JP2003125703A - 含油顆粒状組成物及びその製造法 - Google Patents

含油顆粒状組成物及びその製造法

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JP2003125703A
JP2003125703A JP2001322038A JP2001322038A JP2003125703A JP 2003125703 A JP2003125703 A JP 2003125703A JP 2001322038 A JP2001322038 A JP 2001322038A JP 2001322038 A JP2001322038 A JP 2001322038A JP 2003125703 A JP2003125703 A JP 2003125703A
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Shinji Endo
真治 遠藤
Kazuhisa Yamada
和寿 山田
Hidenori Komai
秀紀 駒井
Masahisa Ibuki
昌久 伊吹
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Fuji Oil Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明は、食品に利用できる含油顆粒状組成物
で、ブロッキング耐性に優れ、油脂含量を高めることが
でき、湯に溶解した際に油滴が湯表面に浮かび、溶解後
の油脂の結晶化が遅く、食品工業での利用に適した、か
さ比重が高く、圧縮度が小さく、安息角が小さいという
物理性状をもつ含油顆粒状組成物およびその製造法を提
供することを目的とした。 【解決手段】食物繊維及び油脂を含む含油顆粒状組成物
であって、その食物繊維が繊維質で平均繊維長が100
μm以上であり、攪拌羽根のほかに解砕羽根を備えた攪
拌造粒機を用いた乾式攪拌造粒により製造されてなる含
油顆粒状組成物及びその製造法である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、食品に利用できる
含油顆粒状組成物で、ブロッキング耐性に優れ、油脂含
量を高めることができ、湯に溶解した際に油滴が湯表面
に浮かび、溶解後の油脂の結晶化が遅く、食品工業での
利用に適した、かさ比重が高く、圧縮度が小さく、安息
角が小さいという物理性状をもつ含油顆粒状組成物およ
びその製造法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来の油脂分を含む顆粒状組成物は、
水、油脂、乳化剤、澱粉等からなる乳化物を高温度雰囲
気下で噴霧乾燥した粉末油脂を顆粒化したものが主流で
あった。また、顆粒化方法においても、多糖類の水溶液
等をバインダーに用い高温度雰囲気下で造粒、乾燥する
方法が主流であった。しかしながら、これらの粉末状油
脂の製造方法や顆粒化方法では、高温度下での乾燥工程
が必須であり、その為、油脂類の劣化が激しいだけでな
く、香味付けされた油脂を使用した場合には風味の変質
及び風味成分が揮発し風味が弱まる問題があった。更に
乳化物を噴霧乾燥した粉末/顆粒状油脂であるため、湯
に溶解した際に油脂が湯と乳化し、飲食した際に油脂の
コク味が感じにくい問題があった。
【0003】上記の問題を解決するため、特開昭64−
27430号公報では、油脂、油脂包含用基材、ポリオ
ールを混合攪拌する事により顆粒状油脂を製造する方法
が提案されている。特開平10−095992号公報で
は、澱粉加水分解物を顆粒化した後、油脂融点以上の温
度域で吸油させ粉末油脂を製造する方法が提案されてい
る。また、特開平7−284380号公報では、顆粒状
含油食品の製造法として、固形脂と油脂以外の食品素材
及び澱粉分解物を固形脂の融点以上の温度域で加熱混合
した後、固形脂の融点以下の温度に冷却する方法により
顆粒状含油食品を製造する方法が提案されている。 し
かしながら、これらの方法では、充分に油脂分を高める
事が出来なかった。したがって、顆粒状/粉末状インス
タントスープ等に油脂のコク味、風味を付与するために
は、上記の顆粒状油脂を多量に添加する必要が生じ、コ
スト上昇に繋がり汎用性に問題があった。
【0004】一方、油脂含量が高い含油顆粒状組成物の
製法として、食物繊維に油脂を含浸させる方法が開示さ
れている。(特公昭41−7422号公報、特開昭61
−15648号公報、特開平7−278586号公報、
特開平8−134493号公報)。しかし、開示された
特許明細書中には、得られる顆粒状組成物の物理性状へ
の言及はない。含油顆粒状組成物を工業的に食品に利用
する場合、高密度でつぶれ難く、流動性が高いという物
理性状が求められる。それは、今日の食品工業において
は機械化が進んでおり、顆粒状組成物を食品に添加する
際、あるいは顆粒状組成物を容器に充填する際に、機械
の目詰まり等の諸問題を防ぐ必要があるからである。油
脂含量が十分に高く、なおかつ、高密度で流動性の高い
含油顆粒状組成物を得るための技術は過去において存在
しない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、食品に利用
できる含油顆粒状組成物で、ブロッキング耐性に優れ、
油脂含量を高めることができ、湯に溶解した際に油滴が
湯表面に浮かび、溶解後の油脂の結晶化が遅く、食品工
業での利用に適した、かさ比重が高く、圧縮度が小さ
く、安息角が小さいという物理性状をもつ含油顆粒状組
成物およびその製造法を提供することを目的とした。
【0006】
【課題を解決する為の手段】本発明者らは、上記の課題
に対して鋭意検討を行った結果、本発明を完成するに至
った。即ち、本発明の第1は、食物繊維及び油脂を含む
含油顆粒状組成物であって、その食物繊維が繊維質で平
均繊維長が100μm以上である含油顆粒状組成物であ
る。第2は、上記食物繊維1に対する油脂の重量が1.
