JP2003140193A - 調光装置及び撮像装置 - Google Patents

調光装置及び撮像装置

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JP2003140193A
JP2003140193A JP2001336206A JP2001336206A JP2003140193A JP 2003140193 A JP2003140193 A JP 2003140193A JP 2001336206 A JP2001336206 A JP 2001336206A JP 2001336206 A JP2001336206 A JP 2001336206A JP 2003140193 A JP2003140193 A JP 2003140193A
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control device
light
light control
cell
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JP2001336206A
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Toshiharu Yanagida
敏治 柳田
Toru Uko
融 宇高
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Sony Corp
Original Assignee
Sony Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 液晶光学素子の光学濃度比(コントラスト
比、ダイナミックレンジ)の更なる向上及び光学的機
能、特に光透過率の分光特性の向上を図ることができる
調光装置と、これを光路中に配して性能、画質、信頼性
の向上を実現できる撮像装置を提供すること。 【解決手段】 駆動用の電極を設けた対向基板間に液晶
を封入した液晶光学素子からなり、前記液晶が、ネガ型
液晶をホスト材料とするゲスト−ホスト型液晶であると
共に、前記対向基板のうちの少なくとも一方の前記電極
が、厚さ90〜120nmの透明導電膜によって形成さ
れている調光装置。また、この調光装置が撮像系の光路
中に配される撮像装置。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、入射光の光量を調
節して出射するための調光装置、及びこれを用いた撮像
装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】通常、液晶光学素子(液晶セル)を用い
る調光装置には、偏光板が使用される。この液晶セルに
は、例えばTN(Twisted Nematic)型液晶セルやゲス
ト−ホスト(GH(Guest Host))型液晶セルが用いら
れる。
【0003】図18は、従来の調光装置の動作原理を示
す概略図である。この調光装置は、主に偏光板1とGH
セル2とで構成され、GHセル2は、図示省略したが、
2枚のガラス基板の間に封入され、また動作電極や液晶
配向膜を有している(以下、同様)。GHセル2内に
は、液晶分子3と二色性染料分子4とが封入されてい
る。
【0004】二色性染料分子4は、光の吸収に異方性を
有し、例えば分子長軸方向の光を吸収するポジ型(p
型)色素分子である。また、液晶分子3は、誘電率異方
性が正のポジ型(正型)である。
【0005】図18(a)は、電圧を印加していない
(電圧無印加)時のGHセル2の状態を示す。入射光5
は、偏光板1を通過することによって直線偏光にされ
る。図18(a)では、この偏光方向と、二色性染料分
子4の分子長軸方向とが一致するので、入射光5は二色
性染料分子4に吸収され、GHセル2の透過率が低下す
る。
【0006】そして、図18(b)で示すように、GH
セル2に電圧印加を行なうと、液晶分子3が電解方向に
向くに伴って二色性染料分子4の分子長軸方向は、直線
偏光の偏光方向と直角になる。このため、入射光5はG
Hセル2によりほとんど吸収されずに透過する。
【0007】なお、分子短軸方向の光を吸収するネガ型
(n型)の二色性染料分子を用いる場合は、上記ポジ型
の二色性染料分子4の場合と逆になり、電圧無印加時に
は光が吸収されず、電圧印加時に光が吸収される。
【0008】図18に示された調光装置では、電圧印加
時と電圧無印加時との吸収度の比、即ち、光学濃度の比
が約10である。これは、偏光板1を使用せずにGHセ
ル2のみで構成される調光装置に比べて約2倍の光学濃
度比を有する。
【0009】
【発明に至る経過】本出願人は、この光学濃度比のより
一層の向上を図ることが可能な調光装置及び撮像装置
を、特願平11−322186号において提案した。即
ち、特願平11−322186号(以下、先願発明と称
する。)によれば、液晶素子と、この液晶素子に入射す
る光の光路中に配される偏光板とで調光装置を構成し、
更に、ネガ型液晶をホスト材料とするゲスト−ホスト型
液晶を用いるので、電圧無印加時と電圧印加時の吸収度
の比(即ち光学濃度の比)が向上し、調光装置のコント
ラスト比が大きくなり、明るい場所から暗い場所までに
おいて、調光動作を正常に行なうことを可能とする。
【0010】図18に示されるゲスト−ホスト型液晶セ
ル(GHセル)2は、ホスト材料3として誘電率異方性
(Δε)が正のポジ型の液晶を用い、ゲスト材料4には
二色性を有する光吸収異方性(ΔA)が正のポジ型染料
4を用い、偏光板1がGHセル2の入射側に配されてい
る。このGHセル2について、矩形波を駆動波形として
動作電圧印加時の光透過率の変化を計測すると、図19
に示すように、動作電圧の印加に伴って、可視光の平均
光透過率(空気中。液晶セルに加えて偏光板を足したと
きの透過率を参照(=100%)とした:以下、同様)
が増加するが、電圧を10Vにまで上昇させても最大透
過率は60%程度にしかならず、しかも光透過率の変化
