JP2003113325A - 高分子ゲル組成物、樹脂組成物、及び光学素子 - Google Patents

高分子ゲル組成物、樹脂組成物、及び光学素子

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JP2003113325A
JP2003113325A JP2001306001A JP2001306001A JP2003113325A JP 2003113325 A JP2003113325 A JP 2003113325A JP 2001306001 A JP2001306001 A JP 2001306001A JP 2001306001 A JP2001306001 A JP 2001306001A JP 2003113325 A JP2003113325 A JP 2003113325A
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polymer gel
optical element
polymer
light control
gel composition
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JP2001306001A
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English (en)
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Rie Ishii
理恵 石井
Akimasa Komura
晃雅 小村
Shoichiro Fujiwara
将一郎 藤原
Masahiro Moriyama
正洋 森山
Masato Mikami
正人 三上
Kazushirou Akashi
量磁郎 明石
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Fujifilm Business Innovation Corp
Original Assignee
Fuji Xerox Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 界面活性剤、高分子、塩、イオン等を含む場
合、或いは、酸性、塩基性等の環境下においても、体積
変化特性(調光特性)が影響を受けない高分子ゲル組成
物、該高分子ゲル組成物を含む樹脂組成物、及びこれら
を用いた光学素子を提供する。 【解決手段】 膨潤液体と、分子内ケト−エノール互変
異性による溶媒和特性が温度変化に応じて変化すること
により、前記膨潤液体を吸収・放出して可逆的な体積変
化を生じる高分子ゲルと、を含み、該高分子ゲルの体積
変化により調光作用を示すことを特徴とする高分子ゲル
組成物、該高分子ゲル組成物を含む樹脂組成物、及びこ
れらを用いた光学素子等である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高分子ゲル組成
物、樹脂組成物及び光学素子に関し、より詳細には、調
光素子、表示素子、記録素子やセンサー等の光学素子の
材料として有用な、高温膨潤型の高分子ゲルを含む高分
子ゲル組成物、該高分子ゲル組成物を含む樹脂組成物、
及びこれらを用いた光学素子に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、pH、イオン濃度強度、化学
物質の吸脱着、溶媒の添加又は熱、光、電流もしくは電
界の付与等によって体積変化(膨潤、収縮)を起こす高
分子ゲル材料(以下、単に「刺激応答性高分子ゲル」と
称する場合がある)が知られており、その機能材料とし
ての応用が期待されている。これらの材料は、例えば、
「機能性高分子ゲル(シーエムシー出版)」に総説とし
て記載されている。この刺激応答性高分子ゲルの用途と
しては、ドラッグデリバリーシステム等の薬の担持体、
医療材料、インクの添加剤、機能膜、人工筋肉、表示素
子、記録素子、アクチュエータ、ポンプ等が検討されて
いる。
【0003】一般に、水や電解質等の液体中に存在する
刺激応答性高分子ゲルは、刺激を付与することにより相
転移等を起こし、ゲル内部への液体の吸収又は排出によ
って、体積、大きさ、形状を変化させることができる。
【0004】本発明者等は、これまでに、刺激応答性高
分子ゲルと、膨潤液体と、からなる高分子ゲル組成物
を、表示素子、記録素子、調光素子やセンサー等の光学
素子として用いる提案を行ってきた(特開平11−23
6559号公報、特開平11−228850号公報)。
【0005】また、高温で膨潤状態、低温で収縮状態と
なる、高温膨潤型の高分子ゲルを用いた自律応答の調光
ガラスやフィルムは、省エネ効果が高くなるであろうこ
とが期待されている。そこで、刺激応答性高分子ゲルの
中でも、少なくとも1つの水素結合性基を有し、温度変
化により水素結合性の変化や溶媒和の変化が起こる高温
膨潤型高分子ゲル(以下、単に「水素結合性基を有する
高分子ゲル」と称する場合がある)に着目し、気温に応
じて調光作用を示す省エネ調光、プライバシー調光ガラ
スやフィルム等の調光素子や熱応答性表示素子の材料と
して用いる提案を行っている。
【0006】しかしながら、水素結合性基を有する高分
子ゲルと、膨潤液体と、からなる高分子ゲル組成物を、
表示素子、記録素子、調光素子やセンサー等の光学素子
の材料として用いる際には、以下の事態を生じる場合が
あった。
【0007】即ち、水素結合性基を有する高分子ゲルを
含む液体中に、分散安定剤、防腐剤、抗菌剤、酸化防止
や紫外線吸収等の安定剤等を添加した場合に、高分子ゲ
ルの体積変化特性(調光特性)が低下する場合があっ
た。また、水素結合性基を有する高分子ゲルを、フィル
ムや合わせガラスに加工するために樹脂中に分散させる
と、体積変化特性(調光特性)が低下する場合があっ
た。このような、高分子ゲルにおける体積変化特性(調
光特性)の低下は、高分子ゲルの膨潤収縮の駆動となる
水素結合が、塩やイオン、界面活性剤や高分子、酸や塩
基等の添加に起因するpH環境等の変化によって阻害さ
れるためと考えられる。
【0008】また、従来、高温膨潤型高分子ゲルとして
は、互いに水素結合する高分子の相互侵入網目構造体
(IPN)や、互いに水素結合する高分子のブロック共
重合体以外には、感熱性形状記憶ゲル(特開平7−29
204号公報)、両性高分子ゲル(Osada et
al, Polymer, vol.41, p141
−147、2000)程度しか知られていない。その中
でも、充分な体積変化特性(調光特性)、及び繰り返し
可逆変化特性を示す高分子ゲルとしては、互いに水素結
合する高分子の相互侵入網目構造体(IPN)のみが挙
げられる。しかし、IPNは、界面活性剤、高分子、塩
やイオン、酸、塩基等、の添加により体積変化特性(調
光特性)が影響されるという性質を有している。
【0009】ところで、高分子ゲル組成物をフィルムや
合わせガラス等の製品に加工しようとする場合、界面活
性剤や高分子、塩やイオン、酸や塩基等の添加は、その
加工成形に通常必要であり、全く使用しないことは困難
である。一方で、高分子ゲル組成物をフィルムやガラス
に加工できなければ応用展開は望めない。従って、界面
活性剤等の添加によっても体積変化特性(調光特性)が
影響を受けない高温膨潤型高分子ゲルが切望されてい
た。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記従来に
おける諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課
題とする。即ち、本発明は、界面活性剤、高分子、塩、
イオン等を含む場合、或いは、酸性、塩基性等の環境下
においても、体積変化特性(調光特性)が影響を受けな
い高分子ゲル組成物、該高分子ゲル組成物を含む樹脂組