5〜12の範囲にある、第1記載の含油顆粒状組成物で
ある。第3は、上記含油顆粒状組成物全体に占める油脂
の含量が30〜75重量%の範囲にある、第1又は第2
記載の含油顆粒状組成物である。第4は、上記油脂が着
香してなる、第1乃至第3の何れか1に記載の含油顆粒
状組成物である。第5は、上記油脂の融点が55℃以下
である、第1乃至第4の何れか1に記載の含油顆粒状組
成物である。第6は、上記食物繊維が小麦由来のもので
ある、第1乃至第5の何れか1に記載の含油顆粒状組成
物である。第7は、食物繊維及び油脂を使用し、その食
物繊維が繊維質で平均繊維長が100μm以上であっ
て、攪拌羽根のほかに解砕羽根を備えた攪拌造粒機を用
いた乾式攪拌造粒することを特徴とする、第1乃至第6
の何れか1に記載の含油顆粒状組成物の製造法である。
第8は、造粒後に、吸油能力が自重の0.5倍以上の吸
油性素材を含油顆粒状組成物1重量部に対し0.5重量
部以下使用し、再度、乾式攪拌造粒する、第7記載の含
油顆粒状組成物の製造法である。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明において、食物繊維は繊維
質であり、各繊維の平均繊維長は100μm以上のもの
が必要であり、150μm以上のものはより好ましい。
また平均繊維長が100μm以上でかつ吸油能力が自重
の5倍以上の食物繊維がより好ましい。平均繊維長が1
00μm未満の場合は、造粒中の油脂の染み出しが著し
く、使用することが出来ない。また、食物繊維の起源と
しては、小麦、大豆、トウモロコシ、パルプ等が例示で
き、小麦が好ましい。上述の条件を満たす市販の食物繊
維として、レッテンマイヤー社「ビタセルWF200」
(小麦由来)が例示できる。平均繊維長とは、食物繊維
を含む吸油性素材に存在する繊維の長さの平均値を指
す。各吸油性素材を構成する最小単位の寸法(線状の繊
維質素材や棒状の多孔質素材などのように構成単位の形
状が縦長の場合は、長さと太さ、板状の多孔質素材のよ
うに構成単位の形状が正方形に近い場合は、一辺の長
さ)の平均値は、以下のように定義する。各吸油性素材
を、その構成する最小単位(粒子または繊維)が判別で
きるまで顕微鏡で拡大し、観察された最小構成単位のう
ち代表的なものを10点選び出し、それぞれについて、
その形状が縦長の場合は長さと太さを、その形状が正方
形に近い場合は一辺の長さを測定し、10点の平均値を
算出し、その数値を、太さの平均値、長さの平均値、一
辺の長さの平均値と定義する。
【0008】本発明の製造法において、食物繊維が油脂
の存在下で水の添加を必要としない乾式攪拌造粒により
容易に顆粒化できる。本発明の乾式攪拌造粒は、攪拌羽
