JP2003098075A - 全反射減衰を利用したセンサー - Google Patents

全反射減衰を利用したセンサー

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JP2003098075A
JP2003098075A JP2001293904A JP2001293904A JP2003098075A JP 2003098075 A JP2003098075 A JP 2003098075A JP 2001293904 A JP2001293904 A JP 2001293904A JP 2001293904 A JP2001293904 A JP 2001293904A JP 2003098075 A JP2003098075 A JP 2003098075A
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light beam
light
total reflection
dielectric block
interface
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Nobufumi Mori
信文 森
Mitsuru Sawano
充 沢野
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Fuji Photo Film Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 表面プラズモン共鳴等による全反射減衰を利
用したセンサーにおいて、S/Nを悪化させることな
く、測定チップに入射する光ビームの総光量を低減し
て、試料液の温度上昇を抑制し、全反射減衰の状態の測
定精度を向上する。 【解決手段】 試料液供給機構70により試料液15が測定
チップ10に滴下供給される。光チョッパー80により所定
周波数で変調された光ビーム30を測定チップ10の内底面
に形成された金属膜と、その下の誘電体ブロックとの界
面で全反射条件が得られるように種々の角度で入射さ
せ、界面において全反射した光ビーム30の強度を光検出
器40で検出し、出力信号Sを求める。ロックインアンプ
84により、出力信号Sのうち所定周波数の信号のみを増
幅した出力信号S’を求めて、試料液15の特性を求め
る。ロックインアンプ84により目的信号が主に増幅され
るため、変調により光ビーム30の総光量が低下しても、
S/Nが悪化することはない。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、表面プラズモンの
発生を利用して試料中の物質の特性を分析する表面プラ
ズモンセンサー等の、全反射減衰を利用したセンサーに
関するものである。
【0002】
【従来の技術】金属中においては、自由電子が集団的に
振動して、プラズマ波と呼ばれる粗密波が生じる。そし
て、金属表面に生じるこの粗密波を量子化したものは、
表面プラズモンと呼ばれている。
【0003】従来より、この表面プラズモンが光波によ
って励起される現象を利用して、試料中の物質を定量分
析する表面プラズモンセンサーが種々提案されている。
そして、それらの中で特に良く知られているものとし
て、 Kretschmann配置と称される系を用いるものが挙げ
られる(例えば特開平6−167443号参照)。
【0004】上記の系を用いる表面プラズモンセンサー
は基本的に、例えばプリズム状に形成された誘電体ブロ
ックと、この誘電体ブロックの一面に形成されて、試料
に接触させられる金属膜からなる薄膜層と、光ビームを
発生させる光源と、上記光ビームを誘電体ブロックに対
して、該誘電体ブロックと薄膜層との界面で全反射条件
が得られるように種々の角度で入射させる光学系と、上
記界面で全反射した光ビームの強度を測定して表面プラ
ズモン共鳴の状態、つまり全反射減衰の状態を検出する
光検出手段とを備えてなるものである。
【0005】なお上述のように種々の入射角を得るため
には、比較的細い光ビームを入射角を変化させて上記界
面に入射させてもよいし、あるいは光ビームに種々の角
度で入射する成分が含まれるように、比較的太い光ビー
ムを上記界面に収束光状態であるいは発散光状態で入射
させてもよい。前者の場合は、入射した光ビームの入射
角の変化に従って、反射角が変化する光ビームを、上記
反射角の変化に同期して移動する小さな光検出器によっ
て検出したり、反射角の変化方向に沿って延びるエリア
センサによって検出することができる。一方後者の場合
は、種々の反射角で反射した各光ビームを全て受光でき
る方向に延びるエリアセンサによって検出することがで
きる。
【0006】上記構成の表面プラズモンセンサーにおい
て、光ビームを薄膜層に対して全反射角以上の特定入射
角で入射させると、該薄膜層に接している試料中に電界
分布をもつエバネッセント波が生じ、このエバネッセン
ト波によって薄膜層と試料との界面に表面プラズモンが
励起される。エバネッセント光の波数ベクトルが表面プ
ラズモンの波数と等しくて波数整合が成立していると
き、両者は共鳴状態となり、光のエネルギーが表面プラ
ズモンに移行するので、誘電体ブロックと薄膜層との界
面で全反射した光の強度が鋭く低下する。この光強度の
低下は、一般に上記光検出手段により暗線として検出さ
れる。なお上記の共鳴は、入射ビームがp偏光のときに
だけ生じる。したがって、光ビームがp偏光で入射する
ように予め設定しておく必要がある。
【0007】この全反射減衰(ATR)が生じる入射
角、すなわち全反射解消角θSPより表面プラズモンの
波数が分かると、試料の誘電率が求められる。すなわち
表面プラズモンの波数をKSP、表面プラズモンの角周
波数をω、cを真空中の光速、εとεをそれぞ
れ薄膜、試料の誘電率とすると、以下の関係がある。
【0008】
【数1】 試料の誘電率εが分かれば、所定の較正曲線等に基
づいて試料中の特定物質の濃度が分かるので、結局、上
記反射光強度が低下する入射角θSPを知ることによ
り、試料の誘電率つまりは屈折率に関連する特性を求め
ることができる。
【0009】なおこの種の表面プラズモンセンサーにお
いては、全反射減衰角θSPを精度良く、しかも大きな
ダイナミックレンジで測定することを目的として、特開
平11−326194号に示されるように、アレイ状の