成物、及びこれらを用いた光学素子を提供することを目
的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
の手段は、以下の通りである。 <1> 膨潤液体と、分子内ケト−エノール互変異性に
よる溶媒和特性が温度変化に応じて変化することによ
り、前記膨潤液体を吸収・放出して可逆的な体積変化を
生じる高分子ゲルと、を含み、該高分子ゲルの体積変化
により調光作用を示すことを特徴とする高分子ゲル組成
物。
【0012】<2> 膨潤液体と、分子内ケト−エノー
ル互変異性による溶媒和特性が温度変化に応じて変化す
ることにより、前記膨潤液体を吸収・放出して可逆的な
体積変化を生じる高分子ゲルと、調光用材料と、を含む
ことを特徴とする高分子ゲル組成物である。
【0013】<3> 前記調光用材料が、色材又は光散
乱剤であり、かつ、前記高分子ゲルの膨潤時に飽和吸収
濃度以上又は飽和散乱濃度以上となるように含まれるこ
とを特徴とする前記<2>に記載の高分子ゲル組成物で
ある。
【0014】<4> 前記高分子ゲルが、下記一般式
(1)で表される少なくとも1種のモノマー成分と、ア
クリルアミド及びメタクリルアミドから選ばれる少なく
とも1種のモノマー成分と、を重合してなることを特徴
とする前記<1>〜<3>にのいずれかに記載の高分子
ゲル組成物である。
【0015】
【化2】
【0016】前記一般式(1)中、R1は水素原子又は
メチル基を表す。R2は水素原子、炭素数1〜10で直
鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基、炭素数1〜1
0で直鎖状、分岐状若しくは環状のアルコキシ基、炭素
数1〜10で直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキルア
ミノ基、アリール基、又は複素環基を表し、これらの基
は各々ハロゲン化されていてもよい。〕
【0017】<5> 前記<1>〜<4>のいずれかに
記載の高分子ゲル組成物と、樹脂と、を含むことを特徴
とする樹脂組成物である。
【0018】<6> 前記<1>〜<4>のいずれかに
記載の高分子ゲル組成物を含むことを特徴とする光学素
子である。
【0019】<7> 前記高分子ゲル組成物が、一対の
基材間に形成されてなることを特徴とする前記<6>に
記載の光学素子である。
【0020】<8> 前記<5>に記載の樹脂組成物を
含むことを特徴とする光学素子である。
【0021】<9> 前記樹脂組成物が、基材表面又は
一対の基材間に形成されてなることを特徴とする前記<
8>に記載の光学素子である。
【0022】<10> 前記樹脂組成物を、フィルム状
又は板状に成形してなることを特徴とする前記<8>に
記載の光学素子である。
【0023】本発明における高温膨潤型高分子ゲルは、
温度変化によりケト−エノール互変異性によって溶媒和
特性が異なることを駆動原理とする。即ち、低温時にお
いては、ケト体で分子内水素結合を形成し収縮状態とな
り、高温時においては、エノール体となり水素結合可能
な溶媒との溶媒和を示し膨潤状態を形成する。この分子
内ケト−エノール互変異性は、界面活性剤や高分子、塩
やイオン、酸や塩基等による影響を受けないため、本高
分子ゲル組成物の体積変化特性も、これらに影響を受け
ない。
【0024】なお、本発明者らは、ドラックデリバリー
システム、カテーテル、人工筋肉等への使用を目的とす
る、生理食塩水中でも上限溶液臨界温度(UCST)を
示す熱応答性高分子やハイドロゲル(特開平11−17
1928号公報、特開2000−86729号公報)中
に、特に優れた調光特性を示す高分子ゲルを見出すこと
により、全く異なる目的を有する本発明を完成するに至
ったものである。
【0025】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。 [高分子ゲル組成物]本発明の高分子ゲル組成物は、膨
潤液体と、分子内ケト−エノール互変異性による溶媒和
特性が温度変化に応じて変化することより、前記膨潤液
体を吸収・放出して可逆的な体積変化を生じる高分子ゲ
ルとを含み、該高分子ゲルの体積変化により調光作用を
示すことを特徴とする。また、本発明の高分子ゲル組成
物は、膨潤液体と、分子内ケト−エノール互変異性によ
る溶媒和特性が温度変化に応じて変化することにより、
前記膨潤液体を吸収・放出して可逆的な体積変化を生じ
る高分子ゲルと、調光用材料と、を含むことを特徴とす
る。
【0026】なお、本発明の高分子ゲル組成物が、調光
用材料を含まずともそれ自体が体積変化に伴い調光作用
を示すものであっても、より大きな調光特性や色変化を
発現させるという観点からは、調光用材料を含むことが
好ましい。
【0027】−高分子ゲル− 本発明における高分子ゲルは、分子内ケト−エノール互
変異性による溶媒和特性が温度変化に応じて変化するこ
とより、膨潤液体を吸収・放出して可逆的な体積変化を
生じ、かかる体積変化により調光作用を示す高分子ゲル
である。
【0028】本発明における高分子ゲルとしては、上記
の機構により調光作用を示す高分子ゲルであれば特に制
限されないが、下記一般式(1)で表される少なくとも
1種のモノマー成分と、アクリルアミド及びメタクリル
アミドから選ばれる少なくとも1種のモノマー成分と、
を重合してなるものが好ましい。
【0029】
【化3】
【0030】前記一般式(1)において、R1は水素原
子又はメチル基を表す。R2は水素原子、炭素数1〜1
0で直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基、炭素数
1〜10で直鎖状、分岐状若しくは環状のアルコキシ
基、炭素数1〜10で直鎖状、分岐状若しくは環状のア
ルキルアミノ基、アリール基、又は複素環基を表し、こ
れらの基は各々ハロゲン化されていてもよい。
【0031】前記一般式(1)で表されるモノマー成分
を更に具体的に説明する。前記R1は、水素原子又はメ
チル基を表す。前記R2は、水素原子、炭素数1〜10
で直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキル基、炭素数1
〜10で直鎖状、分岐状若しくは環状のアルコキシ基、
炭素数1〜10で直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキ
ルアミノ基、アリール基、又は複素環基を表す。これら
の中でも、炭素数1〜8で直鎖状、分岐状又は環状の、
アルキル基、アルコキシル基、アルキルアミノ基又はフ
ェニル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル
基、イソプロピル基、フェニル基、メトキシ基、エトキ
シ基、プロポキシル基、イソプロポキシル基、メチルア
ミノ基、エチルアミノ基がさらに好ましく、メチル基、
エトキシ基、メチルアミノ基が特に好ましい。さらに、
これらの基は、ハロゲン原子で置換されていてもよい。
該ハロゲン原子としては、例えばフッ素原子、臭素原
子、塩素原子、ヨウ素原子が挙げられ、フッ素原子、塩
素原子が特に好ましい。
【0032】前記一般式(1)で表されるモノマー成分
としては、例えば、N−アセチルアクリルアミド、N−
フルオロアセチルアクリルアミド、N−プロピオニルア
クリルアミド、N−ブタノイルアクリルアミド、N−ペ
ンタノイルアクリルアミド、N−ヘキサノイルアクリル
アミド、N−イソブタノイルアクリルアミド、N−ベン
ゾイルアクリルアミド、N−(3−フルオロベンゾイ
ル)アクリルアミド、N−(2,3−ジフルオロベンゾ
イル)アクリルアミド、N−ピリジルカルボニルアクリ
ルアミド、N−ピリミジルカルボニルアクリルアミド、
N−アセチルメタクリルアミド、N−フルオロアセチル
メタクリルアミド、N−プロピオニルメタクリルアミ
