JP2003113114A - 免疫賦活素材 - Google Patents

免疫賦活素材

Info

Publication number
JP2003113114A
JP2003113114A JP2001311457A JP2001311457A JP2003113114A JP 2003113114 A JP2003113114 A JP 2003113114A JP 2001311457 A JP2001311457 A JP 2001311457A JP 2001311457 A JP2001311457 A JP 2001311457A JP 2003113114 A JP2003113114 A JP 2003113114A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
lactic acid
immunostimulatory
immune system
present
function
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2001311457A
Other languages
English (en)
Inventor
Minoru Takebe
実 武部
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nichimo Co Ltd
Original Assignee
Nichimo Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nichimo Co Ltd filed Critical Nichimo Co Ltd
Priority to JP2001311457A priority Critical patent/JP2003113114A/ja
Publication of JP2003113114A publication Critical patent/JP2003113114A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Medicines Containing Antibodies Or Antigens For Use As Internal Diagnostic Agents (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 乳酸菌と麹菌とを液体培養によって培養する
ことにより、全身免疫系および局所免疫系の双方の免疫
機能を確実に向上させることができ、しかも有効成分で
ある菌体を濃縮状態として摂取が容易な免疫賦活機能を
保有する免疫賦活素材を提供すること。 【解決手段】 エンテロコッカス属に属する乳酸菌およ
び麹菌を液体培養によって培養された菌体を有効成分と
することを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、人間や動物や魚等
の脊椎動物(以下、「脊椎動物」という)の免疫機能を
向上させる免疫賦活機能を保有する免疫賦活素材に関す
る。
【0002】
【従来の技術と発明が解決しようとする課題】現代人は
大昔から長い間続けてきた貧困生活から開放され、ま
た、医学の進歩で寿命が延び、更に、先進国では飽食と
も言える時代に入った。このため、先進国においては、
栄養状態が良くなったにもかかわらず、感染症に対する
免疫力は向上していないし、新たに食物アレルギーや花
粉症が深刻な問題となっており、更に、食事やストレス
で生活習慣病とも言える慢性病に屠るリスクが高まって
来ている。また、畜産動物などの経済動物は生産性を追
及するために幼動物時から栄養密度の高い環境で育成す
るので、ストレスとなり、免疫力が低下し、感染症での
死亡率が下がらないのが現状で、多くは抗生物質の投与
がなされている。
【0003】また、免疫系に関しては全身免疫系と局所
免疫系があり、局所免疫系の腸管粘膜免疫系については
