JP2003096158A - 繊維強化複合材料用エポキシ樹脂組成物、プリプレグ及び炭素繊維強化複合材料 - Google Patents

繊維強化複合材料用エポキシ樹脂組成物、プリプレグ及び炭素繊維強化複合材料

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JP2003096158A
JP2003096158A JP2001284873A JP2001284873A JP2003096158A JP 2003096158 A JP2003096158 A JP 2003096158A JP 2001284873 A JP2001284873 A JP 2001284873A JP 2001284873 A JP2001284873 A JP 2001284873A JP 2003096158 A JP2003096158 A JP 2003096158A
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Japan
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epoxy resin
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reinforced composite
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JP2001284873A
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English (en)
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Hiroyuki Takiyama
浩之 瀧山
Hajime Kishi
肇 岸
Hideki Okita
英樹 沖田
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Toray Industries Inc
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Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明は、樹脂硬化物と強化繊維からなる円筒
状繊維強化複合材料が高いねじり強さを発現すること、
とりわけ高弾性率炭素繊維を用い、その繊維含有率が高
い場合において優れた円筒ねじり強さを発現せしめ得る
繊維強化複合材料用エポキシ樹脂組成物、及びこれを用
いたプリプレグ、さらにこれを用いて得られる炭素繊維
複合材料を提供せんとするものである。 【解決手段】本発明の繊維強化複合材料用エポキシ樹脂
組成物は、少なくとも構成要素[A]および構成要素
[B]からなり、構成要素[A]の構成成分の50〜1
00重量%が、ビスフェノールF型エポキシ、ビフェニ
ル型エポキシおよびナフタレン型エポキシ樹脂から選ば
れた少なくとも2種類の2官能エポキシ樹脂からなり、
130℃、2.0時間硬化の樹脂板の動的粘弾性評価に
おけるゴム状態弾性率G’が1≦G’≦8を満たすこと
を特徴とするものである。 [A]エポキシ樹脂 [B]硬化剤

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、スポーツ用途、航
空宇宙用途、一般産業用途に適したプリプレグ及び炭素
繊維強化複合材料に関するものである。
【0002】さらに詳細には、例えば、航空機、船舶、
自動車、自転車等、及びポンプや刈払い機などの産業機
械における各種フレーム、パイプ、シャフト、さらにそ
れらの曲円板、又は、ゴルフクラブ用シャフト、釣り
竿、スキーポール、バトミントンラケット用シャフト、
テントの支柱などの管状体、又は、スキー板、スノーボ
ード、ゴルフクラブ用ヘッドなどの各種スポーツ/レジ
ャー用品、又は、土木建築用資材とその補修・補強など
に好適に使用できるプリプレグ及び炭素繊維強化複合材
料に関するものである。
【0003】
【従来の技術】強化繊維とマトリックス樹脂とからなる
繊維強化複合材料は、力学特性に優れているため、スポ
ーツ用途をはじめ、航空宇宙用途、一般産業用途に広く
用いられている。中でも、スポーツ用途では、ゴルフク
ラブシャフト、釣り竿、テニスやバトミントン等のラケ
ット、ホッケー等のスティックなどが重要な用途となっ
ている。これらスポーツ用途では、炭素繊維を強化繊維
とし、マトリックス樹脂としてエポキシ樹脂を含浸させ
たプリプレグが用いられていることが多い。
【0004】プリプレグはシート状の中間基材であり、
これを積層体とし、含浸樹脂を加熱により硬化せしめ、
繊維強化複合材料とする。
【0005】スポーツ用複合材料、例えば、ゴルフシャ
フト、釣り竿などでは、特に軽量化が要求され、同時に
材料の強度を高めることが強く要求される。そのため
に、強化繊維、特に炭素繊維の強度向上を目的とする研
究開発がなされている。しかしながら、ゴルフシャフト
や釣り竿のような管状積層体における破壊減少を解析し
た結果、強化繊維の強度を向上させるのみでは、材料全
体の強度は十分に高められないことが分かってきた。
【0006】ゴルフシャフトを繊維強化複合材料で作成
する場合、代表的には一方向プリプレグの繊維方向を、
円周方向に対し一定の角度をつけてバイアス層として数
層巻き付け、その上にストレート層として円筒の長さ方
向に一方向プリプレグの繊維方向を配向させた層を数層
巻き付け、円筒状積層物とすることにより構成すること
が多い。このような複合材料が破壊する場合は、材料の
構成や外力のかかり方(曲げ、捻り、圧壊など)に依存
して破壊モードが変化するが、いずれかの層の0度(強
化繊維と平行な方向)圧縮又は90度(強化繊維と直行
する方向)引張のいずれかの破壊モードが支配要因であ