が穏やかである。
【0011】これは、ポジ型のホスト材料を用いる場
合、電圧無印加時に液晶セルの液晶配向膜との界面での
液晶分子の相互作用(interaction)が強いため、電圧
を印加してもダイレクタの向きが変化しない(或いは、
変化し難い)液晶分子が残ってしまうからであると考え
られる。
【0012】これに対し、先願発明では、図20に示す
ように、ゲスト−ホスト型液晶セル(GHセル)12に
おいて、ホスト材料13として、誘電率異方性(Δε)
が負のネガ型の液晶であるMerck社製のMLC−6
608を一例として用い、ゲスト材料4には二色性を有
するポジ型染料であるBDH社製のD5を一例として用
いることにより、偏光板11をGHセル12の入射側に
配し、矩形波を駆動波形として動作電圧印加時の光透過
率の変化を計測したところ、図21に示すように、動作
電圧の印加に伴って、可視光の平均光透過率(空気中)
が最大透過率約75%から数%にまで減少し、しかも光
透過率の変化が比較的急峻となる。
【0013】これは、ネガ型のホスト材料を用いる場
合、電圧無印加時に液晶セルの液晶配向膜との界面での
液晶分子の相互作用(interaction)が非常に弱いた
め、電圧無印加時に光が透過し易く、また電圧印加と共
に液晶分子のダイレクタの向きが変化し易くなるからで
あると考えられる。
【0014】このようにして、ネガ型のホスト材料を用
いてGHセルを構成することにより、光透過率(特に透
明時)が向上し、GHセルを撮像光学系中にそのまま位
置固定して使用できるコンパクトな調光装置が実現可能
となる。この場合、液晶素子への入射光の光路中に偏光
板を配することにより、電圧無印加時と電圧印加時の吸
光度の比(即ち光学濃度の比)が一層向上し、調光装置
のコントラスト比が更に大きくなり、明るい場所から暗
い場所にまでにおいて、調光動作をより正常に行うこと
ができる。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】現在、上述したような
液晶セルを用いた調光装置を搭載して、高機能な撮像装
置を実現するためには、透明時と遮光時との光透過率の
差で決まる光学濃度比(コントラスト比、ダイナミック
レンジ)を充分に大きく確保し、その上で、なおかつ可
視域(400〜700nm)でのフラットな分光特性を
維持しながら調光動作することが切望されている。
【0016】そこで、本発明の目的は、上述した先願発
明の特徴を生かしつつ、液晶光学素子の光学濃度比(コ
ントラスト比、ダイナミックレンジ)の更なる向上及び
光学的機能、特に光透過率の分光特性の向上を図ること
ができる調光装置と、これを光路中に配して性能、画
質、信頼性の向上を実現できる撮像装置を提供すること
にある。
【0017】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明は、駆動用
の電極を設けた対向基板間に液晶を封入した液晶光学素
子からなり、前記液晶が、ネガ型液晶をホスト材料とす
るゲスト−ホスト型液晶であると共に、前記対向基板の
うちの少なくとも一方の前記電極が、厚さ90〜120
nmの透明導電膜によって形成されている調光装置に係
り、また、この調光装置が撮像系の光路中に配される撮
像装置に係るものである。
【0018】本発明の調光装置及び撮像装置によれば、
光路中に配される液晶素子をゲスト−ホスト型とし、そ
のホスト材料にネガ型(即ち、誘電率異方性(Δε)が
負)の液晶を用いているため、既述したと同様の理由か
ら、ポジ型(即ち、Δεが正)の液晶を用いる場合に比
べて光透過(特に透明)時の光透過率が大きく向上し、
光透過時(透明時)と光遮蔽時(遮光時)の光学濃度比
(コントラスト比)を高く保持しつつ、応答速度も大き
くすることができる。
【0019】また、前記対向基板の少なくとも一方の前
記電極が、厚さ90〜120nmの前記透明導電膜によ
って形成されているため、フラットな分光特性を維持し
たまま良好な調光動作(変な色を呈することなしに純粋
に光量のみが変化すること)を行なうことができる。
【0020】
【発明の実施の形態】本発明者は、調光装置の性能の更
なる向上を鋭意検討したところ、透明時の光透過率を向
上させ、かつ可視域(400〜700nm)において出
来るだけフラットな分光特性を得るためには、ゲスト−
ホスト型液晶光学素子を構成する前記電極としての前記
透明導電膜に最適な膜厚範囲が存在することが判明し
た。
【0021】即ち、上述したように、前記対向基板のう
ちの少なくとも一方の前記電極としての前記透明導電膜
を、厚さ90〜120nmと特定範囲となるように形成
することによって、可視域において、フラットな分光特
性を維持したまま良好に調光動作することが分かった。
【0022】また、前記透明導電膜は、ITO(Indium
-doped tin oxide:錫をドープした酸化インジウム)、
FTO(Fluorine-doped tin oxide:フッ素をドープし
た酸化錫)及びATO(Antimony-doped tin oxide:ア
ンチモンをドープした酸化錫)からなる群より選ばれた
少なくとも1種で構成されていることが望ましい。
【0023】図1は、前記透明導電膜として、例えばI
TO膜を用いたときの光透過率とシート抵抗の膜厚依存
性を示すものである。
【0024】図1より明らかなように、光透過率は、I
TO膜の膜厚によって極大値と極小値が存在し、ITO
膜の屈折率が約2.0であることから、約137nmの
ピッチの膜厚で光透過率の極大値が周期的に存在する。
なお、ここでは前記透明導電膜としてITO膜を用いた
ので、膜の抵抗率が2.0×10-4Ω・cmの場合を示
したが、この特性は膜の抵抗率が変われば変化する。
【0025】図2は、前記透明導電膜としてのITO膜
の膜厚を、図1による光透過率の極大値近傍の値で変化
させ(80、90、100、115、120、130、
150nm)、各々の膜厚の場合についての可視域にお
ける分光特性の測定結果を示すものである。
