JP2003093055A - Dnaポリメラーゼの調製方法 - Google Patents
Dnaポリメラーゼの調製方法Info
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Abstract
製方法を提供することである。 【解決手段】本発明は、夾雑するRNAを除去したDNAポリ
メラーゼと、その調製方法を提供する。DNAポリメラー
ゼに夾雑するRNAは、PCR等の酵素反応を通じて、目
的としない核酸の増幅の原因となっていた。本発明によ
って、DNAポリメラーゼを使った酵素反応における、非
特異的な増幅生成物、あるいはバックグランドシグナル
の生成を抑制することができる。
Description
とその調製方法に関する。
ロジーに欠かすことのできない重要な技術の一つであ
る。特に、PCRをはじめとするDNAを酵素的に合成す
る手法は、幅広い分野で応用されている。DNAの酵素的
な合成には、鋳型に対して相補鎖を合成する鋳型依存的
な反応と、鋳型を必要としない塩基の重合反応とが知ら
れている。このうち、鋳型に依存する相補鎖の合成反応
は、その反応特異性の高さのために、DNAの合成、検
出、単離、同定、そしてシーケンシングなど、DNAを取
り扱うあらゆる場面で応用されていると言って良い。
大きく分けて、プライマーのアニールの特異性、そして
相補鎖の合成過程における塩基の取りこみの正確さに大
きく左右される。プライマーの特異性は、その塩基配列
によって大きく左右される。したがって、原則として、
鋳型に固有の塩基配列を含むようにデザインすることに
よって、プライマーの特異性を高めることができる。一
方、塩基の取りこみの正確さについては、酵素そのもの
の改良や、反応条件の最適化等によって、大幅に改善さ
れた。
改善のための努力にも関わらず、DNAポリメラーゼによ
る相補鎖合成反応における非特異的な反応生成物を完全
に抑制することは困難とされている。非特異的な反応生
成物は、DNAの検出方法においては、バックグランドシ
グナルの増大と、それに伴う検出感度の低下の原因とな
る。また、非特異反応が起きることは、目的とする反応
の効率が低下することを意味している。特にPCRにお
いては、何らかの原因でいったん誤った反応が開始する
と、その増幅効率の高さゆえに、目的としない反応が爆
発的に進行してしまう。その結果、目的とする反応が、
様々な妨害を受けることになりかねない。したがって、
DNAポリメラーゼを利用した相補鎖合成反応において
は、非特異的な反応の原因を取り除くことが、未だに大
きな課題となっている。
ラーゼ自身に存在する、相補鎖合成反応における非特異
的な反応の原因を取り除くことを課題としている。
メラーゼに夾雑する物質と、相補鎖合成反応における非
特異的な反応の関連に着目した。従来よりDNAポリメラ
ーゼに夾雑するDNAによる非特異反応については報告が
ある(Schmidt, et al.,1991 Biotechniques 11:176-17
7))。そして、製造段階におけるDNAの夾雑防止や、DNA
の除去について努力が払われている。しかしこれらの努
力にもかかわらず、テルムス・アクアティクス(Thermus
aquaticus)をはじめとするテルムス属微生物由来のDNA
ポリメラーゼが、鋳型やプライマーの存在しない条件下
で、高分子のDNAを合成する場合があることを、本発明
者らが明らかにした(Hanaki, et al.,1997 Biochem. Bi
ophys.Res. Commun. 238:113-118)。この高分子DNAは、
AとTとが交互に並ぶ1本鎖、または2本鎖の(dA-dT)で
あった。本発明者らは、この高分子DNAを生成する原因
が、DNAポリメラーゼと共純化されたRNAにあるのではな
いかと考えた。
して働き、逆転写反応によって10塩基前後のオリゴ(d
A-dT)が合成される。続いて、このオリゴ(dA-dT)は、そ
れ自身がセルフプライミングを起こして伸長したり、あ
るいは異なるオリゴ(dA-dT)が2本鎖を形成して互いに
鋳型とプライマーとなって、しだいに長いDNAへと伸長
する。本発明者の知見によれば、この非特異的な高分子