根のほかに、解砕羽根を備えた攪拌造粒機により行われ
ることが好ましい。攪拌羽根は主軸とも呼ばれる。解砕
羽根は造粒軸あるいは副軸とも呼ばれる。攪拌羽根と解
砕羽根を備えた攪拌造粒機では、攪拌羽根による転動圧
密作用と、解砕羽根による解砕整粒作用とが同時に作用
するため、各粒子は転動圧密作用による高密度化と、解
砕整粒作用による細粒化とを繰り返し受け、粒径が均一
で高比重の顆粒が得られる(造粒ハンドブック、日本粉
体工業技術協会編、オーム社刊、p379〜389)。
また、転動圧密作用を強く受けているので、顆粒表面が
平滑になり流動性も高くなる。ここで、顆粒状組成物の
「高密度で流動性が高い」状態は、具体的には次の指標
で表現できる。すなわち、かさ比重が高く、圧縮度が小
さく、安息角が小さい顆粒状組成物が、「高密度で流動
性が高い」顆粒状組成物である。望ましい物性として
は、かさ比重が0.40g/ml以上、圧縮度が22%以
下、安息角が49度以下である。
【0009】プラネタリー型の万能攪拌混合機などのよ
うに攪拌羽根のみのものも広義には攪拌造粒機に含まれ
る(造粒ハンドブック、日本粉体工業技術協会編、オー
ム社刊、p379〜389)。しかし、そのような単純
な混合機では、解砕羽根が無いので粗大な粒子の解砕が
起こらないため、各粒子に転動圧密作用が繰り返し作用
しない。このため、本発明が目的とする、高密度で流動
性が高い含油顆粒状組成物を得ることが困難である。攪
拌羽根と解砕羽根とを備えた攪拌造粒機としては、株式
会社奈良機械製作所製「ヘビーデューティ―タイプグラ
ニュレーター」や「ファーマタイプグラニュレータ
ー」、株式会社パウレック社製「バーティカルグラニュ
レーター」、株式会社セイシン企業社製「ニューグラマ
シーン」、深江工業株式会社製「ハイスピードミキサ
ー」、不二パウダル株式会社製「グラル」等が挙げられ
る。攪拌羽根と解砕羽根を備えた攪拌造粒機を用いた場
合、攪拌羽根のみをもつ攪拌機を用いた場合に比べ、造
粒物により強いエネルギーが与えられる。このため、食
物繊維としては先述の条件を満たす食物繊維が必須であ
る。また、本発明の乾式攪拌造粒によれば、比較的短時
間で造粒が完了でき、しかも水分を乾燥させる工程が必
要無い。このため、着香させた油脂を含む顆粒状組成物
を作成する場合には、香りの損失が最小限に抑えられる
という利点を有する。乾式攪拌造粒において、攪拌混合
する際の温度は造粒中に油脂が結晶化しない温度に保つ
ことが好ましい。
【0010】本発明において、繊維質で各繊維の平均繊
維長が100μm以上の食物繊維1に対する油脂の重量
は1.5〜12の範囲の範囲であることが好ましく、1.
