JP2003126643A - パルプ状吸湿材及び調湿紙 - Google Patents

パルプ状吸湿材及び調湿紙

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JP2003126643A
JP2003126643A JP2001330731A JP2001330731A JP2003126643A JP 2003126643 A JP2003126643 A JP 2003126643A JP 2001330731 A JP2001330731 A JP 2001330731A JP 2001330731 A JP2001330731 A JP 2001330731A JP 2003126643 A JP2003126643 A JP 2003126643A
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pulp
moisture absorption
glass
mass
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Michiya Nakajima
道也 中嶋
Satoshi Demura
智 出村
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Dainippon Ink and Chemicals Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 吸湿成分の脱落や局在がなく、高い吸湿力、
可逆的で即応性に優れた調湿性、及び熱安定性を有し、
かつ寸法安定性に優れたパルプ状吸湿材、該パルプ状吸
湿材から成る調湿紙、及び該パルプ状吸湿材から成る意
匠性の高い着色された調湿紙を提供すること。 【解決手段】 ガラス微粒子とポリアミドとの複合体か
ら成り、ガラス微粒子の粒径が300nm以下であり、
かつ、ガラス微粒子含有率が30〜80質量%であるこ
とを特徴とするパルプ状吸湿材、及び該パルプ状吸湿材
から成る調湿紙。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はパルプ状吸湿材及び
調湿紙に関する。本発明で得られる吸湿材及び調湿紙は
吸湿性のみならず可逆的な高い調湿力を持つ。また本吸
湿材はパルプ形状を持つため、結合材を用いることなく
容易に抄紙することができ、得られる紙、シートは調湿
紙として好適に用いられる。加えてこの調湿紙は吸湿や
温度変化に対する寸法安定性に優れ、表面硬度が高い上
に耐摩耗性や熱安定性を持つため、エレクトロニクス関
連ディバイスの防湿保護用ペーパー等に好適に用いられ
る。
【0002】また、本発明での吸湿材は純白色であるた
め、着色材と共に抄紙することにより任意の色に着色す
ることができ、意匠性に優れることから壁紙等の内装材
に好適に用いられる。
【0003】
【従来の技術】吸湿性の高い繊維とその繊維から成る紙
及びその製造方法が特開昭63−99400号公報及び
特開昭63−270528号公報に記載されている。こ
れらの繊維は吸湿材料としてシリカゲルを用い、これを
繊維成分と混合している。しかし、この繊維は吸湿率が
40%程度にとどまり、他の吸湿剤にくらべて吸湿速度
が遅い。
【0004】特開平1−299624号公報には吸湿材
料として塩化リチウム、塩化カルシウム等の無機塩類を
用い、これらを繊維に含浸させる方法が記載されてい
る。これらの無機塩は吸湿量が多く吸湿速度も速いが、
潮解性があり吸湿に伴い表面が粘着性を帯びるため、そ
の用途が限定されている。また、その吸湿は不可逆で調
湿性はなく再生には高温での処理を要する。
【0005】特開平8−131755号公報にはポリア
クリル酸ナトリウム等の吸水性ポリマーを裁断し、繊維
成分と混合してパルプ化し、これを用いて吸湿紙を製造
する方法が記載されている。該公報に限らず上述したこ
れらすべての従来技術は紙へ加工する為に、吸湿材料を