DNAの合成は、long PCRの条件、すなわちアニーリン
グ反応とDNA合成反応を68℃で同時に行う場合にも認
められる(実施例1)。
出される。市販のDNAポリメラーゼは、通常は、原料と
なる生物に由来するDNAやRNA等の不純物を、限外ろ過や
各種のカラムクロマトグラフィー等を用いて除去する工
程を経て製造されていることは言うまでも無い。一般に
流通しているDNAポリメラーゼの精製過程において、DNA
ポリメラーゼと遊離した状態で存在する夾雑物の多くは
除去することができる。しかし公知の精製過程は、本発
明者らが明らかにした、高分子DNAを生じる原因となるD
NAポリメラーゼと共純化されたRNAの除去を期待するに
は不充分なものであった。つまりDNAポリメラーゼは、
通常の精製方法では取り除くことができないRNAを伴っ
ていることを本発明者らは明らかにした。
ないDNAポリメラーゼを提供するための方法について研
究を重ねた。その結果、高分子DNAを生じることの無いD
NAポリメラーゼを提供できる方法を確立し、本発明を完
成した。すなわち本発明は、以下のDNAポリメラーゼ、
およびこのDNAポリメラーゼの調製方法、そしてこのDNA
ポリメラーゼを利用したDNAの合成方法に関する。
的に含まないDNAポリメラーゼの調製方法。 〔2〕 RNAの除去工程が、RNアーゼを作用させるこ
とによって行われる〔1〕に記載の方法。 〔3〕 RNアーゼがRNアーゼAである〔2〕に記載
の方法。 〔4〕 DNAポリメラーゼが、テルムス属微生物由来のD
NAポリメラーゼ、またはその変異体である〔1〕に記載
の方法。 〔5〕 テルムス属微生物が、テルムス・アクアティク
ス、またはテルムス・サーモフィルスである〔4〕に記
載の方法。 〔6〕鋳型DNAにアニールしたプライマーをDNAポリメラ
ーゼによって伸長する工程を含むDNAの合成方法におい
て、前記DNAポリメラーゼがRNAを実質的に含まないDNA
ポリメラーゼであることを特徴とするDNAの合成方法。 〔7〕次の工程を含む、DNAの分析方法。 (1)〔6〕に記載の方法によってDNAを合成する工程、お
よび (2)工程(1)の生成物の有無、生成物の量、生成物の生成
速度、および生成物の長さからなる群から選択されるい
ずれかの指標に基づいて、DNAを分析する工程 〔8〕RNAを実質的に含まないDNAポリメラーゼ組成物。
DNAの分析用組成物。
いDNAポリメラーゼを提供する。PCRにおける非特異
的な反応を抑制するためのアプローチとして、PCRに
先だって、cDNAに共存するRNAを酵素的に分解する方法
が知られている(Maudru T.et.al.,1997 J. Viol. Metho
ds , Jul;66/2:241-261)。cDNAは、RNAを鋳型として合
成されたDNAであるから、RNAが共存するのは、ある意味
では当然のことである。しかし精製された酵素として販
売されているDNAポリメラーゼに夾雑するRNAが非特異的
な反応の原因となっており、そしてそれを除去すること
で非特異的な反応を阻止できることは、本発明者らが見
出した新規な知見である。すなわち本発明は、DNAポリ
メラーゼとともに精製されたRNAの除去工程を含む、RNA
を実質的に含まないDNAポリメラーゼの調製方法に関す
る。DNAポリメラーゼとともに精製されたRNAとは、精製
によって取り除くことができなかったRNAを言う。
とは、原則として次のように定義される。すなわち、精
製DNAポリメラーゼを、鋳型やプライマーとなるDNAの非
存在下で、基質となるdNTPsとともに相補鎖合成反応が
可能な条件でインキュベートしたとき、新たなDNAの合
成が検出されないことを言う。本発明者らの知見による
と、DNAポリメラーゼにRNAがわずかでも含まれ 、かつ
相補鎖合成に必要なヌクレオシドが存在すれば、たとえ
ば1日、早ければ数時間のうちに新たなDNAが合成され
る。
Aポリメラーゼが、鋳型と適切なプライマーさえ存在す
れば、検出可能なレベルの新たなDNAの合成が可能な条
件を言う。更に、新たなDNAの合成が検出されないこと
は、DNAが検出限界に満たない場合を含む。つまり、微
量のDNAが合成されたとしても、そのレベルが検出限界
に満たない場合には、実質的にRNAを含まないと言うこ