経口感染に対する免疫系として注目されている。この免
疫系ではIgA抗体を高めることが必要になるが、Ig
A抗体を高める有効な抗原を見つけることが重要であ
る。即ち、毒性のない有効な抗原で経粘膜免疫寛容を起
こすことで、IgA抗体を高め、全身免疫系のIgE抗
体を下げることができるという報告がある。このことは
腸管粘膜免疫系を高めることで食物アレルギーや花粉症
の発生源であるIgE抗体を下げて食物アレルギー等の
予防に繋がることが期待できる。
【0004】本発明はこれらの点に鑑みてなされたもの
であり、乳酸菌と麹菌とを液体培養によって培養するこ
とにより、全身免疫系および局所免疫系の双方の免疫機
能を確実に向上させる免疫賦活機能を保有する免疫賦活
素材を提供することを目的とする。
【0005】また、本発明は、有効成分である菌体を濃
縮状態として摂取が容易な免疫賦活機能を保有する免疫
賦活素材を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者は、このような
免疫賦活素材を提供するために、国際公開WO00/4
5830号公報において、既に原料となる大豆等の豆類
に対して麹菌を用いて製麹処理を施すとともにその生成
物に対して加水分解処理を施て、フィチン酸が完全に分
解除去された生成物や、イソフラボンアグリコンを多量
に含有する生成物であって、免疫賦活機能を保有する免
疫賦活素材を提案している。この生成物においては、原
料である豆類が製麹処理されるとともに加水分解処理さ
れ、これと同時に乳酸菌(製麹工程に自然と混入された
乳酸菌や加水分解工程までに意図的に注入した乳酸菌)
が多量に増殖されており、この多量に増殖された乳酸菌
および麹菌により免疫賦活機能が発揮されるとともに、
生成物内に生成されたイソフラボンアグリコンが容易に
血管内に吸収され、マクロファージに作用して免疫性を
向上させることにより、非常に優れた免疫賦活機能が発
揮されるものであった。
【0007】本発明者は、前記目的を達成するために、
更に鋭意研究し、前記提案に用いた乳酸菌および麹菌を
それぞれ単独で取り出し、液体培養を施して濃縮し、こ
の濃縮物により全身免疫系および局所免疫系の双方の免
疫機能を確実に向上させる免疫賦活機能が発揮されるこ
とを確認して本発明を完成させた。
【0008】このようにしてなされた本発明の免疫賦活
素材は、エンテロコッカス属に属する乳酸菌および麹菌
を液体培養によって培養された菌体を有効成分とするこ
とを特徴とする。
【0009】このようにして形成されている本発明の免
疫賦活素材は、免疫賦活機能を保有するために、脊椎動
物の消化器官から体内に吸収されると、免疫賦活機能を
発揮することにより、当該脊椎動物の免疫性を向上させ
て、健康の維持、促進、病気の予防等を良好に行なわせ
ることができる。具体的には、脊椎動物はストレスを受
けると、免疫性が低下して、例えば脾臓の性状(ナチュ
ラルキラー細胞活性(以下NK活性)、インターフェロ
ン−γ(IFN−γ))およびパイエル板の性状(Ig
A抗体)が低下するものであるが、本発明の免疫賦活素
材をストレスを付加した状態で育成したマウスに付与し
たところ、脾臓の性状(NK活性、IFN−γ)が向上
していて全身の免疫賦活機能が向上したことがわかり、
パイエル板の性状(IgA抗体)が向上していて腸管、
食道、肛門等の粘膜組織のある部分の局所免疫系の免疫
賦活機能が向上したことがわかり、本発明の免疫賦活素
材にきわめて優れた作用効果のあることがわかった。更
に、本発明の免疫賦活素材を餌として育成された脊椎動
物を食用として利用する場合には、極めて健康な状態で
育成された脊椎動物の食肉等として利用することができ
る。
【0010】また、本発明の免疫賦活素材は、有効成分
である菌体を濃縮状態としているために、簡単に必要と
される多量の菌体を錠剤状として形成することができ、
経口摂取も容易となり、継続的な摂取が可能となる。
【0011】このようにして液体培養するエンテロコッ
カス属からなる乳酸菌としては、エンテロコッカス・フ
