JP2003113111A - 糖尿病治療用医薬 - Google Patents

糖尿病治療用医薬

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明の目的は、膵臓特異的に発現するAL
K7のリガンドを同定し、膵臓のインスリン分泌を促進
させる作用を有する医薬、ならびに該医薬のスクリーニ
ング方法を提供することにある。 【解決手段】 本発明によれば、アクチビンAB、アク
チビンBおよびアクチビン受容体様キナーゼ7(ALK
7)より選ばれる蛋白質を有効成分として含有する糖尿
病の治療および/または予防のための医薬、該蛋白質を
コードするDNAを有効成分として含有する糖尿病の治
療および/または予防のための医薬、該蛋白質または該
DNAを利用した糖尿病の治療および/または予防のた
めの医薬のスクリーニング方法、該DNA、または該蛋
白質を特異的に認識する抗体を用いた糖尿病の診断薬お
よび診断用キット、ならびALK7を特異的に認識する
抗体を用いた糖尿病治療薬の腎臓への輸送方法が提供さ
れる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、オーファン受容体
ALK7、該受容体のリガンド蛋白質であるアクチビン
AB、アクチビンB、該受容体をコードするDNA、ま
たは該リガンド蛋白質コードするDNAを含有する糖尿
病の治療および/または予防のための医薬および診断薬
に関する。また、該受容体、該リガンド蛋白質、該受容
体をコードするDNA、または該リガンド蛋白質コード
するDNAを利用した糖尿病の治療および/または予防
のための医薬のスクリーニング方法、該スクリーニング
方法により得られる医薬に関する。
【0002】
【従来の技術】糖尿病は先進諸国において最も大きな問
題となっている生活習慣病の一種である。糖尿病は膵臓
β細胞から分泌されるホルモンであるインスリンの絶対
的不足(1型糖尿病)、あるいは相対的不足・作用不足
(2型糖尿病)に起因する疾患である。2型糖尿病の病
態は、β細胞からのインスリン分泌不全とインスリン標
的細胞でのインスリン作用障害(インスリン抵抗性)の
二者で構成され、複数の遺伝因子・環境因子が複雑に関
与する他因子疾患であることが知られている。ヒト2型
糖尿病では、健常人と比較して膵β細胞が約60%に減
少しているとの報告もあり〔Tohoku J. Exp. Med., 12
9, 273-283, (1979)〕、β細胞数の低下が1型のみなら
ず2型糖尿病患者においても病態と関連することが示唆
されている。
【0003】インスリン分泌能を根本的に回復させる一
方法として膵移植が1960年代から行われているが、ドナ
ー・移植材料の確保が困難であることに加え、膵移植は
非常に高度な技術を必要とする移植であることが問題と
されている〔Nature Med., 6, 250-251, 2000〕。
【0004】一方、近年、膵移植と比較すると技術的に
は容易な膵ランゲルハンス氏島移植が試みられるように
なってきたが、1年正着率が27%と低い点、および個
体の膵臓から十分な数のランゲルハンス氏島を取得し難
いことが問題とされている。
【0005】膵ランゲルハンス氏島はインスリンを分泌
するβ細胞のみならずグルカゴンを産生するα細胞、PP
を産生するPP細胞、ソマトスタチンを産生するδ細胞の
4種から成る。これら膵内分泌細胞は高度に最終分化し
た細胞であり、成体における新生現象はほとんど観察さ
れず細胞***能も極めて低い。しかし非常に特殊な状況
下、特に膵破壊・ランゲルハンス氏島破壊を伴う状況に
おいてはβ細胞の再生が観察されることが主に動物モデ
ルで証明されている〔Diabetes, 45, 941-945(1996)、D
iabetes, 46, 1281-1290 (1997)、Endocrinology, 138,
1750-1762 (1997)、Development, 118, 33-46, (199
3)〕。よって、少なくともげっ歯類においては成体の膵
臓にも内分泌細胞を増殖・再生させる潜在能力が存在
し、特に膵導管に成体膵幹細胞が存在すると考えられて
いる。
【0006】ヒトにおいては、上述したげっ歯類で観察
されるような成体β細胞の再生現象は観察されていない
が、糖尿病でない死者の剖検で、膵導管付近に数個以内
の細胞から成るインスリン陽性細胞(single beta cell
unit)が高頻度で観察されると報告されている。このs
ingle beta cell unitはランゲルハンス氏島を形成する
β細胞と比較し形態が小さいことから、より未分化なβ
細胞であると考えられ、ヒト成体においてもβ細胞の再
生が起こる可能性が示唆されている〔Diabetologia, 4
1, 629-633 (1998)〕。
【0007】膵移植に替わるβ細胞補充法として、ある
特定の物質を投与することでin vivoでβ細胞の増殖・
新生を誘導する物質としては、ポリADPリボースシンテ
ターゼインヒビターであるニコチンアミド〔Biomed. Re
s., 18, 171 (1997)、DiabetesRes. Clin. Pract., 41,
1 (1998)〕、Reg蛋白質〔Proc. Natl. Acad. Sci. US
A, 91, 3589 (1994)〕の報告がある。しかし、ニコチン
アミドは、糖尿病発症後の経口投与については、インス
リン分泌能がある程度保たれている症例に約1年間に限
りインスリン分泌持続効果があるのみであり〔Molecula
r Medicine, 38,62-67 (2001)〕、またRegを過剰発現さ
せたトランスジェニックマウスでは、β細胞数が減少
し、インスリン含量が減少した。その結果、耐糖能障害
がみられ38%が糖尿病を発症した。その後100週齢
までに死亡したマウスの死因のほとんどは、膵導管、卵
巣での悪性腫瘍、リンパ腫の形成であった〔2000年、日
本糖尿病学会要旨集〕。reg遺伝子の発現が癌化に関連
していることを示す報告もあり〔Brit. J. Cancer, 83,
188-1(2000)〕、ニコチンアミド、Reg蛋白質ともヒト
糖尿病治療への利用は難しいと考えられる。
【0008】近年、成体のあらゆる組識において成体幹
細胞の存在が明らかにされ、種々の臓器不全、疾患に対
する再生療法の可能性が期待されている。上述したよう
な成体の膵臓、主に膵導管に潜むと考えられる膵成体幹
細胞を、インスリンを分泌するβ細胞へと効率的に分化
誘導することができれば、1型のみならず2型糖尿病患
者における膵β細胞数の低下および機能低下を補い、糖
尿病の根治治療へ繋がると考えられが、そのような技術
は確立していない。
【0009】一方、近年の膵臓発生初期過程の解析にお
いて、アクチビン受容体様キナーゼ7(ALK7)が特
異的に膵臓細胞に発現されていることが明らかにされて
きた〔Biochem. Biophys. Res. Comm., 254, 707-712
(1999)〕。ALK7はTGF−β受容体ファミリーに属
する分子で〔Mol. Cell Neurosci., 7, 467-478 (199
6); J. Biol. Chem., 271, 30603-30609 (1996)〕、I
型受容体に分類されているがそのリガンドはこれまで明
らかにされていない。
【0010】一般にTGF−β受容体ファミリーに属す
る受容体の機能は、I型、II型の異なる分子により担わ
れていることが明らかにされており、リガンドはII型受
容体にまず結合し、リガンドとII型受容体の複合体がI
型受容体と複合体を形成し、I型受容体が活性化される
ことにより細胞内にシグナルが伝達される〔Endocrino
l., 141, 2281-2284 (2000) 〕。
【0011】特表平10-510143には、ラット由来のAL
K7が取得され、該ALK7のアミノ酸およびcDNA
の配列が示されており、また該ALK7 mRNAのラ
ットの各臓器における発現分布の解析により、該ALK
7は神経疾患の治療に有効と推定しているが、該ALK
7のリガンドについては、具体的に特定、取得したとの
記載はない。
【0012】一方、アクチビン類はTGF-βスーパーファ
ミリーに属するサイトカインであり、TGF−β等と同
様に二量体構造を有するが、それを構成するサブユニッ
ト(βサブユニットと呼ばれる)は5種類が知られてお
り、哺乳類では、βA、βBの他にβC、βEが存在す
ることが明らかにされている〔Biochem. Biophys. Res.
Commun., 228, 669-674 (1996); Biochim. Biophys. A
cta., 1307, 145-148(1996)〕。これまでに哺乳動物生
体内で蛋白質として発現が確認されているアクチビン類
は、アクチビンA(βA−βA)、アクチビンAB(β
A−βB)、アクチビンB(βB−βB)である。アク
チビン類(アクチビンA、アクチビンAB、アクチビン
B)の受容体構成は、上記したようにTGF−β受容体
ファミリーの典型であり、II型受容体(ActRIIAあるい
はActRIIB)に結合し、その複合体がI型受容体(AL
K4)を活性化することによりシグナルが伝達されるも
のと考えられている〔Endocrinol., 141, 2281-2284 (2
000)〕。また、現在の知見ではアクチビンA、AB、B
の間に明確な活性の相異は認められていない。
【0013】酵素活性を欠損した変異型II型アクチビン
受容体遺伝子や、構成活性型I型アクチビン受容体遺伝
子導入マウスの解析から、アクチビン類が膵臓β細胞の
機能分化に重要である点は指摘されているが〔J. Clin.
Invest., 102, 294-301 (1998)〕、他のTGF−βフ
ァミリーに属する分子との機能の重複性の影響が判別さ
れず、アクチビン類の機能の詳細は明らかにされておら
ず、また、アクチビン類の機能上の相異も示唆されてい
ない。これまでに、βBの発現は下垂体、卵巣などβA
に比較して比較的限局されていることが明らかにされて
きた〔Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 85, 247-251(198
8)〕。その後、βA、βB共に膵臓で発現していること
も報告されているが〔Endocrinology, 133, 624-630 (1
993); FEBS Letters, 319, 217-220 (1993); J. Gastro
intest. Surg., 4, 269-275 (2000)〕、これらの検討結
果はmRNA発現に関する検討を示すのみであり、アク
チビンA、AB、Bに機能上の相異があるとは指摘され
ていない。
【0014】この様に、アクチビン類に関しては、膵臓
機能等に何らかの作用を有することが示唆されてはいる
が、各分子種間において機能上の差異を窺わせる知見は
存在せず、アクチビンA、AB、Bの間に膵臓の発生・
分化並びに機能制御等に異なる機能が担われているとは
予想されていない。以上の様に、膵臓再生因子の探索は
新規膵臓機能改善作用を有する治療薬として注目されて
いるが、実際の医療に応用可能な分子は特定されていな
い。また、ALK7は膵臓β細胞で発現されていること
が明かにされており、膵臓の機能制御等に何らかの役割
を担うことが示唆されてはいるがその具体的機能、およ
びそのリガンドに関しては知られていない。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】成体の膵臓に存在する
と考えられる成体膵幹細胞を、インスリンを分泌し機能
的に成熟した膵β細胞へと分化誘導することができれ
ば、1型および2型糖尿病患者における膵β細胞数の低
下および機能低下を補い糖尿病の根治治療へと繋がる。
こうした活性を有する分子の特定とそれを利用した膵臓
機能を改善する薬剤の開発が望まれている。
【0016】即ち、本発明は、グルコース依存性のイン
シュリン分泌の促進作用を示す物質を糖尿病の治療およ
び/または予防のための医薬として提供することを解決
すべき課題とした。
【0017】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題を
解決すべく鋭意研究し、膵臓β細胞で特異的に発現して
いることが知られているTGF−β受容体ファミリーの
タイプI型受容体に属するALK7のリガンドが公知の
アクチビンABおよびBであることを同定した。さら
に、膵臓β細胞で発現するタイプI型受容体ALK7と
タイプII受容体ActRIIAを介して情報を伝達することを
明らかにした。さらにアクチビンABを膵臓β細胞様の
モデル細胞に投与することでグルコース依存性のインシ
ュリン分泌の促進作用を示すことを見出し、本発明を完
成させた。すなわち、本発明は以下の(1)〜(35)
を提供するものである。
【0018】(1) アクチビンAB、アクチビンB、
およびALK7からなる群より選ばれる蛋白質を有効成
分として含有する糖尿病の治療および/または予防のた
めの医薬。 (2) 下記の何れかの蛋白質を有効成分として含有す
る糖尿病の治療および/または予防のための医薬。 [a]配列番号1で表されるアミノ酸配列からなるポリ
ペプチド、および配列番号2で表されるアミノ酸配列か
らなるポリペプチドから構成される二量体蛋白質; [b]配列番号1で表されるアミノ酸配列からなるポリ
ペプチド、および配列番号2で表されるアミノ酸配列に
おいて1以上のアミノ酸残基が欠失、置換、挿入および
/または付加されたアミノ酸配列からなるポリペプチド
から構成される二量体蛋白質であって、ALK7のリガ
ンドとしての機能を有する蛋白質; [c]配列番号1で表されるアミノ酸配列において1以
上のアミノ酸残基が欠失、置換、挿入および/または付
加されたアミノ酸配列からなるポリペプチド、および配
列番号2で表されるアミノ酸配列からなるポリペプチド
から構成される二量体蛋白質であって、ALK7のリガ
ンドとしての機能を有する蛋白質;または [d]配列番号1で表されるアミノ酸配列において1以
上のアミノ酸残基が欠失、置換、挿入および/または付
加されたアミノ酸配列からなるポリペプチド、および配
列番号2で表されるアミノ酸配列において1以上のアミ
ノ酸残基が欠失、置換、挿入および/または付加された
アミノ酸配列からなるポリペプチドから構成される二量
体蛋白質であって、ALK7のリガンドとしての機能を
有する蛋白質:
【0019】(3) 下記の何れかの蛋白質を有効成分
として含有する糖尿病の治療および/または予防のため
の医薬。 [a]配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるポリ
ペプチドから構成される二量体蛋白質; [b]配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるポリ
ペプチド、および配列番号2で表されるアミノ酸配列に
おいて1以上のアミノ酸残基が欠失、置換、挿入および
/または付加されたアミノ酸配列からなるポリペプチド
から構成される二量体蛋白質であって、ALK7のリガ
ンドとしての機能を有する蛋白質;または [c]配列番号2で表されるアミノ酸配列において1以
上のアミノ酸残基が欠失、置換、挿入および/または付
加されたアミノ酸配列からなるポリペプチドから構成さ
れる二量体蛋白質であって、ALK7のリガンドとして
の機能を有する蛋白質:
【0020】(4) 下記の何れかの蛋白質を有効成分
として含有する糖尿病の治療および/または予防のため
の医薬。 [a]配列番号5および6で表される塩基配列を含むc
DNAによりコードされる蛋白質;または [b]配列番号5および6で表される塩基配列を含むc
DNAによりコードされるアミノ酸配列において1以上
のアミノ酸残基が欠失、置換、挿入および/または付加
されたアミノ酸配列からなる蛋白質であり、かつアクチ
ビンABまたはアクチビンBの受容体蛋白質としての機
能を有する蛋白質:
【0021】(5) 下記の何れかのポリペプチドを有
効成分として含有する糖尿病の治療および/または予防
のための医薬。 [a]配列番号1または2で表されるアミノ酸配列から
なるポリペプチド;または [b]配列番号1または2において1以上のアミノ酸残
基が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ
酸配列からなるポリペプチドであって、かつALK7の
リガンドとしての機能を有する蛋白質を構成するポリペ
プチド;
【0022】(6) 糖尿病の治療および/または予防
のための医薬が、膵臓機能改善作用を有するものである
上記(1)〜(5)のいずれかに記載の医薬。 (7) 糖尿病の治療および/または予防のための医薬
が、膵臓β細胞からのインスリン分泌促進作用を有する
ものである上記(1)〜(5)のいずれかに記載の医
薬。 (8) 糖尿病の治療および/または予防のための医薬
が、膵外分泌細胞および膵内分泌細胞の再生を促進する
作用を有するものである上記(1)〜(5)のいずれか
に記載の医薬。 (9) アクチビンAB、アクチビンB、およびALK
7からなる群より選ばれる蛋白質を有効成分として含有
する、インスリン分泌促進剤。
【0023】(10)アクチビンβA鎖、アクチビンβB
鎖、またはALK7をコードするDNAを含有する、糖
尿病の治療および/または予防のための遺伝子治療剤。 (11)下記の何れかのDNAを含有する、糖尿病の治
療および/または予防のための遺伝子治療剤。 [a]配列番号1または2で表されるアミノ酸配列から
なるポリペプチドをコードするDNA; [b]配列番号1または2で表されるアミノ酸配列にお
いて1以上のアミノ酸残基が欠失、置換、挿入および/
または付加されたアミノ酸配列からなるポリペプチドで
あり、かつALK7のリガンドとしての機能を有する蛋
白質を構成するポリペプチドをコードするDNA;また
は [c]配列番号3および4で表される塩基配列を含むD
NA:
【0024】(12) 下記の何れかのDNAを含有す
る、糖尿病の治療および/または予防のための遺伝子治
療剤。 [a]配列番号5および6で表される塩基配列を含むc
DNAにコードされる蛋白質をコードするDNA;また
は [b]配列番号5および6で表される塩基配列を含むc
DNAにコードされるアミノ酸配列において1以上のア
ミノ酸残基が欠失、置換、挿入および/または付加され
たアミノ酸配列からなる蛋白質であり、かつアクチビン
ABまたはアクチビンBの受容体蛋白質としての機能を
有する蛋白質をコードするDNA:
【0025】(13) 糖尿病の治療および/または予
防のための遺伝子治療剤が、膵臓機能改善作用を有する
ものである上記(10)〜(12)のいずれかに記載の
遺伝子治療剤。 (14) 糖尿病の治療および/または予防のための遺
伝子治療剤が、膵臓β細胞からのインスリン分泌促進作
用を有するものである上記(10)〜(12)のいずれ
かに記載の遺伝子治療剤。 (15) 糖尿病の治療および/または予防のための遺
伝子治療剤が、膵外分泌細胞および膵内分泌細胞の再生
を促進する作用を有するものである上記(10)〜(1
2)のいずれかに記載の遺伝子治療剤。 (16) アクチビンβA鎖、アクチビンβB鎖、または
ALK7をコードするDNAを含有する、インスリン分
泌促進剤。
【0026】(17) 以下の[a]〜[c]のいずれ
かに記載のDNA、オリゴヌクレオチドまたは該オリゴ
ヌクレオチドの誘導体を含有する糖尿病の診断薬。 [a]アクチビンβA鎖、アクチビンβB鎖、またはAL
K7をコードするDNA、またはそれらDNAの部分断
片であるDNA; [b]配列番号3または4で表される塩基配列からなる
DNA、配列番号5および6で表される塩基配列を含む
cDNA、またはそれらDNAの部分断片であるDNA
より選ばれるDNA [c]配列番号3または4で表される塩基配列、または
配列番号5および6で表される塩基配列を含むcDNA
の塩基配列において、連続した5〜60塩基からなる配
列を有するオリゴヌクレオチド、該オリゴヌクレオチド
と相補的な配列を有するオリゴヌクレオチドまたは該オ
リゴヌクレオチドの誘導体
【0027】(18) アクチビンAB、アクチビン
B、ALK7からなる群より選ばれる蛋白質を認識する
抗体を含有する糖尿病の診断薬。 (19) 上記(17)に記載のDNA、オリゴヌクレ
オチドまたは該オリゴヌクレオチドの誘導体、または上
記(18)に記載の抗体を含有する、糖尿病の診断キッ
ト。
【0028】(20) (i)以下の[a]〜[d]の
いずれかに記載のポリペプチドまたは蛋白質を発現する
細胞での該ポリペプチドまたは蛋白質の発現量と、(i
i)該ポリペプチドまたは蛋白質を発現する細胞と被験
試料を接触させた場合の該ポリペプチドまたは蛋白質の
発現量とを比較し、被験試料より以下の[a]〜[d]
のいずれかに記載のポリペプチドまたは蛋白質の発現量
を増大させる化合物を選択することを特徴とする、糖尿
病の治療および/または予防のための医薬のスクリーニ
ング方法。 [a]アクチビンAB、アクチビンB、およびALK7
より選ばれる蛋白質; [b]配列番号1または2で表されるアミノ酸配列から
なるポリペプチド、および配列番号5および6で表され
る塩基配列を含むcDNAにコードされる蛋白質より選
ばれるポリペプチドまたは蛋白質; [c]配列番号1または2で表されるアミノ酸配列から
選ばれるアミノ酸配列において1以上のアミノ酸残基が
欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配
列からなるポリペプチドであり、かつALK7のリガン
ドとしての機能を有する蛋白質を構成するポリペプチ
ド;または [d]配列番号5および6で表される塩基配列を含むc
DNAにコードされるアミノ酸配列において1以上のア
ミノ酸残基が欠失、置換、挿入および/または付加され
たアミノ酸配列からなる蛋白質であり、かつアクチビン
ABまたはアクチビンBの受容体蛋白質としての活性を
有する蛋白質:
【0029】(21) (i)以下の[a]〜[d]の
いずれかに記載のポリペプチドまたは蛋白質を発現する
細胞の機能と、(ii)該ポリペプチドまたは蛋白質を発
現する細胞と被験試料を接触させた場合の細胞の機能と
を比較し、被験試料より細胞の機能を制御する活性を有
する化合物を選択することを特徴とする、糖尿病の治療
および/または予防のための医薬のスクリーニング方
法。 [a]アクチビンAB、アクチビンB、およびALK7
より選ばれる蛋白質; [b]配列番号1または2で表されるアミノ酸配列から
なるポリペプチド、および配列番号5および6で表され
る塩基配列を含むcDNAにコードされる蛋白質より選
ばれるポリペプチドまたは蛋白質; [c]配列番号1または2で表されるアミノ酸配列から
選ばれるアミノ酸配列において1以上のアミノ酸残基が
欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配
列からなるポリペプチドであり、かつALK7のリガン
ドとしての機能を有する蛋白質を構成するポリペプチ
ド;または [d]配列番号5および6で表される塩基配列を含むc
DNAにコードされるアミノ酸配列において1以上のア
ミノ酸残基が欠失、置換、挿入および/または付加され
たアミノ酸配列からなる蛋白質であり、かつアクチビン
ABまたはアクチビンBの受容体蛋白質としての活性を
有する蛋白質:
【0030】(22) 細胞が、II型アクチビン受容体
を発現している細胞である、上記(20)または(2
1)に記載のスクリーニング方法。 (23) 細胞が、膵臓β細胞種細胞である上記(2
0)〜(22)のいずれかに記載のスクリーニング方
法。 (24) 以下の[a]〜[d]のいずれかに記載のポ
リペプチドまたは蛋白質をコードする遺伝子の転写を制
御する領域の下流にレポーター遺伝の連結されたDNA
を含むDNAで形質転換された形質転換体と被験試料を
接触させ、被験試料より以下の[a]〜[d]のいずれ
かに記載のポリペプチドまたは蛋白質をコードする遺伝
子の発現を増大させる化合物を選択することを特徴とす
る、糖尿病の治療および/または予防のための医薬のス
クリーニング方法。 [a]アクチビンAB、アクチビンB、およびALK7
より選ばれる蛋白質; [b]配列番号1または2で表されるアミノ酸配列から
なるポリペプチド、および配列番号5および6で表され
る塩基配列を含むcDNAにコードされる蛋白質より選
ばれるポリペプチドまたは蛋白質; [c]配列番号1または2で表されるアミノ酸配列から
選ばれるアミノ酸配列において1以上のアミノ酸残基が
欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配
列からなるポリペプチドであり、かつALK7のリガン
ドとしての機能を有する蛋白質を構成するポリペプチ
ド;または [d]配列番号5および6で表される塩基配列を含むc
DNAにコードされるアミノ酸配列において1以上のア
ミノ酸残基が欠失、置換、挿入および/または付加され
たアミノ酸配列からなる蛋白質であり、かつアクチビン
ABまたはアクチビンBの受容体蛋白質としての活性を
