JP2003105486A - 成形性に優れた高強度鋼板、溶融亜鉛めっき鋼板およびその製造方法 - Google Patents
成形性に優れた高強度鋼板、溶融亜鉛めっき鋼板およびその製造方法Info
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Abstract
鉛めっき鋼板およびその製造方法を工業的規模で実現す
る。 【解決手段】 質量%で、C:0.12〜0.35%、Si:0.2〜0.8
%、Mn:1.2〜3.5%、P:0.03%以下、S:0.03%以下、Al:0.25
〜1.8%、Mo:0.05〜0.35%、N:0.010%以下を含有し、さ
らに、Cu:1.0%以下、Ni:1.0%以下、Cr:1.0%以下のうち
1種または2種以上を含有し、残部Feおよび不可避不純
物からなり、金属組織がフェライトと5%以上の残留オ
ーステナイトおよびベイナイトを含有することを特徴と
する成形性に優れた高強度鋼板、溶融亜鉛めっき鋼板お
よびその製造方法。好ましくは、Al、 C、Mn、Moの質量
%が特定の関係式を満足する。
Description
強度鋼板と溶融亜鉛めっき鋼板およびその製造方法に関
する。
軽量化がより一層要求されている。車体の軽量化のため
には、強度の高い鋼材を使用すれば良いが、強度が高く
なるほど、プレス成形性が困難となる。これは、一般に
鋼材の強度が高くなるほど、鋼材の伸びが低下するから
である。これに対し、オーステナイトを室温まで保持し
たTRIP鋼(残留オーステナイト鋼)は強度と伸びの双方
が高く、最近、自動車の骨格部材に使用されるようにな
った。
Siを含有する成分系であるために、めっきが均一に付着
しにくく溶融亜鉛めっき性が悪く、また、通常鋼材より
も化成処理性が悪いという問題点があった。また、残留
オーステナイト鋼は連続焼鈍時に350〜550℃の温度範囲
で、30秒から30分保持することでオーステナイト相が安
定するとされているが、一般的な溶融亜鉛めっき設備に
は、上記等温保持が可能な設備を有していないものが多
いことから、溶融亜鉛めっきが可能な残留オーステナイ
ト鋼は、成分的にも製法的にも製造が困難とされてき
た。
延鋼板やもしくは電気めっき鋼板だけで工業化されてい
るが、溶融めっき鋼板のTRIP鋼は工業化されていなかっ
た。これらの問題点を解決する手段としてSiを低減
し、代替元素として Alを添加する報告例として特許
第2962038号公報があるが、Alが相当量必要であり、
しかも、めっき性が必ずしも改善されるものではなく、
また、その操業範囲も狭いものとなり、工業化に至って
いないのが実情である。
速度が3℃/sec前後と遅く、Al添加によっても、
パーライトが形成され、残留オーステナイト量が少なく
伸びが低下している。また合金化めっきの場合、合金化
温度は通常500℃前後となるので、ベイナイトが粗大
化したり、残留オーステナイトがベイナイト変態するた
めに低減し、特性が劣化していた。
な従来技術の問題点を解決し、成形性に優れた高強度鋼
板および溶融亜鉛めっき鋼板およびその製造方法を工業
的規模で実現することを課題とする。
を説明する。本発明者らは、成形性に優れた高強度鋼板
とその溶融亜鉛めっき化を検討した結果、鋼成分の最適
化、すなわち、Siを低減してAlを代替元素とすることに
より溶融亜鉛めっきが可能であり、また、Mo、Al、C、M
nの質量%の関係式を特定することにより、強度と伸び
の双方が優れた残留オーステナイト鋼を工業的に製造で
きることを見出した。すなわち、等温保持処理を行わな
くとも、従来の残留オーステナイト鋼並に延性が向上
し、また合金化めっきをおこなっても特性が劣化する事
が少ない高強度鋼板を実現した。
の鋼板を、連続焼鈍または連続溶融亜鉛めっきラインに
て、フェライト−オーステナイト2相域にて再結晶焼鈍