光検出手段を用いることが考えられている。この光検出
手段は、複数の受光素子が所定方向に並設されてなり、
前記界面において種々の反射角で全反射した光ビームの
成分をそれぞれ異なる受光素子が受光する向きにして配
設されたものである。
【0010】そしてその場合は、上記アレイ状の光検出
手段の各受光素子が出力する光検出信号を、該受光素子
の並設方向に関して微分して出力する微分手段が設けら
れ、この微分手段が出力する微分値、特に暗線部分に対
応した微分値に基づいて試料の屈折率に関連する特性を
求めることが多い。
【0011】また、全反射減衰(ATR)を利用する類
似のセンサーとして、例えば「分光研究」第47巻 第
1号(1998)の第21〜23頁および第26〜27
頁に記載がある漏洩モードセンサーも知られている。こ
の漏洩モードセンサーは基本的に、プリズム状に形成さ
れた誘電体ブロック、この誘電体ブロックの一面に形成
されたクラッド層と、その上に形成され試料と接触させ
られる光導波層と、光ビームを発生させる光源と、上記
光ビームを上記誘電体ブロックに対して、該誘電体ブロ
ックとクラッド層との界面で全反射条件が得られるよう
に種々の角度で入射させる光学系と、上記界面で全反射
した光ビームの強度を測定して導波モードの励起状態、
つまり全反射減衰の状態を検出する光検出手段とを備え
てなるものである。
【0012】上記構成の漏洩モードセンサーにおいて、
光ビームを誘電体ブロックを通してクラッド層に対して
全反射角以上の入射角で入射させると、このクラッド層
を透過した後に光導波層においては、ある特定の波数を
有する特定入射角の光のみが導波モードで伝搬するよう
になる。こうして導波モードが励起されると、入射光の
ほとんどが光導波層に取り込まれるので、上記界面で全
反射する光の強度が鋭く低下する全反射減衰が生じる。
そして導波光の波数は光導波層の上の試料の屈折率に依
存するので、全反射減衰が生じる上記特定入射角を知る
ことによって、試料の屈折率や、それに関連する試料液
の特性を分析することができる。
【0013】なおこの漏洩モードセンサーにおいても、
全反射減衰によって反射光に生じる暗線の位置を検出す
るために、前述したアレイ状の光検出手段を用いること
ができ、またそれと併せて前述の微分手段が適用される
ことも多い。
【0014】また、上述した表面プラズモンセンサーや
漏洩モードセンサー等は、創薬研究分野等において、所
望のセンシング物質と試料液との相互作用の研究に用い
られることがある。例えばセンシング物質と試料液中に
含まれる特定物質との結合作用や、逆に結合物質から試
料液中への特定物質の解離作用等の相互作用の測定に用
いられる。なお、この場合には、センシング物質および
試料液の双方が、分析対象の試料となる。このような相
互作用としては、タンパク質−タンパク質相互作用、D
NA−タンパク質相互作用、糖−タンパク質相互作用、
タンパク質−ペプチド相互作用、脂質−タンパク質相互
作用や化学物質の結合等が含まれている。
【0015】上記表面プラズモンセンサーや漏洩モード
センサー等が、センシング物質に結合する特定物質を見
いだすランダムスクリーニングへ使用される場合には、
前記薄膜層上にセンシング物質を固定し、該センシング
物質上に種々の被検体が溶媒に溶かされた試料液を添加
し、所定時間が経過する毎に全反射減衰の状態を測定し
ている。試料液中の被検体が、センシング物質と結合す
るものであれば、この結合によりセンシング物質の屈折
率が時間経過に伴って変化する。したがって、所定時間
経過毎に全反射減衰の状態を測定し、変化が生じている
か否か測定することにより、被検体とセンシング物質の
結合が行われているか否か、すなわち被検体がセンシン
グ物質と結合する特定物質であるか否かを判定すること
ができる。このような特定物質とセンシング物質との組
み合わせとしては、例えば抗原と抗体、あるいは抗体と
抗体が挙げられる。具体的には、ウサギ抗ヒトIgG抗
体をセンシング物質として測定チップに固定し、ヒトI
gG抗体を特定物質として用いることができる。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】従来提供されている全
反射減衰を利用したセンサーにおいては、光ビームを誘
電体ブロックに対して、該誘電体ブロックと薄膜層との
界面で全反射条件が得られるように入射させ、界面で全
反射した光ビームの強度を検出し、その検出結果に基づ
いて、全反射減衰の状態を測定している。このため、光
ビームの入射により、薄膜層に接触している試料の温度
が上昇し、そのために全反射減衰の状態の測定精度が低
下する虞れがある。また、試料の温度上昇を抑制するた
めに、光ビームの光量を減少させた場合には、光検出手
段から出力される検出信号の強度が下がり、検出結果の
S/Nが悪化し、全反射減衰の状態の測定精度が低下し
てしまうという問題がある。
【0017】本発明は上記の事情に鑑みて、検出結果の
S/Nを悪化させることなく、試料の温度上昇を抑制
し、全反射減衰の状態の測定精度を向上させることので
きる全反射減衰を利用したセンサーを提供することを目
的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】本発明による全反射減衰
を利用したセンサーにおいては、光ビームを発生させる
光源と、上記光ビームに対して透明な誘電体ブロック
と、この誘電体ブロックの一面に形成されて、試料に接
触させられる薄膜層と、上記光ビームを上記誘電体ブロ
ックに対して、該誘電体ブロックと上記薄膜層との界面
で全反射条件が得られるように種々の入射角で入射させ
る光学系と、上記界面で全反射した光ビームの強度を検
出する光検出手段と、該光検出手段の検出結果に基づい
て、全反射減衰の状態を測定する測定手段とを備えた全
反射減衰を利用したセンサーにおいて、前記界面に入射
する前の光ビームを所定周波数で変調する変調手段と、
前記光検出手段の検出結果のうち前記所定周波数の信号
のみを増幅する増幅手段をさらに備え、前記測定手段
が、前記増幅手段により増幅された検出結果に基づい
て、前記反射減衰の状態を測定するものであることを特
徴とするものである。
【0019】また、本発明による全反射減衰を利用した
センサーは、特に前述の表面プラズモンセンサーとして
構成されたものを対象とすることもでき、その場合は、
光ビームを発生させる光源と、上記光ビームに対して透