【0026】図2より明らかなように、ITO膜の膜厚
が90〜120nmのとき、光透過率は可視域において
おおよそΔ10%以内という好ましい値を示している。
また、このときは図1からも明らかなように、視感度の
最も強い波長550nm近傍における光透過率も約83
%以上の高い値が得られている。従って、高い光透過率
を確保し、かつ可視域においてできるだけフラットな分
光特性(高い透明度)を持たせるためには、前記対向基
板の少なくとも一方の前記電極としての前記透明導電膜
の膜厚を90〜120nmの特定範囲で形成することが
適当であることが判明した。
【0027】本発明に基づく調光装置及び撮像装置は、
前記電極としての前記透明導電膜上に、厚さ40〜90
nmの液晶配向膜が形成されていることが望ましく、ま
た、この液晶配向膜は、垂直液晶配向膜であることが好
ましい。
【0028】図3は、厚さ100nmで形成した前記透
明導電膜上に、前記垂直液晶配向膜を30〜100nm
の膜厚で変化させて形成した場合の2層膜の分光特性を
示すものである。
【0029】図3より明らかなように、前記垂直液晶配
向膜の膜厚が40〜90nmの範囲内にあるとき、光透
過率がおおよそΔ4%以内という好ましい結果を示して
いる。従って、可視域で、よりフラットな分光特性を有
するGHセルを作製するためには、前述した膜厚90〜
120nmの特定範囲に形成された前記透明導電膜とし
ての例えばITO膜上に、前記液晶配向膜を膜厚40〜
90nmの範囲で形成することが好ましい。
【0030】また、前記液晶配向膜が垂直配向膜である
と共に、液晶分子のプレチルト角(前記基板に対して液
晶分子ダイレクタのなす角度)が85°〜89°となる
ように液晶配向処理が施されていることが望ましい。
【0031】前記液晶分子のプレチルト角が85°〜8
9°と特定範囲となるように液晶配向処理を施すことに
よって、過渡応答速度をより大きくしつつ、光学濃度比
をより一層大きく保持することを確実に実現することが
できる。なお、本明細書において「プレチルト角」と
は、基板面に対して液晶分子のダイレクタのなす角度と
定義する。
【0032】即ち、まず、図4に示すように、GHセル
の過渡応答時間は、液晶分子のプレチルト角に依存し、
駆動電圧の立上がり時(透明→遮光状態)の応答時間
は、プレチルト角が小さい程短く、高速に応答する(8
7°近傍を境に変化率が大きくなっている。)が、駆動
電圧の立下がり時(遮光→透明状態)の応答時間は、立
上がり時とは逆に、プレチルト角が大きい程短く、高速
に応答することが分かった。
【0033】また、図5には、GHセルの光透過率と液
晶分子のプレチルト角との関係と共に、透明時と遮光時
の光透過率から換算したダイナミックレンジの値も並記
したが、光透過率は、プレチルト角の減少と共に低下し
(透明時の変化の方が比較的大きい。)、ダイナミック
レンジの値は、87°近傍をピークにして、プレチルト
角が小さい程低下している。
【0034】これらの結果から、ネガ型のホスト材料を
用いたGHセルにより調光装置を作製する場合には、液
晶分子のプレチルト角の違いが、液晶光学素子の過渡応
答速度、光透過率、そのダイナミックレンジ等の基本特
性を大きく左右し、両立の難しい各々の特性をある程度
満足させて両立させるためには、プレチルト角が特定の
範囲となるようにGHセルを作製することが好ましいこ
とを知見するに至った。
【0035】特に、液晶素子を用いて実用的に有利な調
光装置を実現するためには、透明時の光透過率とダイナ
ミックレンジを充分に確保し、過渡応答速度もできるだ
け低下させないことが必要であるため、GHセルの液晶
分子のプレチルト角は、85°〜89°に制御すること
が好ましいことを突き止めた。
【0036】即ち、液晶分子のプレチルト角が85°未
満であると、立上がり時(透明→遮光状態)の過渡応答
速度は大きくなるものの、光透過率のダイナミックレン
ジ(光学濃度比、コントラスト比)が大きく低下してし
まい、また立下がり時(遮光→透明状態)の過渡応答速
度の低下が目立つようになる。逆に、液晶分子のプレチ
ルト角が89°を超えると、光透過率のダイナミックレ
ンジ(光学濃度比、コントラスト比)は比較的大きく確
保でき、また立下がり時(遮光→透明状態)の過渡応答
速度も比較的大きくなるものの、立ち上がり時(透明→
遮光状態)の過渡応答速度の低下が顕著になる。
【0037】従って、基板面に対する液晶ダイレクタの
なす角度である液晶分子のプレチルト角は、85°〜8
9°(基板法線方向から見て1°〜5°に相当)とする
ことが望ましい。このプレチルト角は更に、86°〜8
8°とするのが望ましく、87°又はその近傍が一層望
ましい。
【0038】前記液晶配向膜の液晶配向処理は、一般的
なラビング法であってよく、またこれに限らず、本発明
の好ましいとする所定のプレチルト角を実現することが
できる垂直配向処理であればよく、例えば偏光紫外線に
よる光配向法や斜方蒸着法等も適用可能である。
【0039】また、本発明において、図6に示すよう
に、液晶素子の透明時と遮光時との光学濃度比は、GH
セルを構成する2枚の基板間の距離(セルギャップ)に
よって影響を受けることも分った。
【0040】即ち、セルギャップが大きい程、換言すれ
ば液晶層の厚みが厚い程、透明時と遮光時との光透過率
の差が大きくなり、光学濃度比は大きく取れるものの、
ホスト材料にネガ型液晶を使うことの利点である透明時
の光透過率が低下してしまう。
【0041】また、図7に示すように、セルギャップが
変わると、GHセルによる調光装置としての応答速度も
大きく変化し、セルギャップが大きくなって液晶層が厚
くなると、応答速度は低下してしまうことも判明した。
【0042】これらのことから、ゲスト−ホスト型液晶
を用いて調光装置を作製する場合には、透明時の光透過
率、遮光時の光透過率、液晶素子の応答時間といった、
両立の難しい各々の特性を満足させるためのセルギャッ
プの範囲が存在し、液晶素子を用いて実用的に有利な調