を行った後に、適当な冷却速度にて冷却することによ
り、フェライトを主相とし、低温生成相として残留オー
ステナイトを7%以上含む複合金属組織を得ることがで
きることを見出し、Mo、C、Mnと連続焼鈍工程における
冷却速度との関係式を特定することにより、かかる高強
度鋼板を工業的に安定製造できる方法を実現した。本発
明は、以上のような技術思想に基づくものであり、特許
請求の範囲に記載した以下の内容をその要旨とする。
〜0.8%、Mn:1.2〜3.5%、P:0.03%以下、S:0.03%以下、A
l:0.25〜1.8%、Mo:0.05〜0.35%、N:0.010%以下を含有
し、さらに、Cu:1.0%以下、Ni:1.0%以下、Cr:1.0%以下
のうち1種または2種以上を含有し、残部Feおよび不可
避不純物からなり、金属組織がフェライトと7%以上の
残留オーステナイトおよびベイナイトを含有することを
特徴とする成形性に優れた高強度鋼板。 (2)Al とMoの質量%が、下記(A)式を満足するこ
とを特徴とする(1)に記載の成形性に優れた高強度鋼
板。 0.15-Al/12-Si/12<Mo<0.40−Al/8-Si/8 ・・・(A)
式を満足することを特徴とする(1)または(2)に記
載の成形性に優れた高強度鋼板。 0.70<(C+Mn/6+1.5*Mo)<1.1 ・・・(B) (4)(1)乃至(3)に記載の高強度鋼板の表面に、
亜鉛めっき層を有することを特徴とする成形性に優れた
高強度溶融亜鉛めっき鋼板。 (5)(1)乃至(3)に記載の高強度鋼板の製造方法
において、熱延後の鋼板を450〜600℃の温度で巻取り、
冷延後に750〜850℃の温度で焼鈍し、焼鈍工程にて7
(℃/sec)以上の速度で冷却し、かつ、C、Mn、 Moの質
量%および焼鈍工程での冷却速度CR(℃/sec)が、下記
(C)式を満足することを特徴とする成形性に優れた高
強度鋼板の製造方法。 1.6<(C+logCR+Mn/8+2*Mo)<2.7 ・・・(C) (6)(4)に記載の高強度溶融亜鉛めっき鋼板の製造
方法において、熱延後の鋼板を450〜600℃の温度で巻取
り、冷延後に750〜850℃の温度で焼鈍し、溶融亜鉛めっ
き工程にて7(℃/sec)以上の速度で冷却し、かつ、
C、Mn、 Moの質量%および焼鈍工程での冷却速度CR(℃
/sec)が、下記(C)式を満足することを特徴とする成
形性に優れた高強度溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法。 1.6<(C+logCR+Mn/8+2*Mo)<2.7 ・・・(C) ここに、7%以上の残留オーステナイトとは、金属組織
写真における面積率で7%以上が残留オーステナイト相
であることをいい、X線などを用いて測定する。また、
亜鉛めっき層とは、亜鉛を主たる成分とするめっき層を
いい、溶融亜鉛めっきだけでなく、合金化した溶融亜鉛
めっきを含む。
に説明する。まず、本発明の高強度鋼板の成分および金
属組織の限定理由を説明する。Cは、強度確保の観点か
ら、またオーステナイトを安定化する基本元素として、
必須の成分である。Cが0.12%未満では強度が満足
せず、また残留オーステナイトが形成されない。また、
0.35%を超えると、強度が上がりすぎ、延性が不足
し工業材料として使用できない。従って、本発明におけ
るCの範囲は、0.12〜0.35%とし、好ましくは、0.1
5〜0.25%である。
とに加え、炭化物の生成を遅らせる元素であり残留オー
ステナイトの生成に有効な元素である。Mnが1.2%未満
では、強度が満足せず、また残留オーステナイトの形成
が不十分となり延性が劣化する。また、Mn添加量が3.5
%を超えると、焼入れ性が高まるため、残留オーステナ
イトに変わってマルテンサイトが生成し、強度上昇を招
きこれにより、製品のバラツキが大きくなるほか、延性
