ポリマーは過剰に高い分子量を有するべきでなく、ヒ
ドロキシプロピルセルロースの場合、110,000以
上、150,000以下の分子量が好ましく、ポリビニ
ルピロリドンの場合、40,000以上、1,200,
000以下の分子量が好ましい。
【0030】また、親水性ポリマーはポリエーテルスル
ホンあるいはポリスルホンの重量に対して0.5〜6.
0重量%、特に1.0〜3.0重量%の付与が好まし
く、前記配合量とすることにより、本発明の膜は、水に
よって自発的に、且つ完全に湿潤する為、前記以外の付
加湿潤剤を必要としない。親水性ポリマーの添加量は、
前記範囲以外とすることも可能であるが、6重量%以上
を付与した場合、膜の親水性は向上せず、却って親水性
ポリマー層が膜の孔を塞ぎ、透水性を阻害する為、好ま
しくない。また、逆に親水性ポリマーの添加量を0.5
重量%以下とした場合、膜の親水性が少なく、ビール中
の蛋白質、糖類の疎水膜への吸着により、急激な目詰ま
りが起こり、濾過寿命が極めて短くなり好ましくない。
【0031】以下に試験膜の1乃至5の作製、及び前記
試験膜のうち1と3を用いた実施例をあげ、本発明を説
明する。尚、本発明はこの実施例に限定されるものでは
ない。
【0032】
【試験膜1】ポリエーテルスルホン樹脂(住友化学工業
製4800P)15重量%、N−メチル−2−ピロリド
ン51重量%、ポリビニルピロリドンK−30 15重
量%、エチレングリコール18重量%、テトラヒドロフ
ラン1重量%をタンクに入れ、攪拌し均一な製膜溶液と
した。その後、温度を25℃、湿度を62%に調節した
風を風速1.0m/secで約4秒間当て、製膜溶液を支持
体であるフィルム上に流延し、凝固液中に浸漬させた
後、膜の洗浄を行った。洗浄後、親水化処理工程として
ヒドロキシプロピルセルロース(日本曹達製HPC・S
L)0.5重量%アルコール溶液中に浸漬し、乾燥後、
再度洗浄、乾燥して得た以下の膜を試験膜1とした。膜
性能等の詳細は表1に記す。 膜の断面構造:異方性 ・膜厚:125μm ・平均水流速:125ml/min・cm at52±1cmHg ・乳酸菌除去率LRV=5.5
【0033】
【試験膜2】製膜時の曝露雰囲気を、温度25℃、湿度
62%に調節した風を風速1.0m/secで約5秒間当て
た以外は試験膜1と同じ条件で製膜して得た性能の異な
る以下の膜を試験膜2とした。膜性能等の詳細は表1に
記す。 膜の断面構造:異方性 ・膜厚:180μm ・平均水流速:155ml/min・cm at52±1cmHg ・乳酸菌除去率LRV=4.5
【0034】
【試験膜3】ポリエーテルスルホン樹脂11%、N−メ
チル−2−ピロリドン57%、ポリビニルピロリドンK
−30 11%、エチレングリコール20%、テトラヒ
ドロフラン1%の組成にて製膜溶液を作製し、温度を2
5℃、湿度を62%に調節した風を風速0.5m/secで
約1秒間当てて製膜し、試験膜1同様、製膜後の親水化
処理等を施して得た性能の異なる以下の膜を試験膜3と