ド、N−ブタノイルメタクリルアミド、N−ペンタノイ
ルメタクリルアミド、N−ヘキサノイルメタクリルアミ
ド、N−イソブタノイルメタクリルアミド、N−ベンゾ
イルメタクリルアミド、N−(3−フルオロベンゾイ
ル)メタクリルアミド、N−(2,3−ジフルオロベン
ゾイル)メタクリルアミド、N−ピリジルカルボニルメ
タクリルアミド、N−ピリミジルカルボニルメタクリル
アミド、N−ホルミルアクリルアミド、N−ホルミルメ
タクリルアミド、N−アクロイル−N’−メチルウレ
ア、N−アクロイル−N’−エチルウレア、N−アクロ
イル−N’−フルオロメチルウレア、N−アクロイル−
N’−ジフルオロメチルウレア、N−アクロイル−N’
−トリフルオロメチルウレア、N−メタクロイル−N’
−メチルウレア、N−メタクロイル−N’−エチルウレ
ア、N−メタクロイル−N’−フルオロメチルウレア、
N−メタクロイル−N’−ジフルオロメチルウレア、N
−メタクロイル−N’−トリフルオロメチルウレア、N
−アクロイルカルバミン酸メチル、N−アクロイルカル
バミン酸エチル、N−アクロイルカルバミン酸−n−プ
ロピル、N−アクロイルカルバミン酸イソプロピル、N
−アクロイルカルバミン酸−n−ブチル、N−アクロイ
ルカルバミン酸イソブチル、N−アクロイルカルバミン
酸−t−ブチル、N−アクロイルカルバミン酸フルオロ
メチル、N−アクロイルカルバミン酸ジフルオロメチ
ル、N−アクロイルカルバミン酸トリフルオロメチル、
N−アクロイルカルバミン酸−2.2.2−トリフルオ
ロエチル、N−メタクロイルカルバミン酸メチル、N−
メタクロイルカルバミン酸エチル、N−メタクロイルカ
ルバミン酸−n−プロピル、N−メタクロイルカルバミ
ン酸イソプロピル、N−メタクロイルカルバミン酸−n
−ブチル、N−メタクロイルカルバミン酸イソブチル、
N−メタクロイルカルバミン酸−t−ブチル、N−メタ
クロイルカルバミン酸フルオロメチル、N−メタクロイ
ルカルバミン酸ジフルオロメチル、N−メタクロイルカ
ルバミン酸トリフルオロメチル、N−メタクロイルカル
バミン酸−2,2,2−トリフルオロエチル等が挙げら
れる。
【0033】前記一般式(1)で表されるモノマー成分
の仕込み比は、アクリルアミド及び/又はメタクリルア
ミドの総量に対して、0.1〜100重量%が好まし
く、1〜30重量%がより好ましく、5〜15重量%が
特に好ましい。
【0034】本発明の高分子ゲルは、更に必要に応じ
て、前記一般式(1)で表されるモノマー成分に対し
て、他のモノマー成分(アクリルアミド及びメタクリル
アミドを除く)を少なくとも1種共重合成分として含有
してもよい。前記他のモノマー成分としては、(メタ)
アクリル酸等や、(メタ)アクリル酸エステル、塩化ビ
ニル、塩化ビニリデン、スチレン等を挙げることができ
る。なお、本明細書において、”(メタ)アクリル”な
る記述は、”アクリル”及び”メタクリル”のいずれを
も含むことを意味するものである。
【0035】前記他のモノマー成分の仕込み比は、前記
一般式(1)で表されるモノマー成分と、アクリルアミ
ド及び/又はメタクリルアミドとの総量に対して、1〜
70重量%程度であることが好ましく、より好ましくは
3〜50重量%である。
【0036】本発明における高分子ゲルの形状は、特に
限定されないが、応答速度や加工性の容易性からは粒子
状であることが好ましい。粒子状としては、球体、立方
体、楕円体、多面体、多孔質体、繊維状、星状、針状、
中空状等のものが適用できる。
【0037】高分子ゲルの粒子の好ましい大きさは、乾
燥状態において平均粒径で0.1μm〜1mmの範囲が
好ましく、1μm〜500μmの範囲がより好ましい。
平均粒径が0.1μm未満であると、粒子のハンドリン
グが困難になる、優れた光学特性が得られない等の問題
を生じる。一方、平均粒径が1mmよりも大きくなる
と、体積変化に要する応答速度が大幅に遅くなってしま
うなどの問題を生じることがある。
【0038】また、高分子ゲルの粒子は、高分子ゲルを
物理的粉砕法によって粉砕する方法や架橋前の高分子を
物理的粉砕法や化学的粉砕法によって粒子化した後に架
橋してゲルとする方法、あるいは乳化重合法、懸濁重合
法、分散重合法等の粒子化重合法等の一般的な方法によ
って製造することができる。
【0039】なお、高分子を架橋させるためには、種々
の架橋剤(多官能性化合物)を重合時又は重合後に添加
し反応させる、あるいは高分子に電子線、γ線等の放射
線を照射する、加熱する、さらには過酸化物を添加する
などの一般的な方法が適用できる。
【0040】また、刺激応答による体積変化特性をより
高速にするために、従来技術と同様に高分子ゲルを多孔
質化して液体の出入りを向上させることも好ましい。多
孔質化は、一般に、膨潤した高分子ゲルを凍結乾燥する
方法により行なうことができる。
【0041】−調光用材料− 次に、本発明の高分子ゲル組成物における調光用材料に
ついて説明する。前記調光用材料としては、染料、顔料
等の色材、及び、光散乱材であることが好ましく、か
つ、前記高分子ゲルの膨潤時に、飽和吸収濃度以上又は
飽和散乱濃度以上となるように含まれることが好まし
い。また、前記調光用材料は、高分子ゲルに物理的又は
化学的に固定化されることが好ましい。
【0042】ここで、飽和吸収(又は散乱)濃度以上と
は、特定の光路長のもとにおける調光用材料濃度と光学
濃度(あるいは光吸収量)の関係が1次直線の関係から
大きく外れる領域のことを示す。高分子ゲル組成物が、
このような濃度の調光用材料を含むことで、高分子ゲル
の膨潤・収縮により光学濃度又は散乱を変化させること
ができる
【0043】本発明において使用可能な染料としては、
例えば、黒色のニグロシン系染料や赤、緑、青、シア
ン、マゼンタ、イエロー等のカラー染料であるアゾ染
料、アントラキノン系染料、インジゴ系染料、フタロシ
アニン系染料、カルボニウム染料、キノンイミン染料、
メチン染料、キノリン染料、ニトロ染料、ベンゾキノン
染料、ナフトキノン染料、ナフタルイミド染料、ベリノ
ン染料等が挙げられ、特に光吸収係数が高いものが望ま
しい。
【0044】前記染料の好適な具体例としては、例え
ば、C.I.ダイレクトイエロー1、8、11、12、
24、26、27、28、33、39、44、50、5
8、85、86、87、88、89、98、157;
C.I.アシッドイエロー1、3、7、11、17、1
9、23、25、29、38、44、79、127、1
44、245;C.I.ベイシックイエロー1、2、1
1、34;C.I.フードイエロー4;C.I.リアク
ティブイエロー37;C.I.ソルベントイエロー6、
9、17、31、35、100、102、103、10
5;C.I.ダイレクトレッド1、2、4、9、11、
13、17、20、23、24、28、31、33、3
7、39、44、46、62、63、75、79、8
0、81、83、84、89、95、99、113、1
97、201、218、220、224、225、22
6、227、228、229、230、231;C.
I.アシッドレッド1、6、8、9、13、14、1
8、26、27、35、37、42、52、82、8
5、87、89、92、97、106、111、11
4、115、118、134、158、186、24
9、254、289;C.I.ベイシックレッド1、
2、9、12、14、17、18、37;C.I.フー
ドレッド14;C.I.リアクティブレッド23、18
0;C.I.ソルベントレッド5、16、17、18、
19、22、23、143、145、146、149、
150、151、157、158;C.I.ダイレクト
ブルー1、2、6、15、22、25、41、71、7
6、78、86、87、90、98、163、165、
199、202;C.I.アシッドブルー1、7、9、
22、23、25、29、40、41、43、45、7
8、80、82、92、93、127、249;C.