が不足し工業材料として使用できない。従って、本発明
におけるMnの範囲は、1.2〜3.5%とした。
0.2%以上とした。これ未満だと必要な強度が確保で
きない。これに加え、前述のように、オーステナイト生
成に有効な元素であるため、延性確保のために添加され
る元素であるが,0.8%を超えると溶融亜鉛めっき性
が著しく劣化するため、上限を0.8%とした。さらに
めっき性を重視する場合は,0.5%以下とするのが好
ましい。Pは鋼板の強度を上げる元素として必要な強度
レベルに応じて添加する。しかし、添加量が多いと粒界
へ偏析するために局部延性を劣化させる。また、溶接性
を劣化させる。従って、P上限値は0.03%とする。
接性を劣化させる元素であり、鋼中に存在しない方が好
ましい元素である。従って、上限を0.03%とする。Mo
の最低添加量を0.05%とした。これ以下では、パーライ
トを形成し、残留オーステナイト率が低減する。過多の
Moの添加は延性の劣化や化成処理性を劣化させること
があるので、上限を0.35%とした。さらに望ましくは、
0.15%以下とするとより高い強度−延性バランスを得る
ことができる。
させるために必要な元素であり、フェライトの生成を促
進し、炭化物の生成を抑制することにより、オーステナ
イトを安定化させる作用があると同時に、脱酸元素とし
ても作用する。オーステナイトの安定化には0.25%以上
のAl添加が必要である、一方、Alを過度に添加しても上
記効果は飽和し、かえって鋼を脆化させるばかりでな
く、溶融亜鉛めっき性を劣化させるため、その上限を1.
8%とした。
あまり多量に含有する場合は、時効性を劣化させるのみ
ならず、AlN析出量が多くなってAl添加の効果を減少さ
せるので、0.01%以下の含有が好ましい。 また、不必要
にNを低減することは製鋼工程でのコストが増大するの
で通常0.0020%程度以上に制御することが好まし
い。Cr、Ni、Cuは、いずれも強化元素として有効である
が、過多の添加は延性の劣化や化成処理性を劣化させる
ことがあるので、Cr1.0%以下、Ni:1.0%以下、Cu:1.0%以
下とした。
の残留オーステナイトおよびベイナイトを主相として含
有することを特徴とする理由は、このような組織をとる
場合は、強度延性バランスに優れた鋼板となるからであ
る。特に、残留オーステナイト率が7%以上となるとき
に、TS×ELの強度延性バランスが劇的に上昇する。
さらに、最大で3%程度のマルテンサイトが生成するこ
ともあるが、この程度の生成量では本発明の強度延性バ
ランスを劣化させることはなく、問題とならない。
ステナイト鋼において極めて重要な役割を担う成分であ
る。本発明者らは、鋭意検討した結果、添加されたAl
に対し 式(A)に表されたMoの適正範囲があることを
見出した。 0.15−Al/12−Si/12<Mo<0.40−Al/8−Si/8 ・・・(A) すなわち、Moが、0.15−Al/12−Si/12以下では残留オ
ーステナイトが形成されず、また、Moが0.40−Al/8−
Si/8以上では、強度が上昇し、延性が劣化する。
残留オーステナイトが形成される理由については明らか
ではないが、Alは、フェライト形成元素であり、ベイ
ナイト変態開始時点でのフェライト分率が多くなり過ぎ
るのに対し、Moは同じフェライトフォーマーではある
が、変態そのものの速度を抑制してフェライト分率を低
減させる。Moを0.15−Al/12−Si/12以上とすることに
より、ベイナイト分率が上昇し、残留オーステナイトが
多くできるものと推測される。このように、MoとAl
およびSiの相互作用で、残留オーステナイトの形成量
が決定されるものと考えられる。なお、この式(A)
は,特に本発明の特徴である,Si添加量が低いときに
得られる関係である。
性が低下する理由は、ベイナイト反応速度が低減し、残
留オーステナイトが少なくなるものと考えられる。さら