ェシウムおよびエンテロコッカス・フェカリスの少なく
とも1種とするとよく、更にこのエンテロコッカス属か
らなる乳酸菌としては、生菌体および/または死菌体と
するとよい。このような乳酸菌を用いることにより、よ
り優れた免疫賦活機能を発揮させることができる。
【0012】また、前記乳酸菌を液体培養し、培養され
た乳酸菌の菌体を麹菌が産生する酵素によって処理する
ことにより、より優れた免疫賦活機能を発揮させるよう
にしてもよい。
【0013】
【発明の実施例】以下、本発明の実施例を説明する。
【0014】本発明の実施例においては、乳酸菌と麹菌
とを次のようにして液体培養し、その後濃縮した。
【0015】<乳酸菌の液体培養> 1) 菌種 乳酸菌としては、エンテロコッカス属を用いることとす
る。エンテロコッカス属であればいずれでもよいが、例
えば脊椎動物の消化器官内に在住する種であり、免疫賦
活機能に優れているエンテロコッカス・フェシウムやエ
ンテロコッカス・フェカリスとするとよい。
【0016】本実施例においては、麹菌として味噌用麹
菌のアスペルギルス・オリゼーを用いて大豆粕を製麹発
酵させその後加水分解することによって得られた発酵大
豆粕から分離した乳酸菌を用いた。この乳酸菌に対して
表1に示す試験項目の試験を行なって、エンテロコッカ
ス属(Enterococcus)のエンテロコッカス
・フェシウム(Enterococcus faeci
um)であると同定した。この乳酸菌は腸球菌といわれ
る消化管内常在菌であることを確認した。
【0017】
【表1】
【0018】2) 培地 a) プレートと穿刺用培地として、グルコース1.5
%、酵母エキス0.8%、寒天1.75%、pH6.8
の条件設定をした。
【0019】b) 前培養用培地として、グルコース1.
5%、酵母エキス0.8%、pH6.8の条件設定をし
た。
【0020】c) 本培養用培地として、MRS培地を用
いた。
【0021】3) 培養手順 a) 菌種保存 同定した菌種の乳酸菌をプレートにおいて30℃で24
時間培養し、コロニー穿刺して30℃で24時間培養
し、その後4℃で保存した。
【0022】b) 液体培養 穿刺チューブを行って、乳酸菌を300mlの三角フラ
スコ内の液体培地において37℃で24時間培養し、更
に2000mlの三角フラスコ内の培養液内において3
7℃で48時間培養した。
【0023】<乳酸菌の濃縮> 1) 生菌の濃縮を次のようにして行った。
【0024】まず、液体培養した乳酸菌の培養液(50
00ml、菌数8×108 個/g)を4℃で5000r
pmで20分間遠心分離し、その後−80℃で4時間凍
結し、その後−4℃で24時間凍結乾燥(FD)を施
し、その後粉砕して、FD濃縮物3.02gを得て、4
℃で保存した。この液体培養と濃縮によって、生菌の乳
酸菌の菌数を8×1011個/gに濃縮できた。
【0025】2) 死菌の濃縮を次のようにして行った。
【0026】乳酸菌の培養液(1700ml、菌数1.
25×109 個/g)を121℃で20分間加熱し、そ
の後4℃で5000rpmで20分間遠心分離し、その
後−80℃で4時間凍結し、その後−4℃で24時間凍
結乾燥(FD)を施し、その後粉砕して、FD濃縮物
1.48gを得て、4℃で保存した。この液体培養と濃
縮によって、死菌の乳酸菌の菌数を8×1011個/gに
濃縮できた。
【0027】<麹菌の液体培養> 1) 菌種 濃縮する麹菌としては、古くからの日本独特の発酵食品
やテンペに用いられている麹菌であり、食品として安全
なアスペルギルス・ウサミ、アスペルギルス・カワチ、
アスペルギルス・アワモリ、アスペルギルス・サイト
イ、アスペルギルス・オリゼー、アスペルギルス・ニガ
ー等のアスペルギルス属およびリゾープス属の麹菌を用
いるとよい。本実施例においては、アスペルギルス・オ
リゼー(Aspergillus oryzae)を用
いた。
【0028】2) 培地 培地として:汎用性モルト寒天培地およびモルト液体培