光装置を実現するためには、応答速度を低下させずに充
分な光学濃度比を確保する必要があり、GHセルにおい
て液晶を封入する基板間の間隙(セルギャップ)を少な
くとも有効光路内において2μm以上、4μm以下に制
御するのが望ましい。
【0043】換言すれば、セルギャップが2μm未満で
あると、調光装置としての応答速度は大きくなり、また
透明時の光透過率が向上するものの、遮光時の光透過率
も大きく上昇してしまい、結果として光学濃度比(コン
トラスト比)が確保し難くなる。逆に、セルギャップが
4μmを超えると、光学濃度比が大きく確保できるもの
の、透明時の光透過率が低下し、また調光装置としての
応答速度が大きく悪化してしまい、特に中間調において
光透過率をわずかに変化させるような駆動を行なうと、
著しく遅くなってしまうのである(図7の駆動a)。図
7では、駆動b、c、dのように透明時から遮光時へ例
えば0V→5Vへ切換える場合に比べ、駆動aのように
例えば2V→3Vへと中間調が出るように電圧を変化さ
せた場合には、電圧不足により応答速度が遅くなり、セ
ルギャップの大きさによる影響を大きく受け易い。
【0044】図6及び図7から、上記のセルギャップを
2〜4μmとするのが望ましく、2〜3.5μmとする
のが更によく、2〜約3μmとすることが一層望まし
い。
【0045】本発明に基づく調光装置及び撮像装置は、
前記駆動用の電極を設けた前記対向基板のうちの一方の
基板に前記電極の引き出し部がそれぞれ設けられている
ことが好ましい。
【0046】また、前記対向基板のうちの他方の基板の
前記電極が有効光路外に延設され、前記一方の基板に設
けられた前記電極引き出し部に電気的に接続されている
ことが好ましく、更には、前記一方及び他方の基板間が
液晶セル周辺部にて、シール材で封止されており、この
シール材の外側で前記他方の基板の前記電極と前記一方
の基板の前記電極引き出し部が接続されていることが好
ましい。
【0047】これによれば、前記一方の基板側に、前記
電極引き出し部を設ければよいので、例えばGHセル
と、これを駆動する電気回路との接続をよりコンパクト
にまとめることができる。
【0048】なお、本発明に基づく調光装置及び撮像装
置においては、前記液晶光学素子の前記ネガ型液晶の誘
電率異方性は負であるが、前記ゲスト材料は、ポジ型又
はネガ型の二色性染料分子からなっていてよい。
【0049】本発明に基づく調光装置は、例えば、図8
及び図11(a)に示すGHセル12からなる。このG
Hセル12は、前記透明導電膜によって形成されている
透明電極32a、32bと配向膜33a、33bをそれ
ぞれ形成した2枚のガラス基板31a、31bの間に、
ネガ型の液晶分子(ホスト材料)13とポジ型又はネガ
型の二色性染料分子(ゲスト材料)4との混合物34が
封入されている。ここで、他方のガラス基板31bのサ
イズは、一方のガラス基板31aよりも若干小さい寸法
で設計されており、さらに、一方のガラス基板31a及
び他方のガラス基板31b間がシール材35で封止され
ている。
【0050】液晶分子13には、誘電率異方性が負の公
知のネガ型液晶である例えばMerck社製のMLC−
6608を用い、また二色性染料分子4には、光の吸収
に異方性を有し、例えば分子長軸方向の光を吸収する公
知のポジ型又はネガ型染料である例えばBDH社製のD
5を用いる。これらは、公知の材料から適宜選択するこ
とができる。
【0051】図9(A)は、本発明に基づく調光装置
(液晶光学素子:GHセル12)を構成する前記対向基
板のうち、一方の基板31aの概略断面図である。ま
た、図9(B)は、本発明に基づく調光装置(液晶光学
素子:GHセル12)を構成する前記対向基板のうち、
他方の基板31bの概略平面図である。
【0052】図9(A)に示すように、一方の基板31
aは、前記透明導電膜としてのITO電極(透明電極)
32a及び配向膜33aを有しており、また、一方の基
板31aには、各透明電極の引き出し部21がそれぞれ
設けられている。
【0053】図9(B)に示すように、他方の基板31
bは、前記透明導電膜としてのITO電極(透明電極)
32b及び配向膜33bを有し、また、ITO電極32
bは有効光路20外に延設されている。
【0054】図8は、本発明に基づく調光装置(液晶光
学素子)のGHセル12の概略平面図である。図10
は、図8のX−X線断面図である。
【0055】図8及び図10に示すように、GHセル1
2は、他方の基板31bの有効光路20外に延設された
ITO電極32bが、一方の基板31aに設けられた電
極引き出し部21に電気的に接続されており、また、一
方の基板31a及び他方の基板31b間が液晶セル周辺
部24にて、シール材35で封止されている。具体的に
は、このシール材35の外側で他方の基板31bのIT
O電極32bと、一方の基板31aの電極引出し部21
とが、例えばカーボンペースト26のような導電材料に
よって接続されており、GHセル12の有効光路20外
で基板間の導通を取れるように形成されている。ここ
で、カーボンペースト26からなる導通部を一般にコモ
ン電極と称する。
【0056】こうしたGHセル12において、上記した
如きセルギャップを形成する上で、図11に示すよう
に、対向基板間にスペーサー36、37が配され、シー
ル材35で液晶セル周辺部が封止されており、シール材
35が、スペーサー36、37より径大に形成されてい
るか、或いはボール状又はファイバー状等の硬質材料を
含有しているのがよい。
【0057】上述した液晶光学素子からなる本発明に基
づく調光装置は、例えば図12に示すように、ズームレ
ンズのように複数のレンズで構成されるレンズ前群15
とレンズ後群16との間に配置される。レンズ前群15
を透過した光は、偏光板11を介して直線偏光された
後、GHセル12に入射する。GHセル12を透過した
光は、レンズ後群16で集光され、撮像面17に映像と
して映し出される。
【0058】この調光装置23を構成する偏光板11
は、本出願人による上述した先願発明と同様に、GHセ