明な誘電体ブロックと、この誘電体ブロックの一面に形
成されて、試料に接触させられる金属膜からなる薄膜層
と、上記光ビームを上記誘電体ブロックに対して、該誘
電体ブロックと上記薄膜層との界面で全反射条件が得ら
れるように種々の入射角で入射させる光学系と、上記界
面で全反射した光ビームの強度を検出する光検出手段
と、該光検出手段の検出結果に基づいて、表面プラズモ
ン共鳴による全反射減衰の状態を測定する測定手段とを
備えた全反射減衰を利用したセンサーにおいて、前記界
面に入射する前の光ビームを所定周波数で変調する変調
手段と、前記光検出手段の検出結果のうち前記所定周波
数の信号のみを増幅する増幅手段をさらに備え、前記測
定手段が、前記増幅手段により増幅された検出結果に基
づいて、前記反射減衰の状態を測定するものであること
を特徴とするものである。
【0020】また、本発明による全反射減衰を利用した
センサーは、特に前述の漏洩モードセンサーとして構成
されたものを対象とすることもでき、その場合は、光ビ
ームを発生させる光源と、上記光ビームに対して透明な
誘電体ブロックと、この誘電体ブロックの一面に形成さ
れたクラッド層と、このクラッド層の上に形成されて、
試料に接触させられる光導波層とからなる薄膜層と、上
記光ビームを上記誘電体ブロックに対して、該誘電体ブ
ロックと上記薄膜層との界面で全反射条件が得られるよ
うに種々の入射角で入射させる光学系と、上記界面で全
反射した光ビームの強度を検出する光検出手段と、該光
検出手段の検出結果に基づいて、上記光導波層での導波
モードの励起による全反射減衰の状態を測定する測定手
段とを備えた全反射減衰を利用したセンサーにおいて、
前記界面に入射する前の光ビームを所定周波数で変調す
る変調手段と、前記光検出手段の検出結果のうち前記所
定周波数の信号のみを増幅する増幅手段をさらに備え、
前記測定手段が、前記増幅手段により増幅された検出結
果に基づいて、前記反射減衰の状態を測定するものであ
ることを特徴とするものである。
【0021】上記変調手段は、光源から誘電体ブロック
に至る光ビームの光路上に設けられた光チョッパーであ
ってもよい。また光源を直接変調する光源変調手段であ
ってもよい。
【0022】
【発明の効果】本発明による全反射減衰を利用したセン
サーにおいては、所定周波数で変調した光ビームを、誘
電体ブロックと薄膜層との界面に入射させ、界面で全反
射した光ビームの強度を光検出手段で検出し、この検出
結果のうち前記所定周波数の信号のみが増幅された検出
結果に基づいて、全反射減衰の状態を測定している。光
ビームが変調されているため、誘電体ブロックと薄膜層
との界面に入射する光ビームの総光量が下がり、試料の
温度上昇が抑制される。
【0023】一方、光ビームの総光量が下がるため、光
検出手段で検出される信号の信号レベルは低下するが、
所定周波数の信号のみが増幅された検出結果のS/Nは
低下することがない。以下、この理由を簡単に説明す
る。通常、光検出手段で検出される信号には、検出対象
である目的信号(光ビームの強度)と、不要な信号すな
わち雑音とが含まれている。目的信号は上記所定周波数
で変調されているため、検出結果のうち、この所定周波
数の信号のみを増幅しても、その信号レベルは変化しな
い。一方雑音は所定周波数により変調されていないた
め、所定周波数の信号のみを増幅することにより、雑音
の信号レベルは低下する。このため、光ビームの総光量
が下がり、光検出手段で検出される信号の信号レベルが
低下しても、所定周波数の信号のみが増幅された検出結
果におけるS/Nは向上する。従って、S/Nを悪化さ
せることなく、試料の温度上昇を抑制し、全反射減衰の
状態の測定精度を向上させることができる。
【0024】上記変調手段として、光源から誘電体ブロ
ックに至る光ビームの光路上に設けられた光チョッパー
を用いれば、従来使用している光源をそのまま使用し
て、容易に光ビームを変調することができる。また、変
調手段として、光源を直接変調する光源変調手段を用い
れば、コンパクトな構成で、光ビームを変調することが
できる。
【0025】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実
施の形態を詳細に説明する。図1は、本発明の第1の実
施形態による表面プラズモンセンサーの全体形状を示す
ものであり、また図2はこの装置の要部の側面形状を示
している。
【0026】図1に示す通りこの表面プラズモンセンサ
ーは、複数の測定チップ10と、これら複数の測定チップ
10を支持したターンテーブル20と、このターンテーブル
20を間欠的に回動させる移動手段としての支持体駆動手
段21と、測定用の光ビーム(レーザビーム)30を発生さ
せる半導体レーザ等のレーザ光源31と、光ビームを所定
周波数で変調する変調手段としての光チョッパー80と、
入射光学系を構成する集光レンズ32と、光検出器40と、
該光検出器40で検出された信号に内、所定周波数の信号
のみを増幅する増幅手段であるロックインアンプ84と、
上記レーザ光源31および支持体駆動手段21の駆動を制御
するとともに、上記ロックインアンプ84の出力信号S’
を受けて後述の処理を行なうコントローラ60と、測定チ
ップ10をターンテーブル20に出し入れする出入機構65
と、試料液供給機構70とを有している。
【0027】上記測定チップ10は図2に示す通り、例え
ば概略四角錐形状とされた誘電体ブロック11と、この誘
電体ブロック11の一面(図中の上面)に形成された、例
えば金、銀、銅、アルミニウム等からなる金属膜12とを
有している。
【0028】誘電体ブロック11は例えば透明樹脂等から
なり、金属膜12が形成された部分の周囲が嵩上げされた
形とされ、この嵩上げされた部分である試料液保持枠13
は試料液15を貯える試料液保持機構として機能し、その
中心には、上部が広がる円錘台形状の開口部13aが形成
されている。
【0029】ターンテーブル20上には、この測定チップ
10を嵌合保持する複数(本例では12個)の貫通穴22
が、ターンテーブル20の回動軸20aを中心とする円周上
に等角度間隔で設けられている。測定チップ10は、ター
ンテーブル20に対して交換可能な状態で保持される。支
持体駆動手段21はステッピングモータ等から構成され、
ターンテーブル20を貫通穴22の配置角度と等しい角度ず
つ間欠的に回動させる。
