JP2000061277A - セルロース架橋膜の製造方法 - Google Patents

セルロース架橋膜の製造方法

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JP2000061277A
JP2000061277A JP10232753A JP23275398A JP2000061277A JP 2000061277 A JP2000061277 A JP 2000061277A JP 10232753 A JP10232753 A JP 10232753A JP 23275398 A JP23275398 A JP 23275398A JP 2000061277 A JP2000061277 A JP 2000061277A
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Tomoko Hongo
智子 本郷
Masatoshi Saito
政利 斉藤
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 既成形膜の透水性や分離特性を有し、且つ耐
久性および耐圧性の向上したセルロース架橋膜を製造す
る方法を提供することにある。 【解決手段】 セルロース膜に、OH基と反応性を有す
る架橋剤、触媒および孔径保持剤を付与した後に、加熱
乾燥処理することによってセルロース架橋膜を製造する
方法であって、孔径保持剤として、加熱温度より沸点が
高い、多価アルコールを用いることを特徴とするセルロ
ース架橋膜の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、血液透析などの医
療用や、食品、発酵、医薬品の濃縮・精製、水処理分野
等に用いられるセルロース架橋膜の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】膜の利用分野は、血液透析、食品・医薬
品の濃縮・精製、電池用セパレーター、ガス分離、さら
には、近年水源水質の悪化により、膜を用いた浄水技術
へ進展した水処理分野へと多岐に渡っている。以上の用
途の広がりに応じて、膜の要求される性能として、透過
・分離特性のみならず、高い濾過圧力での使用に耐えら
れる耐圧性、長期の連続使用においても膜への化学的・
物理的・生物学的な刺激に対して安定な構造である耐久
性等、極めて広範囲に多岐にわたるようになった。
【0003】例えば、水処理分野においても、ポリアミ
ド系ポリマーからなる特公昭55−147106号公報
に示されているような逆浸透複合膜は、海水淡水化や水
処理用として、主に水溶液からの塩の除去や有害な低分
子有機物の除去を目的に用いられている。これらの膜
は、陽イオンの吸着や有機物の吸着による膜の汚染が起
こり易く、その結果、孔の閉塞による流量低下や物質透
過性能変化が起こりやすい。そのため膜処理工程内で薬
品洗浄処理が必要となり、処理コストが高くなつてい
た。また、水道中の消毒用塩素等の酸化剤により、分解
され易く化学的な安定性の面からも問題があった。
【0004】これに対しセルロース系ポリマーおよびセ
ルロース誘導体系ポリマーを用いた分離膜は、親水性素
材であることから、血漿・蛋白等の有機物の吸着が少な
く経時的な膜透過速度の低下が小さいことから、血液透
析膜として広く利用されている。さらに、食品・医薬品
の濃縮・精製用に使用される場合においても、例えば生
理活性を有する有用な蛋白成分の膜面への吸着(有機物
の吸着)が少ない素材であることが望まれる。水処理分
野においても、処理対象となる水に含まれるイオンや有
機物の吸着が少なく、膜の流量低下が少ない素材である
ことが望まれている。セルロース誘導体系ポリマーのな
かでも、セルロースエステル類は、エステル部分が溶液
のpHにより容易に加水分解され化学的な安定性に劣る
が、天然セルロースおよび再生セルロースを含むセルロ
ース系ポリマーは、化学的に安定であること、さらに再
生セルロースは耐熱性があり、熱滅菌が可能であること
から、上述の分離膜の素材としては好適である。
【0005】しかしながら、広い圧力範囲での使用にお
いて、セルロース系ポリマーからなる膜は、高圧力側
(10kg以上)では、圧密化による構造変化の結果、