ル12に入射する光の有効光路に対して出し入れ可能で
ある。具体的には、偏光板11を仮想線で示す位置に移
動させることにより、光の有効光路の外へ出すことがで
きる。この偏光板11を出し入れする手段として、図1
3に示すような機械式アイリスが用いられてもよい。
【0059】この機械式アイリスは、一般にデジタルス
チルカメラやビデオカメラ等に用いられる機械式絞り装
置であり、主として2枚のアイリス羽根18、19と、
アイリス羽根18に貼付された偏光板11とからなる。
アイリス羽根18、19は、上下方向に移動させること
ができる。矢印27で示される方向に、図示せぬ駆動モ
ーターを用いてアイリス羽根18、19を相対的に移動
させる。
【0060】これにより、図13に示すように、アイリ
ス羽根18、19は部分的に重ねられ、この重なりが大
きくなると、アイリス羽根18、19の中央付近に位置
する有効光路20上の開口部22が、偏光板11により
覆われる。
【0061】図14は、有効光路20付近の機械式アイ
リスの部分拡大図である。アイリス羽根18が下方に移
動すると同時に、アイリス羽根19が上方に移動する。
これに伴って、図14(a)に示すように、アイリス羽
根18に貼付された偏光板11も有効光路20の外へと
移動する。逆に、アイリス羽根18を上方に、またアイ
リス羽根19を下方に移動させることにより、互いのア
イリス羽根18、19が重なる。これに従って、図14
(b)に示すように、偏光板11は有効光路20上に移
動し、開口部22を次第に覆う。アイリス羽根18、1
9の互いの重なりが大きくなると、図14(c)に示す
ように、偏光板11は開口部20を全て覆う。
【0062】次に、この機械式アイリスを用いた調光装
置23の調光動作に付いて説明する。
【0063】図示せぬ被写体が明るくなるにつれて、図
14(a)に示したように、上下方向に開いていたアイ
リス羽根18、19は、図示せぬモーターにより駆動さ
れ、重なり始める。これによって、アイリス羽根18に
貼付されている偏光板11は、有効光路20上に入り始
め、開口部22の一部を覆う(図14(b))。
【0064】この時、GHセル12は光を吸収しない状
態にある(なお、熱的揺らぎ、又は表面反射等のため、
GHセル12による若干の吸収はある。)。このため、
偏光板11を通過した光と開口部22を通過した光は、
ほぼ強度分布が同等となる。
【0065】その後、偏光板11は、完全に開口部22
を覆った状態になる(図14(c))。さらに、被写体
の明るさが増す場合は、GHセル12への電圧を上昇
し、GHセル12で光を吸収することにより調光を行な
う。
【0066】これとは逆に、被写体が暗くなる場合は、
まず、GHセル12への電圧を減少又は無印加とするこ
とにより、GHセル12による光の吸収効果を無くす
る。さらに被写体が暗くなった場合は、図示せぬモータ
ーを駆動することにより、アイリス羽根18を下方へ、
またアイリス羽根19を上方へ移動させる。こうして、
偏光板11を有効光路20の外へ移動させる(図14
(a))。
【0067】また、図12〜図14に示したように、偏
光板11(透過率例えば40%〜50%)を光の有効光
路20から外に出すことができるので、偏光板11に光
が吸収されない。従って、調光装置の最大透過率を例え
ば2倍以上に高めることができる。具体的には、この調
光装置を、従来の固定されて設置される偏光板及びGH
セルからなる調光装置と比較すると、最大透過率は例え
ば約2倍になる。なお、最低透過率は両者で等しい。
【0068】また、デジタルスチルカメラ等に実用化さ
れている機械式アイリスを用いて、偏光板11で仕入れ
が行なわれるので、調光装置は容易に実現可能となる。
また、GHセル12を用いるので、偏光板11による調
光に加えて、GHセル12自体が光を吸収することによ
り、調光を行なうことができる。
【0069】このようにして、この調光装置は、明、暗
のコントラスト比を高めると共に、光量分布をほぼ均一
に保つことができるものとなる。
【0070】
【実施例】以下、本発明の好ましい実施例を図面参照下
に説明する。
【0071】実施例1 まず、ゲスト-ホスト型液晶(GH)セルを用いる調光
装置の一例を説明する。
【0072】この調光装置は、図12に示すように、G
Hセル12と偏光板11とからなる。そして、GHセル
12は、図11に概略的に断面を示すように、前記透明
導電膜によって形成されている透明電極32a、32b
と配向膜33a、33bをそれぞれ形成した2枚のガラ
ス基板31a、31bの間に、ネガ型の液晶分子(ホス
ト材料)13とポジ型の二色性染料分子(ゲスト材料)
4との混合物34が封入されている。
【0073】液晶分子13には、例えば誘電率異方性が
負のネガ型液晶であるMerck社製のMLC−660
8を一例として用い、また二色性染料分子4には、光の
吸収に異方性を有し、例えば分子長軸方向の光を吸収す
るポジ型染料であるBDH社製のD5を一例として用い
た。偏光板11の光吸収軸は、GHセル12に電圧を印
加した時の光吸収軸と直交させた。
【0074】このGHセル12からなる調光装置23
は、例えば図12に示したように、ズームレンズのよう
に複数のレンズで構成されるレンズ前群15とレンズ後
群16との間に配置された。レンズ前群15を透過した
光は、偏光板11を介して直線偏光された後、GHセル
12に入射する。GHセル12を透過した光は、レンズ
後群16で集光され、撮像面17に映像として映し出さ
れる。
【0075】そして、この調光装置23を構成する偏光
板11は、本出願人による上述した先願発明と同様に、
GHセル12に入射する光の有効光路に対して出し入れ
可能である。具体的には、偏光板11を仮想線で示す位
置に移動させることにより、光の有効光路の外へ出すこ
とができる。この偏光板11を出し入れする手段とし
て、図13に示した機械式アイリスが用いられてもよ
い。
【0076】ここで、GHセル12を製造する方法を述
べると、図8及び図11に示すように、一例として0.