地を用いた。但し、組成中のpeptoneはSoyptoneで入れ
替えたものとした。
【0029】3) 培養手順 まず、種麹を生理食塩水で希釈し、その後平板において
30℃で48時間培養し、その後コロニーを平板におい
て30℃で48時間培養し、その後胞子を30℃の液体
培地において1000rpmの培養振動を付与しながら
48時間液体培養した。
【0030】<麹菌の濃縮>麹菌の培養液5200ml
に対して濾過を施し、ウエット重量(wet weight)42.
40gとし、その後−80℃で4時間の凍結を行い、そ
の後−4℃で24時間凍結乾燥(FD)を施し、その後
粉砕して、FD濃縮物9.78gを得て、4℃で保存し
た。
【0031】次に、上記のような特性を有する本発明の
免疫賦活素材による免疫賦活機能をマウスの育成試験の
内容をもって説明する。
【0032】試験日的 マウスを通常の飼育条件で育成し、脾臓の性状(NK活
性およびIFN−γ)の変化によって全身の免疫賦活機
能を調べ、パイエル板の性状(IgA抗体)の変化によ
って腸管、食道、肛門等の粘膜組織のある部分の免疫賦
活機能を調べる。なお、前記の一方の脾臓の性状を示す
各因子(NK活性およびIFN−γ)はそれぞれストレ
スによって低下させられる性質を有している。他方のパ
イエル板の性状を示す各因子(IgA抗体)も同様にス
トレスによって低下させられる性質を有している。
【0033】試験方法 1) 比較区1から比較区3と試験区1および2と参考区
にそれぞれ4週齢の雌のマウスを6匹づつ分け、1週間
の予備飼育の後に、比較区1には予備飼育と同様に通常
の粉末飼料(CE−2)を供与し、比較区2、比較区
3、試験区1、試験区2および参考区には通常の粉末飼
料中に表2に示す組成の添加剤を0.5重量%含有する
ように添加して固形ペレットとした餌を供与した。表2
に示すように、比較区2の添加剤は生菌の乳酸菌(L
A)であり、比較区3の添加剤は死菌の乳酸菌(LA
D)であり、試験区1の添加剤は本発明の免疫賦活素材
である生菌の乳酸菌(LA)と麹菌(ASP)との液体
培養物の混合物であり、試験区2の添加剤は本発明の免
疫賦活素材である死菌の乳酸菌(LAD)と麹菌(AS
P)との液体培養物の混合物であり、参考区は本出願人
がすでに提案している前記発酵大豆(ImmuSoy:ニチモウ
株式会社の登録商標)である。
【0034】
【表2】
【0035】そして、全区を通常の環境下における育成
設定温度である26±1℃状で餌と蒸留水とを自由接種
で28日間育成し、投与終了日から12時間の断食を行
い、翌日に全例をネンブタール麻酔下において解剖して
脾臓の性状の変化およびパイエル板の性状の変化を以下
の測定手順によって測定した。
【0036】2) 脾臓処理方法とパイエル板処理方法 一方の脾臓(SPL)については、各例から脾臓を摘出
後、スライドグラスを用いて押しつぶして細胞を回収
し、培養液によって細胞を洗浄した後にステンレスメッ
シュで濾過し、細胞浮遊液として用いた。
【0037】他方のパイエル板(PP)については、パ
イエル板を小腸より摘出した後にスライドグラスで押し
つぶし細胞を回収し、培養液によって細胞を洗浄した後
にステンレスメッシュで濾過し、これを遠心分離し、界
面に残った細胞を回収し、培養液で洗浄して5×108
cells/mlの濃度に調製した。
【0038】3) 各測定項目測定方法 ・NK活性の測定(脾臓について) 前記のようにしてで調製した細胞浮遊液を1600rp
m、5℃で2分間の遠心分離を施し、その後、さらに1
0%FCS添加RPMI1640培地中に浮遊させて、
NK活性を51Cr遊離法にて測定した。
【0039】・IFN−γの測定(パイエル板につい
て) 前記脾臓処理方法およびパイエル板処理方法にて調製し
た細胞を10%FCS添加RPMI−1640培地で細
胞を調製し、24穴プレートに2×108個/ml/w
ellになるように分注後、ConA50μg/mlを
最終濃度5μg/mlになるよう100μl加え、37
℃、5%CO2 インキュベーター内で24時間培養し