【0030】光チョッパー80は、図3に示すように光ビ
ーム30を遮蔽する遮蔽部81および透過する透過部82から
構成され、レーザ光源31と集光レンズ32の間に配置さ
れ、所定周波数で光ビーム30を変調するように回転して
いる。
【0031】集光レンズ32は図2に示す通り、光ビーム
30を集光して収束光状態で誘電体ブロック11に通し、誘
電体ブロック11と金属膜12との界面12aに対して種々の
入射角が得られるように入射させる。この入射角の範囲
は、上記界面12aにおいて光ビーム30の全反射条件が得
られ、かつ、表面プラズモン共鳴が生じ得る角度範囲を
含む範囲とされる。
【0032】なお光ビーム30は、界面12aに対してp偏
光で入射する。そのようにするためには、予めレーザ光
源31をその偏光方向が所定方向となるように配設すれば
よい。その他、波長板や偏光板で光ビーム30の偏光の向
きを制御してもよい。
【0033】光検出器40は、多数の受光素子が1列に配
されてなるラインセンサーであり、受光素子の並び方向
が図2中の矢印X方向となるように配されている。光検
出器40の出力信号Sは、ロックインアンプ84に入力され
る。
【0034】ロックインアンプ84は、上記光チョッパー
80と接続され、光検出器40の出力信号Sのうち、上記光
チョッパー80において光ビームを変調させた所定周波数
と同期した周波数の信号のみを増幅し、出力信号S’と
してコントローラ60の測定手段61に出力する。
【0035】コントローラ60は、支持体駆動手段21から
その回動停止位置を示すアドレス信号Aを受けるととも
に、所定のシーケンスに基づいてこの支持体駆動手段21
を作動させる駆動信号Dを出力する。また上記ロックイ
ンアンプ84から出力された出力信号S’を受ける測定手
段61と、この測定手段61からの出力を受ける表示部62と
を備えている。また、出入機構65、試料液供給機構70、
光チョッパー80およびロックインアンプ84に接続され、
その動作を必要に応じて制御する。なお、測定手段61に
おける動作の詳細は後述する。
【0036】出入機構65は、測定チップ10を保持する保
持部66と、この保持部66を移動させる手段67とから構成
される。
【0037】試料液供給機構70は、試料液を所定量だけ
吸引保持するピペット71と、このピペット71を移動させ
る手段72とから構成されたものであり、所定位置にセッ
トされた試料液容器73から試料液をピペット71に吸引保
持し、ターンテーブル20上の所定の停止位置にある測定
チップ10の試料液保持枠13内にその試料液を滴下供給す
る。
【0038】以下、上記構成の表面プラズモンセンサー
による試料分析について説明する。まず、準備された測
定チップ10は例えば96穴カセットに並べられている。
出入機構65により、各測定チップ10は、順次ターンテー
ブル20上の貫通穴22に配置される。試料分析に際してタ
ーンテーブル20は、前述のように支持体駆動手段21によ
って間欠的に回動される。そして、ターンテーブル20が
停止したとき所定位置に静止した測定チップ10の試料液
保持枠13に、上記試料液供給機構70によって試料液15が
供給される。
【0039】さらに、ターンテーブル20が何回か回動さ
れてから停止し、試料液保持枠13に試料液15を保持して
いる測定チップ10が、その誘電体ブロック11に上記光ビ
ーム30が入射する測定位置(図2中の右側の測定チップ
10の位置)に静止する状態となる。この状態のとき、コ
ントローラ60からの指令でレーザ光源31が駆動され、そ
こから発せられた光ビーム30が、光チョッパー80により
変調され、さらに集光レンズ32により収束された状態
で、誘電体ブロック11と金属膜12との界面12aに入射す
る。この界面12aで全反射した光ビーム30は、光検出器
40によって検出され、出力信号Sとしてロックインアン
プ84へ出力される。
【0040】ロックインアンプ84では、前述したよう
に、出力信号Sのうち、光チョッパー80における変調周
波数と同期した所定周波数の信号のみを増幅し、出力信
号S’として、測定手段61へ出力する。
【0041】なお、光ビーム30は、上述の通り収束光状
態で誘電体ブロック11に入射するので、上記界面12aに
対して種々の入射角θで入射する成分を含むことにな
る。なおこの入射角θは、全反射角以上の角度とされ
る。そこで、光ビーム30は界面12aで全反射し、この反
射した光ビーム30には、種々の反射角で反射する成分が
含まれることになる。
【0042】このように光ビーム30が全反射するとき、
界面12aから金属膜12側にエバネッセント波がしみ出
す。そして、光ビーム30が界面12aに対してある特定の
入射角θSPで入射した場合は、このエバネッセント波
が金属膜12の表面に励起する表面プラズモンと共鳴する
ので、この光については反射光強度Iが鋭く低下する。
なお図4には、この全反射減衰現象が生じた際の入射角
θと反射光強度Iとの関係を概略的に示してある。
【0043】そこで、測定手段61において、全反射減衰
の状態として、ロックインアンプ84が出力する出力信号
S’から各受光素子毎の検出光量を調べ、暗線を検出し
た受光素子の位置に基づいて上記入射角(全反射減衰
角)θSPを求める。また、予め求めておいた反射光強
度Iと入射角θとの関係曲線に基づいて、試料液15中の
特定物質を定量分析することができる。以上の原理に基
づいて、試料液15中の特定物質の定量分析が行われ、そ
の分析結果が表示部62に表示される。測定終了後、測定
を終えた測定チップ10は、ターンテーブル20から出入機
構65により取り外される。
【0044】以上の説明で明らかなように、レーザ光源
31から射出された光ビーム30は、光チョッパー80により
変調された後、測定チップ10に入射されるため、測定チ
ップ10に入射する光ビームの総光量は、従来の光量に比
べ半減している。このため、試料液15の温度上昇は抑制
される。
【0045】一方、光ビームの総光量が下がるため、光
検出器40で検出される出力信号Sの信号レベルは、従来
の信号レベルに比べ低下するが、ロックアンプ84におい
て、所定周波数の信号のみが増幅されて出力される出力
信号S’のS/Nが低下することがない。すなわち、光
検出器40から出力される出力信号Sには、通常、検出対
象である目的信号(光ビームの強度)と、不要な信号す