5mm厚の2枚のガラス基板31a、31bの双方の表
面に、透明電極パターン32a、32bとしての厚さ1
00nmのITO膜をスパッタリング法で成膜し、エッ
チングによりパターン形成した後、厚さ70nmの垂直
配向膜33a、33bパターンとしてのポリイミドをオ
フセット印刷で形成した。
【0077】次に、こうして形成した液晶配向膜33
a、33bの表面に対して、液晶分子のプレチルト角が
87°となるように設定した条件でラビング処理を施し
た。また、ガラス基板31aには前記の各透明電極の引
き出し部21をそれぞれ設け、かつガラス基板31bの
前記透明電極は有効光路20外に延設した。
【0078】そして、一方のガラス基板のセル周辺部2
4に、一例として直径4.0μmのガラスファイバーを
含有した熱硬化性エポキシ樹脂からなる封止(シール)
材35を所定の幅で塗布した後、他方の基板上に一例と
して直径4.0μmのプラスチックボール36を均一に
散布した後、2枚のガラス基板31a、31bを位置合
わせして重ねてから、熱プレス板により適度な条件(例
えば150〜170℃、1〜2kg/cm2:以下、同
様)で圧力を加えながら加熱処理することにより、セル
周辺部24のシール材35を硬化させ、基板の貼り合わ
せを完了させた。
【0079】ここで、上記のプラスチックボール36
は、一般的な手法(ウェット散布又はドライ散布)を用
いて、基板の上方から散布し、概ね100〜500個/
mm2の密度で、基板全面にほぼ均一に配置されてい
た。
【0080】なお、セル周辺部24に設けたシール材3
5の外側で、ガラス基板31bの透明電極32bと、ガ
ラス基板31aの電極引き出し部21とを電気的に接続
させるために、図8に示すように、これらの間にカーボ
ンペースト26を滴下し、セルの有効光路20外で基板
間の導通を取る形状、即ちコモン電極を形成した。但
し、前記コモン電極は、カーボンペースト26に限られ
ることはなく、導電性粒子を含有するペーストから適宜
選択してよい。
【0081】この貼り合わせ基板を個片化(スクライブ
&ブレイク)して得られた空セルに、ネガ型の液晶分子
(ホスト材料)13とポジ型の二色性染料分子(ゲスト
材料)4とからなる液晶材料34を封入して出来上がっ
たGHセル12に、矩形波を駆動波形として入力し、動
作電圧印加時の光透過率の変化を計測したところ(図2
0)、図21に示すように、動作電圧の印加に伴って、
可視光の平均光透過率(空気中)が最大透過率約75%
から数%にまで減少した。用いる液晶セル構造や構成材
料によっても異なるが、GHセル12は、±5V(1k
Hz)以上のパルス電圧印加で、ほぼ最小透過率に達し
た。
【0082】また、駆動パルスを変化させた時の光透過
率の過渡応答時間も、パルス電圧変調、パルス幅変調共
に30ms以下の高速動作が可能であった。
【0083】その結果、液晶セルの透明時と遮光時の光
透過率の差(光学濃度比)を充分に確保しながら、フラ
ットな分光特性を維持したまま良好に調光動作(変な色
が付かず、純粋に光量のみを変化)し、かつ調光装置と
して高速に過渡応答動作することが可能となった(図1
5)。
【0084】実施例2 本実施例は、液晶(GH)セル12の作製において、
0.5mm厚の2枚のガラス基板31a、31bを用
い、その両基板に前記透明導電膜によって形成されてい
る透明電極パターン32a、32bとしての厚さ100
nmのITO膜をイオンプレーティング法で成膜し、エ
ッチングによりパターン形成した後、厚さ70nmの垂
直配向膜33a、33bパターンとしてのポリイミドを
オフセット印刷で形成した。
【0085】次に、こうして形成した液晶配向膜33
a、33bの表面に対して、液晶分子のプレチルト角が
87°となるように設定した条件でラビング処理を施し
た。また、ガラス基板31aには前記の各透明電極の引
き出し部21をそれぞれ設け、かつガラス基板31bの
前記透明電極は有効光路20外に延設した。
【0086】そして、一方のガラス基板のセル周辺部2
4に、一例として直径2.5μmのガラスファイバーを
含有した熱硬化性エポキシ樹脂からなる封止(シール)
材35を所定の幅で塗布した後、他方の基板上に一例と
して直径2.5μmのプラスチックボール36を均一に
散布した後、2枚のガラス基板31a、31bを位置合
わせして重ねてから、熱プレス板により適度な条件で圧
力を加えながら加熱処理することにより、セル周辺部2
4のシール材35を硬化させ、基板の貼り合わせを完了
させた。
【0087】ここで、上記のプラスチックボール36
は、一般的な手法(ウェット散布又はドライ散布)を用
いて、基板の上方から散布し、概ね100〜500個/
mm2の密度で、基板全面にほぼ均一に配置されてい
た。
【0088】なお、セル周辺部24に設けたシール材3
5の外側で、ガラス基板31bの透明電極32bと、ガ
ラス基板31aの電極引き出し部21とを電気的に接続
させるために、図8に示すように、これらの間にカーボ
ンペースト26を滴下し、セルの有効光路20外で基板
間の導通を取る形状、即ちコモン電極を形成した。
【0089】この貼り合わせ基板を個片化(スクライブ
&ブレイク)して得られた空セルに、ネガ型の液晶分子
(ホスト材料)13とポジ型の二色性染料分子(ゲスト
材料)4とからなる液晶材料34を封入して出来上がっ
たGHセル12に、矩形波を駆動波形として入力し、動
作電圧印加時の光透過率の変化を計測したところ(図2
0)、図21に示すように、動作電圧の印加に伴って、
可視光の平均光透過率(空気中)が最大透過率約75%
から数%にまで減少した。
【0090】また、駆動パルスを変化させた時の光透過
率の過渡応答時間も、パルス電圧変調、パルス幅変調共
に15ms以下となり、実施例1以上の高速動作が可能
であった。これは、実施例1に比べて、GHセル12が
狭ギャップ(約4.0μm→約2.5μm)のためであ
る。
【0091】さらに、透明電極32a、32bとしての
ITO膜をイオンプレーティング(活性化蒸着)法によ
って形成しているため、キャリア密度の大きな膜によっ
て、より低抵抗な配線が形成できている。
【0092】その結果、本実施例においても、液晶セル
の透明時と遮光時の光透過率の差(光学濃度比)を充分
に確保しながら、フラットな分光特性を維持したまま良
好に調光動作(変な色が付かず、純粋に光量のみを変
化)し、かつ調光装置として高速に過渡応答動作するこ
とが可能となった(図15)。