とができる。そのDNAポリメラーゼを用いた相補鎖合成
反応において用いられる一般的な検出方法によって、事
実上DNAが検出されない場合に、検出限界に満たないと
みなす。
が難しい場合には、一般的な用途に合わせて、許容可能
な夾雑RNAのレベルを設定することもできる。本発明のD
NAポリメラーゼは、そのレベル以下となるようにRNAを
除去することにより、製造される。一般的な用途として
は、たとえばPCRを示すことができる。PCRは、鋳型に対
して指数的に新たなDNAを作り出す反応である。したが
って、DNAポリメラーゼの用途の中では、現在のとこ
ろ、DNAポリメラーゼに共存するRNAに起因する非特異的
な反応を生じやすい用途の一つと言える。
の条件で反応させて、新たなDNAの生成が確認できなけ
れば、実質的にRNAを含まないと推定できる。このと
き、DNAポリメラーゼは、PCRにおいて想定されるDNAポ
リメラーゼの使用量を上回る条件とすることによって、
より厳しい水準で共存RNAのレベルを評価することがで
きる。DNAポリメラーゼの使用量が多いということは、
共存するRNAの量も多くなるので、より高い感度でRNAを
確認できることを意味する。
ためのPCRの条件としては、たとえば実施例1における
鋳型DNA(λDNA)が存在しない条件を挙げることができ
る。このときRNAを鋳型として生成するDNAは、電気泳動
的に、高分子のスメアなバンドとして確認することがで
きる。
限定されない。RNAの夾雑によって高分子DNAを非特異的
に生じるDNAポリメラーゼであれば、本発明を応用する
ことができる。したがって、本発明のDNAポリメラーゼ
は、逆転写酵素活性を有するDNAポリメラーゼと言うこ
ともできる。このようなDNAポリメラーゼとしては、た
とえばテルムス・サーモフィルス(Thermus thermophilu
s)、テルムス・フラーブス(Thermus flavus)、あるいは
サーモコッカス・リトラリス(Thremococcus litoralis)
等に由来するDNAポリメラーゼを示すことができる。
ポリメラーゼの変異体が含まれる。変異体とは、DNAポ
リメラーゼを構成するアミノ酸配列に変異を導入した酵
素を言う。アミノ酸配列の改変には、アミノ酸残基の置
換、欠失、付加、あるいは挿入が含まれる。アミノ酸配
列の変異により、DNAポリメラーゼの性質を改変する方
法が公知である。具体的には、反応特異性や温度安定性
等の性状が改変されたDNAポリメラーゼが知られてい
る。
来するTaqポリメラーゼは、現在のところPCRをはじめと
するDNAの酵素的な合成反応に、広く利用されている酵
素であり、しかもRNAに起因する非特異的の問題の大き
い酵素である。したがって、Taqポリメラーゼは、本発
明のDNAポリメラーゼとして好ましい。
ラーゼは、たとえばRNAを酵素的に分解することによっ
て得ることができる。RNAの分解には、RNアーゼA、RNア
ーゼII、RNアーゼIII、あるいはRNアーゼU等を用いるこ
とができる。RNアーゼAを用いる場合、pH6−9、3
0−40℃で、十分量のRNアーゼAをDNAポリメラーゼに
作用させることにより、RNAは分解される。反応時間
は、DNAポリメラーゼの使用目的やRNアーゼAの使用量に
よって変動するが、通常5分以上、好ましくは10分〜
30分、あるいは30分〜1時間程度インキュベートす
る。pHや温度、反応液を構成する緩衝液などは、DNA
ポリメラーゼの活性を保護できる条件を選択するのが望
ましい。更に、RNアーゼA処理のための反応液が、処理
後のDNAポリメラーゼによるDNAの合成反応を妨害しない
ように配慮する。RNAの酵素的な除去方法は、DNAポリメ
ラーゼの酵素活性に対するダメージが小さいので、本発
明におけるRNAの除去方法として望ましい。
するRNAを除去する場合、RNアーゼAは一定の条件下でRN
Aの確実な除去を期待できるだけの十分な量で使用す
る。具体的には、250U/mLのDNAポリメラーゼ溶液に
対して、たとえば10U、通常50U、好ましくは100
U以上用いれば、多量のRNAが夾雑する場合であっても、
比較的短時間のうちに、RNAを確実に除去することがで