ることが多く、これらに次いで剪断による破壊モードが
支配的である場合が見られる。
【0007】0度圧縮強度と90度引張伸度が共に優れ
た繊維強化複合材料を得るために、特開平11−171
976号公報では、マトリックス樹脂に硬化物の引張伸
度、曲げ弾性率をある一定の値以上のものを使用する方
法が開示されている。しかしながら、この方法によって
も円筒ねじり強さが向上する効果は不十分である。
【0008】バイアス層に剪断強度の優れる材料を採用
することで、シャフトなどの管状体としての圧壊強度を
高める方法が特開平2000−254917号公報で開
示されている。剪断強度を向上させる方法として炭素繊
維と樹脂の接着性を向上させる検討がなされ、炭素繊維
表面比酸素濃度および表面カルボキシル基濃度COOH
/Cを向上させる手法やマトリックス樹脂中に炭素繊維
と相互作用を及ぼすアミド結合含有化合物を用いる手法
が示されている。しかし、これらの手法でも前記接着性
を向上させるには限界があり、昨今ますます厳しくなり
つつある複合材料の物性向上への要求に応じるために
は、充分でないのが現状である。
【0009】また、ゴルフシャフトをより軽量に製造す
るためには、少量の材料で十分な剛性を発現させるよう
に弾性率の高い炭素繊維を用いると良く、さらに炭素繊
維含有率が高いプリプレグを使用すると良い。しかし炭
素繊維の弾性率を向上させたり、炭素繊維含有率が高く
なるとねじり強さが低下する問題がある。したがって、
このようなプリプレグを使用した場合においてもねじり
強さに優れた繊維強化複合材料が提供できるマトリクス
樹脂およびプリプレグ開発の検討が必要である。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、かかる従来
技術の背景に鑑み、樹脂硬化物と強化繊維からなる円筒
状繊維強化複合材料が高いねじり強さを発現すること、
とりわけ高弾性率炭素繊維を用い、その繊維含有率が高
い場合において優れた円筒ねじり強さを発現せしめ得る
繊維強化複合材料用エポキシ樹脂組成物、およびこれを
用いたプリプレグ、さらにこれを用いて得られる繊維強
化複合材料を提供せんとするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、かかる課題を
解決するために、次のような手段を採用するものであ
る。すなわち、本発明の繊維強化複合材料用エポキシ樹
脂組成物は、少なくとも構成要素[A]および構成要素
[B]からなり、構成要素[A]の構成成分の50〜1
00重量%が、ビスフェノールF型エポキシ、ビフェニ
ル型エポキシおよびナフタレン型エポキシ樹脂から選ば
れた少なくとも2種類の2官能エポキシ樹脂からなり、
130℃、2.0時間硬化の樹脂板の動的粘弾性評価に
おけるゴム状態弾性率G’が1≦G’≦8を満たすこと
を特徴とするものである。 [A]エポキシ樹脂 [B]硬化剤
【0012】
【発明の実施の形態】本発明は、前記課題について、鋭
意検討し、ビスフェノールF型エポキシ、ビフェニル型
エポキシ、およびナフタレン型エポキシ樹脂から選ばれ
る少なくとも2種類の2官能エポキシを特定の割合で配
合した樹脂組成物を作ってみたところ、かかる課題を一
挙に解決する繊維強化複合材料エポキシ樹脂組成物を提
供することができる上に、該樹脂組成物を用いれば、と
りわけ高弾性率炭素繊維かつ繊維含有率の高い円筒状繊
維強化複合材料にねじり応力が負荷される場合に、優れ
たねじり強度を発現する繊維強化複合材料を提供するこ
とができることを見出したものである。
【0013】まず、本発明の繊維強化複合材料用エポキ
シ樹脂組成物は、次の構成要素[A]および構成要素
[B]を必須とする樹脂組成物である。 [A]エポキシ樹脂 [B]硬化剤 かかる構成要素[A]であるエポキシ樹脂とは、1分子
中に2個以上のエポキシ基を有する化合物を意味する。
具体的には、ポリオールから得られるグリシジルエーテ
ル、活性水素を複数有するアミンより得られるグリシジ
ルアミン、ポリカルボン酸より得られるグリシジルエス
テルや、分子内に複数の2重結合を有する化合物を酸化
して得られるポリエポキシドなどが用いられる。
【0014】本発明では、適正な硬化物架橋密度を得る
ために、かかるエポキシ樹脂の主成分として、2官能の
エポキシ樹脂(1分子当たりエポキシ基を2個有する)
を、全エポキシ樹脂中、50〜100重量%で配合する
ことが必要である。さらに好ましくは80〜100重量
%配合することにより、円筒ねじり強さを向上させる効
果が大きい繊維強化複合材料を提供することができる樹
脂組成物を提供することができる。
【0015】さらに該樹脂組成物には、円筒ねじり強さ
を向上させるため、ビスフェノールF型エポキシ、ビフ
ェニル型エポキシ、および、ナフタレン型エポキシ樹脂
から選択される少なくとも2種類を配合する必要があ
る。
【0016】ここでいうビフェニル型エポキシ樹脂の市
販品としては、4,4'-ジヒドロキシ3,3',5,5'-テトラメ
チルビフェニルジグリシジルエーテルである“エピコー
ト”YX4000(油化シェルエポキシ(株)製、エポキシ当
量180〜192)、4,4'-ジヒドロキシ-3,3',5,5'-テ
トラメチルビフェニルジグリシジルエーテルと4,4'-ジ
ヒドロキシビフェニルジグリシジルエーテルの混合物で
ある“エピコート”YL6121H(油化シェルエポキシ製、
エポキシ当量175)を使用できる。ここでいうナフタ
レン型エポキシ樹脂の市販品としては“エピクロン”HP
-4032(エポキシ当量150)、“エピクロン”HP-4032
D(エポキシ当量141)、“エピクロン”HP-4032H
(エポキシ当量250)、“エピクロン”EXA4750(エ
ポキシ当量182)、“エピクロン”EXA4700(エポキ
シ当量163)(以上、大日本インキ(株)製)などを
使用することができる。
【0017】これらエポキシ樹脂は、室温付近での粘度