5〜6の範囲であることがより好ましく、1.5〜3.0
の範囲であることが更に好ましい。食物繊維1に対する
油脂の重量が1.5よりも小さい場合は、油脂に対して
食物繊維が多く存在するために含油顆粒状組成物の高密
度化が進まず、比重が低く流動性の悪い含油顆粒状組成
物となる。食物繊維1に対する油脂の重量が12よりも
大きい場合は、造粒時の強い攪拌に耐えられず造粒中に
ペースト状になり造粒は困難である。
【0011】本発明において、含油顆粒状組成物の油脂
分は30〜75重量%、好ましくは40〜75重量%、
より好ましくは50〜70重量%であることが好まし
い。30重量%未満の場合は、油脂の風味、コク味が少
ない顆粒状組成物となる。75重量%を超える場合は、
ブロッキング耐性が劣り、流通、保存時にブロッキング
を生じる。
【0012】本発明で使用する油脂は、油脂の融点が5
5℃以下の油脂が好ましく、20〜55℃が更に好まし
く、30〜55℃が最も好ましい。油脂の融点が20℃
より低い油脂を使用した場合は、得られた含油顆粒状組
成物は20℃以上の雰囲気下に保存した場合、圧縮度が
低くなる。即ち、荷重がかかるとつぶれやすいものとな
る。55℃より高い油脂を使用した場合は、溶解後の結
晶化が速く口中で結晶化が起こりやすく飲食しづらくな
る。本発明で使用する油脂は、食品に使用できる動植物
油脂ならば制限を受けず、例を挙げると、パーム油、パ
ーム核油、ヤシ油、ヒマワリ油、大豆油、なたね油、コ
ーン油、ごま油、ピーナッツ油、カカオ脂、サル脂、シ
ア脂、豚脂、牛脂、魚油等の中から1種以上を用いた油
脂、及びこれらを分別、硬化、エステル交換等を施した
加工油脂、並びにこれらのものを組み合わせた油脂を挙
げることができる。また、油脂が、食品に使用できる油
溶性成分を含んでも良い。油溶性成分の例を挙げると、
油溶性香料、乳化剤等、及びそれらと油脂の混合物を挙
げることができる。
【0013】本発明の含油顆粒状組成物で使用する油脂
は、香味付けされることができ、香味付け方法として乳
脂、豚脂、牛脂、魚油、ごま油、しそ油、ピーナッツ
油、ヤシ油等の特有の風味をもつ油脂、或いは油溶性香
料を適宜配合する事により香味付けしても良く、風味を
より強化させるために本発明に使用する油脂と米糠、粉
乳、葱、ごま等の固形風味物質と加熱混合後、不溶物を
除去した香味油脂を使用しても良い。更に、食用であり
粉末状或いは顆粒状の動植物エキス、香料、アミノ酸、
核酸、イノシン酸、有機酸類等が配合された調味剤を造
粒前または後に配合しても良い。
【0014】本発明では、含油顆粒状組成物のかさ比重
と流動性をより向上させる目的で、造粒後に吸油能力が
自重の0.5倍以上の吸油性素材を含油顆粒状組成物1
重量部に対し0.5重量部以下配合し、再度、攪拌造粒
を行うことも出来る。しかし、0.5重量部を超えて配
合すると、顆粒状組成物の油脂分が低下するだけではな
く、製造に要する時間が長くなり生産性が低下する。上
記操作により、含油顆粒状組成物のかさ比重と流動性と
が向上する理由は次のように考えられる。すなわち、造
粒後に追加された吸油性素材が顆粒表面を覆うことによ
り食物繊維の毛羽立ちが抑えられ顆粒表面が平滑になる
ために、かさ比重が上昇し、流動性が増すと考えられ
る。
【0015】上記の吸油性素材は、食品に利用できるも
のであれば、特に制限を受けない。例えば、食物繊維や
馬鈴薯、タピオカ、トウモロコシ、小麦、米等の澱粉或
いは、それらのα化澱粉等の加工澱粉、更にそのオクテ
ニルコハク酸化、リン酸化等の化工澱粉、及びそれらの
加水分解物が挙げられる。また、使用される吸油性素材
の吸油能力は、自重の0.5倍以上、好ましくは1倍以
上、より好ましくは2倍以上の吸油能力を有する吸油性
素材であることが好ましい。吸油能力が、自重の0.5
倍未満の場合は、含油顆粒状組成物の耐熱性を向上させ
る効果が低下し、ブロッキングが生じ易くなる。吸油性
素材の市場品としては、レッテンマイヤー社製「ビタセ
ルWF200」、「ビタセルWF600」、「ビタセルWF6
00/30」、日澱化学株式会社製「オイルQNo.5