透水速度の低減や高い圧力による構造破壊(破裂)が起
こる場合があり、使用圧力範囲が制限されていた。ま
た、セルラーゼ等で容易に分解され、耐生物分解性が低
いことから、長期の連続使用時の耐久性に問題があっ
た。
【0006】これらの問題を解決する方法として、特開
平7−256066号公報には、セルロースエステル又
はセルロースと多価フェノールとを多孔性支持体上に被
覆後、アルカリ存在下で多価エポキシドと反応させる架
橋セルロース複合半透膜の製造方法が開示されている。
該発明においては多孔性支持体上に被覆していることか
ら、架橋反応後も透水性能がある程度保持されている
が、多孔性支持体上に被覆していない場合、セルロース
分離膜は架橋により緻密化して、透水性能が著しく低下
し、セルロース分離膜本来の透水性や分離特性を保持し
たセルロース分離膜が得られないという問題があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、既成
形膜の透水性や分離特性を有し、且つ耐久性および耐圧
性の向上したセルロース架橋膜を製造する方法を提供す
ることにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは鋭意検討し
た結果、公知の方法で最適な構造に成形されたセルロー
ス分離膜に、OH基と反応性を有する架橋剤、触媒およ
び孔径保持剤を付与した後、加熱乾燥することにより、
該セルロース分離膜の有する物性(透水性や分離特性)
をできるだけ保持したまま架橋できることを見出し、本
発明を完成するに至った。
【0009】すなわち、本発明は、(1) セルロース
膜に、OH基と反応性を有する架橋剤、触媒および孔径
保持剤を付与した後に、加熱乾燥処理することによって
セルロース架橋膜を製造する方法であって、孔径保持剤
として、加熱温度より沸点が高い、多価アルコールを用
いることを特徴とするセルロース架橋膜の製造方法、
(2) 孔径保持剤が、エチレングリコール、グリセリ
ン、ポリエチレングリコールであることを特徴とする
(1)記載のセルロース架橋膜の製造方法、である。
【0010】以下、本発明を詳細に記述する。本発明の
セルロース架橋膜の製造方法は、事前にOH基と反応性
を有する架橋剤、触媒および孔径保持剤を所定の割合で
溶解した混合溶液を調整後、既存の方法で作製したセル
ロース膜を該混合溶液に浸漬または塗布により付与した
後、加熱乾燥することで、セルロース架橋膜を製造する
方法である。
【0011】上記セルロース膜のセルロースは、パル
プ、綿、綿リンター、バクテリアセルロースなどの天然
セルロースや、ビスコース溶液、銅アンモニアセルロー
ス溶液などの、セルロース溶液から再生して得た再生セ
ルロース、セルロースエステルをケン化して得た再生セ
ルロース等があげられる。なかでも、再生セルロースは
最も水に対する濡れ性がよく、親水性であることから素
材として好ましい。
【0012】再生セルロース膜の製造方法は、セロファ
ン膜のようにビスコース溶液を硫酸−硫酸ナトリウム水
溶液からなる凝固液で処理しセルロースを再生すること
で、フィルム状の膜を作る方法(「膜の化学」妹尾学
著、大日本図書出版(1987年)参照)、特公昭57
−162609号公報に示されたように、セルロースエ
ステルを有機液体に溶解してできた製膜原液を湿式法、
乾式法、乾・湿式法で製膜して得たフィルム状または中
空糸状膜をさらに苛性アルカリ溶液によりケン化して作
る方法や、特公昭50−40168号公報にあるように
銅アンモニアセルロース溶液を環状紡糸口金より非凝固
性液体の中空剤と同時に吐出し、苛性アルカリ水溶液を
満たした凝固浴で凝固後、希酸水溶液で再生し中空糸状
の膜を作る方法がある。特に銅安法の工程は、ビスコー
ス法の工程のように硫化水素などの有毒副生成ガスの発
生がないこと、なかでも銅安法は、溶解するセルロース
の重合度を数百〜2000程度までと、他の方法よりも
高くできることから、製造された再生セルロース膜は、
力学的強度が高い点で望ましい。
【0013】セルロース分離膜の形態は、フィルム状、
チューブ状、中空糸状のいずれでもよい。また、同一素
材または他素材からなる多孔性支持体(不織布、紙、中
空糸膜等)上に製膜して得た複合化膜でもよい。また、
架橋膜製造に用いる膜は、湿潤状態でも、グリセリン・