有する蛋白質:
【0031】(25) 糖尿病の治療および/または予
防のための医薬が膵臓機能改善作用を有する化合物であ
る(20)〜(24)のいずれかに記載の方法。 (26) 糖尿病の治療および/または予防のための医
薬が膵臓β細胞からのインスリン分泌促進作用を有する
化合物である上記(20)〜(24)のいずれかに記載
の方法。 (27) 糖尿病の治療および/または予防のための医
薬が膵外分泌細胞または膵内分泌細胞の再生を促進する
作用を有する化合物である上記(20)〜(24)のい
ずれかに記載の方法。 (28) 上記(20)〜(24)のいずれかに記載の
方法によって得られる化合物、またはその薬理学的に許
容される塩。
【0032】(29) 上記(28)に記載の化合物、
またはその薬理学的に許容される塩を含有する糖尿病の
治療および/または予防のための医薬。 (30) ALK7を認識する抗体と上記(28)に記
載の化合物またはその薬理学的に許容される塩とを結合
して得られる、糖尿病の治療および/または予防のため
の医薬。 (31) 膵臓機能改善作用を有する医薬である、上記
(29)または(30)に記載の糖尿病の治療および/
または予防のための医薬。 (32) 膵臓β細胞からのインスリン分泌促進作用を
有する医薬である上記(29)または(30)に記載の
糖尿病の治療および/または予防のための医薬。 (33) 膵外分泌細胞または膵内分泌細胞の再生を促
進する作用を有する医薬である上記(29)または(3
0)に記載の糖尿病の治療および/または予防のための
医薬。
【0033】(34) ALK7を認識する抗体とAL
K7に作用する糖尿病の治療および/または予防のため
の医薬とを結合して得られる融合抗体を膵臓へ選択的に
蓄積させることを特徴とする、糖尿病の治療および/ま
たは予防のための医薬の輸送方法。 (35) 糖尿病の治療および/または予防のための医
薬が、上記(28)に記載の化合物またはその薬理学的
に許容される塩である上記(34)に記載の方法。
【0034】本発明のさらに別の側面によれば、治療お
よび/または予防に有効量の上記(1)から(5)の何
れかに記載の蛋白質またはポリペプチドを、ヒトを含む
哺乳動物に投与することを含む、糖尿病の治療および/
または予防のための方法が提供される。本発明のさらに
別の側面によれば、糖尿病の治療および/または予防の
ための医薬の製造における、上記(1)から(5)の何
れかに記載の蛋白質またはポリペプチドの使用が提供さ
れる。
【0035】本発明のさらに別の側面によれば、治療お
よび/または予防に有効量の上記(10)から(12)
の何れかに記載のDNAを、ヒトを含む哺乳動物に投与
することを含む、糖尿病の治療および/または予防のた
めの方法が提供される。本発明のさらに別の側面によれ
ば、糖尿病の治療および/または予防のための遺伝子治
療剤の製造における、上記(10)から(12)の何れ
かに記載のDNAの使用が提供される。
【0036】
【発明の実施の形態】本発明の医薬に含有される蛋白質
としては、アクチビンAB、アクチビンB、ALK7を
挙げることができる。アクチビンAB、アクチビンB
は、ALK7のリガンド蛋白質としての活性を有する蛋
白質であれば、天然物由来の蛋白質でも、遺伝子工学的
手法により製造された蛋白質であってもよく、例えば天
然由来の該蛋白質としては、ヒト、サル、ブタ、ウシ、
ヒツジ、ウマ、ラットなどあらゆる哺乳動物由来のAL
K7のリガンド蛋白質を挙げることができる。アクチビ
ンABの具体的例としては、配列番号1で表されるアミ
ノ酸配列からなるポリペプチドと配列番号2で表される
アミノ酸配列を有するポリペプチドより構成される二量
体蛋白質を挙げることができ、アクチビンBの具体的例
としては配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるポ
リペプチドにより構成される二量体蛋白質を挙げること
ができる。ALK7は、ALK7としての活性、すなわ
ちアクチビンABまたはアクチビンBで活性化され、細
胞のインスリン分泌を促進する活性を有する蛋白質であ
れば天然物由来の蛋白質でも、遺伝子工学的手法により
製造された蛋白質であってもよく、例えば天然由来の該
蛋白質としては、ヒト、サル、ブタ、ウシ、ヒツジ、ウ
マ、ラットなどあらゆる哺乳動物由来のALK7を挙げ
ることができる。ALK7の具体的例としては、配列番
号9で表されるアミノ酸配列からなる蛋白質を挙げるこ
とができる。
【0037】また、本発明の医薬に含有される蛋白質と
しては、(a)配列番号1で表されるアミノ酸配列にお
いて1以上のアミノ酸残基が欠失、置換、挿入および/
または付加されたアミノ酸配列からなるポリペプチドと
配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるポリペプチ
ドより構成される二量体蛋白質でありかつALK7リガ
ンドとしての活性を有する蛋白質、(b)配列番号1で
表されるアミノ酸配列において1以上のアミノ酸残基が
欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配
列からなるポリペプチドと配列番号2で表されるアミノ
酸配列において1以上のアミノ酸残基が欠失、置換、挿
入および/または付加されたアミノ酸配列からなるポリ
ペプチドより構成される二量体蛋白質でありかつALK
7リガンドとしての活性を有する蛋白質、(c)配列番
号2で表されるアミノ酸配列からなるポリペプチドと配
列番号2で表されるアミノ酸配列において1以上のアミ
ノ酸残基が欠失、置換、挿入および/または付加された
アミノ酸配列からなるポリペプチドにより構成される二
量体蛋白質でありかつALK7リガンドとしての活性を
有する蛋白質、(d)配列番号2で表されるアミノ酸配
列において1以上のアミノ酸残基が欠失、置換、挿入お
よび/または付加されたアミノ酸配列からなるポリペプ
チドにより構成される二量体蛋白質でありかつALK7
リガンドとしての活性を有する蛋白質、(e)配列番号
5および6で表される塩基配列を含むcDNAにコード
されるアミノ酸配列において1以上のアミノ酸残基が欠
失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列
からなる蛋白質でありかつALK7の活性を有する蛋白
質、も挙げられる。
【0038】また、本発明の医薬に含有されるポリペプ
チドとしては、アクチビンβA鎖、およびアクチビンβ
B鎖を挙げることができる。具体的には、配列番号1で
表されるアミノ酸配列からなるポリペプチド、および配
列番号2で表されるアミノ酸配列からなるポリペプチド
をあげることができる。さらに、配列番号1で表される
アミノ酸配列において1以上のアミノ酸残基が欠失、置
換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からな
るポリペプチドでありかつ、アクチビンABとしての活
性を有する蛋白質を構成するポリペプチド、配列番号2
で表されるアミノ酸配列において1以上のアミノ酸残基
が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸
配列からなるポリペプチドでありかつ、アクチビンAB
またはアクチビンBとしての活性を有する蛋白質を構成
するポリペプチドも、本発明の医薬に含有されるポリペ
プチドとして挙げられる。
【0039】さらには、上記蛋白質またはポリペプチド
に様々なポリペプチドを付加した上記蛋白質またはポリ
ペプチドとの融合蛋白質も本発明の医薬に含有される蛋
白質またはポリペプチドである。融合蛋白質の例として
は、マルトース結合蛋白質、オリゴ・ヒスチジン、抗体
ペプチドエピトープ、ヒト免疫グロブリン定常領域、プ
ロテインAなどを結合した融合蛋白質を挙げることがで
きる。また、融合蛋白は公知の手法により特異的に切断
可能な配列を有することもできる。
【0040】配列番号1または2で表されるアミノ酸配
列、または配列番号5および6で表される塩基配列を含
むcDNAにコードされるアミノ酸配列において1以上
のアミノ酸残基が欠失、置換、挿入および/または付加
されたアミノ酸配列からなり、かつアクチビンAB、ア
クチビンBまたはALK7としての活性を有する蛋白
質、またはアクチビンABまたはアクチビンBとしての
活性を有する蛋白質を構成するポリペプチドは、Molecu
lar Cloning, A Laboratory Manual, Second Edition,
Cold Spring Harbor Laboratory Press (1989)(以下、
モレキュラー・クローニング第2版と略す)、Current
Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons
(1987-1997)(以下、カレント・プロトコールズ・イン
・モレキュラー・バイオロジーと略す)、Nucleic Acid
s Research, 10, 6487 (1982)、Proc. Natl. Acad. Sc
i. USA, 79, 6409(1982)、Gene, 34, 315 (1985)、Nucl
eic Acids Research, 13, 4431 (1985)、Proc. Natl. A
cad. Sci. USA, 82, 488 (1985) 等に記載の部位特異的
変異導入法を用いて、例えば配列番号1または2で表さ
れるアミノ酸配列からなるポリペプチド、または配列番
号5および6で表される塩基配列を含むcDNAにコー
ドされる蛋白質をコードするDNAに部位特異的変異を
導入することにより、取得することができる。
【0041】欠失、置換、挿入および/または付加され
るアミノ酸の数は1以上であり上限は特に限定されない
が、上記の部位特異的変異法等の周知の方法により欠
失、置換もしくは付加できる程度の数であり、1個から
数十個、好ましくは1〜20個、より好ましくは1〜1
0個、さらに好ましくは1〜5個である。
【0042】本発明の医薬に含有される蛋白質またはポ
リペプチドのアミノ酸配列において1以上のアミノ酸残
基が欠失、置換、挿入および/または付加されたとは、
同一配列中の任意かつ1もしくは複数のアミノ酸配列中
の位置において、1または複数のアミノ酸残基の欠失、
置換、挿入および/または付加があることを意味し、欠
失、置換、挿入および/または付加が同時に生じてもよ
く、置換、挿入または付加されるアミノ酸残基は天然型
と非天然型とを問わない。天然型アミノ酸残基として
は、L-アラニン、L-アスパラギン、L-アスパラギン酸、
L-グルタミン、L-グルタミン酸、グリシン、L-ヒスチジ
ン、L-イソロイシン、L-ロイシン、L-リジン、L-アルギ
ニン、L-メチオニン、L-フェニルアラニン、L-プロリ
ン、L-セリン、L-スレオニン、L-トリプトファン、L-チ
ロシン、L-バリン、L-システインなどが挙げられる。
【0043】以下に、相互に置換可能なアミノ酸残基の
例を示す。同一群に含まれるアミノ酸残基は相互に置換
可能である。 A群:ロイシン、イソロイシン、ノルロイシン、バリ
ン、ノルバリン、アラニン、2-アミノブタン酸、メチオ
ニン、O-メチルセリン、t-ブチルグリシン、t-ブチル
アラニン、シクロヘキシルアラニン B群:アスパラギン酸、グルタミン酸、イソアスパラギ
ン酸、イソグルタミン酸、2-アミノアジピン酸、2-アミ
ノスベリン酸 C群:アスパラギン、グルタミン D群:リジン、アルギニン、オルニチン、2,4-ジアミノ
ブタン酸、2,3-ジアミノプロピオン酸 E群:プロリン、3-ヒドロキシプロリン、4-ヒドロキシ
プロリン F群:セリン、スレオニン、ホモセリン G群:フェニルアラニン、チロシン
【0044】また、本発明の医薬に含有される蛋白質ま
たはポリペプチドが、アクチビンABまたはアクチビン
Bとしての活性を有する蛋白質またはアクチビンABま
たはアクチビンBとしての活性を有する蛋白質を構成す
るポリペプチドであるためには、配列番号1または2で
表されるアミノ酸配列と、少なくとも60%以上、通常
は80%以上、特に95%以上の同一性を有しているこ
とが好ましい。また、本発明の医薬に含有される蛋白質
がALK7としての活性を有するためには、配列番号5
および6で表される塩基配列を含むcDNAによりコー
ドされるアミノ酸配列と、少なくとも60%以上、通常
は80%以上、特に95%以上の同一性を有しているこ
とが好ましい。
【0045】アミノ酸配列や塩基配列の同一性は、Karl
in and AltschulによるアルゴリズムBLAST〔Pro. Natl.
Acad. Sci. USA, 90, 5873(1993)〕やFASTA〔Methods
Enzymol., 183, 63 (1990)〕を用いて決定することがで
きる。このアルゴリズムBLASTに基づいて、BLASTNやBLA
STXとよばれるプログラムが開発されている〔J. Mol. B
iol., 215, 403(1990)〕。BLASTに基づいてBLASTNによ
って塩基配列を解析する場合には、パラメーターは例え
ばScore=100、wordlength=12とする。また、BLASTに
基づいてBLASTXによってアミノ酸配列を解析する場合に
は、パラメーターは例えばscore=50、wordlength=3と
する。BLASTとGapped BLASTプログラムを用いる場合に
は、各プログラムのデフォルトパラメーターを用いる。
これらの解析方法の具体的な手法は公知である(http:/
/www.ncbi.nlm.nih.gov.)。
【0046】本発明の医薬に含有される蛋白質又はポリ
ペプチドが、ALK7のリガンドとしての活性を有して
いるか否を確認する方法としては、例えば、II型アクチ
ビン受容体とALK7とを発現する組換え細胞と該蛋白
質とを接触させたときの細胞の応答を測定する方法、ま
たは膵臓β細胞の形質を保有する培養細胞と該ポリペプ
チドまたは蛋白質を接触させたときの該培養細胞からの
インスリン分泌量を測定する方法などをあげることがで
きる。
【0047】細胞の応答の例としては、アラキドン酸遊
離、アセチルコリン遊離、細胞内Ca2+遊離、細胞内c
AMP生成、細胞内cAMP減少、細胞内cGMP生
成、イノシトールリン酸産生、細胞膜電位変動、細胞内
蛋白質のリン酸化、c−fos活性化、pHの低下、細
胞増殖活性、メラニン色素の凝集または拡散、またはレ
ポーター遺伝子の発現量などをあげることができる。
【0048】本発明の医薬に含有される蛋白質が、AL
K7としての活性を有しているか否かを確認する方法と
しては、II型アクチビン受容体と該蛋白質とを発現させ
た組み換え細胞とアクチビンABまたはアクチビンBを
接触させたときの該細胞の応答又は該細胞からのインス
リン分泌量を測定する方法などを挙げることができる。
細胞応答の例としては上記の応答をあげることができ
る。
【0049】1.アクチビンAB、アクチビンBおよび
ALK7の取得方法 アクチビンABおよびアクチビンBのように、完全長c
DNAが公知である場合、該完全長cDNAをもとに、
必要に応じて、該蛋白質をコードする部分を含む適当な
長さのDNA断片を調製する。
【0050】ヒトALK7のように、完全長cDNAが
公知でない場合、配列番号10で表される塩基配列を有
するラット由来のALK7遺伝子、または公知のヒトA
LK7のEST(expressed sequnece tag)をプローブ
に用いて、例えばヒト膵臓cDNAライブラリーをスク
リーニングすることにより、ヒトALK7をコードする
cDNAを単離することができる。得られたcDNAが
全長cDNAでない場合は、このクローンをプローブと
したcDNAライブラリーのスクリーニングや、RAC
E法〔rapid amplification of cDNA ends; Frohman MA
et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 85, 8998 (19
88)〕により全長のcDNAを取得することができる。
【0051】得られたcDNAクローンの塩基配列をD
NAシークエンサー等を用いて決定し、その塩基配列に
ついて各フレームでアミノ酸配列に翻訳した後、公知の
ラット由来のALK7のアミノ酸配列と比較することに
より、取得されたcDNAがヒトALK7をコードする
DNAであるかを確認することができる。取得されたヒ
トALK7をコードするDNAを用いて、上記したよう
に必要に応じて適当な長さのDNA断片を調製する。
【0052】該DNA断片、あるいは完全長cDNAを
発現ベクター内のプロモーターの下流に挿入することに
より、該蛋白質の組換発現ベクターを作製する。具体的
には、例えば、配列番号1または2で表されるアミノ酸
配列からなるポリペプチドをコードするcDNA、ある
いは配列番号5および6で表される塩基配列を含む完全
長cDNAが挿入された発現ベクターを作製する。ある
いは、配列番号1で表されるアミノ酸配列からなるポリ
ペプチドをコードするcDNAと配列番号2で表される
アミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするcDN
Aとが独立のプロモーターにより発現調節されるように
配置された同一の発現ベクター内に挿入されていても良
い。
【0053】該組換発現ベクターを、該発現ベクターに
適合した宿主細胞内に導入する。宿主細胞としては、目
的とするDNAを発現できるものは全て用いることがで
き、例えば、エシェリヒア(Escherichia)属、セラチ
ア(Serratia)属、コリネバクテリウム(Corynebacter
ium)属、ブレビバクテリウム(Brevibacterium)属、
シュードモナス(Pseudomonas)属、バチルス(Bacillu
s)属、ミクロバクテリウム(Microbacterium)属等に
属する細菌、クルイベロミセス(Kluyveromyces)属、
サッカロマイセス(Saccharomyces)属、シゾサッカロ
マイセス(Shizosaccharomyces)属、トリコスポロン
Trichosporon)属、シワニオミセス(Schwanniomyce
s)属等に属する酵母や動物細胞、昆虫細胞等を用いる
ことができる。
【0054】発現ベクターとしては、宿主細胞において
自立複製可能ないしは染色体中への組込みが可能で、該
DNAを転写できる位置にプロモーターを含有している
ものが用いられる。
【0055】細菌を宿主細胞として用いる場合は、該D
NA組換発現ベクターは該細菌中で自立複製可能である
と同時に、プロモーター、リボソーム結合配列、該ポリ
ペプチドのDNAおよび転写終結配列より構成された組
換発現ベクターであることが好ましい。ベクターにはプ
ロモーターを制御する遺伝子が含まれていてもよい。
【0056】発現ベクターとしては、例えば、pBTrp2、
pBTac1、pBTac2(いずれもベーリンガーマンハイム社
製)、pKK233-2(Amersham Pharmacia Biotech社製)、
pSE280(Invitrogen社製)、pGEMEX-1(Promega社製)、p
QE-8(QIAGEN社製)、pKYP10〔特開昭58-110600〕、pKY
P200〔Agricultural Biological Chemistry, 48, 669
(1984)〕、pLSA1〔Agric. Biol. Chem., 53, 277 (198
9)〕、pGEL1〔Proc. Natl.Acad. Sci. USA, 82, 4306
(1985)〕、pBluescript II SK(-)(Stratagene社製)、
pGEX(Amersham Pharmacia Biotech社製)、pET-3(Nov
agen社製)、pTerm2(USP4686191、USP4939094、USP5160
735)、pSupex、pUB110、pTP5、pC194、pEG400〔J. Bact
eriol., 172, 2392 (1990)〕等を例示することができ
る。
【0057】発現ベクターとしては、リボソーム結合配
列であるシャイン−ダルガノ(Shine-Dalgarno)配列と
開始コドンとの間を適当な距離(例えば6〜18塩基)
に調節したものを用いることが好ましい。
【0058】プロモーターとしては、宿主細胞中で機能
するものであればいかなるものでもよい。例えば、trp
プロモーター(Ptrp)、lacプロモーター(Plac)、P
Lプロモーター、PRプロモーター、T7プロモーター等の
大腸菌やファージ等に由来するプロモーター、SPO1
プロモーター、SPO2プロモーター、penPプロモ
ーター等を挙げることができる。またPtrpを2つ直列
させたプロモーター(Ptrpx2)、tacプロモーター、
letIプロモーター〔Gene, 44, 29(1986)〕、lacT7プロ
モーターのように人為的に設計改変されたプロモーター
等も用いることができる。
【0059】アクチビンAB、アクチビンB、およびA
LK7をコードする部分のDNAの塩基配列を、宿主細
胞での発現に最適なコドンとなるように置換することに
より、目的とするポリペプチドまたは蛋白質の生産率を
向上させることができる。上記ポリペプチドまたは蛋白
質をコードするDNAの発現には転写終結配列は必ずし
も必要ではないが、好適には構造遺伝子直下に転写終結
配列を配置することが望ましい。
【0060】宿主細胞としては、エシェリヒア属、セラ
チア属、コリネバクテリウム属、ブレビバクテリウム
属、シュードモナス属、バチルス属、ミクロバクテリウ
ム属等に属する微生物、例えば、Escherichia coli XL1
-Blue、Escherichia coli XL2-Blue、Escherichia coli
DH1、Escherichia coli MC1000、Escherichia coli KY
3276、Escherichia coli W1485、Escherichia coli JM1
09、Escherichia coli HB101、Escherichia coli No.4
9、Escherichia coli W3110、Escherichia coli NY49、
Bacillus subtilisBacillus amyloliquefaciensBre
vibacterium ammoniagenesBrevibacterium immarioph
ilum ATCC14068、Brevibacterium saccharolyticum ATC
C14066、Corynebacterium glutamicum ATCC13032、Cory
nebacteriumglutamicum ATCC14067、Corynebacterium g
lutamicum ATCC13869、Corynebacte rium acetoacidophi
lum ATCC13870、Microbacterium ammoniaphilum ATCC15
354、Pseudomonas sp. D-0110等を挙げることができ
る。
【0061】組換発現ベクターの導入方法としては、上
記宿主細胞へDNAを導入する方法であればいずれも用
いることができ、例えば、カルシウムイオンを用いる方
法〔Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 69, 2110 (197
2)〕、プロトプラスト法〔特開昭63-248394〕、またはG
ene, 17, 107 (1982)やMolecular & General Genetics,
168, 111 (1979)に記載の方法等を挙げることができ
る。
【0062】酵母を宿主細胞として用いる場合には、発
現ベクターとして、例えば、YEp13(ATCC3711
5)、YEp24(ATCC37051)、YCp50(ATCC3741
9)、pHS19、pHS15等を例示することができ
る。
【0063】プロモーターとしては、酵母中で機能する
ものであればいかなるものでもよく、例えば、PHO5
プロモーター、PGKプロモーター、GAPプロモータ
ー、ADHプロモーター、gal 1プロモーター、g
al 10プロモーター、ヒートショック蛋白質プロモ
ーター、MFα1プロモーター、CUP 1プロモータ
ー等を挙げることができる。
【0064】宿主細胞としては、サッカロミセス・セレ
ビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、シゾサッカロ
ミセス・ポンベ(Schizosaccharomyces pombe)、クリ
ュイベロミセス・ラクチス(Kluyveromyces lactis)、
トリコスポロン・プルランス(Trichosporon pullulan
s)、シュワニオミセス・アルビウス(Schwanniomyces
alluvius)等を挙げることができる。
【0065】組換発現ベクターの導入方法としては、酵
母にDNAを導入する方法であればいずれも用いること
ができ、例えば、エレクトロポレーション法〔Methods.