が比較的高いため、低粘度を有する樹脂と混合すること
により、バランスの良い粘弾性を有する樹脂組成物を提
供することができる。特に低粘度であり、かつ、硬化後
の弾性率が高いエポキシ樹脂として、ビスフェノールF
型エポキシ樹脂を配合することが好ましい。ここでいう
ビスフェノールF型エポキシ樹脂の市販品としては、
“エピコート”806(エポキシ当量160〜17
0)、“エピコート”807(エポキシ当量160〜1
75)、“エピコート”E4002P(エポキシ当量6
10)、“エピコート”E4003P(エポキシ当量8
00)、“エピコート”E4004P(エポキシ当量9
30)、“エピコート”E4007P(エポキシ当量2
060)、“エピコート”E4009P(エポキシ当量
3030)、“エピコート”E4010P(エポキシ当
量4400)(以上、油化シェルエポキシ(株)製)、
“エピクロン”830(エポキシ当量165〜180、
大日本インキ化学工業(株)製)、“エポトート”YD
F−2001(エポキシ当量450〜500)、“エポ
トート”YDF−2004(エポキシ当量900〜10
00)(以上、東都化成(株)製)などを使用すること
ができる。
【0018】マトリクス樹脂硬化物の伸度の指標として
は、硬化物の動的粘弾性測定より得られるゴム状態の弾
性率G’を用いることができる。本発明においては、エ
ポキシ樹脂組成物の硬化物の周波数0.5Hzでの動的
粘弾性測定におけるゴム状態弾性率が、1≦G’≦8、
好ましくは1≦G’≦5の範囲であることが必要であ
る。かかるゴム状態弾性率範囲あれば、円筒ねじり強さ
を向上させる効果が大きいのでよい。
【0019】構成要素[A]としてのエポキシ樹脂とし
て、その他の具体例としては以下のようなものが使用さ
れる。
【0020】まず、ビスフェノールAから得られるビス
フェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールSから得
られるビスフェノールS型エポキシ樹脂、テトラブロモ
ビスフェノールAから得られるテトラブロモビスフェノ
ールA型エポキシ樹脂などのビスフェノール型エポキシ
樹脂などが挙げられる。ビスフェノールA型エポキシ樹
脂の市販品としては、“エピコート”825(エポキシ
当量172〜178)、“エピコート”828(エポキ
シ当量184〜194)、“エピコート”834(エポ
キシ当量230〜270)、“エピコート”1001
(エポキシ当量450〜500)、“エピコート”10
02(エポキシ当量600〜700)、“エピコート”
1003(エポキシ当量670〜770)、“エピコー
ト”1004(エポキシ当量875〜975)、“エピ
コート”1007(エポキシ当量1750〜220
0)、“エピコート”1009(エポキシ当量2400
〜3300)、“エピコート”1010(エポキシ当量
3000〜5000)(以上、油化シェルエポキシ
(株)製)、“エポトート”YD−128(エポキシ当
量184〜194)“エポトート”YD−011(エポ
キシ当量450〜500)、“エポトート”YD−01
4(エポキシ当量900〜1000)、“エポトート”
YD−017(エポキシ当量1750〜2100)、
“エポトート”YD−019(エポキシ当量2400〜
3000)、“エポトート”YD−022(エポキシ当
量4000〜6000)、(以上、東都化成(株)
製)、“エピクロン”840(エポキシ当量180〜1
90)、“エピクロン”850(エポキシ当量184〜
194)、“エピクロン”1050(エポキシ当量45
0〜500)、“エピクロン”3050(エポキシ当量
740〜860)、“エピクロン”HM−101(エポ
キシ当量3200〜3900)(以上、大日本インキ化
学工業(株)製)、“スミエポキシ”ELA−128
(エポキシ当量184〜194、住友化学工業(株)
製)、DER331(エポキシ当量182〜192、ダ
ウケミカル社製)などを使用することができる。ビスフ
ェノールS型エポキシ樹脂の市販品としては、“デナコ
ール”EX-251(ナガセ化成工業(株)製、エポキシ当量
189)などを使用することができる。テトラブロモビ
スフェノールA型エポキシ樹脂の市販品としては、“エ
ピコート”5050(油化シェルエポキシ(株)製、エ
ポキシ当量380〜410)、“エピクロン”152
(大日本インキ化学工業(株)製、エポキシ当量340
〜380)、“スミ−エポキシ”ESB-400T(住友化学工
業(株)製、エポキシ当量380〜420)、“エポト
ート”YBD-360(東都化成(株)製、エポキシ当量35
0〜370)などを使用することができる。
【0021】ここで、””で示した名称は、原料メーカ
ー等の登録商標、商標、或いは商品名を示す。また、以
下からの記載も同様とする。
【0022】また、フェノールやアルキルフェノール、
ハロゲン化フェノールなどのフェノール誘導体から得ら
れるノボラックのグリシジルエステルであるノボラック
型エポキシ樹脂が使用される。ノボラック型エポキシ樹
脂の市販品としては、“エピコート”152(エポキシ
当量172〜179)、“エピコート”154(エポキ
シ当量176〜181)(以上、油化シェルエポキシ
(株)製)、DER438(エポキシ当量176〜18
1、ダウケミカル社製)、“アラルダイト”EPN11
38(エポキシ当量176〜181、チバ社製)、“ア
ラルダイト”EPN1139(エポキシ当量172〜179、
チバ社製)、“エポトート”YCPN-702(エポキシ当量20
0〜230、東都化成(株)製)、BREN-105(エポキシ当量
262〜278、日本化薬(株)製)などを使用することがで
きる。
【0023】その他にも、レゾルシンジグリシジルエー
テルである“デナコール”EX-201(ナガセ化成工業
(株)製、エポキシ当量118)、ヒドロキノンジグリ
シジルエーテルである“デナコール”EX-203(ナガセ化