繊維成分と混合するためのパルプ化工程が不可欠であり
製造が煩雑である。また、その工程で吸湿材料の脱落や
局在が生じ、吸湿能が十分得られない。また繊維成分と
しては各種天然繊維やポリアミド等の合成繊維を用いて
いるが、これらの材料は温度変化や吸湿に伴う寸法変化
が大きいため、使用範囲が制限されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようと
する課題は、吸湿成分の脱落や局在がなく、高い吸湿
力、可逆的で即応性に優れた調湿性、及び熱安定性を有
し、かつ寸法安定性に優れたパルプ状吸湿材、該パルプ
状吸湿材から成る調湿紙、及び該パルプ状吸湿材から成
る意匠性の高い着色された調湿紙を提供することにあ
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らはこれらの課
題を解決すべく鋭意研究を行った結果、水ガラス共存下
でジカルボン酸ハロゲン化物とジアミンとを界面重縮合
させて得られるガラス微粒子とポリアミドとの複合体
で、かつ該複合体中にガラス微粒子を30〜80質量%
含む複合体が優れた吸湿性を有し、吸湿材として十分な
性能を有すること、さらに該複合体から成るパルプは抄
紙しやすく、抄紙された紙は可逆的に水分を放出するの
で調湿材として有用であることを見出し、本発明を完成
するに至った。
【0008】即ち、本発明はガラス微粒子とポリアミド
との複合体から成り、ガラス微粒子の粒径が300nm
以下であり、かつ、ガラス微粒子含有率が30〜80質
量%であることを特徴とするパルプ状吸湿材、及び該パ
ルプ状吸湿材から成る調湿紙を提供する。
【0009】
【発明の実施の形態】以下に本発明を更に詳細に説明す
る。本発明のパルプ状吸湿材は、ガラス微粒子とポリア
ミドとの複合体から成り、該複合体中に含まれるガラス
微粒子の粒径が300nm以下のものであり、好ましく
は160nm以下、さらに好ましくは50nmである。
ガラス微粒子の粒径が300nmを超えて大きすぎる
と、ガラス質量あたりのガラス微粒子の外表面積が小さ
くなり吸湿能力、特に吸湿速度が低下する。またポリア
ミド樹脂に対する接着性が不足し、脱落等の問題が生じ
る。
【0010】本発明に用いるガラス微粒子とポリアミド
との複合体中のガラス微粒子の含有率は30〜80質量
%、好ましくは50〜70質量%とすることが望まし
い。ガラス微粒子の含有率が30質量%未満であると吸
湿量が不十分となるばかりか、ガラス微粒子が該複合体
に与える補強効果が小さくなるため、温度変化や吸湿に
よる寸法の安定性が低下する。逆に80質量%を超えて
多すぎると、結合成分としてのポリアミドの不足により
パルプ状の吸湿材が得られにくくなり、その結果、ガラ
ス微粒子とポリアミドとの複合体から成るパルプのみで
の抄紙では、十分な強度のある紙が得られなくなる。
【0011】本発明で言う調湿性とは、周囲の湿度変化
に応答して、周囲の湿度を一定に保つ方向で水分を吸放
出する性質のことを意味する。加えて良好な調湿性とは
水分の吸放出が可逆的で、かつ繰り返しの水分の吸放湿
により吸湿能力の変化が無い性質を言う。
【0012】本発明のガラス微粒子とポリアミドとの複
合体から成る吸湿材はパルプ状である。ここで言うパル
プ状とは、JIS P 8207−1976に準じたパル
プ篩分試験法に於いて、その繊維長が212μm以上の
繊維状物が30質量%以上で、かつ2mm以上の繊維状
物が50質量%以下のものを言う。中でも、地合が良好
な紙を得ることができるため、繊維長が212μm以上
の繊維状物が60質量%以上であり、かつ2mm以上の
繊維状物が30質量%以下の範囲の繊維長分布を持つパ
ルプが好ましく用いられる。
【0013】本発明でいう紙とは、表面の地合が良くJ
IS P 8113−76に準じた引っ張り強度試験にお
いて2.0MPa・cm3/g以上の強度を持つものを
言う。この強度以上の紙はカレンダー加工等の各種加工