た。培養後、各wellの細胞浮遊液を0.45μmシ
リンジフィルタで濾過し、濾過液をIFN−γ産生能測
定用サンプルとした。抗マウスIFN−γ抗体をコート
した96穴プレートに細胞培養上溝を50mlづつ加え
た。1時間室温で培養後、ストレプトアピジンベータガ
ラクトシダーゼを加えてさらに1時間培養後、4−メチ
ルフンベリフエニルベータガラクトシドを添加し反応さ
せ、反応停止後MTP−32にて測定した。
【0040】・IgA抗体の測定(パイエル板につい
て) 測定にはマイクロプレートリーダー(MTP−32)を
使用した。IgA抗体価は、蛍光酵素抗体法(蛍光EL
ISA法)にて測定を行った。この蛍光ELISA法
は、まず96穴ブラックプレートを用い、0.1Mのリ
ン酸バッファーに2mg/mlの濃度で希釈した抗マウ
スIgA抗体を各ウエルに50μlづつ加え、一晩4℃
でコートした。このコーティング終了後、PBSにTw
een20を0.05%溶かした洗浄用バッファー(P
BS/Tween)で3回洗浄し、PBSにBSAを1
%溶かしたブロッキング用バッファーを各ウエルに10
0μl加え、室温で1時間ブロッキングを行った。ここ
に、前記の遠心分離時の上清を0.45μmシリンジフ
ィルタで濾過したものを加え、ビオチン化した抗マウス
IgA抗体とβ−D−galactosidas結合ス
トレプトアピジンでそれぞれ1時間処理を行った。洗浄
後、0.1mM 4−MU−β一D−galactos
ideを100μl加え、37℃で2時間インキュベー
トした。反応は0.1M glycine−NaOHを
100μl加えて停止させ、マイクロプレートリーダー
で測定し、fluorescence units(F
U)として示した。
【0041】試験結果 比較区1、2、3、試験区1、2および参考区における
脾臓の性状(NK活性およびIFN−γ)の変化および
パイエル板の性状(IgA抗体)の変化は表3および図
1から図3に示す通りである。各表および図において、
測定値は平均値±標準備差で表し、有意差検定は5%も
しくは1%とし、表中に*もしくは**を付してある。
【0042】
【表3】
【0043】表3および図1から図3に示す結果より、
本発明の免疫賦活素材の保有する免疫賦活機能が良好に
作用して、全身の免疫賦活機能および粘膜組織のある部
分の免疫賦活機能が大きく向上させられたことがわか
る。
【0044】即ち、マウスに対して通常の育成条件の温
度で28日間飼育した。通常飼育時では比較区1におい
ては脾臓の性状およびパイエル板の性状を示す各因子が
それぞれ低下している。これに対し、本発明の免疫賦活
素材を飼料に添加された試験区1および2においては、
脾臓の性状およびパイエル板の性状を示す各因子がそれ
ぞれ比較区1よりも有意差をもった高い値を示してい
る。更に、本出願人が既に提案している参考区の発酵大
豆とほぼ同等の効果を有している。また、本発明の乳酸
菌および麹菌を含んでいる免疫賦活素材を飼料に添加さ
れた試験区1および2を、乳酸菌のみを添加した比較区
2および3と比較すると、本発明の試験区1および2の
方が比較区2および3に比べて脾臓の性状およびパイエ
ル板の性状を示す各因子がそれぞれ高い値を示してい
る。これは麹菌が乳酸菌と相乗作用をして免疫賦活機能
を高めているためである。
【0045】特に、全身免疫系の善し悪しの目安となる
脾臓の性状を顕著に示すNK活性値を見れば、比較区1
の20.65±1.84、比較区2の24.05±2.
26および比較区3の22.61±2.17に対して試
験区1においては25.26±2.57と大きく向上さ
せられていので、全身の免疫賦活機能が本発明素材によ
って大きく向上させられたことがわかる。更に、全身免
疫系の善し悪しの目安となる脾臓の性状を顕著に示すI
FN−γ値を見れば、比較区1の81.03±3.0
8、比較区2の99.83±11.25および比較区3
の85.17±12.73に対して試験区1においては
126.33±6.52および試験区2においては11