した。膜性能等の詳細は表1に記す。 膜の断面構造:異方性 乳酸菌除去率LRV=2.0 平均水流速:185ml/min・cm at52±1cmHg 膜厚:90μm
【0035】
【試験膜4】ポリエーテルスルホン樹脂11%、N−メ
チル−2−ピロリドン57%、ポリビニルピロリドンK
−30 11%、エチレングリコール20%、テトラヒ
ドロフラン1%の組成にて製膜溶液を作製し、温度25
℃、湿度62%に調節した風を風速0.5m/secで約
0.8秒間当てて製膜し、試験膜1と同様に製膜後の親
水化処理等を施して得た性能の異なる以下の膜を試験膜
4とした。膜性能等の詳細は表1に記す。 膜の断面構造:異方性 乳酸菌除去率LRV=3.5 平均水流速:151ml/min・cm at52±1cmHg 膜厚:90μm
【0036】
【試験膜5】ポリエーテルスルホン樹脂(住友化学工業
製4800P)13重量%、N−メチル−2−ピロリド
ン48重量%、ポリビニルピロリドンK−30 17重
量%、エチレングリコール17重量%、テトラヒドロフ
ラン5重量%をタンクに入れ、攪拌し均一な製膜溶液と
した。その後、温度を25℃、湿度を62%に調節した
風を風速0.4m/secで約4秒間当て、製膜溶液を支持
体であるフィルム上に流延して製膜し、試験膜1と同様
に洗浄、親水化処理、洗浄、乾燥を施して得た性能の異
なる以下の膜を試験膜5とした。膜性能等の詳細は表1
に記す。 膜の断面構造:異方性 膜厚:130μm 平均水流速:76ml/min・cm at52±1cmHg 乳酸菌除去率LRV=11.0
【0037】
【比較例1】SARTORIUS社にて販売しているビール用フ
ィルターカートリッジ/Sartocool PSで使
用されている以下の性能のポリエーテルスルホン膜を比
較例1とした。膜性能等の詳細は表1に記す。 ・膜の断面構造:等方性構造 ・膜厚:163μm ・平均水流速:81ml/min・cm at52±1cmHg ・乳酸菌除去率LRV=8
【0038】
【比較例2】更に、ミリポア社製ビール用フィルターカ
ートリッジの以下の性能のPVDF(ポリ弗化ビニリデ
ン)膜を比較例2とした。膜性能等の詳細は表1に記
す。 ・膜の断面構造:等方性構造 膜厚:113μm 平均水流速:57ml/min・cm at52±1cmHg 乳酸菌除去率LRV=5.6
【0039】
【表1】
【0040】
【実施例1】試験膜1(乳酸菌除去率LRVが5.5の
異方性膜)を二次側、試験膜3(乳酸菌除去率LRVが
2.0の異方性膜)を一次側として積層した本発明の積
層フィルターを実施例とした。
【0041】
【比較例3】比較例2(乳酸菌除去率LRVが5.6の
ミリポア社製等方性膜)を二次側、試験膜3(乳酸菌除
去率LRVが2.0の異方性膜)を一次側とした積層フ
ィルターを比較例3とした。
【0042】
【比較例4】試験膜3(乳酸菌除去率LRV2.0の異
方性膜)を二次側、試験膜1(乳酸菌除去率LRV5.