に耐える十分な強度を持つ。
【0014】本発明で用いるガラス微粒子とポリアミド
との複合体は、ジカルボン酸ハロゲン化物を含む有機溶
媒溶液と、ジアミンと水ガラスとを含む水溶液を界面重
縮合させ、剪断することによって得ることができ、その
製造方法は特開平10−176106公報に開示されて
いる。
【0015】ジカルボン酸ハロゲン化物は、界面重合反
応に用いられるものであれば特に限定されないが、アジ
ポイルクロライド、アゼラオイルクロライド、セバシル
クロライド、またはこれらの臭素化物等の脂肪族ジカル
ボン酸ハロゲン化物、イソフタロイルクロライド、テレ
フタロイルクロライド、およびこれらの芳香族環の1個
以上の水素をハロゲン原子、ニトロ基、アルキル基で置
換した芳香族ジカルボン酸ハロゲン化物が挙げられ、こ
れらは単独または2種以上の組み合わせで用いられても
良い。なかでも、繊維状物が容易に得られるという理由
から、アジポイルクロライド、アゼラオイルクロライド
が好ましく用いられる。
【0016】ジカルボン酸ハロゲン化物の有機溶媒溶液
に用いる有機溶媒としては、ジカルボン酸ハロゲン化物
やジアミンと反応せず、ジカルボン酸ハロゲン化物を溶
解させるものであれば特に制限なく用いることができ、
トルエン、キシレン、クロロホルム、シクロヘキサン、
シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、2−ブタノン
などを代表的な例として挙げることができる。
【0017】有機溶媒溶液中のジカルボン酸ハロゲン化
物の濃度としては重合反応が十分に進行すれば特に制限
されないが、0.01〜3モル/Lの濃度範囲、特に
0.05〜1モル/Lが好ましい。
【0018】ジアミンは、前記ジカルボン酸ハロゲン化
物と反応するもので、1,2−ジアミノエタン、1,3
−ジアミノプロパン、1,6−ジアミノヘキサン等の脂
肪族ジアミン、m−キシリレンジアミン、p−キシリレ
ンジアミン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレン
ジアミン、1,5’−ジアミノナフタレン、1,8−ジ
アミノナフタレン、2,3−ジアミノナフタレン等の芳
香族ジアミン及びこれらの芳香環の1個以上の水素をハ
ロゲン、ニトロ基、またはアルキル基で置換した芳香族
ジアミンが挙げられ、これらは単独又は2種以上の組み
合わせで用いても良い。なかでも、繊維状物が容易に得
られるという理由から、1,2−ジアミノエタン、1,
3−ジアミノプロパン、1,6−ジアミノヘキサンが好
ましく用いられる。また、水溶液中のジアミンの濃度範
囲は例えば0.01〜3モル/Lの濃度範囲、特に0.
05〜1モル/Lが好ましい。
【0019】水ガラスは、ガラス微粒子とポリアミドと
の複合体のガラス源であり、例えばJIS K 1408
−1966に記載の水ガラス1号、2号、3号等のM
O・nSiOの組成式で表され、Mがアルカリ金属、
nの範囲が1.2≦n≦4のものが挙げられる。ジカル
ボン酸ハロゲン化物を含む有機溶媒溶液と、ジアミンを
含む水溶液との界面または混合溶液中で重縮合反応が進
行し、ポリアミドが生成する反応に際しては水ガラス中
のアルカリ金属自身が酸受容体として働き、水ガラスか
ら生成したガラスがポリアミド内に微細に分散し、複合
体を形成する。このときの水ガラスの濃度を調節するこ
とにより、複合体中のガラス微粒子の割合を30〜80
質量%の範囲で任意にコントロールすることができる。
ガラス微粒子の質量%を低くするために水ガラス濃度を
低くする場合は酸受容体が不足することがある。その場
合には、酸受容体の不足分を補い、重合反応を促進させ
る目的で水溶液に、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カ
リウム等の酸受容体を添加しても良い。
【0020】パルプ状吸湿材の製造法としては有機溶液
と水溶液を効率よく接触反応させ、生じたゲル状の反応