に本発明者らは研究を重ね、式(B)を見出した。 0.70<(C+Mn/6+1.5*Mo)<1.1 ・・・(B) 溶融メッキラインは焼鈍後の冷却速度が3℃/sec程
度と遅くパーライトが形成されやすい。 また、焼鈍
後、亜鉛の溶融ポットに浸漬後、合金化処理が施される
ケースがある。いずれの場合もオーステナイトを残留さ
せるには不利な操業条件である。そこで、本発明者ら
は、MoとC、Mnについて鋭意検討を重ねた結果、式
(B)に至ったものである。
が、0.70以下では、残留オーステナイト量が5%以
下になり、TSxElが19000MPa%程度に劣化
してしまう。また、1.1%以上では、強度が上昇し、
伸びが低下し、TSxElが19000MPa%程度に
劣化してしまう。上記理由は明らかでないが、Moと
C、Mnの相互作用で、残留オーステナイトの形成量が
決定されるものと考えられる。また、溶融ポット前後で
形成された残留オーステナイトが合金化工程で分解され
るのを防止する機能をもっているものと推測できる。
ある。冷延鋼板はまず、オーステナイトとフェライトの
2相共存温度域で再結晶焼鈍される。この際に、CやMn等
の焼き入れ性を向上させる元素や、AlやSiなどの残留オ
ーステナイトを残存させる元素の影響でCがオーステナ
イト中に濃化し、その後の熱処理によるマルテンサイト
を含む残留オーステナイトの生成を容易にする。通常の
冷延鋼板におけるTRIP鋼の製造条件は、熱延工程で
の圧延、コイル捲取の後、冷間圧延を行い、連続焼鈍設
備にて前述の熱処理を施す。溶融亜鉛めっき鋼板の場合
は、冷間圧延後に溶融亜鉛メッキ工程で焼鈍とメッキを
行う。メッキ後に加熱合金化処理を行ってもかまわな
い。また、加熱方式は誘導加熱、ガス加熱等いずれの方
式でもかまわない。
工程での焼鈍時冷却速度について鋭意検討を重ねて式
(C)を見出した。 1.6<(C+logCR+Mn/8+2*Mo)<2.7 ・・・(C) CRは焼鈍工程での冷却速度であり、単位は ℃/se
c logCRが式(C)を満足する場合、TSxElが最
高値を示す。1.6以下では、パーライトが形成された
り、残留オーステナイトが形成されなくなる。一方、2.
7以上の場合、マルテンサイトが多量に形成され、残留
オーステナイトが減少したり形成されなかったりする。
そのため、強度が非常に高くなり延性が低下することが
あり、この値を上限とした。
やかに2相平衡状態に達するために重要な条件である。
すなわち、熱延後の組織を間隔の小さいパーライトまた
は、これとベイナイトの混合した組織とすることによ
り、焼鈍工程でセメンタイトが溶解しやすくする必要が
ある。このためには、600℃以下が望ましい。また、
スケールの発生を抑制し、デスケ性を良くするためにも
低温捲取が望ましい。一方で、捲取温度が低すぎると硬
質相が増すことにより、冷延が困難となるため、捲取温
度の下限は450℃以上とする。
冷延されて焼鈍に供される.焼鈍工程における焼鈍温度
は、高温になると平衡オーステナイト比率が高くなる、
またはオーステナイト単相になるため、オーステナイト
中のCが希薄となるため、その後の冷却で安定したオー
ステナイト残存させることができなくなる。従って、焼
鈍温度の上限は850℃以下とした。一方、低温で焼鈍を
行うと、炭化物の溶解が充分でなくなるため、Sol.C不
足から、オーステナイトヘのCの濃化が十分でなくな
り、残留オーステナイト比率が著しく低下する。従っ
て、下限値を750℃とした。上記の条件を満たすこと
で、成形性に優れた高強度鋼板及びその溶融亜鉛めっき
鋼板を実現できる。
表1に示した成分組成を有する鋼を真空溶解炉にて製造
し、冷却凝固後1200℃まで再加熱し、880℃にて
仕上圧延を行い、冷却後600℃で1時間保持すること
で、熱延の巻取熱処理を再現した。得られた熱延板を研