inEnzymol., 194, 182 (1990)、スフェロプラスト法
〔Proc. Natl. Acad. Sci., USA, 75, 1929 (1978)〕、
酢酸リチウム法〔J. Bacteriol., 153, 163 (1983)〕、
Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 75, 1929 (1978)に記載
の方法等を挙げることができる。
【0066】動物細胞を宿主細胞として用いる場合に
は、発現ベクターとして、例えば、pcDNA1.1(In
vitrogen社製)、pCDM8(Invitrogen社製)、pA
GE107〔特開平3-22979;Cytotechnology, 3, 133
(1990)〕、pAS3−3(特開平2-227075)、pcDN
A1.1/Amp(Invitrogen社製)、pREP4(In
vitrogen社製)、pAGE103〔J. Biochem., 101,
1307(1987)〕、pAGE210等を例示することができ
る。
【0067】プロモーターとしては、動物細胞中で機能
するものであればいずれも用いることができ、例えば、
サイトメガロウイルス(ヒトCMV)のIE(imme
diate early)遺伝子のプロモーター、SV
40の初期プロモーター、レトロウイルスのプロモータ
ー、メタロチオネインプロモーター、ヒートショック蛋
白質プロモーター、SRαプロモーター等をあげること
ができる。また、ヒトCMVのIE遺伝子のエンハンサ
ーをプロモーターと共に用いてもよい。
【0068】宿主細胞としては、ヒトの細胞であるナマ
ルバ(Namalwa)細胞、サルの細胞であるCOS細胞、
チャイニーズ・ハムスターの細胞であるCHO細胞、H
BT5637〔特開昭63-299〕等をあげることができ
る。
【0069】組換発現ベクターの導入法としては、動物
細胞にDNAを導入できるいかなる方法も用いることが
でき、例えば、エレクトロポーレーション法〔Cytotech
nology, 3, 133 (1990)〕、リン酸カルシウム法(特開
平2-227075)、リポフェクション法〔Proc. Natl. Aca
d. Sci., USA, 84, 7413 (1987)、Virology, 52, 456
(1973)〕等を用いることができる。
【0070】昆虫細胞を宿主細胞として用いる場合に
は、例えばバキュロウイルス・エクスプレッション・ベ
クターズ,ア・ラボラトリー・マニュアル(Baculoviru
s Expression Vectors, A Laboratory Manual)、カレ
ント・プロトコールズ・イン・モレキュラー・バイオロ
ジーサプルメント1−38(1987-1997)、Bio/Technolog
y, 6, 47 (1988)等に記載された方法によって、ポリペ
プチドまたは蛋白質を発現することができる。
【0071】即ち、組換え遺伝子導入ベクターおよびバ
キュロウイルスを昆虫細胞に共導入して昆虫細胞培養上
清中に組換えウイルスを得た後、さらに組換えウイルス
を昆虫細胞に感染させ、ポリペプチドまたは蛋白質を発
現させることができる。遺伝子導入用ベクターとして
は、例えば、pVL1392、pVL1393、pBl
ueBacIII(ともにInvitrogen社製)等をあげるこ
とができる。バキュロウイルスとしては、例えば、夜盗
蛾科昆虫に感染するウイルスであるアウトグラファ・カ
リフォルニカ・ヌクレアー・ポリヘドロシス・ウイルス
(Autographa californica nuclear polyhedrosis viru
s)等を用いることができる。
【0072】昆虫細胞としては、Spodoptera frugiperd
aの卵巣細胞であるSf9、Sf21〔Baculovirus Exp
ression Vectors, A Laboratory Manual、W.H.Freeman
andCompany,New York,(1992)〕、Trichoplusia ni
卵巣細胞であるHigh 5(Invitrogen社製)等を用
いることができる。
【0073】組換えウイルスを調製するための、昆虫細
胞への上記組換え遺伝子導入ベクターと上記バキュロウ
イルスの共導入方法としては、例えば、リン酸カルシウ
ム法〔特開平2-227075〕、リポフェクション法〔Proc.
Natl. Acad. Sci., USA, 84,7413 (1987)〕等をあげる
ことができる。
【0074】遺伝子の発現方法としては、直接発現以外
に、モレキュラー・クローニング第2版に記載されてい
る方法等に準じて、分泌生産、融合蛋白質発現等を行う
ことができる。酵母、動物細胞または昆虫細胞により発
現させた場合には、糖あるいは糖鎖が付加されたポリペ
プチドまたは蛋白質を得ることができる。
【0075】該蛋白質のDNAを組み込んだ組換え体D
NAを保有する形質転換体を培地に培養し、培養物中に
目的ポリペプチドまたは目的蛋白質を生成蓄積させ、該
培養物より該ポリペプチドまたは蛋白質を採取すること
により、目的ポリペプチドまたは目的蛋白質を製造する
ことができる。アクチビンAB、アクチビンBまたはA
LK7を製造するための形質転換体を培地に培養する方
法は、宿主細胞の培養に用いられる通常の方法に従って
行うことができる。
【0076】上記形質転換体が大腸菌等の原核生物、酵
母等の真核生物を宿主細胞とする場合、これら形質転換
体を培養する培地は、該宿主細胞が資化し得る炭素源、
窒素源、無機物等を含有し、形質転換体の培養を効率的
に行える培地であれば天然培地、合成培地のいずれでも
よい。
【0077】炭素源としては、それぞれの宿主細胞が資
化し得るものであればよく、グルコース、フラクトー
ス、スクロース、これらを含有する糖蜜、デンプンある
いはデンプン加水分解物等の炭水化物、酢酸、プロピオ
ン酸等の有機酸、エタノール、プロパノールなどのアル
コール類を用いることができる。
【0078】窒素源としては、アンモニア、塩化アンモ
ニウム、硫酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、リン酸
アンモニウム等の各種無機酸若しくは有機酸のアンモニ
ウム塩、その他含窒素化合物、並びに、ペプトン、肉エ
キス、酵母エキス、コーンスチープリカー、カゼイン加
水分解物、大豆粕および大豆粕加水分解物、各種発酵菌
体およびその消化物等が用いられる。
【0079】無機物としては、リン酸第一カリウム、リ
ン酸第二カリウム、リン酸マグネシウム、硫酸マグネシ
ウム、塩化ナトリウム、硫酸第一鉄、硫酸マンガン、硫
酸銅、炭酸カルシウム等を用いることができる。
【0080】培養は、振盪培養または深部通気攪拌培養
などの好気的条件下で行う。培養温度は15〜40℃が
よく、培養時間は、通常16時間〜7日間である。培養
中pHは、3.0〜9.0に保持する。pHの調整は、
無機あるいは有機の酸、アルカリ溶液、尿素、炭酸カル
シウム、アンモニアなどを用いて行う。また培養中必要
に応じて、アンピシリンやテトラサイクリン等の抗生物
質を培地に添加してもよい。
【0081】プロモーターとして誘導性のプロモーター
を有する発現ベクターを用いた形質転換体を培養すると
きには、必要に応じてインデューサーを培地に添加して
もよい。例えば、lacプロモーターを有する発現ベクタ
ーを用いた形質転換体を培養するときにはイソプロピル
−β−D−チオガラクトピラノシド(IPTG)等を、
trpプロモーターを有する発現ベクターを用いた形質転
換体を培養するときにはインドールアクリル酸(IA
A)等を培地に添加してもよい。
【0082】動物細胞を宿主細胞として得られた形質転
換体を培養する培地としては、一般に使用されているR
PMI1640培地〔The Journal of the American Me
dical Association, 199, 519 (1967)〕、Eagleの
MEM培地〔Science, 122,501 (1952)〕、ダルベッコ
改変MEM培地〔Virology, 8, 396 (1959)〕、199
培地〔Proceeding of the Society for the Biological
Medicine, 73, 1 (1950)〕またはこれら培地に牛胎児
血清等を添加した培地等を用いることができる。
【0083】培養は、通常pH6〜8、30〜40℃、
5%CO2存在下等の条件下で1〜7日間行う。また、
培養中必要に応じて、カナマイシン、ペニシリン等の抗
生物質を培地に添加してもよい。
【0084】昆虫細胞を宿主細胞として得られた形質転
換体を培養する培地としては、一般に使用されているT
NM−FH培地(Pharmingen社製)、Sf−900 I
ISFM培地(Life Technologies社製)、ExCel
l400、ExCell405(いずれもJRH Bioscien
ces社製)、Grace's Insect Medium〔Grace, T.C.C.,Na
ture, 195, 788 (1962)〕等を用いることができる。培
養は、通常pH6〜7、25〜30℃等の条件下で、1
〜5日間行う。また、培養中必要に応じて、ゲンタマイ
シン等の抗生物質を培地に添加してもよい。
【0085】形質転換体の培養物から、目的ポリペプチ
ドまたは目的蛋白質を単離精製するには、通常のポリペ
プチドまたは蛋白質の単離、精製法を用いればよい。例
えば、ポリペプチドまたは蛋白質が、細胞内に溶解状態
で産生した場合には、培養終了後、細胞を遠心分離によ
り回収し水系緩衝液にけん濁後、超音波破砕機、フレン
チプレス、マントンガウリンホモゲナイザー、ダイノミ
ル等により細胞を破砕し、無細胞抽出液を得る。該無細
胞抽出液を遠心分離することにより得られた上清から、
通常のポリペプチドまたは蛋白質の単離精製法、即ち、
溶媒抽出法、硫安等による塩析法、脱塩法、有機溶媒に
よる沈殿法、ジエチルアミノエチル(DEAE)−セフ
ァロース、DIAION HPA-75(三菱化学社製)等レジンを
用いた陰イオン交換クロマトグラフィー法、S-Sepharos
e FF(Amersham Pharmacia Biotech社製)等のレジンを用
いた陽イオン交換クロマトグラフィー法、ブチルセファ
ロース、フェニルセファロース等のレジンを用いた疎水
性クロマトグラフィー法、分子篩を用いたゲルろ過法、
アフィニティークロマトグラフィー法、クロマトフォー
カシング法、等電点電気泳動等の電気泳動法等の手法を
単独あるいは組み合わせて用い、ポリペプチドまたは蛋
白質の精製標品を得ることができる。
【0086】また、ポリペプチドまたは蛋白質が細胞内
に不溶体を形成して産生した場合は、細胞を回収後破砕
し、遠心分離することにより、沈殿画分としてポリペプ
チドまたは蛋白質の不溶体を回収する。回収したポリペ
プチドまたは蛋白質の不溶体を蛋白質変性剤で可溶化す
る。可溶化液を希釈あるいは透析して、可溶化液中の蛋
白質変性剤の濃度を下げることにより、ポリペプチドま
たは蛋白質の構造を正常な立体構造に戻した後、上記と
同様の単離精製法によりポリペプチドまたは蛋白質の精
製標品を得る。
【0087】ポリペプチドまたは蛋白質あるいはその糖
修飾体等が細胞外に分泌された場合には、培養上清か
ら、該ポリペプチドまたは蛋白質あるいはその糖修飾体
等を回収することができる。即ち、培養物から遠心分離
等の手法により培養上清を回収し、該培養上清から、上
記と同様の単離精製法を用いることにより、精製標品を
得ることができる。
【0088】このようにして取得されるポリペプチドま
たは蛋白質として、例えば、配列番号1および2で表さ
れるアミノ酸配列を有するポリペプチド、配列番号1お
よび2で表されるアミノ酸配列を有するポリペプチドか
ら構成される二量体蛋白質、配列番号2で表されるアミ
ノ酸配列を有するポリペプチドから構成される二量体蛋
白質および配列番号5および6で表される塩基配列を含
むcDNAにコードされる蛋白質等をあげることができ
る。
【0089】また、該ポリペプチドまたは蛋白質を、F
moc法(フルオレニルメチルオキシカルボニル法)、t
Boc法(t-ブチルオキシカルボニル法)等の化学合成法
によっても製造することができる。また、米国Advanced
ChemTech社製、Perkin-Elmer社製、Amersham Pharmaci
a Biotech社製、米国Protein Technology Instrument社
製、米国Synthecell-Vega社製、米国PerSeptive社製、
島津製作所社製等のペプチド合成機を利用し合成するこ
ともできる。
【0090】2.アクチビンAB、アクチビンBまたは
ALK7を特異的に認識する抗体の作製 上記1で取得されるポリペプチドまたは蛋白質の部分断
片精製標品、あるいは配列番号1または2で表されるア
ミノ酸配列、配列番号5および6で表される塩基配列を
含むcDNAにコードされる蛋白質のアミノ酸配列を用
いて、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体等、ア
クチビンAB、アクチビンBまたはALK7を認識する
抗体を作製することができる。
【0091】(1)ポリクローナル抗体の作製 アクチビンAB、アクチビンBまたはALK7または該
蛋白質の部分断片ポリペプチドの精製標品、あるいは該
蛋白質の一部のアミノ酸配列を有するペプチドを抗原と
して用い、動物に投与することによりポリクローナル抗
体を作製することができる。投与する動物として、ウサ
ギ、ヤギ、ラット、マウス、ハムスター等を用いること
ができる。
【0092】該抗原の投与量は動物1匹当たり50〜1
00μgが好ましい。ペプチドを用いる場合は、ペプチ
ドをスカシガイヘモシアニン(keyhole limpet haemocy
anin)や牛チログロブリンなどのキャリア蛋白に共有結
合させたものを抗原とするのが望ましい。抗原とするペ
プチドは、ペプチド合成機で合成することができる。
【0093】該抗原の投与は、1 回目の投与の後1〜2
週間おきに3〜10回行う。各投与後、3〜7日目に眼
底静脈叢より採血し、該血清が免疫に用いた抗原と反応
することを酵素免疫測定法〔酵素免疫測定法(ELIS
A法):医学書院刊(1976年)、Antibodies-A Lab
oratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory (198
8)〕等で確認する。
【0094】免疫に用いた抗原に対し、その血清が充分
な抗体価を示した非ヒト哺乳動物より血清を取得し、該
血清を分離、精製することによりポリクローナル抗体を
取得することができる。分離、精製する方法としては、
遠心分離、40〜50%飽和硫酸アンモニウムによる塩
析、カプリル酸沈殿〔Antibodies, A Laboratory manua
l, Cold SpringHarbor Laboratory, (1988)〕、または
DEAE−セファロースカラム、陰イオン交換カラム、
プロテインAまたはG−カラムあるいはゲル濾過カラム
等を用いるクロマトグラフィー等を、単独または組み合
わせて処理する方法があげられる。
【0095】(2)モノクローナル抗体の作製 (a)抗体産生細胞の調製 免疫に用いた蛋白質の部分断片ポリペプチドに対し、そ
の血清が十分な抗体価を示したラットを抗体産生細胞の
供給源として供する。該抗体価を示したラットに抗原物
質を最終投与した後3〜7日目に、脾臓を摘出する。
【0096】該脾臓をMEM培地(日水製薬社製)中で
細断し、ピンセットでほぐし、1,200rpmで5分
間遠心分離した後、上清を捨てる。得られた沈殿画分の
脾細胞をトリス−塩化アンモニウム緩衝液(pH7.6
5)で1〜2分間処理し赤血球を除去した後、MEM培
地で3回洗浄し、得られた脾細胞を抗体産生細胞として
用いる。
【0097】(b)骨髄腫細胞の調製 骨髄腫細胞としては、マウスまたはラットから取得した
株化細胞を使用する。例えば、8−アザグアニン耐性マ
ウス(BALB/c由来)骨髄腫細胞株P3-X63Ag8-U1(以下、
P3−U1と略す)〔Curr. Topics. Microbiol. Immuno
l., 81, 1 (1978)、Europ. J. Immunol., 6, 511 (197
6)〕、SP2/0-Ag14(SP-2)〔Nature, 276, 269 (197
8)〕、P3-X63-Ag8653(653)〔J. Immunol., 123, 1548
(1979)〕、P3-X63-Ag8(X63)〔Nature, 256, 495 (197
5)〕等を用いることができる。これらの細胞株は、8−
アザグアニン培地〔RPMI−1640培地にグルタミ
ン(1.5mmol/l)、2−メルカプトエタノール(5×
10-5mol/l)、ジェンタマイシン(10μg/ml)
および牛胎児血清(FCS)(CSL社製、10%)を
加えた培地(以下、正常培地という)に、さらに8−ア
ザグアニン(15μg/ml)を加えた培地〕で継代す
るが、細胞融合の3〜4日前に正常培地で培養し、融合
には該細胞を2×107個以上用いる。
【0098】(c)ハイブリドーマの作製 (a)で取得した抗体産生細胞と(b)で取得した骨髄
腫細胞をMEM培地またはPBS(リン酸二ナトリウム
1.83g、リン酸一カリウム0.21g、食塩7.6
5g、蒸留水1リットル、pH7.2)でよく洗浄し、
細胞数が、抗体産生細胞:骨髄腫細胞=5〜10:1に
なるよう混合し、1,200rpmで5分間遠心分離し
た後、上清を捨てる。
【0099】得られた沈殿画分の細胞群をよくほぐし、
該細胞群に、攪拌しながら、37℃で、108抗体産生
細胞あたり、ポリエチレングライコール−1000(P
EG−1000)2g、MEM 2mlおよびジメチル
スルホキシド(DMSO)0.7mlを混合した溶液を
0.2〜1ml添加し、さらに1〜2分間毎にMEM培
地1〜2mlを数回添加する。
【0100】添加後、MEM培地を加えて全量が50m
lになるように調製する。該調製液を900rpmで5
分間遠心分離後、上清を捨てる。得られた沈殿画分の細
胞を、ゆるやかにほぐした後、メスピペットによる吸込
み、吹出しでゆるやかにHAT培地〔正常培地にヒポキ
サンチン(10-4mol/l)、チミジン(1.5×10- 5m
ol/l)およびアミノプテリン(4×10-7 mol/l)を加
えた培地〕100ml中に懸濁する。
【0101】該懸濁液を96穴培養用プレートに100
μl/穴ずつ分注し、5%CO2インキュベーター中、
37℃で7〜14日間培養する。
【0102】培養後、培養上清の一部をとりアンチボデ
ィイズ〔Antibodies, A Laboratorymanual, Cold Sprin
g Harbor Laboratory, Chapter 14 (1988)〕等に述べら
れている酵素免疫測定法により、アクチビンAB、アク
チビンBまたはALK7の部分断片ポリペプチドに特異
的に反応するハイブリドーマを選択する。
【0103】酵素免疫測定法の具体例として、以下の方
法をあげることができる。免疫の際、抗原に用いたアク
チビンAB、アクチビンBまたはALK7の部分断片ポ
リペプチドを適当なプレートにコートし、ハイブリドー
マ培養上清もしくは後述の(d)で得られる精製抗体を
第一抗体として反応させ、さらに第二抗体としてビオチ
ン、酵素、化学発光物質あるいは放射線化合物等で標識
した抗ラットまたは抗マウスイムノグロブリン抗体を反
応させた後に標識物質に応じた反応を行い、アクチビン
AB、アクチビンBまたはALK7に特異的に反応する
ものを本発明のモノクローナル抗体を生産するハイブリ
ドーマとして選択する。
【0104】該ハイブリドーマを用いて、限界希釈法に
よりクローニングを2回繰り返し〔1回目は、HT培地
(HAT培地からアミノプテリンを除いた培地)、2回
目は、正常培地を使用する〕、安定して強い抗体価の認
められたものを本発明のモノクローナル抗体を産生する
ハイブリドーマ株として選択する。
【0105】(d)モノクローナル抗体の調製 プリスタン処理〔2,6,10,14−テトラメチルペ
ンタデカン(Pristane)0.5mlを腹腔内投
与し、2週間飼育する〕した8〜10週令のマウスまた
はヌードマウスに、(c)で取得したモノクローナル抗
体産生ハイブリドーマ細胞5〜20×106細胞/匹を
腹腔内に注射する。10〜21日間でハイブリドーマは
腹水癌化する。
【0106】該腹水癌化したマウスから腹水を採取し、
3,000rpmで5分間遠心分離して固形分を除去す
る。得られた上清より、ポリクローナル抗体で用いた方
法と同様の方法でモノクローナル抗体を精製、取得する
ことができる。
【0107】抗体のサブクラスの決定は、マウスモノク
ローナル抗体タイピングキットまたはラットモノクロー
ナル抗体タイピングキットを用いて行う。ポリペプチド
量は、ローリー法あるいは280nmでの吸光度より算
出する。
【0108】3.アクチビンAB、アクチビンBまたは
ALK7をコードするDNAを用いたアクチビンAB、
アクチビンBまたはALK7遺伝子のmRNAの検出方
法 該検出方法に用いられるDNAとしては、例えば配列番
号3または4で表される塩基配列からなるDNA、また
は配列番号5および6で表される塩基配列を含むcDN
A、もしくはそれらから得られるDNA断片等が挙げら
れる。以下、これらを本発明に用いるDNAとも称す
る。該遺伝子のmRNAの発現量や構造変化を検出する
方法としては、例えば(1)ノーザンブロット法(2)
in situハイブリダイゼーション法、(3)定量
的PCR法、(4)デファレンシャル・ハイブリダイゼ
ーション法、(5)DNAチップ法、(6)RNase
保護アッセイ法などの方法等があげられる。
【0109】上記方法による分析に供する検体として
は、糖尿病患者ならびに健常者より取得した膵臓組織、
血清、唾液等の生体試料、あるいは該生体試料から細胞
を取得して試験管内の適当な培地中で培養した初代培養
細胞試料から取得したmRNAあるいは全RNAが用い
られる(以後、該mRNAおよび全RNAを検体由来R
NAと称する)。また、生体試料から取得した組織を、
パラフィンあるいはクリオスタット切片として単離した
ものを用いることもできる。
【0110】ノーザンブロット法では、検体由来RNA
をゲル電気泳動で分離後、ナイロンフィルター等の支持
体に転写し、本発明に用いるDNAより調製した標識プ
ローブを用いて、ハイブリダイゼーションならびに洗浄
を行うことで、該遺伝子mRNAに特異的に結合したバ
ンドを検出することにより、該遺伝子mRNAの発現量
ならびに構造の変化を検出することができる。ハイブリ
ダイゼーションを行う際には、プローブと検体由来RN
A中の該遺伝子mRNAが安定なハイブリッドを形成す
る条件でインキュベーションする。偽陽性を防ぐために
は、ハイブリダイゼーションならびに洗浄工程は高スト
リンジェントな条件で行うことが望ましい。この条件
は、温度、イオン強度、塩基組成、プローブの長さ、お
よびホルムアミド濃度等の多数の因子により決定され
る。これらの因子は、例えば、モレキュラー・クローニ
ング 第2版に記載されている。
【0111】ノーザンブロット法に用いる標識プローブ
は、例えば、公知の方法(ニック・トランスレーショ
ン、ランダム・プライミングまたはキナージング)によ
り放射性同位体、ビオチン、蛍光基、化学発光基等を、
本発明に用いるDNAあるいは該DNAの配列から設計
したオリゴヌクレオチドに取り込ませることで調製する
ことができる。標識プローブの結合量は該遺伝子mRN
Aの発現量を反映することから、結合した標識プローブ
の量を定量することで該遺伝子mRNAの発現量を定量
することができる。また、標識プローブ結合部位を分析
することで、該遺伝子mRNAの構造変化を知ることが
できる。
【0112】in situハイブリダイゼーション法
は、上記標識プローブと、生体から取得した組織をパラ
フィンあるいはクリオスタット切片として単離したもの
を用いてハイブリダイゼーションおよび洗浄の工程を行
うことにより、該遺伝子のmRNAの発現量を検出する
方法である。in situハイブリダイゼーション法
で、偽陽性を防ぐためには、ハイブリダイゼーションな
らびに洗浄工程は高ストリンジェントな条件で行うこと
が望ましい。この条件は、温度、イオン強度、塩基組
成、プローブの長さ、およびホルムアミド濃度等の多数
の因子により決定される。これらの因子は、例えばカレ
ント・プロトコールズ・イン・モレキュラー・バイオロ
ジーに記載されている。
【0113】定量的PCR法、デファレンシャル・ハイ
ブリダイゼーション法またはDNAチップ法等の該遺伝
子のmRNAの検出法は、検体由来RNAに、オリゴd
Tプライマーあるいはランダムプライマーおよび逆転写
酵素を用いてcDNAを合成することに基づいた方法で
行うことができる(以後、該cDNAを検体由来cDN
Aと称する)。検体由来RNAがmRNAの場合は、上
記いずれのプライマーも用いることができるが、該検体