物を剪断し、パルプ状物を生成しうる方法であればとく
に方式は限定されない。連続式の製造法としては、回転
する混合体の回転側面に設けた突子により両溶液を撹拌
混合させながら、撹拌により重合する固形分を剪断する
混合装置に連続的に流通させる方法が挙げられる。具体
的な装置としては大平洋機工株式会社製ファインフロー
ミルFM−15型、INDAG Machinenba
u Gmb社製ダイナミックミキサDLM/S215型
に加え、大平洋機工株式会社製スパイラルピンミキサS
PM−15型等が挙げられる。
【0021】バッチ式の製造法としては高速攪拌翼と反
応槽の内容物全体を混合しうる攪拌翼とを有する多軸攪
拌装置により、攪拌翼のみの攪拌下で予備重合を行った
後、高速攪拌翼を攪拌し重合、剪断を行う方法が挙げら
れる。具体的な装置としては井上製作所株式会社製2軸
ミキサーBDM−V−270V、浅田鉄工株式会社製コ
ーネルデスパーMHK−10型に加え、特殊機化株式会
社製コンビミックスCBS−100等を挙げることがで
きる。合成の温度は常温付近でよく、例えば−10〜5
0℃の温度範囲で十分に重合を行うことができる。この
ように本発明ではパルプ状吸湿材を1工程のみの容易な
プロセスで直接製造することが出来る。
【0022】本発明のパルプ状吸湿材は、例えば水に分
散させた分散液から公知慣用の方法により結合材を全く
用いずに抄紙することが可能である。例えば分散液をス
テンレスやナイロン網等の濾材に通じる方法や、分散液
をスプレーにより基材に噴霧する方法等が挙げられる。
本方法により、引っ張り試験による比強度が2.0MP
a・cm3/g以上の各種加工に耐える紙を製造するこ
とが出来る。また、必要とされる吸湿性や調湿性を損な
わない範囲で、公知慣用の結合材を用いることは一向に
差し支えない。
【0023】本発明の調湿紙のうち特にガラス微粒子の
含有率が60質量%付近の材料は良好な調湿性のみなら
ず、800GPa以上の表面硬度を持つ。また25℃か
ら325℃までの300Kの温度上昇に伴う寸法変化が
僅か0.1%以下、自重の80質量%以上の吸湿に伴う
寸法変化が0.3%以下と言う高い寸法安定性を持つ。
加えて熱安定性にも優れ、300℃以下の温度では物性
変化が殆ど見られない。そのために過酷な条件で使用さ
れながら高い物性安定性が求められるエレクトロニクス
関連ディバイスの防湿保護用ペーパー等に好適に用いら
れる。
【0024】本発明の吸湿材は、窒素ガスを用いたガス
吸着量の測定の結果、細孔直径が6〜30nmのメソポ
アー領域の微細孔を多量に持つ多孔質体であり、100
2/g以上の比表面積を持つことが明らかとなった。
このため本発明の吸湿材は水蒸気の吸放出のみならず、
種々の気体、例えばメタンガス、プロパンガス等の炭化
水素ガス、一酸化炭素、二酸化炭素、ホルムアルデヒ
ド、トルエン、硫黄酸化物ガスや窒素酸化物ガス、及び
これらの水蒸気含有混合ガス等の吸放出に応用可能であ
る。
【0025】また、本発明のパルプ状吸湿材は純白色で
あり、公知の着色剤と共に抄紙することにより任意の色
に着色可能である。本発明で用いられる着色材は水に不
溶であり、抄紙の際に着色材が吸湿材上に残存する物で
あれば特に限定されず、顔料等が好ましく用いられる。
顔料としては公知慣用のカーボンブラック、ヘマタイ
ト、コバルトブルー、酸化鉄やカドミウムイエロー等の
無機顔料やアゾ系、フタロシアニン系、キノリン系やト
リフェニルメタン系の有機顔料等が挙げられるがこれら
に限定されない。上述のごとく本発明の調湿紙は純白色
から各種の着色紙、並びに印刷を付した高い意匠性を有
する紙材、例えば壁紙等の内装材にも好適に用いられ
る。
【0026】
【実施例】以下に本発明を実施例にてより具体的に説明
するが、実施例は発明の代表的形態を示すものであっ
て、本発明はその範囲に限定されない。
【0027】(1)抄紙方法 0.2g/dLの濃度にパルプを分散した液200gを
直径95mmのヌッチェを用い目開き4μmのろ紙上で