I.ベイシックブルー1、3、5、7、9、22、2
4、25、26、28、29;C.I.フードブルー
2;C.I.ソルベントブルー22、63、78、83
〜86、191、194、195、104;C.I.ダ
イレクトブラック2、7、19、22、24、32、3
8、51、56、63、71、74、75、77、10
8、154、168、171;C.I.アシッドブラッ
ク1、2、7、24、26、29、31、44、48、
50、52、94;C.I.ベイシックブラック2、
8;C.I.フードブラック1、2;C.I.リアクテ
ィブブラック31;C.I.フードバイオレット2;
C.I.ソルベントバイオレット31、33、37;
C.I.ソルベントグリーン24、25;C.I.ソル
ベントブラウン3、9等が挙げられる。これらの染料
は、単独で使用してもよく、所望とする色を得るために
混合して使用してもよい。
【0045】また、染料を高分子ゲルに固定化するため
に、不飽和二重結合基等の重合可能な基を有した構造の
染料や、高分子ゲルと反応可能ないわゆる反応性染料等
が好ましく使用される。
【0046】本発明の高分子ゲル組成物中に含有させる
染料の濃度としては、3〜50重量%の範囲が好まし
く、5〜30重量%の範囲がより好ましい。染料濃度
は、少なくとも前記高分子ゲルの膨潤時において、飽和
吸収濃度以上であることが望ましい。
【0047】一方、本発明において使用可能な、顔料及
び光散乱材の好適な具体例としては、黒色顔料であるブ
ロンズ粉、チタンブラック、各種カーボンブラック(チ
ャネルブラック、ファーネスブラック等)、白色顔料で
ある酸化チタン、シリカ等の金属酸化物、炭酸カルシウ
ムや金属紛等の光散乱材やカラー顔料である例えば、フ
タロシアニン系のシアン顔料、ベンジジン系のイエロー
顔料、ローダミン系のマゼンタ顔料、あるいはこの他に
もアントラキノン系、アゾ系、アゾ金属錯体、フタロシ
アニン系、キナクリドン系、ペリレン系、インジゴ系、
イソインドリノン系、キナクリドン系、アリルアミド系
等の各種顔料や光散乱材を挙げることができる。
【0048】例えば、イエロー系顔料としては、縮合ア
ゾ化合物、イソインドリノン化合物、アンスラキノン化
合物、アゾ金属錯体、メチン化合物、アリルアミド化合
物に代表される化合物が用いられる。より詳細には、
C.I.ピグメントイエロー12、13、14、15、
17、62、74、83、93、94、95、109、
110、111、128、129、147、168等が
好適に用いられる。
【0049】また、マゼンタ系顔料としては、縮合アゾ
化合物、ジケトピロロピロール化合物、アンスラキノ
ン、キナクリドン化合物、レーキ顔料、ナフトール化合
物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物、
ペリレン化合物が用いられる。より詳細には、C.I.
ピグメントレッド2、3、5、6、7、23、48;
2、48;3、48;4、57;1、81;1、14
4、146、166、169、177、184、18
5、202、206、220、221、254が特に好
ましい。
【0050】シアン系顔料としては、銅フタロシアニン
化合物及びその誘導体、アンスラキノン化合物、塩基染
料レーキ化合物等が利用できる。具体的には、例えば顔
料としては、C.I.ピグメントブルー1、7、15、
15:1、15:2、15;3、15:4、60、6
2、66等が特に好適に利用できる。
【0051】また、前記顔料及び光散乱材の粒径は、1
次粒子の平均粒径で0.001μm〜1μmのものが好
ましく、特に0.01μm〜0.5μmのものが好まし
い。これは粒径が0.001μm未満では高分子ゲルか
らの流出が起こり易く、また、1μmを超えると発色特
性が悪くなる恐れがあるためである。
【0052】また、前記したように顔料や光散乱材は、
高分子ゲル中に含有され、高分子ゲルから流出しないこ
とが必要である。そのためには高分子ゲルの架橋密度を
最適化して顔料や光散乱材を高分子網目中に物理的に閉
じ込めること、高分子ゲルとの電気的、イオン的、その
他物理的な相互作用が高い顔料や光散乱材を用いるこ
と、表面を化学修飾した顔料や光散乱材を用いること等
が好ましい。具体的には、表面を化学修飾した顔料や光
散乱材としては、表面にビニル基等の不飽和基や不対電
子(ラジカル)等の高分子ゲルと化学結合する基を導入
したものや、高分子材料をグラフト結合したもの、表面
をマイクロカプセル化したもの等が挙げられる。
【0053】また、顔料や光散乱材は、高分子ゲル中に
含有され、かつ、高分子ゲル中に均一に分散されている
ことが特に好ましい。そのために、表面を化学修飾した
顔料や光散乱材等が特に好ましく用いられる。
【0054】高分子ゲル中に含有される顔料や光散乱材
の量は、前記染料と同様に、その膨潤時の高分子ゲル中
において、飽和吸収濃度以上(あるいは飽和光散乱濃度
以上)の濃度が好ましい。
【0055】なお、顔料や光散乱材の含有量を、飽和吸
収濃度以上(又は飽和光散乱濃度以上)にするために
は、顔料や光散乱材の光吸収係数や光散乱係数にも依存
するが、一般的には3重量%〜95重量%の範囲が好ま
しく、より好ましくは5重量%〜80重量%の範囲であ
る。顔料(あるいは光散乱材)の濃度が3重量%以下で
あると、飽和吸収濃度以上(あるいは飽和光散乱濃度以
上)とはならず高分子ゲルの体積変化にともなう調光特
性が得られない。一方、濃度が95重量%以上の場合は
高分子ゲルの応答速度や体積変化量が低下してしまう恐
れがある。
【0056】前記調光用材料を含む高分子ゲルは、架橋
前の高分子に調光用材料を均一に分散、混合した後に架
橋する方法や重合時に高分子前駆体モノマ組成物に調光
用材料を添加して重合する方法によって製造することが
できる。重合時において顔料や光散乱材を添加する場合
には前記したように重合性基や不対電子(ラジカル)を
もつ顔料や光散乱材を使用し、高分子ゲルに化学結合す
ることも好ましく実施される。
【0057】また、前記調光用材料は、既述の如く、高
分子ゲル中に極力均一に分散されていることが好まし
く、分散の方法としては、高分子への分散に際して、機
械的混練法、攪拌法やあるいは分散剤等を利用して均一
に分散させることが望ましい。
【0058】−膨潤液体− 次に、本発明の高分子ゲル組成物における膨潤液体につ
いて説明する。膨潤液体とは、刺激付与(温度変化)に
より高分子ゲルに吸脱する性質のものであり、高分子ゲ
ルを膨潤可能とするものである。さらに、本発明の膨潤
液体の凝固点としては、凝固を防ぐという観点から、−
10℃以下であることが好ましい。
【0059】膨潤液体としては、例えば、水、水溶性の
有機化合物、及びこれらの混合物が好ましい。前記水溶
性の有機化合物としては、アルコール、ケトン、エーテ
ル、エステル、アミドや、これらの官能基を繰り返し単
位中に含む高分子等が挙げられる。具体的には、メタノ
ール、エタノール、プロパノール、ブタノール、エチレ
ングリコール、プロピレングリコール、及びエチレング
リコールモノエチルエーテル等のアルコール類;アセト
ン及びメチルエチルケトン等のケトン類、THF、1,
4−ジオキサン、ジエチルエーテル、及びエチレングリ
コールジエチルエーテル等のエーテル類、酢酸エチル等
のエステル類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセト
アミド、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、及び
尿素等が挙げられる。また、ポリビニルアルコール、ポ
リ(メタ)アクリルアミド及びその誘導体、ポリビニル
ピロリドン、ポリエチレンオキシド、並びにこれら高分
子を含む共重合体を用いることも好ましい。これらの中
でも、特に、メタノール、エタノール、プロパノール、
ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコー
ル、エチレングリコールモノエチルエーテル等のアルコ