0.83±11.41と大きく向上させられていので、
全身の免疫賦活機能が本発明素材によって大きく向上さ
せられたことがわかる。また、局所免疫系の善し悪しの
目安となるパイエル板の性状を顕著に示すIgA抗体を
見れば、比較区1の402.33±12.20、比較区
2の4518.33±23.42および比較区3の45
9.67±29.02に対して試験区1においては59
7.00±39.07と大きく向上させられているの
で、本発明素材に腸管粘膜免疫系のIgA抗体を高める
抗原が存在することが確認できた。免疫系には全身免疫
系と局所免疫系があり、局所免疫系の腸管粘膜免疫率は
経口感染の免疫系であるため最近非常に注目されてい
る。この局所免疫系は抗原による経口的な経粘膜免疫寛
容が成立すると全身免疫系のIgE抗体の分泌を抑制す
るとの報告がある。IgE抗体は食物アレルギーや花粉
症などの発症に関係する抗体といわれ、腸管粘膜免疫を
賦活させることで近年問題化している食物アレルギーや
花粉症を予防することも可能になるかもしれないため、
腸管粘膜免疫系を賦活させる毒性のない安全な抗原が望
まれる所であったが、本発明素材は少なくとも腸管粘膜
免疫系に対して安全な抗原を含有していることが確認で
きた。さらにはIgA抗体の賦活にはTGF−βの産生
が関係しているとの報告(Sonoda,E.,Matsumoto,R.et al
∴∫.Exp.Med.,170:1415-1420,1989) もあり、腸管免疫
の賦活が動脈硬化の予防にも関与する可能性も示唆でき
る。また、本発明素材で腸管粘膜免疫系ばかりでなく、
全身免疫系の賦活もNK活性が高まったことは癌の予防
などの効果の期待が示唆できる。
【0046】なお、従来においては、表3に示すような
IgA抗体を向上させ機能を有する食品はなかった。
【0047】また、本発明は前記実施例に限定されるも
のではなく、必要に応じて変更することができる。
【0048】
【発明の効果】このように本発明の免疫賦活素材は構成
され作用するものであるから、全身免疫系および局所免
疫系の双方の免疫機能を確実に向上させることができ
る。
【0049】具体的には、本発明の免疫賦活素材は、エ
ンテロコッカス属に属する乳酸菌および麹菌を液体培養
によって培養された菌体を有効成分としており、しかも
エンテロコッカス属からなる乳酸菌としては、エンテロ
コッカス・フェシウムおよびエンテロコッカス・フェカ
リスの少なくとも1種としたり、このエンテロコッカス
属からなる乳酸菌として生菌体および/または死菌体を
用いているものであるために、優れた免疫賦活機能を保
有することとなり、更に、脊椎動物の消化器官から体内
に吸収されると、免疫賦活機能を発揮することにより、
当該脊椎動物の免疫性を向上させて、健康の維持、促
進、病気の予防等を良好に行なわせることができる。具
体的には、本発明の免疫賦活素材をストレスを付加した
状態で育成したマウスに付与すると、脾臓の性状(NK
活性、IFN−γ)およびパイエル板の性状(IgA抗
体)がそれぞれ向上し、全身免疫および局所免疫系の免
疫賦活機能が向上し、本発明の免疫賦活素材にきわめて
優れた作用効果のあることがわかった。更に、本発明の
免疫賦活素材を餌として育成された脊椎動物を食用とし
て利用する場合には、極めて健康な状態で育成された脊
椎動物の食肉等として利用することができるまた、本発
明の免疫賦活素材は、有効成分である菌体を濃縮状態と
しているために、簡単に必要とされる多量の菌体を錠剤
状として形成することができ、経口摂取も容易となり、
継続的な摂取が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の免疫賦活素材による免疫賦活機能を
検証する場合のマウスのNK活性を示す線図
【図2】 本発明の免疫賦活素材による免疫賦活機能を
検証する場合のマウスのIFN−γを示す線図
【図3】 本発明の免疫賦活素材による免疫賦活機能を
検証する場合のマウスのIgA抗体値を示す線図