減圧濾過した。得られたケーキを170℃、1MPa/
cmの条件で熱プレスを行い、乾燥紙を作成した。
【0028】(2)吸湿率の測定 (1)の方法で得られた紙を110℃で17時間乾燥さ
せ、絶乾状態とした。その状態の紙質量(乾燥質量)を
計測し、23℃相対湿度95%の条件で24時間保持
し、その質量(吸湿質量)を測定した。吸湿率の算出式
は以下の通りである。 吸湿率(%)=[(吸湿質量−乾燥質量)/乾燥質量]
×100
【0029】(3)吸放湿の繰り返し特性の測定 (2)の方法に従って吸湿させた紙を再度110℃で1
7時間乾燥させ、絶乾状態とした後、再度同様な方法で
吸湿させる操作を繰り返し、吸放湿回数の変化に伴う吸
湿率の変化を測定した。
【0030】(4)調湿性の測定 (1)の方法で得られた紙を110℃で17時間乾燥さ
せ、絶乾状態とした。その後23℃相対湿度30%の条
件で4時間保持し、続いて温度を保ったままで相対湿度
60%、続いて相対湿度95%の条件で各4時間保持し
た。その後再び相対湿度を60%、30%と低下させ各
4時間保持し各相対湿度での吸湿率を測定した。
【0031】(5)ガラス微粒子含有率(灰分)の測定 ガラス微粒子とポリアミドとの複合体を空気中、750
℃で3時間焼成しポリアミド成分を完全に焼失させた
後、灰分質量を測定し、灰分含有率をガラス微粒子の含
有率として算出した。算出式は以下の通りである。 ガラス微粒子含有率=灰分(質量%)=(750℃焼成
後質量/焼成前質量)×100
【0032】(6)引っ張り強度測定 (1)の方法で得た紙をJIS P 8113−76に準
じた引っ張り強度試験によって行った。
【0033】(7)比表面積の測定 (1)の方法で得た紙約0.2gを湯浅アイオニクス株
式会社製全自動ガス吸着装置オートソーブ1Cにセット
して窒素ガスを用いBET多点法により、ガラス微粒子
とポリアミドとの複合体中のガラス微粒子の比表面積
(m/g)を測定した。
【0034】(8)ガラス微粒子の粒径測定 300℃で焼成したガラス微粒子とポリアミドとの複合
体紙をマイクロトームを用いて厚さ75nmの超薄切片
とした。得られた切片を日本電子製JEM−200CX
にて100000倍の倍率で観察し、100個のガラス
微粒子の平均粒径を測定した。
【0035】(9)吸湿寸法変化率の測定 (1)の方法で得た紙を(2)の操作を行い、絶乾状態
の紙の直径(乾燥時寸法)と吸湿状態の紙の直径(吸湿
時寸法)を測定した。寸法変化率(%)を以下の式によ
り算出した。 寸法変化率(%)=[(吸湿時寸法−乾燥時寸法)/乾
燥時寸法]×100
【0036】(10)線熱膨張率の測定法 セイコー電子工業製TMA/SS120Cを用い、空気
中で2℃/分の昇温速度にて線熱膨張率を測定した。
【0037】(実施例1)0.25モル/Lのアジポイ
ルクロライドを含むトルエン溶液(A1)と0.15モ
ル/Lの1,6−ジアミノへキサンと100g/Lの珪
酸ソーダ3号を含む水溶液(B1)を用意した。水溶液
83.3Lを井上製作所株式会社製2軸ミキサーBDM
−V−270Vに予め仕込み、高速攪拌翼の停止下にて
低速攪拌翼により攪拌しつつ、トルエン溶液(A1)5
0Lを仕込んだ。(A1)の仕込み終了後、高速攪拌翼
により攪拌し合成、剪断を行った。この操作のみで大部
分がパルプ形状をした白色生成物が得られた。得られた
パルプ状白色生成物を(1)の方法で抄紙した。
【0038】抄紙した紙の吸湿率を(2)の方法により
測定し、ガラス微粒子含有率を(5)の方法により測定
した結果を表1及び図1に示す。図1において、縦軸は
抄紙した紙の吸湿率(%)を、横軸は該紙中のガラス微
粒子の含有率(質量%)を表す。図1から明らかなよう
に、ガラス微粒子の含有率が30質量%以上である紙
が、優れた吸湿性能を示した。
【0039】抄紙した紙について、(9)の方法により
測定した吸湿に対する寸法変化率を表1に示す。寸法変
化率は0.26%と高い寸法安定性を示した。また、