削によりスケールを除去し、70%の冷間圧延した。そ
の後連続焼鈍シミュレータを用い、770℃×74秒の
焼鈍を行い、10℃/secの冷却速度で450℃まで冷却
した後、合金化処理を再現するため、500℃まで再加
熱し、更に室温まで冷却した。その後1%のスキンパス
圧延を行った。
向引張にて評価し、TS(MPa)×EL(%)の積が
19000MPa%以上を良好とした。金属組織は、光
学顕微鏡での観察および、X線回折による残留オーステ
ナイト率の測定を行った。フェライトはナイタールエッ
チング、マルテンサイトはレペラーエッチングにて観察
した。残留オーステナイト率測定方法は、供試材板の表
層より1/4厚まで化学研磨した面で行い、単色化したM
oKα線による、フェライトの(200)および(21
1)面積分強度とオーステナイトの(200)、(22
0)および(311)面積分強度から残留オーステナイ
トを定量した。残留オーステナイト率が7%以上を良好
とした。表2,4,6,7の実験結果では、この残留オ
ーステナイト率を残留γ率と表記した。
ーにより、上記同様の焼鈍条件を施した後、溶融亜鉛メ
ッキを行い、目視にてめっきの付着状況を確認し、めっ
き面の内90%以上の面積で均一に付着している場合を
良好(=○)とした。合金化についてはパウダリング試
験により、評点3以下を良好(=○)とした。 実験結
果を表2に示す。
すぎるため、残留オーステナイトの形成が不十分で、T
S×ELも不十分である。実験番号36・成分記号AJ
では、Cが高すぎるため、強度が上昇しすぎ、延びが低
下することで、TS×ELが低下。実験番号37・成分
記号AKでは、Siが高すぎるため、溶融亜鉛めっきが
均一に付着せず、外観不良となる。合金化も不良であっ
た。実験番号38・成分記号ALでは、Mnが低すぎる
ため、強度が満足せず、また残留オーステナイト率も低
い。実験番号39・成分記号AMでは、Mnが高すぎる
ことで、強度が上昇し、延びが低下し、TS×ELが低
下した。実験番号40・成分記号ANでは、Alが低す
ぎるため、十分な残留オーステナイトを形成せず、伸び
が不足。実験番号41・成分記号AOでは、Alが高す
ぎるため、溶融亜鉛めっきが均一に付着せず、外観不良
を起こし、また合金化も不良であった。実験番号42・
成分記号APは、Moが低すぎるためパーライトが生成
し、残留オーステナイト率が低下した。実験番号43・
成分記号AQでは、Moが高すぎるため、強度が上昇し
すぎ、延びが低下し、TS×ELが不足した。
号1〜34・成分記号A〜AHでは、本発明の範囲を満
たしているため、良好な結果となった。 (2)および(4)の発明に関する実施例:表3に示し
た成分の鋼を真空溶解し、(1)の発明の実施例と同様
の方法で試験片を作成し、同様の実験により各特性を調
査した。
・成分記号BHでは、Moの含有量が0.15-Al/12-Si/12
よりも低いため十分な残留オーステナイト相が形成され
ず、材質が不十分であった。実験番号60・成分記号B
Iでは、Moの含有量が0.4-Al/8-Si/8よりも高いた
め、強度が上昇しすぎ、延性が低下し材質が不十分であ
った。これに対し、実験番号43〜58・成分記号AR
〜BGでは、本発明の範囲を満たしているため、良好な
結果となった。
例:表5に示した成分の鋼を真空溶解し、(1)の発明
の実施例と同様の方法で試験片を作成し、同様の実験に
より各特性を調査した。
・成分記号CAでは、C+Mn/6+1.5×Mo=0.537と、0.7
以下のため、残留オーステナイトが5%以下となり材質
不十分である。実験番号79・成分記号CBでは、C+Mn
/6+1.5×Mo=1.352と、1.1以上のため、強度が上昇し延
性が低下するためTS×ELが低下した。これに対し、
実験番号61〜77・成分記号BJ〜BZでは、本発明
の範囲を満たしており、良好な結果となった。