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エンテロコッカス属に属する乳酸菌およ
    び麹菌を液体培養によって培養された菌体を有効成分と
    することを特徴とする免疫賦活素材。
  2. 【請求項2】 前記エンテロコッカス属は、エンテロコ
    ッカス・フェシウムおよびエンテロコッカス・フェカリ
    スの少なくとも1種であることを特徴とする請求項1に
    記載の免疫賦活素材。
  3. 【請求項3】 前記乳酸菌は、生菌体および死菌体の少
    なくとも一方であることを特徴とする請求項1または請
    求項2に記載の免疫賦活素材。
  4. 【請求項4】 前記乳酸菌を液体培養し、培養された乳
    酸菌の菌体を麹菌が産生する酵素によって処理すること
    を特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記
    載の免疫賦活素材。
JP2001311457A 2001-10-09 2001-10-09 免疫賦活素材 Pending JP2003113114A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001311457A JP2003113114A (ja) 2001-10-09 2001-10-09 免疫賦活素材

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001311457A JP2003113114A (ja) 2001-10-09 2001-10-09 免疫賦活素材

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2003113114A true JP2003113114A (ja) 2003-04-18

Family

ID=19130285

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001311457A Pending JP2003113114A (ja) 2001-10-09 2001-10-09 免疫賦活素材

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2003113114A (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006067881A (ja) * 2004-09-01 2006-03-16 Nichimo Co Ltd 新規乳酸菌と乳酸菌製剤
JP2007297344A (ja) * 2006-05-01 2007-11-15 Nichimo Co Ltd 花粉症改善用素剤
US8334371B2 (en) 2007-07-04 2012-12-18 Kikkoman Corporation Lactic acid bacteria-derived double-stranded RNA
JP2013166730A (ja) * 2012-02-16 2013-08-29 Kanazawa Univ 消化管免疫制御組成物
JP2015092841A (ja) * 2013-11-11 2015-05-18 キッコーマン株式会社 経口免疫寛容増強物質のスクリーニング方法および経口免疫寛容増強組成物

Citations (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0276822A (ja) * 1988-09-12 1990-03-16 Nippon Bussan Kk 免疫賦活剤
JPH02265458A (ja) * 1989-04-04 1990-10-30 Nikken Food Kk 老化制御食品
JPH05161473A (ja) * 1991-12-12 1993-06-29 Tanisake:Kk 栄養補助食品
JPH06199686A (ja) * 1992-12-28 1994-07-19 Snow Brand Milk Prod Co Ltd 経口投与に適した免疫賦活剤
JPH07238024A (ja) * 1994-02-25 1995-09-12 Nichinichi Seiyaku Kk 好中球機能改善剤
JPH0899887A (ja) * 1994-08-01 1996-04-16 Nichinichi Seiyaku Kk 免疫賦活剤
JPH0952834A (ja) * 1995-06-07 1997-02-25 Takeda Shokuhin Kogyo Kk 免疫賦活剤
WO2000045830A1 (fr) * 1999-02-04 2000-08-10 Nichimo Co., Ltd. Substances permettant d'eviter la survenue de l'arteriosclerose, substances immunostimulantes, vertebres nourris a l'aide ces substances et oeufs de ces vertebres

Patent Citations (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0276822A (ja) * 1988-09-12 1990-03-16 Nippon Bussan Kk 免疫賦活剤
JPH02265458A (ja) * 1989-04-04 1990-10-30 Nikken Food Kk 老化制御食品
JPH05161473A (ja) * 1991-12-12 1993-06-29 Tanisake:Kk 栄養補助食品
JPH06199686A (ja) * 1992-12-28 1994-07-19 Snow Brand Milk Prod Co Ltd 経口投与に適した免疫賦活剤
JPH07238024A (ja) * 1994-02-25 1995-09-12 Nichinichi Seiyaku Kk 好中球機能改善剤
JPH0899887A (ja) * 1994-08-01 1996-04-16 Nichinichi Seiyaku Kk 免疫賦活剤
JPH0952834A (ja) * 1995-06-07 1997-02-25 Takeda Shokuhin Kogyo Kk 免疫賦活剤
WO2000045830A1 (fr) * 1999-02-04 2000-08-10 Nichimo Co., Ltd. Substances permettant d'eviter la survenue de l'arteriosclerose, substances immunostimulantes, vertebres nourris a l'aide ces substances et oeufs de ces vertebres