0」及び「オイルQ−S」、松谷化学工業株式会社製
「パインフロー」等が例示できる。
【0016】本発明の含油顆粒状組成物を攪拌造粒する
際の攪拌速度は機種、スケールにより異なり、適宜、使
用される目的に応じて含油顆粒状組成物の粒径が調節さ
れる。必要に応じ分級を行なったものを製品とする。例
えば、顆粒状インスタントスープに使用される際には、
平均粒径が、0.1〜3mmであることが好ましい。
【0017】
【実施例】以下に本発明の実施例を示し本発明をより詳
細に説明するが、本発明の精神は以下の実施例に限定さ
れるものではない。なお、例中、%及び部は重量基準を
意味する。以下において、結晶化テスト、ブロッキング
テスト及び含油顆粒状組成物の物理的性質(かさ比重、
圧縮度、安息角)の測定は次のように行った。 (結晶化テスト)結晶化テストは、95℃の湯400m
lに各含油顆粒状組成物4gを溶解し、室温にて放冷
し、30分後に湯表面での油脂の結晶化の有無について
目視で確認した。 ○:油滴は湯表面に存在し、結晶析出も認められない。 ×:油滴は湯表面に存在するが、湯の表面に油脂結晶が
析出し、白い固形脂が浮遊している。 (ブロッキングテスト)各含油顆粒状組成物20gをガ
ラス製100ml容ビーカーに入れ、60℃、30分間
静置、次に20℃で4時間冷却した後、ブロッキング状
態及び流動性を目視にて確認した。 ◎:油脂の分離なく、ブロッキングも認められない。 ○:油脂の分離なく、製品上問題無い程度に、僅かにブ
ロッキングが認められるが、軽い振盪でブロッキングが
崩れ、流動性を回復する。 ×:油脂の分離が認められ、ブロッキングが生じ、強く
振盪してもブロッキング状態であり、流動性が回復しな
い。 (顆粒の物理的性質の測定)ホソカワミクロン株式会社
製「パウダテスタ」により規定の手順に従い測定した。
測定は3回行い、その平均値を測定値とした。測定は、
各実験において8メッシュ篩を通過したものに対して行
った。測定は、ブロッキングテストと結晶化テストのい
ずれかにおいて、×の評価であった顆粒に対しては行わ
なかった。物理的性質(かさ比重、圧縮度、安息角)の
測定。望ましい物性としては、かさ比重が0.40g/ml
以上、圧縮度が22%以下、安息角が49度以下であ
る。
【0018】<食物繊維を含む吸油性素材の比較実験例
>「ビタセルWF200」及び「ビタセルWF600」はレ
ッテンマイヤー社製で小麦繊維、「オイルQS」は日澱
化学株式会社製でオクテニルコハク酸化タピオカ澱粉分
解物、「セルファー#200」は日本食品化工株式会社製
でトウモロコシ繊維、「アビセルFD101」はジェイティ
ーフーズ株式会社製でパルプ繊維由来の結晶セルロース
である。下記の方法に従い、各種吸油性素材の吸油能力
を測定し顕微鏡による観察を行った。結果を表1に示
す。 (吸油能力の測定)105℃で5時間乾燥させた各吸油
性素材2gを過剰量の精製菜種油中に浸漬させたのち、
ろ紙(東洋ろ紙株式会社製、No2)で自然ろ過した。8
時間後、ろ紙上の残渣の重量を測定し、吸油性素材1g
あたりの油脂分保持量(g)を算出し、吸油能力(g/g)
とした。 (食物繊維を含む吸油性素材の観察)走査型レーザー顕
微鏡1LM21(レーザーテック株式会社製)を用いて、
各吸油性素材を観察し粒子の寸法を測定した。各々の吸
油性素材について、同顕微鏡において倍率20倍の対物
レンズを用いて拡大画像を得た。このとき、モニター上
での拡大倍率は410倍であった。画像中に観察された
最小構成単位のうち代表的な10点を選び出し、それぞ
れについて、線状の繊維質素材や棒状の多孔質素材など
のように最小構成単位の形状が縦長の場合は長さと太さ
を、板状の多孔質素材のように最小構成単位の形状が正
方形に近い場合は一辺の長さを測定し、10点の平均値
を算出した。こうして、各吸油性素材を構成する最小単
位の、太さの平均値と長さの平均値、あるいは、一辺の
長さの平均値を求めた。
【0019】
【表1】 顕微鏡観察の結果、吸油のメカニズムは次のように推定
した。「ビタセルWF200」及び「ビタセルWF600」