きる。
ーゼのDNA合成反応を妨げる可能性がある。またRNアー
ゼAは耐熱性を有するので、加熱によって失活させるこ
とも難しい。したがって、RNAの分解後は、DNAポリメラ
ーゼ溶液からRNアーゼAを除去しておくことが望まし
い。RNアーゼAは、処理後のDNAポリメラーゼ溶液を、抗
RNアーゼA抗体を固定化したカラムを通過させることに
よって吸着除去することができる。あるいはRNアーゼA
を不溶性担体に結合した不溶性酵素として用いれば、DN
Aポリメラーゼ溶液を容易に分離することができる。
は、RNAが夾雑するDNAポリメラーゼを含む溶液にRNアー
ゼAを接触させることにより実施される。したがって、
たとえば従来の手法によって製造されたDNAポリメラー
ゼ(RNAが夾雑している)に対して、出荷時にRNアーゼA
を添加することも、RNAの除去方法として有効である。
保存、あるいは流通段階において、RNアーゼAの酵素活
性を発現できる条件を与えることができれば、使用時に
はDNAポリメラーゼに夾雑するRNAを実質的に含まないDN
Aポリメラーゼとすることができる。また、流通過程に
おいては、凍結乾燥などの、酵素作用が制限された状態
に置かれる場合であっても、使用前にRNアーゼAが夾雑
するRNAを除去するのに十分な条件を与えることによっ
て、RNAを除去することもできる。しかし、上述のとお
りRNアーゼAは失活させることが困難で、DNAポリメラー
ゼの反応を阻害する恐れがあることから、製造段階でRN
アーゼAをDNAポリメラーゼから除去しておくことが望ま
しい。
るRNAの除去方法として、物理的な方法を用いることも
できる。たとえば、DNAポリメラーゼを可逆的に変性さ
せて、ともに精製されたRNAを遊離させ、その後DNAポリ
メラーゼを回収する。回収したDNAポリメラーゼをリフ
ォールディングさせて、もとの構造を再構成すれば、RN
Aを除去したDNAポリメラーゼを得ることができる。DNA
ポリメラーゼの可逆的な変性条件としては、8M尿素や
6Mグアニジンのような蛋白質変性剤による処理等を示
すことができる。
る、DNAポリメラーゼは、目的とするDNAの合成反応に利
用しやすい濃度とするのが有利である。具体的なDNAポ
リメラーゼの含有量としては、組成物100μLあた
り、たとえば200U〜1000U、通常500Uを例示
することができる。このような酵素使用量とすれば、一
般的なDNAの合成反応において、100μLの反応液に対
して0.5〜2.5μLの酵素組成物を添加することに
より、DNAの合成反応のための反応溶液とすることがで
きる。すなわち、反応液100μLに対して、一般に1
〜5U、通常2.5〜5UのDNAポリメラーゼが用いられ
る。
に一般に酵素製剤に添加される公知の要素を添加するこ
とができる。適当な緩衝剤に加えて、たとえば、糖類、
ウシ血清アルブミン、卵白アルブミンなどの保護剤を添
加することができる。また、酵素活性の発現に必要な金
属イオンを加えることも、酵素の活性の保持に有効であ
る。たとえばTaqポリメラーゼは酵素活性の発現にマ
グネシウムイオンを要求する。更に、酵素活性に影響を
与えない防腐剤を添加することもできる。
たDNAポリメラーゼを利用した、DNAの合成方法に関す
る。すなわち本発明は、鋳型DNAにアニールしたプライ
マーをDNAポリメラーゼによって伸長する工程を含むDNA
の合成方法において、前記DNAポリメラーゼがRNAを実質
的に含まないDNAポリメラーゼであることを特徴とするD
NAの合成方法を提供する。
とは、一般にPCRなどのDNA合成方法において鋳型と
して用いることができるあらゆるDNAを含む。プライマ
ーについても同様に、一般にDNAの合成反応に用いるプ
ライマーを利用することができる。本発明のDNAの合成
反応は、公知のDNAポリメラーゼによる合成反応と同様
の条件で実施することができる。たとえばPCRの原理
に基づくDNAの合成反応に本発明を応用する場合、反応
に必要な要素は、たとえば以下のような条件で混合され
る。 鋳型DNA:10〜1000コピー プライマー:0.1〜1μM dNTPs:0.02〜0.2mM Taq DNAポリメラーゼ:1〜5U/100μL
示すような温度サイクル条件でインキュベートすれば、