PEG等の孔径保持剤に含浸させて加熱乾燥する方法、
アセトン・メタノール等の有機溶媒で水分を置換後、乾
燥する方法等の既存の方法で乾燥したものいずれでもよ
い。
【0014】セルロースのOH基と反応性のある架橋剤
としては、アルデヒド化合物、アセタール化合物、エポ
キシ化合物、ポリカルボン酸等があり、具体的には、ホ
ルムアルデヒド、尿素・ホルムアルデヒド初期縮合物、
各種メチロール化合物、各種グリオキザール化合物等が
挙げられる。グリオキザール系化合物としては、例えば
特開昭64−75471号公報に開示されているN,
N’−ジメチル−ジヒロドキシエチレン尿素を用いた非
ホルマリン系化合物、N,N’−ジメチロール−ジヒロ
ドキシエチレン尿素を用いた低ホルマリン系化合物、お
よびこれらの誘導体を用いた架橋剤およびこれらの混合
物が挙げられる。また特公平7−122218号公報に
開示されているポリエチレングリコールジグリシジルエ
ーテル、グリセリンジグリシジルエーテルなどの多官能
性エポキシ化合物が挙げられる。上記の架橋剤は、膜の
使用用途によって適宜選択できる。
【0015】架橋の効果は、セルロース分子間または分
子内のOH基間をOH基と反応性のある架橋剤で3次元
に架橋することで、セルロース膜の水による構造変化を
抑制し、高圧側で使用時に透水性能の低下(圧密化)を
抑制することができ、またセルラーゼ等による生物分解
性に対する耐性を付与することができる。触媒の種類
は、用いる架橋剤によって最適な組み合わせが変わる。
例えば、アルデヒド化合物、アセタール化合物では、酸
性触媒が一般的に用いられる。該酸性触媒としては、塩
酸・硫酸・リン酸などの無機酸類、乳酸・酒石酸・クエ
ン酸・グリコール酸などの有機酸類、アミン塩酸塩類等
が挙げられ、潜在酸性触媒としては、塩化アルミニウム
・塩化亜鉛・ホウフッ化亜鉛・硝酸亜鉛・塩化マグネシ
ウム・ホウフッ化マグネシウムなどの無機金属塩類等が
挙げられる。これらの酸性触媒、潜在酸性触媒は、それ
ぞれ用いる架橋剤に適したものを、単独で、または2種
以上組み合わせて用いることが出来る。
【0016】また、架橋剤としてエポキシ化合物を用い
た場合、上記酸性触媒以外にも塩基性触媒を使用でき
る。塩基性触媒の例として水酸化ナトリウム・水酸化カ
リウム・酸化ナトリウム・酢酸ナトリウム等を挙げるこ
とができる。孔径保持剤は、加熱温度よりも沸点が高
い、エチレングリコール、グリセリン、ポリエチレング
リコール等の多価アルコールを用いることが好ましい。
ポリエチレングリコールの分子量は、架橋剤混合溶液の
調製時の作業性およびセルロース分離膜への浸透性の面
から、200〜1000の範囲が好ましい。孔径保持剤
は、加熱時の水分の離脱によるセルロース分離膜を形成
する孔の閉塞を抑制しつつ、セルロース分子上のOH基
と架橋剤との間に効果的に架橋反応を行わせる働きがあ
ると考えられる。したがって孔径保持剤を同時に付与す
ることで、架橋処理を行っても高い透水性能を保持可能
である。
【0017】架橋剤、触媒、孔径保持剤の混合に用いる
溶媒は、膜の素材自体を侵さないものであり、かつ架橋
剤等を溶解するものであることが望ましい。水、エタノ
ール・メタノール・イソプロピルアルコール等のアルコ
ール類、アセトン等のケトン類等があげられるが、架橋
剤および孔径保持剤の溶解を十分に行うためには、水ま
たは水とアルコール類またはケトン類等との混合溶液が
好ましい。なかでも、水が最適である。
【0018】架橋剤の濃度は、あまり薄いと架橋効果が
薄れ、あまり濃いと架橋剤の疎水性が強く出て、せっか
くのセルロースの親水性に基づく利点(有機物に対する
低吸着性など)が発揮できなくなる。用いる架橋剤の種
類によって、架橋剤と触媒との組成比は異なるが、例え
ば架橋剤としてグリオキザール系化合物を用いた場合
は、0.5〜20重量%の範囲であることが望ましく、
1〜15重量%の範囲であることがより望ましい。触媒
の濃度は、架橋剤の使用濃度に対して6〜25%の範囲
にあることが好ましい。6%未満であると架橋が不十分
となり、25%を超えるとセルロース分離膜の構造に与
えるダメージが大きくなる。孔径保持剤の濃度は、5〜
50重量%であることが好ましく、より好ましくは10
〜40重量%である。5%未満である孔径保持効果が十
分でなくなり、50重量%を超えると架橋が不十分とな