成工業(株)製、エポキシ当量112)、9,9-ビス(4-
ヒドロキシフェニル)フルエオレンのジグリシジルエー
テルである“エポン”HPTレジン1079(シェル社
製、エポキシ当量250〜260)、トリス(p-ヒドロ
キシフェニル)メタンのトリグリシジルエーテルである
TACTIX 742(ダウケミカル社製、エポキシ当量150〜
157)、テトラキス(p-ヒドロキシフェニル)エタン
のテトラグリシジルエーテルである“エピコート”1031
S(油化シェルエポキシ(株)製、エポキシ当量19
6)、グリセリンのトリグリシジルエーテルである“デ
ナコール”EX-314(ナガセ化成工業(株)製、エポキシ
当量145)、ペンタエリスリトールのテトラグリシジ
ルエーテルである“デナコール”EX-411(ナガセ化成工
業(株)製、エポキシ当量231)などを使用すること
ができる。
【0024】グリシジルアミンの具体例としては、ジグ
リシジルアニリン、テトラグリシジルジアミノジフェニ
ルメタンである“スミ−エポキシ”ELM434(住友化学工
業(株)製、エポキシ当量110〜130)、テトラグ
リシジルm-キシリレンジアミンであるTETRAD-X(三菱ガ
ス化学(株)製、エポキシ当量90〜105)などが使
用される。
【0025】さらに、グリシジルエーテルとグリシジル
アミンの両構造を併せ持つエポキシ樹脂として、トリグ
リシジル-m-アミノフェノールである“スミ−エポキ
シ”ELM120(エポキシ当量118、住友化学工業(株)
製)、及びトリグリシジル-p-アミノフェノールである
“アラルダイト”MY0510(チバガイギー社製、エ
ポキシ当量94〜107)などが使用される。
【0026】グリシジルエステルの具体例としては、フ
タル酸ジグリシジルエステル、テレフタル酸ジグリシジ
ルエステル、ダイマー酸ジグリシジルエステルなどが使
用される。
【0027】さらに、これら以外のグリシジル基を有す
るエポキシ樹脂として、トリグリシジルイソシアヌレー
トなどが使用される。
【0028】分子内に複数の2重結合を有する化合物を
酸化して得られるポリエポキシドとしては、エポキシシ
クロヘキサン環を有するエポキシ樹脂などが使用され、
具体的には、ユニオンカーバイド社のERL-4206(エポキ
シ当量70〜74)、ERL-4221(エポキシ当量131〜
143)、ERL-4234(エポキシ当量133〜154)な
どが使用される。さらにエポキシ化大豆油なども使用す
ることができる。
【0029】本発明において、構成要素[B]である硬
化剤としては、4,4'-ジアミノジフェニルメタン、4,4'-
ジアミノジフェニルスルホン、3,3'-ジアミノジフェニ
ルスルホン、m-フェニレンジアミン、m-キシリレンジア
ミンのような活性水素を有する芳香族アミン、ジエチレ
ントリアミン、トリエチレンテトラミン、イソホロンジ
アミン、ビス(アミノメチル)ノルボルナン、ビス(4-
アミノシクロヘキシル)メタン、ポリエチレンイミンの
ダイマー酸エステルのような活性水素を有する脂肪族ア
ミン、これらの活性水素を有するアミンにエポキシ化合
物、アクリロニトリル、フェノールとホルムアルデヒ
ド、チオ尿素などの化合物を反応させて得られる変性ア
ミン、ジメチルアニリン、ジメチルベンジルアミン、2,
4,6-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノールや1−
置換イミダゾールのような活性水素を持たない第三アミ
ン、ジシアンジアミド、テトラメチルグアニジン、ヘキ
サヒドロフタル酸無水物、テトラヒドロフタル酸無水
物、メチルヘキサヒドロフタル酸無水物、メチルナジッ
ク酸無水物のようなカルボン酸無水物、アジピン酸ヒド
ラジドやナフタレンジカルボン酸ヒドラジドのようなポ
リカルボン酸ヒドラジド、ノボラック樹脂などのポリフ
ェノール化合物、チオグリコール酸とポリオールのエス
テルのようなポリメルカプタン、三フッ化ホウ素エチル
アミン錯体のようなルイス酸錯体、芳香族スルホニウム
塩などが使用される。
【0030】これらの硬化剤には、硬化活性を高めるた
めに適当な硬化助剤を組合わせることができる。好まし
い例としては、ジシアンジアミドに、3-フェニル-1,
1-ジメチル尿素、3-(3,4-ジクロロフェニル)-1,
1-ジメチル尿素(DCMU)、3-(3−クロロ−4-
メチルフェニル)-1,1-ジメチル尿素、2,4−ビス
(3,3−ジメチルウレイド)トルエンのような尿素誘
導体を硬化助剤として組合わせる例、カルボン酸無水物
やノボラック樹脂に第三アミンを硬化助剤として組合わ
せる例などが使用される。
【0031】さらに、本発明においては、エポキシ樹脂
組成物が、次の構成要素[C]を配合することが好まし
い。 [C]分子内にエポキシ樹脂又は硬化剤と反応しうる官
能基1個と1個以上のアミド結合を有する化合物本発明
において、かかる構成要素[C]は、強化繊維との接着
性を高めるための高極性化合物として配合されるもので
ある。
【0032】ここでいうアミド結合とは、カルボニル
基、チオカルボニル基、スルホニル基、ホスホリル基か
ら選ばれる基とその炭素に単結合で結合する窒素原子か
らなる部分構造を意味する。アミド結合を有する化合物
の典型的な化合物はカルボン酸アミドであるが、それ以
外にも環の一部にアミド結合を有しても良く、あるいは
さらに複雑な構造、例えば、イミド、ウレタン、尿素、
ビウレット、ヒダントイン、カルボン酸ヒドラジド、ヒ
ドロキサム酸、セミカルバジド、セミカルバゾンなどの
ような構造を有するものでもよい。
【0033】エポキシ樹脂と反応しうる官能基として
は、カルボキシル基、フェノール性水酸基、アミノ基、
第2アミン構造、メルカプト基などが挙げられる。また
硬化剤とし反応しうる官能基としては、エポキシ基、カ
ルボニル基と共役した二重結合などが挙げられる。カル
ボニル基と共役した二重結合は、硬化剤中のアミノ基や