なわち雑音とが含まれている。目的信号は光チョッパー
80により所定周波数で変調されているため、出力信号S
のうち、この所定周波数の信号のみを増幅しても、その
信号レベルは変化しない。一方雑音は所定周波数により
変調されていないため、所定周波数の信号のみを増幅す
ることにより、雑音の信号レベルは低下する。このた
め、光ビームの総光量が下がり、光検出器40から出力さ
れる出力信号Sの信号レベルが低下しても、所定周波数
の信号のみが増幅された出力信号S’におけるS/Nは
向上する。従って、S/Nを悪化させることなく、試料
液15の温度上昇を抑制し、全反射減衰の状態の測定精
度を向上させることができる。
【0046】光ビームの光路上に設けられた光チョッパ
ー80を用いて、光ビームを変調しているため、従来使用
されているレーザ光源31をそのまま使用して、容易に光
ビームを変調することができる。
【0047】次に、図5を参照して本発明の第2の実施
形態について説明する。図5は、この第2の実施形態の
表面プラズモンセンサーの全体形状を示している。なお
図5において、図1中の要素と同等の要素には同番号を
付し、それらについての説明は特に必要のない限り省略
する。
【0048】この表面プラズモンセンサーは、光ビーム
を所定周波数で変調する変調手段として、光ビームを射
出するレーザ光源31を直接変調する光源変調部86を備え
ている。光源変調部86は、レーザ光源31の駆動電流を電
気的に制御することにより、光ビーム30を所定周波数で
変調する。
【0049】ロックインアンプ84は、上記光源変調部86
と接続され、光検出器40の出力信号Sのうち、上記光源
変調部86により光ビーム30を変調させた所定周波数と同
期した周波数の信号のみを増幅し、出力信号S’として
コントローラ60の測定手段61に出力する。
【0050】上記構成の表面プラズモンセンサーにより
試料分析を行なう際には、図1に示す第1実施形態と同
様に、不図示の96穴カセットに並べられた測定チップ
10は、出入機構65により、順次ターンテーブル20上の貫
通穴22に配置され、試料液供給機構70により試料液15が
供給される。
【0051】試料液供給後、ターンテーブル20が何回か
回動されてから停止し、試料液保持枠13に試料液15を保
持している測定チップ10が、その誘電体ブロック11に上
記光ビーム30が入射する測定位置に静止する状態とな
る。この状態のとき、コントローラ60からの指令でレー
ザ光源31が駆動される。その際、光源変調部86の制御に
より、レーザ光源31の駆動電流が制御され、そこから発
せられた光ビーム30は所定周波数で変調される。光ビー
ム30は、さらに集光レンズ32により収束された状態で、
誘電体ブロック11と金属膜12との界面12aに入射する。
この界面12aで全反射した光ビーム30は、光検出器40に
よって検出され、出力信号Sとしてロックインアンプ84
へ出力される。
【0052】ロックインアンプ84では、前述したよう
に、出力信号Sのうち、光源変調部86による光ビーム30
の変調周波数と同期した所定周波数の信号のみを増幅
し、出力信号S’として、測定手段61へ出力する。
【0053】上記のように、変調手段として光源変調部
86を使用することにより、第1の実施の形態と同様の効
果を得られると共に、コンパクトな構成で、光ビーム30
を変調することができる。
【0054】次に、図6〜図9を参照して本発明の第3
の実施形態について説明する。図6は、この第3の実施
形態の表面プラズモンセンサーの全体形状を示すもので
あり、図7はこのセンサーの要部側面形状を示してい
る。なお図6および図7において、図1および図2中の
要素と同等の要素には同番号を付し、それらについての
説明は特に必要のない限り省略する。
【0055】この表面プラズモンセンサーにおいては、
表面プラズモン共鳴による全反射減衰角θSPの角度変
化量を測定し、測定チップ10に予め固定されたセンシン
グ物質と試料液中の被検体の結合の有無、すなわち被検
体がセンシング物質と結合する特定物質であるか否かを
判定するものである。
【0056】図6に示す通りこの表面プラズモンセンサ
ーは、複数の測定チップ10と、これら複数の測定チップ
10を支持したターンテーブル20と、このターンテーブル
20を間欠的に回動させる移動手段としての支持体駆動手
段21と、測定用の光ビーム(レーザビーム)30を発生さ
せる半導体レーザ等のレーザ光源31と、光ビームを所定
周波数で変調する変調手段としての光チョッパー80と、
入射光学系を構成する集光レンズ32と、光検出器40と、
該光検出器40で検出された信号の内、上記所定周波数の
信号のみを増幅する増幅手段であるロックインアンプを
内蔵した測定手段75を有するコントローラ76と、試料液
供給機構70とを有している。コントローラ76は、上記レ
ーザ光源31および支持体駆動手段21の駆動を制御すると
ともに、上記光検出器40の出力信号Sを受けて後述の処
理を行なうものである。
【0057】上記測定チップ10は図7に示す通り、金属
膜12の上にセンシング物質14が固定されているが、この
センシング物質14については後述する。
【0058】コントローラ76は、支持体駆動手段21から
その回動停止位置を示すアドレス信号Aを受けるととも
に、所定のシーケンスに基づいてこの支持体駆動手段21
を作動させる駆動信号Dを出力する。また上記光検出器
40の出力信号Sを受ける測定手段75と、この測定手段75
からの出力を受ける表示部62とを備えている。
【0059】測定手段75は、図8に示すように、光検出
器40に接続された差動アンプアレイ63と、ドライバ64
と、コンピュータシステム等からなる信号処理部68と、
差動アンプアレイ63とドライバ64の間に設けられ、各差
動アンプ63a、63b、63c……からの出力信号の内、光チ
ョッパー80において光ビームを変調させた所定周波数と
同期した周波数の信号のみを増幅してドライバ64へ出力
するロックインアンプ69a、69b、69c……とから構成され
ている。各ロックインアンプ69a、69b、69c……は、光チ
ョッパー80と接続されている。
【0060】図示の通り上記ドライバ64は、差動アンプ
アレイ63の各差動アンプ63a、63b、63c……の出力を
サンプルホールドするサンプルホールド回路52a、52
b、52c……、これらのサンプルホールド回路52a、52