ール類、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド
等が好ましい。
【0060】膨潤液体としては、凝固点降下の観点か
ら、有機化合物の中でも、メタノール、エタノール、プ
ロパノール、ブタノール、エチレングリコール、プロピ
レングリコール、エチレングリコールモノエチルエーテ
ル等のアルコール類の添加が好ましい。さらに、これら
アルコール類の添加量が10重量%以上であることが好
ましい。具体的には、膨潤液体としてエチレングリコー
ル30重量%水溶液を用いると−15℃まで不凍であ
り、通常の気温条件下で膨潤液体が凝固せず、膨潤液体
の凝固による高分子ゲルの体積変化の繰り返し特性の劣
化が起こらないと考えられる。
【0061】また、膨潤液体には、必要に応じて塩、ア
ルカリ、界面活性剤、分散安定剤、防腐剤、抗菌剤、酸
化防止や紫外線吸収等を目的とした安定剤等の各種添加
剤を添加しても構わない。本発明の高分子ゲル組成物に
おいては、高分子ゲルと液体との好ましい混合比の範囲
は、質量比で1:2000〜1:1(高分子ゲル:液
体)である。
【0062】[樹脂組成物]以上説明した本発明の高分
子ゲル組成物は、そのままで光学素子に適用することも
できるが、さらに樹脂を含む樹脂組成物とすることも好
適である。該樹脂組成物としては、本発明の高分子ゲル
組成物を樹脂中に分散したもの、又は高分子膜でカプセ
ル化したマイクロカプセル等が挙げられる。このように
樹脂組成物とすることで、高分子ゲル組成物の利用形態
を拡大することができる。
【0063】樹脂中に本発明の高分子ゲル組成物を分散
させた樹脂組成物を得る場合には、該高分子ゲル組成物
を、これと非相溶な樹脂又は樹脂前駆体に混合し、樹脂
を乾燥、重合又は硬化させる。図1に、樹脂中に高分子
ゲルと膨潤液体とからなる本発明の高分子組成物を分散
した樹脂組成物の構成例を示す。図1において、2は高
分子ゲルと膨潤液体とを含む高分子ゲル組成物、4は樹
脂である。
【0064】また、上記以外にも、例えば、予め高分子
ゲルと膨潤液体とからなる高分子ゲル組成物をマイクロ
カプセル化し、これをマトリックス材料としての樹脂中
に分散することも可能である。樹脂と、高分子ゲル及び
膨潤液体からなる高分子ゲル組成物との組成比は、その
質量比で1/50〜50/1[樹脂/(高分子ゲル+膨
潤液体)、あるいはマトリックス材料/(高分子ゲル及
び膨潤液体を含むカプセル)]の範囲が好ましい。
【0065】一方、マイクロカプセル化は高分子材料の
不溶化を利用したいわゆるコアセルベーション法、分散
粒子の界面で重合を行いカプセル膜を形成するいわゆる
界面重合マイクロカプセル化法、in situマイク
ロカプセル化重合法、液中乾燥法、液中硬化被覆マイク
ロカプセル化法、気体中に液滴を噴霧することでその表
面にカプセル膜を形成するスプレードライングマイクロ
カプセル化法等を用いて実施することができる。これら
技術の詳細は「近藤 保著、新版 マイクロカプセル
その製法・性質・応用(三共出版)」等の成書に記述さ
れている。マイクロカプセルを構成する高分子膜の厚み
としては、1nm〜20μmの範囲が好ましく、より好
ましくは1nm〜10μmの範囲である。カプセルの好
ましい大きさは平均粒径で1μm〜5mmの範囲、より
好ましくは10μm〜2mmの範囲である。
【0066】カプセル材料と、高分子ゲル及び膨潤液体
との混合物との配合比は、質量比で1/200〜5/1
[カプセル材料/(高分子ゲル+膨潤液体)]の範囲が
好ましい。カプセル化した樹脂組成物はその形態のま
ま、あるいは他の樹脂(マトリックス材料)中に分散す
ることで様々な用途に応用できる。
【0067】本発明の樹脂組成物に好ましく使用する樹
脂(マイクロカプセル膜としての樹脂を含む)として
は、熱硬化樹脂、紫外線硬化樹脂、電子線硬化樹脂、ポ
リエステル、ポリイミド、ポリメタクリル酸メチル等の
アクリル樹脂、ポリスチレン及びその誘導体、ポリエチ
レン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、
ポリ塩化ビニリデン、ポリカーボネート、ポリエーテル
スルフォン、セルロース誘導体、フッ素系樹脂、シリコ
ーン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリアセタール系樹脂等
が挙げられる。これらの樹脂は樹脂と種々の溶剤との混
合物やゲル状物であっても構わない。また、これらの樹
脂は、光透過性の高い材料であることが好ましい。高分
子ゲルを含む膨潤液体と前記樹脂の界面での光散乱を少
なくして透明性を高くするために、高分子ゲルを含む液
体と隔離部材の屈折率の差を0.2以下にすることが好
ましい。より好ましくは屈折率の差が0.1以下であ
り、特に好ましくは0.01以下である。
【0068】[光学素子]本発明の高分子ゲル組成物の
応用形態である、本発明の光学素子について説明する。
本発明の光学素子は、本発明の高分子ゲル組成物を含む
ことを特徴とするものである。まず、前記樹脂組成物を
用いた例について説明する。本発明においては、前記樹
脂組成物を、フィルム状、板状、繊維状など様々な構造
に成形して、光学素子として利用することができる。特
に、フィルム状とする場合は、フィルム状の種々の基材
表面、あるいは、フィルム状の一対の基材間に、前記樹
脂組成物を所望の厚みで形成することで、安定かつ耐久
性に優れる調光フィルム(光学素子)とすることができ
る。また、基材を用いず前記樹脂組成物のみでフィルム
状に成形して調光フィルム(光学素子)とすることもで
きる。
【0069】図2に、フィルム状の基材に樹脂組成物を
形成した構成の調光フィルム(光学素子)の拡大断面図
を示す。図2において、8はフィルム状の基材であり、
その表面に、高分子ゲル組成物2と、樹脂4からなる樹
脂組成物層6が形成され、全体としてフィルム状の光学
素子である調光フィルムを成している。なお、図2にお
いて、図1と同一の機能を有する部材には、同一の符号
が付されており、その詳細な説明は省略することとす
る。また、図2に示す構成の他にも、既述の如く前記樹
脂組成物のみからなる構成や、一対のフィルム状の基材
間に前記樹脂組成物が挟持された構成であってもよい。
さらに、保護層、防汚染層、紫外線吸収層、帯電防止
層、高分子ゲル組成物を含有する膨潤液体の蒸発を防ぐ
蒸発防止層などの他の構成層が形成されていても構わな
い。なお、樹脂組成物層6上に保護層を設ける場合に
は、両端の露出部を封止部材により封止してもよい。
【0070】前記フィルム状の基材としては、ポリエス
テル、ポリイミド、ポリメタクリル酸メチル、ポリスチ
レン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリアミド、ポ
リ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリカーボネー
ト、ポリエーテルスルフォン、セルロース誘導体、フッ
素樹脂、シリコーン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリアセ
タール系樹脂、金属フィルム等を使用することができ
る。
【0071】前記封止部材としては、特に限定されない
が、例えばガラス、セラミックのような無機材料や、ポ
リエチレンテレフタレート、ポリエチレンイソフタレー
ト、ポリエチレン−2,6−ナフタレート、ポリブチレ
ンテレフタレートやこれらの共重合体等のポリエステ
ル、ポリカーボネート、ポリエーテルサルホン、ポリサ
ルホン、ポリイミド、ポリアリレート等が使用できる。
なおこれら封止部材の材料は、ガスバリア性の高いもの
が好ましく使用でき、特に樹脂の場合は内部に含まれる
膨潤液体の蒸気のガスバリア性の高いものが好ましい。
【0072】また、フィルム状の光学素子における各層
の好ましい厚みとしては、基材について10μm〜10
mmの範囲が好ましく、樹脂組成物層については、5μ
m〜10mmの範囲が好ましい。