は、セルロース繊維またはヘミセルロース繊維の集合体
であり、繊維間に出来る網目構造中に油が保持される。
オイルQS・セルファー・アビセルはいずれも多孔質を
持つ粒子からなり、各粒子の微細な孔に油が保持され
る。
【0020】実施例1 株式会社奈良機械製作所製の高速攪拌造粒機「ヘビーデ
ューティータイプNMG-10L」内に、食物繊維として
ビタセルWF200を34部入れ、醤油風味に着香したラー
ド45部とパーム硬化油18部とを混合し50℃で融解
させたこれらの油脂を添加し、攪拌羽根回転数150rp
m解砕羽根回転数3000rpmで7分間攪拌したのち、オ
イルQS(日澱化学株式会社製)を3部加え、同回転数で
さらに2分間攪拌した。攪拌後、8メッシュの篩を通過
する顆粒を回収し、含油顆粒状組成物を得た。得られた
含油顆粒状組成物において、調合後の油脂の融点は43
℃、食物繊維に対する油脂の重量比が1.9、組成物全
体に占める油脂の含量は63重量%であった。得られた
含油顆粒状組成物の結晶化テストの評価は○、ブロッキ
ングテストの評価は○で良好な結果であった。機械から
排出された顆粒のうちで8メッシュのふるいを通過でき
たものの割合(収率)は97%であった。かさ比重は
0.47g/ml、圧縮度は17%、安息角は43度であっ
た。
【0021】比較例1 食物繊維としてビタセルWF200に代えてビタセルWF600を
34部用いたほかは実施例1と同様の手順で含油顆粒状
組成物の調製を試みた。しかし、攪拌1分後には粥状と
なり、顆粒状にはならなかった。実施例1と比較例1か
ら、繊維状の食物繊維でも平均繊維長が100μmに満
たない場合、目的とする含油顆粒状組成物ができないこ
とがわかる。
【0022】比較例2 株式会社愛工舎製作所製の万能攪拌混合機「ケンミック
スミキサー」のボウル内に、食物繊維としてビタセルWF
200を34部入れ、醤油風味に着香したラード45部と
パーム硬化油18部とを混合し50℃で融解させたこれ
ら油脂を添加し、ビーター回転数150rpm7分間攪拌
したのち、オイルQSを3部加え、同回転数でさらに2分
間攪拌した。攪拌後、実施例1と同様に篩がけし、含油
顆粒状組成物を得た。得られた含油顆粒状組成物におい
て、調合後の油脂の融点は43℃、食物繊維に対する油
脂の重量比が1.9、組成物全体に占める油脂の含量は
63重量%であった。得られた含油顆粒状組成物の結晶
化テストの評価は○、ブロッキングテストの評価は○で
良好な結果であった。得られた組成物の収率は82%、
かさ比重は0.39g/ml、圧縮度は29%、安息角は5
0度であった。実施例1と比較例2から、攪拌羽根と解
砕羽根とを持つ攪拌造粒機による乾式攪拌造粒で得られ
た含油顆粒状組成物は、万能型攪拌混合機による乾式攪
拌造粒で得られた含油顆粒状組成物に比べて、収率が高
く、かさ比重が大きく、圧縮度が小さく、安息角が小さ
いことがわかる。すなわち、望ましい物性の含油顆粒状
組成物を効率良く得るには、攪拌羽根と解砕羽根とを持
つ攪拌造粒機による乾式攪拌造粒が有効である。
【0023】実施例2 株式会社奈良機械製作所製の高速攪拌造粒機「ヘビーデ
ューティータイプNMG-10L」内に、食物繊維として
ビタセルWF200を37部入れ、ゴマ風味に着香したラー
ド45部とパーム硬化油18部とを混合し50℃で融解
させたこれらの油脂を添加し、攪拌羽根回転数150rp
m解砕羽根回転数3000rpmで7分間攪拌させた。攪拌
後、8メッシュの篩を通過する顆粒を回収した。こうし
て含油顆粒状組成物を得た。得られた含油顆粒状組成物
において、調合後の油脂の融点は43℃、食物繊維に対
する油脂の重量比が1.7、組成物全体に占める油脂の
含量は63重量%であった。得られた含油顆粒状組成物
の結晶化テストの評価は○、ブロッキングテストの評価
は○で良好な結果であった。機械から排出された顆粒の
うちで8メッシュのふるいを通過できたものの割合(収
率)は95%であった。かさ比重は0.42g/ml、圧縮
度は19%、安息角は47度であった。実施例1と実施
例2から、造粒後に吸油性粉末を添加し再度攪拌した場