メルカプト基とマイケル付加反応を行う。
【0034】カルボキシル基を1個有し、アミド結合を
有する化合物の具体例としては、スクシンアミド酸、オ
キサミン酸、N-アセチルグリシン、N-アセチルアラニ
ン、4-アセトアミド安息香酸、N-アセチルアントラニル
酸、4-アセトアミド酪酸、6-アセトアミドヘキサン酸、
馬尿酸、5-ヒダントイン酢酸、ピログルタミン酸、2-
(フェニルカルバモイルオキシ)プロピオン酸などが使用
される。
【0035】フェノール性水酸基を1個有し、アミド結
合を有する化合物としては、具体的には、サリチルアミ
ド、4-ヒドロキシベンズアミド、4-ヒドロキシフェニル
アセトアミド、4-ヒドロキシアセトアニリド、3-ヒドロ
キシアセトアニリドなどが使用される。
【0036】アミノ基を1個有し、アミド結合を有する
化合物としては、具体的には、4-アミノベンズアミド、
3-アミノベンズアミド、4'-アミノアセトアニリド、4-
アミノブチルアミド、6-アミノヘキサンアミド、3-アミ
ノフタルイミド、4-アミノフタルイミドなどが使用され
る。
【0037】第2アミン構造を1個有し、アミド結合を
有する化合物としては、具体的には、ニペコタミド、N,
N-ジエチルニペコタミド、イソニペコタミド、1-アセチ
ルピペラジンなどが使用される。
【0038】メルカプト基を1個有し、アミド結合を有
する化合物としては、具体的には、4-アセトアミドチオ
フェノール、N-(2-メルカプトエチル)アセトアミドな
どが使用される。
【0039】エポキシ基を1個有し、アミド結合を有す
る化合物としては、具体的には、グリシダミド、N-フェ
ニルグリシダミド、N,N-ジエチルグリシダミド、N-メト
キシメチルグリシダミド、N-ヒドロキシメチルグリシダ
ミド、2,3-エポキシ-3-メチルブチルアミド、2,3-エポ
キシ-2-メチルプロピオンアミド、9,10-エポキシステア
ラミド、N-グリシジルフタルイミドなどが使用される。
【0040】カルボニル基と共役した二重結合を1個有
し、アミド結合を有する化合物は、二重結合と共役する
カルボニル基がアミド結合のカルボニル基と同一であっ
てもよく、異なってもよい。二重結合と共役するカルボ
ニル基がアミド結合のカルボニル基と同一である化合物
としては、α,β−不飽和カルボン酸のアミド及びその
窒素原子上に置換基を有する誘導体が該当する。具体的
には、アクリルアミド、メタクリルアミド、N,N-ジメチ
ルアクリルアミド、N,N-ジエチルアクリルアミド、N-te
rt-ブチルアクリルアミド、N-イソプロピルアクリルア
ミド、N-ブチルアクリルアミド、N-ヒドロキシメチルア
クリルアミド、N-メトキシメチルアクリルアミド、N-エ
トキシメチルアクリルアミド、N-n-プロポキシメチルア
クリルアミド、N-n-ブトキシメチルアクリルアミド、N-
イソブトキシメチルアクリルアミド、N-ベンジロキシメ
チルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、1-ア
クリロイルモルホリン、1-アクリロイルピペリジンなど
が挙げられる。またそれ以外にもマレイミド、N-エチル
マレイミド、N-フェニルマレイミドのような不飽和ジカ
ルボン酸のイミドも該当する。二重結合と共役するカル
ボニル基がアミド結合のカルボニル基と同一でない化合
物としては、2-( フェニルカルバモイルオキシ) エチル
メタクリレートなどが使用される。
【0041】本発明において、構成要素[C]は1種で
も、複数種配合しても良いが、配合量(複数種用いる場
合はその合計)は、構成要素[A]100重量部に対し
0.5〜15重量部、好ましくは1〜10重量部である
のが良い。0.5重量部未満であると接着性向上効果が
充分に発現されず、15重量部を超えると耐熱性低下な
どの弊害が生じることがある。
【0042】なお、構成要素[C]は、室温で液状のも
のも固形のものも使用できる。構成要素[C]として固
形のものを用いる場合は、エポキシ樹脂組成物に配合し
た後、加熱撹拌などの手段で溶解してもよく、溶解せず
に配合してもよい。固形の構成要素[C]を溶解せずに
配合する場合は、粒径10μm以下に粉砕して使用する
のが好ましい。
【0043】本発明においては、エポキシ樹脂組成物に
は、前記構成要素[A]、[B]、[C]の他に、任意
の成分として高分子化合物、有機又は無機の粒子などの
他成分を配合することができる。
【0044】本発明のプリプレグは、炭素繊維にエポキ
シ樹脂組成物が含浸して構成されるものである。
【0045】炭素繊維としては、具体的には、アクリル
系、ピッチ系、レーヨン系等の炭素繊維が使用できる。
中でも、引張強度の高いアクリル系が好ましい。炭素繊
維の形態としては、有撚糸、解撚糸、無撚糸などが使用
できるが、無撚糸又は解撚糸が、複合材料の成形性と強
度特性のバランスを考慮すると好ましい。また、本発明
における炭素繊維とは、黒鉛繊維を含むものである。
【0046】本発明の炭素繊維複合材料を用いて軽量な
ゴルフシャフト、釣竿などのスポーツ用品を製造するた
めには、少量の材料で充分な製品の剛性を発現させ得る
ように、弾性率の高い炭素繊維を用いプリプレグとする
ことが好ましい。用いる炭素繊維の繊維方向弾性率が低
すぎると、同一重量、一定荷重で比較すると円筒シャフ
トの撓みが大きくなり、ゴルフクラブや釣竿としてのフ
ィーリングが損なわれるので好ましくない。そこで、撓
みを抑える為には、一本のシャフトあたり多量の材料を
使うことになり、結果として軽量化の目的を果たせなく
なりやすい。また、逆に、用いる炭素繊維の繊維方向弾
性率が高すぎると、荷重に対してフィーリングが過敏で
ありすぎたり、強度が不足することがある。その意味
で、炭素繊維の引張弾性率は、200GPa以上である
ことが望ましく、330〜800GPaであることがよ
り好ましい。
【0047】炭素繊維の形態としては、繊維方向がほぼ