る。
【0019】加熱条件は、高温で加熱するとセルロース
自体の熱酸化がおこるために、50〜200℃の温度範
囲で熱処理を行う。好ましくは80〜180℃の範囲で
ある。上記の温度範囲において熱処理温度よりも低い温
度で予備乾燥後、架橋反応処理を行うように多段階で熱
処理を行うこともできるし、乾燥と架橋反応を同時に行
ってもよい。
【0020】セルロースと反応していない余剰の架橋剤
や付着物を除くために、洗浄処理を行う。水、水酸化ナ
トリウム・炭酸ナトリウムといったアルカリ類、非イオ
ン性のポリオキシエチレンアルキルエーテル、アルキル
チオエーテル、アルキルフェノールエーテル等の界面活
性剤等が挙げられる。洗浄剤の濃度は、0.01〜1重
量%での範囲であり、40〜80℃で処理するのが好ま
しい。
【0021】セルロース架橋膜の厚みは、膜の要求特性
によって一概には規定できないが、通常、1〜500μ
mである。透水性能を上げる場合は、膜厚は薄くする方
がよく、透水性能は低くても機械的な強度特性を上げた
い場合は、膜厚は厚い方がよい。多孔性支持体上に被覆
して複合化する場合は、後者の目的においてもセルロー
ス分離層そのものの厚みは、1μmより薄くすることも
可能である。
【0022】さらに、公知のモジュール形状として組み
立てることができる。モジュール形状としては、平膜積
層型、平膜折り畳み型、筒状コイル型、中空糸型等いず
れの形状でもよい。本発明によるセルロース架橋膜の製
造法は、セルロース素材の本質的な性質(親水的・疎水
性有機物の選択的分離性)は維持したまま、膜の孔を潰
さずに、強度付与および耐圧性・耐生物分解性の向上効
果がある。例えば、本発明により製造されたセルロース
架橋膜は、環境問題となっている水溶液中の有害な有機
塩素系化合物の選択的な分離特性や低分子量から大分子
量の有機物の分離特性を示し、ナノ濾過、限外濾過、精
密濾過、透析用の膜として用いることができる。
【0023】
【発明の実施の形態】次に実施例、比較例を挙げ本発明
を更に具体的に説明する。なお、実施例及び比較例で用
いる性能の測定方法は以下の通りである。 (1)引っ張り強度・伸度測定 有効試料長20mmの膜試験片を20mm/分で引っ張
り試験を行った際の引っ張り破断点強度を試料断面積1
cm2 当たりに換算し、その伸びを測定した。作成した
膜サンプルを軟水流水中に60日間浸漬している間、経
日的に引っ張り強度・伸度の測定も行った。 (2)物質透過性能測定 10mg/ml濃度のクロロホルム(分子量:119.
2)水溶液を圧力1kgf/cm2にて処理し、膜を通
過した液および処理前の溶液中の濃度をヘッドスペース
法によりガスクロマトグラフ(島津製作所製GC/MS
QP5000)で定量した。VB12(分子量:135
7)は、20mg/mlになるように、水に溶解し、膜
を通過した液および処理前の溶液の濃度を波長360n
mの吸光度測定により行った。処理前の濃度Co(mg
/ml)、膜を通過した液の濃度Cf(mg/ml)か
ら 阻止率(%)は以下の(1)式より算出した。 阻止率 =(1−Cf/Co)×100 (1) また、水の透過速度は,膜面積Sm2にて圧力1から1
0kgf/cm2(ΔP)の範囲にて25℃の水溶液を
処理し,時間t分間に膜を通過した液体の量Vmlを測
定した。透水速度Flux(ml/m2・hr)および
Flux比は以下の(2)、(3)式から算出した。 Flux=V×60/(t×S) (2) Flux比=(ΔP=7kgf/cm2での水のFlux)/(ΔP=1kgf /cm2での水のFlux) (3) 作成した膜サンプルを軟水流水中に60日間浸漬してい
る間、経日的にFluxの測定を行った。
【0024】
【実施例1〜3、比較例1、2】銅アンモニア溶液中に
10重量%になるようにセルロースリンターを溶解した
セルロース溶液をガラス板上に厚さ250μmに流延し
た。その後10℃の10重量%濃度の塩化カルシウム水
溶液中に30分間浸漬し凝固させた。その後、20℃の
2重量%の硫酸水溶液中に10分間浸漬して再生し、そ
の後水洗した。アセトンで水分を置換して室温で定長乾
燥し、乾燥した再生セルロース膜を得た。再生セルロー
ス膜をさらに、孔径保持剤としてポリエチレングリコー
ル(平均分子量約400)を30重量%、架橋剤として
N,N′−ジメチロール−ジヒロドキシエチレン尿素を