5の異方性膜)を一次側とした積層フィルターを比較例
4とした。
【0043】
【比較例5】試験膜3(乳酸菌除去率LRV2.0の異
方性膜)を三枚重ねた積層フィルターを比較例5とし
た。
【0044】
【比較例6】試験膜4(乳酸菌除去率LRV3.5の異
方性膜)を2枚積層したフィルターを比較例6とした。
【0045】
【濾過寿命試験】試験膜1,2,5、実施例1及び比較
例1〜6の膜をφ47mmに打ち抜き、有効濾過面積1
2.5cmのフィルターホルダーにセットし、市販され
ている同一ロットのビールを試験液として、ビールの液
温:4±1℃、濾過圧力0.10MPaの条件で定圧濾
過を行い、30秒毎に濾過量を記録し、20分後に濾過
を終了した。濾過終了後、横軸に時間、縦軸に時間/濾
過量をプロットして、前記実験式の傾きの逆数を求め、
前記値を最大濾過量(以下、Vmaxと記す。)とし、前
記値にて膜の濾過寿命を比較した。試験結果を表2に記
す。
【0046】
【表2】
【0047】
【試験膜1,2,3及び比較例1,2の性能比較】試験
膜1,2,3及び比較例1,2の単層でのビールの濾過
寿命、及び目詰まりの状態について試験した結果、異方
性の試験膜1,2のVmaxは共に13.1であり、ま
た、膜内部の目詰まりの状態は、両者とも特に膜の最小
孔径層にて発生し、最大孔径層に近づく程目詰まり度が
減少し、最大孔径層付近では殆ど目詰まりは発生してい
なかった。一方、等方性膜である比較例1のVmaxは
8.1、比較例2のVmaxは7.8であり、異方性膜で
ある試験膜1,2の約61%の濾過量であった。また、
膜内部の目詰まりの状態は、両者とも膜の一次側表面で
目詰まりが形成され、膜の孔が閉塞していた。また、試
験膜1,2はLRVや最小孔径層の孔径がほぼ同等で膜
厚だけが異なっているが、Vmaxも差がない結果であっ
た。これは膜厚が厚い試験膜2であっても、一次側の膜
厚容積が充分に内部捕捉に活かされていない状態とな
り、膜の厚みが濾過寿命に寄与しないためと考えられ
る。つまり、異方性膜内部の最小孔径層にて目詰まりが
発生したため、膜の厚みが濾過寿命に有効に働かなかっ
た。一般に異方性膜の場合、膜厚が厚ければ濾過寿命は
長くなると考えられるが、本試験により、異方性膜でも
膜厚を厚くすれば必ずしも濾過寿命が長くなるわけでは
なく適正な膜厚があることが分かった。更に、等方性膜
は、膜の一次側表面にて目詰まりしているため、全く膜
の厚みを活かせず、濾過寿命が短い結果であった。ま
た、試験膜5は異方性膜ではあるが、膜のバブルポイン
トが高すぎたため、膜表面付近で目詰まりが発生し、濾
過寿命が短い結果であった。
【0048】
【発明の効果】上記濾過寿命試験より、本発明のビール
濾過用積層フィルターは、以下に記載する効果を奏す
る。
【0049】本発明の実施例1の積層フィルターは試験
膜1〜5の単層の場合や、比較例1,2と比較して、濾
過寿命は飛躍的に伸び、特に市販されている比較例1の
Sartocool PSの約2.4倍の寿命を得た。
また、前記積層濾過膜での乳酸菌除去率は比較膜1とほ
ぼ同等のLRV7.5であった。つまり、試験膜1,2
の試験より、単層膜の膜厚を厚くしても濾過寿命は延び
なかったが、僅かに異なった最小孔径層を有する異方性
膜を2層積層する構造とすることにより、飛躍的に濾過
寿命を延ばすことができた。
【0050】また、一次側を等方性膜にした比較例3と
比較した場合、比較例3は一次側である等方性膜の表面
で目詰まりが発生したため、濾過寿命が異方性膜同士の
積層である本発明の実施例1の積層フィルターより短い
結果であった。
【0051】また、比較例4と比較した場合、本発明の
実施例1の濾過寿命は比較例4のより約1.5倍長かっ
た。つまり、膜を2枚積層する場合、一次側に乳酸菌除
去率LRVの低い膜を、二次側にLRVの高い膜を配し
た方が濾過寿命は長く、これは乳酸菌除去率LRVの高
い膜の方が孔径が小さいため、二次側膜が目詰まる前
に、一次側膜の目詰まりが生じたためである。
【0052】また、比較例5と比較した場合、比較例5
(乳酸菌除去率LRV2.0の三枚重ね積層フィルタ
ー)の濾過寿命は実施例1とほぼ同等であるが、乳酸菌
除菌性能はやや劣っており、また、濾過後の膜を調査し
たところ、一次側よりの2層の膜の目詰まりのみで、3
層目の膜は殆ど目詰まっていない状態であった。よって