b、52c……の各出力が入力されるマルチプレクサ53、
このマルチプレクサ53の出力をデジタル化して信号処理
部68に入力するA/D変換器54、マルチプレクサ53とサ
ンプルホールド回路52a、52b、52c……とを駆動する
駆動回路55、および信号処理部68からの指示に基づいて
駆動回路55の動作を制御する制御回路56から構成されて
いる。
【0061】以下、上記構成の表面プラズモンセンサー
による表面プラズモン共鳴による全反射減衰角θSP
角度変化量の測定動作について説明する。まず、実際の
測定を行う前に、被検体と溶媒からなる試料液を複数種
類用意する。また試料液の種類と同数の測定チップ10を
用意する。通常、測定チップ10に固定されるセンシング
物質は、測定者により異なる。このため、測定者はセン
シング物質14の固定されていない測定チップ10にセンシ
ング物質14を固定する。
【0062】例えばセンシング物質14が蛋白質の一種で
あるストレプトアビジンである場合には、まずエタノー
ルの飽和蒸気雰囲気下で、測定チップ10に1mMのDDA
(Dithio-Dibutyric-Acid)のエタノール液を24時間液
だめした後、エタノール液で洗浄する。次にEDC(1-e
thyl-3-(3-dimethylaminopropyl)carbodiimide)0.2M+
NHS(N-hydrooxysuccinimide)0.1MのPBS(リン酸
バッファ液)で10分間液だめし、PBSで洗浄する。そ
の後、ストレプトアビジン10μg/mLを10分間液溜
めした後、PBSで洗浄を行い、次にエタノールアミン
を5分間液溜し、ブロッキングを行う。さらにPBSで
洗浄し、安定化剤である1%BSA(Bovine Serum Alb
umin:ウシ血清アルブミン)液を10分間液溜めして、
再度PBSによる洗浄を行う。上記の作業により、セン
シング物質であるストレプトアビジンが固定された測定
チップ10が作成される。通常これらの測定チップ10は、
不図示の96穴カセット内に並べられている。
【0063】試料液15としては、種々の被検体が溶媒に
溶かされたものを準備する。被検体としては、分子量2
00以上の種々の物質が準備され、溶媒として0.1%B
SA液が含まれるPBS(以下0.1%BSA・PBSと
記載:生理食塩水の一種)が使用される。
【0064】測定に先立ち、上記のセンシング物質14が
固定されて、不図示の96穴カセット内に並べられ測定
チップ10は、出入機構65により、順次ターンテーブル20
上に配置される。
【0065】ターンテーブル20が何回が回動された後停
止し、測定チップ10が試料液供給機構70が設けられてい
る位置に静止すると、測定チップ10の試料液保持枠13
に、試料液供給機構70によって試料液15が供給される。
さらにターンテーブル20が回動され、測定チップ10が、
その誘電体ブロック11に上記光ビーム30が入射する測定
位置(図7中の右側の測定チップ10の位置)に静止する
状態となる。この状態のとき、コントローラ76からの指
令でレーザ光源31が駆動され、そこから発せられた光ビ
ーム30が、光チョッパー80により変調され、さらに集光
レンズ32により収束された状態で、誘電体ブロック11と
金属膜12との界面12aに入射する。この界面12aで全反
射した光ビーム30は、光検出器40によって検出され、出
力信号Sとして測定手段75へ出力される。
【0066】本例における光検出器40は、複数のフォト
ダイオード40a、40b、40c……が1列に配設されてな
るフォトダイオードアレイであり、図1の図示面内にお
いて、光ビーム30の進行方向に対してフォトダイオード
配設方向がほぼ直角となる向きに配設されている。した
がって、上記界面12aにおいて種々の反射角で全反射し
た光ビーム30の各成分を、それぞれ異なるフォトダイオ
ード40a、40b、40c……が受光することになる。
【0067】上記フォトダイオード40a、40b、40c…
…の各出力は、差動アンプアレイ63の各差動アンプ63
a、63b、63c……に入力される。この際、互いに隣接
する2つのフォトダイオードの出力が、共通の差動アン
プに入力される。したがって各差動アンプ63a、63b、
63c……の出力は、複数のフォトダイオード40a、40
b、40c……が出力する光検出信号を、それらの配設方
向に関して微分したものと考えることができる。
【0068】各差動アンプ63a、63b、63c……の出力
は、ロックインアンプ69a、69b、69c……において、光
チョッパー80における変調周波数と同期した所定周波数
の信号のみを増幅され、ドライバ64の各サンプルホール
ド回路52a、52b、52c……へ出力され、それぞれサン
プルホールド回路52a、52b、52c……により所定のタ
イミングでサンプルホールドされ、マルチプレクサ53に
入力される。マルチプレクサ53は、サンプルホールドさ
れた各差動アンプ63a、63b、63c……の出力を、所定
の順序に従ってA/D変換器54に入力する。A/D変換
器54はこれらの出力をデジタル化して信号処理部68に入
力する。
【0069】図9は、界面12aで全反射した光ビーム30
の入射角θ毎の光強度と、差動アンプ63a、63b、63c
……の出力との関係を説明するものである。ここで、光
ビーム30の界面12aへの入射角θと上記光強度Iとの関
係は、同図(1)のグラフに示すようなものであるとす
る。
【0070】界面12aにある特定の入射角θSPで入射
した光は、金属膜12とセンシング物質14との界面に表面
プラズモンを励起させるので、この光については反射光
強度Iが鋭く低下する。つまりθSPが全反射減衰角で
あり、この角度θSPにおいて反射光強度Iは最小値を
取る。この反射光強度Iの低下は、反射光中の暗線とし
て観察される。
【0071】また図9の(2)は、フォトダイオード40
a、40b、40c……の配設方向を示しており、先に説明
した通り、これらのフォトダイオード40a、40b、40c
……の配設方向位置は上記入射角θと一義的に対応して
いる。
【0072】そしてフォトダイオード40a、40b、40c
……の配設方向位置、つまりは入射角θと、差動アンプ
63a、63b、63c……の出力I’(反射光強度Iの微分
値)との関係は、同図(3)に示すようなものとなる。
【0073】信号処理部68は、A/D変換器54から入力