例:表1の成分の鋼のうち、代表的な成分の、成分記号
B、F、H、J、M、Q、X、ABおよびAGについ
て、(1)の発明の実施例と同様の方法で冷間圧延まで
行い、連続焼鈍及び溶融亜鉛めっきシミュレーターにて
焼鈍後、表7に示した冷却速度にて冷却し、その後さら
に(1)の発明と同様の方法で試験片を作成し、同様の
実験により各特性を調査した。 その結果は同じく表7
に示している。
M、QおよびXについては、冷却速度(=CR)が3℃
/secと低いために、式(C)を満足せず、その結果
十分な残留オーステナイトが形成されず、材質不良であ
った。実験番号101〜105・成分記号F、J、M、
QおよびXについては、冷却速度が100℃/secと
速すぎるために、式(c)を満足せず、その結果組織中
に3%〜5%の大量のマルテンサイトが生成し、強度が
高くなりすぎ、延性が悪化することで材質不良となっ
た。また残留オーステナイト率も低下した。
号F、H、J、M、Q、X、ABおよびAGについて
は、冷却速度を7℃/secとして、(5)の発明式
(C)を満足するため、良好な結果となった。また、実
験番号88〜95・成分記号F、H、J、M、Q、X、
ABおよびAGについても、冷却速度を30℃/sec
として、(5)の式(C)を満足し、良好な結果となっ
た。
される、成形性に優れた高強度鋼板と溶融亜鉛めっき鋼
板を提供できるため、工業的に価値の高い発明である。 Mo+Ni
Claims (6)
- 【請求項1】 質量%で、 C:0.12〜0.35%、 Si:0.2〜0.8%、 Mn:1.2〜3.5%、 P:0.03%以下、 S:0.03%以下、 Al:0.25〜1.8%、 Mo:0.05〜0.35%、 N:0.010%以下を含有し、 さらに、 Cu:1.0%以下、 Ni:1.0%以下、 Cr:1.0%以下のうち1種または2種以上を含有し、残部F
eおよび不可避不純物からなり、 金属組織がフェライトと7%以上の残留オーステナイト
およびベイナイトを含有することを特徴とする成形性に
優れた高強度鋼板。 - 【請求項2】 Al とMoの質量%が、下記(A)式を満
足することを特徴とする請求項1に記載の成形性に優れ
た高強度鋼板。 0.15−Al/12−Si/12<Mo<0.40−Al/8−Si/8 ・・・(A) - 【請求項3】 C、Mn、Moの質量%が、下記(B)式を
満足することを特徴とする請求項1または請求項2に記
載の成形性に優れた高強度鋼板。 0.70<(C+Mn/6+1.5*Mo)<1.1 ・・・(B) - 【請求項4】 請求項1乃至請求項4に記載の高強度鋼
板の表面に、亜鉛めっき層を有することを特徴とする成
形性に優れた高強度溶融亜鉛めっき鋼板。 - 【請求項5】 請求項1乃至請求項3に記載の高強度鋼
板の製造方法において、熱延後の鋼板を450〜600℃の温
度で巻取り、冷延後に750〜850℃の温度で焼鈍し、焼鈍
工程にて7(℃/sec)以上の速度で冷却し、かつ、C、M
n、 Moの質量%および焼鈍工程での冷却速度CR(℃/se
c)が、下記(C)式を満足することを特徴とする成形
性に優れた高強度鋼板の製造方法。 1.6<(C+logCR+Mn/8+2*Mo)<2.7 ・・・(C) - 【請求項6】 請求項4に記載の高強度溶融亜鉛めっき
鋼板の製造方法において、熱延後の鋼板を450〜600℃の
温度で巻取り、冷延後に750〜850℃の温度で焼鈍し、溶
融亜鉛めっき工程にて7(℃/sec)以上の速度で冷却
し、かつ、C、Mn、 Moの質量%および焼鈍工程での冷却
速度CR(℃/sec)が、下記(C)式を満足することを特
徴とする成形性に優れた高強度溶融亜鉛めっき鋼板の製
造方法。 1.6<(C+logCR+Mn/8+2*Mo)<2.7 ・・・(C)
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