本発明に基づいてDNAを合成することができる。 第1サイクル: 94℃/1分間、68℃/10分間 第2サイクル以降:(10〜35サイクル) 94℃/30秒間、68℃/10分間
析に有用である。本発明において、DNAの分析とは、DNA
の有無を確認するための検出方法、鋳型DNAの量を決定
する定量方法、あるいはDNAがどのような塩基配列で構
成されているのかを確認する同定方法、更にはDNAの塩
基配列を決定するシーケンシングなどが含まれる。DNA
の分析方法においては、合成生成物の有無、その量、生
成速度、あるいは長さ等を測定することにより、鋳型と
なるDNAが分析される。たとえばDNAの合成反応の生成物
が生じれば、試料中に含まれるDNAがプライマーに相補
的な塩基配列を含んでいたことがわかる。したがって、
鋳型に依存しない非特異的な合成生成物は、誤った分析
結果を与える原因となる。本発明のDNAの合成方法にお
いては、RNAに起因する非特異反応が抑制されるため、
正しい分析結果を期待できる。
mpliTaq DNAポリメラーゼ;PEアプライド・バイオシ
ステム)を含む50μLの反応液(1.5mM塩化マグネ
シウム、10mMトリス塩酸[pH8.3]、50mM塩化カ
リウム)に0.2mMのdNTPs(GeneAmpdNTPs;PEアプ
ライド・バイオシステム)、任意の濃度の一組のプライ
マーDNAと1ngλDNA(ラムダDNA)を加えた。対照とし
てDNAを加えない反応液も調製した。それらの反応液は
サーマルサイクラーTP240(宝酒造)により、以下
に示すようなlong PCRの条件で保温した。プライマ
ーには、次に示す配列番号:1および配列番号:2から
なるオリゴヌクレオチド(ライフテック・オリエンタ
ル)を用いた。 配列番号:1:5'-ggaactgaagaatgccagagactccgctga-3' 配列番号:2:5'-atggtggcggcatacatcgccttcacaatg-3'
間
電気泳動し、エチジウムブロマイド染色により可視化し
た。結果を図1に示す。λDNAを加えない反応液におい
て非特異的なDNA合成を認め、それはPCRで一般的な
プライマーDNA濃度に影響されなかった。λDNAを加えた
反応液では期待される3000塩基長のDNA増幅を認め
たが、非特異的なDNA合成も認められた。非特異的に合
成されたDNAは、λDNAを加えない反応液と同様に、非特
異的な高分子DNA(すなわちポリ(dA-dT))合成によるも
のと考えられる。
Aポリメラーゼ;PEアプライド・バイオシステム)を含
む20μLの反応液(1.5mM塩化マグネシウム、10m
Mトリス塩酸[pH8.3]、50mM塩化カリウム)に、
5Uまたは0.5UのRNアーゼA(日本ロシュ)を加え
(または加えないで)37℃で30分間保温した。次に
それぞれの反応液へ終濃度0.2mMのdATPとdTTP(Gene
Amp dNTPs;PEアプライド・バイオシステム)を含む
30μLの反応液(1.5mM塩化マグネシウム、10mM
トリス塩酸[pH8.3]、50mM塩化カリウム)を加え
て50μLとし、65℃で3時間保温した。対照とし
て、上記50μLの反応液に更に0.2μMのオリゴ(dA-
dT)10(サワデーテクノロジー)を加えて、同じく65
℃で3時間保温した。それぞれの反応液を1.5%アガ
ロースゲルで電気泳動し、エチジウムブロマイドで可視
化した。結果を図2に示す。
加えた反応液では、RNアーゼAによるDNA合成阻止は認め
なかった。一方、鋳型・プライマーを含まない反応液で
は、5UのRNアーゼAにより、非特異的な高分子DNA(ポ
リ(dA-dT))合成が阻止された。これらの結果は、DNAポ
リメラーゼにポリ(dA-dT)合成の鋳型・プライマーとな
るRNAが共存することを示している。
Aポリメラーゼ;PEアプライド・バイオシステム)を含
む10μLの反応液(1.5mM塩化マグネシウム、10m
Mトリス塩酸[pH8.3]、50mM塩化カリウム)に、
0.01Uまたは0.001UのRNアーゼA(日本ロシ
ュ)を加え(または加えないで)37℃で30分間保温
した。次にそれぞれの反応液へ終濃度0.2mMのdNTPs
(GeneAmp dNTPs;PEアプライド・バイオシステム)