された微分値I’の値に基づいて、差動アンプ63a、63
b、63c……の中から、全反射減衰角θSPに対応する
微分値I’=0に最も近い出力が得られているもの(図
3の例では差動アンプ63eとなる)を選択し、それが出
力する微分値I’を表示部62に表示させる。なお、場合
によっては微分値I’=0を出力している差動アンプが
存在することもあり、そのときは当然その差動アンプが
選択される。次に、ターンテーブル20が、支持体駆動手
段21によって間欠的に回動され、以後、所定時間が経過
する毎に上記選択された差動アンプ63eが出力する微分
値I’が、表示部62に表示される。
【0074】微分値I’は、測定チップ10の金属膜12
(図7参照)に接しているセンシング物質14の誘電率つ
まりは屈折率が変化して、図9(1)に示す曲線が左右
方向に移動する形で変化すると、それに応じて上下す
る。したがって、この微分値I’を時間の経過とともに
測定し続けることにより、金属膜12に接しているセンシ
ング物質14の屈折率変化を調べることができる。
【0075】試料液15の中の被検体が、センシング物質
14と結合する物質であれば、それらの結合状態に応じて
センシング物質14の屈折率が変化するので、上記微分値
I’を測定し続けることにより、被検体とセンシング物
質14の結合状態を測定することができ、この測定結果に
基づいて、被検体がセンシング物質と結合する特定物質
であるか否かを判定することができる。
【0076】すなわち、微分値I’の値が変化すれば、
センシング物質14の屈折率が変化したと判定でき、すな
わち試料液15に含まれる被検体は、センシング物質14と
結合する物質であると判定できる。また、微分値I’の
値に変化がない場合には、被検体がセンシング物質と結
合する物質ではないと判定できる。
【0077】また、以上の説明で明かなように、本実施
形態では、第1の実施の形態と同様に、光ビームの総光
量が下がるため、光検出器40で検出される出力信号Sの
信号レベルは、従来の信号レベルに比べ低下するが、ロ
ックアンプ69a、69b、69c……において、所定周波数の信
号のみが増幅されて出力されるため、ドライバ64に入力
される信号のS/Nが低下することがない。従って、S
/Nを悪化させることなく、試料液15の温度上昇を抑
制し、全反射減衰の状態の測定精度を向上させることが
できる。さらに、本実施の形態においては、フォトダイ
オード40a、40b、40c……の差分を算出し、該差分値
に基づいて測定を行ったため、一層測定精度が向上す
る。
【0078】なお、本実施の形態の変型例として、測定
手段75の代わりに、図10に示すような、サンプルホー
ルド回路が設けられていないドライバ93を備えた測定手
段94を用いたものが考えられる。このように、サンプル
ホールド回路が設けられていない場合には、ロックイン
アンプ95をマルチプレクサ53とA/D変換器54の間に設
け、マルチプレクサ53から順次入力される信号に対し
て、光チョッパー80における変調周波数と同期した所定
周波数の信号のみを増幅して、A/D変換器54へ出力す
ることにより、1つのロックインアンプを設けるのみ
で、上記第3の実施の形態と同様な効果を得ることがで
きる。
【0079】次に、図1および図11を参照して本発明
の第4の実施形態について説明する。
【0080】第4の実施の形態の全体構成は第1の実施
例の形態とほぼ同様であるため、図1において、異なる
構成部の番号のみ図中に付記する。また図11において
は、図2中の要素と同等の要素には同番号を付してあ
り、それらについての説明は特に必要の無い限り省略す
る。
【0081】この第4実施形態の全反射減衰を利用した
センサーは、先に説明した漏洩モードセンサーであり、
測定チップ90を用いるように構成されている。この測定
チップ90の誘電体ブロック11の一面(図中の上面)には
クラッド層91が形成され、さらにその上には光導波層92
が形成されている。
【0082】誘電体ブロック11は、例えば合成樹脂やB
K7等の光学ガラスを用いて形成されている。一方クラ
ッド層91は、誘電体ブロック11よりも低屈折率の誘電体
や、金等の金属を用いて薄膜状に形成されている。また
光導波層92は、クラッド層91よりも高屈折率の誘電体、
例えばPMMAを用いてこれも薄膜状に形成されてい
る。クラッド層91の膜厚は、例えば金薄膜から形成する
場合で36.5nm、光導波層92の膜厚は、例えばPMMA
から形成する場合で700nm程度とされる。
【0083】上記構成の漏洩モードセンサーにおいて、
レーザ光源31から出射した光ビーム30を誘電体ブロック
11を通してクラッド層91に対して全反射角以上の入射角
で入射させると、該光ビーム30が誘電体ブロック11とク
ラッド層91との界面91aで全反射するが、クラッド層91
を透過して光導波層92に特定入射角で入射した特定波数
の光は、該光導波層92を導波モードで伝搬するようにな
る。こうして導波モードが励起されると、入射光のほと
んどが光導波層92に取り込まれるので、上記界面91aで
全反射する光の強度が鋭く低下する全反射減衰が生じ
る。
【0084】光導波層92における導波光の波数は、該光
導波層92の上の試料液15の屈折率に依存するので、全反
射減衰が生じる上記特定入射角を知ることによって、試
料液15の屈折率を測定することができる。
【0085】本実施形態でも、第1の実施形態と同様
に、レーザ光源31から射出された光ビーム30は、光チョ
ッパー80により変調された後、測定チップ90に入射され
るため、測定チップ90に入射する光ビームの総光量は、
従来の総光量に比べ半減しているので、S/Nを悪化さ
せることなく、試料液15の温度上昇を抑制し、全反射
減衰の状態の測定精度を向上させることができる。
【0086】また、上記第3の実施の形態の変型例とし
て、光ビームを変調する変調手段として、光チョッパー
80の代わりに、第2の実施の形態に用いた光源変調部を
用いることもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態による表面プラズモン
センサーの全体図
【図2】図1の表面プラズモンセンサーの要部を示す一
部破断側面図
【図3】図1の表面プラズモンセンサーに用いられる光
チョッパーの概略構成図
【図4】上記表面プラズモンセンサーにおける光ビーム
入射角と検出光強度との関係を示す概略図