【0073】次に、本発明の高分子ゲル組成物自体をそ
のまま用いた光学素子について説明する。図3は、本発
明の高分子ゲル組成物自体をそのまま用いた本発明の光
学素子の構成例を示す模式断面図であり、2枚の基材間
に本発明の高分子ゲル組成物が封入されている例であ
る。図3において、16及び16’は、基板(即ち、基
材)であり、該基板16,16’間に、高分子ゲル10
と膨潤液体12とからなる高分子ゲル組成物14が挟持
されている。
【0074】高分子ゲル組成物中の高分子ゲル10は、
基板16及び/又は16’表面(あるいは後述する刺激
付与手段表面、以下、単に「基板表面等」と省略す
る。)に固定されていることが好ましい。このとき高分
子ゲル10は、図3に示すように基板16のみに固定さ
れていても、基板16,16’の双方に固定されていて
も構わない。
【0075】高分子ゲル10の固定は、種々の二官能性
化合物や接着剤を利用したり、あるいは物理的な手段で
行うことができる。例えば、反応性シランカップリング
剤により基板16表面等をあらかじめ処理することで官
能基を導入し、これと粒子状の高分子ゲル10の官能基
とを反応させることにより共有結合させることが可能で
ある。その他にも、種々の多官能性化合物や接着剤によ
り高分子ゲル10を固定する方法や、基板16表面等を
立体的に加工して、高分子ゲル10を物理的に固定する
ことも可能である。
【0076】なお、高分子ゲル10を固定する際、基板
表面等と密着させすぎると、応答特性が低下する場合が
あるため、空間を空けるために基板表面等を立体的に加
工し、その凸部に結合させる手段や、長鎖化合物(スペ
ーサー)を介して高分子ゲル10を、空間を設けて結合
させる手段も好ましく実施される。
【0077】基板16,16’としては、ポリエステ
ル、ポリイミド、ポリメタクリル酸メチル、ポリスチレ
ン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリアミド、ポリ
塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリカーボネート、
ポリエーテルスルフォン、セルロース誘導体などの高分
子のフィルムや板状基板、ガラス基板、金属基板、セラ
ミック基板などの無機基板を使用することができる。
【0078】なお、基板16,16’のうち少なくとも
一方は、光学的に透明であることが、光学素子として機
能させる上で必要である。また、透過型光学素子の場合
は、双方の基材が透明であることが好ましい。基板1
6,16’の厚みや大きさは、所望する光学素子によっ
て様々なものが利用でき、特に限定されないが、厚みの
好ましい範囲としては、10μmから20mmである。
【0079】本発明の光学素子は、例えば気温の変化、
太陽光量の変化など自然エネルギーによって調光や表示
を行うことができるが、刺激付与手段を設けることで、
能動的に調光することもできる。この場合、刺激付与手
段は、高分子ゲルに実質的に熱を付与するものであり、
通電発熱抵抗体のほか、与えられたエネルギーにより最
終的に熱が付与されるものであればよく、光付与、電磁
波付与、磁場付与などの各種手段が挙げられる。これら
の中でも、特に、通電発熱抵抗体が好ましく適用され、
具体的にはNi−Cr合金等に代表される金属層、硼化
タンタル、窒化タンタル、酸化タンタルやITO等の金
属酸化物層、カーボン層等に代表されるの発熱抵抗体層
が好ましく用いられ、これらの通電発熱抵抗体に配線し
電圧を印加することにより、通電発熱抵抗体を発熱させ
ることができる。また、光付与は、レーザー、LED、
ELなどの発光素子層を用いることにより、磁界や電磁
波の付与は電磁コイル、電極等を設けることにより、そ
れぞれ実現できる。
【0080】また、前記した刺激付与手段は、パターン
化、セグメント化させて、任意の部位を調光させること
も好ましく実施される。また、これらのパターンに対応
して特定の特性の高分子ゲルを配置(固定化)すること
も好ましく実施される。図3に示す構成の光学素子に
は、その他、様々な層を形成しても構わない。例えば、
光学素子の保護を目的とした保護層、防汚染層、紫外線
吸収層、帯電防止層などが挙げられる。
【0081】図3に示す構成の光学素子のように、端部
が封止部材18で封止されていることが望ましい。封止
部材で端部を封止することにより、膨潤液体12の蒸発
を防止することができ、光学素子全体としての耐久性が
向上する。封止部材18は、光学素子の端部全体を覆う
状態で形成されていてもよい。
【0082】封止部材の材料としては、前記端部に塗布
後、放置・加熱・紫外線照射等の手段により硬化するも
のを用いることが好ましく、通常の接着剤、熱硬化性樹
脂、紫外線硬化性樹脂等を挙げることができる。例示す
ると、1層で封止を行うときの封止部材としては、末端
に反応基を有するイソブチレンオリゴマーを主体とした
熱硬化型弾性シーリング材や、アクリル系紫外線硬化樹
脂等が挙げられる。また、2層で封止するときの封止材
としては、高分子ゲル組成物と接触する1次封止にポリ
イソブチレン系シーラント等、2次封止としてアクリル
樹脂等が挙げられる。
【0083】次に、図3に示す光学素子を例に挙げて、
その代表的な作製方法を説明する。2枚の基板16,1
6’を用意し、この少なくとも一方の基板16表面に、
前記いずれかの方法で、粒子状の高分子ゲル10を固定
する。次に、該高分子ゲル10を固定した基板16をも
う一方の基板16’と、一定の間隔を設けて貼り合わせ
てセルを作製する。この時の基板16,16’間の間隔
は、一般的には、5μm〜10mmから選択される。
【0084】このように2枚の基板16,16’の間隔
を設定するためには、所望の間隙となるような大きさ
のスペーサー粒子を2枚の基板16及び/又は16’に
散布する、フィルムスペーサーを2枚の基板16及び
16’間に挟み込む、基板16等の表面に基板16及
び16’を貼り合わせた際、所望の間隙が生ずるような
形状の立体的な構造体を形成しておく、などの手段が好
ましいものとして挙げられる。なお、2枚の基板16及
び16’を貼り合わせる際、特定の開口部を除き周囲を
接着剤、紫外線硬化樹脂、あるいは熱硬化樹脂で封止す
ることが好ましい。一部残された開口部から減圧注入法
等で膨潤液体を注入し、その後、前記開口部を封止する
ことで、図3に示す構成の光学素子を作製することがで
きる。
【0085】なお、本発明の光学素子は、上記の事例に
限定されず、様々な色や種類の高分子ゲルを使用するこ
とで、様々な色彩、色調や調光特性を呈示することがで
きるものとなる。
【0086】以上、本発明の高分子ゲル組成物、樹脂組
成物、及び光学素子について、具体例を挙げて説明した
が、本発明は上記具体例に限定されるものではない。例
えば、本発明に用いる高分子ゲルは1種単独で使用して
もよいし、2種以上を併用してもよい。2種以上を併用
する場合においては、それぞれ相互に異なる特性の調光
用材料(例えば、それぞれ異なる色彩の色材)を内部に
含むこととしてもよいし、一部又は全部が、同一の特性
の調光用材料(例えば、同一の色彩の色材)を含むも
の、或いは、調光用材料を含まないものであってもよ
い。
【0087】本発明の高分子ゲル組成物、樹脂組成物、
及び光学素子は、調光板、調光フィルム、表示素子、イ
ンテリア、温度センサー、玩具など、幅広い分野で好適
に用いることができる。
【0088】
【実施例】以下に、実施例を挙げて本発明をより具体的
に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるもの
ではない。
【0089】(無色高分子ゲル粒子Aの調製)高温膨潤
型高分子ゲル粒子(無色高分子ゲル粒子A)を、以下の
ようなプロセスにより製造した。アクリルアミド0.9
2g、N−アセチルアクリルアミド0.08g、架橋剤
としてメチレンビスアクリルアミド1.0mgに、蒸留
水4.0gを攪拌混合した水溶液を調製した。ソルビト
ール系界面活性剤(SO−15R:ニッコーケミカル社