由来RNAが全RNAである場合は、オリゴdTプライ
マーを用いる。
【0114】定量的PCR法では、検体由来cDNAを
テンプレートとし、アクチビンβA鎖、アクチビンβB
鎖、またはALK7をコードするDNAの塩基配列に基
づき設計したプライマーを用いてPCRを行うことで、
該遺伝子のmRNA由来のDNA断片を増幅する方法で
ある。増幅DNA断片の量は該遺伝子のmRNAの発現
量を反映することから、アクチンやG3PDH(glyceraldehy
de 3-phosphate dehydrogenase)等をコードするDNA
を内部コントロールとして置くことで該遺伝子のmRN
Aの量を定量することが可能である。また、増幅DNA
断片をゲル電気泳動により分離することで、該遺伝子の
mRNAの構造の変化を知ることもできる。本検出法で
は、標的配列を特異的にかつ効率的に増幅する適当なプ
ライマーを用いることが望ましい。適当なプライマー
は、プライマー間の結合やプライマー内の結合を起こさ
ず、アニーリング温度で標的cDNAと特異的に結合し
て、変性条件で標的cDNAからはずれる等の条件に基
づき設計することができる。増幅DNA断片の定量は増
幅産物が指数関数的に増加しているPCR反応の内に行
うことが必要である。このようなPCR反応は、各反応
ごとに生産される該増幅DNA断片を回収してゲル電気
泳動で定量分析することで知ることができる。
【0115】デファレンシャル・ハイブリダイゼーショ
ン法〔Trends in Genetics, 7, 314-317(1991)〕やDN
Aチップ法〔Genome Research, 6, 639-645(1996)〕
は、検体由来cDNAをプローブとして、本発明に用い
るDNAを固定化させたフィルターまたはスライドガラ
スあるいはシリコンなどの基板に対して、ハイブリダイ
ゼーションならびに洗浄を行うことにより、該遺伝子m
RNAの発現量の変動を検出する方法である。いずれの
方法もフィルターまたは基板上に、アクチンやG3PD
Hなどの内部コントロールを固定化することで、対照検
体と標的検体の間での該遺伝子のmRNAの発現の違い
を正確に検出することができる。また対照検体と標的検
体由来のRNAを基にそれぞれ異なる標識dNTPを用
いて標識cDNA合成を行い、フィルターまたは基板に
二つの標識cDNAプローブを同時にハイブリダイズさ
せることにより正確な該遺伝子のmRNAの発現量の定
量を行うことができる。
【0116】RNase保護アッセイ法は、以下の方法
により行う。まず、本発明に用いるDNAの3’末端に
T7プロモーター、SP6プロモーターなどのプロモー
ター配列を結合し、RNAポリメラーゼを用いたin
vitroの転写系により標識したrNTPを用いて、
標識したアンチセンスRNAを合成する。該標識アンチ
センスRNAを検体由来RNAと結合させて、RNA−
RNAハイブリッドを形成させた後、RNaseで消化
し、消化から保護されたRNA断片をゲル電気泳動によ
りバンドを形成させ検出する。得られたバンドを定量す
ることで、該遺伝子のmRNAの発現量を定量すること
ができる。
【0117】4.アクチビンAB、アクチビンB、また
はALK7蛋白質を特異的に認識する抗体を用いた免疫
学的検出または定量方法 アクチビンAB、アクチビンB、またはALK7蛋白質
を特異的に認識する抗体(ポリクローナル抗体またはモ
ノクローナル抗体)を用いて、微生物、動物細胞あるい
は昆虫細胞または組織の細胞内あるいは細胞外に発現し
たアクチビンAB、アクチビンB、またはALK7蛋白
質を免疫学的に検出および定量する方法としては、蛍光
抗体法、酵素免疫測定法(ELISA法)、放射性物質
標識免疫抗体法(RIA)、免疫組織染色法や免疫細胞
染色法などの免疫組織化学染色法(ABC法、CSA法
等)、ウェスタンブロッティング法、ドットブロッティ
ング法、免疫沈降法、サンドイッチELISA法〔単ク
ローン抗体実験マニュアル(講談社サイエンティフィッ
ク)(1987)、続生化学実験講座5 免疫生化学研
究法(東京化学同人)(1986)〕などが挙げられ
る。
【0118】蛍光抗体法とは、アクチビンAB、アクチ
ビンB、またはALK7蛋白質を細胞内あるいは細胞外
に発現した微生物、動物細胞あるいは昆虫細胞または組
織に、本発明の抗体を反応させ、さらにフルオレシン・
イソチオシアネート(FITC)などの蛍光物質でラベ
ルした抗マウスIgG抗体あるいはその断片を反応させ
た後、蛍光色素をフローサイトメーターで測定する方法
である。
【0119】酵素免疫測定法(ELISA法)とは、ア
クチビンAB、アクチビンB、またはALK7蛋白質を
細胞内あるいは細胞外に発現した微生物、動物細胞ある
いは昆虫細胞または組織に、本発明の抗体を反応させ、
さらにペルオキシダーゼ、ビオチンなどの酵素標識など
を施した抗マウスIgG抗体あるいは結合断片を反応さ
せた後、発色色素を吸光光度計で測定する方法である。
【0120】放射性物質標識免疫抗体法(RIA)と
は、アクチビンAB、アクチビンB、またはALK7蛋
白質を細胞内あるいは細胞外に発現した微生物、動物細
胞あるいは昆虫細胞または組織に、本発明の抗体を反応
させ、さらに放射線標識を施した抗マウスIgG抗体あ
るいはその断片を反応させた後、シンチレーションカウ
ンターなどで測定する方法である。
【0121】免疫細胞染色法、免疫組織染色法などの免
疫組織化学染色法とは、アクチビンAB、アクチビン
B、またはALK7蛋白質を細胞内あるいは細胞外に発
現した微生物、動物細胞あるいは昆虫細胞または組織
に、本発明の抗体を反応させ、さらにFITCなどの蛍
光物質、ペルオキシダーゼ、ビオチンなどの酵素標識を
施した抗マウスIgG抗体あるいはその断片を反応させ
た後、顕微鏡を用いて観察する方法である。
【0122】ウェスタンブロッティング法とは、アクチ
ビンAB、アクチビンB、またはALK7蛋白質を細胞
内あるいは細胞外に発現した微生物、動物細胞あるいは
昆虫細胞または組織の抽出液をSDS-ポリアクリルア
ミドゲル電気泳動〔Antibodies-A Laboratory Manual,
Cold Spring Harbor Laboratory, (1988)〕で分画し
た後、該ゲルをPVDF膜あるいはニトロセルロース膜
にブロッティングし、該膜に本発明の抗体を反応させ、
さらにFITCなどの蛍光物質、ペルオキシダーゼ、ビ
オチンなどの酵素標識を施した抗マウスIgG抗体ある
いはその断片を反応させた後、確認する方法である。
【0123】ドットブロッティング法とは、アクチビン
AB、アクチビンB、またはALK7蛋白質を細胞内あ
るいは細胞外に発現した微生物、動物細胞あるいは昆虫
細胞または組織の抽出液をニトロセルロース膜にブロッ
ティングし、該膜にアクチビンAB、アクチビンB、ま
たはALK7蛋白質を特異的に認識する抗体を反応さ
せ、さらにFITCなどの蛍光物質、ペルオキシダー
ゼ、ビオチンなどの酵素標識を施した抗マウスIgG抗
体あるいは結合断片を反応させた後、確認する方法であ
る。
【0124】免疫沈降法とは、アクチビンAB、アクチ
ビンB、またはALK7蛋白質を細胞内あるいは細胞外
に発現した微生物、動物細胞あるいは昆虫細胞または組
織の抽出液をアクチビンAB、アクチビンB、またはA
LK7蛋白質を特異的に認識する抗体と反応させた後、
プロテインG−セファロース等イムノグロブリンに特異
的な結合能を有する担体を加えて抗原抗体複合体を沈降
させる方法である。サンドイッチELISA法とは、ア
クチビンAB、アクチビンB、またはALK7蛋白質を
特異的に認識する抗体で、抗原認識部位の異なる2種類
の抗体のうち、あらかじめ一方の抗体をプレートに吸着
させ、もう一方の抗体をFITCなどの蛍光物質、ペル
オキシダーゼ、ビオチンなどの酵素で標識しておき、抗
体吸着プレートに、アクチビンAB、アクチビンB、ま
たはALK7蛋白質を細胞内あるいは細胞外に発現した
微生物、動物細胞あるいは昆虫細胞または組織の抽出液
を反応させた後、標識した抗体を反応させ、結合した標
識物質により検出を行う方法である。
【0125】5.アクチビンβA鎖、アクチビンβB
鎖、またはALK7をコードするDNAの変異同定方法 当該方法に用いられるDNAとしては、例えば配列番号
3または4で表される塩基配列を有するDNA、または
配列番号5および6で表される塩基配列を含むcDN
A、もしくはそれらから得られるDNA断片等があげら
れる。
【0126】アクチビンβA鎖、アクチビンβB鎖、ま
たはALK7遺伝子座中に存在する糖尿病の原因となる
変異の存在の有無を評価するための最も明確な試験は、
対照集団からの遺伝子と糖尿病患者からの遺伝子とを直
接比較することである。
【0127】具体的には糖尿病患者ならび健常人から、
膵臓組織、血清、唾液等のヒト生体試料あるいは、該生
体試料から樹立した初代培養細胞由来の試料を集め、該
生体試料ならびに該初代培養細胞由来試料中からDNA
を抽出する(以後、該DNAを検体由来DNAと称す
る)。該検体由来DNAは、直接あるいは配列番号3ま
たは4で表される塩基配列を有するDNA、または配列
番号5および6で表される塩基配列を含むcDNAの塩
基配列に基づき設計したプライマーを用いて増幅したア
クチビンβA鎖、アクチビンβB鎖、またはALK7を
コードするDNAを試料DNAとして用いることができ
る。別法として、該検体由来cDNAをテンプレートと
して、配列番号3または4で表される塩基配列を有する
DNA、または配列番号5および6で表される塩基配列
を含むcDNAの塩基配列に基づき設計したプライマー
によりPCRを行うことで増幅したDNA断片を試料D
NAとして用いることができる。
【0128】アクチビンβA鎖、アクチビンβB鎖、ま
たはALK7をコードするDNAに糖尿病の原因となる
変異があるかどうかを検出する方法として、野生型対立
遺伝子を有するDNA鎖と変異対立遺伝子を有するDN
A鎖とのハイブリダイズにより形成されるヘテロ二本鎖
を検出する方法を用いることができる。
【0129】ヘテロ二本鎖を検出する方法としては、
(1)ポリアクリルアミドゲル電気泳動によるヘテロ二
本鎖検出法〔Trends Genet., 7, 5 (1991)〕、(2)一
本鎖コンフォメーション多型解析法〔Genomics, 16, 32
5-332 (1993)〕、(3)ミスマッチの化学的切断法(CC
M, chemical cleavage of mismatches)[Human Genetic
s (1996), Tom Strachan and Andrew P. Read, BIOS Sc
ientific Publishers Limited]、(4)ミスマッチの酵
素的切断法〔Nature Genetics, 9, 103-104 (1996)〕、
(5)変性ゲル電気泳動法〔Mutat. Res., 288, 103-11
2 (1993)〕 等の方法をあげることができる。
【0130】ポリアクリルアミドゲル電気泳動によるヘ
テロ二本鎖検出法は、検体由来DNAあるいは検体由来
cDNAをテンプレートとして、配列番号3または4で
表される塩基配列を有するDNA、または配列番号5お
よび6で表される塩基配列を含むcDNAの塩基配列に
基づき設計したプライマーを用いたPCRによって、2
00bpよりも小さい断片としてアクチビンβA鎖、ア
クチビンβB鎖、またはALK7をコードするDNAの
断片を増幅し、該増幅DNA断片を、ポリアクリルアミ
ドゲル電気泳動し、変異を有さないホモ二本鎖と泳動度
を比較する方法である。アクチビンβA鎖、アクチビン
βB鎖、またはALK7をコードするDNAの変異によ
りヘテロ二本鎖が形成された場合は、変異を持たないホ
モ二本鎖よりもゲルの移動度が遅く、それらはホモ二本
鎖と異なるバンドとして検出することができる。該電気
泳動には、市販のゲル〔Hydro−link,MDE
(FMC社製)など〕を用いることもできる。また、2
00bpよりも小さいDNA断片を用いたヘテロ二本鎖
検出法では、1塩基の挿入、欠失および置換を検出可能
である。ヘテロ二本鎖解析は、次に述べる一本鎖コンフ
ォメーション多型解析と組み合わせた1枚のゲルで行う
ことが望ましい。
【0131】一本鎖コンフォメーション多型解析(SS
CP解析;single strand conformation polymorphism
analysis)は、検体由来DNAまたは検体由来cDNA
をテンプレートに、配列番号3または4で表される塩基
配列を有するDNA、または配列番号5および6で表さ
れる塩基配列を含むcDNAの塩基配列に基づき設計し
たプライマーを用いたPCRにより、200bpよりも
小さい断片として増幅したアクチビンβA鎖、アクチビ
ンβB鎖、またはALK7をコードするDNAを変性
後、未変性ポリアクリルアミドゲルを用いて電気泳動す
る方法である。DNAの増幅を行う際にプライマーを放
射性同位体あるいは蛍光色素で標識するか、または未標
識の増幅産物を銀染色することにより、増幅したアクチ
ビンβA鎖、アクチビンβB鎖、またはALK7をコー
ドするDNAをバンドとして検出することができる。野
生型の泳動パターンとの相違を明らかにするために、コ
ントロールの検体も同時に電気泳動すると、塩基配列に
変異を持った断片を移動度の違いから検出することがで
きる。
【0132】ミスマッチの化学的切断法(CCM法)
は、検体由来DNAあるいは検体由来cDNAをテンプ
レートに、配列番号3または4で表される塩基配列を有
するDNA、または配列番号5および6で表される塩基
配列を含むcDNAの塩基配列に基づき設計したプライ
マーでアクチビンβA鎖、アクチビンβB鎖、またはA
LK7をコードするDNA断片を増幅させ、該増幅DN
A断片と配列番号3または4で表される塩基配列を有す
るDNA、または配列番号5および6で表される塩基配
列を含むcDNAに放射性同位体あるいは蛍光色素をと
り込ませた標識DNAとをハイブリダイズさせ、四酸化
オスミウムで処理することでミスマッチしている場所の
DNAの一方の鎖を切断させ塩基配列の変異を検出する
方法である。CCM法は最も感度の高い検出法の1つで
あり、キロベースの長さの検体にも適応できる。
【0133】上記、四酸化オスミウムの代わりにT4フ
ァージリゾルベースとエンドヌクレアーゼVIIのよう
な細胞内でミスマッチの修復に関与する酵素とRNas
eAと組み合わせることで、酵素的にミスマッチを切断
することもできる。
【0134】変性ゲル電気泳動法(denaturing gradien
t gel electrophoresis:DGGE法)は、検体由来DNA
または検体由来cDNAをテンプレートとして、配列番
号3または4で表される塩基配列を有するDNA、また
は配列番号5および6で表される塩基配列を含むcDN
Aの塩基配列に基づき設計したプライマーで増幅したア
クチビンβA鎖、アクチビンβB鎖、またはALK7を
コードするDNA断片を化学的変性剤の濃度勾配や温度
勾配を有するゲルを用いて電気泳動する方法である。増
幅したDNA断片はゲル内を一本鎖に変性する位置まで
移動し、変性後は移動しなくなる。アクチビンβA鎖、
アクチビンβB鎖、またはALK7をコードするDNA
に変異がある場合とない場合では増幅したDNAのゲル
内での移動度が異なることから、変異の存在を検出する
ことが可能である。PCRに使用するそれぞれのプライ
マーにポリ(G:C)端末を付けて検出感度を上げるこ
ともできる。
【0135】糖尿病の原因遺伝子を検出する別の方法と
して、蛋白質短縮試験(protein truncation test:P
TT法)〔Genomics, 20, 1-4 (1994)〕がある。該試験
により蛋白質の欠損を生み出すフレームシフト突然変
異、スプライス部位突然変異、ナンセンス突然変異を特
異的に検出することができる。PTT法は、配列番号3
または4で表される塩基配列を有するDNA、または配
列番号5および6で表される塩基配列を含むcDNAの
5’末端にT7プロモーター配列と真核生物翻訳開始配
列をつないだプライマーを設計し、該プライマーを用い
て検体由来RNAより逆転写PCR(RT−PCR)法
でアクチビンβA鎖、アクチビンβB鎖、またはALK
7をコードするcDNAを作製する。該cDNAを用
い、in vitro転写、翻訳を行うと蛋白質が生産される。
該蛋白質をポリアクリルアミド電気泳動して、該蛋白質
の泳動位置が完全長蛋白質に相当する位置にあれば欠損
を生み出す変異は存在せず、該蛋白質に欠損がある場合
は、完全長蛋白質より短い位置に該蛋白質は泳動され、
該位置より欠損の程度を知ることができる。
【0136】検体由来DNAおよび検体由来cDNAの
塩基配列を決定するために配列番号3または4で表され
る塩基配列を有するDNA、または配列番号5および6
で表される塩基配列を含むcDNAに基づいて設計した
プライマーを用いることが可能である。決定された塩基
配列を解析することにより、検体由来DNAまたは検体
由来cDNAに糖尿病の原因となる変異があるか否かを
判別することができる。
【0137】アクチビンβA鎖、アクチビンβB鎖、ま
たはALK7遺伝子のコード領域以外の変異は、該遺伝
子の付近またはその中のイントロンおよび調節配列など
の、非コード領域を検査することによって検出すること
ができる。非コード領域中の変異に起因する糖尿病は、
上記に記載した方法と同様の方法により検出することが
できる。
【0138】このようにして非コード領域における変異
の存在が示唆された該遺伝子については、配列番号3ま
たは4で表される塩基配列を有するDNA、または配列
番号5および6で表される塩基配列を含むcDNAをハ
イブリダイゼーションのプローブとして用いることによ
り、クローン化することができる。非コード領域におけ
る変異は上述のいずれかの方法に準じて探索することが
できる。
【0139】見出された変異は、Handbook of Human Ge
netics Linkage. The John HopkinsUniversity Press,
Baltimore(1994)に記載された方法に従い統計処理を行
うことで、糖尿病との連鎖があるSNPs(シングル・
ヌクレオチド・ポリモルフィズム)として同定すること
ができる。また、糖尿病の病歴を持つ家族から、先に示
した方法に従いDNAを取得し、変異を検出すること
で、糖尿病の原因遺伝子を同定することができる。
【0140】6.アクチビンβA鎖、アクチビンβB
鎖、またはALK7をコードするDNAを用いた糖尿病
の診断方法 上記方法に用いられるDNAとしては、例えば配列番号
3または4で表される塩基配列を有するDNA、または
配列番号5および6で表される塩基配列を含むcDN
A、もしくはそれらから得られるDNA断片等があげら
れる。糖尿病の原因は、ヒトのいずれかの組織における
遺伝子の変異を検出することによって確認することがで
きる。例えば、生殖細胞系に変異がある場合、当該変異
を遺伝した個人は、糖尿病を発症し易い傾向である可能
性がある。当該変異は、該個人の体のいずれかの組織か
ら抽出したDNAを試験することによって検出すること
ができる。例えば、ヒトから採血した血液の細胞からD
NAを抽出し、該DNAを用いて、遺伝子の変異を検出
することにより、糖尿病を診断することができる。ま
た、胎児細胞、胎盤細胞または羊膜細胞を採取してDN
Aを抽出し、該DNAを用いて、遺伝子の変異を検出す
ることにより、出生前の糖尿病診断を行うことができ
る。
【0141】また糖尿病を発症した患者の、病巣部位の
生体組織からDNAを取得し、遺伝子の変異を検出する
ことにより、糖尿病の種類を診断し、投与する薬物の選
択などに利用することができる。生体組織からのDNA
は、周囲の正常組織から遊離した病巣部位の組織を単離
してトリプシンなどで処理し、得られた細胞を適当な培
地で培養し、培養した細胞から染色体DNAならびにm
RNAを抽出することにより取得することができる。
【0142】以下、診断を目的としてヒト検体から上記
いずれかの方法で取得したDNAを診断検体由来DNA
と称する。また、診断を目的としてヒト検体から上記い
ずれかの方法で取得したRNAより合成したcDNAを
診断検体由来cDNAと称する。配列番号3または4で
表される塩基配列を有するDNA、または配列番号5お
よび6で表される塩基配列を含むcDNA、および診断
検体由来DNAあるいは診断検体由来cDNAを用い、
上記5のアクチビンβA鎖、アクチビンβB鎖、または
ALK7をコードするDNAの変異を検出する方法に準
じた方法により糖尿病の診断を行うことができるが、上
記5の方法により、糖尿病との因果関係が見出された変
異を診断検体由来DNAまたは診断検体由来cDNAが
有しているか否かを診断する方法としては、(1)制限
酵素部位の検出、(2)対立遺伝子特異的なオリゴヌク
レオチドプローブを利用する方法(ASO:allele specif
ic oligonucleotide hybridization)、(3)対立遺伝
子特異的なオリゴヌクレオチドを用いたPCR(ARMS:
amplification refractory mutation system)、(4)
オリゴヌクレオチドライゲーションアッセイ(OLA:oli
gonucleotide ligation assay)、(5)PCR-PHFA法(P
CR-preferential homoduplex formation assay)、
(6)オリゴDNAアレイを用いる方法〔蛋白質核酸酵
素、43, 2004-2011(1998)〕等の方法が挙げられる。
【0143】制限酵素部位の検出は、以下に記載の方法
に従い行うことができる。すなわち、単一塩基の変化に
より制限酵素部位が消失または発生する場合は、診断検
体由来DNAあるいは診断検体由来cDNAを、配列番
号3または4で表される塩基配列を有するDNA、また
は配列番号5および6で表される塩基配列を含むcDN
Aの塩基配列に基づき設計したプライマーを用いてPCR
で増幅したのち、制限酵素で消化し、得られた制限酵素
切断DNA断片を正常人の場合と比較することで簡便に
変異を検出することができる。さらに詳細に塩基の変化
を診断する方法としては、配列番号3または4で表され
る塩基配列を有するDNA、または配列番号5および6
で表される塩基配列を含むcDNAの塩基配列情報なら
びに上記5の方法により同定された変異の情報を組合せ
ることでオリゴヌクレオチドプロ−ブを設計し、該オリ
ゴヌクレオチドプローブをフィルターに結合させてハイ
ブリダイズを行うリバースドットブロット法で変異を検
出する方法を挙げることができる。
【0144】対立遺伝子特異的なオリゴヌクレオチドプ
ローブ(ASO)を利用する方法は、短い合成DNAプ
ローブが、完全に対合する塩基配列とのみハイブリダイ
ズする特徴を利用した方法で、1塩基の変異を容易に検
出することができる。具体的には、配列番号3または4
で表される塩基配列を有するDNA、または配列番号5
および6で表される塩基配列を含むcDNAの塩基配列
と、上記5で同定された塩基の変異に基づき設計したオ
リゴヌクレオチドをフィルターに結合させ、診断検体由
来DNAあるいは診断検体由来cDNAをテンプレート
として用い、配列番号3または4で表される塩基配列を
有するDNA、または配列番号5および6で表される塩
基配列を含むcDNAの塩基配列を用いて設計したプラ
イマーと標識したdNTPを用いたPCRにより得られ
る増幅DNA断片をプローブに用いてハイブリダイズを
行うリバースドットブロット法をあげることができる。
【0145】リバースドットブロットとは、スライドガ
ラスまたはシリコンなどの基盤に直接、測定対象とする
DNAに対応する変異のないDNAの塩基配列と別途同
定された該DNAの変異に基づき設計したオリゴヌクレ
オチドを合成して、高密度のアレイであるDNAチップ
を用いて、少量の診断検体由来DNAあるいは診断検体
由来cDNAを反応させて多様な変異をより簡便に検出
する方法である。本方法は、大規模な診断目的に適した
変異検出法である。
【0146】塩基の変異は、オリゴヌクレオチドライゲ
ーションアッセイ(OLA)法によって以下に示す方法
によっても検出できる。調べようとするアクチビンβA
鎖、アクチビンβB鎖、またはALK7をコードするD
NAの変異部位をその3’末端に有する20塩基程度の
オリゴヌクレオチド、および該変異部位に続く20塩基
程度のオリゴヌクレオチドを配列番号3または4で表さ
れる塩基配列を有するDNA、または配列番号5および
6で表される塩基配列を含むcDNAの塩基配列に基づ
き設計、合成する。このとき、例えば前者のオリゴヌク
レオチドの5’末端にはビオチンを、後者のオリゴヌク
レオチドの3’末端にはジゴケシゲニンなどの異なる標
識体を付加しておく。次に診断検体由来DNAあるいは
診断検体由来cDNAをテンプレートとして、配列番号
3または4で表される塩基配列を有するDNA、または
配列番号5および6で表される塩基配列を含むcDNA