Non-Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
日本食品科学工学会大会講演集, vol. 48, JPN6007004562, 11 September 2001 (2001-09-11), pages 73, ISSN: 0000916926 *

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006067881A (ja) * 2004-09-01 2006-03-16 Nichimo Co Ltd 新規乳酸菌と乳酸菌製剤
JP2007297344A (ja) * 2006-05-01 2007-11-15 Nichimo Co Ltd 花粉症改善用素剤
US8334371B2 (en) 2007-07-04 2012-12-18 Kikkoman Corporation Lactic acid bacteria-derived double-stranded RNA
JP2013166730A (ja) * 2012-02-16 2013-08-29 Kanazawa Univ 消化管免疫制御組成物
JP2015092841A (ja) * 2013-11-11 2015-05-18 キッコーマン株式会社 経口免疫寛容増強物質のスクリーニング方法および経口免疫寛容増強組成物

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US20190201458A1 (en) Microbial strains and their use in animals
JP5718917B2 (ja) 新規なラクトバチルス・プランタラム及びこれを含む組成物
JP5718916B2 (ja) 新規なラクトバチルス・プランタラム及びこれを含む組成物
JPWO2006093267A1 (ja) 免疫調節作用を有する発酵組成物
JP4565057B2 (ja) イムノグロブリンa誘導能の高い新規乳酸菌
JP5337535B2 (ja) Nk活性増強剤
JP3644500B2 (ja) キノコ乳酸発酵液の製造方法及びそれから製造されるキノコ乳酸発酵液(amethodforpreparingalacticacidfermentedsolutionofmushroomandlacticacidfermentedsolutionofmushroomproducedthereby)
JP5206134B2 (ja) 免疫調節剤およびそれを含む抗アレルギー剤
WO2010110045A1 (ja) 免疫調節作用の増強された乳酸菌の製造方法
JP4498924B2 (ja) ラクトバシラス・カゼイ亜種カゼイ増殖促進用組成物
KR102182076B1 (ko) 버섯자실체 추출물을 함유한 유산균 배지 조성물, 이를 이용한 유산균 발효조성물 및 이의 제조방법
JP4499979B2 (ja) 病原菌感染抑制用組成物
JP2003113114A (ja) 免疫賦活素材
KR102177535B1 (ko) 건표고버섯 추출 물질을 이용한 유산균 배지 조성물
TWI547283B (zh) The use of dead bacteria belonging to the genus Lactobacillus of Enterococcus or its treated product for the manufacture of small intestinal villi elongants
JP2012158563A (ja) 腸管免疫増強作用を有する組成物
KR102651098B1 (ko) 신규 락토바실러스 루테리 균주 및 이의 용도
JP2010077056A (ja) 感染症予防剤
JP5525180B2 (ja) 免疫賦活剤及びそれを配合した免疫賦活組成物、並びに免疫賦活方法
KR102244732B1 (ko) 프로바이오틱 초산균인 아세토박터 파스테리아누스 mglv 및 이의 면역조절 효과
JP2006067881A (ja) 新規乳酸菌と乳酸菌製剤
KR102025115B1 (ko) 면역력 개선 및 바이러스 질환 예방 효과를 지닌 유산균 발효액
JP2005097133A (ja) ハナビラタケ由来IgA産生促進剤
KR102581570B1 (ko) 신규 바실러스 벨레젠시스 균주를 포함하는 면역증강용 조성물
KR102546973B1 (ko) 바실러스 밸레젠시스 Kh2-2 균주를 포함하는 면역증강용 조성물

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20041007

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20071106

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20080401