(6)の方法により測定した引っ張り強度、(7)の方
法により測定した比表面積についても優れた値を示し
た。
【0040】(実施例2)水溶液(B2)が0.15モ
ル/Lの1,6−ジアミノへキサンと82.2g/Lの
珪酸ソーダ3号と2.8g/Lの水酸化ナトリウム溶液
である以外は実施例1と同様の原料溶液を用意した。こ
れを実施例1と同様の方法で合成剪断した。本例におい
ても実施例1と同様、この操作のみで大部分がパルプ形
状をした白色生成物が得られた。抄紙した紙について、
実施例1と同様の評価を行った結果を表1及び図1に示
す。
【0041】(実施例3)水溶液(B3)が0.15モ
ル/Lの1,6−ジアミノへキサンと64.5g/Lの
珪酸ソーダ3号と5.3g/Lの水酸化ナトリウム溶液
である以外は実施例1と同様の原料溶液を用意した。こ
れを実施例1と同様の方法で合成剪断を行った。本例に
おいても実施例1と同様、この操作のみで大部分がパル
プ形状をした白色生成物が得られた。抄紙した紙につい
て、実施例1と同様の評価を行った結果を表1及び図1
に示す。
【0042】(実施例4)実施例1と同じ方法で得たパ
ルプ形状をした白色生成物を、(1)の方法に従って紙
を製造する過程で、抄紙前の分散液に0.02gの着色
用カーボンブラックを添加し、着色紙を得た。均一な灰
色に染色された紙が得られた。得られた着色紙につい
て、実施例1と同様の評価を行った結果、吸湿率は82
%と優れた吸湿性能を示した。寸法変化率は1.36%
と高い寸法安定性を示した。また、引っ張り強度、比表
面積についても優れた値を示した。
【0043】(実施例5)実施例1と同じ方法で得たパ
ルプ形状をした白色生成物を(1)の方法で抄紙した。
抄紙した紙について(3)の方法により本材料の吸放湿
の繰り返し回数に伴う吸湿率の変化を測定した結果を表
2に示す。吸湿後の加熱により水分が完全に放出され、
加熱後も吸湿率の劣化は観測されないことから、抄紙し
た紙に可逆的吸放湿性が認められた。
【0044】また、(4)の方法に従い抄紙した紙の調
湿性を測定した結果を図2に示す。図2において、縦軸
は抄紙した紙の吸湿率(%)、横軸は時間(h)を表
し、図中の数値(%)は相対湿度を表す。図2から明ら
かなように、相対湿度を増加させると吸湿率は速やかに
上昇し、相対速度を減少させると吸湿率は速やかに下降
した。これより、本発明の吸湿材が、相対湿度に応じて
速やかに吸放湿する良好な調湿性を有することが認めら
れた。
【0045】(実施例6)実施例1と同じ方法で得たパ
ルプ形状をした白色生成物を(1)と同様の方法で濾別
した。得られたケーキを予備成形後、290℃、3MP
aで5分間加熱加圧成形し、ガラス微粒子とポリアミド
との複合体の平板を得た。該複合体平板について(1
0)の方法により温度変化に対する線熱膨張率を測定し
た結果を図3に示す。また、ポリアミドのみからなる平
板の線熱膨張率の測定結果を図3にあわせて示す。
【0046】図3において、縦軸は得られた平板の線熱
膨張率(%)を、横軸は温度(℃)を表す。図中の実線
1にガラス微粒子とポリアミドとの複合体平板の線熱膨
張率を、一点鎖線2にポリアミドの線熱膨張率を示す。
図3より、ポリアミドのみからなる平板は、温度上昇に
ともない線熱膨張率が増大し、融点にて融解して形状を
保持できなかった。これに対して、該複合体平板は温度
上昇に対しても高い寸法安定性を有し、ポリアミドの融
点以上でも溶融することなく、450℃を越えても線熱
膨張率は1%程度であり高い熱安定性を示した。
【0047】(比較例1)水溶液(B4)が0.15モ
ル/Lの1,6−ジアミノへキサンと28.9g/Lの
珪酸ソーダ3号と9.3g/Lの水酸化ナトリウム溶液
である以外は実施例1と同様の原料溶液を用意した。こ
れを実施例1と同様の方法で合成剪断を行った。本例に
おいても実施例1と同様、この操作のみで大部分がパル
プ形状をした白色生成物が得られた。抄紙した紙につい
て、実施例1と同様の評価を行った結果を表1及び図1