の塩基配列に基づき設計したプライマーを用い、PCR
によりアクチビンβA鎖、アクチビンβB鎖、またはA
LK7をコードするDNAを増幅する。次に該増幅DN
A断片と上記2本のオリゴヌクレオチドとをハイブリダ
イズさせる。ハイブリダイズ後、DNAリガーゼで2本
のオリゴヌクレオチドを連結させる。連結反応後、2本
鎖DNAを熱変性させて得られるビオチン標識一本鎖D
NAを、例えばアビジンに結合するDNAとして回収す
る。変位部位を有する増幅DNA断片とハイブリダイズ
した上記2種類のオリゴヌクレオチドは上記連結反応に
より連結しているので、その3’末端にジゴケシゲニン
を有するDNAとして得られ、該結合DNAを簡単に検
出することができる。よって、変位を有するアクチビン
βA鎖、アクチビンβB鎖、またはALK7をコードす
るDNAを迅速、簡便に検出可能である。OLAは電気
泳動や遠心分離操作が不要なために、多数のサンプルを
効果的に短期間で診断するのに適した変異検出法であ
る。
【0147】また、以下のPCR-PHFA法により微量な変異
遺伝子を定量的かつ容易に検出することができる。PCR-
PHFA法は、遺伝子増幅法(PCR)、非常に高い特異性
を示す液相でのハイブリダイゼーション、およびELISA
と同様の操作でPCR産物を検出するED-PCR(enzymatic
detection of PCR product)の3つを組み合わせた方法
である。dinitrophenyl(DNP)標識およびビオチン標識し
たプライマーセットを用いて、配列番号3または4で表
される塩基配列を有するDNA、または配列番号5およ
び6で表される塩基配列を含むcDNAをテンプレート
にPCRを行い、両末端標識増幅DNA断片を調製す
る。次に、標識プライマーと同じ塩基配列を有する未標
識プライマーセットを用いて、診断検体由来DNAある
いは診断検体由来cDNAをテンプレートに増幅して得
られる非標識増幅DNA断片を、該標識増幅DNA断片
と混合する。このとき非標識増幅DNA断片は標識増幅
DNA断片に対し、20〜100倍の大過剰量を用い
る。そして該混合物を熱変性処理後、1℃/5分〜10
分間程度の緩やかな温度勾配で冷却し、完全な相補鎖を
優先的に形成させる。こうして再形成された標識DNA
は、ビオチンを介してストレプトアビジン固定化ウエル
に捕獲吸着させ、DNPを介して酵素標識抗DNP抗体
を結合させて酵素による発色反応により検出する。検体
中に標識DNAと同じ配列の遺伝子が存在しない場合
は、元の2本鎖の標識DNAが優先的に再形成されて発
色を示す。これに対し、同じ塩基配列の遺伝子が存在す
る場合は、相補鎖の置換がランダムに生じるため再形成
される標識DNAは減少するので、発色は著しく低下す
る。これにより、既知の変異・多型遺伝子の検出・定量
が可能となる。
【0148】7.アクチビンAB、アクチビンB、また
はALK7蛋白質を特異的に認識する抗体を用いた糖尿
病の診断方法 ヒト生体試料ならびヒト初代培養細胞での、アクチビン
AB、アクチビンB、またはALK7蛋白質の発現量の
変化ならびに発現している蛋白質の構造変化を同定する
ことは、糖尿病を発症する危険性や既に発症した膵臓機
能低下の原因を知る上で有用である。
【0149】アクチビンAB、アクチビンB、またはA
LK7蛋白質の発現量や構造変化を検出して診断する方
法としては、上記4に記載した蛍光抗体法、酵素免疫測
定法(ELISA法)、放射性物質標識免疫抗体法(R
IA)、免疫組織染色法や免疫細胞染色法などの免疫組
織化学染色法(ABC法、CSA法等)、ウェスタンブ
ロッティング法、ドットブロッティング法、免疫沈降
法、サンドイッチELISA法などがあげられる。
【0150】上記方法による診断に供する検体として
は、患者より取得した膵臓病巣部位の組織、血液、血
清、尿、便、唾液などの生体試料そのものあるいは、該
生体試料から取得した細胞ならびに細胞抽出液が用いら
れる。また、生体試料から取得した組織を、パラフィン
あるいはクリオスタット切片として単離したものを用い
ることもできる。
【0151】8.アクチビンAB、アクチビンBまたは
ALK7蛋白質、該蛋白質をコードするDNA、または
該蛋白質のいずれかを認識する抗体を用いた糖尿病治療
薬のスクリーニング方法 本発明のスクリーニング方法に用いられる蛋白質として
は、アクチビンAB、アクチビンBおよびALK7を挙
げることができる。アクチビンAB、アクチビンBは、
ALK7のリガンド蛋白質としての活性を有する蛋白質
であれば、天然物由来の蛋白質でも、遺伝子工学的手法
により製造された蛋白質であってもよく、例えば天然由
来の該蛋白質としては、ヒト、サル、ブタ、ウシ、ヒツ
ジ、ウマ、ラットなどあらゆる哺乳動物由来のALK7
のリガンド蛋白質を挙げることができる。アクチビンA
Bの具体的例としては、配列番号1で表されるアミノ酸
配列からなるポリペプチドと配列番号2で表されるアミ
ノ酸配列を有するポリペプチドより構成される二量体蛋
白質を挙げることができ、アクチビンBの具体的例とし
ては配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるポリペ
プチドにより構成される二量体蛋白質を挙げることがで
きる。ALK7は、ALK7としての活性、すなわちア
クチビンABまたはアクチビンBで活性化され、細胞の
インスリン分泌を促進する活性を有する蛋白質であれば
天然物由来の蛋白質でも、遺伝子工学的手法により製造
された蛋白質であってもよく、例えば天然由来の該蛋白
質としては、ヒト、サル、ブタ、ウシ、ヒツジ、ウマ、
ラットなどあらゆる哺乳動物由来のALK7を挙げるこ
とができる。ALK7の具体的例としては、配列番号5
および6で表される塩基配列を含むcDNAにコードさ
れる蛋白質、配列番号9で表されるアミノ酸配列からな
る蛋白質を挙げることができる。本発明のスクリーニン
グ方法に用いられるDNAとしては、アクチビンAB、
アクチビンBおよびALK7をコードするDNAを挙げ
ることができる。該DNAは、上記本発明のスクリーニ
ング方法に用いられる蛋白質をコードするDNAであれ
ばいずれでもよい。アクチビンAB、またはアクチビン
BをコードするDNAの具体的例としては、配列番号3
または4で表される塩基配列を有するDNAをあげるこ
とができる。またALK7をコードするDNAの具体的
例としては、配列番号5および6で表される塩基配列を
含むcDNA、配列番号10で表される塩基配列を有す
るDNAがあげられる。本発明のスクリーニング方法に
用いられる抗体としては、上記本発明のスクリーニング
方法に用いられる蛋白質、またはそのポリペプチド断片
を認識する抗体をあげることができる。
【0152】(1)アクチビンAB、アクチビンBまた
はALK7蛋白質に特異的に作用する化合物のスクリー
ニング ALK7蛋白質をII型アクチビン受容体と共に発現する
ように形質転換した微生物、動物細胞、または昆虫細
胞、および精製したアクチビンAB、アクチビンB、ま
たはALK7蛋白質は、アクチビンAB、アクチビンB
またはALK7蛋白質に特異的に作用する化合物をスク
リーニングするために有用である。II型アクチビン受容
体としては、II型アクチビン受容体としての活性を有す
る蛋白質であればいずれでもよく、例えばCell, 65, 97
3-982(1991)に記載されているActRIIA等を挙げることが
できる。スクリーニングにより得られた化合物は、糖尿
病治療薬として有用である。
【0153】上記スクリーニングの1つの方法は、AL
K7蛋白質とII型アクチビン受容体を生産するように形
質転換した動物細胞(以後、探索用形質転換体と称す
る)において、ALK7の活性化を特異的に誘導する化
合物を選択することである。ALK7の活性化を検出す
る方法としては、該探索用形質転換体の細胞応答を測定
する方法を挙げることができる。
【0154】具体的な細胞の応答としては、例えば、ア
ラキドン酸遊離、アセチルコリン遊離、細胞内Ca2+
離、細胞内cAMP生成、細胞内cAMP減少、細胞内
cGMP生成、イノシトールリン酸産生、細胞膜電位変
動、細胞内蛋白質のリン酸化、c−fos活性化、pH
の低下、細胞増殖活性、メラニン色素の凝集または拡
散、またはレポーター遺伝子の発現変動などをあげるこ
とができる〔J. Biol. Chem., 271, 1857 (1996)、Scie
nce, 268, 98 (1995) 、Journal of Pharmacology and
Experimental Therapeutics, 275, 1274 (1995)、J. Bi
ol. Chem., 272,1822 (1997)、 Journal of Receptor a
nd Signal Transduction Research, 17,57 (1997)、End
ocrinology 138, 1400 (1997)、Endocrinology 138, 14
71 (1997)、 Nat. Biotechnol., 16, 1334 (1998)、Bio
chem. Biophys. Res. Commun., 251, 471 (1998)、Bri
t. J. Pharmacol., 125, 1387 (1998)、Trends Biotech
nol., 15, 487 (1997)、Anal. Biochem., 252, 115 (19
97)、Nature, 358, 325 (1992)、Nature, 393, 272 (19
98)、Cell, 92, 573 (1998)、J. Biol. Chem., 272,274
97 (1997)、Trends Pharmacol. Sci., 18, 430 (199
7)、Trends Pharmacol.Sci., 20, 370 (1999)、WO98/46
995〕。
【0155】レポーター遺伝子を用いて細胞の応答をモ
ニターする場合は、例えば、該探索用形質転換体に、A
LK7の活性化により発現が誘導される遺伝子のプロモ
ーター配列の下流に適当なレポーター遺伝子を連結した
DNAを導入することにより、ALK7の活性化をレポ
ーター遺伝子の発現で測定することができる。該プロモ
ーターとしては、例えばICAM−1遺伝子のプロモー
ター、c−fosのプロモーター、Krox−24のプ
ロモーター〔Biochem. J., 320, 145 (1996)〕、インス
リン遺伝子のプロモーター、コリンアセチルトランスフ
ェラーゼ遺伝子のプロモーター、チロシンハイドロキシ
ラーゼ遺伝子のプロモーターなどが利用できる。また、
該プロモーターは、適当な転写因子の結合配列と基本プ
ロモーターからなる人工プロモーターでもよい。転写因
子の結合配列としては、例えばCRE(CREB binding e
lement)、TRE(TPA responsive element)、SRE
(serum responsive element)、SBE−luxプロモ
ーター〔J. Biol. Chem.,273, 21145-21152 (1998)〕な
どが利用できる。レポーター遺伝子としては、クロラム
フェニコール・アセチルトランスフェラーゼ遺伝子、β
−グルクロニダーゼ遺伝子、β−ガラクトシダーゼ遺伝
子、β-ラクタマーゼ遺伝子、エクオリン遺伝子、ルシ
フェラーゼ遺伝子およびグリーン・フルオレッセント・
プロテイン遺伝子などが利用できる。
【0156】また、精製したアクチビンAB、アクチビ
ンBまたはALK7蛋白質、または該蛋白質の一部を構
成するポリペプチドは、アクチビンAB、アクチビンB
またはALK7蛋白質に特異的に結合する標的化合物を
選択するのに用いることができる。例えば、該蛋白質を
固相担体等に固定しておき、被験試料を接触させた後、
十分に該プレートを洗浄し、アクチビンAB、アクチビ
ンBまたはALK7蛋白質に結合している化合物を該蛋
白質から遊離させることにより、標的化合物を選択する
ことができる。
【0157】上記スクリーニングのもう1つの方法とし
ては、アクチビンAB、アクチビンBまたはALK7蛋
白質の一部を構成するペプチドを多数、プラスチックピ
ンまたはある種の固体支持体上で高密度に合成し、該ペ
プチドに選択的に結合する化合物あるいは蛋白質を効率
的にスクリーニングする方法がある(WO84/03564)。
【0158】(2)アクチビンβA鎖、アクチビンβB
鎖またはALK7をコードするDNAの転写あるいは翻
訳を調節する化合物のスクリーニング方法 膵臓由来の細胞株で、アクチビンβA鎖、アクチビンβ
B鎖またはALK7遺伝子のmRNAあるいはアクチビ
ンAB、アクチビンBまたはALK7蛋白質の発現を促
進する活性を有する化合物も、糖尿病治療薬として有用
である。膵臓由来の細胞株としては、マウス膵臓β細胞
種MIN6細胞[Endocrinology, 127,126-132(199
0)]、マウスインスリノーマ細胞NIT−1細胞 (AT
CC CRL-2055)、マウス膵臓α細胞種αTC1細胞(ATC
C CRL-2350)、ラット膵管上皮細胞ARIP細胞(ATCC
CRL-1674)などを挙げることができる。
【0159】膵臓由来の細胞株と種々の被験試料を接触
させた場合と、被験試料を接触させない場合での該細胞
株におけるアクチビンβA鎖、アクチビンβB鎖または
ALK7遺伝子のmRNAの発現量を測定、比較するこ
とでアクチビンβA鎖、アクチビンβB鎖またはALK
7遺伝子の転写を抑制または促進する物質をスクリーニ
ングすることができる。アクチビンβA鎖、アクチビン
βB鎖またはALK7遺伝子のmRNAの発現量は、上
記3のPCR法、ノーザンブロット法、RNase保護ア
ッセイ法により検出することができる。
【0160】また、膵臓由来の細胞株と種々の被験試料
を接触させた場合と、被験試料を接触させない場合での
該細胞株におけるアクチビンAB、アクチビンBまたは
ALK7蛋白質の発現量を測定、比較することでアクチ
ビンAB、アクチビンBならびにALK7遺伝子の転写
もしくは翻訳を抑制または促進する物質をスクリーニン
グすることができる。アクチビンAB、アクチビンBま
たはALK7蛋白質の発現量は、上記4のアクチビンA
B、アクチビンBまたはALK7蛋白質を特異的に認識
する抗体を用いた蛍光抗体法、酵素免疫測定法(ELI
SA法)、放射性物質標識免疫抗体法(RIA)、免疫
組織染色法や免疫細胞染色法などの免疫組織化学染色法
(ABC法、CSA法等)、ウェスタンブロッティング
法、ドットブロッティング法、免疫沈降法、サンドイッ
チELISA法により測定することができる。
【0161】さらに、アクチビンβA鎖、アクチビンβ
B鎖またはALK7遺伝子のプロモーターの下流にレポ
ーター遺伝子を連結した組換え体DNAで形質転換され
た動物細胞と種々の被験試料を接触させた場合と、被験
試料を接触させない場合での該動物細胞における該レポ
ーター遺伝子の発現量を測定、比較することでアクチビ
ンβA鎖、アクチビンβB鎖またはALK7遺伝子の発
現を抑制または促進する物質をスクリーニングすること
ができる。アクチビンβA鎖、アクチビンβB鎖または
ALK7遺伝子のプロモーターは、該プロモーターの塩
基配列が公知である場合は、該配列に従い設計、合成す
ることができるオリゴヌクレオチドを用いて動物由来の
染色体DNAを鋳型にしたPCRにて取得することがで
きる。プロモーター配列が公知でない場合は、上記遺伝
子のDNAまたはオリゴヌクレオチドをプローブとし
て、公知の方法〔東京大学医科学研究所制癌研究部編、
新細胞工学実験プロトコール、秀潤社(1993年)〕
を用いて、該遺伝子のプロモーター領域を取得すること
ができる。
【0162】細胞中のレポーター遺伝子の発現量は公知
の方法〔東京大学医科学研究所 制癌研究部編, 新細胞
工学実験プロトコール, 秀潤社 (1993)、Biotechnique
s, 20, 914 (1996)、J. Antibiotics, 49, 453 (1996)
、Trends in Biochemical Sciences, 20, 448 (199
5)、細胞工学, 16, 581 (1997)〕を用いて測定すること
ができる。
【0163】レポーター遺伝子としては、例えば、クロ
ラムフェニコール・アセチルトランスフェラーゼ遺伝
子、β−ガラクトシダーゼ遺伝子、β−ラクタマーゼ遺
伝子、ルシフェラーゼ遺伝子、グリーン・フルオレッセ
ント・プロテイン(GFP)遺伝子等をあげることがで
きる。
【0164】上記の方法により取得した化合物は、NOD
(Non-Obese Diabetes)マウスなどの糖尿病モデル動物に
薬剤として投与し、該動物のインスリン分泌量ならびに
血糖値などを公知の方法に従って測定することにより、
該化合物のその糖尿病への治療効果を評価することが可
能である。
【0165】9.アクチビンAB、アクチビンB、また
はALK7蛋白質を有効成分として含有する糖尿病の治
療および/または予防のための医薬 アクチビンAB、アクチビンB、またはALK7蛋白質
は、膵機能低下を原因とする種々の糖尿病において、膵
臓の構造ならびに機能を再構築することならびに膵臓か
らのインスリン分泌を促進することに用いることができ
る。
【0166】上記アクチビンAB、アクチビンBは、A
LK7のリガンド蛋白質であれば天然由来のものでも、
遺伝子工学的手法によって製造された組み換え蛋白質で
あってもよい。天然由来のALK7のリガンド蛋白質と
しては、例えばヒト、サル、ブタ、ウシ、ヒツジ、ウ
マ、マウス、ラットなどあらゆる哺乳動物由来のALK
7リガンド蛋白質をあげることができるが、ヒト糖尿病
の治療および/または予防のための医薬、すなわち膵臓
機能改善剤、膵臓再生促進剤として用いる場合は、ヒト
由来のALK7リガンド蛋白質とアミノ酸配列が一致す
る蛋白質を用いることが好ましい。
【0167】アクチビンAB、アクチビンB、またはA
LK7蛋白質を有効成分として含有する糖尿病の治療お
よび/または予防のための医薬は、有効成分として該蛋
白質のみを含むものであってもよいが、通常は薬理学的
に許容される一つあるいはそれ以上の担体と一緒に混合
し、製剤学の技術分野においてよく知られる任意の方法
により製造した医薬製剤として提供するのが望ましい。
好ましくは水、あるいは食塩、グリシン、グルコース、
ヒトアルブミン等の水溶液等の水性担体に溶解した無菌
的な溶液が用いられる。また、製剤溶液を生理的条件に
近づけるための緩衝化剤や等張化剤のような、薬理学的
に許容される添加剤、例えば、酢酸ナトリウム、塩化ナ
トリウム、乳酸ナトリウム、塩化カリウム、クエン酸ナ
トリウム等を添加することもできる。また、凍結乾燥し
て貯蔵し、使用時に適当な溶媒に溶解させて用いること
もできる。
【0168】投与経路は、治療に際し最も効果的なもの
を使用するのが望ましく、経口投与、あるいは口腔内、
気道内、直腸内、皮下、筋肉内および静脈内等の非経口
投与をあげることができる。投与形態としては、噴霧
剤、カプセル剤、錠剤、顆粒剤、シロップ剤、乳剤、座
剤、注射剤、軟膏、テープ剤等があげられる。
【0169】経口投与に適当な製剤としては、乳剤、シ
ロップ剤、カプセル剤、錠剤、散剤、顆粒剤等があげら
れる。例えば乳剤およびシロップ剤のような液体調製物
は、水、ショ糖、ソルビトール、果糖等の糖類、ポリエ
チレングリコール、プロピレングリコール等のグリコー
ル類、ごま油、オリーブ油、大豆油などの油類、p−ヒ
ドロキシ安息香酸エステル類等の防腐剤、ストロベリー
フレーバー、ペパーミント等のフレーバー類等を添加剤
として用いて製造できる。カプセル剤、錠剤、散剤、顆
粒剤等は、乳糖、ブドウ糖、ショ糖、マンニトール等の
賦形剤、デンプン、アルギン酸ナトリウム等の崩壊剤、
ステアリン酸マグネシウム、タルク等の滑沢剤、ポリビ
ニルアルコール、ヒドロキシプロピルセルロース、ゼラ
チン等の結合剤、脂肪酸エステル等の界面活性剤、グリ
セリン等の可塑剤等を添加剤として用いて製造できる。
【0170】非経口投与に適当な製剤としては、注射
剤、座剤、噴霧剤等があげられる。例えば、注射剤は、
塩溶液、ブドウ糖溶液、あるいは両者の混合物からなる
担体等を用いて調製する。座剤はカカオ脂、水素化脂肪
またはカルボン酸等の担体を用いて調製される。また、
噴霧剤は該ポリペプチドそのもの、ないしは受容者の口
腔および気道粘膜を刺激せず、かつ該ポリペプチドを微
細な粒子として分散させ吸収を容易にさせる担体等を用
いて調製する。担体として具体的には乳糖、グリセリン
等が例示される。該ポリペプチドおよび用いる担体の性
質により、エアロゾル、ドライパウダー等の製剤が可能
である。また、これらの非経口剤においても経口剤で添
加剤として例示した成分を添加することもできる。
【0171】投与量または投与回数は、目的とする治療
効果、投与方法、治療期間、年齢、体重等により異なる
が、通常成人1日当たり10μg/kg〜8mg/kgである。
【0172】10.アクチビンAB、アクチビンBまた
はALK7を特異的に認識する抗体を有効成分として含
有する糖尿病の治療および/または予防のための医薬 アクチビンAB、アクチビンBまたはALK7を特異的
に認識する抗体を有効成分として含有する糖尿病の治療
および/または予防のための医薬は、該有効成分を単独
で投与することも可能ではあるが、通常は該有効成分を
薬理学的に許容される一つあるいはそれ以上の担体と一
緒に混合し、製剤学の技術分野においてよく知られる任
意の方法により製造した医薬製剤として提供するのが望
ましい。好ましい医薬製剤形態、および投与方法等は、
上記9のとおりである。
【0173】11.上記8のスクリーニング方法により
得られた化合物を有効成分として含有する糖尿病の治療
および/または予防のための医薬 上記8のスクリーニング方法により得られた化合物を有
効成分として含有する糖尿病の治療および/または予防
のための医薬は、該有効成分を単独で投与することも可
能ではあるが、通常は該有効成分を薬理学的に許容され
る一つあるいはそれ以上の担体と一緒に混合し、製剤学
の技術分野においてよく知られる任意の方法により製造
した医薬製剤として提供するのが望ましい。好ましい医
薬製剤形態等は、および投与方法等は、上記9のとおり
である。
【0174】12.アクチビンβA鎖、アクチビンβB
鎖、またはALK7蛋白質をコードするDNAを含有す
る糖尿病用遺伝子治療剤 アクチビンβA鎖、アクチビンβB鎖、またはALK7
蛋白質をコードするDNAを糖尿病の遺伝子治療薬とて
して用いる方法としては、該DNAを単独あるいはレト
ロウイルスベクター、アデノウイルスベクター、アデノ
ウイルスアソシエーテッドウイルスベクターなどの適当
なベクターに挿入した後、上記9に記載した常法に従っ
て製剤化、処方および投与する方法、あるいは非ウイル
ス遺伝子移入法により投与する方法をあげることができ
る。
【0175】組換えウイルスベクターは、以下に記載の
方法に従い作製することができる。アクチビンβA鎖、
アクチビンβB鎖、またはALK7蛋白質の完全長cD
NAをもとに、必要に応じて、該蛋白質をコードする部
分を含む適当な長さのDNA断片を調製する。該DNA
断片、あるいは完全長cDNAをウイルスベクター内の
プロモーターの下流に挿入することにより、組換えウイ
ルスベクターを造成する。
【0176】RNAウイルスベクターの場合には、アク
チビンAB、アクチビンBの完全長cDNAに相同なR
NA断片を調製し、それらをウイルスベクター内のプロ
モーターの下流に挿入することにより、組換えウイルス
を造成する。RNA断片は、2本鎖のほか、ウイルスベ
クターの種類に応じて、センス鎖もしくはアンチセンス
鎖のどちらか一方の鎖を選択する。例えば、レトロウイ
ルスベクターの場合は、センス鎖に相同なRNAを、セ
ンスウイルスベクターの場合には、アンチセンス鎖に相
同なRNAを選択する。
【0177】該組換えウイルスベクターを、該ベクター
に適合したパッケージング細胞に導入する。パッケージ
ング細胞としては、ウイルスのパッケージングに必要な
蛋白質をコードする遺伝子の少なくとも1つを欠損して
いる組換えウイルスベクターの該欠損する蛋白質を補給
できる細胞であればいかなるものでもよい。例えば、ヒ
ト腎臓由来のHEK293細胞、マウス繊維芽細胞NI
H3T3などを用いることができる。パッケージング細
胞で補給する蛋白質としては、レトロウイルスベクター
の場合はマウスレトロウイルス由来のgag、pol、
envなど、レンチウイルスベクターの場合はHIVウ
イルス由来のgag、pol、env、vpr、vp
u、vif、tat、rev、nefなど、アデノウイ
ルスベクターの場合はアデノウイルス由来のE1A、E
1Bなど、アデノ随伴ウイルスの場合はRep(p5,
p19,p40)、Vp(Cap)などの蛋白質があげ
られる。
【0178】ウイルスベクターとしては、上記パッケー
ジング細胞において組換えウイルスが生産でき、標的細
胞でアクチビンβA鎖、アクチビンβB鎖、またはAL
K7をコードするDNAを転写できる位置にプロモータ
ーを含有しているものが用いられる。プラスミドベクタ