【0093】なお、実施例1及び2では、スペーサーの
配設法として、上方から噴霧する例を示したが、より均
一に配設することを狙って、スクリーン印刷法を使って
形成することもできる。スペーサーの形状も図11
(b)に示した球状のものに限らず、図11(c)に示
すように、柱状のスペーサー37を印刷やリソグラフィ
ー等で形成することも可能である。
【0094】実施例3 図16は、上記実施例による調光装置23をCCD(Ch
arge coupled device)カメラに組み込んだ例を示すも
のである。
【0095】即ち、CCDカメラ50において、一点鎖
線で示す光軸に沿って、前記のレンズ前群15に相当す
る1群レンズ51及び2群レンズ(ズーム用)52、前
記のレンズ後群16に相当する3群レンズ53及び4群
レンズ(フォーカス用)54、CCDパッケージ55が
適宜の間隔をおいてこの順に配設されており、CCDパ
ッケージ55には赤外カットフィルタ55a、光学ロー
パスフィルタ系55b、CCD撮像素子55cが収納さ
れている。
【0096】2群レンズ52と3群レンズ53との間に
は、3群レンズ53寄りに、上述した本発明に基づくG
Hセル12と偏光板11からなる調光装置23が光量調
節(光量絞り)のために同じ光路上に取付けられてい
る。なお、フォーカス用の4群レンズ54は、リニアモ
ータ57により光路に沿って3群レンズ53とCCDパ
ッケージ55との間を移動可能に配設され、またズーム
用の2群レンズ52は、光路に沿って1群レンズ51と
調光装置23との間を移動可能に配設されている。
【0097】図17には、このカメラシステムにおける
調光装置23による光透過率制御のシーケンスのアルゴ
リズムを示す。
【0098】この実施例によると、2群レンズ52と3
群レンズ53の間に本発明に基づく調光装置23が設け
られているので、上述したように電界の印加によって光
量を調節でき、システムを小型化でき、実質的に光路の
有効範囲の大きさまで小型化できる。したがって、CC
Dカメラの小型化を達成することが可能である。また、
パターン化された電極への印加電圧の大きさによって光
量を適切に制御できるので、従来のような回析現象を防
止し、撮像素子へ十分な光量を入射させ、像のぼやけを
なくすことができる。
【0099】以上、本発明を実施の形態及び実施例につ
いて説明したが、上述の例は、本発明の技術的思想に基
づき種々に変更が可能である。
【0100】即ち、前記対向基板のうちの少なくとも一
方の前記電極が、厚さ90〜120nmの前記透明導電
膜によって形成されており、前記透明導電膜上に、厚さ
40〜90nmの前記液晶配向膜が形成されていること
が望ましい。
【0101】また、前記透明導電膜としてITO膜を用
いる例を挙げたが、前記透明導電膜は、ITO、FTO
及びATOのうちの少なくとも1種からなる材料で構成
されてよい。
【0102】また、前記透明導電膜の成膜方法として、
スパッタリング法及びイオンプレーティング法によって
成膜し、次いで、エッチングによりパターン形成する例
を挙げたが、成膜方法は特に限定されず、ベタ付け、パ
ターン化ベタ付け、マトリクス等でもよい。
【0103】前述した液晶素子や偏光板の構造や材質、
その駆動機構、駆動回路や制御回路の構成等は、種々に
変更が可能である。また、駆動波形は、矩形波、台形
波、三角波、正弦波のいずれでも駆動可能であり、液晶
セルを構成する2枚の電極間の電位差に応じて液晶の傾
きが変化し、光透過率が制御される。従って、通常はこ
の波高値により透過率制御を行なう。上述の実施例で
は、液晶セルの駆動法に主にパルス電圧変調(PHM)
を用いた例を示したが、パルス幅変調(PWM)で駆動
する場合にも適用できる。
【0104】前記液晶分子のプレチルト角(前記基板に
対して液晶分子のダイレクタのなす角度)は、85°〜
89°の範囲で変化させてよく、特に86°〜88°、
特に87°又はその近傍とするのがよい。
【0105】また、上述したGHセルのセルギャップは
少なくとも前記有効光路において2〜4μmの範囲で変
化させてよく、特に2〜3.5μm、特に2〜3μm前
後とするのがよい。また、前記セル周辺部のセルギャッ
プも2〜4μmとしてよいが、3.5〜4μmとするの
がよく、或いは4μmを超えてもよい場合がある。
【0106】本発明に基づく調光装置を構成する液晶光
学素子として透過型液晶光学素子を例示したが、この他
にも反射型の液晶光学素子として構成してもよい。
【0107】また、GHセルとして、上述したもの以外
に、2層構造等のGHセルも使用可能である。偏光板1
1のGHセル12に対する位置は、レンズ前群15とレ
ンズ後群16との間としたが、この配置に限らず、撮像
レンズの設定条件から最適となる位置に配置されればよ
い。即ち、位相差フィルム等の偏光状態が変化する光学
素子を用いない限り、偏光板11は、例えば撮像面17
とレンズ後群16との間等、被写体側又は撮像素子側の
任意の位置に置くことができる。さらにまた、偏光板1
1は、レンズ前群15又はレンズ後群16に代わる単一
のレンズ(単レンズ)の前又は後に配置されてもよい。
【0108】また、アイリス羽根18、19は2枚に限
られず、より多くの枚数を用いることにしてもよいし、
逆に1枚でもよい。また、アイリス羽根18、19は、
上下方向に移動することにより重ねられるが、他の方向
に移動してもよく、周囲から中央に向けて絞り込むこと
にしてもよい。
【0109】また、偏光板11は、アイリス羽根18に
貼付されているが、アイリス羽根19の方に貼付されて
もよい。
【0110】また、被写体が明るくなるにつれて、先に
偏光板11の出し入れによる調光を行なった後、GHセ
ル12による光の吸収を行なったが、逆に、先にGHセ
ル12の透過率が所定の値まで低下した後に、偏光板1
1を出し入れしてもよい。
【0111】また、偏光板11を有効光路20から出し
入れする手段として、機械式アイリスを用いたが、これ
に限られない。例えば、偏光板11が貼付されたフィル
ムを駆動モーターに直接配置することにより、偏光板1
1を出し入れしてもよい。
【0112】また、上記の例では偏光板11を有効光路
20に対して出し入れしたが、有効光路中に位置固定す
ることも勿論可能である。
【0113】また、本発明に基づく調光装置は、公知の
他のフィルター材(例えば、有機系のエレクトロクロミ
ック材、液晶、エレクトロルミネッセンス材等)と組み