同方向に引き揃えられたものや、織物が使用できる。織
物は、平織り、朱子織りなどいずれでも良い。
【0048】炭素繊維とマトリックス樹脂との接着性
(以下、単に接着性と称す)を高める手法としては、主
に炭素繊維の表面を改質する方法、マトリックス樹脂を
改質して炭素繊維との親和性や接着性を高める方法があ
る。
【0049】固体表面の構成元素を分析するX線光電子
分光法や、化学修飾により固体表面の官能基を分析する
化学修飾X線光電子分光法を用いることで、それぞれ表
面比酸素濃度や表面カルボキシル基濃度の定量化が可能
となる。
【0050】本発明における炭素繊維は、X線光電子分
光法により測定される表面比酸素濃度O/C(以下、O
/Cと略記)が、0.02以上、好ましくは0.04以
上、より好ましくは0.06以上のものが良い。ここで
O/Cの上限値としては0.3、好ましくは0.25で
あるのが良い。O/Cが0.02未満であると、マトリ
ックス樹脂との親和性が低下し、CFRPにおいて、円
筒ねじり強さの向上が望めない場合がある。O/Cが
0.3を超えると、炭素繊維とマトリックス樹脂との親
和性は強固になるものの、炭素繊維自体の強度特性より
大幅に低い強度特性を有する酸化物層が炭素繊維の表面
を被うことになるため、得られるCFRPの強度特性が
損なわれてしまう。
【0051】また、本発明における炭素繊維は、化学修
飾X線光電子分光法により測定される表面カルボキシル
基濃度COOH/C(以下、COOH/Cと略記)が、0.2%
以上、好ましくは0.5%以上のものが良い。ここで、
COOH/Cの上限値としては3.0%、好ましくは2.0
%であるのが良い。COOH/Cが0.2%未満であると、
マトリックス樹脂との親和性が低下し、CFRPにおい
て、円筒ねじり強さの向上が望めない場合がある。COOH
/Cが3.0%を超えると、炭素繊維とマトリックス樹
脂との親和性は強固になるものの、炭素繊維自体の強度
特性より大幅に低い強度特性を有する酸化物層が炭素繊
維の表面を被うことになるため、得られるCFRPの強
度特性が損なわれる傾向があり、またマトリックス樹脂
の硬化速度を遅延させることもある。
【0052】本発明では炭素繊維含有率Wfは67重量
%以上であることが好ましく、73重量%以上であれば
より好ましく、76重量%以上であればさらに好まし
い。従来、炭素繊維含有率Wfが大きくなるほど、マト
リックス樹脂量が少なくなり、強化繊維複合材料に負荷
をかけた際に樹脂にかかる歪みは大きくなるため、得ら
れる円筒ねじり強さは低下すると考えられてきたが、意
外にも該樹脂を使用した場合には、円筒ねじり強さの低
下が著しく抑制されることを見いだした。但しWfが6
7重量%未満およびWfが86重量%より多くなると、
円筒ねじり強さの低下が大きくなり好ましくない。
【0053】本発明における炭素繊維は、原子間力顕微
鏡を用いて後述する方法により測定される表面積比が
1.00〜1.10であることが好ましく、1.00〜
1.05であればより好ましい。かかる表面積比は炭素
繊維の表面の実表面積と投影面積との比で、表面の粗さ
の度合いを表しており、表面積比が1に近づくほど平滑
であることを示している。
【0054】従来、炭素繊維が平滑であると、マトリッ
クス樹脂と炭素繊維表面の接着性が低下し、得られる繊
維強化複合材料の強度が低下すると考えられてきたが、
本発明者らは鋭意検討の結果、該樹脂を使用することに
より、意外にも炭素繊維の表面が平滑であるほうが繊維
強化複合材料製管状体の円筒ねじり強さが向上すること
を見出し、本発明に至ったものである。
【0055】かかる表面積比は、炭素繊維表面積に凹凸
が全くない場合に1.00であり、表面積比が1.10
を越えると、円筒ねじり強さの向上効果が充分でなく好
ましくない。また、該炭素繊維を用いた場合、330〜
800GPaの範囲内で、より高弾性率タイプの炭素繊
維を用いた方が、円筒ねじり強さの向上効果が大きいた
めより好ましい。
【0056】プリプレグを用いたCFRPの成形は、プ
リプレグを積層後、積層物に圧力を付与しながら樹脂を
加熱硬化させる方法などにより作製することができる。
【0057】熱及び圧力を付与する方法には、プレス成
形法、オートクレーブ成形法、バッギング成形法、ラッ
ピングテープ法、内圧成形法などがあり、特にスポーツ
用品に関しては、ラッピングテープ法、内圧成形法が好
ましく採用される。
【0058】ラッピングテープ法は、マンドレルなどの
芯金にプリプレグを巻いて、円筒状成形体を得る方法で
あり、ゴルフクラブ用シャフト、釣り竿などの棒状体を
作製する際に好適である。具体的には、マンドレルにプ
リプレグを巻き付け、プリプレグの固定及び圧力付与の
ために、プリプレグの外側に熱可塑性樹脂フィルムから
なるラッピングテープを巻き付け、オーブン中で樹脂を
加熱硬化させた後、芯金を抜き去って円筒状成形体を得
る。
【0059】また、内圧成形法は、熱可塑性樹脂のチュ
ーブなどの内圧付与体にプリプレグを巻きつけたプリフ
ォームを金型中にセットし、次いで内圧付与体に高圧の
気体を導入して圧力をかけると同時に金型を加熱し成形
する方法である。ゴルフクラブ用シャフト、バット、テ
ニスやバトミントンなどのラケットのような複雑な形状
物を成形する際に好適に用いられる。
【0060】
【実施例】以下、本発明を実施例により詳細に説明す
る。物性測定はすべて温度23℃、相対湿度50%の環
境で行った。 (1)樹脂硬化物の物性測定 樹脂組成物を80℃に加熱してモールドに注入し、13
0℃の熱風乾燥機中で2時間加熱硬化して厚さ2mmの
樹脂硬化板を作製した。この硬化板を用いてSACMA
SRM18R−94に従い、DMA法によりゴム状態
の弾性率G'を求めた。G’曲線においてガラス転移領
域の直線部分を延長した線とゴム状態領域の直線部分を
延長した線との交点の弾性率値をゴム状態の弾性率G'