ーとしてはMFG[Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 92,67
33-6737 (1995)]、pBabePuro[Nucleic Acids
Res., 18, 3587-3596(1990)]、LL−CG、CL−C
G、CS−CG、CLG[Journal of Virology,72, 815
0-8157(1998)]、pAdex1[Nucleic Acids Res., 2
3, 3816-3821(1995)]等が用いられる。プロモーターと
しては、ヒト組織中で機能するものであればいずれも用
いることができ、例えば、サイトメガロウイルス(ヒト
CMV)のIE(immediate early)遺伝子のプロモー
ター、SV40の初期プロモーター、レトロウイルスの
プロモーター、メタロチオネインプロモーター、ヒート
ショック蛋白質プロモーター、SRαプロモーター等を
あげることができる。また、ヒトCMVのIE遺伝子の
エンハンサーをプロモーターと共に用いてもよい。パッ
ケージング細胞への組換えウイルスベクターの導入法と
しては、例えば、リン酸カルシウム法〔特開平2-227075
号公報〕、リポフェクション法〔Proc. Natl. Acad. Sc
i. USA, 84, 7413 (1987)〕等をあげることができる。
【0179】また、上記組換えウイルスベクターの投与
方法としては、上記9の方法に加え、リポソームデリバ
リーを用いる直接的イン・ビボ(in vivo)遺伝子移入と
組み合わせることにより、膵臓病巣にウイルスベクター
を指向させるようにすることもできる。すなわち、適当
なサイズのアクチビンβA鎖、アクチビンβB鎖、また
はALK7をコードするDNAを、アデノウイルス・ヘ
キソン蛋白質に特異的なポリリジン-コンジュゲート抗
体と組み合わせてコンプレックスを作製し、得られたコ
ンプレックスをアデノウイルスベクターに結合させるこ
とにより、ウイルスベクターを調製することができる。
該ウイルスベクターは安定に標的細胞に到達し、エンド
ソームにより細胞内に取り込まれ、細胞内で分解され効
率的に遺伝子を発現させることができる。
【0180】アクチビンAB、アクチビンB、またはA
LK7遺伝子のDNAは、非ウイルス遺伝子移入法によ
っても病巣に輸送することができる。当該分野で公知の
非ウイルス遺伝子移入法には、リン酸カルシウム共沈法
[Virology, 52, 456-467 (1973);Science, 209, 1414-
1422 (1980)]、マイクロインジェクション法[Proc. Nat
l. Acad. Sci. USA,77, 5399-5403 (1980);Proc. Nat
l. Acad. Sci. USA,77, 7380-7384 (1980);Cell, 27,
223-231 (1981);Nature, 294, 92-94 (1981)]、リポ
ソームを介した膜融合-介在移入法[Proc. Natl.Acad. S
ci. USA,84, 7413-7417 (1987);Biochemistry, 28, 9
508-9514 (1989);J. Biol. Chem., 264, 12126-12129
(1989);Hum. Gene Ther., 3, 267-275,(1992);Scienc
e, 249, 1285-1288 (1990);Circulation, 83, 2007-20
11 (1992)]あるいは直接DNA取り込みおよび受容体-
媒介DNA移入法[Science, 247,1465-1468 (1990);J.
Biol. Chem., 266, 14338-14342 (1991);Proc. Natl.
Acad. Sci. USA,87, 3655-3659 (1991);J. Biol. Ch
em., 264, 16985-16987 (1989);BioTechniques, 11, 4
74-485 (1991);Proc. Natl. Acad. Sci. USA,87, 341
0-3414 (1990);Proc. Natl. Acad. Sci. USA,88, 425
5-4259 (1991);Proc.Natl. Acad. Sci. USA,87, 4033
-4037 (1990);Proc. Natl. Acad. Sci. USA,88, 8850
-8854 (1991);Hum. Gene Ther., 3, 147-154 (1991)]
等をあげることができる。
【0181】リポソームを介した膜融合−介在移入法で
はリポソーム調製物を標的とする組織に直接投与するこ
とにより、当該組織の局所的な遺伝子の取り込みおよび
発現が可能であることが腫瘍に関する研究において報告
されている[Hum. Gene Ther.3, 399-410 (1992)]。した
がって同様の効果が膵臓病巣でも期待される。DNAを
膵臓病巣に直接標的化するには、直接DNA取り込み技
術が好ましい。受容体-媒介DNA移入は、例えば、ポ
リリジンを介して、蛋白質リガンドにDNA(通常、共
有的に閉環したスーパーコイル化プラスミドの形態をと
る)をコンジュゲートすることによって行う。リガンド
は、標的細胞または組織の細胞表面上の対応するリガン
ド受容体の存在に基づいて選択する。当該リガンド-D
NAコンジュゲートは、所望により、血管に直接注射す
ることができ、受容体結合およびDNA-蛋白質コンプ
レックスの内在化が起こる標的組織に指向し得る。DN
Aの細胞内破壊を防止するために、アデノウイルスを同
時感染させて、エンドソーム機能を崩壊させることもで
きる。
【0182】13.ALK7蛋白質を特異的に認識する
抗体を用いて膵臓に特異的に薬物を輸送する方法(ドラ
ッグデリバリー方法) 当該ドラッグデリバリー方法に用いられる抗体は、AL
K7蛋白質を特異的に認識する抗体であればいずれでも
良いが、特にヒト化抗体を用いることが望ましい。
【0183】ヒト化抗体としては、ヒト型キメラ抗体、
ヒト型CDR(Complementary Determining Region;相補性
決定領域;以下、CDRと記す)移植抗体などがあげられ
る。ヒト型キメラ抗体は、ヒト以外の動物の抗体重鎖可
変領域(以下、重鎖はH鎖として、可変領域はV領域とし
てHVまたはVHとも称す)および抗体軽鎖可変領域(以
下、軽鎖はL鎖としてLVまたはVLとも称す)とヒト抗体
の重鎖定常領域(以下、定常領域はC領域としてCHとも
称す)およびヒト抗体の軽鎖定常領域(以下、CLとも称
す)とからなる抗体を意味する。ヒト以外の動物として
は、マウス、ラット、ハムスター、ラビット等、モノク
ローナル抗体産生ハイブリドーマを作製することが可能
であれば、いかなるものも用いることができる。
【0184】ALK7蛋白質に結合するモノクローナル
抗体を生産するハイブリドーマより、VHおよびVLをコー
ドするcDNAを取得し、ヒト抗体CHおよびヒト抗体CL
をコードする遺伝子を有する動物細胞用発現ベクターに
それぞれ挿入してヒト型キメラ抗体発現ベクターを構築
し、動物細胞へ導入することにより発現させ製造するこ
とができる。
【0185】ヒト型キメラ抗体のCHとしては、ヒトイム
ノグロブリン(以下、hIgと表記する)に属すればいか
なるものでもよいが、hIgGクラスのものが好適であり、
更にhIgGクラスに属するhIgG1、hIgG2、hIgG3、hIgG4と
いったサブクラスのいずれも用いることができる。ま
た、ヒト型キメラ抗体のCLとしては、hIgに属すればい
かなるものでもよく、κクラスあるいはλクラスのもの
を用いることができる。
【0186】ヒト型CDR移植抗体は、ヒト以外の動物の
抗体のVHおよびVLのCDRのアミノ酸配列をヒト抗体のVH
およびVLの適切な位置に移植した抗体を意味する。ヒト
型CDR 移植抗体は、ALK7蛋白質に反応し、ALK7
蛋白質に結合する、ヒト以外の動物の抗体のVHおよびVL
のCDR 配列で任意のヒト抗体のVHおよびVLのCDR 配列を
それぞれ置換したV 領域をコードするcDNAを構築
し、ヒト抗体のCHおよびヒト抗体のCLをコードする遺伝
子を有する動物細胞用発現ベクターにそれぞれ挿入して
ヒト型CDR 移植抗体発現ベクターを構築し、動物細胞へ
導入し、発現させることにより製造することができる。
【0187】ヒト型CDR移植抗体のCHとしては、hIgに属
すればいかなるものでもよいが、hIgGクラスのものが好
適であり、更にhIgGクラスに属するhIgG1、hIgG2、hIgG
3、hIgG4といったサブクラスのいずれも用いることがで
きる。また、ヒト型CDR移植抗体のCLとしては、hIgに属
すればいかなるものでもよく、κクラスあるいはλクラ
スのものを用いることができる。
【0188】ヒト抗体は、元来、ヒトの体内に天然に存
在する抗体を意味するが、最近の遺伝子工学的、細胞工
学的、発生工学的な技術の進歩により作製されたヒト抗
体ファージライブラリーおよびヒト抗体産生トランスジ
ェニック動物から得られる抗体等も含まれる。
【0189】ヒトの体内に存在する抗体は、例えば、以
下の方法により取得することができる。ヒト末梢血リン
パ球を単離し、EBウイルス等を感染させ不死化させた
後、クローニングする。得られた目的とする抗体を産生
するリンパ球を培養し、培養物中より該抗体を取得する
ことができる。
【0190】ヒト抗体ファージライブラリーは、ヒトB
細胞から調製した抗体遺伝子をファージ遺伝子に挿入す
ることにより、Fab、一本鎖抗体等の抗体断片をファー
ジ表面に発現させたライブラリーである。該ライブラリ
ーより、抗原を固定化した基質に対する結合活性を指標
として所望の抗原結合活性を有する抗体断片を発現して
いるファージを回収することができる。該抗体断片は、
更に遺伝子工学的手法により、完全型ヒト抗体へ変換す
ることができる。
【0191】ヒト抗体産生トランスジェニック動物は、
ヒト抗体遺伝子が細胞内に組込まれた動物を意味する。
具体的には、マウスES細胞へヒト抗体遺伝子を導入し、
該ES細胞を他のマウスの初期胚へ移植後、発生させるこ
とによりヒト抗体産生トランスジェニック動物を作製す
ることができる。ヒト抗体産生トランスジェニック動物
からのヒト抗体の作製方法としては、通常のヒト以外の
哺乳動物で行われているハイブリドーマ作製方法により
ヒト抗体産生ハイブリドーマを得、培養することで培養
物中にヒト抗体を産生蓄積させる方法があげられる。
【0192】抗体断片としては、Fab、Fab'、F(ab')2
一本鎖抗体、ジスルフィド安定化V領域断片(dsFv)、
CDRを含むペプチドなどがあげられる。Fabは、IgGを
蛋白質分解酵素パパインで処理して得られる断片のうち
(H鎖の224番目のアミノ酸残基で切断される)、H鎖の
N末端側約半分とL鎖全体がジスルフィド結合で結合し
た分子量約5万の抗原結合活性を有する抗体断片であ
る。Fabは、アクチビンAB、アクチビンB、またはA
LK7蛋白質に特異的に反応する抗体を蛋白質分解酵素
パパインで処理して得ることができる。また、該抗体の
FabをコードするDNAを原核生物用発現ベクターある
いは真核生物用発現ベクターに挿入後、該ベクターを原
核生物あるいは真核生物へ導入し、該DNAを発現させ
ることによりFabを取得することができる。
【0193】F(ab')2は、IgGを蛋白質分解酵素ペプ
シンで処理して得られる断片のうち(H鎖の234番目のア
ミノ酸残基で切断される)、Fabがヒンジ領域のジスル
フィド結合を介して結合されたものよりやや大きい、分
子量約10万の抗原結合活性を有する抗体断片である。F
(ab')2は、アクチビンAB、アクチビンB、またはAL
K7蛋白質に特異的に反応する抗体を蛋白質分解酵素ペ
プシンで処理して得ることができる。また、該抗体のF
(ab')2をコードするDNAを原核生物用発現ベクターあ
るいは真核生物用発現ベクターに挿入後、該ベクターを
原核生物あるいは真核生物へ導入し、該DNAを発現さ
せることにより、F(ab')2を取得することができる。
【0194】Fab'は、上記F(ab')2のヒンジ領域のジス
ルフィド結合を切断した分子量約5万の抗原結合活性を
有する抗体断片である。Fab'は、アクチビンAB、アク
チビンB、またはALK7蛋白質に特異的に反応する抗
体を還元剤ジチオスレイトール処理して得ることができ
る。また、該抗体のFab'断片をコードするDNAを原核
生物用発現ベクターあるいは真核生物用発現ベクターに
挿入後、該ベクターを原核生物あるいは真核生物へ導入
し、該DNAを発現させることにより、Fab'を取得する
ことができる。
【0195】一本鎖抗体(以下、scFvとも称す)は、一
本のVHと一本のVLとを適当なペプチドリンカー(以下、
Pと称す)を用いて連結した、VH−P−VLないしはVL−P
−VHポリペプチドを示す。本発明で使用されるscFvに含
まれるVHおよびVLは、アクチビンAB、アクチビンB、
またはALK7蛋白質に特異的に反応する抗体、例え
ば、ヒト化抗体またはヒト抗体から由来したものを用い
ることができる。
【0196】一本鎖抗体は、以下の方法により取得でき
る。ALK7蛋白質に特異的に反応する抗体のVHおよび
VLをコードするcDNAを取得後、一本鎖抗体をコード
するDNAを構築する。該DNAを原核生物用発現ベク
ターあるいは真核生物用発現ベクターに挿入後、該発現
ベクターを原核生物あるいは真核生物へ導入し、該DN
Aを発現させることにより、一本鎖抗体を取得すること
ができる。
【0197】ジスルフィド安定化V領域断片(以下、dsF
vとも称す)は、VHおよびVL中のそれぞれ1アミノ酸残
基をシステイン残基に置換したポリペプチドを該システ
イン残基間のジスルフィド結合を介して結合させたもの
をいう。システイン残基に置換するアミノ酸残基はReit
erらにより示された方法[Protein Engineering, 7,697
(1994)]に従って、抗体の立体構造予測に基づいて選
択することができる。本発明で使用されるdsFvに含まれ
るVHおよびVLはALK7に特異的に反応する抗体、例え
ば、ヒト化抗体またはヒト抗体から由来したものを用い
ることができる。
【0198】ジスルフィド安定化V領域断片(dsFv)は、
以下の方法により取得することができる。ALK7蛋白
質に特異的に反応する抗体のVHおよびVLをコードするc
DNAを取得後、dsFvをコードするDNAを構築する。
該DNAを原核生物用発現ベクターあるいは真核生物用
発現ベクターに挿入後、該発現ベクターを原核生物ある
いは真核生物へ導入し、該DNAを発現させることによ
り、dsFvを取得することができる。CDRを含むペプチド
は、Fmoc法、tBoc法等の化学合成法によって製造するこ
とができる。
【0199】ALK7蛋白質を特異的に認識する抗体か
ら調製される融合抗体は、膵臓の病巣へ特異的に薬剤や
蛋白質を運ぶ、ドラッグデリバリーに用いることができ
る。融合抗体は、ALK7蛋白質に特異的に反応する抗
体、例えば、ヒト化抗体、ヒト抗体およびそれらの抗体
断片に、蛋白質、低分子化合物等の薬剤などを化学的あ
るいは遺伝子工学的に結合させた抗体をいう。該融合抗
体は、ALK7蛋白質に特異的に反応する抗体および抗
体断片のH鎖或いはL鎖のN末端側或いはC末端側、抗体お
よび抗体断片中の適当な置換基あるいは側鎖、さらには
抗体および抗体断片中の糖鎖に、蛋白質、低分子化合物
等の薬剤などを化学的あるいは遺伝子工学的に結合させ
ることにより製造することができる。
【0200】低分子化合物としては、上記8のスクリー
ニング方法によって得られた化合物をあげることができ
る。該化合物は化学的手法〔抗体入門(金光修著、19
94年、地人書館)〕により上記抗体に結合させること
ができる。蛋白質としては、膵臓の機能を亢進する活性
化するサイトカインが好適であり、例えば、ヒトベータ
ーセルリン、ヒトアクチビンAB、ヒトアクチビンB、
ヒトHGF(Hepatocyte Growth Factor)等があげられる。
【0201】蛋白質との融合抗体は、以下の方法により
取得できる。抗体または抗体断片をコードするcDNA
に蛋白質をコードするcDNAを連結させて、融合抗体
をコードするDNAを構築する。該DNAを原核生物あ
るいは真核生物用発現ベクターに挿入後、該発現ベクタ
ーを原核生物あるいは真核生物などの宿主細胞へ導入
し、該DNAを発現させることにより、融合抗体を取得
することができる。以下の実施例により本発明を具体的
に説明するが、本発明は実施例によって限定されること
はない。
【0202】
【実施例】実施例1:ALK7過剰発現細胞におけるリ
ガンド依存性の転写活性の解析 内因性にALK7を発現していない、ヒト腎上皮細胞HE
K293細胞(ATCC CRL-1573)を10%ウシ胎児血清、2m
mol/L グルタミン、1g/Lグルコースを含有するD−ME
M培地に懸濁し、12ウェル細胞培養用プレートに6×104
細胞/ウェルになるように播き、炭酸ガスインキュベー
ター内(5%炭酸ガス、95%空気)において37℃で
培養した。翌日、(1)ラットALK7の全長cDNAを
含むプラスミド[Mol. Cell Neurosci., 7, 467-478(1
996)]のSmaI−XbaI断片と動物細胞用発現プ
ラスミドpcDNA1(インビトロジェン社製)のEc
RV−XbaI断片とをライゲーションすることによ
り作成されたプラスミド[Mol. Cell Neurosci., 7, 46
7-478(1996)]1.5μg、(2)マウスのII型アクチビ
ン受容体ActRIIAcDNAを含むプラスミド[Cell, 65,
973-982(1991)]を制限酵素BamHIで消化し平滑
末端化したDNA断片と、公知の動物細胞用発現プラス
ミドpcDLSR−α[Mol. Cell. Biol., 8, 466-472
(1988)]をXhoIで消化し平滑末端化したDNA断
片とをライゲーションすることにより作成されたプラス
ミド[J. Biol. Chem., 272, 13835-13842(1997)]30
0ng、(3)SBE-luxルシフェラーゼレポータープラスミ
ド[J. Biol. Chem., 273, 21145-21152(1998)、Ludw
ig Institute for Cancer Research より譲渡]500ng、
(4)ベータ・ガラクトシダーゼが動物細胞中でCMV
プロモーターの制御下で発現するように設計されている
プラスミドpCMVβ(クロンテック社製)300ngをそ
れぞれリン酸カルシウム法により上記培養で得られた細
胞に遺伝子導入し、更に10%ウシ胎児血清、2mmol/L グ
ルタミン、1g/Lグルコースを含有するD−MEM培地を
用いて炭酸ガスインキュベーター内において37℃で培
養し、形質転換細胞を得た。翌日、PBS緩衝液で該形質
転換細胞を洗浄し、上記培地に懸濁後、J. Biol. Che
m., 267, 16385-16389(1992)に従ってウシ卵胞液より
精製された20ng/mlのアクチビンA、ABまたはBを添
加した。炭酸ガスインキュベーター内において37℃で16
時間培養した後、PBS緩衝液で該形質転換細胞を洗浄
後、100μLの細胞溶解液(1%TritonX-100、15mmol/L 硫
酸マグネシウム、4mmol/L EGTA、1mmol/L ジチオスレイ
トール、25mmol/L グリシルグリシン、pH7.8)に懸濁
し、50μLをルシフェラーゼアッセイに、40μLをベータ
・ガラクトシダーゼアッセイに使用した。
【0203】ルシフェラーゼの活性測定は、上記の50μ
Lの細胞を溶解した溶解液と5μLの30mmol/L ATP溶液、
100μLの0.5mmol/L luciferin溶液とを混合し、ルミノ
メーター(ベルトルド社)により発光量を測定すること
により行い[Anal. Biochem., 171, 404-408(198
8)]、ベータ・ガラクトシダーゼの活性測定は、o-nit
rophenyl-β-D-galactopyranoside(ONPG)を基質とし
て用いることにより、既報に従って行った[Bitechniqu
es, 7, 576-579(1989)]。ルシフェラーゼの活性値は
ベータ・ガラクトシダーゼの活性値で標準化した[Endo
crinology, 136, 5493-5503(1995)]。
【0204】図1に示すように、アクチビンAB、アク
チビンBによりALK7遺伝子導入HEK293細胞で転写活
性の顕著な上昇が観察された。
【0205】実施例2:内因性ALK7発現膵臓β細胞
におけるリガンド依存性の転写活性の解析 内因性にALK7を発現している細胞株を検索する為、
配列番号7および8で表される塩基配列を有するDNA
を合成し、該DNAをプライマーセットとして用い、マ
ウス膵臓β細胞種MIN6細胞[Endocrinology, 127, 126-
132(1990)]、ヒト腎上皮細胞HEK293細胞(ATC
C CRL-1573)、マウスインスリノーマ細胞NIT−1細
胞 (ATCC CRL-2055)、マウス膵臓α細胞種αTC1細
胞(ATCC CRL-2350)、ラット膵管上皮細胞ARIP細
胞(ATCC CRL-1674)などから調製した全RNAを元に
作成した一本鎖DNAを鋳型としてPCR反応を行った。
その結果、マウス膵臓β細胞のモデル系として使用され
ているMIN6細胞で他の細胞よりも高い発現が認められ
た。
【0206】次にこの細胞を用いて、転写活性の測定、
マウスのドミナントネガティブALK7受容体cDNA
導入によるシグナル伝達の抑制効果を検討した。マウス
膵臓β細胞種細胞であるMIN6細胞を10%ウシ胎児血清、
2mmol/L グルタミン、4.5g/Lグルコースを含有するD−
MEM培地に懸濁し、12ウェル細胞培養用プレートに8
×104細胞/ウェルになるように播き、炭酸ガスインキュ
ベーター内において37℃で培養した。翌日、(1)SBE-
luxルシフェラーゼレポータープラスミド1μg、(2)
pCMVβ500ngをそれぞれリポフェクション法により
上記培養で得られた細胞に遺伝子導入し、更に炭酸ガス
インキュベーター内において37℃で培養することで形質
転換細胞を得た。翌日、PBS緩衝液で該形質転換細胞を
洗浄し、上記培地に懸濁後、60ng/mlのアクチビンA、
ABまたはBを添加した。炭酸ガスインキュベーター内
において37℃で16時間培養した後、PBS緩衝液で該細胞
を洗浄後、100μLの細胞溶解液に懸濁し、50μLをルシ
フェラーゼアッセイに、40μLをベータ・ガラクトシダ
ーゼアッセイに使用した。ルシフェラーゼの活性値はベ
ータ・ガラクトシダーゼの活性値で標準化した。
【0207】次に、配列番号7および8で表される塩基
配列を有するDNAをプライマーセットとして用い、配
列番号10で表される塩基配列を有するラットALK7
cDNAを含むプラスミド[Mol. Cell Neurosci., 7,
467-478(1996)]を鋳型としてPCR反応を行った。
続いて該反応産物中の増幅されたDNA断片を制限酵素
EcoRIとXhoIにて消化した。反応終了後、該反
応産物をアガロース電気泳動により分離し、約500塩
基対のDNA断片を回収した。得られたDNA断片とプ
ラスミドpcDNA3(インビトロジェン社製)のEc
RI−XhoI断片とをDNAリガーゼを用いて結合
させた。反応物を用いて大腸菌をトランスフォームし、
アンピシリンを含む寒天プレート上で37℃にて培養し、
アンピシリン耐性を獲得したクローンを選択した。出現
したコロニーをアンピシリンを含む培地にて培養した
後、プラスミドを回収し、挿入されているDNA断片の
塩基配列を確認し、目的の塩基配列を有するクローンを
選択した。
【0208】以上の操作により、細胞内のキナーゼ領域
を欠損し、N末端より167個のアミノ酸残基をコード
するドミナントネガティブ型ALK7受容体DNAを含
むプラスミドを取得した。
【0209】マウス膵臓β細胞種細胞であるMIN6細胞を
10%ウシ胎児血清、2mmol/L グルタミン、4.5g/Lグルコ
ースを含有するD−MEM培地に懸濁し、12ウェル細胞
培養用プレートに8×104細胞/ウェルになるように播
き、炭酸ガスインキュベーター内において37℃で培養し
た。翌日、(1)SBE-luxルシフェラーゼレポータープ
ラスミド1μg、(2)ベータ・ガラクトシダーゼが動物
細胞中でCMVプロモーターの制御下で発現するように
設計されているプラスミド(クロンテック社製)500n
g、(3)上記で作製したドミナントネガティブ型AL
K7受容体DNA3μgをそれぞれリポフェクション法に
よりMIN6細胞に遺伝子導入し、炭酸ガスインキュベ
ーター内において37℃で培養することで形質転換株を得
た。翌日、PBS緩衝液で該形質転換細胞を洗浄し、上記
培地に懸濁後、60ng/mlのアクチビンA、AB、または
Bを添加した。炭酸ガスインキュベーター内において37
℃で16時間培養した後、PBS緩衝液で該形質転換細胞を