に示す。
【0048】(比較例2)水溶液(B5)が0.15モ
ル/Lの1,6−ジアミノへキサンと14.5g/Lの
珪酸ソーダ3号と18.6g/Lの水酸化ナトリウム溶
液である以外は実施例1と同様の原料溶液を用意した。
これを実施例1と同一の方法で合成剪断を行った。本例
においても実施例1と同様、この操作のみで大部分がパ
ルプ形状をした白色生成物が得られた。抄紙した紙につ
いて、実施例1と同様の評価を行った結果を表1及び図
1に示す。
【0049】これらの比較例ではガラス微粒子含有率が
低いことに起因し吸湿率は低い結果となった。また吸湿
率が低いにもかかわらず、吸湿にともなう寸法変化率は
3%以上であった。
【0050】
【表1】
【0051】
【表2】
【0052】
【発明の効果】本発明は、吸湿成分の脱落や局在がな
く、高い吸湿力、可逆的で即応性に優れた調湿性、及び
熱安定性を有し、かつ寸法安定性に優れた吸湿性成分か
ら成るパルプ状吸湿材、該パルプから成る調湿紙、及び
該パルプから成る意匠性の高い着色された調湿紙を提供
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 パルプ状吸湿材中のガラス微粒子含有率と吸
湿率の関係を示す図である。
【図2】 パルプ状吸湿材の相対速度の変化と吸湿率と
の関係を時間経過と共に表した図である。
【図3】 パルプ状吸湿材とポリアミドの温度と線熱膨
張率との関係を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) D21H 15/12 D21H 15/12 Fターム(参考) 4D052 AA08 CA02 HA32 HA39 HA49 HB02 4G066 AA30A AA71B AC26D BA16 BA20 CA43 DA03 FA37 4L055 AF35 AF43 AF44 AF47 AG02 AH01 EA16 EA32 FA11 FA18 FA19 FA30 GA05 GA50

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ガラス微粒子とポリアミドとの複合体か
    ら成り、ガラス微粒子の粒径が300nm以下であり、
    かつ、ガラス微粒子含有率が30〜80質量%であるこ
    とを特徴とするパルプ状吸湿材。
  2. 【請求項2】 前記ガラス微粒子とポリアミドとの複合
    体の繊維長が212μm以上の繊維状物が30質量%以
    上で、かつ2mm以上の繊維状物が50質量%以下であ
    る請求項1に記載のパルプ状吸湿材。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載のパルプ状吸湿材から成
    る調湿紙。
  4. 【請求項4】 請求項1に記載のパルプ状吸湿材を着色
    材と共に抄紙した着色調湿紙。
JP2001330731A 2001-10-29 2001-10-29 パルプ状吸湿材及び調湿紙 Pending JP2003126643A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006083227A (ja) * 2004-09-14 2006-03-30 Mitsubishi Engineering Plastics Corp 長繊維強化ポリアミド樹脂製外装成形体
JP2010510400A (ja) * 2006-11-16 2010-04-02 アプライド・ナノテック・ホールディングス・インコーポレーテッド ストリングのためのバッファ層
US8713906B2 (en) 2006-11-16 2014-05-06 Applied Nanotech Holdings, Inc. Composite coating for strings

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