とし、塑性変形能力の指標とした。ここでは、Rheometr
ic Scientific社製粘弾性測定システム拡張型“ARE
S”を用い、昇温速度5℃/分、周波数1Hzで測定し
た。 (2)炭素繊維表面の官能基量測定 A.表面比酸素濃度O/C 表面比酸素濃度O/Cは、次の手順に従ってX線光電子
分光法により求めた。
【0061】先ず、測定する炭素繊維束から、溶媒でサ
イジング剤などを除去後、適当な長さにカットしてステ
ンレス製の試料支持台上に拡げて並べた後、下記条件に
て測定した。
【0062】 ・光電子脱出角度:90度 ・X線源:MgKα1,2 ・試料チャンバー内真空度:1×10-8Torr 次に、測定時の帯電に伴うピークの補正のため、C1S
の主ピークの結合エネルギー値B.E.を284.6e
Vに合わせた。
【0063】次いで、C1sピーク面積[O1s]は、
282〜296eVの範囲で直線のベースラインを引い
て求め、O1sピーク面積[C1s]は、528〜54
0eVの範囲で直線のベースラインを引いて求めた。
【0064】表面比酸素濃度O/Cは、上記O1sピー
ク面積[O1s]、C1sピーク面積[C1s]の比、
及び装置固有の感度補正値より、次式により求めた。
【0065】 O/C=([O1s]/[C1s])/(感度補正値) なお、ここでは、測定装置として島津製作所(株)製、
ESCA−750を用い、前記装置固有の感度補正値を
2.85とした。 B.表面カルボキシル基濃度COOH/C 表面カルボキシル基濃度COOH/Cは、次の手順に従って
化学修飾X線光電子分光法により求めた。
【0066】先ず、測定する炭素繊維束から、溶媒でサ
イジング剤などを除去後、適当な長さにカットして白金
製の試料支持台上に拡げて並べた後、0.02モル/L
のジシクロヘキシルカルボジイミド気体及び0.04モ
ル/Lのピリジン気体を含む空気中に60℃で8時間曝
露して化学修飾処理した後、下記条件にて測定した。
【0067】・光電子脱出角度:35度 ・X線源:AlKα1,2 ・試料チャンバー内真空度:1×10-8Torr 次に、測定時の帯電に伴うピークの補正のため、C1S
の主ピークの結合エネルギー値B.E.を284.6e
Vに合わせた。
【0068】次いで、C1sピーク面積[C1s]は、
282〜296eVの範囲で直線のベースラインを引い
て求め、F1sピーク面積[F1s]は、682〜69
5eVの範囲で直線のベースラインを引いて求めた。
【0069】さらに、比較サンプルとして、化学修飾処
理したポリアクリル酸のC1sピーク分割から反応率r
を、O1sピーク分割からジシクロヘキシルカルボジイ
ミド誘導体の残存率mを求めた。次に、表面カルボキシ
ル基濃度COOH/Cを、次式により求めた。
【0070】COOH/C=〔[F1s]/[(3k[C1s]-(2+13
m)[F1s])r]〕×100(%) ここで、米国SSI社製モデルSSX-100-206を用いた。
本装置固有のC1sピーク面積に対するF1sピーク面
積の感度補正値kは3.919であった。 (3)プリプレグの作製 樹脂組成物をリバースロールコーターを用いて離型紙上
に塗布し、樹脂フィルムを作製した。次に、シート状に
一方向に整列させた炭素繊維に樹脂フィルム2枚を炭素
繊維の両面から重ね、加熱加圧して樹脂組成物を含浸さ
せ、炭素繊維目付125g/m2 のプリプレグを得た。 (4)円筒複合材料の作製 下記(a)〜(e)の操作により、円筒軸方向に対して
[03/±453]の積層構成を有し、内径が6.3m
m及び10mmの2種類の円筒状CFRPを作製した。
マンドレルには直径6.3mm及び10mm(いずれも
長さ1000mm)のステンレス製丸棒を使用した。 (a)一方向プリプレグを繊維の方向がマンドレルの軸
方向に対して45度になるように、直径6.3mmのマ
ンドレルでは縦800mm×横68mm、直径10mm
のマンドレルでは縦800mm×横103mmの長方形
に2枚切り出した。この2枚を繊維方向が互いに交差す
るように、かつ横方向に直径6.3mmのマンドレルで
は10mm、直径10mmのマンドレルでは16mm
(マンドレル半周分に対応)ずらして貼り合わせた。 (b)貼り合わせたプリプレグを離型処理したマンドレ
ルに、プリプレグの縦方向とマンドレルの軸方向が一致
するように巻き付けた。(バイアス材) (c)その上に、プリプレグを繊維の方向が縦方向にな
るように、直径6.3mmのマンドレルでは縦800m
m×横77mm、直径10mmのマンドレルでは縦80
0mm×横112mmの長方形に切り出したものをプリ
プレグの縦方向とマンドレルの軸方向が一致するように
巻き付けた。(ストレート材) (d)ラッピングテープ(耐熱性フィルムテープ)を巻
きつけ、硬化炉中で130℃、2時間加熱成形した。 (e)成形後、マンドレルを抜き取り、ラッピングテー
プを除去して円筒状CFRPを得た。 (5)ねじり強さの測定 内径10mmの円筒状CFRPから長さ400mmの試
験片を切り出し、「ゴルフクラブ用シャフトの認定基準
及び基準確認方法」(製品安全協会編、通商産業大臣承
認5産第2087号、1993年)に記載の方法に従
い、ねじり試験を行った。試験片ゲージ長は300mm
とし、試験片両端の50mmを固定治具で把持した。ね
じり強さは次式により求めた。
【0071】ねじり強さ(N・m・deg)=破壊トルク(N・
m)×破壊時のねじれ角(deg) 実施例1〜10、比較例1〜7 実施例、比較例の樹脂組成及び樹脂・複合材料物性を表
1〜4にまとめて示した。樹脂組成中に記載の部数は全
て重量%を表す。それぞれにおいて下記原料をニーダー
で混合して樹脂組成物を得た。
【0072】[原料樹脂] ・ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エピコート828
(登録商標、ジャパンエポキシレジン(株)製) ・ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エピコート100