合、しない場合に比べてより比重が高く、より圧縮度が
小さく、より安息角の小さい含油顆粒状組成物が得られ
る。
【0024】実施例3 株式会社奈良機械製作所製の高速攪拌造粒機「ヘビーデ
ューティータイプNMG-10L」内に、吸油性素材とし
てビタセルWF20025部/オイルQS9部の混合粉体を入
れ、豚骨風味に着香したラード45部とパーム硬化油1
8部とを混合し50℃で融解させたこれらの油脂を添加
し、攪拌羽根回転数150rpm解砕羽根回転数3000r
pmで7分間攪拌したのち、オイルQSを3部加え、同回転
数でさらに2分間攪拌した。攪拌後、8メッシュの篩を
通過する顆粒を回収し、含油顆粒状組成物を得た。得ら
れた含油顆粒状組成物において、調合後の油脂の融点は
43℃、食物繊維に対する油脂の重量比が2.5、組成
物全体に占める油脂の含量は63重量%であった。得ら
れた含油顆粒状組成物の結晶化テストの評価は○、ブロ
ッキングテストの評価は○で良好な結果であった。機械
から排出された顆粒のうちで8メッシュのふるいを通過
できたものの割合(収率)は94%であった。かさ比重
は0.46g/ml、圧縮度は17%、安息角は44度であ
った。実施例3に示すように、平均繊維長が100μm
以上の繊維長をもつ食物繊維と他の素材とを併用して用
いることも可能である。
【0025】比較例3 吸油性素材としてビタセルWF200に代えてオイルQSを3
4部用いたほかは実施例1と同様の手順で含油顆粒状組
成物の調製を試みた。しかし、攪拌1分後にはシャーベ
ット状となり、顆粒状にはならなかった。
【0026】比較例4 食物繊維としてビタセルWF200に代えてアビセルFD10
1を34部用いたほかは実施例1と同様の手順で含油顆
粒状組成物の調製を試みた。しかし、攪拌1分後には粥
状となり、顆粒状にはならなかった。比較例4から、食
物繊維として多孔質で平均繊維長が100μm以下のも
のは単独では利用できないことがわかる。
【0027】比較例5 食物繊維としてビタセルWF200に代えてセルファー#200
を34部用いたほかは実施例1と同様の手順で含油顆粒
状組成物の調製を試みた。しかし、攪拌1分後には粥状
となり、顆粒状にはならなかった。比較例5から、食物
繊維として多孔質で平均繊維長が100μm以上のもの
は単独では利用できないことがわかる。
【0028】比較例6 株式会社奈良機械製作所製の高速攪拌造粒機「ヘビーデ
ューティータイプNMG-10L」内に、吸油性素材とし
てビタセルWF200を5部とオイルQS29部とを入れ、醤
油風味に着香したラード45部とパーム硬化油18部と
を混合し50℃で融解させたこれらの油脂を添加し、攪
拌羽根回転数150rpm解砕羽根回転数3000rpmで造
粒を試みた。しかし、攪拌1分後にはペースト状にな
り、顆粒状にはならなかった。このとき、調合後の油脂
の融点は43℃、食物繊維に対する油脂の重量比が1
2.6、組成物全体に占める油脂の含量は65重量%で
あった。比較例6から、繊維質で平均繊維長が100μ
m以上の食物繊維を使用した場合でも、食物繊維に対す
る油脂の重量比が12を超える場合は、造粒時にペース
ト状になり顆粒状のものは得られないことが判る。
【0029】比較例7 実施例1で用いた油脂をパーム極度硬化油に代えて、6
5℃で溶解させたパーム極度硬化油を63部用い、攪拌
機内を65℃に保ったほかは実施例1と同様の手順で含
油顆粒状組成物を得た。このとき、油脂の融点は59
℃、小麦繊維に対する油脂の重量比が1.9、組成物全
体に占める油脂の含量は63重量%であった。得られた
組成物のブロッキングテスト評価は◎であったが、結晶
化テスト評価は×であり、湯の表面に油脂結晶が析出
し、白い固形脂が浮遊した。比較例7から、油脂融点が
55℃よりも高い場合、得られた組成物を湯に溶解させ
た際に、結晶の析出が起こりやすいことが判る。
【0030】比較例8 株式会社奈良機械製作所製の高速攪拌造粒機「ヘビーデ
ューティータイプNMG-10L」内に、食物繊維として
ビタセルWF200を34部入れ、醤油風味に着香したラー
ド45部とパーム硬化油35部とを混合し50℃で融解