洗浄後、100μLの細胞溶解液に懸濁し、50μLをルシフ
ェラーゼアッセイに、40μLをベータ・ガラクトシダー
ゼアッセイに使用した。ルシフェラーゼの活性値はベー
タ・ガラクトシダーゼの活性値で標準化した。
【0210】図2に示すように、アクチビンAB、アク
チビンBにより内因性ALK7発現MIN6細胞で転写活性
の上昇が観察され、ドミナントネガティブALK7cD
NAの導入により転写活性の上昇は阻害された。
【0211】実施例3:マウス膵臓β細胞種細胞からの
インシュリン分泌の促進 内因性ALK7受容体を発現し、アクチビンAB、およ
びアクチビンBに反応性を有することが確認されたMIN6
細胞を10%ウシ胎児血清、2mmol/L グルタミン、4.5g/L
グルコースを含有するD−MEM培地に懸濁し、24ウェ
ル細胞培養用プレートに7×104細胞/ウェルになるよう
に播き、炭酸ガスインキュベーター内において37℃で培
養した。二日後にPBS緩衝液で細胞を洗浄し、40または8
0ng/mlのアクチビンABを加えた培養液300μLに該細胞
を懸濁した。更に二日間炭酸ガスインキュベーター内に
おいて37℃で培養し、培養終了後上清を回収して、上
清30μLを用いて市販インスリン測定キット(森永生化
学研究所)を用いてELISA法によりインスリン分泌量を
測定した。図3に示すように、アクチビンABにより内
因性ALK7発現MIN6細胞でインスリンの分泌亢進が認
められた。
【0212】
【発明の効果】本発明により、アクチビンAB、アクチ
ビンBおよびアクチビン受容体様キナーゼ7(ALK
7)より選ばれる蛋白質を有効成分として含有する糖尿
病治療剤、該蛋白質をコードするDNAを有効成分とし
て含有する糖尿病治療剤、該蛋白質または該DNAを利
用した糖尿病治療剤のスクリーニング方法、該DNAま
たは該蛋白質を特異的に認識する抗体を用いた糖尿病の
診断薬および診断用キット、ならびALK7を特異的に
認識する抗体を用いた糖尿病の治療および/または予防
のための医薬の腎臓への輸送方法が提供される。
【0213】
【配列表フリーテキスト】
配列番号7−人工配列の説明:合成DNA 配列番号8−人工配列の説明:合成DNA
【0214】
【配列表】 SEQUENCE LISTING <110> KYOWA HAKKO KOGYO CO., LTD. <120> A DRUG FOR DIABETES <130> A11334MA <160> 10
【0215】 <210> 1 <211> 116 <212> PRT <213> Homo sapience <400> 1 Gly Leu Glu Cys Asp Gly Lys Val Asn Ile Cys Cys Lys Lys Gly Phe 1 5 10 15 Phe Val Ser Phe Lys Asp Ile Gly Trp Asn Asp Trp Ile Ile Ala Pro 20 25 30 Ser Gly Tyr His Ala Asn Tyr Cys Glu Gly Glu Cys Pro Ser His Ile 35 40 45 Ala Gly Thr Ser Gly Ser Ser Leu Ser Phe His Ser Thr Val Ile Asn 50 55 60 His Tyr Arg Met Arg Gly His Ser Pro Phe Ala Asn Leu Lys Ser Cys 65 70 75 80 Cys Tyr Pro Thr Lys Leu Arg Pro Met Ser Met Leu Tyr Tyr Asp Asp 85 90 95 Gly Gly Asn Ile Ile Lys Lys Asp Ile Gly Asn Met Ile Val Glu Glu 100 105 110 Cys Gly Cys Ser 115
【0216】 <210> 2 <211> 115 <212> PRT <213> Homo sapience <400> 2 Gly Leu Glu Cys Asp Gly Arg Thr Asn Leu Cys Cys Arg Gly Gly Phe 1 5 10 15 Phe Ile Asp Phe Arg Leu Ile Gly Trp Asn Asp Trp Ile Ile Ala Pro 20 25 30 Thr Gly Tyr Tyr Gly Asn Tyr Cys Glu Gly Ser Cys Pro Ala Tyr Leu 35 40 45 Ala Gly Val Pro Gly Ser Ala Ser Ser Phe His Thr Ala Val Val Asn 50 55 60 Gly Tyr Arg Met Arg Gly Leu Asn Pro Gly Thr Val Asn Ser Cys Cys 65 70 75 80 Ile Pro Thr Lys Leu Ser Thr Met Ser Met Leu Tyr Phe Asp Asp Glu 85 90 95 Tyr Asn Ile Val Lys Arg Asp Val Pro Asn Met Ile Val Glu Glu Cys 100 105 110 Gly Cys Ala 115
【0217】 <210> 3 <211> 348 <212> DNA <213> Homo sapience <400> 3 ggc ttg gag tgt gat ggc aag gtc aac atc tgc tgt aag aaa cag ttc 48 Gly Leu Glu Cys Asp Gly Lys Val Asn Ile Cys Cys Lys Lys Gln Phe 1 5 10 15 ttt gtc agt ttc aag gac atc ggc tgg aat gac tgg atc att gct ccc 96 Phe Val Ser Phe Lys Asp Ile Gly Trp Asn Asp Trp Ile Ile Ala Pro 20 25 30 tct ggc tat cat gcc aac tac tgc gag ggt gag tgc ccg agc cat ata 144 Ser Gly Tyr His Ala Asn Tyr Cys Glu Gly Glu Cys Pro Ser His Ile 35 40 45 gca ggc acg tcc ggg tcc tca ctg tcc ttc cac tca aca gtc atc aac 192 Ala Gly Thr Ser Gly Ser Ser Leu Ser Phe His Ser Thr Val Ile Asn 50 55 60 cac tac cgc atg cgg ggc cat agc ccc ttt gcc aac ctc aaa tcg tgc 240 His Tyr Arg Met Arg Gly His Ser Pro Phe Ala Asn Leu Lys Ser Cys 65 70 75 80 tgt gtg ccc acc aag ctg aga ccc atg tcc atg ttg tac tat gat gat 288 Cys Val Pro Thr Lys Leu Arg Pro Met Ser Met Leu Tyr Tyr Asp Asp 85 90 95 ggt caa aac atc atc aaa aag gac att cag aac atg atc gtg gag gag 336 Gly Gln Asn Ile Ile Lys Lys Asp Ile Gln Asn Met Ile Val Glu Glu 100 105 110 tgt ggg tgc tca 348 Cys Gly Cys Ser 115
【0218】 <210> 4 <211> 345 <212> DNA <213> Homo sapience <400> 4 ggc ctg gag tgc gat ggc cgg acc aac ctc tgt tgc agg caa cag ttc 48 Gly Leu Glu Cys Asp Gly Arg Thr Asn Leu Cys Cys Arg Gln Gln Phe 1 5 10 15 ttc att gac ttc cgc ctc atc ggc tgg aac gac tgg atc ata gca ccc 96 Phe Ile Asp Phe Arg Leu Ile Gly Trp Asn Asp Trp Ile Ile Ala Pro 20 25 30 acc ggc tac tac ggc aac tac tgt gag ggc agc tgc cca gcc tac ctg 144 Thr Gly Tyr Tyr Gly Asn Tyr Cys Glu Gly Ser Cys Pro Ala Tyr Leu 35 40 45 gca ggg gtc ccc ggc tct gcc tcc tcc ttc cac acg gct gtg gtg aac 192 Ala Gly Val Pro Gly Ser Ala Ser Ser Phe His Thr Ala Val Val Asn 50 55 60 cag tac cgc atg cgg ggt ctg aac ccc ggc acg gtg aac tcc tgc tgc 240 Gln Tyr Arg Met Arg Gly Leu Asn Pro Gly Thr Val Asn Ser Cys Cys 65 70 75 80 att ccc acc aag ctg agc acc atg tcc atg ctg tac ttc gat gat gag 288 Ile Pro Thr Lys Leu Ser Thr Met Ser Met Leu Tyr Phe Asp Asp Glu 85 90 95 tac aac atc gtc aag cgg gac gtg ccc aac atg att gtg gag gag tgc 336 Tyr Asn Ile Val Lys Arg Asp Val Pro Asn Met Ile Val Glu Glu Cys 100 105 110 ggc tgc gcc 345 Gly Cys Ala 115
【0219】 <210> 5 <211> 345 <212> DNA <213> Homo sapience <400> 5 agcggggtca ccgcccggct gcggggccag tggcaggagc gccacgcacc gccagccgca 60 gggggcgtgg gatgggggcg gccggggagg ggggcgccca cactgactag agccaaccgc 120 gcacttcaaa agggtgtcgg tgccgcgctc ccctcccgcg gcccgggaac ttcaaagcgg 180 gccgtgctgc cccggctgcc tcgctctgct ctggggcctc gcagccccgg cgcggccgcc 240 tggtggcgat gacccgggcg ctctgctcag cgctccgcca ggctctcctg ctgctcgcag 300 cggccgccga gctctcgcca ggactgaagt gtgtatgtct tntgtgtgat tcttcaaact 360 ttacctgcca aacagaagga gcatgtnggg catcagtcat gctaaccaat ggaaaagagc 420 aggtgatcaa atcctgtgtc tcccttccag aactga 456
【0220】 <210> 6 <211> 927 <212> DNA <213> Homo sapience <400> 6 tttacctaag gcagaggcct gggcaatggc gggcgcccct cccccagtct cgttgccgcc 60 ttgcagttga tctcagactg ctgtgctagc aatcagcgag actccctggg cgtaggaccc 120 tctgagccag gtgtgggata tagtctcgtg gtgcgccgtt tcttaagccg gtctgaaaag 180 cgcaatattc gggtgggagt gacccgattt tccagcatca ccaaatgccc caaaacttgg 240 acccatggag ctggccatca ttattactgt gcctgtttgc ctcctgtcca tagctgcgat 300 gctgacagta tgggcatgcc agggtcgaca gtgctcctac aggaagaaaa agagaccaaa 360 tgtggaggaa ccactctctg agtgcaatct ggtaaatgct ggaaaaactc tgaaagatct 420 gatttatgat gtgaccgcct ctggatctgg ctctggtcta cctctgttgg ttcaaaggac 480 aattgcaagg acgattgtgc ttcaggaaat agtaggaaaa ggtagatttg gtgaggtgtg 540 gcatggaaga tggtgtgggg aagatgtggt gtgaaaatat tctcctccag agatgaaaag 600 atcttggttt cgtgaggcag aaaatttacc agacggtcat gctgcgaaat gaaaaccatc 660 ttggtttcat gggctgctga ccaccaagat aatggactgt ggctccactt ggggtggtat 720 ttgaatttca tgacagggtc ttatatgact atcgcataga attatggcgg gtgagagaca 780 aggggcccat gcggggtggg cctcttgggt gggcgcccag ggagccggtg gccgggccaa 840 accggaatct cgaacggatg gccccgccgt ggggcgacag gcaaccccat cgggacagat 900 tgcccgcgga tatctccctc cgtgacc 927
【0221】 <210> 7 <211> 38 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence: synthetic DNA <400> 7 cctaagcttg atgaccccag cgcgccgctc cgcactga 38
【0222】 <210> 8 <211> 43 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence: synthetic DNA <400> ccgctcgagc taagatctga gggtttttcc agcattgaca agg 43
【0223】 <210> 9 <211> 493 <212> PRT <213> Rattus norvegicus <400> 9 Met Thr Pro Ala Arg Arg Ser Ala Leu Ser Leu Ala Leu Leu Leu Val 1 5 10 15 Ala Leu Ala Ser Asp Leu Ala Ala Gly Leu Lys Cys Val Cys Leu Leu 20 25 30 Cys Asp Ser Ser Asn Phe Thr Cys Gln Thr Glu Gly Ala Cys Trp Ala 35 40 45 Ser Val Met Leu Thr Asn Gly Lys Glu Gln Val Ser Lys Ser Cys Val 50 55 60 Ser Leu Pro Glu Leu Asn Ala Gln Val Phe Cys His Ser Ser Asn Asn 65 70 75 80 Val Thr Lys Thr Glu Cys Cys Phe Thr Asp Phe Cys Asn Asn Ile Thr 85 90 95 Gln His Leu Pro Thr Ala Ser Pro Asp Ala Pro Arg Leu Gly Pro Thr 100 105 110 Glu Leu Thr Val Val Ile Thr Val Pro Val Cys Leu Leu Ser Ile Ala 115 120 125 Ala Met Leu Thr Ile Trp Ala Cys Gln Asp Arg Gln Cys Thr Tyr Arg 130 135 140 Lys Thr Lys Arg His Asn Val Glu Glu Pro Leu Ala Glu Tyr Ser Leu 145 150 155 160 Val Asn Ala Gly Lys Thr Leu Lys Asp Leu Ile Tyr Asp Ala Thr Ala 165 170 175 Ser Gly Ser Gly Ser Gly Pro Pro Leu Leu Val Gln Arg Thr Ile Ala 180 185 190 Arg Thr Ile Val Leu Gln Glu Ile Val Gly Lys Gly Arg Phe Gly Glu 195 200 205 Val Trp His Gly Arg Trp Cys Gly Glu Asp Val Ala Val Lys Ile Phe 210 215 220 Ser Ser Arg Asp Glu Arg Ser Trp Phe Arg Glu Ala Glu Ile Tyr Gln 225 230 235 240 Thr Val Met Leu Arg His Glu Asn Ile Leu Gly Phe Ile Ala Ala Asp 245 250 255 Asn Lys Asp Asn Gly Thr Trp Thr Gln Leu Trp Leu Val Ser Glu Tyr 260 265 270 His Glu Gln Gly Ser Leu Tyr Asp Tyr Leu Asn Arg Asn Ile Val Thr 275 280 285 Val Ala Gly Met Val Lys Leu Ala Leu Ser Ile Ala Ser Gly Leu Ala 290 295 300 His Leu His Met Glu Ile Val Gly Thr Gln Gly Lys Pro Ala Ile Ala 305 310 315 320 His Arg Asp Ile Lys Ser Lys Asn Ile Leu Val Lys Lys Cys Asp Thr 325 330 335 Cys Ala Ile Ala Asp Leu Gly Leu Ala Val Lys His Asp Ser Ile Met 340 345 350 Asn Thr Ile Asp Ile Pro Gln Asn Pro Lys Val Gly Thr Lys Arg Tyr 355 360 365 Met Ala Pro Glu Met Leu Asp Asp Thr Met Asn Val Asn Ile Phe Glu 370 375 380 Ser Phe Lys Arg Ala Asp Ile Tyr Ser Val Gly Leu Val Tyr Trp Glu 385 390 395 400 Ile Ala Arg Arg Cys Ser Val Gly Gly Leu Val Glu Glu Tyr Gln Leu 405 410 415 Pro Tyr Tyr Asp Met Val Pro Ser Asp Pro Ser Ile Glu Glu Met Arg 420 425 430 Lys Val Val Cys Asp Gln Lys Leu Arg Pro Asn Leu Pro Asn Gln Trp 435 440 445 Gln Ser Cys Glu Ala Leu Arg Val Met Gly Arg Ile Met Arg Glu Cys 450 455 460 Trp Tyr Ala Asn Gly Ala Ala Arg Leu Thr Ala Leu Arg Val Lys Lys 465 470 475 480 Thr Ile Ser Gln Leu Cys Val Lys Glu Asp Cys Lys Ala 485 490
【0224】 <210> 10 <211> 1562 <212> DNA <213> Rattus norvegicus <220> <221> CDS <222> (32)...(1510) <400> 10 ccccgaagcc ttgcaccgcc gcggggtggc c atg acc cca gcg cgc cgc tcc 52 Met Thr Pro Ala Arg Arg Ser 1 5 gca ctg agc ctg gcc ctc ctg ctg gtg gca ctg gcc tcc gac ctt gcg 100 Ala Leu Ser Leu Ala Leu Leu Leu Val Ala Leu Ala Ser Asp Leu Ala 10 15 20 gca gga ctg aag tgt gtg tgt ctt ttg tgt gat tcc tca aac ttt acc 148 Ala Gly Leu Lys Cys Val Cys Leu Leu Cys Asp Ser Ser Asn Phe Thr 25 30 35 tgc caa acc gaa gga gca tgc tgg gcc tct gtc atg cta acc aac ggg 196 Cys Gln Thr Glu Gly Ala Cys Trp Ala Ser Val Met Leu Thr Asn Gly 40 45 50 55 aaa gaa cag gtg agc aaa tcg tgc gtg tcc ctc ccg gaa cta aat gct 244 Lys Glu Gln Val Ser Lys Ser Cys Val Ser Leu Pro Glu Leu Asn Ala 60 65 70 cag gtc ttc tgt cac agt tcc aac aac gtg acc aag acc gaa tgt tgc 292 Gln Val Phe Cys His Ser Ser Asn Asn Val Thr Lys Thr Glu Cys Cys 75 80 85 ttc aca gac ttc tgc aac aac atc act cag cac ctt ccc aca gca tct 340 Phe Thr Asp Phe Cys Asn Asn Ile Thr Gln His Leu Pro Thr Ala Ser 90 95 100 cca gat gcc cct aga ctt ggc ccc aca gag ctg aca gtt gtt atc act 388 Pro Asp Ala Pro Arg Leu Gly Pro Thr Glu Leu Thr Val Val Ile Thr 105 110 115 gta cct gtt tgc ctc ctg tcc atc gca gcc atg cta acg ata tgg gcc 436 Val Pro Val Cys Leu Leu Ser Ile Ala Ala Met Leu Thr Ile Trp Ala 120 125 130 135 tgc cag gac cgc cag tgc aca tac agg aag acc aag aga cac aat gtg 484 Cys Gln Asp Arg Gln Cys Thr Tyr Arg Lys Thr Lys Arg His Asn Val 140 145 150 gag gaa cca ctg gca gag tac agc ctt gtc aat gct gga aaa acc ctc 532 Glu Glu Pro Leu Ala Glu Tyr Ser Leu Val Asn Ala Gly Lys Thr Leu 155 160 165 aaa gat ctg att tat gat gcc act gcc tcg ggc tca gga tct ggc ccg 580 Lys Asp Leu Ile Tyr Asp Ala Thr Ala Ser Gly Ser Gly Ser Gly Pro 170 175 180 cct ctt ttg gtt caa aga acc atc gca agg aca att gta ctt caa gaa 628 Pro Leu Leu Val Gln Arg Thr Ile Ala Arg Thr Ile Val Leu Gln Glu 185 190 195 atc gta gga aaa ggt cgg ttt ggg gaa gtg tgg cac gga aga tgg tgt 676 Ile Val Gly Lys Gly Arg Phe Gly Glu Val Trp His Gly Arg Trp Cys 200 205 210 215 gga gaa gat gtg gct gtg aaa ata ttc