1重量%、触媒として塩化マグネシウムを0.2重量%
に混合した水溶液中に、室温で30分間浸漬後、濾紙に
はさんで余分な架橋剤混合液を除いた後、定長固定して
80℃で10時間、架橋反応及び乾燥したセルロース架
橋膜を得た。余剰の樹脂を60℃の0.2重量%の炭酸
ナトリウム水溶液で洗浄後、さらに60℃の温水で洗浄
した後、物質透過性及び引っ張り強度・伸度の測定を行
った。上記架橋剤の混合液の組成のうち、架橋剤を2重
量%、触媒を0.4重量%にして作成したものを実施例
2、架橋剤5重量%、触媒を1重量%にしたものを実施
例3とする。
【0025】架橋処理を行わなかったものを比較例1,
実施例2の架橋剤混合液に孔径保持剤としてポリエチレ
ングリコールを添加しなかったものを比較例2とする。
測定結果を表1に示す。孔径保持剤としてポリエチレン
グリコールを共存させることで、架橋処理時のFlux
の大幅な低下を抑制できることがわかった。Flux比
も架橋処理なしのものに比べて向上し、処理圧力の増大
による圧密化がもたらすFlux低下を抑制する効果が
あることがわかった。
【0026】
【実施例4、比較例3、4】銅アンモニア溶液中に10
重量%になるようにセルロースリンターを溶解したセル
ロース溶液をガラス板上に厚さ250μmに流延した。
その後10℃の10重量%濃度の塩化カルシウム水溶液
中に1分間浸漬し凝固させた。その後、20℃の2重量
%の硫酸水溶液中に10分間浸漬して再生し、その後水
洗した。アセトンで水分を置換して室温で定長乾燥し、
乾燥した再生セルロース膜を得た。その後の架橋方法等
は、実施例1と同様におこなった。架橋処理を行わなか
った上記乾燥再生セルロース膜を比較例3とする。実施
例4の架橋剤混合液に孔径保持剤であるポリエチレング
リコールを添加しなかったものを比較例4とする。測定
結果を表1に示す。
【0027】
【実施例5、比較例5、6】銅アンモニア溶液中に8重
量%になるようにセルロースリンターを溶解したセルロ
ース溶液をガラス板上に厚さ250μmに流延した。そ
の後25℃の5重量%濃度の硫酸水溶液中に1分間浸漬
し凝固させた。その後、20℃の2重量%の硫酸水溶液
中に10分間浸漬して再生し、その後水洗した。アセト
ンで水分を置換して室温で定長乾燥し、乾燥再生セルロ
ース膜を得た。その後の架橋方法等は、実施例1と同様
におこなった。架橋処理をおこなわなかつた上記乾燥再
生セルロース膜を比較例5とする。実施例5の架橋剤の
混合液に孔径保持剤であるポリエチレングリコールを添
加しなかったものを比較例6とする。測定結果を表1に
示す。
【0028】また、上記実施例1、2、3、4、5で作
成したセルロース架橋膜を60日間軟水に浸漬後におい
ても、劣化および構造変化による引っ張り強度・伸度低
下及び水のFluxの増大は見られなかった。
【0029】
【表1】
【0030】
【発明の効果】本発明の方法によれば、最適な構造に成
形された既成形膜の物性(透水性や分離特性)をなるべ
く保持したまま、耐久性及び耐圧性の向上したセルロー
ス架橋膜を、容易に製造することが可能となった。
フロントページの続き Fターム(参考) 4D006 GA06 GA07 GA13 HA01 HA32 HA42 HA59 MA01 MA02 MA03 MB02 MB05 MB16 MC11 MC13X NA04 NA16 NA41 NA44 NA46 NA54 NA64 PA01 PA02 PB02 PB09 PC11 PC42 PC47

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 セルロース膜に、OH基と反応性を有す
    る架橋剤、触媒および孔径保持剤を付与した後に、加熱
    乾燥処理することによってセルロース架橋膜を製造する
    方法であって、孔径保持剤として、加熱温度より沸点が
    高い、多価アルコールを用いることを特徴とするセルロ
    ース架橋膜の製造方法。
  2. 【請求項2】 孔径保持剤が、エチレングリコール、グ
    リセリン、ポリエチレングリコールであることを特徴と
    する請求項1記載のセルロース架橋膜の製造方法。
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