1(登録商標、ジャパンエポキシレジン(株)製) ・フェノールノボラック型エポキシ樹脂、エピコート1
54(登録商標、ジャパンエポキシレジン(株)製) ・ビスフェノールF型エポキシ樹脂、エピコート807
(登録商標、ジャパンエポキシレジン(株)製) ・ビスフェノールF型エポキシ樹脂、エピコート400
2P(登録商標、ジャパンエポキシレジン(株)製) ・ビフェニル型エポキシ樹脂、YX4000H(登録商
標、ジャパンエポキシレジン(株)製) ・ナフタレン型エポキシ樹脂、エピクロンHP−403
2(登録商標、大日本インキ化学工業(株)製) ・ナフタレン型エポキシ樹脂、エピクロンEXA−47
00(登録商標、大日本インキ化学工業(株)製) ・ジシアンジアミド(DICY7、ジャパンエポキシレ
ジン(株)製) ・3−(3,)4−ジクロロフェニル)−1,1−ジメ
チルウレア(DCMU99、保土ヶ谷化学工業(株)
製) ・ポリビニルホルマール(ビニレックK、チッソ(株)
製) ・N−イソブトキシメチルアクリルアミド(笠野興産
(株)製) 実施例、比較例それぞれの樹脂組成を用いて、前記した
方法に従い、樹脂硬化物、円筒複合材料を作製し、それ
らの物性を測定した。測定結果を表1〜4に示した。
【0073】
【表1】
【0074】
【表2】
【0075】
【表3】
【0076】
【表4】
【0077】比較例1は、ビスフェノールA型エポキシ
が60重量%含まれており、実施例1,2と比較して円
筒ねじり強さが低い。
【0078】比較例2は、多官能エポキシが60重量%
含まれており、実施例1,2と比較して円筒ねじり強さ
が低い。
【0079】比較例3は、ゴム状態弾性率が8以上であ
り、実施例1,2と比較して円筒ねじり強さが低い。
【0080】実施例3は、実施例1に極性化合物が配合
されたものである。実施例1と比較してねじり強さが高
い。
【0081】比較例4,5,6および実施例4、5、6
は、それぞれ炭素繊維含有率Wfが67重量%、73重
量%および76重量%である。比較例4,5,6では、
ビスフェノールA 型エポキシ樹脂が60重量%含まれ
ており、実施例4,5,6と比較してWfが高くなるこ
とによるねじり強さの低下が大きい。実施例4,5,6
のねじり強さの低下は、比較例4,5,6よりも小さい
ため、各Wfの比較例対比でのねじり強さの相対比はW
fが大きくなるほど高くなる。
【0082】比較例7は、表面酸素濃度O/Cおよび表
面カルボキシ基濃度COOH//Cの値が共に大きく、実施
例8と比較してねじり強さが優れている。
【0083】比較例9は、炭素繊維の表面積比が小さ
く、実施例10と比較して円筒ねじり強さに優れてい
る。
【0084】
【発明の効果】本発明によれば、樹脂硬化物と強化繊維
からなる円筒状繊維強化複合材料が高いねじり強さを発
現すること、とりわけ高弾性率炭素繊維を用い、その繊
維含有率が高い場合において優れた円筒ねじり強さを発
現せしめ得る繊維強化複合材料用エポキシ樹脂組成物、
及びこれを用いたプリプレグ、さらにこれを用いて得ら
れる炭素繊維複合材料、よって、スポーツ用途、航空機
用途、一般用途における軽量部材に適した材料を提供す
ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4F072 AB10 AB28 AC01 AD27 AD28 AD51 AE01 AE02 AF29 AG03 AH21 AK05 AL01 AL04 AL09 4J036 AC01 AD01 AD07 AD08 DB05 DB21 DC02 DC06 DC10 DC35 DC41 DC48 DD08 JA11

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも構成要素[A]および構成要
    素[B]からなり、構成要素[A]の構成成分の50〜
    100重量%が、ビスフェノールF型エポキシ、ビフェ
    ニル型エポキシおよびナフタレン型エポキシ樹脂から選
    ばれた少なくとも2種類の2官能エポキシ樹脂からな
    り、130℃、2.0時間硬化の樹脂板の動的粘弾性評
    価におけるゴム状態弾性率G’が1≦G’≦8を満たす
    ことを特徴とする繊維強化複合材料用エポキシ樹脂組成
    物。 [A]エポキシ樹脂 [B]硬化剤
  2. 【請求項2】 該エポキシ樹脂組成物に、下記構成要素
    [C]を配合することを特徴とする請求項1記載の繊維
    強化複合材料用エポキシ樹脂組成物。 [C]分子内にエポキシ樹脂又は硬化剤と反応しる官能
    基1個と1個以上のアミド結合を有する化合物
  3. 【請求項3】 請求項1又は2に記載の繊維強化複合材
    料用エポキシ樹脂組成物が、X線光電子分光法により測
    定される表面比酸素濃度O/Cが0.02〜0.3の範
    囲内にある炭素繊維に含浸されて構成されていることを
    特徴とするプリプレグ。
  4. 【請求項4】 該炭素繊維が、化学修飾X線光電子分光
    法により測定される表面カルボキシル基濃度COOH/Cが
    0.2〜3.0%の範囲内にある、請求項3に記載のプ
    リプレグ。
  5. 【請求項5】 該プリプレグの炭素繊維含有率Wfが6
    7重量%以上であることを特徴とする請求項3又は4に
    記載のプリプレグ。
  6. 【請求項6】 該炭素繊維の原子間力顕微鏡により測定
    される表面積比が1.00〜1.10であることを特徴
    とする請求項3〜5のいずれかに記載のプリプレグ。
  7. 【請求項7】 請求項3〜6のいずれかに記載のプリプ
    レグが、硬化されてなることを特徴とする炭素繊維強化
    複合材料。
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