tcc tcc aga gat gag aga tct 724 Gly Glu Asp Val Ala Val Lys Ile Phe Ser Ser Arg Asp Glu Arg Ser 220 225 230 tgg ttc cgt gag gca gaa att tat cag acg gta atg ctg aga cat gag 772 Trp Phe Arg Glu Ala Glu Ile Tyr Gln Thr Val Met Leu Arg His Glu 235 240 245 aat att ctc ggt ttc atc gcg gcc gac aac aaa gat aat gga acc tgg 820 Asn Ile Leu Gly Phe Ile Ala Ala Asp Asn Lys Asp Asn Gly Thr Trp 250 255 260 act cag ctt tgg ctt gtg tca gag tat cac gag cag ggc tcc tta tat 868 Thr Gln Leu Trp Leu Val Ser Glu Tyr His Glu Gln Gly Ser Leu Tyr 265 270 275 gac tat ttg aat aga aac ata gtg acc gtg gct gga atg gtc aag ttg 916 Asp Tyr Leu Asn Arg Asn Ile Val Thr Val Ala Gly Met Val Lys Leu 280 285 290 295 gcg ctt tca ata gcg agt ggt ctg gct cac cta cac atg gag atc gtg 964 Ala Leu Ser Ile Ala Ser Gly Leu Ala His Leu His Met Glu Ile Val 300 305 310 ggc act caa ggt aag cct gct att gct cac cga gat ata aag tca aag 1012 Gly Thr Gln Gly Lys Pro Ala Ile Ala His Arg Asp Ile Lys Ser Lys 315 320 325 aat atc tta gtc aaa aag tgt gac act tgt gcc ata gct gac tta ggg 1060 Asn Ile Leu Val Lys Lys Cys Asp Thr Cys Ala Ile Ala Asp Leu Gly 330 335 340 ctg gct gtg aaa cat gat tct atc atg aac act ata gat ata ccc cag 1108 Leu Ala Val Lys His Asp Ser Ile Met Asn Thr Ile Asp Ile Pro Gln 345 350 355 aat cct aaa gtg gga acc aag agg tat atg gct ccc gaa atg ctt gat 1156 Asn Pro Lys Val Gly Thr Lys Arg Tyr Met Ala Pro Glu Met Leu Asp 360 365 370 375 gat aca atg aac gtc aac atc ttt gag tcc ttc aag cga gct gac atc 1204 Asp Thr Met Asn Val Asn Ile Phe Glu Ser Phe Lys Arg Ala Asp Ile 380 385 390 tat tcg gtg ggg ctg gtt tac tgg gaa ata gct cga agg tgt tca gtt 1252 Tyr Ser Val Gly Leu Val Tyr Trp Glu Ile Ala Arg Arg Cys Ser Val 395 400 405 gga gga ctt gtt gaa gag tac cag ttg cct tat tat gac atg gtg cct 1300 Gly Gly Leu Val Glu Glu Tyr Gln Leu Pro Tyr Tyr Asp Met Val Pro 410 415 420 tca gat cct tcc ata gag gaa atg agg aag gtc gtt tgt gat cag aaa 1348 Ser Asp Pro Ser Ile Glu Glu Met Arg Lys Val Val Cys Asp Gln Lys 425 430 435 ctg cga cca aat ctc cca aac cag tgg caa agc tgt gag gcg ctc cgg 1396 Leu Arg Pro Asn Leu Pro Asn Gln Trp Gln Ser Cys Glu Ala Leu Arg 440 445 450 455 gtc atg gga aga ata atg cgt gag tgc tgg tat gcc aac ggg gca gct 1444 Val Met Gly Arg Ile Met Arg Glu Cys Trp Tyr Ala Asn Gly Ala Ala 460 465 470 cgc ctg acc gcc ctg cgc gtg aag aag acc att tct cag ctg tgt gtc 1492 Arg Leu Thr Ala Leu Arg Val Lys Lys Thr Ile Ser Gln Leu Cys Val 475 480 485 aag gaa gac tgt aag gcc taaggataca ggcgacggga aagccctcac 1540 Lys Glu Asp Cys Lys Ala 490 cactctcttt catgtctcct gc 1562
【図面の簡単な説明】
【図1】 ALK7過剰発現細胞におけるリガンド依存
性の転写活性の解析結果を示す図である。(−)はアク
チビン無添加を示し、ALK7(−)はALK7遺伝子
を導入していない細胞株を、ALK7(+)はALK7
遺伝子導入株を示す。
【図2】 内因性ALK7発現膵臓β細胞におけるリガ
ンド依存性の転写活性の解析結果を示す図である。塗り
つぶしカラムはMIN6細胞、白抜きカラムはドミナン
トネガティブALK7発現MIN6細胞を用いた結果を
示す。また(−)はアクチビン無添加を示す。
【図3】 アクチビン添加によるマウス膵臓β細胞腫細
胞からのインシュリン分泌量を測定した結果を示す図で
ある。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61K 45/00 A61K 48/00 4C087 48/00 A61P 1/18 4H045 A61P 1/18 3/10 3/10 5/48 5/48 5/50 5/50 C12Q 1/02 C12Q 1/02 G01N 33/15 Z G01N 33/15 33/50 Z 33/50 33/53 D 33/53 M 33/566 33/566 C07K 14/52 // C07K 14/52 14/715 14/715 A61K 37/02 ZNA C12N 15/09 C12N 15/00 A Fターム(参考) 2G045 AA34 AA35 AA40 BA11 BB50 DA12 DA13 DA14 DA36 FB02 4B024 AA01 AA11 BA56 BA63 CA04 DA02 EA02 EA04 FA02 GA11 HA11 HA17 4B063 QA01 QA18 QQ01 QQ08 QQ13 QR33 QR59 QR77 QR80 QS05 QS36 QX02 4C084 AA01 AA02 AA13 AA17 BA01 BA02 BA08 BA21 BA44 CA18 DC50 NA13 NA14 ZA661 ZC351 ZC422 4C085 AA13 AA14 AA16 AA21 BB11 BB50 CC02 CC03 CC04 CC07 CC08 CC23 DD23 DD62 DD63 4C087 AA01 AA02 BC83 CA12 NA13 NA14 ZA66 ZC35 ZC42 4H045 AA10 AA20 AA30 BA10 CA40 DA01 DA51 EA20 EA50 FA72 FA74

Claims (35)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 アクチビンAB、アクチビンB、および
    ALK7からなる群より選ばれる蛋白質を有効成分とし
    て含有する糖尿病の治療および/または予防のための医
    薬。
  2. 【請求項2】 下記の何れかの蛋白質を有効成分として
    含有する糖尿病の治療および/または予防のための医
    薬。 [a]配列番号1で表されるアミノ酸配列からなるポリ
    ペプチド、および配列番号2で表されるアミノ酸配列か
    らなるポリペプチドから構成される二量体蛋白質; [b]配列番号1で表されるアミノ酸配列からなるポリ
    ペプチド、および配列番号2で表されるアミノ酸配列に
    おいて1以上のアミノ酸残基が欠失、置換、挿入および
    /または付加されたアミノ酸配列からなるポリペプチド
    から構成される二量体蛋白質であって、ALK7のリガ
    ンドとしての機能を有する蛋白質; [c]配列番号1で表されるアミノ酸配列において1以
    上のアミノ酸残基が欠失、置換、挿入および/または付
    加されたアミノ酸配列からなるポリペプチド、および配
    列番号2で表されるアミノ酸配列からなるポリペプチド
    から構成される二量体蛋白質であって、ALK7のリガ
    ンドとしての機能を有する蛋白質;または [d]配列番号1で表されるアミノ酸配列において1以
    上のアミノ酸残基が欠失、置換、挿入および/または付
    加されたアミノ酸配列からなるポリペプチド、および配
    列番号2で表されるアミノ酸配列において1以上のアミ
    ノ酸残基が欠失、置換、挿入および/または付加された
    アミノ酸配列からなるポリペプチドから構成される二量
    体蛋白質であって、ALK7のリガンドとしての機能を
    有する蛋白質:
  3. 【請求項3】 下記の何れかの蛋白質を有効成分として
    含有する糖尿病の治療および/または予防のための医
    薬。 [a]配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるポリ
    ペプチドから構成される二量体蛋白質; [b]配列番号2で表されるアミノ酸配列からなるポリ
    ペプチド、および配列番号2で表されるアミノ酸配列に
    おいて1以上のアミノ酸残基が欠失、置換、挿入および
    /または付加されたアミノ酸配列からなるポリペプチド
    から構成される二量体蛋白質であって、ALK7のリガ
    ンドとしての機能を有する蛋白質;または [c]配列番号2で表されるアミノ酸配列において1以
    上のアミノ酸残基が欠失、置換、挿入および/または付
    加されたアミノ酸配列からなるポリペプチドから構成さ
    れる二量体蛋白質であって、ALK7のリガンドとして
    の機能を有する蛋白質:
  4. 【請求項4】 下記の何れかの蛋白質を有効成分として
    含有する糖尿病の治療および/または予防のための医
    薬。 [a]配列番号5および6で表される塩基配列を含むc
    DNAによりコードされる蛋白質;または [b]配列番号5および6で表される塩基配列を含むc
    DNAによりコードされるアミノ酸配列において1以上
    のアミノ酸残基が欠失、置換、挿入および/または付加
    されたアミノ酸配列からなる蛋白質であり、かつアクチ
    ビンABまたはアクチビンBの受容体蛋白質としての機
    能を有する蛋白質:
  5. 【請求項5】 下記の何れかのポリペプチドを有効成分
    として含有する糖尿病の治療および/または予防のため
    の医薬。 [a]配列番号1または2で表されるアミノ酸配列から
    なるポリペプチド;または [b]配列番号1または2において1以上のアミノ酸残
    基が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ
    酸配列からなるポリペプチドであって、かつALK7の
    リガンドとしての機能を有する蛋白質を構成するポリペ
    プチド;
  6. 【請求項6】 糖尿病の治療および/または予防のため
    の医薬が、膵臓機能改善作用を有するものである請求項
    1〜5のいずれか1項に記載の医薬。
  7. 【請求項7】 糖尿病の治療および/または予防のため
    の医薬が、膵臓β細胞からのインスリン分泌促進作用を
    有するものである請求項1〜5のいずれか1項に記載の
    医薬。
  8. 【請求項8】 糖尿病の治療および/または予防のため
    の医薬が、膵外分泌細胞および膵内分泌細胞の再生を促
    進する作用を有するものである請求項1〜5のいずれか
    1項に記載の医薬。
  9. 【請求項9】 アクチビンAB、アクチビンB、および
    ALK7からなる群より選ばれる蛋白質を有効成分とし
    て含有する、インスリン分泌促進剤。
  10. 【請求項10】 アクチビンβA鎖、アクチビンβB鎖、
    またはALK7をコードするDNAを含有する、糖尿病
    の治療および/または予防のための遺伝子治療剤。
  11. 【請求項11】 下記の何れかのDNAを含有する、糖
    尿病の治療および/または予防のための遺伝子治療剤。 [a]配列番号1または2で表されるアミノ酸配列から
    なるポリペプチドをコードするDNA; [b]配列番号1または2で表されるアミノ酸配列にお
    いて1以上のアミノ酸残基が欠失、置換、挿入および/
    または付加されたアミノ酸配列からなるポリペプチドで
    あり、かつALK7のリガンドとしての機能を有する蛋
    白質を構成するポリペプチドをコードするDNA;また
    は [c]配列番号3および4で表される塩基配列を含むD
    NA:
  12. 【請求項12】 下記の何れかのDNAを含有する、糖
    尿病の治療および/または予防のための遺伝子治療剤。 [a]配列番号5および6で表される塩基配列を含むc
    DNAにコードされる蛋白質をコードするDNA;また
    は [b]配列番号5および6で表される塩基配列を含むc
    DNAにコードされるアミノ酸配列において1以上のア
    ミノ酸残基が欠失、置換、挿入および/または付加され
    たアミノ酸配列からなる蛋白質であり、かつアクチビン
    ABまたはアクチビンBの受容体蛋白質としての機能を
    有する蛋白質をコードするDNA:
  13. 【請求項13】 糖尿病の治療および/または予防のた
    めの遺伝子治療剤が、膵臓機能改善作用を有するもので
    ある請求項10〜12のいずれか1項に記載の遺伝子治
    療剤。
  14. 【請求項14】 糖尿病の治療および/または予防のた
    めの遺伝子治療剤が、膵臓β細胞からのインスリン分泌
    促進作用を有するものである請求項10〜12のいずれ
    か1項に記載の遺伝子治療剤。
  15. 【請求項15】 糖尿病の治療および/または予防のた
    めの遺伝子治療剤が、膵外分泌細胞および膵内分泌細胞
    の再生を促進する作用を有するものである請求項10〜
    12のいずれか1項に記載の遺伝子治療剤。
  16. 【請求項16】 アクチビンβA鎖、アクチビンβB鎖、
    またはALK7をコードするDNAを含有する、インス
    リン分泌促進剤。
  17. 【請求項17】 以下の[a]〜[c]のいずれかに記
    載のDNA、オリゴヌクレオチドまたは該オリゴヌクレ
    オチドの誘導体を含有する糖尿病の診断薬。 [a]アクチビンβA鎖、アクチビンβB鎖、またはAL
    K7をコードするDNA、またはそれらDNAの部分断
    片であるDNA; [b]配列番号3または4で表される塩基配列からなる
    DNA、配列番号5および6で表される塩基配列を含む
    cDNA、またはそれらDNAの部分断片であるDNA
    より選ばれるDNA [c]配列番号3または4で表される塩基配列、または
    配列番号5および6で表される塩基配列を含むcDNA
    の塩基配列において、連続した5〜60塩基からなる配
    列を有するオリゴヌクレオチド、該オリゴヌクレオチド
    と相補的な配列を有するオリゴヌクレオチドまたは該オ
    リゴヌクレオチドの誘導体
  18. 【請求項18】 アクチビンAB、アクチビンB、AL
    K7からなる群より選ばれる蛋白質を認識する抗体を含
    有する糖尿病の診断薬。
  19. 【請求項19】 請求項17に記載のDNA、オリゴヌ
    クレオチドまたは該オリゴヌクレオチドの誘導体、また
    は請求項18に記載の抗体を含有する、糖尿病の診断キ
    ット。
  20. 【請求項20】 (i)以下の[a]〜[d]のいずれ
    かに記載のポリペプチドまたは蛋白質を発現する細胞で
    の該ポリペプチドまたは蛋白質の発現量と、(ii)該ポ
    リペプチドまたは蛋白質を発現する細胞と被験試料を接
    触させた場合の該ポリペプチドまたは蛋白質の発現量と
    を比較し、被験試料より以下の[a]〜[d]のいずれ
    かに記載のポリペプチドまたは蛋白質の発現量を増大さ
    せる化合物を選択することを特徴とする、糖尿病の治療
    および/または予防のための医薬のスクリーニング方
    法。 [a]アクチビンAB、アクチビンB、およびALK7
    より選ばれる蛋白質; [b]配列番号1または2で表されるアミノ酸配列から
    なるポリペプチド、および配列番号5および6で表され
    る塩基配列を含むcDNAにコードされる蛋白質より選
    ばれるポリペプチドまたは蛋白質; [c]配列番号1または2で表されるアミノ酸配列から
    選ばれるアミノ酸配列において1以上のアミノ酸残基が
    欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配
    列からなるポリペプチドであり、かつALK7のリガン
    ドとしての機能を有する蛋白質を構成するポリペプチ
    ド;または [d]配列番号5および6で表される塩基配列を含むc
    DNAにコードされるアミノ酸配列において1以上のア
    ミノ酸残基が欠失、置換、挿入および/または付加され
    たアミノ酸配列からなる蛋白質であり、かつアクチビン
    ABまたはアクチビンBの受容体蛋白質としての活性を
    有する蛋白質:
  21. 【請求項21】 (i)以下の[a]〜[d]のいずれ
    かに記載のポリペプチドまたは蛋白質を発現する細胞の
    機能と、(ii)該ポリペプチドまたは蛋白質を発現する
    細胞と被験試料を接触させた場合の細胞の機能とを比較
    し、被験試料より細胞の機能を制御する活性を有する化
    合物を選択することを特徴とする、糖尿病の治療および
    /または予防のための医薬のスクリーニング方法。 [a]アクチビンAB、アクチビンB、およびALK7
    より選ばれる蛋白質; [b]配列番号1または2で表されるアミノ酸配列から
    なるポリペプチド、および配列番号5および6で表され
    る塩基配列を含むcDNAにコードされる蛋白質より選
    ばれるポリペプチドまたは蛋白質; [c]配列番号1または2で表されるアミノ酸配列から
    選ばれるアミノ酸配列において1以上のアミノ酸残基が
    欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配
    列からなるポリペプチドであり、かつALK7のリガン
    ドとしての機能を有する蛋白質を構成するポリペプチ
    ド;または [d]配列番号5および6で表される塩基配列を含むc
    DNAにコードされるアミノ酸配列において1以上のア
    ミノ酸残基が欠失、置換、挿入および/または付加され
    たアミノ酸配列からなる蛋白質であり、かつアクチビン
    ABまたはアクチビンBの受容体蛋白質としての活性を
    有する蛋白質:
  22. 【請求項22】 細胞が、II型アクチビン受容体を発現
    している細胞である、請求項20または21に記載のス
    クリーニング方法。
  23. 【請求項23】 細胞が、膵臓β細胞種細胞である請求
    項20〜22のいずれか1項に記載のスクリーニング方
    法。
  24. 【請求項24】 以下の[a]〜[d]のいずれかに記
    載のポリペプチドまたは蛋白質をコードする遺伝子の転
    写を制御する領域の下流にレポーター遺伝の連結された
    DNAを含むDNAで形質転換された形質転換体と被験
    試料を接触させ、被験試料より以下の[a]〜[d]の
    いずれかに記載のポリペプチドまたは蛋白質をコードす
    る遺伝子の発現を増大させる化合物を選択することを特
    徴とする、糖尿病の治療および/または予防のための医
    薬のスクリーニング方法。 [a]アクチビンAB、アクチビンB、およびALK7
    より選ばれる蛋白質; [b]配列番号1または2で表されるアミノ酸配列から
    なるポリペプチド、および配列番号5および6で表され
    る塩基配列を含むcDNAにコードされる蛋白質より選
    ばれるポリペプチドまたは蛋白質; [c]配列番号1または2で表されるアミノ酸配列から
    選ばれるアミノ酸配列において1以上のアミノ酸残基が
    欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配
    列からなるポリペプチドであり、かつALK7のリガン
    ドとしての機能を有する蛋白質を構成するポリペプチ
    ド;または [d]配列番号5および6で表される塩基配列を含むc
    DNAにコードされるアミノ酸配列において1以上のア
    ミノ酸残基が欠失、置換、挿入および/または付加され
    たアミノ酸配列からなる蛋白質であり、かつアクチビン
    ABまたはアクチビンBの受容体蛋白質としての活性を
    有する蛋白質:
  25. 【請求項25】 糖尿病の治療および/または予防のた
    めの医薬が膵臓機能改善作用を有する化合物である請求
    項20〜24のいずれか1項に記載の方法。
  26. 【請求項26】 糖尿病の治療および/または予防のた
    めの医薬が膵臓β細胞からのインスリン分泌促進作用を
    有する化合物である請求項20〜24のいずれか1項に
    記載の方法。
  27. 【請求項27】 糖尿病の治療および/または予防のた
    めの医薬が膵外分泌細胞または膵内分泌細胞の再生を促
    進する作用を有する化合物である請求項20〜24のい
    ずれか1項に記載の方法。
  28. 【請求項28】 請求項20〜24のいずれか1項に記
    載の方法によって得られる化合物、またはその薬理学的
    に許容される塩。
  29. 【請求項29】 請求項28に記載の化合物、またはそ
    の薬理学的に許容される塩を含有する糖尿病の治療およ
    び/または予防のための医薬。
  30. 【請求項30】 ALK7を認識する抗体と請求項28
    に記載の化合物またはその薬理学的に許容される塩とを
    結合して得られる、糖尿病の治療および/または予防の
    ための医薬。
  31. 【請求項31】 膵臓機能改善作用を有する医薬であ
    る、請求項29または30に記載の糖尿病の治療および
    /または予防のための医薬。
  32. 【請求項32】 膵臓β細胞からのインスリン分泌促進
    作用を有する医薬である請求項29または30に記載の
    糖尿病の治療および/または予防のための医薬。
  33. 【請求項33】 膵外分泌細胞または膵内分泌細胞の再
    生を促進する作用を有する医薬である請求項29または
    30に記載の糖尿病の治療および/または予防のための
    医薬。
  34. 【請求項34】 ALK7を認識する抗体とALK7に
    作用する糖尿病の治療および/または予防のための医薬
    とを結合して得られる融合抗体を膵臓へ選択的に蓄積さ
    せることを特徴とする、糖尿病の治療および/または予
    防のための医薬の輸送方法。
  35. 【請求項35】 糖尿病の治療および/または予防のた
    めの医薬が、請求項28に記載の化合物またはその薬理
    学的に許容される塩である請求項34に記載の方法。
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