製)2.90gをシクロヘキサン400mlに溶解した
溶液を窒素置換された反応容器に加え、これに、先に調
製した水溶液を添加し、回転式攪拌羽根を用いて120
0rpmで30分攪拌して懸濁させた。上記の水溶液を
フラスコ中に入れ、窒素置換により酸素を除いた後、6
0℃に加熱して3時間、重合を行った。重合終了後、大
量のアセトンで洗浄することで精製を行った。
【0090】得られた高分子ゲル粒子(無色高分子ゲル
粒子A)の乾燥時における平均粒径は、約15μmであ
った。この無色高分子ゲル粒子Aを大量の純水に加えて
膨潤させた。温度、10℃における平衡膨潤時の吸液量
は約4g/g(「g/g」とは、高分子ゲル1g当たり
の吸液量の単位を表す。以下同様)であった。これを6
0℃に加熱するとさらに膨潤し、約100g/gの吸液
量を示すことがわかった。また、相転移点は20〜30
℃の温度範囲にあった。つまり、相転移点よりも高温で
は膨潤し、低温では収縮する。この変化は可逆的であ
り、膨潤・収縮によって粒子の大きさは約3倍、すなわ
ち体積で約27倍の変化が得られた。無色高分子ゲル粒
子Aをマクロに観察すると、60℃では透明、10℃で
は白濁するという可逆的な調光変化が観察された。
【0091】(着色高分子ゲル粒子Bの調製)調光用材
料を含有した高温膨潤型高分子ゲル粒子(着色高分子ゲ
ル粒子B)を以下のようなプロセスにより製造した。ア
クリルアミド0.92g、N−アセチルアクリルアミド
0.08g、架橋剤としてメチレンビスアクリルアミド
1.0mgに蒸留水0.575g、調光用材料として青
色顔料(大日本インキ社製、マイクロカプセル化青色顔
料)13.5重量%の水分散液3.425gを攪拌混合
した水溶液を調製した。ソルビトール系界面活性剤(S
O−15R:ニッコーケミカル社製)2.900gをシ
クロヘキサン400mlに溶解した溶液を窒素置換され
た反応容器に加え、これに、先に調製した水溶液を添加
し、回転式攪拌羽根を用いて1200rpmで30分攪
拌して懸濁させた。上記の水溶液をフラスコ中に入れ、
窒素置換により酸素を除いた後、60℃に加熱して3時
間、重合を行った。重合終了後、大量のアセトンで洗浄
することで精製を行った。
【0092】得られた高分子ゲル粒子(着色高分子ゲル
粒子B)の乾燥時における平均粒径は、約30μmであ
った。この着色高分子ゲル粒子Bを大量の純水に加えて
膨潤させた。温度、10℃における平衡膨潤時の吸液量
は約2g/gであった。これを60℃に加熱するとさら
に膨潤し、約20g/gの吸液量を示すことがわかっ
た。また、相転移点は20〜30℃の温度範囲にあっ
た。つまり、相転移点よりも高温では膨潤し、低温では
収縮する。この変化は可逆的であり、膨潤・収縮によっ
て粒子の大きさは約2.2倍、すなわち体積で約10倍
の変化が得られた。着色高分子ゲル粒子Bをマクロに観
察すると、60℃では青色、10℃では無色に調光が可
逆的に変化する様子が観察された。
【0093】(着色高分子ゲル粒子Cの調製)調光用材
料を含有した感熱型(高温膨潤型)高分子ゲル(着色高
分子ゲル粒子C)の粒子を以下のようなプロセスにより
製造した。調光用材料を含有したアクリルアミドゲル
を、モノマー成分をアクリルアミドのみの組成に変更し
た以外は、前記着色高分子ゲル粒子Bの作製方法と同様
に作製した。アクリル酸1.5g、架橋剤としてメチレ
ンビスアクリルアミド0.003g及び蒸留水4.5g
を加え、これに窒素置換後、過硫酸アンモニウム0.0
06gを水0.5gに溶解したものを添加した混合液に
前記アクリルアミドゲルの粒子0.5gを加えて混合液
を60℃に加熱し、3時間重合を行いIPN高分子ゲル
を調製した。大量の蒸留水中に投入し、加熱冷却を行い
ゲル粒子を膨潤収縮させ、これをろ過する操作を繰り返
すことで精製を行った。
【0094】得られた粒子(着色高分子ゲル粒子C)の
乾燥時における平均粒径は、約30μmであった。この
IPN高分子ゲル粒子を大量の純水に加えて膨潤させ
た。温度、10℃における平衡膨潤時の吸液量は約3g
/gであった。これを60℃に加熱するとさらに膨潤
し、約30g/gの吸液量を示すことがわかった。ま
た、相転移点は20〜30℃の温度範囲にあった。つま
り、相転移点よりも高温では膨潤し、低温では収縮す
る。この変化は可逆的であり、膨潤・収縮によって粒子
の大きさは約2.2倍、すなわち体積で約10倍の変化
が得られた。着色高分子ゲル粒子Cをマクロに観察する
と、60℃では青色、10℃では無色に調光が可逆的に
変化する様子が観察された。
【0095】(実施例1)前記高分子ゲル粒子Aを一定
濃度含む水分散溶液(ゲルの固形分濃度2.5%)10
gに、紫外線吸収剤としてViosorb 112(共
同薬品(株)製)0.5gを加えた分散液を調製した。
この水分散液10gを、フッ素系の紫外線硬化樹脂(日
本化薬社製 KAYARAD FAD−515)のフッ
素系界面活性剤(セイミケミカル製 Surflon
S−383)5重量%溶液10gに対して加え、50℃
に加熱した。この液体をウェーブローターで分散して刺
激応答性高分子ゲル粒子Aの水分散液を紫外線硬化樹脂
中に分散した(分散液A)。
【0096】分散液Aを、ブレードコーターを用いてガ
ラス基板上に厚さ150μmに成形し、紫外線照射(高
圧水銀灯、160W/cm、照射距離20cm,10秒
間照射)によって硬化した。このフィルム状成形物を、
ガラス基板から剥し、2枚のアルミナ蒸着PETフィル
ム(50×50mm、厚み100μm)間に挟持した。
さらに、熱可塑性のブチルゴム及び感光性のアクリル系
接着剤(日本化薬製KAYARAD R381I)で周
囲を封止し、調光フィルム(光学素子)を作製した。こ
の調光フィルムは、60℃では透明になり、10℃では
白濁するという調光変化が可逆的に観察された。
【0097】(実施例2)前記高分子ゲル粒子Bを一定
濃度含む水分散液(ゲルの固形分濃度2.5%)10g
に紫外線吸収剤としてViosorb 112(共同薬
品(株)製)を0.5g加えた分散液を調製した。実施
例1と同様にフィルム状成形物に成形し、2枚のアルミ
ナPET蒸着フィルム(大きさ50×50、厚み100
μm)間に挟持した。さらに、熱可塑性のブチルゴム及
び感光性のアクリル系接着剤(日本化薬製 KAYAR
AD R381I)で周囲を封止し、調光フィルム(光
学素子)を作製した。この調光ガラスは、60℃では青
色になり、10℃では透明になるという可逆的な調光変
化が観察された。
【0098】(実施例3)前記高分子ゲル粒子Bを一定
濃度含む水分散液(ゲルの固形分濃度2.5%)を調製
した。この水分散液10gを、フッ素系の紫外線硬化樹
脂(日本化薬社製KAYARAD FAD−515)の
フッ素系界面活性剤(セイミケミカル製Surflon
S−383)5重量%溶液10gに対して加え、50
℃に加熱した。この液体をウェーブローターで分散し
て、着色高分子ゲル粒子Bの水分散液を紫外線硬化樹脂
中に分散した(分散液C)。実施例1と同様にフィルム
状に成形し、UVカットガラス(日石三菱(株)製NO
UVIO410)とガラス(50×50×3mm)の間
に挟持した。さらに、周囲を熱可塑性のブチルゴム及び
感光性のアクリル系接着剤(日本化薬製 KAYARA
D R381I)で周囲を封止し、調光ガラス(光学素
子)を作製した。この調光ガラスは、60℃では青色に
なり、10℃では透明になるという可逆的な調光変化が
観察された。
【0099】(実施例4)前記高分子ゲル粒子Aを、一
定濃度含む水分散溶液(ゲルの固形分濃度2.5%)を
調製した。この水溶液10mlに対し、ポリビニルアル
コール(信越化学工業(株)製、ポバール C−25G
P)の7.5重量%水溶液を10ml加え、攪拌して高
分子ゲル粒子を均一に分散した(分散液D)。分散液D
を、粒径100μmのポリスチレンビーズをスペーサと
して用いて、2枚の基板間(白色ガラス、UVカットガ
ラス(日石三菱(株)製NOUVIO410、50×5
0mm、厚み3mm)に挟持した。さらに、熱可塑性の