させたこれらの油脂を添加し、攪拌羽根回転数150rp
m解砕羽根回転数3000rpmで7分間攪拌したのち、オ
イルQS(日澱化学株式会社製)を3部加え、同回転数で
さらに2分間攪拌した。攪拌後、8メッシュの篩を通過
する顆粒を回収し、含油顆粒状組成物を得た。得られた
含油顆粒状組成物において、油脂の融点は45℃、食物
繊維に対する油脂の重量比が2.4、組成物全体に占め
る油脂の含量は80重量%であった。得られた組成物の
結晶化テスト評価は○であったが、ブロッキングテスト
評価は×であり、ブロッキングが見られた。比較例8か
ら、含油顆粒状組成物全体に占める油脂の含量が75%
よりも大きいとき、ブロッキングが起こりやすいことが
判る。
【0031】
【発明の効果】本発明により、食品に利用できる含油顆
粒状組成物で、油脂として着香油を用いた場合の風味に
は劣化が少なく、ブロッキング耐性に優れ、油脂含量が
高く、湯に溶解した際に油滴が湯表面に浮かび、溶解後
の油脂の結晶化が遅く、食品工業での利用に適した物理
性状をもつ含油顆粒状組成物およびその製造法を提供す
ることが可能になったのである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 駒井 秀紀 大阪府泉佐野市住吉町1番地 不二製油株 式会社阪南事業所内 (72)発明者 伊吹 昌久 大阪府泉佐野市住吉町1番地 不二製油株 式会社阪南事業所内 Fターム(参考) 4B026 DC06 DL03 DX08

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】食物繊維及び油脂を含む含油顆粒状組成物
    であって、その食物繊維が繊維質で平均繊維長が100
    μm以上である含油顆粒状組成物。
  2. 【請求項2】上記食物繊維1に対する油脂の重量が1.
    5〜12の範囲にある、請求項1記載の含油顆粒状組成
    物。
  3. 【請求項3】上記含油顆粒状組成物全体に占める油脂の
    含量が30〜75重量%の範囲にある、請求項1又は請
    求項2記載の含油顆粒状組成物。
  4. 【請求項4】上記油脂が着香してなる、請求項1乃至請
    求項3の何れか1項に記載の含油顆粒状組成物。
  5. 【請求項5】上記油脂の融点が55℃以下である、請求
    項1乃至請求項4の何れか1項に記載の含油顆粒状組成
    物。
  6. 【請求項6】上記食物繊維が小麦由来のものである、請
    求項1乃至請求項5の何れか1項に記載の含油顆粒状組
    成物。
  7. 【請求項7】食物繊維及び油脂を使用し、その食物繊維
    が繊維質で平均繊維長が100μm以上であって、攪拌
    羽根のほかに解砕羽根を備えた攪拌造粒機を用いた乾式
    攪拌造粒することを特徴とする、請求項1乃至請求項6
    の何れか1項に記載の含油顆粒状組成物の製造法。
  8. 【請求項8】造粒後に、吸油能力が自重の0.5倍以上
    の吸油性素材を含油顆粒状組成物1重量部に対し0.5
    重量部以下使用し、再度、乾式攪拌造粒する、請求項7
    記載の含油顆粒状組成物の製造法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014212731A (ja) * 2013-04-25 2014-11-17 上野製薬株式会社 粉末状油脂
JP2016036336A (ja) * 2014-08-08 2016-03-22 靖幸 山田 革新澱粉脂質
JP2019208473A (ja) * 2018-06-08 2019-12-12 ミヨシ油脂株式会社 粉末油脂とそれを用いた飲食品

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JP7190824B2 (ja) 2018-06-08 2022-12-16 ミヨシ油脂株式会社 粉末油脂とそれを用いた飲食品

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