と、0.5μMの1組のプライマーDNA:配列番号:1お
よび2(ライフテック・オリエンタル)と1ngλDNA
(ラムダDNA)を加えて50μLとし実施例1で示したlo
ng PCRの条件で保温した。対照としてλDNAを加えな
い反応液も調製した。それぞれの反応液を1%アガロー
スゲルで電気泳動し、エチジウムブロマイドで可視化し
た。結果を図3に示す。long PCRの条件において
は、0.01UのRNアーゼAにより非特異的な高分子DNA
(ポリ(dA-dT))合成を阻止することができた。
いDNAポリメラーゼが提供される。DNAポリメラーゼに夾
雑するRNAは、核酸の合成反応において非特異的な反応
の原因となる。本発明のDNAポリメラーゼを用いれば、R
NAに起因する非特異反応を阻止することができる。RNA
に起因する非特異反応の生成物は、高分子のDNAであ
る。たとえばPCRなどの核酸の増幅反応においては、
こうして生成する高分子のDNAがバックグランドシグナ
ルとなり、増幅生成物の検出を妨げていた。本発明のDN
Aポリメラーゼを利用することにより、バックグランド
シグナルを小さくすることができる。その結果、本発明
のDNAポリメラーゼによれば、より高感度に、反応生成
物を検出することができる。
Aの合成反応においては、非特異的な反応による生成物
も爆発的に増幅されてしまう。特に、目的とする鋳型の
量が少ない場合には、非特異的な反応の生成物に陵駕さ
れてしまい、目的とする反応の生成物を確認できなくな
ってしまう恐れさえある。
反応効率の低下の原因にもなる。多量のDNAポリメラー
ゼが、合成すべきではないRNAを鋳型とする核酸の合成
反応にかかわることは、それだけ目的とするDNAの合成
反応の効率が低下することになる。
の除去工程は、たとえばRNアーゼAなどの酵素を利用し
て、温和な条件下で、容易に行うことがきる。つまり本
発明は、高度な特異性を持つDNAの合成反応を、簡単な
酵素処理で実現することができる、優れた技術を提供す
る。
を示す写真。Mで示したレーンは分子量マーカー、その
他のレーンは1ngλDNAとλDNA無添加に対して、0−1
μMのプライマーを加えて反応させた後の反応液を電気
泳動した結果を示す。
す写真。Mで示したレーンは分子量マーカー、その他の
レーンはオリゴ(dA-dT)10の有無(+/-)に対して、0−5
UのRNアーゼAを加えた反応液を電気泳動した結果を示
す。
る高分子DNAの生成阻止作用を示す写真。Mで示したレ
ーンは分子量マーカー、その他のレーンはプライマーの
有無(+/-)に対して、0−0.01UのRNアーゼAを加え
た反応液を電気泳動した結果を示す。
Claims (9)
- 【請求項1】 RNAの除去工程を含む、RNAを実質的に含
まないDNAポリメラーゼの調製方法。 - 【請求項2】 RNAの除去工程が、RNアーゼを作用さ
せることによって行われる請求項1に記載の方法。 - 【請求項3】 RNアーゼがRNアーゼAである請求項
2に記載の方法。 - 【請求項4】 DNAポリメラーゼが、テルムス属微生物
由来のDNAポリメラーゼ、またはその変異体である請求
項1に記載の方法。 - 【請求項5】 テルムス属微生物が、テルムス・アクア
ティクス、またはテルムス・サーモフィルスである請求
項4に記載の方法。 - 【請求項6】鋳型DNAにアニールしたプライマーをDNAポ
リメラーゼによって伸長する工程を含むDNAの合成方法
において、前記DNAポリメラーゼがRNAを実質的に含まな
いDNAポリメラーゼであることを特徴とするDNAの合成方
法。 - 【請求項7】次の工程を含む、DNAの分析方法。 (1)請求項6に記載の方法によってDNAを合成する工程、
および (2)工程(1)の生成物の有無、生成物の量、生成物の生成
速度、および生成物の長さからなる群から選択されるい
ずれかの指標に基づいて、DNAを分析する工程 - 【請求項8】RNAを実質的に含まないDNAポリメラーゼ組
成物。 - 【請求項9】RNAを実質的に含まないDNAポリメラーゼか
らなるDNAの分析用組成物。
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