ブチルゴム及び感光性のアクリル系接着剤(日本化薬
製、KAYARAD R381I)で周囲を封止して調
光ガラス(光学素子)を作製した。この調光ガラスは、
60℃では透明になり、10℃では白濁するとういう可
逆的な調光変化が観察された。
【0100】(実施例5)ガラス基板(大きさ50mm
×50mm、厚み3mm)を2枚用意した。一枚のガラ
ス基板の表面には、γ−Aminopropyltri
ethoxysilaneを塗布、乾燥させることでゲ
ル粒子との接着層を形成した。一方、ゲル粒子を固定化
するために、高分子ゲル粒子Bを水に含浸させ固形分と
して約1重量%の分散溶液とした。
【0101】前記接着層を形成したガラス基板面を上面
としプラスチック容器内に配置した。これに先の分散溶
液を加え、60℃において15時間静置したところ、ゲ
ル粒子がガラス基板の接着層表面に固定化された。これ
を水で洗浄し、固定化されていないゲル粒子を洗い落と
し、略一層にゲル粒子が固定化されたガラス基板を得
た。
【0102】ガラス基板上を顕微鏡観察すると、粒子の
固定化された面積率は60℃において約70%であっ
た。なお、面積率とは、基板の単位面積において粒子の
投射影が占める割合と定義する。
【0103】対向ガラス基板上表面(片面)に100μ
mのアクリル樹脂スペーサを散布した後、一部の開口部
を除き外周部に紫外線硬化樹脂(日本化薬製、KAYA
RAD R381I)を塗布し、先のゲル粒子を固定化
したガラス基板と貼り合わせ、紫外線を照射して接着さ
せたることにより、セルを作製した。次に、前記セル内
部に高分子ゲルの膨潤液体としてエチレングリコール1
0重量%、及び紫外線吸収剤としてViosorb 1
12(共同薬品(株)製)0.5重量%水溶液の混合溶
液を注入後、前記開口部を熱可塑性のブチルゴムで封止
し、調光ガラス(光学素子)を作製した。この調光ガラ
スは、60℃では青色になり、10℃では透明になると
いう可逆的な調光変化が観察された。
【0104】(比較例1)実施例1の無色高分子ゲル粒
子Aを、着色高分子ゲル粒子Cに変更した以外は、実施
例1と同様にして調光フィルム(光学素子)を作製し
た。
【0105】(比較例2)実施例5の着色高分子ゲル粒
子Bを、着色高分子ゲル粒子Cに変更した以外は、実施
例5と同様にして調光ガラス(光学素子)を作製した。
【0106】(機能評価)得られた光学素子について、
光学特性の機能評価を行なった。評価は、0℃から60
℃、再び0℃と温度変化させ可逆的調光特性が得られる
かについて目視で確認した。また、昇温・降温のサイク
ルを1000回行い、調光の繰り返し再現性を確認し
た。また、得られた光学素子の耐久性を評価するため
に、ウェザーメーター装置(東洋精機製:サンテスト)
を用いて、紫外線を積算時間で100時間照射後、加熱
冷却を繰り返し、調光特性が劣化していないか目視で確
認した。結果を表1に示す。
【0107】
【表1】
【0108】表1に示されるように、実施例1、2の調
光フィルム及び実施例3〜5の調光ガラスは、調光特性
を示し、かつ、調光の繰り返し再現性、耐久性、に優れ
た高分子ゲル組成物、該高分子ゲル組成物を含む樹脂組
成物、及び光学素子であることが確認された。
【0109】
【発明の効果】本発明によれば、界面活性剤、高分子、
塩、イオン等を含む場合、或いは、酸性、塩基性等の環
境下においても、膨潤収縮特性が影響されない高分子ゲ
ル組成物、該高分子ゲル組成物を含む樹脂組成物、及び
これらを用いた光学素子を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 樹脂中に高分子ゲルと膨潤液体からなる高分
子ゲル組成物を分散した、本発明の樹脂組成物の構成例
を示す模式図である。
【図2】 フィルム状の基材に高分子ゲル組成物を形成
した構成の調光フィルム(本発明の光学素子)を示す拡
大断面図である。
【図3】 本発明の高分子ゲル組成物自体をそのまま用
いた、本発明の光学素子の構成例を示す摸式断面図であ
る。
【符号の説明】
2、14 高分子ゲル組成物 4 樹脂 6 樹脂組成物 8 フィルム状基材 10 高分子ゲル 12 膨潤液体 14 高分子ゲル組成物 16、16’ 基板 18 封止部材
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G02F 1/01 G02F 1/01 A 1/17 1/17 (72)発明者 藤原 将一郎 神奈川県南足柄市竹松1600番地 富士ゼロ ックス株式会社内 (72)発明者 森山 正洋 神奈川県南足柄市竹松1600番地 富士ゼロ ックス株式会社内 (72)発明者 三上 正人 神奈川県南足柄市竹松1600番地 富士ゼロ ックス株式会社内 (72)発明者 明石 量磁郎 神奈川県南足柄市竹松1600番地 富士ゼロ ックス株式会社内 Fターム(参考) 2H042 BA02 BA20 2H079 AA06 BA01 CA21 CA24 DA07 EA13 EB27 4J002 BG121 BG131 FD096 HA02 HA05 4J100 AM15Q AM21P BA11P CA04 JA32

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 膨潤液体と、分子内ケト−エノール互変
    異性による溶媒和特性が温度変化に応じて変化すること
    により、前記膨潤液体を吸収・放出して可逆的な体積変
    化を生じる高分子ゲルと、を含み、該高分子ゲルの体積
    変化により調光作用を示すことを特徴とする高分子ゲル
    組成物。
  2. 【請求項2】 膨潤液体と、分子内ケト−エノール互変
    異性による溶媒和特性が温度変化に応じて変化すること
    により、前記膨潤液体を吸収・放出して可逆的な体積変
    化を生じる高分子ゲルと、調光用材料と、を含むことを
    特徴とする高分子ゲル組成物。
  3. 【請求項3】 前記調光用材料が、色材又は光散乱剤で
    あり、かつ、前記高分子ゲルの膨潤時に飽和吸収濃度以
    上又は飽和散乱濃度以上となるように含まれることを特
    徴とする請求項2に記載の高分子ゲル組成物。
  4. 【請求項4】 前記高分子ゲルが、下記一般式(1)で
    表される少なくとも1種のモノマー成分と、アクリルア
    ミド及びメタクリルアミドから選ばれる少なくとも1種
    のモノマー成分と、を重合してなることを特徴とする請
    求項1〜3にのいずれかに記載の高分子ゲル組成物。 【化1】 〔一般式(1)中、R1は水素原子又はメチル基を表
    す。R2は水素原子、炭素数1〜10で直鎖状、分岐状
    若しくは環状のアルキル基、炭素数1〜10で直鎖状、
    分岐状若しくは環状のアルコキシ基、炭素数1〜10で
    直鎖状、分岐状若しくは環状のアルキルアミノ基、アリ
    ール基、又は複素環基を表し、これらの基は各々ハロゲ
    ン化されていてもよい。〕
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれかに記載の高分子
    ゲル組成物と、樹脂と、を含むことを特徴とする樹脂組
    成物。
  6. 【請求項6】 請求項1〜4のいずれかに記載の高分子
    ゲル組成物を含むことを特徴とする光学素子。
  7. 【請求項7】 前記高分子ゲル組成物が、一対の基材間
    に形成されてなることを特徴とする請求項6に記載の光
    学素子。
  8. 【請求項8】 請求項5に記載の樹脂組成物を含むこと
    を特徴とする光学素子。
  9. 【請求項9】 前記樹脂組成物が、基材表面又は一対の
    基材間に形成されてなることを特徴とする請求項8に記
    載の光学素子。
  10. 【請求項10】 前記樹脂組成物を、フィルム状又は板
    状に成形してなることを特徴とする請求項8に記載の光
    学素子。
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