【図5】本発明の第2の実施形態による表面プラズモン
センサーの全体図
【図6】本発明の第3の実施形態による表面プラズモン
センサーの全体図
【図7】図6の表面プラズモンセンサーの要部を示す一
部破断側面図
【図8】図6の表面プラズモンセンサーに用いられる測
定手段のブロック図
【図9】図6の表面プラズモンセンサーにおける光ビー
ム入射角と光検出器による検出光強度との関係、および
光ビーム入射角と光強度検出信号の微分値との関係を示
す概略図
【図10】図6の表面プラズモンセンサーに用いられる
測定手段の変型例
【図11】本発明の第4の実施形態による漏洩モードセ
ンサーの要部を示す一部破断側面図
【符号の説明】 10、90 測定チップ 11 誘電体ブロック 12 金属膜 12a 誘電体ブロックと金属膜との界面 13 試料液保持枠 13a 開口部 14 センシング物質 15 試料液 20 ターンテーブル 21 支持体駆動手段 30 光ビーム 31 レーザ光源 32 集光レンズ 40 光検出器 60,76 コントローラ 61,75,94 測定手段 62 表示部 65 出入機構 68 信号処理部 69a,69b,69c・・・ロックインアンプ 70 試料液供給機構 80 光チョッパー 84,95 ロックインアンプ 86 光源変調部 91 クラッド層 91a 誘電体ブロックとクラッド層との界面 92 光導波層
フロントページの続き Fターム(参考) 2G058 CC08 CD03 CF02 CF12 EA02 2G059 AA01 BB04 BB12 CC16 DD12 EE02 EE05 GG01 GG04 GG06 JJ17 JJ19 JJ24 KK01 KK03 KK04 MM01 MM09 MM11 PP04

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光ビームを発生させる光源と、 前記光ビームに対して透明な誘電体ブロックと、 この誘電体ブロックの一面に形成されて、試料に接触さ
    せられる薄膜層と、 前記光ビームを前記誘電体ブロックに対して、該誘電体
    ブロックと前記薄膜層との界面で全反射条件が得られる
    ように種々の入射角で入射させる光学系と、 前記界面で全反射した光ビームの強度を検出する光検出
    手段と、該光検出手段の検出結果に基づいて、全反射減
    衰の状態を測定する測定手段とを備えた全反射減衰を利
    用したセンサーにおいて、 前記界面に入射する前の光ビームを所定周波数で変調す
    る変調手段と、 前記光検出手段の検出結果のうち前記所定周波数の信号
    のみを増幅する増幅手段をさらに備え、 前記測定手段が、前記増幅手段により増幅された検出結
    果に基づいて、前記反射減衰の状態を測定するものであ
    ることを特徴とする全反射減衰を利用したセンサー。
  2. 【請求項2】 光ビームを発生させる光源と、 前記光ビームに対して透明な誘電体ブロックと、 この誘電体ブロックの一面に形成されて、試料に接触さ
    せられる金属膜からなる薄膜層と、 前記光ビームを前記誘電体ブロックに対して、該誘電体
    ブロックと前記薄膜層との界面で全反射条件が得られる
    ように種々の入射角で入射させる光学系と、 前記界面で全反射した光ビームの強度を検出する光検出
    手段と、該光検出手段の検出結果に基づいて、表面プラ
    ズモン共鳴による全反射減衰の状態を測定する測定手段
    とを備えた全反射減衰を利用したセンサーにおいて、 前記界面に入射する前の光ビームを所定周波数で変調す
    る変調手段と、 前記光検出手段の検出結果のうち前記所定周波数の信号
    のみを増幅する増幅手段をさらに備え、 前記測定手段が、前記増幅手段により増幅された検出結
    果に基づいて、前記反射減衰の状態を測定するものであ
    ることを特徴とする全反射減衰を利用したセンサー。
  3. 【請求項3】 光ビームを発生させる光源と、 前記光ビームに対して透明な誘電体ブロックと、 この誘電体ブロックの一面に形成されたクラッド層と、
    このクラッド層の上に形成されて、試料に接触させられ
    る光導波層とからなる薄膜層と、 前記光ビームを前記誘電体ブロックに対して、該誘電体
    ブロックと前記薄膜層との界面で全反射条件が得られる
    ように種々の入射角で入射させる光学系と、 前記界面で全反射した光ビームの強度を検出する光検出
    手段と、 該光検出手段の検出結果に基づいて、前記光導波層での
    導波モードの励起による全反射減衰の状態を測定する測
    定手段とを備えた全反射減衰を利用したセンサーにおい
    て、 前記界面に入射する前の光ビームを所定周波数で変調す
    る変調手段と、 前記光検出手段の検出結果のうち前記所定周波数の信号
    のみを増幅する増幅手段をさらに備え、 前記測定手段が、前記増幅手段により増幅された検出結
    果に基づいて、前記反射減衰の状態を測定するものであ
    ることを特徴とする全反射減衰を利用したセンサー。
  4. 【請求項4】 前記変調手段が、前記光源から前記誘電
    体ブロックに至る前記光ビームの光路上に設けられた光
    チョッパーであることを特徴とする請求項1から3いず
    れか1項記載の全反射減衰を利用したセンサー
  5. 【請求項5】 前記変調手段が、前記光源を直接変調す
    る光源変調手段であることを特徴とする請求項1から3
    いずれか1項記載の全反射減衰を利用したセンサー
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008145104A (ja) * 2006-12-06 2008-06-26 Yokogawa Electric Corp 波長特性測定装置
JP2011508199A (ja) * 2007-12-20 2011-03-10 コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ 標的粒子を検出するためのマイクロエレクトロニクスセンサデバイス
WO2016180087A1 (zh) * 2015-05-12 2016-11-17 天津微纳芯科技有限公司 便携式全自动生化分析装置

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