3層目の膜が濾過寿命に機能せず、結果として、濾過寿
命が2層積層品と同等であった。また、ビール用除菌濾
過としてフィルターカートリッジとして組み立てる際に
は、3層重ねでは膜厚が厚く、プリーツ加工時に膜割れ
等の不具合が発生する虞れがあるうえ、コスト面でも2
層積層品より不経済となる。
【0053】また、比較例6と比較した場合、乳酸菌除
去率は同等であるが、濾過寿命に差がみられ、乳酸菌除
去率LRVが二次側膜よりも低い膜を一次側とした本発
明の実施例1の方が約1.2倍濾過寿命が長かった。
【0054】以上の結果から、本発明のビール濾過用積
層フィルターは、僅かに異なった最小孔径層を有する異
方性膜を2層積層する構造とすることにより、1層の膜
や等方性膜を積層するといった構造では達成することが
困難であった、高い乳酸菌除去性能を有すると共に、膜
全体の比表面積を有効に使い、目詰まりの主原因である
ビール中の多糖類を膜の厚み方向に均一に捕捉させるこ
とができるから、高い除菌性能と同時に長い濾過寿命が
得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の膜の、膜厚さ方向における孔構造の概
念を示す図。
【図2】従来の等方性膜の、膜厚さ方向における孔構造
の概念を示す図。
【図3】従来の異方性膜の、膜厚さ方向における孔構造
の概念を示す図。
フロントページの続き Fターム(参考) 4D006 GA07 MA03 MA06 MA31 MB02 MB06 MB09 MB20 MC16X MC40X MC62 MC63X MC85 NA10 NA50 NA58 NA64 PA01 PB20 PB24 PC12 4F100 AJ05A AJ05B AK01A AK01B AK02A AK02B AK54A AK54B AK54J AK55A AK55B AK55J AL01A AL01B AL05A AL05B BA02 BA07 GB56 JA07A JA07B JB05A JB05B JC00 JL00 YY00A

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 親水性ポリマーを含有するポリエーテル
    スルホンあるいはポリスルホンよりなる異方性精密濾過
    膜を積層して成るフィルターであって、乳酸菌除去率L
    RVが4〜5.5で、且つ平均水流速が125〜155
    ml/min・cmat52±1cmHgの膜を二次側に、乳酸菌除
    去率LRVが二次側膜より低い2〜4で、且つ平均水流
    速が160〜210ml/min・cm at52±1cmHgである
    膜を一次側に積層して成ることを特徴とするビール濾過
    用積層フィルター。
  2. 【請求項2】 二次側の膜厚が90〜135μm、一次
    側の膜厚が70〜110μmである請求項1記載のビー
    ル濾過用積層フィルター。
  3. 【請求項3】 二次側膜のイソプロピルアルコールによ
    るバブルポイントが0.05〜0.07MPa、一次側
    膜のイソプロピルアルコールによるバブルポイントが
    0.035〜0.05MPaである請求項1又は2記載
    のビール濾過用積層フィルター。
  4. 【請求項4】 親水性ポリマーがヒドロキシプロピルセ
    ルロース、或いは、ポリビニルピロリドン、またはそれ
    らの組み合わせより成る請求項1乃至3のうちいずれか
    一項記載のビール濾過用積層フィルター。
  5. 【請求項5】 親水性ポリマーが、分子量110,00
    0〜150,000のヒドロキシプロピルセルロースか
    ら成る請求項1乃至4のうちいずれか一項記載のビール
    濾過用積層フィルター。
  6. 【請求項6】 親水性ポリマーが、分子量40,000
    〜1,200,000のポリビニルピロリドンから成る
    請求項1乃至4のうちいずれか一項記載のビール濾過用
    積層フィルター。
  7. 【請求項7】 親水性ポリマーが、ポリエーテルスルホ
    ンあるいはポリスルホンの重量に対して0.5〜6.0
    重量%を含有して成る請求項1乃至6のうちいずれか一
    項記載のビール濾過用積層フィルター。
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