合わせて用いることも可能である。
【0114】さらに、本発明に基づく調光装置は、既述
したCCDカメラ等の撮像装置の光学絞り以外にも、各
種光学系、例えば、電子写真複写機や光通信機器等の光
量調節用としても広く適用が可能である。
【0115】また、撮像デバイスとしては、本実施例で
使用したCCD(Charge Coupled Device)以外にも、
CMOSイメージセンサー等への適用も勿論可能であ
る。
【0116】さらに、本発明に基づく調光装置は、光学
フィルター以外に、キャラクターやイメージ等を表示す
る各種の画像表示素子に適用することができる。
【0117】
【発明の効果】本発明の調光装置及び撮像装置によれ
ば、光路中に配される液晶素子をゲスト−ホスト型と
し、そのホスト材料にネガ型(即ち、誘電率異方性(Δ
ε)が負)の液晶を用いているため、既述したと同様の
理由から、ポジ型(即ち、Δεが正)の液晶を用いる場
合に比べて光透過(特に透明)時の光透過率が大きく向
上し、光透過時(透明時)と光遮蔽時(遮光時)の光学
濃度比(コントラスト比)を高く保持しつつ、応答速度
も大きくすることができる。
【0118】また、前記対向基板のうちの少なくとも一
方の前記電極が、厚さ90〜120nmの前記透明導電
膜によって形成されているため、フラットな分光特性を
維持したまま良好な調光動作(変な色を呈することなし
に純粋に光量のみが変化すること)を行なうことができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態による、ITO膜厚に対す
る光透過率とシート抵抗の変化を示すグラフである。
【図2】同、ITO膜厚による分光特性の違いを示すグ
ラフである。
【図3】同、ITO膜上の液晶配向膜の膜厚による分光
特性の違いを示すグラフである。
【図4】同、調光装置の液晶光学素子における液晶分子
のプレチルト角と応答時間との関係を示すグラフであ
る。
【図5】同、液晶光学素子における液晶分子のプレチル
ト角と光透過率及びダイナミックレンジとの関係を示す
グラフである。
【図6】同、液晶光学素子のセルギャップと光透過率と
の関係を示すグラフである。
【図7】同、液晶光学素子のセルギャップと応答時間と
の関係を駆動条件に応じて比較して示すグラフである。
【図8】同、液晶光学素子のセルの概略平面図である。
【図9】同、各基板の概略平面図である。
【図10】同、液晶光学素子のセルの一部拡大概略断面
図である。
【図11】同、液晶光学素子のセルの各例の概略断面図
である。
【図12】同、液晶光学素子を用いた調光装置の概略断
面図である。
【図13】同、調光装置の機械式アイリスの正面図であ
る。
【図14】同、調光装置の有効光路付近の機械式アイリ
スの動作を示す概略部分拡大図である。
【図15】同、調光装置の調光動作を示す図である。
【図16】同、調光装置を組み込んだカメラシステムの
概略断面図である。
【図17】同、カメラシステムにおける光透過率制御の
アルゴリズムである。
【図18】従来の調光装置の動作原理を示す概略図であ
る。
【図19】同、調光装置の液晶光学素子の光透過率と駆
動印加電圧との関係を示すグラフである。
【図20】先願発明(特願平11−322186号)の
調光装置の動作原理を示す概略図である。
【図21】同、調光装置の液晶光学素子の光透過率と駆
動印加電圧との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1、11…偏光板、2、12…GHセル、3…ポジ型液
晶、4…ポジ型染料分子、5…入射光、13…ネガ型液
晶、15、16…レンズ群、17…撮像面、18、19
…アイリス羽根、20…有効光路、23…調光装置、2
4…セル周辺部、31a、31b…基板、32a、32
b…透明電極、33a、33b…配向膜、34…液晶材
料(混合物)、35…封止(シール)材、36…球状ス
ペーサー、37…柱状スペーサー、50…CCDカメ
ラ、51…1群レンズ、52…2群レンズ、53…3群
レンズ、54…4群レンズ、55…CCDパッケージ、
56…リニアモータ
フロントページの続き Fターム(参考) 2H088 GA13 HA02 HA03 MA02 2H090 LA01 MA01 MA11 2H092 HA03 HA04 NA01 PA02 QA08

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 駆動用の電極を設けた対向基板間に液晶
    を封入した液晶光学素子からなり、前記液晶が、ネガ型
    液晶をホスト材料とするゲスト−ホスト型液晶であると
    共に、前記対向基板のうちの少なくとも一方の前記電極
    が、厚さ90〜120nmの透明導電膜によって形成さ
    れている調光装置。
  2. 【請求項2】 前記透明導電膜上に、厚さ40〜90n
    mの液晶配向膜が形成されている、請求項1に記載した
    調光装置。
  3. 【請求項3】 前記透明導電膜が、ITO(Indium-dop
    ed tin oxide:錫をドープした酸化インジウム)、FT
    O(Fluorine-doped tin oxide:フッ素をドープした酸
    化錫)及びATO(Antimony-doped tin oxide:アンチ
    モンをドープした酸化錫)のうちの少なくとも1種から
    なる材料で構成されている、請求項1に記載した調光装
    置。
  4. 【請求項4】 液晶分子のプレチルト角(前記基板に対
    して液晶分子ダイレクタのなす角度)が85°〜89°
    となるように液晶配向処理が施されている、請求項1に
    記載した調光装置。
  5. 【請求項5】 少なくとも有効光路における一対の前記
    基板間の間隙が2μm以上、4μm以下に制御されてい
    る、請求項1に記載した調光装置。
  6. 【請求項6】 前記液晶のゲスト材料が二色性染料であ
    る、請求項1に記載した調光装置。
  7. 【請求項7】 請求項1〜6のいずれか1項に記載した
    調光装置が撮像系の光路中に配されている撮像装置。
JP2001336206A 2001-11-01 2001-11-01 調光装置及び撮像装置 Pending JP2003140193A (ja)

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